説明

示温ラベル

【課題】耐候性が良好で、屋外での使用が可能であり、示温ラベルの構成が複雑にならずに気泡の入り込みを抑えることができ、一定温度以上に加温された後も、示温ラベルの破壊が起こらず、紫外線などで示温部材が劣化することなく、示温材として良好な性能を示すことが可能な示温ラベルを提供すること。
【解決手段】支持体上に第1の粘着剤層を設け、該第1の粘着剤層上の一部に、あらかじめ設定された任意の温度で発色または変色する示温部材を設け、第1の粘着剤層と示温部材の上に、第1の透明フィルムと第2の透明フィルムを第2の粘着剤層を介して貼り合わせた構成の積層透明フィルムを積層し、第2の粘着剤層が紫外線吸収性を有する示温ラベル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、示温ラベルに関する。さらに詳しくは温度管理が必要な製品類、機器類に貼付し、温度履歴や加温積算量の計測、温度の確認などの温度管理を行うために用いる示温ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、温度履歴や加温積算量の計測、温度の確認をするために、示温部材をフィルムなどの支持体上の一部に粘着剤層を介して設け、その上に表面フィルムを積層した構成の示温ラベルが知られている(例えば特許文献1参照)。これらのラベルは、安価な割に感知精度が高く、誤動作の恐れが少なく、電源などの付帯設備が不要であることなどから、温度管理を必要とする各種産業分野において利用されている。
【0003】
例えば、温度管理が必要な製品類や機器類の中で、あらかじめ設定された温度以上に加温が必要であるものや、一定温度以上に加温されると、劣化や誤動作を起こすなど不都合を生じるものがある。これらの温度管理を行うために、示温ラベルが実際に使用されている。
【0004】
しかしながら、前記の通り、示温部材を、粘着剤層を介して支持体上の一部に設けることから、粘着剤層と示温部材とで段差が生じ、その上に表面フィルムを積層した際に、段差の影響で、示温ラベルに気泡が入り込むことがあった。
【0005】
特に、屋外などで示温ラベルを使用する場合には、風雨や埃、紫外線などの光、外気の変化などに耐性を持たせる、いわゆる耐候性を高くするために、表面フィルムを厚くする必要があるが、表面フィルムが一定以上の厚みになると、その剛性が高くなり、前記段差に表面フィルムが追従しにくくなり、示温ラベルに入り込む気泡が大きくなっていた。
【0006】
この気泡は、示温ラベルを加温したときに熱により膨張し、表面フィルムと粘着剤層が剥がれ、示温ラベルを破壊し、特に、水や油などの液体中で使用した場合や、屋外で使用した場合には、剥がれた部分から液体が入り込み、示温部材を溶解、変質するなどして、示温材としての機能が果たせなくなり、結果として示温ラベルとして使用できなくなることがあった。
【0007】
このため、粘着剤層と示温部材とで生じる段差を無くし、示温ラベルへの気泡の入り込みを抑える目的で、粘着剤層上に示温部材と同程度の厚さを持つ中敷きシートを設け、気泡が入り込むことなどを防ぐことが行われている。(特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、粘着剤層上に、気泡を巻き込まないように、示温部材と中敷きシートを配置する必要があり、製造工程及び層構成が複雑になるなどの問題があった。
【0009】
また、屋外での使用においては、示温部材が紫外線などで劣化することがあり、この対策として、表面フィルムに耐光性を有する特殊なフィルムが用いられているが、特殊なフィルムであるため、汎用のフィルムを用いる場合と比較して高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−83020号公報
【特許文献2】特開2003−172661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、耐候性が良好で、屋外での使用が可能であり、示温ラベルの構成が複雑にならずに気泡の入り込みを抑えることができ、一定温度以上に加温された後も、示温ラベルの破壊が起こらず、紫外線などで示温部材が劣化することなく、示温材として良好な性能を示すことが可能な示温ラベルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1の粘着剤層と示温部材の上に積層透明フィルムを積層し、第2の粘着剤層が紫外線吸収性を有する示温ラベルとしたことなどにより上記課題が解決され、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
