説明

磁気記録媒体およびその記録再生装置

【課題】記憶容量の増大を図るためにスライダの傾きに対応して微小面積の磁性領域をパターン化した磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】同心円状に複数の記録トラック(107,108,109)が形成され、前記記録トラックには直交する二つの軸に対して対称形状の磁性部(112)が多数形成されており、記録再生ヘッド(101)を有するスライダ(96)が備えられた記録再生装置によって、回転され、磁気記録が記録再生される磁気記録媒体(100)であって、前記記録トラックと所定の間隙を保持しつつ、流体力で浮上した前記スライダを前記同心円の径方向に移動させてそれぞれの記録トラックの記録または再生を行う前記記録再生ヘッドが、前記同心円の接線に対して所定の角度(θ)傾いているとき、前記磁性部は、一の対称軸が前記記録再生ヘッドと垂直となる姿勢で、前記記録トラックに一定間隔で形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶容量を向上させた磁気記録媒体、および、カートリッジに多数枚収納された磁気記録媒体を取り出しデータを記録または再生する記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報関連機器が処理等する情報量は、通信環境の整備、電子技術の発展等に伴い、著しく増加している。このような環境変化への対応を図るため、パソコン等の情報関連機器の機能、処理能力も飛躍的に向上している。情報量の増加に対応するには、情報を蓄積する記録媒体の容量を増加させることが重要な課題の一つとなる。
【0003】
この課題を解決するために、磁性領域をパターン化した垂直磁気記録媒体において、非記録材料で互いに分離して形成された記録セルを周期的に配列し、記録トラックを形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。また、非磁性領域の熱伝導率を記録セルの熱伝導率よりも低いものとすることにより、記録セルの温度を一定にし、その後磁場印加により安定的に記録する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。かかる技術は、記録破壊を防止しつつ、磁記録媒体の高密度化に対応するものである。
【0004】
前記した技術の他にも、磁性膜を加熱する方法として、磁気記録媒体の磁気記録面の反対側からレーザ光を照射し加熱する方法や、磁気記録面側から近接場光、ヒータ、電磁波等で加熱する方法を適用した垂直磁気記録媒体の熱アシスト磁気記録方法がある(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−157502号公報
【特許文献2】特開2006−277895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で開示された技術では、磁性領域をパターン化した磁気記録媒体は、磁性領域を形成する楕円形状をした個々の記録セルが同心円状に形成された記録トラック上に、長円を周方向に、短円を中心方向にとった姿勢で一定間隔で配列されている。
そして、記録再生装置に備えられた記録再生ヘッドを有するスライダは、通常、同心円状の記録トラックの回転軸からオフセットされた回転軸を有して回動する回転アクチュエータに、回動の法線方向に延出されたサスペンションを介して、接続されており、前記回転アクチュエータを回動させることによって、同心円の径方向に移動する。
【0006】
このため、同心円の径方向の位置に依存して、記録トラックの同心円の法線に対するスライダの傾きが変化する。例えば、サスペンションが直線の棒状で、一端を回転アクチュエータの軸心に取付けられ回動する場合であって、その先端にスライダを備えられているとすると、サスペンションの直線と、記録再生ヘッドが記録再生している記録トラックの接線とが一致するときは、傾きはなくなり、この位置から同心円の外周方向、もしくは中心方向へスライダが移動すると、移動量に応じて傾きは大きくなる。
【0007】
この傾きは、円板状の磁気記録媒体に対して記録再生ヘッドの記録再生できる範囲に影響し、傾きが小さければ範囲は広くなり、傾きが大きければ範囲は狭くなる。
安定した記録再生できる範囲を確保するべく、磁気記録媒体を記録、再生する記録再生ヘッドは、前記した記録トラックに対して所定のヨー角の範囲となるように斜めに設定されたスライダに備えられている。しかしながら、磁性領域と記録再生ヘッドの書込み素子、読取り素子および加熱素子との姿勢が一致せず、効率よく磁束を捕らえられない範囲が生ずるおそれがあった。
【0008】
ここで、記録トラックに対するヨー角とは、記録トラックの同心円の接線に対する磁気記録媒体の記録を再生するヘッドの傾きをいう。前記した課題は、例えば、楕円形状をした記録セル(磁性部)の長軸が同心円の法線方向となっている場合に、ヘッドが所定のヨー角で配設されていることから、ヘッド側から臨む一つの磁性部の長軸方向において、ヘッドから遠い部分と近い部分が生ずることによる(例えば、特許文献1)。
【0009】
また、非磁性領域の熱伝導率を記録セルの熱伝導率よりも低いものとすることにより、記録セルの温度を一定にし、その後磁場印加により安定的に記録する技術においても(例えば、特許文献2)、磁性部と隣り合う非磁性領域の熱伝導率と磁性部である記録セルの熱伝導率とに較差を設けるための材料選定が困難であった。
【0010】
本発明は、記憶容量の増大を図るためにスライダの傾きに対応して微小面積の磁性領域をパターン化した磁気記録媒体と、カートリッジに多数枚収納されたこの磁気記録媒体を取出して記録再生することができる記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明は、記録再生ヘッドを有するスライダが備えられた記録再生装置によって、回転され、磁気記録が記録再生される磁気記録媒体であって、同心円状に複数の記録トラックが形成され、前記記録トラックには直交する二つの軸に対して対称であって輪郭が凸状の曲線同士、もしくは、凸状の曲線と直線、または直線と直線、を結んだものであり、直線同士、もしくは、曲線と直線とが接続するときにはその内角が90度を超え、180度を超えない閉じた形状の磁性部が多数形成されており、前記記録トラックと所定の間隙を保持しつつ、流体力で浮上した前記スライダを前記同心円の径方向に移動させてそれぞれの記録トラックの記録または再生を行う前記記録再生ヘッドが、前記同心円の接線に対して所定の角度傾いているとき、前記磁性部は、一の対称軸が前記記録再生ヘッドと垂直となる姿勢で、前記記録トラックに一定間隔で形成されたことを特徴と特徴としている。
【0012】
かかる構成によれば、直交する二つの軸に対して軸対称に形成された磁性部、例えば、輪郭が楕円、長円、角丸長方形、四角形(正方形、長方形)などの形状の磁性部の一の対称軸と書込み素子、読取り素子である記録再生ヘッドとの傾きが垂直となるので、記録再生ヘッドが記録再生する記録トラックが外周から中心方向に移動したときでも、一様な記録再生状態を実現できる。
【0013】
