磁石要素を永久磁石モータ内にて使用されるロータ上に取り付ける方法
【課題】
【解決手段】本発明は、磁石要素を永久磁石モータ内にて使用されるロータの表面に取り付ける方法に関する。該方法は、上記ロータの外径に相応する内径を有する第一の管状要素を提供するステップと、上記第一の管状要素の外径よりも大きい内径を有する第二の管状要素を提供するステップと、上記第一の管状要素を上記第二の管状要素内に挿入し、その間に中空の空間を形成するステップと、多数の磁石要素を上記中空の空間に挿入するステップと、上記ロータを上記第一の管状要素内に挿入し、そのとき、上記磁石要素が上記第一の管状要素と上記第二の管状要素との間にて緊密嵌めされる配置状態となるようにするステップとを備えている。
【解決手段】本発明は、磁石要素を永久磁石モータ内にて使用されるロータの表面に取り付ける方法に関する。該方法は、上記ロータの外径に相応する内径を有する第一の管状要素を提供するステップと、上記第一の管状要素の外径よりも大きい内径を有する第二の管状要素を提供するステップと、上記第一の管状要素を上記第二の管状要素内に挿入し、その間に中空の空間を形成するステップと、多数の磁石要素を上記中空の空間に挿入するステップと、上記ロータを上記第一の管状要素内に挿入し、そのとき、上記磁石要素が上記第一の管状要素と上記第二の管状要素との間にて緊密嵌めされる配置状態となるようにするステップとを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、ステータと、ロータとを備える回転型電気機械に関する。回転型電気機械は、例えば、発電装置、モータ、逆ロータ機械又は回転型同期補償器として使用することができる。より詳細には、本発明は、磁石がロータ又は同様のものの表面に取り付けられた(サーフェイスマウント型磁石)永久磁石機械及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、誘導機械、同期機械又は永久磁石機械又は同様のものとして使用される従来の回転型機械は、ロータと、ステータとを備えている。ステータには、各々がその軸方向伸長部に及び半径方向断面の各々の双方に実質的に同様の形状を有する多数の歯を設けることができる。これらの歯は、互いから等距離にてステータの内周上に配置され且つ、軸方向に伸びる中間スロットにより互いから分離されている。逆ロータ機械においては、これと異なり、これらの歯はステータの外周上に配置されている。各半径方向断面にてロータに面するそれぞれの各歯の表面は、ロータのエンベロープ表面に対して同心状の円弧の形状を有している。更に、巻線がそれぞれのステータスロット内に配置され、回転型電気機械の空隙が完全なロータの回りにてその軸方向伸長部及び各半径方向断面の双方にて一定であるようにすることができる。永久磁石は、通常、ロータの表面上にて円周方向に配設され且つ、例えば、薄い接着剤層によりロータの表面に固定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
磁石要素をロータ上に取り付けるその他の既知の方法は、接着剤によって磁石要素を磁石ホルダ上に確実に予め組み付けるステップを含む。その後、磁石ホルダを適正な方法にてロータに装着する。このように、上述した方法は、磁石要素をロータに取り付けるとき、必須の構成要素として接着剤を使用するが、このことは、ロータの製造過程にて化学的複合物が必要とされることを意味する。このため、化学的複合物の取り扱いに適した製造装置が必要とされ、このことは、より費用の掛かる製造となることを意味する。また、ロータの異なる部品を互いに分離するため特殊な工具又は化学剤が必要とされるから、接着剤は、ロータの再利用の点にても短所がある。場合によっては、接着剤と組み合わせて、磁石を磁石ホルダ上のその位置に保持するため、ガラス繊維/アラミド繊維の巻布を磁石の回りに巻くことも知られているが、この方法は、面倒で且つ時間を消費する。
【0004】
このように、ロータを製造する改良された方法、特に、磁石要素を永久磁石モータ内にて使用されるロータ上に取り付ける方法が必要とされている。
本発明は、磁石要素をロータ上に取り付ける従来からの既知の方法の上述した不利益な点を除去し且つ、改良された方法を提供することを目的とする。このように、本発明の主目的は、磁石要素を永久磁石モータ内にて使用されるロータ上に取り付ける改良された方法を提供することである。本発明の別の目的は、製造コストを削減する、磁石要素を永久磁石モータ内にて使用されるロータ上に取り付ける方法を提供することである。本発明の更に別の目的は、永久磁石モータ内にて使用されるロータを製造する方法を提供することである。
【0005】
本発明に従って、独立請求項に記載された特徴を有する当初に記載した方法により少なくとも主目的が実現される。本発明の好ましい実施の形態は、独立請求項に更に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の形態に従い、磁石要素を永久磁石モータ内にて使用されるロータ上に取り付ける方法が提供される。該方法は、上記ロータの外径に相応する内径を有する第一の管状要素を提供するステップと、上記第一の管状要素の外径よりも大きい内径を有する第二の管状要素を提供するステップと、上記第一の管状要素を上記第二の管状要素内に挿入し、その間に中空の空間を形成するステップと、多数の磁石要素を上記中空の空間に挿入するステップと、上記ロータを上記第一の管状要素内に挿入し、そのとき、上記磁石要素は、上記第一の管状要素と上記第二の管状要素との間にて緊密嵌めの配置状態となるようにするステップとを備えている。
【0007】
本発明の説明において、「磁石要素」という語は、永久磁石であるか又は恒久的に磁化し、これにより永久磁石を実現することのできる材料にて出来た要素を意味するものとであることを指摘すべきである。
【0008】
本発明の第二の形態に従い、第一の形態に従った方法により取り付けられた、永久磁石モータ内にて使用されるロータが提供される。
