説明

移動可能な回転育苗棚と着脱可能な育苗バスケット及びこれらを用いた植物野菜の育苗栽培方法

【課題】移動可能な回転育苗棚と着脱可能な育苗バスケット及び植物、野菜の育苗栽培方法を提供する。
【解決手段】金属製部材を組立ててなる2段回転育苗棚であって、該育苗棚の下方に移動用車輪12,13を設け、安定性と可動性を兼備する。固定ピン14を旋回アーム4の水平支持に設けた軸固定穴と整合する旋回スリーブの固定穴を連通して係合して固定し、水平支持軸5の回りに旋回アーム4に回転可能に支持されるバスケット載置枠2は、左右2組の育苗バスケットを載置し、固定ピンの係合を抜いて該旋回アーム4を回動操作して、育苗棚を垂直になる2段配置、または左右水平に展開配置状態になるように制御し、2段式育苗棚の種蒔き、育苗作業しやすく、日照面積の調整ができると共に、空間を活用できる機能を兼備させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動可能な回転育苗棚及び着脱可能な育苗バスケット並びにこれらを用いた植物野菜の育苗栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現行市販の育苗トレー、育苗箱、育苗バスケット及び育苗装置は、小型で運搬しやすい、又は小量栽培用の簡単な構造であるか,固定式の大型温室または戸外高架システム用である。小型装置は耐風性に弱く、しかも大量栽培に適さないのに対して、大型固定式システムは、着脱、交換及び移動等の機能を備えていない。
このようなことに鑑みて、如何にして操作便利、移動機能を有して、単独作業するほか大型栽培設備の補助作業もできる育苗装置を設計し、更にその移動可能且つ大量栽培できる特性を活かし、育苗栽培プロセス及び方法を樹立することが、早急に解決されるべき課題となっている。
【0003】
本件出願人の出願した特願2004-080931号(名称:鉄骨建築物に組合わせた垂直立体機械回転昇降式植物栽培システム)には、建物屋上の上部空間に駆動モータを設け、建物の施工時に予め設けられた片持ち梁を利用して、チェーンにより連結された栽培バスケットなどが昇降する、建物の外壁に固定される栽培システムである。該システムは、駆動モータを介して立体栽培バスケットが装着されたチェーンを駆動し、建物屋上の胸壁及び下部にマニュアルまたは、オートマチック制御システムを設置すると共に、屋上にある胸壁の内側に栽培と収穫用の踏み台を設置し、建物下部の栽培システム内側に下回転式欄干を設けることにより、建物の外壁に外掛け式の栽培と収穫に適用できる立体循環可能な植物循環装置を形成する。建物の建築様式に合わせて、栽培面積を増やし、効率的に垂直成長を可能にし、使用者が建物内部から直接摘み取り・収穫に便利であるが、該システムの立体栽培バスケットは、根茎が既にできた植物に適用し、芽生えしてない植物を用いる場合、直接播種する種が、鳥類に食べられ、又は風に吹き落とされる恐れがあるので、適していない。尚且つ、前述した「鉄骨建築物に組合わせた垂直立体機械回転昇降式植物栽培システム」は固定的であり、移動の便利性がないので、栽培の前に種からの育苗作業が必要とし、移植時の作業が不便である。
【特許文献1】特願2004-080931号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の問題を解決するべく、且つ前述の鉄骨建築物に適用する垂直立体機械回転昇降式植物栽培システムを育苗段階の栽培に応用するため、本出願人は、緻密な検討及び研究を経て、移動可能な回転育苗棚及び着脱可能な育苗バスケットを設計し、鉄筋建物に適用する垂直立体機械回転昇降式栽培システムと移動可能な回転育苗棚及び着脱可能な育苗バスケットとの特性を兼ねさせた斬新な育苗栽培方法を開発した。