説明

磁気テープのガーベージコレクション方法及び装置

【課題】本発明は磁気テープのガーベージコレクション方法及び装置に関し、ガーベージコレクションを効率的に行なうことができる磁気テープのガーベージコレクション方法及び装置を提供することを目的としている。
【解決手段】テープライブラリ装置20と、該テープライブラリ装置20と接続される磁気ディスク装置30を含んで構成され、無効データ領域を含むテープ媒体2の内容を前記磁気ディスク装置30に転送する転送手段21と、前記磁気ディスク装置30で受信したデータを整理して、新しいテープ媒体3に有効データのみを転送記録させる転送記録手段32と、を設けて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気テープのガーベージコレクション方法及び装置に関し、更に詳しくはテープライブラリ装置を利用した情報管理システムにおける制御機能に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のテープライブラリ装置に使用されるテープ媒体は、媒体の特性上、データの更新が行われると、最終データの後ろに更新データが記録される。その結果、更新による無効なデータが増えていくため、定期的にテープ媒体上のデータを再構成する必要がある。このようなデータの再構成を自動的に行なう機能をガーベージコレクション機能と呼んでいる。
【0003】
図2はガーベージコレクション機能によるデータの再構成の説明図である。旧テープ媒体と新テープ媒体間でガーベージコレクションが行われる。図に示すように、旧テープ媒体は有効データと無効データとから構成されている。ここでは、DATA0とDATA1が有効データであり、DATA2とDATA3は無効データである。無効データには、データが無効であることを示すフラグ領域が形成されている。
【0004】
このような状態で、旧テープ媒体から新テープ媒体へのデータの書き替えを行なう場合、先ず有効データDATA0とDATA1が記録され、次に無効データであるDATA2とDATA3はスキップされ、次の有効データであるDATA4とDATA2とDATA3が記録される。
【0005】
従来のこの種システムとしては、メモリスペースを第1の領域と第2の領域とに分け、第1の領域は最新に割り当てられたオブジェクトを保存し、第2の領域は旧いオブジェクトを保存し、新しいオブジェクトが保存される第1の領域の第1の区域が満杯になったら第1の領域の第2の区域に割り当てるようにした技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
また、ガーベージコレクション処理専用と通常処理専用に、中央処理装置を2つ用意し、独立に主記憶の読み書きが行えるようにし、コピー方式の一括型ガーベージコレクションの処理を行なうのと、同時に通常処理を並列に行なうようにした技術が知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特表2003−515812号公報(段落0022〜0023、図3)
【特許文献2】特開平5−81120号公報(段落0011〜0019、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ガーベージコレクション処理中は、再構成データの読み出しから別テープ媒体への書き込みまでが一連の処理として行われるため、テープライブラリ装置のドライブが2台優先的に使用され続けてしまい、他の処理のスループット性能、レスポンス性能が低下することから、ガーベージコレクションの動作する時間帯を考慮する必要があった。
【0008】
図3はテープライブラリ装置のガーベージコレクションの説明図である。図において、1はテープ媒体への書き込みと読み出しを行なうドライブで、図ではドライブ0〜ドライブ3までの4台が設けられている場合を示す。2はドライブ1でドライブされるテープ媒体、3はドライブ2でドライブされるテープ媒体である。
【0009】
テープ媒体2に記録されているデータは、例えば図2の場合を例にとると、先ずDATA0とDATA1がテープ媒体3に記録され、次に無効データであるDATA2とDATA3がスキップされ、次のデータDATA4が記録される。この場合において、データDATA0とDATA1が記録された後、テープ媒体2は巻き戻し(リワインド)される。そして、新たに0の位置からテープ媒体が巻き取られ、データDATA4の位置にきたら、データDATA4がテープ媒体3に記録される。このように、リワインドする理由は、テープ媒体の位置決めが正確にできないからである。
【0010】
このように、従来の装置では、無効データ領域が含まれるテープ媒体から有効データを別のテープ媒体に記録させる場合、無効データが含まれるデータ領域がある度にテープの巻き戻しを行わなければならないため、処理に時間がかかるという問題がある。
【0011】
