説明

磁気ディスク装置、磁気ディスク再生方法およびプログラム

【課題】書込時と読取時のヘッドの位置ずれ量を低減することができる磁気ディスク装置を提供すること。
【解決手段】磁気ディスクのトラックにデータを磁気的に書き込む書込部の、データ書込時におけるトラック幅方向の位置を示す位置情報を記憶する位置情報記憶部と、磁気ディスクの再生対象のトラックである再生対象トラックを読み取る読取部と、位置情報記憶部が記憶している位置情報が示す位置に基づいて、読み取り時における読取部の、再生対象トラックのトラック幅方向の位置を制御する位置制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク装置、磁気ディスク再生方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
記録用ヘッドと再生用ヘッドとのヘッド間距離に起因して発生する再生時のエラー・レートを低減するとされる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、媒体欠陥等があってもデフォルト設定状態で正確に最適なオフセットを求めることのできるとされる磁気ディスク装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2006−185478号公報
【特許文献2】特許第4026989号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献に記載の技術によると、ヘッド位置が記録時と再生時とで実際にずれたか否かを判断することができない。このため、ずれが生じた場合には、データを適切に読み取ることができなかったり、エラーレートが増大したりする場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の一態様においては、磁気ディスクのトラックにデータを磁気的に書き込む書込部の、データ書込時におけるトラック幅方向の位置を示す位置情報を記憶する位置情報記憶部と、磁気ディスクの再生対象のトラックである再生対象トラックを読み取る読取部と、位置情報記憶部が記憶している位置情報が示す位置に基づいて、読み取り時における読取部の、再生対象トラックのトラック幅方向の位置を制御する位置制御部とを備える。
【0005】
位置制御部は、読み取り時における読取部のトラック幅方向の位置を、位置情報記憶部が記憶している位置情報が示す位置に略一致させるべく、読取部の位置を制御してよい。
【0006】
位置情報記憶部は、データ書込時における、トラックの中央位置に対する書込部の位置のシフト方向を記憶し、位置制御部は、読み取り時における読取部のトラック幅方向の位置を、再生対象トラックの中央位置に対して位置情報記憶部が記憶しているシフト方向にシフトさせるべく、読取部の位置を制御してよい。
【0007】
位置情報記憶部は、データ書込時における、トラックの中央位置に対する書込部の位置のシフト量を記憶し、位置制御部は、読み取り時における読取部のトラック幅方向の位置を、再生対象トラックの中央位置に対して位置情報記憶部が記憶しているシフト量だけシフトさせるべく、読取部の位置を制御してよい。
【0008】
位置情報記憶部は、データ書込時における、トラックの中央位置に対する書込部の位置のシフト量が予め定められた値より大きい場合に、位置情報を記憶し、位置制御部は、データ書込時に予め定められた値より大きいシフト量が検出されたトラックを読取部が読み取る場合に、読取部の位置を制御してよい。
【0009】
位置情報記憶部は、書込部によるデータ書込時に予め定められた値より大きい衝撃を検出した場合に、位置情報を記憶し、位置制御部は、書込部によるデータ書込時に予め定められた値より大きい衝撃が検出されたトラックを読取部が読み取る場合に、読取部の位置を制御してよい。
【0010】
再生対象トラックにおいて、再生対象のデータが記録されたデータ領域の位置に対して予め定められた位置において、読取部のトラック幅方向の位置を検出する位置検出部をさらに備え、位置情報記憶部は、書込対象のデータが記録されたデータ領域の位置に対して予め定められた位置において検出された書込部の位置、および、当該位置が検出されてから当該データ領域へのデータの書込が終了するまでの間に書込部に加えられた、磁気ディスクに対するトラック幅方向の加速度を示す情報を記憶しており、位置制御部は、位置情報記憶部が記憶している位置および加速度と、位置検出部が検出した位置と基づいて、再生対象のデータが記録されたデータ領域にわたって、読取部のトラック幅方向の位置をデータ書込時における書込部の位置に略一致させるべく、読取部の位置を制御してよい。
【0011】
書込部と、位置情報を、位置情報記憶部に記憶させる位置情報記憶制御部とをさらに備えてよい。
【0012】
位置情報記憶制御部は、データ書込時における書込部のトラック幅方向の位置を示す位置情報のデータを、磁気ディスクに記憶させてよい。
【0013】
位置情報記憶制御部は、データ領域に対するデータ書込時における書込部のトラック幅方向の位置を示す位置情報のデータを、読取部により当該データ領域より前に再生され得る磁気ディスク上の領域に記憶させてよい。
【0014】
位置情報記憶制御部は、データ領域に対するデータ書込時における書込部のトラック幅方向の位置を示す位置情報のデータを、読取部により当該データ領域より前に再生され得る、当該データ領域が存在するトラックと同じトラック上の領域に記憶させてよい。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、一実施形態に係る磁気ディスク装置10の全体構成の一例を示す。以下に説明するように、磁気ディスク装置10は、ハードディスク装置として機能することができる。他にも、磁気ディスク装置10としては、光磁気ディスク装置を例示することができる。
【0018】
磁気ディスク装置10は、磁気ディスク20、記録再生ヘッド30、信号処理部100、パラメータ格納部130、データ記憶部140、位置検出部150、位置特定部152、位置情報記憶部160、位置情報記憶制御部162、位置制御部170、および、出力部198を備える。本図のA部に、記録再生ヘッド30のブロック構成が示されているとおり、記録再生ヘッド30は、再生ヘッド32および記録ヘッド34を有する。
【0019】
磁気ディスク装置10は、ホストコンピュータ50からデジタルデータを受け取って、磁気記録媒体の一例である磁気ディスク20に記録する。なお、本図では、データを記録する記録系のブロック構成は省略した。なお、再生ヘッド32は、磁気ディスク20のトラックを読み取る読取部の一例であり、記録ヘッド34は、磁気ディスク20に磁気的に書き込む書込部の一例であってよい。
【0020】
磁気ディスク20には、データが磁気的に記録される。具体的には、磁気ディスク20には、データ列が磁気ディスク20の記録面に2次元的に記録される。なお、磁気ディスク20に磁気的に記録されるデータとは、例えばホストコンピュータから送信されたデジタルデータであってよい。また、当該データとは、ホストコンピュータから送信されたデジタルデータをNRZ符号化・NRZI符号化などの所定の符号化方式で符号化して得られたデジタルデータなど、磁気ディスク20の記録面にビット値に対応する磁化情報として実際に記録されるべきデジタルデータであってよい。なお、磁気ディスク20には、磁化方向の情報としてデータが記録される。
【0021】
記録ヘッド34は、磁気ディスク20のトラックにデータを磁気的に書き込む。記録ヘッド34は、トラックに書き込まれるべきデータに応じた強度の磁場を印可することにより、磁気ディスク20の記録層に含まれる磁性粒子層に磁化情報としてデータを書き込む。記録ヘッド34は、モータにより磁気ディスク20が回転している状態で、トラックに対してデータを連続的に書き込む。このように、記録ヘッド34は、磁気ディスク20の記録面上を移動しながらデータを書き込む。
【0022】
