説明

移動体内情報表示システム

【課題】座席の予約情報を利用して、利用者に有用な情報を利用者毎に提供することのできる移動体内情報表示システムを提供する。
【解決手段】コンテンツ毎にそのコンテンツが属するカテゴリを表す情報およびコンテンツIDを付して格納した広告受付管理データベース80と、移動体毎にその運行ダイヤ情報を格納したダイヤ情報データベース83および前記各移動体の座席毎の乗車予約情報を格納した座席予約管理データベース84と、前記コンテンツを移動体の座席毎に配置した表示装置に表示する表示管理サーバ4を備え、該表示管理サーバは、前記ダイヤ情報データベース83および座席予約データベース84を検索して前記座席毎の乗客の到着目的地情報を取得し、取得した到着目的地情報をもとに広告受付管理データベース80を検索し、乗客の到着目的地に応じたカテゴリのコンテンツを前記座席毎に配置した表示装置に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などの移動体内で情報を表示する情報表示システムに係り、特に、座席毎に配置した表示装置に乗客の到着目的地等に応じた情報を表示する情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
交通機関の利用者は、到着目的地に関する情報を、例えば、雑誌、テレビ、あるいはWebサイトを閲覧すること等により収集することができる。また、交通機関の利用者は、例えば、車内の表示システムを参照することにより、該システムに表示される情報(次駅名、所要時間、乗り換え情報、遅延案内等)を取得することができる。
【0003】
特許文献1には、乗客に対して様々な情報サービスを行うことの可能な指定席管理システムが開示されており、このシステムでは、指定券から読み取った降車地の情報をそれぞれの座席に表示することが示されている。
【特許文献1】特開2005−141309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のようにして閲覧収集する情報には、利用者の到着目的地以外の情報、あるいは過去の古い情報が含まれることがある。また、前記Webサイトは環境によっては閲覧不可能である。また、車内の表示システムに表示される情報は乗客一般に向けた案内表示、広告表示であり、乗客毎にその到着目的地別に情報を表示するものではない。
【0005】
また、前記表示システムで表示する情報の提供者(広告主)は、車両が走行する路線や表示期間に応じて、予め規定された広告料金を車両の運行者である鉄道事業者等に支払う形が取られており、この方法では、広告情報をアピールしたい対象者に対し、効率よく提供することはできない。また、広告の影響力がどれほどあるか定量的に確認することもできない。また、この方法では座席の予約情報から得られる情報(何人の乗客がどの駅で降車するか)は有効に活用されていない。
【0006】
また、前記特許文献1に示すシステムでは、乗客は、所定の時間内に指定券をカードホルダに挿入するなどの操作を要求される。
【0007】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたもので、座席の予約情報を利用して、利用者に有効な情報を利用者毎に効率よく提供することのできる移動体内情報表示システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0009】
コンテンツ毎にそのコンテンツが属するカテゴリを表す情報およびコンテンツIDを付して格納した広告受付管理データベースと、移動体毎にその運行ダイヤ情報を格納したダイヤ情報データベースおよび前記各移動体の座席毎の乗車予約情報を格納した座席予約管理データベースと、前記コンテンツを移動体の座席毎に配置した表示装置に表示する表示管理サーバを備え、該表示管理サーバは、前記ダイヤ情報データベースおよび座席予約データベースを検索して前記座席毎の乗客の到着目的地情報を取得し、取得した到着目的地情報をもとに広告受付管理データベースを検索し、乗客の到着目的地に応じたカテゴリのコンテンツを前記座席毎に配置した表示装置に表示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上の構成を備えるため、利用者に有用な情報を利用者毎に効率よく提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、最良の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る移動体内情報表示システムを説明する図である。図1に示すように、このシステムでは、広告主、広告事業者、交通事業者、および一般利用者(乗客)が関連する。
【0012】
広告主は広告を登録するための装置として広告主端末1を保有する。広告主端末1はネットワークを介して広告受付管理サーバ(SV)2と接続し、広告コンテンツを広告受付管理サーバ(SV)2に登録する。
