説明

秘匿データ送信方法、秘匿データ受信方法、プログラム、装置、及び信号伝送システム、秘匿データ通信方法、並びに信号分岐装置

【課題】 ネットワーク層以上での暗号化処理を行うことなく、任意の2つの送受信装置の間で送受信されるデータのセキュリティを高めることのできる技術を提供する。
【解決手段】 送信装置10Bの利用する秘匿データ送信方法は、受信装置20Bに、秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示を含む信号を送信する指示送信ステップS122と、スクランブル信号を受信したか否かを判別するスクランブル信号受信判別ステップS123と、スクランブル信号を受信した後に、秘匿データの送信を開始するデータ送信開始ステップS124と、送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別するデータ有無判別ステップS125と、送信すべき秘匿データが無いか、または、スクランブル信号が受信されなくなった場合に、秘匿データの送信を停止するデータ送信停止ステップS126とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号を送受信する複数の送受信装置と、送受信装置間に設けられたリンクと、信号分岐装置とで構成され、ブロードキャスト方式により信号を伝送するシステムにおける信号伝送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク設備のコストを削減するため、長距離伝送可能な光伝送技術を利用することが注目を集めている。アクセス網において光伝送技術の長距離伝送可能性を利用する伝送方式として、GEPON(Gigabit Ethernet(登録商標)-Passive Optical Network)が知られている(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
このGEPONはループのないツリー状のネットワーク上で実現される。ネットワークの分岐点には光信号を分岐するカプラが設けられている。また、GEPONでは、光信号を送信する装置として、ONU(Optical Network Unit)とOLT(Optical Line Terminal)が存在している。OLTの下流にはユーザが利用するONUが配置されており、OLTは、ユーザから送られるデータを光信号に変換して他のONUに送信する役割を果たす。つまり、ONUから送られた光信号は一度OLTにより終端され、他のONUに送られるのである。このとき、複数のONUから同時に光信号がOLTに送信されると、ネットワーク内で信号同士が衝突するため、ONUから送信される信号の転送タイミングを調整することが必要となる。GEPONでは、OLTがONUに対し、光信号の転送開始時刻および転送終了時刻を通知することでこの調整を行っている。
【0004】
GEPONでは、ONUが出力する光信号は、ネットワークを構成するリンク(光ファイバ等)により物理的に接続されているONUすべてに到達する。つまり、GEPONはブロードキャスト型伝送方式を実現するものである。この方式は、高速スイッチを用いないので、大規模なスイッチの設計を必要とすることなく且つ低コストであるという利点がある。
【0005】
従来、ネットワーク上で契約を結んだユーザにのみコンテンツを配信し、契約ユーザにコンテンツを提供するサービスが行われている。つまり、ネットワーク上では、特定のユーザにだけ知らせて他のユーザには知られたくないデータ(秘匿データ)を送受信する必要がある。しかし、このようなコンテンツ提供サービスをGEPONで行うことを想定した場合、OLT(提供者)から特定のONU(ユーザ)にコンテンツを配送するときに、ブロードキャスト型伝送によって、すべてのONU(ユーザ)に対しデータが配送されることになる。
【0006】
そこで、契約していない悪意のユーザによってコンテンツが視聴されることを防止するための方策が必要となる。従来、ネットワーク上を流れるデータの暗号化を行う仕組みとしてIPsec(Security Architecture for Internet Protocol)が知られている。このIPsecは、OSI参照モデルの第3層のネットワーク層(IP層)での認証および暗号化を行うためのセキュリティ・プロトコルである。また、IPsecではコンテンツ提供者とユーザの間で暗号解読用の鍵を交換し、その鍵を用いてデータの暗号化及び解読を行うことができる。
【非特許文献1】「FTTHの最新技術を知る」、日経NETWORK、日経BP社、2004年6月、p.43−61
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
IPsecを使用するコンテンツ提供サービスでは、ユーザはコンテンツを取得したいときに契約を締結し、必要がなくなると解約する。解約後に、コンテンツ提供者から受けとった鍵を用いてコンテンツを取得できる状態は望ましくない。そこで、コンテンツ提供者は、ユーザごとにデータを用意し、それぞれのデータに異なる鍵を用いて暗号化を行った後にコンテンツを配信しなければならない。しかしながら、この暗号化自体が処理負荷を伴う作業であるという問題がある。
【0008】
特に多人数のユーザが存在する映画配信などのサービスでは、ユーザの人数に対応した多くの暗号化処理を行う高性能な計算機が必要となってしまい、このようなサービスの提供自体が困難となる。
【0009】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、ネットワーク層以上での暗号化処理を行うことなく、任意の2つの送受信装置の間で送受信されるデータのセキュリティを高めることのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の秘匿データ送信方法は、信号を送受信する複数の送受信装置と、任意の2つの送受信装置間に複数設けられた前記信号を伝送するリンクと、入力された信号を分岐する1つ以上の信号分岐装置とで構成され、複数の信号が前記リンクを同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容が消滅する信号伝送システムにおいて、秘匿データを送受信すべき任意の2つの前記送受信装置の一方である秘匿データ送信装置が実行する秘匿データ送信方法であって、前記送受信装置の他方である秘匿データ受信装置に、前記秘匿データ受信装置が前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示と、前記秘匿データとを含む信号の送信を開始するデータ送信開始ステップを有することを特徴とする。
【0011】
このような手順によれば、秘匿データ送信装置は、データ送信開始ステップで、秘匿データ受信装置に、秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示と、秘匿データとを含む信号の送信を開始する。ここで、秘匿データとは、例えば秘匿データ送信装置及び秘匿データ受信装置のユーザにだけ知られてもよいデータである。また、スクランブル信号とは、秘匿データ受信装置が秘匿データの受信と略同時に送信する信号のことであり、スクランブル信号の送信開始タイミングは、秘匿データの受信前及び受信中を含む。
【0012】
ここで、リンクは、例えば上り方向の信号と下り方向の信号とを分離して伝送する光ファイバや全二重式のケーブルである。この送信指示と秘匿データとを含む信号と、スクランブル信号とは、秘匿データ送信装置と秘匿データ受信装置を最短で結ぶリンクにおいて逆方向に進行して互いに伝送先に到達する。一方、この送信指示と秘匿データとを含む信号と、スクランブル信号とは、秘匿データ送信装置と秘匿データ受信装置を除く他の送受信装置に接続されたリンクにおいて、同時に同方向に進行するために衝突して変形する。したがって、秘匿データ送信装置から送信された信号に含まれる秘匿データは消滅する。これによって、他の送受信装置においては、秘匿データを読み取ることができなくなる。その結果、秘匿データ送信装置から秘匿データ受信装置へのデータ伝送のセキュリティを高めることが可能になる。また、外部から受信した秘匿データ受信装置宛の秘匿データを、受信後すぐに転送できるため、転送遅延は小さくなる。
【0013】
請求項2に記載の秘匿データ送信方法は、信号を送受信する複数の送受信装置と、任意の2つの送受信装置間に複数設けられた前記信号を伝送するリンクと、入力された信号を分岐する1つ以上の信号分岐装置とで構成され、複数の信号が前記リンクを同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容が消滅する信号伝送システムにおいて、秘匿データを送受信すべき任意の2つの前記送受信装置の一方である秘匿データ送信装置が実行する秘匿データ送信方法であって、前記送受信装置の他方である秘匿データ受信装置に、前記秘匿データ受信装置が前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示を含む信号を送信する指示送信ステップと、前記信号を送信した後に、前記秘匿データを含む信号の送信を開始するデータ送信開始ステップとを有することを特徴とする。
【0014】
このような手順によれば、秘匿データ送信装置は、指示送信ステップで、秘匿データ受信装置に、秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示を含む信号を送信する。ここで、秘匿データとは、例えば秘匿データ送信装置及び秘匿データ受信装置のユーザにだけ知られてもよいデータである。また、スクランブル信号とは、秘匿データ受信装置が秘匿データの受信と略同時に送信する信号のことであり、スクランブル信号の送信開始タイミングは、秘匿データの受信前及び受信中を含む。そして、秘匿データ送信装置は、データ送信開始ステップで、送信指示を含む信号を送信した後に、秘匿データを含む信号の送信を開始する。
【0015】
この秘匿データを含む信号と、スクランブル信号とは、秘匿データ送信装置と秘匿データ受信装置を最短で結ぶリンクにおいて逆方向に進行して互いに伝送先に到達する。一方、この秘匿データを含む信号と、スクランブル信号とは、秘匿データ送信装置と秘匿データ受信装置を除く他の送受信装置に接続されたリンクにおいて、同時に同方向に進行するために衝突して変形する。その結果、秘匿データ送信装置から秘匿データ受信装置へのデータ伝送のセキュリティを高めることが可能になる。また、送信指示を含む信号を送信してからすぐに秘匿データを送信するようにすれば、外部から受信した秘匿データ受信装置宛の秘匿データを、受信後すぐに転送できる。
【0016】
請求項3に記載の秘匿データ送信方法は、請求項1または請求項2に記載の秘匿データ送信方法において、前記スクランブル信号の送信指示に、前記秘匿データ送信装置及び秘匿データ受信装置双方が信号の送信を停止する契機を示す停止契機を追加する停止契機追加ステップをさらに有することを特徴とする。
【0017】
このような手順によれば、秘匿データ送信装置は、停止契機追加ステップで、スクランブル信号の送信指示に、秘匿データ送信装置及び秘匿データ受信装置双方が信号の送信を停止する契機を示す停止契機を追加する。ここで、停止契機は、例えば時刻、送信指示が到着してからの時間や受信パケット数等である。そして、秘匿データ送信装置は、指示送信ステップまたはデータ送信開始ステップで、停止契機が追加された送信指示を秘匿データ受信装置に送信する。これによって、秘匿データ受信装置は、停止契機に基づいて、スクランブル信号の送信を停止することができる。
【0018】
請求項4に記載の秘匿データ送信方法は、請求項2に記載の秘匿データ送信方法において、前記スクランブル信号を受信したか否かを判別するスクランブル信号受信判別ステップをさらに有し、前記データ送信開始ステップは、前記スクランブル信号を受信した後に、前記秘匿データの送信を開始することを特徴とする。
【0019】
このような手順によれば、秘匿データ送信装置は、スクランブル信号受信判別ステップで、スクランブル信号を受信したか否かを判別する。そして、スクランブル信号を受信した後に、秘匿データ送信装置は、データ送信開始ステップで秘匿データの送信を開始する。したがって、ネットワークにスクランブル信号が伝送されている状態で、秘匿データを含む信号の伝送が開始される。つまり、スクランブル信号がない状態で秘匿データが伝送されることを防止できる。その結果、秘匿データ送信装置から秘匿データ受信装置へのデータ伝送のセキュリティをさらに高めることが可能になる。
【0020】
請求項5に記載の秘匿データ送信方法は、請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の秘匿データ送信方法において、前記スクランブル信号の送信指示に、前記秘匿データ送信装置及び秘匿データ受信装置双方が信号の送信を開始する契機を示す開始契機を追加する開始契機追加ステップをさらに有することを特徴とする。
