説明

移動体の方向転換装置

【課題】 レールと、このレールに懸垂支持されて走行させることにより被搬送物を搬送する移動体とを有する搬送装置の、レール同士の交差箇所に配置される移動体の方向転換装置であり、回動体と接続されるレールの端面が円弧状でなくても、回動体との接続が良好になされ、移動体のレールから回動体への乗り降りが円滑になされる方向転換装置を提供すること。
【解決手段】 レール同士の交差箇所を中心に水平回動するように支持された回動体と、前記レールに連続させるために中心を通る向きで回動体に設けられたレール部とを有し、レール部は、回動体の遠心方向への進退操作が可能に設けられたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軌道レールと、この軌道レールに懸垂支持されて走行させることにより被搬送物を搬送する移動体とを主な構成とする搬送装置に組み込まれる方向転換装置であって、前記軌道レールから他の軌道レールへと移動体を方向転換させる方向転換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場などの生産現場では、多数の生産工程を経て製品の完成に至るので、それらの各行程を経由してハンガーレールを垂設しておき、このハンガーレールに懸垂支持させる移動体に、被搬送物としての半製品や部品を搬送させる方法を採ることがある。
【0003】
ただ生産現場の事情によっては搬送したいルートが様々になるのが通常であり、搬送ルートも単線ではなく、必要に応じて多数用いられる。よってルートに合わせて軌道レールも多数が垂設される。又その場合には、軌道レールから他の軌道レールへと乗り替えさせる必要も出てくる。つまり移動体を上流から下流へと軌道レール上を移動させるときに、これら上流の軌道レールと下流の軌道レールとが別のレールであった場合に、これらの間に方向転換装置を介在させ、上流レールから所望の下流レールへとレールを分岐などさせ、これにより軌道レールを走行する移動体の方向転換や進路変更をさせている。なおここで上流・下流とは、移動体が軌道レールを乗り替える前後の位置やそれらレールの区別のこという。
【0004】
方向転換装置には例えば、軌道レール同士の交差箇所に配置をさせ、上流レールを走行してきた移動体を、別の下流レールに乗り替える方法が採られている。
【0005】
特許文献1に記載の方向転換装置100は、図25に示したように、レール110同士の交差箇所に配置された回転体101が、あるレール110を走行してきた移動体120を載せ、所定角度の回転により別のレール110に移すようになっている。
【特許文献1】特開平2−108776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ただこの様な回転体101は、レール110から回転体101への(或いはその逆の)、移動体120の乗り移りを円滑に行えるように、レール110と回転体101との間隙を少しでも狭くする必要がある。そのため回転体101のレール110からの乗入口は、回転軸131を中心とした円弧状の端面101aに形成されており、他方、これに接続されるレール側の接続口も、図26に示すように、円弧上の端面110aになっている。
【0007】
ただこの様なレールは、現場の事情に応じて様々な経路に配置されるのであり、それぞれの配置に合わせて長さ調整の切断なども行われるのである。従ってその際の切断面が回転体との接続面となるが、この接続面は平面状の端面なので、これを円弧状の端面に再度加工しなければならない。しかし切断するたびに切断面の再加工をするのは手間である。
【0008】
或いは既設のレールを、生産現場の事情により再配置し直すような場合に、その都度、新たに切断し直したレールの端面を、円弧状に再加工をしなければならない。
【0009】
また回転体も、特許文献1に示された様な形態の回転体に限らず、様々な形態の回転体が提供されることにより、設置現場の実情にあった利便さが提供される。
【0010】