このように、本発明は、永久磁石モータ内にて使用されるロータの取り付け方法及び製造を簡単で且つモジュールベースのものにするという着想に基づくものである。本発明は、既知の方法と比較して幾つかの有利な効果を提供する。例えば、第一の管状要素はロータの外径に実質的に相応する寸法及び形状にて配置され、また、内径を有している。更に、第一の管状要素の外径と第二の管状要素の内径との間の比は、磁石要素を原則として手で中空の空間内に導入することができるようなものとする。このように、取り付け過程は著しく容易となり、これにより取り付けに必要とされる時間を短縮する。このことは一方、全体的な製造コストを削減することになろう。
【0009】
本発明の1つの実施の形態に従い、磁石要素は、第一の管状要素と第二の管状要素との間の中空の空間内に挿入された後、磁化される。更に、この型式の磁化工程は、組立体の全体を磁化装置内に配置することができ、これにより磁化装置のコイルを第二の管状要素の外面に隣接する位置に配置することができるため、既知の技術に比較して容易となり且つより自由度があるものとされる。このことは、磁化を1回のステップにて実行することを可能にする、すなわち全ての磁石要素は実質的に同時に磁化することができる。これと代替的に、1回に1つの極を磁化し又は1回に1つの磁石要素を磁化するようにすることもできる。従って、この実施の形態に従い、本発明により大きい自由度が提供される。その上、挿入する間、その他の物体と干渉し且つその物体に作用する磁力が存在しないため、磁石要素の挿入が容易となる。
【0010】
本発明に従った別の有利な効果は、非同期モータ内にて使用し得るようにされたロータを含んで、極めて多岐に渡る型式のロータを何ら大きく改造することなく使用することができ、従って製造を容易にし且つ製造コストを削減することができる点である。
【0011】
好ましい実施の形態に従い、例えば、第一の管状要素は、例えば、スリットを有する上記第一の管状要素を配置することにより、ロータの第一の管状要素内への挿入が容易となるような設計とされる。この挿入はまた、ロータのターンダウン工程の間、ロータを僅かに円錐形にターンすることにより容易にすることもできる。
【0012】
第一の管状要素は、磁気的な意味にて、ロータ溝を架橋し得るようにされる、すなわち、ロータを含むモータの作動中に発生された磁界の分布が、磁束密度が増大する点にて改良されることになる。これにより、より小型の磁石にて所定の磁束密度を実現することができる。これが可能な理由は、内側磁石ホルダが磁気材料にて出来ているからである。
【0013】
本発明の更なる目的及び有利な効果は、一例としての実施の形態により以下に説明する。
本発明の上述し及びその他の特徴並びに有利な効果は、添付図面と共に好ましい実施の形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下の説明において、本発明に従って磁石要素を永久磁石モータ内にて使用されるロータ上に取り付ける方法の好ましい実施の形態が開示される。
最初に、図1を参照して、本発明に従って磁石要素を永久磁石モータ内にて使用されるロータ上に取り付ける方法の一般的な原理について説明する。第一に、ステップ10において、第一の管状要素又は内側磁石ホルダが図2aに示したように提供され、この場合、参照番号20で示した内側磁石ホルダは半径方向断面図にて示されている。この内側磁石ホルダ20は、上記内側磁石ホルダ20内に挿入しようとするロータ28の外径に実質的に等しい内径を有する。好ましくは、内側磁石ホルダ20の軸方向長さは、ロータ28の軸方向長さに実質的に等しいものとする。好ましくは、上記内側磁石ホルダ20は、薄板金属のような磁気材料にて出来ているものとし、更に、厚さは、内側磁石ホルダの十分な機械的捩れ剛性を提供するのに十分厚くなければならない。好ましくは、上記厚さは、約0.5ないし1.7mmであり、より好ましくは、約0.7ないし1.0mmであるものとする。内側磁石ホルダ20には、上記内側磁石ホルダの一端から他端に向けて完全に又は部分的に伸びるスリットを設けることができる。スリットは、ロータ2の挿入を容易にし得るよう直線状又はヘリックス形状とすることができる。
【0015】
その後、ステップ11において、第二の管状要素又は外側磁石ホルダ24が設けられ、内側磁石ホルダ20は、図2bに示したように、ステップ12にて外側磁石ホルダ24内に挿入される。この外側磁石ホルダ24は、特に、構造を安定化させ且つ内側磁石ホルダ20と外側磁石ホルダ24との間に挿入しようとする磁石要素22aないし22dを固定する目的を果たす。外側磁石ホルダ24は、例えば、繊維状材料のような非金属系材料又は金属系材料(非磁気又は磁気性)にて出来たものとすることができる。金属系材料が使用される場合、外側磁石ホルダ24は、磁石要素22aないし22dを電気的に遮蔽するため使用することができ、この場合、外側磁石ホルダ24は、始動巻線としても機能する。好ましくは、外側磁石ホルダ24は、約0.2ないし1.7mm、より好ましくは、約0.5ないし1.0mmの厚さを有するものとする。
【0016】
次に、ステップ13において、複数の磁石要素22aないし22dは、内側磁石ホルダ20と外側磁石ホルダ24との間に挿入される。このことは、内側及び外側磁石ホルダ20、24のそれぞれの長さに実質的に等しい長さとすることのできる細長い磁石要素ロッドを内側磁石ホルダ20と外側磁石ホルダ24との間にある長手方向の中空の空間内に挿入することにより実行することができる。異なる磁石要素の間の空間26(図2d参照)は、固定手段にて充填することができ、該固定手段は、磁石要素22aないし22dを固定し、また、磁石ホルダユニット、すなわち、内側磁石ホルダ20、外側磁石ホルダ24及び磁石要素22aないし22d内にロータ28を挿入するときに生ずる異なる種類の力を分散し且つ均等にする。固定手段は、また、例えば、磁化可能な磁石要素と同一の材料、プラスチック等のような非磁気材料とすることができる。
【0017】
内側磁石ホルダと外側磁石ホルダとの間にある中空の空間の半径方向寸法は、磁石要素の厚さよりも僅かに大きく、このため、磁石要素22aないし22dを原則として手で中空の空間内に挿入することができることが好ましい。ロータ28の挿入を待つべく磁石要素を固定するため保持具を使用することができる。ロータ28を磁石ホルダユニット内に挿入したとき、磁石要素は、内側磁石ホルダと外側磁石ホルダとの間に緊密嵌めした配置となる、それは、ロータ28の外径は、組み立てる前の状態にて測定したとき、内側磁石ホルダの内径よりも僅かに大きいからである。このため、ロータ28は、挿入したとき、内側磁石ホルダ20を拡張させ、磁石要素が内側磁石ホルダと外側磁石ホルダとの間にて緊密嵌めする配置となるようにする。
