磁気記録ヘッド、データ記憶装置、および熱アシスト磁気記録ヘッドの
【課題】熱アシスト磁気記録用の近接場変換器にエネルギを供給する簡単な方法を提供する。
【解決手段】磁気記録ヘッドは、空気軸受面に隣接したポール先端を有する書込ポールと、戻りポールと、ポール先端および空気軸受面に隣接して位置決めされ、磁気記録媒体の一部を高エネルギ放射に露光する光近接場変換器とを含む。エネルギは、テーパ状結合素子を有するリッジ導波管によって、近接場変換器にエネルギを運ぶために金属/誘電体コーティングを有する面取りした端を有する2次元の直線もしくは湾曲導波管によって、または湾曲導波管によって、近接場変換器に直接与えられる。テーパ状結合素子または面取りした端を有する導波管は、従来のウェハ処理によって製造可能である。
【解決手段】磁気記録ヘッドは、空気軸受面に隣接したポール先端を有する書込ポールと、戻りポールと、ポール先端および空気軸受面に隣接して位置決めされ、磁気記録媒体の一部を高エネルギ放射に露光する光近接場変換器とを含む。エネルギは、テーパ状結合素子を有するリッジ導波管によって、近接場変換器にエネルギを運ぶために金属/誘電体コーティングを有する面取りした端を有する2次元の直線もしくは湾曲導波管によって、または湾曲導波管によって、近接場変換器に直接与えられる。テーパ状結合素子または面取りした端を有する導波管は、従来のウェハ処理によって製造可能である。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の詳細な説明
背景
磁気記録業界は、1Tb/inch2の気中記憶密度に向かって進歩している。この大きさの記録密度では、記録媒体のビットサイズは約25nmから50nmである必要がある。このサイズの磁気記録領域は、磁化領域(ビット)が合理的な時間にわたってもはや熱的に安定しておらず、記録された情報が失われ得る超常磁性限界を受けやすい。熱不安定性の影響を受ける磁化領域のサイズは以下の式:KuV/kBT>0によって決定され、式中、Kuは材料の磁気結晶異方性エネルギ密度であり、Vは磁化領域の体積であり、kBはボルツマン定数であり、Tは絶対温度である。Vが減少するにつれて、Kuは常温で磁気安定性を維持するためにそれに応じて増加する必要がある。常温で熱的に安定したビットを支持するKuの値を有する材料は存在するが、それらの保磁力は高すぎるため、従来の読出/書込ヘッドの2.4T書込ポールによって発生する磁場下での切換ができない。
【0002】
熱アシスト磁気記録(HAMR)は、高いKuの材料に書込む際の困難を克服するために考案された技術である。熱アシスト磁気記録では、ナノ寸法の小領域の温度を局所的に上昇させるために、典型的に可視光、赤外線または紫外線であるエネルギのビームが磁気記録媒体の表面に導かれ、保磁力を低下させ、当該領域の磁化の切替を可能にする。切換後、加熱された領域は室温まで急速に冷え、高保磁力によって書込ビットの安定性が保証される。
【0003】
光エネルギを50nm未満のサイズの地点に集束する先行技術の方法は、焦点における近接場変換器に結合されたソリッドイマージョンレンズ(SIL)、ソリッドイマージョンミラー(SIM)および他の集束手段を適用して、エネルギを記録媒体上の小地点に集中させて導くことを含む。ソリッドイマージョンレンズおよびソリッドイマージョンミラーは、主に放物線形状を有する2次元の平面導波管であり得、導波管の中を軸方向に移動する電磁波が導波管とそのすぐ周囲との屈折率の不整合によって導波管の端縁から反射される導波管である。反射波は、放物線の焦点で(またはその近傍で)集中する。現在公知の透明材料を用いてSIMおよびSILによって実現される回折限界地点のサイズは80nmよりも大きく、これは熱アシスト磁気記録には大きすぎる。この問題を克服するため、光近接場変換器(NFT)を用いて記録媒体にエネルギを集中させる。光NFTは典型的に金属ピンである。焦点における電界がピンの軸と平行である場合、電界はピンに結合して表面プラズモンを発生させ得、表面プラズモンは、ピンの表面に沿って移動し、焦点のみの場合よりもはるかに小さい集中エネルギの小地点として現われる。光NFTが記録ヘッドの空気軸受面に近接している場合、ナノ寸法の小地点が記録媒体上で加熱される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2次元のSIMおよびSILは製造が困難である。熱アシスト磁気記録(HAMR)用の近接場変換器にエネルギを供給するより簡単な方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
要約
記録ヘッドは、空気軸受面に隣接したポール先端を有する書込ポールと、戻りポールと、空気軸受面に隣接して位置決めされ、磁気記憶媒体の一部を近接場放射に露光して磁気書込を補助する光近接場変換器とを含む。近接場変換器に光エネルギを直接運ぶための導波管が設けられる。
【0006】
データ記憶装置は、記憶媒体と、記憶媒体にデータを書込む記録ヘッドとを含む。記録ヘッドは、近接場変換器にエネルギを直接運ぶリッジ導波管と、空気軸受面に隣接したポール先端を有する書込ポールと、戻りポールと、空気軸受面に隣接して位置決めされ、磁気記憶媒体の一部を高エネルギ放射に露光する光近接場変換器とを含む。
【0007】
記録ヘッドを用いた磁気記憶媒体への磁気記録方法であって、記録ヘッドは、空気軸受面に隣接したポール先端を有する書込ポールと、戻りポールと、導波管と、書込ポールおよび導波管に隣接して位置決めされた光近接場変換器とを含み、導波管は次にエネルギを近接場変換器上に直接集束することによって、近接場変換器がエバネッセント放射を発する方法が提供される。エバネッセント放射は次に磁気記憶媒体の一部を加熱する一方で、書込ポールによって発生した書込磁界が磁気記憶媒体の当該一部の磁化に影響を及ぼす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】HAMR装置を含み得る磁気ディスクドライブの斜視図である。
【図2】垂直HAMR磁気記録ヘッドおよび関連記録媒体の断面図である。
【図3】導波管および関連記録媒体に近接した近接場変換器の概略図である。
【図4A】図4Aは、変換器の概略図である。図4A′および図4A″は、導波管断面の図である。
【図4B】変換器の概略図である。
【図4C】変換器の概略図である。
【図5】面取りした導波管の断面の概略図である。
【図6A】図5の導波管が磁気書込装置に近接している、HAMR変換器の概略断面図である。
【図6AA】本発明の1つの局面の空気軸受面の図である。
【図6AAA】本発明の別の局面の空気軸受面の図である。
【図6B】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図6C】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図6D】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図6E】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図6F】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図6G】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図6H】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図6I】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図7】末端が面取りされた導波管の形成における工程を示すフローチャートである。
【図8】HAMR変換器の概略断面の図である。
【図8A】本発明の1つの局面の空気軸受面の図である。
【図8AA】本発明の別の局面の空気軸受面の図である。
【図9A】別のHAMR変換器の概略断面の図である。
【図9B】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図9C】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図9D】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図9E】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図9F】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図9G】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図9H】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図9I】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図10A】別のHAMR変換器の概略断面の図である。
【図10B】図10Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図10C】図10Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図10D】図10Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図10E】図10Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図10F】図10Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図11】関連記録媒体に近接した近接場変換器にエネルギを運ぶ湾曲導波管の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
図1は、磁気媒体16のトラック14の上方にスライダ12を位置決めするための作動システムを含むディスクドライブ10の斜視図である。ディスクドライブ10の特定の構成は、本発明の説明を容易にするために示されており、本発明の範囲を多少なりとも限定するように意図されていない。ディスクドライブ10は、スピンドル上のアクチュエータアーム20を軸22を中心として回転させるように構成されたボイスコイルモータ18を含む。ロードビーム24が、ヘッド装着ブロック26においてアクチュエータアーム20に接続されている。ロードビーム24の一端にサスペンション28が接続されており、スライダ12はサスペンション28に取付けられている。磁気媒体16は軸30を中心として回転し、そのためスライダ12はウィンデージに遭遇して、磁気媒体16の表面から短い距離だけ離れて空中に保たれる。磁気媒体16の各トラック14は、データを記憶するためのデータ記憶セルの配列でフォーマット化される。スライダ12は、磁気媒体16のトラック14上のデータを読出すおよび/または書込むための磁気変換器(図1には図示せず)を担持する。磁気変換器は、付加的な電磁エネルギを利用して媒体16の表面を加熱し、熱アシスト磁気記録(HAMR)と称されるプロセスによる記録を促進する。
【0010】
HAMR変換器は、磁界を発生させて磁気媒体(たとえば磁気媒体16)に書込む磁気書込装置と、書込磁界に近接した磁気媒体の一部を加熱する光学装置とを含む。以下の説明では、図2はHAMR磁気書込装置の構成要素および機能に関する。図3および図4A−図4Cは光学装置の構成要素および機能に関する。図5A−図11は他の光学装置の構成要素および機能に関する。
【0011】