本願発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、回転体(以下、回動体という)と接続されるレールの端面が円弧状でなくても、回動体との接続が良好になされ、移動体のレールと回動体との乗り降りが円滑になされ、更には設置現場の実情にあった利便さが提供される様々な形態による方向転換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題を解決するため、本願請求項1記載の方向転換装置の発明は、軌道を構成する軌道レールと、この軌道レールに懸垂支持されて走行させることにより被搬送物を搬送する移動体とを有する搬送装置、に組み込まれる前記移動体の方向転換装置である。そして、水平回動可能に支持された回動体と、前記回動体に設けられて前記軌道レールの端部に連続させるためのレール部と、を有し、前記レール部は、連続先の軌道レールに対する進退操作が可能に設けられたことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、水平回動の回動軸を、軌道レールの幅中心線の延長線上に設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、直列配置された2本のレールによるレール部を有し、このレール部の両端が軌道レールに連続されることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、2本のレールの連続箇所は、一方のレールが他方のレール上に摺接可能に載置され、且つ、前記載置によるレール面同士の段差が、前記2本のレール間での移動体の乗り移りが可能な程度の段差に設けられたことを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、水平回動の回動軸を、レール部の一端側の側部に設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、軌道レールの端部側と連結されると共に回動体を水平回動可能に支持する連結部材を有し、レール部は、前記連結される軌道レールと直列な状態と、交差する状態と、を選択できることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明において、軌道レールと直列させて軌道の一部を成す幹線レールであって、前記軌道の一部を成す位置と、前記軌道から外れる位置と、を選択すべく移動可能に設けられた前記幹線レールと、この幹線レールが前記軌道から外れる位置において前記幹線レールに代替して前記軌道の一部を成すために、前記幹線レールに装着された支線レールと、を有している。そしてこの支線レールは、回転体とこの回動体を軸支する支持部を備えてこの支持部が前記幹線レールの一端側に装着されると共に、前記回動体のレール部と前記支持部とが直列な配置の時には前記支線レールを構成することを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項1〜5記載の発明において、レール部の連続先の軌道レール同士が高さを違えて設けてある場合であって、回動体が、前記軌道レール同士の高さ間を昇降可能に設けられたことを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、回動体が、水平方向の回転軸線を中心に上下に回転する回転部に、上下回転可能に垂設されて昇降することを特徴とする。
【0020】
請求項10記載の発明は、請求項1〜9記載の発明において、レール部は、回動体に設けられたローラーに載置されて進退可能に設けられたことを特徴とする。
【0021】
請求項11記載の発明は、請求項1〜10記載の発明において、レール部は、連続先の軌道レールに向けて付勢されると共に、進退ハンドルの操作で後退操作がなされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上の本願請求項1記載の発明によれば、回動体を回動させる場合にはレール部を、回動軸への求心方向に後退させることにより、軌道レールとレール部との衝突を避けることができると共に、レール部を軌道レールに接続させたい場合には遠心方向に進出させることで、隙間なく接続させることができる。また軌道レールの敷設の際には、所定長さに切断した平面状の切断面のままでも、回動体のレール部との接続が良好に成される。
【0023】
請求項2記載の発明によれば、水平回動の回動軸を軌道レールの中央線の交点位置にもうけたので、接続させる相手の軌道レールと方向転換装置との配置関係の調整が容易である。
【0024】
請求項3記載の発明によれば、レール部が回動体の直径方向両端にて進退可能となるので、レールとの接続が回動体の2点で可能となる。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、2本のレール部は回動体の中心付近で連続され、しかも双方が進退操作されても、一方のレール部が他方のレール部上に摺察可能に載置されているので、進退操作が支障なく行うことができる。また、移動体を回動体の一方から中心を通って他方へと通過させる時にも、連続箇所の段差による移動時のガタつきを抑えることができる。