該移動可能な回転育苗棚及び着脱可能な育苗バスケットは、金属製部材で組立ててなる移動可能な回転育苗棚であって、梃子の原理を応用して二層に構成され、作業の必要に応じて(複数の作業員が同時に作業を行えるように水平方向に展開可能)または日照面積を調整するために、軸心固定装置(詳細は後述する)における水平支持軸の両端部に装着される金属製固定ピンを操作して、該移動可能な育苗棚を、垂直な二層構造または水平に左右展開する構造になるように調整制御することにより、棚の高さ及び展開面積が制御できると共に、該移動可能な育苗棚の底側にブレーキ付きの回動可能な車輪を追加して取付けることによって、操作員に容易に移動させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る移動可能な回転育苗棚はモジュール化した金属製部材、例えば、着脱可能な育苗バスケットと、バスケット載置枠と、バスケット載置枠の軸心と、旋回アームと、水平支持軸と、水平支持軸の左旋回スリーブと、水平支持軸の右旋回スリーブと、金属製固定ピン用穴と、台形台座と、軸心固定装置と、軸心固定板と、車輪と、ブレーキ付き車輪及び金属製固定ピン等の部材から組立ててなり、着脱可能な育苗バスケットは、矩形メッシュ枠を有するように予め構成され、その底部が該矩形の短辺の中心線に対応する箇所を底部の起点とし、それぞれ矩形メッシュ枠の短辺の両側に向かって傾斜して略漏斗状に形成される。
【0006】
前記バスケット載置枠は、着脱可能な育苗バスケットの長・短辺の長さに合わせて、L字アングル材を溶接してなる矩形枠体であり、該枠の前後両側(矩形の短辺)の中央部に、育苗バスケット載置枠の軸心として、円筒状鉄管を同様に溶着する。育苗バスケット載置枠の軸心となる該鉄管の円の中心は、矩形の短辺の中心と同一の点であり、その直径は、L字アングル材の高さより若干小さい。
【0007】
前記旋回アーム4は、一対の中空長方形の棒状金属製部材であり、その両側にあるバスケット載置枠2を回転可能に支持すると共に、その中央部に、台形台座上の軸心固定装置に連結して該棒状金属製部材と直交する水平支持軸5を支持できる軸心点が設けられており、旋回アームを構成する適当な長さ(バスケット載置枠の矩形短辺の約2倍)の中空長方形の棒状金属製部材に、該旋回アームの各々の左右両端部から所定距離を離れた箇所に、左右のバスケット載置枠の軸心3を穿設する円孔が設けられる。
金属製部材の高さの寸法が水平支持軸の直径より大きく、両側円孔のサイズはバスケット載置枠の軸心の口径と同一である。
【0008】
水平支持軸5は、バスケット載置枠2の長さよりも長く、直径がバスケット載置枠の軸心よりも太い、適当な肉厚を有する円筒状鉄管である。該鉄管の前後両端部より所定等距離をあけて、鉄管の中心を基準にして中心を通る鉛直および水平な直径方向の延長線が鉄管を通る4箇所に、金属製固定ピン用固定孔8として、それぞれ円孔があけられる。
【0009】
台座部分は、本発明に係る移動可能な回転育苗棚が水平に展開する際に、その展開面積が広くなることにより、水平に展開となるときの転倒(上部が重すぎ)を防止するために、下方が広い三角形に形成されているが、台座を組立ててなる場合は、その他の台形ベースフレーム9と、軸心固定装置10と、軸心固定板11と、車輪12と、ブレーキ付き車輪13と、金属製固定ピン14から構成される。台形ベースフレームは、L字アングル材が溶接されてなる等脚台形であり、その上底部分は、軸心固定装置と接続される支持体になり、適当な位置に予め2つのねじ穴があけられ、その下底部分は、全体として移動可能な回転育苗棚の台座であり、2つの等脚台形フレームで構成されて、台座の下端が矩形になるように2つの等脚台形フレームの下底部分の両端を適当な長さを有するL字アングル材を接続・溶接し、この矩形の四隅の各々に予め2つのねじ穴があけられ、台形ベースフレーム部分が完成される。
【0010】
