説明

磁歪材料を含んでいる接着剤により結合された航空機構造

【課題】航空機構造において、接着ボンドの信頼度を確率する方法を提供する。
【解決手段】第1及び第2の航空機構造は歪感知磁歪材料を含んだ接着剤により共に結合されている。磁歪材料の磁化の変化を測定することによって、接着剤中の歪みの変化を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁歪材料を含んでいる接着剤により結合された航空機構造に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量の複合材料は航空機工業で大きな期待がある。ファイバ複合物は特別な強度およびスチフネスにおいて通常の金属合金よりも大きな改良を与える。良好な特別な強度とスチフネスは軽量化につながり、それは燃料の節約と動作価格の低下につながる。さらに複合物はアルミニウムのように腐食せず、これらは疲労に対してより抵抗がある。
【0003】
外皮、補強材、フレーム、スパーのような複合素子は翼、胴体、尾部のような主要コンポーネントを形成するために共に接合される。複合素子はポリマー接着剤により共に結合されることができる。理論上、接着ボンドは単独でこれらのコンポーネントの負荷を支持するのに十分な強度と一体性を有する。それ故接着ボンドは主要なコンポーネント中の金属ファスナ数を非常に減少することができる。
【0004】
しかしながら、実際にはある連邦航空規則は任意の2つの主要な構造コンポーネント間で結合されたジョイントが最大の剥離(即ち結合線全体が誤りである箇所)のある特定された負荷を支持する実体化を必要とする。この接着剤で結合されたジョイントにおける信頼度の欠如に対する1つの解決策は金属ファスナを付加することである。接着剤で結合されたジョイントが故障したならば、金属ファスナがジョイントを共に保持し続ける。
【0005】
金属ファスナの使用は航空機のコンポーネントに対して重量を付加する。複合構造を有する金属ファスナの使用はまた製造の時間、価格、複雑性を増す。高い正確度の機械加工と複雑な手順が複合構造に穿孔するために使用される。さらにファスナの貫通は落雷と腐食の不所望なパスをもたらす。
【0006】
また、軸受荷重の要求を満たすために穿孔された穴の周辺に付加される複合物のプライにより重量が付加される。付加的なプライは航空機の価格も増加する。ファスナの穴の存在は(最適に設計されたファスナのないパネルおよびジョイントと比較して)パネルおよび結合されたジョイントの強度を減少する複合プライのレイアップの配向の選択にも影響を与える。
【0007】
接着ボンドが適切に設計され、準備され制御されるならば、単独でも主要な構造を共に結合するのに十分な強度と統合性を有することが考えられている。しかしながら一貫性と信頼性を与えるデータは得られず、現在の検査技術は接着ボンドの信頼度を確立するには不適切である。
【発明の概要】
【0008】
本発明の1実施形態によれば、第1及び第2の航空機構造は歪感知磁歪材料を含んだ接着剤により共に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の1実施形態による2つの航空機構造と接着剤を示す図。
【図2】本発明の実施形態による製造方法を示す図。
【図3】本発明の実施形態による製造方法を示す図。
【図4】本発明の実施形態による製造方法を示す図。
【図5】本発明の実施形態による磁歪材料を含んだ接着剤の使用方法を示す図。
【図6】本発明の実施形態による磁歪材料を含んだ接着剤の使用方法を示す図。
【図7】本発明の実施形態による磁歪材料を含んだ接着剤の使用方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、第1及び第2の航空機構造110と120は接着剤130により共に結合されている。航空機構造110と120は何等特定のタイプに限定されない。構造110と120は外皮、補強材、フレーム、スパーのような素子を含むことができる。構造110と120は翼、胴体、尾部のような主要コンポーネント(またはその一部)を含むことができる。第1及び第2の構造110と120は主要構造であっても、非主要構造であってもよい。これらは同じ組成(例えば複合材料、金属、プラスティック)を有することができ、或いはこれらは異なる組成を有することができる。
【0011】
接着剤130は熱硬化性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーであってもよい。接着剤130はファイバマット(スクリム)または他の充填剤のような付加的な材料を含んでもよい。接着剤130は結合線、フィレット、密封剤、パネル上に被覆を形成してもよく、または結合されたジョイントを架橋することができる。接着剤130は主要または非主要構造を結合するために使用されることができる。
