説明

移動体用給電装置における給電制御装置

【課題】 一次側コイルが軌道に沿って配設された非接触給電装置において、二次側コイルが一次側コイルに対置していること自体を検出して、一次側コイルの切換制御をする給電制御装置を提供する。
【解決手段】 一次側コイル11から電磁誘導により二次側コイル21を介して移動体2のバッテリー24を充電する非接触給電装置の給電制御装置であって、多連の一次側コイル11は直列に接続されて交流電源装置13に接続され、一次側コイル11は端子間電圧を測定する電圧計16と接触器15を備え、交流電源装置13は電圧指令信号に従って電圧を調整し、制御器14は端子電圧信号を監視して二次側コイル21の接近を検知し二次側コイル21に給電すべき一次側コイル11’を判定して、接触器15の制御信号と交流電源装置13の電圧指令信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走台車などの移動体のバッテリーを充電する給電装置における給電トランス切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリーを動力とする自走台車(AGV)は、一般に、直流12V、24V、36V、48Vないし96Vの低圧架線に対してコレクタシューを接触させて取電する直接給電方式によりバッテリーを充電してきた。しかし、直接給電方式では、供給電圧が低いため大電流を流すことになり、架線部分やコレクタ部分の損耗が激しく、保守が煩雑であった。また、絶縁していない架線を介して給電するため、露出した充電部分からの漏電が避けられず、安全の確保が難しかった。特に水上走行装置などに給電するため水際に給電装置を設置する場合には、大きな問題となる。
【0003】
これに対して、電磁誘導を利用した給電装置を使うと給電装置と受電装置を絶縁して非接触で給電することができる。
特許文献1には、移動体の移動中に非接触で給電する技術が開示されている。開示技術によれば、移動体の経路に沿って給電区間と無給電区間を交互に設定し、給電区間に給電制御手段を備えた1次コイルを敷設し、移動体に2次コイルを備えて、移動体が給電区間を走行している間に電磁誘導により二次コイルに電流を励起して非接触で移動体に電力を供給する。
一次コイルに常時通電するのでは電力効率が低下するが、開示された発明では、車両検出センサで移動体が給電区間を走行していることを検出した位置にある1次コイルにだけ電流を流すようにして節電している。
【0004】
また、特許文献2には、定軌道上を走行する無人搬送車に非接触で動力用電力を給電する装置が開示されている。開示発明の非接触給電装置は、図6に示すように、軌道に沿って多数配置され交流電源に対して並列に接続されてスイッチで断接できる一次側コイルと移動体に設けた二次側コイルを備え、二次側コイルと対向する一次側コイルを交流電源に接続して二次側コイルに電流を誘起させる。
開示装置では、移動体側に設けられた電力伝送指令発生部から発生されるトリガ信号を一次側コイルに設けられたゲート制御トリガセンサが受信したときだけその一次側コイルを電源に接続しその他の一次側コイルには通電しないことにより節電を図っている。
【0005】
これら従来技術においては、給電する一次側コイルを選別するために車両検出センサやゲート制御トリガセンサなど、特別な検出器を設けて、二次側コイルに付帯する物体を検出することにより代替的に二次側コイルが一次側コイルに対置していることを検知している。
【特許文献1】特開平7−067206号公報
【特許文献2】実開平6−066201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、特に一次側コイルが軌道に沿って多数配設された非接触給電装置において、二次側コイルが一次側コイルに対置することを車両検出センサやゲート制御トリガセンサなどの代替センサにより検出するのではなく、特別な検出装置を使わずに二次側コイルが一次側コイルに対置していること自体を検出して、一次側コイルの切換制御をする給電制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の非接触給電装置用給電制御装置は、電磁誘導を利用して複数連なった一次側コイルから対向する二次側コイルを介して移動体のバッテリーを充電する非接触給電装置の給電制御装置であって、多連の一次側コイルと交流電源装置と制御器を備え、多連の一次側コイルは直列に接続されて交流電源装置に接続され、一次側コイルはそれぞれ端子間の電圧を測定する電圧計と端子間を短絡する接触器を備え、交流電源装置は電圧指令信号に従って電圧を調整しかつ電流信号を発生し、制御器は電圧計の電圧信号と交流電源装置の電流信号を受信して接触器の制御信号と交流電源装置の電圧指令信号を送信することを特徴とする。
【0008】