軸心固定装置10は、内径が水平支持軸5の外径に対応し、水平支持軸の左右旋回スリーブを固定する外管とされ、L字金属製部材に開けられた一つの円孔を挿通して突出した部分と突出しない内部のL字アングルの底端方向の部分との長さの比が1:2となるようにして該鉄管がL字金属製部材の円孔を挿通した状態で該部材と溶接により固定されると共に、水平支持軸に開けられた金属製固定ピン用孔に対応する位置に穴が(地面に直交する方向の2つの穴だけ開けられる)開けられるように形成される。
水平支持軸が形成されて後、L字金属製部材は、その底端位置で台形台座にボルトで締結される。
【0011】
軸心固定板11は、上端部が円形とされた適宜サイズの三角形鉄板であり、その上端部のL形金属製部材に溶接された外管に対応する位置に丸穴が開けられ、更に台形ベースフレームの上底および両脚に対応する箇所に、軸心固定装置が取り付けられてからベースフレームに締結するための3つのねじ孔が開けられる。
組立てる際には、順次台形ベースフレームの下方に、2組の車輪12が一辺に、2組のブレーキ付きの車輪13が他の一辺になるように4組の車輪が取り付けられる。
2つ一組の旋回アーム4は、そのバスケット載置枠軸心孔がバスケット載置枠の軸心3に対応するとともに、水平支持軸5が旋回アームの中央にある軸心点に対応するようにして、左右から挟むようにして組立てられ、次いで水平支持軸を旋回アームの該中心軸穴に挿通し、溶接して結合固定される。
こうしてバスケット載置枠2は、旋回アーム4と、水平支持軸5と一体のユニットとなる。
この一体のユニットを軸心固定装置と同じ高さで一旦架設してから、軸心固定装置を外側から内側へ向けて水平支持軸を挿入される。
ここで、水平支持軸における金属製レバー用固定孔は、水平方向に対して、一組が垂直、一組が平行とするが、旋回アームは地面に平行な組に合わせる。この後、軸心固定装置と台形台座をボルト締結方式で固定し、軸心固定板を締付け、水平支持軸の左右旋回スリーブの端部外側に穴を開け、金属製固定ピンを係合することにより、移動可能な育苗棚が完成される。
【0012】
本件出願人の出願した特願2004-080931号(名称:鉄骨建築物に組合わせた垂直立体機械回転昇降式植物栽培システム)に適用する本発明の育苗栽培方法は、以下のステップにより行なわれる、即ち、
a.着脱可能な育苗バスケットに、内側から不織布を敷いて網状隙間を覆い、土または他の媒体を入れて(約9割の高さまで)、育苗棚を準備するステップと、
b.金属製固定ピン及び金属製固定ピン用固定孔の係合から該ピンを抜いて旋回アームを回動操作することにより移動可能な回転育苗棚を水平に展開し、移動可能な回転育苗棚の両側にあるバスケット載置枠に、準備された着脱可能な育苗バスケットを載置し、固定して、育苗棚が展開したときの高さを、普通の大人の略腹部までに至るようにし、二人以上が同時に育苗栽培作業をすることを可能として、
種蒔作業を行うステップと、
c.種蒔作業のあと、移動可能な回転育苗棚を水平から2段垂直構造に切り換え、面積が水平展開する時の約2/5までにして、空間を節約するようにすると共に、日照角度に応じて移動可能な回転育苗棚の位置を変化させて、育苗栽培を行うステップと、
d. 移動可能な回転育苗棚にある植物の根部がある程度発育して「特願2004-080931号(名称:鉄骨建築物に組合わせた垂直立体機械回転昇降式植物栽培システム)に移植する際、移動可能な回転育苗棚を水平に展開すると共に、栽培塔付近に移動させ、この栽培塔にある立体植栽バスケットに対して作業員が作業を好適に行えるような高さに停止させて、苗を植栽塔までの移植作業を行うステップと、
からなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、種蒔後一定の大きさに成長するまで育苗バスケットで鳥等の食害を受けることなく効率的に育苗することができ、適切な大きさに育成後、移動して本件出願人が先に出願した特願2004-080931号(名称:鉄骨建築物に組合わせた垂直立体機械回転昇降式植物栽培システム)の立体植栽バスケットに移植又はバスケットを交換して栽培することができるため、立体植栽バスケットへの移植作業を極めて効率的、かつ迅速に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に参照して、本発明を詳細に説明する。
本発明に係わる移動可能な回転育苗棚は、モジュール化した金属製部材、例えば着脱可能な育苗バスケット1と、バスケット載置枠2と、バスケット載置枠の軸心3と、旋回アーム4と、水平支持軸5と、水平支持軸の左旋回スリーブ6と、水平支持軸の右旋回スリーブ7と、金属製固定ピン用固定孔8と、台形ベースフレーム9と、軸心固定装置10と、軸心固定板11と、車輪12と、ブレーキ付き車輪13と、金属製固定ピン14とを組み立ててなる、移動可能な回転育苗棚である。
以下、実施例1を参照して、本発明に係わる移動可能な回転育苗棚の各部材の製造工程を説明する。実施例2を参照して、本発明に係わる移動可能な回転育苗棚の組立及び操作を説明する。更に、実施例3に合わせて、本発明に係わる移動可能な回転育苗棚と、本出願人の特許された「鉄筋建物に適用する垂直立体機械回転升降式栽培システム」との結合による育苗栽培方法を説明する。
【実施例1】
【0015】
図9に示すように、着脱可能な育苗バスケット1は、予め矩形のメッシュ枠で構成され、底部が該枠の矩形短辺の中心線に対応する箇所を底部の起点とし、それぞれ矩形網状枠の短辺の両側に向かって傾斜して略漏斗状に形成され、枠は網状に形成されていることにより排水の必要を満たし、使用する際には予め不織布を敷いてから土などの媒体を充填する。
組立てる際には、順次台形ベースフレーム9の下方に、2組の車輪12が同一辺に、また他の2組のブレーキ付き車輪13が反対側の辺になるように、4つの車輪が取り付けられる。
2組の旋回アーム4は、その左右に形成されたバスケット載置軸心孔がバスケット載置枠2の軸心に対応するとともに、水平支持軸5が旋回アームの中央にある軸心点に対応して、左右からこれらを挟むようにして組立てられ、水平支持軸5が旋回アーム4に貫入して溶接、固定される。こうしてバスケット載置枠2は、これら水平支持軸5と、旋回アーム4と一体化されたユニットとなる。
この固定ユニットを軸心固定装置10と同じ高さに水平に一旦架設し、軸心固定装置10を外側から内側へ向けて水平支持軸が挿通される。ここで、水平支持軸5における金属製固定ピン用固定孔8は、水平方向に対して、一組が垂直、一組が平行とするが、旋回アーム4は水平方向に平行の組に合せる。この後、軸心固定装置10と台形台座9をボルト締結方式で固定し、軸心固定板11を締付け、水平支持軸の左右旋回スリーブ6、7の外側端部に穴を開け、金属製固定ピン14を係合することにより、移動可能な育苗棚15を完成させる(本発明に係る移動可能な回転育苗棚を示す図1を参照)。
図2に示すように、バスケット載置枠2は、着脱可能な育苗バスケットの長短辺の長さに合わせて、L字アングル材を溶接してなる矩形枠であり、該枠の前後両側(矩形の短辺)の中央部に、育苗バスケットの軸心3として、円筒状鉄管を同様に溶接する。該育苗バスケットの軸心となる該鉄管の円中心は、矩形の短辺の中心と同一の点であり、その直径の大きさは、L字アングルの高さより若干小さい。
図3に示すように、旋回アーム4は、中空長方形の棒状金属製部材であり、その両側にバスケット載置枠2を回動可能に支持すると共に、その中央部を台形台座上の軸心固定装置に挿通する、該棒状金属製部材と直交する水平支持軸5を支持する軸心点とし、また、旋回アーム4を構成する適当な長さ(バスケット載置枠の矩形短辺の約2倍)の中空長方形の棒状金属製部材の両端部から一定距離内側に左右のバスケット載置枠の軸心3を挿通する円孔が予め設けられている。金属製部材の高さ寸法は水平支持軸5の直径より大きく、これらの両側円孔のサイズはバスケット載置枠の軸心3の直径と同一である。
図4に示すように、水平支持軸5としては、バスケット載置枠2の長さよりも長く、直径がバスケット載置枠の軸心3よりも太く、適宜の肉厚を有する円筒状鉄管の前後両端部より所定等距離の位置に、鉄管の円中心を基準にして円中心を通る鉛直および水平方向の延長線が鉄管にあたる4箇所に、金属製固定ピン用固定孔として、それぞれ円孔があけられる。
図5に示すように、台座部分は、本発明に係る移動可能な回転育苗棚が水平に展開する際に、水平に延長されたことにより、水平展開時全体としてバランスが取れなくなること(偏重)を防止するために、三角形に形成されているが、この台座と組立てる部分は、その他の台形ベースフレーム9と、軸心固定装置10と、軸心固定板11と、車輪12と、ブレーキ付き車輪13と、金属製固定ピン14などの部材からなる。同図の金属製固定ピンは、固定孔8から抜いた状態にあり、紛失しないように鎖で吊り下げられている。
台形ベースフレーム9は、L字アングル材が溶接されてなる等脚台形であり、その上底部分は、軸心固定装置10と接続される支持体になり、適当な位置に2つねじ穴があけられると共に、その下底部分は、全体移動可能な回転育苗棚15の台座となる2つの等脚台形フレームから構成されて、台座の下端が矩形になるように2つの等脚台形フレームの下底部分の両端が適当な長さを有するL字アングル材で溶接、接続され、この矩形の四隅に予め2つのねじ穴があけられて台形ベースフレーム9部分が完成される。
図6に示すように、軸心固定装置10は、内径が水平支持軸の外径に対応する円筒形鉄管を水平支持軸の左右旋回スリーブとし、L字金属製部材に一つの円孔を開け、その円孔を境として、通過した部分とL字アングル材のL字型底端方向の部分との長さの比が1:2となるようにして該鉄管をL字金属製部材の円孔を挿通して溶接することにより固定すると共に、水平支持軸の左右旋回スリーブ6、7に予め開けられた金属製固定ピン用孔8に対応する位置に穴(地面と直交する方向の2つの穴のみ開ける必要がある)を開けている。水平支持軸5ができてから、L字金属製部材の底端で台形ベースフレーム9にボルトで締結する。
軸心固定板11は、上端部が円形とされた適宜サイズの三角形鉄板であり、その上端部のL字金属製部材に溶接された外管に対応する位置に穴を開け、水平支持軸の左右固定旋回スリーブを取り付けてから、更にそれぞれ台形ベースフレーム9の上底および両脚に対応する箇所にベースフレーム9を締結する3つのねじ孔を開けて締結する。
【実施例2】
【0016】
図7、8に示すように、組立てる際には、順次台形ベースフレーム9の下方に、2組の車輪12が同一辺方向になるとともに、2組のブレーキ付き車輪13が他の辺方向になるように、4つの車輪を取付ける。
2組の旋回アーム4は、予め設けたバスケット載置枠軸心孔がバスケット載置枠の軸心3に対応するとともに、水平支持軸5が旋回アーム4の中央にある軸心点に対応するように、これらを左右から挟むようにして組立て、水平支持軸5を旋回アーム4における丸いマークで示される箇所に溶接して固定する。こうしてバスケット載置枠2は、旋回アーム4と、水平支持軸5と一体化されたユニットとなり、この固定ユニットを軸心固定装置10と同じ高さに一旦水平架設し、軸心固定装置10を外側から内側へ水平支持軸5に挿通する。ここで、水平支持軸5における金属製固定ピン用固定孔8は、水平方向に対して、一組を垂直、一組を平行とするが、旋回アーム4は、水平方向に平行な組に合わせる。この後、軸心固定装置10と台形台座9をボルト締結方式で固定し、軸心固定板11を締結し、水平支持軸の左右旋回スリーブ6、7の外側端部に穴を開けて金属製固定ピン14を係合することにより、移動可能な育苗棚を完成させる。
図10、11に示すように、使用上の必要に応じて、水平支持軸を固定している金属製固定ピン14を固定穴8から抜いて旋回アームを回動操作して、着脱可能な育苗バスケット1を2段垂直配置状態と、1段左右水平展開状態とに切り換え制御することができる。
【実施例3】
【0017】
本発明に係る、本出願人の出願した特願2004-080931号(名称:鉄骨建築物に組合わせた垂直立体機械回転昇降式植物栽培システム)に適用する育苗栽培方法は、以下の操作ステップからなる。即ち、
a.着脱可能な育苗バスケット1に、内側から不織布を敷いて網状隙間を覆い、土または他の媒体を入れて(約高さの9割まで)、育苗棚を準備するステップと、
b.金属製固定ピン14及び金属製栓用固定孔8の係合から該ピンを抜いて旋回アームを回動して移動可能な回転育苗棚を水平に展開し、移動可能な回転育苗棚の両側にあるバスケット載置枠2に、準備された着脱可能な育苗バスケット1を載置固定し、育苗棚が展開したときの高さを、通常大人の略腹部までの高さとすることにより、育苗バスケットに充填された媒体または土の中に種まきや苗植えなどの作業が行え、且つ、二人以上が同時に育苗栽培作業をすることを可能として、種蒔作業を行うステップと、
c.種蒔作業のあと、同様に、金属製固定ピン14及び金属製栓用固定孔8の係合から該ピンを抜いて旋回アームを回動操作して移動可能な回転育苗棚を回転して垂直の2段構造に切り換えることによって、面積を水平展開する時の約2/5までに減少させて空間を節約すると共に、日照角度に応じて移動可能な回転育苗棚15の位置を変化させることにより、育苗栽培操作を行うステップと、
d. 移動可能な旋回育苗棚にある植物の根部がある程度発育して「鉄筋建物に適用する垂直立体機械回転升降式栽培システム」(特許第206078号)に移植する際、また金属製固定ピン14及び金属製栓用固定孔8の係合から該ピンを抜いて旋回アームを回動操作して移動可能な回転育苗棚を水平に展開すると共に、栽培塔付近に移動させ、この栽培塔にある立体植栽バスケットに作業員が作業を好適に行えるような高さに応じて停止させて、苗を植栽塔までの移植作業を行うステップと
を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係わる移動可能な回転育苗棚を示す略図である。
【図2】実施例1のバスケット載置枠を示す平面図である。
【図3】実施例1のバスケット載置枠を示す側面図である。
【図4】実施例1の水平支持軸を示す上面図である。
【図5】実施例1の台形台座を示す側面図である。
【図6】実施例1の水平支持軸固定装置及び固定板を示す略図である。
【図7】実施例2の移動可能な回転栽培育苗棚を示す略図である。
【図8】実施例2の移動可能な回転栽培育苗棚を示す上面図である。
【図9】本発明に係わる着脱可能な育苗バスケットを示す略図である。
【図10】実施例2の移動可能な回転栽培育苗棚の水平展開を示す側面図である。
【図11】実施例2の移動可能な回転栽培育苗棚の垂直状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0019】
1.育苗バスケット
2.バスケット載置枠
3.バスケット載置枠軸心
4.旋回アーム
5.水平支持軸
6.水平支持軸の左旋回スリーブ
7.水平支持軸の右旋回スリーブ
8.金属製固定ピン用固定孔
9.台形ベースフレーム
10.軸心固定装置
11.軸心固定板
12.車輪
13.ブレーキ付き車輪
14.金属製固定ピン
15.移動可能な回転育苗棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な回転育苗棚であって、
モジュール化した金属製部材である、着脱可能な育苗バスケット1と、バスケット載置枠2と、バスケット載置枠の軸心3と、一対の旋回アーム4と、水平支持軸5と、水平支持軸の左旋回スリーブ6と、水平支持軸の右旋回スリーブ7と、金属製固定ピン用固定孔8と、台形ベースフレーム9と、軸心固定装置10と、軸心固定板11と、固定車輪12と、ブレーキ付きの回動可能な車輪13と、金属製固定ピン14、
を組み立ててなる移動可能な回転育苗棚において、
前記着脱可能な育苗バスケット1は、予め形成された矩形網枠を有し、底部が枠の矩形の短辺の中心線に対応する箇所を底部起点としてそれぞれ矩形網枠の短辺の両側に向かって傾斜して略漏斗状になるように構成され、
前記バスケット載置枠2は、育苗バスケットの長短辺の長さに合わせて、L字アングル材を溶接してなる矩形枠であり、該枠の前後両側(矩形の短辺部分)の中央部には、育苗バスケット載置枠の軸心3として筒状形鉄管が同様に溶着され、該育苗バスケット載置枠の軸心3となる前記鉄管の円中心は、矩形の中心と同一点であり、その直径は、L字アングルの高さ寸法より若干小さく、
前記旋回アーム4は、一対の中空長方形の棒状金属製部材であって、該棒状金属製部材の中央部を、台形ベースフレーム上の軸心固定装置に挿通して該棒状金属製部材と直交する水平支持軸5を支持するための軸心点とすると共に、
旋回アーム4を構成する適当な長さ(育苗棚の矩形短辺の約2倍)としたその左右両端部より所定距離離れた位置を該旋回アームの両側のバスケット載置枠2を回転可能に支持する軸心点としてぞれぞれに水平支持軸及びバスケット載置枠の軸心の挿通する円穴を設け、
該金属製部材の高さサイズは水平支持軸5の直径よりも大きく、両側円孔のサイズがバスケット載置枠の軸心3の口径と同一であり、
前記水平支持軸5は、バスケット載置枠2の長さよりも長く、直径がバスケット載置枠の軸心3よりも太い、適宜な肉厚を有する円筒状鉄管であり、
該鉄管の前後両端部より所定等距離をあけた位置に、鉄管の円中心を基準にして、円中心を通る鉛直および水平方向の延長線が鉄管に達する4箇所に、金属製固定ピン挿入固定孔として、それぞれ円孔を形成し、
前記台座部分は、予め三角形に形成されており、台形ベースフレーム9と、軸心固定装置10と、軸心固定板11と、固定車輪12と、ブレーキ付き回動可能な車輪13と、金属製固定ピン14の部材から構成され、前記台形ベースフレーム9は、L字アングル材を溶接してなる等脚台形であり、その上底部分は、軸心固定装置10と連結する支持体になり、適当な位置に2つねじ穴が開けられており、その下底部分は、全体移動可能な回転育苗棚の台座であり、2つの等脚台形フレームを構成して、台座の下端が矩形になるようにその下底部分の両端を適当な長さを有するL字アングル材で接続して溶接し、この矩形の四隅にそれぞれ2つのねじ穴があけられて台形ベースフレーム9部分が構成され、
前記軸心固定装置10は、L字金属製部材からなると共に、内径が水平支持軸の外径に対応する円筒形鉄管が水平支持軸の左右旋回スリーブ6、7として設けられ、該L字金属製部材に一つの円孔が開けられ、該円孔を境として、通過した部分とL字アングルの底端方向の部分との長さ比が1:2となるようにして鉄管をL字金属製部材の円孔を挿通させて溶接によって固定されるとともに、水平支持軸5に予め開けた金属製固定ピン用孔8に対応する位置に穴(地面に直交する方向の2つの穴のみ開ける必要がある)が開けられて水平支持軸5が形成されてから、L字金属製部材の底端で前記台形ベースフレーム9にボルトで締結され、
前記軸心固定板11は、上端部が円形とした適宜サイズの三角形鉄板であり、その上端部に、L字金属製部材に溶接された外管に対応する位置に穴が開けられ、水平支持軸5が取り付けられてから、台形ベースフレーム9の上底および両脚にそれぞれ対応する箇所に、ベースフレームを締結する3つのねじ孔が開けられ、軸心固定装置10を取り付けてから、台形ベースフレーム9を締結して軸心固定板11とし、
組立てる際に、順次前記台形ベースフレーム9の下方に、2組の車輪12が同一辺に、2組のブレーキ付き車輪13が反対側の辺になるように4つの車輪を取り付け、2組の前記旋回アーム4を、予め設けたバスケット載置枠軸心孔をバスケット載置枠の軸心3に対応させるとともに、水平支持軸5を旋回アームの中央軸心点に対応させてこれらを左右から挟むようにして組立て、水平支持軸5を旋回アーム軸中心点円穴に貫入して溶着することにより連結して、バスケット載置枠2を、旋回アーム4と、水平支持軸5とからなる一体のユニットとし、この一体化ユニットを軸心固定装置10と同じ高さに一旦水平架設し、軸心固定装置10外側から内側へ向けて水平支持軸5を挿入し;
ここで、水平支持軸5における金属製固定ピン用固定孔8は、水平方向に対して、一組が垂直、一組が平行とするが、旋回アーム4は、地面に平行な組にあわせる;
この後、軸心固定装置10と台形台座9をボルト締結方式で固定し、軸心固定板11を締付け、水平支持軸の左右固定旋回スリーブ6、7の外側端部に穴を開けて、金属製固定ピンを係合可能とすることにより移動可能な育苗棚15を構成してなることにより、
水平支持軸の端部に取付けられた金属製固定ピン14を抜いて旋回アームを回動操作することにより、バスケット載置枠に載置された着脱可能な育苗バスケット1を2段の垂直配置と、左右水平に展開する1段配置とに切り換えるように制御できるようにしてなる、
ことを特徴とする移動可能な回転育苗棚。
【請求項2】
植物の育苗栽培方法であって、
請求項1に記載の移動可能な回転育苗棚が、鉄筋建物に適用した垂直立体機械回転昇降式栽培システムに使用される植物の育苗栽培方法において、
以下のステップ、即ち、
a.着脱可能な育苗バスケット1に、内側から不織布を敷いて網状隙間を覆い、土または他の媒体を充填する(高さの約9割まで)育苗棚を準備するステップと、
b.金属製固定ピン14及び金属製栓用固定孔8の係合から該ピンを抜いて旋回アームを回動して移動可能な回転育苗棚を水平に展開することにより、移動可能な回転育苗棚15の両側にあるバスケット載置枠2に載置固定され、準備された着脱可能な育苗バスケット1の、育苗棚が展開したときの高さを、普通大人の略腹部までに至り、且つ二人以上が同時に育苗栽培作業をすることが可能であるようにして、
育苗バスケット1に充填された媒体または土の中に種蒔きや苗植えなどの、種蒔作業を行うステップと、
c.種蒔作業のあと、同様に、金属製固定ピン14及び金属製栓用固定孔8の係合から該ピンを抜いて旋回アームを回動して移動可能な回転育苗棚を垂直な2段配置に切り換えることにより、面積が水平展開時の約2/5まで低減し、空間を節約すると共に、日照角度に応じて移動可能な回転式育苗棚15を変化させて育苗栽培操作を行うステップと、
d. 移動可能な回転育苗棚にある植物の根部がある程度発育して鉄筋建物に適用する垂直立体機械回転升降式栽培システムに移植する際、金属製固定ピン14及び金属製栓用固定孔8の係合から該ピンを抜いて旋回アームを回動して移動可能な回転育苗棚を水平に展開すると共に、栽培塔付近に移動し、この栽培塔にある立体栽培バスケットに対して作業を好適に行えるような高さに調整して、栽培塔への移植作業を行うステップと、
からなることを特徴とする植物の育苗栽培方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−223129(P2006−223129A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−38475(P2005−38475)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(501275558)財團法人▲祐▼生研究基金會 (5)
【Fターム(参考)】