再生ヘッド32は、磁気ディスク20のトラックを読み取る。再生ヘッド32は、モータにより磁気ディスク20が回転している状態で、トラックを連続的に読み取る。このように、再生ヘッド32は、磁気ディスク20の記録面上を移動しながら読み取る。再生ヘッド32は、磁気ディスク20のトラックを磁気的に読み取ることにより得られた信号を出力する。なお、再生ヘッド32から出力される信号はアナログ信号であってよい。
【0023】
再生ヘッド32は、再生ヘッド32の位置における磁場強度に応じた信号を出力する。再生ヘッド32が出力する信号は、磁気ディスク20の記録層に含まれる磁性粒子層の各磁性粒子の磁化方向に応じた信号となる。再生ヘッド32としては、MR効果を利用したMRヘッド、GMR効果を利用したGMRヘッド、TMR効果を利用したTMRヘッドなどを例示することができる。
【0024】
再生ヘッド32が出力した信号は、信号処理部100に供給される。信号処理部100は、再生ヘッド32が出力した信号に信号処理を施して、磁気ディスク20に記録されたデータを算出する。出力部198は、信号処理部100が算出したデータをホストコンピュータ50に伝送する。
【0025】
信号処理部100は、波形整形部110および復号処理部120を有する。波形整形部110は、再生ヘッド32からの信号に波形整形処理を施す。波形整形部110は、再生ヘッド32からの信号波形を、復号処理部120における復号処理に適した波形に整形する。復号処理部120は、波形整形部110により整形された信号を復号することにより、トラックに記録されたデータを算出する。なお、波形整形部110は、再生ヘッド32から出力されたアナログ信号に対して波形整形処理を施すが、内部の処理では、アナログ信号をデジタルに変換したデジタル信号に波形整形処理を施してよい。また、信号処理部100は、PRML方式、ピークデテクト方式など、種々のデコード方式を含む信号処理により、磁気ディスク20に記録されたデータを算出することができる。
【0026】
データ記憶部140は、再生ヘッド32により得られた信号を復号して得られたトラックに記録されたデータを記憶する。なお、データ記憶部140は、信号処理部100におけるデコード処理が成功したことを条件として、再生ヘッド32により得られた信号を復号して得られたデータを記憶する。なお、信号処理部100におけるデコード処理の成否は、磁気ディスク20に記録された誤り訂正符号に基づき判断される。また、データ記憶部140は、データを記憶するRAMなどの半導体メモリ素子を有してよい。
【0027】
以上、記録再生ヘッド30、信号処理部100、データ記憶部140、および出力部198の動作の概要を説明した。以下に、再生対象のトラックである再生対象トラックに対する信号処理部100の処理について説明する。以下の説明において、注目している再生対象トラックまたは再生対象領域を読み取ることにより再生ヘッド32から出力された信号を、特に、再生信号と呼ぶ場合がある。再生ヘッド32により得られた「信号」などのように、単に"信号"と記載されたものは、再生ヘッド32により得られた信号全体を示している。
【0028】
信号処理部100は、再生信号、および、データ記憶部140が記憶している再生対象トラックに隣接する隣接トラックに記録されたデータに基づき、再生対象トラックに記録されたデータを算出する。ここで、信号処理部100は、隣接トラックに記録されたデータの影響に応じた処理を含む信号処理により、再生対象トラックに記録されたデータを算出する。隣接トラックに記録されたデータとは、隣接トラックにおいて、再生対象トラックの再生対象となるデータ領域の近傍のデータ領域に記録されてデータであってよい。
【0029】
なお、データ記憶部140が隣接トラックに記録されたデータを記憶していない場合には、再生対象トラックを再生ヘッド32に読み込ませる前に、隣接トラックのデータを再生ヘッド32により読み出させ、信号処理部100により算出されたデータをデータ記憶部140に記憶させてよい。他にも、再生対象トラックを再生ヘッド32に読み込ませた後に、隣接トラックに記録されたデータを再生ヘッド32に読み込ませてよい。この場合、信号処理部100は、再生対象トラックを再生ヘッド32に読み込ませることによって得られた再生信号を、一旦保持しておいてよい。
【0030】
例えば、信号処理部100は、再生信号に隣接トラックに記録されたデータが与える影響を補正する信号処理を再生信号に施すことにより、再生対象トラックに記録されたデータを算出する。なお、隣接トラックに記録されたデータが与える影響を補正する信号処理は、トラック間のクロストークを考慮した信号処理であり、例えば、データのビット値を算出する判定処理、再生信号の大きさに対する補正処理などを例示することができる。
【0031】
例えば、信号処理部100は、再生信号の大きさ、および、再生信号の大きさに対する隣接トラックに記録されたデータが与える影響に応じた閾値に基づき、再生対象トラックに記録されたデータを算出してもよい。当該閾値を用いた信号処理は、例えば復号処理における硬判定処理に組み込むことができる。また、当該閾値を用いた信号処理は、復号処理部120においてなされてよい。
【0032】
また、信号処理部100は、再生信号の大きさを、再生信号の大きさに対する隣接トラックに記録されたデータが与える影響に応じて補正することにより、再生対象トラックに記録されたデータを算出してもよい。当該再生信号を補正する信号処理は、波形整形部110においてなされてよい。
【0033】
ここで、信号処理部100は、再生対象トラックを読み取った場合の再生ヘッド32の位置に基づき、再生対象トラックに記録されたデータを算出してよい。具体的には、位置検出部150は、磁気ディスク20に記録されたサーボ情報を再生ヘッド32が読み取ることにより得られた信号に基づき、サーボ情報が記録されたサーボ領域における、再生ヘッド32のトラック幅方向の位置を特定する。このように、位置検出部150は、再生対象トラックにおいて、再生対象のデータが記録されたデータ領域の位置に対して予め定められた位置において、再生ヘッド32のトラック幅方向の位置を検出する。
【0034】
位置特定部152は、位置検出部150により検出された位置に基づき、再生ヘッド32が再生対象トラックのデータ領域を読み込んでいる場合における、再生ヘッド32のトラック幅方向の位置を特定する。例えば、位置特定部152は、再生ヘッド32が複数のサーボ領域を読み取っている場合の再生ヘッド32の位置に基づき、再生ヘッド32の軌跡を推定して、推定した軌跡に基づき、再生ヘッド32がデータ領域を読み込んでいる場合における再生ヘッド32のトラック幅方向の位置を特定してよい。このようにして、位置特定部152は、再生ヘッド32による再生対象トラックの読み取り時の、再生ヘッド32のトラック幅方向の位置を特定する。
【0035】
そして、信号処理部100は、位置特定部152が特定した位置が隣接トラックに近いほど、再生信号の大きさに対する隣接トラックに記録されたデータが与える影響度をより大きく算出する。信号処理部100は、算出した影響度に応じた強度で補正する信号処理を再生信号に施すことにより、再生対象トラックに記録されたデータを算出する。なお、隣接トラックに記録されたデータが与える影響度に応じた処理については、後により詳細に説明する。
【0036】
なお、信号処理部100は、予め定められた復号処理により、再生信号を復号してよい。ここで、予め定められた復号処理とは、隣接トラックに記録されたデータによる再生信号への影響が考慮されない復号処理であるとする。信号処理部100は、再生信号に対する当該予め定められた復号処理が成功しなかった場合に、再生信号、および、データ記憶部140が記憶している再生対象トラックに隣接する隣接トラックに記録されたデータに基づき、再生対象トラックに記録されたデータを算出してよい。
【0037】