直列接続された一次側コイルでは、二次側コイルがどの一次側コイルにも近接しない場合には、端子電圧が互いに等しく、無効電流だけが流れている。二次側コイルが一次側コイルのひとつに対向する位置に来ると、その一次側コイルのインピーダンスが上昇して回路を流れる電流は減少し、二次側コイルの対向する一次側コイルだけ端子電圧が上昇し他の一次側コイルの端子電圧は下降する。二次側コイルが一次側コイルから離れると、再び元の状態に戻る。
したがって、一次側コイルの端子電圧を監視することにより、二次側コイルに充電するべき状態を検知することができる。
【0009】
そこで、制御器が、端子電圧信号を取り込んで監視することにより、二次側コイルの接近を検知し、二次側コイルに給電すべき一次側コイルを判定して、その他の一次側コイルの端子間を短絡させ、二次側コイルが対向している一次側コイルのみ通電して二次側コイルに誘導電流を励起させ二次側コイルを搭載する移動体のバッテリーを充電する。
したがって二次側コイルが対向していない一次側コイルには電力を供給しないので、無駄な電力消費を節減して効率よく充電することができる。
【0010】
なお、二次側コイルの接近を監視する間は交流電源装置の出力電圧を低く抑えて、二次側コイルに電磁誘導を起こさせるときに交流電源装置の出力電圧を高くすることが好ましい。二次側コイルの接近を監視する間は低電圧で作動させることにより節電すると共に、出力電圧が低い間に接触器を開閉することにより接触器の開閉に伴うスパークを抑制して電極の劣化を防ぎ、充電期間には高電圧で効率よく高速給電することができる。
【0011】
なお、多連の一次側コイルのそれぞれについて給電用コイルと別の検出用コイルを磁極に巻回したものを備え、この検出用コイルを直列接続して検出用交流電源装置に接続し、二次側コイルの接近を検出するために使用するようにしてもよい。
給電用の交流電源装置において頻繁に出力電圧を昇降させることは、電源装置の性能を維持し保全する上で好ましくないが、別途検出用コイルを設けることにより検出時に出力電圧を低下させる動作を省くことができる。
【0012】
ただし、検出用コイルを別に使用するときには、給電用コイルの端子間に挿入される接触器は一次側コイルに供給される大電流を断続するので、特に電流を遮断するときに電極間にスパークが飛んだりして電磁接触器の寿命が短くなる問題がある。
そこで、電磁接触器に並列に抵抗器を接続して、電磁接触器の解放時にはサージ電流を並列抵抗器に流すことにより接点間のスパークを防止して、電磁接触器の寿命を延ばすことが好ましい。
【0013】
さらに、交流電源装置は、外部の交流供給線に接続される整流回路、整流回路の直流出力を平滑化する平滑回路、平滑回路の出力を交流にする逆変換回路を備えたインバータであって、制御器が、インバータの整流回路の直流出力を取り込んで、取り込んだ直流出力が所定の値より大きいときにバッテリー充電の終了と判定してインバータ出力を停止させるようにすることが好ましい。
インバータ出力が一次側コイルを介して移動体のバッテリーを充電している場合は、インバータには充電電流に見合う電流が流れている。一方、バッテリー充電が終了して充電電流がなくなったときには、インバータには最小限の電流しか流れない状態になる。
【0014】
本発明によれば、二次側コイルの磁極が一次側コイルに近接したことを直接的に検知して、多連の一次側コイルの作動を制御することができる。
また、一次側コイルの供給電圧が低い間にコイル端子間を短絡したり開放したりすることができるので、スパークによる電極の劣化を低減することができる。
なお、検出用コイルを付設して給電用コイルには所定の供給電圧が印加されるようにした場合には、接触器に抵抗器を並列接続することによりスパークが発生し難くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を用いて、非接触給電装置に係る本発明の給電制御装置の最良の形態を説明する。
図1は本発明の第1実施例の給電制御装置の基本構成図、図2は測定原理を説明するための回路図、図3は2次側コイルの接近による1次側コイルにおける電圧電流の変化図、図4はインバータの構成と接続回路を表すブロック図、図5は本発明の第2実施例の給電制御装置におけるコイル部分の回路図、図6は従来技術例の非接触給電装置の模式的側面図である。
【実施例1】
【0016】
本実施例の給電制御装置を適用する非接触給電装置は、図1に示したように、バッテリー駆動式自走台車2が地上に固定した充電ステーション1を走行する間に自走台車2のバッテリー24を充電する装置であって、電磁誘導を利用して非接触で給電側の一次側コイル11からこれに対向する自走台車2の二次側コイル21にエネルギー伝達してバッテリー24を充電する。
【0017】
充電ステーション1には1基以上の給電ユニット10が自走台車2の移動軌跡に沿って配設されている。給電ユニット10の一次側コイル11は地上に固定され、自走台車2の移動軌跡に沿って複数個、たとえば6個が並ぶように配列されている。