【0026】
請求項5記載の発明によれば、レール部がその一端側を回動軸とする回動をするので、回動に伴う作業空間や装置の構造が請求項2のそれとは相違し、異なったニーズにも対応できる。例えば上流と下流の軌道レールがコーナー状の配置関係の場合にも、回動軸の片側だけが作業空間となるので、方向転換の動作スペースの省スペース化がはかれる。またレール部の軌道レールとの衝突の可能性は、レール部の他端側(遠心側)のみであるため、レール部の進退もこの他端側のみでよく、その分、構成が簡単になる。
【0027】
請求項6記載の発明によれば、軌道レールが直線状の途中で、そのまま直進する直列の場合と、いずれか一方に折れ曲がって別軌道に進行する場合を選べる軌道が簡易に形成できる。例えばT字状に軌道を形成させたい場合などである。
【0028】
請求項7記載の発明によれば、請求項5に従属する請求項6同様に軌道レールが直線状の途中で、そのまま直進する場合と、いずれか一方に折れ曲がって別軌道に進行する場合を選べる軌道が簡易に形成できる。またこれに加えて別軌道に進行させる軌道に接続させる場合、軌道レールには幹線レールではなく支線レールを直列させておき、移動体が支線レールに乗り移ったら幹線レールを移動させて軌道レールに直列させるのである。これにより、軌道に不連続部分を無くした状態で支線レールの回動と別レールへの接続操作を行うことができる。
【0029】
請求項8記載の発明によれば、高さの異なる軌道レール間での接続が可能になる。
【0030】
請求項9記載の発明によれば、上下回転の頂点位置と底点位置との間で、軌道レールとの接続が成される場合には、簡易な昇降機構の提供となる。またその他にも、レール部の軌道レールとの接続位置を、任意な回動位置で選択することができる。例えば回動体は回転部に垂設されるが、回転部側の垂設点が回転軸と水平になる位置では、この垂設点が左右の2つの位置になりうるが、この2つの位置に対応して上流と下流の軌道レールの端部がある場合、これらへの接続が形成できる。
【0031】
請求項10記載の発明によれば、レール部の進退がローラーにより、摩擦の少ない円滑な動きで行えるので、レール部に乗る移動体の重量が大きくても、レール部の進退が良好に成される。
【0032】
請求項11記載の発明によれば、進退ハンドルの操作でレール部の進退操作ができるので、回動時には後退させ、軌道レールとの接続時には進出させる操作ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に、本願発明の方向転換装置の実施例の説明をする。
【実施例1】
【0034】
図1に示すのは、天井や梁などから垂設した軌道レール10と、軌道レール10に懸垂支持された移動体20とによる搬送装置1と、これら軌道レール10同士の交差箇所に配置される方向転換装置2との図である。この搬送装置1は、図2に示すように、4本の軌道レール10が90度の角度で放射状に垂設されていて、その交差箇所に、方向転換装置2が設けられている。
【0035】
軌道レール10には、図3に示すように、断面方形なC型管が用いられており、水平に垂設されたC型管の、方形の下面部11に開口溝12が設けられている。そしてこの開口溝12の左右2本のレール辺13が次に述べる車輪の走行面をなしている。
【0036】
移動体20は、上記2本のレール辺13に乗る車輪21を備えた車輪台22と、この車輪台22から垂下して設けられた移動体本体23とを主な構成としていて、手押しで移動するようになっている。
【0037】
方向転換装置2は、4本の軌道レール10の交差点に設けられた垂直軸30にて、水平回動するように支持された回動体31と、この回動体31に設けられたレール部32とを主な構成としている。
【0038】
回動体31は、長手の側板33を左右平行に有しており、回動体31の上方に設けられた回動支持板41(図2参照)に形成された円形穴40により、回動体31の傾きを抑制している。これは図4に示すような、長手な回動体31の両端上方に設けた回動ローラー34が、円形穴40の周縁に乗って支えられ、この支えを受けながら回動できるようになっているからである。移動体20の重心が偏っているような場合、回動軸30だけでは回動体31の傾きなどを防ぐことが困難な場合もあるが、この様な回動体31の両端に設けられた回動ローラー34により、傾きは防がれる。
【0039】
またこの回動体31の一方の側板33には、回動軸30に近接して平行に設けたパイプ材による回動操作棒35(図2参照)が垂下させてあり、この回動操作棒35を手で回すことにより回動体31を回動させている。具体的には、次に述べる進退ハンドル36が、回動させる時の回動ハンドルを兼ねている。
