説明

移動体の作動機構

【課題】開状態の後、自動的に閉位置へ戻すことができる移動体の作動機構を得る。
【解決手段】フック部材12に反転バネ32の一端を取付け、反転バネ32の他端をギア部材54に取付けている。そして、フック部材12を押込み位置から押圧することによりギア部材54が回動し、フック部材12の回動中心(シャフト24)に対して、反転バネ32の付勢力が作用する位置(付勢位置)を変える。これにより、フック部材12を閉位置又は開位置へ回動させる回転力を反転バネ32に発生させるようにしている。これにより、フック部材12の開状態の後、所定時間経過後に該フック部材12を自動的に閉位置へ戻すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フックなど開閉可能な移動体の作動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の室内などには、鈎状(略L字状)のフックが設けられており、室内側へ突出した状態で衣服やバックを引っ掛けるために使用される。しかし、フックの不使用時、該フックが室内へ突出した状態では邪魔になる場合もある。
【0003】
このため、特許文献1では、フックが収容されるケースとフックに付勢手段を連結させ、フックがケース内に収容される方向へ付勢されるようにしている。フックの使用時には、指などで付勢手段の付勢力に抗してフックをケースから引出すことでフックが室内側へ突出し、手を離すと付勢手段の付勢力によってフックがケース内に収容されるようにしている。
【0004】
また、特許文献2では、本体には開口が設けられており、扉によって該開口が開閉可能となっている。この扉には外部歯車が設けられており、扉と一体に移動する。また、本体には、固定部材が固定されており、該固定部材には回転ギアが回動可能に設けられている。この回転ギアにはダンパギアが噛み合っており、このダンパギアが外歯歯車に噛み合っているため、扉が移動すると、外歯歯車及びダンパギアを介して回転ギアが回転する。
【0005】
一方、固定部材にはカム溝が形成されており、該カム溝内をピンが摺動可能としている。このピンの位置によって、本体と回転ギアの間に設けられたバネ部材が付勢力の大きさが変動するようになっている。そして、扉が完全に開放された状態で、バネ部材には付勢力によって扉を閉止方向へ移動させる力が作用するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−35994号公報
【特許文献2】特開2006−193883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事実を考慮して、移動体の開状態の後、自動的にこの移動体を閉位置へ戻すことができる移動体の作動機構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、移動体の作動機構において、支持体に回動可能に取付けられ、押込み位置、閉位置、及び開位置へ回動可能な移動体と、前記支持体に回動可能に取付けられ、前記移動体の押込み位置への移動により回動する回動部材と、一端が前記移動体に取付けられ、他端が前記回動部材に取付けられた付勢部材と、前記回動部材を回動させ、前記移動体の回動中心に対する前記付勢部材の付勢位置を変え、移動体を閉位置又は開位置へ移動させる回転力を付勢部材に発生させる操作部材と、を有している。
【0009】
請求項1に記載の発明では、移動体を支持体に回動可能に取付け、移動体を押込み位置、閉位置、及び開位置へ回動可能としている。支持体には回動部材を回動可能に取付けている。移動体には付勢部材の一端が取付けられ、付勢部材の他端は回動部材に取付けられており、移動体の押込み位置への移動により該回動部材が回動する。
【0010】
そして、操作部材によって回動部材が回動すると、移動体の回動中心に対する付勢部材の付勢位置を変え、移動体を閉位置又は開位置へ移動させる回転力を付勢部材に発生させるようにしている。
【0011】
付勢部材の付勢力が作用する作用線上に移動体の回動中心が位置している場合、移動体には付勢部材の付勢力によるモーメントは作用しない。しかし、付勢部材の付勢力の作用線上に移動体の回動中心がない場合、移動体には付勢部材の付勢力によるモーメントが移動体の回動中心周りに作用することとなる。
【0012】
つまり、請求項1に記載の発明によれば、付勢部材の付勢位置を変え、移動体の回動中心と付勢部材の付勢位置との位置関係によって、移動体に作用するモーメントの向きを変え、移動体を閉方向又は開方向へ回動させることができる。これにより、移動体の開状態の後、該移動体を自動的に閉位置へ戻すことが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の移動体の作動機構において、前記操作部材は、一端が前記支持体に取付けられ、他端が前記回動部材に取付けられて、回動部材に回転力を付与するねじりコイルバネである。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、移動体を押込み位置へ移動させると、回動部材が回動し、ねじりコイルバネには弾性エネルギーが蓄積される。ねじりコイルバネに蓄積された弾性エネルギー(付勢力)によって、移動体の回動中心に対する付勢部材の付勢位置を変え、移動体を閉位置又は開位置へ移動させる回転力を付勢部材に発生させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の移動体の作動機構において、前記移動体の閉位置で前記ねじりコイルバネが前記回動部材を介して移動体に作用する移動体の開方向への回転力と前記付勢部材が前記移動体に作用する移動体の閉方向への回転力が釣り合っている。
【0016】
請求項3に記載の発明では、移動体の閉位置で、ねじりコイルバネによる移動体の開方向への回転力と付勢部材による移動体の閉方向への回転力とが釣り合うようにすることで、移動体が閉止位置で保持される。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の移動体の作動機構において、前記移動体の開位置で前記ねじりコイルバネで前記回動部材が回動され、前記付勢部材の付勢位置が前記移動体を開位置へ移動させる回転力を発生させる位置から前記付勢部材の付勢位置を結ぶ直線と前記移動体の回動中心が重なる位置へ移動する。
【0018】
移動体の回動中心が付勢部材の付勢力が作用する作用線上(付勢部材の付勢位置を結ぶ直線上)に位置している場合、移動体には付勢部材の付勢力による移動体へのモーメントは発生しない。このため、請求項4に記載の発明によれば、移動体の開位置で、ねじりコイルバネで回動部材を回動させ、付勢部材の付勢位置を移動させて、移動体の開方向にモーメントを発生させる位置からモーメントを発生させない中立位置(付勢部材の付勢位置を結ぶ直線と移動体の回動中心が重なる位置)までの間、移動体の開放状態を維持させることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の移動体の作動機構において、前記ねじりコイルバネで前記回動部材が回動され、前記付勢部材の付勢位置を結ぶ直線と前記移動体の回動中心が重なる位置から付勢部材の付勢位置が前記移動体を閉位置へ移動させる回転力を発生させる位置へ移動する。
【0020】
請求項5に記載の発明では、ねじりコイルバネで回動部材を回動させ、付勢部材の付勢位置を結ぶ直線と移動体の回動中心が重なる位置から付勢部材の付勢位置を、移動体を閉位置へ移動させる回転力を発生させる位置へ移動させることで、移動体に対してモーメントを発生させない位置を境界として、付勢部材の付勢力が作用する向きを変えることができる。これにより、移動体を閉位置へ移動させる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の移動体の作動機構において、前記回動部材は、前記移動体を前記閉位置から前記押込み位置へ移動させるとき該移動体に押されて該回動部材を回動させる押圧部を備えている。
【0022】
請求項6に記載の発明では、回動部材に押圧部を設けており、移動体を閉位置から押込み位置へ移動させるとき該押圧部が移動体に押されるようにしている。これにより、回動部材が回動する。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の移動体の作動機構において、前記回動部材にはギア部が設けられ、前記支持体に前記ギア部と噛み合うダンパギアが設けられた。
【0024】
請求項7に記載の発明では、回動部材が回動するとき、ダンパギアによる減衰力がギア部を介して回動部材に作用するため、回動部材は静かに移動することとなる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の移動体の作動機構において、前記ギア部の曲率半径が、前記押圧部の移動軌跡の曲率半径よりも大きくしている。
【0026】
請求項8に記載の発明では、ギア部の曲率半径を、押圧部の移動軌跡の曲率半径よりも大きくすることで、押圧部の移動量に対してギア部の移動量を大きくすることができ、その分、回動部材を介してダンパギアによって移動体に減衰力が作用する時間を長くすることができる。
【0027】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の移動体の作動機構において、前記回動部材が、第1ギアが形成され前記移動体を前記閉位置から前記押込み位置へ移動させるとき該移動体に押されて回動する第1ギア部材と、前記第1ギアと噛み合う第2ギアを回動中心部に備え前記第1ギア部材の回動により回動する第2ギア部材と、を含んで構成されている。
【0028】
請求項9に記載の発明では、回動部材が第1ギア部材と第2ギア部材を含んで構成されている。第1ギア部材には第1ギアが形成されており、移動体を閉位置から押込み位置へ移動させるとき該移動体に押されて第1ギア部材が回動する。第2ギア部材には、第1ギアと噛み合う第2ギアを第2ギア部材の回動中心部に備えており、第1ギア部材の回動により第2ギア部材が回動する。
【0029】
つまり、移動体を閉位置から押込み位置へ移動させるとき、該移動体に押されて第1ギア部材が回動する。このとき、第1ギアも一緒に回動するため、第1ギアと噛み合う第2ギアが回動することとなる。これにより、第2ギア部材が回動する。
【0030】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の移動体の作動機構において、前記第2ギア部材の外周部に第3ギアが設けられ、前記支持体に前記第3ギアと噛み合うダンパギアが設けられている。
【0031】
請求項10に記載の発明では、第2ギア部材の外周部に第3ギアを設け、支持体には第3ギアと噛み合うダンパギアを設けている。これにより、第2ギア部材が回動するときはダンパギアを介して、第2ギア部材の回動力が減衰され、第2ギア部材は静かに移動することとなる。
【0032】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の移動体の作動機構において、前記第3ギアの曲率半径が、前記第2ギアの曲率半径よりも大きくしている。
【0033】
請求項11に記載の発明では、第3ギアの曲率半径を第2ギアの曲率半径よりも大きくすることで、第2ギアの移動量に対して第3ギアの移動量を大きくすることができ、その分、ダンパギアによって第2ギア部材を介して移動体に減衰力が作用する時間を長くすることができる。
【0034】
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の移動体の作動機構において、前記付勢部材が、中央部にねじり部を備えた反転バネであり、前記移動体の開位置及び閉位置で該反転バネの両端部が互いに近接する方向へ付勢されている。
【0035】
請求項12に記載の発明では、付勢部材が、中央部にねじり部を備えた反転バネであり、移動体の開位置及び閉位置で該反転バネの両端部が互いに近接する方向へ付勢されるようにしており、移動体の回動中心との位置関係によって、移動体へ作用する付勢力の向きを変えるようにしている。
【0036】
請求項13に記載の発明は、移動体の作動機構において、支持体に回動可能に取付けられた回動体と、前記支持体にスライド可能に設けられ、前記回動体に設けられたピニオン部が噛合うラック部を備え、スライドして、押込み位置、閉位置、及び開位置へスライドする移動体と、前記支持体に回動可能に取付けられ、前記移動体の押込み位置への移動により前記回動体を介して回動する回動部材と、一端が前記回動体に取付けられ、他端が前記回動部材に取付けられた付勢部材と、前記回動部材を回動させ、前記回動体の回動中心に対する前記付勢部材の付勢位置を変え、回動体を介して前記移動体を閉位置又は開位置へ移動させる回転力を付勢部材に発生させる操作部材と、を有している。
