説明

磁気ディスクの製造支援方法および磁気ディスクの製造方法

【課題】ディスクリートトラック型メディアの製造者に、欠陥のあるガラス基板でも利用可能にする欠陥情報を提供して顧客満足度およびガラス基板の歩留まりを向上させる。
【解決手段】表面欠陥検出装置300によってガラス基板110の欠陥の検査を行い、ガラス基板の中心から欠陥までの距離を、円形に形成される非磁性領域140の半径として、ガラス基板に付与されたIDとともに記録する。これらの欠陥情報は、プリンタ320を用いて欠陥一覧表330に記録し、または、RFIDライタ350を用いてRFIDタグ360に記録し、ガラス基板ケース340、390に付帯させる。これにより、各ガラス基板とその欠陥情報とは一対一に対応して磁気ディスクメーカである顧客380に提供され、顧客は、得られた欠陥情報に基づいて、欠陥のある位置に非磁性領域が形成されたディスクリートトラック型メディアである磁気ディスクを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円板状のガラス基板を用い、磁性層に形成され情報が記録される複数のトラック間に、非磁性領域が形成されたディスクリートトラック型メディアである磁気ディスクの製造支援方法、および磁気ディスクの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気記録媒体用基板としては、アルミニウム基板が広く用いられてきた。しかし、磁気ディスクの小型化、薄板化、および高密度記録化に伴い、アルミニウム基板に比べ基板表面の平坦性及び基板強度に優れたガラス基板の需要が高まっている。
【0003】
近年、ブロードバンド通信の普及、デジタル放送の開始など情報化技術の高度化に伴い、大量のデータを保存・活用する必要が高まっている。とりわけ、コストに優れたハードディスクなどの磁気ディスクには、携帯電話機やビデオカメラなどのポータブル機器にも搭載可能な小型のものであるのと同時に、大容量という要求を実現するため、記録密度をさらに高める新技術が求められている。
【0004】
従来、磁気ディスクの記録密度を高めるためには、磁気ヘッド幅を狭小化し、情報が記録されるデータトラック間を狭めて高密度化を図るという手法が用いられてきた。しかし、隣接トラック間の磁気的影響や熱揺らぎ現象が無視できなくなっている。
【0005】
そこで、最近、データトラックを磁気的に分離して形成するディスクリートトラック型メディア(Discrete Truck Recording Medium; 以下DTRメディアと略称する)という、新しいタイプのメディアが提案されている(例えば非特許文献1)。
【0006】
DTRメディアとは、電子線リソグラフィやナノインプリントリソグラフィなどの最新ナノテクノロジーを用いて、記録に不要な部分の磁性材料を除去(溝加工)して信号品質を改善しようとするものである。さらに、溝加工した後に、その溝を非磁性材料で充填して、磁気ディスクドライブに要求されるオングストロームレベルの表面平坦性を実現したものである。DTRメディアは、メディアの記録密度を飛躍的に高め、超小型、大容量の磁気ディスクの実用化の道を開いた。
【0007】
また、DTRメディアをさらに高記録密度化して発展させた、パターンドメディア(信号をドットパターンとして記録するメディア)という新しいタイプのメディアも提唱されている(例えば非特許文献1)。これもハードディスクなどに用いられる磁気記憶媒体の構造の一種であり、磁性粒子が人工的に規則正しく並べられた記録媒体である。
【0008】
その他、平坦な磁性層に凸部のあるスタンパを押し付けて磁気トラック間に溝部を形成し、トラック間を磁気的に分離するDTRメディア(例えば特許文献1)や、イオン照射によって非磁性化層を形成したDTRメディアもある(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開2007−157311号公報
【特許文献2】特開2007−226862号公報
【非特許文献1】“超高密度ハードディスク用磁気記録メディアの開発”、[online]、TDK株式会社、[平成18年12月10日検索]、インターネット<URL:http://www.business-i.jp/sentan/jusyou/2006/tdk.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、磁気ディスクの記録密度が高まるにつれて、磁気ヘッドの浮上量も、10nm以下ほどの値まで小さくなっている。これにより、磁性層を積層するためのガラス基板の表面にも、より一層の平滑化が求められていて、わずかな欠陥でも不良品となってしまい、ガラス基板の歩留まりは悪化する傾向にある。そして、不良品と判定された磁気ディスク用ガラス基板は、廃棄されてしまう。
【0010】
本願発明者らは、上記の課題について鋭意検討した結果、DTRメディアを製造する場合には情報が記録されない非磁性領域があるため、ガラス基板の欠陥が存在する箇所に、かかる非磁性領域を形成すれば、情報の書き込み/読み出しには影響を与えないことを見出した。そして、磁気ディスク用ガラス基板に当該ガラス基板表面の欠陥情報を対応付けて、磁気ディスクの製造元に対して出荷することで、当該製造元は、欠陥が存在する領域に敢えて非磁性領域を形成し、それ以外の領域を記録トラックとすることで、欠陥の存在するガラス基板でも、廃棄することなくDTRメディアのガラス基板として利用可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
