説明

磁気ヘッド位置決め制御装置、磁気ヘッドテスターおよび磁気ディスクテスター

【課題】ヘッドを実質的にトラックのセンタに高速に精度よくダイナミックに位置決めする。
【解決手段】サスペンションスプリングを介して磁気ヘッドを支持するヘッドカートリッジ6と、このヘッドカートリッジが装着されるヘッドキャリッジと、サスペンションスプリングからヘッドカートリッジあるいはこのヘッドカートリッジをヘッドキャリッジに取付ける取付ベースまでの間に設けられた第1の進退アクチュエータ5と、ヘッドキャリッジに支持され取付ベースを移動させる第2の進退アクチュエータ7と、磁気ヘッドにより読出されたサーボ信号に応じて第1の位相補償フィルタ処理回路114を介して第1の進退アクチュエータを駆動しかつ第2の位相補償フィルタ処理回路116を介して第2の進退アクチュエータを駆動して磁気ヘッドがトラック上に保持されるように制御をする制御回路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気ヘッド位置決め制御装置、磁気ヘッドテスターおよび磁気ディスクテスターに関し、詳しくは、磁気ヘッドを実質的にトラックのセンタに高速に精度よくダイナミックに位置決めでき、高密度記録の磁気ディスク、磁気ヘッドの検査に適する磁気ヘッド位置決め制御装置、磁気ヘッドテスターおよび磁気ディスクテスターに関する。
【背景技術】
【0002】
最近のハード磁気ディスク駆動装置(以下単にHDD)は、複数枚のディスクのうちの1枚のディスクの一面をサーボ信号(サーボ情報)専用にするサーボ面方式ではなく、各ディスクの表裏面に形成されたトラックにそれぞれサーボ信号を設定するデータ面方式(あるいはセクターサーボ方式)のディスクを搭載している。
磁気ヘッドテスターおよび磁気ディスクテスターでは、ディスク上に設定されたサーボ信号に従って所定のデータがトラックに書き込まれ、そのデータを読み出してディスクあるいは磁気ヘッドの性能のテストが行われる。
ハードディスク装置の磁気ヘッドとしては、近年、その読出側にMRヘッド、GMRヘッド,TMRヘッドなど(以下MRヘッドで代表する。)を組み込んだ複合磁気ヘッドが用いられている。その記録密度は、数十ギガ/インチと向上の一途を辿っている。しかも、トラック数は増加し、その幅は、狭くなる一方である。その上、ディスクの大きさは、3.3インチか、これ以下のものが主流となり、基板もガラスディスクが用いられ、ディスク1枚を搭載した単板型のHDDが増加してきている。
この種の高密度記録のディスクを使用する磁気ヘッドテスターおよび磁気ディスクテスターは、トラックに対するヘッドの高い位置決め精度が要求されるので、ピエゾステージを持つヘッドキャリッジが使用される。このヘッドキャリッジについては、出願人による特開平10−275434号「MRヘッドのオフセット補正方法および磁気ディスクサーティファイア」の図2にその詳細が記載されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−275434号公報
【0003】
磁気ディスク装置における記録密度の向上に伴い、トラック幅が狭小化し、そのため、磁気ヘッドテスターあるいは磁気ディスクテスターでは、ヘッド位置決め精度の一層の向上が要求されている。しかも、ディスクの回転数は、5400rpmから7000rpm〜15000rpmとなり、現在ではそれ以上の高速回転のものが実用化されている。
そこで、サスペンションスプリングからヘッドキャリッジまでの間にピエゾアクチュエータを設けて、このピエゾアクチュエータをサーボ信号に応じて駆動する出願人による特開2003−272326号「磁気ヘッド位置決め制御装置、磁気ヘッドテスター、磁気ディスクテスターおよびこれら装置に使用されるヘッドカートリッジ」がある(特許文献2)。
特許文献2に記載された発明は、所定のトラックに位置決めされたヘッドに対して、このトラックをアクセスするときに、質量の軽いヘッドカートリッジをサーボ信号に応じてダイナミックに移動させ、あるいはヘッドカートリッジ内においてヘッドアッセンブリ(サスペンションスプリング+ヘッド)をサーボ信号に応じてダイナミックに移動させて、ヘッドのトラックの中心からのずれ量を補正する微小移動、例えば、数μmのヘッドの移動を高速に行い、高速かつ高精度に、トラック上の所定の位置、特にヘッドがONトラック状態になる位置にヘッドの位置を補正するサーボ制御をしている。
【特許文献2】特開2003−272326号公報
【0004】
実際のHDDの磁気ヘッド(以下ヘッド)のONトラックの位置決め(ヘッドが実質的にトラック上に位置決めされること)はサーボ信号を読出すことで行われる。実際のHDDは、ボイスコイルモータによりヘッドを移動してヘッド位置を制御して目標トラックにONトラックの状態か、あるいはこれに近い状態に設定されるようにヘッドを位置決めしている。この関係で、この位置決め直後においてはその近傍のセクタに対して正確なデータの読出/書込ができない。そこで、ディスク1回転程度のヘッドのONトラック位置決めをした後に同じセクタのデータを読んで、あるいは書くことになる。
