説明

移動ケーブル接続用アダプタ

【課題】移動ケーブルを用いて応急回路をスピーディ、容易、かつ安全に構成することが可能な移動ケーブル接続用アダプタを提供すること。
【解決手段】電気設備側接続部12とケーブル側接続部16とを有し、電気設備側接続部12には、スイッチギヤ内の接続端子50に接続される電気設備側平板接続部12aと、これに連続して形成された第2円錐台接続部12bとを設けた。ケーブル側接続部16には、移動ケーブル52のケーブル端子54と接続されるケーブル側平板接続部16aと、これに連続して形成され底面側の開放された中空の第1円錐台接続部16bとを設けた。そして、第1円錐台接続部16bの内周面に第2円錐台接続部12bの外周面を面接触させ固定することにより、移動ケーブル52とスイッチギヤ内の接続端子50との電気的な接続が為されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動ケーブル接続用アダプタ、特に応急的に電気設備内の接続端子と移動ケーブルとを接続するための移動ケーブル接続用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気設備、例えば、変電所等には電気回路の接続切替等を行うスイッチギヤが設置されている。そのスイッチギヤは、内部に各種の高圧機器が収納され、それぞれの高圧機器の有する機能が安全に果されるように構築されている。通常、高圧機器と高圧機器との接続は接続端子若しくは接続部を介してケーブル、高圧バー等で行われている。
【0003】
ここで、スイッチギヤ内で使用している高圧機器、例えば変圧器が経年劣化等で故障した場合、予備変圧器及び移動ケーブルを用いて故障した変圧器をバイパスする応急回路が組まれる。この応急回路により応急運転を行っている間に、新しい変圧器と取り換えること、若しくは故障した変圧器を修理すること等が行われる。ここで、移動ケーブルは、電流・電圧等の規格を満たしたものが使用される。
【0004】
通常、移動ケーブルを用いて応急回路を構成する場合、移動ケーブルはスイッチギヤ内の接続端子に対して接続される。図5は、移動ケーブル52をスイッチギヤ内の接続端子50に接続した様子を示す説明図であり、同図(a)は概略側面図、同図(b)は概略正面図である。スイッチギヤ内の接続端子50は、スイッチギヤ内の絶縁支持物、例えば碍子(図示していない)等に固定されている。移動ケーブル52は内部の芯線52aと、この芯線52aを絶縁被覆している絶縁物と、この絶縁物を覆う外被52cとからなっており、芯線52aの先端には、スイッチギヤ内の平板状の接続端子50と接触面積を大きくして接続できるように平板状に構成されたケーブル端子54が取り付けられる。ケーブル端子54を、このように平板状にして接続端子50に接続することにより、接触面積を大にして流すことのできる電流値を大きくしている。なお、ケーブル端子54と移動ケーブル52の芯線52aとの接続は、例えば圧縮等により行われる。また、移動ケーブル52の芯線52aとケーブル端子54との接続が終了した後に、この圧縮等により接続した部分には通常、絶縁テープが巻かれるが、図面ではこの絶縁テープは省略している。以下に示す図面も同様である。
【0005】
上記の移動ケーブル52をスイッチギヤ内の接続端子50に接続するには、移動ケーブル52のケーブル端子54が取り付けられた端部を、スイッチギヤ内の接続すべき接続端子50の位置まで、外被52cを把持しながら搬入し、移動ケーブル52のケーブル端子54とスイッチギヤの接続端子50の互いの接続面を合わせ、ボルト56とナット57により堅固に固定するという作業が要求される。したがって、互いの接続面が合わない場合には、移動ケーブル52の位置を変えたり、捻ったりする必要がある。
【0006】
また、他の状況としては、架空配電線に落雷等の事故があった場合に、需要家の停電を防止し応急送電を行うために、上記架空配電線にバイパスケーブルを接続して需要家の設備に電力の供給が行われる。バイパスケーブルを用いて架空配電線と需要家の設備を接続して応急回路を構成する際には、前述の移動ケーブルを用いて応急回路を構成する場合と同様に、接続箇所における接続部位の面合わせ作業等が必要となる。特許文献1には、この様な架空配電線のバイパスケーブル用のアダプタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−341729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の図5に示した移動ケーブル52を用いて応急回路を組む場合に、移動ケーブル52の先端に取り付けられたケーブル端子54と、スイッチギヤ内の接続端子50の接続面を的確に合わせることが容易ではないという問題があった。