説明

神経線維腫の局所治療

神経線維腫、例えば、皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫または表在叢状神経線維腫の治療を必要としている被検者における、神経線維腫を治療する方法が開示される。本方法は、組成物を局所的に神経線維腫に局所投与または病巣内投与することを含む。本方法は、神経線維腫に影響を与えるために被験者に組成物を全身投与することは含まない。そのような治療に有用な組成物、および前記組成物を調製するための方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
I型神経線維腫症(NF1)は、ヒト神経系に影響を与える最も一般的な単一遺伝子疾患である。それは、遺伝的に常染色体優性遺伝により伝達される。NF1は、世界中で150万人の人々に影響を与えており、その疾患に対する民族的、人種的または地理的偏りはない。NF1は、腫瘍抑制遺伝子であるニューロフィブロミンを産生するNF1遺伝子における突然変異により引き起こされる。NF1遺伝子座における自発突然変異率は高いため(50%)、遺伝子検査により集団においてその疾患が著しく低下する可能性は低い。
【背景技術】
【0002】
NF1の影響を受けている人々は、皮膚、皮下および叢状神経線維腫;視覚経路星状細胞腫および悪性末梢神経鞘腫瘍(「MPNST」)、並びに学習障害について、脊柱側湾症および特定形態の白血病を含む神経系の種々の腫瘍を発生させる危険が高い。これらの腫瘍は、醜い外観、神経系損傷および慢性疼痛を起こすことがある。皮膚神経線維腫は、NF1の最も一般的な病巣であり、影響を受けた個体の90%において生じる。皮膚神経線維腫は、典型的に、小さく(直径が2cm未満)、多発性であり、思春期において最初に発生する。これらは、典型的に、コラーゲン含量が高く、代謝活性が非常に低く、叢状神経線維腫と対照的に、決して悪性変性しない。自然発生の皮膚神経線維腫において、または、種々の悪性疾患のために局所的放射線治療を受けたまたは悪性疾患のために化学治療を受けた患者において、悪性変性が報告された場合はない。
【0003】
ある患者は、最初はNF1と考えられていた別の疾患である象人間病(Elephant Man's disease)に関係する同じ醜化兆候を呈することがある。現時点での唯一の治療は、外科的除去である。しかしながら、大きな神経的および/または審美的問題、多くの場合、再生を引き起こすことなく、腫瘍を除去することはできないことが多い。これらは、放射線治療に、または既知の化学治療薬に反応性がない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
皮膚および皮下神経線維腫は、人生のいかなる時にも発生し得るが、その発生数は、通常、思春期前は少ない。成人で見られる神経線維腫の合計数は、わずか数個から数千個で変化する。さらなる皮膚および皮下神経線維腫が人生全体で発生するが、出現率は年毎に大きく変わり得る。その症状のための実際の治療以外に、皮膚神経線維腫のための効果的な非外科的治療が、NF1により影響されている米国における10万人の人々のための唯一の最も高い優先手段である。皮膚神経線維腫は、重大な醜化、疼痛、心理的および経済的なストレスを起こし、この集団における主な満たされていない医学的要求だと考えるべきである。他の腫瘍と比べて比較的低い増殖指数、および特に基底細胞および扁平上皮細胞癌と比べたときに皮膚において僅かに深く腫瘍が位置するという事実を含む幾つかの因子故に、皮膚神経線維腫のための局所治療は今までは研究されていなかった。この局所的治療は、神経線維腫の部位における局所治療および病巣内または皮内治療の両方を含む。従って、これらの皮膚神経線維腫のそのような局所治療は、満たされていない医学的要求のための価値ある治療であるかも知れないが、この領域においてこれまで研究が成されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様は、神経線維腫、例えば、皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫または表在叢状神経線維腫の治療を必要としている被検者において、神経線維腫を治療する方法である。本方法は、組成物を神経線維腫に局所適用することを含む。本方法は、その組成物を被験者に全身投与して神経線維腫への効果を奏することは含まない。本方法は、組成物を腫瘍の領域に局所投与することを含み、その組成物は、(a)その神経線維腫の被験者に対する悪影響を減弱させるための少なくとも一つの薬剤と、任意選択的に(b)その薬剤を腫瘍中に運ぶことを補助する医薬的に許容できる賦形剤とを含み、好ましくは神経線維腫に悪影響を与えるのに十分な時間維持されることを特徴とする。
【0006】
本方法は、より具体的には、組成物を腫瘍の領域において皮膚の表面に局所適用することを含み、その組成物は、(a)神経線維腫の被験者に対する悪影響を減弱させるための少なくとも一つの薬剤と、任意選択的に(b)その薬剤を皮膚を通して腫瘍中に運ぶことを補助し、好ましくは被験者の皮膚の上に所定時間維持する医薬的に許容できる局所賦形剤とを含むものである。
【0007】
本発明のもう一つの態様は、被験者における神経線維腫(例えば、皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫または表在叢状神経線維腫)の治療に有用な組成物である。この組成物は、(a)その神経線維腫の被験者に対する悪影響を減弱させるための少なくとも一つの薬剤と、任意選択的に(b)その薬剤を皮膚を通して腫瘍中に運ぶことを補助し、好ましくは被験者の皮膚の上に所定時間維持する医薬的に許容できる局所賦形剤とを含む。この組成物は、別の態様において、(a)その神経線維腫の被験者に対する悪影響を減弱させるための少なくとも一つの薬剤と、(b)注入に適した医薬的に許容できるキャリアとを含む。
【0008】
本発明のさらにもう一つの態様は、神経線維腫(例えば、皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫または表在叢状神経線維腫)を局所治療するための医薬品を調製する方法である。本方法は、その神経線維腫の被験者に対する悪影響を減弱させるための少なくとも一つの薬剤を、皮膚を通してその薬剤を腫瘍中に運ぶことを補助し、好ましくは被験者の皮膚の上に該薬剤を所定時間維持する医薬的に許容できる局所賦形剤と組み合わせることを含む。
【0009】
本発明のさらなる態様は、神経線維腫に病巣内注入するための医薬品を調製するための方法である。本方法は、その神経線維腫の被験者に対する悪影響を減弱させるための少なくとも一つの薬剤を、その薬剤が被験者の腫瘍に所定時間接するように腫瘍中に病巣内に送達することを補助する医薬的に許容できる賦形剤と組み合わせることを含む。
【0010】
本発明の他の態様は、以下の詳細な説明を読んだ後の当業者に明白である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の方法の実施において、組成物が、腫瘍の領域において皮膚の表面に適用される。その組成物は、組成物の適用のためのいかなる既知の方法においても適用することができる。すなわち、組成物は噴霧、塗り付け、擦り付け、またはパッチ等を用いて皮膚に接着することができる。さらに、組成物を皮膚に適用して、顕微注入、電気泳動、超音波または高周波機構を用いて皮膚を通過させて運ぶことができる。これは、ウイルス系または空気系の配達システムを用いて配達することができる。この薬剤は、ナノ粒子、デンドリマーまたはリポソームとして調製することができる。この組成物は、粉末、液状溶液または懸濁液、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、または薬剤が皮膚を通過して腫瘍まで移動するのに十分な時間、その組成物を皮膚の上に維持させる別の組成物の形態をとってもよい。
【0012】