このように、従来の装置では、再構成データの読み出しは、読み出し箇所が離散しているために、テープの巻き戻し処理があるのに対し、別テープ媒体への書き込みはシーケンシャルに行われるために、テープの巻き戻し処理がない。従って、再構成データの読み出し時にテープの巻き戻し処理を行なっている間は、別テープ媒体への書き込みに使用しているテープドライブについて待ち時間が発生することになる。
【0012】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、ガーベージコレクションを効率的に行なうことができる磁気テープのガーベージコレクション方法及び装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)請求項1記載の発明は、テープライブラリ装置と、該テープライブラリ装置と接続される磁気ディスク装置とで構成されるシステムにおいて、テープ媒体の内容を前記磁気ディスク装置に転送し、該磁気ディスク装置は、受信したデータを整理して、新しいテープ媒体に有効データのみを転送記録させるようにしたことを特徴とする。
(2)請求項2記載の発明は、前記磁気ディスク装置は、テープライブラリ装置から有効データのみの転送を受け、有効データを一旦保存し、新しいテープ媒体に有効データのみを転送記録するようにしたことを特徴とする。
(3)請求項3記載の発明は、前記磁気ディスク装置は、テープライブラリ装置から無効データを含む全てのデータの転送を受け、無効データを含む全てのデータを一旦保存し、磁気ディスク装置で整理した後、有効データのみを新しいテープ媒体に転送記録させるようにしたことを特徴とする。
(4)請求項4記載の発明は、テープライブラリ装置と、該テープライブラリ装置と接続される磁気ディスク装置を含んで構成され、テープ媒体の内容を前記磁気ディスク装置に転送する転送手段と、前記磁気ディスク装置で受信したデータを整理して、新しいテープ媒体に有効データのみを転送記録させる転送記録手段と、を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
(1)請求項1記載の発明によれば、テープ媒体に記録されているデータを一旦磁気ディスク装置に転送記録しておき、磁気ディスク装置から新しいテープ媒体へ有効データのみを記録するようにすることができ、ガーベージコレクションを効率的に行なうことができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、磁気ディスク装置はテープライブラリ装置から有効データのみの転送を受け、新しいテープ媒体に有効データを記録するようにすることができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、磁気ディスク装置はテープライブラリ装置から無効データを含む全てのデータの転送を受け、これらデータを整理して有効データのみを新しいテープ媒体へ記録するようにすることができる。
(4)請求項4記載の発明によれば、テープ媒体に記録されているデータを一旦磁気ディスク装置に転送記録しておき、磁気ディスク装置から新しいテープ媒体へ有効データのみを記録するようにすることができ、ガーベージコレクションを効率的に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態例を示す構成図である。図2と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、20はテープライブラリ装置、30は磁気ディスク装置であり、これらテープライブラリ装置20と磁気ディスク装置30とで階層ストレージ装置10を構成している。
【0016】
テープライブラリ装置20において、1はテープ媒体を駆動するドライブであり、図ではドライブ0〜ドライブ3まで4台設置された場合を示しているが、この数に限るものではなく、任意の数のドライブを用いることができる。
【0017】
2は有効データと無効データが記録されているテープ媒体、3は全再構成データが書き込まれるテープ媒体である。21はテープ媒体2に記録されているデータの内、有効データのみを抽出して磁気ディスク装置30側に転送する制御装置1である。
【0018】
磁気ディスク装置30において、31はテープライブラリ装置20から転送されてくるデータを一旦保存する磁気ディスクである。32は、磁気ディスク31に保存されているデータのうち、有効データを新しいテープ媒体3に転送記録する制御装置2である。テープライブラリ装置20と磁気ディスク装置30間は、相互にデータの送受信ができるように構成されている。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
(テープライブラリ装置側から有効データのみを転送する場合)
テープ媒体2に記録されているデータは、有効データと無効データである。制御装置1はデータを磁気ディスク装置30側に転送するに際し、データ領域のフラグ領域に無効フラグが形成されているデータ領域を検出する。そして、無効フラグが形成されているデータは無視する。無効フラグが形成されていない有効データのみを磁気ディスク装置30側に転送する。磁気ディスク装置30側では、転送されてきたデータを一旦記憶領域に保存する。