【0021】
このような手順によれば、秘匿データ送信装置は、開始契機追加ステップで、スクランブル信号の送信指示に、秘匿データ送信装置及び秘匿データ受信装置双方が信号の送信を開始する契機を示す開始契機を追加する。ここで、開始契機は、例えば時刻、送信指示が到着してからの時間や受信パケット数等である。そして、秘匿データ送信装置は、指示送信ステップで、開始契機が追加された送信指示を秘匿データ受信装置に送信する。これによって、秘匿データ受信装置は、開始契機に基づいて、スクランブル信号の送信を開始することができる。
【0022】
請求項6に記載の秘匿データ送信方法は、信号を送受信する複数の送受信装置と、任意の2つの送受信装置間に複数設けられた前記信号を伝送するリンクと、入力された信号を分岐する1つ以上の信号分岐装置とで構成され、複数の信号が前記リンクを同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容が消滅する信号伝送システムにおいて、秘匿データを送受信すべき任意の2つの前記送受信装置の一方である秘匿データ送信装置が実行する秘匿データ送信方法であって、前記送受信装置の他方である秘匿データ受信装置に、前記秘匿データ受信装置が前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示を少なくとも含む信号を送信する指示送信ステップと、前記スクランブル信号を受信したか否かを判別するスクランブル信号受信判別ステップと、前記スクランブル信号を受信した後に、前記秘匿データの送信を開始するデータ送信開始ステップと、送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別するデータ有無判別ステップと、送信すべき秘匿データが無いか、または、前記スクランブル信号が受信されなくなった場合に、前記秘匿データの送信を停止するデータ送信停止ステップとを有することを特徴とする。
【0023】
このような手順によれば、秘匿データ送信装置は、指示送信ステップで、秘匿データ受信装置に、秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示を含む信号を送信し、スクランブル信号受信判別ステップで、スクランブル信号を受信したか否かを判別する。そして、スクランブル信号を受信した後に、秘匿データ送信装置は、データ送信開始ステップで、秘匿データの送信を開始する。したがって、スクランブル信号がない状態で秘匿データが伝送されることを防止できる。また、秘匿データ送信装置は、データ有無判別ステップで、送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別し、送信すべき秘匿データが無いか、または、スクランブル信号が受信されなくなった場合に、データ送信停止ステップで、秘匿データの送信を停止する。したがって、スクランブル信号がない状態で秘匿データが伝送されることを防止できる。
【0024】
請求項7に記載の秘匿データ送信方法は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の秘匿データ送信方法において、送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別するデータ有無判別ステップと、送信すべき秘匿データが無いか、または、前記スクランブル信号が受信されなくなった場合に、前記秘匿データの送信を停止するデータ送信停止ステップとをさらに有することを特徴とする。
【0025】
このような手順によれば、秘匿データ送信装置は、データ有無判別ステップで、送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別する。そして、送信すべき秘匿データが無いか、または、スクランブル信号が受信されなくなった場合に、秘匿データ送信装置は、データ送信停止ステップで、秘匿データの送信を停止する。したがって、ネットワークにスクランブル信号が伝送されている状態で、秘匿データを含む信号が伝送される。つまり、スクランブル信号がない状態で秘匿データが伝送されることを防止できる。その結果、秘匿データ送信装置から秘匿データ受信装置へのデータ伝送のセキュリティをさらに高めることが可能になる。
【0026】
請求項8に記載の秘匿データ送信方法は、請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の秘匿データ送信方法において、送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別するデータ有無判別ステップと、前記停止契機となったか否かを判別する停止契機判別ステップと、送信すべき秘匿データが無いか、前記停止契機となったか、前記スクランブル信号が受信されなくなった場合のいずれかに、前記秘匿データの送信を停止するデータ送信停止ステップとをさらに有することを特徴とする。
【0027】
このような手順によれば、秘匿データ送信装置は、データ有無判別ステップで、送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別し、停止契機判別ステップで、停止契機となったか否かを判別する。そして、送信すべき秘匿データが無いか、停止契機となったか、スクランブル信号が受信されなくなった場合のいずれかに、秘匿データ送信装置は、データ送信停止ステップで秘匿データの送信を停止する。例えば停止契機となった場合には、秘匿データ送信装置及び秘匿データ受信装置双方が同時に信号の送信を停止することとなり、スクランブル信号がない状態で秘匿データが伝送されることを防止できる。また、このシステムでは、スクランブル信号が流れている間、秘匿データの送受信を行っている送受信装置以外の他の装置はデータを送信できないが、停止契機を定めて秘匿データ受信装置に対してスクランブル信号の送信を停止させることで、他の装置がデータを送信することが可能となり、システム全体のスループットを向上させることができる。
【0028】
請求項9に記載の秘匿データ受信方法は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の秘匿データ送信方法を利用した秘匿データ送信装置から送信された信号を受信する秘匿データ受信装置の秘匿データ受信方法であって、前記受信した信号に含まれる送信指示に基づいて、前記秘匿データ送信装置に前記スクランブル信号の送信を開始するスクランブル信号送信開始ステップと、前記秘匿データを含む信号を受信したか否かを判別する受信データ有無判別ステップと、前記秘匿データを含む信号の受信停止を検知した場合に、前記スクランブル信号の送信を停止するスクランブル信号送信停止ステップとを有することを特徴とする。
【0029】
このような手順によれば、秘匿データ受信装置は、受信した信号に含まれる送信指示に基づいて、スクランブル信号送信開始ステップで、秘匿データ送信装置にスクランブル信号の送信を開始する。そして、秘匿データ受信装置は、受信データ有無判別ステップで、秘匿データを含む信号を受信したか否かを判別し、秘匿データを含む信号の受信停止を検知した場合に、スクランブル信号送信停止ステップで、スクランブル信号の送信を停止する。したがって、秘匿データの受信中には、スクランブル信号の送信が継続される。その結果、秘匿データ送信装置から秘匿データ受信装置へのデータ伝送のセキュリティを高めることが可能になる。
【0030】
請求項10に記載の秘匿データ受信方法は、請求項8に記載の秘匿データ送信方法を利用した秘匿データ送信装置から送信された信号を受信する秘匿データ受信装置の秘匿データ受信方法であって、前記受信した信号に含まれる送信指示に基づいて、前記秘匿データ送信装置に前記スクランブル信号の送信を開始するスクランブル信号送信開始ステップと、前記秘匿データを含む信号を受信したか否かを判別する受信データ有無判別ステップと、前記停止契機となったか否かを判別する停止契機判別ステップと、前記停止契機となったと判別するか、または、前記秘匿データを含む信号の受信停止を検知した場合に、前記スクランブル信号の送信を停止するスクランブル信号送信停止ステップとを有することを特徴とする。
【0031】
このような手順によれば、秘匿データ受信装置は、受信した信号に含まれる送信指示に基づいて、スクランブル信号送信開始ステップで、秘匿データ送信装置にスクランブル信号の送信を開始する。そして、秘匿データ受信装置は、停止契機判別ステップで、停止契機となったか否かを判別すると共に、受信データ有無判別ステップで、秘匿データを含む信号を受信したか否かを判別する。さらに、秘匿データ受信装置は、停止契機となったと判別するか、または、秘匿データを含む信号の受信停止を検知した場合に、スクランブル信号送信停止ステップで、スクランブル信号の送信を停止する。したがって、秘匿データの受信中には、スクランブル信号の送信が継続される。また、このシステムでは、スクランブル信号が流れている間、秘匿データの送受信を行っている送受信装置以外の他の装置はデータを送信できないが、例えば停止契機にスクランブル信号の送信を停止することで、他の装置がデータを送信することが可能となり、システム全体のスループットを向上させることができる。
【0032】
請求項11に記載の秘匿データ送信プログラムは、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の秘匿データ送信方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。このように構成されることにより、このプログラムをインストールされたコンピュータは、このプログラムに基づいた各機能を実現することができる。
【0033】
請求項12に記載の秘匿データ受信プログラムは、請求項9または請求項10に記載の秘匿データ受信方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。このように構成されることにより、このプログラムをインストールされたコンピュータは、このプログラムに基づいた各機能を実現することができる。
【0034】
請求項13に記載の秘匿データ送信装置は、信号を送受信する複数の送受信装置と、任意の2つの送受信装置間に複数設けられた前記信号を伝送するリンクと、入力された信号を分岐する1つ以上の信号分岐装置とで構成され、複数の信号が前記リンクを同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容が消滅する信号伝送システムにおいて、秘匿データを送受信すべき任意の2つの前記送受信装置の一方である秘匿データ送信装置であって、前記送受信装置の他方である秘匿データ受信装置に、前記秘匿データ受信装置が前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示と、前記秘匿データとを含む信号の送信を開始するデータ送信開始手段と、送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別するデータ有無判別手段と、送信すべき秘匿データが無いか、または、前記スクランブル信号が受信されなくなった場合に、前記秘匿データの送信を停止するデータ送信停止手段とを備えることを特徴とする。
【0035】
かかる構成によれば、秘匿データ送信装置は、データ送信開始手段によって、秘匿データ受信装置に、秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示と秘匿データとを含む信号の送信を開始する。そして、秘匿データ送信装置は、データ有無判別手段によって、送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別する。送信すべき秘匿データが無いか、または、スクランブル信号が受信されなくなった場合に、データ送信停止手段によって、秘匿データの送信を停止する。したがって、秘匿データを含む信号の送信を開始する際には、外部から受信した秘匿データ受信装置宛の秘匿データを、受信後すぐに転送できるため、転送遅延は小さくなる。また、秘匿データを含む信号の送信を停止する際には、スクランブル信号がない状態で秘匿データが伝送されることを防止できる。
【0036】
請求項14に記載の秘匿データ送信装置は、信号を送受信する複数の送受信装置と、任意の2つの送受信装置間に複数設けられた前記信号を伝送するリンクと、入力された信号を分岐する1つ以上の信号分岐装置とで構成され、複数の信号が前記リンクを同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容が消滅する信号伝送システムにおいて、秘匿データを送受信すべき任意の2つの前記送受信装置の一方である秘匿データ送信装置であって、前記送受信装置の他方である秘匿データ受信装置に、前記秘匿データ受信装置が前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示を少なくとも含む信号を送信する指示送信手段と、前記信号を送信した後に、前記秘匿データの送信を開始するデータ送信開始手段と、送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別するデータ有無判別手段と、送信すべき秘匿データが無いか、または、前記スクランブル信号が受信されなくなった場合に、前記秘匿データの送信を停止するデータ送信停止手段とを備えることを特徴とする。