つまり、本発明では、磁気ディスク用基板に、DTRメディアを製造するために必要な磁気ディスク用基板の欠陥情報を対応付けて上記製造元に出荷することで、従来の記録方式では不良品として使用できなかった磁気ディスク用ガラス基板からDTRメディアを製造可能にできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
このように本発明は、ガラス基板の欠陥情報を、DTRメディアの製造者に提供して、DTRメディア製造者の顧客満足度を高めるとともに、磁気ディスク用ガラス基板の歩留まりを向上させる磁気ディスクの製造支援方法および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上述の課題を解決するために、磁性層に形成され情報が記録される複数のトラック間に、非磁性領域が形成されたディスクリートトラック型メディアである磁気ディスクの製造支援方法において、円板状のガラス基板の主表面に存在する欠陥を検出し、ガラス基板の中心から欠陥までの距離を含む欠陥情報を作成する工程と、非磁性領域を形成するための情報として、欠陥情報を、ガラス基板とともに、ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する拠点および/または磁気ディスクを用いて磁気ディスク記憶装置を製造する拠点へ出荷する工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、ガラス基板に磁性層および非磁性領域を形成する工程では、ガラス基板の欠陥が存在する位置を非磁性領域とすることができるため、欠陥のあるガラス基板でも、DTRメディアの基板として利用可能となり、ガラス基板の歩留まりが向上する。また、磁気ディスクの製造元も、歩留まりの向上した安価なガラス基板を利用できるし、磁気記録上、問題のない磁気ディスクを製造することができるため、顧客満足度が向上する。
【0015】
上述の作成する工程では、欠陥検出装置を用いて欠陥情報を作成してよい。
【0016】
また上述の出荷する工程では、ガラス基板を保管するための容器に、欠陥情報を記録した情報記録媒体を付帯させて出荷するとよい。ガラス基板自体には欠陥の位置をマーキングできないためである。
【0017】
さらに上述の情報記録媒体はRFID(Radio Frequency Identification)タグとしてよい。これによれば、非接触式の読み取り方式で、ガラス基板の欠陥を取得することができるようになる利点がある。
【0018】
本発明の他の観点によれば、磁性層に形成され情報が記録される複数のトラック間に、非磁性領域が形成されたディスクリートトラック型メディアである磁気ディスクの製造方法において、円板状のガラス基板の主表面に存在する欠陥を検出し、ガラス基板の中心から欠陥までの距離を含む欠陥情報を作成する工程と、ガラス基板の主表面上に磁性層を形成する工程と、欠陥情報に基づいて、形成した磁性層に非磁性領域を設ける工程とを含むことを特徴とする。
【0019】
上記の構成によれば、既に述べたように、ガラス基板の歩留まりが向上し、顧客満足度が向上する。
【0020】
さらに本発明の他の観点によれば、情報が記録される磁性体ドットが、非磁性領域で隔てられて配置されるディスクリート型メディアである磁気ディスクの製造支援方法において、円板状のガラス基板の主表面に存在する欠陥を検出し、欠陥の座標を含む欠陥情報を作成する工程と、非磁性領域の位置として、欠陥情報を、ガラス基板とともに、ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する拠点および/または磁気ディスクを用いて磁気ディスク記憶装置を製造する拠点へ出荷する工程とを含むことを特徴とする。
【0021】
上記の構成によれば、情報が記録される磁性体ドットが、任意の態様で非磁性領域で隔てられて配置されたディスクリート型メディアである磁気ディスク用ガラス基板について、歩留まりが向上し、顧客満足度が向上する。
【0022】
さらに本発明の他の観点によれば、磁性層に形成され情報が記録される複数のトラック間に、複数のトラックを磁気的に分離する非記録領域が形成されたディスクリートトラック型メディアである磁気ディスクの製造支援方法において、円板状のガラス基板の主表面に存在する欠陥を検出し、欠陥の位置を含む欠陥情報を作成する工程と、非磁性領域を形成するための情報として、欠陥情報を、ガラス基板とともに、ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する拠点および/または磁気ディスクを用いて磁気ディスク記憶装置を製造する拠点へ出荷する工程とを含むことを特徴とする。
【0023】
上記の構成によれば、非記録領域は、複数のトラックを磁気的に分離するものであればよく、非磁性材料で形成されるとは限らない。
【0024】
上述の非記録領域は、複数のトラック間の溝部としてよい。非記録領域が磁性層を含んでいるものであっても、このような溝部とすれば、トラックを磁気的に分離可能だからである。
【0025】
上述の非記録領域は、凹凸を有するスタンパを磁性層に押圧することにより、複数のトラックと同時に形成してよい。かかる方法によれば、ドライエッチング等の複雑な工程を経ずにDTRメディアを製造可能である。
【0026】
上述の非記録領域は非磁性領域であり、非磁性領域は、Siを含む非磁性合金で形成してよい。溝のような物理的な形状でなく、非磁性材料によって、トラック間を磁気的に分離することを目的としている。
【0027】
上述の非磁性領域は、イオン照射によって形成してよい。かかる方法によれば、ドライエッチング等の方法より簡便に非磁性領域を形成可能である。
【0028】
上述の欠陥の位置は、ガラス基板の中心から欠陥までの距離、または欠陥の直交座標もしくは極座標で特定してよい。
【0029】