図2は、HAMR磁気記録ヘッド40の一部および関連磁気記憶媒体42の一部の断面図である。HAMR磁気記録ヘッド40は、ペデスタル48によって結合された書込ポール44および戻りポール46を含む。導体52および54を含むコイル50がペデスタルを囲み、絶縁体56によって支持されている。示されるように、磁気記憶媒体42は、硬磁性記憶層62および軟磁性下地層64を含む垂直磁気媒体であるが、パターン化媒体などの他の形態の媒体であってもよい。コイル内の電流が、ペデスタルおよびポールにおいて磁界を誘導する。磁束58が、空気軸受面(ABS)60において記録ヘッドから出て、領域58内で囲まれる記憶媒体42の硬磁性層62の一部の磁化を変更するのに用いられる。近接場変換器66が、空気軸受面60に近接した書込ポール44内に位置決めされる。近接場変換器66は、レーザなどの外部源から電磁波を受ける導波管68に結合されている。近接場変換器66の端における電界を用いて硬磁性層62の一部69を加熱して保磁力を低下させることによって、書込ポールからの磁界が記憶媒体の磁化に影響を及ぼし得る。
【0012】
HAMR変換器は、集束ビームを発生させるために、モード屈折率レンズまたは平面ソリッドイマージョンミラーもしくはレンズなどのさまざまな導波管を組込み得る。図3に示される例では、導波管68の端縁80は実質的に放物線形状である。導波管の内部と外部の材料の屈折率の差によって、電磁波を導波管の境界で屈折させることができる。レンズ(導波管68)の縦軸に沿って移動する電磁波82および84は、示されるように、境界80において焦点86に向けて偏向されることになる。回折格子83および85または外部エネルギを導波管68内に結合させる当該技術分野において公知の他の手段が、導波管68の中心を下降して移動する放射を最小化するよう、かつ放物線状端縁80から反射したエネルギを最大化するように構成され、その結果、焦点に当たる電磁波82および84の縦方向の成分のエネルギ含量を増加することができる。
【0013】
導波管68の焦点86に集中する地点の寸法は回折限界的であり、単独では、高面密度のHAMR記録媒体に要求される100nm未満の寸法には不十分である。容認できる100nm未満の地点サイズにエネルギを集束するためには、金属ピン、球とピンとの組合せ、ディスクとピンとの組合せ、および当該技術において公知の他の手段などの近接場変換器(NFT)が必要である。導波管68の焦点86に位置決めされたNFT66は、入射波82および84に結合して表面プラズモンを発生させ得、表面プラズモンは、NFT66を軸方向に下降して伝搬した後、記憶媒体42の小領域69を加熱する矢印87として図3に概略的に示されるエネルギとして出る。
【0014】
導波管68は、所望の波長および屈折率に依存して、TiO2、Ta2O5、Si、SiN、またはZnSなどの高屈折率誘電体コア材料からなり得る。たとえば、Siは近赤外の波長1550nmで3.5という非常に高い屈折率を有するが、可視光には透明でない。Ta2O5は約2.1という低い屈折率を有しており,近赤外線および可視光全体に渡って透明である。導波管68はまた、コアの両側に誘電体クラッディング層を含む。好ましくは、コアとクラッディングとの屈折率の差はできる限り大きい。ソリッドイマージョンミラー用のクラッディングの一方側には、空気が好適な誘電体である。ソリッドイマージョンミラー用のクラッディング層に用いられ得る他の誘電体は、屈折率1.5のSiO2、および屈折率が約1.8のAl2O3を含む。
【0015】
ある種類のNFTは、ピン、ディスク/ピン、球/ピンの形態の2次元および3次元の金属形状、ならびに結合されたナノロッド構成を含む。他の構成は、金属膜における「C」字形状、「L」字形状、および「蝶ネクタイ」形状の開口部を含む。これらの構造は、適切に設計された入射電磁放射を照射されると共振し、それによって、結果として発生する表面プラズモンが、近接する表面の微小区域を強力な放射で照射し得る。一般的に、これらの構造は絶縁環境下では金属形状である。平面NFTは、入射放射に対する変換器の向きに依存して開口部を有する、または有しない、成形金属膜である。
【0016】
図4A−図4Cは、レーザまたは別の導波管などのエネルギ源から、磁気記録媒体に近接した書込ポールに近接した光近接場変換器にエネルギを運んで、記録媒体上の小領域を加熱してHAMR用の磁気書込を補助する、本発明の1つの局面を示す。この方法は、エネルギ源から近接場変換器にテーパ状導波管を介してエネルギを伝達することを含む。好ましくは、導波管は、好ましくは多段台形断面を有するコアを有するリッジ導波管である。レーザダイオードなどのエネルギ源からの光ビームをテーパ状導波管内に結合させることは、テーパ状結合素子によって行なわれ得る。結合素子は、レーザ出力の光モードを、エネルギを受ける装置内の光モードと一致させるように変更する。結合素子は慣例的に、NFTなどの標的に向けてエネルギを伝達するテーパ状導波管の各端に位置決めされる。エネルギが導波管の端の光NFTに結合するようなテーパ状リッジ導波管のコアの好ましい寸法は、約100マイクロメートルの距離にわたって、約1,000nmから約500nmずつ、約5,000nmから約200nmまで小さくなる。
【0017】
図4Aは、光NFT132、記録媒体134、エネルギ源136、およびテーパ状リッジ導波管138を示す。導波管138は、エネルギ移動を促進するために各端にテーパ状結合素子130および131を有する。エネルギ源136は、矢印137によって示されるようにテーパ状リッジ導波管138に電磁エネルギを運び、導波管138は次に、磁気書込ヘッド40の磁気書込ポール44に隣接した光NFT132にエネルギを運ぶ。NFT132は、矢印139によって示されるように、記録媒体134上の小地点に電磁エネルギを集中させて、磁気記録を可能にする。エネルギ源136は、レーザダイオードまたは別の導波管であり得る。5ミクロンを超えない光モードの寸法を有する単一モードレーザダイオードまたは単一モード導波管が好ましい。
【0018】
テーパ状導波管138の断面A′A′が図4A′に示されており、導波管138はリッジ導波管である。コア150はクラッディング152に囲まれている。リッジ導波管コア150の断面は、示されるように2つの台形の積み重ねに似ており、コア150の側面に単一の段差154がある。他の局面では、テーパ状リッジ導波管138のコアは矩形状を有し得る。さらに多くの台形状または矩形状を積み重ねて、リッジ導波管コア150の側面の段差154の数を増やしてもよい。別の局面では、テーパ状導波管138は図4A″に示されるような断面を有する薄膜平面導波管であり得、コア156は矩形状断面を有する。
【0019】
HAMR用の光NFTにエネルギを運ぶための別の方法が図4Bに示される。図4Bでは、エネルギ源136は、矢印137によって示されるように、結合素子130および131を有するテーパ状導波管138にエネルギを運ぶ。導波管138は次に、矢印135によって示されるように、光NFT132の表面にエネルギを運ぶ。光NFT132は次に、矢印139に示されるように、記録媒体134上の小地点に電磁エネルギを集中させて、磁気記録ヘッド40による磁気記録を補助する。角度θは、効率的なプラズモン励起のための光NFT132との位相整合条件を最大化するために、ゼロから90度まで変動し得る。導波管138は、リッジ導波管または薄膜平面導波管であり得る。
【0020】
HAMR用の光NFTにエネルギを運ぶための別の方法が図4Cに示される。図4Cでは、たとえば、高さ制限を満たすようにエネルギ源136を読出/書込ヘッドの側面に装着することによって、エネルギ源136は記録媒体134と平行である。エネルギ源136は、矢印137によって概略的に示されるように、結合素子130および131を有するテーパ状導波管138にエネルギを運ぶ。導波管138は次に、ミラー140にエネルギを運び、ミラー140は、矢印135によって概略的に示されるように、光NFT132にエネルギを導き直す。光NFT132は次に、矢印139によって示されるように、記録媒体134上の小地点に電磁エネルギを集中させて、磁気記録を補助する。導波管138は、リッジ導波管または薄膜平面導波管であり得る。
【0021】
本発明の別の局面では、NFTに光エネルギを直接運んでHAMRにおける磁気記録を補助するための別の方法は、テーパ加工されておらず、より厚いコアを有する2次元の平面導波管を用いることである。図4A−図4Cに概略的に示されるようなテーパ状導波管では、テーパは、好ましくは全体で200nmよりも小さい、導波管から光NFTの結合区域に発出する電磁波のモードプロファイルと一致するように設計される。コアとクラッディングの屈折率がそれぞれ2.1および1.6であり、かつ500nmのコアを有する導波管については、モードプロファイルは、第1のTEモードでは半値全幅(FWHM)で約750nmである。これでは、光NFTの200nmの特徴と効率的に結合することができない。この場合、導波管内のエネルギを導波管に近接した光NFTに結合させることは、導波管の端を面取りし、面取り部を誘電体および金属コーティングでコーティングして、エネルギを導波管からNFTに向けて偏向させることによって達成される。この導波管の端におけるコーティングされた面取り部によってこの制限が克服され、200nmの光NFT寸法との効率的な結合が可能となる。面取りした導波管の明確な利点は、導波管を書込ポールの磁気回路および関連光NFTに接近して統合させて、コンパクトで製造が容易なHAMR装置構造を形成できることである。
【0022】
面取りした導波管の断面の概略図が図5に示される。面取りした導波管242は、底部クラッディング層244、頂部クラッディング層245、およびコア層246を含む。電磁エネルギは、矢印252によってコア層246内を伝搬することが概略的に示される。導波管242の面取りした端249は、電磁エネルギを偏向させるためにコーティングされる必要がある。面取りした端249で電磁エネルギを偏向させるには、2層コーティングで十分である。面取りした端249は好ましくは、低屈折率誘電体層248および金属層250でコーティングされる。低屈折率誘電体層248は好ましくはSiO2である。Al2O3、MgOおよび当業者に公知の他の材料などの他の低屈折率誘電材料を用いてもよい。金属層250は好ましくは金であるが、プラチナ、銀、および当業者に公知の他の材料などの他の金属を用いてもよい。動作時、導波管242内の電磁エネルギは、コーティングして面取りした表面249に当たる。金属/誘電体界面251において表面プラズモンが発生する。プラズモンは、矢印254によって示されるように金属/誘電体界面251を下降して伝搬した後、矢印256によって示されるように領域260において集中エネルギとして現れる。NFT近接領域260は電磁放射に結合し、空気軸受面247においてエネルギをエバネッセント放射として導くことになる。角度φは、金属/誘電体界面251において発生した表面プラズモンが領域260においてNFTに最も効率的に結合するように調整される。
【0023】
変換器242はNFTに統合されて、ABSにおいてエネルギを集中させ、記録媒体の小領域を加熱し得る。変換器およびNFTは次に磁気書込ヘッドに統合されて、当該技術において公知の従来のプロセスを用いて容易に製造可能なコンパクトなHAMR構造が形成され得る。統合されたHAMR変換器360の概略断面が図6Aに示される。HAMR変換器360は、光NFT332および磁気書込回路354に近接した、面取りした導波管342を含む。動作時、面取りした表面349において集束される導波管342内の電磁エネルギは、ABS347に近接した記録媒体(図示せず)を加熱する光NFT332に結合して、磁気書込回路354の書込ポール352による磁気書込を補助する。
【0024】
面取りした導波管342は、底部クラッディング層344、頂部クラッディング層345、およびコア層346を含む。面取りした表面349は、低屈折率誘電体層および金属層を含む2層コーティングでコーティングされている。面取りした表面349は低屈折率誘電体層348でコーティングされ、誘電体層348は次に金属層350でコーティングされているため、面取りした表面349は導波管342内の電磁エネルギーを光NFT332に向けて偏向させることができる。低屈折率誘電体層348は好ましくはSiO2である。Al2O3、MgOおよび当業者に公知の他の材料などの他の低屈折率誘電材料を用いてもよい。第2の金属層350は好ましくは金であるが、プラチナ、銀、および当業者に公知の他の材料などの他の金属を用いてもよい。
