説明

磁気結合プローブ担体及び磁気結合プローブ担体を用いた標的物質との反応の制御方法

【課題】 従来よりも検出感度が向上できるプローブアレイを提供すること。
【解決手段】 複数のプローブが担体に固定されているプローブ担体であって、該プローブの片側の末端は担体と結合しており、該プローブのもう一方の末端は磁気粒子と結合している事を特徴とする磁気結合プローブ担体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的物質に対して特異的に結合可能なプローブを有するプローブ担体の製造方法、プローブアレイ、標的物質の検出方法、さらにはサンプル中の標的物質の定量方法に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸の塩基配列の決定やサンプル中の標的核酸の検出、各種細菌の同定を迅速かつ正確に行える技術のひとつとして、例えば、特定の塩基配列を有する標的核酸と特異的に結合する物質、いわゆるプローブを利用して固相上に複数種のプローブをアレイ状に配置したプローブアレイ基板とした上で、同時に複数種のプローブに対する特異的な結合能力を評価する方法が提案されている。プローブ担体とは、プローブアレイとも言い、ガラス基板やプラスティック基板、メンブランなどの上に数十から一千種類以上の異なる種類のDNA断片などからなるプローブをスポットとして高密度に整列固定させた物である。
【0003】
近年、このようなプローブアレイを利用する標的物質の検出や定量に関する研究は精力的に行われてきている。例えば、特許文献1にはフォトリソグラフィーを用いた固相担体上でのDNA逐次伸長反応によるプローブアレイ作製方法が、特許文献2には、キャピラリーを用いてDNAをメンブラン上へ供給するプローブアレイ作製方法が、特許文献3にはピエゾ・ジェット・ノズルを用いてDNA複数種を固相合成するプローブアレイ作製方法が、特許文献4にはインクジェットヘッドによりプローブを含む液体を液滴として固相に付着させるプローブアレイ作製方法が記載されている。更に特許文献5には、強磁性流体をベースにした磁気的に得られるマイクロアレイの作製方法が記載されている。
【0004】
上記の方法で作成されたプローブアレイは、未知配列を有する標的物質との反応工程(ハイブリダイゼーション)後に、プローブアレイ上のプローブと標的物質との結合の有無や、結合量をシグナルとして検出する事で、標的物質中に含まれる未知配列を特定したり、定量することができる。
【0005】
ハイブリダイゼーションの反応は、プローブが固定されたガラス板などから成るプローブアレイに、あらかじめ蛍光標識などを施した標的物質を含む反応溶液を滴下し、カバーガラスなどを乗せ、一定時間恒温槽に放置する方法で行っていた。その後、恒温槽からプローブアレイを取り出して洗浄液などでプローブアレイを洗浄し、検出器によって標識に用いた蛍光物質を励起させ、その蛍光を読み取る事でプローブとハイブリダイズを形成する標的物質を同定することができる。
【0006】
このハイブリダイゼーションの反応効率を高め、反応時間を短縮する方法として、特許文献6ではハイブリダイゼーション反応溶液に電荷を供給する金属を有する事で、反応溶液中に電荷を供給し、ハイブリダイゼーション反応溶液中の生体物質をプローブアレイ側に引き寄せると記載されている。また特許文献7には、標的物質に磁性体を貼付して、これに磁気吸引力を作用させ、反応溶液中の標的物質とプローブとの相補的な結合を高速化させる事が記載されている。
【特許文献1】米国特許第5,424,1865号明細書
【特許文献2】国際公開第95/35505号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第0703825号明細書
【特許文献4】特開平11−187900号公報
【特許文献5】特表2003−523185
【特許文献6】特表2001−153870
【特許文献7】特開2003−159057
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のプローブアレイによる標的物質との反応方法では、プローブアレイ上のプローブの立体構造に注目した物は無く、標的物質との反応中にプローブアレイ上のプローブ同士が絡まっていたり、プローブがプローブアレイの担体に吸着してしまったりする事により、標的物質と遭遇する機会が減少し、十分な反応を行う事ができないため、検出感度も高める事ができない状態であった。
【0008】
すなわち、本発明は、従来よりも検出感度が向上できるプローブアレイを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は下記の本発明によって解決された。
(1)担体上にプローブを固定化することにより、プローブ担体を作製した。
(2)作製したプローブ担体に、官能基を有する磁気粒子を付与する事で、プローブの担体と結合していない側の官能基と反応させて、磁気結合プローブ担体を作製した。