上述の作成する工程では、欠陥検出装置を用いて欠陥情報を作成してよい。
【0030】
上述のガラス基板の半径方向における欠陥の幅は、非記録領域の幅より小さいとよい。ガラス基板の欠陥が存在する位置を非記録領域とする際、欠陥が非記録領域をはみ出さないようにするためである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、ディスクリート型メディアである磁気ディスク用のガラス基板とともに、ガラス基板表面の欠陥情報を磁気ディスクメーカに出荷することで、非磁性領域が含まれていない従来の磁気ディスクを製造する場合には欠陥品として使用されなかった磁気ディスク用ガラス基板を、利用可能とすることができる。これは、欠陥の生じている位置に非磁性領域を設ければ、情報が記録されるトラックや磁性体ドットには何ら問題なく情報を記録可能だからである。
【0032】
これにより、ガラス基板の歩留まりが改善され、ガラス基板の単価を下げることができる。それとともに、ガラス基板メーカは、顧客である磁気ディスクメーカの顧客満足度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に添付図面を参照して本発明による磁気ディスクの製造支援方法、製造支援システム、製造方法および製造システムの実施形態を詳細に説明する。図中、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。また、同様の要素は同一の参照符号によって表示する。
【0034】
磁気ディスク用ガラス基板は、複数の工程を経由して形成される。そして、ガラス基板の完成後、ディスク表面の欠陥の有無が検査される欠陥検査工程、欠陥情報記録工程、梱包工程、および出荷工程が遂行される。以下、本発明の実施形態の理解を容易にするため、その前提となる磁気ディスクの構造、磁気ディスクの製造方法、欠陥検査工程、欠陥情報記録工程、梱包工程、および出荷工程を詳細に説明する。
【0035】
(磁気ディスクの構造)
図1は、本発明による磁気ディスクの製造支援方法、製造支援システム、製造方法および製造システムの実施形態によって、最終的に製造される磁器ディスクの構造図である。
【0036】
図1に示すように、磁気ディスク100は、ディスクリートトラック型メディア(Discrete Truck Recording Medium; 以下DTRメディアと略称する)である。その拡大断面図を参照すると、ガラス基板110の上に軟磁性層120が敷設されていて、さらにその上には、磁性層に形成され情報が記録される複数のトラック130と、それらトラック130間に、情報が記録されない非磁性領域140とが形成されている。トラックピッチは、典型的には200nm程度である。
【0037】
(磁気ディスクの製造方法)
図2は図1に示すDTRメディアとしての磁気ディスク100の製造方法を示す図である。図2(a)に示すように、まず電子線リソグラフィー法を用いて原盤となるスタンパ200を作製する。このスタンパ200にはサーボ情報、データトラックなどのパターンが形成されている。出来上がったスタンパ200を用いて、ナノインプリントリソグラフィ法によりメディア上のレジスト樹脂210にパターンを転写する。次に、図2(b)に示すように、転写された樹脂パターンをマスク材として、ドライエッチング手法でメディア表面に溝を加工形成する。そして図2(c)に示すように、磁気ヘッドの浮上安定性を確保するために、一旦形成した溝に再び非磁性材料140を埋め込み平坦化した後、保護膜、潤滑膜を形成する。
【0038】
非磁性領域140が形成される位置には情報が記録されないため、磁気ヘッドは読み書き動作を行わない。したがって、ガラス基板110の突起や陥没などの欠陥の位置を予め検査によって明らかにし、こうした欠陥が存在する位置に非磁性領域140を設けることで、磁気ディスク100に対する情報の読み書きに支障をなくすことが、本発明による実施形態の特徴である。
【0039】
図1および図2では、データトラック間に非磁性材料140が埋め込まれている。しかし、情報が記録されない非記録領域は、データトラックを磁気的に分離していればよく、必ずしも非磁性材料を埋め込む必要はない。
【0040】
図8は、他のDTRメディアとしての磁気ディスク700の製造方法を示す図である。図8(a)に示すように、まずガラス基板110上に軟磁性層120、磁性層130および保護層710をスパッタリング法で形成する。次に図8(b)に示すように凹凸を有するスタンパ800を磁性層に押圧することにより、図8(c)のように複数のトラック730と同時に非記録領域720を形成する。最後に、その表面にパーフルオロポリエーテルからなる潤滑層(図示は省略)を形成する。
【0041】
かかる方法によれば、ドライエッチング等の複雑な工程を経ずに磁気ディスク700を製造可能である。
【0042】
図8の方法で形成した非記録領域720は、複数のトラック730間の溝部である。非記録領域720はスタンパ800で単に押圧されたものであるため、その表面に磁性層130を含んでいる。しかし、このような溝部とすれば、トラックを磁気的に分離可能である。スタンパ800は、予め、かかる溝部のネガパターンとして製造され、その先端部は、矩形に限らず、図8に示すように丸みを帯びているとよい。
【0043】
かかる磁気ディスク700の場合、メディア表面には凹凸が残ったままであるが、その高低差は、100nm以下とするのが望ましい。ヘッドの飛行安定性を確保するためである。
【0044】
図9はさらに他のDTRメディアとしての磁気ディスク900の製造方法を示す図である。磁気ディスク900は、ガラス基板110の表面に軟磁性層120、磁性層130および保護層710が形成されている。さらに最表面に図示省略の潤滑層が形成されている。