【0018】
磁石要素には、接着剤を設け、磁石要素が長手方向の中空の空間内に挿入された後、内側磁石ホルダ20の外面及び(又は)外側磁石ホルダ24の内面に固定することができるようにする。好ましくは、磁石要素22aないし22dは、内側及び外側磁石ホルダ20、24の任意の一方にて固定し、磁石要素が内側及び外側磁石ホルダ20、24に対して僅かに動くことができるようにする。
【0019】
最後に、ステップ14にて、ロータ28を内側磁石ホルダ20内に挿入する(図2f参照)。好ましくは、ロータ28は、非同期モータにて使用されるロータであるものとする。このため、ロータ28は、内側磁石ホルダ20の内径に相応する直径までその外径を縮小し、ロータユニット、すなわちロータ28、内側磁石ホルダ20、外側磁石ホルダ24及び磁石要素22aないし22dが永久磁石機械のステータ内に嵌まるように、ターンダウンしなければならない。
【0020】
本発明の1つの代替的な実施の形態において、磁石要素22aないし22dが中空の空間内に挿入された後で且つ、ロータ28が内側磁石ホルダ20内に挿入される前に、ステップ15が実行される。ステップ15にて、磁石要素22aないし22dを磁化するため、磁化工程が実行される。磁石要素を磁化するため発生された磁界を矢印で示す、図2eを参照。このように、磁石要素は、それを内側磁石ホルダ20と外側磁石ホルダ24との間にある中空の空間内に挿入する間、磁気性ではない。
【0021】
磁化装置が磁石要素22aないし22dの外面に隣接して外側磁石ホルダ24の外側に、又は、内側磁石ホルダ20の内面に隣接し、これにより磁石要素22aないし22dの内面に隣接して内側磁石ホルダ20の内側に配置されるため、磁化工程は容易に行なわれる。1つの実施の形態に従い、磁化工程は、1回のステップにて実行される、すなわち、全ての磁石要素は、実質的に同時に磁化される。1つの代替的な実施の形態において、1回に1つの極が磁化される。更に別の実施の形態に従い、1回に1つの磁石が磁化される。
【0022】
内側磁石ホルダの1つの実施の形態が図3に示されており、半径方向断面図で示した内側磁石ホルダ30には、長手方向突出部31aないし31hが設けられる。外側磁石ホルダの相応する実施の形態は、図4に示され、半径方向断面図にて示した外側磁石ホルダ40には、内面にその外面の溝に相応する長手方向突出部40aないし40dが設けられている。組み立てた状態において(図5参照)、すなわち、図3に示した内側磁石ホルダ30が図4に示した外側磁石ホルダ40内に挿入されたとき、突出部40aないし40dは、突出部31aないし31hと相互作用し、内側磁石ホルダ30を外側磁石ホルダ40に対して固定する。図3に従った内側磁石ホルダ30は、全体に円筒状の外側磁石ホルダ24内に挿入するか、又は全体に円筒状の内側磁石ホルダ20を図4に従った、外側磁石ホルダ40内に挿入することができることを指摘すべきである。更に、上記突出部は、異なる形状又は寸法を有するものとし、また、これらの突出部は、図示した実施の形態におけるものと異なる数とすることができる。1つの好ましい実施の形態において、外側磁石ホルダ24は、全体に円筒状であり、また、内側磁石ホルダ30は、図3に図示した通りである。この組み合わせは、ロータ28を挿入するとき、内側磁石ホルダ30を拡張させ且つ、外側磁石ホルダ24が拡張に耐えることができるようにし、磁石要素22aないし22dがその間にて確実に緊密嵌めした配置となるようにする。
【0023】
内側磁石ホルダ30の突出部31aないし31h及び(又は)外側磁石ホルダ40の突出部40aないし40dは、例えば、取り付け手順の間、案内手段及び支持手段として作用するため、これら突出部は磁石要素の挿入を容易にする。例えば、第一の列の磁石要素を第一の突出部30aに沿って配置し、次に、第二の列の磁石要素を第一の列の磁石要素に沿って整合した状態にて配置し、その後も同様に配置することができる。
【0024】
次に、内側磁石ホルダの別の実施の形態を示す図2gを参照する。第一の組みの円弧形状要素が設けられ、好ましくは、4つの円弧形状要素20aないし20dから成る1組みが設けられるものとする。当該技術の当業者により理解されるように、4つの円弧形状要素は、共に配置されたとき、図2aに示した内側磁石ホルダのような、管状要素を形成する。しかし、当業者が理解し得るように、考えられるその他の多数の設計が存在する。例えば、2つの円弧形状要素、すなわち半円形の要素は、共に配置されたとき、図2aに示した内側磁石ホルダのような管状要素を形成することができる。円弧形状要素の軸方向長さは、ロータ28の軸方向長さに実質的に等しい。好ましくは、4つの円弧形状要素は、スポット溶接、例えば、電極溶接により互いに接続されるものとする。更に、円弧形状要素20aないし20dは、薄板金属のような磁気材料にて出来たものとすることができ、また、要素の厚さは、約0.5ないし1.3mm、好ましくは、約0.7ないし1.0mmであるものとする。しかし、要素の厚さは、十分な機械的捩れ剛性を提供するのに十分厚くする必要がある。
【0025】
更に、第一の組みの円弧形状要素の各々に対し1つずつ、第二の組みの円弧形状要素を設けることができ、該第二の組みの要素の各々は、第一の組みの相応する要素に実質的に相応する形状を有する。第二の組みの円弧形状要素からの1つの要素は、例えば、スポット溶接により、第一の組みの円弧形状要素の1つの要素と接続され、又は互いに配置される。図6において、本発明のこの代替的な実施の斜視図が示されている。理解し得るように、内側管状要素は、互いに接続された4つの円弧形状要素20aないし20dを備えており、外側管状要素は、各々が第一の組みの円弧形状要素からのそれぞれの要素に装着された4つの円弧形状要素24aないし24dを備えている。これと代替的に、第二の組みの円弧形状要素の要素は、図2bに従った外側磁石ホルダを形成するよう互いに配置され、そのとき、内側磁石ホルダは、外側磁石ホルダ内に挿入される。
【0026】
