説明

磁気共鳴イメージング・システム及びRFコイル

【課題】位置決めMR画像403で特定された所定の領域とRF受信コイル14に含まれるコイル導体101−104の少なくとも一部の位置関係を確認する。
【解決手段】位置決めMR画像403で特定した領域の位置とRF受信コイル14のコイル導体101−104の少なくとも一部の位置との位置関係はポジショニング・ライト17又は表示装置34により示される。位置決めMR画像403における領域の特定は、位置決めMR画像に含まれる所定の領域を自動的に検出すること、又は、位置決めMR画像の領域に対応する位置にオペレータが領域マーカ403を位置付けることにより行われる。本願発明の一態様において、位相画像の作成時に、位相画像に影響を及ぼすRF受信コイル14のコイル導体を解析の目的となる臓器と離して位置付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング・システム(MRI:Magnetic Resonance Imaging)及びRFコイル(Radio Frequency Coil)に関し、特に磁気共鳴イメージング装置により撮影されたMR画像に含まれる所定の領域の位置とRFコイルに含まれるコイル導体の位置関係を示す磁気共鳴イメージング装置又はこれに使用されるRFコイルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング装置は、静磁場空間内の被検体に電磁波を照射することにより、その被検体内のプロトン(proton)のスピン(spin)を核磁気共鳴現象によって励起させ、その励起されたスピンにより発生する磁気共鳴信号を得るスキャンを実施する。そして、そのスキャンにより得られる磁気共鳴信号に基づいて、被検体の断層面についてMR画像を生成する。
【0003】
かかる磁気共鳴イメージング装置により得られるMR画像の各ピクセル(または各ボクセル)は回転する磁化ベクトルの大きさと角度の値(複素数)を持った複素画像となる。通常、MR画像としては、複素数のNMR信号の強度成分のみを画像化した強度画像が用いられているが、磁化ベクトルの回転角(位相)を画像化した位相画像を再構成することも知られている。特に、近年のMRI技術の進歩により、撮像の高速化が進み、かつ磁場の不均一性が十分に小さくなったことから、位相画像に生じる乱れが小さくなくなり、位相画像も十分利用可能なものとなっている。
【0004】
かかる位相画像は、所定の臓器領域と他の組織領域とを識別することに使用されることがある。例えば、プロトン密度を計測対象とする場合、プロトン密度が十分に高い部位は信号値が高いのでノイズの影響が相対的に低くなり位相が均一になる。逆に、プロトン密度が低いとノイズの影響が大きくなり位相がランダムになる。このため、位相画像において、心筋部位では位相が一様になるのに対し、肺野などの背景部位では位相がランダムに変化する。かかる性質を利用して、心筋と肺野の境界を高い精度で判別することが可能となり、心臓領域の自動的抽出処理等が可能となる。
【0005】
また、たとえば、被検体の心臓や腹部を撮影する場合においては、呼吸運動や心拍運動などの体動によって、体動アーチファクト(artifact)が発生し、画像の質が低下するという問題がある。かかる問題を解決する一つの方法は、例えば、通常呼吸下での撮像において、横隔膜の位置の変化に合わせて、被検体の励起断面をリアルタイムで補正し、常に同一の断面から磁気共鳴信号を計測することにより体動アーチファクトによる画像の低下を防止する。また、取得したナビゲータエコーを利用して、イメージングシーケンスを変更したり、イメージングデータを選択したりすることにより体動アーチファクトによる画像の質の低下を防止する。
【0006】
これらの技術に用いる横隔膜の位置検出の手法として、ナビゲータエコーを利用して横隔膜の動きを追跡し、得られたナビゲータデータを利用して呼吸同期、ゲーティング(gating)を行う方法が知られており、ナビゲータデータの解析方法として、例えばAhn法、LSQ法、エッジ(edge)検出法などが知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平10−277010号公報(例えば、段落0002から段落0006参照。)
【特許文献2】特開2002−315734号公報
【特許文献3】特開平7−143974号公報
【特許文献4】特開2006−204330号公報
【非特許文献1】Yiping P. Du, ManojkumarSaranathan, and Thomas K. F. Foo. “An Accurate,Robust, and Computationally Efficient Navigator Algorithm for MeasuringDiaphragm Positions”,JOURNAL OFCARDIOVASCULAR MAGNETIC RESONANCE Vol.6, No.2, pp. 483-490, 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、かかる有用な位相画像は、RF受信コイルのコイル導体の周辺で発生する磁場不均一の影響を受け、RF受信コイルのコイル導体の近傍で画像の品質低下が発生し、所定の臓器領域の自動検出処理の精度に悪影響を及ぼす場合がある。
【0009】
図16(A)は肺と肝臓の境界付近911に受信コイルのコイル導体がない場合のナビゲータ位相情報に関連する位相画像を示し、図16(B)は肺と肝臓の境界付近913に受信コイルのコイル導体がある場合の位相画像を示す。両図において、縦軸は被検体(患者)40の体軸(z軸)に沿った位置を示し、横軸は時間であり、輝度は位相に対応している。図16(A)(B)に示されているように図16(A)の境界付近911ではさほどノイズが発生していないのに対し、図16(B)の境界付近913にノイズが載っていることがわかる。すなわち、図16(B)の境界付近913は、図16(A)の境界付近911に比べ、輝度値がその箇所にある臓器に対応した輝度とはならず、輝度値の乱れが生じている。かかるノイズは、横隔膜の位置の自動検出処理の精度に悪影響を及ぼす。このため、ナビゲータデータ解析時にナビゲータデータの安定した解析結果を得ることの妨げとなる。
【0010】
さらに、強度画像を生成するときでもRF受信コイルの全ての領域で等しく高い品質の画像を再構成するようにRF受信コイルを設計することは容易ではなく、特にRF受信コイルの周辺付近に位置づけられた被検体の部位の画像の画質は、RF受信コイルの中央付近に位置づけられた部位の画像の画質よりも劣ることが知られている。
【0011】
したがって、本発明の一態様は、位置決めMR画像で特定した所定の領域とRF受信コイルのコイル導体の位置関係を示すことを目的とする。
【0012】
本発明の他の一態様は、オペレータが観察を希望する又は自動検出処理の対象とする所定の領域にRF受信コイルのコイル導体が近づかないRF受信コイルの配置位置を示すことを目的とする。
【0013】
本発明の他の一態様は、位置決めMR画像で特定した所定の領域に対しRF受信コイルが悪影響を与えない位置に装着されている場合にのみMR画像の撮影ができる磁気共鳴イメージング・システムを提供することを目的とする。
【0014】
本発明の他の一態様は、位置決めMR画像で特定した所定の領域に対しRF受信コイルが悪影響を与えない位置に装着されている場合にのみ位相画像の撮影ができる磁気共鳴イメージング・システムを提供することを目的とする。
【0015】
本発明の他の一態様は、位置決めMR画像で特定した所定の領域をRF受信コイルが最も高い画質で再構成できると思われる箇所に位置づけてMR画像の撮影ができる磁気共鳴イメージング・システムを提供することを目的とする。
【0016】
本発明の他の一態様は、位置決めMR画像でRF受信コイルのコイル導体の位置が確認できるRF受信コイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願の一態様において、被検体から発生した磁気共鳴信号に基づいて被検体の画像を生成する磁気共鳴イメージング・システムであって、
コイル導体を含み、前記被検体の所定の部位に装着され、磁気共鳴信号を受信するRFコイルと、
前記RFコイルが装着された前記被検体から発生した磁気共鳴信号に基づいて前記被検体の内部構造を示す位置決めMR画像を生成するMR画像生成部と、
前記位置決めMR画像に含まれる特定された領域の位置または前記RFコイルを移動すべき位置を示す指示手段と、
を含む磁気共鳴イメージング・システムが提供される。
【0018】
本願の他の一態様において、前記磁気共鳴イメージング・システムは、静磁場を発生する静磁場コイルと、勾配磁場を発生する勾配磁場コイルとを備える磁気共鳴撮像装置と、
前記被検体を載置し、前記被検体を移動させるテーブルと、
前記被検体の前記所定の部位を前記静磁場空間内の前記位置決めMR画像の撮影に適した位置に配置させるように前記テーブルを制御する制御手段と、
を更に備え、
前記指示手段が、前記特定された領域の位置または前記RFコイルを移動すべき位置を指し示すポジショニング・ライトであり、
前記制御手段は、前記位置決めMR画像が生成された後に、前記ポジショニング・ライトにより指し示される、前記特定された領域の位置または前記RFコイルを移動すべき位置に配置させるように前記テーブルを制御する。
【0019】
本願の他の一態様において、前記制御手段は、前記位置決めMR画像が生成された後に、前記ポジショニング・ライトにより指し示される前記RFコイルを移動すべき位置に配置させるように前記テーブルを制御し、
前記RFコイルは、前記ポジショニング・ライトが指し示す位置に前記RFコイルを対応付けるためのマークを有している。
【0020】
これによりシステムは、位置決めMR画像で特定した領域の位置とRFコイルのコイル導体の少なくとも一部の位置との位置関係を示すこととなり、システムのオペレータは両者の位置関係が把握できるようになる。本願の他の一態様において、前記被検体の所定の部位に装着されRFコイルは、表面コイルである。本発明の一態様において、前記位置決めMR画像の生成のための磁気共鳴信号を受信するRFコイルは、この表面コイルとは異なるRFコイルである。
【0021】
本願の他の一態様において、被検体から発生した磁気共鳴信号に基づいて被検体の画像を生成する磁気共鳴イメージング・システムであって、
コイル導体を含み、前記被検体の所定の部位に装着され、磁気共鳴信号を受信するRFコイルと、
前記RFコイルが受信した磁気共鳴信号に基づいて前記被検体の内部構造を示す位置決めMR画像を生成するMR画像生成部と、
前記位置決めMR画像中で特定された領域の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記特定された領域と前記コイル導体の少なくとも一部との距離を特定する距離特定手段と、
を含む磁気共鳴イメージング・システムが提供される。
【0022】
本願の他の一態様において、前記特定された領域の位置情報は、前記位置決めMR画像に含まれる所定の解剖学的特徴に対応して位置づけられた領域マーカの位置情報である。
【0023】
本願の一態様において、位置決めMR画像における領域の特定は、位置決めMR画像に含まれる所定の解剖学的特徴を自動的に検出すること、又は、位置決めMR画像中の領域に対応する位置にオペレータが領域マーカを位置付けることにより行われる。
【0024】
