説明

磁気的情報記録装置および磁気的情報記録方法

【課題】記録ヘッドの主磁極後縁部におけるダウントラック方向記録磁界勾配∂H/∂xが不足することにともなう記録磁界印加位置マージンの不足を解消し、線記録密度上昇に対する制限を緩和する。
【解決手段】本発明に係る磁気的情報記録装置は、記録部に対して駆動電流を供給する第1区間と、第1区間における磁気的記録媒体の磁化状態を反転させる第2区間との間に、記録部に対して駆動電流を供給しない休止区間を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気的情報記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生成、複製、保存されるデータ量が爆発的に増加しつつある。そのため、主要な情報記憶装置であるHard Disk Drive(HDD)の大容量化、高記録密度化が重要な課題となっている。しかしながら、トライレンマ(Trilemma)と呼ばれる技術的課題により、面密度1Tb/平方インチを超えて高密度化を継続していくことは、現状の磁気記録方式のみでは非常に困難であると予想されている。
【0003】
トライレンマとは、飽和記録、媒体SNR(Signal to Noise Ratio)、耐熱減磁特性の3特性を同時に満たすことの難しさを意味する。飽和記録に関しては、記録ヘッドに使用されている磁極材料の飽和磁束密度が、実用材料の限界である1.40〜1.45Tに近づき、さらには高トラック密度化に伴う記録トラック幅の減少などにより、さらなる記録磁界強度の向上は望みにくい状況にある。そのため、Hard/Soft−Stack媒体(Exchange−Coupled Composite:ECC媒体)、Graded媒体など、多層構造化した記録媒体を採用することによって、必要記録磁界を抑えながら高密度化を図っている。
【0004】
しかしながら、記録磁界の限界から、耐熱熱減磁特性と媒体SNRを両立させる限界が生じ、高密度化は以前にも増して難しくなっている。そこで記録面密度向上を継続するために、現在の垂直磁気記録方式を拡張した各種記録方式の提案と実用化検討が進められている。それらの代表的な技術の 1 つとして、ビット・パターン媒体(Bit−Patterned Media:BPM)記録方式がある。
【0005】
BPMは、記録媒体表面の連続した記録膜に対してエッチング等の人為的な加工を施し磁性ドットをその表面に配列形成させるなど、磁気的な相互作用を面内で変調した記録膜をその表面に有する記録媒体である(非特許文献1)。
【0006】
BPMに対して情報を記録する際には、記録装置において適当な手段を講ずることにより、記録媒体上の記録対象となる各磁性ドットに的確に記録磁界を印加して選択的に着磁することにより、情報を記録する(非特許文献2)。
【0007】
BPMから情報を再生する際には、記録媒体上の再生対象となる磁性ドットを選択し、その磁性ドットからの再生信号(漏洩磁界)を検出(再生動作)する必要がある。この再生動作に関しては、従来の磁気的情報記録装置と同様の装置構成により大きな問題なく実現できる見込みであるが、記録動作に関しては、記録対象である磁性ドットに対して的確に記録磁界を印加すること(記録同期)が技術的な課題となる。
【0008】
記録同期が不完全であると、狙った磁性ドットに対して正確に情報記録することができないばかりか、隣接する(時間的に前後に記録する)磁性ドットに対して誤った情報を記録し(書き壊し)、記録エラーを生じる可能性がある。その他に記録エラーを生じ得る代表的な要因としては、隣接磁性ドットの磁化方向によって異なる漏洩磁界が、記録磁界に外乱オフセットとして作用する現象の他、磁性ドットの理想位置からの変位揺らぎ、および磁性ドット毎の記録磁界感度の揺らぎが挙げられる。これらに起因する記録エラーの発生頻度見積もりに関しては、非特許文献2および非特許文献3に詳述されているので、ここでは説明を省略する。
【0009】
これらの記録エラーを引き起こし得る要因の影響は、後述する通り、記録ヘッドの主磁極後縁部付近におけるダウントラック方向の記録磁界勾配が無限に大きければ、いずれも無視できる大きさまで圧縮され、問題とはならない。したがって、ダウントラック方向記録磁界勾配を増大させて記録エラーを低減させることにより確保した記録磁界印加位置に関するマージンを、ダウントラック方向線記録密度上昇に振り向け、高密度化を進めて行くことが効果的であると考えられる。
【0010】
しかしながら、記録ヘッドの主磁極構造および材料の改良によってこの記録磁界勾配を増大させることには物理的な限界が存在し、そのために記録媒体あるいは記録方式の改善を併せて進めることが必須である。記録媒体の加工方法を改善することにより、前述した磁性ドットの理想位置からの変位揺らぎ、および磁性ドット毎の記録磁界感度の揺らぎはある程度まで低減できるが、仮にこれらの観点で完全な記録媒体を作成することができるようになったとしても、磁気記録再生方式を用いる装置は記録媒体からの漏洩磁界を検出して情報を再生しているので、前述した隣接磁性ドットの磁化方向によって向きの異なる漏洩磁界が記録磁界に外乱オフセットとして作用する現象は、記録再生原理上回避できない。