磁石要素を第一の組みの円弧形状要素の要素と第二の組みの円弧形状要素の要素との間にある中空の空間内に挿入した後、磁石要素を磁化する場合、磁石要素が設けられた各対の円弧形状要素が磁化工程に晒される。この過程は、1対の円弧形状要素を順番に磁化することができるので容易に行なうことができる。更に、磁化工程は1回に1つの要素に実行することができるため、より小型の磁化装置を使用することができる。このことはまた、小型の装置を使用することができることのため、工程コストがより低減されることになる。上述したように、磁化装置は、原則として、強力な磁界を発生させ得るようにされたコイルを備えている。円弧形状要素はコイル内部に配置され、従って、コイルは磁石要素の外面に隣接する位置に配置されよう。この実施の形態において、各対の円弧形状要素が1つの極を形成する。
【0027】
特定の実施の形態を図示し且つ例示の目的のため示し且つ本明細書にて説明したが、当該技術の当業者には、図示し且つ説明した特定の実施の形態は、本発明の範囲から逸脱せずに、多岐に渡る代替例及び(又は)等価的な実施例にて置換することが可能であることが理解される。本出願は、本明細書に記載した好ましい実施の形態の任意の適応化又は変更を包含することを意図するものである。その結果、本発明は、特許請求の範囲及びその等価物の用語によって規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に従った方法の一般的な原理を示す、フロー図である。
【図2a】本発明に従って製造されたロータユニットの製造工程の異なる段階を示す図である。
【図2b】本発明に従って製造されたロータユニットの製造工程の異なる段階を示す図である。
【図2c】本発明に従って製造されたロータユニットの製造工程の異なる段階を示す図である。
【図2d】本発明に従って製造されたロータユニットの製造工程の異なる段階を示す図である。
【図2e】本発明に従って製造されたロータユニットの製造工程の異なる段階を示す図である。
【図2f】本発明に従って製造されたロータユニットの製造工程の異なる段階を示す図である。
【図2g】本発明に従って製造されたロータユニットの製造工程の異なる段階を示す図である。
【図3】内側磁石ホルダの1つの実施の形態を示す図である。
【図4】外側磁石ホルダの1つの実施の形態を示す図である。
【図5】図4に従った外側磁石ホルダ内に挿入された図3に従った内側磁石ホルダの図である。
【図6】円弧形状要素を含む、本発明の1つの実施の形態を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、ステータと、ロータとを備える回転型電気機械に関する。回転型電気機械は、例えば、発電装置、モータ、逆ロータ機械又は回転型同期補償器として使用することができる。より詳細には、本発明は、磁石がロータ又は同様のものの表面に取り付けられた(サーフェイスマウント型磁石)永久磁石機械及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、誘導機械、同期機械又は永久磁石機械又は同様のものとして使用される従来の回転型機械は、ロータと、ステータとを備えている。ステータには、各々がその軸方向伸長部に及び半径方向断面の各々の双方に実質的に同様の形状を有する多数の歯を設けることができる。これらの歯は、互いから等距離にてステータの内周上に配置され且つ、軸方向に伸びる中間スロットにより互いから分離されている。逆ロータ機械においては、これと異なり、これらの歯はステータの外周上に配置されている。各半径方向断面にてロータに面するそれぞれの各歯の表面は、ロータのエンベロープ表面に対して同心状の円弧の形状を有している。更に、巻線がそれぞれのステータスロット内に配置され、回転型電気機械の空隙が完全なロータの回りにてその軸方向伸長部及び各半径方向断面の双方にて一定であるようにすることができる。永久磁石は、通常、ロータの表面上にて円周方向に配設され且つ、例えば、薄い接着剤層によりロータの表面に固定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
磁石要素をロータ上に取り付けるその他の既知の方法は、接着剤によって磁石要素を磁石ホルダ上に確実に予め組み付けるステップを含む。その後、磁石ホルダを適正な方法にてロータに装着する。このように、上述した方法は、磁石要素をロータに取り付けるとき、必須の構成要素として接着剤を使用するが、このことは、ロータの製造過程にて化学的複合物が必要とされることを意味する。このため、化学的複合物の取り扱いに適した製造装置が必要とされ、このことは、より費用の掛かる製造となることを意味する。また、ロータの異なる部品を互いに分離するため特殊な工具又は化学剤が必要とされるから、接着剤は、ロータの再利用の点にても短所がある。場合によっては、接着剤と組み合わせて、磁石を磁石ホルダ上のその位置に保持するため、ガラス繊維/アラミド繊維の巻布を磁石の回りに巻くことも知られているが、この方法は、面倒で且つ時間を消費する。
【0004】
このように、ロータを製造する改良された方法、特に、磁石要素を永久磁石モータ内にて使用されるロータ上に取り付ける方法が必要とされている。
本発明は、磁石要素をロータ上に取り付ける従来からの既知の方法の上述した不利益な点を除去し且つ、改良された方法を提供することを目的とする。このように、本発明の主目的は、磁石要素を永久磁石モータ内にて使用されるロータ上に取り付ける改良された方法を提供することである。本発明の別の目的は、製造コストを削減する、磁石要素を永久磁石モータ内にて使用されるロータ上に取り付ける方法を提供することである。本発明の更に別の目的は、永久磁石モータ内にて使用されるロータを製造する方法を提供することである。
【0005】
本発明に従って、独立請求項に記載された特徴を有する当初に記載した方法により少なくとも主目的が実現される。本発明の好ましい実施の形態は、独立請求項に更に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の形態に従い、磁石要素を永久磁石モータ内にて使用されるロータ上に取り付ける方法が提供される。該方法は、上記ロータの外径に相応する内径を有する第一の管状要素を提供するステップと、上記第一の管状要素の外径よりも大きい内径を有する第二の管状要素を提供するステップと、上記第一の管状要素を上記第二の管状要素内に挿入し、その間に中空の空間を形成するステップと、多数の磁石要素を上記中空の空間に挿入するステップと、上記ロータを上記第一の管状要素内に挿入し、そのとき、上記磁石要素は、上記第一の管状要素と上記第二の管状要素との間にて緊密嵌めの配置状態となるようにするステップとを備えている。