また、本発明は、磁気記録媒体を回転させて流体力で浮上させ、磁気記録媒体の回転半径方向に移動させて情報を記録再生する記録再生ヘッドを有するスライダが備えられた記録再生装置であって、可撓性のシート状の磁気記録媒体を収納したトレイと、前記トレイを複数枚収納するカートリッジと、前記カートリッジを上下に移動させるカートリッジの移動台と、前記トレイを引出して前記磁気記録媒体を記録再生部に搬送するトレイ引出し機構と、前記トレイ引出し機構の下側に配設され、前記磁気記録媒体を記録再生する磁気記録再生部を上下に移動させる再生部の移動台と、を備え、前記トレイ引出し機構の上側には、前記磁気記録媒体を前記磁気記録再生部の回転部に固定する前記磁気記録媒体と略同径の浮上安定円板を備えたクランパが配設され、前記トレイは、前記回転部に貫通された状態で前記カートリッジから引き出され、前記磁気記録媒体は、前記トレイが引き出されたときに前記回転部に前記クランパで固定されることを特徴としている。
かかる構成によれば、前記した磁気記録媒体の記憶容量増加に対応した記録再生装置の大容量化が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、磁気記録媒体に形成された磁性部の全体に対して、書込み磁束、読取り感度を向上させ、記憶容量の増大を図ることができる微小面積の磁性領域をパターン化した磁気記録媒体と、カートリッジに多数枚収納され大容量化された磁気記録媒体を取出して記録再生を行う記録再生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態は、磁気記録媒体に係るものであり、図1は、磁気記録媒体が記録再生装置に配置された状態を表すものであり、磁気記録媒体に形成された複数の記録トラックと、記録トラックに形成された磁性部と、磁気ヘッドを備えたスライダと、の位置関係を模式的に表した部分拡大平面図であり、図1の下方が磁気記録媒体の同心円の中心となり、後記する各記録トラックの中心線107,108,109は、実際は図1の上方が凸となった、すなわち、中心線107が外側で中心線109が内側となる、同心円の円弧となる。
【0016】
スライダ96は、後記する磁気記録媒体100との間に気体を流すことによって、微小な隙間を保って、流体力により浮上しており(図2参照)、図1に示すように、磁気記録媒体100に情報を記録再生する磁気ヘッド101(記録再生ヘッド)と、情報を記録するための書き込み素子104と、情報を再生するための読出し素子103と、磁性部112を加熱するための加熱素子105と、を備える。
そして、スライダ96は、磁気ヘッド101を通る中心線106が、記録トラックの中心線108(同心円)の接線に対して所定の角度だけ反時計周りに傾けられており、これがヨー角θとなる。
【0017】
スライダ96は、通常、図8に示すように、同心円状の記録トラックの回転軸となるクランプ部51からオフセットされた回転軸を有して回動する回転アクチュエータ54に、回動の法線方向に延出されたサスペンション97を介して、接続されており、回転アクチュエータ54を回動させることによって、磁気記録媒体100(300)の同心円の径方向に移動する。
このため、同心円の径方向の位置に依存して(図1では、中心線107,108,109)、記録トラックの同心円の接線に対するスライダのヨー角θが変化する。
すなわち、図1において、このヨー角θは、磁気ヘッド101が中心線107の記録トラックを記録再生しているときと、中心線108,109の記録トラックを記録再生しているときとは、角度が異なってくる。
【0018】
書込み素子104、読出し素子103および加熱素子105は、スライダ96の一端面に成膜製造技術等で積層されて形成され、スライダ96と同じヨー角θの傾きとされている。なお、読出し素子103はGMR素子、TMR素子等が使用できる。また、書込み素子104はギャップを設けた磁気ポールにコイルを巻いた漏れ磁束タイプ等が使用され、加熱素子105には近接場光、電磁波などが使用される。
【0019】
磁気記録媒体100は、情報を記録する微小面積の磁性部112と、情報が記録されない非磁性体からなる非磁性部110とを備えており、記録再生装置に配置され、回転方向117の矢印方向に回転させられる。磁性部112は、磁気記録媒体100に同心円状に複数設けられた記録トラックの中心線107,108,109上に磁性部112の中心が位置するように、一定間隔で形成されている。ここで、前記したように、図1では、記録トラックの中心線107,108,109を直線として表しているが、磁気記録媒体100は、円板状であり、記録トラックは、同心円である円弧状となる。
【0020】
磁性部112は、図1の一の記録トラックの中心線108上の磁性部112dに示すように、図1の平面視、長軸と短軸を有する短軸側の幅Wの矩形としており、直交する二つの軸である長軸114および短軸115に対して軸対称形状に形成されている。長軸114は、磁性部の短軸115と長軸114との交差点を通過する同心円状の記録トラックの法線である中心線113に対して、反時計周りに、前記したヨー角θだけ傾いている。
なお、磁性部112の形状は、直交する二つの軸に対して対称であって輪郭が凸状の同士、もしくは、凸状の曲線と直線、または直線と直線、を結んだものであり、直線同士、もしくは、曲線と直線とが接続するときにはその内角が90度を超え、180度を超えない閉じた形状であればよく、例えば、輪郭が楕円、長円、角丸長方形、四角形(正方形、長方形)などの形状とすることもでき、本実施例の矩形形状に限定されることはない。このような磁性部112の形状であれば、その磁性部112の長軸114方向に対して、磁気ヘッド101と磁性部112との距離が不規則に変化することを回避できる。
【0021】
次に、多数ある磁性部112,・・・,112同士の関係を、図1の磁性部112a,112b,112cを参照して説明する。
一の記録トラックの中心線108に形成された隣り合う二つの磁性部112a,112cと、一の記録トラックの中心線108と同心円の径方向外周側において隣り合う他の記録トラックの中心線107に形成され、隣り合う二つの磁性部112a,112cに近接した一つの磁性部112bとは、一の記録トラックの中心線108の磁性部112aの最も外周側にある角部a1と、他の記録トラックの一つの磁性部112bの最も内周側にある角部b1とを結んだ線の距離d1、および、磁性部112aと隣り合う磁性部112cの最も外周側にある角部c1と、他の記録トラックの一つの磁性部112bの最も内周側にある角部b1とを結んだ線の距離d2が等しくなるように配設されている。
すなわち、図1に示すように、磁性部112aの角部a1と磁性部112bの角部b1とを結んだ距離d1と、磁性部112bの角部b1と磁性部112cの角部c1とを結んだ距離d2とが、互いに等しい二等辺三角形となっている。
【0022】
なお、磁性部112と非磁性部110の磁気記録媒体100の厚み方向の高さ(図2参照)は、同じにして平坦にするのが望ましい。これにより、スライダ96の浮上における変動を抑制することができる。磁性部112は垂直記録の高保持力の磁性体が好ましく、図1のように磁気記録媒体100を平面視したときの面積は、特に制限はされないがおおよそ数100平方ナノメートル以下が好適である。
【0023】
このように本実施形態によれば、磁気記録媒体100の同心円状の記録トラックに情報を記録する微小形状の磁性部112は、それぞれの記録トラックの中心線107,108,109とスライダ96とをヨー角θだけ傾けて一定間隔に配列されている。これにより、微小形状の磁性部112と記録再生加熱素子(読出し素子103、書込み素子104、加熱素子105を含む)の傾きとが一致する。すなわち、お互いの面積が一致するので記録時には効率よく広い面積を加熱し磁化できる。再生時には磁束を効率よく捕らえられるので検出感度を向上できる。
【0024】