以上説明したように、信号処理部100は、隣接トラックに記録されているデータによるクロストークを補正する補正処理により、再生対象トラックに記録されたデータを算出することができる。トラックピッチを小さくするほど、トラック間のクロストークが大きくなる。しかしながら、磁気ディスク装置10によると、読み取り時におけるトラック間のクロストークをある程度許容することができるので、トラックピッチを小さくすることができる。このため、磁気ディスク20がデータを記憶することができる記憶容量を高めることができる場合がある。
【0038】
なお、上記においては再生信号に与える影響として、読み取り時におけるトラック間のクロストークを考慮した。他にも、記録ヘッド34による磁気ディスク20に対するデータ書込時の位置も、再生信号に影響を与える。例えば書込位置と読取位置とにずれが生じた場合には、再生信号における信号レベルが小さくなり、SN比が悪化する場合がある。そこで、磁気ディスク装置10は、書込時の記録ヘッド34の位置に応じて再生信号を補正する。
【0039】
位置情報記憶部160は、記録ヘッド34の、磁気ディスク20のトラックへのデータ書込時の位置を記憶する。データ書込時の位置としては、トラック幅方向の位置を例示することができる。なお、再生ヘッド32と記録ヘッド34とが一体に組み上げられているとすると、記録ヘッド34の位置は、再生ヘッド32の位置、および、記録ヘッド34と再生ヘッド32との間の相対位置に基づき、算出することができる。したがって、位置情報記憶制御部162は、データ書込時における記録ヘッド34の位置を算出して、算出した位置を示す位置情報を、位置情報記憶部160に記憶させる。
【0040】
そして、信号処理部100は、再生ヘッド32からの再生信号、および、位置情報記憶部160が記憶している、再生対象トラックに対する記録ヘッド34によるデータ書込時の位置に基づき、再生対象トラックに記録されたデータを算出する。具体的には、信号処理部100は、再生信号、再生対象トラックに対するデータ書込時の位置、および、位置特定部152が特定した位置に基づき、再生対象トラックに記録されたデータを算出する。
【0041】
より具体的には、信号処理部100は、再生対象トラックに対するデータ書込時の位置と位置特定部152が特定した位置との間の位置差、および、再生信号に基づき、再生対象トラックに記録されたデータを算出する。また、信号処理部100は、再生対象トラックに対するデータ書込時の位置と位置特定部152が特定した位置との間におけるトラック幅方向の位置差、および、再生信号に基づき、再生対象トラックに記録されたデータを算出する。
【0042】
具体的には、信号処理部100は、再生対象トラックに対するデータ書込時の位置と位置特定部152が特定した位置との間における位置差が再生信号に与える影響を補正する信号処理を、再生信号に施すことにより、再生対象トラックに記録されたデータを算出する。なお、記録ヘッド34と再生ヘッド32との位置差としては、磁気ディスク20の表面に水平な面上における距離を例示することができる。なお、当該位置差が再生信号に与える影響を補正する信号処理としては、データのビット値を算出する判定処理、再生信号の大きさに対する補正処理などを例示することができる。
【0043】
例えば、信号処理部100は、再生信号の大きさ、および、再生信号の大きさに対する位置差が与える影響に応じた閾値に基づき、再生対象トラックに記録されたデータを算出する。当該閾値を用いた信号処理は、例えば復号処理における硬判定処理に組み込むことができる。また、当該閾値を用いた信号処理は、復号処理部120においてなされてよい。また、信号処理部100は、再生信号の大きさを、再生信号の大きさに対する位置差が与える影響に応じて補正することにより、再生対象トラックに記録されたデータを算出してもよい。当該再生信号を補正する信号処理は、波形整形部110においてなされてよい。
【0044】
以上説明したように、磁気ディスク装置10は、データ書込時の記録ヘッド34の位置に応じて、再生信号に対する信号処理を変えることができる。記録ヘッド34により生じる磁場分布が、トラック幅方向にフラットであれば、書込位置と読取位置との間のずれはある程度許容される。しかしながら、トラックピッチを小さくするほど、また、記録磁場の強度を高めるほど、磁場分布の裾野部分による影響が大きくなるので、書込位置と読取位置との間の位置ずれが再生信号に与える影響が大きくなる。しかしながら、磁気ディスク装置10によると、書込位置と読取位置との間のずれが再生信号に与える影響を低減することができるので、より正確にデータを算出することができる場合がある。
【0045】
なお、上記においては、データ書込時の記録ヘッド34とデータ読取時の再生ヘッド32との間の位置差に応じて、再生信号に対する信号処理を制御した。磁気ディスク装置10は、当該位置差による再生信号への影響を低減するために、位置差が小さくなるよう再生ヘッド32の位置を制御してもよい。
【0046】
具体的には、位置制御部170は、位置情報記憶部160が記憶している位置情報が示す位置に基づき、読み取り時における再生ヘッド32の、再生対象トラックのトラック幅方向の位置を制御する。例えば、位置制御部170は、記録ヘッド34により再生信号の信号レベルが高くなるよう、再生ヘッド32の位置を制御する。具体的には、位置制御部170は、読み取り時における再生ヘッド32のトラック幅方向の位置を、位置情報記憶部160が記憶している位置情報が示す位置に略一致させるべく、再生ヘッド32の位置を制御する。
【0047】
なお、再生ヘッド32の位置を、位置情報記憶部160が記憶している位置情報が示す位置に略一致させるとは、位置情報記憶部160が記憶している位置情報が示す位置に近づけることを含む。具体的には、位置情報記憶部160は、データ書込時における、トラックの中央位置に対する記録ヘッド34の位置のシフト方向を記憶している。位置制御部170は、読み取り時における再生ヘッド32のトラック幅方向の位置を、再生対象トラックの中央位置に対して位置情報記憶部160が記憶しているシフト方向にシフトさせるべく、再生ヘッド32の位置を制御する。
【0048】
位置情報記憶部160は、データ書込時における、トラックの中央位置に対する記録ヘッド34の位置のシフト量を記憶してもよい。この場合、位置制御部170は、読み取り時における再生ヘッド32のトラック幅方向の位置を、再生対象トラックの中央位置に対して位置情報記憶部160が記憶しているシフト量だけシフトさせるべく、再生ヘッド32の位置を制御してもよい。
【0049】
位置情報記憶部160は、データ書込時における、トラックの中央位置に対する記録ヘッド34の位置のシフト量が予め定められた値より大きい場合に、位置情報を記憶してよい。具体的には、位置情報記憶制御部162は、当該シフト量が予め定められた値より大きいことを条件として、位置情報を位置情報記憶部160に記憶させてよい。そして、位置制御部170は、データ書込時に予め定められた値より大きいシフト量が検出されたトラックを再生ヘッド32が読み取る場合に、再生ヘッド32の位置を制御してよい。
【0050】
また、位置情報記憶部160は、記録ヘッド34によるデータ書込時に予め定められた値より大きい衝撃を検出した場合に、位置情報を記憶してよい。つまり、位置情報記憶制御部162は、データ書込時に予め定められた値より大きい衝撃を検出したことを条件として、位置情報を位置情報記憶部160に記憶させてよい。そして、位置制御部170は、記録ヘッド34によるデータ書込時に予め定められた値より大きい衝撃が検出されたトラックを再生ヘッド32が読み取る場合に、再生ヘッド32の位置を制御してよい。
【0051】
以上説明したように、再生ヘッド32は、書込時に記録ヘッド34が書き込んだ位置の近くからデータを読み取ることができる。このため、SN比率を高めたり、復号エラーが生じる確率を低減することができる場合がある。また、データ書込時においてトラック中央ラインからの記録ヘッド34の位置シフトをある程度許容することができるので、データをより高速に書き込むことができる場合がある。
【0052】
