説明

磁気プローブ

検査対象や要求検出精度に応じて自由に形状などの変更が可能な検出コイルを用いる磁気プローブにおいて、被検体の表面に沿う方向の磁束変化を精度良く検出できるようにする。金属成分を含む被検体2の内部及び/又は被検体2の表面空間に交流磁界を発生させながら、被検体2の表面近傍で磁束変化を検出する磁気プローブ1であって、複数の被検体近接部3aを有し、被検体2の内部及び/又は被検体2の表面空間を存して、ループ状の磁気回路を形成する強磁性体のコア3と、コア3を交流励磁し、被検体2の内部及び/又は被検体2の表面空間に、被検体2の表面に沿う交流磁界を発生させる励磁コイル4と、コイル中心線が被検体2の表面に沿い、かつ、コイル外周面が被検体2の表面に局部的に対向するように配置され、被検体2の表面近傍で磁束変化を検出する検出コイル5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、金属成分を含む被検体の表面検査、探傷検査、残留応力検査、材質検査などに用いられる磁気プローブの技術分野に属し、特に、検査対象や要求検出精度に応じて自由に形状などの変更が可能な検出コイルを用いながら、高精度な検査を行うことができる磁気プローブに関する。
【背景技術】
磁気、特に交流磁界を利用し、金属成分を含む被検体の各種検査を行う磁気プローブが知られている。この種の磁気プローブは、金属成分を含む被検体の表面検査、探傷検査、残留応力検査、材質検査などで既に利用されているが、その利用範囲を広げるために、検出精度を向上させることが強く要望されている。
そこで、被検体の内部や被検体の表面空間を存して、ループ状の磁気回路を形成するコ字状のコアと、このコアを交流励磁して、被検体の内部や被検体の表面空間に交流磁界を発生させる励磁コイルと、被検体の表面近傍で局部的に磁束変化を検出する検出コイルとを備える磁気プローブが提案されている(例えば、特開昭60−17351号公報参照。)。
上記のように構成された磁気プローブは、被検体と共に磁気回路を形成するため、被検体の所望の位置に局部的な強い磁界を発生させることができ、また、励磁部と検出部が独立しているため、検出コイルを小型化できるという利点がある。
しかしながら、上記従来の磁気プローブは、コイル中心線が被検体の表面に対して垂直方向を向くように配置された検出コイルや、ホール素子などの汎用の磁気検出素子を用いて磁束変化を検出するため、検出精度に限界があったり、磁気プローブの用途が限定されるという問題があった。
つまり、励磁コイルが発生させる交流磁界は、被検体の表面に対して略平行であり、被検体の表面形状や傷などによる磁気的な変化は、主に被検体の表面に沿う磁束の変化として現れるが、被検体の表面に対して垂直に配置された検出コイルは、磁束変化の垂直成分のみを検出するため、被検体の表面に沿う磁束の微小な密度変化までは検出できないという欠点がある。
また、磁気プローブにおいては、検査対象や要求検出精度に応じて、検出部の形状を適宜変更する必要があるが、ホール素子などの磁気検出素子は、予めサイズが規定され、形状変更の自由度が低いため、磁気プローブの用途が限定されたり、要求精度を確保できないといった不都合を招く欠点がある。
本発明の目的は、励磁コイル及びコアによってループ状の磁気回路を形成しつつ、被検体の表面近傍で局部的に磁束変化を検出するにあたり、汎用の磁気検出素子を用いることなく、検査対象や要求検出精度に応じて自由に形状などの変更が可能な検出コイルを用いるものでありながら、被検体の表面に沿う方向の磁束変化をきわめて精度良く検出することができる磁気プローブを提供することにある。
【発明の開示】
上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、金属成分を含む被検体の内部及び/又は被検体の表面空間に交流磁界を発生させながら、被検体の表面近傍で磁束変化を検出する磁気プローブであって、複数の被検体近接部を有し、被検体の内部及び/又は被検体の表面空間を存して、ループ状の磁気回路を形成する強磁性体のコアと、前記コアを交流励磁し、被検体の内部及び/又は被検体の表面空間に、被検体の表面に沿う交流磁界を発生させる励磁コイルと、コイル中心線が被検体の表面に沿い、かつ、コイル外周面が被検体の表面に局部的に対向するように配置され、被検体の表面近傍で磁束変化を検出する検出コイルとを備えることを特徴とする。