すなわち、スイッチギヤ内の接続端子50は固定されており、移動ケーブル52のケーブル端子54をその接続端子50の接続面に合わせる必要があるが、移動ケーブル52は径が太く重量があるので、先端に取り付けられた平板状のケーブル端子54が、スイッチギヤの接続端子50の接続面に対して角度を為している場合には、移動ケーブル52を再度引き回して角度を調整することが容易ではなかった。したがって、移動ケーブル52を用いた応急回路の構成には、時間と手間が掛かり、作業コストが高くなっていた。なお、特許文献1に開示されているアダプタの技術的な思想を、移動ケーブルに適用することも可能であるが、この特許文献1のアダプタを用いたとしても互いの接続面を平行に合わせる必要があり、上述の課題は解決されない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、移動ケーブルを用いて応急回路をスピーディ、容易、かつ安全に構成することが可能な移動ケーブル接続用アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の移動ケーブル接続用アダプタは、
電気設備内に設けられた接続端子と移動ケーブルとの接続に用いる移動ケーブル接続用アダプタにおいて、
前記電気設備内の接続端子に接続される電気設備側接続部と、前記移動ケーブルに接続されるケーブル側接続部と、を有し、前記電気設備側接続部又は前記ケーブル側接続部の何れか一方には、底面側の解放された中空の円錐台形状に形成された第1円錐台接続部が設けられ、前記電気設備側接続部又は前記ケーブル側接続部の他方には、前記第1円錐台接続部の内周面に面接触可能な外周面を有する第2円錐台接続部が設けられ、前記電気設備内の接続端子と前記移動ケーブルとの接続は、前記第2円錐台接続部の外周面を前記第1円錐台接続部の内周面に面接触させた状態で固定されて行われることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、第2円錐台接続部が第1円錐台接続部内に装填された状態では、第2円錐台接続部の外周面は第1円錐台接続部の内周面に面接触する。その状態で固定されると、第1円錐台接続部と第2円錐台接続部は接触面積を大きくして接続されるので、安心して大電流を流すことが可能となる。更に、第1円錐台接続部と第2円錐台接続部との関係は、回転軸を中心に360度回転させることが可能な関係である。したがって、その回転角度を調整して取付固定することができる。これにより、移動ケーブルの位置を変えたり、捻ったりして接続面を合わせる必要がなく、移動ケーブルを用いた応急回路をスピーディ、容易、かつ安全に構成することが可能である。なお、第1円錐台接続部の開放底面は上下方向の何れでも良い。
【0012】
請求項2に記載の移動ケーブル接続用アダプタは、請求項1に記載の移動ケーブル接続用アダプタにおいて、
前記第1円錐台接続部と前記第2円錐台接続部との固定は、前記第1円錐台接続部又は前記第2円錐台接続部の何れか一方の頂面に設けられた貫通穴にボルトを通し、該ボルトを前記第1円錐台接続部又は前記第2円錐台接続部の他方の頂面に設けられた雌ネジ部に螺合させることにより行われることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、第1円錐台接続と第2円錐台接続部との固定は、第1円錐台接続部と第2円錐台接続部とを重ね合わせた後に、貫通穴からボルトを通して雌ネジ部に螺合させれば良いので、簡単かつ確実に第1円錐台接続と第2円錐台接続部とを固定することが可能である。
【0014】
請求項3に記載の移動ケーブル接続用アダプタは、請求項1又は2に記載の移動ケーブル接続用アダプタにおいて、
前記ケーブル側接続部には、前記第1円錐台接続部又は前記第2円錐台接続部と接続される編組ケーブルが組み込まれたことを特徴とする。ここで、編組ケーブルは、多数の撚り線を編んだものであり、その形成された平板状のケーブルは可撓性を有する。したがって、移動ケーブルのケーブル端子が第1円錐台接続部又は第2円錐台接続部の回転軸に対して傾いていても、その角度ズレを編組ケーブルが吸収することができるので、第1円錐台接続部と第2円錐台接続部を容易に接続固定することが可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の移動ケーブル接続用アダプタによれば、大電流が流れる応急回路の構成を、移動ケーブルを用いてピーディ、容易、かつ安全に行うことが可能である。したがって、変電所等の電気設備における応急的な電気作業の効率及び信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の移動ケーブル接続用アダプタの第1の実施の形態に係り、概略平面図(同図(a))と概略側面図(同図(b))である。