組成物は、腫瘍の領域において皮膚に適用される、または腫瘍に病巣内注入される。通常、腫瘍は容易に明らかとなり、皮膚上で醜化する。よって、腫瘍の領域内にある皮膚の表面に、組成物が直接適用される。その領域は、組成物中の活性薬剤が皮膚を通過して腫瘍中に入り腫瘍に作用する皮膚の領域である。組成物がいったん皮膚に適用されると、薬剤が皮膚を通過して腫瘍中に入り被験者の神経線維腫の悪影響を減弱させるのに十分な時間、皮膚の上に維持される。
【0013】
病巣内注入のためには、種々の「能動的」薬剤配達法および受動的薬剤配達(透過促進剤を用いるまたは用いない処方)がある。全ての技術が、何らかのタイプのエネルギーを用いてまたは機械的に、表皮のケラチン層を不安定化して薬剤配達を向上させる。これらの方法としては、イオン導入、超音波、高周波(RF)および微細針(削皮術)がある。薬剤に皮膚を通過させるCO2カートリッジに取り付けられた微細針である無針注入技術を用いることもできる。
【0014】
悪影響を減弱させるというのは、(1)腫瘍の寸法が安定化し増加しない、(2)腫瘍の寸法が小さくなり得る、または(3)腫瘍に伴う疼痛および/またはそう痒が減少し得る、ことを意味する。神経線維腫により引き起こされる醜化が症状の主要な不利益であるので、腫瘍の寸法が著しく低下することは好ましい。被験者への悪影響を減弱させるように組成物が作用しているかどうかを決めるためのマーカーには、治療期間中に腫瘍の寸法を測定すること、および被験者における疼痛のレベルが低下しているか決めるために被験者に面接することがある。腫瘍の増殖速度を示す増殖指数、腫瘍細胞の死滅速度を示すアポトーシス指数、または血管密度のような、他のマーカーを開発することができる。当業者に明らかである他のバイオマーカーを用いて、本発明の組成物の成功を測ることもできる。例えば、Ras−Raf−MEK−MAPK経路の活性化状態をモニターするバイオマーカーを用いて、本発明の組成物による腫瘍組織における標的阻害を測定することができる。大部分の場合、ベースラインを達成してから、キャリパーを用いてまたはMRI造影技術を用いて腫瘍の寸法を測定することにより、または未処理腫瘍についての指数を達成することにより治療する。いったんベースラインが達成されると、処理を始め、測定を周期的に行って、処理の成功を決めることができる。
【0015】
皮膚の表面に適用するためまたは腫瘍中に病巣内注入するための組成物中での単一薬剤としてまたは一以上の薬剤の組み合わせとして有用な薬剤は、被験者への神経線維腫の悪影響を減弱させるものである。本発明で有用な好ましい薬剤は、発癌性でない薬剤である。FDAまたはIARC Monographsは、発癌性と考えられ、ヒトへの使用が薦められないまたは許容されない化合物/薬剤のリストを有する。ブレオマイシンが薬剤として以下に列挙されているが、発癌性であるので好ましい薬剤として望ましくはない。例えば、そのような薬剤は、化学治療剤(例えば、抗新生物薬、細胞毒素、または増殖防止薬);硬化薬;免疫修飾物質(例えば、免疫調節物質、免疫抑制剤、または免疫刺激剤)、または抗炎症剤、例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)またはCox−1および2阻害剤;遺伝子転写を修飾する薬剤、例えば、HDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)阻害剤(例えば、バルプロ酸、FK228、トラポキシン)、血管新生阻害剤;低分子量GTPaseの構造、機能、局在化または翻訳後修飾を変化させる薬剤(例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤[R115777]、イソプレニルシステイントランスフェラーゼ阻害剤(シスメスニル(cysmethnil));ビタミン、ビタミン誘導体、酸化防止剤、栄養剤のような化学予防剤として作用する薬剤(例えば、フェンレチニド、EGCG含有緑茶抽出物);抗線溶剤、アポトーシスまたは抗アポトーシスシグナルを標的とする薬剤、キナーゼ阻害剤(例えば、タンパク質キナーゼ阻害剤または脂質キナーゼ阻害剤);アルキルリン脂質;タンパク質シャペロン阻害剤、例えば、熱ショックタンパク質阻害剤(例えば、HSP90);抗真菌剤;突然変異遺伝子の機能を回復する薬剤、例えば、ナンセンス突然変異を抑制する薬剤(例えば、ゲンタマイシン);核酸系治療薬、ホスファターゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、または、皮膚過形成(例えば、紫外線角化症、黒色腫、カポジ肉腫、基底細胞または扁平上皮細胞癌、または他の癌の皮膚転移)を阻害する薬剤、であり得る。局所治療のためには、組成物は、好ましくは、薬剤に皮膚を通過して腫瘍中に押し入れることを補助する皮膚浸透剤を含む。
【0016】
有用な化学治療薬の例としては、(1)トポイソメラーゼ阻害によりDNA複製を妨害する薬剤、(2)微小管および/または紡錘体を破壊する薬剤、(3)DNAアルキル化物質またはDNA損傷物質として作用する薬剤、または(4)ヌクレオチド合成を妨害する薬剤、すなわち、代謝拮抗物質、が挙げられる。具体的化学治療薬には、5−フルオロウラシル(5−FU)およびチオテパが挙げられる。これらの物質の各々が、当業者に周知であり、標準的供給源から得ることができる。
【0017】
タンパク質キナーゼ阻害剤は、それぞれが細胞の増殖および生存を促進する、Ras−活性化有糸分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ経路(例えば、MEKおよびRafキナーゼ)、受容体および非受容体チロシンキナーゼ、およびAKT−mTOR経路の成分のような、神経線維腫において過活性化しているキナーゼを標的とする化合物である。脂質キナーゼ阻害剤は、神経線維腫において過活性化し細胞生存率を向上させるホスファチジルイノシトール3−キナーゼ経路を標的とする化合物である。
【0018】
タンパク質シャペロン阻害剤は、熱ショックタンパク質またはペプチジルプロリルイソメラーゼ機能を阻害するものである。熱ショックタンパク質活性は、多くの他のシグナル分子に加えて、Ras有糸分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ経路の2つの成分であるRafおよびKSRの生理学的タンパク質レベルを維持するために必要である。
【0019】
血管新生阻害薬は、(1)血管新生シグナルカスケード、例えば、血管内皮成長因子(VEGF)受容体シグナル、(2)細胞外基質破壊、例えば、基質メタロプロテイナーゼ(例えば、ハロフギノン)により誘発されるもの、(3)内皮細胞の増殖、生存および移動、または(4)作用の未知の機構、を遮断するものである。これらの化合物の一部も、他の範疇に属する。これらの血管新生プロセスは、特に、成長している腫瘍への適度の血液供給を確保するのに必要であり、NF1用の治療介入の興味深い形態である。
【0020】
シュワン細胞、肥満細胞および線維芽細胞を含む多くの細胞型の間の化学的および物理的の両方の細胞間伝達は、神経線維腫疾患の進行に必須のようである。サイトカインおよび成長因子の転写を妨害するカルシニューリン阻害剤のような免疫修飾物質は、細胞間伝達を妨害する効率的手段である。
【0021】
遺伝子置換のような特定の突然変異を補正する薬剤またはナンセンス突然変異の修復のためのゲンタマイシンも有用である。
【0022】
本発明を、以下の好ましい実施形態により、より具体的に説明する。
【0023】
