説明

磁気ディスク装置のトラック・ピッチを検査する方法

【課題】 磁気ディスクのトラック・ピッチを検査する。
【解決手段】 磁気ディスクに書き込まれたサーボ情報を使用してトラック・ピッチを検査する。PESゲインをPG0に設定する。ヘッドをMPES111とSPES115が切り替わる位置近辺の位置Kに位置づけ、再生したバースト信号とPG0を用いてMPES111とSPES115とを計算する。位置KにおけるMPESとSPESとの差であるPESΔを計算することで、検査にかかるバースト・パターンのハーフ・サーボ・ピッチである検査HSPが、理想的なハーフ・サーボ・ピッチから変動している量を検出し、トラック・ピッチの異常を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク装置において磁気ディスクのトラック・ピッチを検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置は、磁気ディスク上に書き込んだサーボ情報をヘッドが読み取って位置を認識し、データの記録・再生を行う情報記録再生装置である。磁気ディスクにサーボ情報を配置する方式には、サーボ面サーボ方式とデータ面サーボ方式(またはセクター・サーボ方式)が挙げられる。サーボ面サーボ方式は、複数枚のディスクのうち1枚のディスクの一面をサーボ情報専用に使用する方式である。データ面サーボ方式は、複数の磁気ディスクのそれぞれの記録面に対して円周方向にデータ領域の間に間欠的にサーボ情報を記録する方式である。
【0003】
磁気ディスクにサーボ情報を書き込む方式には大別すると、磁気ディスクを磁気ディスク装置に組み込んだ後で当該磁気ディスク装置のヘッドを使って書き込む方式と、磁気ディスクを磁気ディスク装置から分離した状態で書き込む方式がある。前者には、サーボ・トラック・ライタ(STW)に磁気ディスク装置を組み込んで、STWの位置決めピンでヘッドを送りながら書き込む方式があり、これはプッシュ・ピン方式ともいわれている。また、STWを使用しないで、磁気ディスク装置の中であらかじめ基準位置を設定して最初のサーボ情報を書き込み、書き込んだサーボ情報を基準にしてつぎのサーボ情報を書き込むといった手順で順番にサーボ情報を書き込んでいくいわゆるセルフ・サーボ方式がある。
【0004】
後者には、磁気ディスク単体をSTWに組み込みSTWのヘッドを使ってサーボ情報を書き込むいわゆるプリサーボ方式というものがある。また、マスタ磁気ディスクにあらかじめ書き込んだサーボ情報を磁気転写などにより他の磁気ディスクに書き込むいわゆるスタンピング方式というものがある。サーボ情報は、ヘッドの位置決めを行うための情報であるためその書き込み位置には高い精度が要求される。
【0005】
近年磁気ディスクのトラック間密度(TPI)が上昇してきたことに伴い、データ・トラック間に設けるマージンが減少してきている。データ・トラック間のマージンとは、隣接トラックとの間隔であり記録ヘッドでデータを書き込まない領域をいう。TPIが上昇してくると、ヘッドがあるデータ・トラックにデータを記録する際、これに隣接するトラックに記録されていたデータに磁気的な影響を与えて記録されていたビット列を変化させてしまうスクウィーズ(Squeeze)という問題が発生する危険性が高まってくる。
【0006】
ヘッドはサーボ情報の位置を基準にしてトラック位置を認識する。したがって、隣接するサーボ情報のピッチが基準ピッチより接近するようにサーボ情報が書き込まれると、結果としてトラック・ピッチが短くなったことに相当しスクウィーズが発生する。このようにサーボ情報のピッチの変動は、トラック・ピッチの変動に相当する。サーボ情報のピッチの変動は、サーボ情報の書き込みに関連する装置に発生する機械的、熱的、および電気的な変動などに起因しているため、上記で説明したプッシュ・ピン方式、セルフ・サーボ方式、およびプリサーボ方式などの書き込み方式において発生する可能性がある。また、サーボ情報のピッチの変動はサーボ面サーボ方式およびデータ面サーボ方式のいずれでも問題になる。
【0007】
サーボ情報のピッチが変動する現象は、基準ピッチに対してプラス方向およびマイナス方向に規則的に変動するAC的変動、またはある範囲で基準ピッチから所定の値だけ変位するDC的変動として観測されるが、いずれにしても製品の出荷前の検査工程で発見して処置する必要がある。特許文献1は、トラック幅を検出するためのトラック幅検査装置に関する技術を開示している。
【特許文献1】特開平7−153212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
トラック・ピッチの検査は製造工程の一部で行う必要があり、生産量の低下をきたさないためにはできるだけ簡易かつ迅速に行う必要がある。特に、磁気ディスクを磁気ディスク装置に組み込んだ後で当該磁気ディスク装置のヘッドを使ってサーボ情報を書き込むセルフ・サーボ方式では、サーボ情報の書き込みを磁気ディスクの組み立ての最終段階で行う必要があるため、STWを使ってトラック・ピッチの検査を行うには製造工程上の制約がある。自らの磁気ディスクに書き込んだサーボ情報を利用してトラック・ピッチの検査を行うことができれば、特別な検査装置を使用する必要がないため検査工程の簡素化に好都合である。しかし、サーボ情報のピッチが基準ピッチから変動するようにバースト・パターンが書き込まれていたとしても、その変動がヘッドが追従できるほどゆるやかであれば、通常の動作ではトラック・ピッチに関する情報を得ることはできない。
【0009】