「1.少なくとも支持体上に第1の粘着剤層を設け、該第1の粘着剤層上の一部に、あらかじめ設定された任意の温度で発色または変色する示温部材を設け、前記第1の粘着剤層と示温部材の上に、第1の透明フィルムと第2の透明フィルムを第2の粘着剤層を介して貼り合わせた構成の積層透明フィルムを積層し、前記第2の粘着剤層が紫外線吸収性を有することを特徴とする示温ラベル。」に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1の粘着剤層と示温部材の上に積層透明フィルムを積層したことにより、第1の粘着剤層と示温部材で生じる段差に対し、積層フィルムの追従性が向上し、気泡が入り込むことを抑えることができ、示温ラベルが加温された場合にもラベルの破壊が無く、安定的に使用が可能になる。さらに、第2の粘着剤層が紫外線吸収性を有することにより、耐光性が向上し、屋外でも使用が可能な示温ラベルを安価に得ることができるなど優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の示温ラベルの一例を模式的に示した断面図である。
【図2】従来の示温ラベルの一例を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の示温ラベルの一例を図1と共に説明する。本発明の示温ラベル(1)の構成としては、支持体(2)上に第1の粘着剤層(3)を設け、該粘着剤層の一部に示温部材(4)を設け、さらにその上に積層透明フィルム(5)を設けた構成となっている。また、前記積層透明フィルム(5)は、第1の透明フィルム(5a)と第2の透明フィルム(5c)とを第2の粘着剤層(5b)を介して貼り合わせた構成となっている。さらに、第2の粘着剤層(5b)は、紫外線吸収性を有する構成となっていることが特徴的である。
【0016】
前記構成とすることで、示温ラベルに気泡が入り込むことを抑えることと、耐候性を良くすることが可能となる。
【0017】
本発明において、示温ラベルに気泡が入り込むことを抑えるメカニズムとしては、以下のように推察している。即ち、図2に示した示温ラベルに代表される、従来の構成の示温ラベルにおいては、第1の粘着剤層(3)と示温部材(4)の上に、表面フィルム(5’)を設ける際に、第1の粘着剤層(3)と示温部材(4)とで段差が生じることによって、気泡が入り込む。このことから、気泡が入り込むことを抑えるためには、段差に対して表面フィルムが追従する構成とすることが必要である。本発明においては、積層透明フィルムを用いたことにより、同じ厚みの単層構造の表面フィルムに比較して、その剛性を下げ、段差に対して追従しやすくなり、示温ラベルに気泡が入り込むことを抑えることができると考えている。
【0018】
本発明に用いる積層透明フィルムは、第1の透明フィルムと第2の透明フィルムとの間に第2の粘着剤層を介して貼り合わせた構造であり、第1の透明フィルム、第2の粘着剤層、第2の透明フィルムの三層構造が最少の構成単位である。この構成とすることで、同じ厚みの単層構造のフィルムに比較して、フィルム自体が柔らかくなり、その剛性が減少する特性が得られるのである。
【0019】
前記積層透明フィルムは、透明フィルムを3枚以上用いた、3層を超える積層透明フィルムとなっていてもよく、使用する状況に応じて、適宜選択される。
【0020】
本発明に用いる積層透明フィルムは、25μm〜100μm程度であると好ましい。この範囲にあると、示温ラベルを屋外で使用する際にも耐候性を十分に持ち、さらに、フィルムの剛性を下げ、示温ラベルへの気泡の入り込みも抑えることができるため、好ましい。
【0021】
また、前記積層透明フィルムに用いる、第1の透明フィルムと第2の透明フィルムは、材質や厚みが同じものを用いても良く、それぞれ別のものを用いても良い。
【0022】
本発明に用いる第1の透明フィルムおよび第2の透明フィルムとしては、透明性を有し、示温部材が発色または消色あるいは変色したことなどを、積層透明フィルム側から認識できれば特に限定はない。具体的には、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素樹脂からなるフィルムなどが挙げられる。
【0023】
また、本発明に用いる第1の透明フィルムおよび第2の透明フィルムは、前記表面フィルムの好ましい範囲から、12μm〜50μm程度であることが好ましい。
【0024】