【図2】本発明の移動ケーブル接続用アダプタの第2の実施の形態に係り、概略側面図である。
【図3】本発明の移動ケーブル接続用アダプタの第3の実施の形態に係り、概略側面図である。
【図4】本発明の移動ケーブル接続用アダプタの第4の実施の形態に係り、概略側面図である。
【図5】移動ケーブルとスイッチギヤ内の接続端子との接続の様子を示す図であり、概略側面図(同図(a))と概略正面図(同図(b))である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態に係る移動ケーブル接続用アダプタの概略平面図(同図(a))と概略側面図(同図(b))である。ただし、図1(b)では一部を断面で示している。なお、上記背景技術で述べた構成と同様の要素には同一の符号を付し、その詳細は省略する。
【0018】
移動ケーブル52は、芯線52aと絶縁物と外被52cとからなり、芯線52aの先端には平板状のケーブル端子54が取り付けられている。芯線52aとケーブル端子54との取り付けは、圧着により行われている。また、前述したように、圧縮により接続した部分に通常巻かれる絶縁テープは図示を省略している。
【0019】
移動ケーブル接続用アダプタ10は、電気設備側の構成要素と移動ケーブル側の構成要素とを有している。まず、電気設備側の構成要素は、電気設備内に設置されているスイッチギヤ内の接続端子50に接続される電気設備側接続部12である。電気設備側接続部12には、接続端子50に接続される平板状に形成された電気設備側平板接続部12aと、これに連続して略直角に伸長する底面側が開放された中空の第2円錐台接続部12bとが設けられている。第2円錐台接続部12bと電気設備側平板接続部12aとは溶接等により固定されている。
【0020】
電気設備側平板接続部12aは、接続端子50と面で接触し、接続端子50と略同じ若しくは少し小さな面積を有している。電気設備側平板接続部12aと接続端子50との接続はボルトとナットにより堅固に行われる。また、電気設備側平板接続部12aの厚さは使用する移動ケーブル52の重量等を考慮して最適に決められている。
【0021】
第2円錐台接続部12bは、電気設備側平板接続部12aと同じ厚さを有し、底面側が開放されている中空の円錐台形状を有している。底面は上を向いており、それに対向する面、すなわち頂面の中心には、後述する第1円錐台接続部と接続・固定するためのボルト22に螺合する雌ネジ部20が形成されている。
【0022】
次に、移動ケーブル側の構成要素は、移動ケーブル52の芯線52aに接続されたケーブル端子54に接続されるケーブル側接続部16である。ケーブル側接続部16には、ケーブル端子54に接続される平板状に形成されたケーブル側平板接続部16aと、これに連続して伸長する底面側が開放された中空の第1円錐台接続部16bとが設けられている。ケーブル側平板接続部16aは、第1円錐台接続部16bの底面と対向する面、すなわち頂面に、中心をずらして固定されている。第1円錐台接続部16bとケーブル側平板接続部16aとは溶接等により固定されている。
【0023】
ケーブル側平板接続部16aは、ケーブル端子54と面で接触し、ケーブル端子54と略同じ若しくは少し大きな面積を有している。ケーブル側平板接続部16aとケーブル端子54との接続はボルトとナットにより堅固に行われる。また、ケーブル側平板接続部16aの厚さは使用する移動ケーブル52の重量等を考慮して最適に決められている。
【0024】
第1円錐台接続部16bは、ケーブル側平板接続部16aと同じ厚さを有し、底面側が開放されている中空の円錐台形状を有している。底面は上を向いており、底面に対向する面、すなわち頂面の中心には、第2円錐台接続部と接続・固定するためのボルト22を貫通させるための貫通穴が形成されている。
【0025】
上記の第1円錐台接続部16bと第2円錐台接続部12bを、それぞれの底面を同じ方向にして重ね合わせると、第1円錐台接続部16aの内周面は第2円錐台接続部12bの外周面に面接触するように構成されている。したがって、第1円錐台接続部16bの内周面と第2円錐台接続部12bの外周面は面で接触されるので、十分の接続面積を確保でき、所定の電流を安全に流すことが可能である。なお、第1円錐台接続部16bと第2円錐台接続部12bとの固定は、前述のボルト22を締め付けることにより、簡単かつ確実に行うことができる。
【0026】
第1円錐台接続部16bは、第2円錐台接続部12bに対して、回転軸を中心に360度回転することが可能な関係にある。したがって、移動ケーブル52のケーブル端子54の面の角度に合わせて、ケーブル側接続部16を図1(b)の矢印Aで示したように回転することができる。
【0027】