【0011】
記録ヘッド主磁極から発生される記録磁界のダウントラック方向分布は、飽和磁界がHsat、ダウントラック方向(x座標方向)記録磁界勾配が有限値±∂H/∂xを有し、記録磁界飽和領域のダウントラック方向長さが主磁極のダウントラック方向長さに等しい台形として近似できる。すなわち、磁気ヘッド主磁極前後の磁界勾配はある程度の傾きがあるので、磁気ヘッドが発生する磁界は磁気ヘッド直下の磁性ドットのみならず隣接する磁性ドットにもかかり、書き込みエラーを生じる可能性がある。
【0012】
隣接磁性ドットに起因する記録磁界に対する前記外乱オフセットの絶対値をδHとすると、仮に記録媒体の作成上の揺らぎ要因がなく、前述の記録同期が完全であったとしても、記録動作に関しては実効的に±δH/(∂H/∂x)だけの記録磁界印加位置の揺らぎが生じていることと等価となる。
【0013】
前述のδHは、記録密度の上昇にともなって磁性ドットの配列周期Pが狭まることにより、原理的に増大する。すなわち、Pを短縮することによりδHが増大し、後続の磁性ドットに対する記録が開始される瞬間に記録ヘッド主磁極後方において記録済の磁性ドットにかかる磁界強度(その絶対値は Hsat−δx×∂H/∂x±δHに等しい。ただしδxは、記録ヘッド主磁極後端側にある記録磁界飽和領域の後端位置から記録済磁性ドット中心までのダウントラック方向距離)が磁性ドットの必要記録磁界を上回った場合、記録済磁性ドットの磁化方向が意図しない方向に変化し、記録エラーを生じる。
【0014】
下記特許文献1には、BPMの導入により、線記録密度を高めることを目的とする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2007−305289号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Robert L. White, Richard M. H. New, and R. Fabian W. Pease, "Patterned Media: A Viable Route to 50 Gbit/inch2 and Up for magntetic Recording?", IEEE Transactions on Magnetics, Vol. 33, No. 1, pp990-995, January 1997.
【非特許文献2】H. J. Richter, A. Y. Dobin, O. Heinonen, K. Z. Gao, R. J. M. v. d. Veerdonk, R. T. Lynch, J. Xue, D. Weller, P. Asselin, M. F. Erden, and R. M. Brockie, "Recording on Bit-Patterned Media at Densities of 1 Tb/in2 and Beyond", IEEE Transactions on Magnetics, Vol. 42, No. 10, pp2255-2260, October 2006.
【非特許文献3】Hiroaki Muraoka, Simon J. Greaves, and Yasushi Kanai, "Modeling and Simulation of the Writing Process on Bit-Patterned Perpendicular Media", IEEE Transactions on Magnetics, Vol. 44, No. 11, pp3423-3429, November 2008.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
以上説明してきた通り、BPM記録方式においては、記録ヘッドと記録媒体の改良を進めても、隣接磁性ドットの磁化方向に起因する等価的な記録磁界印加位置の揺らぎに起因する記録エラーの可能性が依然として大きな要因として残り、記録線密度向上による記録面密度の上昇を阻害していた。それゆえ記録面密度の上昇を実現するためには、記録ヘッドと記録媒体の改良を進める他にも、記録方式を改善することにより、記録エラーの可能性を低減することが求められる。
【0018】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、記録ヘッドの主磁極後縁部におけるダウントラック方向記録磁界勾配∂H/∂xが不足することにともなう記録磁界印加位置マージンの不足を解消し、線記録密度上昇に対する制限を緩和することのできる磁気的情報記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る磁気的情報記録装置は、記録部に対して駆動電流を供給する第1区間と、第1区間における磁気的記録媒体の磁化状態を反転させる第2区間との間に、記録部に対して駆動電流を供給しない休止区間を設ける。