本願の他の一態様において、前記磁気共鳴イメージング・システムは、前記被検体が装着した前記RFコイルを撮影するカメラと、
前記位置決めMR画像を表示する表示装置と、
前記特定された領域を前記位置決めMR画像上で領域マーカとして表示する手段と、
を更に備え、
前記表示装置は、前記カメラによって撮影された前記RFコイルのカメラ画像上に前記領域マーカを示す表示を表示する。
【0025】
本願の他の一態様において、前記磁気共鳴イメージング・システムは、前記被検体が装着した前記RFコイルを撮影するカメラと、
前記カメラが撮影したカメラ画像から前記コイル導体の少なくとも一部の位置を検出するコイル導体検出手段と、を更に備え、
前記位置決めMR画像を表示する表示装置と、
前記表示装置は、前記検出されたコイル導体の少なくとも一部に対応する表示を前記位置決めMR画像上に表示する。
【0026】
本願の他の一態様において、カメラ画像上におけるRFコイルのコイル導体の位置の検出は、カメラ画像に含まれるRFコイルのコイル導体を自動的に検出すること、又は、カメラ画像に含まれるRFコイルのコイル導体に対応する位置にオペレータがコイル・インジケータを位置付けることにより行われる。
【0027】
本願の他の一態様において、前記RFコイルは筐体を有し、前記筐体は前記コイル導体の前記少なくとも一部の位置に対応した位置に、所定の色を有するエレメント・マークを有しており、
前記コイル導体検出手段は、前記カメラ画像に含まれる前記所定の色を識別することにより、前記コイル導体の少なくとも一部の位置を検出する。
【0028】
本願の他の一態様において、前記コイル導体検出手段は、予め記憶された前記RFコイルの特徴を示す画像モデルとのマッチングを行うことにより、前記コイル導体の少なくとも一部の位置を検出する。
【0029】
本願の他の一態様において、前記磁気共鳴イメージング・システムは、静磁場を発生する静磁場コイルと、勾配磁場を発生する勾配磁場コイルとを備える磁気共鳴撮像装置と、
前記被検体を載置し、前記被検体の前記所定の部位を移動させるテーブルと、
を更に備え、
前記カメラは、前記磁気共鳴撮像装置内の静磁場に影響を与えないように前記磁気共鳴撮像装置の本体と離間された位置において前記磁気共鳴撮像装置に装着される。
【0030】
本願の他の一態様において、前記磁気共鳴イメージング・システムは、前記位置決めMR画像を表示する表示装置を更に備え、
前記RFコイルは筐体を有しており、前記筐体は、前記コイル導体の少なくとも一部に対応した位置に、MR画像で検出可能な物質で形成されたエレメント・マークを有しており、
前記表示装置は、前記エレメント・マークに対応する表示を含む位置決めMR画像を表示する。
【0031】
本願の他の一態様において、前記位置決めMR画像はコロナル断面の画像である。
【0032】
本願の他の一態様において、前記磁気共鳴イメージング・システムは、前記エレメント・マークは、所定の周波数特性を示す物質で形成されており、
前記MR画像生成部は、前記所定の周波数特性を示す物質で形成された前記エレメント・マークを含む位置決めMR画像と、該エレメント・マークを含まない前記被検体の内部構造を示す位置決めMR画像とを生成する。
【0033】
本願の他の一態様において前記位置決めMR画像は、位相画像であり、
前記磁気共鳴イメージング・システムは前記位相画像を処理する画像処理手段を更に備え、
前記位相画像を構成する画素の画素値が位相に対応しており、
前記画像処理装置は、前記コイル導体の少なくとも一部の位置を特定する。
【0034】
本願の他の一態様において、前記コイル導体の少なくとも一部の位置の特定は、位相画像に含まれるRFコイルのコイル導体の影響を自動的に検出すること、又は、位相画像に含まれるRFコイルのコイル導体の影響が発生した位置にオペレータがコイル・インジケータを位置付けることにより行われる。
【0035】
本願の一態様において、位相画像で特定されたRFコイルのコイル導体に対応する表示は位置決めMR画像の対応する位置に表示される。
【0036】
本願の一態様において、位置決めMR画像で特定した領域の位置とRFコイルのコイル導体の少なくとも一部の位置との位置関係はポジショニング・ライトにより示される。
【0037】
本願の一態様において、位置決めMR画像で特定した領域の位置とRFコイルのコイル導体の少なくとも一部の位置との位置関係は表示装置により示される。
【0038】
本願の他の一態様において前記画像処理装置は、
前記位相画像において画素値の分散が高い領域を特定し、
前記高い分散を示す箇所を前記コイル導体の少なくとも一部の位置であると認識する。
【0039】
本願の他の一態様において、前記エレメント・マークは、所定の周波数特性を示す物質で形成されており、
前記RFコイルは前記コイル導体で形成されたループ・コイルを備え、
前記ループ・コイルが前記所定の周波数及び1Hの周波数の少なくとも2つの周波数に同調するようにチューニングされている。
【0040】
本願の他の一態様において、前記特定された領域は、前記被検体の肺と肝臓の間に位置する横隔膜である。
【0041】
本願の他の一態様において、被検体の所定の部位に装着され、前記被検体から発生した磁気共鳴信号を受信するRFコイルであって、
筐体と、
前記筐体内に配置されたコイル導体と、
を備え、
前記筐体は、前記コイル導体の少なくとも一部の位置に対応した位置にエレメント・マークを有しており、
前記磁気共鳴撮像装置によって撮影されたときに、選択により、前記エレメント・マークを含む位置決めMR画像と、該エレメント・マークを含まない前記被検体の内部構造を示す位置決めMR画像とが再構成可能である、
RFコイルが提供される。
【0042】
本願の他の一態様において、前記RFコイルは、前記コイル導体で形成されたループ・コイルを備え、
前記エレメント・マークは、所定の周波数特性を示す物質で形成されており、
前記ループ・コイルが前記所定の周波数及び1Hの周波数の少なくとも2つの周波数に同調するようにチューニングされている。
【0043】
本願の他の一態様において、前記RFコイルは、前記コイル導体で形成された、少なくとも4個の矩形のループ・コイルを備え、
前記少なくとも2個の矩形のループ・コイルが前記被検体の体軸の方向と垂直な方向にオーバラップして並べられたループ・コイルの対を少なくとも2つ形成し、
前記少なくとも2つのループ・コイルの対が前記体軸の方向にオーバラップして並べられ、
前記少なくとも4個の矩形のループ・コイルが少なくとも1つの点で互いにオーバラップし、
前記エレメント・マークは、
前記少なくとも1つの点を挟んで前記体軸の方向と垂直な方向の両側に位置する少なくとも2つのループ・コイルの端部の点に配置されている。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、位置決めMR画像で特定された領域とRFコイルに含まれるコイル導体の少なくとも一部の位置関係を確認することができる。
【0045】
本発明の他の一態様によれば、RFコイルに含まれるコイル導体の少なくとも一部の位置と位置決めMR画像で表示された所定の領域の位置が所定の位置関係となるように調整することができる。
【0046】
本発明の他の一態様によれば、RFコイルに含まれるコイル導体の少なくとも一部の位置と位置決めMR画像で表示された所定の領域の位置が所定の位置関係となる場合にのみMR画像の撮影を行うことができ、MR画像に表示される所定の領域の画質を向上させることができる。
【0047】
本発明の他の一態様によれば、RFコイルに含まれるコイル導体の少なくとも一部の位置と位置決めMR画像で表示された所定の領域の位置が所定の位置関係となる場合にのみ位相画像の撮影を行うことができ、位相画像に表示される所定の領域の画質を向上させることができる。
【0048】
本発明の他の一態様によれば、位置決めMR画像で特定した所定の領域をRF受信コイルが最も高い画質で再構成できると思われる箇所に位置づけてMR画像の撮影ができる磁気共鳴イメージング・システムを提供することができる。
【0049】
本発明の他の一態様によれば、位置決めMR画像でRF受信コイルのコイル導体の位置が確認できるRF受信コイルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
<装置構成>
図1は、本発明に係る一実施形態における磁気共鳴イメージング・システム(MRIシステム)の構成を示す構成図である。本システムは、本発明の実施形態の一例である。図1に示すように、MRIシステム1は、MRI装置2と、操作コンソール(console)3とを有している。ここで、MRI装置2は、静磁場マグネット(magnet)部12と、勾配コイル(coil)部13と、RF受信コイル14と、RF送受信コイル142と、テーブル15と、ポジショニング・ライト17と、後で詳述するカメラ18とを有する。そして、操作コンソール3は、RF駆動部22と、勾配駆動部23と、データ収集部24と、制御部30と、記憶部31と、操作部32と、データ処理部33と、表示部34とを有する。
【0051】
MRI装置2は、図1に示すように、被検体40における撮影スライス領域が収容される静磁場空間11を含んでいる。そして、MRI装置2は、操作コンソール3からの制御信号に基づいて、その静磁場が形成される静磁場空間11に収容した被検体40の撮影領域にRFパルスを照射し、その撮影領域から磁気共鳴信号を取得するスキャンを実施する。
【0052】
本実施形態において、MRI装置2は、被検体40のイメージング領域において発生する磁気共鳴信号をイメージングデータとして得るイメージングシーケンスと、被検体40のナビゲータ領域において発生する磁気共鳴信号をナビゲータデータとして取得するナビゲータシーケンスとを繰り返し実施する。
【0053】
静磁場マグネット部12は、被検体40が収容される静磁場空間11に静磁場を形成するために設けられている。静磁場マグネット部12は、水平磁場型であって、被検体40が収容される静磁場空間11において載置される被検体40の体軸方向(z方向)に沿うように、超伝導磁石(図示なし)が静磁場を形成する。なお、静磁場マグネット部12は、水平磁場型の他に、垂直磁場型であってもよく、永久磁石により構成されていてもよい。
【0054】
勾配コイル部13は、RF受信コイル14又は、RF送受信コイル142が受信する磁気共鳴信号に3次元の位置情報を持たせるために、静磁場空間11に勾配磁場を形成する。勾配コイル部13は、スライス選択勾配磁場、読み取り勾配磁場、位相エンコード勾配磁場の3種類の勾配磁場を形成するために勾配コイルを3系統有する。
【0055】
本発明の好適な実施例においてRF受信コイル14は、被検体40の胴体を囲むように配置される受信専用のRF表面コイルであり、RF送受信コイル142は、円筒形のマグネット・ボア内において、勾配コイル部13に隣接して配置されたRFコイルである。RF送受信コイル142は、静磁場マグネット部12によって静磁場が形成される静磁場空間11内において、制御部30からの制御信号に基づいて、電磁波であるRFパルスを被検体40に送信して高周波磁場を形成する。これにより、被検体40の撮影スライス領域におけるプロトンのスピンを励起する。そして、RF送受信コイル142又はRF受信コイル14は、その励起された被検体40の撮影スライス領域におけるプロトンのスピンが元の磁化ベクトル(vector)へ戻る際に生ずる電磁波を、磁気共鳴信号として受信する。本発明の好適な実施例において、図6等において後述する位置決めMR画像、図15において後述する位相プロファイル及び、図14で後述する位置決め位相画像は、RF送受信コイル142で受信された磁気共鳴信号に基づいて生成される。ただし、これらの位置決めMR画像、位相プロファイル及び、位置決め位相画像のいずれか又は全ては、RF送受信コイル142ではなくRF受信コイル14で受信された磁気共鳴信号に基づいて生成することもできる。なお、RF受信コイル14は、受信専用ではなく、送受信の双方が可能としてもよく、RFコイル14が送信したRFパルスに基づく磁気共鳴信号をRFコイル14又はRF送受信コイル142のいずれかが受信し、位置決めMR画像、位相プロファイル及び、位置決め位相画像のいずれか又は全てを生成しても良い。