【0037】
かかる構成によれば、秘匿データ送信装置は、指示送信手段によって、秘匿データ受信装置に、秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示を含む信号を送信し、信号を送信した後に、データ送信開始手段によって、秘匿データの送信を開始する。そして、秘匿データ送信装置は、データ有無判別手段によって、送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別する。送信すべき秘匿データが無いか、または、スクランブル信号が受信されなくなった場合に、データ送信停止手段によって、秘匿データの送信を停止する。したがって、秘匿データを含む信号の送信を開始する際に、送信指示を含む信号を送信してからすぐに秘匿データを送信するようにすれば、外部から受信した秘匿データ受信装置宛の秘匿データを、受信後すぐに転送できるため、転送遅延は小さくなる。また、秘匿データを含む信号の送信を停止する際には、スクランブル信号がない状態で秘匿データが伝送されることを防止できる。
【0038】
請求項15に記載の秘匿データ受信装置は、請求項13または請求項14に記載の秘匿データ送信装置から送信された信号を受信する秘匿データ受信装置であって、前記受信した信号に含まれる送信指示に基づいて、前記秘匿データ送信装置に前記スクランブル信号の送信を開始するスクランブル信号送信開始手段と、前記秘匿データを含む信号を受信したか否かを判別する受信データ有無判別手段と、前記秘匿データを含む信号の受信停止を検知した場合に、前記スクランブル信号の送信を停止するスクランブル信号送信停止手段とを備えることを特徴とする。
【0039】
かかる構成によれば、秘匿データ受信装置は、受信した信号に含まれる送信指示に基づいて、スクランブル信号送信開始手段によって、秘匿データ送信装置にスクランブル信号の送信を開始する。そして、秘匿データ受信装置は、受信データ有無判別手段によって、秘匿データを含む信号を受信したか否かを判別し、秘匿データを含む信号の受信停止を検知した場合に、スクランブル信号送信停止手段によって、スクランブル信号の送信を停止する。したがって、秘匿データの受信中には、スクランブル信号の送信が継続される。その結果、秘匿データ送信装置から秘匿データ受信装置へのデータ伝送のセキュリティを高めることが可能になる。
【0040】
請求項16に記載の信号伝送システムは、信号を送受信する複数の送受信装置と、任意の2つの送受信装置間に複数設けられた前記信号を伝送するリンクと、入力された信号を分岐する1つ以上の信号分岐装置とで構成され、複数の信号が前記リンクを同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容が消滅する信号伝送システムにおいて、秘匿データを送受信すべき任意の2つの前記送受信装置の一方である秘匿データ送信装置は、前記送受信装置の他方である秘匿データ受信装置に送信する秘匿データを前記信号伝送システムの外部から取得する取得手段と、前記外部から取得した秘匿データを格納するメモリと、前記秘匿データ受信装置が前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号を前記秘匿データ受信装置から受信しているか否かを判別するスクランブル信号受信判別手段と、前記スクランブル信号を受信している場合に、前記秘匿データ受信装置に対して前記メモリに格納された秘匿データを含む信号の送信を開始するデータ送信開始手段とを備え、前記秘匿データ受信装置は、前記秘匿データを受信するために予め定められた開始契機に前記秘匿データ送信装置に対して前記スクランブル信号の送信を開始するスクランブル信号送信開始手段と、予め定められた信号停止契機に前記スクランブル信号の送信を停止するスクランブル信号送信停止手段とを備えることを特徴とする。
【0041】
かかる構成によれば、秘匿データ送信装置は、取得手段によって、秘匿データ受信装置に送信する秘匿データを信号伝送システムの外部から取得しメモリに格納しておく。一方、秘匿データ受信装置は、スクランブル信号送信開始手段によって、秘匿データを受信するために予め定められた開始契機に秘匿データ送信装置に対してスクランブル信号の送信を開始し、スクランブル信号送信停止手段によって、予め定められた停止契機にスクランブル信号の送信を停止する。ここで、開始契機及び停止契機は、例えば秘匿データ受信装置において秘匿データを必要とするアプリケーションプログラムの起動開始時間及び起動終了時間としてもよい。また、秘匿データ受信装置が秘匿データ送信装置宛てのデータを取得したことを開始契機として、送信すべき取得データが尽きたことを停止契機としてもよい。そして、秘匿データ送信装置は、スクランブル信号受信判別手段によって、秘匿データ受信装置から秘匿データを受信するためのスクランブル信号を受信しているか否かを判別し、スクランブル信号を受信している場合に、データ送信開始手段によって、秘匿データ受信装置に対してメモリに格納された秘匿データを含む信号の送信を開始する。これによれば、秘匿データ受信装置が秘匿データ送信装置に対してスクランブル信号の送信を開始したことを契機に、秘匿データの送信が開始される。したがって、秘匿データ受信装置を操作するユーザが主体的に秘匿データを取得することができる。また、このシステムでは、スクランブル信号が流れている間、秘匿データの送受信を行っている送受信装置以外の他の装置はデータを送信できないが、停止契機にスクランブル信号の送信を停止することで、他の装置がデータを送信することが可能となり、システム全体のスループットを向上させることができる。
【0042】
請求項17に記載の信号伝送システムは、請求項16に記載の信号伝送システムにおいて、秘匿データ受信装置は、信号伝送システムの外部から秘匿データ送信装置に送信すべき所定のデータを取得したか否かを判別する取得データ判別手段をさらに備え、所定のデータを取得しない場合に、データを含まない空データの信号をスクランブル信号として送信することを特徴とする。
【0043】
かかる構成によれば、秘匿データ受信装置は、取得データ判別手段によって、信号伝送システムの外部から秘匿データ送信装置に送信すべき所定のデータを取得したか否かを判別する。そして、秘匿データ受信装置は、所定のデータを取得した場合には、このデータでスクランブル信号を生成し、所定のデータを取得しない場合に、データを含まない空データでスクランブル信号を生成する。なお、スクランブル信号を生成送信する期間は、予め定められており、例えばアプリケーションの起動時間である。
【0044】
請求項18に記載の秘匿データ通信方法は、信号を送受信する複数の送受信装置と、任意の2つの送受信装置間に複数設けられた前記信号を伝送するリンクと、入力された信号を分岐する1つ以上の信号分岐装置とで構成され、複数の信号が前記リンクを同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容が消滅する信号伝送システムにおいて、秘匿データを送受信すべき任意の2つの前記送受信装置である秘匿データ送信装置及び秘匿データ受信装置が実行する秘匿データ通信方法であって、前記秘匿データ送信装置は、前記秘匿データ受信装置に送信する秘匿データを前記信号伝送システムの外部から取得する秘匿データ取得ステップと、前記外部から取得した秘匿データをメモリに格納する格納ステップとを有し、前記秘匿データ受信装置は、前記秘匿データを受信するために予め定められた開始契機に前記秘匿データ送信装置に対して、前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信を開始するスクランブル信号送信開始ステップを有し、前記秘匿データ受信装置が前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号を前記秘匿データ受信装置から受信しているか否かを判別するスクランブル信号受信判別ステップと、前記スクランブル信号を受信している場合に、前記秘匿データ受信装置に対して前記メモリに格納された秘匿データを含む信号の送信を開始するデータ送信開始ステップとを有し、前記秘匿データ受信装置は、予め定められた停止契機に前記スクランブル信号の送信を停止するスクランブル信号送信停止ステップを有することを特徴とする。
【0045】
このような手順によれば、秘匿データ送信装置は、秘匿データ取得ステップで、秘匿データ受信装置に送信する秘匿データを信号伝送システムの外部から取得し、格納ステップで、外部から取得した秘匿データをメモリに格納しておく。そして、秘匿データ受信装置は、スクランブル信号送信開始ステップで、秘匿データを受信するために予め定められた開始契機に秘匿データ送信装置に対して、秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信を開始する。一方、秘匿データ送信装置は、スクランブル信号受信判別ステップで、秘匿データ受信装置からスクランブル信号を受信しているか否かを判別し、スクランブル信号を受信している場合に、データ送信開始ステップで、秘匿データ受信装置に対してメモリに格納された秘匿データを含む信号の送信を開始する。また、秘匿データ受信装置は、スクランブル信号送信停止ステップで、予め定められた停止契機にスクランブル信号の送信を停止する。これによって、秘匿データ受信装置は、秘匿データ送信装置に対してスクランブル信号を送信している間に秘匿データを受信できる。したがって、秘匿データ受信装置を操作するユーザが主体的に秘匿データを取得することができる。また、このシステムでは、スクランブル信号が流れている間、秘匿データの送受信を行っている送受信装置以外の他の装置はデータを送信できないが、停止契機にスクランブル信号の送信を停止することで、他の装置がデータを送信することが可能となり、システム全体のスループットを向上させることができる。
【0046】
請求項19に記載の秘匿データ通信方法は、請求項18に記載の秘匿データ通信方法において、前記秘匿データ受信装置は、前記信号伝送システムの外部から前記秘匿データ送信装置に送信すべき所定のデータを取得したか否かを判別する取得データ判別ステップをさらに有し、前記所定のデータを取得しない場合に、データを含まない空データの信号を前記スクランブル信号として送信することを特徴とする。
【0047】
このような手順によれば、秘匿データ受信装置は、取得データ判別ステップで、信号伝送システムの外部から秘匿データ送信装置に送信すべき所定のデータを取得したか否かを判別し、所定のデータを取得した場合には、このデータでスクランブル信号を生成し、所定のデータを取得しない場合に、データを含まない空データでスクランブル信号を生成する。
【0048】
請求項20に記載の信号分岐装置は、請求項13または請求項14に記載の秘匿データ送信装置、あるいは、請求項15に記載の秘匿データ受信装置と共に前記信号伝送システムを構成するか、あるいは、請求項16または請求項17に記載の信号伝送システムを構成し、信号の伝送経路を複数備えたスイッチ部と、所定の入力信号を分岐して前記複数の伝送経路に入力する複数の信号分岐素子と、前記複数の伝送経路から入力される信号を結合して出力する複数の信号結合素子と、を有する信号分岐装置であって、前記スイッチ部は、前記各伝送経路を形成する一端と他端と間に、前記信号を一方向にのみ伝送させる信号導通素子を備えることを特徴とする。
【0049】
かかる構成によれば、信号分岐装置は、スイッチ部に、信号を一方向にのみ伝送させる信号導通素子を設けた信号伝送経路を複数備える。したがって、ある1つのリンクを通して一方向(例えば上り方向)の信号が信号分岐装置に入力した場合、スイッチ部において、逆方向(例えば下り方向)の信号は発生しない。そのため、送受信装置(秘匿データ送信装置、秘匿データ受信装置)間でこの信号分岐装置を介して電気信号を伝送することができる。このとき、複数の電気信号がリンクを同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容が消滅する。その結果、本発明の秘匿データ送信方法を銅線のアクセス網に適用することが可能になる。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、任意の2つの送受信装置からリンクに略同時に信号を送信できる。したがって、リンクに接続された他の送受信装置に伝送される信号に含まれるデータの内容が消滅する。その結果、ネットワーク層以上での暗号化処理を行うことなく、任意の2つの送受信装置の間で送受信されるデータのセキュリティを高めることができる。その結果、映画などのコンテンツを安全に送信できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