しかし、テスターではこのようなデータの読み/書きをすると、各セクタに対してデータの読み/書きをするごとにディスク1回転程度の時間待たなければならず、テスト効率が低下する。
特にディスクの回転数が高速化されると、ヘッド位置決め後にその近傍のセクタに対してデータの読み/書きをすることは無理であり、1回転以上かかることもある。しかも、実際のHDDの場合のようにボイスコイルモータによりヘッドのONトラック制御をすると、テスターでは、精度が出ないため、高精度かつ高速なテストができない。
【0005】
そこで、現在の磁気ヘッドテスターあるいは磁気ディスクテスターでは、ヘッドの半径方向のトラックへの位置決めは、X方向に大きく可動して目標トラックにヘッドを移動させるXテーブルを持つヘッドキャリッジとヘッドの位置を目標トラックにおいて微調整する、ヘッドキャリッジ内Xテーブルの微小移動ステージとして設けられたピエゾステージとにより行われている。ピエゾステージは、ヘッド位置を微調整することで目標トラックにONトラック状態のヘッド位置決めを行う。このONトラック位置決めは、MPUが実行するプログラムにより行われるが、それは、通常、1トラックにサーボ信号を1箇所乃至複数箇所書込み、そのサーボ信号を読出してヘッドのずれ量を得て、このずれ量に応じてピエゾステージを駆動してヘッド位置を調整するものである。
このとき、ヘッドのONトラック位置決め制御をプログラム処理による理由は、ピエゾステージの応答速度が遅く、たとえハードウエアの制御回路を設けても読出されたサーボ信号に対応して得られるヘッドのずれ量に対してピエゾステージが高速に応答することができないからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した特開2003−272326号の発明では、ピエゾステージによるヘッドのONトラック設定において、このピエゾアクチュエータをサーボ信号に応じて駆動する。これにより、所定のトラックに位置決めされたヘッドに対して、このトラックをアクセスするときに、質量の軽いヘッドカートリッジをサーボ信号に応じてダイナミックに移動させ、あるいはヘッドカートリッジ内においてヘッドアッセンブリ(サスペンションスプリング+ヘッド)をサーボ信号に応じてダイナミックに移動させるものである。後者のピエゾアクチュエータは、ヘッドのトラックの中心からのずれ量を補正するような微小移動、例えば、数μmの移動をヘッドに対して行えばよいので、高速応答が可能である。
しかし、トラック数が数千本/インチ以上にもなると、Xステージにより各トラックにシークしてピエゾステージがヘッドをONトラック状態に制御するにはXステージに高精度な制御と移動とが要求される。しかも、ピエゾステージは、たとえハードウエアの制御回路を設けても読出されたサーボ信号に対応して得られるヘッドのずれ量に対して高速に応答することできない。その上、磁気ディスクが高速回転し、長時間駆動されることより発生する熱による温度ドリフトなどの影響によりヘッドの位置ずれが発生する。そうなると、ヘッドカートリッジあるいはヘッドアッセンブリを駆動するピエゾアクチュエータによるヘッド位置補正のダイナミックレンジが低下する問題が発生する。
それは、例えば、ピエゾアクチュエータにより±5μmの移動を磁気ヘッドに与えた場合に、ヘッドアッセンブリ等の熱膨張により一方向にその長さが変化して、その変化が2μm生じたとすると、ピエゾアクチュエータによる磁気ヘッドが追従できる範囲が−3μmから+7μmと変化してしまうからである。これにより、−側ヘッド位置補正のダイナミックレンジが低下し、高速応答における高精度な位置決めが難しくなってしまう。
【0007】
この発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決するものであって、ヘッドを実質的にトラックのセンタに高速に精度よくダイナミックに位置決めでき、磁気ディスク、ヘッドの検査に適する磁気ヘッド位置決め制御装置を提供することにある。
この発明の他の目的は、ヘッドを実質的にトラックのセンタに高速に精度よくダイナミックに位置決めできる、前記の磁気ヘッド位置決め制御装置を用いる磁気ヘッドテスターおよび磁気ディスクテスターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するこの発明のヘッド位置決め制御装置の特徴は、磁気ディスクの所定のトラックから読出したサーボ信号に応じてトラック上に磁気ヘッドを位置決めする磁気ヘッドサーボ位置決め制御装置において、
サスペンションスプリングを介して磁気ヘッドを支持するヘッドカートリッジと、このヘッドカートリッジが装着されるヘッドキャリッジと、サスペンションスプリングからヘッドカートリッジあるいはこのヘッドカートリッジをヘッドキャリッジに取付ける取付ベースまでの間に設けられた第1の進退アクチュエータと、ヘッドキャリッジに支持され前記取付ベースを移動させる第2の進退アクチュエータと、磁気ヘッドにより読出されたサーボ信号に応じて第1の位相補償フィルタ処理回路を介して第1の進退アクチュエータを駆動しかつ第2の位相補償フィルタ処理回路を介して第2の進退アクチュエータを駆動して磁気ヘッドがトラック上に保持されるように制御をする制御回路とを備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