(3)磁気結合プローブ担体と標的物質の反応において、反応場に磁場をかける事により、磁気結合プローブ担体上に固定されている磁気結合プローブの向きを任意に制御する事が可能となり、磁気結合プローブ担体上のプローブ同士の絡まりや、磁気結合プローブの担体表面への吸着を抑制する事ができるようになり、標的物質と遭遇する機会が増大する事によって、十分な標的物質との反応を行う事が可能となり、検出感度を高める事が可能となった。
【発明の効果】
【0010】
以上のことから、従来用いられてきたプローブ担体と本発明による磁気結合プローブ担体を用いて、磁場を印加しながら標的物質と特異的な結合をする反応、いわゆるハイブリダイゼーション反応を行った結果、従来用いられてきたプローブ担体及びハイブリダイゼーション反応よりも、本発明による方法により、蛍光強度は2倍となり、検出感度を示すS/Nも2倍に向上させる事ができた。
【0011】
本発明により、標的物質と特異的に結合可能なプローブと標的物質との反応が十分に行える事で、標的物質の検出のダイナミックレンジが大きくなり、標的物質の定量の正確性も向上し、検出感度が向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、複数のプローブが担体に固定されているプローブ担体であって、該プローブの片側の末端は担体と結合しており、該プローブのもう一方の末端は磁気粒子と結合している事を特徴とする磁気結合プローブ担体及びその製造方法、更には磁気結合プローブ担体を用いた標的物質との反応方法に関する。
【0013】
本発明は更に、前記磁気粒子が、磁性微粒子である事が好ましく、更には磁性ナノ粒子、及び磁性物質を被覆した微粒子からなる群から選択された少なくとも一種であることが好ましい。
【0014】
本発明は、前記プローブの二つの末端のうち、片方の末端に第一の官能基を導入する工程と、もう一方の末端に第二の官能基を導入する工程と、第一の官能基と接触する事で反応し、結合しうる第三の官能基を前記磁気粒子に導入する工程と、前記プローブの第二の官能基と結合しうる第四の官能基を前記担体に導入する工程と、前記プローブの第二の官能基と前記担体の第四の官能基とを接触させる事で、前記プローブと前記担体とを結合させる工程を含み、前記プローブの第一の官能基と前記磁気粒子の第三の官能基とを接触させる事で、前記プローブと前記磁気粒子とを結合させる工程を含むことを特徴とする磁気結合プローブ担体及びその製造方法、更には磁気結合プローブ担体を用いた標的物質との反応方法に関する。
【0015】
本発明は、前記プローブを担体の所定の位置に、逐次伸長反応によって作製し、互いに独立した複数のスポットを有するプローブ担体を作製する工程と、該プローブ担体上のプローブの担体と結合していないプローブの末端に、第一の官能基を導入する工程と、第一の官能基と接触する事で反応し、結合しうる第二の官能基を前記磁気粒子に導入する工程と、前記第一の官能基を有する該プローブ担体上のプローブと、前記第二の官能基を有する該磁気粒子とを結合させる工程を含むことを特徴とする磁気結合プローブ担体及びその製造方法、更には磁気結合プローブ担体を用いた標的物質との反応方法に関する。
【0016】
本発明は、前記担体が、ガラス板、プラスティック、シリカ、金属、膜、繊維、マイクロタイターウェルからなる群から選択された少なくとも一種であることが好ましい。
【0017】
本発明は、磁気結合プローブと特異的に結合する標的物質との反応工程において、反応場に磁場をかけ、更には磁場の強度を調整する事で、磁気結合プローブ担体上に固定されている磁気結合プローブの向きや状態を任意に制御できる事を特徴とする磁気結合プローブ担体と標的物質の反応方法に関する。
【0018】
本発明に用いられる磁気粒子及びプローブ、プローブを固定する担体、磁気粒子とプローブの結合方法、磁気結合プローブと担体の結合方法、ハイブリダイゼーションの反応方法及び反応場は以下のようなものが挙げられる。しかし、ここで挙げたものにだけ限るものではない。
【0019】
本発明で述べている磁気粒子とは、磁性微粒子、磁性ナノ粒子及び磁性物質を被覆した微粒子などからなる群より選択された少なくとも一種であれば何でも良い。磁性粒子の材料は特に限定はされず、例えばNi粒子や金属鉄、Fe34、γ-Fe23、Co-γ-Fe23、(NiCuZn)O・(CuZn)O・Fe23、(MnZn)O・Fe23、(NiZn)O・Fe23、SrO・6Fe23、BaO・6Fe23、SiO2で被覆したFe34(粒径200Å)[Emzyme Microb.Technol.,vol.2,p2-10(1980)参照]等の各種フェライトと各種の高分子材料(ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリスチレン)との複合粒子である。粒径は、磁気結合プローブをインクジェットで吐出する場合には、吐出可能な大きさであり、吐出に悪影響を与えないことが望まれる。好ましくは0.02〜20μm、最も好ましくは0.1μm以下の粒径範囲である。
【0020】
また、磁気粒子が吐出不可能な粒径である場合には、担体にプローブを結合した後に、磁気粒子を担体上へ供給して、磁気粒子とプローブの結合反応を実施する。その場合には、隣り合うスポット内のプローブ同士が同一の磁気粒子に結合しない程度の粒径の磁気粒子を用いる事が好ましい。さらに、磁気粒子の粒径があまりにも大きい場合には、ハイブリダイゼーション後の検出時において、検出方法によっては磁気粒子が検出を阻害する恐れがあるので、担体の裏側から検出する事が好ましい。
