説明

磁気共鳴イメージング装置および受信コイル接続状態の確認方法

【課題】核磁気共鳴イメージング装置において、表面コイルが接続されていない状態で、ユーザが撮像を行おうとした場合に、簡便に、ユーザの意図する受信コイルにて撮像を行う手段を提供する。
【解決手段】静磁場発生手段と傾斜磁場発生手段を覆う外装カバー内側に配置された内蔵コイルと撮像対象や撮像条件に応じて脱着可能な表面コイルとを有し、制御手段は表面コイルがMRI装置に接続されているか否かの接続状態を判定する接続状態判定手段と、内蔵コイルで撮像するか否かの選択要求を提示する提示手段とを有し、ユーザにより撮像が開始されると、制御手段は、接続状態判定手段で表面コイルが接続されていないと判定した場合には、提示手段は内蔵コイルで撮像するか否かの選択要求を提示し、内蔵コイルで撮像をしないとユーザが選択した場合に、ユーザが意図する接続状態に復帰させる改善機会をユーザに与える手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体中の水素や燐等からの核磁気共鳴(以下、「NMR」という)信号を測定し、核の密度分布や緩和時間分布等を画像化する核磁気共鳴イメージング(以下、「MRI」という)装置に関し、特に受信コイル接続状態の確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置は、被検体、特に人体の組織を構成する原子核スピンが発生するNMR信号を計測し、その頭部、腹部、四肢等の形態や機能を2次元的に或いは3次元的に画像化する装置である。撮像においては、NMR信号には、傾斜磁場によって異なる位相エンコードが付与されるとともに周波数エンコードされて、時系列データとして計測される。計測されたNMR信号は、2次元又は3次元フーリエ変換されることにより画像に再構成される。
【0003】
このようなMRI装置にて撮像を行う場合、撮像対象部位毎に、最適な受信用表面コイルを接続して画像を取得する方法(以下、「方法1」と称する)と、表面コイルを接続せずに送信・受信兼用の内蔵コイルを用いて画像を取得する方法(以下、「方法2」と称する)がある。
撮像で使用する受信コイルの接続状態を認識する方法として、特許文献1や特許文献2に示されるように、接続中の表面コイルの付随番号を用いるなどの方法が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2-257938号公報
【特許文献2】特開平6-201809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザが撮像を行おうとする際に、MRI装置に表面コイルが接続されていない状態としては、以下の2つのケースが考えられる。
ケース1:「方法1」(即ち、撮像対象部位毎に、最適な受信用表面コイルを接続して画像を取得する方法)にて撮像を行おうとユーザは意図しているが、撮像開始時点において表面コイルが接続不良となっている状態。
ケース2:「方法2」(即ち、表面コイルを接続せずに送信・受信兼用の内蔵コイルを用いて画像を取得する方法)にて撮像を行おうとユーザが意図している状態。
【0006】
ケース1の状態を、ケース2の状態と判断して計測を行ってしまうと、表面コイルを接続して画像を取得しようとしているのに、表面コイルを接続せずに画像を取得するものと判断されるため、ユーザの意図した画像を得ることができず時間の無駄となってしまう。
【0007】
また、これを回避するためには、ケース2の状態であることを明示するためには、ユーザが受信コイル一覧から、内蔵コイルを事前に選択しておく必要があり、操作が煩雑になってしまう問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、表面コイルが接続されていない状態で、ユーザが撮像を行おうとした場合に、簡便に、ユーザの意図する受信コイルにて撮像を行う手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すると、次の通りとなる。
【0010】
磁場空間に置かれた被検体に高周波を照射し、被検体から放出される核磁気共鳴信号を基に該被検体の撮像部位の画像を取得する磁気共鳴イメージング装置において、静磁場空間を発生する静磁場発生手段と、静磁場空間に置かれた被検体に高周波を照射する照射手段と、静磁場空間に重畳して勾配磁場を印加する傾斜磁場発生手段と、静磁場発生手段と傾斜磁場発生手段を覆う外装カバーと、被検体から放出される核磁気共鳴信号を受信する受信手段と、受信手段の動作を制御する制御手段と、制御手段に用いる情報を表示する表示手段とを備え、受信手段は、外装カバーの内側で被検体の撮像を行う撮像空間側に配置された内蔵コイルと撮像対象や撮像条件に応じて脱着可能な表面コイルとを有し、制御手段は、表面コイルが磁気共鳴イメージング装置に接続されているか否かの接続状態を判定する接続状態判定手段と、内蔵コイルで撮像するか否かの選択要求を提示する提示手段とを有し、ユーザにより撮像が開始されると、制御手段は、接続状態判定手段で表面コイルが接続されていないと判定した場合には、提示手段は内蔵コイルで撮像するか否かの選択要求を提示し、内蔵コイルで撮像をしないとユーザが選択した場合に、ユーザが意図する接続状態に復帰させる改善機会をユーザに与える手段を有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置である。