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る磁気的情報記録装置によれば、磁気的記録媒体の磁化状態を反転させる間の区間において休止区間を設けることにより、休止区間中に磁気ヘッドを移動させることができる。すなわち、休止区間で磁界を出力しない間に、隣接する磁性ドットに対して誤書き込みしない程度の位置まで磁気ヘッドを移動させることができる。これにより、磁界印加位置マージンの不足に関する制限を緩和し、記録密度を増大させ、安価で大容量の磁気的情報記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態1に係る磁気的情報記録装置100の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】パターン解析器107および記録素子駆動回路112が記録動作を実施するときの動作例を説明する図である。
【図3A】記録素子の主磁極の幅が磁性ドット周期Pよりも長い場合における動作例を説明する図である。
【図3B】記録素子の主磁極の幅が磁性ドット周期Pよりも長い場合における動作例を説明する図である。
【図4A】磁性ドット周期Pが実施形態2よりも短い場合における動作例を説明する図である。
【図4B】磁性ドット周期Pが実施形態2よりも短い場合における動作例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る磁気的情報記録装置100の構成を示す機能ブロック図である。以下、磁気的情報記録装置100の各機能部について説明する。
【0023】
記録媒体124は、ガラス円盤表面上にスパッタ等で磁性膜(図示せず)を2次元的に連続形成した物に対し、さらにエッチング等の人為的加工を施して磁性膜をドット状に切断、分離することによって磁気的特性を面内で変調した記録膜をその表面に有する、いわゆるBPMである。記録媒体124は、Spindle Motor(SPM)116に固定されており、所定の速度で回転している。磁性ドットは、記録媒体124の表面に略同心円状に配置形成されている。
【0024】
SPMドライバ111は、SPM116に駆動電流を供給し、通常はその回転数を安定維持するとともに、必要に応じて装置消費電力を低減等させるためのスピン・アップ、スピン・ダウンの制御を実施する。
【0025】
記録再生ヘッド・スライダ123は、AlTiC等の硬質セラミックからなり、その内部に記録素子(図示せず)および再生素子(図示せず)を積載し、それらの素子を記録媒体124に対向させながら記録媒体124表面の極めて近傍を浮上している。また記録再生ヘッド123は、サスペンション122の一端に固定され、それを介して支持されている。サスペンション122の他端は、Voice Coil Motor(VCM)115に固定されている。VCM115の回転により、記録媒体124上における記録再生ヘッド123の位置を変化させることができる。
【0026】
記録再生ヘッド123内の再生素子は、記録媒体124の表面近傍における磁性ドット等からの漏洩磁界を検出し、その漏洩磁界を再生信号121に変換する。再生アンプ114は、再生信号121を適当なレベルまで増幅し、復号器108およびサーボ信号生成回路109に出力する。
【0027】
記録媒体124の表面には、その表面上の物理的位置を示すアドレス情報およびサーボ情報があらかじめ記録されている。サーボ信号生成回路109は、当該情報の記録された領域において得られた再生信号121を、シリンダ番号、セクタ番号といった記録媒体124上の区画位置情報126、および目標とするシリンダの中心から記録素子あるいは再生素子の位置がどれだけ離れているかを示すサーボ・エラー信号125に変換する。
【0028】
コントローラ106は、記録媒体124上の区画位置情報126を受け取り、記録再生動作の対象位置を判断し、磁気的情報記録装置100内の各ブロックを適切に制御する。
【0029】
VCMドライバ110は、サーボ・エラー信号125を受け取り、この信号が適切な状態となるよう、VCM115およびサスペンション122を介して記録再生ヘッド123の位置を制御する。VCMドライバ110は、VCM115に対して駆動電流を供給することにより、その姿勢を制御することができる。
【0030】
以上の動作により、記録再生ヘッド123内の記録素子および再生素子を、記録媒体124上の任意位置に安定的に位置づけることができる。
【0031】
ホスト装置101は、記録/再生を指示する命令(図示せず)を磁気的情報記録装置100に対して発行する。コマンド解析回路105は、ホスト装置が発行したコマンドを、インターフェース回路102を経由して受け取り、その内容を解釈する。コントローラ106は、その解釈結果を参照し、磁気的情報記録装置100内の各ブロックに対してコマンドの内容に応じた必要な制御を実施する。
【0032】
ホスト装置101が記録コマンドを発行すると、記録コマンドに続いてホスト装置101が出力するユーザ・データ(図示せず)が、所定量に達するまでインターフェース回路102を経由してバッファ・メモリ104に一旦蓄えられる。このユーザ・データが所定量に達し、かつ記録再生ヘッド123内の記録素子が記録媒体124上の所望の記録位置(記録対象とする磁性ドット上)に到達すると、符号器103は、ユーザ・データをバッファ・メモリ104から取り出し、記録媒体124上の磁化方向配置(磁性ドット毎の磁化方向)に対応する記録符号列117に変換する。