そこで本発明の目的は、磁気ディスク装置において検査にかかる磁気ディスクに書き込まれたサーボ情報を利用して各トラック・ピッチの変動を検査する方法を提供することにある。さらに本発明の目的は、トラック・ピッチの変動を検出して隣接トラックへ与える影響を未然に防止するトラック・ピッチの検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、データ領域を備え第1のバースト・パターンと第2のバースト・パターンが記録された磁気ディスクと再生ヘッドとを備えた磁気ディスク装置において、前記磁気ディスクのトラック・ピッチを検査する方法であって、前記再生ヘッドに対して基準PESゲインPG0を設定するステップと、前記再生ヘッドを前記第1のバースト・パターンの中心と前記第2のバースト・パターンの中心の間にある位置Kに位置づけるステップと、前記位置Kにおいて前記PG0を使用して、前記第1のバースト・パターンを再生した第1のバースト信号から第1の位置検出信号を生成し、前記第2のバースト・パターンを再生した第2のバースト信号から第2の位置検出信号を生成するステップと、前記第1の位置検出信号と前記第2の位置検出信号の差であるPESΔを計算するステップと、前記PESΔを評価するステップと、前記評価するステップに応答して前記第1のバースト・パターン又は前記第2のバースト・パターンに関連するデータ領域を特定するステップとを有する検査方法を提供する。
【0011】
PG0は、磁気ディスク装置のヘッド毎に設定する理想的な値を使用する。PG0は、検査にかかる磁気ディスクに記録された複数のバースト・パターンについて複数のPESゲインを生成し、それを平均するなどして代表値を得ることにより設定してもよい。位置Kは、再生ヘッドを磁気ディスクの半径方向に移動したとき第1の位置検出信号と第2の位置検出信号が直線的に傾斜して変化する部分が平行になっている領域に対応する位置K1と位置K2の間とすることができる。位置Kは、第1の位置検出信号の値または第2の位置検出信号の値を、第1のバースト・パターンの中心位置に対応する第1の位置検出信号の値と、第2のバースト・パターンの中心位置に対応する第2の位置検出信号の値の中間の値にすることで得ることができる。位置Kは、第1のバースト信号の大きさと第2のバースト信号の大きさが等しくなる位置として得ることができる。PESΔが所定の値より大きい場合は、トラック・ピッチに異常があると判断し、当該バースト・パターンに関連するトラックまたはセクタを一次欠陥マップに登録して使用禁止にする。
【0012】
本発明の第2の態様は、データ領域を備え第1のバースト・パターンと第2のバースト・パターンが記録された磁気ディスクと再生ヘッドとを備えた磁気ディスク装置において、前記磁気ディスクのトラック・ピッチを検査する方法であって、前記再生ヘッドに対して基準PESゲインPG0を設定するステップと、前記再生ヘッドを前記第1のバースト・パターンの中心と前記第2のバースト・パターンの中心の間にある位置Kに位置づけるステップと、前記位置Kにおいて前記PG0を使用して、前記第1のバースト・パターンを再生した第1のバースト信号から第1の位置検出信号を生成し、前記第2のバースト・パターンを再生した第2のバースト信号から第2の位置検出信号を生成するステップと、前記第1の位置検出信号と前記第2の位置検出信号を連続させる条件を満たすPESゲインPGnを計算するステップと、前記PG0と前記PGnの差であるPGΔを計算するステップと、前記PGΔを評価するステップと前記評価するステップに応答して前記第1のバースト・パターン又は前記第2のバースト・パターンに関連するデータ領域を特定するステップとを有する検査方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、磁気ディスク装置において検査にかかる磁気ディスクに書き込まれたサーボ情報を利用して各トラック・ピッチの変動を検査する方法を提供することができた。さらに本発明により、トラック・ピッチの変動を検出して隣接トラックへ与える影響を未然に防止するトラック・ピッチの検査方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は磁気ディスク50におけるサーボ・セクタ100とデータ領域51の構成の一例を示す図である。磁気ディスク50は、データ面サーボ方式を採用する磁気ディスク装置に使用される。データ面サーボ方式では、一つの磁気ディスク装置に一または複数の磁気ディスクを設けて磁気ディスクの記録面が複数存在している場合は、各記録面が同様な構成となる。サーボ・セクタ100は、図1(A)に示すように磁気ディスク50の記録面において半径方向全体に渡って放射状に複数設けられており、それぞれのサーボ・セクタにはサーボ情報が記録されている。サーボ・セクタ100とデータ領域51とは磁気ディスクの円周方向に交互に配置されている。
【0015】
また、磁気ディスク50のデータ領域51には、同心円状に複数のデータ・トラック(以下、単にトラックという。)53が定義されている。トラックは、サーボ情報から得た位置情報に基づいて磁気ディスク50の半径方向における所定の位置に位置づけられた記録ヘッドまたは再生ヘッドが通過する領域である。図1(B)に示すようにデータ領域51は、たとえばそれぞれが512バイトのデータ記録領域として定義されたn個のセクタで構成されている。
【0016】
図2は図1に示した磁気ディスク50の部分的拡大図である。図2には、データ領域51に定義したトラックN−1、トラックN、トラックN+1、およびトラックN+2とそれらにディスク円周方向において隣接するサーボ・セクタ100を示している。サーボ・セクタ100は、識別情報領域101と、バースト・パターン領域103とにより構成されている。バースト・パターン領域103には、磁気ディスク50の半径方向に沿ってそれぞれ配列されたメイン・バースト・パターン列103A、103B、およびサブ・バースト・パターン列103C、103Dが設けられている。各バースト・パターン列103A、103B、103Cおよび103Dは、ディスク半径方向の寸法が同一になるように書き込まれたバースト・パターンA、B、C、およびDで構成されている。