磁気プローブをこのように構成すれば、励磁コイル及びコアによってループ状の磁気回路を形成しつつ、被検体の表面近傍における局部的な磁束変化を検出するにあたり、ホール素子などの磁気検出素子を用いることなく、検査対象や要求検出精度に応じて自由に形状などの変更が可能な検出コイルを用いるものでありながら、検出コイルを、コイル中心線が被検体の表面に沿い、かつ、コイル外周面が被検体の表面に局部的に対向するように配置することにより、被検体の表面に沿う方向の磁束変化をきわめて精度良く検出することが可能になる。しかも、このように配置した検出コイルは、被検体の表面に沿う方向の小型化が容易であるため、磁気プローブを走査(又は被検体を移動)させながら、被検体の表面を検査する場合、その分解能を容易に向上させることができる。
また、前記検出コイルは、差分電圧を検出可能な差動コイルであり、該差動コイルを構成する一対のコイルが、被検体の表面に沿って並ぶことを特徴とする。この場合においては、コイルの固有誤差や温度誤差を相殺して、検出精度を更に向上させることができる。
また、前記検出コイルは、コイル中心線方向の厚さが薄い渦巻コイルを用いて構成されることを特徴とする。この場合においては、磁気プローブ又は被検体を、検出コイルのコイル中心線方向に走査しながら検査を行うことにより、磁気プローブの分解能を高めることができる。
また、前記検出コイルは、絶縁体からなるベース材に薄膜状の回路パターンとして形成されることを特徴とする。この場合においては、検出コイルのコイル中心線方向の厚さを飛躍的に薄くし、磁気プローブの分解能を更に高めることができる。
また、前記検出コイルは、差分電圧を検出可能な差動コイルであり、該差動コイルを構成する一対のコイルが、前記ベース材を挟んで積層状に形成されることを特徴とする。この場合においては、磁気プローブの分解能を飛躍的に向上させることができるだけでなく、コイルの固有誤差や温度誤差を相殺して、信頼性の高い検査データを得ることができる。また、薄膜基板用のベース材を使用すれば、既存の薄膜基板製造技術によって、きわめて薄い検出コイルを形成することができる。
また、前記検出コイルは、被検体の表面に沿って並ぶように複数設けられることを特徴とする。この場合においては、磁気プローブ又は被検体を、検出コイルの配列方向に対して、直交方向に走査することにより、2次元の検出データを得ることができ、また、複数の検出コイルを2次元に配列すれば、磁気プローブや被検体を走査しなくても、2次元の検出データを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、磁気プローブの基本構成を示す側面図である。
第2図は、検出コイルの基本形を示す斜視図である。
第3図は、検出回路を示すブロック図である。
第4図(A)〜(F)はコアの各種実施形態を示す説明図である。
第5図(A)〜(C)は励磁コイルの各種実施形態を示す説明図である。
第6図(A)〜(C)は検出コイルの各種実施形態を示す説明図であり、(A)は検出コイルの側面図、(B)は検出コイルの平面図、(C)は検出コイルの側断面図である。
第7図(A)〜(C)は検出コイルの各種実施形態を示す説明図であり、(A)は検出コイルの正面図および側面図、(B)は検出コイルの正面図、(C)は検出コイルの平面図である。
第8図(A)〜(E)はコア及び検出コイルの配置例を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[磁気プローブ]
まず、本発明に係る磁気プローブの基本的な構成について説明する。第1図は、磁気プローブの基本構成を示す側面図である。この図に示される磁気プローブ1は、金属成分を含む被検体2の内部や表面空間に交流磁界を発生させながら、被検体2の表面近傍で磁束変化を検出するために、少なくともコア3、励磁コイル4及び検出コイル5を備えて構成されている。
コア3は、複数の被検体近接部3aを有しており、被検体2の内部や表面空間を存して、ループ状の磁気回路を形成するように、強磁性材料を用いて形成されている。