【0033】
パターン解析器107は、記録符号列117を受け取り、記録符号列117内の所定のデータ・パターンを検出する。パターン解析器107は、符号器103が出力した元々の記録符号列117および前記検出結果に基づき、記録磁界の発生を制御する記録磁界発生制御信号118を生成する。
【0034】
記録素子駆動回路112は、記録磁界発生制御信号118を受け取り、記録素子を実際に駆動する記録素子駆動電流119に変換する。記録素子は、記録素子駆動電流119によって駆動されると、記録媒体124に対して局所的な記録磁界(図示せず)を発生させ、記録媒体124上の所望の磁性ドットに記録磁界を印加し、その磁化方向を所望の方向に変化せしめ、記録動作を実現する。
【0035】
以上の動作においては、符号器103、パターン解析器107、記録素子駆動回路112および後述する復号器108は、基準時間発生器113が発生する基準時間信号(チャネル・クロック120)に同期して動作する。一方、情報再生時には、復号器108が増幅後の再生信号121に対して所定の復号信号処理およびエラー検出/訂正処理を施し、記録媒体124上に磁性ドットの磁化方向配列として記録されたユーザ・データを復元する。このユーザ・データはバッファ・メモリ104内に蓄えられ、ホスト装置101が発行した再生コマンドに応じて、所定量に達した時点で磁気的情報記録装置100の外部に出力される。
【0036】
図2は、パターン解析器107および記録素子駆動回路112が記録動作を実施するときの動作例を説明する図である。図2(a)は、基準時間発生器113が発生する基準時間信号(チャネル・クロック120)であり、そのパルス周期は記録媒体124上の磁性ドット周期Pに対応している。すなわち本動作例においては、符号器103が出力する記録符号列117の最小単位であるチャネル・ビット長は、磁性ドット周期Pに等しいものとする。前述した通り、符号器103、パターン解析器107、記録素子駆動回路112は、チャネル・クロック120に同期して動作する。
【0037】
ここでは記録素子に正方向の記録素子駆動電流119(=Iw>0)を流すと、記録符号”1”に対応する方向に、記録媒体124上の磁性ドットの磁化方向が変化するものとする。負方向の記録素子駆動電流119(Iw<0)を流した場合は、記録媒体124上の磁性ドットの磁化方向は記録符号”0”に対応する方向に変化するものとする。時間軸上で明記されていない部分では、記録符号列117として記録符号”0”が2チャネル・ビット長以上の十分に長い期間にわたり連続しているものとする。
【0038】
図2(b)〜(g)に示した記録素子駆動電流119波形は、記録符号”1”が連続している区間(”1”ラン)の長さがそれぞれ4、3、2、1、1、1チャネル・ビット長である場合に対応する。
【0039】
なお、本動作例においては、符号器103が出力する記録符号列117のラン長が1〜4チャネル・ビットの範囲を取っているが、このことは符号器103の変調規則がこれらに限られることを意図するものではない。例えば最短ラン長が2チャネル・ビット以上であってもよいし、5チャネル・ビット長以上のランが出現してもよい。以下の実施形態で例示するラン長についても同様である。
【0040】
図2(b)、(c)、(d)に示す通り、2チャネル・ビット長以上を有する”1”ランの先頭部分における記録符号”1”の直前において、記録素子駆動電流119がIw=0からIw≠0の駆動状態に遷移する。また、2チャネル・ビット長以上を有する”1”ランの後端部分における記録符号”1”の直後において、記録素子駆動電流119がIw≠0の駆動状態からIw=0に遷移する。これにより、チャネル・クロック120と、記録ヘッド主磁極(図示せず)が磁性ドット上を通過するタイミングとの間に適切な一定のディレイ量を設定できれば、各磁性ドットの中心が記録磁界の飽和領域に必ず入る状態で記録磁界を印加することができ、記録対象である各磁性ドットを確実に磁化反転させることができる。
【0041】
記録符号列117中の記録符号が変化する部分(”1”ランと”0”ランとの間の境界部分)においては、記録素子駆動電流119波形に必ずIw=0の区間(第1休止区間)が挿入される。これにより、境界直前の最終チャネル・ビットに対応する磁性ドットの磁化方向を確定した後(記録実施後)、磁化が確定した磁性ドットは、Iw=0となる期間にわたって、記録素子の主磁極後端から離れる。すなわち、磁気ヘッドは磁化が確定した磁性ドットから十分離れた位置に到達するまで磁界を出力しないので、誤書き込みの可能性を低減することができる。
【0042】