【0017】
メイン・バースト・パターン列103Aと103Bは、ヘッドをディスク半径方向に移動したとき再生信号の位相が相互に180度シフトした位置に記録されており、メイン・バースト・パターンを構成している。また、サブ・バースト・パターン列103Cと103Dは、ヘッドをディスク半径方向に移動したとき再生信号の位相が相互に180度シフトした位置に記録されており、サブ・バースト・パターンを構成している。メイン・バースト・パターンとサブ・バースト・パターンとは、再生信号の位相が相互に90度シフトした関係となるように記録されている。各バースト・パターンのディスク半径方向の寸法すなわちバースト・パターンのピッチ(以下、サーボ・ピッチという。)はトラック・ピッチPに等しくまたトラック53の幅にほぼ等しい。
【0018】
ここで、メイン・バースト・パターンAとメイン・バースト・パターンBが相互に遷移するディスク半径方向の位置をメイン・バースト・パターンの中心といい、サブ・バースト・パターンCとサブ・バースト・パターンDが相互に遷移するディスク半径方向の位置をサブ・バースト・パターンの中心ということにする。また、トラック幅の中心をトラックの中心ということにする。
【0019】
図2に示した磁気ディスクでは、メイン・バースト・パターンの中心と各トラック53の中心とが一致しており、サブ・バースト・パターンの中心と各トラック53の境界またはトラック間のマージンの中心とが一致している。ただし、本発明の範囲はこのような構成に限定されるものではなく、メイン・バースト・パターンの中心とトラックの中心が一致しない構成であっても適用することができる。たとえば、特開2004−30778号公報では、メイン・バースト・パターンの中心とトラックの中心が一致しない磁気ディスク装置を開示している。識別情報領域101の先頭には、サーボ・セクタ開始コードが記録されている。また、識別情報領域101には、トラック識別番号を示すグレイコード(cyclic binary code:巡回2進符号)、およびサーボ・セクタ100の物理的識別番号を示すコード等が記録されている。
【0020】
図3は、図2に示したメイン・バースト・パターン列103A、103Bとサブ・バースト・パターン列103C、103Dとから位置情報信号(本明細書において、PESという。)を生成する原理を説明する図である。メイン・バースト・パターン列103Aを構成するそれぞれのメイン・バースト・パターンは129A、131A、133Aと、メイン・バースト・パターン列103Bを構成するそれぞれのメイン・バースト・パターンは131B、133Bと、サブ・バースト・パターン列103Cを構成するそれぞれのサブ・バースト・パターンは135C、137C、139Cと、サブ・バースト・パターン列103Dを構成するそれぞれのサブ・バースト・パターンは135D、137D、139Dとして示している。
【0021】
一般にバースト・パターンを再生する再生ヘッドに形成するリード・ギャップの寸法は、エラー・レートの向上などの理由でサーボ・ピッチPまたはトラック・ピッチPよりも短くしている。よって、再生ヘッドを回転する磁気ディスクの半径方向に沿ってトラックN−1からN+2に向かって移動させながら、図3(1)に示した各バースト・パターンを読み取って再生すると、メイン・バースト・パターン列103A、103Bからは、図3(2)に示すように変化するメイン位置検出信号(以下、MPESという。)が得られ、サブ・バースト・パターン列103C、103Dからは、図3(3)に示すように変化するサブ位置検出信号(以下、SPESという。)が得られる。ここにMPESおよびSPESは、それぞれ下記の式で計算する。
【0022】
【数1】

【0023】
ここにA、B、C、Dは、各バースト・パターンを再生ヘッドで読み取った値をプリアンプで増幅してデジタル値に変換したバースト信号の大きさを示す値である。PGはPESゲインといわれるパラメータで、MPESおよびSPESの直線部分の傾斜角度を調整するための値である。80h(以下、hは16進数の数字であることを示す。)および100hはバイアス値であり、式(2)においては、後に説明するようにMPESとSPESを連続させてPESを生成する際、サブ・バースト・パターンの位置に対する再生ヘッドの位置により100hを加える場合と加えない場合がある。
【0024】
図3においては、磁気ディスク50上の半径方向の位置は再生ヘッドのリード・ギャップの中心、詳しくいえばリード・ギャップの磁気的な中心の位置として示している。以後、再生ヘッドの位置という場合はリード・ギャップの中心を意味していることにする。図3(2)に示すように、MPESは、再生ヘッドがメイン・バースト・パターン131Bと131Aで形成するメイン・バースト・パターンの中心143、およびメイン・バースト・パターン131Aと133Bで形成するメイン・バースト・パターンの中心145の近辺を通過する際に直線的に増加または減少するように変化しているが、サブ・バースト・パターン135Cと137Dで形成するサブ・バースト・パターンの中心147、およびサブ・バースト・パターン137Dと137Cで形成するサブ・バースト・パターンの中心149の近辺を通過する際には値が一定になる部分を含む。
【0025】
また、図3(3)に示すようにSPESは、サブ・バースト・パターンの中心147、およびサブ・バースト・パターンの中心149の近辺を通過する際には直線的に増加または減少するように変化しているが、メイン・バースト・パターンの中心143およびメイン・バースト・パターンの中心145の近辺を通過する際には値が一定になる部分を含む。
【0026】
