説明

神経障害に伴う過活動膀胱の予防または治療用医薬組成物

神経障害に伴う過活動膀胱を予防又は治療するための医薬組成物を提供する。
下記一般式(I)で表されるインドリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。該医薬組成物は、脳血管障害、パーキンソン病、脊髄障害等の神経障害に伴う過活動膀胱の予防又は治療に有用である。式中のRは置換可脂肪族アシル基、置換可低級アルキル基、置換可芳香族アシル基等、Rはシアノ基又はカルバモイル基、Rは置換可低級アルキル基を表す。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経障害に伴う過活動膀胱の予防または治療に有用な医薬組成物に関するものである。
【0002】
更に詳しく述べれば、本発明は、一般式
【0003】
【化1】

(式中のRは置換基として水酸基、低級アルコキシ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基、シクロアルキル基、アリール基または1個ないしそれ以上のハロゲン原子を有していてもよく不飽和結合を有することもある脂肪族アシル基、ヒドロキシ低級アルキル基、脂肪族アシルオキシアルキル基、置換基として低級アルコキシ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基、アリール置換低級アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノまたはジ低級アルキル置換カルバモイル基またはシアノ基を有する低級アルキル基、置換基として1個ないしそれ以上のハロゲン原子を有していてもよい芳香族アシル基、フロイル基またはピリジルカルボニル基であり、Rはシアノ基またはカルバモイル基であり、Rは置換基としてシアノ基、アリール基または1個ないしそれ以上のハロゲン原子を有していてもよい低級アルキル基である)で表されるインドリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、神経障害に伴う過活動膀胱の予防または治療用医薬組成物に関するものである。
【背景技術】
【0004】
過活動膀胱(OAB)とは、切迫性尿失禁の有無にかかわらず、尿意切迫感に通常頻尿を伴う症状に基づいて定義される疾患である。国際禁制学会(ICS)から報告された新たな用語基準において提唱された定義であり(非特許文献1参照)、排尿機能学会の研究事業として行われた疫学調査からは、現在800万人以上の過活動膀胱患者がいると推定されている(非特許文献2参照)。
【0005】
過活動膀胱は、原因が明確でない本態性過活動膀胱に加え、神経障害、下部尿路閉塞疾患等に伴って現れることが多く、その成因により治療方法も様々である(非特許文献3参照)。神経障害に伴う過活動膀胱においては、脳血管障害やパーキンソン病、脊髄損傷等の原因疾患に起因する神経病変により、排尿コントロール異常や知覚障害等が生じ、過活動膀胱が引き起こされる。従って、過活動膀胱における尿意切迫感や頻尿等に対しては、種々の治療方法が試みられているが、必ずしも十分な効果が得られない場合も多く、その原因疾患や病態に適した新たな治療方法の確立が望まれている。
【0006】
現在、神経障害に伴う過活動膀胱の治療方法として、排尿習慣をつける時間排尿、骨盤底筋体操、もしくは患者教育等による行動療法と、薬物療法との併用が一般的である。しかし、薬物療法の中心となる抗コリン薬は、口渇、便秘、排出障害、中枢神経症状等の副作用が危惧され、治療効果も不十分な場合があるため、安全かつ有効性の高い新たな薬剤の早期開発が切望されている(非特許文献4参照)。
【0007】
前記一般式(I)で表される化合物またはそれらの薬理学的に許容される塩は、選択的な尿道平滑筋収縮抑制作用を有し、血圧に大きく影響することなく尿道内圧を低下させ、前立腺肥大症に伴う排尿障害等の治療剤としてきわめて有用な化合物であることが報告されている(特許文献1参照)。しかしながら、前記一般式(I)で表される化合物が、神経障害に伴う過活動膀胱の予防または治療において有用であることについては、全く記載も示唆もない。
【0008】
【特許文献1】特開平6−220015号公報
【非特許文献1】本間之夫ほか、「下部尿路機能に関する用語基準:国際禁制学会標準化部会報告」、日本排尿機能学会誌、2003年、第14巻、第2号、p.278−289
【非特許文献2】本間之夫ほか、「排尿に関する疫学的研究」、日本排尿機能学会誌、2003年、第14巻、第2号、p.266−277
【非特許文献3】山口脩、「過活動膀胱のメカニズム」、PHARMACIA SCOPE、ファルマシア株式会社、2003年、第42巻、第4号、p.12−13
【非特許文献4】西澤理、「過活動膀胱(OAB)とは何か」、PHARMACIA SCOPE、ファルマシア株式会社、2003年、第42巻、第1号、p.14−15
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、神経障害に伴う過活動膀胱の予防または治療に有用な医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、神経障害に伴う過活動膀胱の予防または治療に有用な化合物を見出すべく鋭意研究を行った結果、前記一般式(I)で表される化合物が、蓄尿時の不随意収縮の発生頻度を顕著に抑制し、また排尿間隔を延長する効果を有するという知見を得、本発明を成すに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1)一般式
