説明

磁気共鳴映像法で利用するための温度調節器内蔵型医療用装置

本願は、磁気共鳴映像法(MRI)を用いて視覚化可能なカテーテルやその他の医療装置を構築および使用するために、温度、磁性およびキュリー点転移を利用することを開示している。 したがって、この開示は、医療用装置、医療用装置を構築するための手段、および磁気共鳴やその他の技術を用いて医療用装置を画像化する方法を含むものであるが、これらに限定されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明の開示は、一般的に、医療用装置に関し、とりわけ、磁気共鳴映像による医療用装置の操作を可能ならしめる温度調節器を具備した医療用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
経皮的冠動脈形成術(PTCA)や経皮的動脈形成術(PTA)などは、人体の血管や内腔に生じた遮断阻害物を処置するための一般的かつ効果的な手法となっている。 これら手法によれば、遮断阻害物がある箇所にまで内腔を通ってカテーテルが案内され、カテーテルで同じく案内されたバルーンを同箇所で膨らませることで、遮断された内腔が拡張されて、遮断箇所の流通が改善される。 医師の診察に供するために、案内されたカテーテルや内腔の位置を視覚化する場合、これまでは、X線透視技術が日常的に用いられていた。 具体的には、通常は、バルーンやカテーテルのポリマーマトリックス内に放射線不透過性充填物質が埋設されており、そうすることで、身体がX線に曝されると、照射されたX線を透過しない放射線不透過性充填物質は、X線画像を表示するモニター上に鮮明に映し出されるのである。 このような充填物質は、通常は、バリウム、タングステンおよびビスマスの塩を含んでいる。 高レベルのX線を人体に照射する手法は効果的ではあるが、人体に対して好ましいものではない。
【0003】
医療現場で利用可能なその他の画像形成技術に、磁気共鳴映像法(MRI)がある。 核磁気共鳴(NMR)の変法であるMRIは、顕微鏡によって分子に関する化学的および物理的情報を取得するために用いらる顕微鏡的技術でもある。 スピン配向の変化に起因して放出される放射物は、MRI装置によって計測することができる。 MRIは、小規模の磁界または水素原子核に関連したスピンの影響を受ける。 このスピンによって、MRI装置によって計測可能な磁界を形成する。 人体の約2/3は水素原子で構成されているため、この磁界やスピンに影響を与える物質が人体に滞留または導入されれば、その物質が導入された領域をMRI装置によって容易に突き止めることができ、それにより、その物質の位置を同定されることとなる。
【0004】
MRIは、ヘルスケアの分野に革命を起こした多用途に利用可能な技術である。 一般的に、MRIは、水分子および脂肪分子の陽子に対して作用する。 陽子は、ミニ磁石と考えることができる。 磁界の存在下では、陽子は、磁界に対する平行軸の周囲を回転または「歳差運動」し、これはラーモア振動としても知られている。 ごく一部の陽子は、主要な磁界において自ら整列しており、これは最低のエネルギーレベルを示すものに他ならない。 ラーモア振動と同じ周波数の高周波パルスを当てると、陽子はこの放射物を吸収し、そして、高いエネルギーレベルで磁界に向き合うようにして自ら整列することができる。 エネルギーレベルが衰退すると、陽子から放出されたシグナルが検出でき、また、画像を生成するために使用することができる。 MRIは、陽子密度、縦緩和時間(T1)および横緩和時間(T2)などのパラメーターに関与している。 MRIは、磁界での陽子の挙動を利用するものであり、その挙動は、陽子の置かれた環境によっても変化する。 例えば、血腫や腫瘍での陽子は、正常細胞での陽子と区別することができる。 流動感度を付与するためのパルス系列をデザインすることができ、これにより、一般的に、血流や脈管構造の画像をもたらすMRI血管造影法が実現される。 特定の作業を行った場合に活性化される脳内領域を追跡するために、MRI血管造影法を利用することができる。
【0005】
一般的に、MRIは、静的磁界を形成する磁石、磁界の均質度を改善するシムコイル、高周波(RF)パルスを発信するRFコイル、放射信号を検出するための受信コイル、放射信号の位置測定を可能にする傾斜コイル、およびコンピューターと画像にデータを伝達するための所要のソフトウェアとを具備している。 陽子密度、T1緩和時間、T2緩和時間および流量のすべてが、発信信号の強度に影響する。 通常、高周波パルスは、静的磁界に対して直角または横向きである。 パルスの後、陽子の磁気状態は通常の状態に戻る。 具体的には、移動性または(静的磁界での)縦方向の磁界が復元され、そして、横方向の磁界が衰退する。 T1は、縦方向の磁性が、平衡状態に復帰する現象の測定である。
【0006】
T2は、横方向の磁性が、平衡状態に復帰する現象の測定である。 T1とT2は、同時に進行するが、最終画像に関しては全く別異の効果をもたらす。 T1とT2は、組織に応じて多様に変化し、このような組織間の差異を利用することで、良好なコントラストが得られる。
【0007】
MRIにおいて、画像コントラストは重要な要素であり、コントラストを改善するための様々な方法がある。 コントラストの改善方法の一つとして、RFおよび傾斜パルスの強度、間隔および多重度を改変することでパルス系列に変化を与える方法がある。 特に、反復時間(TR)としても知られているRFパルス間の時間、それに、パルスとそれに続くエコー時間(TE)としても知られているエコーとの間の時間を操作することができる。
【0008】
TRとTEを変更すると、T1とT2は影響を受ける。 T1を強調するようにパルス系列をデザインした場合、T1強調画像の用語が使われる。 T1強調画像は、T1効果を促すためにTRを短くし、また、T2効果を促すためにTEを短くする。 T2強調画像では、TRおよびTEの双方を長くする。
【0009】
パルス系列の修飾以外の手段でも、コントラストを改善することができる。 これら手段として、造影剤、磁化移動コントラストおよび拡散強調コントラストなどがある。 一般的に、造影剤は、強磁性、常磁性および超常磁性などに関連した磁気特性を有している。 強磁性は、ある種の金属、合金および化合物、すなわち、外部磁界から遠ざけた後もなお一定の方向性を永久的に付与する内部磁性モーメントを有する金属、合金および化合物において特徴的な性質である。 常磁性は、ある種の物質、すなわち、外部磁界の作用を受けている限りは一定の方向性付与する内部モーメントを有する物質において特徴的な性質である。 超常磁性は、正常熱格子や分子振動が故に永久磁性を欠いたことで、永久磁性物質としての挙動を示す微小強磁性粒子において特徴的な性質である。
【0010】
強磁性物質は、キュリー点を超えると常磁性になる。 キュリー点の原理およびキュリー点を有する物質は、冷蔵技術や磁気媒体の複製などの様々な技術分野で利用されている。 Paulus et alの米国特許第5,429,583号は、腫瘍を熱的に治療するために、治療的範囲にキュリー点を有するコバルトパラジウムシードを利用することを記載している。 常磁性造影剤は、マンガン(Mn)、ガドリニウム(Gd)およびジスプロシウム(Dy)を含有している。 これらの造影剤およびその他の造影剤は、時として、医療用装置に装備されていることがある。 超常磁性造影剤は、様々な酸化鉄化合物を含有しており、また、通常は、遷移金属を含むナノ単位の粒子を含み、それら遷移金属としては、コバルト、ニッケル、マンガンおよびクロムなどがあるが、これらに限定されない。
【0011】
医療用装置やその他の様々な移植物について、それら移植物が磁気の影響を受けやすい場合には、MRIの利用を躊躇せざるを得ない。 特に、眼内の移植片、例えば、弾丸の破片などは故意に埋没させたものではない。 ペースメーカーや動脈瘤クリップを装着している場合に、MRIの使用を控えることがよくある。 しかしながら、多くの医療現場において、カテーテルやステントなどの移植装置を視覚化する必要性に出くわしているのである。 Ratnerの米国特許第4,989,608号、Weber et alの米国特許第5,728,079号、Young et alの米国特許第5,817,017号およびWeber et alの米国特許第5,908,410号のいずれもが、MRIを用いて視覚化できる装置についての報告を行っている。 医師や医療従事者などの間では、MRIを用いて医療用装置を視覚化する上で、改善されたコントラストを示し、かつ取り扱いやすさに優れた装置が待望されているのである。
【0012】
ペルティエ素子は、一方の要素から他方の要素に電流を流すことで熱を伝導するものであり、そのプロセスによって、一方の要素は冷却される。 ペルティエ素子は、通電され次第に、正電荷と負電荷の双方が、冷却しようとする要素から他の要素に移動するようにデザインされている。 各電荷は熱エネルギーを有しているので、ペルティエ素子は、熱勾配に対して熱エネルギーを移動させることができる。 ペルティエ素子は、宇宙空間、潜水艦、電子部品および冷水器などの多様な分野で利用されている。
【0013】
