説明

磁気検出装置

【課題】複数のセンサを差動させて磁界の検出を行なう場合に、精度のよい検出を可能にする磁気検出装置を提供する。
【解決手段】磁気検出装置10において、一対のセンサ12の感磁部は、比透磁率が100以上の磁性材料、感磁部を構成する磁性材料の比透磁率の1/100以上の比透磁率を有する磁性材料、又はセンサ12の感磁部と同一の磁性材料により構成される結合部材14により磁気回路上に直列に結合されるので、両センサ12において環境磁界や磁気的バックグラウンドノイズなどの外部磁界が等しく印加され、これを検出することができる。また測定用センサ12aに測定対象物50が生ずる磁界を検出させ、参照用センサ12bの出力を差動させることにより、外部磁界の影響を低減し、測定対象物50が生ずる磁界のみを精度よく検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気検出装置に関するものであり、特に、微小な磁界を精度よく検出することのできる磁気検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生体細胞が生ずる磁気信号(磁界)の検出の様に、高精度、例えば高い分解能により磁界の検出が可能な磁気検出装置が求められている。かかる状況において、例えば、高周波電流が通電されたアモルファスワイヤ(ワイヤ形状のアモルファス合金)に外部磁界を加えると、そのインピーダンスが変化する磁気インピーダンス(MI;Magneto−Impedance)効果を利用した磁気インピーダンスセンサが提案されている。例えば、特許文献1に記載の磁気センサがそれである。かかる磁気インピーダンスセンサによれば、微小な磁界変化を前記アモルファスワイヤのインピーダンス変化として捉えることができるので、分解能の高い磁界検出が可能にされる。
【0003】
一方、微小な磁界を生ずる測定対象物を測定する場合には、前述の様な分解能の高いセンサを使用することに加え、地磁気などの外部磁界の影響を低減することが必要である。外部磁界の影響を低減するため、複数のセンサの出力を差動させて検出を行なうことが行なわれている。すなわち、一方のセンサにおいては測定対象物が生ずる磁界と外部磁界の両者を検出させ、他方においては外部磁界のみを検出させる。そして、両者の出力の差分により、前記測定対象物が生ずる磁界のみを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/019851号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の様に、複数のセンサを作動させる場合において、精度よく測定対象物の生ずる磁界を検出するためには、これら複数のセンサが検出する外部磁界が共通するものである必要があると同時に、一方のセンサは測定対象物が生ずる磁界と外部磁界の両者を検出する一方、他方のセンサは外部磁界のみを検出する必要がある。複数のセンサが近接させれば共通する外部磁界を検出することが可能であるが、その場合、複数のセンサの何れにおいても測定対象物の生ずる磁界をも検出してしまう可能性があるという問題があった。
【0006】
このように、複数のセンサを差動させて磁界の検出を行なう場合、依然改善すべき問題があった。
【0007】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、複数のセンサを差動させて磁界の検出を行なう場合に、精度のよい検出を可能にする磁気検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本願第1の発明は、(a)磁気を検出するための感磁部をそれぞれ含む一対の磁気センサと、(b)該一対の感磁部とともに磁気回路を構成する長手状の結合部材とを有し、(c)該一対の感磁部の感磁方向と該結合部材の長手方向とが、該一対の感磁部において共通して印可される磁界を等しく検知できる程度に一致しており、(d)該結合部材は、比透磁率が100以上の磁性材料、前記感磁部を構成する磁性材料の比透磁率の1/100以上の比透磁率を有する磁性材料、又は磁気センサの感磁部材料と同一の磁性材料により構成されるものであって、(e)前記一対のセンサの出力を差動させて磁気を測定する磁気検出装置である。
【発明の効果】
【0009】
前記第1の発明によれば、前記一対のセンサの感磁部は、比透磁率が100以上の磁性材料(具体的には、例えばフェライト、パーマロイ、アモルファス合金などの保磁力の小さい磁性材料など)、前記感磁部を構成する磁性材料の比透磁率の1/100以上の比透磁率を有する磁性材料(具体的には、例えばコバルト−鉄−シリコン−ボロン合金(Co−Fe−Si−B合金)など)、又は磁気センサの感磁部材料と同一の磁性材料により構成される前記結合部材とはともに磁気回路を構成するので、前記一対のセンサの両方において環境磁界や磁気的バックグラウンドノイズなどの外部磁界が等しく印加され、これを検出することができる。また前記一対のセンサの一方のみに測定対象物が生ずる磁界を検出させ、前記一対のセンサの出力を差動させることにより、外部磁界の影響を低減し、前記測定対象物が生ずる磁界のみを精度よく検出することができる。
【0010】
また、本願の第2の発明は、前記第1の発明に係る磁気検出装置において、(a)前記結合部材は、複数の結合部材片からなり、(b)該複数の結合部材片は、前記結合部材の接合部の断面積径以下の隙間を介して、もしくは密着させられて配設されていること、を特徴とする。このようにすれば、前記結合部材が複数の結合部材片からなる場合であって、前記一対の磁気センサを磁気回路上に厳密には直列とならない場合であっても、これら一対のセンサに印加される外部磁界を平準化することができ、前記第1の発明と同様の効果が得られる。また、このようにすれば、前記1つの磁気回路を構成する結合部材が複数の結合部材片からなる場合において、該複数の結合部材片が電気的に接続されるか否かを選択的に設計することが可能となる。なお、本明細書においては、磁気回路を構成する要素が、一の磁気回路上に磁束が連続するように設けられることを「磁気回路上に直列」という。
【0011】
また、本願の第3の発明は、前記第2の発明に係る磁気検出装置において、前記隙間には、比透磁率が100以上の磁性体が配設されていること、を特徴とする。このようにすれば、前記結合部材が複数の結合部材片からなる場合であって、前記一対の磁気センサを磁気回路上に厳密には直列とならない場合であっても、前記第2の発明と同様の効果が得られる。
【0012】
また、本願の第4の発明は、前記第1の発明に係る磁気検出装置において、前記一対のセンサの感磁部および前記結合部材は、一体的に同一の材料により構成されていること、を特徴とする。このようにすれば、前記感磁部と前記結合部材との特性においてロット間のばらつきがなく、均一性が増すとともに、感磁部と結合部材とは一体的に成形されるので、その製造が容易となる。
【0013】
また、本願の第5の発明は、前記第1乃至第4の発明に係る磁気検出装置において、前記一対のセンサの感磁部は、該感磁部における接合部の断面積径以下の隙間を介して、もしくは密着して配設されていること、を特徴とする。このようにすれば、1対のセンサの間隔が小さくされることから、磁気検出装置全体の大きさを小さくすることができる。
【0014】
また、本願の第6の発明は、前記第1乃至第5の発明に係る磁気検出装置において、測定対象物と、前記一対のセンサとを磁気シールドで遮蔽する遮蔽手段を有すること、を特徴とする。このようにすれば、測定対象物と、前記一対のセンサとを磁気シールドで遮蔽されるので、外部磁界が一対のセンサや測定対象物が生ずる磁界に与える影響が更に低減され、より精度のよい磁界の検出を行なうことができる。
【0015】
また、本願の第7の発明は、前記第1乃至第5の発明に係る磁気検出装置において、非磁性体の電気伝導体からなり、少なくとも前記一対のセンサの感磁部を覆い、接地された被覆部を有すること、を特徴とする。このようにすれば、感磁部が帯電している場合に生じるノイズなどが測定結果に及ぼす影響を低減することができる。