【0011】
あるいは、静磁場空間を発生する静磁場発生手段と、静磁場空間に置かれた被検体に高周波を照射する照射手段と、静磁場空間に重畳して勾配磁場を印加する傾斜磁場発生手段と、静磁場発生手段と傾斜磁場発生手段を覆う外装カバーと、外装カバーの内側で被検体の撮像を行う撮像空間側に配置された内蔵コイルと撮像対象や撮像条件に応じて脱着可能な表面コイルが設けられ被検体から放出される核磁気共鳴信号を受信する受信手段と、受信手段の動作を制御する制御手段と、制御手段に用いる情報を表示する表示手段と、情報を保持する情報保持手段とを備えた磁気共鳴イメージング装置における受信コイル接続状態の確認方法であって、制御手段は、表面コイルが磁気共鳴イメージング装置に接続されているか否かの接続状態を判定するステップと、内蔵コイルで撮像するか否かの選択要求を表示手段に提示するステップとを有し、ユーザにより撮像が開始されると、制御手段は、接続状態を判定するステップで表面コイルが接続されていないと判定した場合には、表示手段は内蔵コイルで撮像するか否かの選択要求を提示し、内蔵コイルで撮像をしないとユーザが選択した場合に、ユーザが意図する接続状態に復帰させるステップを有することを特徴とする受信コイル接続状態の確認方法である。
【0012】
即ち、ユーザが撮像を行おうとした際に、受信コイルの接続状態に基づき、簡便に意図した受信コイルにて撮像を行う手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のMRI装置によれば、撮像を行おうとする際に、表面コイルの接続状態がユーザの意図した通りになっているかを迅速に確認し、撮像に使用する受信コイルを簡便に選択できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態における処理の流れを示す図。
【図2】本発明に係るMRI装置の全体基本構成図。
【図3】第1の実施形態に係る全体基本構成を示す図。
【図4】第2の実施形態に係る全体基本構成を示す図。
【図5】第2の実施形態における処理の流れを示す図。
【図6】第3の実施形態に係る全体基本構成を示す図。
【図7】第3の実施形態における処理の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に従って本発明のMRI装置の好ましい実施形態について詳説する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
最初に、本発明に係るMRI装置の一例の全体概要を図2に基づいて説明する。
図2は、本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図である。このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体の断層画像を得るもので、図2に示すように、MRI装置は静磁場発生系2と、傾斜磁場発生系3と、送信系5と、受信系6と、信号処理系7と、シーケンサ4と、中央処理装置(CPU)8とを備えて構成される。
【0017】
なお、静磁場発生系2は静磁場発生手段を備え、傾斜磁場発生系3は傾斜磁場発生手段を備えている。また、静磁場発生手段と傾斜磁場発生手段とはガントリーの外装カバー(図示せず)で覆われている。
【0018】
静磁場発生系2は、垂直磁場方式であれば、被検体1の周りの空間にその体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば、体軸方向に均一な静磁場を発生させるもので、被検体1の周りに永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源が配置されている。
【0019】
傾斜磁場発生系3は、MRI装置の座標系(静止座標系)であるX、Y、Zの3軸方向に巻かれた傾斜磁場コイル9と、それぞれの傾斜磁場コイルを駆動する傾斜磁場電源10とから成り、後述のシ−ケンサ4からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源10を駆動することにより、X、Y、Zの3軸方向に傾斜磁場Gx、Gy、Gzを印加する。撮像時には、スライス面(撮像断面)に直交する方向にスライス方向傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体1に対するスライス面を設定し、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード方向傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード方向傾斜磁場パルス(Gf)を印加して、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。