【0021】
更に、磁気結合プローブと標的物質の反応工程において、反応場に磁場をかけて磁気結合プローブの向きや伸縮を制御する際には、プローブ1本に対して磁気粒子1個が結合することで、制御した際の磁気結合プローブの自由度が最も大きくなるので、より好ましくは、磁気粒子は磁気ナノ粒子であり、かつ粒子径が小さい物が好適である。
【0022】
本発明で用いるプローブとしては、核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、からなる群から選択された少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0023】
本発明で用いる事が可能な担体素材としては、ガラス板、プラスティック、シリカ、金属、膜、繊維、マイクロタイターウェルなどが挙げられる。これらの担体は、磁気結合プローブ担体と標的物質の反応の際に、反応場に磁場をかけた時に磁化されない素材を選ぶ事が重要である。
【0024】
本発明において磁気粒子とプローブとの結合は、核酸やタンパク質などのプローブの両末端に異なる官能基(第一の官能基と第二の官能基)を導入し、その片側(第一の官能基)の官能基と結合する事のできる官能基(第三の官能基)を磁気粒子に導入し、両者を結合する事により得る事ができる。磁気粒子とプローブの結合方法には、物理吸着法やイオン結合法、共有結合法が挙げられる。物理吸着法は、磁気粒子とプローブとの間に働く疎水性相互作用により固定化する方法であり、磁気粒子はプローブ溶液に浸漬するだけでプローブと吸着する。イオン結合法は、陽イオンと陰イオンが静電気力(クーロン力)によって引き合ってできる結合である。物理吸着法やイオン結合法は、可逆的な結合法のため、本発明ではあまり好ましくない。それに対し共有結合法は、磁気粒子とプローブの両者に互いに共有結合が可能な官能基を導入し、両者を接触させる事で不可逆的に結合する事ができる。
【0025】
より具体的な組み合わせとしては、磁気粒子へ導入する第三の官能基として、イソシアネート基、エポキシ基、ホルミル基、メルカプト基等が挙げられ、プローブへ導入する第一の官能基としては、アミノ基が挙げられる。また、磁気粒子へ導入する第三の官能基とプローブへ導入する第一の官能基が前途の逆にしても良い。
【0026】
更に、磁気粒子へ導入する第三の官能基として、マレイミジル基、α,β-不飽和カルボニル基、α-ハロカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、アジリジン基及びジスルフィド基等が挙げられ、プローブへ導入する第一の官能基としては、チオール基が挙げられる。また、磁気粒子へ導入する第三の官能基とプローブへ導入する第一の官能基が前途の逆にしても良い。
【0027】
また、磁気粒子に官能基が導入されている市販のものを使用しても良い。
【0028】
本発明においてプローブを担体へ結合させる方法は、磁気粒子とプローブの結合方法と同様の事が挙げられる。核酸やタンパク質などのプローブの両末端に異なる官能基(第一の官能基と第二の官能基)を導入し、その片側(第二の官能基)の官能基と結合する事のできる官能基(第四の官能基)を担体に導入し、両者を結合する事により得る事ができ、共有結合で不可逆的に結合する事が好適である。プローブと担体の両者に互いに共有結合が可能な官能基を導入し、両者を接触させる事で不可逆的に結合する事ができる。
【0029】
より具体的な組み合わせとしては、プローブへ導入する第二の官能基として、イソシアネート基、エポキシ基、ホルミル基、メルカプト基等が挙げられ、担体へ導入する第四の官能基としては、アミノ基が挙げられる。また、プローブへ導入する第二の官能基と担体へ導入する第四の官能基が前途の逆にしても良い。
【0030】
更に、プローブへ導入する第二の官能基として、マレイミジル基、α,β-不飽和カルボニル基、α-ハロカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、アジリジン基及びジスルフィド基等が挙げられ、担体へ導入する第四の官能基としては、チオール基が挙げられる。また、プローブへ導入する第二の官能基と担体へ導入する第四の官能基が前途の逆にしても良い。上記で、磁気粒子とプローブの結合及びプローブと担体を各々共有結合する事が可能である官能基の組み合わせを述べたが、磁気粒子とプローブの結合、プローブと担体の結合において、プローブの両端の官能基は異なる物でなくてはならない。また、上記で述べた組み合わせは、各々の結合が可能であれば、上記に限らない。
【0031】
また、担体上へのプローブの結合方法としては、担体上への逐次伸長合成によりプローブを担体上へ固定することができる。この場合には、担体上に結合していないプローブの末端側に第一の官能基を導入し、第一の官能基と結合する事のできる第二の官能基を磁気粒子に導入し、第一の官能基と第二の官能基が共有結合で結合できる組み合わせにする事が望まれる。