【0016】
また、本願の第8の発明は、前記第1乃至第5の発明に係る磁気検出装置において、(a)前記一対のセンサは磁気インピーダンスセンサであり、(b)前記磁気センサの感磁部はアモルファスワイヤであり、(c)前記結合部材は導電体であり、(d)該結合部材と電気的に並列に接続される非磁性体の導電材料からなる並列伝導体を有すること、を特徴とする。このようにすれば、アモルファスワイヤからなる感磁部を流れる電流量を大きくすることができる。
【0017】
また、本願の第9の発明は、前記第1乃至第5の発明に係る磁気検出装置において、(a)前記一対のセンサは磁気インピーダンスセンサであり、(b)前記磁気センサの感磁部は複数本のアモルファスワイヤであり、(c)該複数本のアモルファスワイヤは電気的に並列に接続されていること、を特徴とする。このようにすれば、結合部材が複数本のアモルファスワイヤから成るので、結合部材を流れる電流量を大きくすることができる。
【0018】
また、本願の第10の発明は、前記第1乃至第5の発明に係る磁気検出装置において、(a)前記一対のセンサは、検出コイルを有する磁気インピーダンスセンサであり、(b)前記磁気センサの感磁部はアモルファスワイヤであり、(c)前記一対のセンサの少なくとも一方には、該アモルファスワイヤと電気的に絶縁され、該アモルファスワイヤに沿って結晶金属ワイヤが配設されていること、を特徴とする。このようにすれば、前記結晶金属ワイヤを用いて電気的ノイズのみを分離して検出可能となるので、磁気センサの出力から該電気的ノイズを差し引くことにより、磁気センサの出力から電気的ノイズを取り除いた精度のよい計測が可能となる。
【0019】
また、本願の第11の発明は、前記第1乃至第5の発明に係る磁気検出装置において、(a)前記一対のセンサは、検出コイルを有する磁気インピーダンスセンサであり、(b)前記磁気センサの感磁部はアモルファスワイヤであり、(c)前記検出コイルの浮遊容量は、該アモルファスワイヤの通電電流の通電開始により前記検出コイルに発生する誘導電圧の変動と、該アモルファスワイヤの通電電流の通電遮断により前記検出コイルに発生する誘導電圧の変動が連続して発生するように設定されること、を特徴とする。このようにすれば、磁気インピーダンスセンサの出力波形がブロード化し、ノイズの影響を受けにくい測定が可能となる。
【0020】
また、本願の第12の発明は、前記第1乃至第5の発明に係る磁気検出装置において、(a)前記一対のセンサは、検出コイルを有する磁気インピーダンスセンサであり、(b)前記磁気センサの感磁部はアモルファスワイヤであり、(c)アモルファスワイヤの通電電流の通電開始により前記検出コイルに発生する誘導電圧の変動を該変動のピークを含む範囲で積算した値、該アモルファスワイヤの通電電流の通電遮断により前記検出コイルに発生する誘導電圧の変動を該変動のピークを含む範囲で積算した値、もしくは該アモルファスワイヤの通電電流の通電開始により前記検出コイルに発生する誘導電圧の変動を該変動のピークを含む範囲で積算した値から、該アモルファスワイヤの通電電流の通電遮断により前記検出コイルに発生する誘導電圧の変動を該変動のピークを含む範囲で積算した値を減じて得られる値を計測すること、を特徴とする。このようにすれば、磁気インピーダンスセンサを用いた磁気信号の検出において、感度を高めつつノイズの影響を低減させることができる。
【0021】
また、本願の第13の発明は、前記第1乃至第5の発明に係る磁気検出装置において、(a)前記一対のセンサは磁気インピーダンスセンサであり、(b)前記磁気センサの感磁部はアモルファスワイヤであり、(c)該アモルファスワイヤの通電電流のパルス幅は、前記磁気インピーダンスセンサの磁界に対するインピーダンス変化が顕著である周波数の逆数の半分程度の値を持つこと、を特徴とする。このようにすれば、磁気インピーダンスセンサの感度が高感度とされる。
【0022】
また、本願の第14の発明は、前記第1乃至第5の発明に係る磁気検出装置において、(a)前記一対のセンサは磁気インピーダンスセンサであり、(b)前記磁気センサの感磁部はアモルファスワイヤであり、(c)該アモルファスワイヤに通電されるパルスはその繰り返し周波数が10kHz以上であること、を特徴とする。このようにすれば、磁気インピーダンスセンサの感度が高感度とされる。
【0023】
また、本願の第15の発明は、前記第1乃至第5の発明に係る磁気検出装置において、(r)前記一対のセンサはそれぞれ検出コイルを有する磁気インピーダンスセンサであり、(m)前記磁気センサの感磁部はアモルファスワイヤであり、(y)該アモルファスワイヤにパルスを通電したときに前記一対の検出コイルに発生する起電力が逆相になるように該一対の検出コイルを電気的に直列に配線すること、を特徴とする。このようにすれば、前記一対の検出コイルは該アモルファスワイヤにパルスを通電したときに前記一対の検出コイルに発生する起電力が逆相になるように接続されているので、両検出コイルの出力の差分を取るための回路が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の磁気検出装置のセンサヘッドの構成の一例を拡大して示した図である。
【図2】本実施例の磁気検出装置において、センサヘッドを駆動するための電気信号を入力するとともに、センサヘッドからの出力信号を処理するための回路部の構成の要部を説明する図である。
【図3】アモルファスワイヤに印可されるパルス信号の繰り返し周波数とセンサの感度との関係を説明する図である。
【図4】アモルファスワイヤに印加されるパルス信号と検出コイルに発生する誘導電圧の波形を対比させて示した図である。
【図5】本実施例の磁気検出装置における回路部の構成の図2とは別の要部を説明する図である。
【図6】本実施例の磁気検出装置によって細胞組織の磁気検出を行なう場合の態様を説明する図であって、磁気検出装置のセンサヘッド周辺の構成を拡大して説明する図である。
【図7】本発明の磁気検出装置により得られた磁界強度の時間変化を表した図である。図7(a)は測定対象物を設けなかった場合、図7(b)はモルモットの膀胱の平滑筋細胞組織を測定対象物とした場合である。
【図8】図7(a)の実験結果をフーリエ解析したものである。図8(b)は図8(a)の一部の周波数を拡大した図である。
【図9】図7(b)の実験結果をフーリエ解析したものである。図9(b)は図9(a)の一部の周波数を拡大した図である。
【図10】本発明の磁気検出装置における結合部材の別の態様を説明する図である
【図11】ワイヤに磁界を印可した場合のワイヤ内の磁界の強さをシミュレーションにより表した図である。
【図12】隙間と断面積径との比と磁界強度の落ち込みとの関係を示した図である。
【図13】結合部材の中央に位置する結合部材片のみが、両端の結合部材片とは異なった磁性体によって構成される場合のワイヤ内の磁界の強さをシミュレーションにより表した図である。図11に対応する図である。
【図14】結合部材の別の実施態様を説明する図であって、図10に対応する図である。
【図15】センサおよび結合部材のさらに別の態様を説明する図であって、図10に対応する図である。
【図16】センサおよび結合部材のさらに別の態様を説明する図であって、図10に対応する図である。
【図17】センサにおいて、結合部材として複数のアモルファスワイヤが設けられる態様を説明する図である。
【図18】センサにおいて、結合部材としてのアモルファスワイヤと結晶金属ワイヤとが設けられる態様を説明する図である。
【図19】図18に示す検出コイルを含んで構成される磁気検出装置の構成の要部を説明する図であって、図2に対応する図である。