【0025】
動作時、導波管342内の電磁エネルギは、コーティングして面取りした表面349に当たる。金属/誘電体界面351において表面プラズモンが発生する。プラズモンは、光NFT332に向かって金属/誘電体界面351を下降して伝搬した後、光NFT332に結合し、その後、ABS347においてエバネッセント放射として現れる。角度φは、金属/誘電体界面351において発生した表面プラズモンが光NFT332に効率的に結合するように調整される。図6Aに示される実施例では、光NFT332はクラッディング344によって誘電体層346から分離されている。光NFT332は、金属層350とも接触し得る。
【0026】
図6Aは、書込ポール352、戻りポール353、および後部間隙領域355を含む磁気回路354を示す。わかりやすくするため、通電コイル、絶縁層、磁気シールドなどの磁気回路354の残りの素子は図6Aに示されていない。磁気書込ポール352はさまざまな磁性材料で構成され、好ましくは、CoFeなどの低保磁力および高モーメントの材料で構成される。戻りポール353および磁気回路354の残りの素子は、NiFeまたは何らかの他の好適な磁性材料などのさまざまな磁性材料で構成され得る。
【0027】
本発明の1つの局面の空気軸受面の図が図6AAに示される。図6AAでは、NFT332は底部クラッディング層344によって磁気書込ポール352から分離されている。本発明の別の局面の空気軸受面の図が図6AAAに示される。図6AAAでは、NFT332は磁気書込ポール352にずっと近づいて位置決めされている。NFT332および磁気書込ポール352が互いに近接しているが依然として底部クラッディング層344によって分離されるように、磁気書込ポール352にチャネルが形成される。本発明のこの局面では、光エネルギおよび磁気エネルギは好ましくは重畳され、光地点と磁気ビットは書込時にほぼ合致する。
【0028】
図6Aに示されるHAMR変換器360を形成する工程が図7に列挙されており、図6Bから図6Iの上面図に示される。HAMR変換器360の形成時に用いられるパターンおよび形状はすべて、たとえばフォトリソグラフィマスキング、ストリッピング、エッチング、物理蒸着法、イオンビーム加工、および当該技術において公知の他の技術を用いて形成される。図6Bの上面図に示されるように、まず基板上に磁気書込回路354を形成する(ステップ410)。この回路は、高モーメント書込ポール352、戻りポール353(図示せず)、後部間隙領域355(図示せず)、および通電コイル、絶縁層、磁気シールドなど(図示せず)の磁気書込回路354の残りの素子を含む。次に図6Cに示されるように、底部クラッディング層344を堆積する(ステップ420)。次に底部クラッディング層344をエッチングして、光近接場変換器を堆積するためのキャビティを形成する(ステップ430)。次に図6Dに示されるように、エッチングされたキャビティ内に光NFT332を堆積する(ステップ440)。次に図6Eに示されるように、底部クラッディング層344および光NFT332上に導波管コア346を堆積する(ステップ450)。次に図6Fに示されるように、コア層346上に頂部クラッディング層345を堆積する(ステップ460)。
【0029】
次に図6Gに示されるように、導波管342の端をイオンビームエッチングまたは他の材料除去手段によって面取りし、面取りした表面349を形成する(ステップ470)。次に図6Hに示されるように、面取りした表面349上に誘電体層348を堆積する(ステップ480)。最後に、図6Iに示されるように、誘電体層349上に金属層350を堆積して(ステップ490)、HAMR変換器構造360を形成し、この内部では、導波管342からの電磁エネルギが面取りした表面349にぶつかって誘電体/金属界面351においてプラズモンを導入し、プラズモンは、光NFT332の表面に結合し、ABS347に近接した記録媒体を加熱する小さな地点のエバネッセント放射として現われて、書込ポール352による切換を補助する。
【0030】
本発明の別の局面が図8に示される。図8では、HAMR変換器560の磁気回路に、付加的な戻りポール556が追加されている。戻りポール556には2つの目的がある。第1に、戻りポール556は、磁気書込回路内のより大きな戻りポールを提供する別の戻りポールとして作用する。第2に、戻りポール556は、NFT532および書込ポール552を記録媒体との不慮の接触から保護する接触パッドとして作用する。
【0031】
HAMR変換器560は、光NFT532および磁気書込回路554に近接した、面取りした導波管542を含む。動作時、面取りした表面549において集束される導波管542内の電磁エネルギは、ABS547に近接した記録媒体(図示せず)を加熱する光NFT532に結合して、磁気書込回路554の書込ポール552による磁気書込を補助する。
【0032】
面取りした導波管542は、底部クラッディング層544、頂部クラッディング層545、およびコア層546を含む。面取りした表面549は、低屈折率誘電体層および金属層を含む2層コーティングでコーティングされている。面取りした表面549は低屈折率誘電体層548でコーティングされ、誘電体層548は次に金属層550でコーティングされているため、面取りした表面549は導波管542内の電磁エネルギーを光NFT532に向けて偏向させることができる。低屈折率誘電体層548は好ましくはSiO2である。Al2O3、MgOおよび当業者に公知の他の材料などの他の低屈折率誘電材料を用いてもよい。第2の金属層550は好ましくは金であるが、プラチナ、銀、および当業者に公知の他の材料などの他の金属を用いてもよい。
【0033】
動作時、導波管542内の電磁エネルギは、コーティングして面取りした表面549に当たる。金属/誘電体界面551において表面プラズモンが発生する。プラズモンは、光NFT532に向かって金属/誘電体界面551を下降して伝搬した後、光NFT532に結合し、その後、ABS547においてエバネッセント放射として現れる。角度φは、金属/誘電体界面551において発生した表面プラズモンが光NFT532に効率的に結合するように調整される。図8に示される実施例では、光NFT532はクラッディング544によって誘電体層546から分離されている。光NFT532は、金属層550とも接触し得る。
【0034】
図8は、書込ポール552、戻りポール553および556、ならびに後部間隙領域555を含む磁気回路554を示す。上述のように、戻りポール556には2つの目的がある。第1に、戻りポール556は、別の戻りポールとして作用する。第2に、戻りポール556は、近接場変換器532および書込ポール552を記録媒体との不慮の接触から保護する接触パッドとして作用する。戻りポール556は、誘電材料562によって面取りした導波管542から分離されている。わかりやすくするため、通電コイル、絶縁層、磁気シールドなどの磁気回路554の残りの素子は図8に示されていない。磁気書込ポール552はさまざまな磁性材料で構成され、好ましくは、CoFeなどの低保磁力および高モーメントの材料で構成される。戻りポール553および磁気回路554の残りの素子は、NiFeまたは何らかの他の好適な磁性材料などのさまざまな磁性材料で構成され得る。
【0035】
本発明の1つの局面の空気軸受面の図が図8Aに示される。図8Aでは、NFT532は、クラッディング層544および他の誘電材料562によって磁気書込ポール552および磁気戻りポール556から分離されている。誘電材料562は、Al2O3、SiO2または当該技術において公知の他の誘電材料を含み得る。本発明の別の局面が図8AAに示される。図8AAでは、NFT532は磁気書込ポール552にずっと近づいて位置決めされている。NFT532および磁気書込ポール552が互いに近接しているが依然として底部クラッディング層544によって分離されるように、磁気書込ポール552にチャネルが形成される。この構成では、光エネルギおよび磁気エネルギは好ましくは、光地点と磁気ビットが書込時にほぼ合致するように重畳される。
【0036】
別のHAMR変換器が図9Aに示されており、図9AはHAMR変換器660の概略断面である。HAMR変換器660は、動作時に加熱地点と磁気的切替領域が実質的に一部重複するように光NFT632が書込ポール652同士の間にあるように、光NFT632および磁気書込回路654に近接した面取りした導波管642を含む。動作時、面取りした表面649において集束される導波管642内の電磁エネルギは、ABS647に近接した記録媒体(図示せず)を加熱する光NFT632に結合して、磁気書込回路654の書込ポール652による磁気書込を補助する。
【0037】
面取りした導波管642は、底部クラッディング層644、頂部クラッディング層645、およびコア層646を含む。面取りした表面649は、低屈折率誘電体層および金属層を含む2層コーティングでコーティングされている。面取りした表面649は低屈折率誘電体層648でコーティングされ、誘電体層648は次に金属層650でコーティングされているため、面取りした表面649は導波管642内の電磁エネルギーを光NFT632に向けて偏向させることができる。低屈折率誘電体層648は好ましくはSiO2である。Al2O3、MgOおよび当業者に公知の他の材料などの低屈折率誘電材料を用いてもよい。第2の金属層650は好ましくは金であるが、プラチナ、銀、および当業者に公知の他の材料などの他の金属を用いてもよい。
【0038】
動作時、導波管642内の電磁エネルギは、コーティングして面取りした表面649に当たる。金属/誘電体界面651において表面プラズモンが発生する。プラズモンは、光NFT632に向かって金属/誘電体界面651を下降して伝搬した後、光NFT632に結合し、その後、ABS647においてエバネッセント放射として現れる。角度φは、金属/誘電体界面651において発生した表面プラズモンが光近接場変換器632に最も効率的に結合するように調整される。図9Aに示される実施例では、光NFT632はクラッディング644の薄層によって誘電体層646から分離されている。別の実施例では、光NFT632は、金属層650と接触し得る。
【0039】
図9Aは、書込ポール652、戻りポール653、および後部間隙領域655を含むHAMR変換器660の磁気回路654を示す。わかりやすくするため、通電コイル、絶縁層、磁気シールドなどの磁気回路654の残りの素子は図9Aに示されていない。磁気書込ポール652はさまざまな磁性材料で構成され、好ましくは、CoFeなどの低保磁力および高モーメントの材料で構成される。戻りポール653および磁気回路654の残りの素子は、NiFeまたは何らかの他の好適な磁性材料などのさまざまな磁性材料で構成され得る。
【0040】
図9Aに示されるHAMR変換器660を形成する工程が図7に列挙されており、図9Bから図9Iの上面図に示される。HAMR構造の形成時に用いられるパターンおよび形状はすべて、たとえばフォトリソグラフィマスキング、ストリッピング、エッチング、物理蒸着法(PVD)、イオンビーム加工、および当該技術において公知の他の技術を用いて形成される。図9Bの上面図に示されるように、まず基板上に磁気書込回路654を形成する(ステップ410)。この回路は、高モーメント書込ポール652、戻りポール653(図示せず)、後部間隙領域655(図示せず)、および通電コイル、絶縁層、磁気シールドなど(図示せず)の磁気書込回路654の残りの素子を含む。次に図9Cに示されるように、底部クラッディング層644を堆積する(ステップ420)。次に底部クラッディング層644をエッチングして、書込ポール652同士の間に光近接場変換器を堆積するためのキャビティを形成する(ステップ430)。次に図9Dに示されるように、書込ポール652同士の間のエッチングされたキャビティ内に光NFT632を堆積する(ステップ440)。次に図9Eに示されるように、底部クラッディング層644および光NFT632上に導波管コア646を堆積する(ステップ450)。次に図9Fに示されるように、コア層646上に頂部クラッディング層645を堆積する(ステップ460)。