すなわち例えば図2において、磁性ドットの位置をその中央位置に代表させるものとし、Iw=0となる期間長をt0、記録素子駆動電流119がIw≠0の状態からIw=0の状態に遷移する瞬間を基準とし、Iw≠0の状態を継続すると仮定した場合に磁性ドットが記録磁界Hsatの領域を抜け出るまでの時間をt1(ただしt0>t1)、記録媒体124と記録再生ヘッド・スライダ123の相対速度をv、磁性ドットの周期をPとする。後続の磁性ドットに対する記録が開始される瞬間に、既に磁化が確定した直前の磁性ドットが受ける記録磁界の強度は、記録磁界の飽和値Hsatよりもv×(t0−t1)×∂H/∂xだけ低下する。したがって、磁性ドットの配列周期Pを短縮した結果、δHが増大し、後続の磁性ドットに対する記録が開始される瞬間において記録素子の主磁極後方にある記録済の磁性ドットにかかる磁界強度が無視できない場合であっても、t0−t1を許容できる範囲でなるべく大きく取ることによって記録済磁性ドットの磁化方向が意図しない方向に変化する可能性(Hsat−v×(t0−t1)×∂H/∂x+δHが磁性ドットの反転磁界強度を超える可能性)が極力抑えられ、記録エラーが生じ難くなる。
【0043】
なお、”0”ランに対する記録素子駆動電流119の発生手順は、以上説明してきた”1”ランに対する発生手順におけるIwの極性を反転することにより得られるので、ここでは説明を省略する。以下の実施形態においても同様である。
【0044】
図2(e)〜(g)は、いずれも”1”ランの長さが1チャネル・ビット長であるが、着目している記録符号”1”部分に対応する記録素子駆動電流119の発生規則がそれぞれ異なる実装例を示した。磁気的情報記録装置100の符号器103出力において1チャネル・ビット長の”1”ランが出力される場合には、図2(e)〜(g)いずれの実装例を用いてもよい。さらには、後述する発生規則を満足する限り、他の実装例を用いてもよい。
【0045】
図2(e)〜(g)に示す1チャネル・ビット長の”1”ランにおいても、図2(b)〜(d)と同様に、記録対象である各磁性ドットを確実に磁化反転させるという考え方に基づいて、記録素子駆動電流119であるIw=0となる区間を設けることができる。また、図2(e)〜(g)は、Iw=0となるタイミングがそれぞれ異なるが、記録符号”1”の中央で記録素子駆動電流119がIw≠0となっており、各磁性ドットの中央位置に確実に飽和磁界Hsatが印加される点で共通している。
【0046】
<実施の形態1:まとめ>
以上のように、本実施形態1に係る磁気的情報記録装置100は、ビット”1”を記録する区間とビット”0”を記録する区間の間に、記録素子駆動電流119を供給しない休止区間を設ける。これにより、BPM記録方式において、記録素子の主磁極後縁部におけるダウントラック方向記録磁界勾配の不足にともなう記録磁界印加位置マージンの不足を解消し、隣接磁性ドットの磁化方向に起因する等価的な記録磁界印加位置の揺らぎに起因する記録エラーを低減することができる。また、記録素子駆動電流119の一部にIw=0の区間を挿入することにより、記録素子駆動電流119の実効値が減少し、磁気的情報記録装置100の消費電力を削減する効果も期待できる。
【0047】
また、本実施形態1に係る磁気的情報記録装置100は、ラン境界の直前あるいは直後のラン長が2P以上である場合(図2(b)〜(d))と、当該ラン長が1Pである場合(図2(e)〜(g))において、休止区間の長さを変えることができる。例えば図2(d)における休止区間の長さと、図2(e)における休止区間の長さは、互いに異なる。これは、磁性ドットの中心位置において確実に記録素子駆動電流119を供給するようにする他、できる限り休止区間の長さを確保して磁気ヘッドの移動距離を稼ぎ、誤書き込みを防止する意義もある。さらには、休止区間を長くすることにより、記録素子駆動電流119の実効値が減少し、磁気的情報記録装置100の消費電力を削減する効果も期待できる。
【0048】
<実施の形態2>
図3Aと図3Bは、記録素子の主磁極の幅が磁性ドット周期Pよりも長い場合において、パターン解析器107および記録素子駆動回路112が記録動作を実施するときの動作例を説明する図である。磁気的情報記録装置100の構成は実施形態1と同様であるため、以下では磁気ヘッドの主磁極のダウントラック方向長さに関する事項を中心に説明する。
【0049】
図3A(a)は、図2(a)と同様に、基準時間発生器113が発生する基準時間信号(チャネル・クロック120)を示す。記録符号列117におけるチャネル・ビット長は、チャネル・クロック120の周期に相当し、磁性ドットの周期Pに等しいものとする。各部の動作は実施形態1と同様であるが、記録素子主磁極の幅が磁性ドット周期Pよりも長いため、2つ以上の磁性ドットに対して同時に情報が書き込まれる場合がある。
【0050】
本実施形態2において、記録媒体124上における磁性ドット配列のダウントラック方向周期Pは10nmであり、記録素子の主磁極のダウントラック方向長さdは25nmである。この場合、主磁極の直下には少なくとも2個の磁性ドットの中心が同時に存在することになる。したがって、記録素子に十分な強度の記録素子駆動電流119(=Iw)を流すと、その極性に応じて少なくとも2個の磁性ドットが同時に同じ方向にその磁化方向を変化させる。
【0051】
