説明

移動式クレーンの下部構体に取り付けられるジブ機構

【課題】基端側ジブ6と、基端側ジブ6の先端部取り付けた先端側ジブ7と、基端側ジブ6の背面に延出して取り付けた先端側ジブ7と関連連結したアーム8と、その上端部をアーム8の先端部に連結したアーム用ガイロープ9を具備するジブ機構5においは、従来、前記アーム用ガイロープ9の下端部は、基端側ジブ6の基端部に止着連結していた。このため、アーム用ガイロープ9には、基端側ジブ6の倒伏動を規制する機能はなかった。
【解決手段】アーム用ガイロープ9の下端部を、下部構体3または4に連結すると共に、側面視において、基端側ジブ6の長手軸心線6cの延長線と前記アーム用ガイロープ9の延長線が、基端側ジブの先端側において交差するよう、アームの長さ、および、アーム用ガイロープ下端部の下部構体への連結個所を設定し、且つ、前記先端側ジブと前記アームの少なくとも一方を、基端側ジブに対して固定的に取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端部に荷物に係止するフックを昇降駆動自在に吊下し、基端部を移動式クレーンの下部構体に取り付けられるジブ機構に関するものである。
【0002】
より具体的に述べると、本発明のジブ機構は、略直線状の長手軸心線を持ちその基端部を大きな起仰角度で前記下部構体に取り付けられた基端側ジブと、前記フックを吊下した先端部が主ジブの腹面側に延出するようにしてその基端部を前記主ジブの先端部に取り付けた先端側ジブと、その先端部が基端側ジブの背面側に延出するようにしてその基端部を前記基端側ジブの先端部に取り付けられ前記先端側ジブの下方への回動に抗するよう先端側ジブに関連連結したアームと、その上端部を前記アームの先端部に連結されてアームの上方への回動を規制するアーム用ガイロープとを備えてなるジブ機構に関するものである。
【0003】
ここで、ジブ機構が取り付けられる移動式クレーンの下部構体は、移動式クレーンの走行車両のフレーム上に旋回駆動自在に取り付けられた旋回台、あるいは、この旋回台に起伏駆動自在に取り付けられたブームを意味している。
【背景技術】
【0004】
この種のジブ機構の従来例を、図4および図5に基づいて説明する。図4はジブ機構が下部構体としての旋回台に取り付けられた例を示し、図5はジフ機構が下部構体としての、旋回台に起伏駆動自在に取り付けられたブームに取り付けられた例を示している。
【0005】
図4において、1は移動式クレーンの走行車輌、3は走行車輌1のフレーム2上に旋回駆動自在に取り付けた旋回台であり、この図4の例では、旋回台3が移動式クレーンの下部構体に該当し、この下部構体(旋回台)3にジブ機構が取り付けられている。
【0006】
図5において、1は移動式クレーンの走行車輌、3は走行車輌1のフレーム2上に旋回駆動自在に取り付けた旋回台、4は旋回台3に起伏駆動自在に取り付けたブームであり、図5の例では、ブーム4が移動式クレーンの下部構体に該当し、この下部構体4(ブーム)にジブ機構5が取りつけられている。
【0007】
図4および図5に示すように、ジブ機構5は、それが取り付けられる移動式クレーンの下部構体3または4に取りつけられており、このジブ機構5は、略直線状の長手軸心線6cを持ちその基端部を大きな起仰角度で前記下部構体3または4に取り付けられた基端側ジブ6と、荷物Wに係合するフック11を昇降自在に吊下した先端部を基端側ジブ6の腹面側に延出するようにしてその基端部を基端側ジブ6の先端部に取り付けた先端側ジブ7と、その先端部が基端側ジブ6の背面側に延出するようにしてその基端部を前記基端側ジブ6の先端部に取り付けられ、前記先端側ジブ7の下方への回動に抗するよう先端側ジブ7に関連連結したアーム8と、その上端部を前記アーム8の先端部に止着連結9aされてアーム8の上方への回動を規制するアーム用ガイロープ9とを具備している。
【0008】
大きな起仰角度を持つ前記基端側ジブ6は、主としてクレーン作業時の作業揚程を確保するためのものであり、その先端部が基端側ジブ6の 腹面側に延出するようにして取り付けられた先端側ジブ(換言すれば、その基端部を基端側ジブ5の起仰角度よりも小さい起仰角度を持つようにして基端側ジブ6の先端部に取り付けられた先端側ジブ)は、主としてクレーン作業時の作業半径を確保(作業ふところを確保)するためのものである。
【0009】