このように、この発明では、サスペンションスプリングからヘッドカートリッジ取付ベースまでの間に第1の進退アクチュエータ、例えば、ピエゾアクチュエータを設ける。そして、このピエゾアクチュエータをサーボ信号に応じて駆動する。これにより、所定のトラックに位置決めされたヘッドに対して、このトラックをアクセスするときに、質量の軽いヘッドカートリッジをサーボ信号に応じてダイナミックに移動させ、あるいはヘッドカートリッジ内においてヘッドアッセンブリ(サスペンションスプリング+ヘッド)をサーボ信号に応じてダイナミックに移動させることができる。これと同時にヘッドカートリッジ取付ベースを移動させる第2の進退アクチュエータを設けて、これを同時駆動する。
各ピエゾアクチュエータは、ヘッドのトラックの中心からのずれ量を補正するような微小移動、例えば、数μmの移動をヘッドに対して行えばよいので、高速応答が可能である。しかも、ピエゾステージは低速応答動作であるが、常時サーボ信号に応じて駆動されることになるので、サスペンションスプリングあるいはヘッドカートリッジを移動させるピエゾアクチュエータの高速応答のダイナミックレンジを保証する。しかも、磁気ディスクが高速回転し、長時間駆動されることにより発生する熱による温度ドリフトなどの影響を排除できる。
【0010】
なお、各セクタ対応に書込まれたサーボ信号あるいはトラックの多数箇所に設定されたサーボ信号は、トラック1周で何回も読出すことができるので、サーボ信号の読出に対応してトラックに対するヘッドのずれ量がトラック1周でいくつも得られる。そこで、サーボ信号の読出しとともにダイナミックにヘッドのずれ量に応じてヘッドを質量の軽いヘッドカートリッジあるいはヘッドアッセンブリを介して高速かつ高精度に、トラック上の所定の位置、特にONトラック状態になるような位置にヘッドの位置の補正を高精度ですることができる。
その結果、温度ドリフトなどの影響を排除でき、高速かつ高精度にディスクのトラックに対してデータの読出/書込をすることができる磁気ヘッドテスターおよび磁気ディスクテスターを実現できる。
なお、この発明では、ヘッドのONトラック状態に対して所定のヘッドの位置にオフセットを持たせることで、前記のオフセットに応じたトラック上の所定の位置にヘッドを維持する制御をすることができる。このようなオフセット設定は、ヘッド検査やディスク検査のときの条件設定において使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、この発明のヘッド位置決め制御装置を適用した一実施例の説明図、図2は、磁気ディスクテスターにおける全体的な構成図、図3(a)は、トラックに設定されるサーボ信号の説明図、図3(b)は、その読出サーボ信号とトラックとの関係の説明図、図4は、サーボ電圧復調・位置電圧演算回路で演算されるサーボ復調電圧と目標トラックとの関係の説明図、そして図5は、ヘッドカートリッジの平面図である。
磁気ディスクテスターの全体的な構成を示す図2において、10は、磁気ディスクテスターであり、1は、検査対象となるディスクであって、スピンドル2に着脱可能に挿着されている。スピンドル2に隣接してヘッドキャリッジとしてXYステージ3が設けられ、XYステージ3は、Xステージ3aとYステージ3bからなる。
Xステージ3aは、ヘッド9を含めてピエゾステージ4をディスク1の半径方向に移動させる半径方向の移動ステージになっている。Yステージ3bは、このXステージ3a上に搭載され、ヘッド9に対してスキュー調整のための移動を行うものである。このYステージ3b上には、X方向の位置を微調整するピエゾステージ4が搭載されている。
ピエゾステージ4は、移動ベース4aとカートリッジ取付ベース4b、そしてピエゾアクチュエータ5とからなり、移動ベース4aの先端側にはヘッドカートリッジ取付ベース4bが結合されている。移動ベース4aは、Yステージ3bにピエゾアクチュエータ5を介して搭載され、カートリッジ取付ベース4bをX軸に沿って移動させる。
これにより、ピエゾアクチュエータ5が駆動されることでカートリッジ取付ベース4bがX方向に移動してディスク1の半径R方向のヘッド位置の微調整がヘッドカートリッジ6を介して行われる。なお、X方向は、ディスク1の中心を通る半径R方向に一致している。
【0012】
ヘッドカートリッジ6は、カートリッジ取付ベース4bにピエゾアクチュエータ7を介して搭載され、ヘッドカートリッジ6には、サスペンションスプリング8が固定されている。サスペンションスプリング8の先端側にはヘッド9(磁気ヘッド9)が搭載され、これに支持されている。ヘッド9は、ディスク1のX軸方向に対応する半径R方向に移動してディスク1のトラックをシークしてそのトラックに位置決めされ、データをそのトラックから読出し、あるいはそのトラックにデータを書込む、いわゆるアクセス動作をする。