【0007】
本発明の説明において、「磁石要素」という語は、永久磁石であるか又は恒久的に磁化し、これにより永久磁石を実現することのできる材料にて出来た要素を意味するものとであることを指摘すべきである。
【0008】
本発明の第二の形態に従い、第一の形態に従った方法により取り付けられた、永久磁石モータ内にて使用されるロータが提供される。
このように、本発明は、永久磁石モータ内にて使用されるロータの取り付け方法及び製造を簡単で且つモジュールベースのものにするという着想に基づくものである。本発明は、既知の方法と比較して幾つかの有利な効果を提供する。例えば、第一の管状要素はロータの外径に実質的に相応する寸法及び形状にて配置され、また、内径を有している。更に、第一の管状要素の外径と第二の管状要素の内径との間の比は、磁石要素を原則として手で中空の空間内に導入することができるようなものとする。このように、取り付け過程は著しく容易となり、これにより取り付けに必要とされる時間を短縮する。このことは一方、全体的な製造コストを削減することになろう。
【0009】
本発明の1つの実施の形態に従い、磁石要素は、第一の管状要素と第二の管状要素との間の中空の空間内に挿入された後、磁化される。更に、この型式の磁化工程は、組立体の全体を磁化装置内に配置することができ、これにより磁化装置のコイルを第二の管状要素の外面に隣接する位置に配置することができるため、既知の技術に比較して容易となり且つより自由度があるものとされる。このことは、磁化を1回のステップにて実行することを可能にする、すなわち全ての磁石要素は実質的に同時に磁化することができる。これと代替的に、1回に1つの極を磁化し又は1回に1つの磁石要素を磁化するようにすることもできる。従って、この実施の形態に従い、本発明により大きい自由度が提供される。その上、挿入する間、その他の物体と干渉し且つその物体に作用する磁力が存在しないため、磁石要素の挿入が容易となる。
【0010】
本発明に従った別の有利な効果は、非同期モータ内にて使用し得るようにされたロータを含んで、極めて多岐に渡る型式のロータを何ら大きく改造することなく使用することができ、従って製造を容易にし且つ製造コストを削減することができる点である。
【0011】
好ましい実施の形態に従い、例えば、第一の管状要素は、例えば、スリットを有する上記第一の管状要素を配置することにより、ロータの第一の管状要素内への挿入が容易となるような設計とされる。この挿入はまた、ロータのターンダウン工程の間、ロータを僅かに円錐形にターンすることにより容易にすることもできる。
【0012】
第一の管状要素は、磁気的な意味にて、ロータ溝を架橋し得るようにされる、すなわち、ロータを含むモータの作動中に発生された磁界の分布が、磁束密度が増大する点にて改良されることになる。これにより、より小型の磁石にて所定の磁束密度を実現することができる。これが可能な理由は、内側磁石ホルダが磁気材料にて出来ているからである。
【0013】
本発明の更なる目的及び有利な効果は、一例としての実施の形態により以下に説明する。
本発明の上述し及びその他の特徴並びに有利な効果は、添付図面と共に好ましい実施の形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下の説明において、本発明に従って磁石要素を永久磁石モータ内にて使用されるロータ上に取り付ける方法の好ましい実施の形態が開示される。
最初に、図1を参照して、本発明に従って磁石要素を永久磁石モータ内にて使用されるロータ上に取り付ける方法の一般的な原理について説明する。第一に、ステップ10において、第一の管状要素又は内側磁石ホルダが図2aに示したように提供され、この場合、参照番号20で示した内側磁石ホルダは半径方向断面図にて示されている。この内側磁石ホルダ20は、上記内側磁石ホルダ20内に挿入しようとするロータ28の外径に実質的に等しい内径を有する。好ましくは、内側磁石ホルダ20の軸方向長さは、ロータ28の軸方向長さに実質的に等しいものとする。好ましくは、上記内側磁石ホルダ20は、薄板金属のような磁気材料にて出来ているものとし、更に、厚さは、内側磁石ホルダの十分な機械的捩れ剛性を提供するのに十分厚くなければならない。好ましくは、上記厚さは、約0.5ないし1.7mmであり、より好ましくは、約0.7ないし1.0mmであるものとする。内側磁石ホルダ20には、上記内側磁石ホルダの一端から他端に向けて完全に又は部分的に伸びるスリットを設けることができる。スリットは、ロータ2の挿入を容易にし得るよう直線状又はヘリックス形状とすることができる。
【0015】
その後、ステップ11において、第二の管状要素又は外側磁石ホルダ24が設けられ、内側磁石ホルダ20は、図2bに示したように、ステップ12にて外側磁石ホルダ24内に挿入される。この外側磁石ホルダ24は、特に、構造を安定化させ且つ内側磁石ホルダ20と外側磁石ホルダ24との間に挿入しようとする磁石要素22aないし22dを固定する目的を果たす。外側磁石ホルダ24は、例えば、繊維状材料のような非金属系材料又は金属系材料(非磁気又は磁気性)にて出来たものとすることができる。金属系材料が使用される場合、外側磁石ホルダ24は、磁石要素22aないし22dを電気的に遮蔽するため使用することができ、この場合、外側磁石ホルダ24は、始動巻線としても機能する。好ましくは、外側磁石ホルダ24は、約0.2ないし1.7mm、より好ましくは、約0.5ないし1.0mmの厚さを有するものとする。
【0016】
次に、ステップ13において、複数の磁石要素22aないし22dは、内側磁石ホルダ20と外側磁石ホルダ24との間に挿入される。このことは、内側及び外側磁石ホルダ20、24のそれぞれの長さに実質的に等しい長さとすることのできる細長い磁石要素ロッドを内側磁石ホルダ20と外側磁石ホルダ24との間にある長手方向の中空の空間内に挿入することにより実行することができる。異なる磁石要素の間の空間26(図2d参照)は、固定手段にて充填することができ、該固定手段は、磁石要素22aないし22dを固定し、また、磁石ホルダユニット、すなわち、内側磁石ホルダ20、外側磁石ホルダ24及び磁石要素22aないし22d内にロータ28を挿入するときに生ずる異なる種類の力を分散し且つ均等にする。固定手段は、また、例えば、磁化可能な磁石要素と同一の材料、プラスチック等のような非磁気材料とすることができる。