なお、図4および図5において、Pは、先端側ジブ7の先端部を通る鉛直線を示す。フック11に係止した荷物Wからの負荷はこの鉛直線Pに沿って下向きに作用する。
【0010】
基端側ジブ6の長手軸心線6cの延長線と、前記鉛直線Pは、側面視において基端側ジブ7の先端側の交点12において交差している。
【0011】
ところで、このような構成を持つ従来のジブ機構5においては、アーム8の上方への回動を規制する前記アーム用ガイロープ9の下端部は、基端側ジブ6の基端部に止着連結9bされており、このため、アーム用ガイロープ9は、アーム8を介して(前記先端側ジブ7の下方への回動に抗するよう先端側ジブ7に関連連結したアーム8を介して)、先端側ジブ7の下方への回動を規制する機能のみを持っている。換言すれば、ガイロープ9は、下部構体(図4では旋回台3、図5ではブーム4)に対する基端側ジブ6の下方への回動(倒伏方向への回動)を規制する機能は持っていない。
【0012】
したがって、従来のジブ機構5においては、その上端部を基端側ジブ6の先端部に止着連結10aされ、その下端部を基端側ジブ6下端部の取り付け位置よりも後方(基端側ジブ6の背面方向)に偏寄した位置で下部構体3または4に止着連結10bした基端側ジブ用ガイロープ10が装備されており、基端側ジブ6の下方への回動(倒伏方向への回動)が、この基端側ジブ用ガイロープ10のみによって規制されるようになっている。このため、基端側ジブ用ガイロープ10には、これに対応した強度(それのみで基端側ジブの下方への回動を規制するに足る強度)が要求される。
【0013】
なお、ジブ機構5が取りつけられる下部構体をブーム4とした従来例を示す図5では、基端側ジブ6基端部が、ブーム4の先端部に固定的に取りつけられたブラケット4aに取りつけられており、前記基端側ジブ用ガイロープ10の下端部が、このブラケット4aにジブ機構5における基端側ジブ6の背面側に延出するようにして取りつけられその延出端部の上方への回動が当該延出端部とブーム4基端部間に張設した下部ガイロープ4bにより規制されたマスト4cの延出端部に止着連結10bされたものが示されている。
【特許文献1】特開2003−192271の図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
この発明は、上記した従来のジブ機構5に比して、アーム用ガイロープ9下端部の止着連結9b箇所を変更すると共に、先端側ジブ7およびアーム8の少なくとも一方の基端側ジブ6先端部への取り付け構成を変更することで、アーム用ガイロープ9に、基端側ジブ6の下方への回動(倒伏方向への回動)を規制する機能の一部あるいは全部を持たせ、これにより、上記した基端側ジブ用ガイロープ10に作用する負荷を少なくて基端側ガイロープ10関連構成の小型化を図りあるいは基端側ジブ用ガイロープ9を省略しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した課題を解決するため、本発明の移動式クレーンの下部構体に取り付けられるジブ機構は、特許請求の範囲の請求項1記載した基本的構成(以下請求項1記載の発明という)を備えている。また、この請求項1に従属する請求項2乃至請求項5記載の構成(以下請求項2乃至請求項5の発明という)を備えている。
【0016】
(請求項1記載の発明について)
上記の課題を達成するため、請求項1記載の発明では、アーム用ガイロープ9の下端部の止着連結9b箇所を、基端側ジブ6基端部の下部構体3または4への取り付け位置よりも後方へ偏寄した位置で下部構体に連結すると共に、側面視において、基端側ジブ6の長手軸心線6cの延長線と前記アーム用ガイロープ9の延長線9cが、基端側ジブ7の先端側において交差するよう、アーム8の長さ、および、アーム用ガイロープ9下端部の下部構体3または4への止着連結9b個所を設定し、且つ、前記先端側ジブ7と前記アーム8の少なくとも一方を、基端側ジブ6に対して固定的に取り付けて構成したのである。
(請求項2記載の発明について)
請求項2記載の発明は、請求項1に従属するもので、請求項1記載の発明に係るジブ機構5が取り付けられる下部構体を、走行車両1のフレーム2上に旋回駆動自在に取り付けた旋回台3に特定したものである。
(請求項3記載の発明について)
請求項3記載の発明は、請求項1に従属するもので、請求項1記載の発明に係るジブ機構5が取り付けられる下部構体を、ブーム4としたものであり、次のように構成したものである。
【0017】