【0037】
請求項13に記載の発明では、回動体を支持体に回動可能に取付けている。支持体には回動体に設けられたピニオン部が噛合うラック部を備えており、該ラック部をスライド可能としている。移動体は押込み位置、閉位置、及び開位置へスライド可能としており、支持体には回動部材が回動可能に取付けられ、移動体の押込み位置への移動により回動体を介して回動する。
【0038】
また、回動体には、付勢部材の一端が取付けられ、付勢部材の他端は回動部材に取付けられている。そして、操作部材によって、回動部材を回動させ、回動体の回動中心に対する付勢部材の付勢位置を変え、回動体を介して移動体を閉位置又は開位置へ移動させる回転力を付勢部材に発生させるようにしている。
【0039】
付勢部材の付勢力が作用する作用線上に回動体の回転中心が位置している場合、回動体には付勢部材の付勢力によるモーメントは作用しない。しかし、付勢部材の付勢力の作用線上に回動体の回転中心がない場合、回動体には付勢部材の付勢力によるモーメントが回動体の回転中心周りに作用することとなる。
【0040】
つまり、請求項13に記載の発明によれば、付勢部材の付勢位置を変え、回動体の回転中心と付勢部材の付勢位置との位置関係によって、移動体に作用するモーメントの向きを変え、回動体を介して移動体を閉方向又は開方向へ移動させることができる。これにより、移動体の開状態の後、該移動体を自動的に閉位置へ戻すことが可能となる。
【0041】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の移動体の作動機構において、前記操作部材は、一端が前記支持体に取付けられ、他端が前記回動部材に取付けられて、回動部材に回転力を付与するねじりコイルバネである。
【0042】
請求項14に記載の発明によれば、移動体を押込み位置へ移動させると、回動部材が回動し、ねじりコイルバネには弾性エネルギーが蓄積される。ねじりコイルバネに蓄積された弾性エネルギー(付勢力)によって、回動体の回転中心に対する付勢部材の付勢位置を変え、移動体を閉位置又は開位置へ移動させる応力を付勢部材に発生させるようにしている。
【0043】
請求項15に記載の発明は、移動体の作動機構において、支持体に対して、基準位置と突出位置との間の移動と、前記基準位置から前記突出位置と反対の所定位置への移動と、を有する移動体を備えてなると共に、前記移動体の基準位置から前記所定位置への押圧により、付勢部材の付勢力が蓄積され、前記押圧を解除すると、前記移動体が前記突出位置へ移動した後、前記付勢部材の付勢力により前記移動体が基準位置に戻るようにしている。
【0044】
請求項15に記載の発明によれば、基準位置にある移動体を所定位置へ押圧すると、移動体は突出位置へ移動すると共に付勢部材の付勢力が蓄積される。このため、移動体への押圧力を解除すると、付勢部材の付勢力によって移動体は自然に基準位置へ戻る。
【0045】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の移動体の作動機構において、前記付勢部材を含んで構成された付勢方向切替え機構によって、前記移動体が突出位置へ移動され、移動体が突出位置に至ったときに、移動体が基準位置に復帰移動する。
【0046】
請求項16に記載の発明では、付勢方向切替え機構によって、付勢部材の付勢方向が切替えられるようになっており、付勢部材の付勢力によって移動体を突出位置へ移動させ、移動体が突出位置に至ったとき付勢部材の付勢方向が切替えられ、付勢部材の付勢力によって移動体が基準位置に復帰移動する。
【0047】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の移動体の作動機構において、前記移動体が突出位置に至った後、一定時間経過後に、前記付勢方向切替え機構によって、前記付勢部材の付勢方向が切替わる。
【0048】
請求項17に記載の発明では、移動体が突出位置に至った後、一定時間経過後に、付勢方向切替え機構によって、付勢部材の付勢方向を切替えるようにしている。移動体が突出位置へ移動して直ぐに移動体が基準位置へ戻るのでは、移動体を手で押えた状態で衣服などを引っ掛けなければならなくなるため、移動体が突出位置に至った状態で、該移動体を一定時間保持できるようにしている。
【0049】
請求項18に記載の発明は、請求項16に記載の移動体の作動機構において、前記付勢方向切替え機構は、前記移動体と連動する回動体もしくは移動体に一体に設けられた回動体の作用により移動する回動部材と、前記回動体と前記回動部材間に設けられた付勢部材と、からなり、前記移動体の前記基準位置から前記所定位置への押圧により、前記回動体と前記回動部材間に設けられた前記付勢部材の付勢力の作用部を結ぶ仮想線が、回動体の回転中心の反対側に移動することで回動体の付勢方向を切替え、突出位置に移動した後に、再び回動体の回転中心の反対側に移動することで回動体の付勢方向を切替える。
【0050】
請求項18に記載の発明では、付勢部材の付勢力の作用部を結ぶ仮想線を、移動体又は移動体と連動する回動体の回転中心周りに移動させることで、移動体又は回動体に作用する付勢部材の付勢方向を切替えている。これにより、移動体を突出位置へ移動させた後、該移動体を自動的に基準位置へ戻すことができる。
【0051】
請求項19に記載の発明は、請求項18に記載の移動体の作動機構において、前記回動部材が、前記回動体から作用を受ける小径ギア部材と、前記小径ギア部材と噛合い移動量が小径ギア部材より大きい大径ギア部材と、からなる。
【0052】
請求項19に記載の発明では、回動部材には小径ギア部材と大径ギア部材を設け、小径ギア部材が回動体から作用を受ける。この小径ギア部材には、大径ギア部材が噛合っており、小径ギア部材の移動量よりも大きくなるようにしている。
【0053】
請求項20に記載の発明は、請求項19に記載の移動体の作動機構において、前記大径ギア部材は、回動中心に設けられ前記小径ギア部材と噛み合う小径ギアと、外周部に設けられた大径ギアと、からなり、前記大径ギアにダンパギアを噛み合わせることで、前記移動体が突出位置に至った後、一定時間経過後に付勢方向が切り替わる。
【0054】
請求項20に記載の発明では、大径ギア部材には、回動中心に設けられ小径ギア部材と噛み合う小径ギアと、外周部に設けられた大径ギアが設けられており、大径ギアにダンパギアを噛み合わせることで、移動体が突出位置に至った後、一定時間経過後に付勢方向が切り替わる。
【0055】
請求項21に記載の発明は、請求項1〜20の何れか1項に記載の移動体の作動機構において、往動途中の前記移動体を係止し、該移動体をさらに往動方向へ移動させると移動体が係止解除される係止手段が設けられた。
【0056】
移動体の往動(移動体の押込み位置から開位置への移動、又は移動体の所定位置から突出位置への移動)は、付勢部材による付勢力によるものであり、移動体の位置によって付勢部材の付勢力が作用する向きが変わる変曲点を通過すると、移動体を閉位置又は基準位置へ移動(復動)させる力が作用するようになっている。
【0057】
つまり、付勢手段の付勢力の作用する向きが変わる変曲点において移動体の動作が停止するのみであるため、請求項21に記載の発明では、移動体の往動途中に移動体を係止させる係止手段を設けることで、移動体の移動を停止させ、移動体の開状態又は突出状態(移動体が開位置又は突出位置にある状態)が長く維持されるようにしている。例えば、移動体をフックとして用いる場合、該移動体にコート等を引っ掛ける際に、移動体が停止しているとコートが掛けやすくなる。
【0058】
そして、移動体が停止している状態で、移動体をさらに往動方向へ移動させると該移動体の係止状態が解除されるようにしている。これにより、移動体は、付勢手段の付勢力によって、閉位置又は基準位置へ復動する。例えば、移動体をフックとして用いる場合、移動体が停止している状態で、該移動体にコート等を引っ掛けると、移動体の係止状態は解除されることとなる。このため、移動体からコートを取り外すと、移動体は自動的に閉位置又は基準位置へ復動する。
【0059】
請求項22に記載の発明は、請求項1〜20の何れか1項に記載の移動体の作動機構において、往動後、復動途中の前記移動体を係止し、該移動体を往動方向へ移動させると移動体が係止解除される係止手段が設けられた。
【0060】
請求項22に記載の発明では、移動体の往動後、移動体が復動する際に該移動体を係止して移動体の移動を停止させ移動体の移動体の開状態又は突出状態が長く維持されるようにしている。そして、移動体を往動方向(開位置又は基準位置方向)へ移動させると移動体が係止解除されて復動する。
【0061】
請求項23に記載の発明は、請求項1〜12、15〜22の何れか1項に記載の移動体の作動機構において、前記移動体の往動又は復動が回動移動である。
【0062】
請求項24に記載の発明は、請求項請求項13〜22の何れか1項に記載の移動体の作動機構において、前記移動体の往動又は復動がスライド移動である。
【0063】
請求項25に記載の発明は、請求項21〜23の何れか1項に記載の移動体の作動機構において、前記係止手段は、前記支持体及び前記回動部材の一方に設けられたカム溝と、他方に支持されたピン部材と、を含んで構成され、又は、前記支持体及び前記移動体の一方に設けられたカム溝と、他方に支持されたピン部材と、を含んで構成され、前記移動体の回動途中に前記ピン部材が前記カム溝に形成されたロック部に係止され、この状態で移動体を往動方向へ回動させるとピン部材の前記ロック部との係止状態が解除される。
【0064】
請求項25に記載の発明では、支持体及び回動部材の一方にカム溝が設けられ、他方にピン部材が支持されている。或いは、支持体及び移動体の一方にカム溝が設けられ、他方にピン部材が支持されている。そして、移動体の回動途中(移動体が開位置又は突出位置方向へ回動する途中、又は開位置又は突出位置へ回動移動した移動体が閉位置又は基準位置方向へ回動する)に、ピン部材がカム溝のロック部に係止される。この状態で、移動体は移動停止し、移動体の開状態又は突出状態が維持されることとなる。
【0065】
そして、この状態から、さらに移動体を往動方向(開位置又は基準位置方向)へ回動させると、ピン部材の前記ロック溝との係止状態が解除され、付勢部材の付勢力によって、移動体は閉位置又は基準位置方向へ回動する。
【0066】
請求項26に記載の発明は、請求項21、22、24の何れか1項に記載の移動体の作動機構において、前記係止手段は、前記支持体及び前記回動体の一方に設けられたカム溝と、他方に支持されたピン部材と、を含んで構成され、又は、前記支持体及び前記移動体の一方に設けられたカム溝と、他方に支持されたピン部材と、を含んで構成され、前記移動体のスライド途中に前記ピン部材が前記カム溝に形成されたロック部に係止され、この状態で移動体を往動方向へスライドさせるとピン部材の前記ロック部との係止状態が解除される。
【0067】
請求項26に記載の発明では、支持体及び回動体の一方にカム溝が設けられ、他方にピン部材が支持されている。或いは、支持体及び移動体の一方にカム溝が設けられ、他方にピン部材が支持されている。そして、移動体のスライド途中(移動体が開位置又は突出位置へスライドする途中、又は開位置又は突出位置へスライド移動した移動体が閉位置又は基準位置方向へ移動する)にピン部材がカム溝のロック部に係止される。この状態で、移動体は移動停止し、移動体の開状態又は突出状態が維持されることとなる。
【0068】
そして、この状態から、さらに移動体を往動方向(開位置又は突出位置方向)へスライドさせると、ピン部材のロック溝との係止状態が解除され、付勢部材の付勢力によって、移動体は閉位置又は基準位置方向へスライドする。
【0069】
請求項27に記載の発明は、請求項15に記載の移動体の作動機構において、前記支持体に回動可能に取付けられ、前記移動体の所定位置への押圧により回動し、前記付勢部材に付勢力を蓄積させる回動部材を備え、前記移動体が突出位置へ移動した後、前記付勢部材の付勢力で、前記回動部材を回動させ前記移動体に当接させて、移動体を前記基準位置へ戻す。
【0070】
請求項27に記載の発明では、支持体に回動部材が回動可能に取付けられており、移動体の所定位置への押圧により該回動部材が回動する。移動体を基準位置から所定位置へ押圧すると、付勢部材には付勢力が蓄積される。移動体への押圧力を解除し、移動体が突出位置へ移動した後、付勢部材の付勢力(復元力)によって、回動部材が回動して移動体に当接する。そして、回動部材の回動によって該回動部材を介して、移動体を自然に基準位置へ戻すことができる。