なお、信号処理部100、パラメータ格納部130、データ記憶部140、位置検出部150、位置特定部152、位置情報記憶部160、位置情報記憶制御部162、および、出力部198は、集積回路として実装されてよい。例えば、ライトチャネルICとともに、リード・ライト・チャネルICとして実装されてよい。なお、データ記憶部140および位置情報記憶部160は、リードチャネルICまたはリード・ライト・チャネルICの内部のメモリ素子として実装されてよいし、外部のメモリ素子として実装されてもよい。データ記憶部140および位置情報記憶部160として実装されるメモリ素子は、RAMタイプのメモリ素子であってよい。位置制御部170は、例えば磁気ディスク20を回転させるモータを制御するモータ・ドライバおよびマイクロプロセッサにより実現されてよい。
【0053】
図2は、再生信号の一例を示す。以下の説明において、磁気ディスク20には、垂直記録方式でデータが記録されるとする。また、再生ヘッド32は、MR方式、または、MR方式に類似の磁気抵抗効果を利用して磁場を検出するデバイスであるとし、再生ヘッド32からの再生信号は磁場強度に応じた値の信号であるとする。
【0054】
記録ヘッド34により、トラック200−1、トラック200−2、トラック200−3に、データが磁気的に記録される。ここで、再生ヘッド32による再生対象トラックがトラック200−2であるとすると、トラック200−1およびトラック200−3は、隣接トラックとみなすことができる。
【0055】
トラック200のそれぞれは、それぞれ1ビットの情報が書き込まれる複数の領域210を含む。領域210は、記録磁区とみなすことができる。ここで、トラック200−2において、領域210−5が図示された方向に磁化されており、他の領域210は反対方向に磁化されているとする。また、トラック200−1およびトラック200−3に含まれる領域210は、領域210−5と同じ方向に磁化されているとする。この場合の再生信号の波形を波形220aとする。
【0056】
ここで、領域210−2が領域210−5と反対方向に磁化されているとすると、再生信号は波形220bに示されるような波形になり、ピークが下がる。さらに領域210−8が領域210−5と反対方向に磁化されているとすると、再生信号の波形は、波形220cに示されるようにピークがさらに下がる。また、領域210−1、領域210−3、領域210−7、領域210−9の磁化方向も、再生信号の波形に影響する。このように、再生信号には隣接トラックからの影響が含まれるので、復号処理にける復号誤りとなる場合がある。
【0057】
図3は、パラメータ格納部130が格納している信号処理パラメータの一例をテーブル形式で示す。パラメータ格納部130は、隣接トラックにそれぞれ含まれる複数の領域210のビット値の組み合わせに対応づけて、信号処理パラメータを格納している。
【0058】
波形整形部110は、データ記憶部140が記憶している、トラック200−1およびトラック200−3に含まれる各領域210のビット値に対応づけてパラメータ格納部130が格納している信号処理パラメータを用いて、再生信号を補正する。信号処理パラメータとしては、再生信号の波形に乗ずる乗算係数、再生信号の波形に加算または減算すべき波形情報を示す情報などを例示することができる。これらの信号処理パラメータを用いた波形整形は、アナログフィルタとしても、デジタルフィルタとしても実装することができる。
【0059】
以下に、波形整形部110による補正処理が再生信号に対する加算処理で実装されているとして、パラメータ格納部130が格納する信号処理パラメータの一例を説明する。ここでは説明を分かりやすくするため、トラック200−1の領域210−2に記録されているビット値に関連して説明する。
【0060】
領域210−2にビット値0が記録されている場合に、領域210−2の磁化がトラック200−2の領域210−5の再生信号強度に負の影響を与えるとする。逆に、領域210−2にビット値1が記録されている場合には、領域210−2の磁化は再生信号強度に正の影響を与えるとする。この場合、パラメータ格納部130は、領域210−2のビット値0に対応づけて、領域210−2の磁化が再生信号強度に与える負の影響をキャンセルする大きさの正の信号補正値を、信号処理パラメータとして格納する。また、パラメータ格納部130は、領域210−2のビット値1に対応づけて、領域210−2の磁化が再生信号強度に与える正の影響をキャンセルする大きさの負の信号補正値を、信号処理パラメータとして格納する。
【0061】
これにより、波形整形部110は、領域210−2にビット値0が記録されている場合には、パラメータ格納部130がビット値0に対応づけて格納している正の信号補正値を再生信号に加算することにより、再生信号を補正する。領域210−2にビット値1が記録されている場合には、波形整形部110は、パラメータ格納部130がビット値1に対応づけて格納している負の信号補正値を再生信号に加算することにより、再生信号を補正する。
【0062】
なお、波形整形部110による補正処理が再生信号に対する減算処理として実装されている場合には、パラメータ格納部130は、上記で説明した信号補正値の符号を反転したものを、信号処理パラメータとして格納すればよい。波形整形部110による補正処理が再生信号の波形に対する乗算処理として実装されている場合には、パラメータ格納部130は、再生信号の振幅を弱める磁化に対応するビット値に対応づけて、振幅を弱める度合いに応じた1より大きい値の乗算係数を、信号処理パラメータとして格納してよい。また、再生信号の振幅を強める磁化に対応するビット値に対応づけて、振幅を強める度合いに応じた1より小さい正値の乗算係数を、信号処理パラメータとして格納すればよい。
【0063】
また、再生信号が離散時間信号である場合に、波形整形部110は、再生信号列を形成する複数のサンプル点のそれぞれのサンプル値に対して、信号処理パラメータとしての同一の信号補正値を加算または減算する処理をしてよい。同様に、波形整形部110は、各サンプル値に同一の乗算係数を乗算する処理をしてよい。他にも、パラメータ格納部130は、複数のサンプル値のそれぞれに対してそれぞれ加算または減算すべき複数の信号補正値を、信号処理パラメータとして格納してもよい。この場合、当該複数の信号補正値は、再生信号の波形を時間的に補正する補正波形とみなすことができる。同様に、パラメータ格納部130は、複数のサンプル値のそれぞれに対してそれぞれ乗算すべき複数の乗算係数を、信号処理パラメータとして格納してもよい。
【0064】
上記において、領域210−2に記録されたビット値に対応する補正処理を説明をしたが、トラック200−1の領域210−1および領域210−3、ならびに、トラック200−3の領域210−7〜9の磁化も、領域210−5の再生信号に影響を与え得る。したがって、パラメータ格納部130は、これら領域210−1〜3、領域210−1〜3に記録されたビット値の組み合わせにそれぞれ対応づけて、信号処理パラメータを格納してよい。
【0065】
このように、波形整形部110は、トラック200−2の両側のトラック200−1およびトラック200−2において、トラック200−2の再生対象となる領域210−5の近傍の異なる領域210−1〜3、領域210−7〜9にそれぞれ記録されたビット値に基づき、再生信号を波形整形する。これにより、隣接トラックに記録されたデータに実質的に依存しない再生信号を復号処理部120に供給することができる。このため、トラック間のクロストークによる影響を原因とする復号誤りが生じる確率を低減することができる。
【0066】
以上説明したように、信号処理部100は、再生信号、および、データ記憶部140が記憶している再生対象トラックの両側に隣接する2つの隣接トラックに記録されたデータに基づき、再生対象トラックに記録されたデータを算出することができる。また、信号処理部100は、再生信号、および、データ記憶部140が記憶している再生対象トラックに隣接する隣接トラック上の、再生対象トラックの再生対象となる位置の近傍の異なる位置にそれぞれ記録されたデータに基づき、再生対象トラックに記録されたデータを算出する。つまり、信号処理部100は、再生信号、および、再生対象トラックの両側に隣接する2つの隣接トラック上の、再生対象トラックの再生対象となる位置の近傍の異なる位置にそれぞれ記録されたデータに基づき、再生対象トラックに記録されたデータを算出することができる。