これは先に述べたように、再生ヘッドのリード・ギャップの長手方向寸法が各バースト・パターンのディスク半径方向の長さよりも短くなっているために生じる。MPESまたはSPESの値が再生ヘッドを移動しても一定になる部分は不感帯といわれ、再生ヘッドが不感帯の位置にあるときはMPESまたはSPESから再生ヘッドの位置情報を得ることができない。本実施例では、メイン・バースト・パターンの中心143、145で代表されるサーボ・ピッチPの間に存在する再生ヘッドの位置を256通りのデジタル値で表すことにしている。磁気ディスク装置は、0ないし255のデジタル値から再生ヘッドのディスク半径方向の位置を認識する。
【0027】
式1に示したようにMPESはバイアス値80hを中心にして変化している。一方、SPESの変化はMPESと同様であるが、その中心はバイアス値100hまたは0hである。磁気ディスク装置は、再生ヘッドのディスク半径方向における位置の変化をMPESまたはSPESの変化として認識するため、MPESは、直線的な変化をするメイン・バースト・パターンの中心143、145の近辺では位置情報としての利用が可能である。しかしMPESは、サブ・バースト・パターンの中心147、149の近辺では、再生ヘッドの位置が変化しても値が変化しないので位置情報として利用することができない。
【0028】
しかし、サブ・バースト・パターンの中心147、149の近辺では、SPESが直線的な変化をしているため、再生ヘッドがこの位置にあるときはSPESを利用するようにする。このように再生ヘッドの位置に応じて使用する位置情報信号をMPESとSPESとの間で切り替えることによりMPESおよびSPESからヘッドの位置制御にとって良好なPESを得ている。
【0029】
図3(4)は、MPESとSPESの直線部を組み合わせて生成したPESを示している。PESを生成する過程でSPESについては、SPESが増加する領域ではバイアス値100hを加え、減少する領域ではバイアス値を加えないようにしている。さらにその結果SPESが100hを超えることになる部分は100hから超えた値を100hから減算し、0h以下になる部分は0h以下の値の絶対値を0hに加えるように演算して、図3(4)のような0hと100hで折り返した繰り返し特性のPESを得ている。
【0030】
再生ヘッドがディスク半径方向において各メイン・バースト・パターンの中心からサーボ・ピッチPの1/4以内の位置にあるときはMPESを使用し、サーボ・ピッチPの1/4以上離れている位置にあるときはバイアス値が設定されたSPESを使用する。再生ヘッドがメイン・バースト・パターンの中心からサーボ・ピッチPの1/4離れた位置では、MPESがC0hまたは40hになるので、PESを生成するためのMPESとSPES間の切り換えはMPESのC0hおよび40hの値を利用して行う。バイアス値を設定した後のSPESの値は、メイン・バースト・パターンの中心からサーボ・ピッチPの1/4離れた位置でMPESの値と同じになるので、MPESとSPESの切り替えは、SPESの値を利用しても行うことができる。
【0031】
つぎに図4を参照してPESゲインについて説明する。図4は、図3(4)に示したメイン・バースト・パターンの中心143からサブ・バースト・パターンの中心149までの範囲において、バースト信号からPESゲインPGXを使用して計算したMPESとSPESを示している。図4では、MPES111とSPES113が1本の直線的なPES119のように繋がることができずに分離している。
【0032】
MPES111とSPES113とが図4のように連続していない状態において、再生ヘッドがメイン・バースト・パターンの中心143とサブ・バースト・パターンの中心149の中間に相当する位置P/4にきたときに、PESが使用する位置検出信号をMPESとSPESとの間で変更すると、再生ヘッドの位置が変化しないにもかかわらず、PESの値がX1に対応する値とX2に対応する値との間で変化するので安定してヘッドの位置制御をすることができない。このような分離しているMPESとSPESを連続させるために使用するパラメータがPESゲインである。
【0033】
磁気ディスク装置を組み立てた状態ではPESゲインが適切に設定されていないので、MPES111とSPES113は任意のPESゲインPGXのもとで図4に示すような状態になっている。離れた状態にあるMPES111とSPES113を繋がらせて1本のPES119にするために製造の検査工程では、PESゲインをPG0に設定している。PG0は、MPES111とSPES113が直線部分で連続するように繋げるための理想的な値である。理想的なPESゲインを得る方法は、特開平9−180388号に記載されている。
【0034】
図5は、PESゲインが最適な値である基準PESゲインPG0に設定されているときに、メイン・バースト・パターンの中心143とサブ・バースト・パターンの中心149との距離(以下、この距離をハーフ・サーボ・ピッチHSPという。)が変化したときのPESの状態を説明する図である。図5において、メイン・バースト・パターンの中心143とサブ・バースト・パターンの中心149との距離は、サーボ情報を記録するときに計画していた理想的なHSPであり、これを基準HSPということにする。図5においては、基準HSPで書き込まれたメイン・バースト・パターンとサブ・バースト・パターンから再生したバースト信号で計算したMPES111とSPES113が1本の直線で連続するようにPESゲインがPG0に設定されている。
【0035】
ここで、PESゲインがPG0に維持されている状態で、バースト・パターンのHSPが基準HSPから変化するように書き込まれている場合のPESを検討する。たとえば、図3のサブ・バースト・パターンの中心149がメイン・バースト・パターンの中心143に対して151となるようにサブ・バースト・パターン137D、137Cが書き込まれて、HSPが基準HSPより短くなったとする。中心を151とするサブ・バースト・パターン137D、137Cを読み取ったバースト信号からPG0を使用して計算したSPES115は、SPES113が図の左方向に平行移動したものとなる。その結果図5のように、MPES111とSPES115は連続しなくなる。再生ヘッドが基準HSPの中間の位置であるP/4にあるときは、MPES111とSPES115との値にはY1に相当するPES1とC0hの差ができる。