【図20】本発明の磁気検出装置の別の実施例における構成を説明する図であり、図2に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明の磁気検出装置10の構成の一例を示した図である。図1に示すように、磁気検出装置10は磁界を検出するためのセンサヘッド11と、そのセンサヘッド11を駆動するための電流を供給するとともにセンサヘッド11から出力される電気信号を処理するための回路部21とを有して構成されている。このうちセンサヘッド11は、一対の磁気センサ12aおよび12b(以下、これらを区別しない場合には「磁気センサ12」という。)を含んで構成される。磁気センサ12のうち、一方の磁気センサ12aは測定対象物50(図5など参照)が生ずる磁界を検出するための測定用センサ12aであり、他方の磁気センサ12bは、その測定対象物50からの磁界を検出しない一方、地磁気などの測定対象物50以外によって生ずる磁界である外部磁界を検出する参照用センサ12bである。両磁気センサ12はかかる目的を達成する様に、すなわち、参照用磁気センサ12bが測定対象物50からの磁界を検出しない様に配設されている。本実施例では例えば、測定用センサ12aおよび参照用センサ12bは両者の間が50mmだけ離れるように配設されている。
【0027】
本実施例においては、これら磁気センサ12は磁気インピーダンスセンサであり、それぞれ、感磁部の磁束変化を検出する検出コイル13(後述する検出コイル13aと13bとを区別しない場合、「検出コイル13」という。)と、後述する結合部材としてのアモルファスワイヤ14を含んで構成されている。また検出コイル13はそれぞれ、中空のコイル状に設けられており、コイルの両端の電圧を後述する電気回路を用いて検出することができるようにされており、本実施例においてはその一方が接地されている。具体的には、測定用センサ12aに設けられた検出コイル13aの両端の電位差vout_aおよび参照用センサ12bに設けられた検出コイル13bの両端の電位差vout_bが検出可能とされている。これら測定用センサ12aに設けられた検出コイル13aと参照用センサ12bに設けられた検出コイル13bとは同一形状で、例えば、線径60μm、内径0.2mm、巻数500、長さ10mmのコイルである。
【0028】
また、検出コイル13の中空部分には、アモルファスワイヤ14が通されている。本実施例においては、図1に示す様にアモルファスワイヤ14は長手方向に延びる棒状の形状を有しており、一本のアモルファスワイヤ14が検出コイル13aの中空部分と検出コイル13bの中空部分とを通る(貫く)様に配設されている。すなわち、本実施例のアモルファスワイヤ14は、両磁気センサ12を磁気回路上で結合する結合部材としても機能している。
【0029】
なお、本実施例においては、結合部材としてアモルファスワイヤ14が用いられているが、結合部材が両磁気センサ12を磁気的に直列に結合するためには、結合部材としては、比透磁率が100以上の磁性材料、感磁部を構成する材料の比透磁率の1/100以上の比透磁率を有する磁性材料、又は感磁部と同一の磁性材料により構成されることが望ましい。
【0030】
本実施例においては、アモルファスワイヤ14は、例えば長さ72mm、線径30μmのものが用いられる。アモルファスワイヤ14の両端には、そのアモルファスワイヤ14に電流iinを印加することができるように配線が設けられている。図1の例においては、アモルファスワイヤ14の一端に後述する発振器22からの電流iinが印加されるようになっており、他端は接地されている。すなわち、本実施例においてアモルファスワイヤ14のうち、磁気センサ12の検出コイル13内に位置する部分は感磁部として機能している。
【0031】
また本実施例においては、アモルファスワイヤ14のうち、両検出コイル13によって挟まれる内側において、電気伝導体からなる並列伝導体18が、アモルファスワイヤ14と電気的に並列になる様に接続されている。このようにすれば、その並列伝導体18を含むアモルファスワイヤ14の両端の抵抗が、アモルファスワイヤ14単体の場合よりも、すなわち並列伝導体18がない場合よりも減少することからより多くの電流を流すことができる。すなわち、本実施例のように、磁気センサ12として磁気インピーダンスセンサが用いられる場合、アモルファスワイヤ14により大電流を流すことができれば、磁気センサ12の分解能(検出性能)の向上が可能となる。具体的には例えば、前記並列伝導体18としては、線径0.7mm、長さ45mmの銅線が用いられる。ここで、並列伝導体18は非磁性であるので、磁気センサ12の検出に影響を与えない。
【0032】
また本実施例においては、センサヘッド11において、磁気センサ12の表面および裏面を覆う被覆部16が設けられている。この被覆部16は電気伝導体からなり、接地されている。これにより、周囲における電界の変動が磁気センサ12に及ぼす影響を低減することができる。具体的には本実施例においては、被覆部16は導電性フィルムによって構成されている。この被覆部は、磁気センサ12が基板上に設けられる場合には、その基板の表面および裏面を覆う様にしてもよい。また、これらに加えて側面を覆う様にしても良い。また、少なくとも表面が覆う様にされても良い。
【0033】
また、本実施例においては、センサヘッド11は外部磁界の影響を低減するための遮蔽部20が設けられており、磁気センサ12や測定対象物50はその遮蔽部20内に配設されるようになっている。この遮蔽部20は比較的大きい透磁率を有する物質、例えばパーマロイなどによってセンサヘッド11を囲むようにして構成されている。
【0034】
図2は、図1に示す本実施例の磁気検出装置10のうち、センサヘッド11と、回路部21の構成の一部であってセンサヘッド11との入出力を行なう部分とを説明する図である。回路部21は、前記センサヘッド11を駆動するための電気信号iinを入力するとともに、センサヘッド11からの出力信号Vout_a、Vout_bを処理し、センサヘッド11において検出された磁界強度に関する情報を算出する。また、本実施例においては、回路部21には、具体的には例えばモニタなどの表示装置である出力装置90が接続されており、算出されたセンサヘッド11における磁界強度に関する情報が表示される。なお、出力装置90は本発明の磁気検出装置10に必須ではなく、例えば、算出されたセンサヘッド11における磁界強度に関する情報が他の機器に電子的な情報として伝達されるようにしてもよい。
【0035】
図2に示す回路部21のうち、発振器22からは、アモルファスワイヤ14に通電される電流iinなどの元となるパルス信号、すなわち矩形波が生成される。この矩形波は、アンプ24によって所定の増幅が行なわれ、アモルファスワイヤ14に印加される。本実施例においては例えば、パルス信号の振幅が2〜3Vとなるように増幅が行なわれる。図3はアモルファスワイヤに印可されるパルス信号の繰り返し周波数とセンサの感度との関係の一例を説明する図である。この図3に示されるセンサの感度が良好となる繰り返し周波数が選択される。具体的には図3の例においては、繰り返し周波数が10kHz以上においてはセンサの感度がほぼ一定であるので、繰り返し周波数が10kHzとされる。また、パルス幅は、磁気インピーダンスセンサが高感度化するように、予め実験的にあるいはシミュレーションにより得られた値とされる。具体的には、アモルファスワイヤ14のインピーダンス変化が最も顕著な周波数が10MHzである場合には、パルス幅が50nsとなり、デューティー比は0.0005となる。
【0036】
サンプルホールド回路26、30はそれぞれ、検出コイル13a、13bの両端電位差、すなわち両端における電圧の差(起電力)が入力される。このサンプルホールド回路26、30においては、アモルファスワイヤ14に印加するパルス信号の立ち上がり(通電開始)によりコイルに発生する誘導電圧について、その立ち上がり(図4の時刻t1)からピーク(図4の時刻t2)を含む時間範囲において積分して出力を行なう。具体的には例えば前記時間範囲は10ns〜50nsのように設定される。このため、サンプルホールド回路26、30には前述の発振器22によって出力されるパルス信号が入力されており、サンプルホールド回路26、30はこのパルス信号の立ち上がりをスイッチとして作動を行なう。また、バッファアンプ28、32はそれぞれ、サンプルホールド回路26、30の出力を差動アンプ34へ流す。