1.皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫または表在叢状神経線維腫の治療を必要としている被検者において、皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫または表在叢状神経線維腫を治療する方法であって、(a)その神経線維腫の被験者に対する悪影響を減弱させるための少なくとも一つの薬剤と、任意選択的に(b)その薬剤を腫瘍中に運ぶことを補助する医薬的に許容できる賦形剤とを含む組成物であって、好ましくは神経線維腫に悪影響を与えるのに十分な時間維持される組成物を、腫瘍の領域に局所投与することを含む方法。2.前記局所投与が、腫瘍の領域において皮膚の表面に前記組成物を局所適用することであり、前記賦形剤が、皮膚を通過させて薬剤を腫瘍まで運び、好ましくは薬剤を被験者の皮膚の上に維持することを補助する、1に記載の方法。3.前記局所投与が、前記組成物を腫瘍中に病巣内注入することである、1に記載の方法。4.前記薬剤が化学治療薬剤を含み、(1)その薬剤がトポイソメラーゼの阻害によりDNA複製を妨害する、(2)その薬剤が微小管および/または紡錘体を破壊する、(3)その薬剤がDNAをアルキル化または損傷する薬剤として作用する、(4)その薬剤がヌクレオチド合成を妨害する、またはそれらの組み合わせである、1〜3のいずれか一項に記載の方法。5.前記薬剤が硬化薬を含む、1〜3のいずれか一項に記載の方法。6.前記薬剤が免疫修飾物質、免疫調節物質、免疫抑制剤、免疫刺激剤または非ステロイド性抗炎症剤である、1〜3のいずれか一項に記載の方法。7.前記薬剤が遺伝子転写を修飾する、1〜3のいずれか一項に記載の方法。8.前記薬剤が血管形成阻害薬である、1〜3のいずれか一項に記載の方法。9.前記薬剤が低分子量GTPaseの構造、機能、局在化または翻訳後修飾を変化させる、1〜3のいずれか一項に記載の方法。10.前記薬剤が化学予防剤である、1〜3のいずれか一項に記載の方法。11.前記薬剤が、タンパク質キナーゼ阻害剤、脂質キナーゼ阻害剤、熱ショックタンパク質阻害剤、タンパク質シャペロン阻害剤、ホスファターゼ阻害剤またはプロテアーゼ阻害剤からなる群より選択される阻害剤である、1〜3のいずれか一項に記載の方法。12.前記薬剤が抗線溶剤である、1〜3のいずれか一項に記載の方法。13.前記薬剤がアルキルリン脂質である、1〜3のいずれか一項に記載の方法。14.前記薬剤が、アポトーシスまたは抗アポトーシスシグナルを標的としている、1〜3のいずれか一項に記載の方法。15.前記薬剤が核酸系治療薬である、1〜3のいずれか一項に記載の方法。16.前記薬剤が、突然変異遺伝子の機能を回復する、1〜3のいずれか一項に記載の方法。17.前記薬剤が、皮膚過形成を阻害する、1〜3のいずれか一項に記載の方法。18.前記薬剤が、アルキル化剤、例えば、チオテパまたはカルボプラチン;代謝拮抗物質またはヌクレオシド類似体、例えば、5−フルオロウラシル、トリシリビン、サンギバマイシンまたはツベルシジン;トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、ポドフィロトキシン;微小管阻害剤、例えば、メベンダゾール;硬化剤、例えば、ブレオマイシン、ドキシサイクリンまたはその類似体;抗炎症剤または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、例えば、ジクロフェナク;遺伝子転写を修飾する薬剤、例えば、トリコスタチンAまたはバルプロ酸を含むHDAC阻害剤;化学予防剤、例えば、フェンレチニドのようなレチノイド;アルキルリン脂質、例えば、ミルテフォシン;HSP90阻害剤、例えば、17−AAG、ラジシコールまたはその類似体のようなゲルダナマイシン誘導体、;ハロフギノン、ゲンタマイシン、ラパマイシン、またはそれらの組み合わせである、1〜3のいずれか一項に記載の方法。19.前記賦形剤が皮膚浸透剤を含む、1〜18に記載の方法。
【0024】
神経線維腫の治療に有用な好ましい組成物も開示される。20.被験者における皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫または表在叢状神経線維腫の治療に有用な組成物であって、(a)その神経線維腫の被験者に対する悪影響を減弱させるための少なくとも一つの薬剤と、任意選択的に(b)皮膚を通してその薬剤を腫瘍中に運び、好ましくは被験者の皮膚の上に薬剤を所定時間維持することを補助する医薬的に許容できる局所賦形剤を含む組成物。21.前記薬剤が化学治療薬剤を含み、(1)その薬剤がトポイソメラーゼの阻害によりDNA複製を妨害する、(2)その薬剤が微小管および/または紡錘体を破壊する、(3)その薬剤がDNAをアルキル化または損傷する薬剤として作用する、(4)その薬剤がヌクレオチド合成を妨害する、またはそれらの組み合わせである、20に記載の組成物。22.前記薬剤が硬化薬を含む、20に記載の組成物。23.前記薬剤が免疫修飾物質、免疫調節物質、免疫抑制剤、免疫刺激剤または非ステロイド性抗炎症剤である、20に記載の組成物。24.前記薬剤が遺伝子転写を修飾する、20に記載の組成物。25.前記薬剤が血管形成阻害薬である、20に記載の組成物。26.前記薬剤が低分子量GTPaseの構造、機能、局在化または翻訳後修飾を変化させる、20に記載の組成物。27.前記薬剤が化学予防剤である、20に記載の組成物。28.前記薬剤が、タンパク質キナーゼ阻害剤、脂質キナーゼ阻害剤、熱ショックタンパク質阻害剤、タンパク質シャペロン阻害剤、ホスファターゼ阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤からなる群より選択される阻害剤である、20に記載の組成物。29.前記薬剤が抗線溶剤である、20に記載の組成物。30.前記薬剤がアルキルリン脂質である、20に記載の組成物。31.前記薬剤が、アポトーシスシグナルまたは抗アポトーシスシグナルを標的としている、20に記載の組成物。32.前記薬剤が核酸系治療薬である、20に記載の組成物。33.前記薬剤が、突然変異遺伝子の機能を回復する、20に記載の組成物。34.前記薬剤が、皮膚過形成を阻害する、20に記載の組成物。35.前記薬剤が、アルキル化剤、例えば、チオテパまたはカルボプラチン;代謝拮抗物質またはヌクレオシド類似体、例えば、5−フルオロウラシル、トリシリビン、サンギバマイシンまたはツベルシジン;トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、ポドフィロトキシン;微小管阻害剤、例えば、メベンダゾール;硬化剤、例えば、ブレオマイシン、ドキシサイクリンまたはその類似体;抗炎症剤または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、例えば、ジクロフェナク;遺伝子転写を修飾する薬剤、例えば、トリコスタチンAまたはバルプロ酸を含むHDAC阻害剤;化学予防剤、例えば、フェンレチニドのようなレチノイド;アルキルリン脂質、例えば、ミルテフォシン;HSP90阻害剤、例えば、17−AAG、ラジシコールまたはその類似体のようなゲルダナマイシン誘導体、;ハロフギノン、ゲンタマイシン、ラパマイシン、またはそれらの組み合わせである、20に記載の組成物。36.前記賦形剤が皮膚浸透剤を含む、20〜36に記載の組成物。37.被験者における神経線維腫の治療のための薬学的組成物の調製のための、20〜36のいずれか一項に記載の組成物の使用。38.皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫または表在叢状神経線維腫を局所的に治療するための20〜36のいずれか一項に記載の組成物を含む医薬品を調製する方法であって、その神経線維腫の被験者に対する悪影響を減弱させるための少なくとも一つの薬剤を、皮膚を通してその薬剤を腫瘍中に運び、好ましくは被験者の皮膚の上に所定時間維持することを補助する医薬的に許容できる局所賦形剤と組み合わせることを含む方法。
【0025】
被験者への神経線維腫の悪影響を減弱させる薬剤として本発明において有用な特定の化合物の単独または組み合わせの例としては、チオテパ、ドキシサイクリン、ブレオマイシン、ジクロフェナク、カルボプラチン、5−フルオロウラシル(5−FU)、メベンダゾール、ハルフギノン、ゲンタマイシン、ラパマイシン、ミルテフォシン等が挙げられる。
【0026】
さらに、被験者への神経線維腫の悪影響を減弱させるために、医薬的に許容できる局所賦形剤を用いてまたは用いずに、単一の薬剤活性剤としてまたは一以上の薬剤活性剤の組み合わせとして組成物に含まれる薬剤として、以下の薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
1.化学治療薬、例えば、細胞毒素、抗血管新生または抗増殖剤、例えば:
アルキル化剤、例えば、チオテパ
【化1】

トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、カンプトテシン
【化2】

カルボプラチン
【化3】

代謝拮抗物質、例えば、5−フルオロウラシル(5−FU)
【化4】

トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、ポドフィロトキシン
【化5】

微小管阻害剤、例えば、メベンダゾール
【化6】

代謝拮抗物質またはヌクレオシド類似体、例えば、クラドリビン
【化7】

トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、XK469(2−(4−((7−クロロ−2−キノキサリニル)オキシ)−フェノキシ)プロピオン酸)
【化8】

ヌクレオシド類似体、例えば、サンギバマイシン
【化9】

ヌクレオシド類似体、例えば、ツベルシジン
【化10】

【0028】
2.硬化剤、例えば:
ブレオマイシン(抗新生物抗生物質)
【化11】

テトラサイクリン類似体または抗生物質、例えば、ドキシサイクリン
【化12】

【0029】
3.免疫修飾物質、免疫調節物質、免疫刺激剤または免疫抑制剤、例えば:
免疫刺激剤、例えば、イミキモド(Imiquimod)(免疫反応修飾物質またはTLR7/8リガンドまたはアゴニスト)
【化13】

免疫抑制剤、例えば、タクロリムス(FK506)
【化14】

【0030】
4.抗炎症薬または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、ジクロフェナク
【化15】

セレコキシブ(Cox−1およびCox−2阻害剤、または抗炎症薬)
【化16】

【0031】
5.遺伝子転写を修飾する薬剤:例えば、HDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)阻害剤、例えば、
HDAC阻害剤の脂肪酸類、例えば、バルプロ酸
【化17】

HDAC阻害剤のヒドロキサム酸類、例えば、トリコスタチンA(TSA)
【化18】

カルバマゼピン(以下)およびその誘導体、例えば、カルバマゼピンエポキシド
【化19】

HDAC阻害剤の環式テトラペプチド類、例えば、デプシペプチドFK228(FR901228)
【化20】

【0032】
6.血管新生阻害剤、例えば、
真菌Aspergillus fumigatusにより分泌されるフマギリン、およびその類似体、例えば、以下に示すTNP−470([O−(クロロアセチルカルバモイル)フマギロール]:
【化21】

サリドマイド(免疫修飾剤でもある)
【化22】

【0033】
7.低分子GTPaseの修飾に必要な細胞プロセスを阻害する薬剤:
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬[例えば、R115777,(B)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン]
【化23】

イソプレニルシステイントランスフェラーゼ阻害剤[例えば、シスメスニル]
【化24】

HMG−CoA阻害剤(スタチン、例えば、ロバスタチン)
【化25】

ビスホスホネート(例えば、アレンドロネート(メバロネート経路の阻害剤))
【化26】

【0034】
8.化学予防薬、例えば:
合成レチノイド(フェンレチニド)
【化27】

レチノイン酸[3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)−ノナ−2,4,6,8−テトラエン酸]および類似体
【化28】

クルクミンおよび誘導体
【化29】

EGCG,(−)−エピガロカテキン・ガレート(以下参照)および類似体
【化30】

I3C(インドール−3−カルビノール)
【化31】

シクロパミン
【化32】

メチルグリオキサール
【化33】

【0035】
9.キナーゼ阻害剤、MEK阻害剤、Raf阻害剤、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤、例えば:
MEK阻害剤、例えば、U0126[1,4−ジアミノ−2,3−ジシアノ−1,4−ビス(2−アミノフェニルチオ)−ブタジエン]
【化34】

P13K阻害剤、例えば、Ly294002[2−(4−モルフォリニル)−8−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−4−オン]
【化35】

EGFR/ErbB2阻害剤、例えば、4−(4−ベンジルオキシアニリノ)−6,7−ジメトキシキナゾリン
【化36】

AG1478(EGFR阻害剤)、4−(3−クロロアニリノ)−6,7−ジメトキシキナゾリン
【化37】

複数のチロシンキナーゼの阻害剤、例えば、PDGFR阻害剤、例えば、KN2941(4−(6,7−ジメトキシ−4−キナゾリニル)−N−(3,4−メチレンジオキシベンジル)−1−ピペラジンチオカルボキサミド)
【化38】

複数のキナーゼの阻害剤、例えば、SU11652、5−[(Z)−(5−クロロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド
【化39】

複数のキナーゼの阻害剤、例えば、SU11248(商標名はSutent)、5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド
【化40】

複数のキナーゼの阻害剤、例えば、VEGFR2およびRafキナーゼ、例えば、Bay43−9006(NEXAVAR、またはソラフェニブ)、4−(4−{3−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド}フェノキシ)−N2−メチルピリジン−2−カルボキサミド
【化41】

mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン(免疫抑制剤でもある、以下参照)およびプロドラッグまたは類似体
【化42】

Rhoキナーゼ阻害剤、例えば、ファスジル(Fasudil)、[1−(5−イソキノリンスルホニル)ホモピペラジン]
【化43】

【0036】
10.血管新生阻害剤でもある薬剤を含むことができる新規抗線溶剤、例えば、
ハロフギノン臭化水素酸塩[(+/−)−トランス−7−ブロモ−6−クロロ−3−[3−(3−ヒドロキシ−2−ピペリジニル)−2−オキソプロピル]−4(3H)−キナゾリノン臭化水素酸塩]
【化44】