導電性ポリマーは、2000年のノーベル化学賞の受賞対象になるなど、最近になって脚光を浴びてきた新興の技術である。 導電性ポリマーは、平面型スクリーン、帯電防止装置、触媒、防氷パネル、通電性窓、燃料電池およびレーダー用アンテナなどの多様な用途で利用されている。 すでに、いくつかの医療用装置において、導電性ポリマーの用途が見出されている。 導電性ポリマーの例として、ポリ-p-フェニレンビニレンや、Panipol(登録商標)のようなポリアニリンなどがある。 その他の導電性ポリマーは、共役ポリマーのクラスに属しており、このようなポリマーとして、ポリ-ピロル(PPY)、ポリ-アニリン、ポリ-チオフェン(PtH)およびパラフェニレンビニレン(PPV)などがあるが、これらに限定されない。 ポリマーマトリックスに金属成分をドーピングすることで、さらなる改善を果たすことができる。 導電性ポリマーの導電性は、非導電性から金属導電性に至るいずれの導電性にも調整することができ、また、PE、PVCおよびその他の様々なポリマーと共に混合することができる。 導電性ポリマーは、押し出しや射出成形などを含む様々な加工技術に適合させるために改質することもできる。
【0014】
カテーテルをはじめとする医療用装置では、加熱要素や冷却要素が利用されているが、これら要素は、専ら、組織破壊、患者の採暖、血流計測、それに、装置の挙動を制御するための手段として利用されている。 医療業界では、MRIを用いて装置を検出するための新規の方法、MRIによる視覚化が操作可能である新規の医療用装置、それに、これら医療用装置を製造するための新規の方法が必要とされている。 このことは、健康の恩恵を与える新規の装置、使用方法および構築方法を実現する上で、加熱、冷却および磁性物質の利用が欠かせないことを示すものである。
【発明の開示】
【0015】
本願で開示した一実施態様によれば、組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置を用いて設置される医療用装置が提供される。 この医療用装置は、ハウジングを具備している。 医療用装置の磁気共鳴映像に変化を及ぼす温度調節器が、ハウジングに対して作動可能に関与している。 親水性層が、ハウジングの少なくとも一部に対して作動可能に関与している。 キュリー点を有する物質が、医療用装置に対して作動可能に関与している。
【0016】
本願で開示した他の実施態様によれば、ある方法が提供される。 この医療用装置は、ハウジングおよびこのハウジングに対して作動可能に関与する温度調節器を含む。 まず、この医療用装置は、被験者の体内に挿入される。 次いで、医療用装置の少なくとも一部の温度を変化させて、磁気共鳴映像法による医療用装置の検出を可能ならしめるために、その医療用装置の温度を調節する。 その後、磁気共鳴映像法を用いて医療用装置が視覚化される。
【0017】
本願で開示した他の実施態様によれば、他の方法が提供される。 この方法によれば、ハウジングと、このハウジングに対して作動可能に関与し、かつ流体の受け入れが可能な少なくとも一つの内腔とを含む医療用装置が、まず組織内に挿入される。 次いで、磁気共鳴映像法による医療用装置の視覚感度に影響を及ぼすべく、一つ以上の内腔に流体を流通させる。 その後、磁気共鳴映像法を用いて当該医療用装置が視覚化される。
【0018】
本願で開示した他の実施態様によれば、組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置を用いて設置される医療用装置が提供される。 この医療用装置は、ハウジングと、このハウジングに対して作動可能に関与する導体からなり、かつ医療用装置の長手軸方向に配置されるバンドとを具備している。 さらに、バンド相互およびバンドと電源との連絡のための導体であって、かつバンド相互およびバンドと電源との連絡のための導体よりも大きな抵抗値を有するバンドからなる導体も存在する。
【0019】
本願で開示した他の実施態様によれば、組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置を用いて設置される医療用装置が提供される。 この医療用装置は、内腔と、この内腔を囲い込むハウジングとを具備している。 このハウジングは、第一層、第二層および第三層を具備している。 第一層は内腔を囲い込み、第二層は第一層を囲い込み、そして、第三層は第二層を囲い込んでいる。 第一層と第三層は、導電性ポリマーを含む。 第二層は、各加熱領域において、第一層および第三層の導電性ポリマーよりも高い抵抗値を有する導電性ポリマーを含み、また、非加熱領域において、絶縁物質を含む。 この医療用装置の長手軸方向に、少なくとも一つの加熱領域が存在する。 この医療用装置の末端での第一層と第三層との間に電気回路を形成するための手段も存在する。 第一層上に第一導電性リングが配置されており、また、外部電源との連絡を可能にするために、医療用装置の近位末端での第三層上に第二導電性リングが配置されている。 本願での開示の一部である導電性リングは、金属、導電性ポリマーまたはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0020】
本願で開示した他の実施態様によれば、医療用装置を画像化する方法が提供される。 この医療用装置は、ハウジング、このハウジングに対して作動可能に関与する導体からなり、かつ医療用装置の長手軸方向に配置されるバンド、それに、バンド相互およびバンドと電源との連絡のための導体を具備している。 この導体は、バンド相互およびバンドと電源との連絡のための導体よりも大きな抵抗値を有するバンドからなる。 この方法によれば、まず、被験者に医療用装置が挿入される。 次に、MRIの十分な(コントラスト)効果を引き出すために、この医療用装置に通電を行って、医療用装置の少なくとも一部を体温より高い温度にまで高める。 医療用装置への通電を止め、そして、磁気共鳴映像法を用いて視覚化する、
本願で開示した他の実施態様によれば、医療用装置を画像化する方法が提供される。 この医療用装置は、ハウジング、このハウジングに対して作動可能に関与する導体からなり、かつ医療用装置の長手軸方向に配置されるバンド、それに、体温より高いキュリー点を有し、かつハウジングに対して作動可能に関与する物質を具備している。 この方法によれば、まず、被験者に医療用装置が挿入される。 次に、MRI画像に関する十分な(コントラスト)効果を引き出すために、高周波パルスを発生させて、医療用装置の少なくとも一部を体温より高い温度にまで加熱する。 その後、高周波パルスの発生を止め、そして、磁気共鳴映像法を用いて医療用装置を視覚化する。
【0021】
本願で開示した他の実施態様によれば、組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置を用いて設置される医療用装置が提供される。 この医療用装置は、ハウジング、その各々がこのハウジングに対して作動可能に関与する少なくとも一つのペルティエ素子、ペルティエ素子相互およびペルティエ素子と電源との連絡のための手段、および、このハウジングに対して作動可能に関与する親水性層を含む。
【0022】
本願で開示した他の実施態様によれば、生体組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置を用いて設置される医療用装置が提供される。 この医療用装置は、内腔と、この内腔を囲い込むハウジングとを具備している。 このハウジングは、第一層、第二層および第三層を具備している。 第一層は内腔を囲い込み、第二層は第一層を囲い込み、そして、第三層は第二層を囲い込んでいる。 少なくとも一つのペルティエ素子が、この医療用装置の長手軸方向に配置されている。 第一層が導電性ポリマーを含み、第二層が絶縁層を含み、そして、第三層が少なくとも一つのペルティエ素子とペルティエ素子相互およびペルティエ素子と外部電源との連絡のための一片の導電性ポリマーとを含む。 各ペルティエ素子が、比較的に高温の領域と比較的に低温の領域とを具備しており、また、ペルティエ素子の高温領域は、隣接するペルティエ素子の低温領域とは向き合わない。 各ペルティエ素子は、医療用装置の外周に互い違いに配列され、かつ医療用装置の第三層内に配置されたN-型およびP-型半導体セグメントを含む。
【0023】
本願で開示した他の実施態様によれば、医療用装置を画像化する方法が提供される。 この医療用装置は、ハウジング、その各々がこのハウジングに対して作動可能に関与する少なくとも一つのペルティエ素子、ペルティエ素子相互およびペルティエ素子と電源との連絡のための手段を含む。 この方法によれば、被験者に医療用装置が挿入され、MRI画像に関する十分な(コントラスト)効果を引き出すために、医療用装置の少なくとも一部を体温より低い温度にまで冷却し、医療用装置への通電を止め、そして、磁気共鳴映像法を用いて医療用装置を視覚化する。
【0024】
本願で開示した他の実施態様によれば、カテーテルの長手軸方向にも沿って伸びる金属線を覆うようにして、医療用装置の長手軸方向に沿って二片の導電性ポリマーを押し出し、そして、バンド(加熱素子)の設置が望まれる箇所から金属線を除去する、ことを含む医療用装置の製造方法が提供される。
【0025】
本願で開示した他の実施態様によれば、医療用装置の製造方法が提供される。 医療用装置の長手軸方向に沿って、少なくとも二片の導電性ポリマーが押し出される。 次いで、電気駆動型の温度調節素子が設置される箇所からこの導電性ポリマーが除去される。 そして、導電性ポリマーが除去された領域に電気駆動型の温度調節素子が挿入される。
【0026】
本願で開示した上記およびその他の実施態様および特徴的要素は、添付図面と共に以下の詳細な説明を参酌することで、容易に理解できるであろう。
【0027】