ヘッドカートリッジ6は、ヘッド9をヘッドキャリッジに装着するものであって、ヘッド9を着脱可能に搭載し、図1に示されるように、内部には読出アンプ6aと書込アンプ6b等が設けられている。読出アンプ6aは、MRヘッド9Aからの信号を受けてそれを増幅してデータ読出回路15に出力するとともにサーボ位置決め制御回路11に送出する。
サーボ位置決め制御回路11は、図1に示すように、目標位置電圧発生回路111と、サーボ電圧復調・位置電圧演算回路112、誤差電圧発生回路113、カートリッジ側のピエゾアクチュエータ7用の位相補償フィルタ処理回路114,ピエゾアクチュエータドライバ115、ピエゾステージ側のピエゾアクチュエータ5用の位相補償フィルタ処理回路116、そしてピエゾアクチュエータドライバ117とからなる。
【0013】
図2において、15は、データ読出回路であって、読出アンプ6aからの信号を受けて、読出データを二値化してデータ処理・制御装置20に送出する。16は、ヘッドアクセス制御回路であって、データ処理・制御装置20からの制御信号を受けてXYステージ3とピエゾアクチュエータドライブ回路14とを駆動してヘッド9を目標となる所定のトラックに位置決めする。17はデータ書込回路、18はテストデータ生成回路であって、テストデータ生成回路18は、データ処理・制御装置20により制御されて所定のテストデータを作成してそれをデータ書込回路17に送出する。データ書込回路17は、受けたテストデータに従って書込信号を生成して、ヘッドカートリッジ6の書込アンプ6b(図2参照)を駆動し、ヘッド9のインダクティブヘッド9Bを介して所定のトラックTRにデータを書込む。
【0014】
ところで、図2におけるピエゾアクチュエータ7は、図示の都合上、質量の軽いヘッドカートリッジ6に先端側が結合されている。しかし、ピエゾアクチュエータ7の先端側をヘッドカートリッジ6の内部にあるヘッドアッセンブリ(サスペンションスプリング8)に結合してもよい。その理由は、ピエゾアクチュエータ7によりヘッドアッセンブリ(サスペンションスプリング8)を駆動した方がさらに質量が軽い駆動となるからである。それにより、ヘッド位置決めに対してより高速な応答性を確保できる。
図5は、ピエゾアクチュエータ7とヘッドカートリッジ6とを一体的に構成し、ヘッドアッセンブリ(サスペンションスプリング8)を駆動してヘッド9を位置決め制御するヘッドカートリッジ6の説明図であり、その平面図である。
図5に示すヘッドカートリッジ6は、ヘッド9をヒンジで支持して回動させてヘッドを実質的に半径方向に微小移動させる構造のものである。
ヘッドカートリッジ6は、ヘッドアッセンブリ(サスペンションスプリング8)61が円筒状のヒンジ機構62を介して7角形の板の台座(取付ブロック)63に取付られている。台座63は、カートリッジ取付ベース4bに装着固定される。ヒンジ機構62は、台座63をベース部材としてこれに軸ピン64により軸支され、軸ピン64を中心にして回動する円筒構造をしている。これによりヘッド9がディスク1に設定されたトラックを横断する方向にヘッドアッセンブリ(サスペンションスプリング8)61を回動させる。
【0015】
ヒンジ機構62の円筒には、実質的に120度の角度で側面から外側に直線状に延びた板ばねの羽66が2枚設けられている。2枚の羽66の先端は、台座63にある突起壁67に設けられた溝68,68にそれぞれ落ち込み、この溝68に嵌合している。
ピエゾアクチュエータ7は、台座63に取付板69を介して固定されていて、その頭部が1枚の羽66の側面に外側から当接している。そこで、板ばねの羽66の作用で伸張したピエゾアクチュエータ7を収縮する方向に付勢力が発生する。ヒンジ機構62は、台座63に固定されたピエゾアクチュエータ7の伸張によりヘッド9を反時計方向に回転させる。また、ヒンジ機構62は、ピエゾアクチュエータ7の圧縮により羽66の作用でヘッド9を時計方向に回転させる。これにより、ヘッド9は、実質的にディスク1の半径方向に沿って進退する。
【0016】
ピエゾアクチュエータ5と、ピエゾアクチュエータ7とは、図1に示すサーボ位置決め制御回路11により制御され、トラックから読出されたサーボ信号(サーボ情報)に応じてヘッドの位置を微調整してダイナミックにヘッドをトラック上に載せる、ヘッドのONトラックのサーボ位置決めをする。
いずれのピエゾアクチュエータによるヘッドのONトラックのサーボ位置決めにおいても、位置決めトラックに所定間隔で設定された多数のサーボ信号を順次読出して、サーボ信号に応じて位置決めトラックに対応するヘッドずれ量(トラックのセンタからのずれ量)を補正するものである。補正のためにピエゾアクチュエータ5,7が進退する距離は、例えば、数μmオーダか、それ以下の範囲の微小なものである。設定されたサーボ信号は、スピンドルの芯ぶれなどに応答してその位置が振れるので、これにより、微小な駆動電圧でヘッド9は、スピンドルの芯ぶれなどに応答して、半径方向に高速な進退動作が可能である。さらに、同時に駆動されるピエゾアクチュエータ5による伸張により温度ドリフトなどの影響によるヘッドの位置ずれが定常的に補正され、かつ、ピエゾアクチュエータ7のヘッド位置決めに対してダイナミックレンジが確保される。