ピルフェニドン(5−メチル−N−フェニル−2−1H−ピリドン−d5)
【化45】

【0037】
11.アルキルリン脂質、例えば:
A.ミルテフォシン(HePC)
B.エデルフォシン(Et−18−OCH3
C.ペリフォシン(D21266)
【化46】

【0038】
12.HSP90阻害剤(熱ショックタンパク質阻害剤)
ゲルダナマイシン類似体/誘導体、例えば、17−AAGおよびその誘導体、17−AAG、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン
【化47】

ラジシコールおよび類似体
【化48】

ヒペリシン
【化49】

【0039】
13.抗真菌剤:
クロトリマゾールおよび類似体
【化50】

【0040】
14.突然変異遺伝子の機能を回復する薬剤、例えば、ナンセンス突然変異を抑制する薬剤、例えば:
ゲンタマイシン
【化51】

【0041】
本発明の組成物の調製において、(1)Remingtons Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,17th,18th or 19th Edition,ISBN:0−912734−04.3(「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」とも呼ぶ)、(2)Pharmaceutics−The Science of Dosage Form Design,Aulton,Churchill Livingston;(3)Appleton and Lange Review of Pharmacy(7th or 8th Ed)by Hall and Reiss,Appleton and Lange;等の教示を参考にでき、それらの全てを参照することにより本明細書に組み込む。ナノ粒子またはリポソームの配達については、http://www.happl.com/special/mar013.htmおよびhttp://www.collabo.com/liposome.htmにおいてさらなる情報を得ることができる。デンドリマー技術に関する情報は、http://www.ringer.com/dedrimer/one.htmに見られる。
【実施例】
【0042】
本発明において神経線維腫を処理するのに有用な薬剤は、本明細書に記載の幾つかの方法により選択することができる。例えば、本明細書に記載の種々の化合物/薬剤並びに選択し得る他の薬剤を、NF1関連細胞系のパネルの細胞増殖を阻害する性能について細胞ベースのアッセイにおいて試験する、皮膚神経線維腫移植アッセイへの効果を決めるために試験する、および、皮膚神経線維腫のための異種移植片モデルへの効果を決めるために試験する。
【0043】
I.インビトロアッセイ
1)細胞増殖アッセイ
複数の生理学的に関連する細胞または細胞系を用いて、細胞増殖アッセイにおける化合物の性能を測定した。これらの細胞は、(1)NF1欠損ヒト悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)細胞、(2)Nf1-/-マウス胚シュワン細胞、および(3)Nf1およびp53欠損マウス細胞が含まれる。マウスシュワン細胞を、ラミニンを被覆したプレート上で増殖させ、ダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)/ハムF12培地(F12)(DMEMとF12培地との1:1ブレンドであり、組換えヘレグリン−β1(10ng/ml)、ホルスコリン(2μM)およびN2サプリメント(Invitrogen,California,Cat#17502−048)を補足した)中で培養する。全ての他の細胞を、10%胎児ウシ血清(FBS)を加えたDMEM中で増殖させる。以下の出版物は、細胞増殖アッセイにおいて用いられる細胞系の調製を開示している。
【0044】
Basu,T.N.,Gutmann,D.H.,Fletcher,J.A.,Glover,T.W.,Collins,F.S.and Downward,J.(1992)Nature 365,713−715
DeClue,J.E.,Papageorge,A.G.,Fletcher,J.A.,Diehl,S.R.,Ratner,N.,Vass,W.C.and Lowy,D.R.(1992)Cell 69,265−273
Declue,J.E.,Heffelfinger,S.,Benvenuto,G.,Ling,B.,Li,S.,Rui,W.,Vass,W.C.,Viskochil,D.and Ratner,N.(2000)J Clin Invest 105,1233−1241
Vogel,K.S.,Klesse,L.J.,Velasco−Miguel,S.,Meyers,K.,Rushing,E.J.and Parada,L.F.(1999)Science 286,2176−2179
Manent,J.,Oguievetskaia,K.,Bayer,J.,Ratner,N.and Giovannini,M.(2003)J Neurosci Methods 123,167−173
Morrissey,T.K.,Kleitman,N.and Bunge,R.P.(1991)J Neurosci 11,2433−2442
Verdu,E.,Rodriguez,F.J.,Gudino−Cabrera,G.,Nieto−Sampedro,M.and Navarro,X.(2000)J Neurosci Medhods 99,111−117
Kim,H.A.,Ling,B.and Ratner,N.(1997)Mol Cell Biol 17,862−872
Zhu,Y.,Ghosh,P.,Charnay,P.,Burns,D.K.and Parada,L.F.(2002)Science 296,920−922
Zhu,Y.,Romero,M.L.,Ghosh,P.,Ye,Z.,Charnay,P.,Rushing,E.J.,Marth,J.D.and Parada,L.F.(2001)Genes Dev 15,859−876
Muir,D.,Neubauer,D.,Lim,I.T.,Yachnis,A.T.and Wallace,M.R(2001)Am J Pathol 158,501−513
Li,Y.,Rao,P.K.,Wen,R.,Song,Y.,Muir,D.,Wallace,P.,van Horne,S.J.,Tennekoon,G.I.and Kadesch,T.(2004)Oncogene 23,1146−1152
【0045】
細胞増殖アッセイを行うために、3日間で約70%のコンフルエンスに達し得る適当な数の細胞(例えば、ヒトMPNST細胞およびマウスNf1/p53欠損細胞について3000〜6000個の細胞/ウェル、マウス胚シュワン細胞について8000〜10000個の細胞/ウェル)を、96ウェルプレートで培養した。種々の濃度の試験すべき各化合物/薬剤を、増殖培地に加え、次に、細胞を3日間培養した。インキュベーション完了時に、培地を穏やかに除去し、各ウェルにATPlite溶液(Perkin Elmer,Boston,Cat#6016941)100μlを加えた。ATPlite溶液および細胞中のATPの反応から生じる発光を検出することにより、生存可能な細胞を測定した。種々の化合物/薬剤が、幾つかのNF1関連細胞系の細胞増殖を阻害する性能を決定した。神経線維腫の局所治療用の優れた候補として有用な薬剤/化合物のための選択基準は、10μM以下のIC50(IC50は、細胞増殖を50%阻害するのに必要な阻害剤の濃度として定義される)を有する任意の化合物の選択に基づく。そのような基準を満たす化合物は、アルキル化剤(例えば、チオテパ)、代謝拮抗物質またはヌクレオシド類似体(例えば、5−フルオロウラシル、サンギバマイシン、ツベルシジン、トリシリビン、クラドリビン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、カンプトテシン、ポドフィロトキシン、XK469)、微小管阻害剤(例えば、メベンダゾール)、硬化剤(例えば、ブレオマイシン、ドキシサイクリンおよび類似体)、遺伝子転写を修飾する薬剤(トリコスタチンAのようなHDAC阻害剤)、化学予防剤(例えば、フェンレチニド、レチノイン酸および類似体、クルクミンおよび誘導体、EGCGおよび類似体、およびメチルグリオキサールのようなレチノイド)、キナーゼ阻害剤(例えば、U0126、LY294002、EGFR/ErbB2阻害剤、KN2941、SU11652、Bay43−9006、ラパマイシンおよびそれらの類似体)、アルキルリン脂質(例えば、ミルテフォシン)、HSP90阻害剤(例えば、17−AAG、ラジシコールおよび類似体、ヒペリシンのようなゲルダナマイシン誘導体)、抗真菌剤(例えば、クロトリマゾール)、ナンセンス突然変異を抑制する薬剤(例えば、ゲンタマイシン)である。さらに、化合物が、細胞非自律的な(例えば、免疫調節または抗血管新生)作用の機構を有すると考えられる、または未知である場合、これらは、陽性であると記録されないが、移植モデル、異種移植モデル、および可能ならNF1患者を用いる証拠−原理臨床的試行(proof−of−principle clinical trial)において試験される。