図3A(b)〜図3B(h)に示した記録素子駆動電流119波形は、符号器103の出力における”1”ランの長さがそれぞれ7、6、5、4、3、2、1チャネル・ビット長(7、6、5、4、3、2、1P)である場合に対応する。
【0052】
図3A(b)に示すように、”1”ランの長さが7チャネル・ビット長である場合、ランの先頭の記録符号”1”の中心をパルス中央として、Iw>0、パルス幅0.5チャネル・ビットの記録素子駆動電流119が供給される。”1”ラン内のそれ以外の期間においては、Iw>0の期間の後には、1.5チャネル・ビットの長さにわたりIw=0の期間が設けられ、さらにIw=0の期間の後には0.5チャネル・ビットの長さにわたりIw>0の期間が設けられる。
【0053】
すなわち、本実施形態2では、実施形態1のように単一ラン全体にわたって記録素子駆動電流119を連続して印加し続けるのではなく、単一ラン内にも休止区間(第2休止区間)が設けられる。本実施形態2では記録素子主磁極のダウントラック方向長さがドット周期Pより長いので、情報を書き込む際に互いに隣接する複数の磁性ドットにも同じ情報が書き込まれる。そのため、既に同じ情報を書き込んだ隣接磁性ドットに相当する位置では記録素子駆動電流119を供給する必要はないので、単一ラン内にも休止区間を設けることとした。図3A(c)〜図3B(h)においても同様である。
【0054】
図3A(c)に示すように、”1”ランの長さが6チャネル・ビットである場合、ランの先頭および2番目の記録符号”1”の境界をパルス中央として、Iw>0、パルス幅1.5チャネル・ビットの記録素子駆動電流119が供給される。”1”ラン内のそれ以外の期間においては、Iw>0の期間の後には、1.5チャネル・ビットの長さにわたりIw=0の期間が設けられ、さらにIw=0の期間の後には0.5チャネル・ビットの長さにわたりIw>0の期間が設けられる。
【0055】
図3A(d)〜図3B(h)においても、図3A(b)〜図3A(c)と同様の規則により、記録素子駆動電流119が供給され、記録するビットが反転する位置において0.5チャネル・ビット長の第1休止区間が設けられ、さらに単一ラン内に第2休止区間が設けられる。
【0056】
以上総括すると、奇数チャネル・ビット長を有する”1”ランにおいては、ランの先頭の記録符号”1”の中心をパルス中央として、Iw>0、パルス幅0.5チャネル・ビットの記録素子駆動電流119が供給される。その後当該ランの最後まで、1.5チャネル・ビット長のIw=0の期間と、0.5チャネル・ビット長のIw>0の期間が交互に設けられる。
【0057】
また、偶数チャネル・ビット長を有する”1”ランにおいては、ランの先頭および2番目の記録符号”1”の境界をパルス中央として、Iw>0、パルス幅1.5チャネル・ビットの記録素子駆動電流119が供給され、その後当該ランの最後まで、1.5チャネル・ビット長のIw=0の期間と、0.5チャネル・ビット長のIw>0の期間が交互に設けられる。
【0058】
さらに、記録符号列117中の記録符号が変化する部分(”1”ランと”0”ランとの間の境界部分)においては、記録素子駆動電流119波形に必ず0.5チャネル・ビット長のIw=0の区間が挿入される。これにより、境界直前の最終チャネル・ビットに対応する磁性ドットの磁化方向が確定した後(記録実施後)、Iw=0の期間にわたって、磁化が確定した磁性ドットは、記録素子の主磁極後端から離れる。
【0059】
すなわち図3Aおよび図3Bにおいて、磁性ドットの一をその中央位置に代表させるものとし、記録媒体124と記録再生ヘッド・スライダ123の相対速度をv、記録素子駆動電流119がIw≠0の状態からIw=0の状態に遷移する瞬間を基準とし、Iw≠0の状態を継続すると仮定した場合に磁性ドットが記録磁界Hsatの領域を抜け出るまでの時間をt1(ただし0.5P>v×t1)とすると、後続の磁性ドットに対する記録が開始される時点において、既に磁化が確定した直前の磁性ドットが受ける記録磁界の絶対値は、記録磁界の飽和値Hsatよりも(0.5P−v×t1)×∂H/∂xだけ強度が低下する。したがって、実施形態1と同様に、記録済磁性ドットの磁化方向が意図しない方向に変化する可能性が極力抑えられ、記録エラーが生じ難くなる。
【0060】
<実施の形態2:まとめ>
以上のように、本実施形態2に係る磁気的情報記録装置100も、実施形態1と同様の効果を発揮することができる。
【0061】
また、本実施形態2に係る磁気的情報記録装置100は、ラン区間内にIw=0となる第2休止区間を追加挿入することにより、記録素子駆動電流119の実効値がさらに減少し、磁気的情報記録装置100の消費電力を実施形態1以上に削減する効果が期待できる。
【0062】
なお、本実施形態2において、ラン区間内の休止区間の長さは、記録素子主磁極の長さを磁性ドット周期Pで除算した長さ未満である必要がある。これ以上の長さの休止区間を設けると、磁性ドットに対して情報を書き込むことができない可能性があるからである。以下の実施形態3においても同様である。
【0063】
<実施の形態3>