【0013】
広告事業者は、広告コンテンツの登録を受け付ける広告受付管理サーバ(SV)2、および広告ウエブサーバ(WebSV)3を保有する。なお、前記サーバ2,3はネットワークを介して広告表示管理サーバ(SV)4と接続される。
【0014】
交通事業者は、受け付けた広告を列車に配信する広告表示管理サーバ(SV)4、列車のダイヤ情報を保持する運行管理装置(PRC)5、列車の座席指定情報を保持する座席予約管理サーバ(SV)6、座席を予約するための座席予約端末7、各座席毎に設置した座席別表示端末を備えた列車8、列車内で広告や座席の予約状況情報を受け取り、受け取った情報を座席別表示端末に表示する車内管理サーバ(SV)9、および座席毎に設置されて、広告を表示したり利用者が割引や特典を受けるため広告ウエブサーバ3にアクセスする際に使用する座席別表示端末10を備える。なお、前記列車は地上装置と無線伝送装置を介して接続されている。また、一般利用者は、自身が持つモバイル端末11を介して広告ウエブサーバ3にアクセスすることができる。
【0015】
図2,3は、図1に示すシステムの運用方法を説明する図である。なお、図2において、太線51ないし63はデータの流れを示す。また、図3において、80ないし86はサーバ等が保持するデータベースを示し、データベースの内容は図4および図5にそれぞれ同一番号を付して開示している。すなわち、図4(a)は広告受付管理サーバ2が保持するデータベース80の内容を示し、 図4(b)は広告ウエブサーバ3が保持するデータベース81の内容を示し、図4(c)は広告表示管理サーバ4が保持するデータベース82の内容を示し、図4(d)は運行管理装置5が保持するデータベース83の内容を示し、図4(e)は座席予約管理サーバ6が保持するデータベース84の内容を示し、図5(f)は車内管理サーバ9が保持するデータベース85の内容を示し、図5(g)は座席別表示端末10が保持するデータベース86の内容を示す。
【0016】
まず、広告主は、広告コンテンツを作成して、矢印51に沿って広告事業者が管理する広告受付管理サーバ2のデータベース80に登録する。登録する内容は、図4にデータベース80として示す内容である。例えば、広告主名(Aホテル)、掲載場所(京都(到着目的地:降車駅))、掲載期間(7月1日から8月31日)、カテゴリ(ホテル)、コンテンツ名(料金割引.mpg)、サービス内容(宿泊料20%割引)、ID等である。このデータベースを検索することにより、掲載場所毎にコンテンツを収集して表示することが可能となる。
【0017】
次に、広告受付管理サーバ2に格納した情報(データベース80の情報)を、矢印52に沿って広告ウエブサーバ3に送信する。これにより、広告ウエブサーバ3はサービスを提供する準備が完了する。なお、広告ウエブサーバ3のデータベース81にあるコンテンツIDは、アクセス数をカウントする際のキーとして利用することができ、アクセス数のカウント値は矢印63に沿って広告表示管理サーバ4に提供される。このように、広告ウエブサーバ3でカウントしたサイトのアクセス数を広告表示管理サーバ4に提供することで、どの到着目的地のどの時間帯で、どのコンテンツにアクセス数が多いかを把握し、人気のある時間帯やアクセス数からコンテンツ掲載の料金を設定することができる。
【0018】
広告表示管理サーバ4が持つデータベース82の情報(図4)は、運行管理装置(PRC)5から矢印54に沿ってダイヤ情報を取得することにより、ダイヤ情報をリアルタイムで取得することができる。例えば、当日に臨時で停車する駅がある場合、その駅が目的地となる乗客が発生する。このようにダイヤ情報をリアルタイムで取得することにより、到着目的地情報等を的確に表示してサービスを向上することが可能となる。
【0019】
また、広告表示管理サーバ4は座席予約管理サーバ6が持つデータベース84から矢印57に沿って列車毎の座席予約の情報を取得することができる。これには2つのメリットがある。1つは、何日の何時にどれだけの乗客がどの駅に行くかという情報である。これにより、広告の閲覧率の指標を出すことができ、広告料金の金額設定に利用することができる。もう1つのメリットは座席毎に目的地の案内を行えることである。例えば、同一座席で利用区間がそれぞれ異なる場合においても、それぞれの利用者毎の到着目的地の情報を取得することができる。
【0020】
例えば、1列A席という1つの席でも、東京から大阪までを利用する人と、大阪から福岡まで利用する人など区間ごとに利用者は異なる。座席毎に表示するコンテンツを固定した場合、大阪に向かう利用者に対し、例えば福岡の広告を見せることになる。この場合、乗客は施設を利用したり、土産を購入したり、提供される特典を利用できるわけでもなく、宣伝効果は薄い。しかし、大阪から福岡に向かう利用者にとっては目的地の情報が表示されることになり、この場合は、利用者の興味を引くことができる。また、到着時にその特典を利用することが可能であり、宣伝効果が高いといえる。
