説明

秘文書管理システム

【課題】使用者に応じ、しかも秘文書の内容に応じてきめ細かく使用を制限可能な秘文書管理システムを提供する。
【解決手段】秘文書を保管する保管秘文書DB12と、秘文書の作成者によりこの秘文書を閲覧する閲覧者の権限を設定する閲覧者権限設定部11と、秘文書の閲覧者及び秘文書を使用する使用者を登録する閲覧使用者DB13と、作成者により秘文書にあり得る語句とその置換え語句の対応関係を閲覧者に対応させて登録する置換語句作成部14と、保管秘文書DB12の特定の秘文書にアクセスがなされたときその使用者の認証を行う使用者認証部16と、この使用者認証部によりアクセスした使用者と閲覧者の地位を比較する地位比較部17と、この地位比較部17により使用者が閲覧者より下位であることが検知されたとき、置換語句作成部14により特定の秘文書の語句を置換え語句により置換して文書を作成する文書作成出力部18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、秘文書を管理するシステムに係り、特に所定の者の使用を制限する秘文書管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、秘文書はその文書を使用する者を制限する、即ち特定の者にのみ見せるようなシステムが知られている。しかし、使用者に応じしかも秘文書の内容に応じて、きめ細かく制限できる秘文書管理システムは知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記のような従来の問題にかんがみてなされたもので、使用者に応じしかも秘文書の内容に応じてきめ細かく使用を制限可能な秘文書管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1によれば、秘文書を保管する保管秘文書データベースと、前記秘文書の作成者によりこの秘文書を閲覧する閲覧者の権限を設定する閲覧者権限設定手段と、前記秘文書の前記前記閲覧者及び前記秘文書を使用する使用者を登録する閲覧使用者データベースと、前記作成者により前記秘文書にあり得る語句とその置換え語句の対応関係を前記閲覧者に対応させて登録する置換語句設定手段と、前記保管秘文書データベースの特定の秘文書にアクセスがなされたときその使用者の認証を行うアクセス認証手段と、このアクセス認証手段によりアクセスした前記使用者と前記閲覧者の地位を比較する地位比較手段と、この地位比較手段により前記使用者が前記閲覧者より下位であることが検知されたとき、前記置換語句設定手段により前記特定の秘文書の語句を置換え語句により置換して文書を作成する置換文書手段と、を備えてなることを特徴とする秘文書管理システムを提供する。
【0005】
本発明の請求項3によれば、秘文書を保管する保管秘文書データベースと、前記秘文書の閲覧者及び使用者及び前記秘文書の作成者を登録する作成閲覧使用者データベースと、前記作成者により前記秘文書にあり得る語句とその置換え語句または塗りつぶしの指示の対応関係を前記閲覧者に対応させて登録する書換語句設定手段と、前記保管秘文書データベースの特定の秘文書にアクセスがなされたときその使用者の認証を行うアクセス認証手段と、このアクセス認証手段によりアクセスした前記使用者と前記作成者及び前記閲覧者の地位を比較する地位比較手段と、この地位比較手段により前記使用者が前記作成者及び前記閲覧者より下位であることが検知されたとき、前記書換語句設定手段により前記特定の秘文書の語句を置換え語句又は塗りつぶしにより書き換えて文書を作成する書換文書手段と、を備えてなることを特徴とする秘文書管理システムを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、使用者に応じしかも秘文書の内容に応じてきめ細かく使用を制限することが可能な秘文書管理システムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0008】
<実施形態1>
図1に本発明一実施形態の構成例を示す。この秘文書管理システム10は、秘文書の作成者により特定の秘文書を見ることが可能な閲覧者の権限を設定する閲覧者権限設定部11と、上記秘文書を保管する保管秘文書データベース(DB)12と、上記秘文書の閲覧者及び使用者の地位を登録する閲覧使用者DB13と、上記閲覧者に対応させて秘文書にあり得る語句とその語句に置換する置換語句を作成する置換語句作成部14と、この置換語句作成部14により作成された置換語句を登録しておく置換語句DB15と、このシステムに外部からアクセスしてきた使用者の認証を行う使用者認証部16と、上記秘文書の使用者と閲覧者や作成者の地位を比較する地位比較部17と、所定の場合に置換された秘文書を作成し出力する文書作成出力部18と、これらの各部、及びデータベースを制御する秘文書管理制御部19とを有する。この秘文書管理システム10は例えば1企業内のローカルエリアネットワーク(LAN)に接続されているシステムとする。
【0009】
次に、この秘文書管理システムにおいて、秘文書を作成した者が、秘文書の作成、登録を行う秘文書登録モードのときの動作を図2に示すフローチャートを用いて説明する。
【0010】