本発明に用いる透明フィルムや積層透明フィルムの透明とは、無色または有色で、示温部材が発色または消色あるいは変色したなどの変化を認識できる程度の光透過性を有することを意味する。
【0025】
本発明の第2の粘着剤層は、第1の透明フィルムまたは第2の透明フィルム上に粘着剤を塗工、印刷などにより配設することで形成することができる。第2の粘着剤層は、示温ラベルの耐光性を向上するために、紫外線吸収性を有することが必要である。その手段としては、粘着剤に紫外線吸収剤を含有させることや、そのもの自身が、紫外線吸収性を有する粘着剤とするなどして、なす事が出来る。第2の粘着剤層に用いる粘着剤として具体的には、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中で、アクリル系粘着剤は、耐候性がよく、材料の劣化が起こりにくいため好ましい。
【0026】
前記第2の粘着剤層の厚みとしては、5μm〜20μm程度であることが好ましい。この範囲にあると、第1の透明フィルムと第2の透明フィルムを貼り合わせて積層透明フィルムとした際に、第1の透明フィルムと第2の透明フィルムとが剥がれることが無く、第2の粘着剤層を必要以上に厚くすることによるコストアップを防ぐことができるため、好ましい。
【0027】
また、前記第2の粘着剤層は、上述の通り、粘着剤に紫外線吸収剤を含有する構成とすることができるが、前記紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系、トリアジン系、シアノアクリレート系などが挙げられ、粘着剤に、均一に分散または溶解していればよい。
【0028】
本発明において、第2の粘着剤層が紫外線吸収性を有する構成としたことにより、透明フィルム自体が紫外線吸収性を有していなくても良く、積層透明フィルムに用いる、透明フィルムの選択肢が広がることとなる。
【0029】
本発明に用いる支持体としては第1の粘着剤層を形成できれば、特に制限はなく、例えば上質紙、クラフト紙、コート紙、アート紙などの紙類、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂及びこれらの樹脂の混合物、または積層物からなるフィルムなどが挙げられる。
【0030】
本発明に用いる第1の粘着剤層は、支持体上に粘着剤を塗工、印刷などにより配設することで形成することができる。用いる粘着剤としては、示温部材を固定することができ、第1の粘着剤層と示温部材の上に積層透明フィルムを積層することができれば、特に限定されないが、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中で、アクリル系粘着剤は、耐候性がよく、材料の劣化が起こりにくいため好ましい。また、第1の粘着剤層は、第2の粘着剤層と同じ材料を用いても良い。
【0031】
前記第1の粘着剤層の厚みとしては、10〜100μm程度が好ましい。この範囲にあると、示温ラベルを貼付した機器類などから示温部材へ熱の伝わりを落とすことなく伝えることができ、積層透明フィルムが加温などにより剥がれることがないなど、示温ラベルの性能を十分発揮することができるため好ましい。
【0032】
本発明に用いる示温部材としては、着色紙などの有色の基材上に、あらかじめ設定された温度で融解するワックス類や有機化合物を、粗粒状態で積層した構成のもの(以下ワックス型示温部材という)を使用することができる。
【0033】
前記ワックス型示温部材は、あらかじめ設定された温度に達するまでは、ワックス類や有機化合物が光を散乱させて不透明状態となり、有色の基材の色を隠蔽しているが、あらかじめ設定された温度に達すると、粗粒状態で積層したワックス類や有機化合物が融解し、有色の基材に浸み込むことで、それまで隠蔽されていた有色の基材が視認可能となり発色状態となるメカニズムを持つ。
【0034】
前記ワックス型示温部材において、有色の基材上に粗粒状態のワックス類や有機化合物を積層する方法としては、ワックス類や有機化合物を有機溶剤中でボールミルなどを用いて分散することで粗粒状態のワックス類や有機化合物が得られる。該粗粒状態のワックス類や有機化合物を有色の基材上に塗工し乾燥することで、有色の基材上に粗粒状態のワックス類や有機化合物を積層することができる。
【0035】
前記ワックス型示温部材が発色状態となる設定温度は、前記ワックス類や有機化合物の融点により決まってくる。従って所望の温度に設定する為には、ワックス類や有機化合物を適宜選択すればよいが、本発明の用いられるワックス類としては、天然ワックス類、合成ワックス類などが挙げられ、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、などが用いられる。また、有機化合物としては、長鎖脂肪酸類及びそのエステル類、アミド類などが挙げられ、例えば、トリラウリン、ミリスチン酸、ベヘン酸、ステアリン酸アミドなどが用いられる。
