説明

磁気共鳴イメージング装置及び寝台装置

【課題】被検者の介助し又は支援する寝台を提供する。
【解決手段】寝台装置(200)は、被検者が載置される天板(290)と、天板を上下方向に移動させる天板駆動部(205)と、天板の端部に配置され天板駆動部による天板の上下方向の移動の許可又は不許可を決める移動許可スイッチ(230)と、移動許可スイッチに近傍であって且つ天板の下側に配置され押圧を検出する第1センサ(210)と、移動許可スイッチに近傍であって且つ天板の上側に配置され押圧を検出する第2センサ(220)と、移動許可スイッチが許可状態で且つ第1センサが押圧を検出した際に天板を上昇させる信号を天板駆動部に出力し移動許可スイッチが許可状態で且つ第2センサが押圧を検出した際に天板を下降させる信号を天板駆動部に出力する制御部(215)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置に用いられる寝台装置に関するものであり、特に天板を上下動させる寝台装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
通常、磁気共鳴イメージング装置において、操作者は被検者を寝台に寝かせ、磁気共鳴イメージング装置のボア(内部空間に)内に搬送させて撮影する。そして操作者は、撮影後に被検者をボア外に搬出させ、寝台から下ろす作業を行う。特許文献1は、被検者あたりの検査時間を短縮するために、被検者に適した寝台の高さを事前情報から自動に設定する手法を開示している。また、特許文献2は、テープスイッチを用いてストレッチャーとの干渉を避ける寝台を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−291281
【特許文献2】特開2007−130111
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2で示された寝台は、検査時間の短縮及び安全性を考慮されて設計されているが、被検者の介助し又は支援することまで考えられていない。
【0005】
本発明は、検査時間の短縮及び安全性を考慮するだけでなく、被検者の介助し又は支援する寝台を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点の寝台装置は、被検者が載置される天板と、天板を上下方向に移動させる天板駆動部と、天板の端部に配置され、天板駆動部による天板の上下方向の移動の許可又は不許可を決める移動許可スイッチとを備える。さらに寝台装置は、移動許可スイッチに近傍であって且つ天板の下側に配置され、押圧を検出する第1センサと、移動許可スイッチに近傍であって且つ天板の上側に配置され、押圧を検出する第2センサとを備える。寝台装置は、移動許可スイッチが許可状態で且つ第1センサが押圧を検出した際に天板を上昇させる信号を天板駆動部に出力し、移動許可スイッチが許可状態で且つ第2センサが押圧を検出した際に天板を下降させる信号を天板駆動部に出力する制御部を備える。
【0007】
第2の観点の寝台装置は、第1の観点の寝台装置において、制御部は、第1センサ又は第2センサが押圧を検出している際には、天板を第1速度で上下方向に移動させる信号を天板駆動部に出力する。そして制御部は、第1センサ又は第2センサが押圧を閾値時間より長く連続して検出している際には、天板を第1速度よりも早い第2速度で上下方向に移動させる信号を天板駆動部に出力する。
【0008】
第3の観点の寝台装置は、第1の観点及び第2の観点の寝台装置において、被検者の膝の高さを検出する膝高さセンサを備え、制御部は、天板を膝高さセンサで検出した膝高さに移動させる信号を天板駆動部に出力する。
【0009】
第4の観点の寝台装置は、第3の観点の寝台装置において、制御部は、膝高さに移動した天板を第2センサが被検者の臀部を検出するまで上昇させ、第2センサが臀部を検出した後、膝高さまで天板を下降させる信号を天板駆動部に出力する。
【0010】
第5の観点の寝台装置は、第4の観点の寝台装置において、制御部は、膝高さに移動した天板を第2センサが被検者の臀部を検出した位置まで上昇させる信号を天板駆動部に出力する。
【0011】
第6の観点の寝台装置は、第1の観点から第3の観点のいずれかの寝台装置において、被検者を載置する台車を検出する台車センサを備え、制御部は、台車の検出により、天板を台車に適した高さに移動させる信号を天板駆動部に出力する。
【0012】
第7の観点の寝台装置は、第1の観点から第3の観点のいずれかの寝台装置において、制御部は、病院情報システムから提供される被検者の身体情報に基づいて、天板を被検者に適した高さに移動させる信号を天板駆動部に出力する。
【0013】
第8の観点の寝台装置は、第1の観点から第6の観点のいずれかの寝台装置において、天板を長手方向に移動させる長手方向移動手段を備える。
【0014】
第9の観点の医用画像診断装置は、第8の観点に記載の寝台装置を用いて天板上に載置された被検者を、長手方向移動手段によりガントリのボア内部での撮影が可能な位置に移動させる。
第10の観点の医用画像診断装置は被検者の内部形態を反映するデータを収集し、被検者の内部形態を表す画像を再構成する。そして医用画像診断装置は、第1の観点から第8の観点のいずれかの寝台装置を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は被検者の動作を支援する寝台を提供する。そして本発明は、一連の検査時間が短縮され且つ安全性が向上した磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】磁気共鳴イメージング装置400の構成の斜視図である
【図2】(a)は、寝台200の上面図である。 (b)は、(a)のA−Aの断面図である。
【図3】第2検査手順のフローチャートである。
【図4】図4は第4検査手順のフローチャートである。
【図5】変形例による第2検査手順のフローチャートである。
【図6】一人歩きできる人(独歩)用の第1検査手順に係るフローチャートである。
【図7】撮影室の入口近傍を示した図である。
【図8】(a)は、膝の高さで停止した天板290の高さの図である。 (b)は、被検者の臀部が第2センサ220に触れた状態を示した図である。 (c)は、被検者が膝の高さの天板290に座った状態を示した図である。
【図9】独歩用の第5検査手順に係るフローチャートである。
【図10】(a)は、被検者が膝の高さの天板290に座った状態を示した図である。 (b)は、天板290の上昇により被検者の腰が持ち上がる状態を示した図である。 (c)は、天板290が被検者の臀部近傍で停止した状態を示した図である。