【0046】
2) 移植片アッセイ
化合物/薬剤の効果を、以下のようにエクスビボ腫瘍移植片モデルにおいて試験した。新しいヒト皮膚神経線維腫を8つの小さな断片に切り出し、DMEM/F12、10%FBS、ヘレグリンおよびホルスコリンを含む培地を有する標準的細胞培養プレート上で培養した。断片を治療群と対照群とに分けた。異なる投与量の化合物を、1日目に培地に加えた。陰性対照群では化合物を加えなかった。全ての腫瘍断片を3日目に集め、ホルマリン固定およびパラフィン包埋により組織学のために加工した。組織部分を切断し、組織学的分析のためにヘマトキシリン−エオシンで染色した。対になった移植片サンプルの組織学的分析を、盲検的に行った。サンプルを「−」から「+++」で記録するために、3つの組織学的パラメーターを用いた。1)全面的組織一体性;処理サンプルの細胞充実性を陰性対照サンプルと比べることにより組織一体性を評価した。低細胞充実性領域は、対照サンプル上の同様の領域よりも30%以上核が少ないと定義した。MagnaFireデジタルカメラ(Optronics,USA)を用いて、明視野顕微鏡で40倍での各サンプルの写真を撮り、コンピューターに保存した。Photoshopを用いて写真中の低細胞充実性領域を測定し、長さ×幅として計算し、次に、サンプルの合計面積に対する百分率として表した。全組織一体性を、0〜2+のスコアを用いて記録した。簡単に説明すると、優れた組織一体性は0と記録し(<5%)、1+は中間的組織一体性(5〜25%)を示し、2+は低組織一体性(>25%)を示す。2+の場合のみが、最終的合計スコアについて陽性「+」であると見なした。2)細胞死−スライドを明視野顕微鏡により評価した。視野当たり少なくとも100個の細胞を数えた。細胞死は、0〜3+のスコアを用いて半定量的に記録した。集中したまたは断片的な核の存在は0と記録し、1+は、検出可能な細胞死の最低水準(<10%)を示し、2+は中程度の細胞死(10〜20%)であり、3+は高い細胞死(>30%)である。全ての2+および3+の場合を、最終的合計スコアについて陽性「+」として見なした;および3)血管系への効果−スライドを明視野顕微鏡により評価した。陰性対照サンプルにおける血管系と比較することにより、処理サンプル中での血管系への効果を決めた。少なくとも、サンプル当たり20個の血管系を数えた。血管系への効果は、0〜3+のスコアを用いて半定量的に記録した。簡単に説明すると、損傷血管系の非存在または最低水準は0(<5%)と記録し、1+は、ある程度の損傷血管(5〜25%)を示し、2+は高い(>25%)である。全ての1+および2+の場合を、最終的合計スコアについて陽性「+」として見なした。最終的組織学的スコアは、「−」〜「+++」と表わされる前記3つのパラメーターのスコアの合計であった。「+」以上の組織学的スコアの任意の化合物は、神経線維腫の局所治療のための潜在的に優れた候補である。そのような基準を満たす化合物は、アルキル化剤(例えば、チオテパ、カルボプラチン)、代謝拮抗物質またはヌクレオシド類似体(例えば、5−フルオロウラシル、サンギバマイシン、ツベルシジン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、ポドフィロトキシン)、微小管阻害剤(例えば、メベンダゾール)、硬化剤(例えば、ブレオマイシン)、抗炎症剤または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)(例えば、ジクロフェナク)、遺伝子転写を修飾する薬剤(トリコスタチンA、バルプロ酸のようなHDAC阻害剤)、化学予防剤(例えば、フェンレチニドのようなレチノイド)、HSP90阻害剤(例えば、17−AAG、ラジシコールおよび類似体のようなゲルダナマイシン誘導体)である。
【0047】
3)異種移植片アッセイ
化合物の効果を、以下のように、マウス皮膚神経線維腫(DNF)異種移植片モデルにおける腫瘍量減少研究において試験した。5週齢と6週齢との間で重さが約20gである雌SCIDマウスを、Charles River Laboratories(Wilmington,MA)から得た。動物の皮下に、新しいヒトDNFの断片を移植した。インキュベーションの3日後、動物を処理群と対照群とにランダムに割り当てた。各群は、6匹の腫瘍にかかっているマウスを含んでいた。各マウスは、耳にタグを付け、実験の間中個々に追跡した。投与は、ランダム化後、1日目に開始した。化合物を、1週間に2回のスケジュールで4週間、病巣内投与した。化合物+ビヒクルを、異なる投与量で体積50μlで投与した。ビヒクル単独を、陰性対照として作用させるために投与した。マウスを1週間に2回計測し、1日目から開始して腫瘍測定をキャリパーを用いて1週間に2回行った。腫瘍体積は、標準式(W2×L)/2(Lは長さであり、およびWは幅である)により計算した(Blaskovich MA,Lin Q,Delarue FL,Sun J,Park HS,Coppola D,Hamilton AD,Sebti SM(2000),Design of GFB−111,a platelet−derived growth factor binding molecule with antiangiogenic and anticancer activity against human tumors in mice.Nat Biotechnol 18:1065−1070)。屠殺後インキュベーション前に、腫瘍断片の重量を計った。最初の腫瘍重量の百分率として、相違を表した。収穫した腫瘍を、ホルマリン固定およびパラフィン包埋により組織学のために加工した。組織部分を切断し、組織学的分析のためにヘマトキシリン−エオシンで染色した。化合物の異種移植片に対する効果を、1)または2)のいずれかにより決めた。1)腫瘍重量測定−処理群と対照群との両方における処理前後の腫瘍重量の相違を、スチューデントt検定により分析した。化合物の特定の投与量の結果は、腫瘍重量の相違が統計的有意(p<0.05)である場合、「+」と見なされる。2)組織学的分析−サンプルを記録するために3つの組織学的パラメーターを用いた。A)組織壊死−MagnaFireデジタルカメラ(Optronics,USA)を用いて、明視野顕微鏡で40倍での各サンプルの写真を撮り、コンピューターに保存した。Photoshopを用いて写真中の壊死領域を測定し、長さ×幅として計算し、次に、サンプルの合計面積に対する百分率として表した。全組織壊死を、0〜2+のスコアを用いて記録した。簡単に説明すると、壊死の非存在は0と記録し(<5%)、1+は中間的組織壊死(5〜25%)を示し、2+は高い組織壊死(>25%)を示す。2+の場合のみが、最終的合計スコアについて陽性「+」であると見なした。B)組織細胞充実性−処理サンプル中の低細胞充実性領域は、対照サンプル上の同様の領域よりも30%以上核が少ないと定義した。MagnaFireデジタルカメラ(Optronics,USA)を用いて、明視野顕微鏡で40倍での各サンプルの写真を撮り、コンピューターに保存した。Photoshopを用いて写真中の低細胞充実性領域を測定し、長さ×幅として計算し、次に、サンプルの合計面積に対する百分率として表した。全組織一体性を、0〜2+のスコアを用いて記録した。簡単に説明すると、優れた組織一体性は0と記録し(<5%)、1+は中間的組織一体性(5〜25%)を示し、2+は低組織一体性(>25%)を示す。全ての1+および2+の場合を、最終的合計スコアについて陽性「+」として見なした。C)炎症性細胞浸潤−スライドを明視野顕微鏡により評価した。