【0045】
本実施形態では、磁性層130を磁気的に分離するためのパターン形状にセットされたマスク910上から、イオン照射920を行うことにより、磁性層130をパターン形状に非磁性化する。
【0046】
所定のパターンに予め形成したマスク910を、イオン照射920に対して垂直に、磁気ディスク900に対して平行にセットする。マスク910の材料は石英、ソーダライムガラス、Siウェハーなど、イオンを遮蔽し所定のパターンを形成できる材料を用いてよい。
【0047】
マスク910のセット後、磁性層130を非磁性化できるイオンを注入する。本実施形態では、Siを用いた。これにより、Siを含む非磁性合金から成る非磁性層930が形成される。このように本実施形態では、トラック間の溝のような物理的な形状でなく、非磁性材料によって、トラック間が磁気的に分離される。イオン照射後、潤滑層を塗布して磁気ディスク900を製造する。
【0048】
イオン照射(イオン注入)は、イオン注入器を用いて行ってよい。注入イオンには、Siのほか、In、B、P、C、Fなどを用いてもよく、それらの種類または混合などは特に限定されない。注入することによって磁性を消失させられるものでいかなるものでもよい。
【0049】
上記のようなイオン照射によれば、ドライエッチング等の方法より簡便に非磁性領域を形成可能である。
【0050】
(欠陥検査工程)
図3は本発明による磁気ディスクの製造支援方法および製造支援システムの実施形態において、図1の磁気ディスクのガラス基板の欠陥の検査を行う工程を示す流れ図である。完成されたガラス基板110は、表面欠陥検出装置(Automatic Optical Inspection; AOI)300によって欠陥の検査を行う。この結果、ガラス基板に生じている欠陥のマップを形成することができる。
【0051】
欠陥情報とは、ガラス基板上の欠陥の位置、種類(突起、陥没、付着物)、大きさを含んでよい。より具体的には、円板状のガラス基板110の中心から主表面に存在する欠陥までの距離によって、ガラス基板上の欠陥の位置は特定される。
【0052】
図4は図3のAOI300によって得られる欠陥情報のうち、欠陥の位置を示す図である。AOI300によって欠陥マップが明らかになるため、欠陥の座標も知ることができるが、本実施形態では、ガラス基板110と同心であって欠陥の位置を通る円形の非磁性領域を設けることとしている。したがって、欠陥の座標までは不要であり、図4に示すガラス基板110の中心400から欠陥410、420までのそれぞれの距離R1、R2のように、上記の円の半径として記録しておけば十分である。
【0053】
ただし、欠陥の位置は、上述の半径に限られず、他の情報によって欠陥の位置を特定して欠陥情報に含めてもよいことは言うまでもない。例えば直交座標(X,Y)、極座標(r,θ)その他、欠陥の位置が明らかになるものであれば、あらゆる方法で特定してよい。
【0054】
また、欠陥はその大きさに応じてランク分けしてよい。例えば欠陥の最大径10nmごとにランク分けしてよく、非磁性領域140の幅を超える大きさを有する欠陥は、非磁性領域140を設けても欠陥の影響がトラック130に生じてしまうため、その意味を表す同一のランクとしてもよい。
【0055】
とりわけ、ガラス基板110の半径方向における欠陥の幅は、非記録領域720(情報が記録されないという意味で、非磁性層140、930も非記録領域の一種)の幅より小さいとよい。ガラス基板110の欠陥が存在する位置を非記録領域140、720、930とする際、欠陥が非記録領域をはみ出さないようにするためである。
【0056】
(欠陥情報記録工程)
図3に示すように、AOI300で得られた欠陥情報は、AOI300に接続されたパーソナルコンピュータ(以下パソコンまたはPCと略称する)310に転送され、そこでIDを付与される。欠陥情報とIDとは一対一に対応して付与される。そして、プリンタ320にて欠陥情報とIDとを対応させた欠陥一覧表330をプリント可能である。このとき、ガラス基板110にも、同一のIDがPC310にて付与される。IDは、そのガラス基板が保存されることとなるケースの番号と、そのケース内での順番とを含んでよい。
【0057】
(梱包工程)
図5は図3に示す、ガラス基板110を保管するための容器であるプラスチック製の略直方体のガラス基板ケース340の拡大図である。ガラス基板110は、この一覧表330に記載された通りに、ケース340に保存される。なお、ケース340は、25枚のガラス基板を収納可能とし、欠陥一覧表330には、すべてのガラス基板の欠陥情報が記載されているが、欠陥のないガラス基板の情報は、欠陥一覧表330から除外してもよい。
【0058】
図5に示すように、ガラス基板ケース340には、プリンタ320にてプリントされた欠陥一覧表330が付帯されている。ガラス基板110自体に欠陥マップをマーキングするのが理想的であるが、かかるマーキングが不可能であるため、収納容器であるガラス基板ケース340に欠陥情報が付帯されることとなる。欠陥一覧表330は、図5に示すように、上記のIDを示している。すなわち、ガラス基板110が格納されるケース340に付けられたケース番号と、収納される25枚のガラス基板のうち何番目に保管されているかという番号が記載されている。
【0059】
このようにしてガラス基板110を収納したケース340には、円形に形成される非磁性領域140の半径を記録した情報記録媒体である、プリントされた欠陥一覧表330を付帯させる。
【0060】
なお、ガラス基板ケース340は、さらに真空パックで梱包するため、その上から情報記録媒体である欠陥一覧表や後述のRFIDタグを付けてもよい。
【0061】
(欠陥情報記録工程)
