磁気記録媒体及び磁気記録媒体の作製方法
【課題】低温プロセスで短時間に作製可能であり、高[100]垂直配向、高L10規則度、低キュリー温度、及び高結晶磁気異方性を有する、L10FePt薄膜を備えた磁気記録媒体を製造できる方法、並びに、該方法によって得られるL10FePt薄膜を備えた磁気記録媒体を提供することを課題とする。
【解決手段】FePt合金とCu酸化物とを含む薄膜を形成する薄膜形成工程、及び該薄膜を加熱する加熱工程を経て、L10規則構造を有したFePt合金とCu酸化物とを含有した磁気記録層を形成する磁気記録媒体の作製方法、および該製造方法で得られる磁気記録媒体とする。
【解決手段】FePt合金とCu酸化物とを含む薄膜を形成する薄膜形成工程、及び該薄膜を加熱する加熱工程を経て、L10規則構造を有したFePt合金とCu酸化物とを含有した磁気記録層を形成する磁気記録媒体の作製方法、および該製造方法で得られる磁気記録媒体とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体及び磁気記録媒体の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスク等の磁気記録媒体の面記録密度を高くして記憶容量を増大させることが望まれており、研究が進められている。磁気記録媒体の面記録密度を向上させるには、記録ビットを微細化しなければならない。しかしながら、記録ビットの微細化を進めると、熱エネルギーにより磁気記録層の磁化方向が変化してデータが失われてしまう、いわゆる「熱揺らぎ」が問題となる。
【0003】
熱揺らぎの影響を抑えることができる技術としては、「垂直磁気記録方式」が実用化されている。垂直磁気記録方式は、記録ビットの磁化方向を磁気記録層に対して垂直方向に記録する方法である。垂直磁気記録方式では、隣接する記録ビットの反磁界がお互いに強め合うように作用する。したがって、垂直磁気記録方式の記録ビットでは、磁気記録層に平行な方向の大きさを小さくしても、垂直な方向の大きさを大きくして体積を大きくすることで、熱揺らぎの影響を抑えることができる。
【0004】
しかしながら、垂直磁気記録方式を用いたとしても、高い面記録密度を実現させるためには記録ビットを微細化させなければならないということに変わりはない。したがって、より高い面記録密度を実現させるためには、垂直磁気記録方式を用いても熱揺らぎの問題は生じる。この解決策として、従来用いられてきたCoCr系合金よりもさらに高い垂直磁気異方性を有する材料を磁気記録層に用いることが検討されている。
【0005】
CoCr系合金より高い垂直磁気異方性を有する材料として、例えば、L10規則構造を有したFePt合金(以下、単に「L10FePt合金」ということがある。)が検討されている。L10FePt合金は、10Tbit/inch2クラスの超高密度磁気記録媒体として期待されている。また、L10FePt合金は耐食性、耐酸化性に優れているため、磁気記録媒体としての応用に適した材料と期待されている。しかしながら、L10FePt合金は高い磁気異方性を有するため、保磁力が高くなりすぎる傾向にある。そのため、L10FePt合金を磁気記録媒体として実用化するには、ある程度保磁力を低下させることが好ましい。また、L10FePt合金を磁気記録媒体として実用化するためには、金属やガラス製の基板上に数nmの厚さで高[100]垂直配向と高L10規則化を実現したL10FePt合金を含む薄膜(以下、「L10FePt薄膜」ということがある。)を形成する必要がある。さらに、実用的観点からは、金属やガラス製の基板には特殊な結晶面や表面処理を必要とせず、例えば、アモルファス熱酸化シリコン(SiO2)などの多結晶表面上で、できるだけ低温プロセスでL10FePt薄膜を製膜できることが望ましい。
【0006】
多結晶基板上にL10FePt薄膜を形成する方法としては、これまでに以下の手法が報告されている。
(1)製膜時に金属(Sb、Ag、Cu)もしくは酸化物(MgO、SiO2、B2O3、ZrO2)からなる添加物を加える作製方法(例えば、非特許文献1、2、特許文献1。)。
(2)製膜後に急速加熱熱処理を行う作製方法(例えば、非特許文献3、4。)。
(3)製膜時に金属(Sb、Ag、Cu)もしくは酸化物(MgO、SiO2、B2O3、ZrO2)からなる添加物を加え、製膜後に急速加熱熱処理を行う作製方法(例えば、非特許文献5〜7。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−202451号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】前田知幸、外4名、「Reduction of ordering temperature of an FePt-ordered alloy by addition of Cu」、Applied Physics Letter、米国、American Institute of Physics、2002年3月25日、第80巻、第12号、p.2147
【非特許文献2】Q.Yan、外5名「Enhanced Chemical Ordering and Coercivity in FePt Alloy Nanoparticles by Sb-Doping」、Advanced Materials、独国、WILEY-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA、2005年8月8日、第17巻、第18号、p.2233−2237
【非特許文献3】伊藤裕二、外5名、「Structural and Magnetization Properties of Island FePt Produced by Rapid Thermal Annealing」、Japanese Journal of Applied Physics、日本、The Japan Society of Applied Physics、2004年12月9日、第43巻、p.8040−8043
【非特許文献4】伊藤裕二、外5名、「Magnetic and Structural Properties of FePt Thin Film Prepared by Rapid Thermal Annealing」、Japanese Journal of Applied Physics、日本、The Japan Society of Applied Physics、2002年8月13日、第41巻、p.L1066−L1068
【非特許文献5】C.L.Platt、外4名「L10 ordering and microstructure of FePt thin films with Cu, Ag, and Au additive」、Journal of Applied Physics、米国、American Institute of Physics、2002年11月15日、第92巻、第10号、p.6104
【非特許文献6】M.L.Yan、外3名「L10,(001)-oriented FePt:B2O3 composite films for perpendicular recording」、Journal of Applied Physics、米国、American Institute of Physics、2002年5月15日、第91巻、第10号、p.8471
【非特許文献7】C.Luo、外1名、「Structural and magnetic properties of FePt:SiO2 granular thin films」、Applied Physics Letter、米国、American Institute of Physics、1999年11月15日、第75巻、第20号、p.3162