視野当たり少なくとも100個の細胞を数え、合計細胞100当たりの炎症性細胞の数を、各サンプルについて百分率として計算した。炎症性細胞の浸潤は、処理サンプルの百分率と対照サンプルの百分率との相違により決め、0〜3+のスコアを用いて半定量的に記録した。簡単に説明すると、炎症性細胞浸潤の相違の非存在または非常に低い相違は0と記録し(<5%)、1+は炎症性細胞浸潤の中間的水準(5〜25%)を示し、2+は炎症性細胞浸潤の高水準(>25%)を示す。全ての1+および2+の場合を、最終的合計スコアについて陽性「+」として見なした。最終的組織学的スコアは、「−」〜「+++」と表わされる前記3つのパラメーターのスコアの合計とした。腫瘍重量測定における「+」または組織学的スコアが「+」以上である任意の化合物は、神経線維腫の局所治療ための潜在的に優れた候補である。そのような基準を満たす化合物は、アルキル化剤(例えば、チオテパ、カルボプラチン)、代謝拮抗物質またはヌクレオシド類似体(例えば、5−フルオロウラシル、サンギバマイシン、ツベルシジン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、ポドフィロトキシン)、微小管阻害剤(例えば、メベンダゾール)、硬化剤(例えば、ブレオマイシン、ドキシサイクリン)、抗炎症剤または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)(例えば、ジクロフェナク)、遺伝子転写を修飾する薬剤(トリコスタチンA、バルプロ酸のようなHDAC阻害剤)、化学予防剤(例えば、フェンレチニドのようなレチノイド)、アルキルリン脂質(例えば、ミルテフォシン)、HSP90阻害剤(例えば、17−AAG、ラジシコールおよび類似体のようなゲルダナマイシン誘導体)である。
【0048】
神経線維腫を治療するために本発明において有用な薬剤を選択するための前記アッセイの一以上を用いて、前記の化合物/薬剤を試験した。アッセイは好ましくは、特別の順番で行われ、「陽性の結果」が得られた場合、次のアッセイが行われたりする。例えば、薬剤が、細胞増殖アッセイで試験され、先に開示された基準により陽性である場合、この薬剤を移植アッセイにおいて試験し、前述の基準に従って陽性である場合、この薬剤を異種移植片アッセイにおいて試験する。特定の薬剤または化合物について3つのアッセイの全てが基準に基づき陽性の結果である場合、この薬剤は、神経線維腫、具体的にはNF1の良好な治療用の優れた候補となることが予想される。さらに、化合物が、細胞非自律的な(例えば、免疫調節または抗血管新生)作用の機構を有すると考えられる、または未知である場合、これらは、異種移植モデル、または可能ならNF1患者を用いる証拠−原理臨床的試行(proof−of−principle clinical trial)において陽性の結果が得られるなら、神経線維腫の良好な治療用の優れた候補であると予想される。
【0049】
II.インビボ研究
<薬剤または化合物を用いる神経線維腫の局所治療のための一般的研究デザイン>
A.病巣内投与
研究は、4連続週間に渡って3つの標的皮膚神経線維腫に週に1回与えられる病巣内投与薬剤の効果の証拠−原理、見込み、安全性および効果研究であった。6人の被験者を登録した。全ての被験者は、NF1と診断され、背部を含む少なくとも6個の0.5〜1.5cmの皮膚神経線維腫を有していた。全ての被験者は、18歳から65歳の年齢である。全ての被験者は、そのほかの点では、健康状態が良かった、またはプライマリーケア医師により適当に管理される安定な付随的医学的症状を有していた。登録された被験者は、NF1の特徴以外の、実験室的および身体検査の両方について臨床的に意義のある異常は示さなかった。スクリーニングおよび登録後、全ての被験者は週に1回、所定体積(病巣の寸法に基づく)の病巣内薬剤を、最大寸法を含んで直径が0.5〜1.5cmである3つの標的皮膚神経線維腫中に受け入れた。各標的の皮膚神経線維腫は寸法が異なり、一つは直径が0.5〜0.8cmであり、第2のものは直径が0.81〜1.2cmであり、第3のものは直径が1.21〜1.5cmであった。付随的に、同じ寸法範囲の胴体および/または付属物の上に見られる3つの対照皮膚神経線維腫は、滅菌生理食塩水を受け入れた。注入前の全ての病巣を、リドカイン1%およびエピネフリン1:100,000で局所的に麻酔した。研究期間中、被験者は、6つの病巣(薬剤を受け入れる3つの標的病巣、生理食塩水を受け入れる3つの対照病巣)において4週間の病巣内注入を受け、研究薬剤を受け入れている間の毎週追跡し、最後の投与から3週間後に投与した。訪問毎に、被験者は、身体検査を受け、悪影響および付随的薬剤投与を記録し、標的および対照病巣の両方を測定し撮影した。検査には、2つの評価された病巣の正確に測定された寸法(2軸において)が含まれる。写真は、表わされた被験者の特徴を確認することなく、標的病巣と対照病巣の両方の標準化デジタル画像(定規を伴う)を含んでいた。各被験者について、写真は、一致する焦点距離、明暗、および露出角度を訪問間で持ち越した。各訪問において、各被験者を、その投与中または訪問間において研究薬剤を受け入れることによる、疼痛、そう痒、刺激、脱色、潰瘍または、ベースラインに存在しない局所的または標的および対照病巣から離れている任意の他の新規表示または兆候を含む潜在的副作用について尋ねた。
【0050】
ドキシサイクリンが研究薬剤である局所注入研究の一つにおいて、ドキシサイクリンが注入された腫瘍の89%が、皮膚神経線維腫の部分的または完全な除去を示したが、対照の全てが変化を示さなかった。同様に、研究薬剤としてジクロフェナクを用いるもう一つの研究において、ジクロフェナクを注入された腫瘍の48%が、皮膚神経線維腫の部分的または完全な除去を示したが、対照の全てが変化を示さなかった。
【0051】
B.局所投与
神経線維腫を有する被験者を、Aに記載のように選択し、同様の対照を、同じ被験者において神経線維腫を治療せずに用いる。投与の別の方法には、5%ゲルと組み合わせて、本明細書に記載の薬剤の一以上を含む組成物を、十分な量で、1日1回21日間、神経線維腫を覆っている皮膚に投与して腫瘍を被覆することによる局所投与が含まれる。さらに、局所投与は、薬剤を含む組成物で装置の微細針が被覆されている皮膚剥離装置を、1日1回7日間、腫瘍を覆っている皮膚に適用することにより成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫または表在叢状神経線維腫の治療を必要としている被検者における、皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫または表在叢状神経線維腫を治療する方法であって、組成物を腫瘍の領域に局所投与することを含み、前記組成物は、(a)前記神経線維腫の被験者に対する悪影響を減弱させるための少なくとも一つの非発癌性の薬剤と、任意選択的に(b)腫瘍中に前記薬剤を運ぶことを補助する医薬的に許容できる賦形剤とを含み、好ましくは前記組成物は神経線維腫に悪影響を与えるのに十分な時間維持されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記局所投与が、腫瘍の領域における皮膚の表面に前記組成物を局所適用することであり、前記賦形剤が、皮膚を通過させて薬剤を腫瘍まで運ぶことを補助し、好ましくは薬剤を被験者の皮膚の上に維持する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記局所投与が、前記組成物を腫瘍中に病巣内注入することである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記薬剤が化学治療薬剤を含み、(1)前記薬剤がトポイソメラーゼの阻害によりDNA複製を妨害する、(2)前記薬剤が微小管および/または紡錘体を破壊する、(3)前記薬剤がヌクレオチド合成を妨害する、またはそれらの組み合わせである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記薬剤が硬化薬を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記薬剤が免疫修飾物質、免疫調節物質、免疫抑制剤、免疫刺激剤または非ステロイド性抗炎症剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