【0040】
即ち、この回動操作棒35には、握りハンドルによる進退ハンドル36が取り付けられており、次に述べるレール部32の進退操作ができるようになっている。進退ハンドル36は、先に述べたように回動ハンドルの役目も果たしている。
【0041】
回動体31の側板33には、その双方の内側に、側板33の下辺に沿ってローラー37が連設されており(図5参照)、このローラー37の上に、軌道レール10に用いたのと同じC型管によるレール32a、32bが2本、直列配置されてレール部32を成している。この2本のレール32a、32bの連続箇所は、図6に示すように、一方のレール32aが、レール辺32a’だけを延長させて形成されており、このレール辺32a’が他方のレール32b上に、摺接可能に載置されている。その際にはレール辺32a’の先端を緩いスロープ状に形成させてあり、これによりそのレール面32sが、他方のレール部32bとの段差をなくすようにしてある。
【0042】
なお連続部分は上記に限らず別の方法でもよく、図7に示すように、双方のレール32a、32bは、それぞれのレール辺32a’、32b’が凹凸状に形成されていて、摺接可能に歯合させることにより、互いのレール面32sa、32sbが略面一となるようにしてもよい。
【0043】
これら2本のレール32は、共に回動体31の遠心方向に付勢された状態で、通常は図5に示したように側板33から突き出た位置になっており、上述した進退ハンドル36を握る操作により、図8に示すように、側板33内に後退するようになっている。なお、2本のレール32a、32bは、進退ハンドル36の操作により同時に進退するようになっている。
【0044】
この方向転換装置の使用方法は次のようになる。
【0045】
まず図示しない被搬送物を載せた移動体20が、手で押されて上流の軌道レール10を走行してくる。移動体20が、軌道レール10終端まで来たら一旦止める。次に、回動操作棒35を片手で回動させ(必要なら他方の片手でも回動体31を一緒に回し)、レール部32をその移動体20が走行してきた軌道レール10の終端と連続するように角度位置を合わせる。
【0046】
この時、回動操作棒35を握る片手で進退ハンドル36も同時に握り締め、レール部32を後退させておくのである。この様にすることにより、レール部32を軌道レール10の終端に連続させる角度位置にするときでも、レール部32と軌道レールとの終端同士は離れているので、回動によりぶつかる様なことはない。角度位置が位置決めされたら、進退ハンドル36を離し、遠心方向に付勢されているレール部32が進出して、軌道レール10の終端に当接し、これにより図9に示すように、軌道レール10への接続が成されるのである。
【0047】
この状態で、先ほど一旦止めていた移動体20を回動体31側に移動させて乗せるのである。乗せるときには、移動体20の車輪21が、レール部32同士の連続箇所を通過するが、その場合でも、段差の少ないレール面により、滑らかに載せることができる。
【0048】
こうして乗せた移動体20を、回動体31と共に回動させ(図2参照)、下流の軌道レール10に接続させるべく回動させるのである。回動させる時は、先ほどと同様に進退ハンドル36を握り締め、レール部32を後退させておくのである。レール部32には移動体20が乗っており、被搬送物と合わせた重量がレール部32に掛かっているが、レール部32自体がローラー37に載置されているので、重量の掛かった状態でも円滑な進退が行える。
【0049】
この様に、進退ハンドル36を握ってレール部32を後退させた状態で回動させた回動体31は、下流の軌道レール10の位置に回動させ、先の乗せた時と同様の操作により、その軌道レール10に移動体を降ろし、必要な次行程に向けて走行させるのである。
【実施例2】
【0050】
図10〜13に示すのは、請求項5,6に係る方向転換装置40の発明の実施例である。
この方向転換装置40は、回動体41と、この回動体41を水平回動可能に支持する連結部材42と、回動体41に設けられたレール部43の進退操作をする進退操作部44とを有している。またこの方向転換装置40を天井などから垂設するための角パイプ45が連結部材42の上面に溶接してある。
【0051】
連結部材42は、図13に示す様に、C型管を短く切った輪切り状の部材であり、図14に示す様に、軌道レール46(のC型管)が挿入できる大きさと形状を成している。
【0052】