充電ステーション1における給電ユニット10の前には、図示しないが案内レールや案内ガードを設けてあり、自走台車2は通常はこれらに沿って1方向に走行し、自走台車2の走行中に一次側磁極12と二次側磁極22の間をほぼ一定の距離に保持して安定にエネルギー伝達を行うようにする。
【0018】
自走台車2には、バッテリー24と、磁極22に巻回された二次側コイル21の他に、電流・電圧を一定範囲内に保つ安定化回路を組み込んだバッテリー充電用の整流回路などを含む搭載ユニット23が搭載されている。
【0019】
一次側コイル11には、接触器15と電圧計16が並列に接続されていて、複数連なった一次側コイル11は直列に接続されて、交流電源装置13に接続され閉回路を形成している。
接触器15は、電磁接触器や半導体スイッチなどで構成され、一次側コイル11の端子間を短絡する機能を有し、制御器14からの開閉指令を受けて作動し、端子間を短絡して交流電源装置13から供給される電流をバイパスさせたり、端子間を開放して一次側コイル11に電流を流したりする。
電圧計16は、一次側コイル11の端子間電圧を常時測定していて、測定した電圧信号を制御器14に伝送する。
【0020】
交流電源装置13は、商用給電線から供給される商用電力を周波数変換して、たとえば400Hzに高周波化した交流電流を直列接続した一次側コイル11に供給する。
交流電源装置13は、制御器14から送信される操作信号に従って、出力電圧を調整したり、電力出力の発停をしたりする。また、出力電力に対応する電流信号を制御器14に送信する。
【0021】
制御器14は、電圧計16から各一次側コイルの端子電圧情報を収集し、また交流電源装置13の電流信号を受信して、それら情報を駆使して状況に適合するように各一次側コイル11の接触器15に開閉指令を出し、交流電源装置13に操作信号を送信する。
【0022】
次に、図2と図3も使って、本実施例の給電制御装置の動作を説明する。なお、図2では、同じ機能の部材に図1と同じ参照番号を付して説明を省略している。
制御器14は、自走台車2が近接していない状態においては、一次側コイル11の端子電圧を観察して、自走台車2の接近を監視している。
図2に示すように、並設された全ての一次側コイル11が直列に接続されているので、全ての接触器15が開放された状態で二次側コイル21が接近していなければ、一次側コイル11の端子電圧は全て同じ値になっている。また、一次側コイル11には無効電流だけが流れる。この様子を図3におけるケース1に示す。なお、図には2つのコイルのみ示すが他のコイルも同じである。
【0023】
いずれかの一次側コイル11’に二次側コイル21が接近すると、主に二次側コイル21の二次側磁極22との磁気結合のため、二次側コイル21が接近した一次側コイル11’のみインピーダンスが増大して、閉回路を流れる電流が減少する。さらに、電源電圧は一定のため、二次側コイル21が接近した一次側コイル11’を除く他の一次側コイル11”に印加される電源電圧の分圧が減少するため端子電圧は低下し、二次側コイル21が接近した一次側コイル11’のインピーダンス増大により分圧が増加するため端子電圧は上昇する。
このときの電流電圧の状態を図3のケース2として表示している。なお、図3の上側のグラフ(a)は二次側コイル21が接近する一次側コイル11’に係る端子間電圧と無効電流、有効電流の状態を示し、下側のグラフ(b)は二次側コイル21が接近しない一次側コイル11”に係る端子間電圧と無効電流、有効電流の状態を示す。
【0024】
次に、一次側コイル11に対向する二次側コイル21を介してバッテリー充電をするなど、自走台車2搭載の回路に負荷が掛かると、一次側コイル11に有効電流が流れて、一次側コイル11を接続する回路の電流が増加し、二次側コイル21が接近しない一次側コイル11”の端子間電圧が若干上昇する。なお、このとき、二次側コイル21が接近した一次側コイル11’の端子間電圧は若干下降するが、他の一次側コイル11”よりは高い電圧を維持する。
このときの電流電圧の状態を図3にケース3として表示した。
【0025】
さらに、二次側コイル21が一次側コイル11’から離れていくと、磁気結合が弱まり、二次側コイル21に電力伝達ができなくなると共に、一次側コイルのインピーダンスが減少するので、図3にケース4として示すように、一次側コイル11’の無効電流が再び増加し有効電流がゼロになって、図3のケース1として示した初めの状態に戻る。
この特性を利用することで、1次側コイル11の端子電圧や電流に基づいて2次側コイル21の接近や離脱、負荷供給の状況を検知することができる。
【0026】
そこで、本実施例の給電制御装置を以下のように作動させる。
まず、二次側コイル21の接近することを監視する期間は、接触器15を全て開放して、交流電源装置13から一定電圧で電流を供給する。すると、各一次側コイル11の端子電圧は互いに等しくなる。
【0027】