一方、PC310から、欠陥情報とIDとをRFID(Radio Frequency IDentification)ライタ350に転送し、さらにRFIDライタ350は、RFIDタグ360にその内容を書き込んでもよい。図6は図3に示す、ガラス基板ケース390の拡大図である。図6に示すように、ガラス基板ケース390の納品先にてRFIDタグ360をRFIDリーダ500で非接触式に読み取ることにより、納品先に、ケース390に格納されているいずれのガラス基板にいかなる欠陥があるかを知らせることができる。
【0062】
このように、欠陥の位置する距離(非磁性体領域の半径)を記録した情報記録媒体は、ガラス基板ケース390に付帯されたRFIDタグ360としてもよい。
【0063】
また、ID・欠陥情報は、PC310から、インターネットなどの広域ネットワーク370を介して、ガラス基板110の納品先である顧客380に直接転送してもよい。この場合は、現物であるガラス基板110を収容したケースに欠陥情報が付帯されないため、何らかの方法で、送信された欠陥情報・IDと納品されたガラス基板110との対応がとれるよう、取り決めをしておく必要がある。
【0064】
例えば、ガラス基板110が連なって保管されるガラス基板ケースに、IDが分かる形状を持たせるなどの方法を用いてよい。
【0065】
(出荷工程)
このように、欠陥情報が提供されるのは顧客380であり、図3に示すように、顧客380はガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する拠点、すなわち磁気ディスクメーカである。すなわち、ガラス基板110と、ガラス基板110に対応させて記録した距離(非磁性体領域の半径)とは、ガラス基板110に磁性層および非磁性領域を形成する工程を実行する顧客380に、予め提供される。
【0066】
顧客380は、ガラス基板110の主表面上に磁性層130を形成し、形成した磁性層130のうち、欠陥情報に含まれている半径を有する円形の非磁性領域140を設ける。すなわち、欠陥の存在する位置を非磁性領域140とする。磁性層130を形成し、さらに非磁性領域140を設ける方法は、図2について説明した通りである。
【0067】
このように欠陥情報を磁気ディスク製造工程に対して提供したからといって、欠陥のあるガラス基板が必ず磁気ディスクの基板として利用されるとは限らない。しかし、欠陥を有するガラス基板は従来、すべてが破棄されていたところ、DTRメディアを製造する場合には、ガラス基板に欠陥があってもそれを利用可能な場合もあり、歩留まりが向上する。
【0068】
既に述べたように、あらかじめ欠陥をその大きさに基づいてランク付けし、欠陥の大きさでなく、ランクを欠陥情報として記録してもよい。これによれば、所定のランク以上の欠陥は、非磁性領域140の幅を超えるため、トラックに与える影響を回避できず、迅速にガラス基板を廃棄の対象であると判断できることとなる。
【0069】
(ディスクリート型メディア)
本発明の実施形態として、ディスクリート型メディアである磁気ディスクを用いてもよい。ディスクリート型メディアとは、上述のDTRメディアをより一般化したものであり、本文では、情報が記録される磁性体ドットが、情報が記録されない非磁性領域で隔てられて配置されるメディアと定義する。この場合、磁気ディスクの製造支援方法は、円板状のガラス基板の主表面に存在する欠陥の座標を検出する工程と、ガラス基板とともに、ガラス基板の非磁性領域の位置として、検出した座標を含む欠陥情報を、ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する拠点および/または磁気ディスクを用いて磁気ディスク記憶装置を製造する拠点へ出荷する工程とを含むとよい。
【0070】
上述の構成によれば、顧客は、磁気ディスク用ガラス基板主表面のうち、欠陥の存在する座標を非磁性領域とし、それ以外の領域に磁性体ドットを配置した磁気ディスクを製造可能である。
【0071】
このように、情報が記録される磁性体ドットが、任意の態様で非磁性領域で隔てられて配置されたディスクリート型メディアである磁気ディスク用ガラス基板について、歩留まりが向上し、顧客満足度が向上する。
【0072】
(パターンドメディア)
さらに本発明の実施形態として、パターンドメディアを用いてもよい。パターンドメディアは、上述のディスクリート型メディアの一種と位置づけることができる。すなわち、パターンドメディアは、非磁性領域で隔てられた磁性体ドットが所定の配列パターンで配列され、磁性体ドット毎に1ビット分の情報が記録されるメディアである。所定の配列パターンは、例えば格子状のパターンや、ハニカム状のパターンなど、離散して磁性体ドットを配置できるあらゆるパターンとしてよい。また、各ドットの形状は、円形、矩形、正方形、菱形など、所定の配列パターンに応じて任意としてよい。
【0073】
(磁気ディスクの製造支援システム)
また、本発明の他の実施形態として、磁性層に形成され情報が記録される複数のトラック間に、情報が記録されない非磁性領域が形成されたディスクリートトラック型メディアである磁気ディスクの製造支援システムにおいて、円板状のガラス基板の主表面に存在する欠陥を検出し、ガラス基板の中心から欠陥までの距離を含む欠陥情報を作成する欠陥検出手段と、非磁性領域を形成するための情報として、欠陥情報を、ガラス基板とともに、ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する拠点および/または磁気ディスクを用いて磁気ディスク記憶装置を製造する拠点へ出荷する手段とを含む磁気ディスクの製造支援システムを提供することもできる。
【0074】
[実施例1]