【0041】
次に図9Gに示されるように、導波管642の端をイオンビームエッチングまたは他の材料除去手段によって面取りし、面取りした表面649を形成する(ステップ470)。次に図9Hに示されるように、面取りした表面649上に誘電体層648を堆積する(ステップ480)。最後に、図9Iに示されるように、誘電体層648上に金属層650を堆積して(ステップ490)、HAMR変換器構造660を形成し、この内部では、導波管642からの電磁エネルギが面取りした表面649にぶつかって誘電体/金属界面651においてプラズモンを導入し、プラズモンは、光NFT632の表面に結合し、ABS647に近接した記録媒体を加熱する小さな地点のエバネッセント放射として現われて、書込ポール652による切換を補助する。
【0042】
別のHAMR変換器760が図10Aに示される。HAMR変換器760は、上述のように導波管および磁気書込回路に近接した光NFTを含むが、導波管の端は面取りされておらず、導波管コア内のエネルギは、コアと接触している光NFTに直接結合する。導波管742は、底部クラッディング層744、頂部クラッディング層745、およびコア層746を含む。HAMR変換器760は、光NFT732および磁気書込回路754に近接した導波管コア746を有する導波管742を含む。動作時、ABS747において集束される導波管742内の電磁エネルギは、ABS747に近接した記録媒体(図示せず)を加熱する光NFT732に結合して、磁気書込回路754の書込ポール752による磁気書込を補助する。
【0043】
図10Aは、書込ポール752、戻りポール753、および後部間隙領域755を含む磁気回路754を示す。わかりやすくするため、通電コイル、絶縁層、磁気シールドなどの磁気回路754の残りの素子は図10Aに示されていない。磁気書込ポール752はさまざまな磁性材料で構成され、好ましくは、CoFeなどの低保磁力および高モーメントの材料で構成される。戻りポール753および磁気回路754の残りの素子は、NiFeまたは何らかの他の好適な磁性材料などのさまざまな磁性材料で構成され得る。
【0044】
図10Aに示されるHAMR変換器760を形成する工程が図7に列挙されており、図10Bから図10Fの上面図に示される。HAMR変換器の形成時に用いられるパターンおよび形状はすべて、たとえばフォトリソグラフィマスキング、ストリッピング、エッチング、物理蒸着法、イオンビーム加工、および当該技術において公知の他の技術を用いて形成される。図10Bの上面図に示されるように、まず基板上に磁気書込回路754を形成する(ステップ410)。この回路は、高モーメント書込ポール752、戻りポール753(図示せず)、後部間隙領域755(図示せず)、および通電コイル、絶縁層、磁気シールドなど(図示せず)の磁気書込回路754の残りの素子を含む。次に図10Cに示されるように、底部クラッディング層744を堆積する。次に底部クラッディング層744をエッチングして、書込ポール752に近接した光近接場変換器を堆積するためのキャビティを形成する(ステップ430)。次に図10Dに示されるように、書込ポール先端752同士の間のエッチングされたキャビティ内に光NFT732を堆積する(ステップ440)。次に図10Eに示されるように、底部クラッディング層744およびNFT732上に導波管コア746を堆積する(ステップ450)。最後に図10Fに示されるように、コア層746上に頂部クラッディング層745を堆積する(ステップ460)。コア層746内のエネルギを光近接場変換器732に結合することは、光NFT732をコア層746に直接接触させてNFT732上に表面プラズモンを発生させることによって行なわれる。プラズモンは、光NFT732の先端から発出するエバネッセント放射を発してABS747に近接した記録媒体を加熱し、書込を促進する。
【0045】
本発明の別の局面では、電磁エネルギを光NFTに直接運ぶための汎用的な手段は、湾曲導波管によるものである。図11は、記録媒体900に隣接したNFT840にエネルギを運ぶエネルギ源810を示す。エネルギ源810は、矢印815によって示されるようにテーパ状導波管820に電磁エネルギを運び、導波管820は次に、矢印825によって示されるように湾曲導波管830にエネルギを運ぶ。湾曲導波管830は、矢印835によって示されるように光NFT840にエネルギを運び、光NFT840は次に、矢印845によって示されるように記録媒体900にエネルギを運ぶ。図11の形状は図4Cと同様であり、たとえば、高さ制限を満たすようにエネルギ源810を読出/書込ヘッドの側面に装着することによって記録媒体900と平行なエネルギ源810を概略的に示す。この場合、湾曲導波管830がミラーに取って代わり、NFT840にエネルギを導く。湾曲導波管830の形状は任意である。この結果、湾曲導波管を用いることによって、HAMR用の多数の効率的な設計反復が可能となる。
【0046】
これまでの解決策とは異なり、本発明は、光導波管を用いてエネルギを光NFTに直接運ぶことができることを教示している。3種類の導波管が開示されている。1つ目は、2次元のテーパ状導波管である。2つ目は、厚いコアと、熱影響磁気記録用の光NFTに光エネルギを運ぶ表面プラズモンを金属/誘電体界面において発生させる誘電体層および金属層でコーティングされた面取りした端とを含む、2次元の平面直線導波管である。1つの局面では、この直線導波管は、光NFTと直接接触するテーパ加工されていない端を有する。3つ目は、湾曲導波管である。3種類のHAMR変換器はすべて、当該技術において確立された手順によって経済的に製造可能である。
【0047】
本発明を好ましい実施例を参照して説明したが、当業者は、本発明の思想および範囲から逸脱することなく形態および詳細において変更がなされ得ることを認識するであろう。上記の実現例および他の実現例は以下の請求項の範囲内にある。
【背景技術】
【0001】
発明の詳細な説明
背景
磁気記録業界は、1Tb/inch2の気中記憶密度に向かって進歩している。この大きさの記録密度では、記録媒体のビットサイズは約25nmから50nmである必要がある。このサイズの磁気記録領域は、磁化領域(ビット)が合理的な時間にわたってもはや熱的に安定しておらず、記録された情報が失われ得る超常磁性限界を受けやすい。熱不安定性の影響を受ける磁化領域のサイズは以下の式:KuV/kBT>0によって決定され、式中、Kuは材料の磁気結晶異方性エネルギ密度であり、Vは磁化領域の体積であり、kBはボルツマン定数であり、Tは絶対温度である。Vが減少するにつれて、Kuは常温で磁気安定性を維持するためにそれに応じて増加する必要がある。常温で熱的に安定したビットを支持するKuの値を有する材料は存在するが、それらの保磁力は高すぎるため、従来の読出/書込ヘッドの2.4T書込ポールによって発生する磁場下での切換ができない。
【0002】
熱アシスト磁気記録(HAMR)は、高いKuの材料に書込む際の困難を克服するために考案された技術である。熱アシスト磁気記録では、ナノ寸法の小領域の温度を局所的に上昇させるために、典型的に可視光、赤外線または紫外線であるエネルギのビームが磁気記録媒体の表面に導かれ、保磁力を低下させ、当該領域の磁化の切替を可能にする。切換後、加熱された領域は室温まで急速に冷え、高保磁力によって書込ビットの安定性が保証される。
【0003】
光エネルギを50nm未満のサイズの地点に集束する先行技術の方法は、焦点における近接場変換器に結合されたソリッドイマージョンレンズ(SIL)、ソリッドイマージョンミラー(SIM)および他の集束手段を適用して、エネルギを記録媒体上の小地点に集中させて導くことを含む。ソリッドイマージョンレンズおよびソリッドイマージョンミラーは、主に放物線形状を有する2次元の平面導波管であり得、導波管の中を軸方向に移動する電磁波が導波管とそのすぐ周囲との屈折率の不整合によって導波管の端縁から反射される導波管である。反射波は、放物線の焦点で(またはその近傍で)集中する。現在公知の透明材料を用いてSIMおよびSILによって実現される回折限界地点のサイズは80nmよりも大きく、これは熱アシスト磁気記録には大きすぎる。この問題を克服するため、光近接場変換器(NFT)を用いて記録媒体にエネルギを集中させる。光NFTは典型的に金属ピンである。焦点における電界がピンの軸と平行である場合、電界はピンに結合して表面プラズモンを発生させ得、表面プラズモンは、ピンの表面に沿って移動し、焦点のみの場合よりもはるかに小さい集中エネルギの小地点として現われる。光NFTが記録ヘッドの空気軸受面に近接している場合、ナノ寸法の小地点が記録媒体上で加熱される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2次元のSIMおよびSILは製造が困難である。熱アシスト磁気記録(HAMR)用の近接場変換器にエネルギを供給するより簡単な方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
要約
記録ヘッドは、空気軸受面に隣接したポール先端を有する書込ポールと、戻りポールと、空気軸受面に隣接して位置決めされ、磁気記憶媒体の一部を近接場放射に露光して磁気書込を補助する光近接場変換器とを含む。近接場変換器に光エネルギを直接運ぶための導波管が設けられる。
【0006】
データ記憶装置は、記憶媒体と、記憶媒体にデータを書込む記録ヘッドとを含む。記録ヘッドは、近接場変換器にエネルギを直接運ぶリッジ導波管と、空気軸受面に隣接したポール先端を有する書込ポールと、戻りポールと、空気軸受面に隣接して位置決めされ、磁気記憶媒体の一部を高エネルギ放射に露光する光近接場変換器とを含む。
【0007】
記録ヘッドを用いた磁気記憶媒体への磁気記録方法であって、記録ヘッドは、空気軸受面に隣接したポール先端を有する書込ポールと、戻りポールと、導波管と、書込ポールおよび導波管に隣接して位置決めされた光近接場変換器とを含み、導波管は次にエネルギを近接場変換器上に直接集束することによって、近接場変換器がエバネッセント放射を発する方法が提供される。エバネッセント放射は次に磁気記憶媒体の一部を加熱する一方で、書込ポールによって発生した書込磁界が磁気記憶媒体の当該一部の磁化に影響を及ぼす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】HAMR装置を含み得る磁気ディスクドライブの斜視図である。
【図2】垂直HAMR磁気記録ヘッドおよび関連記録媒体の断面図である。
【図3】導波管および関連記録媒体に近接した近接場変換器の概略図である。
【図4A】図4Aは、変換器の概略図である。図4A′および図4A″は、導波管断面の図である。
【図4B】変換器の概略図である。
【図4C】変換器の概略図である。
【図5】面取りした導波管の断面の概略図である。
【図6A】図5の導波管が磁気書込装置に近接している、HAMR変換器の概略断面図である。
【図6AA】本発明の1つの局面の空気軸受面の図である。
【図6AAA】本発明の別の局面の空気軸受面の図である。