[信号伝送システムの構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る送信装置及び受信装置を含む信号伝送システムの構成図である。信号伝送システム1は、図1に示すように、ループのないツリー構造のネットワークであり、複数(図では4個)の送受信装置2と、複数(図では5本)のリンク3と、1つ以上(図では2個)の信号分岐装置4とを備えている。
【0052】
送受信装置2は、例えばONUを構成するルータであり、信号伝送システム1のツリー構造の端部に配置され、所定の信号を他の送受信装置2に出力すると共に、他の送受信装置2から出力された信号を入力するものである。送受信装置2が出力する信号は、リンク3により物理的に接続されているすべての送受信装置2に到達する(ブロードキャスト型伝送)。また、送受信装置2は、送信元及び宛先を識別するための識別子(例えばIPアドレス等)を信号に添付して信号を出力するので、信号を受信した送受信装置2は、到着した信号の送信元及び宛先を検出することができる。また、送受信装置2は、信号の送信を開始/停止するタイミングをメモリに記録し、メモリに記録されたタイミングで送信動作が実行できるように構成されている。なお、送受信装置2が送受信する信号は光信号や電気信号である。
【0053】
リンク3は、任意の2つの送受信装置2間に複数設けられて信号を伝送するものであり、例えば上り方向の光信号と下り方向の光信号とを分離して伝送する光ファイバや全二重式のケーブルである。したがって、複数の信号がリンク3を同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容は消滅する。
信号分岐装置4は、例えばスプリッタであり、入力された信号を分岐するものである。
【0054】
以下では、任意の2つの送受信装置2の間で、秘匿データを含んだ信号を送受信する場合を想定し、秘匿データを送信する送受信装置2を送信装置(秘匿データ送信装置)10、秘匿データを受信する送受信装置2を受信装置(秘匿データ受信装置)20として説明する。ここで秘匿データとは、送信装置10及び受信装置20のユーザにだけ知られてもよいデータである。つまり、送信装置10及び受信装置20のユーザ以外には知られないようにするデータである。なお、送信装置10及び受信装置20以外の送受信装置2を部外者装置30とし、部外者装置30のユーザは、秘匿データの視聴を許可されていないものとする。このような秘匿データ送受信モードは、例えば所定のアプリケーションプログラム(以下、単にアプリケーションという)を起動することにより実現できる。
【0055】
[スクランブル信号]
まず、送信装置10、受信装置20及び部外者装置30の間で伝送される信号を図2を参照して説明する。図2は、図1に示した送信装置と受信装置の間で伝送される信号を説明するための説明図である。ここでは、図1に示した信号伝送システム1を単純化して、図2の(a)に示すように、送信装置10と、信号分岐装置4と、受信装置20と、部外者装置30とがリンク3で接続されていることとする。
送信装置10が秘匿データを含む信号を送信すると、図2の(b)に示すように、秘匿データを含む信号は信号分岐装置4を通過して受信装置20と部外者装置30に伝送される。また、受信装置20が所定の信号を送信すると、図2の(c)に示すように、この信号は信号分岐装置4を通過して送信装置10と部外者装置30に伝送される。
【0056】
ここで、送信装置10と受信装置20とが略同時に信号を送信する場合を想定する。すると、図2の(d)に示すように、信号分岐装置4と受信装置20との間のリンク3では、符号2001で示すように、各信号の伝送方向は異なる。すなわち、このリンク3では、各信号は上り方向の伝送媒体を通過するものと、下り方向の伝送媒体を通過するものとに分離される。よって、受信装置20は、送信装置10から秘匿データを取得することができる。
【0057】
一方、信号分岐装置4と部外者装置30との間のリンク3では、符号2002で示すように、各信号の伝送方向は同じである。すなわち、このリンク3では、各信号は1つの伝送媒体を通過しようとして衝突する。これによって、各信号に重畳されているデータは消失することになる。その結果、部外者装置30は、送信装置10から送信される秘匿データを取得することができない。このように、送信装置10から秘匿データを含む信号が送信されるときに、略同時に受信装置20から送信される信号のことを、本明細書ではスクランブル信号と定義する。なお、スクランブル信号にはデータを含んでいなくてもよい。
【0058】
[送信装置]
図3は、図1に示した送信装置の構成を示すブロック図である。図3に示すように、送信装置10では、入力手段11と、出力手段12と、RAM(Random Access Memory)13と、HDD(Hard Disk Drive)14と、CPU(Central Processing Unit)15とがバス16を介して相互に接続されている。
【0059】
入力手段11は、例えば通信インタフェース等から構成され、所定の命令や情報を入力するものである。
出力手段12は、例えば通信インタフェース等から構成され、所定の情報を出力するものである。
RAM13は、半導体メモリや磁気メモリなどの書き換え可能な記憶手段であり、CPU15による演算処理等に利用されると共に、入力手段11を介して取得した情報等を記憶するものである。
【0060】
HDD14は、所定のプログラムや、CPU15の処理結果等を格納するものである。このHDD14は、データを送信する宛先毎に複数のバッファ(キュー、図3に示す例では2つのバッファ141,142)を有している。これらのバッファ141,142には、それぞれ入力手段11から入力される宛先別データ143,144が格納されている。宛先別データ143,144には、宛先となる受信装置20を示す識別子が添付されている。これにより、データを受信した受信装置20は、添付されている識別子が、この該当する受信装置20を指し示す場合にのみデータを受け取るようになっている。なお、以下では、バッファ141に受信装置20宛ての秘匿データ、バッファ142に受信装置20宛ての所定のデータ(秘匿データではない)を格納することとする。
【0061】
CPU15は、前記した入力手段11、出力手段12、RAM13及びHDD14を制御すると共に、秘匿データを含む信号を受信装置20に送信するものであり、図3に示すように、指示作成手段151と、指示送信手段152と、データ送信開始手段153と、データ有無判別手段154と、データ送信停止手段155として機能する。
【0062】
指示作成手段151は、受信装置20が秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示(メッセージ)を作成し、指示送信手段152に出力するものである。このメッセージは、スクランブル信号の送信先を示す識別子でもよい。ここで、スクランブル信号とは、受信装置20が秘匿データの受信と略同時に送信する信号のことである。
指示送信手段152は、指示作成手段151で作成されたメッセージを受信装置20に送信するものである。
【0063】
データ送信開始手段153は、指示送信手段152でメッセージを送信した後すぐに、受信装置20に対応したバッファ141に格納されている秘匿データを読み出し、読み出した秘匿データの送信を開始するものである。
データ有無判別手段154は、受信装置20に対応したバッファ141に送信すべき秘匿データがまだ格納されているか否かを判別し、判別結果をデータ送信停止手段155に出力するものである。
データ送信停止手段155は、データ有無判別手段154によって、受信装置20に対応したバッファ141に送信すべき秘匿データが格納されていないと判別された場合に、受信装置20に対する秘匿データの送信を停止するものである。
【0064】
なお、前記した指示作成手段151、指示送信手段152、データ送信開始手段153、データ有無判別手段154及びデータ送信停止手段155は、CPU15がHDD14に格納された所定のプログラムをRAM13に展開して実行することにより実現されるものである。
【0065】
[受信装置]
図4は、図1に示した受信装置の構成を示すブロック図である。図4に示すように、受信装置20では、入力手段21と、出力手段22と、RAM23と、HDD24と、CPU25とがバス26を介して相互に接続されている。
【0066】
入力手段21、出力手段22、RAM23及びHDD24は、送信装置10の構成と同様なので説明を省略する。なお、HDD24は、バッファ241,242を有し、これらのバッファ241,242に宛先別データ243,244をそれぞれ記憶する。なお、以下では、バッファ241に送信装置10宛ての秘匿データ、バッファ242に送信装置10宛ての所定のデータ(秘匿データではない)を格納することとする。
【0067】
CPU25は、前記した入力手段21、出力手段22、RAM23及びHDD24を制御すると共に、スクランブル信号を送信装置10に送信するものであり、図4に示すように、スクランブル信号送信開始手段251と、受信データ有無判別手段252と、スクランブル信号送信停止手段253として機能する。
【0068】
スクランブル信号送信開始手段251は、所定のタイミングでスクランブル信号を生成し、生成したスクランブル信号の送信を開始するものである。所定のタイミングは、例えば、送信装置10からメッセージが到着してすぐ、予め指定された時刻等である。なお、スクランブル信号は、送信装置10宛てのデータを含んでもよい。
受信データ有無判別手段252は、送信装置10から秘匿データを受信しているか否かを判別し、判別結果をスクランブル信号送信停止手段253に出力するものである。
スクランブル信号送信停止手段253は、受信データ有無判別手段252によって、送信装置10から秘匿データを受信していないと判別された場合に、スクランブル信号の送信を停止するものである。
【0069】
なお、前記したスクランブル信号送信開始手段251、受信データ有無判別手段252及びスクランブル信号送信停止手段253は、CPU25がHDD24に格納された所定のプログラムをRAM23に展開して実行することにより実現されるものである。
【0070】
[信号分岐装置]
図5は、図1に示した信号分岐装置の構成の一例を示す図である。図5に例示した信号分岐装置4A(4)は、伝送される信号が光信号の場合に対応した構成であり、スイッチ部41と、信号分岐素子42(42a,42b,42c)と、信号結合素子43(43a,43b,43c)と、ポートP11,P12,P21,P22,P31,P32とを備えている。
【0071】
スイッチ部41は、端子IN1〜IN6及び端子OUT1〜OUT6を有している。これら端子IN1と端子OUT1、端子IN2と端子OUT2、端子IN3と端子OUT3、端子IN4と端子OUT4、端子IN5と端子OUT5及び端子IN6と端子OUT6は、それぞれスイッチ部41の内部で接続されている。
【0072】
信号分岐素子42aは、ポートP11から入力した信号をスイッチ部41の端子IN1,IN2に分岐するものである。信号分岐素子42bは、ポートP21から入力した信号をスイッチ部41の端子IN3,IN4に分岐するものである。信号分岐素子42cは、ポートP31から入力した信号をスイッチ部41の端子IN5,IN6に分岐するものである。
【0073】
信号結合素子43aは、スイッチ部41の端子OUT3,OUT5からそれぞれ出力される信号を結合(重畳)してポートP12に出力するものである。信号結合素子43bは、スイッチ部41の端子OUT2,OUT6からそれぞれ出力される信号を結合してポートP22に出力するものである。信号結合素子43cは、スイッチ部41の端子OUT1,OUT4からそれぞれ出力される信号を結合してポートP32に出力するものである。
【0074】
この信号分岐装置4Aによれば、ポートP11に入力した光信号は、ポートP22及びポートP32から出力される。また、ポートP21に入力した光信号は、ポートP12及びポートP32から出力される。さらに、ポートP31に入力した光信号は、ポートP12及びポートP22から出力される。
【0075】
図6は、図1に示した信号分岐装置の別の構成例を示す図であり、(a)は全体図、(b)はスイッチ部の配線を示している。図6の(a)に例示した信号分岐装置4B(4)は、伝送される信号が電気信号の場合に対応した構成であり、スイッチ部41Bと、信号分岐結合素子44(44a,44b,44c,44d,44e,44f)と、ポートP11,P12,P21,P22,P31,P32とを備えている。なお、図5に示した構成と同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0076】