励磁コイル4は、コア3に巻装され、所定周波数の交流電圧が印加される。励磁コイル4に交流電圧を印加すると、コア3が交流励磁され、被検体2の内部や表面空間に、被検体2の表面に沿う交流磁界が発生する。この交流磁界の磁束は、被検体2の材質(磁束変化要因:透磁率、導電率など)、表面状態(磁束変化要因:透磁率、伝導率、渦電流、検出ギャップ、漏れ磁束など)、内部状態(磁束変化要因:透磁率、伝導率、渦電流、漏れ磁束など)などに応じて変化する。この磁束変化には、被検体2の表面に平行な成分と、被検体2の表面に垂直な成分とが含まれており、比較的大きい磁束変化の場合は、垂直成分にも大きな変化が現れるが、微小な磁束変化の場合は、垂直成分が殆ど変化せず、主に平行成分に変化が現れる。
検出コイル5は、コイル中心線が被検体2の表面に沿い、かつ、コイル外周面が被検体2の表面に局部的に対向するように配置され、被検体2の表面近傍で磁束変化を検出する。つまり、本発明の磁気プローブ1は、励磁コイル4及びコア3によってループ状の磁気回路を形成しつつ、被検体2の表面近傍における局部的な磁束変化を検出するにあたり、検出コイル5を、被検体2の表面に対して垂直方向に配置することなく、コイル中心線が被検体2の表面に沿うように配置している。これにより、垂直成分が殆ど変化せず、主に平行成分が変化するような微小な磁束変化であっても、精度良く検出することが可能になる。
[検出回路]
第2図は、検出コイルの基本形を示す斜視図、第3図は、検出回路を示すブロック図である。第2図に示される検出コイル5は、差分電圧を検出可能な差動コイルである。差動コイルを構成する一対のコイルL1、L2は、被検体2の表面に沿って並ぶように直列に接続されており、その両端部から引き出される端子T1、T2の他に、コイルL1、L2間から引き出されるセンタータップ端子T3を備える。
第3図に示すように、コイルL1、L2は、一対の抵抗R1、R2(又は可変抵抗)と共にブリッジ回路6を構成しており、このブリッジ回路6からコイルL1、L2の差動電圧が出力される。ブリッジ回路6は、被検体2が無いとき、その差動出力が所定の値となるように抵抗R1、R2の抵抗値が初期調整される。これにより、コイルL1、L2の固有誤差や温度誤差が相殺された検出信号を得ることができるだけでなく、コイル中心線方向の分解能を高めることが可能になる。
ブリッジ回路6の差動出力は、差動増幅回路7によって増幅された後、同期検波回路8に入力される。同期検波回路8は、90°移相器9を介して、励磁コイル4の交流励磁回路部10から同期信号を入力すると共に、その周期で上記差動出力を検波し、磁束変化信号を得る。尚、この磁束変化信号は、コイルL1、L2の差動信号(微分信号)であるため、図3に示す検出回路には、磁気プローブ1の走査距離をパラメータとして積分処理を行う積分回路11が設けられている。
次に、磁気プローブ1の各部を詳細に説明する。
[コア]
第4図は、コアの各種実施形態を示す説明図である。この図に示されるコア3は、いずれも磁気回路を形成可能な強磁性体であり、例えば、フェライトを用いて形成されている。コア3の形状(側面視)としては、第4図(A)に示すようなコ字型、第4図(B)に示すようなU字型、第4図(C)に示すようなV字型、第4図(D)に示すようなC字型などを採用することができる。また、コア3は、励磁範囲(検査範囲)に応じて寸法が設定されており、例えば、第4図(E)に示すように、励磁コイル4の巻き方向に幅広とすれば、コア3の内周部に多数の検出コイル5を1次元に配列して、検査領域を拡張することができる。また、第4図(F)に示すように、複数のコア3を並設しても同等の効果が得られる。
[励磁コイル]
第5図は、励磁コイルの各種実施形態を示す説明図である。この図に示される励磁コイル4は、いずれも絶縁被覆された導線からなり、コア3に巻装されている。コア3に対する励磁コイル4の巻装位置は、第5図(A)に示すように、コア3の上部に限らず、第5図(B)に示すように、コア3の左右脚部としてもよい。また、第5図(C)に示すように、コア3の上部及び左右脚部に励磁コイル4を巻装してもよい。励磁コイル4に印加する交流電圧の周波数は、被検体2の交流磁界による表皮効果を考慮して設定される。例えば、被検体2の表面を検査する場合は、交流電圧の周波数を高くし、被検体2の内部又は裏側表面を検査する場合は、交流電圧の周波数を低くすることが好ましい。
[検出コイル]