【0012】
【化2】

(式中のRは置換基として水酸基、低級アルコキシ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基、シクロアルキル基、アリール基または1個ないしそれ以上のハロゲン原子を有していてもよく不飽和結合を有することもある脂肪族アシル基、ヒドロキシ低級アルキル基、脂肪族アシルオキシアルキル基、置換基として低級アルコキシ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基、アリール置換低級アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノまたはジ低級アルキル置換カルバモイル基またはシアノ基を有する低級アルキル基、置換基として1個ないしそれ以上のハロゲン原子を有していてもよい芳香族アシル基、フロイル基またはピリジルカルボニル基であり、Rはシアノ基またはカルバモイル基であり、Rは置換基としてシアノ基、アリール基または1個ないしそれ以上のハロゲン原子を有していてもよい低級アルキル基である)で表されるインドリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、神経障害に伴う過活動膀胱の予防または治療用医薬組成物;
(2)有効成分が、(−)−1−(3−ヒドロキシプロピル)−5−((2R)−2−{[2−({2−[(2,2,2−トリフロロエチル)オキシ]フェニル}オキシ)エチル]アミノ}プロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−カルボキサミドまたはその薬理学的に許容される塩である、前記(1)記載の医薬組成物;
(3)神経障害が、脳血管障害、パーキンソン病、脊髄障害、末梢神経障害または多発性硬化症である、前記(1)または(2)記載の医薬組成物;
(4)神経障害に伴う過活動膀胱に対して用いられる他の薬剤を1種以上組み合わせて使用される、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の医薬組成物;
(5)神経障害に伴う過活動膀胱に対して用いられる他の薬剤が、抗コリン薬、抗不安薬、コリン作動薬、コリンエステラーゼ阻害薬、鎮痙薬、抗炎症薬、抗菌薬から選択される薬剤である、前記(4)記載の医薬組成物;等に関するものである。
【0013】
本発明において、神経障害に伴う過活動膀胱とは、上記ICSの新たな用語基準により定義される過活動膀胱のうち、神経障害に起因するものをいう。神経障害としては、脳梗塞もしくは脳出血等の脳血管障害、パーキンソン病、脊髄損傷等の脊髄障害、糖尿病等に伴う末梢神経障害または多発性硬化症等が挙げられる。神経障害に伴う過活動膀胱には、神経因性膀胱(例えば、脳血管障害、脊髄障害、糖尿病性神経障害、多発性硬化症等によるものを含む)や不安定膀胱は含まれるが、前立腺肥大症等の下部尿路閉塞疾患に起因するものは含まれない。
【0014】
本発明者らは、脊髄損傷ラットを用いた薬理試験により、前記一般式(I)で表される化合物が、蓄尿時の不随意収縮頻度に対する抑制作用および排尿間隔に対する延長作用を示すことを確認した。これらの結果は、神経障害に伴う過活動膀胱における尿意切迫感および頻尿に対する当該化合物の有用性を裏付けるものであり、前記一般式(I)で表される化合物は、神経障害に伴う過活動膀胱の予防または治療に極めて有用であることが示された。
【0015】
前記一般式(I)で表される化合物において、低級アルキルとはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6の直鎖状および分枝状のアルキルを、低級アルコキシとは炭素数1〜6の直鎖状および分枝状のアルコキシを、シクロアルキルとは5〜7員環の環状アルキルをそれぞれいう。また、アリールとはフェニル、ナフチル等の芳香族炭化水素基を、芳香族アシルとは上記アリールを有するカルボン酸のアシルを、不飽和結合を有することもある脂肪族アシルとは炭素数2〜7からなる直鎖状および分枝状のアルキルカルボン酸または炭素数3〜7からなる直鎖状および分枝状のアルケニルカルボン酸のアシルを、脂肪族アシルオキシアルキルとは炭素数4〜13の上記脂肪族アシル基で置換された水酸基を有する上記低級アルキルをそれぞれいう。さらに、フロイルとは、2−フロイル、3−フロイルを、ピリジルカルボニルとは、2−ピリジルカルボニル、3−ピリジルカルボニルおよび4−ピリジルカルボニルを、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子をそれぞれいう。
【0016】
前記一般式(I)で表される化合物において、好ましい化合物としては、例えば、(−)−1−(3−ヒドロキシプロピル)−5−((2R)−2−{[2−({2−[(2,2,2−トリフロロエチル)オキシ]フェニル}オキシ)エチル]アミノ}プロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−カルボキサミドおよびその薬理学的に許容される塩(このうち二臭化水素酸塩を、以下、化合物1という)が挙げられる。
【0017】
前記一般式(I)で表される化合物の製法は種々知られており、文献記載の方法等により容易に製造することができる(前記特許文献1参照)。
【0018】