図4Aと図4Bは、磁性ドット周期Pが実施形態2よりも短い場合において、パターン解析器107および記録素子駆動回路112が記録動作を実施するときの動作例を説明する図である。磁気的情報記録装置100の構成は実施形態1〜2と同様であるため、以下では実施形態2との差異点を中心に説明する。
【0064】
図4A(a)は、図2(a)と同様に、基準時間発生器113が発生する基準時間信号(チャネル・クロック120)を示す。記録符号列117におけるチャネル・ビット長は、チャネル・クロック120の周期に相当し、磁性ドットの周期Pに等しいものとする。各部の動作は実施形態2と同様であるが、磁性ドット周期Pが実施形態2よりも短いため、記録素子駆動電流119(=Iw)の波形パターンが実施形態2とは異なる。
【0065】
本実施形態3において、記録媒体124上における磁性ドット配列のダウントラック方向周期Pは8nmであり、記録素子の主磁極のダウントラック方向長さdは25nmである。この場合、主磁極の直下には少なくとも3個の磁性ドットの中心が同時に存在することになる。したがって、記録素子に十分な強度の記録素子駆動電流119を流すと、その極性に応じて少なくとも3個の磁性ドットが同時に同じ方向にその磁化方向を変化させる。
【0066】
図4A(b)〜図4B(h)に示した記録素子駆動電流119波形は、符号器103の出力における”1”ランの長さがそれぞれ7、6、5、4、3、2、1チャネル・ビット長である場合に対応する。
【0067】
図4A(b)に示すように、”1”ランの長さが7チャネル・ビット長である場合、ランの先頭の記録符号”1”の中心をパルス中央として、Iw>0、パルス幅0.5チャネル・ビットの記録素子駆動電流119が供給される。”1”ラン内のそれ以外の期間においては、Iw>0の期間の後には、2.5チャネル・ビットの長さにわたりIw=0の期間が設けられ、さらにIw=0の期間の後には0.5チャネル・ビットの長さにわたりIw>0の期間が設けられる。
【0068】
一般化すると、”1”ランにおいては、ランの先頭の記録符号”1”の中心をパルス中央として、Iw>0、パルス幅0.5チャネル・ビットの記録素子駆動電流119が供給され、その後当該ランの最後まで、2.5チャネル・ビット長のIw=0の期間と、0.5チャネル・ビット長のIw>0の期間が交互に設けられる。Iw=0の期間の途中で当該ランが終了する場合は、記録素子駆動電流119はIw=0の状態をそのまま維持する。
【0069】
さらに、記録符号列117中の記録符号が変化する部分(”1”ランと”0”ランとの間の境界部分)においては、記録素子駆動電流119波形には必ず0.5チャネル・ビット長以上のIw=0の休止区間が挿入される。
【0070】
すなわち図4Aおよび図4Bにおいて、磁性ドットの一をその中央位置に代表させるものとし、記録媒体124と記録再生ヘッド・スライダ123の相対速度をv、記録素子駆動電流119がIw≠0の状態からIw=0の状態に遷移する瞬間を基準とし、Iw≠0の状態を継続すると仮定した場合に磁性ドットが記録磁界Hsatの領域を抜け出るまでの時間をt1(ただし0.5P>v×t1)とすると、後続の磁性ドットに対する記録が開始される時点において、既に磁化が確定した直前の磁性ドットが受ける記録磁界の絶対値は、記録磁界の飽和値Hsatよりも(0.5P−v×t1)×∂H/∂xだけ強度が低下する。したがって、実施形態1〜2と同様に、記録済磁性ドットの磁化方向が意図しない方向に変化する可能性が極力抑えられ、記録エラーが生じ難くなる。
【0071】
<実施の形態3:まとめ>
以上のように、本実施形態3に係る磁気的情報記録装置100も、実施形態1〜2と同様の効果を発揮することができる。
【0072】
また、本実施形態3に係る磁気的情報記録装置100は、記録素子主磁極の幅と磁性ドット周期Pの比が実施形態2よりも大きくなっているので、ラン区間内にIw=0となる休止区間を実施形態2よりも長く挿入することができる。これにより、記録素子駆動電流119の実効値がさらに減少し、磁気的情報記録装置100の消費電力を実施形態2以上に削減する効果が期待できる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が当業者にとって可能であるのはもちろんである。例えば、上記実施形態では、記録媒体124の形状として円盤状の形態を例示したが、記録媒体124の形状はこれに限られず、帯状、円筒状ないし円柱状などの形態でもよい。
【0074】
また、上記説明ではBPMに対する記録方式(磁性ドットの磁化方向の反転を引き起こさせる方式)として、記録磁界の印加のみによる純粋な磁気記録方式を例にとって説明したが、これは記録方式(原理)を限定する意図ではない。すなわち本発明は、BPMに記録磁界を印加するとともに熱エネルギーを注入して磁化反転を引き起こすことにより情報を記録する熱アシストを併用したBPM記録方式、あるいは、BPMに記録磁界を印加するとともに高周波磁界を印加して必要記録磁界を低減させながら磁化反転を引き起こすことにより情報を記録するマイクロ波アシストを併用したBPM記録方式など、他の磁気記録方式においても共通して適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