【0017】
内側磁石ホルダと外側磁石ホルダとの間にある中空の空間の半径方向寸法は、磁石要素の厚さよりも僅かに大きく、このため、磁石要素22aないし22dを原則として手で中空の空間内に挿入することができることが好ましい。ロータ28の挿入を待つべく磁石要素を固定するため保持具を使用することができる。ロータ28を磁石ホルダユニット内に挿入したとき、磁石要素は、内側磁石ホルダと外側磁石ホルダとの間に緊密嵌めした配置となる、それは、ロータ28の外径は、組み立てる前の状態にて測定したとき、内側磁石ホルダの内径よりも僅かに大きいからである。このため、ロータ28は、挿入したとき、内側磁石ホルダ20を拡張させ、磁石要素が内側磁石ホルダと外側磁石ホルダとの間にて緊密嵌めする配置となるようにする。
【0018】
磁石要素には、接着剤を設け、磁石要素が長手方向の中空の空間内に挿入された後、内側磁石ホルダ20の外面及び(又は)外側磁石ホルダ24の内面に固定することができるようにする。好ましくは、磁石要素22aないし22dは、内側及び外側磁石ホルダ20、24の任意の一方にて固定し、磁石要素が内側及び外側磁石ホルダ20、24に対して僅かに動くことができるようにする。
【0019】
最後に、ステップ14にて、ロータ28を内側磁石ホルダ20内に挿入する(図2f参照)。好ましくは、ロータ28は、非同期モータにて使用されるロータであるものとする。このため、ロータ28は、内側磁石ホルダ20の内径に相応する直径までその外径を縮小し、ロータユニット、すなわちロータ28、内側磁石ホルダ20、外側磁石ホルダ24及び磁石要素22aないし22dが永久磁石機械のステータ内に嵌まるように、ターンダウンしなければならない。
【0020】
本発明の1つの代替的な実施の形態において、磁石要素22aないし22dが中空の空間内に挿入された後で且つ、ロータ28が内側磁石ホルダ20内に挿入される前に、ステップ15が実行される。ステップ15にて、磁石要素22aないし22dを磁化するため、磁化工程が実行される。磁石要素を磁化するため発生された磁界を矢印で示す、図2eを参照。このように、磁石要素は、それを内側磁石ホルダ20と外側磁石ホルダ24との間にある中空の空間内に挿入する間、磁気性ではない。
【0021】
磁化装置が磁石要素22aないし22dの外面に隣接して外側磁石ホルダ24の外側に、又は、内側磁石ホルダ20の内面に隣接し、これにより磁石要素22aないし22dの内面に隣接して内側磁石ホルダ20の内側に配置されるため、磁化工程は容易に行なわれる。1つの実施の形態に従い、磁化工程は、1回のステップにて実行される、すなわち、全ての磁石要素は、実質的に同時に磁化される。1つの代替的な実施の形態において、1回に1つの極が磁化される。更に別の実施の形態に従い、1回に1つの磁石が磁化される。
【0022】
内側磁石ホルダの1つの実施の形態が図3に示されており、半径方向断面図で示した内側磁石ホルダ30には、長手方向突出部31aないし31hが設けられる。外側磁石ホルダの相応する実施の形態は、図4に示され、半径方向断面図にて示した外側磁石ホルダ40には、内面にその外面の溝に相応する長手方向突出部40aないし40dが設けられている。組み立てた状態において(図5参照)、すなわち、図3に示した内側磁石ホルダ30が図4に示した外側磁石ホルダ40内に挿入されたとき、突出部40aないし40dは、突出部31aないし31hと相互作用し、内側磁石ホルダ30を外側磁石ホルダ40に対して固定する。図3に従った内側磁石ホルダ30は、全体に円筒状の外側磁石ホルダ24内に挿入するか、又は全体に円筒状の内側磁石ホルダ20を図4に従った、外側磁石ホルダ40内に挿入することができることを指摘すべきである。更に、上記突出部は、異なる形状又は寸法を有するものとし、また、これらの突出部は、図示した実施の形態におけるものと異なる数とすることができる。1つの好ましい実施の形態において、外側磁石ホルダ24は、全体に円筒状であり、また、内側磁石ホルダ30は、図3に図示した通りである。この組み合わせは、ロータ28を挿入するとき、内側磁石ホルダ30を拡張させ且つ、外側磁石ホルダ24が拡張に耐えることができるようにし、磁石要素22aないし22dがその間にて確実に緊密嵌めした配置となるようにする。
【0023】
内側磁石ホルダ30の突出部31aないし31h及び(又は)外側磁石ホルダ40の突出部40aないし40dは、例えば、取り付け手順の間、案内手段及び支持手段として作用するため、これら突出部は磁石要素の挿入を容易にする。例えば、第一の列の磁石要素を第一の突出部30aに沿って配置し、次に、第二の列の磁石要素を第一の列の磁石要素に沿って整合した状態にて配置し、その後も同様に配置することができる。
【0024】
次に、内側磁石ホルダの別の実施の形態を示す図2gを参照する。第一の組みの円弧形状要素が設けられ、好ましくは、4つの円弧形状要素20aないし20dから成る1組みが設けられるものとする。当該技術の当業者により理解されるように、4つの円弧形状要素は、共に配置されたとき、図2aに示した内側磁石ホルダのような、管状要素を形成する。しかし、当業者が理解し得るように、考えられるその他の多数の設計が存在する。例えば、2つの円弧形状要素、すなわち半円形の要素は、共に配置されたとき、図2aに示した内側磁石ホルダのような管状要素を形成することができる。円弧形状要素の軸方向長さは、ロータ28の軸方向長さに実質的に等しい。好ましくは、4つの円弧形状要素は、スポット溶接、例えば、電極溶接により互いに接続されるものとする。更に、円弧形状要素20aないし20dは、薄板金属のような磁気材料にて出来たものとすることができ、また、要素の厚さは、約0.5ないし1.3mm、好ましくは、約0.7ないし1.0mmであるものとする。しかし、要素の厚さは、十分な機械的捩れ剛性を提供するのに十分厚くする必要がある。
【0025】