【0037】
なお、検出コイル13においては、図4に示す様に、アモルファスワイヤ14に印加されるパルス信号における立ち上がり(通電開始)によって検出コイル13に発生する誘導電圧の波形と、パルス信号における立ち下がり(通電遮断)によって検出コイル13に発生する誘導電圧との変動とが連続して発生するよう、すなわち、パルス信号における立ち上がり(通電開始)によって検出コイル13に発生する誘導電圧の波形とパルス信号における立ち下がり(通電遮断)によって検出コイル13に発生する誘導電圧との波形との間に誘導電圧が例えば0に留まる時間がないようにされている。前述の検出コイル13の形状として例示した、線径60μm、内径0.2mm、巻数500、長さ10mmのコイルは、本実施例においてこの条件を満たすものである。
【0038】
図2に戻って、差動アンプ34は、これらバッファアンプ28、32を介して出力されたサンプルホールド回路26、30のそれぞれの出力の差分を増幅してvoutとして出力する。具体的には、測定用センサ12aの検出コイル13aに関連するバッファアンプ28を介したサンプルホールド回路26の出力と、参照用センサ12bの検出コイル13bに関連するバッファアンプ32を介したサンプルホールド回路30の出力との差が算出されて出力される。
【0039】
図5は、本実施例の磁気検出装置10における回路部21の構成の別の要部を説明する図である。具体的には、図2の差動アンプ34の出力voutの更なる処理が行なわれる部分を説明する図である。すなわち、回路部21は、図2に示された回路と図5に示された回路とを含んで構成される。なお、差動アンプ34は図2および図5の両方に重複して描かれている。
【0040】
具体的には、差動アンプ34の出力voutは、ハイパスフィルタ36によって所定の周波数、例えば0.3Hzより低い周波数成分は遮断される。また、アンプ38によって所定の増幅が行なわれる。続いてローパスフィルタによって、所定の周波数、例えば30Hzより高い周波数成分が遮断される。さらにノッチフィルタ42によって特定の周波数、例えば60Hzの周波数成分が遮断された後、アンプ44による所定の増幅が行なわれ、更にノッチフィルタ46により別の特定の周波数、例えば180Hzの周波数成分が遮断され、出力Eout(V)が出力される。この出力Eout(V)を予め得られている換算方法によって磁界強度に変換することにより、測定対象物50の発生する磁界強度を得ることができる。
【0041】
図6は、本実施例の磁気検出装置10によって細胞組織の磁気検出を行なう場合の態様を説明する図であって、磁気検出装置10のセンサヘッド11周辺の構成を拡大して説明する図である。図6(a)はセンサヘッド11を平面に置いて磁気センサ12の長手方向を横から水平に見た図であり、図6(b)はセンサヘッド11を平面に置いて磁気センサ12の長手方向に向かって水平に見た図である。
【0042】
図6の例は、測定対象物50は生体細胞組織である場合の例である。すなわち、測定用センサ12aの上方には、測定対象物50である生体細胞組織を生存状態に維持するために樹脂容器52が配設されている。なお、図6において磁気センサ12は基板60に取り付けられており、その基板60の上に樹脂容器52を支持するために樹脂板56が基板60から延設されている。また、測定対象物50と測定用センサ12aとの距離は、その測定対象物50が生ずる磁界が測定用センサ12aによって測定可能な程度となるように、樹脂容器52の底板の厚さや樹脂板56によって調整される。なお、センサヘッド11は前記基板60を含むように定義されることも可能である。
【0043】
樹脂容器52には測定対象物50である生体細胞組織を保存するためのクレブス液54が注入されており、測定対象物50はそのクレブス液54中に浸されることにより生存状態が維持されている。なお、図6には図示されていないが、クレブス液54は測定対象物50が維持されるのに適切な温度とされており、また、その温度を保持するための加温装置やクレブス液54の循環装置などが設けられてもよい。
【0044】
(実験例)
以下、上述の本発明の磁気検出装置10により、測定対象物50としてモルモットの膀胱の平滑筋細胞組織の活動電流を測定するための実験例について説明する。図7は、本発明の磁気検出装置10により得られた磁界強度の時間変化を表した図である。このうち、図7(a)は測定対象物50を設けなかった場合、すなわち外部磁界のみの磁界強度の時間変化を表している。また、図7(b)はモルモットの膀胱の平滑筋細胞組織を測定対象物50とした場合の磁界強度の時間変化を表している。この場合、アモルファスワイヤ14と測定対象物50との距離が1〜3mmとなるようにされている。また、クレブス液は30〜35℃とされている。
【0045】
本発明の磁気検出装置10においては、その出力は測定用センサ12aの検出出力と参照用センサ12bの検出出力との差分とされるので、本来的にはその出力は0になることが理想であり、図7(a)の場合に検出される磁界強度はノイズとなる。図7(a)の磁界強度は、後述する図7(b)の場合、すなわち測定対象物50を測定する場合と比較して、十分小さいノイズレベルとなっていることがわかる。一方図7(b)によれば、測定対象物50が生ずる磁界強度が十分な分解能によって検出されていることがわかる。
【0046】
図8および図9は、それぞれ前述の図7(a)および図7(b)として得られた実験結果をフーリエ解析したものであり、図8(b)および図9(b)はそれぞれ図8(a)および図9(a)の一部の周波数を拡大した図である。特に図8(b)と図9(b)とを比較すると、本発明の磁気検出装置10によれば、10pT以下の分解能により磁界強度の検出を行なうことができることがわかる。
【0047】
前述の実施例によれば、本発明の磁気検出装置10において、磁気センサ12の感磁部は、比透磁率が100以上の磁性材料、感磁部を構成する磁性材料の比透磁率の1/100以上の比透磁率を有する磁性材料、又は磁気センサ12の感磁部と同一の磁性材料により構成される結合部材14としてのアモルファスワイヤにより磁気回路上に直列に結合されるので、磁気センサ12の両方において環境磁界や磁気的バックグラウンドノイズなどの外部磁界が等しく印加され、これを検出することができる。また測定用センサ12aに測定対象物が生ずる磁界を検出させ、参照用センサ12bの出力を差動させることにより、外部磁界の影響を低減し、測定対象物50が生ずる磁界のみを精度よく検出することができる。
【0048】
また、前述の実施例によれば、非磁性体の電気伝導体からなり、磁気センサ12の検出コイル13を覆い、接地された被覆部16を有するので、磁気センサ12が帯電している場合に生じる電界ノイズなどが測定結果に及ぼす影響を低減することができる。
【0049】
また、前述の実施例によれば、磁気センサ12は磁気インピーダンスセンサ(MIセンサ)であり、結合部材14はアモルファスワイヤであり、結合部材14と電気的に並列に接続される非磁性体の導電材料からなる並列伝導体18を有するので、アモルファスワイヤ14を流れる電流量を大きくすることができる。
【0050】
また、前述の実施例によれば、磁気センサ12は、検出コイル13を有する磁気インピーダンスセンサであり、結合部材14はアモルファスワイヤであり、検出コイル13の浮遊容量は、アモルファスワイヤ14の通電電流の通電開始により検出コイルに発生する誘導電圧と、該アモルファスワイヤの通電電流の通電遮断により検出コイルに発生する誘導電圧の変動が連続して発生するように設定されるので、磁気インピーダンスセンサの出力波形がブロード化し、ノイズの影響を受けにくい測定が可能となる。
【0051】