【0036】
本発明に用いる示温部材の厚みとしては、50〜150μm程度であることが好ましい。この範囲にあると、示温部材の感度が良く認識しやすいため、好ましい。この範囲より厚いと、温度管理が必要な示温ラベルを貼り付けた製品類や機器類からの熱の伝わりが遅くなり、実際の温度履歴を示すことが出来なくなる恐れがある。
【0037】
また、この範囲より示温部材の厚みが薄いと、ワックス型示温部材を用いた場合、示温部材の温度変化による発色状態などを認識しにくくなる傾向が見られる。以上のことからも前記範囲程度であることが好ましい。
【0038】
前記ワックス型示温部材は、その構成から示温部材としての厚みが厚くなる傾向にあるため、特に段差の問題が大きくなりやすいので、本発明の効果の面で特に好ましい様態となる。
【0039】
前記ワックス型示温部材の他に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を、樹脂中に分散させたものや、マイクロカプセルに封入したものを、紙やフィルムなどの基材上に積層した構成のもの(以下化学反応型示温部材という)を用いることもできる。この構成の示温部材は、あらかじめ設定した温度に達すると化学反応による発色状態への変化の他、消色状態あるいは変色状態に変化させることにより、あらかじめ設定した温度に達したことを確認することができる。
【0040】
本発明に用いる示温部材としては、前記ワックス型示温部材と化学反応型示温部材とを組み合わせて用いることができる。
【0041】
本発明の示温ラベルの製造方法の一例としては、粘着剤を塗工、印刷などにより支持体(2)上に積層し、第1の粘着剤層(3)を形成し、第1の粘着剤層上に、示温部材(4)を設ける。設ける示温部材は円状、多角形状など任意の形状で形成できる。第1の粘着剤層と示温部材層の上に、積層透明フィルム(5)を、ラミネーターなどを用いて貼り合わせ、示温ラベルを形成する。
【0042】
また、前記積層透明フィルム(5)の製造方法の一例としては、第1の透明フィルム(5a)上に、第2の粘着剤層(5b)となる紫外線吸収剤を含有した粘着剤を塗工、印刷などにより形成し、第2の粘着剤層上に、第2の透明フィルム(5c)を貼り合わせることにより、積層透明フィルムとすることで、得ることができる。さらに透明フィルム積層する場合には、第2の粘着剤層の形成と透明フィルムの貼り合わせを繰り返すことなどで、得ることができる。
【0043】
本発明の示温ラベルは、温度管理が必要な製品類や機器類などに、温度管理を行うため貼付して使用されることが多いが、示温ラベルの支持体の裏面に、粘着剤、磁石などの磁性材などを設け、前記製品類や機器類などに貼付することができる。
【0044】
本発明の示温ラベルを製造する際に、前記のように使用されることを考慮して、支持体に第1の粘着剤層が積層されたものとして、両面粘着テープなどを用いても良い。
【実施例】
【0045】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例1
(示温部材の作製)
ポリエチレンワックス(融点100℃) 40質量部
メチルエチルケトン 60質量部
上記成分をボールミルにて1時間攪拌混合をし、粗粒状態のワックス塗工液を得た。
次に、基材としてφ5mm赤色の着色紙を、有色面を表面側に配設する。この着色紙の有色面上に、前記ワックス塗工液を塗工し、室温で乾燥することにより、有色面が、粗粒状態のワックスで白色に隠蔽された、基材とワックス層からなる示温部材を得た。得られた示温部材の厚みは、100μmであった。
(表面フィルムの製造)
アクリル系粘着剤溶液(積水化学工業(株)社製 エスダイン7850
45質量%トルエン・酢酸エチル溶液) 100質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASF社製 TINUVIN PS)
5質量部
上記成分を攪拌混合し、紫外線吸収剤を含有した粘着剤塗工液を得た。
第1の透明フィルムとして25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、該透明フィルム上に、前記粘着剤塗工液を塗工し、室温で乾燥することにより、透明フィルム上に、第2の粘着剤層を設けた。該粘着剤層の厚みは、10μmであった。