信号分岐結合素子44は、図5に示した信号分岐素子42と信号結合素子43の両方の機能を有した素子である。すなわち、信号分岐結合素子44a,44c,44eは、それぞれ図5に示した信号分岐素子42a,42b,42cと同様な動作を行う。また、信号分岐結合素子44b,44d,44fは、それぞれ図5に示した信号結合素子43a,43b,43cと同様な動作を行う。なお、信号分岐結合素子44の代わりに信号分岐素子42と信号結合素子43を用いてもよい。
【0077】
スイッチ部41Bは、内部の構造が異なる点を除いて、図5に示したスイッチ部41と同一のものである。このスイッチ部41Bは、図6の(b)に示すように、端子INと端子OUTの間に、方向依存性導通素子(信号導通素子)45が設けられ、端子INから端子OUTへ向かう方向にのみ電気信号が伝送されるように構成されている。すなわち、端子IN1と端子OUT1、端子IN2と端子OUT2、端子IN3と端子OUT3、端子IN4と端子OUT4、端子IN5と端子OUT5及び端子IN6と端子OUT6の間には、それぞれ、方向依存性導通素子45が設けられている。この方向依存性導通素子45は例えばダイオードから構成される。
【0078】
なお、スイッチ部41,41Bは、任意の端子INと任意の端子OUTとを切り替えて接続する切替手段や制御手段等を有する構成としてもよい。また、スイッチ部41,41Bの端子数、信号分岐素子42、信号結合素子43及び信号分岐結合素子44の個数は任意である。
【0079】
[送受信動作]
図1に示した送信装置10及び受信装置20の動作について図7を参照(適宜図3及び図4参照)して説明する。図7は、図1に示した送信装置及び受信装置の動作を示すシーケンス図である。
送信装置10は、指示作成手段151によって、スクランブル信号の送信指示(メッセージ)を作成し(ステップS101)、指示送信手段152によって、作成したメッセージを送信する(ステップS102:指示送信ステップ)。その後、すぐに、送信装置10は、データ送信開始手段153によって、バッファ141に格納されている秘匿データを読み出し、読み出した秘匿データの送信を開始する(ステップS103:データ送信開始ステップ)。
【0080】
続いて、送信装置10は、入力手段11によって、受信装置20からスクランブル信号を受信する(ステップS104)。そして、送信装置10は、データ有無判別手段154によって、バッファ141に送信すべき秘匿データがあるか否かを判別する(ステップS105:データ有無判別ステップ)。秘匿データがある場合(ステップS105:Yes)、送信装置10は、ステップS103に戻る。一方、秘匿データが無い場合(ステップS105:No)、送信装置10は、データ送信停止手段155によって、秘匿データの送信を停止する(ステップS106:データ送信停止ステップ)。
【0081】
受信装置20は、入力手段21によって、送信装置10からメッセージを受信する(ステップS201)。その後、すぐに、受信装置20は、入力手段21によって、送信装置10から秘匿データを受信する(ステップS202)。その後、受信装置20は、スクランブル信号送信開始手段251によって、スクランブル信号を送信装置10に送信する(ステップS203:スクランブル信号送信開始ステップ)。続いて、受信装置20は、受信データ有無判別手段252によって、秘匿データを受信しているか否かを判別する(ステップS204:受信データ有無判別ステップ)。秘匿データを受信している場合(ステップS204:Yes)、受信装置20は、ステップS202に戻る。一方、秘匿データを受信していない場合(ステップS204:No)、受信装置20は、スクランブル信号送信停止手段253によって、スクランブル信号の送信を停止する(ステップS205:スクランブル信号送信停止ステップ)。
【0082】
送信装置10と受信装置20の間のリンク3では、送信装置10から受信装置20にメッセージが送信される(ステップS301)。そして、送信装置10から受信装置20に秘匿データが送信され始める(ステップS302)。その後、受信装置20から送信装置10にスクランブル信号が送信され始める(ステップS303)。
【0083】
なお、送信装置10または受信装置20は、一般的なコンピュータに、前記した各ステップを実行させる秘匿データ送信プログラムまたは秘匿データ受信プログラムを実行することで実現することもできる。これらのプログラムは、通信回線を介して配布することも可能であるし、CD−ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。
【0084】
次に、図1に示した送信装置10と受信装置20の間で伝送される信号について、図2を参照(適宜図7参照)して説明する。
送信装置10が秘匿データの送信を開始すると(ステップS103,図7)、図2の(b)に示すように、秘匿データをのせた信号は信号分岐装置4を通過して受信装置20だけではなく、部外者装置30にも伝送される。続いて、受信装置20がスクランブル信号の送信を開始すると(ステップS203,図7)、図2の(d)に示すように、スクランブル信号は信号分岐装置4を通過して送信装置10だけではなく部外者装置30にも伝送される。これによって、受信装置20は、送信装置10から秘匿データを取得し、一方、部外者装置30は、送信装置10から秘匿データを取得することができない。
【0085】
第1の実施形態によれば、送信装置10から受信装置20へのデータ伝送のセキュリティを高めることが可能になる。また、送信装置10が、メッセージを含む信号を送信してからすぐに秘匿データを送信すれば、受信装置20宛の秘匿データを例えば外部から受信した後すぐに転送することになるので、転送遅延を小さくすることができる。
【0086】
以上、本発明の第1の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲で実施することができる。以下では、様々なバリエーションを第2乃至第7実施形態として順次説明していくこととする。
【0087】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、送信装置の構成が異なるバリエーションである。
[送信装置の構成]
図8は、本発明の第2の実施形態に係る送信装置の構成図である。送信装置10Aは、図8に示すように、主としてデータ送信開始手段153Aの機能が異なる点を除いて、図2に示した送信装置10と同様の構成なので、同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
データ送信開始手段153Aは、指示作成手段151で作成された指示と秘匿データとを含む信号を受信装置20に送信するものである。
【0088】
[送受信動作]
図8に示した送信装置10Aの動作について図9を参照(適宜図8及び図4参照)して説明する。図9は、図8に示した送信装置の動作を示すシーケンス図である。図9のシーケンス図では、送信装置10Aが実行するステップS111〜ステップS114の各処理は、図7に示したシーケンス図のステップS103〜ステップS106の各処理と実質的に同一なので説明を省略する。ただし、ステップS111では、送信装置10Aは、データ送信開始手段153Aによって、受信装置20に対して、スクランブル信号の送信指示(メッセージ)と秘匿データとを含む信号の送信を開始する。
【0089】
受信装置20が実行するステップS211〜ステップS214の各処理は、図7に示したシーケンス図のステップS202〜ステップS205の各処理と実質的に同一なので説明を省略する。
送信装置10Aと受信装置20の間のリンク3では、送信装置10Aから受信装置20にメッセージと秘匿データとを含む信号が送信され始める(ステップS311)。その後、受信装置20から送信装置10Aにスクランブル信号が送信され始める(ステップS312)。
【0090】
第2の実施形態によれば、スクランブル信号の送信指示(メッセージ)と秘匿データとを一度に送信するので、外部から受信した受信装置20宛の秘匿データを、受信後すぐに転送できるため、転送遅延が小さくなる。
【0091】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、送信装置の構成が異なるバリエーションである。
[送信装置の構成]
図10は、本発明の第3の実施形態に係る送信装置の構成図である。送信装置10Bは、図10に示すように、CPU15がスクランブル信号受信判別手段156としても機能する点を除いて、図2に示した送信装置10と同一の構成であるので、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
スクランブル信号受信判別手段156は、受信装置20からスクランブル信号を受信したか否かを判別し、判別結果をデータ送信停止手段155に出力する。
データ送信停止手段155は、バッファ141に送信すべき秘匿データが格納されていない場合と、スクランブル信号受信判別手段156によってスクランブル信号を受信していないと判別された場合に、受信装置20に対する秘匿データの送信を停止する。
【0092】
[送受信動作]
図10に示した送信装置10Bの動作について図11を参照(適宜図10及び図4参照)して説明する。図11は、図10に示した送信装置の動作を示すシーケンス図である。送信装置10Bは、指示作成手段151によって、メッセージを作成し(ステップS121)、指示送信手段152によって、メッセージを送信する(ステップS122:指示送信ステップ)。メッセージ送信後、送信装置10は、スクランブル信号受信判別手段156によって、スクランブル信号を受信したか否かを判別する(ステップS123:スクランブル信号受信判別ステップ)。そして、スクランブル信号を受信するまで判別を繰り返し(ステップS123:No)、スクランブル信号を受信した場合(ステップS123:Yes)、送信装置10Bは、データ送信開始手段153によって、秘匿データの送信を開始する(ステップS124:データ送信開始ステップ)。
【0093】
続いて、送信装置10Bは、データ有無判別手段154によって、秘匿データがあるか否かを判別する(ステップS125:データ有無判別ステップ)。秘匿データが無い場合(ステップS125:No)、送信装置10Bは、データ送信停止手段155によって、秘匿データの送信を停止する(ステップS126:データ送信停止ステップ)。一方、秘匿データがある場合(ステップS125:Yes)、送信装置10Bは、スクランブル信号受信判別手段156によって、スクランブル信号を受信しているか否かを判別する(ステップS127)。スクランブル信号を受信している場合(ステップS127:Yes)、送信装置10Bは、ステップS124に戻り、スクランブル信号を受信していない場合(ステップS127:No)、データ送信停止手段155によって、秘匿データの送信を停止する(ステップS126:データ送信停止ステップ)。
【0094】
受信装置20は、入力手段21によって、送信装置10からメッセージを受信し(ステップS221)、スクランブル信号送信開始手段251によって、スクランブル信号を送信する(ステップS222:スクランブル信号送信開始ステップ)。スクランブル信号の送信後、受信装置20は、入力手段21によって、秘匿データを受信する(ステップS223)。
【0095】
続いて、受信装置20は、受信データ有無判別手段252によって、秘匿データを受信しているか否かを判別する(ステップS224:受信データ有無判別ステップ)。秘匿データを受信している場合(ステップS224:Yes)、受信装置20は、ステップS222に戻る。秘匿データを受信していない場合(ステップS224:No)、受信装置20は、スクランブル信号送信停止手段253によって、スクランブル信号の送信を停止する(ステップS225:スクランブル信号送信停止ステップ)。
【0096】
送信装置10Bと受信装置20の間のリンク3では、送信装置10Bから受信装置20にメッセージが送信される(ステップS321)。そして、受信装置20から送信装置10Bにスクランブル信号が送信され始める(ステップS322)。その後、送信装置10Bから受信装置20に秘匿データが送信され始める(ステップS323)。
【0097】
次に、送信装置10Bと受信装置20の間で伝送される信号について、図2を参照(適宜図11参照)して説明する。ここでは、送信装置10Bの符号を図2において、送信装置10と読み替えることとする。
【0098】
受信装置20がスクランブル信号の送信を開始すると(ステップS222,図11)、図2の(c)に示すように、スクランブル信号は信号分岐装置4を通過して送信装置10Bだけではなく部外者装置30にも伝送される。
【0099】
続いて、送信装置10Bが秘匿データの送信を開始すると(ステップS124,図11)、図2の(d)に示すように、秘匿データをのせた信号は信号分岐装置4を通過して受信装置20と部外者装置30とに伝送される。これによって、受信装置20は、送信装置10Bから秘匿データを取得し、一方、部外者装置30は、送信装置10Bから秘匿データを取得することができなくなる。