また、前述の実施例によれば、磁気センサ12は、検出コイル13を有する磁気インピーダンスセンサであり、結合部材14はアモルファスワイヤであり、検出コイルの誘導電圧のピークを含む範囲で積算した値を計測するので、磁気インピーダンスセンサにおいて、パルス状の電流が感磁部に加えられる際に、該パルスの立ち上がりに応じた感磁部の磁界変化を検出することができる。この感磁部の磁界には、感磁部自身が生ずる磁界と感磁部における外部磁界とを含む。
【0052】
また、前述の実施例によれば、磁気センサ12は磁気インピーダンスセンサであり、結合部材14はアモルファスワイヤであり、アモルファスワイヤの通電電流のパルス幅は、前記磁気インピーダンスセンサの磁界に対するインピーダンス変化が顕著である周波数の逆数の半分程度の値を持つので、磁気インピーダンスセンサの感度が高感度とされる。
【0053】
また、前述の実施例によれば、磁気センサ12は磁気インピーダンスセンサであり、結合部材14はアモルファスワイヤであり、該アモルファスワイヤに通電されるパルスはその繰り返し周波数が10kHz以上であるので、磁気インピーダンスセンサの感度が高感度とされる。
【0054】
続いて、本発明の別の実施例について説明する。以下の説明において、実施例相互に共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【実施例2】
【0055】
図10は、本発明の磁気検出装置における結合部材14の別の態様を説明する図である。前述の実施例1においては、結合部材14は一本の棒状に長手方向に延びる形状を有していたが、図10の例においては、結合部材14は3つの結合部材片14a、14b、14cからなっている。また、結合部材片14a、14bの間には隙間T1が、結合部材片14b、14cの間には隙間T2が、それぞれ設けられている。このとき、磁気センサ12の検出コイル13を貫くように配設されている結合部材片14a、14cが感磁部として機能している。
【0056】
ここで、隙間T1およびT2は、前記結合部材の断面積径以下の長さとされているか、もしくは結合部材片14a、14bおよび14b、14cは密着させられて配設されている。このようにすることにより、隙間からの磁束の漏れを小さくするとともに、隙間への外部からの磁束の侵入を低減することができる。なお断面積径とは断面が円形状でない場合に、その断面と等しい断面積を有する円の直径である。また隙間T1およびT2は、好適には同じ値とされるが、上記条件を満たす限り異なってもよい。なお、結合部材片14a、14b間および14b、14c間が密着されていない場合には、前記隙間T1を介して対向する結合部材片14aおよび14bの各端部間、および前記隙間T2を介して対向する結合部材片14b、14cの各端部間を図示しない導体によって電気的に接続されており、結合部材片14a乃至14cを前記パルス電流が流れるようにされている。なお、磁気センサ12の感磁部として機能しない結合部材片14bには前記パルス電流が流れる必要がないことから、結合部材片14bを介して対向する結合部材片14a、14cの端部間を図示しない導体によって電気的に接続してもよい。
【0057】
図11は、長さ20mm、直径40μmのワイヤにワイヤの長手方向に並行な50μTの磁界を印可した場合のワイヤ内のワイヤの長手方向の磁界の強さをシミュレーションにより表した図である。図11(a)は、実施例1における結合部材14の場合、すなわち、結合部材14が一本の棒状の部材からなる場合である。磁界強度は結合部材14(ワイヤ)の中央を中心として対称に分布している。従って、測定用センサ12aと参照用センサ12bとをワイヤの中央を対称とした位置に配設することにより、等しい環境磁界を測定しうる。
【0058】
図11(b)は、本実施例における結合部材14の場合、すなわち、結合部材14は結合部材片14a、14b、14cからなる場合である。結合部材片14a、14cの長さはそれぞれ2mmであり、結合部材片14bの長さは16mmである。また、隙間T1およびT2はそれぞれワイヤの断面積径と等しい0.04mm(40μm)である。この場合、隙間の位置すなわち+8mmと−8mmの位置でそれぞれ磁界の強度に落ち込みが見られるが、その落ち込みは小さく、磁束の漏れが小さい。また、図11(a)の場合と同様、磁界強度は結合部材14(ワイヤ)の中央を中心として対称に分布している。従って、測定用センサヘッド12aと参照用センサ12bとをワイヤの中央を対称とした位置に配設することにより、等しい環境磁界を測定しうる。
【0059】
一方、図11(c)は、図11(b)の場合と同様、結合部材14は結合部材片14a、14b、14cからなる場合である。結合部材片14a、14cの長さはそれぞれ2mmであり、結合部材片14bの長さは16mmである点も図11(b)と同様である。一方、隙間T1およびT2はそれぞれワイヤの断面積径よりも大きい0.1mm(100μm)である。この場合、隙間の位置すなわち+8mmと−8mmの位置でそれぞれ磁界の強度に落ち込みが見られるが、その落ち込みが大きく、0近くまで落ち込んでいる。すなわち、磁束の漏れが大きく、また外部からの磁束の侵入も大きい。従って、このようなワイヤにおいては結合部材片14a、14cにそれぞれ対応して設けられた測定用センサ12aと参照用センサ12bとによって等しい環境磁界を測定することは困難となる。
【0060】
図12は、隙間と断面積径との比とその隙間における磁界強度の落ち込みとの関係を示した図である。図12に示す様に、隙間と断面積径との比が1よりも小さくなるとその隙間における磁界強度の落ち込みが急激に大きくなる。すなわち、隙間の大きさが断面積径の大きさよりも大きくなると磁界強度の落ち込みが大きくなり、その隙間を介した2つの結合部材片が磁気回路上で直列であるのと同等の効果がもはや得られないことがわかる。
【0061】
なお、本実施例においても磁気センサ12に磁気インピーダンスセンサが用いられる場合には、測定用センサ12aの中空部分を通る結合部材14aと参照用センサ12bの中空部分を通る結合部材14bとは、電気伝導体18によって電気的に接続される。これによりアモルファスワイヤからなる結合部材14aおよび結合部材14bに電流が印可される。
【0062】
また、上述の実施例においては結合部材片14a、14b、14cはいずれも同一の磁性体であってもよいし、中央に位置する結合部材片14bのみが、結合部材片14a、14cとは異なった磁性体によって構成されてもよい。なお、結合部材片の数は本実施例のように3つに限られないが、前述の様に結合部材14全体として見た場合に、中心を対称に磁界強度が分布することにより、測定用センサ12aと参照用センサ12bとによって等しい外部磁界(環境磁界)の検出が可能となるので、結合部材片の構成も結合部材14の長手方向中央を中心として対称な形状となることが望ましい。
【0063】
また、磁気センサ12に対応する結合部材片14aおよび14c以外の結合部材片14bは、比透磁率が100以上の磁性体であることが望ましい。これを満たさない場合、結合部材14における磁界強度の分布に変曲点が生じ、長さ方向の位置に対して急激な磁界強度の変動が生じる可能性があるためである。
【0064】
図13は、中央に位置する結合部材片14bのみが、結合部材片14a、14cとは異なった磁性体によって構成される場合のワイヤの長手方向の磁界の強さを、図11と同様の条件によりシミュレーションにより表した図である。このうち図13(a)乃至(c)において、結合部材片14a、14cの比透磁率は15000とされる。また、図13(a)においては結合部材片14bの比透磁率は5000、図13(b)においては1000、図13(c)においては100の場合に対応している。
【0065】
図13(a)乃至図13(c)を比較すると、結合部材片14bの比透磁率が100以上である図13(a)および図13(b)の場合は、いずれも結合部材14における磁界強度の分布が結合部材14の長手方向の中央を中心として対称であり、かつ滑らかに変化している。一方、結合部材片14bの比透磁率が100である図13(c)の場合は、結合部材14における磁界強度の分布が結合部材14の長手方向の中央を中心として対称であるものの、その分布に変曲点が生じており、これ以上急激な変化であれば、測定用センサ12aと参照用センサ12bとによって等しい外部磁界(環境磁界)の検出が困難となる。