【0067】
なお、上記の説明では、波形整形部110が隣接トラックからのクロストーク量に応じて波形を整形するとした。その他にも、復号処理部120が、クロストーク量に応じて異なる閾値を用いた復号処理を行ってもよい。この場合、パラメータ格納部130は、復号処理部120における信号処理パラメータとして、当該閾値を格納する。復号処理部120は、トラック200−1およびトラック200−3に含まれる各領域210のビット値に対応づけてパラメータ格納部130が格納している閾値を用いて、復号処理をしてよい。
【0068】
図4は、データ読取時における処理フローの一例を示す。波形整形部110には、再生ヘッド32により1セクタに記録されたユーザデータを読み取った読取信号が入力される(S300)。ここで、信号処理部100は、予め定められた信号処理パラメータを選択する(S302)。予め定められた信号処理パラメータは、隣接トラックからのクロストークが考慮されてない信号処理パラメータであってよい。
【0069】
波形整形部110は、予め定められた信号処理パラメータを用いて、読取信号の波形を整形する(S304)。復号処理部120は、波形整形部110により整形された波形を復号する(S306)。
【0070】
復号処理部120は、復号処理部120による復号処理の成否を判断する(S308)。復号処理部120は、復号処理部120におけるビットエラー率に基づき、復号処理の成否を判断してよい。S308において復号処理が成功しなかった旨が判断された場合、信号処理部100は、データ記憶部140から読み取り対象セクタに隣接するトラックのデータを取得する(S320)。なお、隣接するトラックのデータがデータ記憶部140に記憶されていない場合には、信号処理部100は、磁気ディスク20から隣接するトラックのデータを新たに読み出してもよい。
【0071】
信号処理部100は、取得したデータのビット列に対応づけてパラメータ格納部130が格納している信号処理パラメータを選択する(S322)。そして、S304およびS306において、S322において選択された信号処理パラメータを用いて波形整形および復号処理がなされる。
【0072】
S308において復号処理が成功した旨が判断された場合、復号により得られたビット列を出力する(412)。なお、S304およびS306において、S322で選択された信号処理パラメータを用いて復号した場合においても復号が成功しなかった場合には、再生エラーが生じた旨を出力して処理を終了してもよい。
【0073】
図5は、位置制御部170によるデータ読取時における再生ヘッド32に対する位置制御の一例を示す。本図では、位置制御部170が、データ読取時における再生ヘッド32の位置を、データ書込時における記録ヘッド34の位置と略一致させる制御について説明する。なお、磁気ディスク20には、セクタ・サーボ方式で記録されるとする。なお、再生ヘッド32および記録ヘッド34は、紙面において左から右に移動するものとする。
【0074】
各セクタ400は、サーボ領域410およびデータ領域420を含む。サーボ領域410には、記録再生ヘッド30の移動および位置決めに利用されるパターンが書き込まれている。なお、サーボパターンは、磁気転写により磁気ディスク20に書き込まれてよい。
【0075】
位置検出部150は、再生ヘッド32がサーボ領域410を読み取ることによって得られた再生信号に基づき、再生ヘッド32がサーボ領域410上に存在するタイミングにおける、再生ヘッド32のトラック幅方向の位置を検出する。位置検出部150は、信号処理部100による信号処理結果に基づき、再生ヘッド32のトラック幅方向の位置を検出してよい。例えば、サーボ領域410にバーストパターンが書き込まれており、位置検出部150は、バーストパターンを再生ヘッド32が読み取ることによって得られた各バースト信号の振幅に基づいて、トラックの中心位置からのずれ量を算出することができる。位置検出部150は、算出したずれ量を、トラックの中心位置に対する再生ヘッド32のトラック幅方向の相対的な位置として検出することができる。
【0076】
位置検出部150は、各サーボ領域410上での再生ヘッド32の位置に基づき、記録ヘッド34がデータ領域420にデータを書き込んだタイミングにおける記録ヘッド34のトラック幅方向の位置を特定することができる。例えば、位置特定部152は、サーボ領域410−4、サーボ領域410−5、サーボ領域410−6における再生ヘッド32の位置を結んだ軌跡を、データ書込時の再生ヘッド32の軌跡として推定することができる。位置特定部152は、サーボ領域410−4における再生ヘッド32の位置、サーボ領域410−5における再生ヘッド32の位置、およびサーボ領域410−6における再生ヘッド32の位置を直線近似した軌跡を、データ書込時の再生ヘッド32の軌跡としてよい。他にも、位置特定部152は、サーボ領域410−4〜6における再生ヘッド32の位置を、2次曲線など所定の曲線で近似した軌跡を、データ書込時の再生ヘッド32の軌跡としてよい。また、位置特定部152は、再生ヘッド32と記録ヘッド34との間の相対位置にさらに基づき、データ書込時の記録ヘッド34の軌跡450を特定することができる。再生ヘッド32および記録ヘッド34は固定的に設けられているので、記録ヘッド34は、再生ヘッド32の位置からトラック幅方向に所定量だけシフトさせた位置に存在している。このため、位置特定部152は、データ書込時の再生ヘッド32の軌跡をトラック幅方向に所定量シフトさせた軌跡を、データ書込時の記録ヘッド34の軌跡450として特定することができる。位置情報記憶制御部162は、軌跡450を示す位置情報を位置情報記憶部160に記憶させる。
【0077】
データ読取時においても、位置検出部150は、上記と同様にして再生ヘッド32のサーボ領域410上での位置を検出する。ここで、読取対象のデータ領域をデータ領域420−5とすると、位置制御部170は、検出された再生ヘッド32の位置に基づき、データ領域420−5にわたる再生ヘッド32の軌跡が、データ領域420−5内において軌跡450と略一致するよう、再生ヘッド32の位置を制御する。この場合、位置制御部170は、データ領域420−5内において、データ書込時の記録ヘッド34の位置と読取時の再生ヘッド32との位置差を予め定められた値より小さくすべく、再生ヘッド32の位置を制御してよい。位置制御部170は、記憶されているデータ書込時の記録ヘッド34の軌跡450から、サーボ領域410−5およびサーボ領域410−6において再生ヘッド32が位置すべき目標位置を算出する。位置制御部170は、算出した目標位置と、位置検出部150により検出されたサーボ領域410−4における再生ヘッド32の位置との偏差に基づき、記録再生ヘッド30が固着されたアームを駆動する駆動モータをサーボ制御する。例えば、位置制御部170は、偏差に応じた電圧で駆動モータを駆動してよい。
【0078】
位置制御部170による再生ヘッド32の位置制御により、再生ヘッド32は、記録ヘッド34の軌跡450と領域420−5上において少なくとも略一致する軌跡460をたどる。これにより、再生ヘッド32からの再生信号は、データ書込時の記録ヘッド34の位置と再生ヘッド32との位置との間の位置差による影響が低減したものとなる。このため、信号処理部100における復号処理において、当該位置差を原因とする復号誤りが生じる確率を低減することができる。
【0079】
なお、位置情報記憶部160が記憶する記録ヘッド34の軌跡としては、記録面上の軌跡を示すベクトル情報を例示することができる。ベクトル情報に含まれる成分値としては、記録面上の絶対座標を示す値であってよく、書込対象のトラックの中央ラインからのシフト量を示す値であってもよい。
【0080】