さらに、隣接するトラックにおける磁性部112の配置は、隣接トラックの対向する磁性部112の形状の頂点、すなわち、最も近接した部位を結んだ距離d1と距離d2とが等しくなる位置に配設されている。これにより、隣接トラック間を狭くした場合でも磁性部112同士の距離を極力長くとることができるため、互いの磁界の影響は最小限となり、記録密度が向上される。
そして、ヨー角θが大きい所では、この大きなヨー角θに対応して、磁性部112は、ヨー角θと同じ角度傾けられているため、半径方向の記録幅Rdは狭くなる。そして、この記録幅に対応して、同心円状の記録ピッチRpを狭くすることによって記録密度が向上される。
【0025】
また、回転する磁気記録媒体100に設けられた磁性部112は、微小な磁性部を配列するのではなく、同心円状の記録トラックに帯状の磁性帯に形成してもよい(図示せず)。この場合においても、前記したように、スライダ96のヨー角θに対応して磁性帯の幅を変更できる。これにより、ヨー角θが大きい所では磁性帯の幅Rdを狭くできるので同心円状の記録ピッチRpを狭くでき記録密度を向上できる。
【0026】
次に、本実施形態の一構成例について、図面を参照して詳細に説明する。本構成例は、主に磁気記録媒体の構成に係るものであり、図2は、磁気記録媒体が記録再生装置に配置された状態を表し、磁気記録媒体と、磁気ヘッド等を備えたスライダと、の関係を表わす拡大側断面図である。
【0027】
図2に示すように、情報を記録する磁気記録媒体100は、基板120と、基板120に形成された磁束102を通すための軟磁性膜121と、軟磁性膜121の上に一定の間隔で形成された情報を記録するための垂直記録の磁性膜122と、磁性膜122の上に形成され、熱を集熱する熱吸収膜123と、隣接する磁性膜122間および隣接する熱吸収膜123間を分離するために形成された情報を記録しない非磁性膜110と、熱吸収膜123および非磁性膜110を蔽うように形成された潤滑膜124と、から構成される。なお、基板120は、通常円板状に形成される。
【0028】
スライダ96の先端部分には、加熱素子105と、読出し素子103と、加熱素子105と読出し素子103との間に書込み素子104と、を備えており、書込み素子104は、磁気ポール118と、磁気ポール118に巻かれたコイル119とを有している。コイル119に電流を流すことにより磁束102が発生し、磁性膜122が磁化される。
磁性膜122と磁性膜の上に形成された熱吸収膜123は、微小面積を有する磁性部として一定間隔ごとに配列されて形成されるか、もしくは、同心円状の記録トラックにリング状に形成される。そして、磁性膜122と熱吸収膜123以外は非磁性膜110で形成されている。これらの膜間の熱物性の大小の関係は、熱吸収膜123の熱伝導率>磁性膜122の熱伝導率>非磁性膜110の熱伝導率としている。
【0029】
かかる構成により、加熱エネルギーは、熱吸収膜123によって効率よく捕らえられて、磁性膜122に伝達される。すなわち、磁気記録媒体100へ情報を書き込む際には、加熱素子105から照射された光もしくは電磁波で熱吸収膜123を加熱するが、熱吸収膜123によって高効率で変換され、集熱された熱の多くは、非磁性膜110よりも熱伝導率の高い磁性膜122に伝達されるため、効率よく加熱することができる。
【0030】
また、熱吸収膜123は、蓄熱作用があるので、書込み素子104の温度低下を抑制することができる。これにより、高保持力の磁性膜122は、キュリー点以上に温度が上昇し、書込み素子104からの磁束102により磁極が反転され磁化される。しかも、隣接する磁性膜122に伝達される熱量は少なく、磁化が反転されるおそれを減少させる。非磁性膜110は、加熱されても熱伝導率が低く、隣接する磁性膜122に伝達される熱量は小さくなるため、隣接する磁性膜122が加熱されるおそれを減少させる。
【0031】
さらにかかる構成によれば、加熱素子105のパワーを小さくでき、熱吸収膜123は蓄熱作用があるので、熱吸収膜123から書込み素子104の位置までの範囲での温度の低下を抑えることもできる。
また、後記するように、近接場光発生膜125(例えば、図3)を熱吸収膜123の上に形成することで、加熱素子105のレーザ光の光スポット径が大きくすることができ、加熱力が向上する。
【0032】
以下、磁気記録媒体で使用される材料の例を示す。
基板120は、Al、ガラス、樹脂等の非磁性体を使用することができる。軟磁性膜121は、NiFe合金、FeCo合金等を使用することができる。磁性膜122は、垂直記録の磁性膜のCoPtCr合金、CoCr合金等を使用することができる。熱吸収膜123は、C、Au、Ag、Cu、ダイアモンド・ライク・カーボン(DLC)等を使用することができる。非磁性膜110は、Al、Cu、Ag、Auと低伝導率のAs、Sb、Bi、Si、Ge、樹脂等を使用することができる。
【0033】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について図面を参照して、説明する。なお、本実施形態は、前記した第1実施形態の一構成例に対応するものであり、第1実施形態と共通する部分については、同じ参照番号を付け、説明を省略する。
図3は、本実施形態に係る磁気記録媒体が記録再生装置に配置された状態を表し、磁気記録媒体と、磁気ヘッド等を備えたスライダと、の関係を表わす側断面図である。
【0034】
図3に示すように、情報を記録する磁気記録媒体200は、基板120と、基板120に形成された光を照射すると光スポット径の中央部の微小領域が透明になり近接場光128を発生させる近接場光発生膜125と、近接場光発生膜125の上に形成された保護膜126と、保護膜126の上に形成された磁束102を通すための軟磁性膜121と、軟磁性膜121の上に形成された熱を伝達する熱吸収膜223と、熱吸収膜223の上に形成された情報を記録するための垂直記録の磁性膜222と、隣接する磁性膜222間と隣接する熱吸収膜223間を分離するために形成された情報を記録しない非磁性膜110と、磁性膜222と非磁性膜110の上に形成された潤滑膜124と、から構成される。なお、基板120は、通常平面視円板状に形成される。
【0035】
そして、記録再生装置は、磁気記録媒体200と微小な隙間を保持しながら浮上して、磁気記録媒体200の磁性膜222にレーザ光127を照射する光ヘッド130と、光ヘッド130を磁気記録媒体200との流体力により浮上させるためのスライダ131と、ばね作用のあるサスペンション97、132を介して磁気ヘッド101と光ヘッド130とを取付け同心円状の記録トラック間を移動させるための回転型アクチュエータ133と、から構成される。
【0036】
書込み素子104の磁束発生部は、光ヘッド130の近接場光128と対向する位置に配設されている。熱吸収膜223と、熱吸収膜223の上に形成された磁性膜222は、微小面積を有する磁性部として一定間隔ごとに配列されて形成されるか、もしくは、同心円状の記録トラックにリング状に形成される。熱吸収膜223については省くことも可能である。
【0037】
磁性膜222と熱吸収膜223以外の部分は、非磁性膜110で形成されている。熱物性の関係は、熱吸収膜123の熱伝導率>磁性膜122の熱伝導率>非磁性膜110の熱伝導率としている。
近接場光発生膜125の材料としては、アンチモン、ジアリールエテン等が使用でき、基板120、軟磁性膜121、磁性膜222および熱吸収膜223については、前記した第1実施形態と同様な材料を使用できる。
【0038】