【0056】
図2は本実施形態のMRI装置2に用いられるRF受信コイル14(受信専用RFコイルと送受信兼用RFコイルの双方を含む)の一具体例を示す外観図である。本発明の好適な実施例において、RF受信コイル14は樹脂製の筐体143を有しており、コイル導体がこの筐体143内に収納される。本発明の好適な実施例において、筐体143には矩形のループ・コイルに対応した形状のフレームを有しており、各ループ・コイル101〜104の中心付近は筐体を形成する材料は存在せず、空洞151−154となっている。本発明の好適な実施例においては、図2に示されるRF受信コイル14は、被検体40の胸部に密着するように湾曲しており、また、被検体40の体型の違いを考慮して弾力性を有している。また、本発明の好適な実施例において、RF受信コイル14は、被検体40の胸部前面に対して1つ、胸部背面に対して1つ、合計2つのRF受信コイル14が被検体40の胸部に装着される。なお、本発明の好適な実施例においては、以上に説明したRF受信コイル14を使用しているが、本願発明に使用されるRF受信コイル14がこれに限定されるものではなく、被検体40の胸部に配置されるシングル・ループ・コイルのようなRF受信コイルや被検体40の頭部を全体的に取り囲む円筒形のRF受信コイルであってもよい。
【0057】
図3は、図2に示すRF受信コイル14に含まれるコイル導体101〜104を示す概念図である。図3に示すように、本例のRF受信コイル14は、4つのループ・コイル(loop coil)101,102,…,104によって構成されている。各ループ・コイル101〜104は、シングルループに構成され、被検体40の体軸方向(z方向)に沿って隣接するコイル導体(コイル・エレメント)同士が互いにオーバーラップする(重なり合う)ように配置されている。また、体軸と垂直な方向(x方向)に隣り合う2つのループ・コイルも互いにオーバーラップするように配置されている。この実施例において、ループ・コイル101〜104は、中心点105で全てのループ・コイル101〜104が互いにオーバーラップするように配置されている。このオーバラップにより、ループ・コイル101〜104は互いに減結合(デカップリング:decoupling)されている。また、隣接して配置されているループ・コイルの各ペアにおいて、グランド電位が共通化されており、ループ・コイル101〜104が仮想的にグランドの位置が一致しているので、形成されたRFコイルの安定性が向上する。また、RF受信コイル14は4チャネルのループ・コイルから構成されるので、所望の位相方向においてRF励起信号を受信することができる。図2、3の実施例においては、被検体40の体軸と垂直な方向にループ・コイルが並べられたループ・コイルの対(101と102及び103と104)は、体軸方向に2つ並べられた例を示しているが、ループ・コイルの対を体軸方向にオーバーラップするように3つ並べた6チャンネルのRF受診コイル等を使用しても良い。
【0058】
再び図1に戻って説明すると、テーブル15は、被検体40を載置するクレードル(cradle)16を有する。テーブル15は、制御部30からの制御信号に基づいて、静磁場空間11の内部と外部との間でクレードル16に載置された被検体40を移動する。
【0059】
ポジショニング・ライト(positioning light)17は、MRI装置2の端面に設けられており、位置決め時において、通常、MRI装置2のスキャン・センタSCに位置付けられるべき被検体40の撮影中心部位を照射する。ポジショニング・ライト17からスキャン・センタSC迄のZ方向成分の距離DL(図5)は一定なので、クレードル16をDLだけ移動させ、ポジショニング・ライト17で位置決め(セッティング:setting)した被検体40の所望の撮影中心部位をMRI装置2のスキャン・センタSCへ移動させ、MR画像の撮影を行うことができる。
【0060】
操作コンソール3は、MRI装置2が被検体40についてスキャンを実施するように制御し、そのMRI装置2が実施したスキャンによって得られた磁気共鳴信号に基づいて、被検体40のMR画像を生成すると共に、その生成したMR画像を表示する。
【0061】
RF駆動部22は、RF受信コイル14又はRF送受信コイル142を駆動させて静磁場空間11内に高周波磁場を形成するために、ゲート(gate)変調器(図示なし)とRF電力増幅器(図示なし)とRF発振器(図示なし)とを有する。RF駆動部22は、制御部30からの制御信号に基づいて、RF発振器からのRF信号を、ゲート変調器を用いて所定のタイミング(timing)および所定の包絡線の信号に変調する。そして、ゲート変調器により変調されたRF信号を、RF電力増幅器により増幅した後、RF受信コイル14又はRF送受信コイル142に出力する。
【0062】
勾配駆動部23は、制御部30の制御信号に基づいて勾配コイル部13を駆動させて、静磁場空間11内に勾配磁場を発生させる。勾配駆動部23は、勾配コイル部13の3系統の勾配コイルに対応して3系統の駆動回路(図示なし)を有する。
【0063】
データ収集部24は、RF受信コイル14又はRF送受信コイル142が受信する磁気共鳴信号を収集するために、位相検波器(図示なし)とアナログ/デジタル変換器(図示なし)とを有する。データ収集部24は、RF受信コイル14又はRF送受信コイル142からの磁気共鳴信号を、RF駆動部22のRF発振器の出力を参照信号として、位相検波器によって位相検波し、アナログ/デジタル変換器に出力する。そして、位相検波器により位相検波されたアナログ信号である磁気共鳴信号を、アナログ/デジタル変換器によってデジタル信号に変換して、データ処理部33に出力する。
【0064】
制御部30は、コンピュータ(computer)と、コンピュータを用いて所定のスキャンに対応する動作を各部に実行させるプログラム(program)とを有する。そして、制御部30は、後述する操作部32に接続されており、操作部32に入力された操作信号を処理し、テーブル15、ポジショニング・ライト17、カメラ18、RF駆動部22、勾配駆動部23及び、データ収集部24を含むMRI装置の各部に、制御信号を出力し各部の制御を行う。ポジショニング・ライト17は、制御部30により、オン・オフの制御が行われるものの他、単に点灯し続けるものであってもよい。また、制御部30は、所望の画像を得るために、操作部32からの操作信号に基づいてデータ処理部33、表示部34を制御する。
【0065】
本実施形態においては、制御部30は、RF駆動部22と勾配駆動部23とを制御して、スキャン部2にナビゲータシーケンス及びイメージングシーケンスを実施させる。制御部30は、ナビゲータシーケンスを実施して得られたナビゲータデータに基づいて、スキャン部2が実施するイメージングシーケンスの制御を実施し、またデータ処理部33を制御することにより、イメージングデータの処理をする。
【0066】
記憶部31は、コンピュータとコンピュータに所定のデータ処理を実行させるプログラムとを有する。そして、記憶部31は、データ収集部24に収集された画像再構成処理前の磁気共鳴信号、後述するデータ処理部33で画像再構成処理された画像データ等を記憶する。
【0067】
操作部32は、キーボード(keyboard)やマウス(mouth)などの操作デバイス(device)により構成されている。オペレータ(operator)は、操作部32を使用して操作データ、撮像プロトコル(protocol)などを入力し、またイメージングシーケンスを実施する領域、ナビゲータシーケンスを実施する領域の設定を行う。操作部32は、その操作データ、撮像プロトコル、設定領域に関するデータを制御部30に出力する。
【0068】
データ処理部33は、コンピュータと、そのコンピュータを用いて所定のデータ処理を実行するプログラムを記憶するメモリとを有しており、制御部30からの制御信号に基づいて、データ処理を実施する。
【0069】
図4は、本発明に係る一実施形態におけるデータ処理部33の構成を示すブロック(block)図である。図4に示すように、データ処理部33は、画像再構成部(画像生成部)331と、位相画像解析部336、画像処理部335を有する。位相画像解析部336は、位相プロファイル生成部332と、位相補正部333と、位置検出部334とを有する。データ処理部33は、記憶部31に記憶され、メモリにロードされたプログラムに従ってコンピュータが動作することにより、各種のデータ処理を実行する。
【0070】
画像再構成部331は、被検体40の撮影領域についてのイメージングシーケンスの実施によってイメージングデータとして得られた磁気共鳴信号を、ローデータとして用いることによって、その被検体40の撮影領域についてのMR画像を画像再構成する。また、後で詳述する位置決めMR画像及び位置決め位相画像も画像再構成部331がRF受信コイル14又は、RF送受信コイル142が受信した磁気共鳴信号を用いて生成する。すなわち、本発明の好適な実施例においては、MRI装置2によるイメージングシーケンスの実施において、RF送受信コイル142が撮影領域へRFパルスを送信し、その撮影領域において発生する磁気共鳴信号を、RF送受信コイル142が受信することによって収集したイメージングデータに基づいて、位置決めMR画像、位相プロファイル及び位置決め位相画像が生成される。そして、画像再構成されたスライス画像を表示部34に出力する。
【0071】
画像処理部335は、画像再構成部331で生成されたMR画像や、後述するカメラ画像を処理し、処理結果の画像を表示部34に表示する。また、処理対象の画像に対して入力された入力データを位置情報として記憶部31に格納する。
【0072】
位相プロファイル生成部332は、例えば、被検体40のイメージング領域についてのイメージングシーケンスの実施前に実施されたナビゲータシーケンスによってナビゲータデータとして得られた磁気共鳴信号を、ローデータとして用いることによって、その被検体40のナビゲータ領域についての位相プロファイルを生成する。すなわち、データ収集部24に収集されたナビゲータデータを一次元フーリエ(Fourier)変換し、一次元フーリエ変換したデータの位相Pと位置Zとの関係をプロット(plot)することにより位相プロファイルを生成する。
【0073】
位相補正部333は、位相プロファイル生成部332が生成した位相プロファイルの補正を実施する。
【0074】
位置検出部334は、RF受信コイル14のコイル導体の位置を検出する。本実施形態において、位置検出部334は、位相プロファイル生成部332により1次元フーリエ変換が実施されたナビゲータデータの位相プロファイルにおいて、位相プロファイルの分散の程度を解析し、所定の閾値よりも高い分散を示す部分にコイル導体が存在すると認識する。
【0075】