【0020】
シーケンサ4は、高周波磁場パルス(以下、「RFパルス」という)と傾斜磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し印加する制御手段で、CPU8の制御で動作し、被検体1の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系5、傾斜磁場発生系3、および受信系6に送る。
【0021】
送信系5は、被検体1の生体組織を構成する原子の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせるために、被検体1にRFパルスを照射するもので、高周波発振器11と変調器12と高周波増幅器13と装置に内蔵された送信側の高周波コイル(送信コイル)14aとから成る。高周波発振器11から出力された高周波パルスをシーケンサ4からの指令によるタイミングで変調器12により振幅変調し、この振幅変調された高周波パルスを高周波増幅器13で増幅した後に被検体1に近接して配置された高周波コイル14aに供給することにより、RFパルスが被検体1に照射される。
尚、ここで、送信側の高周波コイル14aは、以下に述べる受信側の高周波コイル(受信コイル)14bと同様の機能として使用することもできる。
【0022】
受信系6は、被検体1の生体組織を構成する原子核スピンの核磁気共鳴により放出されるエコー信号(NMR信号)を検出するもので、受信側の高周波コイル(受信コイル)14bと信号増幅器15と直交位相検波器16と、A/D変換器17とから成る。
【0023】
なお、受信コイルは、ガントリーの外装カバーの内側、即ち、被検体1の撮像が行われる撮像空間側に内蔵されている。以下では、このように内蔵された状態のコイルを内蔵コイルと称する。
【0024】
送信側の高周波コイル14aから照射された電磁波によって誘起された被検体1の応答のNMR信号が被検体1に近接して配置された高周波コイル14bで検出され、信号増幅器15で増幅された後、シーケンサ4からの指令によるタイミングで直交位相検波器16により直交する二系統の信号に分割され、それぞれがA/D変換器17でディジタル量に変換されて、信号処理系7に送られる。
なお、受信側の高周波コイル14bは被検体の測定部位等に応じて、種類を変更して接続することができる。
【0025】
信号処理系7は、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等を行うもので、光ディスク19、磁気ディスク18等の外部記憶装置と、CRT等からなるディスプレイ20とを有し、受信系6からのデータがCPU8に入力されると、CPU8が信号処理、画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体1の断層画像をディスプレイ20に表示すると共に、外部記憶装置の磁気ディスク18等に記録する。
【0026】
操作部25は、MRI装置の各種制御情報や上記信号処理系7で行う処理の制御情報を入力するもので、トラックボール又はマウス23、及び、キーボード24から成る。この操作部25はディスプレイ20に近接して配置され、操作者がディスプレイ20を見ながら操作部25を通してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
【0027】
なお、図2において、送信側の高周波コイル14aと傾斜磁場コイル9は、被検体1が挿入される静磁場発生系2の静磁場空間内に、垂直磁場方式であれば被検体1に対向して、水平磁場方式であれば被検体1を取り囲むようにして設置されている。また、受信側の高周波コイル14bは、被検体1に対向して、或いは取り囲むように設置されている。
【0028】
現在、MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
【0029】
次に、以上のようなMRI装置を使用して、検査部位を撮像する方法について図3を用いて説明する。撮像を行う場合、まず天板46aに被検体31を配置する。この時、前述「方法1」による撮像を行う場合には、検査部位に合わせて表面コイル37も配置し、信号検出部38に接続する。その後、磁石32に取り付けられたライトマーカ47に検査部位が一致するように天板46aを移動する。この状態で、磁石32に取り付けられた操作パネル48を使用して、ライトマーカ47から磁石32の中心まで、一定の距離移動させることで、検査部位を静磁場空間に配置する。
<第1の実施形態>
次に、本発明の第1の実施形態について図を用いて説明する。