【図11】ストレッチャー700の斜視図である。
【図12】ストレッチャー700用の第1検査手順に係るフローチャートである。
【図13】ストレッチャー700用の第5検査手順に係るフローチャートである。
【図14】車いす800の斜視図である。
【図15】車いす800用の第1検査手順に係るフローチャートである。
【図16】車いす800用の第5検査手順に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲はこれらの形態に限られるものではない。例えば、以下の実施形態では磁気共鳴イメージング装置400の寝台200について説明するが、被検者の内部形態を反映するデータを収集し、被検者の内部形態を表す画像を再構成するX線CT装置又は核医学装置等、寝台を装備された装置においても適用することが可能である。
【0018】
<磁気共鳴イメージング装置の構成>
図1は、磁気共鳴イメージング装置400の構成の斜視図である。磁気共鳴イメージング装置400は、マグネットシステム100、寝台200、コンソール300で構成されている。
【0019】
操作者は寝台200の天板290に被検者SB(図2参照)を寝かせ、磁気共鳴イメージング装置400は、天板290を後述する駆動装置によりマグネットシステム100のボア110の内部に移動させて撮影を行っている。
【0020】
マグネットシステム100は、その内部に不図示の主磁場コイル、勾配コイル及びRFコイルを有している。これら各コイルは概ね円筒状の形状を有し、概ね円柱状のボア110に、互いに同軸状に配置されている。後述する駆動装置は、被検者SBが載置された寝台200を撮影部位に応じてボア110の内部に移動させる。
【0021】
コンソール300は、磁気共鳴イメージング装置400の制御システムを司る部分である。コンソール300は、キーボード又はマウス等の入力装置310、表示装置320及び演算装置330で構成されている。通常、コンソール300は操作者ごとにログインされ、操作者に最適な条件で操作可能となっている。
【0022】
演算装置330は、システム制御及び画像処理する演算部331を有しており、磁気共鳴イメージング装置400の全般のシステム制御と画像再構成処理等を行う。また、演算装置330は、記憶部332を有しており、画像及びデータ、撮影プロトコル及び各種プログラム等を保管可能である。
【0023】
本実施形態のコンソール300は、ネットワークに接続され、磁気共鳴イメージング装置400が設置された病院の病院情報システム(不図示)へ接続されている。なお、磁気共鳴イメージング装置400がネットワークを介して病院情報システムに接続されない場合にでも、操作者が以下に示す個人情報を事前入力及び都度入力することで対応可能となる。
【0024】
病院情報システムは、患者情報管理システムと、検査予約システムを有している。患者情報管理システムは、その病院において過去に診療を受けた患者の個人情報、診療データ、検査画像データ、検査データ、投薬データ等をデータベース化したものである。患者の個人情報は、氏名、IDナンバー、生年月日、年齢、性別等の他に、身長、体重、搬送方法等の身体情報を含む。これらの個人情報は、外来通院及び入院の際に患者情報管理システムへ保存される。
【0025】
検査予約システムは、病院が保有するモダリティ(医療用画像診断装置)ごとに、患者情報管理システムに保存された情報に基づき、検査日ごとの検査スケジュールを作成し、その作成された検査スケジュールをモダリティへ配信する。例えば、検査スケジュールは、磁気共鳴イメージング装置400における検査を受ける患者の順番、各患者の身体情報を含んだ個人情報と、撮影方法及び撮影部位(以下はオーダ情報と称する)とを含む。なお、検査予約システムは、その日の診療の進行に合わせてその内容が逐次更新され、更新されるたびに各モダリティへ更新されたデータが配信される。
【0026】
図2(a)は寝台200の上面図である。図2(b)は、(a)のA−Aの断面図である。寝台200は、上下駆動部205と前後駆動部206とを有し、被検者SBを初期位置(ホームポジション)と撮影位置との間で移動させる。上下駆動部205及び上下動制御装置215は、寝台200の上部に載置された天板290を上下方向に昇降させる。前後駆動部206及び前後動制御装置216は、天板290を前後移動させてボア110の内外へ搬送させる。上下動制御装置215及び前後動制御装置216はコンソール300により制御される。
【0027】
図2で図示されるように、天板290の縁部には、センサが設けられている。センサは天板290の上部に第2センサ220が設置され、天板290の下部に第1センサ210が設置されている。第1センサ210の近傍には、駆動許可スイッチ230が配置されている。
【0028】
第1センサ210は、人が接触及び加圧したことを検知可能な接触センサ及び感圧センサ等で構成される。第1センサ210は天板290の下部で短軸方向の両縁部に、天板290の長軸方向の長さと同等な長さで形成されている。
【0029】
第2センサ220も同様に人が接触及び加圧したことを検知可能な接触センサ及び感圧センサ等で構成される。第2センサ220は、天板290の上部で短軸方向の両縁部に、天板290の長軸方向の長さと同等な長さで形成されている。
【0030】
駆動許可スイッチ230は、オンオフが可能なスイッチが使用される。駆動許可スイッチ230は、機械的なスイッチでもよく電気的なスイッチでもよい。安全上、駆動許可スイッチ230は、スイッチが押された状態でオンとなり、離すとオフとなる自動復帰型スイッチ(プッシュスイッチ)を使用する。本実施形態の駆動許可スイッチ230は、天板290の下部で、長軸方向の中央部の近傍で、且つ短軸方向の両側に1か所ずつ形成されている。なお、駆動許可スイッチ230は、電気接触子として長さを有するテープスイッチなどを用いて、天板290のどの位置においても操作者が操作可能にしてもよい。また、駆動許可スイッチ230は、図2(b)に示されるようにフットスイッチFTを用いることも可能である。
【0031】
天板290の上下方向の移動には、第1センサ210又は第2センサ220と駆動許可スイッチ230とが用いられる。
【0032】
天板290の上昇には、駆動許可スイッチ230と第1センサ210とが用いられる。図2(b)に示された手HD1で図示されるように、操作者が駆動許可スイッチ230を押しながら第1センサ210に接触することによって、天板290は上昇する。なお、図2(b)において、手HD1は操作者の片方の手で1度に駆動許可スイッチ230と第1センサ210とに触れているように示されているが、これに限らず別々に両手で駆動許可スイッチ230と第1センサ210とを操作してもよい。