本願開示に基づいた様々な修正や代替的構成が存在するものと考えられるなかで、その具体例の一部を図面に例示しており、以下に詳細に説明する。 しかしながら、本願発明を、本願で開示した特定の実施態様に限定する意図はなく、むしろ、特許請求の範囲の欄に記載の構成要件によって規定される趣旨と範囲内に含まれるすべての修正、代替的構成および等価物の包含を意図している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本願図面、特に、図1を参照すると、本願で開示した教示に従って構築された医療用装置には参照符号3が付されている。 この医療用装置3は、組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置(MRI)装置27を用いて設置される。 図1において、医療用装置3は、一般的に、カテーテルやステントのような管状構造を有している。 しかしながら、本願で開示した教示は、他のタイプの医療用装置にも応用でき、そのような医療用装置として、ガイドワイヤー、鞘注入器および生検用注射針などがあるが、これらに限定されない。 この医療用装置は、例示目的で示したものに過ぎない。 にもかかわらず、医療用装置がカテーテルである場合の実施態様は、液体5が流通する内腔30を具備している。
【0029】
図1に示したように、医療用装置3は、ハウジング6、第一の温度調節器9、親水性層12、それに、キュリー点を有する物質15を具備している。 ある実施態様では、医療用装置3は、X線を利用する技術を用いて医療用装置3の視覚化を可能ならしめる放射線不透過性物質21をも具備している。 本願で開示した医療用装置を用いるすべての医療用装置および方法は、多様なタイプや配置方式の任意の個数の放射線不透過性物質21を含む実施態様も包含している。
【0030】
図1に記載の装置3は、第一の温度調節器9と第二の調節器10を具備しているが、この医療用装置3は、少なくとも温度調節器9あるいは多数の温度調節器も利用することができる。 ある実施態様においては、第一の温度調節器9は、医療用装置3の全体または一部の温度を上昇または低下させることができる。 ある実施態様においては、第一の温度調節器9は、医療用装置3の全体または一部の温度を上昇させることができ、また、第二の温度調節器10は、医療用装置3の全体または一部の温度を低下させることができる。 図1では、温度調節器が、温熱帯18の温度に影響を与えると記載されてはいるが、これは例示目的の記載でしかない。 図1での参照符号9および10で表示された温度調節器は、多様なタイプ、形状および配置方式を利用することができ、よって、図1に示した実施態様は代表的かつ例示目的の記載でしかない。 実際のところ、内腔30とそこに流通する流体5は、温度調節器としても機能する。 後述するように、温度調節器には、ペルティエ素子、加熱バンド、それにガス膨張を利用した系などを組み込むことができるが、これらに限定されない。 このガス膨張系は、第一の内腔を流通するガスを利用するものであって、膨張したガスは、大きな第二の内腔を通って還流する。 一般的に、温度調節器とは、環境温度との間に温度差異を形成することができる構成要素を含む。
【0031】
図1では、親水性層12が、ハウジング6の外部表面25の一部だけを覆っていることが記載されているが、親水性層12は、表面24の異なる箇所または表面24の全体を覆うことも可能であるし、また、親水性層12を全く用いないことも可能である。 また、この親水性層を、ハウジング6の表面24上に設ける必要はない。 この親水性層は、親水性物質を含み、また、その他の要素も含有することができ、このような要素として、水、常磁性物質、超常磁性物質、それに、キュリー点を有する物質15などがあるが、これらに限定されない。 親水性物質は、その他の実施態様の医療用装置の至るところで利用されている。 ある実施態様では、親水性層12は、ヒドロゲルを含む。 特に断りの無い限り、通常、親水性層12とは、ヒドロゲルを含む親水性層の実施態様を含む。 親水性層12を表面24に設置する場合には、表面24のいずれの箇所にも親水性層を設置することができ、また、ある実施態様では、親水性層12は、外部表面25に設置されている。 ある実施態様では、親水性層12は、内部表面26に設置されている。 また、ある実施態様では、親水性層12を利用していない。
【0032】
一般的に、親水性層12の厚みが小さくなるほど、磁気共鳴映像処理を行っている間に影響を受ける陽子の数は大きくなり、また、通常の3D画素シグナルでのシグナルの歪みも大きくなる。 ある実施態様では、影響を受けた陽子は、医療用装置3のハウジング6の内部に存在している。 医療用装置3、それに、本願の開示によって教示されたその他の実施態様を利用されれば、親水性層12の厚みが小さくなるほど、通常の3D画素温度に影響を与える温度差も大きくなることが認識できるであろう。 親水性層12の厚みの限度は特に定められていないが、親水性層12の厚みが、医療用装置3が収容される体腔の大きさと医療用装置3の大きさによって制限を受けることが認識できるであろう。 ある実施態様では、親水性層12の厚みは、0.1mmとされている。 ある実施態様では、親水性層12の厚みは、0〜5mmとされている。 ある実施態様では、親水性層12の厚みは、0.05〜0.5mmとされている。 環境に応じて親水性層12は膨張または収縮するので、このことによって、親水性層12の厚みも影響を受けることも認識できるであろう。 これまでに、医療用装置3との関連で親水性層12について記載してきたが、通常は、上述してきた親水性層12に関する同様の事項が、本願で開示したその他の実施態様においても当てはめることができる。
【0033】
図1では、医療用装置3が、キュリー点を有する物質15を含んでいることが記載されている。 この物質15は、体温より高いキュリー点、または体温より低いキュリー点を有している。 ここで言う体温とは、ヒトの場合、平均で37℃である。 実施態様で言及する体温は、医療用装置が置かれる体内環境、疾患の状態、医療用装置が挿入される被験者の種類(動物種)、それに、この医療用装置で用いられる温度調節器のタイプなどの因子によって変化するが、これら因子に限定されない。 ある実施態様では、体温より高いキュリー点を有する第一の物質15、および体温より低いキュリー点を有する第二の物質16、またはこれとは逆の態様を利用することができ、あるいは、双方の物質が体温より高いキュリー点を有していたり、または双方の物質が体温より低いキュリー点を有する態様も利用することができる。 ある実施態様によれば、所定の個数の物質、例えば、参照符号15、16を利用することができ、これら物質は、キュリー点、すなわち各物質に固有のキュリー点を有している。 本願で開示したキュリー点とは、それに満たないと物質が強磁性になり、また、それを超えると非強磁性になる温度であると考えられているが、実際のところ強磁性転移は、特定の温度というよりもむしろ、ある温度範囲にて認められているので、本願で開示したキュリー点は、中央値または平均値として考慮することができる。
【0034】
キュリー点を有する物質、例えば、参照符号15、16は、いかなる形態でも、また、医療用装置3の一部または全部に配置することができ、また、この医療用装置3には、ハウジング6および親水性層12が具備されているが、これらに限定されない。 図1では、キュリー点を有する第一の物質15は、温熱帯18と親水性層12に設けられているが、このものは例示目的の記載でしかなく、物質15は、医療用装置3の異なる領域に何箇所でも設置することができる。 キュリー点を有する物質15は、幾つもの配置パターンで医療用装置3に設置することができる。 実施態様によっては、物質15に関する複数のパターンと設置箇所が用意されており、そして、特定の領域に、同じキュリー点または多様なキュリー点を有する物質15を混在させることができる。 さらに、ある領域での物質15として、その他の領域の物質と同じキュリー点または異なるキュリー点を有する物質を用いることができる。
【0035】
キュリー点を有する物質15は、所望された温度のキュリー点を有することができる。 ある実施態様では、25〜50℃の範囲内のキュリー点を有する物質15が利用される。 ある実施態様では、32〜42℃の範囲内のキュリー点を有する物質15が利用される。 ある実施態様では、体温の±5℃の範囲内のキュリー点を有する物質15が利用される。 ある実施態様では、所望のキュリー点を獲得するために、コバルト、パラジウム、ニッケル、珪素、クロム、鉄、マンガンおよび銅からなるグループから選択された少なくとも一つの元素を含むキュリー点を有する物質15が利用される。 これら金属の酸化物やその他の化学的誘導物も本願の開示に包含される。
【0036】
図2では、本願の開示に従って被験者に挿入された医療用装置3を検出するための一般的な方法が概説されている。 本願方法の主要構成要素である医療用装置、例えば、参照符号3は、ハウジング6と、ハウジング6に対して作動可能に関与した温度調節器9を含む。 参照符号57で示した第一工程で、医療用装置3は被験者に挿入される(図示せず)。
【0037】
次いで、参照符号60で示したように、医療用装置3の少なくとも一部の温度を変化させて、磁気共鳴映像法による医療用装置3の検出を可能ならしめるために、医療用装置3の温度を調節する。 その後、参照符号63で示したように、磁気共鳴映像法を用いて医療用装置3を視覚化ならしめる。 この方法は、図1に示した医療用装置3のみならず、その他の医療用装置を用いて実施することもできる。 この方法を、医療用装置3を引き合いに出して説明してきたが、この説明は、例示目的のものに過ぎない。