また、上述の通り、位相画像における位相の値は、組織の種類によって異なるという性質を有しており、好適な実施例において位置検出部334は、位相画像に閾値処理等を適用することにより、肺臓と肝臓の境界にある横隔膜の位置等、被検体40における所定の解剖学的特徴や領域の位置を検出する。
【0076】
再び図1に戻って説明を続けると、表示部34は、ディスプレイ(display)などの表示装置により構成されており、制御部30からの制御信号に基づいて、表示画面に画像を表示する。表示部34は、例えば、オペレータによって操作部32に操作データが入力される入力項目についての画像を表示画面に表示する。また、表示部34は、データ処理部33が生成する被検体40のスライス画像、3次元画像等の各種画像情報等を表示する。
【0077】
<第1実施例>
第1実施例では、位置決めMR画像で特定された領域またはRF受信コイル14を移動すべき位置をポジショニング・ライト17が照らすようにテーブル15を制御し、移動することにより、位置決めMR画像で特定した領域の位置とRF受信コイル14のコイル導体との位置関係が示される。以下この具体的な処理手順を説明する。
【0078】
1−1.RF受信コイル14を被検体40に装着する。RF受信コイル14の装着は、医師、技師、看護士等(以下「医療従事者」という)により行われる。被検体40をクレードル16に寝かせ、クレードル16の位置を制御し、位置決め時にポジショニング・ライト17が例えばRF受信コイル14の中心を照らすように位置決めを行う。このとき、RF受信コイル14の中心に替えて、RF受信コイル14の空洞部を通して観察可能な被検体40の体表面上の特定の箇所を位置決め点として選択しても良い。
【0079】
1−2.制御部30の制御により、被検体40をMRI装置2の静磁場空間内に移動し、ポジショニング・ライト17で位置決めした点(以下、単に「位置決め点」という)をスキャン・センタSCに位置づける。このときのクレードル16の移動量は−DLである。図5の例ではDL=110cmであり、クレードル16は被検体40の頭部の方向に110cm移動する
【0080】
1−3.この状態で位置決めMR画像、すなわちローカライザ(localizer)画像の撮影を行い、公知の手法により、位置決めMR画像を表示部34に表示する。位置決めMR画像は、公知のグラフィック規定(graphic prescription)法で使用されるMR画像である。すなわち、MRIシステムによりオペレータにとって関心のある領域から信号を取得するためには、所望の画像の向き及び位置と共に視野、間隔及び厚さのようなパラメータを入力することを含めて、実行すべき取得法をオペレータにより最初に規定することが必要である。本発明の好適な実施例において、グラフィック規定法は、図4の画像処理部335が提供する機能の1つであり、コロナル断面に沿った位置決めMR画像は、撮影時に前述のスキャン・センタSCに位置付けられた被検体40の位置決め点が中心に位置するMR画像となる。
【0081】
このグラフィック規定法は、オペレータがグラフィック手法を用いて規定を行うことを可能にする手法である。典型的には、グラフィック規定法を実行するために、先ず複数の参照用の位置決めMR画像を取得し、次いでオペレータによってこれらの位置決めMR画像に点、線、箱形又は他の形状のような規定用マークを付け、且つ所望の規定が達成されるまで該マークを操作することができるようにする。オペレータが効率のよい態様で操作して、その結果オペレータが正確な規定を作ることができるような規定用インターフェースを提供する(例えば特許文献2参照)。
【0082】
この例では3次元ローカライザ撮像が行われ、オペレータは所望により、アキシャル断面、コロナル断面、サジタル断面の各断面に沿った位置決めMR画像を表示部34に表示させ、上述のグラフィック規定を行うことができる。
【0083】
1−4.図6は取得されたコロナル断面の位置決めMR画像の一例を示す図である。オペレータは、この位置決めMR画像401において、コイル導体が位置していない方が望ましい領域を指定する。この例では、コロナル断面に沿った位置決めMR画像401上で肺と肝臓の境界が領域マーカ403によりマーキングされる。オペレータは操作部32のマウス等のポインティング・デバイス(Pointing Device)を使用して、表示画面上で始点をクリックし、終点までドラッグし、クリックを解除することにより、表示画面上に所望の矩形領域を特定し、領域マーカ403を位置決めMR画像401上の所望の位置に位置付けることができる。かかる一連の操作部32を使用したマーキングのオペレーションにより、コンソール3の画像処理部335は領域マーカ403の座標値を特定し、記憶部31に格納する。図の例では領域マーカ403は長方形であり、制御部30は、長方形の対角位置にある2つの頂点の座標値を取得し、記憶部31に格納する。他の実施例においては目的の臓器の大きさがほぼ一定であるので長方形の中心位置の座標値のみが格納される。
【0084】
他の例では、オペレータは目的の臓器を位置決めMR画像401でクリックすると、公知のエッジ検出処理、セグメント化処理により目的の臓器の領域を特定することができる。
【0085】
1−5.位置決めMR画像401において、領域マーカ403の中心(X,Z)とスキャン・センタSCとのZ軸に沿った距離DMを計算し、テーブル15の移動量DAを決定する。図5の例では、スキャン・センタSCに対する領域マーカ403の中心(目的の臓器の位置)AのZ方向成分の距離DMは、−1cmであり、ポジショニング・ライト17が、領域マーカ403の中心に対応する被検体40の位置を照らすために必要となるテーブル15の移動量DAはDA=DL−DMとなる。図5の例ではDA=110cm−(−1cm)=111cmとなり、クレードル16は、被検体40の足の方向に111cm移動する。
【0086】
1−6.決定されたテーブル15の移動量DAに従った制御部30の制御によりクレードル16を移動すると、ポジショニング・ライト17は、位置決めMR画像401でマーキングした領域マーカ403位置に対応する被検体40及びRF受信コイル14の位置を照らすこととなる。
【0087】
1−7.これにより、医療従事者は、オペレータが指定した所定の解剖学的特徴や領域の位置に対応するマーカ位置とコイル導体の位置との位置関係を確認することができる。
【0088】
1−8.すなわち、コイル導体がポジショニング・ライト17により照らされている位置から十分離れている(この例ではRF受信コイル14のフレームの中心から3cm以上離れているか否かが判断される)場合、位置決め点をスキャン・センタSCに戻し、MR画像の撮影を再開する。この時、クレードル16を移動する移動量は−DAすなわち、DM−DLとなる。図5の例では、クレードル16は、被検体40の頭部の方向に111cm移動する。本発明の好適な実施例において、複数のループ・コイル101−104を収納するRF受信コイル14の筐体143のフレームの幅は上述の離して位置づけた方が好ましい距離に一致するように設計されており(すなわち、3cm×2=6cmの幅)、医療従事者はRF受信コイル14を移動すべきか否かを容易に判断できる。すなわち、RF受信コイル14のフレームがポジショニング・ライト17により照らされている場合はRF受信コイル14の移動が必要であり、そうでない場合は移動の必要がないと判断できる。別の例では、コイル導体の影響が大きく、RF受信コイル14の移動が強く推奨される領域と、影響は大きくないが、できれば移動することが推奨される領域とが識別可能に表示される。
【0089】
本発明の好適な実施例においては、かかるRF受信コイル14の移動の必要性を自動的に行うことができる。すなわち、MRI装置2は、ポジショニング・ライト17の近傍に光学センサ19(図示せず)を備えており、光学センサ19は、ポジショニング・ライト17が反射した光を検出するように構成されている。この一方、図7に示すように、RF受信コイル14の筐体143のフレーム上にはフレームの中心を挟んだ±3cmの領域(すなわち、コイル導体が影響を及ぼす領域)161で他のRF受信コイルの筐体の表面、被検体の皮膚、被検体の検査着とポジショニング・ライト17の反射率が識別可能に異なるように設計されている。例えば、上記領域が、ライトを高い反射率で反射する用に加工されており、光学センサが検出した反射光のデータは、データ処理部33に送られ、反射光の値が閾値と比較される。
【0090】
反射光の値が閾値よりも高い場合には、データ処理部33はRF受信コイル14の移動の必要性があると判断し、表示部34にRF受信コイル14の移動を操作者に指示する表示を行う。反射光の値が閾値よりも低い場合には、データ処理部33はRF受信コイルの移動の必要性が無いと判断し、位置決め点をスキャン・センタSCに戻し、RF受信コイル14を用いたナビゲータ付きのMR画像の撮影が行われる。また、RF受信コイル14を用いたナビゲータ付きのMR画像の撮影に限らず、オペレータが指定した様々な種類のMR画像を取得することもできる。
【0091】
本願の一実施例では、横隔膜の位置の自動検出・追跡処理を行うため、位相画像の撮影が新たに行われ、撮影された位相画像は公知の方法により処理される。また、他の実施例では、所定臓器のセグメント化処理を行うため、位相画像の撮影が新たに行われ、撮影された位相画像は公知の方法によりセグメント化処理される。本願の他の実施例では、位相画像のための撮影は新たに行われず、ステップ1−3で得られたMR信号から位相画像の再構成が行われ、再構成された位相画像に基づいて横隔膜の位置の自動検出・追跡処理や所定臓器のセグメント化処理が行われる。
【0092】
1−9.ポジショニング・ライト17が示した部分にコイル導体がある場合、医療従事者は、RF受信コイル14のコイル位置を手動によりずらす。本発明の他の実施例においては、特開平7−143974号(特許文献3)等の公知の手法を用いてRF受信コイル14を手動によらず自動的にずらす。
【0093】
上述の例では、RF受信コイルの中心を位置決め点として指定したが、これに替えて、RF受信コイルの上端、下端等のRF受信コイル14の特定の点を位置決め点として指定しても良い。また、位置決めMR画像401の撮影を行い、被検体40を静磁場空間11から出した後に位置決めMR画像401で特定した領域をポジショニング・ライト17が照らすようにテーブル15を戻したが、これに替えて、RF受信コイルの中心点、上端、下端等のRF受信コイル14の特定の点を移動すべき位置をポジショニング・ライト17が照らすようにテーブル15を移動することもできる。
【0094】
すなわち、ステップ1−1では、ポジショニング・ライト17を被検体40が装着したRF受信コイル14の中心等のRF受信コイルの特定の点をポジショニング・ライト17が照らすようにテーブル15を調整し、位置決め点の指定を行う。この例で使用されるRF受信コイルは、図2に示すRF受信コイル14が使用されており、RF受信コイル14の中心にコイル導体の中心線が位置している。
【0095】
ステップ1−2乃至1−4は、上述の例と同様に処理を行う。
【0096】
ステップ1−5では、位置決めMR画像401において、領域マーカ403の中心(X,Z)のZ座標値(Z)と位置決め点(この場合は位置決めMR画像401の中心)の距離が計算される。この距離の絶対値が所定の値(この例ではコイル導体から離すことが推奨される距離である3cm)以上であれば、コイル導体と位置決めMR画像401で特定した領域403は十分離れていると判断できるので、RF受信コイル14の位置の再設定は行われず、MR撮影処理が続行される。
【0097】