【0033】
天板290の下降には、駆動許可スイッチ230と第2センサ220とが用いられる。図2(b)に示された手HD2で図示されるように、操作者が駆動許可スイッチ230を押しながら第2センサ220に接触することによって、天板290は下降する。なお、図2(b)において、手HD2は操作者の片方の手で1度に駆動許可スイッチ230と第2センサ220とに触れているよう図示されているが、別々に両手で駆動許可スイッチ230と第2センサ220とを操作してもよい。
【0034】
天板290の上昇及び下降は、駆動許可スイッチ230のオンオフにより停止し、また、第1センサ210及び第2センサ220を非接触状態にすることでも停止する。つまり、操作者が手を離したときには天板290の移動が止まるため、寝台200の安全性が高まる。例えば、被検者SBが天板290を握って第1センサ210及び第2センサ220の一方または両方に触れたとしても、操作者が駆動許可スイッチ230をオンにしない限り天板290が移動することがない。
【0035】
第1センサ210及び駆動許可スイッチ230の両方のスイッチが押されると、上下動制御装置215は上下駆動部205を動作させて天板290を上昇させる。第2センサ220及び駆動許可スイッチ230の両方のスイッチが押されると、上下動制御装置215は上下駆動部205を動作させて天板290を下降させる。第1センサ210又は第2センサ220と駆動許可スイッチ230とのいずれかがオフになると、天板290は停止する。上下動制御装置215は、上下駆動部205を動作させた初期にはゆっくりとした第1速度で天板290を移動させ、閾値時間の経過後は第1速度より高速の第2速度で天板290を移動させる。また、上下動制御装置215は、第1センサ210、第2センサ220及び駆動許可スイッチ230の3つのスイッチがオンになった状態が所定の時間以上続くと天板290がゆっくり上昇するよう制御し、被検者SBの立ち上がる動作を支援することが可能となる。詳細は後述する。
【0036】
第1センサ210、第2センサ220及び駆動許可スイッチ230がオフの状態、且つ天板290の高さが所定の高さである場合に、前後動制御装置216は、前後駆動部206を動作させて天板290を水平方向に移動させる。マグネットシステム100に設置された搬出スイッチ240又は搬入スイッチ250が押されることにより、前後動制御装置216は、天板290をボア110の内部へ水平方向に移動させる。前後動制御装置216は、前後駆動部206を動作させた初期にはゆっくりとした第1速度で天板290を移動させ、所定の時間の経過後は第1速度より高速の第2速度で天板290を移動させる。
【0037】
搬出スイッチ240及び搬入スイッチ250は、自動復帰型スイッチが用いられる。搬出スイッチ240は不図示の手動搬出スイッチ及び自動搬出スイッチで構成される。搬入スイッチ250も不図示の手動搬入スイッチ及び自動搬入スイッチで構成される。手動搬出スイッチ及び手動搬入スイッチをオンしている間だけ、天板290は水平方向に移動する。手動搬出スイッチ及び手動搬入スイッチが押されると、天板290は、ゆっくりとした第1速度で移動し、所定時間の経過後、第1速度より早い第2速度で移動する。天板290は移動速度が変化するので、操作者は、天板290の水平移動にかかる時間を短縮し、天板290の位置を微調整することができる。
【0038】
自動搬出スイッチ及び自動搬入スイッチも、自動復帰型スイッチが用いられる。自動搬出スイッチ及び自動搬入スイッチが一度オンされると、所定の位置まで天板290が移動する。自動搬出スイッチ及び自動搬入スイッチは、天板290を水平方向に移動させるだけでなく、上昇及び下降させることもできる。安全上、移動途中に再度、自動搬出スイッチ又は自動搬入スイッチが押されると、天板290は移動を停止する。
【0039】
本実施形態では、磁気共鳴イメージング装置400の検査手順が大きく5つの検査手順に分類される。第1検査手順は、被検者SBが磁気共鳴イメージング装置400の撮影室に入り、天板290の上部に載置するまでの手順とする。第2検査手順は、操作者による受信コイルの設置と位置決めとの手順とする。第3検査手順は、操作者によるコンソール300を介しての撮影手順とする。第4検査手順は、天板290を搬出して受信コイルの撤去までの手順とする。第5検査手順は、被検者SBを天板290から下ろす手順とする。以下、各検査手順を詳細に説明する。ただし、第1検査手順及び第5検査手順は被検者SBの身体状態で適宜変更するため、第2検査手順から第4検査手順の説明後に説明する。
【0040】
<第2検査手順>
第2検査手順では、操作者が必要に応じて受信コイルの設置と撮影の位置決めとを行う。第2検査手順において、検査予約システムからコンソール300にオーダ情報がすでに送られている。つまり寝台200に寝ている被検者SBに必要とされる受信コイル及び撮影基準位置がすでにコンソール300に記憶されている。なお、受信コイル及び撮影基準位置がコンソール300に記憶されていない場合には、操作者が手動で設定することもできる。
【0041】
〈第2検査手順のフローチャート〉
図3は第2検査手順のフローチャートである。
【0042】
ステップS21において、コンソール300はオーダ情報から被検者SBに受信コイルの装着が必要かどうかを判断する。受信コイルの装着が必要な場合はステップS22に進み、受信コイルの装着が不要な場合はステップS23に進む。
【0043】
ステップS22において、天板290は受信コイルの設置位置で停止する。操作者が駆動許可スイッチ230と第1センサ210とを押すことにより、上下動制御装置215は、天板290をあらかじめ設定された受信コイルの設置位置まで上昇させる。設定される受信コイルの設置位置は、ログインした操作者ごとにあらかじめ設定されている。また、受信コイルの設置位置は、オーダ情報ごとに設定することも可能である。例えば、受信コイルは小さく軽いものから大きく重い物までいろいろあるため、受信コイルの設置位置はオーダ情報ごとに変更される。天板290の停止後、操作者は必要な受信コイルを被検者SBに装着する。
【0044】
ステップS23において、操作者が駆動許可スイッチ230と第1センサ210とを押すことにより、天板290は、水平方向の移動可能位置まで上昇する。そして天板290が水平方向の移動可能位置まで上昇した後、天板290はボア110の内部に移動可能な状態となる。オーダ情報によっては、受信コイルの設置位置がそもそも天板290の水平方向の移動可能位置である場合もある。
【0045】