【0066】
また、図11の例においては、隙間T1およびT2は単なる隙間であったが、図14に示す様に、隙間T1およびT2に、結合部材14を構成する磁性体とは異なる磁性体62a、62bを挟み込む様にしてもよい。この場合であっても前述の場合と同様の理由により、比透磁率が100以上の磁性体であることが望ましい。
【0067】
前述の実施例2によれば、結合部材14が複数の結合部材片14a、14b、14cからなる場合であって、磁気センサ12が磁気回路上に厳密には直列とならない場合であっても、これら磁気センサ12に印加される外部磁界を平準化することができ、実施例1と同様の効果が得られる。
【0068】
また、前述の実施例2によれば、隙間T1、T2には、比透磁率が100以上の磁性体が配設されているので、結合部材14が複数の結合部材片14a、14b,14cからなる場合であって、前記測定用センサ12aおよび検出用センサ12bを磁気回路上に厳密には直列とならない場合であっても、実施例1と同様の効果が得られる。
【実施例3】
【0069】
図15は、本発明の磁気検出装置における磁気センサ12および結合部材14のさらに別の態様を説明する図である。前述の実施例1および実施例2においては、測定用センサ12aおよび参照用センサ12bはそれぞれ検出部としての検出コイル13とその中心を貫くアモルワスワイヤが結合部材14として用いられていた。しかしながら、磁気センサ12が磁気インピーダンスセンサである場合、パルス電流が印可されたアモルファスワイヤそのものの両端電圧を検出することによっても磁界の検出が可能である。
【0070】
図15に示す本実施例の磁気センサ12および結合部材14においては、両者はアモルファス素材によって一体的に形成されている。すなわち、測定用センサ12aの感磁部、参照用センサ12bの感磁部、および結合部材14が一部材として設けられている。この場合、結合部材に印可される電流や磁気センサ12の両端電圧は図15に例示する様な位置によって入力もしくは検出される。このような場合であっても、測定用センサ12aおよび参照用センサ12bは結合部材14によって磁気回路上において直列にされているので、実施例1と同様の効果が得られる。
【0071】
前述の実施例3によれば、磁気センサ12の感磁部および結合部材14は、一体的に同一の材料により構成されているので、製造が容易となる。
【実施例4】
【0072】
図16は、本発明の磁気検出装置における磁気センサ12および結合部材14のさらに別の態様を説明する図である。前述の実施例においては、測定用センサ12aは測定対象物50が生ずる磁界を検出する一方、参照用磁気センサ12bは、その測定対象物50からの磁界を検出しないことを目的として、所定の間隔だけ離れるように配設された。一方、本実施例においては、例えば、図16に示す様に、前述の様に磁気センサ12が磁気インピーダンスセンサであって、検出コイルを有さず、アモルファスワイヤ14が検出部13を兼ねる構成の場合において、参照用磁気センサ12bが測定対象物50からの磁界を検出しない範囲において、両者を近接して配置させられている。この場合、実施例2において説明した様に、測定用センサ12aおよび参照用センサ12bとが磁気的に直列とされる場合と同様の効果を得るためには、測定用センサ12aおよび参照用センサ12bとの隙間が、結合部材としてのアモルファスワイヤ14の断面積径以下の隙間となるようにされる。
【0073】
前述の実施例4によれば、磁気センサ12の感磁部は、結合部材14の断面積径以下の隙間を介して、もしくは密着して配設されていること、を特徴とする。このようにすれば、磁気センサ12の間隔が小さくされることから、磁気検出装置全体の大きさを小さくすることができる。
【実施例5】
【0074】
図17は、本発明の磁気検出装置における磁気センサ12の別の態様を説明する図である。前述の実施例においては、磁気センサ12の検出コイル13の中空部分を貫くように結合部材として一本のアモルファスワイヤ14が設けられたが、図17の例においては、複数のアモルファスワイヤ14が設けられている点において異なる。図17においては、複数のアモルファスワイヤ14が検出コイル13の両端に設けられたボビン62に設けられた複数の孔にそれぞれ一本ずつ通されることにより、複数のアモルファスワイヤ14が接触することなく検出コイル13の中を貫いている。
【0075】
このようにすれば、複数本のアモルファスワイヤにより、結合部材14全体での表皮電流を大きくすることができ、磁気インピーダンスセンサの分解能が向上する。
【実施例6】
【0076】
また、図18は、検出コイル13のさらに別の態様を説明する図である。図18の例においては、図17の場合と同様に検出コイル13の両端にボビン62が取り付けられており、そのボビン62には複数の孔が設けられている。結合部材14としてのアモルファスワイヤ14に加えて、該アモルファスワイヤ14と絶縁された結晶金属ワイヤ64が、それぞれボビン62の複数の孔に通されている。この結晶金属ワイヤ64としては、アモルファスワイヤと同等の電気的特性、具体的には例えば抵抗値が近似する金属ワイヤが用いられ、例えば、ニクロム線などが用いられる。
【0077】
磁気センサ12の周囲にある物体のインピーダンスが変化すると電気的ノイズが発生するが、アモルファスワイヤに通電して磁界強度の検出を行なうと、検出された磁界強度は前記電気的ノイズを含んだものとなる。一方結晶金属ワイヤに通電を行なって磁界強度の検出を行なうと、その電気的ノイズを検出することができる。従って、このような構成の磁気センサ12を用いる場合、アモルファスワイヤに通電して磁界の検出を行なった後、結晶金属ワイヤに通電して同様に磁界を検出し、両者の差分を算出しこれを検出された磁界強度とすることで、より精度のよい検出ができる。かかる構成は、特に生体を検出対象とする場合に有効である。
【0078】
図19は、図18に示す検出コイル13を用いて構成されるセンサヘッド101と回路部71とを含んで構成される磁気検出装置100の構成の要部を説明する図である。図19は、前述の実施例における図2に対応する図である。図19において、回路部71は図2の磁気検出装置10における回路部21に対応するものである。すなわち、図19に示された回路部71は、その一部であって、センサヘッド101との入出力を行なう部分である。図19に示された回路部71のうち、発振器72、73はそれぞれ図2の発振器22に対応する。この発振器72、73からは、アモルファスワイヤ14および結晶金属ワイヤ64にそれぞれに通電される電流iinなどの元となるパルス信号、すなわち矩形波が生成される。また、発振器72、73から発信されたパルス信号(矩形波)は、図2のアンプ24に対応するアンプ74、75によってそれぞれ所定の増幅が行なわれ、アモルファスワイヤ14および結晶金属ワイヤ64にそれぞれ印加される。発振器72およびアンプ74によるアモルファスワイヤ14へのパルス信号の印可と発振器73およびアンプ75による結晶金属ワイヤ64へのパルス信号の印可とは、例えば予め定められた所定時間ごとに交互に行なわれる。
【0079】
図2のサンプルホールド回路26に対応するサンプルホールド回路76、77にはそれぞれ、検出コイル13aの両端電位差(起電力)が入力される。サンプルホールド回路76は前記発振器72がアモルファスワイヤ14に電流を印可した場合の検出コイル13aの電圧を検出するためのものであり、サンプルホールド回路77は前記発振器73が結晶金属ワイヤ64に電流を印可した場合の検出コイル13aの電圧を検出するためのものである。また、バッファアンプ78、79は、図2におけるバッファアンプ28に対応するもので、それぞれサンプルホールド回路76、77からの出力を後段に流す。
【0080】