本実施例においては、以下の工程を経て、磁気ディスク用ガラス基板および磁気ディスクを製造した。特に、(8)磁気ディスク製造支援工程では、本実施形態による磁気ディスクの製造支援方法、製造支援システムが適用されている。
【0075】
(1)形状加工工程及び第1ラッピング工程
まず、溶融させたアルミノシリケートガラスを上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスによりディスク形状に成型し、アモルファスの板状ガラスを得た。なお、アルミノシリケートガラスとしては、化学強化用のガラスを使用した。ダイレクトプレス以外に、フュージョン法、ダウンドロー法、またはフロート法で形成したシートガラスから研削砥石で切り出して円盤状の磁気ディスク用ガラス基板を得てもよい。なお、アルミノシリケートガラスとしては、SiO2:58〜75重量%、Al2O3:5〜23重量%、Li2O:3〜10重量%、Na2O:4〜13重量%を主成分として含有する化学強化ガラスを使用した。また、上記ガラスとしてアルミノシリケートガラス以外にもソーダライムガラス等を用いることもできる。
【0076】
次に、この板状ガラスの両主表面をラッピング加工し、ディスク状のガラス母材とした。このラッピング加工は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置により、アルミナ系遊離砥粒を用いて行った。具体的には、板状ガラスの両面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液を板状ガラスの主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行った。このラッピング加工により、平坦な主表面を有するガラス母材を得た。
【0077】
(2)切り出し工程(コアリング、フォーミング)
次に、ダイヤモンドカッタを用いてガラス母材を切断し、このガラス母材から、円盤状のガラス基板を切り出した。次に、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、このガラス基板の中心部に円孔を形成し、ドーナツ状のガラス基板とした(コアリング)。そして内周端面および外周端面をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を施した(フォーミング)。
【0078】
(3)第2ラッピング工程
次に、得られたガラス基板の両主表面について、第1ラッピング工程と同様に、第2ラッピング加工を行った。この第2ラッピング工程を行うことにより、前工程である切り出し工程や端面研磨工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を予め除去しておくことができ、後続の主表面に対する研磨工程を短時間で完了させることができるようになる。
【0079】
(4)端面研磨工程
次に、ガラス基板の端面について、ブラシ研磨方法により、鏡面研磨を行った。このとき、研磨砥粒としては、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いた。この端面研磨工程により、ガラス基板の端面は、パーティクル等の発塵を防止できる鏡面状態に加工された。
【0080】
(5)主表面研磨工程
主表面研磨工程として、まず第1研磨工程を施した。この第1研磨工程は、前述のラッピング工程において主表面に残留したキズや歪みの除去を主たる目的とするものである。この第1研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、硬質樹脂ポリッシャを用いて、主表面の研磨を行った。研磨液としては、酸化セリウム砥粒を用いた。
【0081】
この第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、IPA(イソプロピルアルコール)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
【0082】
次に、主表面研磨工程として、第2研磨工程を施した。この第2研磨工程は、主表面を鏡面状に仕上げることを目的とする。この第2研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、軟質発泡樹脂ポリッシャを用いて、主表面の鏡面研磨を行った。研磨液としては、第1研磨工程で用いた酸化セリウム砥粒よりも微細な酸化セリウム砥粒を用いた。
【0083】
この第2研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、IPA(イソプロピルアルコール)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽には、超音波を印加した。
【0084】
(6)化学強化工程
次に、前述のラッピング工程及び研磨工程を終えたガラス基板に、化学強化を施した。化学強化処理を行うことにより、磁気ディスク基板の表層部に高い圧縮応力を生じさせることができ、耐衝撃性を向上させることができる。
【0085】
(7)精密洗浄工程
次に、化学強化処理が施されたガラス基板の精密洗浄を行った。これはヘッドクラッシュやサーマルアスペリティ障害の原因となる研磨剤残渣や外来の鉄系コンタミなどを除去し、表面が平滑で清浄なガラス基板を得るためのものである。精密洗浄工程としては、アルカリ性水溶液による洗浄の後に、水リンス洗浄、IPA洗浄工程を行った。
【0086】
(8)磁気ディスク製造支援工程
図7は完成されたガラス基板の欠陥を検査し、欠陥情報を磁気ディスク製造工程に提供する、磁気ディスク製造支援工程のフローチャートである。
【0087】