回動体41は、左右の側板47が骨組みを成しており、上方から見た図12に示されている様に、連結部材42に用いたの同じの輪切り状の短管部材48を側板47同士で挟む様にして、これら側板47同士を前後で繋ぎ、回動体41の骨格をなしている。そして側板47の一端が、短管部材48と連結部材42とを直列に連通する配置にして、連なる両側面47aの一方に回動軸を設け、連結部材が回動体を軸支する様になっている。また前後の短管部材48には、図12に示されている様に、この短管部材48よりは細いC型管によるレール部43が、短管部材48に挿通させて設けてある。その際、レール部43は、図12に示す様に、2本のレール43a,43bを間を空けて直列させたものである。そしてレール部43は、一端側(連結部材側)のレール43aが固定レールとなっているが、他端側(先端側)は進退操作可能な可動レール43bになっており、その進退のために2本のレール43a,43bは間隔Sを空けてあるのである。図15は他端側の可動レールが後退操作されたときの図であり、可動レール43bが固定レール43a側に引き寄せられて、後退位置となっている。
【0053】
またこの回動体41は回動されることにより、軌道レール46との関係が、図14のような直列な状態と、図16のような交叉する状態とをとることができる様になっている。またこの回動時には、他端側を支えるための支持輪51が他端側の上方に設けられており、後述する円弧状の支持レールに乗って、回動が成される様になっている。
【0054】
進退操作部44は、図10に示した様に、側板47に平行に設けられた手で握る大きさ形状の平行バー52と、この平行バーに設けた握りハンドルによる進退ハンドル53と、可動レール43bにL字板54を介して取り付けられて進退動作をする案内棒55と、この案内棒55を挿通させる案内孔を有した案内板56と、進退ハンドル53を握ると可動レール43bを後退すべく引き操作を伝えるケーブル57と、この引き操作が解除されたときには可動レール43bを後退前の進出位置に戻す案内棒55に挿通させたコイルバネ58と、を有している。そしてハンドル53を握ると、図12に示す位置の可動レール43bがケーブル57により引き戻されて、図15に示す可動レール43bの様に後退する。またハンドル53を離すと、図12の状態に戻るのである。
【0055】
図17は、以上の方向転換装置40を搬送装置1に組み込む様子の説明図である。
【0056】
図示した様に、方向転換装置40は、2つの軌道レールの交叉箇所に設けられた物であり、連結部材42の上面に溶接された角パイプ45により天井などから垂設されている。そしてこの方向転換装置40の連結部材42には、軌道レール46が挿入して連結されており、回動体と共に垂設支持されていることとなる。連結部材42を角パイプ45で垂設せず、軌道レール46への連結で軌道レール46に支持させるのでも良い。この場合は軌道レール46の端部が、回転体41の支持にも耐えるだけの支持強度を与えておく必要がある。
【0057】
また約90度の円弧状に形成された支持レール59も垂設されており、回転体41の他端側に設けられた支持輪51が走行できる様になっている。この支持レール59は、図18に示した様に断面が、支持輪が走行する走行板60と走行板の下に垂下して、回動時には、移動体が回動体41の他端から落ちでない様に覆う覆い板61とが約90度の円弧状に形成されている。
【0058】
この実施例の方向転換装置40の使用方法であるが、図17に示された上流の軌道レール46aから、下流の軌道レール46bへと移動体を乗り替えさせるときには、まず何らかの位置にある回動体を適宜回動させて、上流の軌道レール46aと直列となる図19の位置(図17と同じ位置)にするのである。このときは、回転体41の他端側はフリーになっているので、実施例1の様に、軌道レールにぶつかるなどの配慮は必要ないので、可動レールは進退などさせる必要はない。また一端側の固定レールも図11や図13の状態から閉じた状態に変わるだけなので、課題で述べた様な連続相手とぶつかるという問題もない。
【0059】
この様にして回転体41のレール部43が上流の軌道レール46aに直列に連続させたら、軌道レール46aから回転体レール部43へと、移動体20を手で引いて乗り移らせるのである。なお乗り移りの際には、回動体41が回動してしまわない様に、直列位置での位置固定手段を設けても良いし、単に手で押さえるだけでも良い。ここでは進退ハンドル53を平行バー52と共に軽く掴んで回動止めをしておき、移動体20が回動体41へと乗り移らせる。例えば、右手で平行バー52を進退ハンドル53と共に掴み、左手で移動体20を掴んで回動体41への乗り移り操作をするのである。乗り移ったら、右手の進退ハンドル53をそのまま握り締め、可動レール43bを後退させた状態にしてながら、90度回動させ、図20の位置に持ってくる。回動の途中には、回動により遠心力で移動体20が他端側に振られても、この他端側が少し離れて設けられた覆い板61に覆われているので、回動体41から脱落することはない。