ステップS24において、操作者は、不図示の位置決め用の照射装置(以下はレーザポインタと称する)を点灯させる。レーザポインタは、搬入スイッチ250(手動搬入スイッチ及び自動搬入スイッチ)に連動させ、搬入スイッチ250が押されることで所定時間点灯する。
【0046】
ステップS25において、被検者SBを載置した天板290をボア110の内部に移動させて、レーザポインタが投影された位置と撮影基準位置(ランドマーク(Landmark))とを合致させることが望ましい。搬入スイッチ250がオンになると、前後動制御装置216は前後駆動部206を動作させる。そこで操作者は、搬入スイッチ250をオンにしてレーザポインタで示された位置まで天板290を移動させ撮影基準位置で停止させる。操作者は、手動搬入スイッチを用いながら、目視で撮影基準位置とレーザポインタとの投影位置とを合致させる。
【0047】
前後動制御装置216は、第1センサ210、第2センサ220及び駆動許可スイッチ230がオンでないことと、天板290の高さが所定の範囲にあることとを確認する。そして前後動制御装置216は前後駆動部206を動作させる。第1センサ210、第2センサ220または駆動許可スイッチ230のいずれかがオンの場合、前後動制御装置216は、天板290の水平移動を停止し、操作者は異常がないかを確認する。その後、第1センサ210、第2センサ220及び駆動許可スイッチ230がオンであっても天板290の水平移動が必要な場合、搬入スイッチ250を所定時間オン状態に応答して、前後動制御装置216は天板290を低速で移動させる。
【0048】
ステップS26において、操作者は、自動搬入スイッチをオンにすることで、天板290を移動させ被検者SBを撮影位置まで搬入する。撮影基準位置と撮影位置とは常に一定距離であるため、前後動制御装置216は自動搬入スイッチのオンにより天板290を一定距離移動させる。
操作者は第2検査手順が終了後、第3検査手順に進む。
【0049】
<第3検査手順>
第3検査手順においては、操作者は撮影を開始する。操作者は、コンソール300を介して撮影プロトコルを呼出し、所望する撮影部位において所望する画像を撮影する。操作者は第3検査手順が終了後、第4検査手順に進む。
【0050】
<第4検査手順>
第4検査手順において、操作者は撮影が終了した被検者SBをボア110の内部から搬出して、必要に応じて受信コイルの撤去をおこなう。
【0051】
〈第4検査手順のフローチャート〉
図4は第4検査手順のフローチャートである。
【0052】
ステップS41において、操作者は搬出スイッチ240を押すことにより、天板290をボア110内部から天板290の上下移動が可能な位置まで搬出する。自動搬出スイッチが一度押されることにより、天板290の上下移動が可能な位置まで天板290が搬出される。また、自動搬出スイッチに代えて手動搬出スイッチが押し続けられると、上下移動が可能な位置まで天板290が搬出される。
【0053】
ステップS42において、コンソール300は、オーダ情報または撮影情報から受信コイルの撤去が必要かどうかを判断する。受信コイルの撤去が必要な場合はステップS43に進み、受信コイルの撤去が不要な場合は第4検査手順を終了し第5検査手順に進む。
【0054】
ステップS43において、操作者が、駆動許可スイッチ230と第2センサ220とを押すことにより、天板290は受信コイルの撤去位置まで下降する。受信コイルの撤去位置は、図3のステップS22において、受信コイルを装着した位置である。操作者は受信コイルを撤去し第5検査手順に進む。
【0055】
以上で第2検査手順から第4検査手順までを説明したが、第2検査手順は図3に示された操作手順を減少させることが可能である。以下の変形例では簡便化した第2検査手順を説明する
【0056】
<変形例>
本変形例の第2検査手順は操作者の検査手順を減少させることで検査時間を短くさせる。本変形例も、コンソール300が事前に受信コイル及び撮影基準位置の情報を取得している。本変形例の自動搬入スイッチは、コンソール300の演算部331により制御される。そして、自動搬入スイッチが押された場合の天板290の動きが、前述の例と異なる。
【0057】
〈第2検査手順のフローチャート〉
図5は本変形例の第2検査手順のフローチャートである。
【0058】
ステップS121において、コンソール300は、オーダ情報から被検者SBに受信コイルの装着が必要かどうかを判断する。受信コイルの装着が必要な場合はステップS122に進み、受信コイルの装着が不要な場合はステップS123に進む。
【0059】
ステップS122において、操作者が自動搬入スイッチをオンにすることで、天板290は受信コイルの設置位置まで移動して停止する。天板290は、登録された被検者SBが未撮影且つ天板290の高さが膝の高さの近傍である場合に、あらかじめ登録されている受信コイルの設置位置で停止する。天板290の停止後、操作者は必要な受信コイルを被検者SBに装着する。
【0060】
ステップS123において、操作者が自動搬入スイッチをオンにすることで天板290が上昇し始め、そして水平方向の移動可能位置まで上昇する。次に、天板290が水平方向に移動し始め撮影基準位置まで移動する。さらに、自動搬入スイッチのオンの際、レーザポインタも点灯して被検者SBにレーザを照射させる。
【0061】
撮影基準位置は撮影方法又は撮影部位で決まっている。例えば、頭部撮影の場合において、操作者がレーザポインタで合わせる撮影基準位置は額である。また、頭部撮影の場合に用いる頭部用受信コイルは天板290の所定位置に設置される。このため、操作者が被検者SBの頭部に頭部用受信コイルを配置すると、レーザポインタは被検者SBの額近傍にレーザを照射させる。
【0062】
撮影に際して受信コイルが不要な場合に、自動搬入スイッチが一度押されるだけで天板290が上昇し及び水平移動し、撮影基準位置で停止する。操作者は、撮影基準位置に移動した被検者SBが所定の撮影基準位置であるかを確認する。操作者は、必要であれば手動搬入スイッチを用いて天板290を水平方向に微調整する。
【0063】
ステップS124において、操作者は自動搬入スイッチをオンにすることで天板290を移動させ、被検者SBを撮影位置まで搬入する。撮影基準位置の近傍で自動搬入スイッチがオンされると、天板290は一定距離だけ水平に移動する。
【0064】
本変形例の第2検査手順によると、操作者が2回又は3回の自動搬入スイッチを押すと、天板290に寝た被検者SBが撮影位置まで搬入される。このため第2検査手順のスループットが向上する。
【0065】