前記第2の粘着剤層上に、第2の透明フィルムとして25μmFEPフィルム(フッ素系フィルム)を、ラミネーターを用いて貼り合わせ、積層透明フィルムを得た。
(示温ラベルの製造)
支持体と第1の粘着剤層として15mm×15mm角のアクリル系粘着剤を用いた両面粘着テープ(住友スリーエム(株)製 両面粘着テープY−9479 第1の粘着剤層25μm 支持体12μmポリエチレンテレフタレート)ののほぼ中央部に、前記の示温部材を配設した。次いで、第1の粘着剤層と示温部材の上に、前記積層フィルムを、ラミネーターを用いて積層し、示温ラベルを得た。
【0046】
比較例1
第1の粘着剤層と示温部材の上に、実施例1で用いた積層透明フィルムの代わりに、単層構造の表面フィルムである50μmポリビニルフルオライドフィルム(耐光性を有する特殊フィルム)を積層した以外は、実施例1と同じ方法で示温ラベルを得た。
【0047】
比較例2
表面フィルムの製造工程において、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合しなかった以外は、実施例1と同じ方法で示温ラベルを得た。
【0048】
実施例1、比較例1、2で得た示温ラベルについて、下記要領にて評価を行った。結果を(表1)に示す。
【表1】

【0049】
気泡の入り込み:得られた示温ラベルの、気泡の入り込み状態を目視により確認した。
○:示温部材の周りに気泡の入り込みが見られない。
×:示温部材の周りに多量の気泡の入り込みが見られる。
【0050】
加温試験:得られた示温ラベルを塗装鉄板に貼付し、130℃のオイルバスに3分間浸漬し、示温ラベルの状態を確認した。
○:示温ラベルとしての機能を有しており、構造に変化は見られない。
×:気泡の膨張により、第1の粘着剤層と示温部材の上に積層したフィルムが剥がれオイルが浸入し、示温ラベルとしての機能を有していない。
【0051】
耐光性:得られた示温ラベルを塗装鉄板に貼付し、キセノンフェードメーター(スガ試験機(株)製)により1000時間照射し、照射後の示温ラベルの状態を確認した。
○:照射前後で示温ラベルに全く変化が見られず、示温ラベルとしての機能を有している。
×:耐光性を有しておらず、示温部材が劣化して変色し、示温ラベルとしての機能を有していない。
【0052】
前記(表1)の結果から明らかなように、実施例1の示温ラベルは、気泡の入り込みを抑えることができ、加温試験においてもラベルの構造に変化が無く、耐光性もよく、示温ラベルとしての性能を十分満足するものであった。
【0053】
一方、比較例1の示温ラベルは、耐光性はよかったが、表面フィルムが単層構造であることに由来すると思われる、気泡の入り込みが見られ、加温試験において、表面フィルムが剥がれ、示温ラベルが破壊されていた。
【0054】
また、比較例2の示温ラベルは、表面フィルムとして積層透明フィルムを用いたことにより、気泡の入り込みが抑えられ、加温試験においても良好な結果であったが、耐光性が悪かった。
【0055】
前記の通り、比較例1、2の示温ラベルは、示温ラベルとしての性能を有していなかった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の示温ラベルは、温度管理が必要な製品類や機器類に貼付け、温度履歴や温度の確認を行うことができることから、温度管理を必要とする各種分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…示温ラベル
2…支持体
3…第1の粘着剤層
4…示温部材
5…積層透明フィルム
5a…第1の透明フィルム
5c…第2の透明フィルム
5b…第2の粘着剤層
5’…表面フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも支持体上に第1の粘着剤層を設け、該第1の粘着剤層上の一部に、あらかじめ設定された任意の温度で発色または変色する示温部材を設け、前記第1の粘着剤層と示温部材の上に、第1の透明フィルムと第2の透明フィルムを第2の粘着剤層を介して貼り合わせた構成の積層透明フィルムを積層し、前記第2の粘着剤層が紫外線吸収性を有することを特徴とする示温ラベル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−78312(P2012−78312A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226355(P2010−226355)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】