【0071】
請求項28に記載の発明は、請求項27に記載の移動体の作動機構において、前記移動体が基準位置に配置された状態で、前記移動体又は前記回動部材に当接して移動体の移動を規制する規制部が、回動部材又は移動体に設けられている。
【0072】
請求項28に記載の発明では、回動部材(又は移動体)に規制部を設け、移動体が基準位置に配置された状態で、該規制部が移動体(又は回動部材)に当接して、移動体の移動を規制する。これにより、移動体が基準位置に配置された状態を維持することができる。
【0073】
請求項29に記載の発明は、請求項28に記載の移動体の作動機構において、前記規制部が、前記回動部材に設けられ、前記移動体を前記基準位置から前記所定位置へ押圧する押圧力を前記回動部材へ伝達する第1当接部と、前記回動部材に設けられ、前記移動体が突出位置へ移動した後、移動体に当接して前記回動部材の回動力を前記移動体へ伝達する第2当接部と、を含んで構成されている。
【0074】
請求項29に記載の発明では、移動体を基準位置から所定位置へ押圧する押圧力を第1当接部によって回動部材へ伝達させることで、回動部材が回動し、付勢部材には付勢力が蓄積されることとなる。
【0075】
また、移動体が突出位置へ移動した後、付勢部材の付勢力によって、回動部材は回動するが、回動部材に設けられた第2当接部が移動体に当接し、該第2当接部によって回動部材の回動力を移動体へ伝達させることで、移動体が基準位置へ戻る。
【0076】
請求項30に記載の発明は、請求項27〜29の何れか1項に記載の移動体の作動機構において、前記回動部材にはギア部が設けられ、前記支持体に前記ギア部と噛み合うダンパギアが設けられている。
【0077】
請求項30に記載の発明では、回動部材が回動するとき、ダンパギアによる減衰力がギア部を介して回動部材に作用するため、回動部材は静かに移動することとなる。
【発明の効果】
【0078】
本発明は、上記構成としたので、移動体の開状態(突出状態)の後、自動的に閉位置(基準位置)へ戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】第1実施の形態に係るフック装置のフック部材の閉位置を示す斜視図である。
【図2】第1実施の形態に係るフック装置のフック部材の開位置を示す斜視図である。
【図3】第1実施の形態に係るフック装置を示す分解斜視図である。
【図4】(A)は図1の4(A)−4(A)断面図であり、(B)は押込み位置へ移動したフック部材を示す(A)に対応する断面図である。
【図5】(A)は図1の5(A)−5(A)断面図であり、(B)は押込み位置へ移動したフック部材を示す(A)に対応する断面図である。
【図6】(A)は図2の6(A)−6(A)断面図であり、(A)、(B)は、反転バネの付勢位置の変化を示す断面図である。
【図7】第2実施の形態に係るフック装置を示す分解斜視図である。
【図8】(A)は図7の8(A)−8(A)断面図であり、(B)は図7の8(B)−8(B)断面図、(C)は図7の8(C)−8(C)断面図である。
【図9】(A)は図7の8(C)−8(C)断面に対応するフック装置の断面図であり、(A)、(B)は、図4(A)、(B)の動作にそれぞれ対応する断面図である。
【図10】(A)は図7の8(A)−8(A)断面に対応するフック装置の断面図であり、(A)、(B)は、図5(A)、(B)の動作にそれぞれ対応する断面図である。
【図11】(A)は図7の8(A)−8(A)断面に対応するフック装置の断面図であり、(A)、(B)は、図6(A)、(B)の動作にそれぞれ対応する断面図である。
【図12】(A)は図7の8(B)−8(B)断面に対応するフック装置の断面図であり、(A)、(B)は、図4(A)、(B)の動作にそれぞれ対応する断面図である。
【図13】第3実施の形態に係るフック装置を示す分解斜視図である。
【図14】(A)はフック部材の閉位置を示す断面図であり、(B)は押込み位置へ移動したフック装置を示す断面図である。
【図15】(A)は、フック部材の開位置を示す断面図であり、(A)、(B)は、反転バネの付勢位置の変化を示す断面図である。
【図16】第4実施の形態に係るフック装置を示す分解斜視図である。
【図17】(A)はフック部材の閉位置、(B)はフック部材の押込み位置を示す図16のA−A断面図であり、反転バネの付勢位置の変化を示している。
【図18】(A)、(B)は、図17(A)、(B)の動作にそれぞれ対応する、図16のB−B断面図であり、カム溝とトレース部との関係を示している。
【図19】(A)はフック部材が移動停止している状態、(B)はフック部材を開位置へ移動させた状態を示す図16のA−A断面図であり、反転バネの付勢位置の変化を示している。
【図20】(A)、(B)は、図19(A)、(B)の動作にそれぞれ対応する、図16のB−B断面図であり、カム溝とトレース部との関係を示している。
【図21】(A)はフック部材が閉止方向へ移動している状態、(B)はフック部材の閉位置を示す図16のA−A断面図であり、反転バネの付勢位置の変化を示している。
【図22】(A)、(B)は、図21(A)、(B)の動作にそれぞれ対応する、図16のB−B断面図であり、カム溝とトレース部との関係を示している。
【図23】第5実施の形態に係るフック装置を示す分解斜視図である。
【図24】(A)はフック部材の閉位置、(B)は押込み位置へ移動したフック部材を示す断面図であり、反転バネの付勢位置の変化及びカム溝とトレース部との関係を示している。
【図25】(A)はフック部材が移動停止している状態、(B)はフック部材を開位置へ移動させた状態を示す断面図であり、反転バネの付勢位置の変化及びカム溝とトレース部との関係を示している。
【図26】(A)はフック部材が閉止方向へ移動している状態、(B)はフック部材の閉位置を示す断面図であり、反転バネの付勢位置の変化及びカム溝とトレース部との関係を示している。
【図27】第6実施の形態に係るフック装置のフック部材の閉位置を示す斜視図である。
【図28】第6実施の形態に係るフック装置のフック部材の開位置を示す斜視図である。
【図29】第6実施の形態に係るフック装置の正面側から見た分解斜視図である。
【図30】第6実施の形態に係るフック装置の裏面側から見た分解斜視図である。
【図31】(A)は図27の31(A)−31(A)断面図であり、(B)は押込み位置へ移動したフック部材を示す(A)に対応する断面図である。
【図32】(A)は図27の32(A)−32(A)断面図であり、(B)は押込み位置へ移動したフック部材を示す(A)に対応する断面図である。
【図33】(A)は図28の33(A)−33(A)断面図であり、フック部材が開位置へ移動した状態を示し、(B)はフック部材が閉位置へ戻る直前の状態を示している。
【図34】(A)は図28の34(A)−34(A)断面図であり、フック部材が開位置へ移動した状態を示し、(B)はフック部材が閉位置へ戻る直前の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0080】
次に、本実施形態に係る移動体としてのフック部材の作動機構(フック装置)について説明する。
【0081】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態について説明する。車両のボディパネル等には、図1〜図3に示すフック装置10が設けられており、室内へ向かってフック部材(移動体)12が開閉可能となっている。なお、ここでは、説明の便宜上、図1〜図3に示す向きを基準としてフック装置10の上下左右(U、D、L、Rで示す)を設定し、これに従って説明する。
【0082】
フック装置10には、箱状のケース(支持体)14が備えられており、該ケース14内にフック部材12が収容可能とされている。ケース14の側壁の端面からは、ケース14の全周に渡ってフランジ部16が外側へ向かって張り出している。また、ケース14の長手方向の側壁には、ケース14の上下に軸支孔18、20が設けられており、該軸支孔18、20にはそれぞれシャフト22、24が固定されている。
【0083】
フック部材12は、先端側が鉤状に折れ曲がったフック部26と、フック部26の後端側内面に設けられフック部材12を開閉させるための回動中心となる略円柱状のドラム部28と、を含んで構成されている。
【0084】
フック部26の先端側外面には、ドーム状の凹部26Aが凹設されており、フック部材12を押圧するための目印になると共に指が触れやすいようにしている。また、フック部26の先端部には折返し部26Bが設けられており、フック部26の先端部をドラム部28側へ向かって折り返し、フック部26に引っ掛けた衣服などが容易に落ちないようにしている。さらに、フック部26の後端側には、装着部30が設けられており、中央部にねじり部32Aを備えた反転バネ(付勢部材)32の一端部が装着可能とされている。
【0085】
ドラム部28は、表面に複数の凹部34が凹設されており、フック部材12の成形後、ドラム部28の表面がひけないようにしている。また、ドラム部28の中心部には、シャフト24が挿通可能な軸孔36が貫通しており、ドラム部28はシャフト24に対して回動可能とされている。このため、このドラム部28を介して、フック部材12がシャフト24周りに回動可能とされる。
【0086】
また、ドラム部28には、図3中右側に係合溝38(図4(A)参照)が設けられており、後述するギア部材(第1ギア部材、小径ギア部材)40に設けられた係合ピン(押圧部)42が係合可能とされている。
【0087】
一方、ケース14内にはカバー部44が設けられており、ケース14内に収容される各部品を目隠して、フック部材12が開放された状態で各部品が露出しないようにしている。これにより、フック装置10の美観を向上させると共に、各部品をゴミなどから保護することができる。
【0088】
ここで、図5(A)に示すように、カバー部44は断面視にて、ケース14の中央上部でケース14の底部14A(なお、この底部14Aは反転バネ32との干渉を回避するため部分的に開口15が形成されている)から水平方向に延出し、先端部がケース14の開口部46側へ向かって斜め下方へ折れ曲がっている。
【0089】
ケース14の上部には、ケース14の上壁14Bの内面とカバー部44との間に空間48が設けられており、図5(A)に示すように、フック部材12が閉止された状態(フック部材12の閉位置(基準位置))で、該空間48内にはフック部26の先端部が収容可能とされる。
【0090】
また、フック部材12が閉止された状態では、フック部材12はシャフト24を中心として、図5(B)に示すように、ケース14内へ押込む方向への回動(移動)が可能となっており、フック部26がカバー部44に当接して移動規制される(押込み位置、所定位置)までフック部材12は回動可能である。
【0091】
また、カバー部44の表面には、ゴム部材で形成されたクッション50が固着されており、フック部26が当接可能とされている。このため、フック部26はクッション50を介してカバー部44に当接することとなるが、該クッション50によってフック部26の当接時の衝撃が吸収される。
【0092】
また、クッション50を介してフック部26がカバー部44に当接するとき、シャフト24を中心にフック部26の先端部も円弧状の移動軌跡を描くこととなるが、この際に、フック部26の先端部がケース14の内壁及びカバー部44に干渉しないよう、ケース14の上壁14Bの内面には退避部17が形成されている。
【0093】
また、シャフト24には、ギア部材40が回動可能に軸支されている。このギア部材40には、シャフト24が挿通可能な軸孔52と、ドラム部28に形成された係合溝38に係合する係合ピン42と、後述するギア部材(第2ギア部材、大径ギア部材)54に設けられたギア部(第2ギア、小径ギア)56と噛み合うギア部(第1ギア)58が設けられており、係合ピン42を中心に、ギア部58と軸孔52は互いに反対側に位置している。
【0094】
ここで、図4(A)に示すように、フック部材12の閉位置で、ドラム部28の係合溝38の端部にギア部材40の係合ピン42は当接しており、図4(B)に示すように、フック部材12を押込む方向へ押圧すると、係合溝38を介して係合ピン42が押圧される。これにより、ギア部材40がシャフト24を中心に回動することとなる。
【0095】
一方、図5(A)、(B)に示すように、シャフト22には、ギア部材54が回動可能に軸支されている。ギア部材40には、図3に示すように、円柱状の軸部60が設けられており、この軸部60の中央部に形成された軸孔60Aにシャフト22が挿通される。