【0038】
図2に示した方法については、これ以外にも数多くの実施態様があり、その内の幾つかについて述べることとする。 ある実施態様では、この調節工程60は、ハウジング6に対して作動可能に関与した親水性層12の温度を変化させる。 ある実施態様では、この調節工程60は、親水性層12の温度を低下させる。 ある実施態様では、この調節工程60は、親水性層12の温度を少なくとも1℃低下させる。 ある実施態様では、この調節工程60は、親水性層12の温度を上昇させる。 ある実施態様では、この調節工程60は、親水性層12の温度を少なくとも1℃上昇させる。
【0039】
ある実施態様では、この調節工程60は、キュリー点を有する物質15をさらに利用する。
【0040】
上述したように、この物質15は、体温より低いキュリー点を有する。 ある実施態様では、この調節工程60は、物質15を強磁性にする。 その他の実施態様では、視覚化工程63の後に、医療用装置の温度をキュリー点より高くして、この物質を再び非強磁性にするための他の調節工程66をさらに含む。 この温度上昇は、能動的または受動的に行うことができ、あるいは、能動的および受動的な温度変化の双方を伴うこともできる。
【0041】
この調節工程60は、体温より高いキュリー点を有する物質15をさらに利用し、ある実施態様では、この調節工程60は、物質を非強磁性にする。 この調節工程60は、視覚化工程63の後に、医療用装置3の温度をキュリー点より低くして、この物質を再び強磁性にするための他の調節工程69をさらに含む。 この温度低下は、能動的または受動的に行うことができ、あるいは、能動的および受動的な温度変化の双方を伴うこともできる。
【0042】
ある実施態様では、この方法は、追加の調節工程66または69の後に、さらに別の工程72を含み、そうすることで、この方法は、調節工程60から始まって反復される。
【0043】
図2に記載の方法および本願で開示した教示に従ったすべての方法に関して、開示した一連の工程に別の工程を介在させること、開示した工程の前に別の工程を置くこと、そして、開示した工程の後に別の工程を追加することも意図している。 開示した工程の順序を変えることも、本願で開示した教示の範囲内の事項である。 さらに、各工程または一連の工程を反復することも可能である。 さらに、本願発明の方法を特定の医療用装置、例えば、参照符号3に関して説明してきたが、これは例示目的の開示に過ぎず、他の医療用装置を用いた本願発明の方法の実施も企図している。 キュリー点を有する物質、例えば、参照符号15、16を、医療用装置3と共に使用する方法や、これら物質の定性的性質に関する記載も、図2に関連して記載した方法に適用でき、これら方法については後述しており、また、本願の開示によってすべての他の方法も教示されている。
【0044】
図3では、本願の開示に従って被験者に挿入された医療用装置3を検出するための一般的な方法が概説されている。 参照符号105として示したように、まず、ハウジング6と、このハウジングに対して作動可能に関与し、かつ流体5の受け入れが可能な少なくとも一つの内腔30とを含む医療用装置3が、(被験者の)組織内に挿入される。 次に、参照符号108として示したように、磁気共鳴映像法による医療用装置3の視覚感度に影響を及ぼすべく、一つ以上の内腔、例えば、参照符号30に流体を流通せしめる。 その後、参照符号111として示したように、磁気共鳴映像法を用いて医療用装置3を視覚化する。
【0045】
図3で示した方法のある実施態様において、流体流通工程108は、医療用装置3の少なくとも一部での温度を上昇または低下させるために流体5の温度を調節する工程をさらに含む。 ある実施態様では、医療用装置3の少なくとも一部での温度を医療用装置3内の物質15のキュリー点より低くして、物質15を強磁性体にするために、流体5を内腔30内を流通させる。 ある実施態様では、医療用装置3の少なくとも一部での温度を医療用装置3内の物質15のキュリー点より高くして、物質15を非強磁性体にするために、流体5を内腔30内を流通させる。
【0046】
図4は、本願の開示に従って構成された他の医療用装置147を示している。 この医療用装置147は、組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置を用いて設置される。 この医療用装置147は、ハウジング150、ハウジング150に対して作動可能に関与する導体からなり、かつ医療用装置147の長手軸方向に配置されるバンド、例えば、参照符号153および154、およびバンド、例えば、参照符号153、154の相互およびバンドと電源189との連絡のための導体156を含む。 この導体156は、バンド153、154を含み、かつバンド153、154の相互およびバンド153、154と電源189との連絡のための導体156よりも大きな抵抗値を有する。
【0047】
医療用装置147の実施態様において、バンド153、154の相互およびバンドと電源との連絡のための導体156は、7cmに満たない長さ171の非強磁性金属線および環状電気配線(回路)を形成するために設置されたマーカー177を含み、それら金属線は、銀、銅および金を含むが、これらに限定されない。 医療用装置147の実施態様において、バンド153、154からなる導体、およびバンド153、154の相互およびバンドと電源とを連絡する導体156の双方は、導電性ポリマーを含む。 すべてのタイプの導電性ポリマーを企図している。 導電性ポリマーの例として、ポリ-p-フェニレンビニレンや、Panipol(登録商標)のようなポリアニリン、それに、ポリ-ピロル(PPY)、ポリ-アニリン、ポリ-チオフェン(PtH)およびパラフェニレンビニレン(PPV)などの共役ポリマーがあるが、これらに限定されない。 ポリマーマトリックスに金属成分をドーピングすることで、さらなる改善を果たすことができる。
【0048】
図4に示した医療用装置147の実施態様では、約0.64mm3の大きさ、すなわち、一辺が約0.4mmの立方体として切り出される最小3D画素を有する磁気共鳴映像での3D画素の二個程度を覆うに十分な幅180を有するバンド153、154を具備している。 3D画素とは、磁気共鳴映像法における体積因子である。 磁気共鳴映像は、画素と称する画像因子を含む。 画素強度は、画像対象の画素用量の核磁気共鳴(NMR)シグナル強度に比例している。 幅180は、バンド154の一方の端162とバンド154の他方の端183との間の距離として定義されるが、バンド154の幅180は変化することに留意されたい。 ある実施態様において、幅180は、0.8mm〜10mmに調整される。 ある実施態様において、幅180は、1mm〜10mmに調整される。 ある実施態様において、幅180は、0.8mm〜3mmに調整される。 ある実施態様において、幅180は、0.8mm〜4mmに調整される。 ある実施態様において、幅180は、3mm〜10mmに調整される。 幅180が、3mmまたは4mm、あるいは10mmにまで調整されたバンド180は、大きな熱質量をもたらし、また、画像ノイズを最小限にする。
【0049】
図4に示した医療用装置147の実施態様では、3mmと15mmの長さ171だけ離間したバンド153、154を具備しているが、長さ171は、これらよりも小さくても、大きくてもよい。 長さ171は、バンド153の一方の端159とバンド154の他方の端162との間の距離として定義されるが、長さ171は変化することに留意されたい。
【0050】
様々な実施態様において、図4に示した医療用装置147が、医療用装置147の表面の少なくとも一部に、親水性層168を具備していることに留意されたい。 図4に示した親水性層168は、図1に記載の医療用装置3での親水性層12と同義である。 さらに、医療用装置147は、医療用装置3について記載したすべての変更態様と構成要素を具備することができる。 例えば、この医療用装置では、図1に記載の医療用装置3で用いた物質、例えば、参照符号15、16と同義のキュリー点を有する物質15を利用することができる。 例示目的ではあるが、キュリー点を有する物質15は、加熱バンド、例えば、参照符号153、154の内部およびその周囲、それに親水性層168の内部に設けることができる。
【0051】
図5A、5B、5C、5Dおよび5Eは、組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置を用いて設置される本願の開示に従って構成された医療用装置216を示しており、その内部に流体5を流通させる内腔222を具備している。 この医療用装置は、内腔222を囲い込むハウジング219を具備している。 図5B、5Cおよび5Dに示したように、ハウジング219は三つの層、すなわち、内腔222を囲い込む第一層234、第一層234を囲い込む第二層237および第二層237を囲い込む第三層240を具備している。 第四層243は、第三層240を囲い込んでいるが、ハウジングの一部ではない。 この医療用装置216は、医療用装置216の長手軸方向252に設置された少なくとも一つの加熱領域、例えば、参照符号225、226および227も具備している。 図5Dは、医療用装置216が、医療用装置216の末端261での第一層234と第三層240との間に、電気回路を形成するための手段255をも具備していることを示している。