二次側コイル21がいずれかの一次側コイル11’に接近すると、二次側コイル21に負荷がない場合には、一次側コイル11’の端子電圧が上昇する。また、二次側コイル21に負荷が掛かっている場合は、一次側コイル11’の端子電圧が若干上昇すると共に交流電源装置13に有効電流が流れる。この端子電圧や有効電流の変化は制御器14に伝えられ、制御器14が二次側コイル21が接近した一次側コイル11’と負荷状態を判別することができる。制御器14は、この判断に従って、接触器15に開閉指令を発行して他の一次側コイル11”の端子を短絡する。
【0028】
すると、一次側コイル11の閉回路は、充電を求める二次側コイル21が接近した一次側コイル11’以外は短絡して電流がバイパスし、交流電源装置13は二次側コイル21が対向する一次側コイル11’にのみ電力を供給するようになる。
制御器14は、この状態で、交流電源装置13に出力電圧を電力供給時の値まで上昇して、二次側コイル21に所定の電磁誘導を起こさせるように指令を出す。
【0029】
自走台車2が移動して二次側コイル21が、電力供給していた一次側コイル11’に対向する位置から遠ざかると、有効電流が無くなり、無効電流が増大する。
制御器14は、この電流変化に基づいて二次側コイル21の離脱を検知し、交流電源装置13の出力電圧を監視するときの値まで低下させる。
制御器14は、交流電源装置13の出力電圧が低下した後に、接触器15に開放指令を発して全ての一次側コイル11を直列接続状態に戻す。
【0030】
交流電源装置13の出力電圧が低下しているので、無駄な電力消費を防止すると共に、接触器15の開放に伴う電圧変動を緩和させることができる。
こうして初めの状態に戻り、再びどれかの一次側コイル11に二次側コイル21が接近することを監視する。
以上の繰り返しにより、自走台車2が給電ユニット10から離脱するまで、順次一次側コイル11を切換えながら給電を継続することができる。
【0031】
なお、交流電源装置13は、入力電力の周波数変換をしてたとえば400Hzの電力を出力するインバータであってもよい。
図4は、本実施例に使用するインバータ30の構成と制御器14との関係を表すブロック図である。
インバータ30は、整流回路31と平滑回路32と逆変換回路33から構成され、400V50Hz/60Hzの交流電源を入力して整流回路31で整流し、並列に接続された平滑回路32で直流化して、逆変換回路33で400Hzの交流電流に変換し、一次側コイル11に供給する。
コイル間のエネルギー交換は周波数が高いほど効率が高いので、インバータ30により高周波化した電源を適用することが好ましい。
【0032】
さらに、発明者らの研究の結果、インバータ30の有効電流の変化は整流回路31の出力を平滑化したところにおける電力値に顕著に表れることが分かった。バッテリー24の充電が完了して、一次側コイル11と二次側コイル21の磁極間でエネルギー伝達が行われなくなって、一次側コイル11にはほぼ無効電流しか流れなくなると、インバータ30の有効電流が減少する。したがって、平滑回路32の位置における直流部電力を監視することにより、バッテリー充電が完了したことを検知することができる。
【0033】
そこで、制御部14は、インバータ30の出力電流に基づいて二次側コイル21のバッテリー充電状態を検知するほかに、インバータ30の直流部電力を入力して、二次側コイル21のバッテリー充電完了を検知したときに、操作信号をインバータ30に送信して、インバータ30の出力を低減し電力効率を維持する。
このように、地上に固定されたインバータ30の内部回路における電圧を監視して、非接触給電している二次側コイル21における充電完了を検知するので、運動する自走台車2から情報を収集する困難を回避することができる。
【実施例2】
【0034】
本発明第2実施例の給電制御装置は、図5に示すように、図1に示した非接触給電装置において、二次側コイル21を検出する回路を一次側コイル11の電源供給回路とは独立に形成したところが相違するものである。
図5では、図1と同じ機能を表す要素については同じ参照番号を付して説明を省略する。
本実施例の給電制御装置では、一次側磁極12には、一次側コイル11と、これと独立する検知用コイル17が巻回される。検知用コイル17は全て直列に接続され検知用交流電源18に接続される。各検知用コイル17の端子間に電圧計16が設けられ、それぞれの測定信号は制御器14で収集される。
【0035】
検知用コイル17には常時比較的低い電圧の測定用電流が通電している。
一次側コイル11の端子間に接触器15が並列接続され、全ての一次側コイル11が直列に交流電源装置13と接続される。
検知用コイル17で第1実施例におけると同様にして二次側コイル21の接近を検知すると、接近した一次側コイル11以外の接触器15を短絡し、交流電源装置13の出力を対象の一次側コイル11にのみ電源を供給する。二次側コイル21が離脱すると、交流電源装置13の出力電圧を降下させ、あるいは出力を遮断し、接触器15を開放して、再び二次側コイル21の接近を監視し始める。