上述した天板290の水平移動は、第1センサ210、第2センサ220及び駆動許可スイッチ230が接触されていない場合についてのみ許可される。第1センサ210、第2センサ220又は駆動許可スイッチ230のいずれかが接触されると、天板290が停止する。つまり、第1センサ210及び第2センサ220は、上昇及び下降のスイッチの一部として機能するだけでなく、安全面のセンサとして使用可能である。
【0066】
オーダ情報には、被検者SBの身体情報の一部として搬送方法が入力されている。搬送方法は、大きく台車又は独歩(台車を使わずに一人で歩くことができる)によって区別される。台車による搬送方法には、ストレッチャー700(図11参照)及び車いす800(図14参照)搬送の区別が入力されていてもよい。本実施形態の搬送方法は独歩、ストレッチャー700又は車いす800の区別がなされている。
【0067】
独歩の被検者SBは、自分で歩いて撮影室の寝台200に移動が可能であり、ストレッチャー700及び車いす800の被検者SBは、ストレッチャー700及び車いす800を用いて撮影室の寝台200に移動可能である。このようなオーダ情報は、記憶部332に入力されている。独歩、ストレッチャー700又は車いす800の情報が記憶部332に入力されていない場合には、操作者は、被検者SBの状態を見て、独歩、ストレッチャー700又は車いす800であるかを手動で入力する。
【0068】
第1検査手順及び第5検査手順は、身体情報により検査手順が異なる。このため、第1実施形態に独歩用の第1検査手順及び第5検査手順、第2実施形態にストレッチャー700用の第1検査手順及び第5検査手順、第3実施形態に車いす800用の第1検査手順及び第5検査手順を示す。
【0069】
<<第1実施形態>>
第1実施形態は、独歩の被検者SB用の第1検査手順及び第5検査手順を説明する。磁気共鳴イメージング装置400の検査を受ける独歩の被検者SBは、半身麻痺、腰痛及び関節痛などの持病を有していることがある。これらの持病を有する被検者SBは自分で歩くことができるが、座る、立つ、寝る又は起きる動作が困難であることが多い。以下、図6から図10を用いて、天板290が座る及び立つ動作を支援する手順を説明する。
【0070】
<第1検査手順のフローチャート>
図6は、独歩用の第1検査手順に係るフローチャートである。図7は撮影室の入口近傍を示した図であり、図8は被検者SBの動作と天板290の動作とを示した概略側面図である。
【0071】
ステップS01において、操作者はコンソール300に被検者SBを登録する。操作者は、取得された検査スケジュール一覧から当該被検者SBを選択することで、被検者SBのオーダ情報を取得する。オーダ情報には被検者SBの身体情報が登録されており、第1実施形態では搬送方法に独歩が選択されている。また、身体情報に搬送方法が入力されていない場合には、操作者が独歩を選択する。
【0072】
ステップS02において、操作者は被検者SBの膝近傍に反射板600を装着する。図7に示されるように反射板600はシールまたは器具を用いて簡易に被検者SBの膝位置に装着する。通常、磁気共鳴イメージング装置400の高磁場内の撮影室への入室には、操作者が被検者SBの体内金属及び体外金属などの検知に金属探知器による事前検査を行う。このため、その際に反射板600を被検者SBに装着する。
【0073】
ステップS03において、操作者は被検者SBを撮影室に入室させる。図7に示されるように撮影室の例えば入口DRには検出装置610が設置されており、通過する反射板600の高さ情報を取得する。検出装置610は、可視光線、赤外線などの光を信号光として発射し、反射板600によって反射する光を受光部で検出する反射型の光電センサなどが用いられる。検出装置610は、被検者SBの膝の高さ情報を検出する。被検者SBの膝の高さ情報は、コンソール300に送信され、上下動制御装置215に伝達される。第1実施形態では、膝の高さ情報は、反射板600により得られているが、身長もしくは体重などの身体情報に基づいて演算部331が膝の高さ情報を算出してもよい。
【0074】
ステップS04において、上下動制御装置215は天板290を膝の高さで停止させる。図8(a)は膝の高さで停止した天板290の高さの図である。上下動制御装置215は、検出装置610で検出した膝の高さ情報に基づき天板290を上下動させ被検者SBの膝の高さで天板290を停止させる。上下動制御装置215は、図8(a)に示されるように天板290を矢印AR1の方向に移動させる。
【0075】
ステップS05において、操作者は被検者SBに支援が必要かを判断する。支援が必要な場合はステップS06に進み、支援が必要ない場合はステップS09に進む。
【0076】
ステップS06において、操作者は、被検者SBを寝台200の横に立たせる。上下動制御装置215は、図8(a)に示されるように天板290を矢印AR2の方向に移動させる。操作者が駆動許可スイッチ230と第1センサ210とを押すと、上下駆動部205が動作し天板290が上昇する。また、自動搬送スイッチが押されることで、天板290が所定の高さまで上昇する。
【0077】
ステップS07において、天板290が被検者SBの臀部の位置で止まり、操作者は、被検者SBの臀部を天板290に載せる。図8(b)は被検者SBの臀部が第2センサ220で触れた状態を示した図である。操作者が駆動許可スイッチ230又は第1センサ210をオフにした場合、又は被検者SBの臀部が第2センサ220に触れた場合に天板290は上昇を停止する。また、上下動制御装置215は身体情報から演算部331により臀部の高さ算出してその高さで自動停止させてもよい。操作者は所定の高さで停止した天板290に被検者SBの臀部を載せる。
【0078】
ステップS08において、操作者は駆動許可スイッチ230を押すことにより、天板290をゆっくりと下降させる。上下動制御装置215は、図8(b)に示されるように天板290を矢印AR3の方向に移動させる。第2センサ220は被検者SBの臀部に接触しているため、操作者が駆動許可スイッチ230をオンにすることで天板が下降する。操作者が駆動許可スイッチ230をオフした時点又は被検者SBの臀部が第2センサ220に接触しなくなった時点に、天板290は停止する。寝台200は、座る動作が困難な被検者SBが無理なく座ることができるよう支援する。
【0079】
ステップS09において、操作者は天板290を膝の高さまで下降させる。図8(c)は被検者SBが膝の高さの天板290に座った状態を示した図である。操作者は、被検者SBの背中を空いている片方の手で保持しながら被検者SBを天板290に座らせることが可能となる。なお、駆動許可スイッチ230を操作者の足で操作するフットスイッチFT(図2参照)とすることで、操作者は両手で被検者SBを介助することが可能となる。