上記(7)精密洗浄工程までが図7のガラス基板製造工程(ステップS600)に相当する。その後、AOI300を用いた欠陥検査工程(ステップS610)を行った。これにより、欠陥情報、すなわち、ガラス基板110上の欠陥の位置、種類(突起、陥没、付着物)、大きさが得られる。欠陥情報のうち、本発明の実施形態で用いるのは、円板状のガラス基板110の中心から主表面に存在する欠陥までの距離であって、円形に形成される非磁性領域140の半径である。
【0088】
ただし、欠陥の位置は、上述の半径に限られず、他の情報によって欠陥の位置を特定して欠陥情報に含めてもよいことは言うまでもない。例えば直交座標(X,Y)、極座標(r,θ)その他、欠陥の位置が明らかになるものであれば、あらゆる方法で特定してよい。
【0089】
欠陥情報が得られると、その欠陥情報を有するガラス基板にはIDを付与した。IDとして、そのガラス基板が保存されることとなるケースの番号と、そのケース内で保管される順番とを含めた。IDと欠陥情報とは一対一に対応させて、プリンタ320による紙、あるいは、RFIDライタ350によるRFIDタグの、いずれかの情報記録媒体に記録した(ステップS620)。
【0090】
いずれかの情報記録媒体に記録したID・欠陥情報は、ガラス基板を収納する容器であるガラス基板ケースに付帯させて梱包し(ステップS630)、いずれのガラス基板のいかなる半径位置に、いかなる大きさ(ランク)および種類の欠陥が生じているかを明らかにした状態で、出荷した(ステップS640)。
【0091】
(9)磁気ディスク製造工程
上述した工程を経て得られたガラス基板の両面に、ガラス基板の表面にCr合金からなる付着層、CoTaZr基合金からなる軟磁性層、Ruからなる下地層、CoCrPt基合金からなる垂直磁気記録層、水素化炭素からなる保護層、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑層を順次成膜することにより、垂直磁気記録ディスクを製造した。なお、本構成は垂直磁気ディスクの構成の一例であるが、面内磁気ディスクとして磁性層等を構成してもよい。
【0092】
まず電子線リソグラフィー法を用いて原盤となるスタンパ200を作製する。このスタンパ200にはサーボ情報、データトラックなどのパターンが形成されている。出来上がったスタンパ200を用いて、ナノインプリントリソグラフィ法によりメディア上のレジスト樹脂210にパターンを転写した。次に、図2(b)に示すように、転写された樹脂パターンをマスク材として、ドライエッチング手法でメディア表面に溝を加工形成した。そして図2(c)に示すように、磁気ヘッドの浮上安定性を確保するために、一旦形成した溝に再び非磁性材料140を埋め込み平坦化した後、保護膜、潤滑膜を形成した。なお、上記パターンを形成する際に、上記ID・欠陥情報を用いて、パターンを形成する位置を決定した。
【0093】
その他、凹凸を有するスタンパ800を磁性層に押圧することにより、図8(c)のように複数のトラック730と同時に非記録領域720を形成する方法でも、DTRメディアである磁気ディスク700を製造した。このとき、上記ID・欠陥情報を用いて、スタンパ800を押圧する位置を調節し、欠陥の位置に非記録領域720である溝部が形成されるようにした。
【0094】
また、図9のように、磁性層130を磁気的に分離するためのパターン形状にセットされたマスク910上から、イオン照射920を行うことにより、磁性層130をパターン形状に非磁性化する方法でも、DTRメディアである磁気ディスク900を製造した。このときも、上記ID・欠陥情報を用いて、マスク910を、欠陥の位置が露出するようにセットし、欠陥の位置に非磁性層930が形成されるようにした。
【0095】
得られた磁気ディスクについて異物により磁性層等の膜に欠陥が発生していないことを確認した。また、グライドテストを実施したところ、ヒット(ヘッドが磁気ディスク表面の突起にかすること)やクラッシュ(ヘッドが磁気ディスク表面の突起に衝突すること)は認められなかった。さらに、磁気抵抗型ヘッドで再生試験を行ったところ、サーマルアスペリティによる再生の誤動作は認められなかった。
【0096】
これにより、これまでは基板メーカにて予め廃棄されていた欠陥があるガラス基板も、顧客である磁気ディスクメーカの判断により、DTRメディアの基板として使用できることとなる。また、これにより、ガラス基板の歩留まりが向上するため、ガラス基板の単価は安くなり、顧客満足度の向上に貢献できる。
【0097】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、円板状のガラス基板を用い、磁性層に形成され情報が記録される複数のトラック間に、情報が記録されない非磁性領域が形成されたディスクリートトラック型メディアである磁気ディスクの製造支援方法、製造支援システム、製造方法および製造システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明による磁気ディスクの製造支援方法、製造支援システム、製造方法および製造システムの実施形態によって、最終的に製造される磁器ディスクの構造図である。
【図2】図1に示すDTRメディアとしての磁気ディスクの製造方法を示す図である。
【図3】本発明による磁気ディスクの製造支援方法および製造支援システムの実施形態において、図1の磁気ディスクのガラス基板の欠陥の検査を行う工程を示す流れ図である。
【図4】図3のAOIによって得られる欠陥情報のうち、欠陥の位置を示す図である。
【図5】図3に示す、ガラス基板を保管するための容器であるプラスチック製の略直方体のガラス基板ケースの拡大図である。
【図6】図3に示す、ガラス基板ケースの拡大図である。
【図7】完成されたガラス基板の欠陥を検査し、欠陥情報を磁気ディスク製造工程に提供する、本発明による磁気ディスク製造支援工程の実施形態のフローチャートである。