以下、移動ケーブル52とスイッチギヤ内の接続端子50との接続作業について説明する。まず、移動ケーブル52のケーブル端子54が取り付けられている端部を接続端子50のある位置まで搬入する。そして、スイッチギヤ内の接続端子50に、電気設備側接続部12の電気設備側平板接続部12aを取り付ける。取り付けはボルトとナットにより行う。次に、移動ケーブル52のケーブル端子54にケーブル側接続部16のケーブル側平板接続部16aを取り付ける。取り付けはボルトとナットにより行う。
【0028】
次に、第1円錐台接続部16bを、移動ケーブル52の外被52cを把持しながら、第2円錐台接続部16bに下方から回転調整をすることなしに重ね合わせ、ボルト22を第1円錐台接続部16bの貫通穴から通して、第2円錐台接続部12bの雌ネジ部20に螺合させる。そのようにして、移動ケーブル52をスイッチギヤ内の接続端子50に簡単に接続することができる。
【0029】
したがって、第1の実施の形態の移動ケーブル接続用アダプタによれば、移動ケーブルで応急回路を構成する場合に、移動ケーブルとスイッチギヤ内の接続端子とを簡単かつスムーズに接続することが可能であり、第1円錐台接続部と第2円錐台接続部とは十分な接触面積を確保できるので所定の電流を安全に流すことが可能である。したがって、作業時間の短縮化、安全化が図られることとなり、構成した応急回路の信頼性も保証される。
【0030】
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、第1の実施の形態で示した第1円錐台接続部及び第2円錐台接続部の底面が下を向いている場合について説明する。図2にその移動ケーブル接続用アダプタの概略側面図を示す。但し、一部断面で示す。
【0031】
第1の実施の形態と異なる点を説明すれば、電気設備側接続部13には、スイッチギヤ内の接続端子50に接続される電気設備側平板接続部13aと、これに連続して略直角に伸長する底面側が開放された中空の第1円錐台接続部13bとが設けられている。ケーブル側接続部17には、ケーブル端子54に接続される平板状に形成されたケーブル側平板接続部17aと、これに連続して伸長する底面側が開放された中空の第2円錐台接続部17bとが設けられている。ケーブル側平板接続部17aは、第2円錐台接続部17bの内部の底面に、中心をずらして固定されている。これらの固定は溶接等により行われている。
【0032】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。したがって、本実施の形態においても、第1円錐台接続部13bと第2円錐台接続部17bとの面接触により接続が行われ、第2円錐台接続部17bは回転軸に対して360度回転可能である。したがって、移動ケーブルとスイッチギヤ内の接続端子とを簡単かつスムーズに接続することが可能であり、所定の電流を安全に流すことが可能である。
【0033】
[第3の実施の形態]
第1の実施の形態では、第1円錐台接続部がケーブル側接続部に設けられている場合について説明した。本実施の形態では、第1円錐台接続部が電気設備側接続部に形成されている場合について説明する。図3にその移動ケーブル接続用アダプタ10の概略側面図を示す。但し、一部断面で示している。
【0034】
第1の実施の形態と異なる点を説明すれば、電気設備側接続部14には、スイッチギヤ内の接続端子50に接続される電気設備側平板接続部14aと、これに連続して略直角に伸長する底面側が開放された中空の第1円錐台接続部14bとが設けられている。ケーブル側接続部18には、ケーブル端子54に接続される平板状に形成されたケーブル側平板接続部18aと、これに連続して略直角に伸長する底面側が開放された中空の第2円錐台接続部18bとが設けられている。
【0035】
斯かる構成とすることにより、移動ケーブル52とスイッチギヤ内の接続端子50との接続作業において、予め移動ケーブル52のケーブル端子54とケーブル側接続部18のケーブル側平板接続部18aとを接続・固定しておくことにより、第2円錐台接続部18bを第1円錐台接続部14bに装着して、移動ケーブル52の重量を電気設備側接続部14に分担させ、第1円錐台接続部14bと第2円錐台接続部18bの固定を行うことが可能となる。
【0036】
本実施の形態においては、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の場合と比較して、スイッチギヤ内の接続端子50と接続される移動ケーブル52との平面視距離が長くなり、電気設備側平板接続部14aと第1円錐台接続部14bとの接続部分にはより大きなモーメントが掛かることとなるので必要に応じて補強されている。