即ち、下部構体が、走行車輌のフレーム上に旋回自在に取り付けた旋回台に起伏駆動自在に取りつけたブーム4であり、前記基端側ジブ6の基端部が、ブーム4の先端部に直接または当該ブーム4の先端部に固定的に取りつけられたブラケット4aに起伏自在に取り付けられており、前記アーム用ガイロープ9の基端部が、ブーム4の先端部、ブームの先端部に固定的に取りつけられたブラケット4a、または、基端側ジブ6の基端部に、基端側ジブ6の背面側に延出するようにして取りつけられたマスト4cであってその上方への回動がブーム4基端部または旋回台3との間に張設した下部ガイロープにより規制されたマスト4cの延出端部に連結されていることを特徴とする請求項1記載の移動式クレーンの下部構体に取り付けられるジブ機構。
【0018】
(請求項4記載の発明について)
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3に従属するもので、アーム用ガイロープ9に、基端側ジブ6の下方への回動(倒伏方向への回動)を規制する機能の全部を持たせ、これにより、基端側ジブ用ガイロープ10を省略しようとするものであり、次のように構成したものである。
【0019】
即ち、基端側ジブ6の長手軸心線の延長線6cと前記アーム用ガイロープ9の延長線9cの交点と、基端側ジブ6の長手軸心線の延長線6cと先端側ジブ7の先端部を通る鉛直線pの交点12が略一致するよう、先端側ジブ7の長さ、アーム8の長さ、および、アーム用ガイロープ9下端部の下部構体3または4への連結個所が設定されており、基端側ジブ6の倒伏方向への回動、および、先端側ジブ7の倒伏方向への回動を、アーム8と下部構体3または4との間に張設された前記アーム用ガイロープ9のみにより規制するよう構成してあることを特徴とする請求項1乃至3記載の移動式クレーンの下部構体に取り付けられるジブ機構。
【0020】
(請求項5記載の発明について)
請求項5記載の発明は、請求項4に従属するもので、先端側ジブ7、アーム8、および、基端側ジブ6の構成を特定したものである。
【0021】
即ち、先端側ジブ7およびアーム8が一体的に構成されており、この一体的に構成された先端側ジブ7およびアーム8が、基端側ジブ6先端部に固定的に取り付けられていることを特徴とする請求項4記載の移動式クレーンの下部構体に取り付けられるジブ機構。
【発明の効果】
【0022】
上記の如く構成した請求項1、請求項2および請求項3記載の発明に係るジブ機構5は、アーム用ガイロープ9に、基端側ジブ6の下方への回動(倒伏方向への回動)を規制する機能を負担させることができ、基端側ジブ用ガイロープ9に作用する負荷を減少あるいは基端側ジブ用ガイロープ9を省略することができるのである。
また、請求項4(請求項1乃至請求項3に従属)記載の発明に係るジブ機構5は、側面視
において、基端側ジブ6の長手軸心線の延長線6cとアーム用ガイロープ9の延長線9c
の交点と、基端側ジブ6の長手軸心線の延長線6cと先端側ジブ7の先端部を通る鉛直線
pの交点12が略一致するよう、先端側ジブ7の長さ、アーム8の長さ、および、アー
ム用ガイロープ9下端部の下部構体3または4への連結個所を設定したものであるから、
先端側ジブ7先端部を通る鉛直線Pに沿って下向きに作用する荷物Wからの負荷と、アー
ム用ガイロープ9に作用する張力のベクトル合成力が、略基端側ジブ6の長手軸心線6c
に沿って作用するので、荷重Wによる基端側ジブ6倒伏力は殆ど生じることがない。この
ため基端側ジブ用ガイロープ10を省略することができるのである。
【0023】
また、請求項5(請求項4に従属)記載の発明に係るジブ機構5は、先端側ジブ7およびアーム8を一体的に構成し、且つ、この一体的に構成された先端側ジブ7およびアーム8を、基端側ジブ6先端部に固定的に取り付けたものであるから、上記した請求項4記載の発明に係るジブ機構が持つ上記効果に加えて、ジブ機構5の構成を簡略化できるのである。
【0024】
更に、請求項1乃至請求項5記載のジブ機構5に共通するものとして下記の効果がある。すなわち、本発明のジブ機構5は、その先端側ジブ7がクレーン作業時の作業懐を確保しながら基端側ジブ6の短尺化に寄与する。従って、所要の作業懐を、短尺化した座屈強度の大きな基端側ジブ6を用いて実現でき、その分基端側ジブ6を軽量化できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明の移動式クレーンの下部構体に取り付けられるジブ機構の実施例を、図1乃至図3に基づいて説明する。