【0019】
次に、新しいテープ媒体3にデータを転送記録する場合の動作について説明する。制御装置2は磁気ディスク31に保存されているデータを順次読み出し、テープライブラリ装置20側に転送する。テープライブラリ装置20側では、制御装置1が入力されてきたデータを順次テープ媒体3に転送し、記録する。
(テープライブラリ装置側から全てのデータを転送する場合)
制御装置1は、テープ媒体2に記録されているデータを順次読み出し、有効データ、無効データを問わず全て磁気ディスク装置30側に転送する。制御装置2は、転送されてきたデータを一旦磁気ディスク31に保存する。
【0020】
そして、再構成データを新しいテープ媒体3に転送記録させるに際し、データ領域のフラグ領域に記録されているフラグデータを参照する。フラグにデータの無効を示すデータが設定されている場合、そのデータ領域は無視する。そして、フラグにデータの無効を示すデータが設定されいないデータのみを抽出し、順次テープライブラリ装置20側に転送する。
【0021】
テープライブラリ装置20側では、制御装置1がこのデータを受け、テープ媒体3に順次有効データを記録していく。
以上、説明したように、本発明では
1)テープ媒体に記録されているデータを一旦磁極ディスク装置側に保存する処理
2)磁気ディスク装置側に保存した全再構成データをテープ媒体に記録する処理
から構成されている。
【0022】
本発明によれば、テープ媒体に記録されているデータを一旦磁気ディスク装置に転送記録しておき、磁気ディスク装置から新しいテープ媒体へ有効データのみを記録するようにすることができ、ガーベージコレクションを効率的に行なうことができる。
【0023】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、ガーベージコレクション処理をデータの読み出しと書き込みとに分割して実施することが可能となったため、ガーベージコレクション用に優先的に使用されるテープドライブの台数を1台とすることができる。これにより、ガーベージコレクション以外の処理のスループット性能とレスポンス性能の低下の割合が軽減する。
【0024】
更に、一旦磁気ディスク装置側に全再構成データを保存させることで、再構成データの書き込みに使用するテープドライブについて待ち時間を発生させることなく、再構成データをテープ媒体に書き込むことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態例を示す構成図である。
【図2】ガーベージコレクション機能によるデータの再構成の説明図である。
【図3】テープライブラリ装置のガーベージコレクションの説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ドライバ
2 テープ媒体
3 テープ媒体
10 階層ストレージ装置
20 テープライブラリ装置
21 制御装置1
30 磁気ディスク装置
31 磁気ディスク
32 制御装置2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープライブラリ装置と、該テープライブラリ装置と接続される磁気ディスク装置とで構成されるシステムにおいて、
テープ媒体の内容を前記磁気ディスク装置に転送し、
該磁気ディスク装置は、受信したデータを整理して、新しいテープ媒体に有効データのみを転送記録させるようにしたことを特徴とする磁気テープのガーベージコレクション方法。
【請求項2】
前記磁気ディスク装置は、テープライブラリ装置から有効データのみの転送を受け、有効データを一旦記憶し、新しいテープ媒体に有効データのみを転送記録するようにしたことを特徴とする請求項1記載の磁気テープのガーベージコレクション方法。
【請求項3】
前記磁気ディスク装置は、テープライブラリ装置から無効データを含む全てのデータの転送を受け、無効データを含む全てのデータを一旦記憶し、磁気ディスク装置で整理した後、有効データのみを新しいテープ媒体に転送記録させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の磁気テープのガーベージコレクション方法。
【請求項4】
テープライブラリ装置と、該テープライブラリ装置と接続される磁気ディスク装置を含んで構成され、
テープ媒体の内容を前記磁気ディスク装置に転送する転送手段と、
前記磁気ディスク装置で受信したデータを整理して、新しいテープ媒体に有効データのみを転送記録させる転送記録手段と、
を設けたことを特徴とする磁気テープのガーベージコレクション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−287282(P2007−287282A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115893(P2006−115893)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】