【0036】
本実施例の給電制御装置は、給電部と監視部を分離したため、制御のアルゴリズムが簡単になり、交流電源装置や制御器の構造が単純化する。
ただし、検出用コイルを別に使用するときには、給電用コイルの端子間に挿入される接触器は一次側コイルに供給される大電流を断続するので、特に電流を遮断するときに電極間にスパークが飛んだりして電磁接触器の寿命が短くなる問題がある。
そこで、電磁接触器に並列に抵抗器を接続して、電磁接触器の解放時にはサージ電流を並列抵抗器に流すことにより接点間のスパークを防止して、電磁接触器の寿命を延ばすことが好ましい。
また、電磁接触器を操作するときには交流電源装置の出力電圧を低減させるようにしてもよい。
【0037】
なお、自走台車に関して説明したが、本発明の非接触給電装置の給電制御装置は、水上走行装置など、バッテリー駆動の走行装置であれば適用が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の1実施例に係る給電制御装置の基本構成図である。
【図2】本実施例に係る給電制御装置の測定原理を説明するための回路図である。
【図3】本実施例における2次側コイルの接近による1次側コイルにおける電圧電流の変化図である。
【図4】本実施例に使用するインバータの構成と接続回路を表すブロック図である。
【図5】本発明の第2実施例の給電制御装置におけるコイル部分のブロック図である。
【図6】従来技術例の非接触給電装置の模式的側面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 充電ステーション
2 自走台車
10 給電ユニット
11,11’,11” 一次側コイル
12 一次側磁極
13 交流電源装置
14 制御器
15 接触器
16 電圧計
17 検知用コイル
18 検知用交流電源
21 二次側コイル
22 二次側磁極
23 搭載ユニット
24 バッテリー
30 インバータ
31 整流回路
32 平滑回路
33 逆変換回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導を利用して複数連なった一次側コイルから対向する二次側コイルを介して移動体のバッテリーを充電する非接触給電装置の給電制御装置であって、多連の一次側コイルと交流電源装置と制御器を備え、該多連の一次側コイルは直列に接続されて該交流電源装置に接続され、該一次側コイルはそれぞれ端子間の電圧を測定する電圧計と端子間を短絡する接触器を備え、前記交流電源装置は電圧指令信号に従って電圧を調整しかつ電流信号を発生し、前記制御器は前記電圧計の電圧信号と前記交流電源装置の電流信号を受信して前記接触器の制御信号と前記交流電源装置の電圧指令信号を送信するもので、前記制御器が端子電圧信号を取り込んで監視することにより二次側コイルの接近を検知し該二次側コイルに給電すべき一次側コイルを判定して、その他の一次側コイルに接続された前記接触器を操作して端子間を短絡させ、該二次側コイルが対向している一次側コイルのみ通電することを特徴とする給電制御装置。
【請求項2】
前記二次側コイルの接近を監視する間は前記交流電源装置の出力電圧を低く抑えて、前記二次側コイルに電磁誘導を起こさせるときに前記交流電源装置の出力電圧を高くすることを特徴とする請求項1記載の給電制御装置。
【請求項3】
前記一次側コイルを給電用に使用し該一次側コイルと別の検出用コイルを磁極に巻回したものを直列接続して検出用交流電源装置に接続し、二次側コイルの接近を検出するために使用することを特徴とする請求項1または2記載の非接触給電装置。
【請求項4】
前記交流電源装置は、外部の交流供給線に接続される整流回路、該整流回路の直流出力を平滑化する平滑回路、該平滑回路の出力を交流にする逆変換回路を備えたインバータであって、前記制御器が、該インバータの前記整流回路の直流出力を取り込んで、取り込んだ直流出力が所定の値より大きいときにバッテリー充電の終了と判定して前記インバータの出力を停止させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の非接触給電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−284696(P2009−284696A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135421(P2008−135421)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(308007505)カワサキプラントシステムズ株式会社 (51)
【出願人】(399020522)川重テクノサービス株式会社 (6)
【Fターム(参考)】