【0037】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。したがって、本実施の形態においても、第1円錐台接続部14bと第2円錐台接続部18bとの面接触により接続が行われ、第2円錐台接続部18bは回転軸に対して360度回転可能である。したがって、移動ケーブルとスイッチギヤ内の接続端子とを簡単かつスムーズに接続することが可能であり、所定の電流を安全に流すことが可能である。
【0038】
[第4の実施の形態]
第3の実施の形態は、第1の実施の形態の移動ケーブル接続用アダプタにおいて、ケーブル側接続部16に第1円錐台接続部16bとケーブル側平板接続部16aとの間に編組ケーブル28を組み入れたものである。図4にその移動ケーブル接続用アダプタ10の概略側面図を示す。但し、一部断面で示している。なお、移動ケーブル52の芯線52aと絶縁物52bと外被52cの直径は概念的に示しており、このサイズに限られない。
【0039】
編組ケーブル28は、多数の撚り線を平形に編んだものであり、その形成された平板状のケーブルは或程度の可撓性を有する。編組ケーブル28と第1円錐台接続部16b及びケーブル側平板接続部16aとの接続は溶接等により行った。したがって、移動ケーブル52のケーブル端子54が第1円錐台接続部16aの底面に対して垂直でなく傾いている、言い換えればその回転軸に対して角度を為している場合であっても、その角度ズレを編組ケーブル28が吸収することが可能である。
【0040】
したがって、第4の実施の形態に係る移動ケーブル接続用アダプタは、移動ケーブルのケーブル端子が第1円錐台接続部の底面に対して傾いている場合でも、移動ケーブルと電気設備内の接続端子とを容易に接続することが可能である。したがって、移動ケーブルとスイッチギヤ内の接続端子とを簡単かつスムーズに接続することが可能であり、作業時間の短縮化、安全化が図られることとなる。
【0041】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、スイッチギヤ内の接続端子と移動ケーブルのケーブル端子との面の傾きを、第1円錐台接続部と第2円錐台接続部とにより吸収したが、一方を球又は半球体として、他方はそれを覆う中空の半球又は球帯としても良い。
【符号の説明】
【0042】
10 移動ケーブル接続用アダプタ
12、13、14 電気設備側接続部
12b、17b、18b 第2円錐台接続部
16、17、18 ケーブル側接続部
13b、14b、16b 第1円錐台接続部
12a、13a、14a 電気設備側平板接続部
16a、17a、18a ケーブル側平板接続部
20 雌ネジ部
22 ボルト
28 編組ケーブル
50 スイッチギヤ内の接続端子
52 移動ケーブル
52a 芯線
52b 絶縁物
52c 外被
54 ケーブル端子
56 ボルト
57 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気設備内に設けられた接続端子と移動ケーブルとの接続に用いる移動ケーブル接続用アダプタにおいて、
前記電気設備内の接続端子に接続される電気設備側接続部と、
前記移動ケーブルに接続されるケーブル側接続部と、を有し、
前記電気設備側接続部又は前記ケーブル側接続部の何れか一方には、底面側の解放された中空の円錐台形状に形成された第1円錐台接続部が設けられ、
前記電気設備側接続部又は前記ケーブル側接続部の他方には、前記第1円錐台接続部の内周面に面接触可能な外周面を有する第2円錐台接続部が設けられ、
前記電気設備内の接続端子と前記移動ケーブルとの接続は、
前記第2円錐台接続部の外周面を前記第1円錐台接続部の内周面に面接触させた状態で固定されて行われることを特徴とする移動ケーブル接続用アダプタ。
【請求項2】
前記第1円錐台接続部と前記第2円錐台接続部との固定は、
前記第1円錐台接続部又は前記第2円錐台接続部の何れか一方の頂面に設けられた貫通穴にボルトを通し、該ボルトを前記第1円錐台接続部又は前記第2円錐台接続部の他方の頂面に設けられた雌ネジ部に螺合させることにより行われることを特徴とする請求項1に記載の移動ケーブル接続用アダプタ。
【請求項3】
前記ケーブル側接続部には、前記第1円錐台接続部又は前記第2円錐台接続部と接続される編組ケーブルが組み込まれたことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動ケーブル接続用アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−279213(P2010−279213A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131787(P2009−131787)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(596133119)中電プラント株式会社 (101)
【Fターム(参考)】