【0030】
図1に、本実施形態の処理の流れを示す。なお、下記に示す括弧内の数字は、図中で示す各ステップ番号を示す。
【0031】
先ず、ユーザによる撮像が開始される(101)。引き続き、システムは、MRI装置に表面コイルが接続されているか否かを確認する(102)。接続されていない場合は、図中の「無」へ進み、内蔵コイルでの撮像を行うか否かを確認する(103)。ここで、図中の「撮像する」へ進む場合、すなわち、内蔵コイルでの撮像を行う場合は、「撮像開始」へ進み、撮像を開始する(105)。一方、図中の「撮像しない」へ進む場合、すなわち、内蔵コイルでの撮像を行わない場合は、ユーザによる接続状態の改善を行うステップ(104)へ進む。ここで、接続状態の改善とは、ユーザが意図する接続状態に現状から戻すことを意味する。
また、上記102で示すステップにおいて、「有」へ進む場合は、「撮像開始」へ進み、撮像を開始する(105)。
上述の処理は、事前に信号処理系7に記憶されたプログラムに基づいて、システムにより、すなわち、中央処理装置8の処理により、実行される。なお、上記「接続状態の改善」は、ユーザがディスプレイ20に表示される画面にて状態を確認し、ユーザの意図により改善指示がなされる。
【0032】
なお、図3で示す記憶装置41および表示装置42は、図2で示す信号処理系7で実行される機能群に相当し、計算機43、信号処理部39、制御装置45は、図2で示す中央処理装置(CPU)8で実行される機能群に相当する。
【0033】
上記の処理フローから明らかなように、ユーザが撮像を開始したときに、システムはMRI装置に接続されている表面コイルの有無を判断する。この時、表面コイルが接続されていなかった場合、内蔵コイルにより撮像を行うか否かの確認画面を表示する。ユーザが前述「方法1」による撮像を意図している場合は、この時点で表面コイルの接続不良を認識することができるため、接続状態を改善することができる。また、ユーザが前述「方法2」による撮像を意図している場合は、確認画面にて撮像を指示することで簡便に撮像を実施することができる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について図を用いて説明する。
【0034】
本実施形態では、第1の実施形態に加え、図4に示すように操作パネル48付近に警告装置49を設置する。
【0035】
第1の実施形態と異なる点は、ユーザによる撮像開始以前に、表面コイルの接続不良を認識することが可能である点である。以下、異なる箇所のみ説明し、同じ箇所の説明は省略する。
【0036】
ユーザが、図4に示す操作パネル48を使用して、検査部位を静磁場空間に配置する際に、計算機43はMRI装置に接続されている表面コイル37の有無を判断する。この時、表面コイル37が接続されていない場合、表面コイル37が接続されていないことを警告装置49でユーザに通知する。ユーザが前述「方法1」による撮像を意図している場合は、この時点で表面コイル37の接続不良を認識することができるため、接続状態を改善することができる。また、ユーザが前述「方法2」の撮像を意図している場合は、警告表示を無視して撮像を開始することで簡便に内蔵コイルにて撮像を実施することができる。
【0037】
なお、図4で示す記憶装置41、表示装置42、計算機43、信号処理部39および制御装置45と図2との対応は、第1の実施形態の場合と同様とする。
【0038】
図5に、本実施形態の処理の流れを示す。なお、下記に示す括弧内の数字は、図中で示す各ステップ番号を示す。
【0039】
先ず、被検体31の検査部位の配置の確認を行う(501)。引き続き、システムは、MRI装置に表面コイルが接続されているか否かを確認する(502)。接続されていない場合は、図中の「無」へ進み、「接続なし」の警告を図4で示す警告装置49に表示する(503)。
【0040】
さらに、次のステップ504へと進む。ここでは、ユーザによる撮像方法の判断が行われる。即ち、前述の「方法1」にするか「方法2」にするかの判断が行われる。図中の「方法1」へ進む場合、ユーザによる接続状態の改善を行う(505)。次に、ユーザにより撮像開始が選択され(506)、「撮像開始」へ進み、撮像が開始される(507)。
【0041】
一方、図中の「方法2」へ進む場合、ユーザにより撮像開始が選択され(506)、「撮像開始」へ進み、撮像が開始される(507)。
【0042】
また、上記502で示すステップにおいて、ユーザにより撮像開始が選択され(506)、撮像が開始される(507)。
上述の処理は、事前に信号処理系7に記憶されたプログラムに基づいて、システムにより、すなわち、中央処理装置8の処理により、実行される。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について図を用いて説明する。第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる点は前述「方法1」と「方法2」の撮像方法をシステムが自動的に判断する点である。以下、異なる箇所のみ説明し、同じ箇所の説明は省略する。