なお、位置情報記憶制御部162は、1以上のサーボ領域410上における記録ヘッド34の位置と、データ領域420にデータが書き込まれるまでの記録ヘッド34に対する加速度を示す情報とを含む位置情報を、位置情報記憶部160に記憶させてもよい。なお、記録ヘッド34に対する加速度を示す情報は、磁気ディスク20の記録面に水平な面内における加速度を示す情報であってよい。位置制御部170は、位置情報が示す各サーボ領域410上における記録ヘッド34の位置と、加速度情報とに基づき、読取対象のデータ領域420上における記録ヘッド34の軌跡を算出する。例えば、ヘッド幅方向の速度は、各サーボ領域410上における記録ヘッド34の位置から算出することができる。また、アーム駆動用の駆動モータに電圧が印可されることで、ヘッド幅方向の加速が生じるが、書込時のサーボ制御において駆動モータに印可された電圧値および駆動モータの応答特性から、加速度の時間変化a(t)を算出することができる。ヘッド幅方向の速度はVr(0)+a(t)×tと表すことができ(ただし、記録ヘッド34がサーボ領域上に位置した時刻をt=0とする)、ヘッド幅方向の速度を時間積分することで、データ領域420上における記録ヘッド34の軌跡を算出することができる。位置制御部170は、算出した記録ヘッド34の軌跡と、当該データ領域420上での再生ヘッド32の軌跡とが略一致するよう、サーボ領域410上における再生ヘッド32の位置に基づき、再生ヘッド32の位置を制御する。
【0081】
このように、位置情報記憶部160は、書込対象のデータが記録されたデータ領域の位置に対して予め定められた位置において検出された記録ヘッド34の位置、および、当該位置が検出されてから当該データ領域へのデータの書込が終了するまでの間に記録ヘッド34に加えられた、磁気ディスク20に対するトラック幅方向の加速度を示す情報を記憶する。そして、位置制御部170は、位置情報記憶部160が記憶している位置および加速度と、位置検出部150が検出した位置と基づき、再生対象のデータが記録されたデータ領域にわたって、再生ヘッド32のトラック幅方向の位置をデータ書込時における記録ヘッド34の位置に略一致させるべく、再生ヘッド32の位置を制御する。上述したように、位置制御部170は、データ書込時の記録ヘッド34の軌跡から、各サーボ領域410において再生ヘッド32が位置すべき目標位置を算出して、算出した目標位置と、位置検出部150により検出されたサーボ領域410における再生ヘッド32の位置との偏差に基づき、駆動モータをサーボ制御する。
【0082】
なお、位置情報記憶部160は、フラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリであってよいが、磁気ディスク20が位置情報記憶部160として機能することもできる。
【0083】
すなわち、位置情報記憶制御部162は、データ書込時における記録ヘッド34のトラック幅方向の位置を示す位置情報のデータを、磁気ディスク20に記憶させる。この場合に、位置情報記憶制御部162は、データ領域に対するデータ書込時における記録ヘッド34のトラック幅方向の位置を示す位置情報のデータを、再生ヘッド32により当該データ領域より前に再生され得る磁気ディスク20上の領域に記憶させる。位置情報記憶制御部162は、データ領域に対するデータ書込時における記録ヘッド34のトラック幅方向の位置を示す位置情報のデータを、再生ヘッド32により当該データ領域より前に再生され得る、当該データ領域が存在するトラックと同じトラック上の領域に記憶させる。
【0084】
例えば、位置情報記憶制御部162は、データ領域420−6上にデータを書き込んだ場合における記録ヘッド34の軌跡を示す位置情報を、データ領域420−4、データ領域420−5の他、データ領域420−4よりさらに前のタイミングで読み取られる位置のデータ領域420に記憶してもよい。いずれのデータ領域420に位置情報を記録するかは、再生ヘッド32がデータ領域420−6の位置に到達するまでに再生ヘッド32の位置制御が完了できるよう、位置制御部170による再生ヘッド32の位置制御における応答時間に少なくとも基づき予め決定されていてよい。
【0085】
図6は、データ書込時における記録ヘッド34の位置に対する、データ読取時における再生ヘッド32の位置差Δ1の一例を示す。位置制御部170による位置制御によっても、読取対象のデータ領域において記録ヘッド34の軌跡と再生ヘッド32の軌跡とは完全に一致しない場合がある。このような場合、書込時における記録ヘッド34の位置と読取時における再生ヘッド32の位置との間の位置差に応じて、再生信号の信号レベルが変化する。
【0086】
図7に示すように、信号処理部100において位置差Δ1に応じた信号処理がなされるべく、パラメータ格納部130は、位置差に対応づけて異なる信号処理パラメータを格納してよい。信号処理パラメータとしては、再生信号の波形に乗ずる乗算係数、再生信号の波形に加算または減算すべき波形データを示す情報などを例示することができる。例えば、波形整形部110は、位置差に対応づけてパラメータ格納部130が格納している信号処理パラメータを用いて、再生信号に対して波形整形してよい。
【0087】
例えば、波形整形部110は、再生信号に対して上記乗算係数を乗じる波形整形処理を施したり、再生信号に対して上記波形データの加算処理または減算処理をする。これにより、書込時と読取時におけるヘッド位置差に実質的に依存しない再生信号を復号処理部120に供給することができる。このため、当該ヘッド位置差による影響を原因とする復号誤りが生じる確率を低減することができる。
【0088】
以下に、パラメータ格納部130が格納する信号処理パラメータの一例を説明する。特定のデータ領域の再生信号に着目すれば、位置差Δ1が0である場合に、最も強い振幅の再生信号が得られる。一方、位置差Δ1の絶対値が大きいほど、特定のデータ領域からの再生信号の振幅は小さくなる。そこで、パラメータ格納部130は、振幅の低下量に応じた大きさの信号補正値を、信号処理パラメータとして格納する。
【0089】
具体的には、波形整形部110による処理が再生信号に対する加算処理で実装されている場合には、パラメータ格納部130は、絶対値がより大きい位置差Δ1に対応づけて、より大きい正の信号補正値を、信号処理パラメータとして格納する。波形整形部110は、位置差Δ1に対応する信号補正値をパラメータ格納部130から読み出して、再生信号に加算する処理を行う。
【0090】
波形整形部110による処理が再生信号に対する減算処理で実装されている場合には、パラメータ格納部130は、絶対値がより大きい位置差Δ1に対応づけて、絶対値がより大きい負の信号補正値を、信号処理パラメータとして格納する。波形整形部110は、位置差Δ1に対応する信号補正値をパラメータ格納部130から読み出して、再生信号から減算する処理を行う。一方、波形整形部110による処理が再生信号に対する乗算処理で実装されている場合には、パラメータ格納部130は、より大きい絶対値の位置差Δ1に対応づけて、より大きい正の乗算係数を、信号処理パラメータとして格納する。波形整形部110は、位置差Δ1に対応する乗算係数をパラメータ格納部130から読み出して、再生信号に乗算する処理を行う。
【0091】
また、再生信号が離散時間信号である場合に、波形整形部110は、再生信号列を形成する複数のサンプル点のそれぞれのサンプル値に対して、信号処理パラメータとしての同一の信号補正値を加算または減算する処理をしてよい。同様に、波形整形部110は、各サンプル値に同一の乗算係数を乗算する処理をしてよい。他にも、パラメータ格納部130は、複数のサンプル値のそれぞれに対してそれぞれ加算または減算すべき複数の信号補正値を、信号処理パラメータとして格納してもよい。この場合、当該複数の信号補正値は、再生信号の波形を時間的に補正する補正波形とみなすことができる。同様に、パラメータ格納部130は、複数のサンプル値のそれぞれに対してそれぞれ乗算すべき複数の乗算係数を、信号処理パラメータとして格納してもよい。
【0092】