【0080】
ステップS10において、操作者は被検者SBが寝やすい膝の高さで介助しながら寝かせることが可能となる。
【0081】
ステップS11において、操作者は、被検者SBが天板290の所定の位置に寝たことを確認して、天板290を上昇させる操作をする。その後前述の第2検査手順に進む。
【0082】
<第5検査手順のフローチャート>
図9は、独歩用の第5検査手順に係るフローチャートである。第5検査手順は第4検査手順にて受信コイルなどが外された被検者SBを天板290から下ろす手順である。図10は被検者SBの動作と天板290の動作とを示した概略側面図である。
【0083】
ステップS51において、操作者は、駆動許可スイッチ230と第2センサ220とを操作者が押すことにより、手動で被検者SBの膝の高さ位置まで天板290を下降させる。または自動搬出スイッチを用いて操作者が一度スイッチを押すことにより自動で膝の高さ位置まで天板290を下降させる。膝の高さ情報は、第1検査手順の検出装置610で検出された位置情報を用いる。
【0084】
ステップS52において、操作者は被検者SBに天板290から足を出して天板290に腰かけてもらう。図10(a)は、被検者SBが膝の高さの天板290に座った状態を示した図である。起き上がることが困難な被検者SBは、操作者が介助して天板290から足を出して、被検者SBを天板290に座らせる。被検者SBの膝の高さにある天板290は、寝ている被検者SBを介助して座らせることが最も適切な位置である。
【0085】
ステップS53において、被検者SBの立ち上がる動作に合わせて、操作者が駆動許可スイッチ230と第1センサ210とを押すことによって、天板290は上昇する。図10(b)は、天板290の上昇により被検者SBの腰が持ち上がる状態を示した図である。起立が困難な被検者SBに対して、操作者は、天板290を上昇させることで被検者SBの起立を支援する。操作者は被検者SBの腰部を保持しながら又は手を取りながら、天板290を上昇させる。第1検査手順で示されたように、通常、天板290は上昇途中に第2センサが触れられると停止するが、被検者SBが第2センサ220に接触した状態で、操作者が駆動許可スイッチ230と第1センサ210とを押し続けることで、停止状態の天板290はゆっくりと上昇する。
【0086】
ステップS54において、被検者SBの臀部近傍が第2センサ220と非接触となった時点、又は第1センサ210又は駆動許可スイッチ230がオフとなった時点で、天板290は上昇を停止する。停止した位置は被検者SBの臀部付近である。図10(c)は天板290が被検者SBの臀部近傍で停止した状態を示した図である。これにより、腰を上げる動作を寝台200が支援することで起立が、困難な被検者SBは容易に起立することができる。また介助者である操作者は、被検者SBが転倒しないよう保持するだけで被検者SBを起立させることが可能となる。
【0087】
ステップS55において、操作者は被検者SBが起立したことを確認して撮影室から退出させる。
【0088】
以上に示された第1実施形態により独歩が可能な被検者SBに対して、被検者SBの動作を支援する寝台200を備えた磁気共鳴イメージング装置400を提供することが可能となる。
【0089】
<<第2実施形態>>
第2実施形態は、ストレッチャー700で被検者SBを搬送する搬送方法を示す。通常、磁気共鳴イメージング装置400に入室可能なストレッチャーは、非磁性体で製造されている。
【0090】
図11は一般的なストレッチャー700の斜視図である。ストレッチャー700は、被検者SBが載置される寝台面710、車輪部720、高さ調節部730、フレーム740及び反射板600で構成されている。
【0091】
高さ調節部730は、パンタグラフ構造のフレーム740により不図示の駆動部を介して寝台面710の高さを変更することが可能である。寝台面710は、被検者SBを載せる面である。寝台面710の短軸方向の側面には反射板600が設置され、反射板600は撮影室へ入室時の寝台面710の高さを検出するときに用いられる。ストレッチャー700は、車輪部720により移動可能である。なお、反射板600は寝台面710の短軸方向の側面に1か所設置されているが、図示されていない反対側の側面にも1か所設置してある。
【0092】
通常、ストレッチャー700は座ることも困難な被検者SBを病室のベッドから寝台200の天板290へ移動させるために用いられる。まず、介助者は高さ調節部730によりストレッチャー700の寝台面710をベッドの高さに揃える。そして介助者は被検者SBをベッドから寝台面710に移す。次に、ストレッチャー700によって被検者SBは離れた場所の撮影室へ移送される。ストレッチャー700は、移送に適した高さで調整され、その高さはおおよそ介助者の腰の高さである。次に、ストレッチャー700は磁気共鳴イメージング装置400の寝台200に横付けされ、操作者は被検者SBを持ち上げストレッチャー700から天板290へ移す。一般に、ボア110の内部に搬送可能な天板290の高さは、移送時のストレッチャー700の高さより高い。
【0093】
<第1検査手順のフローチャート>
図12は、第2実施形態のストレッチャー700用の第1検査手順に係るフローチャートである。
【0094】
ステップS61において、操作者は、コンソール300に被検者SBを登録する。操作者は、取得された検査スケジュール一覧から当該被検者SBを選択し、被検者SBのオーダ情報を取得する。オーダ情報には被検者SBの身体情報が登録されており、第2実施形態では搬送方法にストレッチャー700が選択されている。また、身体情報に搬送方法が入力されていない場合には、操作者がストレッチャー700を選択する。
【0095】
ステップS62において、操作者は、ストレッチャー700に載置される被検者SBを撮影室に移送する。撮影室の入口には反射板600を検知する検出装置610(図7参照)が設置されている。検出装置610は、通過するストレッチャー700の寝台面710に設置した反射板600の高さを取得する。つまり検出装置610は、通過する寝台面710の高さを検知する。検知された寝台面710の高さ情報は、コンソール300に送信され、上下動制御装置215に伝達される。寝台面710の高さ情報は検出装置610でその情報を得ているが、通常よく使用する寝台面710の高さをあらかじめ登録させておいてもよい。
【0096】
ステップS63において、上下動制御装置215は、コンソール300から伝達された寝台面710の高さ情報に基づいて天板290を移動させる。ストレッチャー700の寝台面710の高さは移送し易い高さとなっている。上下動制御装置215は、あらかじめ登録されているストレッチャー700の寝台面710の高さまで天板290を移動させておき、検出装置610からの高さ情報に基づいて誤差分を移動させてもよい。