【0096】
また、軸部60には、長手方向の中央部に収容部62が設けられており、該収容部62内にねじりコイルバネ64が収容可能とされ、ねじりコイルバネ64のコイル部64A内にシャフト22が内挿される。このねじりコイルバネ64は一端部がギア部材54に当接し、他端部がケース14側に固定されて、図5(A)に示すように、ギア部材54を矢印A方向(フック部材12を開放させる方向)へ付勢している。
【0097】
また、ギア部材54の軸部60の近傍には、ギア部材40のギア部58と噛み合うギア部56が形成されており、ギア部材54の自由端側には、後述するダンパギア66と噛み合うギア部(第3ギア、大径ギア)68が形成されている。
【0098】
フック部材12の回動によって、ギア部材40が回動すると、ギア部材40のギア部58を介してギア部56が回動し、ギア部56が設けられたギア部材54がシャフト22を中心に回動する。これにより、ギア部材54のギア部68と噛み合うダンパギア66が回転する。
【0099】
ダンパギア66はダンパユニット65の一部を構成しており、円筒状のハウジング70に取付けられている。ハウジング70内にはシリコンオイル等の粘性流体が充填されており、ダンパギア66には正回転及び逆回転共に、粘性流体による粘性抵抗が作用するようになっている。このため、ギア部68を介してギア部材54には、該粘性抵抗による減衰力が作用し、ギア部材54は静かに回動することとなる。
【0100】
ここで、ハウジング70の外周面からは1つの固定片71が延出しており、固定片71に設けられた固定孔71Aに固定ピン73が挿通され、該固定ピン73を介してダンパユニット65がケース14に固定される。
【0101】
このように、ハウジング70の周方向の一箇所でダンパユニット65を固定することで、該ダンパユニット65は固定ピン73を基準に回動可能な状態となる。このため、固定ピン73の締付け力によって、ギア部68とダンパギア66との間で遊びを設定することができる。
【0102】
また、ギア部68の、ケース14の開口部46側には、装着部72が設けられており、反転バネ32の他端部が装着されている。反転バネ32の一端部は、前述したように、フック部材12の後端側に設けられた装着部30に装着されており、図5(A)に示すように、フック部材12の閉位置において、反転バネ32の両端部は互いに近接する方向へ付勢されている。
【0103】
さらに、ギア部材54の装着部72からは、ケース14の開口部46側へ向かって延出する延出片74が設けられており、フック部材12が閉止された状態で、フック部材12の内面が当接可能となっている。
【0104】
(フック部材の動作説明)
図5(A)に示すように、フック部材12の閉位置(基準位置)では、フック部材12の装着部30はケース14の開口部46の内縁下部側に位置しており、ギア部材54の装着部72は、ケース14の奥方へ向かって装着部30の斜め上方に位置している。装着部30と装着部72には、反転バネ32の端部がそれぞれ装着されており、反転バネ32の両端部は互いに近接する方向へ付勢している(弾性エネルギーが蓄積されている)。
【0105】
ここで、ギア部材54のギア部68はダンパギア66と噛み合っており、ダンパギア66による粘性抵抗により、ギア部材54は所定値以上の応力まではその移動を規制される。一方、フック部材12は閉位置において、ストッパなどの移動規制部材による移動規制はなされていない。
【0106】
したがって、フック部材12及びギア部材54に装着された反転バネ32は、一端部(フック部材12の装着部30)の方が他端部(ギア部材54の装着部72)よりも移動しやすい。このため、反転バネ32の付勢力は矢印B方向へ向かって作用することとなる。
【0107】
フック部材12の回動中心はシャフト24であるため、反転バネ32の付勢力によって、フック部材12にはシャフト24を中心として、矢印C方向(フック部材12を閉止させる方向)へのモーメントが作用することとなる。一方、ギア部材54には、ねじりコイルバネ64の一端部が当接して、ギア部材54を矢印A方向(フック部材12を開放させる方向)へ付勢している。
【0108】
このため、フック部材12の閉位置では、フック部材12の閉止方向への応力とフック部材12の開放方向への応力が釣り合うように設定されており、フック部材12の閉位置の状態が維持される。
【0109】
次に、図4(A)に示すように、フック部材12の閉位置から、図4(B)に示すように、フック部材12を押込み位置(所定位置)へ向かって押圧すると、ドラム部28の係合溝38を介して、ギア部材40の係合ピン42が押され、ギア部材40がシャフト22を中心に回動する。
【0110】
図5(A)、(B)に示すように、このギア部材40の回動により、ギア部材40のギア部58を介して、ギア部56が回動し、ギア部56が設けられたギア部材54がシャフト22周りに回動する。これにより、ねじりコイルバネ64は付勢力(フック部材12を開放させる方向)の抗する方向(矢印A方向と反対方向)へ付勢され、弾性エネルギーが蓄積された状態となる。
【0111】
また、ギア部材54の回動によって、装着部72がシャフト24の奥方へ移動する。これにより、反転バネ32にはさらに弾性エネルギーが蓄積されると共に、その付勢力は、矢印B’方向へ作用する。このため、フック部材12にはシャフト24を中心として矢印D方向(フック部材12を開放させる方向)へのモーメントが作用することとなる。
【0112】
一方、ギア部材54のギア部56はダンパギア66と噛み合っており、ギア部材54は所定値以上の応力まではその移動を規制されるため、ねじりコイルバネ64による付勢力よりも反転バネ32による付勢力の方が先にフック部材12に作用する。
【0113】
つまり、反転バネ32の付勢力によって、反転バネ32の一端部(フック部材12の装着部30)が、反転バネ32の他端部(ギア部材54の装着部72)側へ引き寄せられ、装着部30を介して、図6(A)に示すように、フック部材12が開放方向へ回動する。
【0114】
ここで、ケース14には、ストッパ76(図4(A)参照)が設けられており、ストッパ76の下面には、ゴム部材で形成されたクッション78が固着されている。このクッション78は、フック部材12が開放された状態で当接可能としており、該クッション78によってフック部材12の当接時の衝撃が吸収される。
【0115】
フック部材12が開放された状態(フック部材12の開位置又は突出位置)では、フック部材12は略水平となり、フック部26には衣類等が引っ掛け可能とされる。このとき、反転バネ32の一端部(フック部材12の装着部30)は、ケース14の奥方へ向かって反転バネ32の他端部(ギア部材54の装着部72)の斜め下方に配置される。
【0116】
そして、このフック部材12の開位置においても閉位置と同様、反転バネ32の両端部は互いに近接する方向へ付勢されている。このため、反転バネ32の付勢力は矢印E方向へ作用する。したがって、フック部材12にはシャフト24を中心として矢印D方向(フック部材12を開放させる方向)へのモーメントが作用することとなる。
【0117】
ここで、前述したように、この状態では、ねじりコイルバネ64にはフック部材12を開放させる方向への弾性エネルギーが蓄積された状態となっている。このため、ねじりコイルバネ64による付勢力によって、ギア部材54がシャフト22周りを徐々に回動する。
【0118】
このギア部材54の回動によって、反転バネ32によって得られる付勢力の作用する方向が徐々にずれることとなる。ここで、ギア部材54がシャフト22周りを回動すると、ギア部68を介してダンパギア66が回転する。このため、ギア部材54にはダンパギア66による減衰力が作用する。
【0119】
そして、図6(B)に示すように、反転バネ32の一端部(フック部材12の装着部30)と反転バネ32の他端部(ギア部材54の装着部72)を結ぶ、反転バネ32の付勢力の作用線(仮想線)Pが、フック部材12のシャフト24と重なる位置(変曲点)に到達したとき、フック部材12には、シャフト24を中心とするモーメントは作用しない。このため、フック部材12は開放された状態が維持される。
【0120】
そして、この状態からさらにギア部材54が矢印A方向へ回動すると、反転バネ32の付勢力の作用線Pが作用線Qへ移動し、フック部材12にはシャフト24を中心として矢印C方向(フック部材12を閉止させる方向)へのモーメントが作用することとなる。
【0121】
つまり、反転バネ32の付勢力の作用線(仮想線)Pが、フック部材12のシャフト24と重なる位置を境界として、付勢部材の付勢力が作用する向きが変わり(付勢方向切替え機構)、フック部材12には反転バネ32による閉止方向への力が作用することとなり、フック部材12が閉止する方向へ付勢される。
【0122】
これにより、フック部材12が閉止する方向へ回動するが、このとき、ギア部材54もシャフト24周りを回動する。このため、ギア部68を介してダンパギア66が回転し、ギア部材54にはダンパギア66による減衰力が作用する。そして、反転バネ32を介して、フック部材12にもダンパギア66による減衰力が作用し、フック部材12は静かに回動することとなる。
【0123】
ここで、ダンパギア66と噛み合うギア部68を、ギア部材54の自由端側に設け、ギア部材40のギア部58と噛み合うギア部56を、ギア部材54の回動中心側に設けて、ギア部68の曲率半径がギア部56の曲率半径よりも大きくなるようにしている。つまり、ギア部56の移動量に対してギア部68の移動量が大きくなるようにして、ダンパギア66によってフック部材12に減衰力が作用する時間が長くなるようにしている。
【0124】
そして、図5(A)に示すように、フック部材12の閉位置で、フック部材12の内面にギア部材54の延出片74が当接し、フック部材12は移動規制される。
【0125】
(フック部材の作用)
【0126】
図5(A)に示すように、本実施形態では、フック部材12に反転バネ32の一端を取付け、反転バネ32の他端をギア部材54に取付けている。そして、図5(B)に示すように、フック部材12を押込み位置から押圧することによりギア部材54が回動し、フック部材12の回動中心(シャフト24)に対して、反転バネ32の付勢力が作用する位置(付勢位置)を変える。これにより、フック部材12を閉位置(図5(A)参照)又は開位置(図6(A)参照)へ回動させる回転力を反転バネ32に発生させるようにしている。
【0127】
具体的には、ねじりコイルバネ64の一端をケース14側に取付け、他端をギア部材54に取付けて、フック部材12が開放する方向へねじりコイルバネ64がギア部材54を付勢している状態で、フック部材12を押込み位置へ回動させ、ギア部材54を回動させて、ねじりコイルバネ64に弾性エネルギーを蓄積させる。
【0128】
このとき、反転バネ32にも弾性エネルギーが蓄積されるが、フック部材12を開放させるときは、この反転バネ32による付勢力を利用する。そして、フック部材12が開放された状態で、ねじりコイルバネ64の付勢力を利用する。
【0129】
つまり、図6(B)に示すように、反転バネ32の付勢力が作用する作用線P上にフック部材12の回動中心(シャフト24)が位置している場合、フック部材12には反転バネ32の付勢力によるモーメントは作用しない。
【0130】
しかし、反転バネ32の付勢力の作用線P上にフック部材12の回動中心がない場合、例えば、フック部材12の回動中心が、反転バネ32の付勢力の作用線Q上にある場合、反転バネ32の付勢力によるモーメント(矢印C方向)がフック部材12に作用することとなる。
【0131】
このように、ねじりコイルバネ64の付勢力によりギア部材54を回動させ、フック部材12の回動中心に対する反転バネ32の付勢位置を変えることで、フック部材12に作用するモーメントの向きを変え、フック部材12を閉方向又は開方向へ回動させる回転力を該反転バネ32に発生させることができる。
【0132】
そして、反転バネ32によって、フック部材12へ作用する付勢力の向きを変えることで、フック部材12の開状態の後、所定時間経過後に(フック部材12へ作用する付勢力の向きが変わると)、該フック部材12を自動的に閉位置へ戻すことができる。ここで、所定時間はねじりコイルバネ64の付勢力やダンパギア66による減衰力によって調整可能である。
【0133】
なお、ここでは、説明の便宜上、図1〜図3に示す向きをフック装置10の上下とし、これに従って説明したが、このフック装置10の取付位置などによっては、ケース14のフランジ部16を上面としてフック装置10を配置しても良いし、フランジ部16を下面としてフック装置10を配置しても良い。この場合、フック部材12のフック部26の形状はこれに伴って変わる場合もある。