【図8】他のDTRメディアとしての磁気ディスクの製造方法を示す図である。
【図9】さらに他のDTRメディアとしての磁気ディスクの製造方法を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
100 磁気ディスク
110 ガラス基板
120 軟磁性層
130 トラック
140 非磁性領域
300 表面欠陥検出装置
330 欠陥一覧表
340、390 ガラス基板ケース
360 RFIDタグ
380 顧客
700、900 磁気ディスク
720 非記録領域
930 非磁性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性層に形成され情報が記録される複数のトラック間に、非磁性領域が形成されたディスクリートトラック型メディアである磁気ディスクの製造支援方法において、
円板状のガラス基板の主表面に存在する欠陥を検出し、該ガラス基板の中心から該欠陥までの距離を含む欠陥情報を作成する工程と、
前記非磁性領域を形成するための情報として、前記欠陥情報を、前記ガラス基板とともに、前記ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する拠点および/または前記磁気ディスクを用いて磁気ディスク記憶装置を製造する拠点へ出荷する工程とを含むことを特徴とする、磁気ディスクの製造支援方法。
【請求項2】
前記作成する工程では、欠陥検出装置を用いて欠陥情報を作成することを特徴とする、請求項1に記載の磁気ディスクの製造支援方法。
【請求項3】
前記出荷する工程では、前記ガラス基板を保管するための容器に、前記欠陥情報を記録した情報記録媒体を付帯させて出荷することを特徴とする、請求項1に記載の磁気ディスクの製造支援方法。
【請求項4】
前記情報記録媒体はRFID(Radio Frequency Identification)タグであることを特徴とする、請求項3に記載の磁気ディスクの製造支援方法。
【請求項5】
磁性層に形成され情報が記録される複数のトラック間に、非磁性領域が形成されたディスクリートトラック型メディアである磁気ディスクの製造方法において、
円板状のガラス基板の主表面に存在する欠陥を検出し、該ガラス基板の中心から該欠陥までの距離を含む欠陥情報を作成する工程と、
前記ガラス基板の主表面上に磁性層を形成する工程と、
前記欠陥情報に基づいて、前記形成した磁性層に前記非磁性領域を設ける工程とを含むことを特徴とする、磁気ディスクの製造方法。
【請求項6】
情報が記録される磁性体ドットが、非磁性領域で隔てられて配置されるディスクリート型メディアである磁気ディスクの製造支援方法において、
円板状のガラス基板の主表面に存在する欠陥を検出し、該欠陥の座標を含む欠陥情報を作成する工程と、
前記非磁性領域の位置として、前記欠陥情報を、前記ガラス基板とともに、前記ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する拠点および/または前記磁気ディスクを用いて磁気ディスク記憶装置を製造する拠点へ出荷する工程とを含むことを特徴とする、磁気ディスクの製造支援方法。
【請求項7】
磁性層に形成され情報が記録される複数のトラック間に、該複数のトラックを磁気的に分離する非記録領域が形成されたディスクリートトラック型メディアである磁気ディスクの製造支援方法において、
円板状のガラス基板の主表面に存在する欠陥を検出し、該欠陥の位置を含む欠陥情報を作成する工程と、
前記非磁性領域を形成するための情報として、前記欠陥情報を、前記ガラス基板とともに、前記ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する拠点および/または前記磁気ディスクを用いて磁気ディスク記憶装置を製造する拠点へ出荷する工程とを含むことを特徴とする、磁気ディスクの製造支援方法。
【請求項8】
前記非記録領域は、前記複数のトラック間の溝部であることを特徴とする、請求項7に記載の磁気ディスクの製造支援方法。
【請求項9】
前記非記録領域は、凹凸を有するスタンパを前記磁性層に押圧することにより、前記複数のトラックと同時に形成することを特徴とする、請求項8に記載の磁気ディスクの製造支援方法。
【請求項10】
前記非記録領域は非磁性領域であり、該非磁性領域は、Siを含む非磁性合金で形成することを特徴とする、請求項7に記載の磁気ディスクの製造支援方法。
【請求項11】
前記非磁性領域は、イオン照射によって形成することを特徴とする、請求項10に記載の磁気ディスクの製造支援方法。
【請求項12】
前記欠陥の位置は、前記ガラス基板の中心から該欠陥までの距離、または該欠陥の直交座標もしくは極座標で特定することを特徴とする、請求項7に記載の磁気ディスクの製造支援方法。
【請求項13】
前記作成する工程では、欠陥検出装置を用いて欠陥情報を作成することを特徴とする、請求項7に記載の磁気ディスクの製造支援方法。
【請求項14】
前記ガラス基板の半径方向における前記欠陥の幅は、前記非記録領域の幅より小さいことを特徴とする、請求項7に記載の磁気ディスクの製造支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−198327(P2008−198327A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328631(P2007−328631)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(503069159)ホーヤ ガラスディスク タイランド リミテッド (85)
【Fターム(参考)】