【0036】
また、図3のサブ・バースト・パターンの中心149がメイン・バースト・パターンの中心143に対して153となるようにサブ・バースト・パターン137D、137Cが書き込まれ、HSPが基準HSPより長くなったとする。中心を153とするサブ・バースト・パターン137D、137Cを読み取ったバースト信号からPG0を使用して計算したSPES117は、SPES113が図の右方向に平行移動したものとなる。その結果、MPES111とSPES117は連続しなくなる。再生ヘッドが基準HSPの中間の位置であるP/4にあるときは、MPES111とSPES117との値にはC0hと、Y2に相当するPES2との差ができる。
【0037】
このことより、あるサーボ・パターンに関するHSPの基準HSPに対する変動を、再生ヘッドを所定位置に位置づけたときのMPESとSPESの差として検出することができることがわかる。記録ヘッドは再生ヘッドが生成したバースト信号に基づいて所定のトラックの中心に位置づけられるので、HSPの変動を検出することでサーボ・ピッチの変動またはトラック・ピッチの変動を検出することができる。
【0038】
この知見に基づいて、図6のフローチャートを参照して、本実施の形態にかかるトラック・ピッチの検査手順を説明する。ブロック201では、検査にかかる磁気ディスクと再生ヘッドとの組み合わせに対応する基準PESゲインPG0を設定する。PG0は、MPESとSPESを1本の直線に連続させる値である。PG0は、再生ヘッドおよびHSPにより変化するので、本来は再生ヘッド毎およびバースト・パターン毎に求めることになるがPG0の数が多くなりすぎて現実的ではない。実際に書き込まれたバースト・パターンのHSPは、基準HSPに完全には一致しないが、ほとんどのバースト・パターンのHSPは基準HSPに対して許容範囲内になっており、許容できないHSPで書き込まれるバースト・パターンは局所的に発生している程度である。これを前提にして、図8を参照してPG0を現実的に設定する方法を説明する。
【0039】
図8において、磁気ディスク装置は組み立てが完了しただけの状態で、PESゲインは任意の値PGXに設定されているものとする。PGXのもとで、再生ヘッドをディスク半径方向に移動したときメイン・バースト・パターン131Bと131Aを読み取ってMPES171が得られる。MPES171を生成したPGXを調整して、理想的なMPES173を生成するための基準PESゲインPG0を求めるために、再生ヘッドをHSPの中間位置P/4に位置づける。中間位置P/4は、図4のメイン・バースト・パターンの中心143とサブ・バースト・パターンの中心149の中間位置に相当する。
【0040】
位置P/4に位置づけるには、図3において、メイン・バースト・パターン131Aとサブ・バースト・パターン137Dのバースト信号の大きさが等しくなる位置を選択する。あるいは、メイン・バースト・パターン133Bと137Cのバースト信号が等しくなる位置でもよい。一般には、メイン・バースト・パターンとサブ・バースト・パターンの値が等しくなる位置を選択する。つぎに再生ヘッドをP/4の位置に位置づけた状態でMPESを測定し、その値をMPES(X)とする。MPESとSPESが連続する理想的なMPES173では、再生ヘッドがP/4の位置にあるときのPESの値はC0hである。よって、基準PESゲインPG0は、式(3)を使って求めることができる。
【0041】
【数2】

【0042】
PG0は、再生ヘッドおよびバースト・パターンのHSP毎に定めることができるが、本実施例では磁気ディスク全体に渡って使用できる理想的な値として設定する基準PESゲインPG0をつぎのようにして求める。まず、磁気ディスクに書き込まれた複数のバースト・パターンを選択し、それぞれからバースト信号を再生して複数のMPES(X)を計算する。つぎに複数のMPES(X)について式(3)を使って複数のPG0(n)を求めPG0(n)の代表値として平均値を計算し基準PESゲインPG0と設定する。PG0(n)の代表値を決定するときは、中央値などの平均以外の方法を採用してもよい。
【0043】
選択するバースト・パターンの数は、たとえば、一つのトラックに対応して168個のサーボ・セクタを設けている場合、磁気ディスクの一つの記録面について16個のサーボ・トラックを選択して合計2688個程度とすることができる。選択するバースト・パターンの位置は磁気ディスクの半径方向および円周方向に渡って記録されている位置が偏らないように選択して、HSPの局所的な変化の影響を少なくする。基準PESゲインPG0は、再生ヘッド毎または記録面毎に設定して磁気ディスク装置のメモリに格納しておく。
【0044】
ブロック203では、再生ヘッドを検査対象となるバースト・パターンに関連するHSP(以下、これを検査HSPという。)の中間付近の位置Kに移動する。図9を参照して位置Kについて説明する。図9では、図5からMPES111とSPES115を取り出して、PESが一定になっている部分と傾斜している部分を簡略的に直線で結んでいる。MPES111およびSPES115には、直線的に傾斜している部分がある。メイン・バースト・パターンの中心143またはサブ・バースト・パターンの中心151に平行な直線181および183で画定される位置K1と位置K2の範囲では、MPES111とSPES115は傾斜して直線的に変化する部分が平行になっている。
【0045】