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、従来、L10FePt薄膜を形成する際には、Feとの置換を狙って金属を添加したり、元素の拡散を早めることを目的として、Si、B、Mgなどの軽元素の酸化物を添加したりしていた。そして、これらの添加物を用いることで、ある程度の効果は得られていた。しかしながら、(1)高[100]垂直配向、(2)高L10規則度、(3)低温、短時間での作製、(4)低キュリー温度、及び(5)高結晶磁気異方性を同時に十分に満足するL10FePt薄膜を従来の製法で得ることは困難であった。
【0010】
そこで本発明は、低温プロセスで短時間に作製可能であり、高[100]垂直配向、高L10規則化、低キュリー温度、及び高結晶磁気異方性を有する、L10FePt薄膜を備えた磁気記録媒体を製造できる方法、並びに、該方法によって得られるL10FePt膜を備えた磁気記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の本発明は、L10規則構造を有したFePt合金とCu酸化物とを含有した磁気記録層を備える磁気記録媒体を提供することによって上記課題を解決する。
【0012】
第一の本発明および以下に説明する第二の本発明(以下、これらを合わせて単に「本発明」ということがある。)において、「Cu酸化物」とは、Cuの酸化物であれば特に限定されず、CuOやCuO2、またはそれらの混合物であっても良い。
【0013】
第一の本発明において、Cu酸化物とFePt合金との合計量に対して、CuO換算で10体積%以上20体積%以下となる量のCuが磁気記録層に含有されていることが好ましい。
【0014】
また、第二の本発明は、FePt合金とCu酸化物とを含む薄膜を形成する薄膜形成工程、及び該薄膜を所定の温度まで加熱する加熱工程を経て、L10規則構造を有したFePt合金とCu酸化物とを含有した磁気記録層を形成する、磁気記録媒体の作製方法を提供することによって上記課題を解決する。
【0015】
第二の本発明において、Cu酸化物とFePt合金との合計量に対して、CuO換算で10体積%以上20体積%以下となる量のCuを磁気記録層に含有させることが好ましい。
【0016】
第二の本発明において、上記加熱工程が、毎秒30℃以上の加熱速度で所定の温度まで薄膜を加熱する工程であることが好ましい。
【0017】
第二の本発明において、上記加熱工程が、薄膜を380℃以上600℃以下の温度まで加熱する工程であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、低温プロセスで短時間にL10FePt薄膜を備えた磁気記録媒体を提供することができる。また、本発明では、磁気記録媒体の作製時の基板にガラスなどの多結晶材料を用いることができるため、一般に使用されているアルミニウム基板やガラス基板を用いることができ、エピタキシャル成長などの高温プロセスやバッファー層などの特殊な製膜工程を必要としない。さらに、Cu酸化物の添加にはCuOやCuO2などの酸化物をターゲットに用いてスパッタリングで製膜できるので、技術的に容易で経済性が高い。さらに、短時間の急速加熱でしかも短時間の保持時間で高[001]垂直配向・高L10規則化したL10FePt薄膜を得られるので、実用化が容易で、経済性が高い。特に最短時間では数秒程度のランプ加熱でL10FePt薄膜を得ることも可能なため、製膜プロセスが簡単で、時間的、経済的効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の磁気記録媒体の作製方法の一例に備えられる工程を概略的に示すフローチャートである。
【図2】図2(a)には作製途中の本発明の磁気記録媒体の一例の断面を概略的に示し、図2(b)には本発明の磁気記録媒体の一例の断面を概略的に示す。
【図3】XRDで構造解析を行った結果を示すグラフである。
【図4】ピーク強度のCuO添加量依存性を示すグラフである。
【図5】VSMで磁化測定を行った結果を示すグラフである。
【図6】保磁力(垂直)のCuO添加量依存性を示すグラフである。
【図7】XRDで構造解析を行った結果を示すグラフである。
【図8】ピーク強度のCuO添加量依存性を示すグラフである。
【図9】XRDで構造解析を行った結果を示すグラフである。
【図10】ピーク強度の加熱速度依存性を示すグラフである。
【図11】VSMで磁化測定を行った結果を示すグラフである。
【図12】保磁力(垂直)の加熱速度依存性を示すグラフである。
【図13】XRDで構造解析を行った結果を示すグラフである。
【図14】ピーク強度の熱処理温度依存性を示すグラフである。
【図15】VSMで磁化測定を行った結果を示すグラフである。
【図16】保磁力(垂直)の熱処理温度依存性を示すグラフである。
【図17】XRDで構造解析を行った結果を示すグラフである。
【図18】ピーク強度の保持時間依存性を示すグラフである。
【図19】VSMで磁化測定を行った結果を示すグラフである。
【図20】VSMで磁化測定を行った結果を示すグラフである。
【図21】保磁力(垂直)の保持時間依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
【0021】
<磁気記録媒体の作製方法>
図1に本発明の磁気記録媒体の作製方法の一例のフローチャートを概略的に示す。また、図2(a)には作製途中の本発明の磁気記録媒体の一例の断面を概略的に示し、図2(b)には本発明の磁気記録媒体の一例の断面を概略的に示す。
【0022】
図1に示すように、本発明の磁気記録媒体の作製方法は、薄膜形成工程S1及び加熱工程S2を備えている。これらの工程を経ることによって、L10規則構造を有したFePt合金とCu酸化物とを含有した磁気記録層を得ることができる。以下、各工程について説明する。
【0023】
(薄膜形成工程S1)
工程S1は、基板1上にFePt合金とCu酸化物とを含有した薄膜2を形成する工程である(図2(a)参照)。本発明に用いることができる基板1は、磁気記録媒体の作製に用いることができるものであれば特に限定されず、金属製の基板やガラス製の基板を用いることができる。ただし、実用的な磁気記録媒体を作製する場合には、薄膜2の下部にソフト磁性層(保磁力の小さな材料、Co系アモルファスなど)を積層することが好ましい。
【0024】
工程S1で得られる薄膜2中のFeとPtとの含有比率が、モル比でFe:Pt=1:1から外れると、後の加熱工程S2を経たときに得られるFePt合金のL10規則度が落ちることとなる。そのため、工程S1で得られる薄膜中のFeとPtとの含有比率は、モル比でFe:Pt=45〜55:55〜45程度であることが好ましい。
【0025】
また、FePt合金とCu酸化物とを含有した薄膜2を基板1上に形成する方法は特に限定されず、例えば、Fe、Pt、及びCu酸化物をそれぞれターゲットとした同時スパッタリング製膜によって作製することができる。Fe及びPtにかえてFePt合金をターゲットとしてスパッタリング製膜することもできる。FePt合金をターゲットとしてスパッタリング製膜する場合は、FePtの組成比を固定することが容易である。
【0026】
また、本発明においてCu酸化物とは、Cuの酸化物であれば特に限定されず、CuOやCuO2、またはそれらの混合物を用いることができる。FePt合金にCu酸化物を添加することによって、製膜時の結晶粒サイズを低下させることができると考えられる。さらに、製膜時の結晶粒サイズを抑制し、結晶粒間に作用する引っ張り応力を誘起することによって、急速加熱による高配向、高規則化を促進することが考えられる。Cu酸化物を添加する方法はとくに限定されず、例えば、あらかじめCu酸化物を混合した材料をターゲットとしてスパッタリング製膜してもよく、別途Cu酸化物をターゲットとしてその他のターゲットと同時スパッタリング製膜してもよい。