【0052】
図5Eに示したように、第一層234上に第一導電性リング246が配置されており、また、電源189との連絡を可能にするために、医療用装置216の近位末端258での第三層240上に第二導電性リング249が配置されている。 第一層234と第三層240は、導電性ポリマーを含む。 第二層237は、各加熱領域、例えば、参照符号225、226および227において、第一層234および第三層240の導電性ポリマーよりも高い抵抗値を有する導電性ポリマーを含む。
【0053】
第二層237は、非加熱領域、例えば、参照符号231、232および233において、遮断(絶縁)物質を含む。 使用可能な遮断/絶縁物質として、非導電性ポリマーがあるが、これらに限定されない。 ある実施態様では、標準的なカテーテルで要求される剛性やその他の機械的性質をもたらす、ペバックス72D、ナイロン12、ペレタン、PTFE、HDPEなどのポリマーを利用している。
【0054】
図5A〜図5Eに示した医療用装置216は、第三層240を囲い込む第四層243を具備しており、親水性層である第四層243は、ヒドロゲルのような親水性物質を含む。 第三層240の全体を覆うように記載されているが、第四層243は、ハウジング219の表面264の全部または一部を覆うものであることに留意されたい。 他の実施態様では、親水性層243は、医療用装置216のいずれの箇所にでも設置することができる。 図5A〜図5Eに示した親水性物質を含む第四層243は、図1に記載の医療用装置3での親水性層12と同様のものである。 さらに、医療用装置216は、医療用装置3について記載したすべての変更態様と構成要素を具備することができる。
【0055】
図6では、本願の開示に従って、被験者体内の医療用装置、例えば、上述した参照符号147を画像化する方法を記載している。 この医療用装置の例を、図4、図5A〜図5Eに示した。 図6に記載した方法は、以下の工程を含む。 まず、医療用装置、例えば、参照符号147を、被験者体内に挿入し、この操作を工程327として示した。 次いで、工程330にて、磁気共鳴映像装置の十分な(コントラスト)効果を引き出すために、医療用装置、例えば、参照符号147に通電を行って、医療用装置、例えば、参照符号147の少なくとも一部を体温より高い温度にまで高める。 その後、工程333にて、医療用装置、例えば、参照符号147への通電を止める。 そして、工程336にて、磁気共鳴映像法で、医療用装置、例えば、参照符号147を視覚化する。
【0056】
ある実施態様では、図6に記載の方法は、工程330に作業を戻して、この方法を工程330から反復するための別の工程339を含む。 このような実施態様によれば、所望の画質が得られるまで、必要な回数だけこの方法を反復することができる。 ある実施態様では、通電工程330は、医療用装置、例えば、参照符号147の親水性層、例えば、参照符号168の加熱をさらに含む。 ある実施態様では、親水性層、例えば、参照符号168は、少なくとも41℃にまで加熱することができる。
【0057】
強磁性物質とは、交番磁界に曝されることで、その磁界の周波数で振動する物質である。 振動することで、この物質、または強磁性物質が埋設または添付された物質は、この振動に関与するヒステリシス損に起因して加熱される。 さらに、強磁性物質の単なる加熱に止まらず、キュリー温度(キュリー点)として知られている一定温度にまでその物質を加熱すると、振動が止み、そして、物質の冷却が始まる。 したがって、このような強磁性物質を利用または埋設した医療用装置を、磁気共鳴映像装置から発せられる交番磁界に曝すと、医療用装置の温度は上昇する。 そして、この温度上昇は、磁気共鳴映像装置を介して視覚化される。 医療用装置のハウジングに接着あるいは取付けられるヒドロゲルのような親水性層に強磁性物質を取り込むことによって、画質を改善することができる。
【0058】
磁気共鳴映像装置の高周波パルス系列の調節、すなわち、断続的な切り替えによって、装置の視認度を変化させることができる。 高周波場が「オン」の状態である間は、画像は出現しない。 従って、高周波コイルを交互に切り替えて装置を加熱した後に、磁気共鳴シグナルを取得するための「オフ」期間を設ける方式に沿ったパルス系列の利用形態が提案されるであろう。 通常の磁気共鳴映像法では、このようなパルス系列は利用されていないが、本願の開示は、キュリー点を有する物質を十分に加熱するための長い「オン」期間を具備したパルス系列をデザインするとの独特の手法を教示している。
【0059】
図7では、本願の開示に従って、被験者体内の医療用装置を視覚化する方法を記載している。 この方法は、参照符号147で示したのと同様の医療用装置を利用するものであるが、所要の変更点に応じて、直流電源189および連結要素156、マーカー177を欠いている。 この医療用装置は、ハウジング150、ハウジング150に対して作動可能に関与し、かつ医療用装置147の長手軸174方向に設置された導体を含むバンド、例えば、参照符号153、154および体温より高いキュリー点を有し、かつハウジング150に対して作動可能に関与する物質15を含む。 この方法は、まず、医療用装置、例えば、参照符号147を、被験者体内に挿入する第一工程372を含む。 次いで、工程375にて、磁気共鳴映像の十分な(コントラスト)効果を引き出すために、医療用装置147に高周波パルスを発信することで、医療用装置147の少なくとも一部を体温より高い温度にまで高める。 その後、工程378にて、医療用装置147への高周波パルスの発信を止める。 そして、工程381にて、磁気共鳴映像法で、医療用装置147を視覚化する。
【0060】
ある実施態様では、図7に記載の方法は、この方法を発生工程375から反復するための別の工程384をさらに含む。 図7に示した方法でのある実施態様では、発生工程375は、ハウジング150の表面165の全部または一部を覆うヒドロゲルのような親水性物質をさらに含む。 このような実施態様において、挿入工程372は、ポリマーからなるハウジング150を利用し、また、上述した変更に該当するが、物質193を具備する医療用装置147での物質用の領域に、医療用装置147の0重量%〜5重量%の量で、キュリー点を有する物質15を用いる。 この親水性層も、キュリー点を有する物質15を含むことができる。
【0061】
図8は、組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置27を用いて設置される医療用装置414を記載している。 この医療用装置414は、ハウジング417、ハウジング420の表面、その各々がハウジング417に対して作動可能に関与する少なくとも一つのペルティエ素子423、424を含む。 ペルティエ素子423、424の相互およびペルティエ素子と電源189との連絡のための手段、それにハウジング417に対して作動可能に関与する親水性層438も具備されている。
【0062】
ある実施態様では、医療用装置414には、各ペルティエ素子423、424が、高温領域432、433と低温領域429、430とが設けられており、これにより、ペルティエ素子423、424が、医療用装置414の長手軸435方向に配置される。 ある実施態様では、隣接する二つのペルティエ素子423、424の高温領域432、433が、互いに向かい合っており、あるいは、隣接する二つのペルティエ素子423、424の低温領域429、430が、互いに向かい合っている。 換言すれば、一方のペルティエ素子423での低温領域429は、隣接するペルティエ素子424の高温領域433には向かい合っていないと言える。 ある実施態様では、親水性層438は、低温領域、例えば、参照符号429および430を覆う。 ある実施態様では、親水性層438は、高温領域を覆っており、例えば、ある実施態様では、長手軸435に沿っているペルティエ素子423、424双方の方向は、高温領域432、433を互いに向き合わすために、180度向きを変えている。
【0063】
ある実施態様では、ペルティエ素子423、424の相互およびペルティエ素子と電源189との連絡のための手段426が、導電性ポリマーを含む。 ある実施態様では、図8に示したように、各ペルティエ素子423、424が、医療用装置414の外周450に互い違いに配列されたN-型半導体セグメント444およびP-型半導体セグメント447を含む。 ある実施態様では、医療用装置414は、体温より低いキュリー点を有する物質15をさらに含む。 ある実施態様では、医療用装置414は、体温より高いキュリー点を有する物質15をさらに含む。 キュリー点を有する物質15がもしあれば、それは、図1に示した医療用装置3について記載した、利用可能なすべての位置、配置および構成でもってして、医療用装置414に組み込むことができる。
【0064】
図9Aには、図8で示した医療用装置の他の態様の医療用装置415が記載されている。
【0065】