MPES111とSPES115の傾斜している直線部分が平行になっている領域の中に再生ヘッドを位置づけてバースト信号を再生すると、MPES111とSPES115の差であるPESΔはいずれの場所で測定しても同じ値になり、PESΔは検査HSPの基準HSPに対する変動を検出する上で安定した代用特性になる。すなわち、再生ヘッドがMPES111とSPES115のそれぞれの傾斜している直線部が平行になっている領域に位置づけられる限り、PESΔは検査HSPの基準HSPに対する変動の量と相関がある代用特性になり得る。したがって、位置Kは、位置K1と位置K2の間で選択する。位置Kが位置K1と位置K2の範囲から外れると精度が悪くなるが、少し外れる程度であればHSPの変動の傾向を把握することはできる。図5のMPES111とSPES117との関係についても同様にして位置Kを獲得することができる。
【0046】
位置Kを設定する一つの方法としては、図9においてMPES111がC0hになる位置に再生ヘッドを位置づけることが挙げられる。MPESがC0hになる再生ヘッドの位置は、バースト・パターンが基準HSPで書き込まれている場合の基準HSPの中間位置であり、検査HSPのずれが極端に大きくはならないという蓋然性にたてば、図9の位置K1と位置K2の間にあるといえる。図9から明らかなように、MPES111の値をC0hとして選択して再生ヘッドを位置づけることは一例であり、C0hに近い他の値を採用しても再生ヘッドを位置K1と位置K2の間に位置づけてPESΔを測定することができる。さらに、MPES111に代えてSPES115を所定の値にする位置に再生ヘッドを位置づけてもよい。
【0047】
位置Kを設定する他の方法としては、図3に示したメイン・バースト・パターン131Aとサブ・バースト・パターン137Dが等しくなる位置に再生ヘッドを位置づけることが挙げられる。再生ヘッドが読み取るバースト・パターンがメイン・バースト・パターン131Aからサブ・バースト・パターン137Dに移行する間、再生ヘッドの位置の変化はさほど大きくないので、この方法でも位置Kを位置K1と位置K2の間または検査HSPの中間位置に設定することができる。図3から明らかなように、ディスク半径方向の他の位置では、メイン・バースト・パターン133Bとサブ・バースト・パターン137Cが等しくなる位置に再生ヘッドを位置づけてもよい。一般的には、メイン・バースト・パターンとサブ・バースト・パターンから再生したバースト信号が等しくなる位置である。
【0048】
つぎにブロック205では、再生ヘッドを位置Kに位置づけて読み取ったバースト信号から、式(1)、式(2)にPG0を適用してMPES、SPESを計算する。図5に例示したSPES113に対しては式(2)で、SPES115にバイアス値100hを加える。ブロック207では計算したMPES111とSPES115の差であるPESΔを計算する。つづいてブロック209では、PESΔの値が所定の範囲を超えるかどうかを判断する。SPESとMPESとの差がプラスの場合は検査HSPが基準HSPより狭いことになり、差がマイナスの場合は検査HSPが基準HSPより広いことになる。本実施例では、検査HSPが基準HSPより広くても狭くてもPESΔの絶対値が所定値以上であれば、トラック・ピッチに異常があると判断する。
【0049】
PESΔが所定の範囲を超える場合はトラック・ピッチが異常であり、ブロック211に移行して当該バースト・パターンに関連するトラックまたはセクタの使用を禁止するようにトラックまたはセクタのアドレス情報を一次欠陥マップに登録する。当該バースト・パターンに関連するトラックとは、トラック・ピッチの異常を示すPESΔを生成することに関連しているバースト・パターンを位置制御に使用しているトラックという意味であり、図3の例では、メイン・バースト・パターン131B、131Aまたはサブ・バースト・パターン137D、137Cのいずれかを位置制御に使用するトラックである。
【0050】
また、当該バースト・パターンに関連するセクタとは、当該バースト・パターンのバースト信号を使って位置決めされるトラックに含まれるセクタの中で、当該バースト・パターンにディスク円周方向で近接する位置に配置されたデータ領域に含まれるセクタという意味である。一次欠陥マップは、磁気ディスク装置を出荷する前に磁気ディスクの表面検査をして不良セクタを検出し、その論理ブロック・アドレスを登録して使用禁止にするためのテーブルで当業者には周知な技術である。ブロック209でPESΔが所定の範囲内にあれば、ブロック203に戻って、さらに他のバースト・パターンについて検査し、同様の手順で記録面全体に渡って検査および登録を行う。磁気ディスク装置が複数のヘッドを備えている場合は、一つの記録面の検査が終了したらヘッドを切り替えて他の記録面についての検査および登録を行う。このときPG0は、切り換えられたヘッドについて設定した値を使用する。
【0051】
つぎに図7および図10を参照してトラック・ピッチの変動を検出して欠陥登録する他の手順を説明する。図7のフローチャートでは、ブロック301、303、305、311はそれぞれ図6のフローチャートのブロック201、203、205、211と同じなので説明を省略する。図10のMPES111とSPES115は、図9に示したものと同じである。サブ・バースト・パターン137D、137Cの中心が151となって、検査HSPが基準HSPより狭いためにMPES111とSPES115はライン123上で連続していない。ブロック306では、MPES111とSPES115を1本の直線で連続させるためのPESゲインPGnを計算する。
【0052】
MPES111とSPES115がライン123上で連続する場合には、検査HSPの中間位置KにおけるMPES111およびSPES115がC0hになる。したがって、再生ヘッドを位置Kに位置づけたときのSPES115とMPES111の中間値SにおけるPESの値をC0hにするためのPGnは式(3)で計算することができる。