【0027】
薄膜2を構成する材料のうち、Cu含有量は、FePt合金とCu酸化物との合計量に対して、CuO換算で10体積%以上20体積%以下となる量であることが好ましい。薄膜2を構成する材料中のCu酸化物の割合が少なく過ぎても多すぎても、後の加熱工程S2を経て得られるL10FePt合金の[001]垂直配向性が低く、磁気異方性が劣る傾向にある。
【0028】
(加熱工程S2)
工程S2は、工程S1で得られた薄膜2を所定の温度まで加熱する工程である。工程S2を経ることによって、薄膜2を磁気記録層2’(図2(b)参照。)とすることができる。
【0029】
工程S2において薄膜2を所定の温度まで加熱する際の加熱速度は、30℃/秒以上であることが好ましく、50℃/秒以上であることがより好ましい。加熱速度を速くすると、L10FePt合金が高L10規則化・高[001]垂直配向し、磁気異方性が向上するとともに保磁力が減少する傾向にある。なお、保磁力が減少することは、結晶性が向上していることを示している。
【0030】
工程S2における加熱方法は特に限定されない。加熱方法としては、例えば、赤外線加熱を挙げることができる。
【0031】
なお、工程S2での「所定の温度」とは、380℃以上600℃以下であることが好ましい。この温度が低すぎれば[001]垂直配向性が低下する傾向にあり、高すぎれば生産性の観点から好ましくない。FePt合金がL10規則化し始める温度はCuO酸化物の含有量や加熱速度にも因るが、380℃程度の加熱温度でもL10規則化すると考えられる。
【0032】
また、工程S2では、所定の温度まで加熱した後、所定の時間保持してもよい。この保持時間は、5秒以下であることが好ましい。本発明では、保持時間が5秒以下でもFePt合金を高L10規則化させ、高[001]垂直配向させる効果を発揮することができ、保持時間が長過ぎれば、生産性の観点から好ましくない。
【0033】
(その他の工程)
本発明の磁気記録媒体の作製方法は、少なくとも上記工程S1及び工程S2を備えており、さらに工程S2の後に磁気記録層2’上に薄い保護層を形成する工程を備えていてよい。この保護層は、例えばDLC(ダイヤモンド型カーボン)によって構成されるものとすることができる。保護層を形成する方法はとくに限定されず、例えば、プラズマ気相成長法等で製膜することができる。
【0034】
<磁気記録媒体>
本発明の磁気記録媒体は、上記した本発明の磁気記録媒体の作製方法によって得られる。本発明の磁気記録媒体は、L10FePt合金とCu酸化物とを含有した磁気記録層2’を備えており、上記したように、磁気記録層2’に含まれるCuの量は、L10FePt合金とCu酸化物との合計量に対して、CuO換算で10体積%以上20体積%以下となる量であることが好ましい。
【実施例】
【0035】
以下に、実施例にて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、ここで用いる「%」は、特に断らない限り、磁気記録層(薄膜)全体に対する体積%を意味する。
<試料作製方法>
以下に説明する手順で複数の試料を作製した。まず、合金膜作製用スパッタ装置(Arガス圧:0.5Pa)を用いて、Fe、Pt、及びCuO(全てフルウチ化学株式会社製)をそれぞれターゲットとして、熱酸化Si(Si基板の表面がSiO2の酸化膜で覆われている。)の基板上に、FePt合金に所定量のCuOが添加された薄膜を製膜した。得られた薄膜の膜厚は、CuOの添加量によって異なり、7.2nm+CuO添加分となるようにした。すなわち、薄膜の膜厚は、7.2×(1+x)nmとなるようにした(xは、薄膜全体に占めるCuOの割合(%))。製膜後、赤外線急速加熱装置(真空理工株式会社製、VHC−P45C−S)を用いて、真空雰囲気(2.0×10−4Pa)で上記薄膜を所定の加熱速度で所定の温度(以下、「熱処理温度」という。)まで昇温し、所定の時間(以下、「保持時間」という。)保持した。
【0036】
<評価方法>
上記手順で作製した試料について、X線解析装置(日本電子株式会社製、JDX―3530、以下「XRD」という。)を用いて構造解析を行いった。また、振動試料型磁力計(株式会社東栄科学産業製、VSM5s型−15、以下「VSM」という。)を用いて磁化測定を行った。
【0037】
(CuOの最適添加量の検討)
上記した手順に従って、CuOの添加量が5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%である試料をそれぞれ用意した。なお、これらの試料を作製する際の加熱速度は27.2℃/秒であり、熱処理温度は500℃であり、保持時間は1時間であった。XRDで構造解析を行った結果を図3に示す。図3は、横軸を回折角、縦軸を回折強度としたグラフであり、CuOの添加量が5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%である試料のXRDによる解析結果を示している。図4に示したグラフは、XRDによる解析結果に基づいて、ピーク強度のCuO添加量依存性を示したグラフである。図4では、横軸をCuOの添加量(%)、縦軸を回折強度として、(001)面、(002)面、(111)面の回折強度のCuO添加量依存性を示している。
【0038】
また、同様の試料についてVSMで磁化測定を行った結果を図5に示す。図5では、CuOの添加量が10%(図5上段)、15%(図5中段)、20%(図5下段)である試料についてのみ測定結果を示している。図5では、横軸が磁界(kOe)、縦軸が磁化の値(emu/cm3)である。図6は、保磁力(膜面垂直成分)のCuO添加量依存性について示しており、横軸がCuOの添加量(%)、縦軸が保磁力(kOe)である。
【0039】
さらに、CuOの添加量が5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%であり、加熱速度が22.9℃/秒であり、熱処理温度が700℃であり、保持時間が30分である試料についても、XRDで構造解析を行った。その結果を図7に示す。図7は、横軸を回折角、縦軸を回折強度としたグラフであり、CuOの添加量が5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%である試料のXRDによる解析結果を示している。図8に示したグラフは、XRDによる解析結果に基づいて、ピーク強度のCuO添加量依存性を示したグラフである。図8では、横軸をCuOの添加量(%)、縦軸を回折強度として、(001)面、(002)面、(111)面の回折強度のCuO添加量依存性を示している。
【0040】
図3〜図8に示した結果より以下のことがわかる。CuOの添加量の増加とともに、(001)面、(002)面の回折強度が増加して15%付近で最大になる。CuOの添加量が20%を過ぎると(111)面の回折線が見え始める。(001)面と(002)面の強度比は、あまり変化しなかった。これらのことから、規則化した領域の規則度は組成に依存しない。CuOの添加量が25%を過ぎると、配向性が悪くなる。fccからfctへの構造変化は、CuOの添加量が15%である場合が最も早い。図5の磁化曲線をみると軟磁性相は見られず、ほぼ全体がL10規則構造になっていると考えることができる。図5では、磁化曲線で軟磁性相が見えず、X線回折でもL10以外の相が見えないので、実用的には十分だと考えられる。CuOの含有量を15%とした場合が、最も磁気異方性が高く、[001]垂直配向性が高いことがわかる。なお、熱処理温度が500℃の場合も700℃の場合もCuOの含有量を15%とした試料では、I(001)/I(002)の比から算出したL10規則度は、98%程度であった。