更に、第一の組みの円弧形状要素の各々に対し1つずつ、第二の組みの円弧形状要素を設けることができ、該第二の組みの要素の各々は、第一の組みの相応する要素に実質的に相応する形状を有する。第二の組みの円弧形状要素からの1つの要素は、例えば、スポット溶接により、第一の組みの円弧形状要素の1つの要素と接続され、又は互いに配置される。図6において、本発明のこの代替的な実施の斜視図が示されている。理解し得るように、内側管状要素は、互いに接続された4つの円弧形状要素20aないし20dを備えており、外側管状要素は、各々が第一の組みの円弧形状要素からのそれぞれの要素に装着された4つの円弧形状要素24aないし24dを備えている。これと代替的に、第二の組みの円弧形状要素の要素は、図2bに従った外側磁石ホルダを形成するよう互いに配置され、そのとき、内側磁石ホルダは、外側磁石ホルダ内に挿入される。
【0026】
磁石要素を第一の組みの円弧形状要素の要素と第二の組みの円弧形状要素の要素との間にある中空の空間内に挿入した後、磁石要素を磁化する場合、磁石要素が設けられた各対の円弧形状要素が磁化工程に晒される。この過程は、1対の円弧形状要素を順番に磁化することができるので容易に行なうことができる。更に、磁化工程は1回に1つの要素に実行することができるため、より小型の磁化装置を使用することができる。このことはまた、小型の装置を使用することができることのため、工程コストがより低減されることになる。上述したように、磁化装置は、原則として、強力な磁界を発生させ得るようにされたコイルを備えている。円弧形状要素はコイル内部に配置され、従って、コイルは磁石要素の外面に隣接する位置に配置されよう。この実施の形態において、各対の円弧形状要素が1つの極を形成する。
【0027】
特定の実施の形態を図示し且つ例示の目的のため示し且つ本明細書にて説明したが、当該技術の当業者には、図示し且つ説明した特定の実施の形態は、本発明の範囲から逸脱せずに、多岐に渡る代替例及び(又は)等価的な実施例にて置換することが可能であることが理解される。本出願は、本明細書に記載した好ましい実施の形態の任意の適応化又は変更を包含することを意図するものである。その結果、本発明は、特許請求の範囲及びその等価物の用語によって規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に従った方法の一般的な原理を示す、フロー図である。
【図2a】本発明に従って製造されたロータユニットの製造工程の異なる段階を示す図である。
【図2b】本発明に従って製造されたロータユニットの製造工程の異なる段階を示す図である。
【図2c】本発明に従って製造されたロータユニットの製造工程の異なる段階を示す図である。
【図2d】本発明に従って製造されたロータユニットの製造工程の異なる段階を示す図である。
【図2e】本発明に従って製造されたロータユニットの製造工程の異なる段階を示す図である。
【図2f】本発明に従って製造されたロータユニットの製造工程の異なる段階を示す図である。
【図2g】本発明に従って製造されたロータユニットの製造工程の異なる段階を示す図である。
【図3】内側磁石ホルダの1つの実施の形態を示す図である。
【図4】外側磁石ホルダの1つの実施の形態を示す図である。
【図5】図4に従った外側磁石ホルダ内に挿入された図3に従った内側磁石ホルダの図である。
【図6】円弧形状要素を含む、本発明の1つの実施の形態を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石要素(22a、22b、22c、22d)を永久磁石モータ内にて使用されるロータ(28)上に取り付ける方法において、
前記ロータ(28)の外径に相応する内径を有する第一の管状要素(20)を提供するステップと、
前記第一の管状要素(20)の外径よりも大きい内径を有する第二の管状要素(24)を提供するステップと、
前記第一の管状要素(20)を前記第二の管状要素(24)内に挿入し、その間に中空の空間を形成するステップと、
多数の磁石要素(22a、22b、22c、22d)を前記中空の空間に挿入するステップと、
前記ロータ(28)を前記第一の管状要素(20)内に挿入し、そのとき、前記磁石要素は、前記第一の管状要素(20)と前記第二の管状要素(24)との間にて緊密嵌めの配置状態となるようにするステップとを備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、磁石要素を中空空間内に挿入した後で且つロータを第一の管状要素内に挿入する前、
永久磁石を得ることができるよう前記挿入された磁石要素(22a、22b、22c、22d)を磁化すべく磁化工程を実行するステップを更に備える、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、磁石要素(22a、22b、22c、22d)は、中空の空間内に挿入される前、永久磁石である、方法。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つの項に記載の方法において、第一の管状要素(80´)は、1組みの相互に接続した円弧形状要素(80a、80b、80c、80d)により構成される、方法。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1つの項に記載の方法において、前記磁石要素(22a、22b、22c、22d)は、多数の長手方向列にて取り付けられ、列の各々は前記ロータ(28)の長手方向軸線に対して実質的に平行であり、列の各々は、少なくとも1つの磁石要素(22a、22b、22c、22d)を備える、方法。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つの項に記載の方法において、第一の管状要素(20)は磁気材料にて出来ている、方法。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つの項に記載の方法において、前記第二の管状要素(24)は、非磁気材料又は磁気材料にて出来ている、方法。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1つの項に記載の方法において、
固定材料を個別の磁石要素(22a、22b、22c、22d)の間の中空の空間内に取り付けるステップを更に備える、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記固定材料は非磁気材料である、方法。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか1つの項に記載の方法において、