記薬剤が遺伝子転写を調節する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記薬剤が血管形成阻害薬である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記薬剤が低分子量GTPaseの構造、機能、局在化または翻訳後修飾を変化させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記薬剤が化学予防剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記薬剤が、タンパク質キナーゼ阻害剤、脂質キナーゼ阻害剤、熱ショックタンパク質阻害剤、タンパク質シャペロン阻害剤、ホスファターゼ阻害剤またはプロテアーゼ阻害剤からなる群より選択される阻害剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記薬剤が抗線溶剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記薬剤がアルキルリン脂質である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記薬剤が、アポトーシスシグナルまたは抗アポトーシスシグナルを標的としている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記薬剤が核酸系治療薬である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記薬剤が、突然変異遺伝子の機能を回復する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記薬剤が、皮膚過形成を阻害する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記薬剤が、代謝拮抗物質またはヌクレオシド類似体、例えば、5−フルオロウラシル、トリシリビン、サンギバマイシンまたはツベルシジン;トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、ポドフィロトキシン;微小管阻害剤、例えば、メベンダゾール;硬化剤、例えば、ドキシサイクリンまたはその類似体;抗炎症剤または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、例えば、ジクロフェナク;遺伝子転写を修飾する薬剤、例えば、トリコスタチンAまたはバルプロ酸を含むHDAC阻害剤;化学予防剤、例えば、フェンレチニドのようなレチノイド;アルキルリン脂質、例えば、ミルテフォシン;HSP90阻害剤、例えば、17−AAG、ラジシコールまたはその類似体のようなゲルダナマイシン誘導体、;ハロフギノン、ゲンタマイシン、ラパマイシン、またはそれらの組み合わせである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記賦形剤が皮膚浸透剤を含む、請求項1〜18に記載の方法。
【請求項20】
被験者における皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫または表在叢状神経線維腫の治療に有用な組成物であって、(a)前記神経線維腫の被験者に対する悪影響を減弱させるための少なくとも一つの非発癌性の薬剤と、任意選択的に、(b)皮膚を通して前記薬剤を腫瘍中に運ぶことを補助し、好ましくは被験者の皮膚の上に前記薬剤を所定時間維持する医薬的に許容できる局所賦形剤とを含む組成物。
【請求項21】
前記薬剤が化学治療薬剤であり、(1)前記薬剤がトポイソメラーゼの阻害によりDNA複製を妨害する、(2)前記薬剤が微小管および/または紡錘体を破壊する、(3)前記薬剤がヌクレオチド合成を妨害する、またはそれらの組み合わせである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記薬剤が硬化薬を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記薬剤が免疫修飾物質、免疫調節物質、免疫抑制剤、免疫刺激剤または非ステロイド性抗炎症剤である、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
前記薬剤が遺伝子転写を修飾する、請求項20に記載の組成物。
【請求項25】
前記薬剤が血管形成阻害薬である、請求項20に記載の組成物。
【請求項26】
前記薬剤が低分子量GTPaseの構造、機能、局在化または翻訳後修飾を変化させる、請求項20に記載の組成物。
【請求項27】
前記薬剤が化学予防剤である、請求項20に記載の組成物。
【請求項28】
前記薬剤が、タンパク質キナーゼ阻害剤、脂質キナーゼ阻害剤、熱ショックタンパク質阻害剤、タンパク質シャペロン阻害剤、ホスファターゼ阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤からなる群より選択される阻害剤である、請求項20に記載の組成物。
【請求項29】
前記薬剤が抗線溶剤である、請求項20に記載の組成物。
【請求項30】
前記薬剤がアルキルリン脂質である、請求項20に記載の組成物。
【請求項31】
前記薬剤が、アポトーシスシグナルまたは抗アポトーシスシグナルを標的としている、請求項20に記載の組成物。
【請求項32】
前記薬剤が核酸系治療薬である、請求項20に記載の組成物。
【請求項33】
前記薬剤が、突然変異遺伝子の機能を回復する、請求項20に記載の組成物。
【請求項34】
前記薬剤が、皮膚過形成を阻害する、請求項20に記載の組成物。
【請求項35】
前記薬剤が、代謝拮抗物質またはヌクレオシド類似体、例えば、5−フルオロウラシル、トリシリビン、サンギバマイシンまたはツベルシジン;トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、ポドフィロトキシン;微小管阻害剤、例えば、メベンダゾール;硬化剤、例えば、ドキシサイクリンまたは前記類似体;抗炎症剤または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、例えば、ジクロフェナク;遺伝子転写を修飾する薬剤、例えば、トリコスタチンAまたはバルプロ酸を含むHDAC阻害剤;化学予防剤、例えば、フェンレチニドのようなレチノイド;アルキルリン脂質、例えば、ミルテフォシン;HSP90阻害剤、例えば、17−AAG、ラジシコールまたは前記類似体のようなゲルダナマイシン誘導体、;ハロフギノン、ゲンタマイシン、ラパマイシン、またはそれらの組み合わせである、請求項20に記載の組成物。
【請求項36】
前記賦形剤が皮膚浸透剤を含む、請求項20〜36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
被験者における神経線維腫の治療のための薬学的組成物の調製のための、請求項20〜36のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項38】
皮膚神経線維腫、皮下神経線維腫または表在叢状神経線維腫を局所的に治療するための請求項20〜36のいずれか一項に記載の組成物を含む医薬品を調製する方法であって、前記神経線維腫の被験者に対する悪影響を減弱させるための少なくとも一つの非発癌性の薬剤を、皮膚を通して前記薬剤を腫瘍中に運ぶことを補助し、好ましくは被験者の皮膚の上に所定時間維持する医薬的に許容できる局所賦形剤と組み合わせることを含む、方法。

【公表番号】特表2008−528692(P2008−528692A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554190(P2007−554190)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/003588
【国際公開番号】WO2006/083979
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(507260552)ネクスジェニクス・ファーマシューティカルズ,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (1)
【Fターム(参考)】