【0043】
本実施形態では、第2の実施形態に加え、図6に示すように表面コイル37にマーカー50を設置すると共に、静磁場空間内を撮影するカメラ51を設置する。
【0044】
ユーザは、図6に示す操作パネル48を使用して、検査部位を静磁場空間に配置する。その際、計算機43はMRI装置に接続されている表面コイルの有無を判断すると共に、カメラ51から信号内のマーカー50の有無により静磁場空間内の表面コイルの有無を判断する。この時、接続されている表面コイルが無く、静磁場空間内の表面コイルが有る場合に、前述「方法1」の撮像方法を意図しているにも関わらず、表面コイルの接続不良が発生していると判断し、表面コイルの接続不良が発生していることを警告装置49でユーザに通知する。
【0045】
また、ユーザが撮像を開始した時に、計算機43はMRI装置に接続されている表面コイルの有無を判断すると共に、カメラ51からの信号内のマーカー50の有無により静磁場空間内の表面コイルの有無を判断する。この時、接続されている表面コイルが無く、静磁場空間内にも表面コイルが無かった時に、前述「方法2」による撮像方法であると判断し、自動的に内蔵コイルにて撮像を行う。
【0046】
なお、図6で示す記憶装置41、表示装置42、計算機43、信号処理部39および制御装置45と図2との対応は、第1の実施形態の場合と同様とする。
【0047】
図7に、本実施形態の処理の流れを示す。なお、下記に示す括弧内の数字は、図中で示す各ステップ番号を示す。
【0048】
先ず、被検体31の検査部位の配置の確認を開始する(701)。引き続き、システムは、MRI装置に表面コイル37が接続されているか否かを確認する(702)。接続されていない場合は、図中の「無」へ進み、表面コイルマーカー50の有無を確認する(703)。マーカー50がある場合は、図中の「有」へ進み、接続不良の警告を表示する(704)。次に、システムは「方法1」をユーザは意図していると判断し、ユーザによる接続状態の改善がなされる(705)。その後に、ユーザによる撮像が開始される(706)。
【0049】
ステップ703において、マーカー50がない場合は、図中の「無へ」進み、ユーザによる撮像が開始される(706)。
【0050】
次に、ユーザが撮像を開始した時(706)、引き続き、MRI装置に表面コイル37が接続されているか否かを確認する(707)。接続されていない場合は、図中の「無」へ進み、表面コイルマーカー50の有無を確認する(708)。マーカー50がない場合は、図中の「無」へ進み、内蔵コイルの自動選択を行う(709)。内蔵コイルの選択が完了すると、「撮像開始」へ進み、撮像が開始される(710)。
【0051】
一方、マーカー50がある場合は、図中の「有」へ進み、撮像は中止される(711)。
「撮像中止」のステップ711へ進んだ後は、ステップ705の「ユーザによる接続状態の改善へ」へ進み、ユーザが意図する接続状態にユーザにより設定が行われる。接続状態の改善が完了した後は、ステップ706へ進む。
【0052】
また、MRI装置に表面コイル37が接続されているか否かを確認(707)し、接続されている場合は、図中の「有」へ進み、撮像が開始される(710)。
上述の処理は、事前に信号処理系7に記憶されたプログラムに基づいて、システムにより、すなわち、中央処理装置8の処理により、実行される。
【符号の説明】
【0053】
1…被検体、2…静磁場発生系、3…傾斜磁場発生系、4…シーケンサ、5…送信系、6…受信系、7…信号処理系、8…中央処理装置(CPU)、9…傾斜磁場コイル、10…傾斜磁場電源、11…高周波発信器、12…変調器、13…高周波増幅器、14a…高周波コイル(送信コイル)、14b…高周波コイル(受信コイル)、15…信号増幅器、16…直交位相検波器、17…A/D変換器、18…磁気ディスク、19…光ディスク、20…ディスプレイ、21…ROM、22…RAM、23…トラックボール又はマウス、24…キーボード、31…被検体、32…磁石、33…傾斜磁場コイル、34…傾斜磁場電源、35…RF発振コイル、36…RF送信部、37…表面コイル、38…信号検出部、39…信号処理部、40…シーケンサ、41…記憶装置、42…表示装置、43…計算機、44…天板移動装置、45…制御装置、46…寝台、46a…天板、47…ライトマーカ、48…操作パネル、49…警告装置、50…マーカー、51…カメラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場空間に置かれた被検体に高周波を照射し、前記被検体から放出される核磁気共鳴信号を基に該被検体の撮像部位の画像を取得する磁気共鳴イメージング装置において、
静磁場空間を発生する静磁場発生手段と、
前記静磁場空間に置かれた被検体に高周波を照射する照射手段と、
前記静磁場空間に重畳して勾配磁場を印加する傾斜磁場発生手段と、