前記一般式(I)で表される化合物の薬理学的に許容される塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム等のような無機塩基との塩、モルホリン、ピペリジン等の有機アミンとの塩、塩酸、臭化水素酸、硫酸等の鉱酸との塩、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、(+)−カンファースルホン酸、(−)−カンファースルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、フマル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等の有機酸との塩等を挙げることができる。
【0019】
前記一般式(I)で表される化合物には、水和物やエタノール等の医薬品として許容される溶媒との溶媒和物も含まれる。また、本発明の当該化合物には、非晶物、結晶物を問わず、また単一の結晶多形もしくは二以上の結晶多形の混合物またはそれらと非晶形の混合物も含まれる。
【0020】
前記一般式(I)で表される化合物は少なくとも1個の不斉炭素を有しており、それぞれの不斉炭素において(R)配置および(S)配置の2つの立体配置が存在するが、本発明においてはいずれの配置の化合物でもよく、またそれらの混合物も含まれる。
【0021】
前記一般式(I)で表される化合物のうち、不飽和結合を有するものには、EおよびZの幾何学異性体が存在するが、本発明においてはいずれの化合物を使用してもよい。
【0022】
また、前記一般式(I)で表される化合物は、神経障害に伴う過活動膀胱に対して用いられる他の薬剤を1種以上組み合わせて使用することもできる。組み合わせて使用できる他の薬剤としては、例えば、抗コリン薬(トルテロジン、オキシブチニン、プロピベリン等)、抗不安薬、コリン作動薬(塩化ベタネコール等)、コリンエステラーゼ阻害薬(臭化ジスチグミン等)、鎮痙薬(フラボキセート等)、抗炎症薬、抗菌薬等を挙げることができる。
【0023】
前記一般式(I)で表される化合物と上記の他の薬剤を1種類又はそれ以上組合わせて使用する場合、本発明は、単一の製剤としての同時投与、別個の製剤としての同一又は異なる投与経路による同時投与、及び別個の製剤としての同一又は異なる投与経路による間隔をずらした投与のいずれの投与形態を含み、本発明の当該化合物と上記の他の薬剤を組合わせて用いられる医薬組成物とは、上記の如く単一製剤としての投与形態や別個の製剤を組み合わせた投与形態を含む。
【0024】
前記一般式(I)で表される化合物は、1種類又はそれ以上の上記の他の薬剤と適宜組合わせて使用することにより、上記の疾患の予防又は治療上相加効果以上の有利な効果を得ることができる。または、同様に、単独に使用する場合に比較してその使用量を減少させたり、或いは併用する上記の薬剤の副作用を回避又は軽減させることができる。
【0025】
本発明の医薬組成物を実際の治療に用いる場合、用法に応じ種々の剤型のものが使用される。このような剤型としては、例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤、注射剤、液剤、軟膏剤、坐剤、貼付剤等を挙げることができ、経口または非経口的に投与される。
【0026】
これらの医薬組成物は、その剤型に応じ調剤学上使用される手法により適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤等の医薬品添加物と適宜混合または希釈・溶解し、常法に従い調剤することにより製造することができる。また、他の薬剤を組合わせて使用する場合は、それぞれの活性成分を同時に或いは別個に上記同様に製剤化することにより製造することができる。
【0027】
例えば、散剤は、前記一般式(I)で表される化合物に、必要に応じ、適当な賦形剤、滑沢剤等を加えよく混和して散剤とする。
【0028】
例えば、錠剤は、前記一般式(I)で表される化合物に、必要に応じ、適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等を加え常法に従い打錠して錠剤とする。錠剤はまた必要に応じ、コーティングを施し、フィルムコート錠、糖衣錠、腸溶性皮錠等にすることができる。
【0029】
例えば、カプセル剤は、前記一般式(I)で表される化合物に、必要に応じ、適当な賦形剤、滑沢剤等を加えよく混和した後、適当なカプセルに充填してカプセル剤とする。更に、常法により顆粒あるいは細粒とした後充填してもよい。
【0030】
本発明の医薬組成物を実際の治療に用いる場合、その有効成分である前記一般式(I)で表される化合物の投与量は、患者の体重、年齢、性別、疾患および治療の程度等により適宜決定されるが、経口投与の場合成人1日当たり概ね0.5〜500 mgの範囲で、非経口投与の場合は、成人1日当たり概ね0.05 mg〜100 mgの範囲で一回または数回に分けて適宜投与することができる。また、上記の他の薬剤を組合わせて使用する場合、本発明の当該化合物の投与量は、他の薬剤の投与量に応じて減量することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の医薬組成物は、脊髄障害等の神経障害に伴う過活動膀胱における尿意切迫感および頻尿の指標としての不随意収縮頻度と排尿間隔に対し、優れた改善作用を示す。本発明により神経障害に伴う過活動膀胱の予防または治療に有用な医薬組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】ラット脊髄損傷過活動膀胱モデルの排尿間隔に対する作用を示す。□は、投与前、■は、化合物1のデータを示す。縦軸は、薬物投与前値に対する排尿間隔を百分率で示す。