【0012】
接着剤130は歪感知磁歪材料を含んでいる。磁歪は磁界にさらされるときに強磁性材料にその形状を変化させる強磁性材料の特性である。反対に、磁歪材料が(数マイクロ歪程度までの)任意のレベルの物理的歪を受けると、その磁化において測定可能な変化が発生する。
【0013】
接着剤130中の歪レベルは接着剤130と構造110および120との間の接着強度の指標として使用される。接着剤130中の歪は重合化中に生じる化学的および物理的変化の結果として、および接着剤130と構造110および120との間の熱膨張差の係数の結果として発生する。接着剤130中の歪は有限の素子解析により予測されることができる。結合されたジョイントに不規則性がないならば、ジョイントの歪マップは有限の素子解析に一致しなければならない。高レベルの接着剤の歪は、構造110および120に対するその強力な(負荷搭載)接続を通して接着剤130に与えられる応力のために高い結合強度を有する接着剤130の領域に存在しなければならない。(有限の素子解析と比較するとき)低レベルの接着剤の歪は直接接触している構造−接着剤の境界内の領域に現れるが空間的変化のない負荷を伝えることができない(即ち低いモジュラス材料を通して伝えられる)。これによって局部領域と、a)他の領域の歪、b)計算または予測される歪、c)別の時間の同じ領域、d)損傷後の同じ領域のうちの任意のものとの間に磁気特性の局部的な測定可能な差が生じる。低い歪レベルは剥離、剥層、(10−100ミクロン程度の)局部的な空洞化のような不規則性の存在または性質を示している。
【0014】
磁気特性の局部的な差を測定することによって、低いレベルの歪の位置が突き止められることができる。例えば接着剤130と構造表面が接触している場所に「接触する剥離」が生じるが、負荷はジョイントの負荷下では境界を横切って転送されない。接触する剥離はシロキサン剥離剤のような汚染物質の低いモジュラス領域が存在することにより生じる可能性がある。
【0015】
磁歪材料は任意の特定の組成に限定されない。幾つかの実施形態では、磁歪材料は磁鉄鉱、非晶質金属、強磁性金属のような磁性金属酸化物、ニッケル−鉄(NiFe)のような合金を含むことができる。幾つかの実施形態では、磁歪材料は強磁性金属または合金のフェライトまたは酸化物を含むこともできる。
【0016】
幾つかの実施形態では、磁歪材料はTerfenol−Dを含んでおり、Terfenol−Dはテルビウム、ジスプロシウム、鉄金属の合金である。これは非常に高いエネルギレベルを1形態から別の形態へ変換することのできる固体状態トランスデューサである。電気−機械変換の場合、Terfenol−Dの磁歪は鉄−コバルト合金のような伝統的な磁歪材料よりも10から20倍大きい歪を発生し、伝統的な圧電セラミックよりも2から5倍大きい歪を発生する。Terfenol−Dは室温から200℃の温度範囲で1000ppmよりも大きい磁歪性能を可能にする高いキューリー温度(380℃)を有する。航空機の普通の使用温度は−65゜Fから300゜Fの範囲であり、幾つかの樹脂系はこの範囲外で使用されている。航空機の幾つかの部分はエンジンに近いためまたは密封区域中の内部の航空機システムにより発せられる熱のために高い高度で飛行するときでさえも高温の状態である可能性がある。
【0017】
幾つかの実施形態では、磁歪材料はTerfenol−Dとは明らかに異なる物理的及び磁気的特性を有する鉄−ガリウム合金であるGalfenolを含むことができる。白色のGalfenolの磁歪はTerfenol−Dの磁歪の3分の1から4分の1のみであるが、Galfenolは遥かに頑丈な材料であり、最小の衝撃硬化により機械的に過酷な環境で使用されることが可能である。
【0018】
接着剤130の厚さは結合される構造に応じて、例えば結合線は約10ミルの厚さを有することができる。
【0019】
磁歪材料はナノ粒子から膜までの範囲の形態を有することができる。フレーク、ファイバ形態、被覆されたファイバのような粒子は典型的に高い結合を有し、それ故望ましい。粒子の寸法と膜の厚さは接着剤130により許容される寸法と厚さの限度により決定されることができる。しかしながら粒子の大きさは接着剤の構造特性における悪影響を最小にするのに十分小さくなければならない。さらに、形状にしたがってナノメートルからミクロンの範囲にわたる広い範囲の有効な粒子の大きさが存在する。磁歪膜の厚さはナノメートルから数ミクロンの範囲であることができる。
【0020】
磁歪材料と接着剤130との比率は0.1乃至30容量%の範囲であることができる。しかしながら0.1乃至1容量%の範囲のさらに低い割合が接着剤の機械的性能と低い重量では望まれる。
【0021】