なお、パラメータ格納部130は、復号処理部120における処理用の信号処理パラメータとして、閾値を格納することもできる。上述のトラック間のクロストークにおける処理と同様、復号処理部120は、位置差に対応づけてパラメータ格納部130が格納している閾値を用いて、復号処理をすることができる。
【0093】
図8は、データ書込時の処理フローの一例を示す。記録ヘッド34は、1セクタの書き込みデータ信号を取得して(S800)、磁気ディスク20に書き込む(S802)。位置情報記憶制御部162は、書き込みの前後において位置検出部150が検出した位置に基づき、トラックの中央位置からの記録ヘッド34のシフト量が予め定められた値より大きいか否かを判断する(S804)。
【0094】
記録ヘッド34のシフト量が予め定められた値より大きい場合には、位置情報記憶制御部162は、データを書き込んだときの記録ヘッド34の軌跡を算出する(S806)。位置情報記憶制御部162は、書き込みデータが磁気ディスク20に書き込まれるアドレスに対応づけて、軌跡を示すデータを位置情報記憶部160に記憶させる(S808)。S304において、記録ヘッド34のシフト量が予め定められた値以下である場合には、記録ヘッド34の軌跡を位置情報記憶部160に記憶させずに処理を終了する。
【0095】
図9は、再生ヘッド32の軌跡を記録ヘッド34の軌跡に適合させる位置制御を含む再生処理フローの一例を示す。信号処理部100は、読取対象のデータが記録されているアドレスを取得する(S900)。位置制御部170は、当該アドレスのデータを書き込んだときの記録ヘッド34の軌跡に再生ヘッド32の位置を適合させるか否かを判断する(S902)。例えば、位置制御部170は、S900において取得したアドレスに対応づけて位置情報記憶部160が軌跡を記憶している場合に、再生ヘッド32の位置を記録ヘッド34の軌跡に適合させる旨を判断してよい。
【0096】
S9002において再生ヘッド32の位置を記録ヘッド34の軌跡に適合させる旨が判断された場合には、位置制御部170は、S900で取得したアドレスに対応づけて位置情報記憶部160が記憶している軌跡を読み出す(S904)。位置制御部170は、上述のサーボ制御により、記録ヘッド34の軌跡に再生ヘッド32の位置を適合させる(S906)。S902において再生ヘッド32の位置を記録ヘッド34の軌跡に適合させない旨が判断された場合には、位置制御部170は、サーボ制御により、トラックの中央位置を目標位置として、再生ヘッド32の位置を制御する(S922)。
【0097】
S908において、サーボ制御されている状態で、再生ヘッド32により1セクタのデータが信号波形として読み取られる。信号処理部100は、当該セクタのデータが書き込まれたときの記録ヘッド34の位置と、S908における1セクタのデータが読み取られたときの再生ヘッド32の位置との間の位置差を算出する(S910)。例えば、S910において、信号処理部100は、記録ヘッド34の位置と再生ヘッド32の位置との間の位置差を1セクタにわたって平均した値を位置差として算出してよい。
【0098】
信号処理部100は、S910において算出した位置差に対応づけてパラメータ格納部130が格納している信号処理パラメータを選択する(S912)。信号処理部100は、S912において選択した信号処理パラメータを用いて、S908で取得された信号波形を成形して、成形された信号波形を復号することにより、データを取得する(S914)。
【0099】
図10は、データ読取時における再生ヘッド32の位置と、隣接トラックへのデータ書込時における記録ヘッド34の位置との位置差の一例を示す。位置制御部170による位置制御により、再生ヘッド32は記録ヘッド34と軌跡が合致するように制御されるので、再生ヘッド32の軌跡は、データ読取時にデータ領域の中央ライン(一点鎖線で示される)と合致しない場合がある。また、記録ヘッド34と軌跡が合致するように制御されない場合、例えば位置制御部170により再生ヘッド32が中央ライン付近を通過するように制御される場合においても、再生ヘッド32の軌跡は中央ラインと完全に合致しない場合がある。
【0100】
この場合、図2に関連して説明した両側の隣接トラックからのクロストーク量に違いが生じる。例えば、本図において、再生ヘッド32の軌跡が長破線で示されているように、再生ヘッド32がトラック200−2の中央位置よりトラック200−3寄りの位置を通過した場合、トラック200−2を読み取るこのよって得られた再生信号に与える影響は、トラック200−1からよりもトラック200−3からの方が大きくなる。
【0101】
信号処理部100において当該クロストーク量の違いに応じた信号処理がなされるべく、パラメータ格納部130は、データ読取時における再生ヘッド32のトラック幅方向の位置に対応づけて、図3にテーブル形式で示したデータを格納していてよい。そして、信号処理部100は、再生対象トラックを読み取った場合における再生ヘッド32の位置に対応づけて、パラメータ格納部130が格納している信号処理パラメータを用いた信号処理をしてよい。
【0102】
なお、隣接トラックとのクロストーク量は、隣接トラックに対するデータ書込時における記録ヘッド34の位置によっても違いが生じる。つまり、トラック200−1へのデータ書込時の位置との位置差Δ2、および、トラック200−3へのデータ書込時の位置との位置差Δ3によって、クロストーク量に違いが生じる。本図においては、トラック200−1およびトラック200−3への書込時の記録ヘッド34の軌跡が、短破線で示されている。
【0103】
信号処理部100において当該クロストーク量の違いに応じた信号処理がなされるべく、パラメータ格納部130は、隣接トラックへのデータ書込時における記録ヘッド34の位置と、データ読取時における再生ヘッド32の位置との間の位置差Δ2、Δ3に対応づけて、図2に関連して説明したデータを格納していてよい。そして、信号処理部100は、当該位置差に対応づけてパラメータ格納部130が格納している信号処理パラメータを用いた信号処理をしてよい。
【0104】
このように、信号処理部100は、再生信号、および、位置情報記憶部160が記憶している、再生対象トラックおよび再生対象トラックに隣接する隣接トラックのそれぞれへのデータ書込時の位置に基づき、再生対象トラックに記録されたデータを算出する。具体的には、信号処理部100は、再生対象トラックに対するデータ書込時の位置と位置特定部152が特定した位置との間の位置差および隣接トラックに対するデータ書込時の位置と位置特定部152が特定した位置との間の位置差がそれぞれ再生信号に与える影響を補正する信号処理を、当該再生信号に施すことにより、再生対象トラックに記録されたデータを算出する。これにより、信号処理部100は、隣接トラックとの間のクロストーク量に応じて適切な信号処理をすることができる。
【0105】
なお、図6−8に関連して、トラック幅方向の位置差Δ1に応じて信号処理をする場合を例に挙げて磁気ディスク装置10の各部の動作を説明した。他にも、信号処理部100は、トラック幅方向の位置差Δ1に代えて、または、トラック幅方向の位置差Δ1に加えて、磁気ディスク20の記録面の法線方向における位置差Δzに応じた信号処理をすることができる。
【0106】
信号処理部100において当該位置差Δzに応じた信号処理がなされるべく、パラメータ格納部130は、位置差Δzに対応づけて異なる信号処理パラメータを格納してよい。信号処理パラメータとしては、上記した類似の信号処理パラメータ、すなわち波形整形用の乗算係数または波形データ、若しくは復号処理用の閾値などを例示することができる。なお、磁気ディスク20の記録面と、記録ヘッド34または再生ヘッド32との間の距離測定法としては、レーザ測距法などの方法を例示することができる。
【0107】
このように、位置情報記憶部160は、再生対象トラックに対するデータ書込時における記録ヘッド34の、磁気ディスク20の記録面に垂直な面内における位置を記憶する。そして、位置特定部152は、読み取り時における再生ヘッド32の、記録面に垂直な面内における位置を特定する。そして、信号処理部100は、再生対象トラックに対するデータ書込時の位置と位置特定部152が特定した位置との間における記録面に垂直な面内の位置差、および、再生信号に基づき、再生対象トラックに記録されたデータを算出する。