医療用装置415は、組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置27を用いて設置される。 この医療用装置415は、内腔480を囲い込むハウジング417を含む。 図9Bに示されているように、医療用装置415のハウジング417内に三層構造がある。 第一層483は、内腔480を囲い込んでいる。 第二層453は、第一層483を囲い込んでいる。 第三層486は、第二層453を囲い込んでいる。 少なくとも一つのペルティエ素子423、424が、医療用装置415の長手軸435方向に配置されている。 第一層483は、導電性ポリマーを含む。 第二層453は、遮断/絶縁物質を含む。 第三層486は、少なくとも一つのペルティエ素子423、424と、ペルティエ素子423、424の相互およびペルティエ素子と外部電源189との連絡のための一片の導電性ポリマー491とを含む。 図9Aおよび図9Bで示した導電性ポリマー491と第一層483は、図8で示した手段426に対応する。 隣接するペルティエ素子423、424の高温領域432、433が互いに向き合うか、あるいは、隣接するペルティエ素子423、424の低温領域429、439が互いに向き合う。 各ペルティエ素子423、424が、図9Bに示した医療用装置415の外周450に互い違いに配列され、かつ医療用装置415の第三層486内に配置されたN-型半導体セグメント444およびP-型半導体セグメント447を含む。 参照符号415で示した医療用装置は、医療用装置414の別態様であるので、親水性層438や、キュリー点を有する物質15などを同様に具備することができる。
【0066】
図10Aおよび図10Bには、図9Aおよび図9Bで示した医療用装置のさらに他の態様の医療用装置416が記載されている。 図10Aと図10Bに示された医療用装置416は、第一層483を欠いており、また、第三層486が少なくとも二片の導電性ポリマ、すなわち、第一の導電性ポリマー465と第二の導電性ポリマー468とを具備している。 第一の導電性ポリマー465と第二の導電性ポリマー468は、図8に記載の手段426と同様の作用を奏する。 各ペルティエ素子423、424が、少なくとも三つのN-型半導体セグメント444および少なくとも三つのP-型半導体セグメント447を含む。 第一の導電性ポリマー片465は、各ペルティエ素子423、424でのN-型半導体セグメント444とP-型半導体セグメント447と連絡しており、第一の導電性ポリマー片465に連絡しているN-型半導体セグメント444の数は、第一の導電性ポリマー片465に連絡しているP-型半導体セグメント468の二倍である。 第二の導電性ポリマー片468は、各ペルティエ素子423、424でのN-型半導体セグメント444とP-型半導体セグメント447と連絡しており、第二の導電性ポリマー片468に連絡しているP-型半導体セグメント447の数は、第二の導電性ポリマー片468に連絡しているN-型半導体セグメント444の二倍である。 第一の導電性ポリマー片465が、医療用装置414の長手軸435に沿った方向に電流を流し、また、第二の導電性ポリマー片468が、第一の導電性ポリマー片465と逆方向に電流を流す。 参照符号416の医療用装置は、医療用装置414の別態様であるので、親水性層438や、キュリー点を有する物質15などを同様に具備することができる。
【0067】
図11には、図8に記載したような、医療用装置を画像化する方法が記載されている。
【0068】
この方法では、図8、9A、9B、10Aおよび10Bに記載の医療用装置、それに、その他の好適な医療用装置を利用することができる。 この方法では、ハウジング417、その各々がハウジング417に対して作動可能に関与する少なくとも一つのペルティエ素子423、424、それに、ペルティエ素子423の相互およびペルティエ素子と電源189との連絡のための手段を具備した、例えば、参照符号414の医療用装置が利用できる。 この方法では、まず、医療用装置414を被験者体内に挿入する第一工程549を含む。 次いで、工程552にて、磁気共鳴映像装置の十分な(コントラスト)効果を引き出すために、医療用装置414に通電を行って、医療用装置414の少なくとも一部を体温より低い温度にまで冷却する。
【0069】
その後、工程555にて、医療用装置414への通電を止める。 そして、工程558にて、磁気共鳴映像法で、医療用装置414を視覚化する。
【0070】
あるいは、図11に記載の方法は、視覚化工程558の後に、工程552に作業を戻して、この方法を反復するための別の工程561をさらに含む。 加えて、通電工程552にて、医療用装置414の親水性層438を冷却することもできる。 そして、この方法は、ハウジング417に対して作動可能に関与し、かつキュリー点を有する物質15を、体温より低い温度にまで冷却して強磁性体にすることができる。
【0071】
磁気共鳴(MR)画像での十分な(コントラスト)効果を引き出す目的で、医療用装置414の少なくとも一部を体温より低い温度にまで冷却するために、通電工程552で負荷した電流の流れを逆転することもできる。 ある実施態様では、体温より高いキュリー点を有する物質15を非強磁性にするために、通電工程552は、医療用装置414に対して作動可能に関与する物質15を加熱する工程をさらに含む。
【0072】
これまでに開示した医療用装置および方法の実施態様にあっては、ペルティエ素子のみならず、いかなるタイプの電気駆動型の温度調節器も使用することができる。 使用する電気駆動型の温度調節器に応じて、これまでに開示した本願発明の実施態様に対して変更を加えることができる。
【0073】
図12には、本願発明の医療用装置の製造方法が記載されている。 この方法は、以下の工程を含むことができる。 まず、参照符号594として示した通り、医療用装置の長手軸方向にも沿って伸びる金属線を覆うようにして、医療用装置の長手軸方向に沿って二片の導電性ポリマーを押し出す。 次いで、参照符号597として示した通り、バンド(加熱要素)の設置が望まれる箇所からこれら金属線を除去する。
【0074】
図13には、本願発明の医療用装置、例えば、図10Aの参照符号416の医療用装置の他の製造方法が記載されている。 この方法は、以下の工程を含むことができる。 まず、参照符号630として示した通り、医療用装置の長手軸方向に沿って少なくとも二片の導電性ポリマーが押し出される。 次いで、参照符号633として示した通り、電気駆動型の温度調節素子が設置される箇所から導電性ポリマーが除去される。 そして、参照符号636として示した通り、導電性ポリマーが除去された領域に電気駆動型の温度調節素子が挿入される。
【0075】
本願明細書に記載されたすべての装置および方法は、ヒトにも利用することができる。
【0076】
特に、参照符号3、147、216、414、415および416の医療用装置は、ヒトの組織に挿入することができ、また、本願明細書に記載された方法は、ヒトの組織に医療用装置を挿入することを含む。 この組織は、生体または遺体のいずれに由来するものでもよい。 本願明細書に記載の装置および方法は、ヒトに対して利用できるが、ヒト以外の動物の組織に対しても利用することができ、ヒト以外の動物として、ヒト以外の哺乳動物があるが、これに限定されない。
【0077】
これまでの説明から、当業者であれば、本願が、組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置を用いて設置される医療用装置、これら医療用装置を視覚化する方法、それに、これら医療用装置を製造する方法を教示しているものと認識するであろう。 本願で開示した装置や方法は、医学の領域の発展に寄与する有用性に富んだ新規の手段を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】ハウジング、温度調節器、親水性層、およびキュリー点を有する物質を含み、かつ本願で開示した教示に従って構築された医療用装置の斜視図である。
【図2】本願で開示した教示に従って医療用装置を画像化する方法の工程図である。
【図3】本願で開示した教示に従って医療用装置を画像化する方法の工程図である。
【図4】ハウジング、導体のバンド、および前記バンドを連絡するための導体を含み、かつ本願で開示した教示に従って構築された医療用装置の斜視図である。
【図5A】四つの層、内腔、内腔を囲い込む第一層、長手軸方向に伸びる少なくとも一つの加熱領域、医療用装置の末端での第一層と第三層との間に電気回路を形成するための手段、および外部電源との連絡を可能にするために、医療用装置の近位末端に配置された二つの導電性リングを含む、本願で開示した教示に従って構築された医療用装置の斜視図である。
【図5B】図5Aの線5B-5Bでの図5Aに記載の医療用装置の拡大断面図である。
【図5C】図5Aの線5C-5Cでの図5Aに記載の医療用装置の拡大断面図である。
【図5D】図5Aの線5D-5Dでの図5Aに記載の医療用装置の拡大断面図である。
【図5E】図5Aの線5E-5Eでの図5Aに記載の医療用装置の拡大断面図である。
【図6】本願で開示した教示に従った方法の工程図である。
【図7】本願で開示した教示に従ったその他の方法の工程図である。
【図8】ハウジング、少なくとも一つのペルティエ素子、ペルティエ素子同士を連絡するための手段、および親水性層を含み、かつ本願で開示した教示に従って構築された医療用装置の斜視図である。
【図9A】内腔を囲い込むハウジング、三つの層、および医療用装置の長手軸方向に伸びる少なくとも一つのペルティエ素子を含む、本願で開示した教示に従って構築された医療用装置の斜視図である。
【図9B】図9Aの線9B-9Bでの図9Aに記載の医療用装置の部分断面斜視図である。
【図10A】図9Aに記載の医療用装置の第一層を欠き、かつ第三層が少なくとも二片の導電性ポリマーを具備している、本願で開示した教示に従って構築された図9Aに記載の医療用装置の別態様の斜視図である。