図2において、ステップS201では、作成者は秘文書を作成し読み込ませるために外部からこの秘文書管理システム10にアクセスする。入力された秘文書は、秘文書管理制御部19を介して電子ファイルとして保管秘文書DB12に入力され保管される。次のステップS202では、秘文書の作成者は当該秘文書の閲覧者権限設定部11においてどの地位の者がそのままこの秘文書を見ることができるようにするかを設定する。
【0011】
後で述べる語句の置換を行わないで閲覧できる人をここでは無置換許可閲覧者または略して閲覧者という。この無置換許可閲覧者の設定情報は秘文書管理制御部19の制御のもとに閲覧使用者DB13に記憶される。
【0012】
次のステップS203では、秘文書作成者は、上記無置換許可閲覧者よりも低い地位の者が上記秘文書を見るとき、どの語句をどの語句で置換するかを設定する。この置換語句の対応関係は秘文書管理制御部19の制御のもとに置換語句作成部14で作成された後、置換語句DB15に記憶保管される。
【0013】
次に、ある地位の者(使用者)がこの秘文書管理システム10にアクセスしたとき、どのように秘文書を見せるかの動作を図3に示すフローチャートを用いて説明する。図3に示すステップS301において、使用者から秘文書管理システム10にアクセスがあると、ステップS302で、秘文書管理制御部19の制御のもとで使用者認証部16はその使用者の個人認証を行う。そして、個人認証により使用者が特定されると、秘文書管理制御部19は、当該使用者を閲覧使用者DB13にて調べる(ステップS303)。閲覧使用者DB13にはアクセス可能な人、例えば1企業内の全従業員の地位を含めたデータが記憶されている。したがって、上記使用者がこの閲覧者DB13において見つかりその地位を特定できる。
【0014】
閲覧者の地位は先に明確になっており、使用者の地位も閲覧使用者DB13の検索により明確になったので次のステップS304で、秘文書管理制御分19の制御のもとに地位比較部17において両者の地位の比較が行われる。使用者の地位が閲覧者と同位か上のときには、ステップS305において使用者が使用(閲覧)しようとしている秘文書を秘文書出力部18からそのまま出力する。
【0015】
一方、ステップS304で使用者の地位が閲覧者の地位より低いときには、ステップS306に移り、秘文書の所定語句を先に秘文書作成者により設定され置換語句DB15に記憶されている語句に置き換えられ、ステップS307で置換え処理された秘文書が文書作成出力部18により外部に出力される。
【0016】
ところで、上記実施形態では、秘文書の作成者が閲覧者の地位とその閲覧者に対する置換え語句の関係を設定しており、閲覧者と使用者の地位の比較により、秘文書の置換えを行うか否かを決めていた。しかし、本発明はこれのみに限られず、秘文書の語句の置換えと塗りつぶしを選択的に、あるいは一部を置換え他の部分は塗りつぶすといったように組み合わせることも可能である。また、秘文書の作成者の地位を使用者の地位と比較し、使用者が作成者と同位か上位ならば、秘文書をそのまま出力するようにすることも可能である。以下にそのような実施形態について説明する。
【0017】
<実施形態2>
図4にこのような実施形態の秘文書管理システムの構成例を示す。この秘文書管理システム40は、秘文書の作成者により特定の秘文書を見ることが可能な閲覧者の権限を設定する閲覧者権限設定部41と、上記秘文書を保管する保管秘文書DB42と、上記秘文書の作成者及び閲覧者及び使用者の地位を登録する作成閲覧使用者DB43と、上記閲覧者に対応させて秘文書にあり得る語句と対応する語句に置換あるいは塗りつぶしする語句(書換語句)を作成する書換語句作成部44と、この書換語句作成部44により作成された書換語句を登録しておく書換語句DB45と、このシステムに外部からアクセスしてきた使用者の認証を行う使用者認証部46と、上記秘文書の使用者と閲覧者や作成者の地位を比較する地位比較部47と、所定の場合に置換された秘文書を作成し出力する文書作成出力部48と、これらの各部、及びデータベースを制御する秘文書管理制御部49とを有する。
【0018】
この実施形態では詳しくは述べないが、上記実施形態1と同じように秘文書作成者は秘文書の読み込み、保管秘文書DB42への保管、作成者による閲覧者権限設定部41への設定、書換語句作成部44への作成を行い、語句の置換えや塗りつぶしの設定情報は書換語句DB45へ記憶される。なお、作成閲覧使用者DB43には、秘文書の閲覧者や使用者だけでなく作成者の地位も記憶されている。
【0019】
次に、秘文書管理システム40へ使用者がアクセスしてきた場合の動作を図5に示すフローチャートに従って説明する。ステップS501で秘文書を使用しようとする使用者からこのシステムにアクセスがあると、ステップS502で、秘文書管理制御部49の制御のもとに使用者認証部46でアクセスしてきた使用者の個人認証を行う。
【0020】
ステップS503では、秘文書管理制御部49の制御のもとにその使用者を作成閲覧使用者DB43で検索し、ステップS504では、地位比較部47において使用者と作成者の地位の比較を行う。
【0021】