図2のサンプルホールド回路30に対応するサンプルホールド回路80、81にはそれぞれ、検出コイル13bの両端電位差(起電力)が入力される。サンプルホールド回路80は前記発振器72がアモルファスワイヤ14に電流を印可した場合の検出コイル13bの電圧を検出するためのものであり、サンプルホールド回路81は前記発振器73が結晶金属ワイヤ64に電流を印可した場合の検出コイル13bの電圧を検出するためのものである。また、バッファアンプ82、83は、図2におけるアンプ32に対応するもので、それぞれサンプルホールド回路80、81からの出力を後段に流す。
【0081】
差動アンプ84および85は図2の差動アンプ34に対応する。このうち差動アンプ84はサンプルホールド回路76、80の出力の差分を増幅してvout_1として出力する。具体的には、測定用センサ12aの検出コイル13aに関連するバッファアンプ78の出力から、参照用センサ12bの検出コイル13bに関連するバッファアンプ82の出力の差が算出されて出力される。一方、差動アンプ85はサンプルホールド回路77、81の各出力の差分を増幅してvout_2として出力する。具体的には、測定用センサ12aの検出コイル13aに関連するバッファアンプ79の出力から、参照用センサ12bの検出コイル13bに関連するバッファアンプ83の出力の差が算出されて出力される。
【0082】
このように、出力vout_1はアモルファスワイヤ14に電流を印可した際の出力であるが、磁気検出装置10の周囲に電気的ノイズ(電界ノイズ)が存在すると、その電気的ノイズの影響を含んだものとなる。一方、出力vout_2は結晶金属ワイヤ64に電流を印可した差異の出力であり、周囲の磁界の影響を含まず、前記電気的ノイズの影響を含んだものとなる。そこで、出力vout_1から出力vout_2を例えば図示しない差動アンプなどにより減じて得られる値を出力voutとすることにより、電気的にノイズの影響を低減したさらに精度のよい磁界の検出が可能となる。
【実施例7】
【0083】
図20は、本発明にかかる磁気検出装置のさらに別の実施例を説明する図である。前述の実施例においては、前述の図2や図19に示すように、測定用磁気センサ12aの出力と参照用磁気センサ12bの出力との差分を差動アンプなどにより得ることにより、環境磁界の影響を低減した。本実施例の磁気検出装置110においては、測定用磁気センサ12aの検出コイル13aと参照用磁気センサ12bの検出コイル13bとが、アモルファスワイヤ14にパルス電流を印可(通電)したときにこれら検出コイル13aおよび13bに発生する起電力が相互に逆相になるようにされるとともに、これら検出コイル13aおよび13bが電気的に直列に接続されている。具体的には例えば、検出コイル13aと13bとでコイルの巻線方向が同じ向きとされるとともに、検出コイル13aおよび13bの同じ側(例えば図20において検出コイル13aの右端および検出コイル13bの右端)が接続され、検出コイル13aおよび13bの端部のうち、両者の接続に用いられていない2つの端部(図20においては検出コイル13aの左端および検出コイル13bの左端)の間の電圧が検出されるように配線されている。
【0084】
図20において、発振器122は図2の発振器22に対応するもので、アモルファスワイヤ14に通電される電流iinなどの元となるパルス信号、すなわち矩形波が生成される。また、発振器122から発信されたパルス信号(矩形波)は、アンプ124によって所定の増幅が行なわれ、アモルファスワイヤ14に印加される。このアンプ124は図2のアンプ24に対応している。
【0085】
サンプルホールド回路126は図2のサンプルホールド回路26あるいは30と同様の動作をするもので、前述のように直列に接続された検出コイル13aおよび13bの両端電位差が入力される。また、サンプルホールド回路126の出力はバッファアンプ128を介して、出力voutとして出力される。
【0086】
このように、本実施例の磁気検出装置110によれば、測定用磁気センサ12aの検出コイル13aと参照用磁気センサ12bの検出コイル13bとが、アモルファスワイヤ14にパルス電流を印可(通電)したときにこれら検出コイル13aおよび13bに発生する起電力が相互に逆相になるようにされるとともに、これら検出コイル13aおよび13bが電気的に直列に接続されているので、検出コイル13aおよび13bが共通して検出する地磁気などの外部磁界によって生ずる起電力は相互に打ち消し合うこととなり、直列に接続された検出コイル13aおよび13bの両端電位差として検出されるのは、測定対象物50が発生する磁界に基づく起電力のみとなる。そのため、検出コイル13aおよび13bの出力をそれぞれ検出し、差分を算出する差動アンプ(図2の34)を必要とすることなく、2つのセンサ12の差動作用により磁気信号の検出をすることができる。
【0087】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0088】
前述の実施例においては磁気センサ12として磁気インピーダンスセンサが用いられたが、これに限定されない。例えば、ホール素子などの磁気センサであっても、同様に本発明が適用できる。
【0089】
また、上述の様に結合部材14として複数本のアモルファスワイヤが設けられる場合、好適にはこれら複数本のアモルファスワイヤは電気的に並列に接続される。このようにすれば、結合部材14を流れる電流量を大きくすることができ、結合部材14の表皮電流が大きくなる。
【0090】
前述の実施例6においては、金属ワイヤ64は測定用センサ12aおよび参照用センサ12bの両方に設けられたが、これに限られない。かかる結晶金属ワイヤ64は、磁気センサ12のうち少なくとも測定用センサ12aの検出コイル13aに対して設けられれば一定の効果を生ずる。
【0091】
なお、前述の実施例7においては、検出コイル13aと13bとでコイルの巻線方向が同じ向きとされるとともに、検出コイル13aおよび13bの同じ側(例えば図20において検出コイル13aの右端および検出コイル13bの右端)が接続され、検出コイル13aおよび13bの端部のうち、両者の接続に用いられていない2つの端部(図20においては検出コイル13aの左端および検出コイル13bの左端)の間の電圧が検出されるように配線されたが、このような態様に限定されない。例えば、検出コイル13aと13bとでコイルの巻線方向が相互に逆向きとされるとともに、検出コイル13aおよび13bの異なる側(例えば図20において検出コイル13aの右端および検出コイル13bの左端)が接続され、検出コイル13aおよび13bの端部のうち、両者の接続に用いられていない2つの端部(例えば図20においては検出コイル13aの左端および検出コイル13bの右端)の間の電圧が検出されるように配線されてもよい。すなわち、一対の検出コイル13aおよび13bにおいて、共通して検出される磁界によってそれぞれ発生する起電力同士が打ち消し合うように直列に接続され、その直列に接続された一対の検出コイル13aおよび13bの両端電位差を検出できればよい。
【0092】
また、前述の実施例においては、例えば図10、14に示すように、磁気センサがコイルを有する磁気インピーダンスセンサの場合、磁気センサ12a、12bの中空部を貫く結合部材片14a、14cはそれぞれ磁気センサ12a、12bから長手方向に結合部材14b側に突き出して設けられたがこのような態様に限られない。すなわち、結合部材片14a、14cの長さは磁気センサヘッド12a、12bの長さ、より具体的には検出コイル13a、13bの長さと同一にされてもよいし、結合部材14bを長くして検出コイル13a、13bの内部に入りこんでもよい。
【0093】
また、前述の実施例においては、センサヘッド11に遮蔽部材20、被覆部16が設けられたが、これらはセンサヘッド11に必須の要件ではなく、これらの一方、あるいは両方が無い場合であっても一定の効果が得られる。
【0094】