【0041】
(加熱速度依存性の検討)
上記した手順に従って、CuOの添加量が15%であり、加熱速度が9℃/秒、20.8℃/秒、27.2℃/秒、41.6℃/秒である試料をそれぞれ用意した。なお、これらの試料を作製する際の熱処理温度は500℃であり、保持時間は1時間であった。XRDで構造解析を行った結果を図9に示す。図9は、横軸を回折角、縦軸を回折強度としたグラフであり、加熱速度が9℃/秒、20.8℃/秒、27.2℃/秒、41.6℃/秒である試料のXRDによる解析結果を示している。図10に示したグラフは、XRDによる解析結果に基づいて、ピーク強度の加熱速度依存性を示したグラフである。図4では、横軸を加熱速度(℃/秒)、縦軸を回折強度として、(001)面、(002)面、(111)面の回折強度の加熱速度依存性を示している。
【0042】
また、同様の試料についてVSMで磁化測定を行った結果を図11に示す。図11では、横軸が磁界(kOe)、縦軸が磁化の値(emu/cm3)である。図12は、保磁力(膜面垂直成分)の加熱速度依存性について示しており、横軸が加熱速度(℃/秒)、縦軸が保磁力(kOe)である。
【0043】
図9及び図10に示した結果より、L10規則度、[001]垂直配向性ともに、加熱速度が速くなるにつれて向上することがわかる。これらの結果から、加熱速度を25℃/秒以上とすれば良好な結果が得られ、35℃/秒以上とすれば、より優れたL10規則度、[001]垂直配向性が得られることがかわる。また、図11に示した結果からは、加熱速度が速くなるにつれて、面内、垂直の磁気異方性が向上することがわかる。さらに、図12より、加熱速度が速くなるにつれて、保磁力(膜面垂直成分)が減少し、ピンニングサイトが減少することがわかる。
【0044】
(熱処理温度依存性の検討)
上記した手順に従って、CuOの添加量が15%であり、熱処理温度が415℃(加熱速度:34.4℃/秒)、450℃(同:37.1℃/秒)、500℃(同:41.6℃/秒)、600℃(同:38.2℃/秒)、700℃(同:22.9℃/秒)である試料をそれぞれ用意した。なお、これらの試料を作製する際の保持時間は60分とした。XRDで構造解析を行った結果を図13に示す。図13は、横軸を回折角、縦軸を回折強度としたグラフであり、熱処理温度が415℃(加熱速度:34.4℃/秒)、450℃(同:37.1℃/秒)、500℃(同:41.6℃/秒)、600℃(同:38.2℃/秒)、700℃(同:22.9℃/秒)である試料のXRDによる解析結果を示している。図14に示したグラフは、XRDによる解析結果に基づいて、ピーク強度の熱処理温度依存性を示したグラフである。図14では、横軸を熱処理温度(℃)、縦軸を回折強度として、(001)面、(002)面、(111)面の回折強度の熱処理温度依存性を示している。また、図14には、CuOに変えてSiO2を15%添加した(SiO2添加の方法は、基板回転スパッタで製膜した。)以外は同様にして作製した試料についても示す。
【0045】
また、同様の試料についてVSMで磁化測定を行った結果を図15に示す。図15では、横軸が磁界(kOe)、縦軸が磁化の値(emu/cm3)である。図16は、保磁力(膜面垂直成分)のCuO熱処理温度依存性について示しており、横軸が熱処理温度(℃)、縦軸が保磁力(kOe)である。
【0046】
図13及び図14に示したように、いずれの温度でもL10規則度、[001]垂直配向性ともに良好であったが、700℃では線幅が狭くなり、結晶粒サイズの増加が著しいことがわかる。また、図14からCuOを添加した場合とSiO2を添加した場合とを比較すると、約2倍の速さでL10規則化、[001]垂直配向性が進行することがわかった。図8、図10並びに図14によれば、高配向・高規則化は、添加物濃度、加熱速度ならびに熱処理温度に依存している。特に添加物濃度、加熱速度に強く依存している。また図14からは、400℃ですでに、高配向・高規則化が始まっていることが分かる。加熱速度34.4℃/秒、加熱温度400℃では、配向性・結晶性はまだ十分とは言い難いが、加熱速度を50℃/秒以上に設定すれば、400℃でも十分な配向性と規則度が得られると考えられる。
【0047】
(保持時間依存性の検討)
上記した手順に従って、CuOの添加量が15%であり、加熱速度が41.6℃/秒であり、熱処理温度が500℃であり、保持時間が5秒、1分、10分、30分、60分である試料をそれぞれ用意した。XRDで構造解析を行った結果を図17に示す。図17は、横軸を回折角、縦軸を回折強度としたグラフであり、保持時間が5秒、1分、10分、30分、60分である試料のXRDによる解析結果を示している。図18に示したグラフは、XRDによる解析結果に基づいて、ピーク強度の保持時間依存性を示したグラフである。図18では、横軸を保持時間(分)、縦軸を回折強度として、(001)面、(002)面、(111)面の回折強度の保持時間依存性を示している。
【0048】
また、同様の試料についてVSMで磁化測定を行った結果を図19及び図20に示す。図19及び図20では、横軸が磁界(kOe)、縦軸が磁化の値(emu/cm3)である。図21は、保磁力(膜面垂直成分)の保持時間依存性について示しており、保持時間(分)、縦軸が保磁力(kOe)である。
【0049】
図17及び図18に示した結果より、高L10規則化、高[001]垂直配向性の観点から、保持時間は1分で十分であることがわかる。即ち本発明では、磁気記録層のL10規則化、高[001]垂直配向性は、基本的には加熱過程に依存しており、加熱後の保持時間には依存していないと考えられる。図19〜図21に示した結果からは、保持時間が5秒でも磁気異方性が得られており、優れた特性を示すことがわかった。
【0050】
以上、現時点において実践的で好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではない。請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能である。そのような変更を伴う磁気記録媒体、及び磁気記録媒体の作製方法も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0051】
1 基板
2 薄膜
2’ 磁気記録層
10 磁気記録媒体
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体及び磁気記録媒体の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスク等の磁気記録媒体の面記録密度を高くして記憶容量を増大させることが望まれており、研究が進められている。磁気記録媒体の面記録密度を向上させるには、記録ビットを微細化しなければならない。しかしながら、記録ビットの微細化を進めると、熱エネルギーにより磁気記録層の磁化方向が変化してデータが失われてしまう、いわゆる「熱揺らぎ」が問題となる。
【0003】
熱揺らぎの影響を抑えることができる技術としては、「垂直磁気記録方式」が実用化されている。垂直磁気記録方式は、記録ビットの磁化方向を磁気記録層に対して垂直方向に記録する方法である。垂直磁気記録方式では、隣接する記録ビットの反磁界がお互いに強め合うように作用する。したがって、垂直磁気記録方式の記録ビットでは、磁気記録層に平行な方向の大きさを小さくしても、垂直な方向の大きさを大きくして体積を大きくすることで、熱揺らぎの影響を抑えることができる。
【0004】