【0021】
このように、運行管理装置(PRC)5の持つダイヤ情報(データベース83)と座席予約管理サーバ(SV)6の持つ座席予約情報(データベース84)を融合させることにより、広告主にとってはより効果的な宣伝効果を得ることができ、利用者は必要な情報を得ることができる。
【0022】
図6は、コンテンツを表示するためのスケジュールを説明する図である。このスケジュールは広告表示管理サーバ4により発生される。図において、図6(a)は行き先別の広告表示スケジュールを示し、図6(b)、(c)、(d)、(e)はそれぞれ行き先別の表示スケジュールの詳細を示す。
【0023】
スケジュールは日時および目的地毎に作成されるものとする。また、同一コンテンツを複数のスケジュールに組み込むことが可能であり、スケジュールに登録する際は、ユンテンツIDを割付ける。コンテンツIDは自動的にユニークに割付けられ、重複することは無いものとする。
【0024】
例えば、図6(a)に示す名古屋スケジュールAと名古屋スケジュールFで使用している広告Aは同一コンテンツであるが、それぞれ異なるID(1234および0987)を付与する。このように異なるIDを付与することにより、例えば、広告表示の最も有効な時間帯を把握することができる。
【0025】
表示スケジュールが新規作成されたり、コンテンツが変更されたり、座席の予約状況が変化した場合、広告表示管理サーバ4は、これらの更新情報を通信回線12を介して列車毎に設置されている車内管理サーバ9に送信する。送信情報には列車毎のスケジュール、該当するコンテンツ、該当する座席データが含まれる。
【0026】
座席予約管理サーバ6の持つデータベース84は、座席予約端末7からの矢印56に沿った情報により更新される。なお、座席予約端末7は駅などに設置されている発券システム、駅の窓口、車内で発券する装置、インターネットを介して予約する装置など、列車の座席を予約できる端末である。利用者がある日のある列車の座席を予約すると、座席予約管理サーバ6のデータベース84が更新される。利用者は座席予約を実施した際、通常の指定席料金の他、情報閲覧料金を支払いするものとする。
【0027】
車内管理サーバ9は、広告表示管理サーバ4からデータを取得しデータベース85を作成する。車内管理サーバ9はデータベース85を用いて、各座席毎に設置した座席別表示端末10に表示する情報を個別に管理する。また、広告表示管理サーバ4は、座席の予約情報やコンテンツに変化が発生した場合、最新の情報を送信する。
【0028】
座席別表示端末10は車内管理サーバ9から得た情報をデータベース86に保管する。なお、表示端末は各座席毎に、例えば、前座席の背面あるいは各座席の肘掛等に設置する。表示装置10は、例えばLCDモニタであり、該モニタには利用者の目的地の情報を表示する。このときコンテンツIDを表示する。コンテンツは前記表示スケジュールにしたがって表示される。なお、車内管理サーバ9からのイベントにより、新しいコンテンツの表示に切り替えるようにしてもよい。
【0029】
利用者は座席別表示装置10に表示された広告コンテンツから気になった情報を見つけた場合、座席別表示装端末10を操作して広告ウエブサーバ3にアクセスし、クーポン券等のサービスを入手することができる。また、利用者は保持しているモバイル端末11(携帯電話、ノートPC、PDAなど)を用いて、インターネットを経由して、広告ウエブサーバ3にアクセスしてクーポン券を入手することができる。
【0030】
座席別表示端末10を用いてアクセスした場合、広告ウエブサーバ3に表示されているパスワードを記憶することでサービスを受けることができる。モバイル端末の場合は広告ウエブサーバ3のアクセス画面を保持することでサービスを受けることができる。
【0031】
座席別表示端末10は、目的地情報の表示のほかに2つの機能をもたせることができる。まず、座席別表示装置10の画面は座席予約が無いと(予約券を購入しないと)表示されないようにする。これにより車掌が随時乗車券等のチェックを実施しなくとも、座席予約の有無をチェックすることができる。このため、乗車券チェックに煩わされない快適な移動が可能となる。また、座席別表示装置10と座席のシートとを連動し、目的地到着前に座席のシートを振動させ、目覚ましの機能を持たせることができる。
【0032】
図7は、地上にある広告表示管理サーバ4と列車内にある車内管理サーバ9を結ぶ通信回線を説明する図である。図に示すように、通信回線は2系統を備える。その一つはLCX(列車無線)20、21を介して、地上と列車を通信する系統であり、もう一つはSS(スペクトラム拡散)無線22、23を用いた系統である。LCX20、21を用いる場合は線路沿いにある無線装置を用いて連続的な通信が可能である。SS無線22、23を用いる場合はアクセスポイントがある場所のみ通信が可能となる。アクセスポイントを線路沿いに設置することで連続的な通信が可能となる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、切符販売時等に得られる座席予約の情報を利用して、到着目的地別の情報提供サービスを行うことができる。また。情報提供料を徴収することができる。
【0034】
このように、本実施形態においては、従来、別物として扱われていた座席の予約と広告掲載と関連づけ、切符販売時等に得られる、到着目的地と到着時刻を広告掲載に有効に活用することができる。これにより、情報提供を受ける利用者は、不要な情報を受けることなく、目的地の有効な情報のみを容易に閲覧できるようになる。また、交通事業者は、座席の予約情報を利用することで、利用者毎に有用な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態に係る移動体内情報表示システムを説明する図である。
【図2】図1に示すシステムの運用方法を説明する図である。
【図3】図1に示すシステムの運用方法を説明する図である。
【図4】データベースの内容を示す図である。
【図5】データベースの内容を示す図である。
【図6】コンテンツを表示するためのスケジュールを説明する図である。
【図7】地上にある広告表示管理サーバ4と列車内にある車内管理サーバ9を結ぶ通信回線を説明する図である。
【符号の説明】
【0036】
1 広告主端末
2 広告受付管理サーバ
3 広告ウエブサーバ
4 広告表示管理サーバ
5 運行管理装置(PRC)
6 座席予約管理サーバ
7 座席予約端末
8 列車
9 車内管理サーバ
10 座席別表示端末
11 モバイル端末
12 通信回線
20,21 列車無線(LCX)
22,23 SS(スペクトラム拡散)無線
80〜86 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツ毎にそのコンテンツが属するカテゴリを表す情報およびコンテンツIDを付して格納した広告受付管理データベースと、
移動体毎にその運行ダイヤ情報を格納したダイヤ情報データベースおよび前記各移動体の座席毎の乗車予約情報を格納した座席予約管理データベースと、
前記コンテンツを移動体の座席毎に配置した表示装置に表示する表示管理サーバを備え、
該表示管理サーバは、前記ダイヤ情報データベースおよび座席予約データベースを検索して前記座席毎の乗客の到着目的地情報を取得し、取得した到着目的地情報をもとに広告受付管理データベースを検索し、乗客の到着目的地に応じたカテゴリのコンテンツを前記座席毎に配置した表示装置に表示することを特徴とする移動体内情報表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の移動体内情報表示システムにおいて、
前記表示管理サーバは、移動体内でイベントが発生した場合、発生したイベント情報を前記表示装置に表示することを特徴とする移動体内表示システム。
【請求項3】
コンテンツ毎にそのコンテンツが属するカテゴリを表す情報およびコンテンツIDを付して格納した広告受付管理データベースと、
移動体毎にその運行ダイヤ情報を格納したダイヤ情報データベースおよび前記各移動体の座席毎の乗車予約情報を格納した座席予約データベースと、
前記コンテンツを移動体の座席毎に配置した表示装置に表示する表示管理サーバと、
前記表示装置またはモバイル端末と接続し該表示装置またはモバイル端末の操作信号を受信して前記コンテンツに対するアクセス数を取得する広告ウエブサーバを備え、
前記表示管理サーバは、前記ダイヤ情報データベースおよび座席予約データベースを検索して前記座席毎の乗客の目的地情報を取得し、取得した目的地情報をもとに広告受付管理データベースを検索し、乗客の目的地に応じたカテゴリのコンテンツを前記座席毎に配置した表示装置に表示することを特徴とする移動体内情報表示システム。
【請求項4】
請求項1記載の移動体内情報表示システムにおいて、
前記座席毎に配置した表示装置は入力装置を備え、入力装置を介して入力された結果を前記広告受付管理データベースを管理する管理サーバに送信することを特徴とする移動体内情報表示システム。
【請求項5】
請求項1記載の移動体内情報表示システムにおいて、
前記表示管理サーバは、座席予約データベースを検索して、座席予約が登録されている座席に配置した表示装置のみ表示を可能に設定したことを特徴とする移動体内情報表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−199589(P2007−199589A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20593(P2006−20593)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】