【図10B】図10Aの線10B-10Bでの図10Aに記載の医療用装置の部分断面図である。
【図11】本願で開示した教示に従った方法の工程図である。
【図12】本願で開示した教示に従った医療用装置の製造方法の工程図である。
【図13】本願で開示した教示に従った医療用装置の製造方法の工程図である。
【符号の説明】
【0079】
3、147、216、414、415、416……医療用装置
5……液体
6、150、219、417、420……ハウジング
9……温度調節器(第一温度調節器)
10……温度調節器(第二温度調節器)
12、438……親水性層
15、193……物質(第一の物質)
16……物質(第二の物質)
18……温熱帯
21……放射線不透過性物質
24、165、264……表面
25……外部表面
26……内部表面
27……磁気共鳴映像装置
30、222、480……内腔
57……第一工程
60、66、69……調節工程
63、558……視覚化工程
72……反復工程
153、154……バンド
156……導体
159、162、183……端
171……長さ
174、252、435……長手軸
177……マーカー
180……幅
189……電源
225、226、227……加熱領域
234、483……第一層
237、453……第二層
240、486……第三層
243……第四層
246……第一導電性リング
249……第二導電性リング
255……電気回路形成手段
258……近位末端
261……末端
372……挿入工程
375……発生工程
426……連結手段
423、424……ペルティエ素子
429、430……低温領域
432、433……高温領域
444……N-型半導体セグメント
447……P-型半導体セグメント
450……外周
465……第一導電性ポリマー
468……第二導電性ポリマー
491……導電性ポリマー
549……第一工程
552……通電工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置を用いて設置される医療用装置であって、
ハウジング、
当該ハウジングに対して作動可能に関与し、かつ当該医療用装置の磁気共鳴映像に変化を及ぼす温度調節器、
当該ハウジングの少なくとも一部に対して作動可能に関与する親水性層、および
キュリー点を有し、かつ当該医療用装置に対して作動可能に関与する物質、を含む医療用装置。
【請求項2】
放射線不透過性物質をさらに含む請求項1に記載の医療用装置。
【請求項3】
前記キュリー点が、25〜50℃の範囲内にある請求項1に記載の医療用装置。
【請求項4】
前記キュリー点が、32〜42℃の範囲内にある請求項1に記載の医療用装置。
【請求項5】
前記キュリー点と体温との差異が、5℃以内である請求項1に記載の医療用装置。
【請求項6】
キュリー点を有する前記物質が、所望のキュリー点を獲得するために、コバルト、パラジウム、ニッケル、珪素、鉄、マンガン、クロムおよび銅かならるグループから選択される少なくとも一つの元素を含む請求項1に記載の医療用装置。
【請求項7】
前記キュリー点が、体温より高い請求項1に記載の医療用装置。
【請求項8】
前記キュリー点が、体温より低い請求項1に記載の医療用装置。
【請求項9】
前記医療用装置の少なくとも一部を冷却するための第一の温度調節器と前記医療用装置の全部または一部を加温するための第二の温度調節器とを具備した請求項1に記載の医療用装置。
【請求項10】
前記温度調節器が、前記医療用装置の少なくとも一部の温度を変化させることができる請求項1に記載の医療用装置。
【請求項11】
ハウジングおよび当該ハウジングに対して作動可能に関与する温度調節器を含む医療用装置を組織内に挿入し、当該医療用装置の少なくとも一部の温度を変化させて、磁気共鳴映像法による当該医療用装置の検出を可能ならしめるために、当該医療用装置の温度を調節し、および磁気共鳴映像法を用いて当該医療用装置を視覚化する、ことを含む方法。
【請求項12】
前記調節工程が、親水性層の温度を変化させる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記調節工程が、前記親水性層の温度を低下させる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記調節工程が、前記親水性層の温度を少なくとも1℃低下させる請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記調節工程が、前記親水性層の温度を上昇させる請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記調節工程が、前記親水性層の温度を少なくとも1℃上昇させる請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記調節工程が、キュリー点を有する物質をさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記調節工程が、体温より低いキュリー点を有する物質をさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記調節工程が、前記物質を強磁性体にする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記調節工程が、視覚化した後に、前記物質を改めて非強磁性体にするために、前記医療用装置の温度を前記キュリー点よりも高くする他の調節工程をさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記調節工程が、体温より高いキュリー点をさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記調節工程が、前記物質を非強磁性体にする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記調節工程が、視覚化した後に、前記物質を改めて強磁性体にするために、前記医療用装置の温度を前記キュリー点よりも低くする他の調節工程をさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記調節工程を起点とする方法を反復する工程をさらに含む請求項20または22に記載の方法。
【請求項25】
ハウジングおよび当該ハウジングに対して作動可能に関与し、かつ流体の受け入れが可能な少なくとも一つの内腔を含む医療用装置を組織内に挿入し、磁気共鳴映像法による当該医療用装置の視覚感度に影響を及ぼすべく、一つ以上の当該内腔に流体を流通せしめ、および磁気共鳴映像法を用いて当該医療用装置を視覚化する、ことを含む方法。
【請求項26】
前記流通工程が、前記医療用装置の少なくとも一部の温度を上昇または低下させるために、前記流体の温度を調節することをさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記医療用装置の少なくとも一部での温度を前記医療用装置内の物質のキュリー点より低くして、当該物質を強磁性体にするために、前記流体を内腔内を流通する請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記医療用装置の少なくとも一部での温度を前記医療用装置内の物質のキュリー点より高くして、当該物質を非強磁性体にするために、前記流体を内腔内を流通する請求項26に記載の方法。
【請求項29】
組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置を用いて設置される医療用装置であって、
ハウジング、
当該ハウジングに対して作動可能に関与する導体からなり、かつ当該医療用装置の長手軸方向に配置されるバンド、および
バンド相互およびバンドと電源との連絡のための導体であって、かつバンド相互および当該バンドと電源との連絡のための当該導体よりも大きな抵抗値を有するバンドからなる導体、を含む医療用装置。
【請求項30】
バンド相互およびバンドと電源との連絡のための前記導体が、7cmに満たない長さの金属線および環状電気配線を形成するために設置されたマーカーを含む請求項29に記載の医療用装置。
【請求項31】
バンドを含む前記導体とバンド相互およびバンドと電源との連絡のための前記導体との双方が、導電性ポリマーを含む請求項29に記載の医療用装置。
【請求項32】
前記バンドの幅が、0.8〜10mmである請求項31に記載の医療用装置。
【請求項33】
前記バンド相互が、3mm〜15mm離間している請求項31に記載の医療用装置。
【請求項34】
前記ハウジングに対して作動可能に関与する親水性層をさらに含む請求項29に記載の医療用装置。
【請求項35】
前記医療用装置に対して作動可能に関与し、かつキュリー点を有する物質をさらに含む請求項29に記載の医療用装置。
【請求項36】
組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置を用いて設置される医療用装置であって、
内腔、
当該内腔を囲い込む第一層、当該第一層を囲い込む第二層および当該第二層を囲い込む第三層を具備した当該内腔を囲い込むハウジングであって、当該第一層および第三層が、導電性ポリマーを含み、当該第二層が、当該第一層および第三層の導電性ポリマーよりも高い抵抗値を有する導電性ポリマーを各加熱領域に含み、かつ絶縁物質を非加熱領域に含むハウジング、