【図6B】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図6C】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図6D】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図6E】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図6F】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図6G】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図6H】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図6I】図6Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図7】末端が面取りされた導波管の形成における工程を示すフローチャートである。
【図8】HAMR変換器の概略断面の図である。
【図8A】本発明の1つの局面の空気軸受面の図である。
【図8AA】本発明の別の局面の空気軸受面の図である。
【図9A】別のHAMR変換器の概略断面の図である。
【図9B】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図9C】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図9D】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図9E】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図9F】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図9G】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図9H】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図9I】図8Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図10A】別のHAMR変換器の概略断面の図である。
【図10B】図10Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図10C】図10Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図10D】図10Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図10E】図10Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図10F】図10Aに示されるHAMR変換器の形成における製造工程を示す概略上面図である。
【図11】関連記録媒体に近接した近接場変換器にエネルギを運ぶ湾曲導波管の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
図1は、磁気媒体16のトラック14の上方にスライダ12を位置決めするための作動システムを含むディスクドライブ10の斜視図である。ディスクドライブ10の特定の構成は、本発明の説明を容易にするために示されており、本発明の範囲を多少なりとも限定するように意図されていない。ディスクドライブ10は、スピンドル上のアクチュエータアーム20を軸22を中心として回転させるように構成されたボイスコイルモータ18を含む。ロードビーム24が、ヘッド装着ブロック26においてアクチュエータアーム20に接続されている。ロードビーム24の一端にサスペンション28が接続されており、スライダ12はサスペンション28に取付けられている。磁気媒体16は軸30を中心として回転し、そのためスライダ12はウィンデージに遭遇して、磁気媒体16の表面から短い距離だけ離れて空中に保たれる。磁気媒体16の各トラック14は、データを記憶するためのデータ記憶セルの配列でフォーマット化される。スライダ12は、磁気媒体16のトラック14上のデータを読出すおよび/または書込むための磁気変換器(図1には図示せず)を担持する。磁気変換器は、付加的な電磁エネルギを利用して媒体16の表面を加熱し、熱アシスト磁気記録(HAMR)と称されるプロセスによる記録を促進する。
【0010】
HAMR変換器は、磁界を発生させて磁気媒体(たとえば磁気媒体16)に書込む磁気書込装置と、書込磁界に近接した磁気媒体の一部を加熱する光学装置とを含む。以下の説明では、図2はHAMR磁気書込装置の構成要素および機能に関する。図3および図4A−図4Cは光学装置の構成要素および機能に関する。図5A−図11は他の光学装置の構成要素および機能に関する。
【0011】
図2は、HAMR磁気記録ヘッド40の一部および関連磁気記憶媒体42の一部の断面図である。HAMR磁気記録ヘッド40は、ペデスタル48によって結合された書込ポール44および戻りポール46を含む。導体52および54を含むコイル50がペデスタルを囲み、絶縁体56によって支持されている。示されるように、磁気記憶媒体42は、硬磁性記憶層62および軟磁性下地層64を含む垂直磁気媒体であるが、パターン化媒体などの他の形態の媒体であってもよい。コイル内の電流が、ペデスタルおよびポールにおいて磁界を誘導する。磁束58が、空気軸受面(ABS)60において記録ヘッドから出て、領域58内で囲まれる記憶媒体42の硬磁性層62の一部の磁化を変更するのに用いられる。近接場変換器66が、空気軸受面60に近接した書込ポール44内に位置決めされる。近接場変換器66は、レーザなどの外部源から電磁波を受ける導波管68に結合されている。近接場変換器66の端における電界を用いて硬磁性層62の一部69を加熱して保磁力を低下させることによって、書込ポールからの磁界が記憶媒体の磁化に影響を及ぼし得る。
【0012】
HAMR変換器は、集束ビームを発生させるために、モード屈折率レンズまたは平面ソリッドイマージョンミラーもしくはレンズなどのさまざまな導波管を組込み得る。図3に示される例では、導波管68の端縁80は実質的に放物線形状である。導波管の内部と外部の材料の屈折率の差によって、電磁波を導波管の境界で屈折させることができる。レンズ(導波管68)の縦軸に沿って移動する電磁波82および84は、示されるように、境界80において焦点86に向けて偏向されることになる。回折格子83および85または外部エネルギを導波管68内に結合させる当該技術分野において公知の他の手段が、導波管68の中心を下降して移動する放射を最小化するよう、かつ放物線状端縁80から反射したエネルギを最大化するように構成され、その結果、焦点に当たる電磁波82および84の縦方向の成分のエネルギ含量を増加することができる。
【0013】
導波管68の焦点86に集中する地点の寸法は回折限界的であり、単独では、高面密度のHAMR記録媒体に要求される100nm未満の寸法には不十分である。容認できる100nm未満の地点サイズにエネルギを集束するためには、金属ピン、球とピンとの組合せ、ディスクとピンとの組合せ、および当該技術において公知の他の手段などの近接場変換器(NFT)が必要である。導波管68の焦点86に位置決めされたNFT66は、入射波82および84に結合して表面プラズモンを発生させ得、表面プラズモンは、NFT66を軸方向に下降して伝搬した後、記憶媒体42の小領域69を加熱する矢印87として図3に概略的に示されるエネルギとして出る。
【0014】
導波管68は、所望の波長および屈折率に依存して、TiO2、Ta2O5、Si、SiN、またはZnSなどの高屈折率誘電体コア材料からなり得る。たとえば、Siは近赤外の波長1550nmで3.5という非常に高い屈折率を有するが、可視光には透明でない。Ta2O5は約2.1という低い屈折率を有しており,近赤外線および可視光全体に渡って透明である。導波管68はまた、コアの両側に誘電体クラッディング層を含む。好ましくは、コアとクラッディングとの屈折率の差はできる限り大きい。ソリッドイマージョンミラー用のクラッディングの一方側には、空気が好適な誘電体である。ソリッドイマージョンミラー用のクラッディング層に用いられ得る他の誘電体は、屈折率1.5のSiO2、および屈折率が約1.8のAl2O3を含む。
【0015】
ある種類のNFTは、ピン、ディスク/ピン、球/ピンの形態の2次元および3次元の金属形状、ならびに結合されたナノロッド構成を含む。他の構成は、金属膜における「C」字形状、「L」字形状、および「蝶ネクタイ」形状の開口部を含む。これらの構造は、適切に設計された入射電磁放射を照射されると共振し、それによって、結果として発生する表面プラズモンが、近接する表面の微小区域を強力な放射で照射し得る。一般的に、これらの構造は絶縁環境下では金属形状である。平面NFTは、入射放射に対する変換器の向きに依存して開口部を有する、または有しない、成形金属膜である。
【0016】
図4A−図4Cは、レーザまたは別の導波管などのエネルギ源から、磁気記録媒体に近接した書込ポールに近接した光近接場変換器にエネルギを運んで、記録媒体上の小領域を加熱してHAMR用の磁気書込を補助する、本発明の1つの局面を示す。この方法は、エネルギ源から近接場変換器にテーパ状導波管を介してエネルギを伝達することを含む。好ましくは、導波管は、好ましくは多段台形断面を有するコアを有するリッジ導波管である。レーザダイオードなどのエネルギ源からの光ビームをテーパ状導波管内に結合させることは、テーパ状結合素子によって行なわれ得る。結合素子は、レーザ出力の光モードを、エネルギを受ける装置内の光モードと一致させるように変更する。結合素子は慣例的に、NFTなどの標的に向けてエネルギを伝達するテーパ状導波管の各端に位置決めされる。エネルギが導波管の端の光NFTに結合するようなテーパ状リッジ導波管のコアの好ましい寸法は、約100マイクロメートルの距離にわたって、約1,000nmから約500nmずつ、約5,000nmから約200nmまで小さくなる。
【0017】
図4Aは、光NFT132、記録媒体134、エネルギ源136、およびテーパ状リッジ導波管138を示す。導波管138は、エネルギ移動を促進するために各端にテーパ状結合素子130および131を有する。エネルギ源136は、矢印137によって示されるようにテーパ状リッジ導波管138に電磁エネルギを運び、導波管138は次に、磁気書込ヘッド40の磁気書込ポール44に隣接した光NFT132にエネルギを運ぶ。NFT132は、矢印139によって示されるように、記録媒体134上の小地点に電磁エネルギを集中させて、磁気記録を可能にする。エネルギ源136は、レーザダイオードまたは別の導波管であり得る。5ミクロンを超えない光モードの寸法を有する単一モードレーザダイオードまたは単一モード導波管が好ましい。
【0018】
テーパ状導波管138の断面A′A′が図4A′に示されており、導波管138はリッジ導波管である。コア150はクラッディング152に囲まれている。リッジ導波管コア150の断面は、示されるように2つの台形の積み重ねに似ており、コア150の側面に単一の段差154がある。他の局面では、テーパ状リッジ導波管138のコアは矩形状を有し得る。さらに多くの台形状または矩形状を積み重ねて、リッジ導波管コア150の側面の段差154の数を増やしてもよい。別の局面では、テーパ状導波管138は図4A″に示されるような断面を有する薄膜平面導波管であり得、コア156は矩形状断面を有する。
【0019】
HAMR用の光NFTにエネルギを運ぶための別の方法が図4Bに示される。図4Bでは、エネルギ源136は、矢印137によって示されるように、結合素子130および131を有するテーパ状導波管138にエネルギを運ぶ。導波管138は次に、矢印135によって示されるように、光NFT132の表面にエネルギを運ぶ。光NFT132は次に、矢印139に示されるように、記録媒体134上の小地点に電磁エネルギを集中させて、磁気記録ヘッド40による磁気記録を補助する。角度θは、効率的なプラズモン励起のための光NFT132との位相整合条件を最大化するために、ゼロから90度まで変動し得る。導波管138は、リッジ導波管または薄膜平面導波管であり得る。
【0020】