【0097】
ステップS64において、操作者は、ストレッチャー700を磁気共鳴イメージング装置400の寝台200に横付けする。ストレッチャー700の寝台面710の高さは磁気共鳴イメージング装置400の天板290の高さと同じになっているため、操作者及び介助者は、直ちにストレッチャー700に寝ている被検者SBを磁気共鳴イメージング装置400の天板290に移動させることができる。また、ストレッチャー700が横付けされる前に天板290の高さと寝台面710の高さとが合致しているため、寝台200とストレッチャー700とが互いに乗り上げたり又は噛み込んだりしない。これにより、寝台200又はストレッチャー700が破損したり、被検者SBが怪我したりしない。
【0098】
ステップS65において、操作者及び介助者は、被検者SBを天板290に移動させる。操作者及び介助者が天板290に被検者SBを移動させた後に、第2検査手順に進む。
【0099】
<第5検査手順のフローチャート>
図13は、本実施形態のストレッチャー700用の第5検査手順に係るフローチャートである。第5検査手順は第4検査手順にて受信コイルなどが外された被検者SBを天板290から下ろす手順である。
【0100】
ステップS71において、操作者が駆動許可スイッチ230と第2センサ220とを押すことにより、天板290はストレッチャー700の寝台面710の高さまで下降する。または、操作者が一度自動搬出スイッチを押すことにより、天板290は自動で寝台面710の高さ位置まで下降する。寝台面710の高さ情報は、第1検査手順の検出装置610で検出された位置情報を用いる。なお、第4検査手順おいて受信コイルの撤去位置をストレッチャー700の寝台面710と同一にすることで、本ステップS71は不要となる。
【0101】
ステップS72において、操作者はストレッチャー700を磁気共鳴イメージング装置400の寝台200に横付けする。通常、使用したストレッチャー700は第1検査手順の被検者SBを載せた高さに保持されているため、ストレッチャー700の寝台面710の高さは磁気共鳴イメージング装置400の天板290の高さと同じである。
【0102】
ステップS73において、操作者及び介助者は、磁気共鳴イメージング装置400の天板290に寝ている被検者SBをストレッチャー700の寝台面710に移動させる。
【0103】
ステップS74において、操作者はストレッチャー700に載置される被検者SBを撮影室から退出させる。
【0104】
第2実施形態の上下動制御装置215は、コンソール300により自動で天板290を昇降させる際に、第1センサ210又は第2センサ220に何かが接触すると天板290を停止させる。このように制御すると、寝台200の周囲に干渉物があった際にも天板290が停止するため、寝台200又は干渉物の破損を防ぐことができる。
【0105】
<<第3実施形態>>
第3実施形態は、車いす800による寝台200までの被検者SBの搬送方法を示す。通常、磁気共鳴イメージング装置400に入室可能な車いす800は、非磁性体で製造されている。
【0106】
図14は、車いす800の斜視図である。車いす800は、被検者SBが座る座面810、車輪部820、フレーム830及び反射板600で構成されている。
【0107】
車いす800は、車輪部820により移動可能となっている。座面810は被検者SBの臀部を載せる面である。座面810の車輪側の側面には反射板600が設置され、反射板600は撮影室へ入室時に座面810の高さを検出するのに用いられる。なお、反射板600は座面810の車輪側の側面に1か所設置されているが、図示されていない反対側の車輪側の側面にも1か所設置している。
【0108】
通常、車いす800は、足又は腰の不自由な被検者SBを寝台200へ移動させるために用いられる。一般に、操作者は、車いす800の座面810の高さと磁気共鳴イメージング装置400の天板290の高さとを揃えて、被検者SBを車いす800から天板290へ持ち上げて移動させている。
【0109】
<第1検査手順のフローチャート>
図15は、第3実施形態の車いす800用の第1検査手順に係るフローチャートである。
【0110】
ステップS81において、操作者は、取得された検査スケジュール一覧から当該被検者SBを選択し、被検者SBのオーダ情報を取得する。オーダ情報には被検者SBの身体情報が登録されており、第3実施形態では搬送方法に車いす800が選択されている。また、身体情報に搬送方法が入力されていない場合には、操作者が車いす800を選択する。
【0111】
ステップS82において、操作者は、車いす800に座る被検者SBを撮影室に移送する。撮影室の入口には反射板600を検知する検出装置610(図7参照)が設置されており、検出装置610は通過する反射板600の高さ情報を取得する。つまり検出装置610は、通過する車いす800の座面810の高さを検知する。操作者は、被検者SBを撮影室に移送する。検知された車いす800の座面810の高さ情報は、コンソール300に送信され、上下動制御装置215に伝達される。
【0112】
ステップS83において、上下動制御装置215は、天板290を昇降させ、車いす800の座面810の高さで停止させる。上下動制御装置215は、伝達された車いす800の座面810の高さ情報に基づいて天板290を昇降させる。一般に、車いす800の座面810の高さは変化しないため、上下動制御装置215は、搬送方法に車いす800が選択された時点で、事前に登録されている車いす800の座面810の高さまで移動させてもよい。
【0113】
ステップS84において、操作者は、車いす800を磁気共鳴イメージング装置400の寝台200に横付けする。車いす800の座面810の高さと磁気共鳴イメージング装置400の天板290の高さは同じになっているため、操作者は、直ちに車いす800に座る被検者SBを磁気共鳴イメージング装置400の天板290に移動させることができる。
【0114】
ステップS85において、操作者は、被検者SBを天板290に寝かせる。操作者は、必要に応じて介助しながら被検者SBを天板290に移動させる。操作者は被検者SBを寝かした後に、第2検査手順に進む。
【0115】
<第5検査手順のフローチャート>
図16は、第3実施形態の車いす800用の第5検査手順に係るフローチャートである。第5検査手順は、第4検査手順にて受信コイルなどが外された被検者SBを天板290から下ろす手順である。
【0116】