しかしながら、垂直磁気記録方式を用いたとしても、高い面記録密度を実現させるためには記録ビットを微細化させなければならないということに変わりはない。したがって、より高い面記録密度を実現させるためには、垂直磁気記録方式を用いても熱揺らぎの問題は生じる。この解決策として、従来用いられてきたCoCr系合金よりもさらに高い垂直磁気異方性を有する材料を磁気記録層に用いることが検討されている。
【0005】
CoCr系合金より高い垂直磁気異方性を有する材料として、例えば、L10規則構造を有したFePt合金(以下、単に「L10FePt合金」ということがある。)が検討されている。L10FePt合金は、10Tbit/inch2クラスの超高密度磁気記録媒体として期待されている。また、L10FePt合金は耐食性、耐酸化性に優れているため、磁気記録媒体としての応用に適した材料と期待されている。しかしながら、L10FePt合金は高い磁気異方性を有するため、保磁力が高くなりすぎる傾向にある。そのため、L10FePt合金を磁気記録媒体として実用化するには、ある程度保磁力を低下させることが好ましい。また、L10FePt合金を磁気記録媒体として実用化するためには、金属やガラス製の基板上に数nmの厚さで高[100]垂直配向と高L10規則化を実現したL10FePt合金を含む薄膜(以下、「L10FePt薄膜」ということがある。)を形成する必要がある。さらに、実用的観点からは、金属やガラス製の基板には特殊な結晶面や表面処理を必要とせず、例えば、アモルファス熱酸化シリコン(SiO2)などの多結晶表面上で、できるだけ低温プロセスでL10FePt薄膜を製膜できることが望ましい。
【0006】
多結晶基板上にL10FePt薄膜を形成する方法としては、これまでに以下の手法が報告されている。
(1)製膜時に金属(Sb、Ag、Cu)もしくは酸化物(MgO、SiO2、B2O3、ZrO2)からなる添加物を加える作製方法(例えば、非特許文献1、2、特許文献1。)。
(2)製膜後に急速加熱熱処理を行う作製方法(例えば、非特許文献3、4。)。
(3)製膜時に金属(Sb、Ag、Cu)もしくは酸化物(MgO、SiO2、B2O3、ZrO2)からなる添加物を加え、製膜後に急速加熱熱処理を行う作製方法(例えば、非特許文献5〜7。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−202451号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】前田知幸、外4名、「Reduction of ordering temperature of an FePt-ordered alloy by addition of Cu」、Applied Physics Letter、米国、American Institute of Physics、2002年3月25日、第80巻、第12号、p.2147
【非特許文献2】Q.Yan、外5名「Enhanced Chemical Ordering and Coercivity in FePt Alloy Nanoparticles by Sb-Doping」、Advanced Materials、独国、WILEY-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA、2005年8月8日、第17巻、第18号、p.2233−2237
【非特許文献3】伊藤裕二、外5名、「Structural and Magnetization Properties of Island FePt Produced by Rapid Thermal Annealing」、Japanese Journal of Applied Physics、日本、The Japan Society of Applied Physics、2004年12月9日、第43巻、p.8040−8043
【非特許文献4】伊藤裕二、外5名、「Magnetic and Structural Properties of FePt Thin Film Prepared by Rapid Thermal Annealing」、Japanese Journal of Applied Physics、日本、The Japan Society of Applied Physics、2002年8月13日、第41巻、p.L1066−L1068
【非特許文献5】C.L.Platt、外4名「L10 ordering and microstructure of FePt thin films with Cu, Ag, and Au additive」、Journal of Applied Physics、米国、American Institute of Physics、2002年11月15日、第92巻、第10号、p.6104
【非特許文献6】M.L.Yan、外3名「L10,(001)-oriented FePt:B2O3 composite films for perpendicular recording」、Journal of Applied Physics、米国、American Institute of Physics、2002年5月15日、第91巻、第10号、p.8471
【非特許文献7】C.Luo、外1名、「Structural and magnetic properties of FePt:SiO2 granular thin films」、Applied Physics Letter、米国、American Institute of Physics、1999年11月15日、第75巻、第20号、p.3162
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、従来、L10FePt薄膜を形成する際には、Feとの置換を狙って金属を添加したり、元素の拡散を早めることを目的として、Si、B、Mgなどの軽元素の酸化物を添加したりしていた。そして、これらの添加物を用いることで、ある程度の効果は得られていた。しかしながら、(1)高[100]垂直配向、(2)高L10規則度、(3)低温、短時間での作製、(4)低キュリー温度、及び(5)高結晶磁気異方性を同時に十分に満足するL10FePt薄膜を従来の製法で得ることは困難であった。
【0010】
そこで本発明は、低温プロセスで短時間に作製可能であり、高[100]垂直配向、高L10規則化、低キュリー温度、及び高結晶磁気異方性を有する、L10FePt薄膜を備えた磁気記録媒体を製造できる方法、並びに、該方法によって得られるL10FePt膜を備えた磁気記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の本発明は、L10規則構造を有したFePt合金とCu酸化物とを含有した磁気記録層を備える磁気記録媒体を提供することによって上記課題を解決する。
【0012】
第一の本発明および以下に説明する第二の本発明(以下、これらを合わせて単に「本発明」ということがある。)において、「Cu酸化物」とは、Cuの酸化物であれば特に限定されず、CuOやCuO2、またはそれらの混合物であっても良い。
【0013】
第一の本発明において、Cu酸化物とFePt合金との合計量に対して、CuO換算で10体積%以上20体積%以下となる量のCuが磁気記録層に含有されていることが好ましい。
【0014】
また、第二の本発明は、FePt合金とCu酸化物とを含む薄膜を形成する薄膜形成工程、及び該薄膜を所定の温度まで加熱する加熱工程を経て、L10規則構造を有したFePt合金とCu酸化物とを含有した磁気記録層を形成する、磁気記録媒体の作製方法を提供することによって上記課題を解決する。
【0015】
第二の本発明において、Cu酸化物とFePt合金との合計量に対して、CuO換算で10体積%以上20体積%以下となる量のCuを磁気記録層に含有させることが好ましい。
【0016】
第二の本発明において、上記加熱工程が、毎秒30℃以上の加熱速度で所定の温度まで薄膜を加熱する工程であることが好ましい。