100:磁気的情報記録装置、101:ホスト装置、102:インターフェース回路、103:符号器、104:バッファ・メモリ、105:コマンド解析回路、106:コントローラ、107:パターン解析器、108:復号器、109:サーボ信号生成回路、110:VCMドライバ、111:SPMドライバ、112:記録素子駆動回路、113:基準時間発生器、114:再生アンプ、115:VCM、116:SPM、117:記録符号列、118:記録磁界発生制御信号、119:記録素子駆動電流、120:チャネル・クロック、121:再生信号、122:サスペンション、123:記録再生ヘッド・スライダ、124:記録媒体、125:サーボ・エラー信号、126:区画位置情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気的特性を面内で変調した記録膜を表面に有する磁気的記録媒体と、
前記磁気的記録媒体の表面にある記録膜の磁化状態を局所的に変化させる記録部と、
前記記録部に駆動電流を供給することによって前記記録部を駆動する駆動部と、
を備え、
前記駆動部は、
前記記録部に対して前記駆動電流を供給する第1区間と、前記第1区間における前記磁気的記録媒体の磁化状態を反転させる前記駆動電流を供給する第2区間との間に、前記記録部に対して前記駆動電流を供給しない第1休止区間を設ける
ことを特徴とする磁気的情報記録装置。
【請求項2】
前記駆動部は、
前記記録部に対して連続して前記駆動電流を供給するラン区間の長さに応じて、前記第1休止区間の長さを変更する
ことを特徴とする請求項1記載の磁気的情報記録装置。
【請求項3】
前記駆動部は、
前記ラン区間の長さが所定区間以上であるときの前記第1休止区間の長さを、前記ラン区間の長さが前記所定区間未満であるときの前記第1休止区間の長さよりも長くする
ことを特徴とする請求項2記載の磁気的情報記録装置。
【請求項4】
前記記録部は、
前記磁気的記録媒体に対して情報を書き込むための磁界を出力する磁極を備え、
前記磁極の主走査方向に沿った長さは、
前記磁化状態によって情報を記録する磁性ドットの配置周期以上に長く形成されており、
前記駆動部は、
前記記録部が複数の前記配置周期にわたって前記磁気的記録媒体の前記磁化状態を同時に変化させる区間の少なくともいずれかの時点において、前記記録部に対して前記駆動電流を供給しない第2休止区間を設ける
ことを特徴とする請求項2記載の磁気的情報記録装置。
【請求項5】
前記駆動部は、
前記磁極の主走査方向に沿った長さを前記配置周期で除算した値以上の長さに相当する前記ラン区間において、前記磁極の主走査方向に沿った長さを前記配置周期で除算した値未満の長さに相当する前記第2休止区間を設ける
ことを特徴とする請求項4記載の磁気的情報記録装置。
【請求項6】
前記駆動部は、
前記磁気的記録媒体上に形成され、前記磁化状態によって情報を記録する磁性ドットの中心位置に対応する区間において、前記記録部に前記駆動電流を必ず供給する
ことを特徴とする請求項1記載の磁気的情報記録装置。
【請求項7】
前記駆動部は、
前記磁気的記録媒体上に形成され、前記磁化状態によって情報を記録する磁性ドットの中心位置に対応する区間において、前記記録部に前記駆動電流を必ず供給するように、前記第1休止区間の開始位置および終了位置を調整する
ことを特徴とする請求項1記載の磁気的情報記録装置。
【請求項8】
前記駆動部は、
前記磁気的記録媒体上に形成され、前記磁化状態によって情報を記録する磁性ドットの中心位置に対応する区間において、前記記録部に前記駆動電流を必ず供給するように、前記第2休止区間の開始位置および終了位置を調整する
ことを特徴とする請求項4記載の磁気的情報記録装置。
【請求項9】
磁気的特性を面内で変調した記録膜を表面に有する磁気的記録媒体と、
前記磁気的記録媒体の表面にある記録膜の磁化状態を局所的に変化させる記録部と、
前記記録部に駆動電流を供給することによって前記記録部を駆動する駆動部と、
を備える磁気的情報記録装置を用いて情報を記録する方法であって、
前記記録部に対して前記駆動電流を供給する第1区間と、前記第1区間における前記駆動電流と逆極性の前記駆動電流を供給する第2区間との間に、前記記録部に対して前記駆動電流を供給しない第1休止区間を設けるステップを有する
ことを特徴とする磁気的情報記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2013−4153(P2013−4153A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136425(P2011−136425)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成22年度 文部科学省「高機能・超低消費電力スピンデバイス・ストレージ基盤技術の開発(「超高感度リーダ技術」および「超テラビット記録方式・記録システム」の開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】