HAMR用の光NFTにエネルギを運ぶための別の方法が図4Cに示される。図4Cでは、たとえば、高さ制限を満たすようにエネルギ源136を読出/書込ヘッドの側面に装着することによって、エネルギ源136は記録媒体134と平行である。エネルギ源136は、矢印137によって概略的に示されるように、結合素子130および131を有するテーパ状導波管138にエネルギを運ぶ。導波管138は次に、ミラー140にエネルギを運び、ミラー140は、矢印135によって概略的に示されるように、光NFT132にエネルギを導き直す。光NFT132は次に、矢印139によって示されるように、記録媒体134上の小地点に電磁エネルギを集中させて、磁気記録を補助する。導波管138は、リッジ導波管または薄膜平面導波管であり得る。
【0021】
本発明の別の局面では、NFTに光エネルギを直接運んでHAMRにおける磁気記録を補助するための別の方法は、テーパ加工されておらず、より厚いコアを有する2次元の平面導波管を用いることである。図4A−図4Cに概略的に示されるようなテーパ状導波管では、テーパは、好ましくは全体で200nmよりも小さい、導波管から光NFTの結合区域に発出する電磁波のモードプロファイルと一致するように設計される。コアとクラッディングの屈折率がそれぞれ2.1および1.6であり、かつ500nmのコアを有する導波管については、モードプロファイルは、第1のTEモードでは半値全幅(FWHM)で約750nmである。これでは、光NFTの200nmの特徴と効率的に結合することができない。この場合、導波管内のエネルギを導波管に近接した光NFTに結合させることは、導波管の端を面取りし、面取り部を誘電体および金属コーティングでコーティングして、エネルギを導波管からNFTに向けて偏向させることによって達成される。この導波管の端におけるコーティングされた面取り部によってこの制限が克服され、200nmの光NFT寸法との効率的な結合が可能となる。面取りした導波管の明確な利点は、導波管を書込ポールの磁気回路および関連光NFTに接近して統合させて、コンパクトで製造が容易なHAMR装置構造を形成できることである。
【0022】
面取りした導波管の断面の概略図が図5に示される。面取りした導波管242は、底部クラッディング層244、頂部クラッディング層245、およびコア層246を含む。電磁エネルギは、矢印252によってコア層246内を伝搬することが概略的に示される。導波管242の面取りした端249は、電磁エネルギを偏向させるためにコーティングされる必要がある。面取りした端249で電磁エネルギを偏向させるには、2層コーティングで十分である。面取りした端249は好ましくは、低屈折率誘電体層248および金属層250でコーティングされる。低屈折率誘電体層248は好ましくはSiO2である。Al2O3、MgOおよび当業者に公知の他の材料などの他の低屈折率誘電材料を用いてもよい。金属層250は好ましくは金であるが、プラチナ、銀、および当業者に公知の他の材料などの他の金属を用いてもよい。動作時、導波管242内の電磁エネルギは、コーティングして面取りした表面249に当たる。金属/誘電体界面251において表面プラズモンが発生する。プラズモンは、矢印254によって示されるように金属/誘電体界面251を下降して伝搬した後、矢印256によって示されるように領域260において集中エネルギとして現れる。NFT近接領域260は電磁放射に結合し、空気軸受面247においてエネルギをエバネッセント放射として導くことになる。角度φは、金属/誘電体界面251において発生した表面プラズモンが領域260においてNFTに最も効率的に結合するように調整される。
【0023】
変換器242はNFTに統合されて、ABSにおいてエネルギを集中させ、記録媒体の小領域を加熱し得る。変換器およびNFTは次に磁気書込ヘッドに統合されて、当該技術において公知の従来のプロセスを用いて容易に製造可能なコンパクトなHAMR構造が形成され得る。統合されたHAMR変換器360の概略断面が図6Aに示される。HAMR変換器360は、光NFT332および磁気書込回路354に近接した、面取りした導波管342を含む。動作時、面取りした表面349において集束される導波管342内の電磁エネルギは、ABS347に近接した記録媒体(図示せず)を加熱する光NFT332に結合して、磁気書込回路354の書込ポール352による磁気書込を補助する。
【0024】
面取りした導波管342は、底部クラッディング層344、頂部クラッディング層345、およびコア層346を含む。面取りした表面349は、低屈折率誘電体層および金属層を含む2層コーティングでコーティングされている。面取りした表面349は低屈折率誘電体層348でコーティングされ、誘電体層348は次に金属層350でコーティングされているため、面取りした表面349は導波管342内の電磁エネルギーを光NFT332に向けて偏向させることができる。低屈折率誘電体層348は好ましくはSiO2である。Al2O3、MgOおよび当業者に公知の他の材料などの他の低屈折率誘電材料を用いてもよい。第2の金属層350は好ましくは金であるが、プラチナ、銀、および当業者に公知の他の材料などの他の金属を用いてもよい。
【0025】
動作時、導波管342内の電磁エネルギは、コーティングして面取りした表面349に当たる。金属/誘電体界面351において表面プラズモンが発生する。プラズモンは、光NFT332に向かって金属/誘電体界面351を下降して伝搬した後、光NFT332に結合し、その後、ABS347においてエバネッセント放射として現れる。角度φは、金属/誘電体界面351において発生した表面プラズモンが光NFT332に効率的に結合するように調整される。図6Aに示される実施例では、光NFT332はクラッディング344によって誘電体層346から分離されている。光NFT332は、金属層350とも接触し得る。
【0026】
図6Aは、書込ポール352、戻りポール353、および後部間隙領域355を含む磁気回路354を示す。わかりやすくするため、通電コイル、絶縁層、磁気シールドなどの磁気回路354の残りの素子は図6Aに示されていない。磁気書込ポール352はさまざまな磁性材料で構成され、好ましくは、CoFeなどの低保磁力および高モーメントの材料で構成される。戻りポール353および磁気回路354の残りの素子は、NiFeまたは何らかの他の好適な磁性材料などのさまざまな磁性材料で構成され得る。
【0027】
本発明の1つの局面の空気軸受面の図が図6AAに示される。図6AAでは、NFT332は底部クラッディング層344によって磁気書込ポール352から分離されている。本発明の別の局面の空気軸受面の図が図6AAAに示される。図6AAAでは、NFT332は磁気書込ポール352にずっと近づいて位置決めされている。NFT332および磁気書込ポール352が互いに近接しているが依然として底部クラッディング層344によって分離されるように、磁気書込ポール352にチャネルが形成される。本発明のこの局面では、光エネルギおよび磁気エネルギは好ましくは重畳され、光地点と磁気ビットは書込時にほぼ合致する。
【0028】
図6Aに示されるHAMR変換器360を形成する工程が図7に列挙されており、図6Bから図6Iの上面図に示される。HAMR変換器360の形成時に用いられるパターンおよび形状はすべて、たとえばフォトリソグラフィマスキング、ストリッピング、エッチング、物理蒸着法、イオンビーム加工、および当該技術において公知の他の技術を用いて形成される。図6Bの上面図に示されるように、まず基板上に磁気書込回路354を形成する(ステップ410)。この回路は、高モーメント書込ポール352、戻りポール353(図示せず)、後部間隙領域355(図示せず)、および通電コイル、絶縁層、磁気シールドなど(図示せず)の磁気書込回路354の残りの素子を含む。次に図6Cに示されるように、底部クラッディング層344を堆積する(ステップ420)。次に底部クラッディング層344をエッチングして、光近接場変換器を堆積するためのキャビティを形成する(ステップ430)。次に図6Dに示されるように、エッチングされたキャビティ内に光NFT332を堆積する(ステップ440)。次に図6Eに示されるように、底部クラッディング層344および光NFT332上に導波管コア346を堆積する(ステップ450)。次に図6Fに示されるように、コア層346上に頂部クラッディング層345を堆積する(ステップ460)。
【0029】
次に図6Gに示されるように、導波管342の端をイオンビームエッチングまたは他の材料除去手段によって面取りし、面取りした表面349を形成する(ステップ470)。次に図6Hに示されるように、面取りした表面349上に誘電体層348を堆積する(ステップ480)。最後に、図6Iに示されるように、誘電体層349上に金属層350を堆積して(ステップ490)、HAMR変換器構造360を形成し、この内部では、導波管342からの電磁エネルギが面取りした表面349にぶつかって誘電体/金属界面351においてプラズモンを導入し、プラズモンは、光NFT332の表面に結合し、ABS347に近接した記録媒体を加熱する小さな地点のエバネッセント放射として現われて、書込ポール352による切換を補助する。
【0030】
本発明の別の局面が図8に示される。図8では、HAMR変換器560の磁気回路に、付加的な戻りポール556が追加されている。戻りポール556には2つの目的がある。第1に、戻りポール556は、磁気書込回路内のより大きな戻りポールを提供する別の戻りポールとして作用する。第2に、戻りポール556は、NFT532および書込ポール552を記録媒体との不慮の接触から保護する接触パッドとして作用する。
【0031】
HAMR変換器560は、光NFT532および磁気書込回路554に近接した、面取りした導波管542を含む。動作時、面取りした表面549において集束される導波管542内の電磁エネルギは、ABS547に近接した記録媒体(図示せず)を加熱する光NFT532に結合して、磁気書込回路554の書込ポール552による磁気書込を補助する。
【0032】
面取りした導波管542は、底部クラッディング層544、頂部クラッディング層545、およびコア層546を含む。面取りした表面549は、低屈折率誘電体層および金属層を含む2層コーティングでコーティングされている。面取りした表面549は低屈折率誘電体層548でコーティングされ、誘電体層548は次に金属層550でコーティングされているため、面取りした表面549は導波管542内の電磁エネルギーを光NFT532に向けて偏向させることができる。低屈折率誘電体層548は好ましくはSiO2である。Al2O3、MgOおよび当業者に公知の他の材料などの他の低屈折率誘電材料を用いてもよい。第2の金属層550は好ましくは金であるが、プラチナ、銀、および当業者に公知の他の材料などの他の金属を用いてもよい。
【0033】
動作時、導波管542内の電磁エネルギは、コーティングして面取りした表面549に当たる。金属/誘電体界面551において表面プラズモンが発生する。プラズモンは、光NFT532に向かって金属/誘電体界面551を下降して伝搬した後、光NFT532に結合し、その後、ABS547においてエバネッセント放射として現れる。角度φは、金属/誘電体界面551において発生した表面プラズモンが光NFT532に効率的に結合するように調整される。図8に示される実施例では、光NFT532はクラッディング544によって誘電体層546から分離されている。光NFT532は、金属層550とも接触し得る。
【0034】
図8は、書込ポール552、戻りポール553および556、ならびに後部間隙領域555を含む磁気回路554を示す。上述のように、戻りポール556には2つの目的がある。第1に、戻りポール556は、別の戻りポールとして作用する。第2に、戻りポール556は、近接場変換器532および書込ポール552を記録媒体との不慮の接触から保護する接触パッドとして作用する。戻りポール556は、誘電材料562によって面取りした導波管542から分離されている。わかりやすくするため、通電コイル、絶縁層、磁気シールドなどの磁気回路554の残りの素子は図8に示されていない。磁気書込ポール552はさまざまな磁性材料で構成され、好ましくは、CoFeなどの低保磁力および高モーメントの材料で構成される。戻りポール553および磁気回路554の残りの素子は、NiFeまたは何らかの他の好適な磁性材料などのさまざまな磁性材料で構成され得る。