当該医療用装置の長手軸方向に設置された少なくとも一つの加熱領域、
当該医療用装置の末端での当該第一層と当該第三層との間に電気回路を形成するための手段、
当該第一層上に配置された第一導電性リング、および
外部電源との連絡を可能にするために、当該医療用装置の近位末端での当該第三層上に配置された第二導電性リング、を含む医療用装置。
【請求項37】
親水性物質を含む第三層を囲い込み、かつ前記ハウジングの表面の少なくとも一部を覆う第四層をさらに含む請求項36に記載の医療用装置。
【請求項38】
被験者体内の医療用装置を画像化する方法であって、当該医療用装置が、ハウジング、当該ハウジングに対して作動可能に関与し、かつ当該医療用装置の長手軸方向に設置された導体を含むバンド、およびバンド相互およびバンドと電源との連絡のための導体であって、バンド相互およびバンドと電源との連絡のための導体よりも高い抵抗値を有するバンドからなる導体を具備しており、当該方法が、
被験者に当該医療用装置を挿入し、
当該医療用装置に通電を行って、当該医療用装置の少なくとも一部を体温より高い温度にまで高め、
当該医療用装置への通電を止め、および
磁気共鳴映像法で当該医療用装置を視覚化する、ことを含む方法。
【請求項39】
前記通電工程から始まる方法を反復する工程をさらに含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記通電工程が、前記医療用装置の親水性層を加熱する工程をさらに含む請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記親水性層が、少なくとも41℃にまで加熱される請求項40に記載の方法。
【請求項42】
医療用装置を画像化する方法であって、当該医療用装置が、ハウジング、当該ハウジングに対して作動可能に関与し、かつ当該医療用装置の長手軸方向に設置された導体を含むバンド、および体温より高いキュリー点を有し、かつ当該ハウジングに対して作動可能に関与する物質を具備しており、当該方法が、
被験者に当該医療用装置を挿入し、
高周波パルスを発生させて、当該医療用装置の少なくとも一部を体温より高い温度にまで加熱し、
高周波パルスの発生を止め、および
磁気共鳴映像法で当該医療用装置を視覚化する、ことを含む方法。
【請求項43】
前記通電工程から始まる方法を反復する工程をさらに含む請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記高周波パルスの発生工程が、前記ハウジングに対して作動可能に関与する親水性層をさらに含む請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記挿入工程の医療用装置が、ポリマーとキュリー点を有する前記物質とを、当該医療用装置の0重量%〜5重量%で、当該医療用装置にて前記物質が用いられている箇所にさらに含む請求項42に記載の方法。
【請求項46】
組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置を用いて設置される医療用装置であって、
ハウジング、
当該ハウジングに対して作動可能に関与し、かつ当該医療用装置の磁気共鳴映像に変化を及ぼす温度調節器、
その各々が当該ハウジングに対して作動可能に関与する少なくとも一つのペルティエ素子、
ペルティエ素子相互およびペルティエ素子と電源との連絡のための手段、および
当該ハウジングに対して作動可能に関与する親水性層、を含む医療用装置。
【請求項47】
各ペルティエ素子が、高温領域と低温領域とを具備しており、前記ペルティエ素子が、前記医療用装置の長手軸方向に配置されており、そして、隣接する二つのペルティエ素子の高温領域が、互いに向かい合っている請求項46に記載の医療用装置。
【請求項48】
各ペルティエ素子が、高温領域と低温領域とを具備しており、前記ペルティエ素子が、前記医療用装置の長手軸方向に配置されており、そして、隣接する二つのペルティエ素子の低温領域が、互いに向かい合っている請求項44に記載の医療用装置。
【請求項49】
ペルティエ素子相互およびペルティエ素子と電源との連絡のための前記手段が、導電性ポリマーを含む請求項46に記載の医療用装置。
【請求項50】
各ペルティエ素子が、前記医療用装置の外周に互い違いに配列されたN-型およびP-型半導体セグメントからなる請求項46に記載の医療用装置。
【請求項51】
体温より低いキュリー点を有する物質をさらに含む請求項46に記載の医療用装置。
【請求項52】
体温より高いキュリー点を有する物質をさらに含む請求項46に記載の医療用装置。
【請求項53】
組織内に挿入されて、磁気共鳴映像装置を用いて設置される医療用装置であって、
内腔、
当該内腔を囲い込む第一層、当該第一層を囲い込む第二層および当該第二層を囲い込む第三層を具備した当該内腔を囲い込むハウジング、および
当該医療用装置の長手軸方向に配置された少なくとも一つのペルティエ素子を含み、
当該第一層が導電性ポリマーを含み、当該第二層が絶縁層を含み、当該第三層が少なくとも一つのペルティエ素子とペルティエ素子相互およびペルティエ素子と外部電源との連絡のための一片の導電性ポリマーとを含み、
各ペルティエ素子が、比較的に高温の領域と比較的に低温の領域とを具備しており、
ペルティエ素子の高温領域が、隣接するペルティエ素子の低温領域と向かい合わず、かつ各ペルティエ素子が、前記医療用装置の外周に互い違いに配列され、かつ医療用装置の前記第三層内に配置されたN-型およびP-型半導体セグメント、を含む医療用装置。
【請求項54】
前記第一層を欠き、前記第三層が少なくとも二片の導電性ポリマーを有しており、各ペルティエ素子が少なくとも三つのN-型半導体セグメントおよび少なくとも三つのP-型半導体セグメントを含み、各ペルティエ素子において第一の導電性ポリマー片が、N-型半導体セグメントの数がP-型半導体セグメントの二倍であるN-型半導体セグメントおよびP-型半導体セグメントに連絡しており、各ペルティエ素子において第二の導電性ポリマー片が、P-型半導体セグメントの数がN-型半導体セグメントの二倍であるN-型半導体セグメントおよびP-型半導体セグメントに連絡しており、当該第一のポリマー片が当該医療用装置の長手軸に沿った方向に電流を流し、および、当該第二のポリマー片が第一のポリマー片と逆方向に電流を流す請求項53に記載の医療用装置。
【請求項55】
医療用装置を画像化する方法であって、当該医療用装置が、ハウジング、当該ハウジングに対してその各々が作動可能に関与する少なくとも一つのペルティエ素子、およびペルティエ素子相互およびペルティエ素子と電源との連絡のための手段を具備しており、当該方法が、
被験者に当該医療用装置を挿入し、
当該医療用装置に通電を行って、当該医療用装置の少なくとも一部を体温より低くし、および
磁気共鳴映像法で当該医療用装置を視覚化する、ことを含む方法。
【請求項56】
前記通電工程から始まる方法を反復する工程をさらに含む請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記医療用装置の少なくとも一部を体温より高くするために通電を逆に行う請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記通電工程が、前記医療用装置に対して作動可能に関与する親水性層の温度を変更する工程をさらに含む請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記通電工程が、前記医療用装置に対して作動可能に関与する物質が有するキュリー点を体温より低くして、当該物質を強磁性体にする工程をさらに含む請求項55に記載の方法。
【請求項60】
前記通電工程が、前記医療用装置に対して作動可能に関与する物質が有するキュリー点を体温より高くして、当該物質を非強磁性体にする工程をさらに含む請求項57に記載の方法。
【請求項61】
医療用装置の製造方法であって、
カテーテルの長手軸方向にも沿って伸びる金属線を覆うようにして、当該医療用装置の長手軸方向に沿って二片の導電性ポリマーを押し出し、
温度調節バンドの設置が望まれる箇所から当該金属線を除去する、ことを含む方法。
【請求項62】
医療用装置の製造方法であって、
当該医療用装置の長手軸方向に沿って少なくとも二片の導電性ポリマーを押し出し、
電気駆動型の温度調節素子が設置される箇所から導電性ポリマーを除去し、および
当該導電性ポリマーが除去された領域に電気駆動型の温度調節素子を挿入する、ことを含む方法。
【請求項63】
前記組織が、ヒト被験者由来のものである請求項1、11、25、29、36、38、42、46、53および55に記載の装置および方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−521170(P2006−521170A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508641(P2006−508641)
【出願日】平成16年1月28日(2004.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/002554
【国際公開番号】WO2004/093959
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(500345685)ボストン サイエンティフィック サイムド, インコーポレイテッド (41)
【Fターム(参考)】