【0053】
【数3】

【0054】
式(4)においてPESΔ/2のマイナスの符号は、検査HSPが基準HSPより狭いSPES115についてPGnを計算する場合に適用する。本発明において位置KはPGnを代用特性として利用して検査HSPの変動を検出する目的で定める位置であるため、再生ヘッドを厳密に検査HSPの中間位置に位置づける必要はなく、図6のブロック203で説明した方法を採用できる。ブロック307では、PGnとPG0との差PGΔを計算する。ブロック309では、PGΔが所定の範囲にあるかどうかを判断する。PGnがPG0より大きい場合は、検査HSPが基準HSPより狭いことに相当し、PGnがPG0より小さい場合は、検査HSPが基準HSPより広いことに相当する。本実施例では、ブロック209と同様にPGΔの値を絶対値で評価する。PGnの計算は、基準PESゲインPG0を計算するプログラムを利用することができるので、再生ヘッドを位置Kに位置づけるだけでトラック・ピッチの変動を容易に検出することができる。
【0055】
図11は、磁気ディスク装置の本発明の実施に関連する要素を示すブロック図である。磁気ディスク50は1枚または複数枚の積層構造を採用しており、各磁気ディスクの表面と裏面が記録領域となってサーボ情報が書き込まれている。スライダ59には記録ヘッドと再生ヘッドが設けられている。スライダ59は、磁気ディスク50の各記録面に対応するだけの数が用意され、各スライダには同一構成の記録ヘッドと再生ヘッドが設けられている。スライダ59は、アクチュエータ・アーム・アセンブリ68に取り付けられている。
【0056】
アクチュエータ・アーム・アセンブリ68はボイス・コイル・モータ(VCM)69により駆動されて、ピボット軸を中心にして回動する。ヘッドにはプリアンプ61が接続されている。プリアンプ61は、再生ヘッドが磁気ディスク50から再生した信号を増幅し、あるいは、記録ヘッドが磁気ディスク50に書き込む信号を増幅する。アナログ・デジタル変換器(A/D)63は、再生ヘッドが再生したアナログ・データをデジタル・データに変換する。ゲート・パルス変換器67は、バースト信号A、B、C、Dを検出してアナログ/デジタル変換器63がMPES/SPES演算部65に送るバースト信号を選択する。MPES/SPES演算部65は、バースト信号A、B、C、D、PESゲインPGを用いて、式(1)、式(2)によりMPESおよびSPESを計算する。
【0057】
EEPROM71は、ヘッド毎に求めた基準PESゲインPG0、一次欠陥マップなどを記憶する。MPU73は、MPES/SPES演算部65から受け取ったMPESおよびSPESからヘッドの位置を計算し、ドライバ75にVCM69を制御するための信号を送る。さらに、MPU73は、図6、図7で説明した手順に従って磁気ディスク装置の動作を制御する。さらにMPU73は、PESΔ、PGΔを計算してトラック・ピッチの異常を検出し、トラックまたはセクタ情報を一次欠陥マップに登録する。ドライバ75は、MPU73から送られたデジタル信号からVCM69の制御電流を生成する。ここに示した構成は一例であり、本発明を実施する上で当業者に明らかないかなる構成を採用することもできる。
【0058】
本発明にかかるトラック・ピッチの検査方法に使用するPG0は、磁気ディスク装置の製造段階の検査工程で必ず設定している。したがって、本実施の形態にかかるトラック・ピッチの検査方法によれば、図6および図7で説明した手順を実行するプログラムを磁気ディスク装置に組み込み、PG0を調整する検査工程の後で簡易に実行することができる。本発明は、サーボ面サーボ方式、データ面サーボ方式に適用することができるが、STWを使用しないでサーボ情報を書き込むセルフ・サーボ方式の磁気ディスク装置では、特別な装置を使用しないでトラック・ピッチの検査をすることができるので特に都合がよい。また、本発明によりトラック・ピッチの検査を磁気ディスク装置の検査工程の中に組み込むことができるので工程の簡素化を図ることができる。さらに検出した欠陥トラックのアドレスを一次欠陥マップに登録して使用禁止にすることで、ユーザがピッチの狭いトラックを使用する危険性を排除して品質保証能力を向上することができる。
【0059】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】磁気ディスクの構成を示す図である。
【図2】磁気ディスクの部分的な拡大図である。
【図3】バースト・パターンからPESを生成する原理を説明する図である。
【図4】PESゲインを説明する図である。
【図5】メイン・バースト・パターンの中心とサブ・バースト・パターンの中心との距離が変化したときのPESの特性を示す。
【図6】トラック・ピッチの変動を検出して欠陥登録する手順を説明するフローチャートである。
【図7】トラック・ピッチの変動を検出して欠陥登録する手順を説明するフローチャートである。
【図8】基準PESゲインPG0の設定方法を説明する図である。
【図9】位置Kを説明するための図である。
【図10】PGnの計算方法を説明するための図である。
【図11】磁気ディスク装置の本発明の実施に関連する要素を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
50 磁気ディスク
51 データ領域
53 トラック
100 サーボ・セクタ
101 識別情報領域
103 バースト・パターン領域
111、173 MPES
113、115、117 SPES
119、123 PES
143、145 メイン・バースト・パターンの中心
147、149、151、153 サブ・バースト・パターンの中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ領域を備え第1のバースト・パターンと第2のバースト・パターンが記録された磁気ディスクと、再生ヘッドとを備えた磁気ディスク装置において、前記磁気ディスクのトラック・ピッチを検査する方法であって、