【0035】
本発明の1つの局面の空気軸受面の図が図8Aに示される。図8Aでは、NFT532は、クラッディング層544および他の誘電材料562によって磁気書込ポール552および磁気戻りポール556から分離されている。誘電材料562は、Al2O3、SiO2または当該技術において公知の他の誘電材料を含み得る。本発明の別の局面が図8AAに示される。図8AAでは、NFT532は磁気書込ポール552にずっと近づいて位置決めされている。NFT532および磁気書込ポール552が互いに近接しているが依然として底部クラッディング層544によって分離されるように、磁気書込ポール552にチャネルが形成される。この構成では、光エネルギおよび磁気エネルギは好ましくは、光地点と磁気ビットが書込時にほぼ合致するように重畳される。
【0036】
別のHAMR変換器が図9Aに示されており、図9AはHAMR変換器660の概略断面である。HAMR変換器660は、動作時に加熱地点と磁気的切替領域が実質的に一部重複するように光NFT632が書込ポール652同士の間にあるように、光NFT632および磁気書込回路654に近接した面取りした導波管642を含む。動作時、面取りした表面649において集束される導波管642内の電磁エネルギは、ABS647に近接した記録媒体(図示せず)を加熱する光NFT632に結合して、磁気書込回路654の書込ポール652による磁気書込を補助する。
【0037】
面取りした導波管642は、底部クラッディング層644、頂部クラッディング層645、およびコア層646を含む。面取りした表面649は、低屈折率誘電体層および金属層を含む2層コーティングでコーティングされている。面取りした表面649は低屈折率誘電体層648でコーティングされ、誘電体層648は次に金属層650でコーティングされているため、面取りした表面649は導波管642内の電磁エネルギーを光NFT632に向けて偏向させることができる。低屈折率誘電体層648は好ましくはSiO2である。Al2O3、MgOおよび当業者に公知の他の材料などの低屈折率誘電材料を用いてもよい。第2の金属層650は好ましくは金であるが、プラチナ、銀、および当業者に公知の他の材料などの他の金属を用いてもよい。
【0038】
動作時、導波管642内の電磁エネルギは、コーティングして面取りした表面649に当たる。金属/誘電体界面651において表面プラズモンが発生する。プラズモンは、光NFT632に向かって金属/誘電体界面651を下降して伝搬した後、光NFT632に結合し、その後、ABS647においてエバネッセント放射として現れる。角度φは、金属/誘電体界面651において発生した表面プラズモンが光近接場変換器632に最も効率的に結合するように調整される。図9Aに示される実施例では、光NFT632はクラッディング644の薄層によって誘電体層646から分離されている。別の実施例では、光NFT632は、金属層650と接触し得る。
【0039】
図9Aは、書込ポール652、戻りポール653、および後部間隙領域655を含むHAMR変換器660の磁気回路654を示す。わかりやすくするため、通電コイル、絶縁層、磁気シールドなどの磁気回路654の残りの素子は図9Aに示されていない。磁気書込ポール652はさまざまな磁性材料で構成され、好ましくは、CoFeなどの低保磁力および高モーメントの材料で構成される。戻りポール653および磁気回路654の残りの素子は、NiFeまたは何らかの他の好適な磁性材料などのさまざまな磁性材料で構成され得る。
【0040】
図9Aに示されるHAMR変換器660を形成する工程が図7に列挙されており、図9Bから図9Iの上面図に示される。HAMR構造の形成時に用いられるパターンおよび形状はすべて、たとえばフォトリソグラフィマスキング、ストリッピング、エッチング、物理蒸着法(PVD)、イオンビーム加工、および当該技術において公知の他の技術を用いて形成される。図9Bの上面図に示されるように、まず基板上に磁気書込回路654を形成する(ステップ410)。この回路は、高モーメント書込ポール652、戻りポール653(図示せず)、後部間隙領域655(図示せず)、および通電コイル、絶縁層、磁気シールドなど(図示せず)の磁気書込回路654の残りの素子を含む。次に図9Cに示されるように、底部クラッディング層644を堆積する(ステップ420)。次に底部クラッディング層644をエッチングして、書込ポール652同士の間に光近接場変換器を堆積するためのキャビティを形成する(ステップ430)。次に図9Dに示されるように、書込ポール652同士の間のエッチングされたキャビティ内に光NFT632を堆積する(ステップ440)。次に図9Eに示されるように、底部クラッディング層644および光NFT632上に導波管コア646を堆積する(ステップ450)。次に図9Fに示されるように、コア層646上に頂部クラッディング層645を堆積する(ステップ460)。
【0041】
次に図9Gに示されるように、導波管642の端をイオンビームエッチングまたは他の材料除去手段によって面取りし、面取りした表面649を形成する(ステップ470)。次に図9Hに示されるように、面取りした表面649上に誘電体層648を堆積する(ステップ480)。最後に、図9Iに示されるように、誘電体層648上に金属層650を堆積して(ステップ490)、HAMR変換器構造660を形成し、この内部では、導波管642からの電磁エネルギが面取りした表面649にぶつかって誘電体/金属界面651においてプラズモンを導入し、プラズモンは、光NFT632の表面に結合し、ABS647に近接した記録媒体を加熱する小さな地点のエバネッセント放射として現われて、書込ポール652による切換を補助する。
【0042】
別のHAMR変換器760が図10Aに示される。HAMR変換器760は、上述のように導波管および磁気書込回路に近接した光NFTを含むが、導波管の端は面取りされておらず、導波管コア内のエネルギは、コアと接触している光NFTに直接結合する。導波管742は、底部クラッディング層744、頂部クラッディング層745、およびコア層746を含む。HAMR変換器760は、光NFT732および磁気書込回路754に近接した導波管コア746を有する導波管742を含む。動作時、ABS747において集束される導波管742内の電磁エネルギは、ABS747に近接した記録媒体(図示せず)を加熱する光NFT732に結合して、磁気書込回路754の書込ポール752による磁気書込を補助する。
【0043】
図10Aは、書込ポール752、戻りポール753、および後部間隙領域755を含む磁気回路754を示す。わかりやすくするため、通電コイル、絶縁層、磁気シールドなどの磁気回路754の残りの素子は図10Aに示されていない。磁気書込ポール752はさまざまな磁性材料で構成され、好ましくは、CoFeなどの低保磁力および高モーメントの材料で構成される。戻りポール753および磁気回路754の残りの素子は、NiFeまたは何らかの他の好適な磁性材料などのさまざまな磁性材料で構成され得る。
【0044】
図10Aに示されるHAMR変換器760を形成する工程が図7に列挙されており、図10Bから図10Fの上面図に示される。HAMR変換器の形成時に用いられるパターンおよび形状はすべて、たとえばフォトリソグラフィマスキング、ストリッピング、エッチング、物理蒸着法、イオンビーム加工、および当該技術において公知の他の技術を用いて形成される。図10Bの上面図に示されるように、まず基板上に磁気書込回路754を形成する(ステップ410)。この回路は、高モーメント書込ポール752、戻りポール753(図示せず)、後部間隙領域755(図示せず)、および通電コイル、絶縁層、磁気シールドなど(図示せず)の磁気書込回路754の残りの素子を含む。次に図10Cに示されるように、底部クラッディング層744を堆積する。次に底部クラッディング層744をエッチングして、書込ポール752に近接した光近接場変換器を堆積するためのキャビティを形成する(ステップ430)。次に図10Dに示されるように、書込ポール先端752同士の間のエッチングされたキャビティ内に光NFT732を堆積する(ステップ440)。次に図10Eに示されるように、底部クラッディング層744およびNFT732上に導波管コア746を堆積する(ステップ450)。最後に図10Fに示されるように、コア層746上に頂部クラッディング層745を堆積する(ステップ460)。コア層746内のエネルギを光近接場変換器732に結合することは、光NFT732をコア層746に直接接触させてNFT732上に表面プラズモンを発生させることによって行なわれる。プラズモンは、光NFT732の先端から発出するエバネッセント放射を発してABS747に近接した記録媒体を加熱し、書込を促進する。
【0045】
本発明の別の局面では、電磁エネルギを光NFTに直接運ぶための汎用的な手段は、湾曲導波管によるものである。図11は、記録媒体900に隣接したNFT840にエネルギを運ぶエネルギ源810を示す。エネルギ源810は、矢印815によって示されるようにテーパ状導波管820に電磁エネルギを運び、導波管820は次に、矢印825によって示されるように湾曲導波管830にエネルギを運ぶ。湾曲導波管830は、矢印835によって示されるように光NFT840にエネルギを運び、光NFT840は次に、矢印845によって示されるように記録媒体900にエネルギを運ぶ。図11の形状は図4Cと同様であり、たとえば、高さ制限を満たすようにエネルギ源810を読出/書込ヘッドの側面に装着することによって記録媒体900と平行なエネルギ源810を概略的に示す。この場合、湾曲導波管830がミラーに取って代わり、NFT840にエネルギを導く。湾曲導波管830の形状は任意である。この結果、湾曲導波管を用いることによって、HAMR用の多数の効率的な設計反復が可能となる。
【0046】
これまでの解決策とは異なり、本発明は、光導波管を用いてエネルギを光NFTに直接運ぶことができることを教示している。3種類の導波管が開示されている。1つ目は、2次元のテーパ状導波管である。2つ目は、厚いコアと、熱影響磁気記録用の光NFTに光エネルギを運ぶ表面プラズモンを金属/誘電体界面において発生させる誘電体層および金属層でコーティングされた面取りした端とを含む、2次元の平面直線導波管である。1つの局面では、この直線導波管は、光NFTと直接接触するテーパ加工されていない端を有する。3つ目は、湾曲導波管である。3種類のHAMR変換器はすべて、当該技術において確立された手順によって経済的に製造可能である。
【0047】
本発明を好ましい実施例を参照して説明したが、当業者は、本発明の思想および範囲から逸脱することなく形態および詳細において変更がなされ得ることを認識するであろう。上記の実現例および他の実現例は以下の請求項の範囲内にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録ヘッドであって、
空気軸受面に隣接したポール先端を有する書込ポールと、
戻りポールと、
前記空気軸受面および前記ポール先端に隣接して位置決めされ、磁気記憶媒体の一部を近接場放射に露光する光近接場変換器と、
前記近接場変換器に光エネルギを直接運ぶ導波管とを備える、磁気記録ヘッド。
【請求項2】
前記導波管はリッジ導波管を含む、請求項1に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項3】
前記リッジ導波管はテーパ状導波管を含む、請求項2に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項4】
前記テーパ状導波管は、矩形状または台形状断面のコアを有する、請求項2に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項5】