【0100】
第3の実施形態によれば、スクランブル信号が送信される前に秘匿データが送信される状態、すなわち図2の(b)に示す状態を経ることなく、スクランブル信号と秘匿データとが相互に送受信される状態、すなわち図2の(d)に示す状態を実現できる。したがって、送信装置がスクランブル信号の到着前に秘匿データを含む信号を送信する場合と比較して、部外者装置30による秘匿データの傍受をより一層確実に防止することができる。
【0101】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、送信装置の構成が異なるバリエーションである。
[送信装置の構成]
図12は、本発明の第4の実施形態に係る送信装置の構成図である。送信装置10Cは、図12に示すように、CPU15が開始契機追加手段157としても機能する点を除いて、図3に示した送信装置10と同一の構成であるので、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
開始契機追加手段157は、指示作成手段151で作成されたスクランブル信号の送信指示(メッセージ)に開始契機を追加して、データ送信開始手段153に出力するものである。ここで、開始契機は、例えば時刻で表す。なお、開始契機を、送信指示が到着してからの時間やその間の受信パケット数等で表してもよい。
【0102】
[送受信動作]
図12に示した送信装置10Cの動作について図13を参照(適宜図12及び図4参照)して説明する。図13は、図12に示した送信装置の動作を示すシーケンス図である。図13のシーケンス図では、送信装置10Cが実行するステップS131及びS133〜ステップS137の各処理は、図7に示したシーケンス図のステップS101〜ステップS106の各処理と実質的に同一なので説明を省略する。ステップS132では、送信装置10Cは、開始契機追加手段157によって、スクランブル信号の送信指示(メッセージ)に開始契機を追加する。なお、ステップS133では、開始契機を追加したメッセージを送信することになる。
【0103】
また、受信装置20が実行するステップS231〜ステップS235の各処理は、図7に示したシーケンス図のステップS201〜ステップS205の各処理と実質的に同一なので説明を省略する。ただし、ステップS232とステップS233は、実行順序が逆転する。すなわち、ステップS232で、受信装置20は、スクランブル信号送信開始手段251によって、開始契機にスクランブル信号の送信を開始する。そして、ステップS233で、受信装置20は、入力手段21によって、開始契機に送信装置10Cから送信された秘匿データを受信する。
【0104】
送信装置10Cと受信装置20の間のリンク3では、送信装置10Cから受信装置20にメッセージが送信される(ステップS331)。そして、開始契機に、送信装置10Cから受信装置20に秘匿データが送信され始める(ステップS332)と共に、受信装置20から送信装置10Cにスクランブル信号が送信され始める(ステップS333)。
【0105】
次に、送信装置10Cと受信装置20の間で伝送される信号について、図2を参照(適宜図13参照)して説明する。ここでは、送信装置10Cの符号を図2において送信装置10と読み替えることとする。
【0106】
開始契機に、送信装置10Cから受信装置20に秘匿データが送信され始める(ステップS332,図13)と共に、受信装置20から送信装置10Cにスクランブル信号が送信され始める(ステップS333,図13)と、図2の(d)に示す状態となる。これによって、受信装置20は送信装置10Cから秘匿データを取得し、部外者装置30は送信装置10Cから秘匿データを取得することができなくなる。
【0107】
第4の実施形態によれば、スクランブル信号が送信される前に秘匿データが送信される状態、すなわち図2の(b)に示す状態を経ることなく、スクランブル信号と秘匿データとが相互に送受信される状態、すなわち図2の(d)に示す状態を実現できる。
【0108】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、送信装置及び受信装置の構成が異なるバリエーションである。
[送信装置の構成]
図14は、本発明の第5の実施形態に係る送信装置の構成図である。送信装置10Dは、図14に示すように、CPU15が停止契機追加手段158及び停止契機判別手段159としても機能する点を除いて、図10に示した送信装置10Bと同一の構成であるので、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0109】
停止契機追加手段158は、指示作成手段151で作成されたスクランブル信号の送信指示(メッセージ)に停止契機を追加して、データ送信開始手段153に出力するものである。ここで、停止契機は、例えば時刻で表す。なお、停止契機を、送信指示が到着してからの時間やその間の受信パケット数等で表してもよい。
停止契機判別手段159は、停止契機となったか否かを判別し、判別結果をデータ送信停止手段155に出力する。
データ送信停止手段155は、バッファ141に送信すべき秘匿データが格納されていない場合と、スクランブル信号を受信していない場合と、停止契機となったと判別された場合に、受信装置20に対する秘匿データの送信を停止する。
【0110】
[受信装置の構成]
図15は、本発明の第5の実施形態に係る受信装置の構成図である。受信装置20Dは、図15に示すように、CPU25が停止契機判別手段254としても機能する点を除いて、図4に示した受信装置20と同一の構成であるので、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
停止契機判別手段254は、停止契機となったか否かを判別し、判別結果をスクランブル信号送信停止手段253に出力する。
スクランブル信号送信停止手段253は、送信装置10から秘匿データを受信していない場合と、停止契機となったと判別された場合に、スクランブル信号の送信を停止する。
【0111】
[送受信動作]
送信装置10D及び受信装置20Dの動作について図16を参照(適宜図14及び図15参照)して説明する。図16は、本発明の第5の実施形態に係る送信装置及び受信装置の動作を示すシーケンス図である。図16のシーケンス図では、送信装置10Dが実行するステップS141〜S149の処理は、ステップS142及びステップS146の処理が追加された点を除いて、図11に示したシーケンス図のステップS121〜ステップS127の各処理と実質的に同一なので説明を省略する。
【0112】
ステップS142では、送信装置10Dは、停止契機追加手段158によって、スクランブル信号の送信指示(メッセージ)に停止契機を追加する。なお、ステップS143では、停止契機を追加したメッセージを送信することになる。
ステップS146では、送信装置10Dは、停止契機判別手段159によって、停止契機となった否かを判別する。停止契機となった場合(ステップS146:Yes)、送信装置10Dは,ステップS147をスキップしてステップS148に進み、秘匿データの送信を停止する(ステップS148)。一方、停止契機ではない場合(ステップS146:No)、送信装置10Dは,ステップS147に進み、秘匿データが存在するか否かを判別する。
【0113】
また、受信装置20Dが実行するステップS241〜ステップS246の処理は、ステップS244の処理が追加された点を除いて、図11に示したシーケンス図のステップS221〜ステップS225の各処理と実質的に同一なので説明を省略する。
ステップS244では、受信装置20Dは、停止契機判別手段254によって、停止契機となったか否かを判別する。停止契機となった場合(ステップS244:Yes)、受信装置20Dは,ステップS245をスキップしてステップS246に進み、スクランブル信号の送信を停止する。一方、停止契機ではない場合(ステップS244:No)、受信装置20Dは,ステップS245に進み、秘匿データを受信しているか否かを判別する。
【0114】
送信装置10Dと受信装置20Dの間のリンク3では、送信装置10Dから受信装置20Dにメッセージが送信される(ステップS341)。そして、受信装置20Dから送信装置10Dにスクランブル信号が送信され始める(ステップS342)。その後、送信装置10Dから受信装置20Dに秘匿データが送信され始める(ステップS343)。そして、信号の送信を続けている間に停止契機となった場合、送信装置10D及び受信装置20Dは信号の送信を同時に停止することになる。
【0115】
第5の実施形態によれば、送信装置10D及び受信装置20Dが双方とも信号の送信を続けている間に停止契機となった場合、送信装置10D及び受信装置20Dは各信号の送信を同時に停止することになる。したがって、秘匿データを含んだ信号送信の終了に際して、スクランブル信号が先に停止していて秘匿データのみが送信されている状態、すなわち図2の(b)に示す状態を経ることなく、初期状態、すなわち図2の(a)に示す状態を実現することができる。
【0116】
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、送信装置及び受信装置の構成が異なるバリエーションである。
[信号伝送システムの構成]
図17は、本発明の第6の実施形態に係る送信装置及び受信装置を含む信号伝送システムの構成図である。信号伝送システム1Aは、図17に示すように、複数(図では3個)の送受信装置2と、複数(図では3本)のリンク3と、1つ以上(図では1個)の信号分岐装置4とを備えている。なお、図1に示した信号伝送システム1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。また、送受信装置2を、送信装置(秘匿データ送信装置)10Eと、受信装置(秘匿データ受信装置)20Eと、部外者装置30として説明する。
【0117】
[送信装置の構成]
送信装置10Eは、図17に示すように、CPU15に秘匿データ取得手段160を備え且つ送信指示に関する構成を備えていない点を除いて、図10に示した送信装置10Bと同一の構成であるので、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0118】
送信装置10Eは、信号伝送システム1A以外のネットワーク5a(5)を介してデータ出力装置6a(6)と接続されている。このデータ出力装置6aは、送信装置10Eに対して、受信装置20Eを宛先とする秘匿データ(信号伝送システム1A内では送信装置10E及び受信装置20E以外に伝達したくないデータ)を送信し、この秘匿データの転送を指示するものである。
【0119】
秘匿データ取得手段(取得手段)160は、入力手段11に入力したデータが秘匿データか否かを検知し、秘匿データであると検知した場合に入力データをHDD14のバッファ141(図3参照)に格納し、秘匿データではない場合にバッファ142(図3参照)に格納するものである。
【0120】
[受信装置の構成]
受信装置20Eは、図17に示すように、CPU25にデータ取得手段260及びデータ有無判別手段261を備え且つ受信データ有無判別手段252を備えていない点を除いて、図4に示した受信装置20と同一の構成であるので、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0121】
受信装置20Eは、信号伝送システム1A以外のネットワーク5b(5)を介してデータ出力装置6b(6)と接続されている。このデータ出力装置6bは、受信装置20Eに対して、送信装置10Eを宛先とするデータを送信し、このデータの転送を指示するものである。
【0122】
データ取得手段260は、入力手段21に入力したデータが秘匿データか否かを検知し、秘匿データであると検知した場合に入力データをHDD24のバッファ241(図4参照)に格納し、秘匿データではない場合にバッファ242(図4参照)に格納するものである。
データ有無判別手段261は、送信装置10Eに対応したバッファ242にデータ(秘匿データではない)が格納されているか否かを判別し、判別結果をスクランブル信号送信停止手段253に出力するものである。
【0123】
[送受信動作]
送信装置10E及び受信装置20Eの動作について図18を参照(適宜図17参照)して説明する。図18は、図17に示した送信装置及び受信装置の動作を示すシーケンス図である。送信装置10Eは、秘匿データ取得手段160によって、ネットワーク5aを介してデータ出力装置6aから秘匿データを取得し(ステップS151)、取得した秘匿データをメモリ(バッファ141)に格納する(ステップS152)。その後、送信装置10Eは、取得した秘匿データの宛先である受信装置20Eからスクランブル信号を受信するまで待機し、ステップS153に進む。なお、送信装置10Eが実行するステップS153〜S157の処理は、図11に示したシーケンス図のステップS123〜ステップS127の各処理と実質的に同一なので説明を省略する。
【0124】