【0033】
【図2】ラット脊髄損傷過活動膀胱モデルの蓄尿時に生じた不随意収縮の発生頻度に対する作用を示す。□は、投与前、■は、化合物1のデータを示す。縦軸は、薬物投与前値に対する不随意収縮の発生頻度を百分率で示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の内容を以下の実施例により更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0035】
脊髄損傷過活動膀胱モデルにおける排尿動態に対する作用
エーテル麻酔下の雌ラットの脊髄をTh10部位で切断し、脊損手術を行った。脊損手術約1ヶ月後、ラットをペントバルビタールにて麻酔し、膀胱に生理食塩液を満たしたカテーテルを挿入し結紮し、頸背部より導出し栓をした。カテーテル挿入約7日後に、頸静脈にヘパリン加生理食塩液を満たしたカテーテルを挿入結紮し、頸背部より導出し栓をした。翌日に、覚醒無拘束のラットにてシストメトリーを行った。膀胱内には12 mL/hrの流速で生理食塩液を注入した。頸背部より導出された頸静脈カテーテルより薬物を投与した。その結果、雌ラット脊損モデルでは、蓄尿時に不随意収縮が認められた。化合物1の静脈内投与(0.1 mg/kg)は、同モデルの排尿間隔を約20%延長し(図1)、蓄尿時に生じた不随意収縮の発生頻度を約20%抑制した(図2)。
【0036】
以上のように、前記一般式(I)で表される化合物は、脊髄損傷過活動膀胱モデルにおいて、尿意切迫感および頻尿の指標としての不随意収縮頻度と排尿間隔に対し優れた改善作用を示し、神経障害に伴う過活動膀胱の予防または治療に極めて有用であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の医薬組成物は、優れた尿意切迫感および頻尿の改善作用を示し、神経障害に伴う過活動膀胱の予防または治療剤として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
【化1】

(式中のRは置換基として水酸基、低級アルコキシ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基、シクロアルキル基、アリール基または1個ないしそれ以上のハロゲン原子を有していてもよく不飽和結合を有することもある脂肪族アシル基、ヒドロキシ低級アルキル基、脂肪族アシルオキシアルキル基、置換基として低級アルコキシ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基、アリール置換低級アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノまたはジ低級アルキル置換カルバモイル基またはシアノ基を有する低級アルキル基、置換基として1個ないしそれ以上のハロゲン原子を有していてもよい芳香族アシル基、フロイル基またはピリジルカルボニル基であり、Rはシアノ基またはカルバモイル基であり、Rは置換基としてシアノ基、アリール基または1個ないしそれ以上のハロゲン原子を有していてもよい低級アルキル基である)で表されるインドリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、神経障害に伴う過活動膀胱の予防または治療用医薬組成物。
【請求項2】
有効成分が、(−)−1−(3−ヒドロキシプロピル)−5−((2R)−2−{[2−({2−[(2,2,2−トリフロロエチル)オキシ]フェニル}オキシ)エチル]アミノ}プロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−カルボキサミドまたはその薬理学的に許容される塩である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
神経障害が、脳血管障害、パーキンソン病、脊髄障害、末梢神経障害または多発性硬化症である、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項4】
神経障害に伴う過活動膀胱に対して用いられる他の薬剤を1種以上組み合わせて使用される、請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
神経障害に伴う過活動膀胱に対して用いられる他の薬剤が、抗コリン薬、抗不安薬、コリン作動薬、コリンエステラーゼ阻害薬、鎮痙薬、抗炎症薬、抗菌薬から選択される薬剤である、請求項4記載の医薬組成物。



【図1】
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【図2】
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【国際公開番号】WO2005/085195
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【発行日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510642(P2006−510642)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002913
【国際出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000104560)キッセイ薬品工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】