【0017】
図5のヘッドカートリッジ6は、ヘッド9をヘッドキャリッジに装着するものであって、ヘッド9を着脱可能に搭載し、図1に示されるように、内部には読出アンプ6aと書込アンプ6b等が設けられている。読出アンプ6aは、MRヘッド9Aからの信号を受けてそれを増幅してデータ読出回路15に出力するとともにサーボ位置決め制御回路11に送出する(図1参照)。
目標位置電圧発生回路111は、レジスタ111aとD/A変換回路(D/A)111bとを内蔵してデータ処理・制御装置20から目標値データがレジスタ111aに設定される。それをD/A111bにより変換して、目標トラックに対応する電圧値がアナログ変換電圧値として発生する。この目標位置電圧は、目標位置電圧発生回路111から誤差電圧発生回路113に出力される。
【0018】
サーボ電圧復調・位置電圧演算回路112は、DSP(デジタルシ・グナル・プロセッサ)で構成され、ヘッドカートリッジ6の読出アンプ6aから読出されたサーボ信号からトラック位置に対応する位置電圧を演算して発生する。
一般的には、1024/n(ただし、nは1以上の整数)程度のセクタに対して5,000本/インチ以上のトラックがある。ここでは、説明を簡単にするためにXステージにおいてトラック数10本置きに粗位置決めして、粗位置決めされたトラックを中心にして、前後トラック5本について高精度な位置決めをする例について説明する。
説明の都合上、最初のトラックがゼロの場合を例としてトラック10本+1本について1セクタのサーボ信号とそれによる電圧発生についてまず説明する。
サーボ信号から位置電圧を算出する演算式は、位置電圧PVとし、トラックを図3(a)に示す10本としてサーボ信号をA〜Jの10本であるとした場合には、
PV={(Va-Vj)+0.75*(Vb-Vh)+0.5*(Vc-Vg)+0.25*(Vd-Vf)}/(Va+ Vb+Vc+Vd+Ve+Vf+Vg+Vh+Vi+Vj) ……(1)
による。
すなわち、図3(a)に示すように、トラック0からトラック10に所定の周波数で所定の間隔D(1μsec)だけずれてかつ前後のトラックの中心に接触する幅を持ち、かつ、その半分幅が前後に重なるようにサーボパターン信号(サーボバースト信号)A〜Jが各トラックに対応して記録されているとする。
【0019】
このサーボバースト信号A〜JをMRヘッド9Aが読出アンプ6aを介してディスク1を回転させて読出すと、理論的には、図3(b)に示すように、トラック0では、読出アンプ6aから得られるサーボバースト信号Aの検出電圧信号は、トラック0に対応する振幅が半分幅に対応する電圧信号となる。そして、トラック1では、読出アンプ6aから得られる検出電圧信号は、トラック1に対応する1個分の振幅レベルの検出電圧信号とその後にトラック2に対応するサーボバースト信号の振幅レベルが半分の検出電圧信号が少しずれた位置に得られる。
トラック2では、読出アンプ6aから得られる検出電圧信号は、トラック1の振幅レベルが半分幅に対応する検出電圧信号の後に、トラック2に対応する1個分の振幅レベルの検出電圧信号、そしてその後にトラック3の振幅レベルが半分幅に対応する検出電圧信号が少しずれて得られる。
以下、それぞれに連続する3つのトラックに対応して振幅レベルが半分幅と振幅レベルが1、そして振幅レベルが半分の3つの検出電圧信号がサーボバースト信号についての電圧信号が順次得られる。その状態を示したのが図3(b)である。
【0020】
そこで、読出アンプ6aから得られる各トラック位置でのサーボバースト信号についてトラック0の位置の検出電圧信号を基準として振幅レベルを電圧値Vi(i=a〜j)として得て、(1)式を持つDSPにより入力して(1)式に代入すると、図4に示すような関係のグラフGがトラック位置に対応する正規化POS電圧(検出電圧)として得ることができる。なお、縦軸は、正規化POS電圧であり、横軸はトラック番号である。
この図4の特性グラフGに従って、Xステージで粗位置決めされた位置から前後5本のトラックについて高精度な微小位置決めをサーボ位置決め制御回路11が行う。
なお、実際上は、直線性がよい範囲(図4における1.5トラック〜8.5トラック)が実用範囲である。そこで、図4の特性グラフGを使用する場合には2トラックから8トラックまでの範囲で位置決めをする。通常の磁気ヘッドテストや磁気ディスクのテストでは、特性のトラックへ位置決めしてテストすればよいので、一部のトラック範囲でサーボ制御ができれば十分である。一方、全トラックをアクセスする場合には、後述するXステージ3aによるヘッド9の粗位置決めとの関係で10本以上で直線性のよい特性を得る必要がある。その場合には、粗位置決めの方を7本置き程度のものとするか、前記(1)式ではない関係式で処理して10本かそれ以上で直線性のよい位置決めをすることになる。
また、図3(a)に示すサーボ信号は、ディスク1にすでに書込まれていて、サーボ信号と図4に示す関係のグラフに対応する目標トラック位置決めのグラフデータGがデータ処理・制御装置20のメモリ22に正規化POS電圧テーブル22cとして記憶されているものとする。