ステップS504で使用者の地位が作成者と同位か上であると判断されると、ステップS505で文書作成出力部48において、秘文書をそのまま出力する。一方、ステップS504で使用者の地位が作成者より下位と判断されると、ステップS506に移り、その使用者を作成閲覧使用者DBで検索する。次にステップS507で、地位比較部47において使用者の地位が閲覧者(作成者が秘文書をそのまま見てもよいと設定した者)の地位より低いか判断される。
【0022】
使用者の地位が閲覧者の地位と同位か高いときには、ステップS505で文書作成出力部48から秘文書をそのまま出力して終了する。
【0023】
一方、ステップS507で地位比較部47において使用者の地位が閲覧者の地位より低いと判断されたときには、書換語句DBに記憶されている、秘文書の作成者により設定された秘文書の所定語句の置換え、塗りつぶしにより使用者から求められた秘文書の所定語句の書換がなされた文書が文書作成出力部48で作成され(ステップS508)、出力され(ステップS509)て終了する。
【0024】
このように実施形態2によれば、作成者と使用者の地位の比較も行われる利点があり、また置換えだけでなく、語句の塗りつぶしを行うことが可能であり、秘文書の秘の程度を細かく調整可能である。置換えと塗りつぶしを作成者が設定する閲覧者の地位により分けることも可能である。
【0025】
上記実施形態1において作成者の地位を見て秘文書の内容をそのまま出力するか否かを併せて判断することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明一実施形態による秘文書管理システムの構成例を示す図。
【図2】本発明一実施形態による秘文書管理システムの秘文書登録時の動作を説明するための図。
【図3】本発明一実施形態による秘文書管理システムの使用時の動作を説明するための図。
【図4】本発明の他の実施形態による秘文書管理システムの構成例を示す図。
【図5】本発明の他の実施形態による秘文書管理システムの使用時の動作を説明するための図。
【符号の説明】
【0027】
10,40・・・秘文書管理システム、
11,41・・・閲覧者権限設定部、
12,42・・・保管秘文書データベース(DB)
13・・・閲覧使用者DB、
14・・・置換語句作成部、
15・・・置換語句DB、
16,46・・・使用者認証部、
17,47・・・地位比較部、
18,48・・・文書作成出力部、
19,49・・・秘文書管理制御部、
43・・・作成閲覧使用者DB、
44・・・書換語句作成部、
45・・・書換語句DB。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
秘文書を保管する保管秘文書データベースと、
前記秘文書の作成者によりこの秘文書を閲覧する閲覧者の権限を設定する閲覧者権限設定手段と、
前記秘文書の前記閲覧者及び前記秘文書を使用する使用者を登録する閲覧使用者データベースと、
前記作成者により前記秘文書にあり得る語句とその置換え語句の対応関係を前記閲覧者に対応させて登録する置換語句設定手段と、
前記保管秘文書データベースの特定の秘文書にアクセスがなされたときその使用者の認証を行うアクセス認証手段と、
このアクセス認証手段によりアクセスした前記使用者と前記閲覧者の地位を比較する地位比較手段と、
この地位比較手段により前記使用者が前記閲覧者より下位であることが検知されたとき、前記置換語句設定手段により前記特定の秘文書の語句を置換え語句により置換して文書を作成する置換文書手段と、
を備えてなることを特徴とする秘文書管理システム。
【請求項2】
前記地位比較手段は、前記使用者と前記閲覧者の地位を比較し、前記使用者が前記閲覧者と同位か上位であることが検知されたとき、前記秘文書をそのまま出力することを特徴とする請求項1記載の秘文書管理システム。
【請求項3】
秘文書を保管する保管秘文書データベースと、
前記秘文書の閲覧者及び使用者及び前記秘文書の作成者を登録する作成閲覧使用者データベースと、
前記作成者により前記秘文書にあり得る語句とその置換え語句または塗りつぶしの指示の対応関係を前記閲覧者に対応させて登録する書換語句設定手段と、
前記保管秘文書データベースの特定の秘文書にアクセスがなされたときその使用者の認証を行うアクセス認証手段と、
このアクセス認証手段によりアクセスした前記使用者と前記作成者及び前記閲覧者の地位を比較する地位比較手段と、
この地位比較手段により前記使用者が前記作成者及び前記閲覧者より下位であることが検知されたとき、前記書換語句設定手段により前記特定の秘文書の語句を置換え語句又は塗りつぶしにより書き換えて文書を作成する書換文書手段と、
を備えてなることを特徴とする秘文書管理システム。
【請求項4】
前記地位比較手段は、前記使用者と前記作成者の地位を比較し、前記使用者が前記作成者と同位か上位であることが検知されたとき、前記秘文書をそのまま出力することを特徴とする請求項3記載の秘文書管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−4435(P2007−4435A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183246(P2005−183246)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(593107306)東芝電波システムエンジニアリング株式会社 (5)
【Fターム(参考)】