【0134】
また、本実施形態では、フック部材12の回動中心(シャフト24)に対する反転バネ32の付勢位置を変え、フック部材12を閉位置(図5(A)参照)又は開位置(図6(A)参照)へ回動させる回転力を反転バネ32に発生させることができれば良いため、上記のような構成に限るものではない。
【0135】
<第2実施形態>
例えば、図7に示す第2実施形態が例として挙げられる。第1実施形態では、ギア部材40、54を用いて、フック部材12の動作と連動させるようにしたが、本実施形態では、フック装置79において、1つの回動部材80を用いて、フック部材12の動作と連動させるようにしている。なお、第1実施形態と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0136】
図8(A)〜(C)には、図7に示す回動部材80の各断面図が示されている。図7に示すように、回動部材80には軸部82が設けられており、軸部82には当接部82Aが設けられ、この当接部82Aがフック部材84のドラム部86の上部に設けられた突起部88に当接する。
【0137】
図9(A)に示すように、フック部材84が閉位置の状態で、図9(B)に示すように、フック部材12を押込み方向へ押圧すると、突起部88を介して当接部82Aが押圧される。これにより、図10(A)、(B)に示すように、回動部材80がシャフト24を中心に回動する。また、回動部材80の自由端側には、図12(B)に示すように、ギア部90が設けられている。このギア部90がダンパギア66と噛み合う。
【0138】
本実施形態におけるフック部材84の動作は、図10及び図11に示す通りであり、第1実施形態におけるフック部材12の動作と略同じであるため説明を省略するが、本実施形態では、第1実施形態と比較して部品点数を削減することができるため、コストダウンを図ることができる。
【0139】
以上、第1実施形態及び第2実施形態では、シャフト24を中心にフック部材12を回動させるようにしたが、フック部材12の動作はこれに限るものではない
【0140】
<第3実施形態>
例えば、図13に示す第3実施形態が例として挙げられる。なお、第1実施形態と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0141】
図14及び図15に示すように、本実施形態では、フック装置100において、フック部材101が上下方向へ移動(スライド)する。フック部材101は、フック部26とラック部102で構成されており、ラック部102はフック部材12の内面に設けられ、フック部26の反対側に位置している。ラック部102には、円柱状の回動体104の外周面に形成されたピニオン部106が噛み合い可能とされている。
【0142】
回動体104はシャフト24に対して回転可能に軸支され、回動体104の回動によって、ピニオン部106を介して、ラック部102が上下移動し、該ラック部102を介してフック部材101が上下移動することとなる。また、回動体104には、装着部108が設けられており、この装着部108に反転バネ32の一端部が装着される。
【0143】
また、フック装置100には箱状のケース112が備えられており、ケース112の開口部46には、蓋部114が設けられ、フック部材101が閉止された状態で、該フック部材101が露出しないようにしている。この蓋部114には、図示はしないが、蓋部114の上下方向に沿ってガイド部が設けられ、フック部材101は該ガイド部によって上下方向に沿って案内される。
【0144】
また、ケース14の下部からは、収納壁116が垂下し、フック部材101が閉止された状態(フック部材101の閉位置、基準位置)で、フック部26を収容可能としている。また、図14(A)に示すように、フック部材101の閉位置では、フック部26とケース112の下側壁112Aとの間には、隙間118が設けられており、図14(B)に示すように、フック部材101をさらに上方へ移動可能とし、フック部材101の押込み位置への移動が可能となっている。
【0145】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。この第4実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態の変形例であり、フック部材200を開位置(突出位置)へ移動させる(往移動)途中でフック部材200を移動停止させるロック機構(係止手段)を設けている。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0146】
図16に示すように、フック部材200は、先端側が鉤状に折れ曲がったフック部26と、フック部26の後端側内面に設けられフック部材12を開閉させるための回動中心となる略半円柱状の半円柱部204と、を含んで構成されている。なお、ここでは、半円柱部204としているが、図7と同様に略円柱状のドラム86を用いても良く、特に形状は特定されるものではない。
【0147】
フック部26の内面には、半円柱部204の下部に、後述する回動部材206に当接可能なストッパ208が突設されている。このストッパ208には装着部30が設けられており、該装着部30に反転バネ32の一端部が装着される。
【0148】
ここで、回動部材206について説明する。
回動部材206は図7に示す回動部材80と略同一の形状を成しており、回動部材206の自由端部には、ギア部90が設けられ、このギア部90がケース14の長手方向の側壁に設けられた収納部210に取付けられたダンパギア66と噛み合い可能となっている。
【0149】
ギア部68の、ケース14の開口部46側の歯元近傍には、装着部72が設けられており、反転バネ32の他端部が装着されている。また、ギア部90を間に置いて、装着部30の反対側には回動部材206の自由端部から延出片212が延出しており、該延出片212がストッパ208に当接可能となっている。
【0150】
また、回動部材206の中央部には、略ハート形状を成す凸状のハート部214を有するカム溝216が設けられており、ケース14に装着された略U字状のピン部材218が係合可能となっている。
【0151】
このピン部材218はケース14に設けられた装着部219に嵌め込まれており、中央部が支持部218Aとなって、該支持部218Aを中心に揺動可能となっている。また、ピン部材218の一端部には、支持部218Aの反対側へ向かい支持部218Aと平行に延出するトレース部218Bが設けられており、該トレース部218Bがカム溝216と係合する。
【0152】
図18(A)に示すように、カム溝216は、回動部材206のフック部材200の反対側に形成された導入部220と繋がっており、該導入部220を通じてトレース部218Bがカム溝216へ案内される。導入部220側に位置するハート部214の頂部214Aは、導入部220よりもギア部90側に位置しており、導入部220から案内されたトレース部218Bはハート部214の上斜面に沿って移動することとなる。つまり、カム溝216の形状及び回動部材206の移動によって、ピン部材218は支持部218Aを中心に揺動する。
【0153】
また、ハート部214の上斜面の頂部214Bの奥方(回動部材206のフック部材200側)には、トレース部218Bが進入可能な進入路216Aが設けられている。回動部材206が回動し、トレース部218Bがカム溝216のハート部214の頂部214Bを通過すると、トレース部218Bは進入路216Aへ進入する。
【0154】
さらに、カム溝216の導入部220の略反対側には、ハート部214のロック部222が形成されており、トレース部218Bがこのロック部222に到達すると、該トレース部218Bは係止され、いわゆるロック状態となる。そして、トレース部218Bがロック状態から解除されると、トレース部218Bはカム溝216に沿って移動可能となる。
【0155】
ここで、フック部材200の閉位置(基準位置)では、図18(A)に示すように、ピン部材218には、外力がほとんど作用していない状態であり、ピン部材218が略水平状態となっている。しかし、図18(B)に示すように、フック部材200を押込み位置(所定位置)へ回動させると、フック部材200の回動に伴って回動部材206が回動し、前述したように、ハート部214の上斜面に沿ってトレース部218Bが上方へ案内され、トレース部218Bを介して支持部218Aを中心にピン部材218が揺動するが、このとき、ピン部材218には弾性エネルギー(付勢力)が蓄積される。これにより、トレース部218Bには元に戻ろうとする力、すなわち、下方へ向かう付勢力が作用する。
【0156】
フック部材200を押込み位置へ回動させた後、フック部材200への押圧力を解除すると、図17(B)及び図19(A)に示すように、反転バネ32の付勢力によってフック部材200は開位置方向へ回動するが、回動部材206にはねじりコイルバネ64によって矢印A方向への付勢力が作用しているため、回動部材206も矢印A方向へ徐々に回動する。
【0157】
これにより、トレース部218Bは進入路216Aから抜け出る。ここで、トレース部218Bには、下方へ向かう付勢力が作用しているため、トレース部218Bが進入路216Aから抜け出ると、図20(A)に示すように、トレース部218Bはカム溝216のロック部222に係止され、回動部材206の矢印A方向への移動が規制される。
【0158】
一方、フック部材200が開位置へ移動する途中、図19(A)に示すように、フック部材200に設けられたストッパ208が回動部材206の延出片212に当接し、フック部材200が回動停止する。
【0159】
この状態から、フック部材200をさらに開方向へ回動させると、図19(B)に示すように、ストッパ208及び延出片212を介して回動部材206が回動する。これにより、図20(B)に示すように、トレース部218Bとカム溝216のロック部222との係止状態が解除される。
【0160】
(フック部材の動作説明)
図17(A)に示すように、フック部材12の閉位置(基準位置)では、反転バネ32の両端部は互いに近接する方向へ付勢している(弾性エネルギーが蓄積されている)。また、ギア部材54のギア部68はダンパギア66と噛み合っており、ダンパギア66による粘性抵抗を受けている。
【0161】
そして、反転バネ32の付勢力によって、フック部材12にはシャフト24を中心として、矢印C方向(フック部材12を閉止させる方向)へのモーメントが作用する。一方、回動部材206には、ねじりコイルバネ64の一端部が当接して、回動部材206を矢印A方向(フック部材12を開放させる方向)へ付勢している。
【0162】
このため、フック部材12の閉位置では、フック部材12の閉止方向への応力とフック部材12の開放方向への応力が釣り合うように設定されており、フック部材12の閉位置の状態が維持される。
【0163】
次に、図17(A)及び図18(A)に示すフック部材12の閉位置から、図17(B)及び図18(B)に示すように、フック部材12を押込み位置(所定位置)へ向かって押圧すると、突起部88(図9(A)参照)を介して当接部82Aが押圧され、回動部材206がシャフト24を中心に回動する。このため、ねじりコイルバネ64は付勢力(フック部材12を開放させる方向)の抗する方向(矢印A方向と反対方向)へ付勢され、弾性エネルギー(付勢力)が蓄積された状態となる。
【0164】
また、図18(A)、(B)に示すように、回動部材206の回動によって、トレース部218Bがカム溝216に沿って上方へ案内され、進入路216Aへ進入する。このとき、トレース部218Bを介して支持部218Aを中心にピン部材218が揺動し、ピン部材218には弾性エネルギー(付勢力)が蓄積される。
【0165】
さらに、図17(A)、(B)に示すように、回動部材206の回動によって、装着部72がシャフト24の奥方へ移動する。これにより、反転バネ32にはさらに弾性エネルギー(付勢力)が蓄積されると共に、その付勢力は、矢印B’方向へ作用する。このため、フック部材12にはシャフト24を中心として矢印D方向(フック部材12を開放させる方向)へのモーメントが作用することとなる。
【0166】
ここで、回動部材206のギア部90はダンパギア66と噛み合っており、回動部材206は所定値以上の応力まではその移動を規制されるため、ねじりコイルバネ64による付勢力よりも反転バネ32による付勢力の方が先にフック部材12に作用する。
【0167】
つまり、反転バネ32の付勢力によって、反転バネ32の一端部(フック部材12の装着部30)が、反転バネ32の他端部(回動部材206の装着部72)側へ引き寄せられ、装着部30を介して、図17(B)及び図19(A)に示すように、フック部材12が開放方向へ回動する。