【0060】
こうして90度回動させ、下流の軌道レール46b位置まで回動させたら、進退ハンドル53の握りを緩め、コイルバネ58の付勢で可動レール43bを進出させて、軌道レール46bと可動レール43bとを繋ぐのである。これにより、移動体20を軌道レール46bに乗り移すときにもレールに切れ目が無く、あっても微少なために影響もない。
【0061】
なお、方向転換装置40を請求項5の実施例として次の様に設けてもよい。即ち、図17を利用して説明するが、この図中において、回動体を連結部材ごとに、一端側と他端側とを入れ替えて配置するのである。こうすると、上流の軌道レールには、回動体の他端(可動レール側)が臨むこととなり、ここが移動体の乗り移り口となる。この状態で90度回動させ、下流の軌道レールに降ろすのである。したがって下流の軌道レールは、図17中において、右後方に移動させた配置とする必要がある。この例は他端が乗り降りの双方を行うこととなるが、先の例では一端側から乗り、他端側から降りる点でことなっている。
【0062】
なお以上の説明で上流・下流は便宜的であり、上記の説明の逆戻し的な操作・使用方法であってもよい。
【0063】
更に、以上の実施例は、軌道がコーナー状の場合のそのコーナーを通過させる場合を想定しているが、そうではなく、直線状に延びる軌道の途中で直角に曲がる軌道に枝分かれさせたい様な場合にも勿論もちいることができる。
【0064】
又なお、軌道が隣の作業部屋に連続させてある場合に、次の様な用い方がある。つまり、隣の作業部屋との間に引き違いの窓や戸がある場合に、この窓や扉を開けた状態にして、空けてある窓や扉を通過する様に軌道を配設するのである。そして窓や戸を通過する箇所には、上記実施例と同様の回動体が軌道の一部となるように設置しておくのである。通常はこのようにして自室と隣の作業部屋との間に軌道が延びてあるのである。
【0065】
また窓や扉を閉めたいときには、回動体を回動させて軌道の切れ目を作り、この軌道の切れ目を横切って、引き違いの窓や戸を締めることができるのである。
【0066】
例えば、作業エリアを拡大したい場合は窓を開け、この窓を通過させるべく回動体を隣の軌道と繋げて作業エリアを拡大し、自室だけで作業をするときは回動体を回動させて窓を閉めるのである。例えば冷暖房を効かせる時期に、作業場所を狭くしたり広くするなどの事情の変化に合わせて隣と軌道を繋げたり、自室だけにしたしする事ができる。
【実施例3】
【0067】
図21〜23に示すのは、請求項5,7に係る方向転換装置70の発明の実施例の概要図である。
この方向転換装置70は、軌道レール71の一部となって軌道なすものであり、長さが同じ幹線レール72と支線レール73が平行に設けられている。そして、これらのいずれか軌道の一部となる様に、移動できるというものである。
【0068】
即ち、幹線レール72は軌道レール71と直列させて軌道の一部を成すものであり、また軌道の一部を成す位置(図21)と、軌道から外れる位置(図22)とを選択すべく移動可能に設けられている。
【0069】
またこの幹線レール72の一端側には、支線レール73を装着する装着部74が設けてあり、この装着部74により支線レール73が装着される様になっている。支線レール73は装着部74に固設された支持部75とこれに軸支された回動体76が設けてある。また装着部74と支持部75は、実施例2の連結部材42と同じ部材であり、装着部74にはレール部77となるC型管が挿入されている。図では回転体76のレール部77は、このレール部77を幹線レール72と平行にすると、レール部77と支持部75とが繋がって支線レール73を成す様になっている。そしてこの支線レール73は、図22に示す様に、幹線レール72が軌道から外れる位置では、幹線レール72に代替して軌道の一部を成す様になっている。
【0070】
使用方法であるが、この様な図22の様に支線レール73で軌道を構成しておき、上流の例えば軌道71aから移動してきた移動体20を回転体のレール部77に乗せるのである。そして再度、図21の位置となる様に移動させ、支線レール73から幹線レール72に軌道を戻すのである。この状態で回動体76を回動させ、図23に示す様に、上流レール71aと交叉する配置の下流レール71bに連続させるのである。回転体76のレール部77は実施例2と同様に固定レールと可動レールを直列させたものであり、下流の軌道レール71bに連続させるときは、実施例2と同様に、可動レールを後退させ、連続させた後に進出させるのである。そのための進退操作は、実施例2の進退操作部と同様に設ければよい。