磁気記録媒体200に情報を書き込む際には、光ヘッド130からレーザ光127を近接場光発生膜125に照射する。近接場光発生膜125は、光スポット径の中央部の微小領域が透明になり微小な光スポットの近接場光128を発生する。近接場光128は熱吸収膜223の微小領域を加熱する。熱吸収膜223によって光エネルギーを効率良く熱エネルギーに変換し、熱収集膜223が加熱される。加熱された熱吸収膜223の熱の多くは、非磁性膜110より熱伝導率の高い磁性膜222に伝達されるため、効率よく加熱することができる。
【0039】
これにより、磁性膜222がキュリー点以上に温度が上昇することから、高保持力の磁性膜222は、書込み素子からの磁束102により、小さなパワーで、磁極を反転し、磁化される。しかし、隣接する磁性膜222は、伝達される熱量が小さいことから、磁化が反転されるおそれは少ない。また、熱伝導率が低い非磁性膜110は、加熱されても、隣接する磁性膜222に伝達される熱量が小さいため、隣接する磁性膜222を加熱するおそれは少ない。
【0040】
かかる構成によれば、磁束を発生する部分と近接場光128とが対向する位置にあって磁性膜222を加熱するのと同時に書込み素子104の磁束102で磁化することができるので書込みの高速化を図れる。また、書込み素子104のパワー、レーザ光127のパワーは、低めに抑えることができる。。
【0041】
本実施形態では、図3に示すように近接場光発生膜125を熱吸収膜223の上に形成しているが、近接場光発生膜125は、熱吸収膜223を省略し、磁性膜222の上に直に形成することもできる(図示せず)。こうすることにより加熱素子のレーザ光の光スポット径が大きくなり、加熱力を向上させることができる。
さらに、磁性膜222を基板120の両面に形成し、磁気ヘッド101を磁性膜222の両面を臨むように配置した記録再生装置によって、磁気記録媒体の両面に対して記録再生を行うこともできる(図示せず)。
【0042】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態について図面を参照して、説明する。なお、本実施形態は、前記した第1実施形態の一構成例に対応するものであり、第1実施形態または第2実施形態と共通する部分については、同じ参照番号を付け、説明を省略する。
図4は、本実施形態に係る磁気記録媒体が記録再生装置に配置された状態を表し、磁気記録媒体と、磁気ヘッド等を備えたスライダと、の関係を表わす部分拡大側断面図である。
【0043】
本実施形態に係る磁気記録媒体300は、図4に示すように、前記した図2に示す第1実施形態に係る磁気記録媒体100の一の面に形成された磁気記録の磁性膜に加えて、光記録の記録膜が、基板を挟んだ他の面に形成された光記録媒体140がさらに追加されたものである。
光記録媒体140は、図4に示すように、ランドとグルーブの凹凸が形成された基板320と、基板320の下側(図4の下方向)に形成された反射膜135と、反射膜135の下側に形成された記録膜136と、記録膜136の下側に形成された保護膜126と、保護膜126の下側に形成された近接場光128を発生するための近接場光発生膜125と、外表面となる最下層にランドとグルーブの凹凸を平坦にしている保護膜137が形成されている。
【0044】
そして、記録再生装置は、光記録媒体140と微小な隙間を保持し浮上して光記録媒体140にレーザ光127を照射する光ヘッド130と、光記録媒体140からの反射光を検出するための検出部129と、光ヘッド130を光記録媒体140との流体力により浮上させるための直方体のスライダ131と、ばね作用のあるサスペンション97、132を介して磁気ヘッド101と光ヘッド130を取付け同心円状の記録トラック間を移動するための回転型アクチュエータ133と、から構成される。
【0045】
ここで、磁気記録トラックの磁性膜122と光記録のランドとグルーブの凹凸の位置は、一致させることが好ましい。近接場光発生手段は、光記録媒体140から保護膜126と近接場光発生膜125を取除き、光ヘッド130に設けることもできる(図示せず)。また、磁気ヘッド101と光ヘッド130が一体に動くことから、磁気記録媒体300と磁気ヘッド101でトラックの位置決めを行うようにして、光記録媒体140のサーボ情報を省くことも可能となるため、光記録媒体140のランドとグルーブの凹凸は、省略することができる(図示せず)。磁気記録媒体300と光記録媒体140とは、別々に製造し、貼り合せることもできる(図示せず)。
【0046】
このように本実施形態によれば、一枚のディスクを用いるだけで磁気記録は情報の高速アクセスを行い、光記録は長期保存、改竄ができないような情報を記憶することができ、装置の小型化を図ることができる。
また、前記したように、仕様によっては、磁気記録媒体300と磁気ヘッド101でトラックの位置決めを行うようにすれば、光記録媒体140のランドとグルーブの凹凸を省くこと(例えば、図11の形態)によってコストの低減が可能となる。
【0047】
[第4実施形態]
以下に本発明の第4実施形態の実施例について図面を参照して、説明する。なお、本実施形態は、前記した実施形態を備えた記録再生装置に係るものであり、第1実施形態ないし第3実施形態のいずれかと共通する部分については、同じ参照番号を付け、説明を省略する。
【0048】
[第1実施例]
本実施形態の第1実施例に係る薄いシート状の磁気記録媒体300を複数枚収納したカートリッジ23から磁気記録媒体300を記録再生装置70に供給するディスクチェンジャ20の一実施例を図5ないし図9に示す。
図5は、カートリッジ23を上下に移動するカートリッジ移動部(装置左側)と、磁気記録媒体300を記録再生する記録再生装置70(装置右側)からなるディスクチェンジャ20の全体構成であり、トレイ1をカートリッジ23から引出し、カバー3を剥がした状態を示している。以下の説明では、図6〜図9とともに、適宜図5を参照する。
図6(a)は、円板状の磁気記録媒体300を収納するトレイ1の構成であり、(b)は、後記するフック引掛け穴8が異なる位置に配設された構成であり、他の構成は(a)と同じであるため省略している。
【0049】
トレイ1は、図6(a)に示すように、カバー3と基材2の間に複数枚の磁気記録媒体300、・・、300が収納されカートリッジ23に積層されている(図5参照)。
一つのトレイ1には、おおよそ10枚の磁気記録媒体300が収納されており、カートリッジ23には、おおよそ50枚〜100枚の磁気記録媒体300が収納されるが、これに限定されない。
図6(a)に示すカバー3は、基材2に接着部4で接着されている。基材2には、カバー3を持上げるための突起物を通すためのカバー持上げ穴10と、図5に示す記録再生装置70の上方側にある光ヘッド33と下方側の磁気ヘッド53とが取付けられた回転型アクチュエータ54とを連通させるための穴64と、クランプ部51を貫通させ、磁気ヘッド53が磁気記録媒体300を直接臨むことができるようにするための貫通穴63と、トレイ1をカートリッジ23から引出す時にフックを引掛けるためのフック引掛け穴8を設けたタグ18a(図6(b)では、タグ18b)と、トレイを引出す時にフックが隣接トレイに当たらないようにしたフック逃げ部9とが設けられている。
【0050】
そして、図6(a),(b)に示すようにタグ18a、18bとフック逃げ部9は、隣接トレイごとに位置をずらせて設けている。そして、タグ18a、18bは、トレイを移動した時に貫通穴63に引っ掛からないように貫通穴63の外側に配置する。磁気記録媒体300は、クランプ穴6にクランプ部51が挿入され、切欠7は、後記する支柱17(図7参照)に挿入され磁気記録媒体300が移動できないようされる。