【0168】
このとき、回動部材206も矢印A方向へ徐々に回動し、ピン部材218のトレース部218Bは進入路216Aから抜け出て、図20(A)に示すように、カム溝216のロック部222に係止され、回動部材206の矢印A方向への移動が規制される。
【0169】
一方、フック部材200が開位置へ回動すると、図19(A)に示すように、フック部材200に設けられたストッパ208が回動部材206の延出片212に当接する。回動部材206は矢印A方向への移動が規制されているため、延出片212及びストッパ208を介してフック部材200の移動も規制され、フック部材200は回動停止する。この状態でフック部26には衣類等が引っ掛け可能とされる。
【0170】
この状態から、図19(B)に示すように、フック部材200をさらに開方向へ回動させると、つまり、フック部材200に衣類等を引っ掛けたり、指でフック部材200を押し下げたりすると、フック部材200のストッパ208及び延出片212を介して、回動部材206が矢印A方向と反対方向へ回動する。
【0171】
これにより、図20(A)、(B)に示すように、トレース部218Bとカム溝216のロック部222との係止状態が解除される。この状態では、図19(B)に示すように、反転バネ32の付勢力は矢印E方向へ作用しており、フック部材12にはシャフト24を中心として矢印D方向(フック部材12を開放させる方向)へのモーメントが作用することとなる。
【0172】
ここで、前述したように、この状態では、ねじりコイルバネ64にはフック部材12を開放させる方向への弾性エネルギーが蓄積された状態となっている。このため、ねじりコイルバネ64による付勢力によって、ギア部材54がシャフト22周りを徐々に回動する。
【0173】
このギア部材54の回動によって、反転バネ32によって得られる付勢力の作用する方向が徐々にずれることとなる。ここで、ギア部材54がシャフト22周りを回動すると、ギア部68を介してダンパギア66が回転する。このため、ギア部材54にはダンパギア66による減衰力が作用する。
【0174】
そして、図21(A)に示すように、反転バネ32の一端部(フック部材12の装着部30)と反転バネ32の他端部(ギア部材54の装着部72)を結ぶ、反転バネ32の付勢力の作用線Pが、フック部材12のシャフト24と重なる位置(変曲点)に到達したとき、フック部材12には、シャフト24を中心とするモーメントは作用しない。
【0175】
そして、この状態からさらにギア部材54が矢印A方向へ回動すると、反転バネ32の付勢力の作用線Pが作用線Qへ移動し、フック部材12にはシャフト24を中心として矢印C方向(フック部材12を閉止させる方向)へのモーメントが作用することとなる。
【0176】
これにより、フック部材12が閉止する方向へ回動するが、このとき、回動部材206もシャフト24周りを回動するため、ギア部90を介してダンパギア66が回転し、回動部材206にはダンパギア66による減衰力が作用する。そして、反転バネ32を介して、フック部材12にもダンパギア66による減衰力が作用し、フック部材12は静かに回動することとなる。
【0177】
(フック部材の作用)
第1実施形態〜第3実施形態では、フック部材200を閉位置から押込み位置へ移動させると(フック部材200を基準位置から所定位置へ移動させると)、反転バネ32の付勢力によって、フック部材200を開位置(突出位置)へ移動(往動)させる力が作用するようになっており、フック部材200の位置によって反転バネ32の付勢力が作用する向きが変わる変曲点を通過すると、フック部材200を閉位置(基準位置)へ移動(復動)させる力が作用するようになっている。
【0178】
つまり、反転バネ32の付勢力の作用する向きが変わる変曲点においてフック部材200の動作が停止するのみである。このため、本実施形態では、ロック部222が設けられたカム溝216を回動部材206に設け、該カム溝216に係合可能なピン部材218をケース14に装着させ、図20(A)に示すように、回動部材206の回動途中にピン部材218のトレース部218Bがロック部222に係止されるようにして、回動部材206を回動停止させるようにしている。そして、これにより、該回動部材206を介してフック部材200を回動停止させる。
【0179】
このように、フック部材200の開位置への移動途中でフック部材200が回動停止するため、フック部材200の開状態(フック部材200が開位置にある状態)を長く維持することができる。このため、例えば、フック部材200にコート等を引っ掛ける際、フック部材200が停止しているので、コートが掛けやすくなる。
【0180】
そして、フック部材200が停止している状態で、フック部材200をさらに往動方向へ移動させると、トレース部218Bがロック部222から係止解除されるようにしている。これにより、フック部材200は、反転バネ32の付勢力によって、閉位置(基準位置)へ復動する。
【0181】
例えば、フック部材200をフックとして用いる場合、フック部材200が停止している状態で、該フック部材200にコート等を引っ掛けると、フック部材200は開位置へ移動し、トレース部218Bとロック部222との係止状態は解除されることとなる。このため、フック部材200からコートを取り外すと、フック部材200は自動的に閉位置(基準位置)へ復動する。
【0182】
ここで、図20(B)に示すように、フック部材200をさらに開方向へ回動させると、図19(A)、(B)に示すように、フック部材200のストッパ208及び延出片212を介して、回動部材206が矢印A方向と反対方向へ回動する。
【0183】
回動部材206にはねじりコイルバネ64によって矢印A方向への付勢力が作用するが、ギア部90にはダンパギア66が噛み合っているため、回動部材206は矢印A方向へ徐々に回動する。このギア部材54の回動によって、反転バネ32によって得られる付勢力の作用する方向が徐々にずれることとなる。そして、この反転バネ32の変曲点を通過するまでは、フック部材200は閉止方向へ回動しない。
【0184】
このため、図19(A)、(B)に示すように、フック部材200が回動停止された状態から、フック部材200をさらに開方向へ回動させることで、回動部材206を矢印A方向と反対方向へ回動させることで、フック部材200の開位置において、フック部材200を閉止方向へ回動させる迄の時間を長くすることができ、フック部材200に引っ掛けた物を取り外してからフック部材200がゆっくり戻ることとなるので引っ掛けた物が取出しやすくなる。
【0185】
なお、本実施形態では、回動部材206にカム溝216を形成し、ケース14にピン部材218を装着させたが、これに限るものではない。例えば、図示はしないが、ケースにカム溝を形成し、回動部材にピン部材を装着させるようにしても良い。また、フック部材のドラム部にカム溝を設け、支持体にピン部材を設けても良いし、ドラム部にピン部材を設け、支持体にカム溝を設けても良い。
【0186】
また、本実施形態では、フック部材200の開位置への移動途中にトレース部218Bをロック部222に係止させるようにしたが、トレース部218Bをロック部222に係止させるタイミングはこれに限るものでない。
【0187】
カム溝216の形状を変えることでトレース部218Bがロック部222に係止されるタイミングを変えることができるため、例えば、フック部材200を一旦開位置へ移動させた後、フック部材200が閉位置へ戻る途中にトレース部218Bをロック部222に係止させるようにしても良いし、また、トレース部218Bをロック部222に係止させる回数が複数であっても良い。
【0188】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。この第5実施形態は、第4実施形態の変形例であり、第3実施形態に類似する構成である。なお、第3実施形態及び第4実施形態と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0189】
図23に示すように、本実施形態では、フック部材101が上下方向へ移動(スライド)するようになっており、フック部材101のラック部102には回動体300に形成されたピニオン部106が噛み合うようになっている。この回動体104にハート部302を有するカム溝304が円弧状に形成されている。
【0190】
また、回動体300の外周側には、押圧ピン306が設けられており、回動部材80の軸部82の当接部82Aに当接可能となっている。そして、図24(A)、(B)に示すように、フック部材200を閉位置(基準位置)から押込み位置(所定位置)へスライドさせると、回動体300の回動によって、押圧ピン306が当接部82Aを押圧するようになっている。
【0191】
一方、ケース14にはピン部材218が支持部218Aを中心に揺動可能に装着されており、カム溝304に係合可能とされている。そして、カム溝304の形状及び回動体300の移動によって、ピン部材218は支持部218Aを中心に揺動する。
【0192】
また、ハート部302にはロック部308が形成されており、トレース部218Bがこのロック部308に到達すると、該トレース部218Bは係止され、いわゆるロック状態となり、回動体300が移動停止する。そして、これにより、フック部材101が移動停止する。
【0193】
また、トレース部218Bがロック状態から解除されると、トレース部218Bはカム溝304に沿って移動可能となり、回動体300を介してフック部材101が移動可能となる。
【0194】
図24(A)、(B)に示すように、フック部材101を閉位置から押込み位置へスライドさせると、回動体300が回動し、押圧ピン306が軸部82Aを押圧して回動体300を回動させる。
【0195】
図24(B)に示すように、フック部材101を押込み位置へスライドさせた後、フック部材101への押圧力を解除すると、図24(B)及び図25(A)に示すように、反転バネ32の付勢力によって、回動体300を介してフック部材101が開位置(突出位置)へ移動する。
【0196】
回動体300の回動により、トレース部218Bがカム溝304に沿って揺動し、図25(A)に示すように、カム溝304のロック部308に係止される。これにより、回動体300が回動停止して、フック部材101が移動停止する。ここで、回動体300にはねじりコイルバネ64によって矢印A方向への付勢力が作用しているため、回動部材80も矢印A方向へ徐々に回動する。
【0197】
この状態から、フック部材101をさらに開方向へスライドさせると、図25(B)に示すように、フック部材101を介して回動体300が回動し、トレース部218Bとカム溝304のロック部308との係止状態が解除される。
【0198】
ねじりコイルバネ64の付勢力によって回動部材80が元の位置(図24(A)参照)に戻った状態では、反転バネ32の付勢力は矢印F方向へ作用しており、回動体300にはシャフト24を中心として矢印C方向(フック部材101を閉止させる方向)へのモーメントが作用することとなる。このため、フック部材101は上方へスライドして閉位置へ戻る。
【0199】
なお、本実施形態では、回動体300にカム溝304を形成し、ケース112にピン部材218を装着させたが、これに限るものではない。例えば、図示はしないが、ケースにカム溝を形成し、回動体にピン部材を装着させるようにしても良い。また、フック部材にカム溝を設け、支持体にピン部材を設けても良いし、フック部材にピン部材を設け、支持体にカム溝を設けても良い。
【0200】
また、本実施形態では、フック部材101の開位置への移動途中にトレース部218Bをロック部308に係止させるようにしたが、トレース部218Bをロック部308に係止させるタイミングはこれに限るものでない。
【0201】
カム溝304の形状を変えることでトレース部218Bがロック部308に係止されるタイミングを変えることができるため、例えば、フック部材101を一旦開位置へ移動させた後、フック部材101が閉位置へ戻る途中にトレース部218Bをロック部308に係止させるようにしても良いし、また、トレース部218Bをロック部308に係止させる回数が複数であっても良い。
【0202】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。この第6実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態の変形例である。この第1実施形態及び第2実施形態と同等の部位には同じ符号を付している。
【0203】