また以上は概念図に基づく説明であり、実際には機械的強度の為の構成が付加されるべきである。また軌道の一部を成し、或いは軌道から外れる幹線レールの構成については、本願出願人による特願2000−240917の技術が応用できる。
【実施例4】
【0071】
図24に示すのは、請求項8,9に係る方向転換装置80の発明の、実施例の概要図である。
この方向転換装置80は、レール部81の連続先の軌道レール82、83同士が高さを違え、更に平面視した場合にもレール82、83同士の方向が直交する配置に設けてある場合に有効な装置である。
【0072】
この装置は、水平軸84と、この水平軸84を回転軸として上下に回転する回動アーム85と、この回動アーム85の先端側に設けられた第一の軸受け部86であって回動アーム85の水平軸84と平行な回転軸を軸支する第1の軸受け部86と、この第1の軸受け部86に軸支された水平なロッド87と、このロッド87の先端に設けられて水平回動軸を軸支する第2の軸受け部88と、この第2の軸受け部88に水平回動可能に垂設された回動体89と、この回動体89に設けられたレール部81とを有している。
【0073】
回転アーム85は、手動で回転させることができると共に、所望の回転位置で位置固定ができる様になっている。或いは、電動駆動機構を設け、所定の回転位置に回転させて位置決めする様に設けてもよい。
【0074】
ロッド87は回転アーム85に対して回転自在に軸支されているので、このロッド87から垂設されている回転体89は、回転アーム85のどの回転位置にあっても、自重で垂直に垂設された姿勢を保つことができる。
【0075】
回転体89及びレール部81は実施例1と同様に設ければよく、レール部81の進退も図示しない進退はハンドルにより、実施例1同様に操作される。
【0076】
使用方法であるが、上流の軌道レール82端部に、回転アーム85を手で回して回動体89のレール部81が接続可能な位置に合わせ、位置固定しておく。このとき進退ハンドルが操作されるのは実施例1と同様である。この状態で、上流の軌道レール82から回動体89に移動体20を乗り移らせ、回転アーム85を回転させることにより、下流の軌道レール83の位置に合わせて位置固定する。そして、進退ハンドルを握りながら回転体89を90度回転させ、下流の軌道レール83端部に、レール部81を連続させるのである。連続させたら、移動体20を軌道レール83に降ろし、高さの相違も含んだ方向転換が完了するのである。
【0077】
なお本願発明は、上記実施例に限るものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、どの様に実施されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】この図は、実施例1に記載した搬送装置と本願発明の方向転換装置との図である。
【図2】この図は、図1の方向転換装置の付近を下から見た図である。
【図3】この図は、移動体の車輪と軌道レールとの関係を示す図である。
【図4】この図は、回動体と回動支持板との関わりを説明する図である。
【図5】この図は、レール部がローラーに載置され、且つ進出した状態を図である。
【図6】この図は、2本のレール部の連続箇所を説明する図である。
【図7】この図は、2本のレール部の連続箇所の別の例を説明する図である。
【図8】この図は、レール部の後退した状態の図である。
【図9】この図は、回動体が移動体を乗せて回動する様子の図である。
【図10】この図は、実施例2の方向転換装置の図である。
【図11】この図も、実施例2の方向転換装置の図である。
【図12】この図は、方向転換装置を上から見た図であり、進退ハンドルを握らない状態により、可動レール43bが固定レール43aと離れている様子を説明している。
【図13】この図は、回動体を回動させて連結部材から離した図である。
【図14】この図は、方向変換装置の連結部材に軌道レールを挿した図である。
【図15】この図は、方向転換装置を上から見た図であり、進退ハンドルを握った状態により、可動レール43bが後退して固定レール43aに当接している様子を説明している。
【図16】この図は、図14において回動体と軌道レールを直列にした図である。
【図17】この図は、実施例2の方向変換装置を搬送装置に組み込んだ図である。
【図18】この図は、支持レールの図である。
【図19】この図は、回転体が上流の軌道レールに連続させてある図である。
【図20】この図は、図18の状態から回動体を回動させて下流レールに連続させた図である。