【0108】
以上説明したように、磁気ディスク装置10によると、磁気ディスク20に記録されたデータを正確に読み取ることができ、符号誤りが生じる確率を低減することができる場合がある。
【0109】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0110】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】一実施形態に係る磁気ディスク装置10の全体構成の一例を示す図である。
【図2】再生信号の一例を示す図である。
【図3】パラメータ格納部130が格納している信号処理パラメータの一例をテーブル形式で示す図である。
【図4】データ読取時におけるクロストークを低減する処理フローの一例を示す図である。
【図5】位置制御部170によるデータ読取時における再生ヘッド32に対する位置制御の一例を示す図である。
【図6】データ書込時における記録ヘッド34の位置に対する、データ読取時における再生ヘッド32の位置差Δ1の一例を示す図である。
【図7】パラメータ格納部130が格納するデータの一例をテーブル形式で示す図である。
【図8】記録時の処理フローの一例を示す図である。
【図9】データ読取時における再生ヘッドの位置制御を含む処理フローの一例を示す図である。
【図10】データ読取時における再生ヘッド32の位置と、隣接トラックへのデータ書込時における記録ヘッド34の位置との位置差の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
10 磁気ディスク装置
20 磁気ディスク
30 記録再生ヘッド
32 再生ヘッド
34 記録ヘッド
50 ホストコンピュータ
100 信号処理部
110 波形整形部
120 復号処理部
130 パラメータ格納部
140 データ記憶部
150 位置検出部
152 位置特定部
160 位置情報記憶部
162 位置情報記憶制御部
170 位置制御部
198 出力部
200 トラック
210 領域
220 波形
400 セクタ
410 サーボ領域
420 データ領域
450 軌跡
460 軌跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ディスクのトラックにデータを磁気的に書き込む書込部の、データ書込時におけるトラック幅方向の位置を示す位置情報を記憶する位置情報記憶部と、
前記磁気ディスクの再生対象のトラックである再生対象トラックを読み取る読取部と、
前記位置情報記憶部が記憶している位置情報が示す位置に基づいて、前記読み取り時における前記読取部の、再生対象トラックのトラック幅方向の位置を制御する位置制御部と
を備える磁気ディスク装置。
【請求項2】
前記位置制御部は、前記読み取り時における前記読取部のトラック幅方向の位置を、前記位置情報記憶部が記憶している位置情報が示す位置に略一致させるべく、前記読取部の位置を制御する
請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項3】
前記位置情報記憶部は、前記データ書込時における、トラックの中央位置に対する前記書込部の位置のシフト方向を記憶し、
前記位置制御部は、前記読み取り時における前記読取部のトラック幅方向の位置を、前記再生対象トラックの中央位置に対して前記位置情報記憶部が記憶しているシフト方向にシフトさせるべく、前記読取部の位置を制御する
請求項1または2に記載の磁気ディスク装置。
【請求項4】
前記位置情報記憶部は、前記データ書込時における、トラックの中央位置に対する前記書込部の位置のシフト量を記憶し、
前記位置制御部は、前記読み取り時における前記読取部のトラック幅方向の位置を、前記再生対象トラックの中央位置に対して前記位置情報記憶部が記憶しているシフト量だけシフトさせるべく、前記読取部の位置を制御する
請求項3に記載の磁気ディスク装置。
【請求項5】
前記位置情報記憶部は、前記データ書込時における、トラックの中央位置に対する前記書込部の位置のシフト量が予め定められた値より大きい場合に、前記位置情報を記憶し、
前記位置制御部は、前記データ書込時に予め定められた値より大きいシフト量が検出されたトラックを前記読取部が読み取る場合に、前記読取部の位置を制御する
請求項1から4のいずれかに記載の磁気ディスク装置。
【請求項6】
前記位置情報記憶部は、前記書込部による前記データ書込時に予め定められた値より大きい衝撃を検出した場合に、前記位置情報を記憶し、
前記位置制御部は、前記書込部による前記データ書込時に予め定められた値より大きい衝撃が検出されたトラックを前記読取部が読み取る場合に、前記読取部の位置を制御する
請求項1から4のいずれかに記載の磁気ディスク装置。
【請求項7】
前記再生対象トラックにおいて、再生対象のデータが記録されたデータ領域の位置に対して予め定められた位置において、前記読取部のトラック幅方向の位置を検出する位置検出部
をさらに備え、
前記位置情報記憶部は、書込対象のデータが記録されたデータ領域の位置に対して予め定められた位置において検出された前記書込部の位置、および、当該位置が検出されてから当該データ領域へのデータの書込が終了するまでの間に前記書込部に加えられた、前記磁気ディスクに対するトラック幅方向の加速度を示す情報を記憶しており、
前記位置制御部は、前記位置情報記憶部が記憶している位置および加速度と、前記位置検出部が検出した位置と基づいて、再生対象のデータが記録されたデータ領域にわたって、前記読取部のトラック幅方向の位置を前記データ書込時における前記書込部の位置に略一致させるべく、前記読取部の位置を制御する
請求項2に記載の磁気ディスク装置。
【請求項8】
前記書込部と、
前記位置情報を、前記位置情報記憶部に記憶させる位置情報記憶制御部と
をさらに備える請求項1から7のいずれかに記載の磁気ディスク装置。
【請求項9】
前記位置情報記憶制御部は、前記データ書込時における前記書込部のトラック幅方向の位置を示す前記位置情報のデータを、前記磁気ディスクに記憶させる
請求項8に記載の磁気ディスク装置。
【請求項10】
前記位置情報記憶制御部は、データ領域に対する前記データ書込時における前記書込部のトラック幅方向の位置を示す前記位置情報のデータを、前記読取部により当該データ領域より前に再生され得る前記磁気ディスク上の領域に記憶させる
請求項9に記載の磁気ディスク装置。
【請求項11】
前記位置情報記憶制御部は、データ領域に対する前記データ書込時における前記書込部のトラック幅方向の位置を示す前記位置情報のデータを、前記読取部により当該データ領域より前に再生され得る、当該データ領域が存在するトラックと同じトラック上の領域に記憶させる
請求項9に記載の磁気ディスク装置。
【請求項12】
磁気ディスクのトラックにデータを磁気的に書き込む書込部の、データ書込時におけるトラック幅方向の位置を示す位置情報を記憶する位置情報記憶段階と、
前記磁気ディスクの再生対象のトラックである再生対象トラックを読取部で読み取る読取段階と、
前記位置情報記憶段階において記憶された位置情報が示す位置に基づいて、前記読み取り時における前記読取部の、再生対象トラックのトラック幅方向の位置を制御する位置制御段階と
を備える磁気ディスク再生方法。
【請求項13】
磁気ディスク装置用のプログラムであって、コンピュータを、
磁気ディスクのトラックにデータを磁気的に書き込む書込部の、データ書込時におけるトラック幅方向の位置を示す位置情報を記憶する位置情報記憶部、
前記磁気ディスクの再生対象のトラックである再生対象トラックを読み取る読取部、
前記位置情報記憶部が記憶している位置情報が示す位置に基づいて、前記読み取り時における前記読取部の、再生対象トラックのトラック幅方向の位置を制御する位置制御部
として機能させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate