説明

移動体通信装置及び時差式信号機判定方法

【課題】信号機の属性情報を含まない信号機情報に基づいて、信号機の方式が時差式信号機であるか否かを判定する移動体通信装置及び時差式信号機判定方法を提供すること。
【解決手段】移動体に備えられ、方路に対応付けられた信号機の所定時点における信号表示及び/又は方路に対応付けられた信号機の所定時点における信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間を特定可能な情報を含む情報を受信する通信部と、一の信号機と同一の交差点に設置され該一の信号機に対向する他の信号機において、所定時点における前記一の信号機の信号表示と前記他の信号機の信号表示が異なるとき、又は、所定時点における前記一の信号機の信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間と前記他の信号機の信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間が異なるときに、少なくとも前記一の信号機の方式を時差式信号機であると判定する制御部と、を備えることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時差式信号機が設置された交差点を安心・安全に通過・通行できるように支援する移動体通信装置及び時差式信号機判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信技術を用いて人と道路と車両とを情報でネットワークすることにより、交通事故や渋滞などといった道路交通問題の解決を目的とした高度道路通信システム(Intelligent Transport Systems、以下「ITS」という。)が研究、開発されている。ITSの中でも特に安全運転支援システムを扱う分野における自動車向け無線通信の形態は路車間通信と車車間通信とに大別できる。路車間通信は路側機と車両が情報を通信するのに対し、車車間通信は車両同士が直接情報の通信を行う。
【0003】
路車間通信により路側機から車両に発信される情報には交差点情報や信号機情報が含まれるものと考えられる。交差点情報としては交差点を識別するための識別情報、信号機情報としては信号機を識別するための識別情報、信号機の現在の信号表示情報(信号機の表示色を示す情報)、次の信号表示情報及び該信号表示に変更されるまでの時間を示す情報、次の次の信号表示情報及び次の信号表示から該信号表示に変更されるまでの時間を示す情報等の情報が含まれる。そしてこのようにして得られる交差点情報や信号機情報を活用して運転者支援を行う装置が多く提案されている。
【0004】
ところで信号機には時差式信号機、歩車分離式信号機、矢印式信号機など様々な方式の信号機がある。そして、各信号機には、その信号機がどの方式の信号機であるかを示す表示板が併設されていることが多い。しかしながら、遠くから一見しただけではどの方式の信号機かを把握することができず、また、どのような方式の信号機か把握できても車両を停止しなければならないのか、停止しなくてもよい(進行してもよい)のかが分かりにくい信号機が存在する。
【0005】
そこで特許文献1に開示されている車載ナビゲーション装置は信号機データを含む地図データを記憶する記憶部を備えている。その信号機データには、信号機の種類、特徴などの属性(標準の信号機、時差式信号機、矢印式信号機など)が含まれている。そして、特許文献1に開示されている車載ナビゲーション装置は予め決定された誘導ルートにおける経由地点において信号機が存在するときに、該経由地点から所定距離内に車両(自車)が到達したときには、地図データに含まれる信号機データに基づいて、該経由地点に存在する信号機の属性情報を案内情報として提供することとしている。これにより、運転者は経由地点に存在する信号機の属性情報を事前に知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−232573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているように、地図データに全ての信号機データを含ませることとすると、データ量が増大してしまう。また、交差点付近に設置された路側機からITS通信により送信される信号機情報に各信号機の属性情報が含まれる場合も考えられるが、この場合には信号機情報のデータ量が増大してしまうことになる。
【0008】
信号機情報のデータ量が増大すると、該信号機情報を受信した移動体通信装置(車載通信装置や移動通信端末等)が記憶するデータ量が増大してしまうことになり、また、ITS通信で送信される情報量が増大してしまうことになる。
【0009】
特に、ITSにおいて無線通信を行なう際の周波数帯域は700MHz帯の周波数帯域のみであり、1チャンネルのみで通信を行うことになるので、ITS通信により送受信される情報のデータ量が増大することになると、回線が混雑してしまう可能性が高い。従って、信号機情報は可能な限りデータ量を削減することが望ましい。
【0010】
本発明は、上述した問題点に鑑み、信号機の属性情報を含まない信号機情報に基づいて、信号機の方式が時差式信号機であるか否かを判定する移動体通信装置及び時差式信号機判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の移動体通信装置は、移動体に備えられ、方路に対応付けられた信号機の所定時点における信号表示及び/又は方路に対応付けられた信号機の所定時点における信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間を特定可能な情報を含む情報を受信する通信部と、一の信号機と同一の交差点に設置され該一の信号機に対向する他の信号機において、所定時点における前記一の信号機の信号表示と前記他の信号機の信号表示が異なるとき、又は、所定時点における前記一の信号機の信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間と前記他の信号機の信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間が異なるときに、少なくとも前記一の信号機の方式を時差式信号機であると判定する制御部と、を備えることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の移動体通信装置において、前記通信部が受信する情報は、交差点の位置を示す情報を含み、前記制御部は、さらに、前記移動体の現在位置を示す情報及び進行方向を示す情報を含む前記移動体の移動体情報を取得し、前記一の信号機は前記移動体の現在位置から前記移動体の進行方向に対して最も近い交差点に設置されている信号機であって、且つ、前記移動体の進行方向と同一の方向の方路に対応付けられた信号機であることが望ましい。
【0013】
また本発明は、上記構成の移動体通信装置において、前記制御部は、さらに、前記移動体の現在位置から目的地へ向かう経路探索を行い、前記一の信号機は、前記経路上に存在する信号機であることが望ましい。
【0014】
この構成によると、自車の現在位置から目的地へ向かう経路探索の結果、経路上に存在しない信号機については、その信号機の方式が時差式信号機であるか否かを判定しない。
【0015】
また上記構成の移動体通信装置において、前記制御部は、さらに、前記移動体の現在位置から目的地へ向かう経路探索を行い、前記一の信号機は、前記経路上に存在する信号機であって、且つ、前記経路において右折予定の交差点に設置されている信号機であることが望ましい。
【0016】
この構成によると、自車の現在位置から目的地へ向かう経路探索の結果、経路上に存在している信号機であっても、右折予定の交差点に設定されている信号機でないについては、その信号機の方式が時差式信号機であるか否かを判定しない。すなわち、信号機の方式が時差式信号機であっても、当該信号機が設置された交差点を通過(直進)又は左折する場合には、当該信号機の方式が時差式信号機であるか否かによる影響を受けにくいため時差式信号機であるか否かの判定を行う必要がない。
【0017】
また上記構成の移動体通信装置において、前記制御部は、前記一の信号機の方式を時差式信号機であると判定した場合、報知部を介して前記一の信号機の方式が時差式信号機であることを報知することが望ましい。
【0018】
また上記構成の移動体通信装置において、前記制御部は、前記一の信号機と前記他の信号機の所定時点における信号表示が異なるときにおいて、前記一の信号機の所定時点における信号表示に基づいて報知内容を変更することが望ましい。
【0019】
また上記構成の移動体通信装置において、前記制御部は、前記一の信号機と前記他の信号機の所定時点における信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間が異なるときにおいて、前記一の信号機と前記他の信号機の進行許可信号表示の表示時間に基づいて報知内容を変更することが望ましい。
【0020】
上記目的を達成するために本発明の時差式信号機判定方法は、方路に対応付けられた信号機の所定時点における信号表示及び/又は方路に対応付けられた信号機の所定時点における信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間を特定可能な情報を含む情報を取得するステップと、一の信号機と同一の交差点に設置され該一の信号機に対向する他の信号機において、所定時点における前記一の信号機の信号表示と前記他の信号機の信号表示が異なるとき、又は、所定時点における前記一の信号機の信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間と前記他の信号機の信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間が異なるときに、少なくとも前記一の信号機の方式を時差式信号機であると判定するステップと、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、信号機の属性情報を含まない信号機情報に基づいて、信号機の方式が時差式信号機であるか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】は、本発明のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】は、本発明のナビゲーション装置の制御部が実行する処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【図3】は、後発式の時差式信号機の信号表示サイクルの模式図を示す図である。
【図4】は、先発式の時差式信号機の信号表示サイクルの模式図を示す図である。
【図5】は、方路(交差点への進入方向)に対応付けられた信号機情報の模式図を示す図である。
【図6】は、本発明のナビゲーション装置の制御部が実行する処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために本発明の移動体通信装置の一例であるナビゲーション装置を示すものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の装置にも等しく適応し得るものである。例えば、ナビゲーション機能を有しない装置や携帯電話等の移動通信端末(特に該移動通信端末を所持する歩行者が乗車したとき)であってもよい。なお、以下の説明では、ナビゲーション装置が自動車に取付けられた場合を例示するが、バイク等がナビゲーション装置を備えていてもよい。
【0024】
図1は本発明のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置20は制御部1と、表示部2と、操作部3と、現在位置検出部4と、速度検出部5と、地図情報記憶部6と、バッテリ7と、通信部8と、報知部9とを備えている。
【0025】
制御部1はナビゲーション装置20全体を総括的に制御する制御手段である。制御部1はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部1が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
【0026】
表示部2は地図画面(目的地への経路、ナビゲーション装置20が搭載された車両(以下、「ナビゲーション装置20が搭載された車両」を「自車」ということもある。)の現在位置を示すマークなどを含む地図画像を表示する画面)やメニュー画面を表示するための表示手段である。
【0027】
操作部3はユーザが目的地を入力したり、メニューを操作したりするための入力操作手段である。なお、操作部3としては、ナビゲーション装置本体に各種のキーやボタンを設けてもよいし、表示部2にタッチパネル機能を付加してもよい。また、操作部3としてナビゲーション装置20本体を遠隔操作するためのリモートコントローラを操作部3として用いても構わない。
【0028】
現在位置検出部4は自車の現在位置を検出するものであり、GPS受信機、自立航法手段、位置計算用CPU等を含んで構成される。自立航法手段は操角センサ、加速度センサ、距離センサや方位センサなどからなり、自車の走行距離と進行方向とをそれぞれ検出し、これらの値に基づいて現在位置を求める。また、GPS受信機は複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して3次元測位処理又は2次元測位処理を行って自車の絶対位置及び進行方向を計算する。ここで進行方向は現時点の自車位置と直前の自車位置とに基づいて計算される。なお、進行方向の検出方法は特に限定されず、例えばタイヤの回転方向から検出することとしてもよいし、方位センサを用いて検出してもよい。また、現在位置検出部4とは別に進行方向検出部を設けて自車の進行方向を検出するものとしてもよい。
【0029】
速度検出部5は自車の移動速度を検出する。移動速度は車速センサや加速度センサの出力から算出してもよいし、GPS履歴間の走行距離とGPS受信時刻の差から算出してもよい。なお、自車の移動速度は現在位置検出部4が検出することとしてもよい。現在位置検出部4が自車の現在位置に加えて移動速度を検出することができる場合には速度検出部5を別途設けない構成とすることができる。その場合、現在位置検出部4に速度検出部5が含まれる構成となる。
【0030】
なお、操角センサ、加速度センサ、速度センサや方位センサなどは、ナビゲーション装置20が備えていてもよいし、車両(自車)が上記各種センサを備えており、ナビゲーション装置20は、上記各種センサの出力を取得するインターフェースを備える構成としてもよい。
【0031】
地図情報記憶部6は目的地への経路探索や誘導を行う際に参照される地図情報が記憶されている。地図情報には、ネットワークデータ(ノードデータ、リンクデータ)が含まれる。地図情報記憶部6としてはNANDフラッシュやSDメモリカードなどを好適に用いることができる。地図情報記憶部6はナビゲーション装置20に内蔵しても構わないし、ナビゲーション装置20に着脱可能な構成としても構わない。なお、地図情報には、地図画像が含まれていてもよいし、地図情報に含まれるネットワークデータ(ノードデータ、リンクデータ)に基づき地図画像を表示部2に描画してもよい。また、地図情報は予め地図情報記憶部6に記憶される以外にも、後述する通信部8が路側機などから地図情報を受信し、受信された地図情報が地図情報記憶部6に記憶されてもよい。
【0032】
本発明においては、ネットワークデータに、道路のノードデータ・リンクデータが含まれる。自車が現在走行している道路を特定する際には、制御部1が現在位置検出部4によって検出される自車の現在位置(進行方向や移動速度も加えてもよい)と地図情報とに基づき、マップマッチング処理を行うことで特定することができる。
【0033】
なお、マップマッチング処理については、制御部1が行なってもよいが、現在位置検出部4が行なってもよい。すなわち、GPS受信機及び/又は自律航法手段を用いて検出した現在位置と地図情報とに基づき、マップマッチング処理を行い、マップマッチング処理を行なった現在位置を現在位置として制御部1へ出力してもよい。或いは、制御部1のマップマッチング処理までを含めて現在位置検出部4としてもよい。
【0034】
バッテリ7はナビゲーション装置20の携帯使用時における電源供給手段であり、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池を好適に用いることが可能である。もちろん、バッテリ7として、アルカリマンガン乾電池やマンガン乾電池などの一次電池を用いても構わないし、燃料電池を用いても構わない。
【0035】
通信部8はナビゲーション装置20と通信可能な他の通信装置(以下、「他の通信装置」という。)に情報を送信する送信部(図示せず)と他の通信装置から送信される情報を受信する受信部(図示せず)とを有する。通信方法は無線通信や赤外線通信などの非接触通信とすることが好ましい。他の通信装置としては他の車両に搭載されたナビゲーション装置等の車載通信装置(他の車両に歩行者が乗車している場合において、該歩行者が保持する携帯電話等の移動通信端末でもよい)、路側機、歩行者等(歩行者や自転車の運転手など)が所持する携帯電話等の移動通信端末などを挙げることができる。
【0036】
通信部8が路側機から受信する情報には交差点情報や信号機情報が含まれる。なお、通信部8は、路側機以外にも他の車両(他の移動体)に搭載されたナビゲーション装置等の車載装置や、携帯電話等の移動通信端末などから交差点情報や信号機情報を受信してもよい。また、通信部8は、単一の交差点情報や信号機情報を受信するのではなく、複数の交差点毎の交差点情報及び信号機情報を受信してもよい。この場合、複数の交差点毎の交差点情報及び信号機情報は、1つの路側機から送信されてもよい。
【0037】
ここで、通信部8が受信する交差点情報及び信号機情報について説明を行なう。なお、以下の説明では、信号機が設置された交差点毎に路側機が設置され、路側機から、当該路側機が設置された交差点の情報(交差点情報)及び当該路側機が設置された交差点に設置されている信号機の情報(信号機情報)を含む情報が送信されるものとする。
【0038】
交差点情報には、交差点の中心位置座標(緯度・経度)を示す情報、路側機(交差点)を識別する情報、方路(交差点への進入方向)に対応付けられた信号機を識別するための識別情報(信号機番号)(図5参照)等の情報が含まれる。
【0039】
信号機情報には、信号機を識別するための識別情報(信号機番号)、信号機の現在の信号表示情報(信号機の表示色を示す情報)、現在の信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間を示す情報等の情報が含まれる。言い換えると、信号機情報には信号機の所定時点における信号表示及び/又は所定時点における信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間を特定可能な情報が含まれているということができる。すなわち、所定時点を現時点とした際の信号表示は上述した信号機の現在の信号表示情報(信号機の表示色を示す情報)によって特定することができる。また、所定時点を現時点とした際の次の信号表示に変更されるまでの時間は上述した現在の信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間を示す情報によって特定することができる。
【0040】
所定時点が現時点以降の任意の時点とした際の信号表示は、上述した信号機の現在の信号表示情報(信号機の表示色を示す情報)、現在の信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間を示す情報に加えて、信号機の次の信号表示情報、次の信号表示が次の次の信号表示に変更されるまでの時間など少なくとも所定時点に至るまでの信号表示のサイクルを示す情報を含む情報によって特定することができる。また、所定時点を現時点以降の任意の時点とした際の次の信号表示に変更されるまでの時間は少なくとも所定時点の信号表示が次の信号表示に変更されるまでの信号表示のサイクルを示す情報を含む情報によって特定することができる。
ここで、信号機情報には、信号機毎に信号機の現在の信号表示情報などの情報が含まれる。すなわち、信号機情報は、路側機が設置された交差点に設置されている信号機の情報であるから、路側機が設置された交差点が四叉路であれば、4つの信号機が設置されている。そのため、信号機情報には、4つの信号機毎に、信号機を識別するための識別情報(信号機番号)、信号機の現在の信号表示情報(信号機の表示色を示す情報)、次の信号表示に変更されるまでの時間を示す情報等の情報が含まれている。
【0041】
なお、交差点情報と信号機情報は、対応付けられているため、同一の交差点情報(同一の交差点を識別する情報)に対応付けられている信号機情報によって示される複数の信号機(四叉路であれば4つの信号機)は、同一の交差点に設置されている。
【0042】
また、交差点情報に含まれる方路に対応付けられた「信号機を識別するための識別情報(信号機番号)」と、信号機情報に含まれる「信号機を識別するための識別情報(信号機番号)」は対応付けられている。
【0043】
そのため、ある方路に対応付けられた信号機の(信号機を識別するための識別情報と同一の識別情報を有する信号機の現在の信号表示を示す情報に基づいて)現在の信号表示などを特定することが可能である。
【0044】
すなわち、信号機を識別するための識別情報を介して、方路と現在の信号表示を示す情報など(次の信号表示に変更されるまでの時間など)とが対応付けられているということができる。
【0045】
報知部9は各種情報を報知する。報知方法は内容を理解することができる方法であれば特に制限されないが、例えばスピーカ(不図示)を介して所定の音声を出力することにより行われる。また、表示部2に所定の文字や画像等を表示することによって行ってもよく、或いは音声と表示を同時に行うこととしてもよい。説明の簡略化のために報知部9と表示部2を別の構成として設けているが、報知方法が表示部2への所定の文字や画像等の表示を含む場合には報知部9が表示部2を含む構成として設けてもよい。
【0046】
[第1実施形態]
本発明のナビゲーション装置20の第1実施形態について図2を用いて説明する。本発明のナビゲーション装置20の制御部1が実行する処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【0047】
ステップS01において制御部1は交差点情報及び信号機情報を取得する。上述したように、本実施形態及び以下の実施形態において交差点情報には少なくとも、交差点の中心位置座標(緯度・経度)、路側機(交差点)を識別する情報、方路(交差点への進入方向)に対応付けられた信号機を識別するための識別情報(信号機番号)等の情報が含まれ、信号機情報には信号機毎に少なくとも、信号機を識別するための識別情報(信号機番号)、信号機の現在の信号表示情報(信号機の表示色を示す情報)、次の信号表示に変更されるまでの時間を示す情報が含まれる。
【0048】
なお、本実施形態及び以下の実施形態において制御部1が交差点情報及び信号機情報を取得するタイミングは当該タイミングとは限られない。定期的或いは不定期に取得されてもよく、定期的或いは不定期に複数回情報を取得する場合には、取得された情報のうち最も新しい情報を使用することとしてもよい。また、最新の交差点情報及び信号機情報を取得した際に、ステップS02以降の処理を行なうこととしてもよい。
【0049】
ステップS02において制御部1は、同一の交差点において対向する2つの信号機が存在するか否かを判定する。同一の交差点において対向する2つの信号機が存在するか否かは交差点情報に含まれる方路に対応付けられた信号機番号を示す情報に基づいて判定される。すなわち同一交差点上に(交差点を識別する情報が同一であり(同一の交差点情報の中に))、方路が180度異なる信号機がある場合にはその2つの信号機は対向する信号機であると判定される。なお、四叉路(四方へ道路が延びる交差点)においては、十字路であれば対向関係にある車線の方路差の絶対値(以下、「方路差の絶対値」を「方路差」と簡略化して記載する。)は180度であると考えられるが、それ以外の四叉路においては対向関係にある車線であっても方路差が180度でないことがあるため、方路差に一定の幅をもたせて例えば2つの信号機の方路差が120度〜210度であるときに2つの信号機が対向すると判定することとしてもよい。
【0050】
同一の交差点において対向する2つの信号機が存在するときは(ステップS02のY)ステップS03に進み、同一の交差点において対向する2つの信号機が存在しないときは(ステップS02のN)ステップS01に戻る。
【0051】
ステップS03において制御部1は、対向する2つの信号機の現在の信号表示が同一であるか否かを判定する。各信号機の現在の信号表示を示す情報は各信号機の信号機情報に含まれている。対向する2つの信号機の現在の信号表示が同一であれば(ステップS03のY)ステップS04に進み、対向する2つの信号機の現在の信号表示が同一でなければ(ステップS03のN)ステップS09に進む。
【0052】
ステップS04において制御部1は、対向する2つの信号機の次の信号表示に変更されるまでの時間(以下、「次の信号表示に変更されるまでの時間」を「次の信号表示までの時間」という。)が同一であるか否かを判定する。各信号機の次の信号表示までの時間を示す情報は各信号機の信号機情報に含まれている。対向する2つの信号機の次の信号表示までの時間が同一であれば(ステップS04のY)ステップS05に進み、対向する2つの信号機の次の信号表示までの時間が同一でなければ(ステップS04のN)ステップS09に進む。
【0053】
ステップS05において制御部1は、対向する2つの信号機の信号機情報に次の信号表示に関する情報が含まれるか否かを判定する。次の信号表示に関する情報とは、次の信号表示を示す情報と次の次の信号表示に変更されるまでの時間(次の次の信号表示までの時間)を示す情報(次の信号表示の点灯時間を示す情報であってもよい)である。なお、ステップS01において信号機情報には次の信号表示までの時間を示す情報が含まれることとしているが、次の信号表示までの時間を示す情報に次の信号表示情報が含まれているとは限らない。次の信号表示までの時間を示す情報は、次の信号表示を特定しない次の信号表示までの時間を示す情報であってもよいし、現在の信号表示の総点灯時間から現時点における点灯時間(現在の信号表示に変わってから現時点までの時間)を減算した値であってもよい。
【0054】
対向する2つの信号機の信号機情報に次の信号表示に関する情報が含まれているときは(ステップS05のY)ステップS06に進み、対向する2つの信号機の信号機情報に次の信号表示に関する情報が含まれていないとき(2つの信号機の信号機情報のうち、少なくとも一方の信号機の信号機情報に次の信号表示に関する情報が含まれていないとき)は(ステップS05のN)ステップS01に戻る。
【0055】
ステップS06において制御部1は、対向する2つの信号機のその次の信号表示が同一であるか否かを判定する。なお、本実施形態及び以下の実施形態において「その次の信号表示」とは、ステップS05からステップS06に進んだ場合には、「現在の信号表示の次の信号表示」との意味であり、後述するようにステップS08からステップS06に戻った場合には「戻る前のステップS06〜ステップ08において判定の基準となっていた信号表示の次の信号表示」との意味である。
【0056】
対向する2つの信号機のその次の信号表示が同一であれば(ステップS06のY)ステップS07に進み、対向する2つの信号機のその次の信号表示が同一でなければ(ステップS06のN)ステップS09に進む。
【0057】
ステップS07において制御部1は、対向する2つの信号機のその次の信号表示の表示時間が同一であるか否かを判定する。対向する2つの信号機のその次の信号表示の表示時間が同一であれば(ステップS07のY)ステップS08に進み、対向する2つの信号機のその次の信号表示の表示時間が同一でなければ(ステップS07のN)ステップS09に進む。
【0058】
なお、本実施形態及び以下の実施形態において「その次の信号表示の表示時間」とは「その次の信号表示が、さらにその次の信号表示に変更されるまでの時間」と同義である。
【0059】
ステップS08において制御部1は、対向する2つの信号機の信号機情報にその次の信号表示の次の信号表示に関する情報が含まれるか否かを判定する。対向する2つの信号機の信号機情報にその次の信号表示の次の信号表示に関する情報が含まれているときは(ステップS08のY)ステップS06に戻り、対向する2つの信号機の信号機情報にその次の信号表示の次の信号表示に関する情報が含まれていないとき(2つの信号機の信号機情報のうち、少なくとも一方の信号機の信号機情報にその次の信号表示の次の信号表示に関する情報が含まれていないとき)は(ステップS08のN)ステップS01に戻る。
【0060】
ステップS09において制御部1は上述の通り、対向する2つの信号機の所定時点(現時点又は現時点以降の任意の時点)における信号表示、又は、対向する2つの信号機の所定時点における次の信号表示までの時間(所定時点における信号表示の表示時間)が異なるときに、対向する2つの信号機の方式が時差式信号機であると判定する。
【0061】
すなわち、本発明において「時差式信号機」とは、対向する2つ信号機が所定時点において異なる信号表示を行っていることがある信号機のことであり、対向する2つの信号機の信号表示が異なる場合、又は、対向する2つの信号機の信号表示は同一ではあるものの、次の信号表示色までの時間(信号表示の表示時間)が異なる場合には、対向する2つ信号機が所定時点(現時点又は現時点以降の任意の時点)において異なる信号表示を行っていることになるため、時差式信号機であると判定する。
【0062】
図3に示すような一般的な時差式信号機である後発式(一方の信号機において信号表示が進行許可信号表示(以下、「進行許可信号表示」を「青信号」という。)から進行停止信号表示(以下、「進行停止信号表示」を「黄信号」という。)に変わるタイミングが他方の信号機に比べて早い方式)の時差式信号機に基づいて説明する。現時点(現在時刻)がPであるとすると、対向する2つの信号機(信号機Aと信号機B)の信号表示は同一(共に青信号)であるが、次の信号表示(黄信号)までの時間が異なるため時差式信号機であることが分かる。また、現時点(現在時刻)がQであるとすると、信号機Aと信号機Bの現在の信号表示が異なる(信号機Aは青信号であり、信号機Bは黄信号である)ため時差式信号機であることが分かる。一方、現時点(現在時刻)がRであるとすると、信号機Aと信号機Bの現在の信号表示は同一(共に進行不許可信号表示(以下、「進行不許可信号表示」を「赤信号」という。)であり、次の信号表示(青信号)までの時間も同一であるため、この時点で信号機Aと信号機Bが時差式信号機であると判定することはできないが、次の信号表示に関する情報が取得できる場合には、次の信号表示は同一である(共に青信号)であるものの、次の次の信号表示(黄信号)までの時間が異なるため時差式信号機であることが分かる。
【0063】
ステップS10において制御部1は報知部9を介して、対向する2つの信号機の方式が時差式信号機であることを報知する。報知内容は、例えば音声案内により、付近に時差式信号機があることを報知することとしてもよいが、その場合にはどの信号機が時差式信号機であるかが把握できない可能性があるため、表示部2に地図情報に基づく地図画像を表示する際に、時差式信号機が設置されている交差点に時差式信号機が設置されていることを示すマークを描画(重畳)したり、予め設定された道路色とは異なる色(時差式信号機を示す色)で道路(交差点)を描画(重畳)したりすることが望ましい。
【0064】
報知タイミングは特に限定されず、対向する2つの信号機の方式が時差式信号機であると判定したときであってもよいし、時差式信号機であると判定した対向する2つの信号機に近づいたとき(自車の現在位置が、時差式信号機であると判定した対向する2つの信号機から所定範囲内であるとき)であってもよい。
【0065】
また、報知対象とする信号機を制限してもよく、例えば現在位置から目的地への経路案内を行っている場合には、当該経路上にある信号機を報知対象の信号機としてもいいし、当該経路上にある信号機であって、且つ、自車が当該信号機で右折する予定である(経路探索の結果が当該信号機で右折することを推奨している)場合に、当該右折予定の信号機を報知対象の信号機としてもよい。
【0066】
なお、上記説明では、道路が左側通行の車線規制の道路である場合を例に説明しているため「右折」となっているが、右側通行の車線規制の道路である場合にも本発明を同様に適用可能である。この場合には、上記説明中「右折」を「左折」にすればよい。
【0067】
また、本実施形態及び以下の実施形態においては信号機の方式が時差式信号機であると判定されない限り、判定を繰り返すこととしているが、一定回数判定を繰り返したときは時差式信号機ではないと判定するものであってもよい。例えば現在の信号表示に基づいて判定を行い(ステップS03〜ステップ04)、次に、次の信号表示に基づいて判定を行い(1回目のステップS06〜ステップS07)、さらに、次の次の信号表示に基づいて判定を行っても(2回目のステップS06〜ステップS07)時差式信号機であると判定できなかったときには、ステップS01或いはステップS06に戻らずに対向する2つの信号機の方式が時差式信号機でないと報知することとしてもよい。
【0068】
なお、図2におけるステップS03〜ステップS08のフローチャートの順番は、図2の場合に限られない。例えば、ステップS03の前にステップS04を行い、対向する2つの信号機の現在の信号表示が同一か否かを判定する前に、対向する2つの信号機の次の信号表示までの時間が同一か否かを判定してもよい。
【0069】
[第2実施形態]
本発明のナビゲーション装置20の第1実施形態について図6を用いて説明する。本発明のナビゲーション装置20の制御部1が実行する処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【0070】
ステップS11において制御部1は交差点情報及び信号機情報を取得する。また、ステップS12において制御部1は自車の移動体情報を取得する。自車の移動体情報には、自車の現在位置(緯度、経度)を示す情報、自車の進行方向を示す情報、自車の移動速度を示す情報などが含まれる。
【0071】
なお、本実施形態において制御部1は、ステップS11において交差点情報及び信号機情報を取得し、ステップS12において自車の移動体情報を取得しているが、制御部1がこれらの情報を取得する順番はフローチャートに示した順序でなくてもよく、例えば同時に取得するものであってもよいし、先に自車の移動体情報を取得するものであってもよい。
【0072】
ステップS13において制御部1は自車の交通を規制する信号機を特定する。自車の交通を規制する信号機とは、自車の進行方向前方の信号機であり、自車の現在位置、進行方向、交差点情報及び信号機情報に基づいて特定することができる。具体的には、交差点の中心位置座標が、自車の現在位置(座標)から進行方向に対して最も近い交差点に設置された信号機の中で、自車の進行方向に対応付けられた信号機(自車の進行方向と同一方向(進行歩行と方路の差が所定値以下)の方路に対応付けられた信号機)が自車の交通を規制する信号機として特定される。
【0073】
例えば図5において、自車Aの現在位置から進行方向に対して最も近い交差点に設置された信号機の中で自車の進行方向(北を0度として90度)に対応付けられた信号機番号1の信号機が自車の交通を規制する信号機として特定される。
【0074】
ステップS14において制御部1は自車の交通を規制する信号機(以下、本実施形態において「自車の交通を規制する信号機」を「自車前方の信号機」という。)が設置された交差点において、自車前方の信号機に対向する信号機が存在するか否かを判定する。例えば、図5に示すように自車前方の信号機が信号機番号1の信号機であるときは、対応付けられた方路の方路差が180度である信号機番号4の信号機が自車前方の信号機に対向する信号機である。
【0075】
自車前方の信号機に対向する信号機が存在するときは(ステップS14のY)ステップS15に進み、自車前方の信号機に対向する信号機が存在しないときは(ステップS14のN)ステップS11に戻る。
【0076】
ステップS15において制御部1は自車前方の信号機と自車前方の信号機に対向する信号機(以下、本実施形態において「自車前方の信号機と自車前方の信号機に対向する信号機」を「当該2つの信号機」という。)の現在の信号表示が同一であるか否かを判定する。当該2つの信号機の現在の信号表示が同一であれば(ステップS15のY)ステップS16に進み、当該2つの信号機の現在の信号表示が同一でなければ(ステップS15のN)ステップS21に進む。
【0077】
ステップS16において制御部1は当該2つの信号機の次の信号表示までの時間が同一であるか否かを判定する。当該2つの信号機の次の信号表示までの時間が同一であれば(ステップS16のY)ステップS17に進み、当該2つの信号機の次の信号表示までの時間が同一でなければ(ステップS16のN)ステップS21に進む。
【0078】
ステップS17において制御部1は当該2つの信号機の信号機情報に次の信号表示に関する情報が含まれるか否かを判定する。当該2つの信号機の信号機情報に次の信号表示に関する情報が含まれているときは(ステップS17のY)ステップS18に進み、当該2つの信号機の信号機情報に次の信号表示に関する情報が含まれていないとき(当該2つの信号機の信号機情報のうち、少なくとも一方の信号機の信号機情報に次の信号表示に関する情報が含まれていないとき)は(ステップS17のN)ステップS11に戻る。
【0079】
ステップS18において制御部1は当該2つの信号機のその次の信号表示が同一であるか否かを判定する。当該2つの信号機のその次の信号表示が同一であれば(ステップS18のY)ステップS19に進み、当該2つの信号機のその次の信号表示が同一でなければ(ステップS18のN)ステップS21に進む。
【0080】
ステップS19において制御部1は当該2つの信号機のその次の信号表示の表示時間が同一であるか否かを判定する。当該2つの信号機のその次の信号表示の表示時間が同一であれば(ステップS19のY)ステップS20に進み、当該2つの信号機のその次の信号表示の表示時間が同一でなければ(ステップS19のN)ステップS21に進む。
【0081】
ステップS20において制御部1は、当該2つの信号機の信号機情報にその次の信号表示の次の信号表示に関する情報が含まれるか否かを判定する。当該2つの信号機の信号機情報にその次の信号表示の次の信号表示に関する情報が含まれているときは(ステップS20のY)ステップS18に戻り、当該2つの信号機の信号機情報にその次の信号表示の次の信号表示に関する情報が含まれていないとき(2つの信号機の信号機情報のうち、少なくとも一方の信号機の信号機情報にその次の信号表示の次の信号表示に関する情報が含まれていないとき)は(ステップS20のN)ステップS11に戻る。
【0082】
ステップS21において制御部1は上述の通り、当該2つの信号機の所定時点(現時点又は現時点以降の任意の時点)における信号表示、又は、当該2つの信号機の所定時点における次の信号表示までの時間が異なるときに、当該2つの信号機の方式が時差式信号機であると判定する。
【0083】
ステップS22において制御部1は報知部9を介して、当該2つの信号機の方式が時差式信号機であることを報知する。報知タイミングは第1実施形態と同様に特に限定されず、報知内容は例えば音声案内によって「次の信号機の方式は時差式信号機です。」等の報知を行ったり、表示部2に地図情報に基づく地図画像を表示する際に、時差式信号機が設置されている交差点に時差式信号機が設置されていることを示すマークを描画(重畳)したり、予め設定された道路色とは異なる色(時差式信号機を示す色)で道路(交差点)を描画(重畳)したりすることが考えられる。
【0084】
なお、図6におけるステップS15〜ステップS20のフローチャートの順番は、図6の場合に限られない。例えば、ステップS15の前にステップS16を行い、当該2つの信号機の現在の信号表示が同一か否かを判定する前に、当該2つの信号機の次の信号表示までの時間が同一か否かを判定してもよい。
【0085】
さらに、制御部1は自車前方の信号機の現在の信号表示に基づいて報知内容を決定(変更)することとしてもよい。自車前方の信号機の現在の信号表示はステップS15で特定されている。そこで、自車前方の信号機と自車前方の信号機に対向する信号機の現在の信号表示が異なる場合であって、自車前方の信号機の現在の信号表示が青信号であるときには「次の信号機は自車の進行方向優先の信号機です。」等の報知を行い、自車前方の信号機の現在の信号表示が赤信号であるときには「次の信号機は自車の対向方向優先の信号機です。」等の報知を行うこことしてもよい。
【0086】
また、制御部1は自車前方の信号機と自車前方の信号機に対向する信号機の現在の信号表示が同一であるときに、所定時点における当該2つの信号機の信号表示及びその次の信号表示までの時間に基づいて報知内容を決定することとしてもよい。当該2つの信号機の次の信号表示までの時間はステップS16で特定されている。そこで、例えば自車前方の信号機の青信号の表示時間が、自車前方の信号機に対向する信号機の青信号の表示時間よりも長いときには「次の信号機は自車の進行方向優先の信号機です。」等の報知を行い、自車前方の信号機の青信号の表示時間が、自車前方の信号機に対向する信号機の青信号の表示時間よりも短いときには「次の信号機は自車の対向方向優先の信号機です。」等の報知を行うこことしてもよい。
【0087】
なお、青信号の表示時間の長短は、上述の通り、所定時点における当該2つの信号機の信号表示及びその次の信号表示までの時間を比較することによって判断することができる。所定時点における当該二つの信号機の信号表示が青信号である場合には、次の信号表示までの時間が長い信号機が青信号の表示時間が長く、一方、所定時点における当該二つの信号機の信号表示が赤信号である場合には、次の信号表示までの時間が短い信号機が青信号の表示時間が長い。
【0088】
図3及び図4を用いて具体的に説明すると、図3に示すような後発式の時差式信号機であれば赤信号が表示されている時点における青信号までの時間は同一であるが、青信号が表示されている時点における黄信号までの時間が異なる。よって、当該2つの信号機の信号表示が青信号であるときに、次の信号表示(黄信号)までの時間が長い信号機が、青信号の表示時間が長い。
【0089】
一方、図4に示すような先発式の時差式信号機であれば青信号が表示されている時点における黄信号までの時間は同一であるが、赤信号が表示されている時点における青信号までの時間が異なる。よって、当該2つの信号表示が赤信号であるときに、次の信号表示(青信号)までの時間が短い信号機が、青信号の表示時間が長い。
【0090】
[補足]
通信部8が受信する信号機情報には信号表示のサイクルを示す情報が含まれていることが考えられる。信号表示のサイクルの情報とは、例えば、進行許可信号表示(青色)が○○秒、進行停止信号表示(黄色)が○○秒、進行不許可信号表示(赤色)が○○秒という信号表示のサイクル、或いは、○時○分から○時△分まで進行許可信号表示(青色)、○時△分から○時□分まで進行停止信号表示(黄色)、○時□分から○時×分まで進行不許可信号表示(赤色)のような信号表示のサイクルである。
【0091】
信号表示のサイクルを示す情報が含まれているときには、対向する2つの信号機のサイクル情報を比較し、サイクル情報に差異があれば対向する2つの信号機の方式は時差式信号機であると判定することができる。
【0092】
判定方法は種々の方法を用いることが可能であるが、例えば、信号表示のサイクルの情報が、進行許可信号表示(青色)が○○秒、進行停止信号表示(黄色)が○○秒、進行不許可信号表示(赤色)が○○秒という情報であれば、対向する2つの信号機において、進行許可信号表示(青色)の時間、進行停止信号表示(黄色)の時間、進行不許可信号表示(赤色)の時間を夫々比較し、何れかが異なれば、対向する2つの信号機の方式が時差式信号機であると判定する。
【0093】
また、信号表示のサイクルの情報が、○時○分から○時△分まで進行許可信号表示(青色)、○時△分から○時□分まで進行停止信号表示(黄色)、○時□分から○時×分まで進行不許可信号表示(赤色)のような情報であれば、進行許可信号表示(青色)の開始時刻や終了時刻、進行不許可信号表示(赤色)の開始時刻や終了時刻などを夫々比較し、何れかが異なれば、対向する2つの信号機の方式が時差式信号機であると判定する。
【0094】
なお、上記の実施形態において、信号機情報には、現在の信号表示を示す情報及び次の信号表示までの時間が含まれる場合を例示したが、信号機情報には、現在の信号表示を示す情報又は次の信号表示までの時間が含まれてもよい。
【0095】
そして、例えば、信号機情報に次の信号表示までの時間が含まれない場合であれば、図2のフローチャートのステップS04及びステップS07は行なわなくてもよい。
【0096】
また、対向する2つの信号機が同一の交差点に設置されているか否かは、信号機情報に信号機の設置位置が含まれる場合、信号機の位置(設置位置)に基づいて同一の交差点に設置されているか否かを判定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は時差式信号機が設置された交差点を安心・安全に通過・通行できるように支援する移動体通信装置及び時差式信号機判定方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1・・・制御部、2・・・表示部、3・・・操作部、4・・・現在位置検出部、5・・・進行方向検出部、6・・・地図情報記憶部、7・・・バッテリ、8・・・通信部、9・・・報知部、20・・・ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に備えられ、
方路に対応付けられた信号機の所定時点における信号表示及び/又は方路に対応付けられた信号機の所定時点における信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間を特定可能な情報を含む情報を受信する通信部と、
一の信号機と同一の交差点に設置され該一の信号機に対向する他の信号機において、所定時点における前記一の信号機の信号表示と前記他の信号機の信号表示が異なるとき、又は、所定時点における前記一の信号機の信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間と前記他の信号機の信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間が異なるときに、少なくとも前記一の信号機の方式を時差式信号機であると判定する制御部と、
を備えることを特徴とする移動体通信装置。
【請求項2】
前記通信部が受信する情報は、交差点の位置を示す情報を含み、
前記制御部は、さらに、前記移動体の現在位置を示す情報及び進行方向を示す情報を含む前記移動体の移動体情報を取得し、
前記一の信号機は前記移動体の現在位置から前記移動体の進行方向に対して最も近い交差点に設置されている信号機であって、且つ、前記移動体の進行方向と同一の方向の方路に対応付けられた信号機であることを特徴とする請求項1に記載の移動体通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、前記移動体の現在位置から目的地へ向かう経路探索を行い、前記一の信号機は、前記経路上に存在する信号機であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動体通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、前記移動体の現在位置から目的地へ向かう経路探索を行い、前記一の信号機は、前記経路上に存在する信号機であって、且つ、前記経路において右折予定の交差点に設置されている信号機であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の移動体通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記一の信号機の方式を時差式信号機であると判定した場合、報知部を介して前記一の信号機の方式が時差式信号機であることを報知することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の移動体通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記一の信号機と前記他の信号機の所定時点における信号表示が異なるときにおいて、前記一の信号機の所定時点における信号表示に基づいて報知内容を変更することを特徴とする請求項5に記載の移動体通信装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記一の信号機と前記他の信号機の所定時点における信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間が異なるときにおいて、前記一の信号機と前記他の信号機の進行許可信号表示の表示時間に基づいて報知内容を変更することを特徴とする請求項5に記載の移動体通信装置。
【請求項8】
移動体に備えられた移動体通信装置の時差式信号機判定方法であって、
方路に対応付けられた信号機の所定時点における信号表示及び/又は方路に対応付けられた信号機の所定時点における信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間を特定可能な情報を含む情報を取得するステップと、
一の信号機と同一の交差点に設置され該一の信号機に対向する他の信号機において、所定時点における前記一の信号機の信号表示と前記他の信号機の信号表示が異なるとき、又は、所定時点における前記一の信号機の信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間と前記他の信号機の信号表示が次の信号表示に変更されるまでの時間が異なるときに、少なくとも前記一の信号機の方式を時差式信号機であると判定するステップと、
を有することを特徴とする時差式信号機判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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