第6図及び第7図は、検出コイルの各種実施形態を示す説明図である。これらの図に示す検出コイル5は、いずれも空心コイルとしてある。例えば、第6図(A)の検出コイル5(第2図のものと同等)は、非磁性体の芯材5aに、絶縁被覆された導線を巻いてコイルL1、L2を形成している。また、第6図(B)に示すものは、一対の検出コイル5を交差状に一体化した2軸型であり、いずれの検出コイル5も、被検体2の表面に沿うように配置される。このように構成された2軸型によれば、一方の検出コイル5が被検体2の線状欠陥(クラックなど)に対して平行になっても、他方の検出コイル5が線状欠陥に対して交差するので、線状欠陥を見落すことなく確実に検出することが可能になる。
第6図(C)は、コイル中心線方向の厚さが可及的に薄くなるように形成された検出コイル5を示している。この検出コイル5に用いる巻枠(ボビン)5bの外周部には、所定間隔(例えば、50μm)を存して、所定幅(例えば、50μm)のコイル巻装溝が2本形成されており、各コイル巻装溝に、絶縁被覆された導線を多層巻きすることにより検出コイル5が構成されている。このように構成された検出コイル5は、コイル中心線方向の厚さが薄く、しかも、コイルL1、L2の間隔が小さいため、コイル中心線方向の分解能を大幅に向上させることができる。
第7図に示される検出コイル5は、絶縁体からなるベース材5cに薄膜状の回路パターン(渦巻コイル)として形成されている。このような検出コイル5は、例えば、既存の薄膜基板製造技術によって形成することが可能であるが、半導体製造技術やマイクロマシニング技術を用いれば、さらに微小で薄い検出コイルを形成することができる。
第7図に示される検出コイル5は、薄膜基板用のベース材5c(例えば、セラミック基板)を用い、その表裏に形成される導体層(例えば、銅箔)を、回路パターンに基づいて蒸着処理することにより、薄膜状のコイルL1、L2が形成される。つまり、差動コイルを構成する一対のコイルL1、L2が、きわめて薄いベース材5cを挟んで積層状に形成されるため、コイル中心線方向の分解能を飛躍的に向上させることが可能になる。
また、上記のように形成される検出コイル5では、第7図(B)に示すように、複数のコイルL1、L2を1次元に配列することが容易である。このように複数のコイルL1、L2を1次元に配列すれば、磁気プローブ1又は被検体2を、コイルL1、L2の配列方向に対して、直交方向に走査することにより、2次元の検出データを得ることができる。また、第7図(C)に示すように、複数のコイルL1、L2が1次元に配列された検出コイル5を、磁気プローブ1の走査方向に並設してもよい。この場合には、前後の検出コイル5に形成されるコイルL1、L2を、互いに半ピッチずらして配置することにより、1次元配列方向の隙間を無くし、検出漏れを防止することができる。尚、複数の検出コイル5を2次元に配列してもよく、この場合には、磁気プローブ1や被検体2を走査しなくても、2次元の検出データが得られる。
[コア及び検出コイルの配置]
第8図は、コア及び検出コイルの配置例を示す説明図である。この図に示すように、磁気プローブ1においては、被検体2の形態や検査箇所、検査目的に応じて、コア3と検出コイル5との配置関係を任意に設定することが可能である。第8図(A)は、基本的な配置関係を示しており、検出コイル5は、コア3の被検体近接部3a間に配置されている。また、第8図(B)は、C型のコア3を用いる場合の配置例を示しており、被検体2の端面検査などに適している。また、第8図(C)は、丸棒やパイプの外周面検査に適した配置であり、検出コイル5が被検体2を挟むように配置されている。また、第8図(D)は、被検体2を挟んで、コア3と検出コイル5とを配置した例を示している。更に、第8図(E)は、丸棒などの端面検査に適した配置である。
叙述の如く構成された磁気プローブ1は、励磁コイル4及びコア3によってループ状の磁気回路を形成しつつ、被検体2の表面近傍における局部的な磁束変化を検出するにあたり、ホール素子などの磁気検出素子を用いることなく、検査対象や要求検出精度に応じて自由に形状などの変更が可能な検出コイル5を用いるものでありながら、検出コイル5を、コイル中心線が被検体の表面に沿い、かつ、コイル外周面が被検体2の表面に局部的に対向するように配置することにより、被検体2の表面に沿う方向の磁束変化をきわめて精度良く検出することが可能になる。