図29〜図31(A)に示すように(図31(A)は図27の31(A)−31(A)線断面図である)、フック装置320には、箱状のケース(支持体)322が備えられており、該ケース322内にフック部材324が収容可能とされている。ケース322の底壁の中央よりも若干上部に、角状の突設部326が突設されており、突設部326の中央部には雌ねじ部326Aが形成されている。
【0204】
この突設部326はフック装置320を取付ける図示しない被取付部に設けられた角状の係合突起に係合可能とされている。この係合突起に突設部326が係合された状態で、雌ねじ部326Aと共に係合突起に形成された雌ねじ部に固定ねじ(図示省略)がねじ込まれることで、被取付部にフック装置320が取付けられる。
【0205】
また、ケース322の側壁322Aの角部は角丸めされており、側壁322Aの端面からは、側壁322Aの形状に合わせてケース322の全周に渡ってフランジ部328が外側へ向かって張り出している。また、ケース322の長手方向(上下方向)の側壁には、ケース322の上下に軸支孔330、332が設けられており、該軸支孔330、332にはそれぞれシャフト334、336が固定されている。
【0206】
フック部材324の一端側には、シャフト336が挿通可能な軸孔338が貫通しており、シャフト336が挿通された状態で、該シャフト336に対してフック部材324が回動可能とされている。
【0207】
フック部材324は、図33(A)に示されるように(図33(A)は図28の33(A)−33(A)線断面図である)、開位置(突出位置)に配置された状態でフック部材324の上面となる側に溝部340が凹設されており、いわゆる肉抜きが成されている。これにより、フック部材324の成形後に生じる表面のひけ等を防止する。また、フック部材324に溝部340を凹設することで、フック部材324の軽量化を図ることができると共に、フック部材324を成形する樹脂の材料費を削減することができる。
【0208】
また、フック部材324の自由端側(他端側)外面には、図31(A)に示されるように、フック部材324がケース322内に収容された状態で、側面視でケース322から突出する突出部324Aが設けられており、フック部材324を押圧するための目印になると共に指が触れやすくなるようにしている。
【0209】
また、フック部材324の自由端には、鈎状に折れ曲がったフック部342が設けられており、このフック部342に衣服などを引っ掛け可能としている。さらに、フック部材324の回転中心側(一端側)には、ねじりコイルバネ343の一端部が装着されている。ねじりコイルバネ343の他端部は、ケース322の底壁下部に設けられた装着部366に装着されており、フック部材324の閉位置(基準位置)において、略自然状態となっている。
【0210】
ここで、フック部材324は、シャフト336が挿通された位置よりもケース322の外側に重心が設けられており、フック部材324の閉位置において、シャフト336を中心に開方向(矢印A方向)へ回動可能とされている。このため、フック部材324の閉位置では、フック部材324には後述するギア部材(回動部材)344が当接し、フック部材324の開方向への移動を規制している。
【0211】
一方、図29及び図31(A)に示すように、ケース322の上部には、フック部材324のフック部342が収容可能とされており、ケース322の底壁上部には、ゴム部材で形成された円柱状のクッションゴム346が固着されている。
【0212】
このクッションゴム346には、図31(B)に示すように、フック部材324のフック部342が当接可能とされており、フック部342がクッションゴム346に当接することで、フック部342のケース322の奥壁への衝撃を防止すると共に、クッションゴム346の弾性変形による復元力によって、フック部材324が開方向へ付勢される。
【0213】
ところで、シャフト334には、ギア部材344が回動可能に軸支されている。図30に示すように、ギア部材344には、円柱状の軸部348が設けられており、この軸部348の中央部に形成された軸孔350にシャフト334が挿通されている。
【0214】
また、軸部348には、長手方向の中央部に収容部352が切り欠かれており、該収容部352内にねじりコイルバネ354が収容可能とされ、ねじりコイルバネ354のコイル部354A内にシャフト334が挿入される。このねじりコイルバネ354は一端部がギア部材344に当接し、他端部がケース322側に固定されて、図31(A)に示すように、ギア部材344を矢印B方向へ付勢している。
【0215】
また、図29及び図32(A)に示すように(図32(A)は図27の32(A)−32(A)線断面図である)、ギア部材344の自由端側には、ダンパギア66と噛み合うギア部358が形成されている。ダンパギア66はダンパユニット65の一部を構成しており、円筒状のハウジング70に取付けられている。ハウジング70内にはシリコンオイル等の粘性流体が充填されており、ダンパギア66には正回転及び逆回転共に、粘性流体による粘性抵抗が作用するようになっている。このため、ダンパギア66のギア部68を介してギア部358には、該粘性抵抗による減衰力が作用し、ギア部材344は静かに回動することとなる。
【0216】
ケース322の側壁322Aの下部には、側壁322Aを貫通すると共に、側壁322Aにダンパユニット65を固定する固定部325が形成されている。一方、ダンパユニット65のハウジング70の外周面からは1つの固定片71が延出しており、固定片71に設けられた固定孔71Aに固定ピン73が挿通され、固定部325に固定される。
【0217】
このように、ハウジング70の周方向の一箇所でダンパユニット65を固定することで、該ダンパユニット65は固定ピン73を基準に回動可能な状態となる。このため、固定ピン73の締付け力によって、ギア部358とダンパギア66との間で遊びを設定することができる。
【0218】
また、図31(A)に示すように、ギア部材344の回転中心側には、フック部材324側へ向かって当接部360が突出しており、フック部材324の溝部340の底面に当接している。この当接部360の先端部には、円弧面362が設けられており、フック部材324の閉位置では、当接部360の円弧面362の頂部362Aが溝部340の底面に当接している。
【0219】
図31(A)、(B)に示すように、フック部材324を閉位置(基準位置)から押圧すると、溝部340の底面と当接する当接部360の円弧面362の頂部362Aの位置がずれて、当接部360の円弧面362を介して、ギア部材344がシャフト334を中心に回動する。このとき、ギア部材344のギア部358と噛み合うダンパギア66も回転する。
【0220】
さらに、図29に示すように、ギア部材344のギア部358からは、当接片(第2当接部)364が延出している。この当接片364は、図31(A)に示すように、フック部材324が閉止された状態で、フック部材324の一端部(回転中心側)が当接可能とされている。これにより、前述したように、フック部材324の開方向への移動が規制され、フック部材324の閉状態が維持される。
【0221】
一方、図34(A)に示すように(図34(A)は図28の34(A)−34(A)線断面図である)、ケース322の装着部366はフック部材324の一端部が当接可能とされており、フック部材324が装着部366に当接することで、フック部材324は開放方向への移動が規制される。
【0222】
装着部366の下面には、図示はしないがゴム部材で形成されたクッションゴムが固着されている。このクッションゴムは、フック部材324が開放された状態で当接可能としており、該クッションゴムによってフック部材324の当接時の衝撃が吸収される。
【0223】
(フック部材の動作説明)
図31(A)及び図32(A)に示すように、フック部材324の閉位置(基準位置)では、フック部材324の一端部(回転中心側)には当接片364が当接し、フック部材324の他端側(自由端側)には当接部360が当接している。
【0224】
フック部材324は、軸孔338が形成された位置よりもケース322の外側に重心が設けられており、フック部材324の閉位置において、シャフト336を中心に開方向(矢印A方向)へ回動可能とされるが、当接片364がフック部材324に当接することで、フック部材324の開放方向への移動が規制され、当接部360がフック部材324に当接することで、フック部材324の押込み方向への移動が規制される。つまり、この当接部360、364によって、フック部材324が閉位置に配置された状態が維持される。
【0225】
また、ギア部材344には、ねじりコイルバネ354の一端部が当接しており、ギア部材344を矢印B方向(矢印A方向と逆方向)へ付勢している。これにより、当接部360及び当接片364を確実にフック部材324に当接させ、フック部材324の開方向への移動を確実に規制する。
【0226】
次に、フック部材324の閉位置から、図31(B)及び図32(B)に示すように、フック部材324の突出部324Aを押込み位置(所定位置)へ向かって押圧すると、フック部342がクッションゴム346に当接し弾性変形する。これにより、クッションゴム346には付勢力が蓄積される。
【0227】
また、このとき、ねじりコイルバネ343の一端部(フック部材324側)が、ねじりコイルバネ343の他端部(ケース322の装着部366)から僅かに離反し、ねじりコイルバネ343には付勢力が僅かに蓄積される。
【0228】
また、フック部材324が押込み位置(所定位置)へ移動すると、当接部360の円弧面362が溝部340の底面と当接する位置がずれるが、これにより、ギア部材344がシャフト334を中心に回動し、ギア部材344の当接片364がフック部材324から離反する。これにより、フック部材324の開方向への移動規制が解除され、フック部材324は、図33(A)及び図34(A)に示すように、開放方向への移動が可能となる。
【0229】
また、ギア部材344が回動すると、ねじりコイルバネ354は付勢力(フック部材324を開放させる方向)の抗する方向(矢印A方向と反対方向)へ付勢されるため、付勢力が蓄積された状態となる。
【0230】
ここで、図32(A)及び図34(A)に示すように、ギア部材344のギア部358は、ダンパギア66と噛み合っており、ギア部材344が回動すると、ダンパギア66による粘性抵抗によりギア部材344には減衰力が作用する。そして、このダンパギア66による粘性抵抗により、ギア部材344は所定値以上の応力まではその移動を規制される。このため、ねじりコイルバネ354による復元力(付勢力)よりも、ねじりコイルバネ343やクッションゴム346による復元力(付勢力)の方が先にフック部材12に作用することとなる。
【0231】
つまり、フック部材324には、その自重による回動力、クッションゴム346に蓄積された付勢力及びねじりコイルバネ343に蓄積された付勢力によって、図33(A)及び図34(A)に示すように、フック部材324が開放方向へ回動する。そして、フック部材324が開放された状態(フック部材324の開位置)で、フック部342には衣類等が引っ掛け可能とされる。
【0232】
なお、本実施形態では、フック部材324が、その自重により開方向へ回動する回動力を有しているため、フック部材324の開放方向への回動において、クッションゴム346及びねじりコイルバネ343による付勢力は必ずしも必要ではない。
【0233】
一方、図34(A)の状態では、ねじりコイルバネ354にはフック部材324を閉止させる方向への付勢力が蓄積された状態となっている。このため、ねじりコイルバネ354による付勢力によって、図34(A)、(B)に示すように、ギア部材344がシャフト334周りを徐々に回動する。これにより、ギア部358を介してダンパギア66が回転する。このため、ギア部材344にはダンパギア66による減衰力が作用し、ギア部材344はゆっくり移動することとなる。
【0234】
図33(A)、(B)に示すように、ギア部材344の当接片364の移動軌跡上には、フック部材324の一端部が配置されており、ギア部材344が矢印B方向へ回動すると、ギア部材344の当接片364がフック部材324の一端部に当接する。
【0235】
この状態からさらにギア部材344が回動すると、ギア部材344の当接片364を介してフック部材324にはシャフト336を中心として矢印C方向(フック部材324を閉止させる方向)への回動力が作用することとなり、フック部材324が閉止する方向へ付勢される。
【0236】