領域マーカ403の中心位置Aとスキャン・センタSCとのZ方向成分の距離DMの絶対値が所定の値以下の場合は、RF受信コイル14を移動すべき距離が計算される。推奨離間距離、すなわち目的の臓器をコイル導体から離すことが推奨される距離DRは3cm、テーブル15を移動すべき移動量DAは、DA=DL−DM±DRとなる。図5の例の場合、DA=110cm−(−1cm)±3cm=114cm又は108cmとなる。
【0098】
DRの符号を正または負のいずれかにするかは、オペレータが選択しても良いし、システムにより自動的に選択されても良い。この場合、コイルの移動量をより少なくするためには、DMの値が正の場合にはコイルの移動先をR1とし、DMの値が負の場合にはコイルの移動先をR2とすることが好ましい。
【0099】
ステップ1−6で決定されたテーブル15の移動量DAに従った制御部30の制御によりクレードル16を移動すると、ポジショニング・ライト17は、RF受信コイル14の中心等を移動すべき位置を照らすこととなる。医療従事者は、ポジショニング・ライト17に従ってコイル位置を手動によりずらす。これにより、RF受信コイル14を、コイル導体が位置決めMR画像401で特定された領域に影響を及ぼさない位置に再配置することができる。
【0100】
RF受信コイル14の再配置の後、当初設定した位置決め点をスキャン・センタSCに戻し、MR画像の撮影が再開される。または、必要に応じて位置決め点の再設定を行い、新たに設定した位置決め点をスキャン・センタSCに移動させ、MR画像の撮影を再開し、公知の方法に従って、横隔膜の位置の自動検出・追跡処理、所定臓器のセグメント化処理等の種々の処理やオペレータが指定した様々な種類のMR画像の取得が行われる。
【0101】
以上第1実施例について説明したが、他の実施例において説明した種々の変更や追加の内、第1実施例においても適用可能な変更や追加は第1実施例に適用して実施可能である。
【0102】
<第2実施例>
この第2実施例では、カメラ18で被検体40が装着したRF受信コイル14を撮影し、撮影したカメラ画像に第1実施例で説明した位置決めMR画像401から抽出した領域マーカ403が重畳される。以下この具体的な処理手順を説明する。
【0103】
2−1.被検体40をテーブル15に寝かせ、RF受信コイル14を被検体40に装着する。
【0104】
2−2.カメラ18でRF受信コイル14を装着した被検体40を撮像する。このカメラ18による撮影は、クレードル16がMRI装置2の本体の外に全て出た状態でも、ポジショニング・ライト17による位置決め時でもよい。本発明の好適な実施例において、カメラ18は可視光をデジタル信号に変換する撮像素子を備え、デジタル画像を出力できる一般的なデジタル・カメラである。別の実施例においては、赤外線等の可視光よりも波長の長い光線を撮影するカメラであり、RF受信コイル14の筐体143を形成する素材を選択することにより、カメラ18が筐体143内のコイル導体101−104を撮影することができる。
【0105】
本発明の好適な実施例において、図1に示されているように、カメラ18は、ポジショニング・ライト17の近傍で、MRI装置2の静磁場に影響を及ぼさないように静磁場領域から一定の距離を離されて位置付けられている。また、カメラ18で撮影されたカメラ画像は、位置決め点を中心として所定の領域を含む領域を撮影し、位置決め点を中心として位置決めMR画像401に対応する所定の領域を特定するように構成されている。この例では40cm×40cmを特定する。
【0106】
具体的には、被検体40がRF受信コイル14を装着した状態で位置決め点の指定を行い、位置決め点が、カメラの真下に移動するようにテーブル15を(既知のカメラとポジショニング・ライト17の距離だけ)移動する。これにより、カメラが撮影した画像が位置決めMR画像401に対してスキュー(Skew)すること、すなわち、両者の位置がずれてしまうことを防止できる。さらに、カメラによる撮影時にクレードル16の(y方向の)高さを調整する事により、RF受信コイル14、被検体40の体表面又は位置決めMR画像401のコロナル断面に対応する平面とカメラ18との距離を一定とすることができ、位置決めMR画像401に対応する所定の領域が容易にカメラ画像内で特定できるようになっている。カメラ画像と透視画像を対応付ける手法は公知であり(例えば特許文献4)、当業者はこの点において種々変更して実施することが可能である。
【0107】
カメラによって撮影されたカメラ画像及び、位置決め点を中心として位置決めMR画像401に対応する40cm×40cmのカメラ画像はデジタルデータの形式で記憶部31に格納される。図8は撮影されたカメラ画像の一例を示す概念図である。
【0108】
2−3.第1実施例のステップ1−2と同様に、制御部30の制御により、被検体40をMRI装置2の静磁場空間内に移動し、位置決め点をスキャン・センタSCに位置付ける。
【0109】
2−4.第1実施例のステップ1−3と同様に、位置決めMR画像401の撮影を行い、公知の手法により、位置決めMR画像401を表示部34に表示する。
【0110】
2−5.第1実施例のステップ1−4と同様に、取得された位置決めMR画像401において、コイル導体が位置していない方が望ましい領域を領域マーカ403で特定する。
【0111】
2−6.ステップ2−5で特定した領域403すなわち領域マーカ403を、2−2で記憶部31に格納されたカメラ画像410上にも表示させる。図9は領域マーカ403がカメラ画像410上に表示された状態のカメラ画像410の一例を示す概念図である。本発明の好適な実施例においては、ステップ2−5でマーキングした(矩形の)領域マーカ403の位置情報(例えば始点、終点)を相似変換し、カメラ画像410上の対応する位置に表示させる。縮尺率が同一の位置決めMR画像401に対応するカメラ画像410を用いる場合は、領域マーカ403は相似変換処理なしに表示させることができる。別の実施例では位置決めMR画像401のコントラストが修正され、領域マーカ403以外の画像が目立たない状態に処理された後に、位置決めMR画像401がカメラ画像410に重畳される。これにより、医療従事者は、オペレータが指定した所定の領域の位置に対応する領域マーカ403の位置とコイル導体の位置との位置関係を目視により確認することができる。本発明の好適な実施例において、複数のコイル・ループ101−104を収納するRF受信コイル14の筐体143のフレーム413の幅は上述の離して位置づけた方が好ましい距離に一致するように設計されており、オペレータはRF受信コイル14を移動する必要性の有無を容易に判断できる。すなわち、RF受信コイル14のフレーム413に領域マーカ403が重畳している場合はRF受信コイル14の移動が必要であり、そうでない場合は移動の必要がないと判断できる。別の例では、コイル導体の影響が大きく、RF受信コイル14の移動が強く推奨される領域と、影響は大きくないが、できれば移動することが推奨される領域とがRF受信コイル14の筐体上で所定の色(赤、黄等)により識別可能に表示され(図7、領域161)、これらの領域に領域マーカ403が重畳しているか否かを表示部34に表示されたカメラ画像410を見ることにより、容易に判断できる。別の例では、実際の距離を示すゲージまたは上述の離して位置付けた方が好ましい距離(3cm)に対応する大きさを有するアイコンが表示部34に提供され、オペレータはこれらのツールを使用して、RF受信コイル14を移動する必要性の有無を判断する。離すことが望ましい距離、すなわち、操作者が位置決めMR画像401で特定した領域とRF受信コイル14のコイル導体の少なくとも一部との推奨される距離は、システムに使用するRF受信コイル14の種類を設定した段階で、RF受信コイルの種類と推奨離間距離の対応テーブルを使用して自動的に特定される。本願好適な実施例では、この推奨離間距離の値はオペレータによって変更可能である。
【0112】
2−7.ステップ2−6で、RF受信コイル14の移動の必要性が無いと判断された場合は、位置決め点がスキャン・センタSCに位置付けられた状態でMR画像の収集処理が続行され、上述の横隔膜の位置の自動検出・追跡処理、所定臓器のセグメント化処理等の種々の処理が行われる。
【0113】
2−8.ステップ2−6で、RF受信コイル14の移動の必要性が有ると判断された場合は、オペレータはカメラ画像410で必要なコイル移動量を確認する。
【0114】
具体的には、オペレータは、ステップ2−6で説明したゲージを使用して、RF受信コイル14をどの程度の移動量移動すれば、RF受信コイル14のコイル導体が位置決めMR画像401で特定された領域に影響を及ぼさない位置になるかを確認でき、被検体40をMRI装置2の外に出した後に確認した移動量に従ってRF受信コイル14を手動又は自動で移動させることができる。本発明の好適な実施例において、クレードル16の側部にはゲージが刻印されており、オペレータはこのゲージを参照し、RF受信コイル14を移動することができる。
【0115】
他の実施例では、オペレータがカメラ画像上410のゲージを使用して確認した必要な移動量を操作部32を使用して入力する。制御部30は、第1実施例と同様な方法でテーブル15の移動量を計算し、RF受信コイル14を再配置すべき位置にポジショニング・ライト17が照らすようにテーブル15を制御し、移動させる。
【0116】
他の実施例では、RF受信コイル14の必要移動量は画像処理部335によって自動的に計算される。図10に示されているように、本発明の好適な実施例では、コイル導体の位置を示すコイル・インジケータ421(coil Indicator)が提供される。オペレータは、カメラ画像410上でこのコイル・インジケータ421をドラッグ&ドロップ(drag&Drop)することにより、コイル導体の位置を決定することができる。
【0117】
画像処理部335は、コイル・インジケータ421がドロップされると、領域マーカ403とコイル・インジケータ421とのz軸に沿った方向の距離を計算する。この例ではコロナル断面のx方向に延びる横隔膜が目的の臓器であるので、該臓器とx方向に延びるコイル導体との距離が問題となり、z方向の距離が決定されるが、脊柱や大動脈等z方向に延びる臓器が目的の臓器である場合、該臓器とz方向に延びるコイル導体との距離が問題となり、x方向の距離が決定される。さらに、腎臓等のx方向、z方向の両方向に延びる臓器の場合、両方向での距離の計算を行うことが好ましい。更に例えば内耳中の器官が目的の臓器の場合、サジタル断面で同様の距離計測が行われる。
【0118】
領域マーカ403とコイル・インジケータ421との距離、すなわち、位置決めMR画像401で特定した領域とRF受信コイル14のコイル導体の少なくとも一部との距離が所定の距離(コイル導体が位相画像に影響を与える範囲:この例では±3cm)以上離れている場合は、画像処理部335は、表示部34にRF受信コイル14の再配置が不要であることを示すメッセージを送り、表示部34はこれを表示する。
【0119】
領域マーカ403とコイル・インジケータ421との距離が所定の距離離れていない場合又はオペレータがRF受信コイル14の再配置を特に希望する場合、画像処理部335は、領域マーカ403をドラッグ&ドロップ可能な状態にする。オペレータは、カメラ画像410上で領域マーカ403を上又は下に移動し、領域マーカ403がコイル導体の中心から3cm(コイル導体から離すことが推奨される距離)以上離れると、領域マーカ403の色が変化する(例えば黄色から青に変化する)。この状態で領域マーカ403をカメラ画像410上でドロップすると、RF受信コイル14を移動すべき移動量が移動前の領域マーカ403の位置と移動後の領域マーカ403の位置とにより決定される。他の例では、画像処理部335がコイル導体から領域マーカ403が推奨離間距離(3cm)だけ離れる位置を自動的に計算し、オペレータは、コイル導体の上又は下に移動して表示された2つの領域マーカ403の候補のうち好ましい方を選択することによりRF受信コイル14の再配置すべき位置を指定することができる。さらにかかる二者選択は行わず、画像処理部335は、2つの候補の内、移動量の少ない方のみを自動的に選択しても良い。