【0017】
第二の本発明において、上記加熱工程が、薄膜を380℃以上600℃以下の温度まで加熱する工程であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、低温プロセスで短時間にL10FePt薄膜を備えた磁気記録媒体を提供することができる。また、本発明では、磁気記録媒体の作製時の基板にガラスなどの多結晶材料を用いることができるため、一般に使用されているアルミニウム基板やガラス基板を用いることができ、エピタキシャル成長などの高温プロセスやバッファー層などの特殊な製膜工程を必要としない。さらに、Cu酸化物の添加にはCuOやCuO2などの酸化物をターゲットに用いてスパッタリングで製膜できるので、技術的に容易で経済性が高い。さらに、短時間の急速加熱でしかも短時間の保持時間で高[001]垂直配向・高L10規則化したL10FePt薄膜を得られるので、実用化が容易で、経済性が高い。特に最短時間では数秒程度のランプ加熱でL10FePt薄膜を得ることも可能なため、製膜プロセスが簡単で、時間的、経済的効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の磁気記録媒体の作製方法の一例に備えられる工程を概略的に示すフローチャートである。
【図2】図2(a)には作製途中の本発明の磁気記録媒体の一例の断面を概略的に示し、図2(b)には本発明の磁気記録媒体の一例の断面を概略的に示す。
【図3】XRDで構造解析を行った結果を示すグラフである。
【図4】ピーク強度のCuO添加量依存性を示すグラフである。
【図5】VSMで磁化測定を行った結果を示すグラフである。
【図6】保磁力(垂直)のCuO添加量依存性を示すグラフである。
【図7】XRDで構造解析を行った結果を示すグラフである。
【図8】ピーク強度のCuO添加量依存性を示すグラフである。
【図9】XRDで構造解析を行った結果を示すグラフである。
【図10】ピーク強度の加熱速度依存性を示すグラフである。
【図11】VSMで磁化測定を行った結果を示すグラフである。
【図12】保磁力(垂直)の加熱速度依存性を示すグラフである。
【図13】XRDで構造解析を行った結果を示すグラフである。
【図14】ピーク強度の熱処理温度依存性を示すグラフである。
【図15】VSMで磁化測定を行った結果を示すグラフである。
【図16】保磁力(垂直)の熱処理温度依存性を示すグラフである。
【図17】XRDで構造解析を行った結果を示すグラフである。
【図18】ピーク強度の保持時間依存性を示すグラフである。
【図19】VSMで磁化測定を行った結果を示すグラフである。
【図20】VSMで磁化測定を行った結果を示すグラフである。
【図21】保磁力(垂直)の保持時間依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
【0021】
<磁気記録媒体の作製方法>
図1に本発明の磁気記録媒体の作製方法の一例のフローチャートを概略的に示す。また、図2(a)には作製途中の本発明の磁気記録媒体の一例の断面を概略的に示し、図2(b)には本発明の磁気記録媒体の一例の断面を概略的に示す。
【0022】
図1に示すように、本発明の磁気記録媒体の作製方法は、薄膜形成工程S1及び加熱工程S2を備えている。これらの工程を経ることによって、L10規則構造を有したFePt合金とCu酸化物とを含有した磁気記録層を得ることができる。以下、各工程について説明する。
【0023】
(薄膜形成工程S1)
工程S1は、基板1上にFePt合金とCu酸化物とを含有した薄膜2を形成する工程である(図2(a)参照)。本発明に用いることができる基板1は、磁気記録媒体の作製に用いることができるものであれば特に限定されず、金属製の基板やガラス製の基板を用いることができる。ただし、実用的な磁気記録媒体を作製する場合には、薄膜2の下部にソフト磁性層(保磁力の小さな材料、Co系アモルファスなど)を積層することが好ましい。
【0024】
工程S1で得られる薄膜2中のFeとPtとの含有比率が、モル比でFe:Pt=1:1から外れると、後の加熱工程S2を経たときに得られるFePt合金のL10規則度が落ちることとなる。そのため、工程S1で得られる薄膜中のFeとPtとの含有比率は、モル比でFe:Pt=45〜55:55〜45程度であることが好ましい。
【0025】
また、FePt合金とCu酸化物とを含有した薄膜2を基板1上に形成する方法は特に限定されず、例えば、Fe、Pt、及びCu酸化物をそれぞれターゲットとした同時スパッタリング製膜によって作製することができる。Fe及びPtにかえてFePt合金をターゲットとしてスパッタリング製膜することもできる。FePt合金をターゲットとしてスパッタリング製膜する場合は、FePtの組成比を固定することが容易である。
【0026】
また、本発明においてCu酸化物とは、Cuの酸化物であれば特に限定されず、CuOやCuO2、またはそれらの混合物を用いることができる。FePt合金にCu酸化物を添加することによって、製膜時の結晶粒サイズを低下させることができると考えられる。さらに、製膜時の結晶粒サイズを抑制し、結晶粒間に作用する引っ張り応力を誘起することによって、急速加熱による高配向、高規則化を促進することが考えられる。Cu酸化物を添加する方法はとくに限定されず、例えば、あらかじめCu酸化物を混合した材料をターゲットとしてスパッタリング製膜してもよく、別途Cu酸化物をターゲットとしてその他のターゲットと同時スパッタリング製膜してもよい。
【0027】
薄膜2を構成する材料のうち、Cu含有量は、FePt合金とCu酸化物との合計量に対して、CuO換算で10体積%以上20体積%以下となる量であることが好ましい。薄膜2を構成する材料中のCu酸化物の割合が少なく過ぎても多すぎても、後の加熱工程S2を経て得られるL10FePt合金の[001]垂直配向性が低く、磁気異方性が劣る傾向にある。
【0028】
(加熱工程S2)
工程S2は、工程S1で得られた薄膜2を所定の温度まで加熱する工程である。工程S2を経ることによって、薄膜2を磁気記録層2’(図2(b)参照。)とすることができる。
【0029】
工程S2において薄膜2を所定の温度まで加熱する際の加熱速度は、30℃/秒以上であることが好ましく、50℃/秒以上であることがより好ましい。加熱速度を速くすると、L10FePt合金が高L10規則化・高[001]垂直配向し、磁気異方性が向上するとともに保磁力が減少する傾向にある。なお、保磁力が減少することは、結晶性が向上していることを示している。
【0030】
工程S2における加熱方法は特に限定されない。加熱方法としては、例えば、赤外線加熱を挙げることができる。
【0031】
なお、工程S2での「所定の温度」とは、380℃以上600℃以下であることが好ましい。この温度が低すぎれば[001]垂直配向性が低下する傾向にあり、高すぎれば生産性の観点から好ましくない。FePt合金がL10規則化し始める温度はCuO酸化物の含有量や加熱速度にも因るが、380℃程度の加熱温度でもL10規則化すると考えられる。
【0032】
また、工程S2では、所定の温度まで加熱した後、所定の時間保持してもよい。この保持時間は、5秒以下であることが好ましい。本発明では、保持時間が5秒以下でもFePt合金を高L10規則化させ、高[001]垂直配向させる効果を発揮することができ、保持時間が長過ぎれば、生産性の観点から好ましくない。
【0033】
(その他の工程)
本発明の磁気記録媒体の作製方法は、少なくとも上記工程S1及び工程S2を備えており、さらに工程S2の後に磁気記録層2’上に薄い保護層を形成する工程を備えていてよい。この保護層は、例えばDLC(ダイヤモンド型カーボン)によって構成されるものとすることができる。保護層を形成する方法はとくに限定されず、例えば、プラズマ気相成長法等で製膜することができる。