幾つかの実施形態では、磁歪材料(例えば粒子)は結合されたジョイント全体に与えられることができる。他の実施形態では、接着剤の領域だけに関心があり、それによって磁歪材料はその領域だけに与えられる。例えば磁歪材料を結合線全体に適用する代わりに、磁歪材料は歪が高い領域および空洞化と剥離が生じやすい領域にのみ与えられる。典型的な重ね継ぎ構造では、1つのこのような領域は接着剤フィレットの下またはそれに隣接する区域である。
【0022】
結合されたジョイント中の歪は磁歪材料に歪を起こす。この歪は代わりに磁歪材料の磁化に測定可能な変化を発生する。
【0023】
磁気センサは磁歪材料の磁化の変化を測定することによって接着剤130中の歪の変化を検出するために使用されることができる。磁気センサは例えば磁界発生コイル(「駆動コイル」)を含むことができる。DCまたは交流周波数のいずれかで動作する非接触の駆動コイルは接着剤130にわたって外部磁界を生成することができ、磁歪材料の磁化を設定することができる。磁気センサはさらに磁歪材料により影響される結果的な磁界を測定するための器機を含むことができる。測定装置は例えば別のコイル(「感知コイル」)または巨大磁気抵抗センサを含むことができる。磁歪材料の磁化は感知され、基線データ(例えば磁化の先の測定または良好な結合を表す予測される値)と比較される。例えば駆動磁気コイルは外部磁界を発生する。粒子の磁化は粒子がこの外部磁界を受けるときに変化する。外部磁界は感知コイルで電圧も発生する。感知コイルの電圧は粒子の磁化が変化するときに変化する。磁界とこの電圧は磁歪材料上の歪により影響される。電圧は測定されることができる。駆動及び感知磁気コイルは小さい結合領域にさえも応答するように非常に小さくすることができる。センサは結合を検査するために結合にわたって走査することができる。幾つかの実施形態では、センサは結合の画像を生成するために駆動及び感知コイルのアレイを含むことができる。センサの視界は所望の解像度(検出する区域の大きさの程度)に一致するように選択される。
【0024】
接着剤中に歪感知磁歪材料を含ませる利点は、接着剤の高および低い接着歪の区域が非破壊的に感知され測定されることができることである。したがって歪は構造110および120または接着剤130を破損または非常に解体せずに感知及び測定されることができる。
【0025】
接着剤中に歪感知磁歪材料を含ませる別の利点は、弱い結合の領域(例えば汚染物質が存在するために弱化された結合)が検出されることができることである。対照的に、超音波検査のような通常の非破壊的検査は剥離、比較的大きい空隙、結合線中の気泡および欠陥を検出することだけが可能であり、結合の強度についての情報を供給することはできない。
【0026】
歪はワイヤを構造110および120へ取付ける必要なく、構造110および120或いは接着剤130からワイヤを突出させる必要なく感知されることができる。接着剤130から突出するワイヤはこれらがジョイントの周囲の環境から湿度または流体を接着剤の内部へ移動させる通路を生成し、それにより早期のジョイント故障の可能性を増加するので望ましくない。
【0027】
構造110および120の結合は任意の特定の方法に限定されない。図2−4は幾つかの例を示している。
【0028】
図2を参照する。幾つかの実施形態では、磁歪粒子は接着剤中で均等に分散される。熱硬化性ポリマーのような接着剤では、磁歪材料はポリマーの先駆物質に付加されることができる(ブロック210)。ポリマーの先駆物質の例には樹脂、分子重量のポリマー、モノマーが含まれている。典型的な2部分のエポキシ接着/樹脂系では、磁歪粒子は反応物との混合前または混合後に、一方または両者のコンポーネントと混合されることができる。構造はレイアップされ(ブロック220)、混合物は1または2の構造間に配置されるかその構造に物理的に与えられ(ブロック230)、レイアップは減圧バッグ中に置かれ、プレスまたはオートクレーブで硬化される(ブロック240)。幾つかの実施形態では、磁歪材料を含む接着剤はプレプレグ材料のレイアップと共に硬化される。磁歪材料を有する接着剤は複合プレプレグのための樹脂として使用されることができる。他の実施形態では、このような接着剤は2つの先に硬化された複合構造または金属/金属または複合物/金属構造を結合するために二次結合プロセスで使用されることができる。
【0029】
熱可塑性ポリマーのような接着剤では、磁歪粒子は熱可塑性ポリマーが軟化された後、標準的な配合及び押出し技術によって熱可塑性ポリマーの製造期間中に付加されまたは混合されることができる(ブロック210)。構造はレイアップされ(ブロック220)、熱可塑性ポリマーの薄膜は構造間に挿入される(ブロック230)。熱可塑性ポリマーは融合され(ブロック240)、その期間中に熱可塑性ポリマーは加熱され、それによって流動化し、構造表面と密接な接触を行い、その後これが硬化するように冷却されることを可能にされる。