トレイ1は、おおよそ幅91mm×長さ125mmで、基材2の厚さはおおよそ0.1mm〜0.3mm、カバー3の厚さは0.05mm〜0.1mmが好適であるが、これに限定されない。
【0051】
図7は、カートリッジ23に設けたセパレータ12の構成であり、カートリッジ23の側板15(図5も併せて参照)の断面を示す。セパレータ12は、トレイ1をカートリッジ23から引出した時に、隣接のトレイ1を連出さないためにトレイ1と交互に積層される。セパレータ12には、穴13が穿設され、カートリッジ23内に立設された支柱17に挿入することにより図5の垂直な方向には移動できるがカートリッジ23から引出される水平方向には移動しないように構成されている。このように、カートリッジ23は、トレイ1とともに引出されないようになっている。
【0052】
図8は、図5の記録再生装置70をクランパ36の位置から下方側を見た平面図である。図8は、図5に示すカートリッジ23から指定されたトレイ1のタグ18(18a,18b(図6も併せて参照))をトレイ引出し機構35で引掛けてトレイ1に載った磁気記録媒体300がカートリッジ23から引出され、カバー3を剥離して(図5参照)、磁気記録再生部45に搬送した状態を示している。ここで、トレイ押え84は、磁気記録媒体300が回転した時にトレイ1が磁気記録媒体300に吸着されないようにベース27に押付けるものである。
【0053】
図9は、図8の状態から記録再生部45を上方に移動し、トレイ1に載っている磁気記録媒体300のクランプ穴6(図6参照)にクランプ部51を挿入し、クランプ部51とクランパ36とを嵌合させて磁気記録媒体300をスピンドルモータ50に固定した記録再生状態を示すものである。このとき、磁気ヘッド53は、トレイ1の貫通穴63を貫通した状態にあり、磁気記録媒体300は、トレイ1と接触しない位置にある。
【0054】
次に、主に図5を参照してディスクチェンジャ20の構成を説明する。
ディスクチェンジャ20は、筐体21と、筐体21に設けられたカートリッジ23を挿入する挿入口22と、移動台のガイド(図示せず)と、を備える。これらの移動台、トレイ引出し機構および光学部移動機構の移動部は、図示しない駆動源により動力が与えられ移動できるように構成されている。
【0055】
カートリッジ23は、図6に示す磁気記録媒体300を収納したトレイ1と図7に示すセパレータ12とを交互に積層し、一定枚数のトレイごとにトレイの荷重を受ける仕切り板11を設けている。
カートリッジの移動台24は、カートリッジ23を載せて上下に移動し記録再生装置70に目標のトレイ1を位置決めするように構成されている。
【0056】
記録再生装置70は、トレイ1を引出すためのトレイ引出し機構35と、トレイ引出し機構35の下側に配置された磁気記録媒体300を記録再生するための磁気記録再生部45と、磁気記録再生部45が取付けられて上下に移動できる磁気記録再生部移動台48と、トレイ引出し機構35の上側に配置された磁気記録媒体300を記録再生部45のクランプ部51に固定するためのクランパ36と、磁気記録媒体300を加熱および磁気記録媒体300に設けた光記録媒体の光記録再生部25を取付けたベース28と、から構成されている。なお、磁気記録再生部移動台48は、ガイド19に案内されて移動する。
【0057】
トレイ引出し機構35は、図8に示すように、カートリッジ23から引出したトレイ1を載せるためのベース27に設けられたカートリッジ方向に移動する水平移動機構89と、水平移動機構89に設けられトレイ1の基材2に設けたフック引掛け穴8にフック93を引掛けてトレイ1を引出すためのフック機構91と、からなる。フック機構91は、タグを選択するために水平移動機構89と直交方向に移動する。ガイド92は、先端が扇型の切欠がありタグ18を挿入してフック93に案内される。フック93は、軸90により回転自在に支持されている。水平移動機構89は、リニア軸受け86とシャフト87によって支持されている。
【0058】
剥離爪26(図5参照)は、図6に示すトレイ1のカバー3を剥離するためのもので、トレイ1がトレイ引出し機構35によって引出されてくると、図6に示すトレイ1の基材2に設けたカバー持上げ穴10から突起物によりカバー3を押上げ、剥離爪26にカバーの先端を引掛けて剥離させるものである。
【0059】
磁気記録再生部45は、磁気記録媒体300を回転させるためのスピンドルモータ50と、スピンドルモータ50に設けられた磁気記録媒体300を固定するためのクランプ部51と、磁気記録媒体300に情報を読書きするための磁気ヘッド53と、磁気ヘッド53を磁気記録媒体300の半径方向に移動させる回転型アクチュエータ54と、磁気ヘッド53を磁気記録媒体300から退避して載せておくヘッド退避機構95と、から構成されている。
【0060】
クランパ36は、クランパ36に埋め込まれた強磁性体(鉄片など)とクランプ部51に埋め込まれた永久磁石59の磁気吸引力で引寄せられ磁気記録媒体300をクランプ部51に固定する。なお、クランパ36が永久磁石59を備え、クランプ部51が強磁性体を備えて固定する構成とすることもできる。
【0061】
浮上安定円板32は、図9に示すように、内周側に空気穴41を設けクランパ36に取付けられ、磁気記録媒体300と浮上安定円板32との隙間を作るための浮上スペーサ38が取付けられている。浮上安定円板32は、磁気記録媒体300が面振れ振動なく回転できるように流体力による振動抑制機能を備えている。これは、回転により磁気記録媒体300と浮上安定円板32の間に内周側の空気穴41から外周に空気が流れることによって負圧が発生するため、磁気記録媒体300は、浮上安定円板側へ吸引された状態で浮上し面振れ振動なく安定に回転するものである。
浮上安定円板32の直径は、磁気記録媒体300の直径と同じが望ましいが小さくしても良い。
【0062】
光記録再生部25は、図5または図9に示すように、磁気記録媒体300を固定するための浮上安定円板を設けたクランパ36と、磁気記録媒体300を加熱および磁気記録媒体300を設けた光記録媒体に情報を読書きするための光ヘッド33と、光ヘッド33を磁気記録媒体300の半径方向に移動させる回転型アクチュエータ34と、光ヘッド33を磁気記録媒体300から退避して載せておくヘッド退避機構94と、から構成されている。
【0063】
浮上安定円板32とクランパ36は、平坦度を確保するために一体成形することが望ましいが、弾性体を介して接着するかお互いが移動できるようにガタを設けて柔軟に取付けることで別体として構成することも可能である。平坦度を確保することにより、浮上安定円板32は、回転による遠心力により回転面が自動調整され平坦に回転することができる。
浮上安定円板32は、ガラス、樹脂、金属、セラミック等、軽量で面振れなく回転できる材料を使用することが好ましいが、これらに限定されることはない。
【0064】
続いて、ディスクチェンジャ20の記録再生動作を説明する。
図5に示すカートリッジ23の移動台24を移動すると、カートリッジ23の指定されたトレイ1は、記録再生装置70のトレイ引出し機構35の所定の位置に位置決めされる。
そして、トレイ引出し機構35を移動し、カートリッジ23からトレイ1は引出され、磁気記録媒体300は磁気記録再生部45に装着できる位置に移動される。このとき、カバー3は、剥離爪26によってトレイ1より剥離される。また、トレイ1をカートリッジ23に戻し易いように、トレイ1の一部は、カートリッジ23に残される。
【0065】
図9に示す磁気記録再生部移動台48が上方向に動かされ、磁気記録媒体300のクランプ穴6は磁気記録再生部45のクランプ部51に挿入される。さらに、磁気記録再生部移動台48が上方向に動かされ、クランパ36がクランプ部51に嵌合され、磁気記録媒体300はクランプ部51に固定される。そして、磁気記録再生部移動台48が移動し、クランパ36は自由に動ける状態にされる。
【0066】
回転型アクチュエータ54は、光ヘッド33の回転機構34と嵌合する。磁気記録媒体300と浮上安定円板32とは、スピンドルモータ50によって回転させられる。回転型アクチュエータ54が動かされ、磁気ヘッド53と光ヘッド33とは、それぞれヘッド退避機構95、94から磁気記録媒体300、浮上安定円板32の上へ移動する。磁気ヘッド53と光ヘッド33は、磁気記録媒体300、浮上安定円板32との流体力により浮上して、記録再生を実行する。
【0067】
次に、磁気記録再生部45の磁気記録媒体300がカートリッジ23に戻される動作について図面を参照して説明する。この動作は、図9の状態から図5の状態に戻る動作である。図9に示す状態において、回転型アクチュエータ54が動かされ、磁気ヘッド53と光ヘッド33とはそれぞれヘッド退避機構95、94へと移動する。
【0068】
そして、スピンドルモータ50の停止によって、磁気記録媒体300と浮上安定円板32の回転が停止する。磁気記録再生部移動台48は、下方向に移動されてクランパ36は、クランプ部51から外される。図8に示すように磁気記録再生部移動台28が、さらに下方向に移動されることで磁気記録媒体300と基材2とが接触し、クランプ部51から磁気記録媒体300が外れて、磁気記録媒体300がトレイ1に戻される。その後、トレイ引出し機構35が移動され、トレイ1はカートリッジ23に押込まれる。このとき、磁気記録媒体300はカバー3に覆われる。
【0069】
[第2実施例]
図10は、記録再生装置の第2実施例であり、磁気記録媒体が記録再生装置に配置された状態を表し、磁気記録媒体と、磁気ヘッド等を備えたスライダと、の関係を表わす拡大側断面図である。図10は、図3に示した第2実施形態と類似した構成であるが、光ヘッド33のレーザ光127が、浮上安定円板32を通して磁気記録媒体200を照射するようにした構成が異なる。浮上安定円板32はレーザ光127を透過する透明なガラス、ポリカーボネートなどが使用できる。なお、磁気ヘッド53と光ヘッド33とは、回転型アクチュエータ54,34に設けることもできる。
【0070】
本実施例は、薄いシート状の磁気記録媒体200に形成した磁性膜222に磁気ヘッド53で情報を書き込むと同時に、光ヘッド33からレーザ光127を照射し磁気記録媒体200に形成した近接場光発生膜125により微小な光スポットを発生させて磁性膜222を加熱する。かかる構成によって、高保持力の磁性膜222は小さい書込みパワーで磁化反転される一方、隣接の磁性膜222は熱の伝達が少ないことから磁化反転を回避することができ、安定した高記録密度の記録再生ができる。
【0071】
また、磁気ヘッド53の書込み素子104の磁束発生部と光ヘッド33のレーザ光127とが対向する位置とすることで、磁性膜222を加熱するのと同時に書込み素子104の磁束102で磁化することを可能とし、高速な書込みとレーザ光のパワー減少を実現できる。
【0072】
[第3実施例]
図11は、記録再生装置の第3実施例であり、磁気記録媒体が記録再生装置に配置された状態を表し、磁気記録媒体と、磁気ヘッド等を備えたスライダと、の関係を表わす拡大側断面図である。図11は、図4に示した第3実施形態と類似した構成であるが、光ヘッド33のレーザ光127を浮上安定円板432に形成した近接場光発生膜225を通して、磁気記録媒体400の一面に形成された磁性部222と、他面に形成された光記録媒体240とを照射し記録再生をするようにした構成が異なる。
さらに、光記録媒体240は、図4で示した光記録媒体140と異なり、基板120にランドとグルーブの凹凸が形成されておらず、基板120の上側(図11の上方向)には、順に、反射膜235と、記録膜236と、保護膜237が形成されている。そして、浮上安定円板432には、光記録媒体240を臨む側から、保護膜226と、保護膜226の上側に近接場光228を発生するための近接場光発生膜225が形成されている。
【0073】
また、磁気ヘッド53と光ヘッド33は一体で動くので、磁気記録媒体400と磁気ヘッド53でトラックの位置決めを行えば、光記録媒体240のサーボ情報を省くことも可能である。
かかる構成によって、光記録媒体240のランドとグルーブの凹凸を省くことが可能となる。浮上安定円板432には、レーザ光127を透過する透明なガラス、ポリカーボネートなどを使用できる。また、近接場光発生膜225を光記録媒体240に形成することもできるし、磁気ヘッド53と光ヘッド33とを同じ回転型アクチュエータ54に取付けることもできる。
【0074】
このように本実施例によれば、浮上安定円板432に近接場光発生膜225を形成し微小な光スポットで光記録媒体240に記録再生できるようにしたことにより、高記録密度の記録再生を可能としている。また、磁記記録媒体400と光記録媒体240の両者を一枚のディスクに備えることは、一枚のディスクを用いるだけで磁気記録媒体400で情報の高速アクセスを行い、光記録媒体240で長期保存、改竄ができないような情報を記憶することができ、信頼性を高めることができる。
また、磁気記録媒体400と磁気ヘッド53でトラックの位置決めを行えば、光記録媒体240のランドとグルーブの凹凸を省くことができコストを低減することができる。
【0075】
また、変形例として、磁気記録媒体の両面に磁性膜を形成し、上下を反対にした二つの磁気記録再生装置を記録再生する側が対向するように備え、この二つの記録再生装置へ一つのカートリッジから両面磁性膜の磁気記録媒体を供給するディスクチェンジャとすることもできる。かかる構成により、磁気記録媒体の両面に記録再生が可能となる。この場合、光ヘッドを省いてもよい。上記ディスクチェンジャを複数台縦横に並べ各ディスクチェンジャにカートリッジ収納庫よりカートリッジを運搬する機構を設けて大規模なデータ記録再生装置を構成することも可能である。
【0076】
本実施例および変形例に使用されるシート状磁気記録媒体は、基材に1.2mm厚のポリカーボネートを用いた現行の光ディスクよりも重量が軽くなるため、10000rpm以上で回転した場合でも、発生する遠心力が小さくなり、ディスクが破壊されるおそれが少なくなるため、現行以上の光記録媒体の高速アクセスを可能とする。
これらのシート状磁気記録媒体は、例えば、おおよそ厚さ0.05mm〜0.2mmのAl、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等の基板の表面に磁気記録層又は光記録層を設けたもの等を適用できるが、これに限定されることはない。なお、シート状磁気記録媒体は、一つのカートリッジに100枚程度収納することができる。
【0077】
[第4実施例]
次に、薄いシート状の磁気記録媒体を用いたディスクチェンジャにかかる第4実施例を図12ないし図14を参照して説明する。
図12は本実施例にかかる装置の側面図であり、図13は図12の記録再生装置をクランパの位置から下方側を見た平面図であり、図14は本実施例に係る装置の側面図であり、図12の薄型磁気記録媒体を記録再生部に固定した記録再生状態を示している。
本実施例は、図12に示すように、図5に示した第1実施例と類似した構成となっている。記録再生装置70(装置右側)は、磁気記録媒体へ信号を読書きするための流体力により浮上する磁気ヘッド76と、磁気ヘッド76を磁気記録媒体300の半径方向に直線的に移動させるリニア移動機構77と、磁気ヘッド76を磁気記録媒体300から退避し載せておく退避機構78と、光記録媒体へ信号を読書きするためのフォーカスとトラッキング機構を備えた光ヘッド機構73と、光ヘッド73を磁気記録媒体300の半径方向に直線的に移動させるリニア移動機構74と、から構成される。図14では、トレイ1がカートリッジ23から引出され、カバー3が剥離された状態を示している。
【0078】
図13は、図12をクランパ36側から下方に見た平面図であり、カートリッジ23に指定されたトレイ1のタグ18は、トレイ引出し機構35によって引掛けられて、トレイ1に載った磁気記録媒体300をカートリッジ23から引出し、そして、カバー3を剥離して磁気記録再生部45に搬送する。ここで、トレイ押え84は、磁気記録媒体300が回転した時にトレイ1が磁気記録媒体300に吸着されないようにベース27に押付けるものである。
【0079】
図14は、記録再生状態を示す装置全体の側面図であり、図12の状態から記録再生部45が上方に移動し、クランプ部51をトレイ1に載っている磁気記録媒体300のクランプ穴6に挿入され、そして、クランプ部51は、クランパ36に嵌合し、磁気記録媒体300をスピンドルモータ50に固定し、記録再生状態となる。ここで、磁気ヘッド76は、トレイ1の貫通穴63を貫通した状態にあり、磁気記録媒体300は、トレイ1と接触しない位置にある。
【0080】
なお、両面に磁性膜を形成した薄いシート状の磁気記録媒体として、前記した記録再生装置を2台を上下反対に、磁気記録媒体が2台の装置の間に挿入される設置にした構成にすれば、一つのカートリッジから二つの記録再生装置に磁気記録媒体を供給するディスクチェンジャとすることができる(図示せず)。これにより、両面の記録再生が可能となる。この場合、光ヘッド機構73を省いてもよい。
また、上記ディスクチェンジャを複数台縦横に並べ各ディスクチェンジャにカートリッジ収納庫よりカートリッジを運搬する機構を設けて大規模なデータ記録再生装置を構成することができる。
【0081】
本実施例の磁気記録媒体と光記録媒体の両者を備えたディスクは、一枚のディスクを用いるだけで磁気記録媒体で情報の高速アクセスを行い、光記録媒体で長期保存、改竄ができないような情報を記憶することができる。さらに、磁気ヘッド76と光ヘッド機構73は、独立して動作するので情報の高速アクセスができる。
【0082】
また、基材に1.2mm厚のポリカーボネートを用いた現行の光ディスクは、10000rpm以上で回転すると、光ディスクの自重に基づく遠心力が大きくなり、場合によっては、ディスクに損傷を与えるおそれがある。本発明のシート状磁気記録媒体は、10000rpm以上で回転した場合でも重量が軽いので遠心力によりディスクが損傷するおそれはない。これにより、今まで実現できなかった光記録媒体の高速アクセスが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1実施形態に係る磁気記録媒体が記録再生装置に配置された状態を表すものであり、磁気記録媒体に形成された複数の記録トラックと、記録トラックに形成された磁性部と、磁気ヘッドを備えたスライダと、の位置関係を模式的に表した部分拡大平面図である。
【図2】第1実施形態に係る磁気記録媒体が記録再生装置に配置された状態を表し、磁気記録媒体と、磁気ヘッド等を備えたスライダと、の関係を表わす拡大側断面図である。
【図3】第2実施形態に係る磁気記録媒体が記録再生装置に配置された状態を表し、磁気記録媒体と、磁気ヘッド等を備えたスライダと、の関係を表わす側断面図である。
【図4】第3実施形態に係る磁気記録媒体が記録再生装置に配置された状態を表し、磁気記録媒体と、磁気ヘッド等を備えたスライダと、の関係を表わす部分拡大側断面図である。
【図5】第4実施形態の第1実施例に係る装置の側面図であり、カートリッジを上下に移動するカートリッジ移動部と、磁気記録媒体を記録再生する記録再生装置からなるディスクチェンジャの全体構成であり、トレイをカートリッジから引出し、カバーを剥がした状態を示している。
【図6】第4実施形態の第1実施例に係るトレイの構成であり、(a)は、円板状の磁気記録媒体を収納するトレイの構成であり、(b)は、フック引掛け穴が異なる位置に配設された構成である。
【図7】第4実施形態の第1実施例に係るカートリッジに設けたセパレータの構成を表す平面図である。
【図8】図5の記録再生装置をクランパの位置から下方側を見た平面図である。
【図9】第4実施形態の第1実施例に係る装置の側面図であり、図5の薄型磁気記録媒体を記録再生部に固定した記録再生状態を示す。
【図10】第4実施形態の第2実施例に係る磁気記録媒体が記録再生装置に配置された状態を表し、磁気記録媒体と、磁気ヘッド等を備えたスライダと、の関係を表わす拡大側断面図である。
【図11】第4実施形態の第3実施例に係る磁気記録媒体が記録再生装置に配置された状態を表し、磁気記録媒体と、磁気ヘッド等を備えたスライダと、の関係を表わす拡大側断面図である。
【図12】第4実施形態の第4実施例に係る装置の側面図である。
【図13】図12の記録再生装置をクランパの位置から下方側を見た平面図である。
【図14】第4実施形態の第4実施例に係る装置の側面図であり、図12の薄型磁気記録媒体を記録再生部に固定した記録再生状態を示す。
【符号の説明】
【0084】
1 トレイ
2 基材
3 カバー
4 接着部
6 クランプ穴
7 切欠
8 フック引掛け穴
9 フック逃げ部
10 カバー持上げ穴
11 仕切り板
12 セパレータ
13 穴
15 側板
17 支柱
18 タグ
19 ガイド
20 ディスクチェンジャ
21 筐体
22 挿入口
23 カートリッジ
24 移動台
25 光記録再生部
26 剥離爪
27 ベース
28 ベース
32 浮上安定円板
33 光ヘッド
34,54 回転型アクチュエータ
35 トレイ引出し機構
36 クランパ
38 浮上スペーサ
41 空気穴
45 磁気記録再生部
48 磁気記録再生部移動台
50 スピンドルモータ
51 クランプ部
53 磁気ヘッド
70 記録再生装置
84 トレイ押さえ
86 リニア軸受
87 シャフト
89 水平移動機構
90 軸
91 フック機構
92 ガイド
93 フック
96,131 スライダ
97,132 サスペンション
100,200,300,400 磁気記録媒体
101 磁気ヘッド
102 磁束
103 読出し素子
104 書込み素子
105 加熱素子
107、108、109 中心線(記録トラック)
110 非磁性部
112 磁性部
113 中心線(記録トラック法線)
114 長軸(磁性部の対称軸)
115 短軸(磁性部の対称軸)
117 回転方向
118 磁気ポール
119 コイル
120,320 基板
121 軟磁性膜
122,222 磁性膜
123,223 熱吸収膜
124 潤滑膜
125 近接場光発生膜
126 保護膜
127 レーザ光
128 近接場光
129 検出部
130 光ヘッド
133 アクチュエータ
135 反射膜
136 記録膜
137 保護膜
140 光記録媒体
Rd 記録幅(磁性体の幅)
Rp 記録ピッチ
θ ヨー角
W 磁性部の幅(短軸側の幅)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録再生ヘッドを有するスライダが備えられた記録再生装置によって、回転され、磁気記録が記録再生される磁気記録媒体であって、
同心円状に複数の記録トラックが形成され、前記記録トラックには直交する二つの軸に対して対称であって輪郭が凸状の曲線同士、もしくは、凸状の曲線と直線、または直線と直線、を結んだものであり、直線同士、もしくは、曲線と直線とが接続するときにはその内角が90度を超え、180度を超えない閉じた形状の磁性部が多数形成されており、