ところで、図3(a)に示すサーボ信号がディスク1に書き込まれていない場合には、別途サーボトラックライタ(図示せず)を起動してはサーボ信号をディスクに各セクタに対応して書込むことになる。
【0021】
こうして得られた正規化POS電圧を指令電圧として、この電圧値と目標位置電圧発生回路111から出力された位置決め対象となる目標のトラック位置に対応する電圧値とを誤差電圧発生回路113で合成する。誤差電圧発生回路113は、目標電圧値とサーボ電圧復調・位置電圧演算回路112から得られる現在位置と目標のトラック位置に対応する電圧値との差の電圧信号を発生する。
なお、図4のグラフでは正規化されているので、1から−1までの電圧値となるが、実際の差電圧信号は、これに対して制御に必要な増幅をした電圧値が誤差電圧値として誤差電圧発生回路113から出力されることになる。
誤差電圧発生回路113の誤差電圧信号は、位相補償フィルタ処理回路114と位相補償フィルタ処理回路116とに入力される。位相補償フィルタ処理回路114と位相補償フィルタ処理回路116は、ヘッド位置エラーに対して安定したサーボ制御で高速にヘッドをONトラック状態に設定しかつONトラックサーボ制御のヘッド位置補正のダイナミックレンジを確保するためのサーボフィルタ処理回路である。これもDSP(デジタルシ・グナル・プロセッサ)で構成され、それぞれフィルタ処理の帯域周波数が相違している。
【0022】
位相補償フィルタ処理回路116は、そのパワー・バンド幅特性がボード線図上においてゼロdBのクロス点の周波数を30Hzとして−20dB/Decの傾斜特性を持ち、そのオープンゲインは100dB以上のものである。この特性は、ヘッドカートリッジ6がヘッド9を含めてヘッドアッセンブリ61を微小移動させるときの機械共振周波数による駆動電流の振動あるいは発振が500Hz近辺にあるので、それより低い周波数として余裕を持って100Hz以下とし、前記のゼロdBのクロス点の周波数がこの実施例では30Hzとされている。
なお、このゼロdBのクロス点の周波数は、機械共振周波数による駆動電流の振動あるいは発振以下において選択されればよい。
この特性で誤差電圧信号が位相補償されて、ゲインが100dB以上のピエゾアクチュエータドライバ117に入力される。ピエゾアクチュエータドライバ117は、ハイゲインのアンプであって、位相補償フィルタ処理回路116により位相補償されて機械共振周波数の近傍での駆動電流の振動あるいは発振、さらにはピークゲイン特性による誤差発生が抑えられる。
ピエゾアクチュエータドライバ117は、ピエゾアクチュエータ5に接続され、これを出力電圧で駆動する。これによりヘッドカートリッジ6が移動してヘッド9が低速応答速度でトラックの中心に位置決めされるように制御される。
【0023】
位相補償フィルタ処理回路114もDSPで構成され、そのパワー・バンド幅特性がボード線図上においてゼロdBのクロス点の周波数を1kHzとして−20dB/Decの傾斜特性を持ち、そのオープンゲインは100dB以上のものである。この特性は、ヘッドカートリッジ6を搭載するピエゾステージを微小移動させるときの機械共振周波数による駆動電流の振動あるいは発振が6kHz近辺にあるので、それより低い周波数として余裕を持って前記のゼロdBのクロス点の周波数が1kHzとされている。
なお、このゼロdBのクロス点の周波数も機械共振周波数による駆動電流の振動あるいは発振以下で選択されればよい。
この特性で誤差電圧信号が位相補償されて、ゲインが100dB以上のピエゾアクチュエータドライバ115に入力される。ピエゾアクチュエータドライバ115もハイゲインのアンプであって、前記したように、通常、OPアンプが数段接続されて構成されるので、前記と同様に、位相補償フィルタ処理回路116により位相補償されて機械共振周波数の近傍での駆動電流の振動あるいは発振、さらにはピークゲイン特性による誤差発生が抑えられかつ高速移動が可能になる。
ピエゾアクチュエータドライバ115は、ピエゾアクチュエータ7に接続され、これを出力電圧で駆動する。これによりヘッドアッセンブリ61が移動してヘッド9が高速応答でダイナミックにONトラック状態に制御される。
【0024】
この実施例では、ヘッド9は、ピエゾアクチュエータ5による低速応答系のサーボ制御のヘッドのONトラック位置決めとピエゾアクチュエータ7による高速応答系のサーボ制御のヘッドのONトラック位置決めとの2系統でヘッド9の位置決め制御が同時に行われる。
これにより、トラックの中心に対して高速でトラックからのずれに応じてヘッド9の位置補正がなされるとともに、低速でヘッドカートリッジ6の位置がピエゾステージ4により所定のトラックの中心にヘッド9が位置決めされるように移動する。
その結果、ヘッド9がピエゾステージ4による微小移動でトラックの中心を基準としてサーボ制御がかかるような位置にヘッド9のONトラック位置が設定された状態で、ピエゾアクチュエータ7による高速応答系のサーボ制御がトラックの中心を基準として行われるようになり、トラックの中心を基準として前後に大きな補正範囲を確保することができ、ヘッド位置補正のダイナミックレンジが向上する。