これにより、フック部材324が閉止する方向へ回動するが、このとき、図34(B)及び図32(A)に示すように、ギア部材344もシャフト336周りを回動する。このため、ギア部358を介してダンパギア66が回転し、ギア部材344にはダンパギア66による減衰力が作用し、フック部材324は静かに回動することとなる。
【0237】
そして、前述したように、フック部材324の閉位置では、フック部材324の一端部には当接片364が当接し、フック部材324の他端側には当接部360が当接して、フック部材324は移動規制される。
【0238】
(フック部材の作用)
本実施形態では、ギア部材344に当接部360及び当接片364を設け、フック部材324が閉位置に配置された状態で、当接部360及び当接片364がフック部材324に当接することで、フック部材324が閉位置(基準位置)に配置された状態を維持することができる。
【0239】
そして、フック部材324を閉位置から押込み位置(所定位置)へ押圧する押圧力を当接部360によってギア部材344へ伝達させることで、ギア部材344が回動し、ねじりコイルバネ354には付勢力が蓄積されることとなる。
【0240】
フック部材324への押圧力を解除し、フック部材324が開位置(突出位置)へ移動した後、ねじりコイルバネ354の付勢力によって、ギア部材344は回動するが、当接片364がフック部材324に当接し、該当接片364によってギア部材344の回動力をフック部材324へ伝達させることで、該ギア部材344を介して、フック部材324を自然に閉位置へ戻すことができる。
【0241】
ここで、ギア部材344が回動するとき、ダンパギア66による減衰力がギア部358を介してギア部材344に作用するため、ギア部材344は静かに移動することとなる。
【0242】
なお、ここでは、当接部360をギア部材344に設けたが、フック部材324を押圧する押圧力をギア部材344へ伝達させることができれば良いため、当接部360をフック部材324に設けても良い。
【0243】
以上のように、本形態はあくまでも一実施例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。このため、本実施形態では、移動体としてフックを用いたが、ケースに対して移動可能な移動体であれば良いため、フックに限るものではない。
【符号の説明】
【0244】
10 フック装置(移動体の作動機構)
12 フック部材(移動体)
14 ケース(支持体)
24 シャフト(移動体の回動中心)
32 反転バネ(反転バネ、付勢部材)
32A ねじり部
40 ギア部材(第1ギア部材、小径ギア部材、回動部材)
54 ギア部材(第2ギア部材、大径ギア部材、回動部材)
56 ギア部(第2ギア、小径ギア)
58 ギア部(第1ギア)
64 ねじりコイルバネ(操作部材)
66 ダンパギア
68 ギア部(第3ギア、大径ギア)
79 フック装置(移動体の作動機構)
80 回動部材
84 フック部材(移動体)
90 ギア部
100 フック装置(移動体の作動機構)
101 フック部材(移動体)
102 ラック部
104 回動体
106 ピニオン部
112 ケース(支持体)
200 フック部材(移動体)
204 半円柱部
206 回動部材
216 カム溝(係止手段)
218 ピン部材(係止手段)
222 ロック部(係止手段)
300 回動体
304 カム溝(係止手段)
308 ロック部(係止手段)
320 フック装置(移動体の作動機構)
322 ケース(支持体)
324 フック部材(移動体)
344 ギア部材(回動部材)
354 ねじりコイルバネ(付勢部材)
358 ギア部
360 当接部(第1当接部、規制部)
364 当接片(第2当接部、規制部)
P 作用線(仮想線)
Q 作用線(仮想線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に回動可能に取付けられ、押込み位置、閉位置、及び開位置へ回動可能な移動体と、
前記支持体に回動可能に取付けられ、前記移動体の押込み位置への移動により回動する回動部材と、
一端が前記移動体に取付けられ、他端が前記回動部材に取付けられた付勢部材と、
前記回動部材を回動させ、前記移動体の回動中心に対する前記付勢部材の付勢位置を変え、移動体を閉位置又は開位置へ移動させる回転力を付勢部材に発生させる操作部材と、
を有する移動体の作動機構。
【請求項2】
前記操作部材は、一端が前記支持体に取付けられ、他端が前記回動部材に取付けられて、回動部材に回転力を付与するねじりコイルバネである請求項1に記載の移動体の作動機構。
【請求項3】
前記移動体の閉位置で前記ねじりコイルバネが前記回動部材を介して移動体に作用する移動体の開方向への回転力と前記付勢部材が前記移動体に作用する移動体の閉方向への回転力が釣り合っている請求項2に記載の移動体の作動機構。
【請求項4】
前記移動体の開位置で前記ねじりコイルバネで前記回動部材が回動され、前記付勢部材の付勢位置が前記移動体を開位置へ移動させる回転力を発生させる位置から前記付勢部材の付勢位置を結ぶ直線と前記移動体の回動中心が重なる位置へ移動する請求項2に記載の移動体の作動機構。
【請求項5】
前記ねじりコイルバネで前記回動部材が回動され、前記付勢部材の付勢位置を結ぶ直線と前記移動体の回動中心が重なる位置から付勢部材の付勢位置が前記移動体を閉位置へ移動させる回転力を発生させる位置へ移動する請求項4に記載の移動体の作動機構。
【請求項6】
前記回動部材は、前記移動体を前記閉位置から前記押込み位置へ移動させるとき該移動体に押されて該回動部材を回動させる押圧部を備えている請求項1に記載の移動体の作動機構。
【請求項7】
前記回動部材にはギア部が設けられ、前記支持体に前記ギア部と噛み合うダンパギアが設けられた請求項1に記載の移動体の作動機構。
【請求項8】
前記ギア部の曲率半径が、前記押圧部の移動軌跡の曲率半径よりも大きい請求項7に記載の移動体の作動機構。
【請求項9】
前記回動部材が、
第1ギアが形成され、前記移動体を前記閉位置から前記押込み位置へ移動させるとき該移動体に押されて回動する第1ギア部材と、
前記第1ギアと噛み合う第2ギアを回動中心部に備え、前記第1ギア部材の回動により回動する第2ギア部材と、
を含んで構成された請求項1に記載の移動体の作動機構。
【請求項10】
前記第2ギア部材の外周部に第3ギアが設けられ、前記支持体に前記第3ギアと噛み合うダンパギアが設けられた請求項9に記載の移動体の作動機構。
【請求項11】
前記第3ギアの曲率半径が、前記第2ギアの曲率半径よりも大きい請求項10に記載の移動体の作動機構。
【請求項12】
前記付勢部材が、中央部にねじり部を備えた反転バネであり、前記移動体の開位置及び閉位置で該反転バネの両端部が互いに近接する方向へ付勢されている請求項1に記載の移動体の作動機構。
【請求項13】
支持体に回動可能に取付けられた回動体と、
前記支持体にスライド可能に設けられ、前記回動体に設けられたピニオン部が噛合うラック部を備え、スライドして、押込み位置、閉位置、及び開位置へスライドする移動体と、
前記支持体に回動可能に取付けられ、前記移動体の押込み位置への移動により前記回動体を介して回動する回動部材と、
一端が前記回動体に取付けられ、他端が前記回動部材に取付けられた付勢部材と、
前記回動部材を回動させ、前記回動体の回動中心に対する前記付勢部材の付勢位置を変え、回動体を介して前記移動体を閉位置又は開位置へ移動させる回転力を付勢部材に発生させる操作部材と、
を有する移動体の作動機構。
【請求項14】
前記操作部材は、一端が前記支持体に取付けられ、他端が前記回動部材に取付けられて、回動部材に回転力を付与するねじりコイルバネである請求項13に記載の移動体の作動機構。
【請求項15】
支持体に対して、基準位置と突出位置との間の移動と、前記基準位置から前記突出位置と反対の所定位置への移動と、を有する移動体を備えてなると共に、前記移動体の基準位置から前記所定位置への押圧により、付勢部材の付勢力が蓄積され、前記押圧を解除すると、前記移動体が前記突出位置へ移動した後、前記付勢部材の付勢力により前記移動体が基準位置に戻る移動体の作動機構。
【請求項16】
前記付勢部材を含んで構成された付勢方向切替え機構によって、前記移動体が突出位置へ移動され、移動体が突出位置に至ったときに、移動体が基準位置に復帰移動する請求項15に記載の移動体の作動機構。
【請求項17】
前記移動体が突出位置に至った後、一定時間経過後に、前記付勢方向切替え機構によって、前記付勢部材の付勢方向が切替わる請求項16に記載の移動体の作動機構。
【請求項18】
前記付勢方向切替え機構は、
前記移動体と連動する回動体もしくは移動体に一体に設けられた回動体の作用により移動する回動部材と、
前記回動体と前記回動部材間に設けられた付勢部材と、
からなり、
前記移動体の前記基準位置から前記所定位置への押圧により、前記回動体と前記回動部材間に設けられた前記付勢部材の付勢力の作用部を結ぶ仮想線が、回動体の回転中心の反対側に移動することで回動体の付勢方向を切替え、突出位置に移動した後に、再び回動体の回転中心の反対側に移動することで回動体の付勢方向を切替える請求項16に記載の移動体の作動機構。
【請求項19】
前記回動部材が、前記回動体から作用を受ける小径ギア部材と、前記小径ギア部材と噛合い移動量が小径ギア部材より大きい大径ギア部材と、からなる請求項18に記載の移動体の作動機構。
【請求項20】
前記大径ギア部材は、回動中心に設けられ前記小径ギア部材と噛み合う小径ギアと、外周部に設けられた大径ギアと、からなり、前記大径ギアにダンパギアを噛み合わせることで、前記移動体が突出位置に至った後、一定時間経過後に付勢方向が切り替わる請求項19に記載の移動体の作動機構。
【請求項21】
往動途中の前記移動体を係止し、該移動体をさらに往動方向へ移動させると移動体が係止解除される係止手段が設けられた請求項1〜20の何れか1項に記載の移動体の作動機構。
【請求項22】
往動後、復動途中の前記移動体を係止し、該移動体を往動方向へ移動させると移動体が係止解除される係止手段が設けられた請求項1〜20の何れか1項に記載の移動体の作動機構。
【請求項23】
前記移動体の往動又は復動が回動移動である請求項1〜12、15〜22の何れか1項に記載の移動体の作動機構。
【請求項24】
前記移動体の往動又は復動がスライド移動である請求項13〜22の何れか1項に記載の移動体の作動機構。
【請求項25】
前記係止手段は、前記支持体及び前記回動部材の一方に設けられたカム溝と、他方に支持されたピン部材と、を含んで構成され、又は、前記支持体及び前記移動体の一方に設けられたカム溝と、他方に支持されたピン部材と、を含んで構成され、
前記移動体の回動途中に前記ピン部材が前記カム溝に形成されたロック部に係止され、この状態で移動体を往動方向へ回動させるとピン部材の前記ロック部との係止状態が解除される請求項21〜23の何れか1項に記載の移動体の作動機構。
【請求項26】
前記係止手段は、前記支持体及び前記回動体の一方に設けられたカム溝と、他方に支持されたピン部材と、を含んで構成され、又は、前記支持体及び前記移動体の一方に設けられたカム溝と、他方に支持されたピン部材と、を含んで構成され、
前記移動体のスライド途中に前記ピン部材が前記カム溝に形成されたロック部に係止され、この状態で移動体を往動方向へスライドさせるとピン部材の前記ロック部との係止状態が解除される請求項21、22、24の何れか1項に記載の移動体の作動機構。
【請求項27】
前記支持体に回動可能に取付けられ、前記移動体の所定位置への押圧により回動し、前記付勢部材に付勢力を蓄積させる回動部材を備え、
前記移動体が突出位置へ移動した後、前記付勢部材の付勢力で、前記回動部材を回動させ前記移動体に当接させて、移動体を前記基準位置へ戻す請求項15に記載の移動体の作動機構。
【請求項28】
前記移動体が基準位置に配置された状態で、前記移動体又は前記回動部材に当接して移動体の移動を規制する規制部が、回動部材又は移動体に設けられた請求項27に記載の移動体の作動機構。
【請求項29】
前記規制部が、
前記回動部材に設けられ、前記移動体を前記基準位置から前記所定位置へ押圧する押圧力を前記回動部材へ伝達する第1当接部と、
前記回動部材に設けられ、前記移動体が突出位置へ移動した後、移動体に当接して前記回動部材の回動力を前記移動体へ伝達する第2当接部と、
を含んで構成された請求項28に記載の移動体の作動機構。
【請求項30】
前記回動部材にはギア部が設けられ、前記支持体に前記ギア部と噛み合うダンパギアが設けられている請求項27〜29の何れか1項に記載の移動体の作動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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