【0120】
位置決め点に対するコイル・インジケータ421の位置とRF受信コイル14の移動量からポジション・ライト17がRF受信コイルを移動すべき箇所を照らすようなテーブル15の移動量が計算され、第1実施例で説明した方法と同様な方法で、制御部30の制御によりクレードル16を移動する。第1実施例の場合と同様に医療従事者は、ポジショニング・ライト17に従ってコイル位置を手動によりずらす。これにより、RF受信コイル14を、コイル導体が位置決めMR画像401で特定された領域に影響を及ぼさない位置に再配置することができる。
RF受信コイル14の再配置の後、当初設定した位置決め点をスキャン・センタSCに戻し、MR画像の撮影が再開される。また、必要に応じて位置決め点の再設定を行い、新たに設定した位置決め点をスキャン・センタSCに移動させ、MR画像の撮影を再開し、公知の方法に従って、横隔膜の位置の自動検出・追跡処理、所定臓器のセグメント化処理等の種々の処理やオペレータが指定した様々な種類のMR画像の取得が行われる。
【0121】
他の実施例においては、第3実施例で後述するRF受信コイル14の認識処理がカメラ画像410において行われ、画像処理部335は、領域マーカ403に最も近いコイル導体の位置を検出する。そして画像処理部335は、領域マーカ403と検出したコイル導体の距離を計算し、3cm以上離れている場合は処理を続行する。
【0122】
3cm未満の場合、コイル導体に対応するエレメント・アイコン423(Element Icon、図示せず)をカメラ画像410に表示し、領域マーカ403の場合と同様にドラッグ&ドロップ可能にする。領域マーカ403の場合と同様にエレメント・アイコン423のドロップ前と後の距離に応じてテーブル15の移動距離を計算し、制御部30の制御によりクレードル16をポジショニング・ライト17がRF受信コイル14の移動先を照らす位置に移動する。
【0123】
以上第2実施例について説明したが、他の実施例において説明した種々の変更の内、第2実施例においても適用可能な変更は第2実施例に適用して実施可能である。
【0124】
<第3実施例>
この第3実施例では、カメラ18で被検体が装着したRF受信コイル14を撮影し、撮影したカメラ画像で特定したRF受信コイル14のコイル導体の少なくとも一部に対応する表示を位置決めMR画像401に重畳して表示する。カメラ画像でのコイル導体の特定は手動または自動的に行われる。以下この具体的な処理手順を説明する。
【0125】
第3実施例のステップ3−1〜3−4は、第2実施例のステップ2−1〜2−4と同じである。
【0126】
3−5.第1実施例のステップ1−4、第2実施例のステップ2−5と同様に、取得された位置決めMR画像401において、コイル導体が位置していない方が望ましい領域を領域マーカ403で特定する。ただし、後述するように、領域マーカ403が無くても位置決めMR画像401中の特定の臓器とコイル導体の位置関係が確認できるので、第3実施例においてこのステップ3−5は必須のステップではない。
【0127】
3−6.カメラ画像で特定したRF受信コイル14のコイル導体の少なくとも一部を示す表示エレメント・アイコン423を領域マーカ403が特定された位置決めMR画像401に表示する。
【0128】
具体的には、図11に示すように、第2実施例の2−8で説明したコイル導体の位置を示すコイル・インジケータ421を位置決めMR画像401(領域マーカ403は特に必要はない)の対応する位置に表示させることにより、オペレータは位置決めMR画像401に表示された目的の臓器とコイル導体との距離を第2実施例のステップ2−6で説明したゲージと同様なゲージを使用して特定でき、RF受信コイル14の再配置の必要性の有無及び、必要なRF受信コイル14の移動量を決定することができる。
【0129】
本発明の好適な実施例では、第2実施例のステップ2−8で説明した方法と同様な方法で位置決めMR画像401で特定した領域とRF受信コイル14のコイル導体の少なくとも一部との距離が自動的に計算される。すなわち、画像処理部335は、ステップ3−5で特定した領域マーカ403とコイル・インジケータ421とのz軸に沿った方向の距離を計算する。
【0130】
領域マーカ403とコイル・インジケータ421との距離、すなわち、位置決めMR画像401で特定した領域とRF受信コイル14のコイル導体の少なくとも一部との距離が所定の距離(コイル導体が位相画像に影響を与える範囲:この例では±3cm)以上離れている場合は、画像処理部335は、表示部34にRF受信コイル14の再配置が不要であることを示すメッセージを送り、表示部34はこれを表示する。領域マーカ403とコイル・インジケータ421との距離が所定の距離離れていない場合又はオペレータがRF受信コイル14の再配置を特に希望する場合、画像処理部335は、位置決めMR画像401上でコイル・インジケータ421をドラッグ&ドロップ可能な状態にする。オペレータは、位置決めMR画像401上でコイル・インジケータ421を上又は下に移動し、コイル・インジケータ421が領域マーカ403から3cm(コイル導体から離すことが推奨される距離)以上離れると、コイル・インジケータ421の色が変化する(例えば黄色から青に変化する)。この状態でコイル・インジケータ421を位置決めMR画像401上でドロップすると、RF受信コイル14を移動すべき移動量が移動前のコイル・インジケータ421の位置と移動後のコイル・インジケータ421の位置とにより決定される。なお、第2実施例の2−8で説明した領域マーカ403の自動的な移動処理と同様にコイル・インジケータ421の異動先も自動的に決定しても良い。
【0131】
位置決め点に対するコイル・インジケータ421の移動前の位置とコイル・インジケータ421の移動量からポジション・ライト17がRF受信コイルを移動すべき箇所を照らすようなテーブル15の移動量が計算され、第1実施例で説明した方法と同様な方法で、制御部30の制御によりクレードル16を移動する。第1実施例の場合と同様に医療従事者は、ポジショニング・ライト17に従ってコイル位置を手動によりずらす。これにより、RF受信コイル14を、コイル導体が位置決めMR画像401で特定された領域に影響を及ぼさない位置に再配置することができる。RF受信コイル14の再配置の後、当初設定した位置決め点をスキャン・センタSCに戻し、MR画像の撮影が再開される。また、必要に応じて位置決め点の再設定を行い、新たに設定した位置決め点をスキャン・センタSCに移動させ、MR画像の撮影を再開し、公知の方法に従って、横隔膜の位置の自動検出・追跡処理、所定臓器のセグメント化処理等の種々の処理やオペレータが指定した様々な種類のMR画像の取得が行われる。
【0132】
他の実施例においては、コイル・インジケータ421はオペレータにより指定されるのではなく、公知の画像認識処理によりカメラ画像410から自動的に検出される。 具体的には、RF受信コイル14の筐体143上にはコイル導体の少なくとも一部の位置に対応した位置に、所定の色を有するエレメント・マーク161(図7)が配置されており、画像処理部335は、カメラ画像410に含まれる、かかる所定の色の領域を識別することによりコイル導体の位置を検出する。この所定の色は、被検体40の皮膚、傷口及び傷口から露出する可能性のある臓器、検査着、RF受信コイル14の他の表面と十分識別可能な色であることが好ましい。
【0133】
図12の例では、エレメント・マークがRF受信コイル14に含まれる全てのコイル導体に対応する筐体上の位置に配置されており(図7の領域161に対応する位置)、画像処理部335は、認識結果に補正処理を施した後、位置決めMR画像401の対応する位置にエレメント・アイコン423の画像を表示している。
【0134】
他の例では、十字の形に形成された内側フレームと正方形の外側フレームが交差する4点、すなわち、内側フレームの上下左右の端点部分に所定の形の4つのエレメント・マークを配置し、この4つのエレメント・マークを検出することにより、図12のエレメント・マークの全部又は一部若しくはエレメント・マークに対応する形状を有するエレメント・アイコン423を位置決めMR画像401に表示させることができる。また、別の例では外側フレームの4つの頂点又は対角に位置する2点に所定の形のエレメント・マークを配置し、エレメント・マークを検出することにより、図12のエレメント・アイコン423の全部又は一部を位置決めMR画像401に表示させることができる。この場合、画像処理部335は、オペレータにより入力されたRF受信コイル14の種類を特定する情報と外側フレームの位置情報に基づいて内側フレームの位置を特定する。
【0135】
このエレメント・アイコン423の画像はコイル・インジケータ421を用いたときと同様に、位置決めMR画像401上で移動可能とすることができる。なお、この明細書において、エレメント・マークはRF受信コイルの筐体143上でコイル導体の位置を示すマークであり、エレメント・アイコンは、エレメント・マーク又はRF受信コイル14自体を認識することにより形成された画像処理部335が制御する表示であり、コイル・インジケータは、画像上でオペレータがコイル導体の位置を示すときに用いられる画像処理部335が制御する表示である。画像処理部335は、このエレメント・アイコン423の一部又は複数の部分又は全ての部分を上述のコイル・インジケータ421と同様に用いて、上述の推奨離間距離の確認処理、RF受信コイル14の再配置位置の決定処理を行うことができる。
【0136】
他の実施例においては、システムで使用されるRF受信コイル14の画像モデルが予め画像処理部335が使用可能な状態で記憶されており、画像処理部は、予め記憶されたRF受信コイルの特徴を示す画像モデルとのマッチングする領域をカメラ画像410で探索することにより、カメラ画像中410のRF受信コイル14又はこれに含まれるコイル導体の少なくとも一部の位置を決定する。
【0137】
更に別の実施例では、RF受信コイル14の筐体143の所定の領域にRF受信コイル14の種類を示す記号、文字、図形などの表示が配置され、画像処理部335は、この筐体143の所定領域のカメラ画像410内の位置を特定し、公知のOCR処理を実行し、RF受信コイル14の種類を特定し、予め記憶された対応するエレメント・アイコン423の画像を位置決めMR画像401の対応する位置に表示する。
【0138】
以上第3実施例について説明したが、他の実施例において説明した種々の変更の内、第3実施例においても適用可能な変更は第3実施例に適用して実施可能である。
【0139】
<第4実施例>
この第4実施例では、第3実施例と異なり、コイル導体の位置はカメラ画像410ではなく、位置決めMR画像401で特定され、RF受信コイル14のコイル導体の少なくとも一部に対応する表示を位置決めMR画像401に重畳して表示する。位置決めMR画像401で特定のコイル導体の特定は手動または自動的に行われる。以下この具体的な処理手順を説明する。
【0140】