前記静磁場発生手段と前記傾斜磁場発生手段を覆う外装カバーと、
前記被検体から放出される核磁気共鳴信号を受信する受信手段と、
前記受信手段の動作を制御する制御手段と、
前記制御手段に用いる情報を表示する表示手段と、を備え、
前記受信手段は、前記外装カバーの内側で前記被検体の撮像を行う撮像空間側に配置された内蔵コイルと脱着可能な表面コイルとを有し、
前記制御手段は、前記表面コイルが前記磁気共鳴イメージング装置に接続されているか否かの接続状態を判定する接続状態判定手段と、前記内蔵コイルで撮像するか否かの選択要求を提示する提示手段とを有し、
ユーザにより撮像が開始されると、
前記制御手段は、前記接続状態判定手段で前記表面コイルが接続されていないと判定した場合には、前記提示手段は前記内蔵コイルで撮像するか否かの選択要求を提示し、
前記内蔵コイルで撮像をしないとユーザが選択した場合に、ユーザが意図する接続状態に復帰させる改善機会をユーザに与える手段を有する
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記接続状態の復帰は、前記表示手段の表示上で内蔵コイルを用いた撮像の設定により実行されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記内蔵コイルで撮像するか否かの選択要求は、前記表示手段に表示されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記表面コイルが接続されていないと判定された場合には、前記被検体の検査部位の設置時に、前記表面コイルの接続状態を警告する手段を有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
撮像時に、前記内蔵コイルでの撮像を前記制御手段で自動的に判断可能であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記被検体の検査部位の設定時に、前記表面コイルの接続不良を前記制御手段で自動的に判断可能であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
静磁場空間を発生する静磁場発生手段と、前記静磁場空間に置かれた被検体に高周波を照射する照射手段と、前記静磁場空間に重畳して勾配磁場を印加する傾斜磁場発生手段と、前記静磁場発生手段と前記傾斜磁場発生手段を覆う外装カバーと、前記外装カバーの内側で前記被検体の撮像を行う撮像空間側に配置された内蔵コイルと脱着可能な表面コイルが設けられ前記被検体から放出される核磁気共鳴信号を受信する受信手段と、前記受信手段の動作を制御する制御手段と、前記制御手段に用いる情報を表示する表示手段と、前記情報を保持する情報保持手段とを備えた磁気共鳴イメージング装置における受信コイル接続状態の確認方法であって、
前記制御手段は、前記表面コイルが前記磁気共鳴イメージング装置に接続されているか否かの接続状態を判定するステップと、
前記内蔵コイルで撮像するか否かの選択要求を前記表示手段に提示するステップと、を有し、
ユーザにより撮像が開始されると、
前記制御手段は、前記接続状態を判定するステップで前記表面コイルが接続されていないと判定した場合には、前記表示手段は前記内蔵コイルで撮像するか否かの選択要求を提示し、
前記内蔵コイルで撮像をしないとユーザが選択した場合に、ユーザが意図する接続状態に復帰させるステップを有することを特徴とする受信コイル接続状態の確認方法。
【請求項8】
請求項7に記載の受信コイル接続状態の確認方法において、
前記接続状態の復帰は、前記表示手段の表示上でユーザにより内蔵コイルを用いた撮像の設定により実行されることを特徴とする受信コイル接続状態の確認方法。
【請求項9】
請求項7に記載の受信コイル接続状態の確認方法において、
前記表面コイルが接続されていないと判定された場合には、前記被検体の検査部位の設置時に、前記表面コイルの接続状態を警告するステップを有することを特徴とする受信コイル接続状態の確認方法。
【請求項10】
請求項7に記載の受信コイル接続状態の確認方法において、
撮像時に、前記内蔵コイルでの撮像を前記制御手段で自動的に判断可能であることを特徴とする受信コイル接続状態の確認方法。
【請求項11】
請求項7に記載の受信コイル接続状態の確認方法において、
前記被検体の検査部位の設定時に、前記表面コイルの接続不良を前記制御手段で自動的に判断可能であることを特徴とする受信コイル接続状態の確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−55397(P2012−55397A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199578(P2010−199578)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】