例えば、トラックの中心からのずれ量が−5μmあったとすると、ピエゾアクチュエータ7による高速応答系のサーボ制御の位置決め範囲が±5μmとした場合に、最初は、ピエゾアクチュエータ7による高速応答でヘッド9は、中心位置決めされるので、そのヘッド位置補正のダイナミックレンジは、−0μm〜+5μmとなるが、低速応答でピエゾステージ4のピエゾアクチュエータ5による低速応答でヘッド9は、+5μm移動して中心位置決めされる。これにより、そのヘッド位置補正のダイナミックレンジは、−5μm〜+5μmとなり、ピエゾアクチュエータ7本来の位置決め制御範囲の範囲のヘッド位置補正のダイナミックレンジが確保される。
【0025】
データ処理・制御装置20は、図2に示すように、MPU21とメモリ22、インタフェース23、CRTディスプレイ、そしてキーボード等により構成され、これらがバスにより相互に接続されている。
そして、メモリ22には、ヘッドアクセスプログラム22a、データ読出/書込制御プログラム22b、正規化POS電圧テーブル22c等が記憶されている。
MPU21は、ヘッドアクセスプログラム22aを実行してインタフェース23を介して目標トラック位置決めのグラフデータGから目標となる正規化値を目標位置電圧発生回路111のレジスタ111bにセットしてヘッドアクセス制御回路16にR方向の移動距離r[mm]を設定してヘッドアクセス制御回路16を起動し、所定のタイミングでサーボ位置決め制御回路11を起動する。
R方向の移動距離r[mm]の設定により、Xステージ3aが所定のトラック位置(基準点)からr[mm]移動する。これにより、図4に示す関係のグラフに対応する目標トラック位置決めのグラフデータGの正規値“0”の位置にあたるトラック位置にヘッド9が移動してヘッドアクセス制御回路16によりXステージ3aによるヘッド9の粗位置決めがなされる。なお、mm単位で粗位置決めする場合でかつ5000本/インチのトラックがあって、全トラックをアクセスする必要がある場合などでは、グラフデータGの特性は、前記したように10本以上のトラックに対して直線性のよい特性のものが必要になる。
サーボ位置決め制御回路11は、MPU21から正規化POS電圧テーブル22cを参照して設定された正規値の位置にピエゾアクチュエータ5,7とを駆動してピエゾステージ4により微小位置決めをするとともにヘッド9をダイナミックに目的のトラックへ位置決めする。それは、グラフデータGの正規値“0”の位置を基準として図3(a)に示すサーボ信号においては、グラフデータGの正規値の位置に対応する誤差電圧に応じて相対的にヘッド9を移動させて目標となる正規化値に対応したトラック位置に高精度な位置決めになる。
ところで、R方向の移動距離r[mm]の設定により、グラフデータGの正規値“0”の位置にあたるヘッド9は、図3(a)に示す関係のトラック0より前にトラックがあることになるが、R方向の移動距離r[mm]の設定との正規値“0”との相対的な位置決めにより全トラックが高精度に位置決めされるように割り振らればよい。例えば、トラックの位置決め範囲を−1より大きく、+1より小さい範囲と考えれば図3(a)に示す関係のトラック0の振幅レベルは関係なくなるので問題はない。
【0026】
ところで、ここでのディスク1のセクタ分割としては、前記したように、例えば、セクタを1024分割として、それぞれのセクタ位置に対応して図3(a)のようなサーボ信号が書き込まれている。このように多数のセクタに分割してそれぞれのセクタ位置に対応して多数のサーボ信号(サーボ情報)を設定することにより、ディスク1が7000rpm〜10000rpmあるいはこれを越える高速回転となっても、ディスク1/4回転程度で位置ずれしたヘッド9を目的のトラックにONトラックさせることができ、その後は、ダイナミックに目的のトラックへのヘッド9のONトラックを維持することができる。
また、実施例では、ヘッドのONトラック状態に対応する正規値をレジスタ111bに設定した制御について説明しているが、ONトラック状態に対して所定のオフセットを持たせる正規値をレジスタ111bに設定することで、オフセットに応じたトラック上の所定の位置にヘッドを維持する制御をすることができることはもちろんである。
【0027】
以上説明してきたが、実施例の図3(a)に示すグラフデータGの正規値の位置へのヘッド9のサーボ位置決め形態は一例である。サーボ信号の設定には種々の形態がある。これは、例えば、特開2003−272326号公報に記載されるように、サーボ信号は、データトラックTRの中心線CからW×1/4トラック幅分(ただしWはリードトラック幅)上下方向にずれたサーボバースト信号Aとサーボバースト信号Bとからなるものであってもよい。このような場合には、Xステージの位置決め精度あるいはこれに加えてピエゾステージの位置決めにより特定のトラックに位置決めし、同時にそのトラックに対してONトラックするようにヘッドが制御されることになる。
したがって、この発明は、サーボ信号の設定形態に関係なく、ヘッドのONトラック位置決めのためにヘッドから得られるサーボ信号の振幅に応じて得られる誤差信号に応じてサーボ制御を行うものであればどのようなものであって適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