前記テーパ状導波管のコアの寸法は、約100マイクロメートルの長さにわたって、約1,000nmから約500nmずつ、約5,000nmから約200nmまで小さくなる、請求項3に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項6】
前記導波管は湾曲導波管を含む、請求項1に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項7】
前記導波管は直線導波管を含む、請求項1に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項8】
前記導波管は面取りした端を有し、
前記面取りした端は誘電体膜および金属膜でコーティングされることによって、光放射に露光されると、前記誘電体膜および前記金属膜によって形成される金属/誘電体界面においてプラズモンが励起され、
前記導波管は前記光近接場変換器と平行で、かつ近接しており、
前記導波管の前記面取りした端の寸法は、前記光近接場変換器の寸法と近似し、
前記金属/誘電体界面において励起されるプラズモンは、前記光近接場変換器に結合する、請求項7に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項9】
前記光近接場変換器は、前記書込ポールの先端と平行である、請求項7に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項10】
前記光近接場変換器は、結合されたナノロッドを含む、請求項1に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項11】
データ記憶装置であって、
記憶媒体と、
前記記憶媒体にデータを書込む記録ヘッドとを備え、前記記録ヘッドは、
近接場変換器にエネルギを直接運ぶ導波管と、
空気軸受面に隣接したポール先端を有する書込ポールと、
戻りポールと、
前記空気軸受面に隣接して位置決めされ、前記磁気記憶媒体の一部を高エネルギ放射に露光する光近接場変換器とを含む、データ記憶装置。
【請求項12】
前記導波管はリッジ導波管を含む、請求項11に記載のデータ記憶装置。
【請求項13】
前記リッジ導波管はテーパ状導波管を含む、請求項12に記載のデータ記憶装置。
【請求項14】
前記テーパ状導波管は、台形状または矩形状断面のコアを有する、請求項13に記載のデータ記憶装置。
【請求項15】
前記導波管は湾曲導波管を含む、請求項11に記載のデータ記憶装置。
【請求項16】
前記テーパ状導波管のコアの寸法は、約100マイクロメートルの長さにわたって、約1,000nmから約500nmずつ、約5,000nmから約200nmまで小さくなる、請求項14に記載のデータ記憶装置。
【請求項17】
前記導波管は面取りした端を有し、
前記面取りした端は誘電体膜および金属膜でコーティングされることによって、光放射に露光されると、前記誘電体膜および前記金属膜によって形成される金属/誘電体界面においてプラズモンが励起され、
前記導波管は前記光近接場変換器と平行で、かつ近接しており、
前記導波管の前記面取りした端の寸法は、前記光近接場変換器の寸法と近似し、
前記金属/誘電体界面において励起されるプラズモンは、前記近接場変換器に結合する、請求項11に記載のデータ記憶装置。
【請求項18】
前記光近接場変換器は、前記磁気記録ヘッドの前記書込ポールと平行で、かつ近接している、請求項17に記載のデータ記憶装置。
【請求項19】
前記光近接場変換器は、結合されたナノロッドを含む、請求項18に記載のデータ記憶装置。
【請求項20】
電磁放射を近接場変換器に向けて集束して記録媒体を加熱するために面取りした端を有する2次元の平面導波管を含む熱アシスト磁気記録ヘッドを形成する方法であって、
磁気書込回路を形成するステップと、
前記磁気書込回路の上に底部クラッディング層を堆積するステップと、
前記底部クラッディング層をエッチングして、近接場変換器を堆積するためのキャビティを形成するステップと、
エッチングされた前記キャビティ内に近接場変換器を堆積するステップと、
前記底部クラッディング層および前記近接場変換器の上に導波管コアを堆積するステップと、
前記導波管コアの上に頂部クラッディング層を堆積するステップと、
前記頂部クラッディング層およびコアを研磨して、前記導波管の傾斜端を形成するステップと、
前記導波管の前記傾斜端の上に誘電体層を堆積するステップと、
前記誘電体層の上に金属層を堆積して、前記導波管内の電磁放射を前記近接場変換器に集束するステップとを備える、方法。
【請求項1】
磁気記録ヘッドであって、
空気軸受面に隣接したポール先端を有する書込ポールと、
戻りポールと、
前記空気軸受面および前記ポール先端に隣接して位置決めされ、磁気記憶媒体の一部を近接場放射に露光する光近接場変換器と、
前記近接場変換器に光エネルギを直接運ぶ導波管とを備える、磁気記録ヘッド。
【請求項2】
前記導波管はリッジ導波管を含む、請求項1に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項3】
前記リッジ導波管はテーパ状導波管を含む、請求項2に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項4】
前記テーパ状導波管は、矩形状または台形状断面のコアを有する、請求項2に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項5】
前記テーパ状導波管のコアの寸法は、約100マイクロメートルの長さにわたって、約1,000nmから約500nmずつ、約5,000nmから約200nmまで小さくなる、請求項3に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項6】
前記導波管は湾曲導波管を含む、請求項1に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項7】
前記導波管は直線導波管を含む、請求項1に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項8】
前記導波管は面取りした端を有し、
前記面取りした端は誘電体膜および金属膜でコーティングされることによって、光放射に露光されると、前記誘電体膜および前記金属膜によって形成される金属/誘電体界面においてプラズモンが励起され、
前記導波管は前記光近接場変換器と平行で、かつ近接しており、
前記導波管の前記面取りした端の寸法は、前記光近接場変換器の寸法と近似し、
前記金属/誘電体界面において励起されるプラズモンは、前記光近接場変換器に結合する、請求項7に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項9】
前記光近接場変換器は、前記書込ポールの先端と平行である、請求項7に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項10】
前記光近接場変換器は、結合されたナノロッドを含む、請求項1に記載の磁気記録ヘッド。
【請求項11】
データ記憶装置であって、
記憶媒体と、
前記記憶媒体にデータを書込む記録ヘッドとを備え、前記記録ヘッドは、
近接場変換器にエネルギを直接運ぶ導波管と、
空気軸受面に隣接したポール先端を有する書込ポールと、
戻りポールと、
前記空気軸受面に隣接して位置決めされ、前記磁気記憶媒体の一部を高エネルギ放射に露光する光近接場変換器とを含む、データ記憶装置。
【請求項12】
前記導波管はリッジ導波管を含む、請求項11に記載のデータ記憶装置。
【請求項13】
前記リッジ導波管はテーパ状導波管を含む、請求項12に記載のデータ記憶装置。
【請求項14】
前記テーパ状導波管は、台形状または矩形状断面のコアを有する、請求項13に記載のデータ記憶装置。
【請求項15】
前記導波管は湾曲導波管を含む、請求項11に記載のデータ記憶装置。
【請求項16】
前記テーパ状導波管のコアの寸法は、約100マイクロメートルの長さにわたって、約1,000nmから約500nmずつ、約5,000nmから約200nmまで小さくなる、請求項14に記載のデータ記憶装置。
【請求項17】
前記導波管は面取りした端を有し、
前記面取りした端は誘電体膜および金属膜でコーティングされることによって、光放射に露光されると、前記誘電体膜および前記金属膜によって形成される金属/誘電体界面においてプラズモンが励起され、
前記導波管は前記光近接場変換器と平行で、かつ近接しており、
前記導波管の前記面取りした端の寸法は、前記光近接場変換器の寸法と近似し、
前記金属/誘電体界面において励起されるプラズモンは、前記近接場変換器に結合する、請求項11に記載のデータ記憶装置。
【請求項18】
前記光近接場変換器は、前記磁気記録ヘッドの前記書込ポールと平行で、かつ近接している、請求項17に記載のデータ記憶装置。
【請求項19】
前記光近接場変換器は、結合されたナノロッドを含む、請求項18に記載のデータ記憶装置。
【請求項20】
電磁放射を近接場変換器に向けて集束して記録媒体を加熱するために面取りした端を有する2次元の平面導波管を含む熱アシスト磁気記録ヘッドを形成する方法であって、
磁気書込回路を形成するステップと、
前記磁気書込回路の上に底部クラッディング層を堆積するステップと、
前記底部クラッディング層をエッチングして、近接場変換器を堆積するためのキャビティを形成するステップと、
エッチングされた前記キャビティ内に近接場変換器を堆積するステップと、
前記底部クラッディング層および前記近接場変換器の上に導波管コアを堆積するステップと、
前記導波管コアの上に頂部クラッディング層を堆積するステップと、
前記頂部クラッディング層およびコアを研磨して、前記導波管の傾斜端を形成するステップと、
前記導波管の前記傾斜端の上に誘電体層を堆積するステップと、
前記誘電体層の上に金属層を堆積して、前記導波管内の電磁放射を前記近接場変換器に集束するステップとを備える、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6AA】
【図6AAA】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図6I】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図8AA】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図9H】
【図9I】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6AA】
【図6AAA】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図6I】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図8AA】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図9H】
【図9I】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図11】
【公開番号】特開2011−210360(P2011−210360A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−72159(P2011−72159)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72159(P2011−72159)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】
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