また、前述の実施例2においては、結合部材片14a乃至14cはいずれもアモルファスワイヤによって構成されたが、かかる態様に限られない。すなわち、前記結合部材片14a乃至14cのうち、磁気センサ12を貫く結合部材片(磁気センサ12の感磁部に相当する。図10の例においては結合部材片14aおよび14c)はアモルファスワイヤにより構成される一方、それ以外の結合部材片(図10の例においては結合部材片14b)は、例えばフェライト、パーマロイ、アモルファス合金などの保磁力の小さい磁性材料であって、比透磁率が100以上の磁性材料、前記感磁部を構成する磁性材料の比透磁率の1/100以上の比透磁率を有する磁性材料により構成されることができる。結合部材片14a乃至14cがこのように構成される場合であっても、前述の実施例2と同様の効果を得ることができる。
【0095】
また、前述の実施例1においては、両検出コイル13によって挟まれる内側において、電気伝導体からなる並列伝導体18が、アモルファスワイヤ14と電気的に並列になる様に接続されたが、かかる並列伝導体18は必須の要件ではなく、これが無くても一定の効果を得ることができる。
【0096】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0097】
10、100、110:磁気検出装置
11、101:センサヘッド
12:磁気センサ
13:検出部(検出コイル)
14:結合部材(アモルファスワイヤ)
16:被覆部
18:並列伝導体
20:遮蔽部材
50:測定対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気を検出するための感磁部をそれぞれ含む一対の磁気センサと、
該一対の感磁部とともに磁気回路を構成する長手状の結合部材とを有し、
該一対の感磁部の感磁方向と該結合部材の長手方向とが、該一対の感磁部において共通して印可される磁界を等しく検知できる程度に一致しており、
該結合部材は、比透磁率が100以上の磁性材料、前記感磁部を構成する磁性材料の比透磁率の1/100以上の比透磁率を有する磁性材料、又は磁気センサの感磁部材料と同一の磁性材料により構成されるものであって、
前記一対のセンサの出力を差動させて磁気を測定する磁気検出装置。
【請求項2】
前記結合部材は、複数の結合部材片からなり、
該複数の結合部材片は、前記結合部材の接合部の断面積径以下の隙間を介して、もしくは密着させられて配設されていること、
を特徴とする請求項1に記載の磁気検出装置。
【請求項3】
前記隙間には、比透磁率が100以上の磁性体が配設されていること、
を特徴とする請求項2に記載の磁気検出装置。
【請求項4】
前記一対のセンサの感磁部および前記結合部材は、一体的に同一の材料により構成されていること、
を特徴とする請求項1に記載の磁気検出装置。
【請求項5】
前記一対のセンサの感磁部は、該感磁部における接合部の断面積径以下の隙間を介して、もしくは密着して配設されていること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の磁気検出装置。
【請求項6】
測定対象物と、前記一対のセンサとを磁気シールドで遮蔽する遮蔽手段を有すること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の磁気検出装置。
【請求項7】
非磁性体の電気伝導体からなり、少なくとも前記一対のセンサの感磁部を覆い、接地された被覆部を有すること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の磁気検出装置。
【請求項8】
前記一対のセンサは磁気インピーダンスセンサであり、
前記磁気センサの感磁部はアモルファスワイヤであり、
前記結合部材は導電体であり、
該結合部材と電気的に並列に接続される非磁性体の導電材料からなる並列伝導体を有すること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の磁気検出装置。
【請求項9】
前記一対のセンサは磁気インピーダンスセンサであり、
前記磁気センサの感磁部は複数本のアモルファスワイヤであり、
該複数本のアモルファスワイヤは電気的に並列に接続されていること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の磁気検出装置。
【請求項10】
前記一対のセンサは、検出コイルを有する磁気インピーダンスセンサであり、
前記磁気センサの感磁部はアモルファスワイヤであり、
該第一対のセンサの少なくとも一方には、該アモルファスワイヤと電気的に絶縁され、該アモルファスワイヤに沿って結晶金属ワイヤが配設されていること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の磁気検出装置。
【請求項11】
前記一対のセンサは、検出コイルを有する磁気インピーダンスセンサであり、
前記磁気センサの感磁部はアモルファスワイヤであり、
前記検出コイルの浮遊容量は、該アモルファスワイヤの通電電流の通電開始により前記検出コイルに発生する誘導電圧の変動と、該アモルファスワイヤの通電電流の通電遮断により前記検出コイルに発生する誘導電圧の変動が連続して発生するように設定されること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の磁気検出装置。
【請求項12】
前記一対のセンサは、検出コイルを有する磁気インピーダンスセンサであり、
前記磁気センサの感磁部はアモルファスワイヤであり、
該アモルファスワイヤの通電電流の通電開始により前記検出コイルに発生する誘導電圧の変動を該変動のピークを含む範囲で積算した値、該アモルファスワイヤの通電電流の通電遮断により前記検出コイルに発生する誘導電圧の変動を該変動のピークを含む範囲で積算した値、もしくは該アモルファスワイヤの通電電流の通電開始により前記検出コイルに発生する誘導電圧の変動を該変動のピークを含む範囲で積算した値から、該アモルファスワイヤの通電電流の通電遮断により前記検出コイルに発生する誘導電圧の変動を該変動のピークを含む範囲で積算した値を減じて得られる値を計測すること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の磁気検出装置。
【請求項13】
前記一対のセンサは磁気インピーダンスセンサであり、
前記磁気センサの感磁部はアモルファスワイヤであり、
該アモルファスワイヤの通電電流のパルス幅は、前記磁気インピーダンスセンサの磁界に対するインピーダンス変化が顕著である周波数の逆数の半分程度の値を持つこと、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の磁気検出装置。
【請求項14】
前記一対のセンサは磁気インピーダンスセンサであり、
前記磁気センサの感磁部はアモルファスワイヤであり、
該アモルファスワイヤに通電されるパルスはその繰り返し周波数が10kHz以上であること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の磁気検出装置。
【請求項15】
前記一対のセンサはそれぞれ検出コイルを有する磁気インピーダンスセンサであり、
前記磁気センサの感磁部はアモルファスワイヤであり、
該アモルファスワイヤにパルスを通電したときに前記一対の検出コイルに発生する起電力が逆相になるように該一対の検出コイルを電気的に直列に配線すること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の磁気検出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−185103(P2012−185103A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49710(P2011−49710)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【出願人】(399110306)フジデノロ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】