実施例では、磁気ディスクテスターを例を中心に説明しているが、この発明は、磁気ヘッドテスターにおいても適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、この発明のヘッド位置決め制御装置を適用した一実施例の説明図である。
【図2】図2は、磁気ディスクテスターにおける全体的な構成図である。
【図3】図3(a)は、トラックに設定されるサーボ信号の説明図、図3(b)は、その読出サーボ信号とトラックとの関係の説明図である。
【図4】図4は、サーボ電圧復調・位置電圧演算回路で演算されるサーボ復調電圧と目標トラックとの関係の説明図である。
【図5】図5は、ヘッドカートリッジの平面図である。
【符号の説明】
【0030】
1…ディスク、2…スピンドル、
3…XYステージ、3a…Xステージ、3b…Yステージ、
4…ピエゾステージ、4b…カートリッジ取付ベース、
5,7…ピエゾアクチュエータ、
6…ヘッドカートリッジ、6a…読出アンプ、6b…書込アンプ、
8…サスペンションプリング、9…磁気ヘッド、
9a…MRヘッド、9b…インダクティブヘッド、
10…磁気ディスクテスター、
11…サーボ位置決め制御回路、
16…ヘッドアクセス制御回路、
17…データ書込回路、
18…テストデータ生成回路、
20…データ処理・制御装置、
21…MPU、22…メモリ、
22a…ヘッドアクセスプログラム、
22b…データ読出/書込制御プログラム、
23…インタフェース、
111…目標位置電圧発生回路、
111a…レジスタ、111b…D/A変換回路(D/A)、
112…サーボ電圧復調・位置電圧演算回路、113…誤差電圧発生回路、
114,116…位相補償フィルタ処理回路、
115,117…ピエゾアクチュエータドライバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ディスクの所定のトラックから読出したサーボ信号に応じて前記トラック上に磁気ヘッドを位置決めする磁気ヘッドサーボ位置決め制御装置において、
サスペンションスプリングを介して前記磁気ヘッドを支持するヘッドカートリッジと、
このヘッドカートリッジが装着されるヘッドキャリッジと、
前記サスペンションスプリングから前記ヘッドカートリッジあるいはこのヘッドカートリッジをヘッドキャリッジに取付ける取付ベースまでの間に設けられた第1の進退アクチュエータと、
前記ヘッドキャリッジに支持され前記取付ベースを移動させる第2の進退アクチュエータと、
前記磁気ヘッドにより読出された前記サーボ信号に応じて第1の位相補償フィルタ処理回路を介して前記第1の進退アクチュエータを駆動しかつ第2の位相補償フィルタ処理回路を介して前記第2の進退アクチュエータを駆動して前記磁気ヘッドが前記トラック上に保持されるように制御をする制御回路とを備える磁気ヘッド位置決め制御装置。
【請求項2】
前記第1および第2の進退アクチュエータは、それぞれピエゾアクチュエータであって、前記第1の位相補償フィルタ処理回路は、前記第1のピエゾアクチュエータの機械的な第1の共振周波数よりも低い第1の周波数帯域で駆動信号を発生させるために設けられ、前記第2の位相補償フィルタ処理回路は、前記第1の共振周波数より低くかつ前記第2のピエゾアクチュエータの機械的な第2の共振周波数よりも低い第2の周波数帯域で駆動信号を発生させるために設けられている請求項1記載の磁気ヘッド位置決め制御装置。
【請求項3】
前記ヘッドカートリッジは、前記第2のピエゾアクチュエータを介してヘッドキャリッジに支持され、前記第1の周波数帯域は、ボード線図上においてゼロdBのクロス周波数が3kHz以下であり、前記第2の周波数帯域は、ボード線図上においてゼロdBのクロス周波数が100Hz以下であり、前記制御回路は、前記第1および第2のピエゾアクチュエータに対応してドライブ回路をそれぞれ有し、前記第1および第2の位相補償フィルタ処理回路は、各前記ドライブ回路による前記磁気ヘッドの駆動位置決め誤差と回路の発振とを抑圧するために各前記ドライブ回路にそれぞれ直列に接続されている請求項3記載の磁気ヘッド位置決め制御装置。
【請求項4】
前記第2の周波数帯域はゼロクロス周波数が30Hz以下である請求項3記載の磁気ヘッド位置決め制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4項のうちのいずれか1項記載の磁気ヘッド位置決め制御装置を有する磁気ヘッドテスター。
【請求項6】
請求項1〜4項のうちのいずれか1項記載の磁気ヘッド位置決め制御装置を有する磁気ディスクテスター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−268955(P2006−268955A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−85291(P2005−85291)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】