【0030】
図3を参照する。幾つかの実施形態では、磁歪粒子はスクリムと共に使用されることができる。スクリムは結合期間中に接着剤が搾り出されないことを確実にするために使用されることができる。スクリムはまた硬化されていない接着膜の処理をサポートし補助するためにも使用されることができる。ブロック310で磁歪材料を有する樹脂含浸されたスクリムが形成される。第1の例として、スクリムは磁歪粒子で充填された樹脂で含浸される。第2の例として、スクリムは無電解または無電界および電気めっきプロセスの使用により金属の磁歪材料の薄膜により被覆される。その後、スクリムは樹脂で含浸される。第3の例として、スクリムは磁歪材料から形成される。
【0031】
ブロック320で、構造及び樹脂含浸されたスクリムはレイアップされる。第1の例として、スクリムは結合される表面間に置かれる。第2の例として、スクリムは結合されたダブラーのエッジに隣接して配置され、または接着フィレットが典型的に形成する領域の部分および高い結合応力が最初に発生する箇所に配置される。
【0032】
ブロック330で、樹脂は重合化されるか融合される。結果的なポリマーの接着剤はスクリムを含んでいる。スクリムはディスクリートな粒子よりも接着剤に対して効率的に結合できるので、スクリムは歪を磁歪材料へ良好に伝えることができ、磁歪材料の与えられた重量をより敏感に使用する。
【0033】
図4を参照する。幾つかの実施形態では、磁歪粒子または磁歪膜は接着剤で被覆される。ブロック410で、2つの構造は接着剤で被覆され、共に加圧される。接着剤は結合されたジョイントの周辺にフィレットを形成するためエッジから流出する。フィレットは特別な形状と表面に成形されることができる。
【0034】
ブロック420で、フィレットは磁歪粒子または膜で被覆される。被覆はジョイントのレイアップから生じ、または別々の動作により与えられることができる。代わりに、磁歪材料を含んだ接着剤の条帯が結合されたダブラーの周辺または接着フィレットが形成される領域のジョイントの近くに与えられ、共に硬化されることができる。結合線から流出する負荷されない接着剤は接着剤の周辺の負荷された条帯上を流れ、2つを共に結合することができる。磁歪材料を含んだ接着剤の成形された条帯はフィレットまたは応力最小化テーパーとして構成されることもできる。
【0035】
本発明の1実施形態による方法は磁歪材料を結合全体に与えることに限定されない。磁歪材料は特定の領域だけに与えられることができる。粒子は標準的なマスキングまたはエッチング技術を使用して表面上にパターンとして形成されることができる。例えば表面は(例えばフォトマスクを使用して)マスクされ、磁歪材料が付着されることができ、その後マスクは除去される。
【0036】
フィルム接着剤が特別な領域で与えられることができる。磁歪粒子の液体接着剤または被覆は噴霧またはローリングを介して、或いはドローダウンまたはトランスファー塗布により与えられることができる。(例えばローリング被覆またはスパッタリング或いは電気めっきにより本来生成された)磁歪材料の膜はその膜が適切な一体性を有しその表面自体がジョイント内またはジョイント周囲の他の材料と良好に結合する限り、レイアップで構成されることもできる。例えば磁歪膜はフィレットに密接に問い合わせる(interrogate)方法を生成するために接着フィレットと共に形成されることができる。磁歪膜はプレプレグの炭素ファイバを被覆するために使用されることができ、これは過剰な歪または複合物の歪に対する変化が感知されることを可能にする。
【0037】
本発明の1実施形態による方法は製造相に限定されない。幾つかの実施形態では、既存のジョイントはレトロフィットされるか修理されることができる。例えばレトロフィットまたは修理は磁歪粒子を含んだ条帯接着剤を結合されたジョイントに提供するか、磁歪膜で被覆されたスクリムを含んだ接着剤条帯を結合されたジョイント周辺のフィレットを覆って与えることを含むことができる。
【0038】
本発明の1実施形態による方法はポリマー接着剤に必ずしも限定されない。本発明の1実施形態による方法は鑞付けされた金属のジョイントと、ファイバ、球体、充填剤等のような非ポリマー材料を含んでいる接着剤に適用されることができる。
【0039】