【図21】この図は、実施例3の方向変換装置の図であり、幹線レールが軌道レールに繋がっている。
【図22】この図は、支線レールが軌道レールに繋がっている図である。
【図23】この図は、支線レールが上流レールとは違う方向の下流レールに接続させる様子の図である。
【図24】この図は、実施例4の方向変換装置の図である。
【図25】この図は、従来技術のレールと回転体との図である。
【図26】この図も、従来技術のレールと回転体との図である。
【符号の説明】
【0079】
1 搬送装置
2 方向転換装置
10 軌道レール
11 軌道レールを成すC型管の下面部
12 開口溝
13 レール辺
20 移動体
21 車輪
30 回動軸
31 回動体
32 レール部
33 側板
34 回動体の両端に設けられたローラー
35 回動操作棒
36 進退ハンドル
37 レール部を載置するローラー
40 方向変換装置
41 回動体
42 連結部材
43 レール部
43a 固定レール
43b 可動レール
46 軌道レール
47 側板
48 短管部材
53 進退ハンドル
59 支持レール
60 走行板
61 覆い板
70 方向変換装置
71 軌道レール
72 幹線レール
73 支線レール
74 支持部
75 被支持部
76 回動体
77 レール部
80 方向変換装置
81 レール部
82、83 軌道レール
84 水平軸
85 回転アーム
87 ロッド
89 回動体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道を構成する軌道レールと、この軌道レールに懸垂支持されて走行させることにより被搬送物を搬送する移動体とを有する搬送装置、に組み込まれる前記移動体の方向転換装置であって、
水平回動可能に支持された回動体と、前記回動体に設けられて前記軌道レールの端部に連続させるためのレール部と、を有し、
前記レール部は、連続先の軌道レールに対する進退操作が可能に設けられたことを特徴とする移動体の方向転換装置。
【請求項2】
水平回動の回動軸を、軌道レールの幅中心線の延長線上に設けたことを特徴とする請求項1記載の方向転換装置。
【請求項3】
直列配置された2本のレールによるレール部を有し、このレール部の両端が軌道レールに連続されることを特徴とする請求項2記載の移動体の方向転換装置。
【請求項4】
2本のレールの連続箇所は、一方のレールが他方のレール上に摺接可能に載置され、
且つ、前記載置によるレール面同士の段差が、前記2本のレール間での移動体の乗り移りが可能な程度の段差に設けられたことを特徴とする請求項3記載の移動体の方向転換装置。
【請求項5】
水平回動の回動軸を、レール部の一端側の側部に設けたことを特徴とする請求項1記載の方向転換装置。
【請求項6】
軌道レールの端部側と連結されると共に回動体を水平回動可能に支持する連結部材を有し、
レール部は、前記連結される軌道レールと直列な状態と、交差する状態と、を選択できることを特徴とする請求項5記載の方向転換装置。
【請求項7】
軌道レールと直列させて軌道の一部を成す幹線レールであって、前記軌道の一部を成す位置と、前記軌道から外れる位置と、を選択すべく移動可能に設けられた前記幹線レールと、
この幹線レールが前記軌道から外れる位置において前記幹線レールに代替して前記軌道の一部を成すために、前記幹線レールに装着された支線レールと、を有し、
この支線レールは、回転体とこの回動体を軸支する支持部を備えてこの支持部が前記幹線レールの一端側に装着されると共に、前記回動体のレール部と前記支持部とが直列な配置の時には前記支線レールを構成することを特徴とする請求項5の方向転換装置。
【請求項8】
レール部の連続先の軌道レール同士が高さを違えて設けてある場合であって、
回動体が、前記軌道レール同士の高さ間を昇降可能に設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずかに記載の方向転換装置。
【請求項9】
回動体が、水平方向の回転軸線を中心に上下に回転する回転部に、上下回転可能に垂設されて昇降することを特徴とする請求項8記載の方向転換装置。
【請求項10】
レール部は、回動体に設けられたローラーに載置されて進退可能に設けられたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の移動体の方向転換装置。
【請求項11】
レール部は、連続先の軌道レールに向けて付勢されると共に、進退ハンドルの操作で後退操作がなされることを特徴とする請求項項1〜10のいずれかに記載の移動体の方向転換装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate