説明

移動体セットトップボックスを用いたコンテンツ閲覧システムおよび移動体セットトップボックス

【課題】ユーザが任意の出力機器に移動体セットトップボックスを接続して所望のコンテンツを任意の場所で閲覧できるようにする。
【解決手段】コンテンツ閲覧システムSは、BIOSが、オペレーティングシステムを起動する移動体セットトップボックス30aと、サービス提供管理サーバ10と、コンテンツ提供サーバ20とから構成され、移動体セットトップボックス30aは、LAN通信モジュール343を介して任意の端末装置40aを接続し、高速モバイル通信モジュール344を介して前記コンテンツ提供管理サーバ10と接続し、端末装置40aにおいて選択されたサービスおよびコンテンツ閲覧要求に基づいて、コンテンツ提供サーバ20と移動体セットトップボックスとを接続させ、コンテンツ提供サーバ20は、端末装置40aが選択したコンテンツを、端末装置40aの表示画面にブラウザ表示して閲覧させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像や音楽などのコンテンツをインターネットなどのネットワークを介してユーザに提供するコンテンツの提供システムに関するものであり、特に、携帯電話用のデータ通信モジュールなどの高速モバイル通信モジュールを有する移動体セットトップボックスを用いて、ユーザが任意のテレビジョン受信機やPCなどの出力機器に移動体セットトップボックスを無線通信接続して、所望のコンテンツを任意の場所で閲覧することができるようにしたコンテンツ閲覧システムおよび移動体セットトップボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像、音楽、プログラム等の多様なコンテンツがデータ配信、テレビジョン放送等を介して記憶媒体に記録され、情報家電機器、車載機器、モバイル機器等の各種機器において再生されて利用されている。そして、この種のコンテンツはデータの高品質・高画質化が進みデータ量が格段に大きくなってきているため、これを記録するためには大容量の記憶媒体を必要とする。また、一般に提供される優良なコンテンツを拡大するためには、コンテンツの違法な複製を制限するなど、著作権を有効に保護する技術が併せて提供されなければならない。
【0003】
これらのコンテンツの取得方法も、放送を通じて受信する方法の他、インターネットを介して取得する方法があり、更には、CATVなどのコンテンツプロバイダが提供するサービスに加入する方法もある。また、取得したコンテンツを異なるデジタル家電機器で相互に利用するため、それらを家庭内のネットワークを通じて相互接続可能とする技術も提供されている。例えば、デジタル家電を相互接続する環境を提供する技術として、デジタルリビングネットワークアライアンス(DLNA)があり、DLNAを用いたコンテンツ送受信装置も提案されている。
【0004】
また、コンテンツの著作権を保護するため、受信したコンテンツの保存、複製を制限するための各種の規格が提案されている。例えば、ネットワークを介してコンテンツをストリーミング再生するための規格として提案されている「DTCP over IP(Digital Transmission Content Protection over internet Protocol)」を用いた録画装置も提案されており、この規格に準拠すれば、コンテンツの著作権保護を行うことができる。
【0005】
このようなコンテンツの提供システムとしては、例えば、下記の特許文献1(特表2002−535931号公報)に開示されたビデオオンデマンドを提供するシステムがある。このシステムは、レシーバが受信したビデオ情報を記憶するための記録媒体と、記憶されたビデオ情報を復号化するように適合された復号化エンジンと、前記記録媒体及び前記復号化エンジンをコントロールするように、かつ前記エンジンについての復号化情報を要求するように適合されたコントローラとを含んで構成されている。このシステムは、後の時刻で視聴するために、1以上の受信者に符号化されたビデオ情報を送信することができ、受信者は、受信されたあるビデオファイルを視聴するための要求を行い、この要求は、ビデオ送信器に送られ、ビデオ送信器は、その結果として、前に受信されたビデオ送信を直ちに視聴することができるビデオ復号化情報を配信する。
【0006】
また、下記の特許文献2(特開2003−299153号公報)には、携帯情報端末装置でインターネットなどの無線LANを楽しむことができるばかりでなく、携帯情報端末装置で放送コンテンツの配信を受けて楽しむことが可能なアクセスポイントの発明が開示されている。この発明によるアクセスポイントは、インターネット接続ができるゲートウエイと、放送をそれぞれ受信するチューナからの映像信号と音声信号とをリクエスト信号に応じて選択し出力するセットトップボックスと、映像信号と音声信号とを無線で送信しかつ受信するためのAV通信モジュールと、送受信を行う無線LAN送受信モジュールと、送受信アンテナとを有するAV/LAN無線伝送モジュールとを備え、ローカルエリア無線通信と複数のAV信号配信を行う通信がそれぞれ互いに重ならない周波数帯で通信を行うように構成されたものである。
【0007】
更に、下記の特許文献3(特開2010−28239号公報)には、ストリーミングコンテンツ提供者が意図したコピー制御を可能とする録画装置およびシステムの発明が開示されている。この録画装置およびシステムは、コンテンツプロバイダから提供されるコンテンツを衛星放送波あるいはインターネット等を介してストリーム配信するストリーミングサーバと、一般家庭等に設置されてストリーミングサーバにアクセスすることにより、ストリーミングサーバから配信されるコンテンツを受信可能な機器(例えばセットトップボックス:STB)あるいはパソコン(PC)等からなるクライアント端末と、クライアント端末との間で適宜接続されて、クライアント端末に対してストリーミングサーバから配信される暗号化コンテンツを利用可能にするための鍵情報等を配布するDRM(Digital Rights Management;デジタル著作権管理)認証サーバと、クライアント端末により再生されたコンテンツの映像及び音声を表示出力あるいは記録するTV/録画機器等から構成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2002−535931号公報
【特許文献2】特開2003−299153号公報
【特許文献3】特開2010−28239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
CATVなどのコンテンツ提供サービスは、サービス提供者側が設定した各コンテンツの提供時間(テレビ放送でいう放送時間に相当する)に合わせて、ユーザが所望のコンテンツを視聴したり、録画したりすることが必要である。また、CATVなどのコンテンツ提供サービスを受けるには、サービス提供プロバイダと契約し、認証のためのユーザID(放送受信機と対応するID)や認証コード等を取得する必要があり、サービスを受信するユーザの端末(放送受信機やサービスプロバイダが提供するセットトップボックスと接続された端末など)が固定されてしまい、ユーザは登録した端末装置でしかサービスを受けられないという問題点がある。
【0010】
上記特許文献1に開示されたビデオオンデマンド提供システムは、コンテンツ提供時刻にかかわらず、後の時刻で視聴するために、1以上の受信者に符号化されたビデオ情報を送信するシステムであり、ユーザは予め所望のコンテンツを視聴するための要求を行えばよい。しかしながら、このシステムにおいては、コンテンツは暗号化されユーザ端末に配信され、また、上記特許文献3に開示された録画装置およびシステムの発明のように、コンテンツの著作権保護に関する規格を適用して、ユーザが取得したコンテンツの複製を制限することができるので、コンテンツのセキュリティー、著作権保護について一定の配慮がなされているが、これらの制約は、暗号化システムの性能や著作権保護の規格によって左右され、完全ではあり得ないという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献2に開示されたアクセスポイントの発明によれば、ユーザは固定的な端末装置でなく、携帯情報端末装置のような移動体端末を用い、アクセスポイントと通信できるエリア内において、所望のコンテンツを視聴することができる。しかしながら、この発明を用いても、アクセスポイントと通信できるエリアでしかコンテンツを視聴できないという問題点が残る。
【0012】
本発明は、上記のような問題点を解消すべくなされたものであり、携帯電話用のデータ通信モジュールなどの高速モバイル通信モジュールを有する移動体セットトップボックスを用いて、ユーザが任意のテレビジョン受信機やPCなどの出力機器に移動体セットトップボックスを無線通信接続して、所望のコンテンツを任意の場所で閲覧することができるようにしたコンテンツ閲覧システムおよび移動体セットトップボックスを提供することを第1の目的とするものである。また、本発明は、ユーザが所望するコンテンツを端末に取得することなく、コンテンツ提供者が設けたサーバが提供するブラウザによって視聴するのみのサービスとしてコンテンの著作権保護が可能なコンテンツ閲覧システムおよび移動体セットトップボックスを提供することを第2の目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
パワースイッチとBIOSを有し、パワースイッチにより電源が供給されると前記BIOSが、オペレーティングシステムと、LAN通信モジュールと、高速モバイル通信モジュールと、を備えた記憶装置を用いて前記オペレーティングシステムを起動する移動体セットトップボックスと、コンテンツの閲覧サービスを提供するためのサービス提供管理サーバと、コンテンツを提供するコンテンツ提供サーバとから構成されるコンテンツ閲覧システムであって、前記移動体セットトップボックスは、前記LAN通信モジュールを介して任意の端末装置を接続し、前記高速モバイル通信モジュールを介して前記コンテンツ提供管理サーバと接続し、該コンテンツ提供管理サーバは、前記端末装置において選択されたサービスおよびコンテンツ閲覧要求に基づいて、前記コンテンツ提供サーバと前記移動体セットトップボックスとを接続させ、前記コンテンツ提供サーバは、前記端末装置が選択したコンテンツを、前記移動体セットトップボックスを介して前記端末装置の表示画面にブラウザ表示して閲覧させることを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項2にかかる発明は、
パワースイッチとBIOSを有し、パワースイッチにより電源が供給されると前記BIOSが、オペレーティングシステムと、高速モバイル通信モジュールと、を備えた記憶装置を用いて前記オペレーティングシステムを起動する移動体セットトップボックスと、コンテンツの閲覧サービスを提供するためのサービス提供管理サーバと、コンテンツを提供するコンテンツ提供サーバとから構成されるコンテンツ閲覧システムであって、前記移動体セットトップボックスは、HDMI端子またはDVI端子を備え、前記HDMI端子またはDVI端子を介して任意の端末装置を接続し、前記高速モバイル通信モジュールを介して前記コンテンツ提供管理サーバと接続し、該コンテンツ提供管理サーバは、前記端末装置において選択されたサービスおよびコンテンツ閲覧要求に基づいて、前記コンテンツ提供サーバと前記移動体セットトップボックスとを接続させ、前記コンテンツ提供サーバは、前記端末装置が選択したコンテンツを、前記移動体セットトップボックスを介して前記端末装置の表示画面にブラウザ表示して閲覧させることを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項3にかかる発明は、
パワースイッチとBIOSを有し、パワースイッチにより電源が供給されると前記BIOSが、オペレーティングシステムと、LAN通信モジュールと、高速モバイル通信モジュールと、を備えた記憶装置を用いて前記オペレーティングシステムを起動する移動体セットトップボックスと、コンテンツの閲覧サービスを提供するためのサービス提供管理サーバと、コンテンツを提供するコンテンツ提供サーバとから構成されるコンテンツ閲覧システムであって、前記移動体セットトップボックスは、前記LAN通信モジュールを介して任意の端末装置および前記コンテンツ提供管理サーバを接続し、該コンテンツ提供管理サーバは、前記端末装置において選択されたサービスおよびコンテンツ閲覧要求に基づいて、前記コンテンツ提供サーバと前記移動体セットトップボックスとを接続させ、前記コンテンツ提供サーバは、前記端末装置が選択したコンテンツを、前記移動体セットトップボックスを介して前記端末装置の表示画面にブラウザ表示して閲覧させることを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1〜3の何れかにかかる発明において、前記オペレーティングシステムはシンクライアントOSであることを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項4にかかる発明において、前記記憶装置は、前記移動体セットトップボックスに接続可能な可搬型の半導体記憶装置であることを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項1〜5の何れかにかかる発明において、前記移動体セットトップボックスは認証用の外部挿入カードを用いてユーザ認証を行うことを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項7にかかる発明は、
パワースイッチとBIOSを有し、パワースイッチにより電源が供給されると前記BIOSが、オペレーティングシステムと、LAN通信モジュールと、高速モバイル通信モジュールと、を備えた記憶装置を用いて前記オペレーティングシステムを起動する移動体セットトップボックスと、コンテンツの閲覧サービスを提供するためのサービス提供管理サーバと、コンテンツを提供するコンテンツ提供サーバとから構成されるコンテンツ閲覧システムにおける前記移動体セットトップボックスであって、前記移動体セットトップボックスは、前記LAN通信モジュールを介して任意の端末装置を接続し、前記高速モバイル通信モジュールを介して前記コンテンツ提供管理サーバと接続し、該コンテンツ提供管理サーバは、前記端末装置において選択されたサービスおよびコンテンツ閲覧要求に基づいて、前記コンテンツ提供サーバと前記移動体セットトップボックスとを接続させ、前記コンテンツ提供サーバは、前記端末装置が選択したコンテンツを、前記移動体セットトップボックスを介して前記端末装置の表示画面にブラウザ表示して閲覧させることを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項8にかかる発明は、
パワースイッチとBIOSを有し、パワースイッチにより電源が供給されると前記BIOSが、オペレーティングシステムと、LAN通信モジュールと、高速モバイル通信モジュールと、を備えた記憶装置を用いて前記オペレーティングシステムを起動する移動体セットトップボックスと、コンテンツの閲覧サービスを提供するためのサービス提供管理サーバと、コンテンツを提供するコンテンツ提供サーバとから構成されるコンテンツ閲覧システムにおける前記移動体セットトップボックスであって、前記移動体セットトップボックスは、前記LAN通信モジュールを介して任意の端末装置を接続し、前記高速モバイル通信モジュールを介して前記コンテンツ提供管理サーバと接続し、該コンテンツ提供管理サーバは、前記端末装置において選択されたサービスおよびコンテンツ閲覧要求に基づいて、前記コンテンツ提供サーバと前記移動体セットトップボックスとを接続させ、前記コンテンツ提供サーバは、前記端末装置が選択したコンテンツを、前記移動体セットトップボックスを介して前記端末装置の表示画面にブラウザ表示して閲覧させることを特徴とする。
【0021】
また、本願の請求項9にかかる発明は、
パワースイッチとBIOSを有し、パワースイッチにより電源が供給されると前記BIOSが、オペレーティングシステムと、LAN通信モジュールと、高速モバイル通信モジュールと、を備えた記憶装置を用いて前記オペレーティングシステムを起動する移動体セットトップボックスと、コンテンツの閲覧サービスを提供するためのサービス提供管理サーバと、コンテンツを提供するコンテンツ提供サーバとから構成されるコンテンツ閲覧システムにおける前記移動体セットトップボックスであって、前記移動体セットトップボックスは、前記LAN通信モジュールを介して任意の端末装置および前記コンテンツ提供管理サーバを接続し、該コンテンツ提供管理サーバは、前記端末装置において選択されたサービスおよびコンテンツ閲覧要求に基づいて、前記コンテンツ提供サーバと前記移動体セットトップボックスとを接続させ、前記コンテンツ提供サーバは、前記端末装置が選択したコンテンツを、前記移動体セットトップボックスを介して前記端末装置の表示画面にブラウザ表示して閲覧させることを特徴とする。
【0022】
また、本願の請求項10にかかる発明は、請求項7〜9の何れかにかかる発明において、前記オペレーティングシステムはシンクライアントOSであることを特徴とする。
【0023】
また、本願の請求項11にかかる発明は、請求項10にかかる発明において、前記記憶装置は、前記移動体セットトップボックスに接続可能な可搬型の半導体記憶装置であることを特徴とする。
【0024】
また、本願の請求項12にかかる発明は、請求項7〜11の何れかにかかる発明において、前記移動体セットトップボックスは認証用の外部挿入カードを用いてユーザ認証を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1にかかる発明においては、移動体セットトップボックスは、LAN通信モジュールと高速モバイル通信モジュールを備え、LAN通信モジュールを用いて任意の端末と接続するとともに、高速モバイル通信モジュールを用いて、サービス提供管理サーバ、コンテンツ提供サーバと通信を行うように構成されているから、所望のコンテンツを任意の場所で閲覧することができるようになる。
【0026】
請求項2にかかる発明においては、移動体セットトップボックスは、HDMI端子またはDVI端子を備え、HDMI端子またはDVI端子を介して任意の端末装置を接続するとともに、高速モバイル通信モジュールを用いて、サービス提供管理サーバ、コンテンツ提供サーバと通信を行うように構成されているから、所望のコンテンツを任意の場所で閲覧することができるようになる。
【0027】
請求項3にかかる発明においては、移動体セットトップボックスは、LAN通信モジュールを介して任意の端末装置およびコンテンツ提供管理サーバを接続し、該コンテンツ提供管理サーバは、端末装置において選択されたサービスおよびコンテンツ閲覧要求に基づいて、コンテンツ提供サーバと移動体セットトップボックスとを接続させ、コンテンツ提供サーバは、端末装置が選択したコンテンツを、移動体セットトップボックスを介して端末装置の表示画面にブラウザ表示して閲覧させるから、所望のコンテンツを任意の場所で閲覧することができ、LAN接続可能な環境であれば、敢えてサービス提供管理サーバとの接続に高速モバイル通信モジュールを用いなくともよい。
【0028】
請求項4にかかる発明においては、移動体セットトップボックスは、シンクライアントOSを備えた構成であり、請求項5にかかる発明においては、記憶装置は、前記移動体セットトップボックスに接続可能な可搬型の半導体記憶装置であるから、コンテンツを移動体セットトップボックスや端末装置にダウンロードさせるものでなく、コンテンツ提供サーバが提供するブラウザ上でユーザの閲覧に供されるだけであり、コンテンツの不正なコピーなどを確実に防止することができるようになる。
【0029】
請求項6にかかる発明においては、移動体セットトップボックスは認証用の外部挿入カードを用いてユーザ認証を行う。従って、移動体セットトップボックスは、CATVサービスにおけるセットトップボックスのように特定のサービス提供事業者が提供するサービス専用のものではなく、USIMカードのような認証用のICカード(外部挿入カード)を用いてユーザ認証を行うことができ、汎用のものとすることができるから、ユーザは異なるサービス提供事業者から発行され外部挿入カードを差し替えるだけで、各事業者が提供するサービスを受けることができるようになる。
【0030】
請求項7〜12にかかる発明においては、請求項1〜6にかかる移動体セットトップボックスを用いたコンテンツ閲覧システムを構成する移動体セットトップボックスを提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例1にかかる移動体セットトップボックスを用いたコンテンツ閲覧システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明にかかるコンテンツ閲覧システムにおけるコンテンツ閲覧サービスの概念を示す模式図である。
【図3】本発明の実施例1にかかる移動体セットトップボックスの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明にかかるコンテンツ閲覧システムにおけるコンテンツ閲覧サービスのコンテンツ閲覧サービスの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例2にかかる移動体セットトップボックスの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための移動体セットトップボックスを用いたコンテンツ閲覧システムを例示するものであって、本発明をこのコンテンツ閲覧システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のコンテンツ閲覧システムにも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0033】
図1は、本発明の実施例1にかかる移動体セットトップボックスを用いたコンテンツ閲覧システムのシステム構成を示す図である。本実施例1にかかる移動体セットトップボックスを用いたコンテンツ閲覧システSは、図1に示すように、サービス提供管理サーバ10、コンテンツ提供サーバ20、移動体セットトップボックス30a、端末装置40a、40b、通信事業者サーバ50、ネットワーク60などから構成される。
【0034】
サービス提供管理サーバ10は、本発明にかかるコンテンツ閲覧サービスを提供するプロバイダによって設置されるサーバであり、加入登録されたユーザの登録情報(ユーザIDや当該ユーザに発行した認証情報など)を保持し、各ユーザのサービス利用時の認証処理、認証結果をコンテンツ提供利用時間の集計、監視、課金などの処理を行うものである。
【0035】
コンテンツ提供サーバ20は、コンテンツを提供する事業者が設置するサーバであり、例えば、映画や映像、音楽などのコンテンツの配信権(クリエイターから著作権の許諾)を得た配信会社などが設置するサーバであり、それらのコンテンツを保存し、サービス提供管理サーバ10が認証したユーザに対して、ユーザが所望するコンテンツをコンテンツ提供サーバが提供するブラウザ上で閲覧させるものである。
【0036】
移動体セットトップボックス(STB)30aは、無線LAN通信モジュールおよびまたは有線LAN通信モジュールと、高速モバイル通信モジュール(高速データ通信モジュール)とを有し、シンクライアントOSによって動作する認証、通信装置であり、サービス提供事業者から登録したユーザに提供される。高速データ通信モジュールとして携帯電話に用いられるデータ通信モジュールを使用する場合は、通信事業者サーバ50によってデータ通信の認証を受け、その上でサービス提供管理サーバ10による登録ユーザ認証を受けることになる。また、移動体セットトップボックス30aが、サービス提供事業者(NSP::Network Service Provider)の提供するVPN(Virtual Private Network)クライアントとして動作する場合にはサービス提供管理サーバ10による認証のみ受ければよいことになる。
【0037】
ユーザはコンテンツ閲覧サービスを利用しようとする場合には、このセットトップボックス30aを任意の端末装置40a、40b等と無線または有線LAN接続するとともに、高速データ通信モジュールを介して、サービス提供管理サーバ10と通信を行い、ユーザ認証を受ける。図1では、端末装置40aとLAN接続したものとして説明する。移動体セットトップボックス30aは持ち運び可能であるから、他の場所に設置された端末装置40bとLAN接続することもできる。例えば、有線または無線LAN通信モジュールを有している端末装置であれば、ホテルなどに設置されたテレビ受像機に接続することも可能である。端末装置としてテレビ受像機を接続するため、移動体セットトップボックス30aは、一般的なビデオ装置のようにHDMI(High−Definition Multimedia Interface)端子やDVI(Digital Video Interface)端子を備え、HDMIケーブル等を介してテレビ受像機と有線接続できるように構成されていてよい。
【0038】
サービス提供管理サーバ10によりユーザの認証が成功すると、サービス提供管理サーバ10はコンテンツ提供サーバ20に認証結果を通知するとともに、コンテンツ提供サーバ20が提供するコンテンツの一覧リストをセットトップボックス30a経由で端末装置40aに表示し、ユーザが所望のコンテンツを選択すると、その情報をコンテンツ提供サーバ20に通知する。コンテンツ一覧はジャンル別(例えば、映画やドラマ、音楽などの別)に提示するようにしてもよい。コンテンツ提供サーバ20は、ユーザが選択したコンテンツを移動体セットトップボックス30aの高速データ通信モジュール経由で端末装置40aにブラウザ表示させる。
【0039】
このように、コンテツそのものは端末装置40aに配信されるものではなく、コンテンツ提供サーバが提供するブラウザ上で閲覧されるだけであり、後述するシンクライアントOSにより動作するものであるから、端末装置40aにコンテンツが保存されたり、コピーされたりすることがなく、コンテンツの著作権保護が確実に行われる。
【0040】
コンテンツ提供サーバ20は、ユーザのコンテンツ閲覧の終了までの閲覧時間を計数し、サービス提供管理サーバ10に提供し、閲覧時間の情報に基づいてサービス提供管理サーバ10はユーザに対する課金処理を行う。また、コンテンツ提供サーバ20はユーザがコンテンツの閲覧を中断(一時停止)し、閲覧再開操作されると中断箇所からコンテンツの閲覧を再開するように構成することもできる。その場合、一時停止から再開までの時間を閲覧時間の計数から除外すればよい。この場合、コンテンツ提供サーバ20はユーザ毎に閲覧中のコンテンツの中断、再開のデータ位置を記憶するように構成すればよい。
【0041】
なお、この移動体セットトップボックス30aは、特定のサービス提供事業者が提供するサービスのための特定の認証装置ではなく、後述するように他のサービスの認証にも利用できる汎用的な認証装置であり、必ずしも特定のサービス事業者からユーザが取得することが必須となる装置ではない。ユーザ自身が市場で入手できる環境が整えば、ユーザが独自に購入したものであってもよい。
【0042】
図2は、以上のような本発明にかかるコンテンツ閲覧システムSによるコンテンツ閲覧サービスの概念を示す模式図である。ユーザは移動体セットトップボックス30aを任意の端末装置40a(テレビ受像機や表示モニタを有するPCなど)、40b等に無線LAN接続あるいは有線LAN接続する。そしてユーザは移動体セットトップボックス30aにサービス提供事業者から発行された認証用カード70aあるいはプリペイドカード70bなどの認証用の外部挿入カードを挿入し、サービス提供管理サーバ10に認証を要求する。
【0043】
移動体セットトップボックス30aが高速データ通信モジュールとして携帯電話に用いられるデータ通信モジュールを使用する場合は、認証用カード70aは、通信事業者がユーザに対して発行する、次世代のIMT2000規格に準拠した携帯電話などの移動体端末装置に着脱自在なUSIM(Universal Subscriber IdentityModule)カードと呼ばれるICカードを用いる。移動体セットトップボックス30aが、サービス提供事業者(NSP:Network Service Provider)の提供するVPN(Virtual Private Network)クライアントとして動作する場合には、サービス提供事業者が登録ユーザに対して発行する認証用ICカードを用いる。
【0044】
サービス提供管理サーバ10は要求を受けてユーザ認証を行い、セットトップボックス30aを介して端末装置40aに、提供可能なコンテンツの一覧をブラウザ表示し、ユーザが閲覧希望のコンテンツを選択すると、当該選択されたコンテンツを提供するコンテンツ提供サーバ20に接続許可する。選択されたコンテンツを保持するコンテンツ提供サーバは、セットトップボックス30aを介して端末装置40aに、ブラウザ表示する。
【0045】
すなわち、ユーザはコンテンツ提供サーバ20のブラウザ上で所望のコンテンツを閲覧するのみであり、コンテンツそのものをユーザの端末装置40a等にダウンロードすることがないので、不正コピーなどの違法行為がなされることはなく、また、ユーザはコンテンツの閲覧を途中で中断、終了することができ、閲覧を中断した場合には、所望の時点で中断した箇所から閲覧を再開できるようにすることもできる。コンテンツ提供サーバ20はユーザへのコンテンツ閲覧時間をサービス提供管理サーバ10に提供し、コンテンツ管理サーバ20は閲覧時間に応じた課金をユーザに対して行う。
【0046】
次に、移動体セットトップボックス30aの構成について説明する。図3は、移動体セットトップボックス30aの構成を示すブロック図である。移動体セットトップボックス30aは、図3に示すように、パワースイッチ31、BIOS(基本入出力システム)32、記憶装置34、ハードウエア部36を備えている。ハードウエア部36は、マイクロプロセッサなどのCPU37、RAMなどのメモリ38、プリンタや表示デバイスあるいはネットワークへの入出力を行う入出力デバイス39などから構成される。入出力デバイス39には、前述したように通常のビデオ装置と同様にHDMI(High−Definition Multimedia Interface)端子やDVI(Digital Video Interface)端子を備えることができる。
【0047】
記憶装置34はRAMディスク装置で構成され、シンクライアントOS341、アプリケーション342、無線および/または有線で任意の端末装置40a、40b等と接続して通信するためのLAN通信モジュール343、高速モバイル通信モジュール344が組み込まれている。
【0048】
シンクライアントOS341は、移動体セットトップボックス30aをシンクライアント端末装置として動作させるためのOSであり、また、アプリケーション342にはシンクライアントOS341のもとで動作する通信処理プログラムなどの各種アプリケーションプログラムがインストールされる。記憶装置34はシンクライアントOS341がインストールされるものであり、OS起動時に半導体メモリに記憶されたOSをRAM上に展開して動作させるように構成することもできる。
【0049】
パワースイッチ31は移動体セットトップボックス30aの電源スイッチであり、パワースイッチ31をオンすると、各部への電源が供給される。パワースイッチ31がオンされると、BIOS(Basic Input Output System:基本入出力システム)32が起動される。
【0050】
BIOS32はシンクライアントOS341を起動し、その先頭領域からマスタブートレコード(MBR)を読み出して、LAN接続した端末装置40aにデスクトップ画面を表示する。これにより移動体セットトップボックス30aはシンクライアント端末装置として動作するようになる。
【0051】
ここで、シンクライアントOS341による移動体セットトップボックス30aの動作は、移動体セットトップボックス30aにLAN接続された端末装置40aに表示されるGUI(グラフィックユーザインタフェース)での操作を高速通信先のサーバ上で実行されるアプリケーションへ送信し、この操作に基づいてアプリケーションが実行され、実行結果が移動体セットトップボックス30aに送信され、移動体セットトップボックス30aを経由して端末装置40a上に表示されるGUIに反映させるものである。
【0052】
このようなシンクライアントOSを備えたシンクライアント端末装置は、本願の出願人が既に出願したリムーバブルメモリユニットの発明(特願2009−055564号、以下、先願1という)、スティックサーバの発明(特開2009−93369号、以下、先願2という)、情報処理装置の発明(特開2010−92240号)等に開示されている。
【0053】
以上、説明した本発明にかかるコンテンツ閲覧システムにおけるコンテンツ閲覧サービスのコンテンツ閲覧サービスの処理手順を、図4に示すフローチャートを参照して説明する。図4は、移動体セットトップボックス30aとサービス提供管理サーバ10との間の処理の手順を示しており、ユーザはサービス提供事業者に利用登録を行い、移動体セットトップボックス30a(図2参照)を取得し、ユーザ認証用のUSIMカード等の認証用カード70a(図2参照)を取得しているものとする。
【0054】
ユーザは移動体セットトップボックス30aにサービス提供事業者から発行された認証用カード70aあるいはプリペイドカード70bなどの認証用の外部挿入カード70を挿入し、移動体セットトップボックス30aの電源を投入すると、移動体セットトップボックス30aにインストールされたシンクライアントOS341を起動できる正当なユーザであるか否かを認証する認証処理が行われる。正当な外部挿入カード70が挿入されていれば、シンクライアントOS341が起動され、LAN通信モジュール343により接続された端末装置の表示画面にデスクトップ画面が表示される(ここでは、移動体セットトップボックス30aが端末装置40aに接続されたものとして説明する)(ステップS101)。
【0055】
シンクライアントOS341が起動すると、移動体セットトップボックス30aの通信接続設定がチェックされる。通信接続の設定は、LAN通信モジュール343および高速モバイル通信モジュール344により行われる通信に関する設定であり、前者は移動体セットトップボックス30aの接続される端末装置40a等との接続設定であり、後者はサービス提供管理サーバ10との接続設定である。ステップS102の処理では、上記の通信設定が設定済みであるか否かが判別される。接続設定が完了していなければ、通信接続設定画面(通信条件や通信先の設定画面等)を表示してユーザに接続設定処理を行わせ(ステップS103)、ステップS104の処理に進む。
【0056】
ステップS102の判別処理において接続設定は既に完了していると判別されるとステップS104の処理に進む。ここでは、移動体セットトップボックス30aの通信先としてユーザが登録したサービス提供管理サーバ10が設定済みであるものとして説明する。サービス提供管理サーバ10が通信先として設定されている場合には、移動体セットトップボックス30aは、自動的に高速モバイル通信モジュール344を介してサービス提供管理サーバ10に接続され、サービス提供管理サーバ10は移動体セットトップボックス30aに挿入された認証カード70の情報に基づいて登録されたユーザであるか否かの認証処理を行う。ここでは、正規のユーザがあることが認証されたものとして以下の説明を続ける(ステップS104)。
【0057】
サービス提供管理サーバによる認証の結果、正規ユーザの接続要求であることが確認できると、サービス提供管理サーバ10は、移動体セットトップボックス30aのLAN通信モジュール343を介して接続されている端末装置40aの表示画面にサービス・コンテンツメニューを表示する(ステップS105)。表示するサービスメニュー、コンテンツメニューは任意の階層的な表示態様であってよく、ユーザの選択処理に基づいて順次画面遷移させる構成であってよい。
【0058】
ユーザが、コンテンツ閲覧サービスを選択し、閲覧を所望するコンテンツを選択して、コンテンツ閲覧サービスの開始要求を行うと(ステップS106)、サービス提供管理サーバ10は選択されたコンテンツを提供するコンテンツ提供サーバ20に、ユーザ認証結果、ユーザが選択したコンテンツなどの情報を通知するとともに、移動体セットトップボックス30aの接続先をコンテンツ提供サーバ20とし、コンテンツ提供サーバ20は、選択されたコンテンツを移動体セットトップボックス30aの高速モバイル通信モジュール344を介して接続された端末装置40aの表示画面にブラウザ表示して閲覧させる。
【0059】
移動体セットトップボックス30a(端末装置40a)におけるコンテンツの閲覧を開始させるにあたり、コンテンツ提供サーバ20は認証カード70の情報を取得してユーザの認証を確認する処理を行ってもよく、またコンテンツ閲覧の初期画面を端末装置40aに表示し、ユーザの閲覧開始、中断、閲覧終了などの操作を受付るように構成することもできる。更に、ユーザに対する課金処理をコンテンツ提供サーバ20側で行う場合には、ユーザによるコンテンツ閲覧の正味の時間(閲覧の一時停止機能を提供する場合には一時停止の時間を除くなどの時間計数を行う)を計数して料金を算出し課金する。
【0060】
また、閲覧再開処理のため、ユーザ毎にコンテンツの閲覧中断箇所を記憶するなどの機能を設けてもよい。その場合、コンテンツ提供サーバ20は移動体セットトップボックス30aの接続を一旦終了させ、その時点までの課金処理を行い、再度移動体セットトップボックス30aから当該中断したコンテンツの閲覧が要求されると、前回中断した箇所からコンテンツの閲覧を再開させるようにしてもよい。このようにすれば、ユーザは長時間の一時中断の際に、移動体セットトップボックス30aをログオフすることが可能になる。
【0061】
本処理手順では、コンテンツ閲覧の課金処理はサービス提供管理サーバ10が代行して行う場合を例に説明する。このため、コンテンツ提供サーバ20はコンテンツの閲覧が終了した時点で、サービス提供管理10にユーザのコンテンツ閲覧時間に関する情報を提供する。
【0062】
ステップS107の処理でサービス提供管理サーバ10は、移動体セットトップボックス30aにおけるコンテンツの閲覧が終了したか否かを判別する。コンテンツ閲覧が終了していなければ、この判別処理を繰返し、閲覧処理が終了した場合には、サービス提供管理サーバ10は、コンテンツ提供サーバ20から移動体セットトップボックス30aによるコンテンツの閲覧時間の情報を取得し(ステップS108)、料金を算出して端末装置40aの表示画面に閲覧料金の表示を行う(ステップS109)。
【0063】
その後、サービス提供管理サーバ10は、移動体セットトップボックス30aにおいてログオフが選択されたか否かを判別する(ステップS110)。ログオフの選択は、例えば、ステップS109で表示される料金表示画面に、ログオフボタン(サービス終了の選択ボタン)を設けておき、サービス提供管理サーバ10のログオフをユーザが選択できるように構成しておけばよい。
【0064】
ログオフされていなければ、ステップS105の処理に戻り、サービス・コンテンツメニューを表示して、サービス選択、コンテンツ選択させ、ステップS106以降の処理を繰り返す。ログオフされていれば、移動体セットトップボックス30aは、サービス提供管理サーバ10との間の通信を切断し(ステップS111)、移動体セットトップボックス30aのシャットダウンを行う(ステップS112)。
【0065】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかる移動体セットトップボックスを用いたコンテンツ閲覧システムによれば、移動体セットトップボックス30aは、LAN通信モジュールと高速モバイル通信モジュールを備え、LAN通信モジュールを用いて任意の端末と接続するとともに、高速モバイル通信モジュールを用いて、サービス提供管理サーバ、コンテンツ提供サーバと通信を行うように構成されているから、所望のコンテンツを任意の場所で閲覧することができるようになる。
【0066】
また、移動体セットトップボックス30aは、シンクライアントOS341を備えた構成であるから、移動体セットトップボックス30aにLAN接続された端末装置40aに表示されるGUI(グラフィックユーザインタフェース)での操作を通信先のサーバ上で実行されるアプリケーションへ送信し、この操作に基づいてアプリケーションが実行され、実行結果が移動体セットトップボックス30aに送信され、移動体セットトップボックス30aを経由して端末装置40a上に表示されるGUIに反映させるものであり、コンテンツを移動体セットトップボックス30aや端末装置40a等にダウンロードさせるものでなく、コンテンツ提供サーバ20が提供するブラウザ上でユーザの閲覧に供されるだけであり、コンテンツの不正なコピーなどを確実に防止することができるようになる。
【0067】
また、移動体セットトップボックス30aは、CATVサービスにおけるセットトップボックスのように特定のサービス提供事業者が提供するサービス専用のものではなく、USIMカードのような認証用のICカード(外部挿入カード)を用いてユーザ認証を行うものであるから、汎用の用途に用いることができ、ユーザは異なるサービス提供事業者から発行され外部挿入カードを差し替えるだけで、各事業者が提供するサービスを受けることができるようになる。
【実施例2】
【0068】
図3に示した移動体セットトップボックス30aは、RAMディスク装置で構成された記憶装置34に、シンクライアントOS341、アプリケーション342、無線および/または有線で任意の端末装置40a、40b等と接続して通信するためのLAN通信モジュール343、高速モバイル通信モジュール344が組み込んだものであったが、移動体セットトップボックス30a自体に記憶装置を持たず、可搬型の半導体記憶装置(例えば、USBメモリユニット)にシンクライアントOS等を組み込んでおき、これを移動体セットトップボックス30aに接続して、シンクライアントOSを起動するように構成することもできる。
【0069】
図5は、可搬型の半導体記憶装置(例えば、USBメモリユニット)にシンクライアントOS等を組み込んで、移動体セットトップボックスに接続して使用するように構成した移動体セットトップボックス30aの構成を示すブロック図である。なお、図5において、図3に示す移動体セットトップボックス30aを構成する要素と同一の機能を有する要素は図3と同一の参照符号を付し、その詳細説明は説明の重複を避けるため省略する。
【0070】
実施例2に示す移動体セットトップボックス30aは、点線で示す部分、すなわち、図3に示す記憶装置34を、可搬型の半導体記憶装置34a(図5参照)にインストールして構成したものである。すなわち、可搬型の半導体記憶装置34aには、シンクライアントOS341、アプリケーション342、無線および/または有線で任意の端末装置40a、40b等と接続して通信するためのLAN通信モジュール343、高速モバイル通信モジュール344が組み込まれている。
【0071】
可搬型の半導体記憶装置34aが移動体セットトップボックス30aに装着され、移動体セットトップボックス30aのパワースイッチ31が操作されて電源が投入されると、BIOS(Basic Input Output System:基本入出力システム)32が起動され、BIOS32はシンクライアントOS341を起動し、その先頭領域からマスタブートレコード(MBR)を読み出して、LAN接続した端末装置40aにデスクトップ画面を表示する。これにより移動体セットトップボックス30aはシンクライアント端末装置として動作するようになる。
【0072】
図5のようにUSBメモリなどの半導体可搬型の半導体記憶装置にシンクライアントOSを記憶しておき、そのUSBメモリが装着された端末装置をシンクライアント端末として動作し得るようにしたシンクライアント端末装置は、前述の先願1、先願2に開示されている。
【0073】
以上説明した実施例2にかかる移動体セットトップボックス30aを用いた場合も、実施例1にかかる移動体セットトップボックス30aを用いた場合と全く同様の作用、効果を得ることができることはいうまでもない。
【0074】
なお、以上説明した本発明にかかるコンテンツ閲覧システムにおいて、移動体セットトップボックスは、LAN通信モジュールと高速モバイル通信モジュールを備え、サービス提供管理サーバ、コンテンツ提供サーバとの接続および通信は当該高速モバイル通信モジュールを介して行うものとして説明したが、ユーザの利用環境がLAN接続可能な環境であれば、敢えてサービス提供管理サーバとの接続に高速モバイル通信モジュールを用いなくともよい。その場合には、移動体セットトップボックスとサービス提供管理サーバやコンテンツ提供サーバとの接続もLAN通信モジュールを介して行うこともできる。この場合、高速モバイル通信モジュールによる接続を利用するか否かをユーザが選択できるようにするとよい。高速モバイル通信を利用しなければ、その分、料金を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
通常、コンテンツの視聴サービスを提供する事業者は、映画や音楽のコンテンツを大量にCDに複製して各店舗にこれを展示し、ユーザが閲覧を希望するコンテンツが複製されたCDを貸与するという態様で事業を行っている。本発明にかかるコンテンツ閲覧システムによれば、コンテンツはコンテンツ提供サーバに用意しておくだけでよく、コンテンツ提供事業者は複製コンテンツを作成する必要もなく、各地域に店舗を設置する必要もない。また、ユーザは移動体セットトップボックスを任意の端末装置に接続してサービスを受けることができ、コンテンツの閲覧場所が固定されない。更にコンテンツ提供事業者は、ユーザによるコンテンツの不正コピーが防止できるので、確実な著作権保護を実現することができから、好適に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
S・・・・・・コンテンツ閲覧システム
10・・・・・サービス提供管理サーバ
20・・・・・コンテンツ提供サーバ
30a・・・・移動体セットトップボックス
40a・・・・端末装置
40b・・・・端末装置
50・・・・・通信事業者サーバ
60・・・・・ネットワーク
31・・・・・パワースイッチ
32・・・・・BIOS(基本入出力システム)
34・・・・・記憶装置
36・・・・・ハードウエア部
37・・・・・CPU
38・・・・・メモリ
39・・・・・入出力デバイス
341・・・・シンクライアントOS
342・・・・アプリケーション
343・・・・LAN通信モジュール
344・・・・高速モバイル通信モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワースイッチとBIOSを有し、パワースイッチにより電源が供給されると前記BIOSが、オペレーティングシステムと、LAN通信モジュールと、高速モバイル通信モジュールと、を備えた記憶装置を用いて前記オペレーティングシステムを起動する移動体セットトップボックスと、コンテンツの閲覧サービスを提供するためのサービス提供管理サーバと、コンテンツを提供するコンテンツ提供サーバとから構成されるコンテンツ閲覧システムであって、前記移動体セットトップボックスは、前記LAN通信モジュールを介して任意の端末装置を接続し、前記高速モバイル通信モジュールを介して前記コンテンツ提供管理サーバと接続し、該コンテンツ提供管理サーバは、前記端末装置において選択されたサービスおよびコンテンツ閲覧要求に基づいて、前記コンテンツ提供サーバと前記移動体セットトップボックスとを接続させ、前記コンテンツ提供サーバは、前記端末装置が選択したコンテンツを、前記移動体セットトップボックスを介して前記端末装置の表示画面にブラウザ表示して閲覧させることを特徴とする移動体セットトップボックスを用いたコンテンツ閲覧システム。
【請求項2】
パワースイッチとBIOSを有し、パワースイッチにより電源が供給されると前記BIOSが、オペレーティングシステムと、高速モバイル通信モジュールと、を備えた記憶装置を用いて前記オペレーティングシステムを起動する移動体セットトップボックスと、コンテンツの閲覧サービスを提供するためのサービス提供管理サーバと、コンテンツを提供するコンテンツ提供サーバとから構成されるコンテンツ閲覧システムであって、前記移動体セットトップボックスは、HDMI端子またはDVI端子を備え、前記HDMI端子またはDVI端子を介して任意の端末装置を接続し、前記高速モバイル通信モジュールを介して前記コンテンツ提供管理サーバと接続し、該コンテンツ提供管理サーバは、前記端末装置において選択されたサービスおよびコンテンツ閲覧要求に基づいて、前記コンテンツ提供サーバと前記移動体セットトップボックスとを接続させ、前記コンテンツ提供サーバは、前記端末装置が選択したコンテンツを、前記移動体セットトップボックスを介して前記端末装置の表示画面にブラウザ表示して閲覧させることを特徴とする移動体セットトップボックスを用いたコンテンツ閲覧システム。
【請求項3】
パワースイッチとBIOSを有し、パワースイッチにより電源が供給されると前記BIOSが、オペレーティングシステムと、LAN通信モジュールと、高速モバイル通信モジュールと、を備えた記憶装置を用いて前記オペレーティングシステムを起動する移動体セットトップボックスと、コンテンツの閲覧サービスを提供するためのサービス提供管理サーバと、コンテンツを提供するコンテンツ提供サーバとから構成されるコンテンツ閲覧システムであって、前記移動体セットトップボックスは、前記LAN通信モジュールを介して任意の端末装置およびコンテンツ提供管理サーバを接続し、該コンテンツ提供管理サーバは、前記端末装置において選択されたサービスおよびコンテンツ閲覧要求に基づいて、前記コンテンツ提供サーバと前記移動体セットトップボックスとを接続させ、前記コンテンツ提供サーバは、前記端末装置が選択したコンテンツを、前記移動体セットトップボックスを介して前記端末装置の表示画面にブラウザ表示して閲覧させることを特徴とする移動体セットトップボックスを用いたコンテンツ閲覧システム。
【請求項4】
前記オペレーティングシステムはシンクライアントOSであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の移動体セットトップボックスを用いたコンテンツ閲覧システム。
【請求項5】
前記記憶装置は、前記移動体セットトップボックスに接続可能な可搬型の半導体記憶装置であることを特徴とする請求項4に記載の移動体セットトップボックスを用いたコンテンツ閲覧システム。
【請求項6】
前記移動体セットトップボックスは認証用の外部挿入カードを用いてユーザ認証を行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の移動体セットトップボックスを用いたコンテンツ閲覧システム。
【請求項7】
パワースイッチとBIOSを有し、パワースイッチにより電源が供給されると前記BIOSが、オペレーティングシステムと、LAN通信モジュールと、高速モバイル通信モジュールと、を備えた記憶装置を用いて前記オペレーティングシステムを起動する移動体セットトップボックスと、コンテンツの閲覧サービスを提供するためのサービス提供管理サーバと、コンテンツを提供するコンテンツ提供サーバとから構成されるコンテンツ閲覧システムにおける前記移動体セットトップボックスであって、前記移動体セットトップボックスは、前記LAN通信モジュールを介して任意の端末装置を接続し、前記高速モバイル通信モジュールを介して前記コンテンツ提供管理サーバと接続し、該コンテンツ提供管理サーバは、前記端末装置において選択されたサービスおよびコンテンツ閲覧要求に基づいて、前記コンテンツ提供サーバと前記移動体セットトップボックスとを接続させ、前記コンテンツ提供サーバは、前記端末装置が選択したコンテンツを、前記移動体セットトップボックスを介して前記端末装置の表示画面にブラウザ表示して閲覧させることを特徴とする移動体セットトップボックス。
【請求項8】
パワースイッチとBIOSを有し、パワースイッチにより電源が供給されると前記BIOSが、オペレーティングシステムと、高速モバイル通信モジュールと、を備えた記憶装置を用いて前記オペレーティングシステムを起動する移動体セットトップボックスと、コンテンツの閲覧サービスを提供するためのサービス提供管理サーバと、コンテンツを提供するコンテンツ提供サーバとから構成されるコンテンツ閲覧システムにおける前記移動体セットトップボックスであって、前記移動体セットトップボックスは、HDMI端子またはDVI端子を備え、前記HDMI端子またはDVI端子を介して任意の端末装置を接続し、前記高速モバイル通信モジュールを介して前記コンテンツ提供管理サーバと接続し、該コンテンツ提供管理サーバは、前記端末装置において選択されたサービスおよびコンテンツ閲覧要求に基づいて、前記コンテンツ提供サーバと前記移動体セットトップボックスとを接続させ、前記コンテンツ提供サーバは、前記端末装置が選択したコンテンツを、前記移動体セットトップボックスを介して前記端末装置の表示画面にブラウザ表示して閲覧させることを特徴とする移動体セットトップボックス。
【請求項9】
パワースイッチとBIOSを有し、パワースイッチにより電源が供給されると前記BIOSが、オペレーティングシステムと、LAN通信モジュールと、高速モバイル通信モジュールと、を備えた記憶装置を用いて前記オペレーティングシステムを起動する移動体セットトップボックスと、コンテンツの閲覧サービスを提供するためのサービス提供管理サーバと、コンテンツを提供するコンテンツ提供サーバとから構成されるコンテンツ閲覧システムにおける前記移動体セットトップボックスであって、前記移動体セットトップボックスは、前記LAN通信モジュールを介して任意の端末装置および前記コンテンツ提供管理サーバを接続し、該コンテンツ提供管理サーバは、前記端末装置において選択されたサービスおよびコンテンツ閲覧要求に基づいて、前記コンテンツ提供サーバと前記移動体セットトップボックスとを接続させ、前記コンテンツ提供サーバは、前記端末装置が選択したコンテンツを、前記移動体セットトップボックスを介して前記端末装置の表示画面にブラウザ表示して閲覧させることを特徴とする移動体セットトップボックス。
【請求項10】
前記オペレーティングシステムはシンクライアントOSであることを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載の移動体セットトップボックス。
【請求項11】
前記記憶装置は、前記移動体セットトップボックスに接続可能な可搬型の半導体記憶装置であることを特徴とする請求項10に記載の移動体セットトップボックス。
【請求項12】
前記移動体セットトップボックスは認証用の外部挿入カードを用いてユーザ認証を行うことを特徴とする請求項7〜11の何れか1項に記載の移動体セットトップボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−80503(P2012−80503A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226715(P2010−226715)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(503172138)株式会社応用電子 (23)
【Fターム(参考)】