【0032】
より具体的な組み合わせとしては、磁気粒子へ導入する第一の官能基として、イソシアネート基、エポキシ基、ホルミル基、メルカプト基等が挙げられ、プローブへ導入する第二の官能基としては、アミノ基が挙げられる。また、磁気粒子へ導入する第一の官能基とプローブへ導入する第二の官能基が前途の逆にしても良い。
【0033】
更に、磁気粒子へ導入する第一の官能基として、マレイミジル基、α,β-不飽和カルボニル基、α-ハロカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、アジリジン基及びジスルフィド基等が挙げられ、プローブへ導入する第二の官能基としては、チオール基が挙げられる。また、磁気粒子へ導入する第一の官能基とプローブへ導入する第二の官能基が前途の逆にしても良い。
【0034】
また、磁気粒子に官能基が導入されている市販のものを使用しても良い。
【0035】
本発明において、担体へのプローブのスポッティングに用いるスポッティング溶液としては、例えば、グリセリン7.5質量%、尿素7.5質量%、チオジグリコール7.5質量%、及びアセチレンアルコール(商品名:アセチレノールEH;川研ファインケミカル(株)社製)1質量%を含む水溶液を用意し、一本鎖DNAを含む溶液(一本鎖DNA濃度が約400mg/mlであるTE溶液(10mM Tris−HCl(pH8)/1mM EDTA水溶液))に加え、一本鎖DNAの最終濃度が8μMとなるように調整したものが挙げられる。このプローブ溶液の表面張力は20〜50dyne/cmの範囲内であり、また粘度は1.2〜2.0cps(E型粘度計:東京計器(株)社製)である。
【0036】
これらのプローブを含むスポッティング溶液を担体上へスポッティングする方法は、ピン法、インクジェット法などが挙げられるが、これらの形式に限定されるわけではなく、プローブを含むスポッティング溶液を担体上へスポットすることが可能である方法であれば種類は問わない。なお、インクジェット法の場合はバブルジェット(登録商標)方式及びピエゾ方式による液体吐出装置のいずれも用いることができる。
【0037】
また、プローブを含むスポッティング溶液を担体上へスポッティングし、プローブと担体を結合させた後に、上記のスポッティング溶液中に、官能基を導入した磁気粒子を分散させ、担体上のプローブをスポッティングした位置へ重ねてスポッティングすることにより、担体上のプローブと磁気粒子とが反応し、結合する事により、磁気結合プローブ担体を作製する事ができる。
【0038】
プローブと磁気粒子の結合は、プローブと担体を結合させた後に行う事が最も好ましい。
【0039】
プローブと磁気粒子を先に結合させてしまうと磁気粒子の全面にプローブが結合してしまい、磁気結合プローブと担体を結合して、磁気結合プローブ担体を作製した際に、磁気結合プローブ担体上に存在するプローブの絶対量にばらつきが生じてしまい、後の磁気結合プローブ担体を用いた、磁気結合プローブと標的物質の反応の際に、標的物質の結合量が、各プローブの種類毎に異なってしまい、検出手段としての磁気プローブ担体の検出精度が悪くなってしまう。
【0040】
上記のプローブ及び磁気粒子を担体上へスポッティングする際に用いるスポッティング溶液は、プローブや磁気粒子及び担体が持つ官能基と反応をしない溶液を用いる事が好ましい。
【0041】
本発明における標的物質との反応方法は、反応中の磁気結合プローブ担体に磁場をかける事により、磁気結合プローブ担体上に結合している磁気結合プローブを担体表面に対して垂直な方向に直立させた状態にして、磁気結合プローブ同士の絡み合いや担体表面への吸着などの立体障害を抑制する事により、磁気結合プローブと特異的に結合する標的物質との反応を任意に制御し、効率的に行う事を特徴とする。
【0042】
磁場をかける方法としては、継続的に一定の磁場をかけて磁気結合プローブを直立させる方法と、周期的あるいは強弱をつけて磁場をかけ、磁気結合プローブの直立する方向や伸縮具合を任意に変化させる方法が挙げられる。
【0043】
継続的に磁場をかける方法としては、反応ケースの上部に磁石を埋め込み、この磁石付き反応ケースを用いて反応を行う事で磁気結合プローブが担体表面に対して垂直方向に直立した状態になり、磁気結合プローブと特異的に結合する標的物質との反応を効率的に行う事が可能である。
【0044】
周期的あるいは強弱をつけて磁場をかける方法としては、反応ケースの上部に電磁石を設置することにより、必要な際に必要な磁力を電気的に発生させる事ができる。電磁石の設置する位置と個数を増やし、磁力を発生させるタイミングを制御する事で、ハイブリダイゼーション反応中に磁気結合プローブの直立する方向を任意に変化させる事ができ、磁気結合プローブの自由度を大きくし、標的物質との遭遇確率をより高める事ができる。
【0045】
更に、磁場の強度を調整する事で、磁気結合プローブの伸縮具合を制御する事により、標的物質が磁気結合プローブに結合し易い磁気結合プローブの状態にする事で、よりいっそう磁気結合プローブと特異的に結合する標的物質との反応を効率的に行う事が可能である。
【0046】
上記で述べた標的物質との反応をプローブに結合した磁気粒子が阻害しない為に、第一の官能基をプローブに導入する際に、プローブと第一の官能基との間をスペーサーを介する事により、プローブと磁気粒子との距離が離れる事で、磁気結合プローブと標的物質との反応を磁気粒子が阻害することを防ぐ事が可能となり、好適である。またスペーサーを、第四の官能基を導入した後の担体と親和性の無い物にする事で、磁気粒子の導入時に、磁気粒子の第三の官能基とプローブの第一の官能基との結合反応がより効率的に行う事ができる。
【0047】
以下に本発明をより詳細に説明する。
【0048】
図1は、本発明の一実施形態により得られる、磁気結合プローブ担体の模式断面図である。磁気結合プローブは担体上に固定されている。プローブの両末端に第一(5)、第二(6)の官能基が導入されており、磁気粒子(1)の第三の官能基(4)とプローブの第一の官能基(5)が共有結合し、磁気結合プローブの第三の官能基(4)と担体の第四の官能基(7)が共有結合する事で磁気結合プローブ担体が得られる。プローブへの第一の官能基の導入はスペーサー(13)を介しても介さなくても良いが、介した方が好まれる。
【0049】
図2は、本発明の磁気結合プローブではないプローブ(2)を用いたプローブ担体の標的物質との反応の模式断面図である。反応ケース(8)の中にプローブ担体を設置し、標識された標的物質(10)を含んだ反応溶液を注入する。その後ペルチェ素子(9)で温度を制御して標的物質との反応を行うが、標識された標的物質と特異的に反応を行うはずの、担体上に固定されたプローブ(2)の立体構造が、図2の様にプローブ同士で絡み合ったり、基板に非特異的に吸着してしまうことで、標識された標的物質と十分に遭遇する機会を得る事ができずに、標的物質との反応の効率が低下している事を示している。
【0050】
図3は、本発明の一実施の形態による磁場を印加した場合の標的物質との反応の模式断面図である。図1の磁気結合プローブ担体を磁石内蔵型反応ケース(11)に設置し、標識された標的物質(10)を含んだ反応溶液を注入する。その後ペルチェ素子(9)で温度を制御して標的物質との反応を行うと、標識された標的物質と特異的に反応を行う、担体上に固定された磁気結合プローブ(12)が反応ケース上部の磁力に引き寄せられる事で、直立した状態になる。磁気結合プローブが直立する事で、標識された標的物質との遭遇する機会が増大し、十分な標的物質との反応が行える事を示している。
【0051】
図4は、磁場の強度を変化させる事により、プローブの直立と弛緩を制御している様子を示している。
【0052】
以下に、本発明をより詳細に説明する。かかる実施例はここに例示するものに限られるものではない。
【実施例1】
【0053】
Fe粒子を用いた磁気結合プローブ担体の作製及び標的物質との反応
(1)プローブの合成
標的物質に対して特異的に結合可能なプローブとして一本鎖DNAプローブを用いた。DNA自動合成機を用いて配列番号1の一本鎖核酸を合成した。なお配列番号1の一本鎖DNA末端にはDNA自動合成機での合成時に、3’末端側にメルカプト(SH)基を導入し、5’末端側にスペーサーを介してアミノ(NH2)基を導入した。続いて脱保護を行ない、DNAを回収し、高速液体クロマトグラフィーにて精製し、以下の実験に用いた。
配列番号:1 5' cgt-acg-atc-gat-gta-gct-agc-atg-c3'
(2)磁気粒子の準備
イソシアネート基を有するシラン化合物(3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン)を含むシランカップリング剤(商品名:KBE−9007;信越化学工業(株)社製)の1wt%エタノール溶液中にFe粒子(直径数nm〜30nm)を入れ、室温下で2時間撹拌して反応させた。反応後、Fe粒子を磁石で反応溶液の下部に集結させ、エタノールを入れ替えしながら3回Fe粒子を洗浄し、120度に加熱したオーブン中で10分間ベークする事で、磁気粒子にイソシアネート基を導入した。
【0054】
(3)担体の準備
特許文献4の(0087)実施例1〜(0088)に記載してある方法と同様な方法で、担体6枚の担体にマレイミド基を導入した。
【0055】
(4)BJプリンターによるプローブの吐出、および担体への結合
プローブのスポッティングに用いるスポッティング溶液として、グリセリン7.5質量%、尿素7.5質量%、チオジグリコール7.5質量%、及びアセチレンアルコール(商品名:アセチレノールEH;川研ファインケミカル(株)社製)1質量%を含む水溶液を用意し、上記(1)の一本鎖DNAを含む溶液(一本鎖DNA濃度が約400mg/mlであるTE溶液(10mM Tris−HCl(pH8)/1mM EDTA水溶液))に加え、一本鎖DNAの最終濃度が8μMとなるように調整した。このプローブを含むスポッティング溶液の表面張力は20〜50dyne/cmの範囲内であり、また粘度は1.2〜2.0cps(E型粘度計:東京計器(株)社製)である。
【0056】
上記のプローブを含むスポッティング溶液をバブルジェット(登録商標)プリンター(商品名:BJF850;キヤノン(株)社製)用インクタンクに充填しバブルジェット(登録商標)ヘッドに装着した。なおここで用いたバブルジェット(登録商標)プリンター(商品名:BJF850;キヤノン(株)社製)は平板への印刷が可能な様に改造を施したものである。次いでこのプリンターに上記(3)で用意した担体を装着し、プローブを含むスポッティング溶液を担体上にスポッティングしてプローブ担体を作製した。ここでバブルジェット(登録商標)ヘッドの液体吐出面と担体の液体付着面との距離は1.2〜1.5mmであった。スポッティング終了後、担体を顕微鏡により観察したところ、担体表面にマトリックス状のスポット配列が形成されていることが確認された。マレイミド基とチオール基の反応終了後、プローブ担体を1M NaCl/50mMリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄し、プローブ担体上のプローブを含む液体を完全に洗い流した。作製したプローブ担体6枚のうち3枚は、そのまま1M NaCl/50mMリン酸緩衝液(pH7.0)中に浸漬させた状態で保管をし、残りの3枚のプローブ担体を窒素ブローで乾燥させた。
【0057】
(5)BJプリンターによる磁気粒子の吐出、及びプローブへの結合
上記(4)で作製した、窒素ブローで乾燥させた3枚のプローブ担体を、平板への印刷が可能な様に改造を施したバブルジェット(登録商標)プリンター(商品名:BJF850;キヤノン(株)社製)へ装着し、グリセリン7.5質量%、チオジグリコール7.5質量%、及びアセチレンアルコール(商品名:アセチレノールEH;川研ファインケミカル(株)社製)1質量%を含む水溶液中へ上記(2)のイソシアネート基を導入した磁気粒子を固形分濃度で85.7mg/ml分散させた。(4)でプローブを含むスポッティング溶液をスポッティングしたのと同様な方法で、同一位置に磁気粒子を含むスポッティング溶液をスポッティングした。(4)で担体と結合した各スポット中の全プローブと磁気粒子が十分な反応を行えるようにする為、磁気粒子を含んだスポッティング溶液の吐出は、各スポットに対して2度ずつ吐出した。スポッティングの位置合わせ精度は数μm程度であり、1度目のスポッティング後のスポットの直径は50μm程度であるので、2度目の吐出で各スポット中の全プローブと磁気粒子が十分な反応を行う事ができた。イソシアネート基とアミノ基の反応終了後、磁気結合プローブ担体を1M NaCl/50mMリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄し、磁気結合プローブ担体上の磁気粒子を含むスポッティング液体を完全に洗い流し、磁気結合プローブ担体を作製する事ができた。
【0058】
(6)ブロッキング処理
上記(4)で作製したプローブ担体3枚と(5)で作製した磁気結合プローブ担体3枚を2%ウシ血清アルブミン水溶液中に浸して2時間放置し、ブロッキング処理を行った。
【0059】
(7)ハイブリダイゼーション反応工程
上記(1)に記載の配列番号1の一本鎖DNAプローブと相補的な塩基配列を有する一本鎖DNAプローブをDNA自動合成機で合成し、3’末端にローダミンを結合させて標識化した一本鎖DNAプローブを得た。この標識化一本鎖DNAを1M NaCl/50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に最終濃度1μMとなるように溶解し、ハイブリダイゼーション反応溶液を作製した。
【0060】
上記(6)のブロッキング処理終了後のプローブ担体3枚と磁気結合プローブ担体3枚を用意し、プローブ担体3枚を磁石の内蔵していないハイブリダイゼーション反応ケースに入れ、磁気結合プローブ担体3枚を磁石内蔵型ハイブリダイゼーション反応ケースに入れて、ペルチェ素子の上に設置した。
【0061】
合計6つのハイブリダイゼーション反応ケースの中に、ハイブリダイゼーション反応溶液を満たして、ペルチェ素子の温度を45度に保ち、2時間ハイブリダイゼーションの反応を行った。
【0062】
ハイブリダイゼーション反応の終了後、プローブ担体3枚と磁気結合プローブ担体3枚を1M NaCl/50mMリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄し、ハイブリダイゼーション反応しなかった標識化一本鎖DNAを洗い流した。ついで、純水で余分な塩分を除去した後、窒素ブローにより各担体を乾燥させた。次に各担体上のスポットの蛍光を、蛍光スキャナ(商品名:GenePix4000B;Axon Instruments,Inc.製)を用いて蛍光強度を評価した。評価するにあたり、レーザーパワーを100%に設定し、PMTを400Vに設定した。
【0063】
(8)結果
上記(7)での蛍光スキャナ評価結果を解析し、各種類の担体3枚ずつの蛍光強度を平均したところ、プローブ担体上の配列番号1のプローブと完全マッチでハイブリダイゼーション反応をした、標識化一本鎖DNAプローブの532nmでの蛍光強度は8000であった。また、プローブの存在しないプローブ担体の部分の蛍光強度は80であり、S/Nは100であった。
【0064】
一方磁石内蔵型ハイブリダイゼーション反応ケースでハイブリダイゼーション反応をした、磁気結合プローブ担体上の配列番号1のプローブと完全マッチでハイブリダイゼーション反応をした、標識化一本鎖DNAプローブの532nmでの蛍光強度は16000であった。また、プローブの存在しないプローブ担体の部分の蛍光強度は80であり、S/Nは200であった。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】磁気結合プローブ担体の模式断面図。
【図2】本発明の磁気結合プローブではないプローブを用いたプローブ担体の標的物質との反応の模式断面図。
【図3】本発明の一実施の形態による磁場を印加した場合の標的物質との反応の模式断面図。
【図4】本発明の一実施の形態による磁場の強度を調節し、磁気結合プローブの伸縮具合を制御した場合の標的物質との反応の模式断面図。
【符号の説明】
【0066】
1 磁気粒子
2 プローブ
3 担体
4 第三の官能基
5 第一の官能基
6 第二の官能基
7 第四の官能基
8 標的物質との反応ケース
9 ペルチェ素子
10 標識された標的物質
11 磁石内蔵型標的物質との反応ケース
12 磁気結合プローブ
13 スペーサー
14 弛緩状態の磁気結合プローブ
15 直立状態の磁気結合プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプローブが担体に固定されているプローブ担体であって、
該プローブの片側の末端は担体と結合しており、該プローブのもう一方の末端は磁気粒子と結合している事を特徴とする磁気結合プローブ担体。
【請求項2】
前記プローブが、一本鎖プローブであることを特徴とする請求項1に記載の磁気結合プローブ担体。
【請求項3】
前記一本鎖プローブが、核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、からなる群から選択された少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の磁気結合プローブ担体。
【請求項4】
前記磁気粒子が、磁性微粒子である事を特徴とする請求項1に記載の磁気結合プローブ担体。
【請求項5】
前記磁性微粒子が、磁性ナノ粒子である事を特徴とする請求項4に記載の磁気結合プローブ担体。
【請求項6】
前記磁性微粒子が、磁性物質を被覆した微粒子である事を特徴とする請求項4に記載の磁気結合プローブ担体。
【請求項7】
前記担体が、ガラス板、プラスティック、シリカ、金属、膜、繊維、マイクロタイターウェルからなる群より選択される担体である事を特徴とする請求項1に記載の磁気結合プローブ担体。
【請求項8】
複数の各プローブの片側の末端は担体と結合しており、該プローブのもう一方の末端は磁気粒子と結合しているプローブ担体の製造方法であって、
該プローブの片側の末端に第一の官能基を導入する工程と、該プローブのもう一方の末端に第二の官能基を導入する工程と、
該磁気粒子に第三の官能基を導入する工程と、該担体に第四の官能基を導入する工程と、
該プローブが有する第一の官能基と該磁気粒子が有する第三の官能基が、各々有する官能基同士の反応によって結合させる工程と、
該プローブが有する第二の官能基と該担体が有する第四の官能基が、各々有する官能基同士の反応によって結合させる工程と、
該第一の官能基と該第二の官能基と該第三の官能基と該第四の官能基が、各々異なる官能基である事を特徴とする磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項9】
前記プローブが、一本鎖プローブであることを特徴とする請求項8に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項10】
前記一本鎖プローブが、核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、からなる群から選択された少なくとも一種であることを特徴とする請求項8に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項11】
前記磁気粒子が、磁性微粒子である事を特徴とする請求項8に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項12】
前記磁性微粒子が、磁性ナノ粒子である事を特徴とする請求項11に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項13】
前記磁性微粒子が、磁性物質を被覆した微粒子である事を特徴とする請求項11に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項14】
前記プローブの第二の官能基と前記担体の第四の官能基とを結合させた後に、前記磁気粒子の第三の官能基と前記プローブの第一の官能基とを結合させる工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項15】
前記第一の官能基がアミノ基であり、前記第二の官能基がチオール基であり、前記第四の官能基が前記第二の官能基であるチオール基と各々有する官能基同士の反応によって結合可能である官能基を有する事を特徴とする請求項8に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項16】
前記第三の官能基が、前記第一の官能基であるアミノ基と各々有する官能基同士の反応によって結合可能である官能基を有する事を特徴とする請求項8に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項17】
前記担体が、ガラス板、プラスティック、シリカ、金属、膜、繊維、マイクロタイターウェルからなる群より選択される担体である事を特徴とする請求項8に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項18】
複数の各プローブの片側の末端は担体と結合しており、該プローブのもう一方の末端は磁気粒子と結合しているプローブ担体の製造方法であって、
該担体上に逐次伸長反応によってプローブを合成する工程と、
該担体上に固定化されたプローブの、該プローブの固定化されていない片側の末端に、第一の官能基を導入する工程と、
該磁気粒子に第二の官能基を導入する工程と、
該プローブが有する第一の官能基と該磁気粒子が有する第二の官能基が、各々有する官能基同士の反応によって結合させる工程を含む事を特徴とする磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項19】
前記プローブが、一本鎖プローブであることを特徴とする請求項18に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項20】
前記一本鎖プローブが、核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、からなる群から選択された少なくとも一種であることを特徴とする請求項18に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項21】
前記磁気粒子が、磁性微粒子である事を特徴とする請求項18に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項22】
前記磁性微粒子が、磁性ナノ粒子である事を特徴とする請求項21に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項23】
前記磁性微粒子が、磁性物質を被覆した微粒子である事を特徴とする請求項21に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項24】
前記第一の官能基がアミノ基であり、前記第二の官能基が前記第一の官能基であるアミノ基と各々有する官能基同士の反応によって結合可能である官能基を有する事を特徴とする請求項18に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項25】
前記第一の官能基がチオール基であり、前記第二の官能基が前記第一の官能基であるチオール基と各々有する官能基同士の反応によって結合可能である官能基を有する事を特徴とする請求項18に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項26】
前記担体が、ガラス板、プラスティック、シリカ、金属、膜、繊維、マイクロタイターウェルからなる群より選択される担体である事を特徴とする請求項18に記載の磁気結合プローブ担体の製造方法。
【請求項27】
複数のプローブが担体に固定されているプローブ担体であって、
該プローブの片側の末端は担体と結合しており、該プローブのもう一方の末端は磁気粒子と結合している磁気結合プローブ担体において、
磁気結合プローブ担体中の磁気結合プローブに特異的に結合する標的物質を接触させる反応工程において、反応場に磁場をかける事により、磁気結合プローブ担体上に固定されている、磁気結合プローブの向きや状態を任意に制御する事で、該磁気結合プローブと該標的物質との反応を制御できる事を特徴とする磁気結合プローブ担体と標的物質の反応方法。
【請求項28】
前記磁気結合プローブは、反応場に磁場をかけることによって、前記担体表面に対して垂直方向に直立させ、
該反応場の磁場の強度を調整する事で、該磁気結合プローブの伸縮を制御し、
該反応場の磁場をかける向きを調節する事によって、前記担体表面に対する該磁気結合プローブの直立する方向を制御できる事を特徴とする請求項27に記載の磁気結合プローブ担体と標的物質の反応方法。
【請求項29】
前記反応場の磁場の強度を調整する事で、前記磁気結合プローブの向きや状態を任意に制御する事で、該磁気結合プローブと該標的物質との反応効率を制御できる事を特徴とする請求項27に記載の磁気結合プローブ担体と標的物質の反応方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−10380(P2006−10380A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184822(P2004−184822)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】