しかも、このように配置した検出コイル5は、被検体2の表面に沿う方向の小型化が容易であるため、磁気プローブ1を走査(又は被検体を移動)させながら、被検体2の表面を検査する場合、その分解能を容易に向上させることができる。
また、検出コイル5を、差分電圧を検出可能な差動コイルとし、該差動コイルを構成する一対のコイルL1、L2を、被検体2の表面に沿って並ぶように配置した場合には、コイルL1、L2の固有誤差や温度誤差を相殺して、検出精度を更に向上させることができる。
また、検出コイル5を、コイル中心線方向の厚さが薄い渦巻コイルを用いて構成した場合には、磁気プローブ1又は被検体2を、検出コイル5のコイル中心線方向に走査しながら検査を行うことにより、磁気プローブ1の分解能を高めることができる。
また、検出コイル5を、絶縁体からなるベース材5cに薄膜状の回路パターンとして形成した場合には、検出コイル5のコイル中心線方向の厚さを飛躍的に薄くし、磁気プローブ1の分解能を更に高めることができる。しかも、一対のコイルL1、L2を、ベース材5cを挟んで積層状に形成することができるため、差動出力型の検出コイル5を飛躍的に薄型化することができる。また、薄膜基板用のベース材5cを使用すれば、既存の薄膜基板製造技術を用いて上記検出コイル5を容易に形成することができる。
また、検出コイル5を、被検体2の表面に沿って並ぶように複数設けた場合には、磁気プローブ1又は被検体2を、検出コイル5の配列方向に対して、直交方向に走査することにより、2次元の検出データを得ることができ、また、複数の検出コイル5を2次元に配列すれば、磁気プローブ1や被検体2を走査しなくても、2次元の検出データを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
本発明は、金属成分を含む被検体の表面検査、探傷検査、残留応力検査、材質検査などに用いられる磁気プローブに関するものであり、特に、検査対象や要求検出精度に応じて自由に形状などの変更が可能な検出コイルを用いて、高精度な検査を行う場合に有用なものである。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属成分を含む被検体の内部及び/又は被検体の表面空間に交流磁界を発生させながら、被検体の表面近傍で磁束変化を検出する磁気プローブであって、
複数の被検体近接部を有し、被検体の内部及び/又は被検体の表面空間を存して、ループ状の磁気回路を形成する強磁性体のコアと、
前記コアを交流励磁し、被検体の内部及び/又は被検体の表面空間に、被検体の表面に沿う交流磁界を発生させる励磁コイルと、
コイル中心線が被検体の表面に沿い、かつ、コイル外周面が被検体の表面に局部的に対向するように配置され、被検体の表面近傍で磁束変化を検出する検出コイルと
を備えることを特徴とする磁気プローブ。
【請求項2】
前記検出コイルは、差分電圧を検出可能な差動コイルであり、該差動コイルを構成する一対のコイルが、被検体の表面に沿って並ぶことを特徴とする請求項1記載の磁気プローブ。
【請求項3】
前記検出コイルは、コイル中心線方向の厚さが薄い渦巻コイルを用いて構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気プローブ。
【請求項4】
前記検出コイルは、絶縁体からなるベース材に薄膜状の回路パターンとして形成されることを特徴とする請求項3記載の磁気プローブ。
【請求項5】
前記検出コイルは、差分電圧を検出可能な差動コイルであり、該差動コイルを構成する一対のコイルが、前記ベース材を挟んで積層状に形成されることを特徴とする請求項4記載の磁気プローブ。
【請求項6】
前記検出コイルは、被検体の表面に沿って並ぶように複数設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁気プローブ。

【国際公開番号】WO2004/094939
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−571070(P2004−571070)
【国際出願番号】PCT/JP2003/005132
【国際出願日】平成15年4月22日(2003.4.22)
【出願人】(591123274)株式会社アヅマシステムズ (31)
【Fターム(参考)】