【0034】
<磁気記録媒体>
本発明の磁気記録媒体は、上記した本発明の磁気記録媒体の作製方法によって得られる。本発明の磁気記録媒体は、L10FePt合金とCu酸化物とを含有した磁気記録層2’を備えており、上記したように、磁気記録層2’に含まれるCuの量は、L10FePt合金とCu酸化物との合計量に対して、CuO換算で10体積%以上20体積%以下となる量であることが好ましい。
【実施例】
【0035】
以下に、実施例にて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、ここで用いる「%」は、特に断らない限り、磁気記録層(薄膜)全体に対する体積%を意味する。
<試料作製方法>
以下に説明する手順で複数の試料を作製した。まず、合金膜作製用スパッタ装置(Arガス圧:0.5Pa)を用いて、Fe、Pt、及びCuO(全てフルウチ化学株式会社製)をそれぞれターゲットとして、熱酸化Si(Si基板の表面がSiO2の酸化膜で覆われている。)の基板上に、FePt合金に所定量のCuOが添加された薄膜を製膜した。得られた薄膜の膜厚は、CuOの添加量によって異なり、7.2nm+CuO添加分となるようにした。すなわち、薄膜の膜厚は、7.2×(1+x)nmとなるようにした(xは、薄膜全体に占めるCuOの割合(%))。製膜後、赤外線急速加熱装置(真空理工株式会社製、VHC−P45C−S)を用いて、真空雰囲気(2.0×10−4Pa)で上記薄膜を所定の加熱速度で所定の温度(以下、「熱処理温度」という。)まで昇温し、所定の時間(以下、「保持時間」という。)保持した。
【0036】
<評価方法>
上記手順で作製した試料について、X線解析装置(日本電子株式会社製、JDX―3530、以下「XRD」という。)を用いて構造解析を行いった。また、振動試料型磁力計(株式会社東栄科学産業製、VSM5s型−15、以下「VSM」という。)を用いて磁化測定を行った。
【0037】
(CuOの最適添加量の検討)
上記した手順に従って、CuOの添加量が5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%である試料をそれぞれ用意した。なお、これらの試料を作製する際の加熱速度は27.2℃/秒であり、熱処理温度は500℃であり、保持時間は1時間であった。XRDで構造解析を行った結果を図3に示す。図3は、横軸を回折角、縦軸を回折強度としたグラフであり、CuOの添加量が5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%である試料のXRDによる解析結果を示している。図4に示したグラフは、XRDによる解析結果に基づいて、ピーク強度のCuO添加量依存性を示したグラフである。図4では、横軸をCuOの添加量(%)、縦軸を回折強度として、(001)面、(002)面、(111)面の回折強度のCuO添加量依存性を示している。
【0038】
また、同様の試料についてVSMで磁化測定を行った結果を図5に示す。図5では、CuOの添加量が10%(図5上段)、15%(図5中段)、20%(図5下段)である試料についてのみ測定結果を示している。図5では、横軸が磁界(kOe)、縦軸が磁化の値(emu/cm3)である。図6は、保磁力(膜面垂直成分)のCuO添加量依存性について示しており、横軸がCuOの添加量(%)、縦軸が保磁力(kOe)である。
【0039】
さらに、CuOの添加量が5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%であり、加熱速度が22.9℃/秒であり、熱処理温度が700℃であり、保持時間が30分である試料についても、XRDで構造解析を行った。その結果を図7に示す。図7は、横軸を回折角、縦軸を回折強度としたグラフであり、CuOの添加量が5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%である試料のXRDによる解析結果を示している。図8に示したグラフは、XRDによる解析結果に基づいて、ピーク強度のCuO添加量依存性を示したグラフである。図8では、横軸をCuOの添加量(%)、縦軸を回折強度として、(001)面、(002)面、(111)面の回折強度のCuO添加量依存性を示している。
【0040】
図3〜図8に示した結果より以下のことがわかる。CuOの添加量の増加とともに、(001)面、(002)面の回折強度が増加して15%付近で最大になる。CuOの添加量が20%を過ぎると(111)面の回折線が見え始める。(001)面と(002)面の強度比は、あまり変化しなかった。これらのことから、規則化した領域の規則度は組成に依存しない。CuOの添加量が25%を過ぎると、配向性が悪くなる。fccからfctへの構造変化は、CuOの添加量が15%である場合が最も早い。図5の磁化曲線をみると軟磁性相は見られず、ほぼ全体がL10規則構造になっていると考えることができる。図5では、磁化曲線で軟磁性相が見えず、X線回折でもL10以外の相が見えないので、実用的には十分だと考えられる。CuOの含有量を15%とした場合が、最も磁気異方性が高く、[001]垂直配向性が高いことがわかる。なお、熱処理温度が500℃の場合も700℃の場合もCuOの含有量を15%とした試料では、I(001)/I(002)の比から算出したL10規則度は、98%程度であった。
【0041】
(加熱速度依存性の検討)
上記した手順に従って、CuOの添加量が15%であり、加熱速度が9℃/秒、20.8℃/秒、27.2℃/秒、41.6℃/秒である試料をそれぞれ用意した。なお、これらの試料を作製する際の熱処理温度は500℃であり、保持時間は1時間であった。XRDで構造解析を行った結果を図9に示す。図9は、横軸を回折角、縦軸を回折強度としたグラフであり、加熱速度が9℃/秒、20.8℃/秒、27.2℃/秒、41.6℃/秒である試料のXRDによる解析結果を示している。図10に示したグラフは、XRDによる解析結果に基づいて、ピーク強度の加熱速度依存性を示したグラフである。図4では、横軸を加熱速度(℃/秒)、縦軸を回折強度として、(001)面、(002)面、(111)面の回折強度の加熱速度依存性を示している。
【0042】
また、同様の試料についてVSMで磁化測定を行った結果を図11に示す。図11では、横軸が磁界(kOe)、縦軸が磁化の値(emu/cm3)である。図12は、保磁力(膜面垂直成分)の加熱速度依存性について示しており、横軸が加熱速度(℃/秒)、縦軸が保磁力(kOe)である。
【0043】
図9及び図10に示した結果より、L10規則度、[001]垂直配向性ともに、加熱速度が速くなるにつれて向上することがわかる。これらの結果から、加熱速度を25℃/秒以上とすれば良好な結果が得られ、35℃/秒以上とすれば、より優れたL10規則度、[001]垂直配向性が得られることがかわる。また、図11に示した結果からは、加熱速度が速くなるにつれて、面内、垂直の磁気異方性が向上することがわかる。さらに、図12より、加熱速度が速くなるにつれて、保磁力(膜面垂直成分)が減少し、ピンニングサイトが減少することがわかる。
【0044】
(熱処理温度依存性の検討)
上記した手順に従って、CuOの添加量が15%であり、熱処理温度が415℃(加熱速度:34.4℃/秒)、450℃(同:37.1℃/秒)、500℃(同:41.6℃/秒)、600℃(同:38.2℃/秒)、700℃(同:22.9℃/秒)である試料をそれぞれ用意した。なお、これらの試料を作製する際の保持時間は60分とした。XRDで構造解析を行った結果を図13に示す。図13は、横軸を回折角、縦軸を回折強度としたグラフであり、熱処理温度が415℃(加熱速度:34.4℃/秒)、450℃(同:37.1℃/秒)、500℃(同:41.6℃/秒)、600℃(同:38.2℃/秒)、700℃(同:22.9℃/秒)である試料のXRDによる解析結果を示している。図14に示したグラフは、XRDによる解析結果に基づいて、ピーク強度の熱処理温度依存性を示したグラフである。図14では、横軸を熱処理温度(℃)、縦軸を回折強度として、(001)面、(002)面、(111)面の回折強度の熱処理温度依存性を示している。また、図14には、CuOに変えてSiO2を15%添加した(SiO2添加の方法は、基板回転スパッタで製膜した。)以外は同様にして作製した試料についても示す。
【0045】
また、同様の試料についてVSMで磁化測定を行った結果を図15に示す。図15では、横軸が磁界(kOe)、縦軸が磁化の値(emu/cm3)である。図16は、保磁力(膜面垂直成分)のCuO熱処理温度依存性について示しており、横軸が熱処理温度(℃)、縦軸が保磁力(kOe)である。
【0046】
図13及び図14に示したように、いずれの温度でもL10規則度、[001]垂直配向性ともに良好であったが、700℃では線幅が狭くなり、結晶粒サイズの増加が著しいことがわかる。また、図14からCuOを添加した場合とSiO2を添加した場合とを比較すると、約2倍の速さでL10規則化、[001]垂直配向性が進行することがわかった。図8、図10並びに図14によれば、高配向・高規則化は、添加物濃度、加熱速度ならびに熱処理温度に依存している。特に添加物濃度、加熱速度に強く依存している。また図14からは、400℃ですでに、高配向・高規則化が始まっていることが分かる。加熱速度34.4℃/秒、加熱温度400℃では、配向性・結晶性はまだ十分とは言い難いが、加熱速度を50℃/秒以上に設定すれば、400℃でも十分な配向性と規則度が得られると考えられる。
【0047】
(保持時間依存性の検討)
上記した手順に従って、CuOの添加量が15%であり、加熱速度が41.6℃/秒であり、熱処理温度が500℃であり、保持時間が5秒、1分、10分、30分、60分である試料をそれぞれ用意した。XRDで構造解析を行った結果を図17に示す。図17は、横軸を回折角、縦軸を回折強度としたグラフであり、保持時間が5秒、1分、10分、30分、60分である試料のXRDによる解析結果を示している。図18に示したグラフは、XRDによる解析結果に基づいて、ピーク強度の保持時間依存性を示したグラフである。図18では、横軸を保持時間(分)、縦軸を回折強度として、(001)面、(002)面、(111)面の回折強度の保持時間依存性を示している。
【0048】
また、同様の試料についてVSMで磁化測定を行った結果を図19及び図20に示す。図19及び図20では、横軸が磁界(kOe)、縦軸が磁化の値(emu/cm3)である。図21は、保磁力(膜面垂直成分)の保持時間依存性について示しており、保持時間(分)、縦軸が保磁力(kOe)である。
【0049】
図17及び図18に示した結果より、高L10規則化、高[001]垂直配向性の観点から、保持時間は1分で十分であることがわかる。即ち本発明では、磁気記録層のL10規則化、高[001]垂直配向性は、基本的には加熱過程に依存しており、加熱後の保持時間には依存していないと考えられる。図19〜図21に示した結果からは、保持時間が5秒でも磁気異方性が得られており、優れた特性を示すことがわかった。
【0050】
以上、現時点において実践的で好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではない。請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能である。そのような変更を伴う磁気記録媒体、及び磁気記録媒体の作製方法も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0051】
1 基板
2 薄膜
2’ 磁気記録層
10 磁気記録媒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
L10規則構造を有したFePt合金とCu酸化物とを含有した磁気記録層を備える磁気記録媒体。
【請求項2】
前記Cu酸化物と前記FePt合金との合計量に対して、CuO換算で10体積%以上20体積%以下となる量のCuが前記磁気記録層に含有されている、請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
FePt合金とCu酸化物とを含む薄膜を形成する薄膜形成工程、及び前記薄膜を所定の温度まで加熱する加熱工程を経て、L10規則構造を有した前記FePt合金と前記Cu酸化物とを含有した磁気記録層を形成する、磁気記録媒体の作製方法。
【請求項4】
前記Cu酸化物と前記FePt合金との合計量に対して、CuO換算で10体積%以上20体積%以下となる量のCuを前記磁気記録層に含有させる、請求項3に記載の磁気記録媒体の作製方法。
【請求項5】
前記加熱工程が、毎秒30℃以上の加熱速度で所定の温度まで前記薄膜を加熱する工程である、請求項3または4に記載の磁気記録媒体の作製方法。
【請求項6】
前記加熱工程が、前記薄膜を400℃以上600℃以下の温度まで加熱する工程である、請求項3〜5のいずれかに記載の磁気記録媒体の作製方法。
【請求項1】
L10規則構造を有したFePt合金とCu酸化物とを含有した磁気記録層を備える磁気記録媒体。
【請求項2】
前記Cu酸化物と前記FePt合金との合計量に対して、CuO換算で10体積%以上20体積%以下となる量のCuが前記磁気記録層に含有されている、請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
FePt合金とCu酸化物とを含む薄膜を形成する薄膜形成工程、及び前記薄膜を所定の温度まで加熱する加熱工程を経て、L10規則構造を有した前記FePt合金と前記Cu酸化物とを含有した磁気記録層を形成する、磁気記録媒体の作製方法。
【請求項4】
前記Cu酸化物と前記FePt合金との合計量に対して、CuO換算で10体積%以上20体積%以下となる量のCuを前記磁気記録層に含有させる、請求項3に記載の磁気記録媒体の作製方法。
【請求項5】
前記加熱工程が、毎秒30℃以上の加熱速度で所定の温度まで前記薄膜を加熱する工程である、請求項3または4に記載の磁気記録媒体の作製方法。
【請求項6】
前記加熱工程が、前記薄膜を400℃以上600℃以下の温度まで加熱する工程である、請求項3〜5のいずれかに記載の磁気記録媒体の作製方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−40121(P2011−40121A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184441(P2009−184441)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年2月9日 国立大学法人秋田大学主催の「平成20年度 秋田大学工学資源学部材料工学科・卒業課題研究発表会」において文書をもって発表
【出願人】(504409543)国立大学法人秋田大学 (210)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年2月9日 国立大学法人秋田大学主催の「平成20年度 秋田大学工学資源学部材料工学科・卒業課題研究発表会」において文書をもって発表
【出願人】(504409543)国立大学法人秋田大学 (210)
【Fターム(参考)】
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