前記記録トラックと所定の間隙を保持しつつ、流体力で浮上した前記スライダを前記同心円の径方向に移動させてそれぞれの記録トラックの記録または再生を行う前記記録再生ヘッドが、前記同心円の接線に対して所定の角度傾いているとき、
前記磁性部は、一の対称軸が前記記録再生ヘッドと垂直となる姿勢で、前記記録トラックに所定間隔で形成されたことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
前記所定の角度は、前記スライダが、前記記録トラックの回転軸からオフセットされた回転軸を有して回動する回転アクチュエータに、前記回動の法線方向に延出されたサスペンションを介して、接続されており、前記回転アクチュエータを回動させ、前記同心円の径方向に移動することに対応して変化することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
一の記録トラックの磁性部と、
同じ記録トラックで前記磁性部に隣接した磁性部と、
前記一の記録トラックと前記同心円の径方向外周側において隣り合う他の記録トラックに形成され、前記一の記録トラックに形成された隣り合う二つの磁性部に近接した一つの磁性部とは、
前記一の記録トラックの前記磁性部の最も外周側にある部分と、前記他の記録トラックの前記一つの磁性部の最も内周側にある部分とを結んだ線の距離、および、前記一の記録トラックの前記隣接した磁性部の最も外周側にある部分と、前記他の記録トラックの前記一つの磁性部の最も内周側にある部分とを結んだ線の距離が等しくなるように配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気記録媒体。
【請求項4】
前記一の記録トラックと前記他の記録トラックとのピッチは、前記所定の角度の増加とともに比例して減少し、前記所定の角度の減少とともに比例して増加することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【請求項5】
同心円状に複数の記録トラックが形成され、前記記録トラックには所定の幅を有した帯状の磁性帯が形成され、記録再生ヘッドを有するスライダが備えられた記録再生装置によって、回転され、磁気記録が記録再生される磁気記録媒体であって、
前記記録トラックと所定の間隙を保持しつつ、流体力で浮上した前記スライダを前記同心円の径方向に移動させてそれぞれの記録トラックの記録または再生を行う前記記録再生ヘッドが、前記同心円の接線に対して所定の角度傾いているとき、
前記磁性の所定の幅は、前記所定の角度の増加とともに比例して減少し、前記所定の角度の減少とともに比例して増加することを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項6】
前記一の記録トラックと前記他の記録トラックとのピッチは、前記所定の角度の増加とともに比例して減少し、前記所定の角度の減少とともに比例して増加することを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
【請求項7】
同心円状に複数の記録トラックが形成され、前記記録トラックには軸対称形状の磁性部が多数形成されており、記録再生ヘッドを有するスライダが備えられた記録再生装置によって、回転され、磁気記録が記録再生される磁気記録媒体であって、
基板に形成された磁気抵抗の小さい軟磁性膜と、
前記軟磁性膜の上に一定間隔で形成された垂直磁気記録の磁性膜と、
前記磁性膜の上に形成された熱吸収膜と、
前記磁性膜と前記熱収集膜との間に形成された非磁性膜と、を備えたことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項8】
前記基板と前記軟磁性膜との間に形成された近接場光発生膜を備えたことを特徴とする請求項7に記載の磁気記録媒体。
【請求項9】
前記基板を挟んで前記軟磁性膜と対向する側に形成された近接場光発生膜を備えたことを特徴とする請求項7に記載の磁気記録媒体。
【請求項10】
同心円状に複数の記録トラックが形成され、前記記録トラックには軸対称形状の磁性部が多数形成されており、記録再生ヘッドを有するスライダが備えられた記録再生装置によって、回転され、磁気記録が記録再生される磁気記録媒体であって、
磁気記録の磁性膜と、光記録の記録膜とが、基板を挟んで形成されていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項11】
同心円状に複数の記録トラックが形成され、前記記録トラックには軸対称形状の微小な磁性部が多数形成された磁気記録媒体を回転させ、
前記記録トラックと所定の間隙を保持しつつ、流体力で浮上し、前記同心円の径方向に移動させてするスライダと、
前記スライダに備えられた記録再生ヘッドでそれぞれの記録トラックに配設された前記磁性部から磁気記録を記録再生する記録再生装置であって、
可撓性のシート状の磁気記録媒体を収納したトレイと、
前記トレイを複数枚収納するカートリッジと、
前記カートリッジを上下に移動させるカートリッジの移動台と、
前記トレイを引出して前記磁気記録媒体を記録再生部に搬送するトレイ引出し機構と、
前記トレイ引出し機構の下側に配設され、前記磁気記録媒体を記録再生する磁気記録再生部を上下に移動させる再生部の移動台と、を備え、
前記トレイ引出し機構の上側には、前記磁気記録媒体を前記磁気記録再生部の回転部に固定する前記磁気記録媒体と略同径の浮上安定円板を備えたクランパが配設され、
前記トレイは、前記回転部に貫通された状態で前記カートリッジから引き出され、
前記磁気記録媒体は、前記トレイが引き出されたときに前記回転部に前記クランパで固定されることを特徴とする記録再生装置。
【請求項12】
前記クランパ側から前記磁気記録媒体にレーザ光を照射する加熱部が配設され、
前記レーザ光は、前記浮上安定円板を通過して、前記磁気記録媒体の磁性部を加熱させることを特徴とする請求項11に記載の記録再生装置。
【請求項13】
前記浮上安定円板は、近接場光発生膜が形成されていることを特徴とする請求項12に記載の記録再生装置。
【請求項14】
前記磁気記録媒体を臨む前記クランパ側には光記録再生部が設けられ、
基板を挟んで磁気記録の磁性膜と光記録の記録膜とが形成された磁気記録媒体の両面に記録再生することを特徴とする請求項11に記載の記録再生装置。
【請求項15】
前記浮上安定円板は、近接場光発生膜が形成されており、
前記レーザ光は、前記近接場光発生膜を照射し、近接場光を発生させて前記磁気記録媒体の光記録の記録膜への記録再生を行うようにしたことを特徴とする請求項14に記載の記録再生装置。
【請求項16】
前記磁気記録媒体を臨む前記クランパ側には前記磁気記録再生部が設けられ、
基板を挟んで両面に磁気記録の磁性膜が形成された磁気記録媒体の両面に記録再生することを特徴とする請求項11に記載の記録再生装置。
【請求項17】
前記回転部は前記磁気記録媒体を毎秒10000回転以上で回転させることを特徴とする請求項11ないし請求項16のいずれか一項に記載の記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−238262(P2009−238262A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79851(P2008−79851)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】