ステップS91において、操作者が駆動許可スイッチ230と第2センサ220とを押すことにより、天板290は手動で座面810の高さ位置まで下がる。または操作者が一度自動搬出スイッチを押すことにより、天板290は自動で座面810の高さ位置まで下がる。座面810の高さ情報は、第1検査手順の検出装置610で検出された位置情報を用いる。なお、搬送方法が車いす800の場合、第4検査手順おいて受信コイルの撤去位置を車いす800の座面810と同一にすることで、本ステップS91は不要となる。
【0117】
ステップS92において、操作者は、車いす800を磁気共鳴イメージング装置400の寝台200に横付けする。
【0118】
ステップS93において、操作者は被検者SBを車いす800に移動させる。操作者は、磁気共鳴イメージング装置400の天板290に寝ている被検者SBを起こして車いす800の座面810に座らせる。被検者SBは、足を天板290から出し、天板290に座った状態から車いす800の座面810に臀部を移動させる。操作者は、必要に応じて被検者SBを介助して車いす800の移動を手伝う。
【0119】
ステップS94において、操作者は、車いす800に座った被検者SBを撮影室から退出させる。
【0120】
第3実施形態の上下動制御装置215も、コンソール300からの操作により自動で天板290を昇降させる際に、第1センサ210又は第2センサ220に何かが接触すると天板290を停止させる。このように制御すると、寝台200の周囲に干渉物があった際にも天板290が停止するため、寝台200又は干渉物の破損を防ぐことができる。
【0121】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【符号の説明】
【0122】
100 … マグネットシステム
110 … ボア
200 … 寝台
210 … 第1センサ、 220 … 第2センサ
230 … 駆動許可スイッチ
240 … 搬出スイッチ、 250 … 搬入スイッチ
290 … 天板
300 … コンソール
310 … 入力装置、 320 … 表示装置
330 … 演算装置、 331 … 演算部、 332 … 記憶部
400 … 磁気共鳴イメージング装置
600 … 反射板
610 … 検出装置
700 … ストレッチャー
710 … 寝台面、 720 … 車輪部
730 … 高さ調節部、 740 … フレーム
800 … 車いす
810 … 座面、 820 … 車輪部
830 … フレーム
AR … 矢印
FT … フットスイッチ
SB … 被検者


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者が載置される天板と、
前記天板を上下方向に移動させる天板駆動部と、
前記天板の端部に配置され、前記天板駆動部による前記天板の上下方向の移動の許可又は不許可を決める移動許可スイッチと、
前記移動許可スイッチに近傍であって且つ前記天板の下側に配置され、押圧を検出する第1センサと、
前記移動許可スイッチに近傍であって且つ前記天板の上側に配置され、押圧を検出する第2センサと、
前記移動許可スイッチが許可状態で且つ前記第1センサが前記押圧を検出した際に前記天板を上昇させる信号を前記天板駆動部に出力し、前記移動許可スイッチが許可状態で且つ前記第2センサが前記押圧を検出した際に前記天板を下降させる信号を前記天板駆動部に出力する制御部と、
を備える寝台装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1センサ又は前記第2センサが前記押圧を検出している際には、前記天板を第1速度で上下方向に移動させる信号を前記天板駆動部に出力し、前記第1センサ又は前記第2センサが前記押圧を閾値時間より長く連続して検出している際には、前記天板を前記第1速度よりも早い第2速度で上下方向に移動させる信号前記天板駆動部に出力する請求項1に記載の寝台装置。
【請求項3】
前記被検者の膝の高さを検出する膝高さセンサを備え、
前記制御部は、前記天板を前記膝高さセンサで検出した前記膝高さに移動させる信号を前記天板駆動部に出力する請求項1又は請求項2に記載の寝台装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記膝高さに移動した前記天板を前記第2センサが前記被検者の臀部を検出するまで上昇させ、前記第2センサが前記臀部を検出した後、前記前記膝高さまで前記天板を下降させる信号を前記天板駆動部に出力する請求項3に記載の寝台装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記膝高さに移動した前記天板を前記第2センサが前記被検者の臀部を検出した位置まで上昇させる信号を前記天板駆動部に出力する請求項4に記載の寝台装置。
【請求項6】
前記被検者を載置する台車を検出する台車センサを備え、
前記制御部は、前記台車の検出により、前記天板を前記台車に適した高さに移動させる信号を前記天板駆動部に出力する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の寝台装置。
【請求項7】
前記制御部は、病院情報システムから提供される前記被検者の身体情報に基づいて、前記天板を前記被検者に適した高さに移動させる信号を前記天板駆動部に出力する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の寝台装置。
【請求項8】
前記天板を長手方向に移動させる長手方向移動手段を備える請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の寝台装置。
【請求項9】
請求項8に記載の寝台装置を用いて、前記天板上に載置された前記被検者を、前記長手方向移動手段によりガントリのボア内部での撮影が可能な位置に移動させる医用画像診断装置。
【請求項10】
前記被検者の内部形態を反映するデータを収集し、前記被検者の内部形態を表す画像を再構成する医用画像診断装置であって、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の寝台装置を有する医用画像診断装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−22246(P2013−22246A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159978(P2011−159978)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】