前記再生ヘッドに対して基準PESゲインPG0を設定するステップと、
前記再生ヘッドを前記第1のバースト・パターンの中心と前記第2のバースト・パターンの中心の間にある位置Kに位置づけるステップと、
前記位置Kにおいて前記PG0を使用して、前記第1のバースト・パターンを再生した第1のバースト信号から第1の位置検出信号を生成し、前記第2のバースト・パターンを再生した第2のバースト信号から第2の位置検出信号を生成するステップと、
前記第1の位置検出信号と前記第2の位置検出信号の差であるPESΔを計算するステップと、
前記PESΔを評価するステップと、
前記評価するステップに応答して前記第1のバースト・パターン又は前記第2のバースト・パターンに関連するデータ領域を特定するステップと
を有する検査方法。
【請求項2】
前記PG0を設定するステップが、前記磁気ディスク上の複数のバースト・パターンについて前記第1の位置検出信号と前記第2の位置検出信号とをそれぞれのバースト・パターンにおいて連続させる条件を満たすPESゲインを複数計算するステップを含む請求項1記載の検査方法。
【請求項3】
前記磁気ディスク装置が複数の再生ヘッドを備え、前記PG0を設定するステップが前記複数の再生ヘッドのそれぞれについて設定するステップを含む請求項1記載の検査方法。
【請求項4】
前記再生ヘッドを前記位置Kに位置づけるステップが、前記再生ヘッドを移動したとき前記第1の位置検出信号と前記第2の位置検出信号が直線的に傾斜して変化する部分が平行になっている領域に対応する位置K1と位置K2の間に位置づけるステップを含む請求項1記載の検査方法。
【請求項5】
前記再生ヘッドを前記位置Kに位置づけるステップが、前記第1の位置検出信号の値又は前記第2の位置検出信号の値を所定値に設定するステップを含む請求項1記載の検査方法。
【請求項6】
前記所定値が前記第1のバースト・パターンの中心位置に対応する前記第1の位置検出信号の値と、前記第2のバースト・パターンの中心位置に対応する前記第2の位置検出信号の値の中間の値である請求項5記載の検査方法。
【請求項7】
前記再生ヘッドを前記位置Kに位置づけるステップが、前記第1のバースト信号の大きさと前記第2のバースト信号の大きさが等しくなる位置を選択するステップを含む請求項1記載の検査方法。
【請求項8】
前記データ領域を特定するステップが、前記PESΔが所定の範囲を超えるとき前記第1のバースト・パターン又は前記第2のバースト・パターンに関連するデータ領域を登録するステップを含む請求項1記載の検査方法。
【請求項9】
前記関連するデータ領域がデータ・トラックである請求項8記載の検査方法。
【請求項10】
前記関連するデータ領域がセクタである請求項8記載の検査方法。
【請求項11】
前記データ領域を登録するステップが、前記磁気ディスクの欠陥セクタを登録する欠陥マップに登録するステップを含む請求項8記載の検査方法。
【請求項12】
前記第1のバースト・パターンと前記第2のバースト・パターンとが、前記磁気ディスクの半径方向においてそれぞれのバースト信号の位相が90度ずれるように記録されている請求項1記載の検査方法。
【請求項13】
前記バースト・パターンは、前記磁気ディスク装置が備える記録ヘッドによってセルフ・サーボ方式で書き込まれている請求項1記載の検査方法。
【請求項14】
前記磁気ディスク装置がデータ面サーボ方式を採用する請求項1記載の検査方法。
【請求項15】
データ領域を備え第1のバースト・パターンと第2のバースト・パターンが記録された磁気ディスクと、再生ヘッドとを備えた磁気ディスク装置において、前記磁気ディスクのトラック・ピッチを検査する方法であって、
前記再生ヘッドに対して基準PESゲインPG0を設定するステップと、
前記再生ヘッドを前記第1のバースト・パターンの中心と前記第2のバースト・パターンの中心の間にある位置Kに位置づけるステップと、
前記位置Kにおいて前記PG0を使用して、前記第1のバースト・パターンを再生した第1のバースト信号から第1の位置検出信号を生成し、前記第2のバースト・パターンを再生した第2のバースト信号から第2の位置検出信号を生成するステップと、
前記第1の位置検出信号と前記第2の位置検出信号を連続させる条件を満たすPESゲインPGnを計算するステップと、
前記PG0と前記PGnの差であるPGΔを計算するステップと、
前記PGΔを評価するステップと
前記評価するステップに応答して前記第1のバースト・パターン又は前記第2のバースト・パターンに関連するデータ領域を特定するステップと
を有する検査方法。
【請求項16】
前記PGnを計算するステップが、前記位置Kにおいて前記第1の位置検出信号又は前記第2の位置検出信号が、前記位置Kにおいて前記PG0を使用して測定した前記第1の位置検出信号の値と前記第2の位置検出信号の値の中間値Sとなるように前記PGnを計算するステップを含む請求項15記載の検査方法。
【請求項17】
前記再生ヘッドを前記位置Kに位置づけるステップが、前記第1の位置検出信号の値または前記第2の位置検出信号の値を所定値に設定するステップを含む請求項15記載の検査方法。
【請求項18】
前記再生ヘッドを前記位置Kに位置づけるステップが、前記第1のバースト信号の大きさと前記第2のバースト信号の大きさが等しくなる位置を選択するステップを含む請求項15記載の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−48745(P2006−48745A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223849(P2004−223849)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】