第4実施例のステップ4−1〜4−3は第1実施例のステップ1−1〜1−3と同様に実施され、被検体40の所定の部位の内部構造を示す位置決めMR画像401が取得される。ただし、このときに使用されるRF受信コイル14の筐体143には特殊な周波数特性を示す物質がエレメント・マーカとして塗布または収納されており、位置決めMR画像401においてRF受信コイル14のコイル導体の少なくとも一部の位置が検出可能になっている。
【0141】
本発明の好適な実施例において、特殊な周波数特性を示す物質は、Na−23,P−31,C−13,O−17,Xe−129,Li−7,He−3のいずれかであり、RF受信コイル14の各ループ・コイル101−104の少なくとも1つは、1H(プロトン)の周波数と上記物質の周波数の2つの周波数に同調するようにチューニングされており、選択により上記物質の画像を含む位置決めMR画像401と、上記物質の画像を含まない位置決めMR画像401を収集することが可能となっている。
【0142】
他の実施例ではRF受信コイル14の外側フレームの対角をなす2つの頂点等、医療従事者がMR画像の確認を行う上で妨げとならない位置に、例えばベビーオイル等の強いNMR信号を発生させる物質を配置し、コイル導体の位置の検出を行うことも可能である。かかる場合、選択により、医療従事者が診断を行う際に利用するMR画像からコイル導体の検出に使用された物質が表示された部分を除去することもできる。
【0143】
更に他の実施例では、エレメント・マークは、面ファスナー、接着剤、嵌合、ねじ込み等の手段により、RF受信コイル14に着脱可能に配置することができ、コイル導体の検出時のみエレメント・マークをRF受信コイル14に配置することも可能である。
【0144】
4−4.取得した位置決めMR画像401においてRF受信コイル14のコイル導体の少なくとも一部の位置を特定する。
【0145】
第3実施例のステップ3−6で図12を例に説明したときと同様に、RF受信コイル14の筐体143の、エレメント・マーク161は、RF受信コイル14に含まれる全てのコイル導体に対応する筐体上の位置、内側フレームの上下左右の端点、外側フレームの頂点等に配置可能であり、画像処理部335は、認識結果に補正処理を施した後、位置決めMR画像401の対応する位置にエレメント・アイコン423を表示している。
【0146】
このエレメント・アイコン423の画像は第3実施例の場合と同様に、位置決めMR画像401上で移動可能とすることができる。画像処理部335は、このエレメント・アイコン423を使用して、上述の推奨離間距離の確認処理、RF受信コイル14の再配置位置の決定処理を行うことができる。
【0147】
他の例では、エレメント・アイコン423は位置決めMR画像401上でオペレータが識別可能に表示されるので、オペレータはコイル・インジケータ421をドロップすること等により手動でコイル導体の位置を特定することができる。
【0148】
以上第4実施例について説明したが、他の実施例において説明した種々の変更の内、第4実施例においても適用可能な変更は第4実施例に適用して実施可能である。
【0149】
<第5実施例>
この第5実施例では、第4実施例と異なり、位置決めMR画像401におけるコイル導体の検出に際し、RF受信コイル14にエレメント・マーカ161を配置する必要はなく、第5実施例では、コイル導体が位相画像に与える影響を解析することにより、コイル導体の位置を特定する。コイル導体位置の特定は、手動又は自動的に行われる。以下この具体的な処理手順を説明する。
【0150】
第5実施例のステップ5−1〜5−3は第1実施例のステップ1−1〜1−3と同様に実施され、被検体40の所定の部位の内部構造を示す位置決めMR画像401が取得される。ただし、このときに取得される位置決めMR画像401は各画素が位相情報に対応する位置決め位相画像であり、選択領域としては、コイル導体による影響が大きい、RF受信コイル14のコイル導体に近い領域が選択される。これは、図13の被検体のアキシャル断面の概念図に示されているように、位相画像に対するコイル導体による影響が大きい部分431は、コイル導体の近傍に限定される為である。本発明の好適な実施例において、この位置決め位相画像は、RF受信コイル14ないしRF送受信コイル142が受信した磁気共鳴信号に基づいて生成される。
【0151】
5−4.取得した位置決めMR画像401においてRF受信コイル14のコイル導体の少なくとも一部の位置を特定する。
【0152】
本願発明の一実施例において、コイル導体の位置の特定は、第2実施例の図10で説明した手法と類似した形式で行われる。すなわちオペレータは位置決め位相画像を観察し、位相が乱れているラインを特定し、その位置にコイル・インジケータ421をドロップすることにより、コイル導体の位置を特定する(図14)。
【0153】
本願発明の他の一実施例において、コイル導体の位置は自動的に認識され、特定される。この場合、位置決め位相画像は表示部34に表示される必要はない。ここでは、ナビゲータシーケンスを実施することにより取得したナビゲータデータに対して、位相プロファイル生成部332が1次元フーリエ変換を実施する。そして、図4の位相プロファイル生成部332が一次元フーリエ変換を実施したナビゲータデータにおける位相と、ナビゲータ領域NAにおけるz軸方向の位置との関係をプロットすることにより、位相プロファイルを生成する。ここで、図15(A)は、本発明に係る一実施形態において、ナビゲータデータを1次元フーリエ変換し、図12に示す直線425に沿って位相をプロットした位相プロファイルを示す図である。本発明の好適な実施例において、直線425は、Z軸に平行で領域マーカ403の中心(X,Z)を通る直線(すなわち、x=X)である。かかる直線で位相プロファイルを生成することにより、RF受信コイル14が多少傾いた状態で被検体40に装着された場合も、被検体の特定された領域403とコイル導体との距離の計算に傾きが与える悪影響を最小限にすることができる。なお、直線425に沿って位相プロファイルを生成することは単なる一例であり、他の直線を採用することもできる。例えば、RF受信コイル14の右端及び左端から所定の距離内側に位置するZ軸に沿った2本の直線で位相プロファイルを生成し、2本の直線の各々におけるコイル導体の位置が検出することができ、この場合にはRF受信コイルの傾きも検出することができる。また、例えば領域マーカ403のX方向の幅に渡ってZ軸に沿った位相プロファイルを積分して、積分された位相プロファイルを生成し、後述する高分散区間Wの検出処理を行っても良い。
【0154】
図15(A)において、縦軸は位相P、横軸はナビゲータ領域におけるz軸方向の位置である。図において、位相Pが小さい領域は肺臓の位相を示し、位相Pが大きい領域は肝臓の位相を示す。必要に応じて、位相補正部333が位相プロファイルの補正を実施する。
【0155】
図15(A)に示すように、位相プロファイルにおいて、プロット点の分散が高い区間Wが存在する。かかる区間Wの高い分散は、RF受信コイル14のコイル導体の影響によるものであると考えることができる。図12に示す、4つのループ・コイル101−104備えるRF受信コイル14の直線425に沿った位相プロファイルを作成すると仮定すると、直線425はコイル導体を3カ所で横切るので、プロット点の分散が高い区間Wは3カ所出現する。しかし、領域マーカ403に対応する注目の領域がRF受信コイル14の上端又は下端付近のコイル導体の近傍に位置付けられるようにRF受信コイル40が被検体40に装着されることは事実上皆無であり、RF受信コイル14の上端付近のコイル導体と下端付近のコイル導体の影響は考慮する意義はない。このため、本発明の好適な実施例においては、スキャン・センタSCを挟んだ所定の区間(例えば、SC±10cm)についてのみ位相プロファイルの生成を行い、計算処理を高速化している。
【0156】
本発明の好適な実施例では、図15(B)に示すように、位置検出部334がZ位置に沿った位相プロファイルの分散を解析する。そして、この位相の分散プロファイルを所定の分散閾値Sと比較し、該分散閾値Sより高い分散値を有している区間Wを特定する。そして、この例では区間Wの中心位置をコイル導体の中心と認識する。本発明の好適な実施例において、所定の区間のみについて位相プロファイルの生成が行われているので、分散プロファイルで検出すべきコイル導体は1つである。しかし、所定区間に複数のコイル導体が存在する場合や所定区間の限定を行わない場合には、分散閾値Sより高い分散値を有している区間Wは複数検出される。そして、複数検出された区間Wの内、最も領域マーカ403のZ座標(Z)に近い区間Wが問題となるコイル導体の位置として特定される。
【0157】
かかる認識処理に基づいて、位相画像解析部336は、RF受信コイル14の全て又は一部のコイル導体の位置を検出することができる。第5実施例でも第3実施例−第4実施例と同様に、認識したコイル導体をエレメント・アイコン423として、位置決めMR画像401上に表示し、移動可能とすることができる。画像処理部335は、このエレメント・アイコン423を使用して、上述の推奨離間距離の確認処理、RF受信コイル14の再配置位置の決定処理を行うことができる。
【0158】
以上第5実施例について説明したが、他の実施例において説明した種々の変更の内、第5実施例においても適用可能な変更は第5実施例に適用して実施可能である。
【0159】
また、第1実施例〜第5実施例に限らず、本発明の実施に際しては、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形形態を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかるMRIシステムの構成を示す構成図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態において使用される、RF受信コイルを示す図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態において使用される、RF受信コイルに含まれるコイル導体を示す図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかるデータ処理部の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態におけるテーブルの移動を説明する概念図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態において取得された位置決めMR画像の一例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態において使用される、RF受信コイルを示す図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態において取得されたカメラ画像の一例を示す図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態において取得され、処理されたカメラ画像の一例を示す図である。
【図10】。 図10は、本発明の一実施形態において取得され、処理されたカメラ画像の一例を示す図である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態において取得され、処理された位置決めMR画像の一例を示す図である。