図5−7は接着剤で磁歪材料を使用する異なる例を示している。図5の例では、磁化の変化は製造中にプロセス制御の一部として感知される。重合化および通常の冷却期間中に、ポリマーは収縮し、結合強度と形状及び材料特性に応じて歪レベルの局部的な変化が生じる。プロセス制御はジョイントで有限素子解析を行い(ブロック510)、基線データを展開するために重合化と冷却後にジョイントの磁化を感知する(ブロック520)処理を含んでいる。磁化はその後磁化及び冷却後または使用時間後に他の構造の他のジョイントで感知される(ブロック530)。他のジョイントの感知されたデータは有限素子解析と基線データの両者に対して比較される(ブロック540)。FEM解析は形状と材料の違いを考慮し、完全なジョイントと実際のジョイントの両者を表すことができる。測定は老化傾向を評価するために基線に対して比較される。その比較は汚染、仮設の部品の問題、硬化中の不均一な圧力の存在を示す。比較はさらに製造プロセスについてのフィードバックを与えることもできる。フィードバックは製造プロセスの改良に使用されることができる。
【0040】
図6の例では、磁化の変化は航空機の健全監視の一部として実時間で感知される。(重量、アクセス電力、メモリ等の実際の限定による)理想的なジョイント数の実時間感知はプローブが十分に近接した近位置に配置されることができるところではいつでも行われることができる。応力の変化に対する接着剤の応答時間は秒以下の程度である。ブロック610で、ジョイントの有限素子解析が行われる。ブロック620で、ジョイントの磁化はジョイントの多次元(例えば2次元または3次元)画像を記録するために感知されることができる。ブロック630で、この画像はジョイントの状態を決定するためにデータのセットと有限素子解析に対して比較される。第1の例では、データセットは異なる負荷及び状態に対する歪の2次元または3次元の基準画像を含むことができる。感知された画像は基準画像と比較される。比較はジョイントの局部領域が臨界的な歪レベルに対してどの程度近いかを示している。第2の例として、測定された歪画像は許容可能な変化のセットに比較される。比較は損傷または故障の開始について行われ、修理を必要とする結合を識別するために行われる。比較は修理所等への訪問予定中に航空機構造の定期検査の一部として、飛行中または地上でのメンテナンス中に行われることができる。
【0041】
図7の例では、磁化の変化は航空機構造の接着ボンドについてより良好に理解するために感知される。異なる接着剤と結合された構造または異なる結合プロセス下の構造は異なる負荷及び状態下で感知され(ブロック710)、異なる接着剤または結合プロセスは評価される(ブロック720)。評価は最も良好な接着剤が選択されることを可能にする歪データを提供する。このデータは構造ジョイントを通して歪に対する計算上のシミュレーションと比較されることができ、改良された構造ジョイントを設計するために使用されることができる。データは頻繁な使用年数にわたり「良好な」接着ジョイントの構造的な統合性を追跡するために累積されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歪感知磁歪材料を含む接着剤により第1及び第2の航空機構造を共に結合する結合方法。
【請求項2】
磁歪材料の粒子はポリマー先駆物質または熱可塑性物質に付加される請求項1記載の方法。
【請求項3】
磁歪材料の粒子は接着剤中に分散されている請求項1記載の方法。
【請求項4】
結合は磁歪材料による樹脂含浸されたスクリムを使用することを含んでいる請求項4記載の方法。
【請求項5】
結合は樹脂を含んだ磁歪粒子を含んでいる樹脂で含浸されたスクリムを使用することを含んでいる請求項4記載の方法。
【請求項6】
結合はスクリムの表面上に磁歪材料の層を形成し、スクリムを樹脂で含浸することを含んでいる請求項4記載の方法。
【請求項7】
スクリムは磁歪材料から形成される請求項4記載の方法。
【請求項8】
結合はフィレットを形成し、フィレットを磁歪材料で被覆する請求項1記載の方法。
【請求項9】
結合は接着フィレットが上に形成されるように結合線に隣接して接着層に磁歪材料を配置することを含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項10】
さらに磁歪材料の磁化の変化を感知するために磁気センサを使用することを含んでおり、変化は接着剤の歪の変化を示し、接着剤の歪は接着剤と構造との間の負荷支持能力を示している請求項1記載の方法。
【請求項11】
磁化は多次元の歪画像を記録するために感知され、歪画像は基準データと比較される請求項10記載の方法。
【請求項12】
請求項1乃至9のいずれか1項記載の結合されたジョイントを含んでいる航空機アーティクル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−6428(P2013−6428A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−318553(P2008−318553)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】