受信装置20Eは、例えば所定のアプリケーションが起動されることにより、秘匿データ受信モードとなった状態で、データ取得手段260によって、ネットワーク5bを介してデータ出力装置6bから、秘匿データの取得先(送信装置10E)を宛先とするデータを取得し(ステップS251)、取得したデータ(取得データ)をバッファ242に格納する。そして、受信装置20Eは、スクランブル信号送信開始手段251によって、スクランブル信号を送信する(ステップS252:スクランブル信号送信開始ステップ)。なお、スクランブル信号には、取得データが含まれている。ここで、スクランブル信号の送信開始契機は、例えばアプリケーションの起動開始時間としてもよい。また、受信装置20Eが送信装置10E宛てのデータを取得したことを送信開始契機としてもよい。そして、受信装置20Eは、入力手段21によって、送信装置10Eから秘匿データを受信する(ステップS253)。
【0125】
続いて、受信装置20Eは、データ有無判別手段261によって、送信装置10Eに対応したバッファ242に取得データが格納されているか否かを判別する(ステップS254:データ有無判別ステップ)。取得データが格納されている場合(ステップS254:Yes)、受信装置20Eは、ステップS252に戻る。一方、取得データが格納されていない場合(ステップS254:No)、受信装置20Eは、スクランブル信号送信停止手段253によって、スクランブル信号の送信を停止する(ステップS255:スクランブル信号送信停止ステップ)。そして、受信装置20Eは、秘匿データを受信するための所定のアプリケーションを終了し、通常のデータを送受信する通常モードとなる。なお、スクランブル信号の送信停止契機は、例えばアプリケーションの起動終了時間としてもよい。
【0126】
送信装置10Eと受信装置20Eの間のリンク3では、受信装置20Eが、秘匿データの取得先を宛先とするデータを取得したことを契機に、送信装置10Eにスクランブル信号を送信し始める(ステップS351)。そして、送信装置10Eから受信装置20Eに秘匿データが送信され始める(ステップS352)。その後、受信装置20Eが、取得データをすべて送信し終わったことを契機に、送信装置10Eへのスクランブル信号の送信を停止する。したがって、第6の実施形態では、受信装置20Eが主導して秘匿データの送受信動作を実行することができる。なお、所定のタイマが満了したときにスクランブル信号の送信を停止するようにしてもよい。また、データ出力装置6a,6bにデータ出力指示を出すサーバを設けてもよいし、データ出力装置6a,6bを単一の装置で構成してもよい。
【0127】
(第7の実施形態)
第7の実施形態は、受信装置の構成が異なるバリエーションである。
[信号伝送システムの構成]
図19は、本発明の第7の実施形態に係る送信装置及び受信装置を含む信号伝送システムの構成図である。信号伝送システム1Bは、図19に示すように、受信装置20Fが取得データ判別手段262を備えている点を除いて、図17に示した信号伝送システム1Aと同一なので、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
取得データ判別手段262は、入力手段21に入力したデータが、受信すべき秘匿データの取得先(送信装置10E)を宛先とするデータであるか否かを判別し、判別結果をスクランブル信号送信開始手段251に出力するものである。
スクランブル信号送信開始手段251は、入力手段21に入力したデータが、送信装置10Eを宛先とするデータである場合に、入力データでスクランブル信号を生成し、入力データが無い場合に空データの信号でスクランブル信号を生成する。また、スクランブル信号送信開始手段251は、送信開始時に図示しないタイマをセットし、スクランブル信号送信停止手段253は、タイマ満了時に信号送信を停止する。
【0128】
[送受信動作]
送信装置10E及び受信装置20Fの動作について図20を参照(適宜図19参照)して説明する。図20は、図19に示した送信装置及び受信装置の動作を示すシーケンス図である。なお、送信装置10Eの動作は、図18に示したシーケンス図と同一なので説明を省略する。
【0129】
受信装置20Fは、例えば所定のアプリケーションが起動されることにより、秘匿データ受信モードとなった状態で、取得データ判別手段262によって、ネットワーク5bを介してデータ出力装置6bから、秘匿データの取得先(送信装置10E)を宛先とするデータを取得したか否かを判別する(ステップS261)。送信装置10Eを宛先とするデータを取得した場合(ステップS261:Yes)、受信装置20Fは、取得したデータでスクランブル信号を生成する(ステップS262)。一方、送信装置10Eを宛先とするデータを取得していない場合(ステップS261:No)、受信装置20Fは、空データでスクランブル信号を生成する(ステップS263)。ステップS262またはステップS263に続いて、受信装置20Fは、ステップS264に進む。
【0130】
受信装置20Fが実行するステップS264〜S267の処理は、図18に示したシーケンス図のステップS252〜ステップS255の各処理と実質的に同一なので説明を省略する。ただし、ステップS264のスクランブル信号送信開始処理では、受信装置20Fは送信開始と同時に図示しないタイマをセットする。また、ステップS266の判別処理では、受信装置20Fはタイマが満了したか否かを判別し、満了していなければ(ステップS266:No)、ステップS264に戻り、満了していれば(ステップS266:Yes)、ステップS267に進む。そして、受信装置20Eは、スクランブル信号の送信を停止した後、秘匿データを受信するための所定のアプリケーションを終了し、通常のデータを送受信する通常モードとなる。
【0131】
送信装置10Eと受信装置20Fの間のリンク3では、受信装置20Fが、予め定められたタイミングに、送信装置10Eにスクランブル信号を送信し始め(ステップS361)、タイマのカウントを開始する。そして、送信装置10Eから受信装置20Fに秘匿データが送信され始める(ステップS362)。その後、受信装置20Fが、タイマの満了を判別したときに、送信装置10Eへのスクランブル信号の送信を停止する。したがって、第7の実施形態では、送信装置10Eを宛先とするデータを取得していない場合においても、受信装置20Fが主導して秘匿データの送受信動作を実行することができる。
【0132】
なお、第1乃至第7の実施形態の送信装置と受信装置を適宜組み合わせて信号伝送システムを構成してもよい。また、第5の実施形態で停止契機をメッセージに追加せずに、送信装置で設定されている停止契機になると、送信装置がスクランブル信号の停止を指示するためのメッセージを受信装置に送信するようにしてもよい。この場合には、受信装置は、停止指示を示すメッセージを受信したときにスクランブル信号の送信を停止する。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る送信装置及び受信装置を含む信号伝送システムの構成図である。
【図2】図1に示した送信装置と受信装置の間で伝送される信号を説明するための説明図であり、(a)は信号が伝送されていない状態、(b)は送信装置から信号が伝送されている状態、(c)は受信装置から信号が伝送されている状態、(d)は双方から信号が伝送されている状態を示している。
【図3】図1に示した送信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示した受信装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示した信号分岐装置の構成の一例を示す図である。
【図6】図1に示した信号分岐装置の別の構成例を示す図であり、(a)は全体図、(b)はスイッチ部の配線を示している。
【図7】図1に示した送信装置及び受信装置の動作を示すシーケンス図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る送信装置の構成図である。
【図9】図8に示した送信装置の動作を示すシーケンス図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る送信装置の構成図である。
【図11】図10に示した送信装置の動作を示すシーケンス図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る送信装置の構成図である。
【図13】図12に示した送信装置の動作を示すシーケンス図である。
【図14】本発明の第5の実施形態に係る送信装置の構成図である。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る受信装置の構成図である。
【図16】本発明の第5の実施形態に係る送信装置及び受信装置の動作を示すシーケンス図である。
【図17】本発明の第6の実施形態に係る送信装置及び受信装置を含む信号伝送システムの構成図である。
【図18】図17に示した送信装置及び受信装置の動作を示すシーケンス図である。
【図19】本発明の第7の実施形態に係る送信装置及び受信装置を含む信号伝送システムの構成図である。
【図20】図19に示した送信装置及び受信装置の動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0134】
1(1A,1B) 信号伝送システム
2 送受信装置
3 リンク
4(4A,4B) 信号分岐装置
5(5a,5b) ネットワーク
6(6a,6b) データ出力装置
10(10A〜10F) 送信装置(秘匿データ送信装置)
11 入力手段
12 出力手段
13 RAM
14 HDD
141,142 バッファ
143,144 宛先別データ
15 CPU
151 指示作成手段
152 指示送信手段
153 データ送信開始手段
154 データ有無判別手段
155 データ送信停止手段
156 スクランブル信号受信判別手段
157 開始契機追加手段
158 停止契機追加手段
159 停止契機判別手段
160 秘匿データ取得手段(取得手段)
16 バス
20(20D〜20F) 受信装置(秘匿データ受信装置)
21 入力手段
22 出力手段
23 RAM
24 HDD
241,242 バッファ
243,244 宛先別データ
25 CPU
251 スクランブル信号送信開始手段
252 受信データ有無判別手段
253 スクランブル信号送信停止手段
254 停止契機判別手段
260 データ取得手段
261 データ有無判別手段
262 取得データ判別手段
26 バス
30 部外者装置
41,41B スイッチ部
42(42a〜42c) 信号分岐素子
43(43a〜43c) 信号結合素子
44(44a〜44f) 信号分岐結合素子
45 方向依存性導通素子(信号導通素子)
P11,P12,P21,P22,P31,P32 ポート
IN1〜IN6,OUT1〜OUT6 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を送受信する複数の送受信装置と、任意の2つの送受信装置間に複数設けられた前記信号を伝送するリンクと、入力された信号を分岐する1つ以上の信号分岐装置とで構成され、複数の信号が前記リンクを同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容が消滅する信号伝送システムにおいて、秘匿データを送受信すべき任意の2つの前記送受信装置の一方である秘匿データ送信装置が実行する秘匿データ送信方法であって、
前記送受信装置の他方である秘匿データ受信装置に、前記秘匿データ受信装置が前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示と、前記秘匿データとを含む信号の送信を開始するデータ送信開始ステップ、
を有することを特徴とする秘匿データ送信方法。
【請求項2】
信号を送受信する複数の送受信装置と、任意の2つの送受信装置間に複数設けられた前記信号を伝送するリンクと、入力された信号を分岐する1つ以上の信号分岐装置とで構成され、複数の信号が前記リンクを同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容が消滅する信号伝送システムにおいて、秘匿データを送受信すべき任意の2つの前記送受信装置の一方である秘匿データ送信装置が実行する秘匿データ送信方法であって、
前記送受信装置の他方である秘匿データ受信装置に、前記秘匿データ受信装置が前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示を含む信号を送信する指示送信ステップと、
前記信号を送信した後に、前記秘匿データを含む信号の送信を開始するデータ送信開始ステップと、
を有することを特徴とする秘匿データ送信方法。
【請求項3】
前記スクランブル信号の送信指示に、前記秘匿データ送信装置及び秘匿データ受信装置双方が信号の送信を停止する契機を示す停止契機を追加する停止契機追加ステップをさらに有する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の秘匿データ送信方法。