【図12】図12は、本発明の一実施形態において取得され、処理された位置決めMR画像の一例を示す図である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態において取得される位相画像に対するRF受信コイルのコイル導体が与える影響を示す概念図である。
【図14】図14は、本発明の一実施形態において取得され、処理された位相画像の一例を示す図である。
【図15】図15は、本発明の一実施形態における位相プロファイルを示す図である。
【図16】図16は、RF受信コイルのコイル導体が位相画像に与える影響を示す図である。
【符号の説明】
【0161】
1:MRIシステム、2:MRI装置、3:操作コンソール、11:静磁場空間、12:静磁場マグネット部、13:勾配コイル部、14:RF受信コイル、142:RF送受信コイル、15:テーブル、16:クレードル、17:ポジショニング・ライト、18:カメラ、19:光学センサ、22:RF駆動部、23:勾配駆動部、24:データ収集部、30:制御部、31:記憶部、32:操作部、33:データ処理部、34:表示部、40:被検体、143:筐体、161:エレメント・マーク、331:画像再構成部、332:位相プロファイル生成部、333:位相補正部、334:位置検出部、335:画像処理部、336:位相画像解析部、401:位置決めMR画像、403:領域マーカ、410:カメラ画像、413:フレーム、421:コイル・インジケータ、423:エレメント・アイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体から発生した磁気共鳴信号に基づいて被検体の画像を生成する磁気共鳴イメージング・システムであって、
コイル導体を含み、前記被検体の所定の部位に装着され、磁気共鳴信号を受信するRFコイルと、
前記RFコイルが装着された前記被検体から発生した磁気共鳴信号に基づいて前記被検体の内部構造を示す位置決めMR画像を生成するMR画像生成部と、
前記位置決めMR画像に含まれる特定された領域の位置または前記RFコイルを移動すべき位置を示す指示手段と、
を含む磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項2】
静磁場を発生する静磁場コイルと、勾配磁場を発生する勾配磁場コイルとを備える磁気共鳴撮像装置と、
前記被検体を載置し、前記被検体を移動させるテーブルと、
前記被検体の前記所定の部位を前記静磁場空間内の前記位置決めMR画像の撮影に適した位置に配置させるように前記テーブルを制御する制御手段と、
を更に備え、
前記指示手段が、前記特定された領域の位置または前記RFコイルを移動すべき位置を指し示すポジショニング・ライトであり、
前記制御手段は、前記位置決めMR画像を生成した後に、前記ポジショニング・ライトが、前記特定された領域の位置または前記RFコイルを移動すべき位置を指し示すように前記テーブルを制御する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記位置決めMR画像を生成した後に、前記ポジショニング・ライトが、前記RFコイルを移動すべき位置を指し示すように前記テーブルを制御し、
前記RFコイルは、前記ポジショニング・ライトが指し示す位置に前記RFコイルを対応付けるためのマークを有している、請求項2に記載の磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項4】
被検体から発生した磁気共鳴信号に基づいて被検体の画像を生成する磁気共鳴イメージング・システムであって、
コイル導体を含み、前記被検体の所定の部位に装着され、磁気共鳴信号を受信するRFコイルと、
前記RFコイルが装着された前記被検体から発生した磁気共鳴信号に基づいて前記被検体の内部構造を示す位置決めMR画像を生成するMR画像生成部と、
前記位置決めMR画像中で特定された領域の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記特定された領域と前記コイル導体の少なくとも一部との距離を特定する距離特定手段と、
を含む磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項5】
前記特定された領域の位置情報は、前記位置決めMR画像に含まれる所定の解剖学的特徴に対応して位置づけられた領域マーカの位置情報である、請求項4に記載の磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項6】
前記被検体が装着した前記RFコイルを撮影するカメラと、
前記位置決めMR画像を表示する表示装置と、
前記特定された領域を前記位置決めMR画像上で領域マーカとして表示する手段と、
を更に備え、
前記表示装置は、前記カメラによって撮影された前記RFコイルのカメラ画像上に前記領域マーカを示す表示を表示する、請求項4に記載の磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項7】
前記被検体が装着した前記RFコイルを撮影するカメラと、
前記カメラが撮影したカメラ画像から前記コイル導体の少なくとも一部の位置を検出するコイル導体検出手段と、
前記位置決めMR画像を表示する表示装置と、を更に備え、
前記表示装置は、前記検出されたコイル導体の少なくとも一部に対応する表示を前記位置決めMR画像上に表示する、
請求項4に記載の磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項8】
前記RFコイルは筐体を有し、前記筐体は前記コイル導体の前記少なくとも一部の位置に対応した位置に、所定の色を有するエレメント・マークを有しており、
前記コイル導体検出手段は、前記カメラ画像に含まれる前記所定の色を識別することにより、前記コイル導体の少なくとも一部の位置を検出する、請求項7に記載の磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項9】
前記コイル導体検出手段は、予め記憶された前記RFコイルの特徴を示す画像モデルとのマッチングを行うことにより、前記コイル導体の少なくとも一部の位置を検出する、請求項7に記載の磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項10】
静磁場を発生する静磁場コイルと、勾配磁場を発生する勾配磁場コイルとを備える磁気共鳴撮像装置と、
前記被検体を載置し、前記被検体を移動させるテーブルと、
を更に備え、
前記カメラは、前記磁気共鳴撮像装置内の静磁場に影響を与えないように前記磁気共鳴撮像装置の本体と離間された位置において前記磁気共鳴撮像装置に装着される、請求項6乃至9のいずれかに記載の磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項11】
前記位置決めMR画像を表示する表示装置を更に備え、
前記RFコイルは筐体を有しており、前記筐体は、前記コイル導体の少なくとも一部に対応した位置に、MR画像で検出可能な物質で形成されたエレメント・マークを有しており、
前記表示装置は、前記エレメント・マークに対応する表示を含む位置決めMR画像を表示する、
請求項4に記載の磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項12】
前記位置決めMR画像はコロナル断面の画像である、請求項1乃至11のいずれかに記載の磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項13】
前記エレメント・マークは、所定の周波数特性を示す物質で形成されており、
前記MR画像生成部は、前記所定の周波数特性を示す物質で形成された前記エレメント・マークを含む位置決めMR画像と、該エレメント・マークを含まない前記被検体の内部構造を示す位置決めMR画像とを生成する、請求項11に記載の磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項14】
前記位置決めMR画像は、位相画像であり、
前記磁気共鳴イメージング・システムは前記位相画像を処理する画像処理手段を更に備え、
前記位相画像を構成する画素の画素値が位相に対応しており、
前記画像処理装置は、前記コイル導体の少なくとも一部の位置を特定する、
請求項4に記載の磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項15】
前記画像処理装置は、
前記位相画像において画素値の分散が高い領域を特定し、
前記高い分散を示す箇所を前記コイル導体の少なくとも一部の位置であると認識する、
請求項14に記載の磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項16】
前記エレメント・マークは、所定の周波数特性を示す物質で形成されており、
前記RFコイルは前記コイル導体で形成されたループ・コイルを備え、
前記ループ・コイルが前記所定の周波数及び1Hの周波数の少なくとも2つの周波数に同調するようにチューニングされている、請求項11に記載の磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項17】
前記特定された領域は、前記被検体の肺と肝臓の間に位置する横隔膜である、請求項1乃至16のいずれかに記載の磁気共鳴イメージング・システム。
【請求項18】
被検体の所定の部位に装着され、前記被検体から発生した磁気共鳴信号を受信するRFコイルであって、
筐体と、
前記筐体内に配置されたコイル導体と、
を備え、
前記筐体は、前記コイル導体の少なくとも一部の位置に対応した位置にエレメント・マークを有しており、
前記磁気共鳴撮像装置によって撮影されたときに、選択により、前記エレメント・マークを含む位置決めMR画像と、該エレメント・マークを含まない前記被検体の内部構造を示す位置決めMR画像とが再構成可能である、
RFコイル。
【請求項19】
前記コイル導体で形成されたループ・コイルを備え、
前記エレメント・マークは、所定の周波数特性を示す物質で形成されており、
前記ループ・コイルが前記所定の周波数及び1Hの周波数の少なくとも2つの周波数に同調するようにチューニングされている、請求項18に記載のRFコイル。
【請求項20】
前記コイル導体で形成された、少なくとも4個の矩形のループ・コイルを備え、
前記少なくとも2個の矩形のループ・コイルが前記被検体の体軸の方向と垂直な方向にオーバラップして並べられたループ・コイルの対を少なくとも2つ形成し、
前記少なくとも2つのループ・コイルの対が前記体軸の方向にオーバラップして並べられ、
前記少なくとも4個の矩形のループ・コイルが少なくとも1つの点で互いにオーバラップし、
前記エレメント・マークは、
前記少なくとも1つの点を挟んで前記体軸の方向と垂直な方向の両側に位置する少なくとも2つのループ・コイルの端部の点に配置されている、請求項17又は18に記載のRFコイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図14】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−119744(P2010−119744A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297646(P2008−297646)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】