前記第一の管状要素(20)の内径に実質的に等しい所定の直径をロータ(28)に提供するステップを更に備える、方法。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか1つの項に記載の方法において、
前記第一の管状要素(20)及び前記第二の管状要素(24)が設けられた前記ロータ(28)をステータ内に導入するステップを更に備える、方法。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか1つの項に従って取り付けられたロータを永久磁石モータ内にて使用する方法。
【請求項1】
磁石要素(22a、22b、22c、22d)を永久磁石モータ内にて使用されるロータ(28)上に取り付ける方法において、
前記ロータ(28)の外径に相応する内径を有する第一の管状要素(20)を提供するステップと、
前記第一の管状要素(20)の外径よりも大きい内径を有する第二の管状要素(24)を提供するステップと、
前記第一の管状要素(20)を前記第二の管状要素(24)内に挿入し、その間に中空の空間を形成するステップと、
多数の磁石要素(22a、22b、22c、22d)を前記中空の空間に挿入するステップと、
前記ロータ(28)を前記第一の管状要素(20)内に挿入し、そのとき、前記磁石要素は、前記第一の管状要素(20)と前記第二の管状要素(24)との間にて緊密嵌めの配置状態となるようにするステップとを備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、磁石要素を中空空間内に挿入した後で且つロータを第一の管状要素内に挿入する前、
永久磁石を得ることができるよう前記挿入された磁石要素(22a、22b、22c、22d)を磁化すべく磁化工程を実行するステップを更に備える、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、磁石要素(22a、22b、22c、22d)は、中空の空間内に挿入される前、永久磁石である、方法。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つの項に記載の方法において、第一の管状要素(80´)は、1組みの相互に接続した円弧形状要素(80a、80b、80c、80d)により構成される、方法。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1つの項に記載の方法において、前記磁石要素(22a、22b、22c、22d)は、多数の長手方向列にて取り付けられ、列の各々は前記ロータ(28)の長手方向軸線に対して実質的に平行であり、列の各々は、少なくとも1つの磁石要素(22a、22b、22c、22d)を備える、方法。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つの項に記載の方法において、第一の管状要素(20)は磁気材料にて出来ている、方法。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つの項に記載の方法において、前記第二の管状要素(24)は、非磁気材料又は磁気材料にて出来ている、方法。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1つの項に記載の方法において、
固定材料を個別の磁石要素(22a、22b、22c、22d)の間の中空の空間内に取り付けるステップを更に備える、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記固定材料は非磁気材料である、方法。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか1つの項に記載の方法において、
前記第一の管状要素(20)の内径に実質的に等しい所定の直径をロータ(28)に提供するステップを更に備える、方法。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか1つの項に記載の方法において、
前記第一の管状要素(20)及び前記第二の管状要素(24)が設けられた前記ロータ(28)をステータ内に導入するステップを更に備える、方法。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか1つの項に従って取り付けられたロータを永久磁石モータ内にて使用する方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図2g】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図2g】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2009−510990(P2009−510990A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533287(P2008−533287)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際出願番号】PCT/SE2006/001075
【国際公開番号】WO2007/037738
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(501274528)アイティーティー・マニュファクチュアリング・エンタープライゼズ・インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際出願番号】PCT/SE2006/001075
【国際公開番号】WO2007/037738
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(501274528)アイティーティー・マニュファクチュアリング・エンタープライゼズ・インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】
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