【請求項4】
前記スクランブル信号を受信したか否かを判別するスクランブル信号受信判別ステップをさらに有し、
前記データ送信開始ステップは、前記スクランブル信号を受信した後に、前記秘匿データの送信を開始する、
ことを特徴とする請求項2に記載の秘匿データ送信方法。
【請求項5】
前記スクランブル信号の送信指示に、前記秘匿データ送信装置及び秘匿データ受信装置双方が信号の送信を開始する契機を示す開始契機を追加する開始契機追加ステップをさらに有する、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の秘匿データ送信方法。
【請求項6】
信号を送受信する複数の送受信装置と、任意の2つの送受信装置間に複数設けられた前記信号を伝送するリンクと、入力された信号を分岐する1つ以上の信号分岐装置とで構成され、複数の信号が前記リンクを同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容が消滅する信号伝送システムにおいて、秘匿データを送受信すべき任意の2つの前記送受信装置の一方である秘匿データ送信装置が実行する秘匿データ送信方法であって、
前記送受信装置の他方である秘匿データ受信装置に、前記秘匿データ受信装置が前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示を含む信号を送信する指示送信ステップと、
前記スクランブル信号を受信したか否かを判別するスクランブル信号受信判別ステップと、
前記スクランブル信号を受信した後に、前記秘匿データの送信を開始するデータ送信開始ステップと、
送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別するデータ有無判別ステップと、
送信すべき秘匿データが無いか、または、前記スクランブル信号が受信されなくなった場合に、前記秘匿データの送信を停止するデータ送信停止ステップと、
を有することを特徴とする秘匿データ送信方法。
【請求項7】
送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別するデータ有無判別ステップと、
送信すべき秘匿データが無いか、または、前記スクランブル信号が受信されなくなった場合に、前記秘匿データの送信を停止するデータ送信停止ステップと、
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の秘匿データ送信方法。
【請求項8】
送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別するデータ有無判別ステップと、
前記停止契機となったか否かを判別する停止契機判別ステップと、
送信すべき秘匿データが無いか、前記停止契機となったか、前記スクランブル信号が受信されなくなった場合のいずれかに、前記秘匿データの送信を停止するデータ送信停止ステップと、
をさらに有することを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の秘匿データ送信方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の秘匿データ送信方法を利用した秘匿データ送信装置から送信された信号を受信する秘匿データ受信装置の秘匿データ受信方法であって、
前記受信した信号に含まれる送信指示に基づいて、前記秘匿データ送信装置に前記スクランブル信号の送信を開始するスクランブル信号送信開始ステップと、
前記秘匿データを含む信号を受信したか否かを判別する受信データ有無判別ステップと、
前記秘匿データを含む信号の受信停止を検知した場合に、前記スクランブル信号の送信を停止するスクランブル信号送信停止ステップと、
を有することを特徴とする秘匿データ受信方法。
【請求項10】
請求項8に記載の秘匿データ送信方法を利用した秘匿データ送信装置から送信された信号を受信する秘匿データ受信装置の秘匿データ受信方法であって、
前記受信した信号に含まれる送信指示に基づいて、前記秘匿データ送信装置に前記スクランブル信号の送信を開始するスクランブル信号送信開始ステップと、
前記秘匿データを含む信号を受信したか否かを判別する受信データ有無判別ステップと、
前記停止契機となったか否かを判別する停止契機判別ステップと、
前記停止契機となったと判別するか、または、前記秘匿データを含む信号の受信停止を検知した場合に、前記スクランブル信号の送信を停止するスクランブル信号送信停止ステップと、
を有することを特徴とする秘匿データ受信方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の秘匿データ送信方法をコンピュータに実行させることを特徴とする秘匿データ送信プログラム。
【請求項12】
請求項9または請求項10に記載の秘匿データ受信方法をコンピュータに実行させることを特徴とする秘匿データ受信プログラム。
【請求項13】
信号を送受信する複数の送受信装置と、任意の2つの送受信装置間に複数設けられた前記信号を伝送するリンクと、入力された信号を分岐する1つ以上の信号分岐装置とで構成され、複数の信号が前記リンクを同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容が消滅する信号伝送システムにおいて、秘匿データを送受信すべき任意の2つの前記送受信装置の一方である秘匿データ送信装置であって、
前記送受信装置の他方である秘匿データ受信装置に、前記秘匿データ受信装置が前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示と前記秘匿データとを含む信号の送信を開始するデータ送信開始手段と、
送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別するデータ有無判別手段と、
送信すべき秘匿データが無いか、または、前記スクランブル信号が受信されなくなった場合に、前記秘匿データの送信を停止するデータ送信停止手段と、
を備えることを特徴とする秘匿データ送信装置。
【請求項14】
信号を送受信する複数の送受信装置と、任意の2つの送受信装置間に複数設けられた前記信号を伝送するリンクと、入力された信号を分岐する1つ以上の信号分岐装置とで構成され、複数の信号が前記リンクを同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容が消滅する信号伝送システムにおいて、秘匿データを送受信すべき任意の2つの前記送受信装置の一方である秘匿データ送信装置であって、
前記送受信装置の他方である秘匿データ受信装置に、前記秘匿データ受信装置が前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信指示を含む信号を送信する指示送信手段と、
前記信号を送信した後に、前記秘匿データの送信を開始するデータ送信開始手段と、
送信すべき秘匿データが存在するか否かを判別するデータ有無判別手段と、
送信すべき秘匿データが無いか、または、前記スクランブル信号が受信されなくなった場合に、前記秘匿データの送信を停止するデータ送信停止手段と、
を備えることを特徴とする秘匿データ送信装置。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の秘匿データ送信装置から送信された信号を受信する秘匿データ受信装置であって、
前記受信した信号に含まれる送信指示に基づいて、前記秘匿データ送信装置に前記スクランブル信号の送信を開始するスクランブル信号送信開始手段と、
前記秘匿データを含む信号を受信したか否かを判別する受信データ有無判別手段と、
前記秘匿データを含む信号の受信停止を検知した場合に、前記スクランブル信号の送信を停止するスクランブル信号送信停止手段と、
を備えることを特徴とする秘匿データ受信装置。
【請求項16】
信号を送受信する複数の送受信装置と、任意の2つの送受信装置間に複数設けられた前記信号を伝送するリンクと、入力された信号を分岐する1つ以上の信号分岐装置とで構成され、複数の信号が前記リンクを同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容が消滅する信号伝送システムにおいて、
秘匿データを送受信すべき任意の2つの前記送受信装置の一方である秘匿データ送信装置は、
前記送受信装置の他方である秘匿データ受信装置に送信する秘匿データを前記信号伝送システムの外部から取得する取得手段と、
前記外部から取得した秘匿データを格納するメモリと、
前記秘匿データ受信装置が前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号を前記秘匿データ受信装置から受信しているか否かを判別するスクランブル信号受信判別手段と、
前記スクランブル信号を受信している場合に、前記秘匿データ受信装置に対して前記メモリに格納された秘匿データを含む信号の送信を開始するデータ送信開始手段と、
を備え、
前記秘匿データ受信装置は、
前記秘匿データを受信するために予め定められた開始契機に前記秘匿データ送信装置に対して前記スクランブル信号の送信を開始するスクランブル信号送信開始手段と、
予め定められた停止契機に前記スクランブル信号の送信を停止するスクランブル信号送信停止手段と、
を備える、
ことを特徴とする信号伝送システム。
【請求項17】
前記秘匿データ受信装置は、前記信号伝送システムの外部から前記秘匿データ送信装置に送信すべき所定のデータを取得したか否かを判別する取得データ判別手段をさらに備え、前記所定のデータを取得しない場合に、データを含まない空データの信号を前記スクランブル信号として送信することを特徴とする請求項16に記載の信号伝送システム。
【請求項18】
信号を送受信する複数の送受信装置と、任意の2つの送受信装置間に複数設けられた前記信号を伝送するリンクと、入力された信号を分岐する1つ以上の信号分岐装置とで構成され、複数の信号が前記リンクを同時に同方向に伝送されると各信号に含まれるデータの内容が消滅する信号伝送システムにおいて、秘匿データを送受信すべき任意の2つの前記送受信装置である秘匿データ送信装置及び秘匿データ受信装置が実行する秘匿データ通信方法であって、
前記秘匿データ送信装置は、
前記秘匿データ受信装置に送信する秘匿データを前記信号伝送システムの外部から取得する秘匿データ取得ステップと、
前記外部から取得した秘匿データをメモリに格納する格納ステップと、を有し、
前記秘匿データ受信装置は、前記秘匿データを受信するために予め定められた開始契機に前記秘匿データ送信装置に対して、前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号の送信を開始するスクランブル信号送信開始ステップを有し、
前記秘匿データ送信装置は、
前記秘匿データ受信装置が前記秘匿データを受信するためのスクランブル信号を前記秘匿データ受信装置から受信しているか否かを判別するスクランブル信号受信判別ステップと、
前記スクランブル信号を受信している場合に、前記秘匿データ受信装置に対して前記メモリに格納された秘匿データを含む信号の送信を開始するデータ送信開始ステップとを有し、
前記秘匿データ受信装置は、予め定められた停止契機に前記スクランブル信号の送信を停止するスクランブル信号送信停止ステップを有する、
ことを特徴とする秘匿データ通信方法。
【請求項19】
前記秘匿データ受信装置は、前記信号伝送システムの外部から前記秘匿データ送信装置に送信すべき所定のデータを取得したか否かを判別する取得データ判別ステップをさらに有し、前記所定のデータを取得しない場合に、データを含まない空データの信号を前記スクランブル信号として送信することを特徴とする請求項18に記載の秘匿データ通信方法。
【請求項20】
請求項13または請求項14に記載の秘匿データ送信装置、あるいは、請求項15に記載の秘匿データ受信装置と共に前記信号伝送システムを構成するか、あるいは、請求項16または請求項17に記載の信号伝送システムを構成し、
信号の伝送経路を複数備えたスイッチ部と、
所定の入力信号を分岐して前記複数の伝送経路に入力する複数の信号分岐素子と、
前記複数の伝送経路から入力される信号を結合して出力する複数の信号結合素子、
を有する信号分岐装置であって、
前記スイッチ部は、前記各伝送経路を形成する一端と他端と間に、前記信号を一方向にのみ伝送させる信号導通素子を備える、
ことを特徴とする信号分岐装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−6160(P2007−6160A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184346(P2005−184346)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】