【0026】
本発明に係る移動式クレーンの下部構体に取り付けられるジブ機構は、従来のジブ機構5に比して、アーム用ガイロープ9下端部の止着連結9b箇所を変更すると共に、先端側ジブ7およびアーム8の少なくとも一方の基端側ジブ6先端部への取り付け構成を変更したことに構成上の特徴がある。したがって、以下の説明では、この変更部分を除き、図4および図5に示し上述した従来のジブ機構5で用いた符号およびその説明をそのまま援用するものとする。
【0027】
図1は本発明に係るジブ機構5が下部構体としての旋回台3に取り付けられた例を示し、図2は本発明に係るジブ機構5が下部構体としてのブーム4に取り付けられた例を示している。また、図3は、ジブ機構5の基端側ジブ6先端部への先端側ジブ7およびアーム8の他の取り付け構成を示している。
図1および図2において、アーム用ガイロープ9の下端部は、基端側ジブ6基端部の下部構体3または4への取り付け位置よりも後方へ偏寄した位置で下部構体3または4に止着連結9bしている。そして、この止着連結9b箇所は、側面視において、下端部を当該止着連結9b箇所に止着連結され上端部をアーム8の延出端部に止着連結9aされたアーム用ガイロープ9の延長(上方への延長線)が、基端側ジブ6の長手軸心線6cの延長線(基端側ジブ6先端側への延長線)と、基端側ジブ6先端側で交差するよう位置である。
なお、アーム用ガイロープ9の延長線と基端側ジブ6長手軸心線6cの延長線の、基端側ジブ6の先端側での交差実現には、アーム8の長さ(基端側ジブ6背面への延出量)も関与しているので、このアーム8の長さとの関連において上記止着連結9b箇所を設定すればよい。
また、アーム8は、基端側ジブ6に固定的取り付けられている。
このように構成(アーム用ガイロープ9の延長線が基端側ジブ6長手軸心線6cの延長線と基端側ジブ6先端側において交差するようにした構成に加えて、アーム8を基端側ジブ6先端部へ固定的に取り付けた構成)により、アーム用ガイロープ9に、先端側ジブ7の下方への回動を規制する機能に加えて、基端側ジブ6の下方への回動(倒伏方向への回動)を規制する機能を持たせることができる。
なお、図1および図2に示したジブ機構5は、アーム8を基端側ジブ6先端部へ固定的に取り付けているが、前記先端側ジブの下方への回動に抗するようアームが先端側ジブに関連連結されているので、先端側ジブ6を基端側ジブ6の先端部に固定的に取り付けてもアーム用ガイロープ9に、先端側ジブ7の下方への回動を規制する機能に加えて、基端側ジブ6の下方への回動(倒伏方向への回動)を規制する機能を持たせることができる。勿論、アーム8および先端側ジブ7の双方を、基端側ジブ6の先端部に固定的取り付けても同様の機能を持たせることができる。
アーム8および先端側ジブ7の双方を、基端側ジブ6の先端部に固定的に取り付たものの一例を、図3に示している。図3において、先端側ジブ7およびアーム8が一体的に構成されており、この一体的に構成された先端側ジブ7およびアーム8が、基端側ジブ先端部に固定的に取り付けられている。このようにした場合には、ジブ機構5の構成を簡略化できる。
また、図1および図2に示したジブ機構5は、基端側ジブ6の長手軸心線6cの延長線とアーム用ガイロープ9の延長線の交点と、基端側ジブ6の長手軸心線6cの延長線と先端側ジブ7の先端部を通る鉛直線Pの交点12が、略一致するようにしている。そして、そのようにした上で、基端側ジブ6の倒伏方向への回動、および、先端側ジブ7の下方への回動(倒伏方向への回動)を、アーム8と下部構体3または4との間に張設された前記アーム用ガイロープ9のみにより規制するよう構成し、従来技術の説明において説明した基端側ジブ用ガイロープ10を省略している。
なお、両交点を略一致させるようにするには、先端側ジブ7の長さ、アーム8の長さ、および、アーム用ガイロープ9下端部の下部構体3または4への連結個所が関与しているので、これらの組み合わせで実現すれば良い。
【0028】
上記両交点を略一致させることで、先端側ジブ7先端部を通る鉛直線Pに沿って下向
きに作用する荷物Wからの負荷と、アーム用ガイロープ9に作用する張力のベクトル合成
力が、略基端側ジブ6の長手軸心線6cに沿って作用するので、荷重Wによる基端側ジブ
6倒伏力は殆ど生じることがない。このため基端側ジブ用ガイロープ10を省略すること
ができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る移動式クレーンの下部構体に取り付けられるジブ機構の説明図である。
【図2】本発明に係る移動式クレーンの下部構体に取り付けられるジブ機構の他の例の説明図である。
【図3】本発明に係るジブ機構の先端側ジブ7およびアーム8の取り付け構成の一例を示す図である。
【図4】従来の移動式クレーンの下部構体に取り付けられるジブ機構の説明図である。
【図5】従来の移動式クレーンの下部構体に取り付けられるジブ機構の他の例の説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1;走行車輌
2;フレーム
3;旋回台(下部構体)
4;ブーム(下部構体)
4a;ブラケット
4b;下部ガイロープ
4c;マスト
5;ジブ機構
6;基端側ジブ
6c;長手軸心線
7;先端側ジブ
8;アーム
9;アーム用ガイロープ
9a;アーム用ガイロープの上端部の止着連結
9b;アーム用ガイロープの下端部の止着連結
10;基端側ジブ用ガイロープ
10a;基端側ジブ用ガイロープの上端部の止着連結
10b;基端側ジブ用ガイロープの下端部の止着連結
11;フック
W;荷物
p;先端側ジブ7先端部を通る鉛直線
12;交点
以上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に荷物に係止するフックを昇降駆動自在に吊下し、基端部を移動式クレーンの下部構体3または4に取り付けられるジブ機構5であって、略直線状の長手軸心線6cを持ちその基端部を大きな起仰角度で前記下部構体3または4に取り付けられた基端側ジブ6と、前記フックを吊下した先端部が基端側ジブ6の腹面側に延出するようにしてその基端部を前記基端側ジブ6の先端部に取り付けた先端側ジブ7と、先端部が基端側ジブの背面側に延出するようにしてその基端部を前記基端側ジブ6の先端部に取り付けられ、前記先端側ジブ7の下方への回動に抗するよう先端側ジブ7に関連連結したアーム8と、その上端部を前記アーム8の先端部に連結されてアーム8の上方への回動を規制するアーム用ガイロープ9とを備えてなるジブ機構において、
前記アーム用ガイロープ9の下端部を、基端側ジブ6基端部の下部構体3または4への取り付け位置よりも後方へ偏寄した位置で下部構体3または4に連結すると共に、側面視において、基端側ジブ6の長手軸心線6cの延長線と前記アーム用ガイロープ9の延長線が、基端側ジブ6の先端側において交差するよう、アーム8の長さ、および、アーム用ガイロープ9下端部の下部構体3または4への止着連結9b個所を設定し、且つ、前記先端側ジブ7と前記アーム8の少なくとも一方を、基端側ジブ6に対して固定的に取り付けて構成してあることを特徴とする移動式クレーンの下部構体に取りつけられるジブ機構。
【請求項2】
下部構体が、走行車輌1のフレーム2上に旋回自在に取りつけた旋回台3であることを特徴とする請求項1記載の移動式クレーンの下部構体に取りつけられるジブ機構。
【請求項3】
下部構体が、走行車輌1のフレーム2上に旋回自在に取り付けた旋回台3に起伏駆動自在に取りつけたブーム4であり、前記基端側ジブ6の基端部が、ブーム4の先端部に直接または当該ブームの先端部に固定的に取りつけられたブラケットに起伏自在に取り付けられており、前記アーム用ガイロープ9の下端部が、ブーム4の先端部、ブーム4の先端部に固定的に取りつけられたブラケット、または、基端側ジブ6の基端部に、基端側ジブ6の背面側に延出するようにして取りつけられたマスト4cであってその上方への回動がブーム4基端部または旋回台3との間に張設した下部ガイロープ4bにより規制されたマスト4cの延出端部に連結されていることを特徴とする請求項1記載の移動式クレーンの下部構体に取り付けられるジブ機構。
【請求項4】
基端側ジブの長手軸心線6cの延長線と前記アーム用ガイロープ9の延長線の交点と、基端側ジブ6の長手軸心線の延長線6cと先端側ジブ7の先端部を通る鉛直線Pの交点12が、略一致するよう、先端側ジブ7の長さ、アーム8の長さ、および、アーム用ガイロープ9下端部の下部構体3または4への止着連結9b個所を設定しており、基端側ジブ6の倒伏方向への回動、および、先端側ジブ7の倒伏方向への回動を、前記アーム用ガイロープ9のみにより規制するよう構成してあることを特徴とする請求項1乃至3記載の移動式クレーンの下部構体に取り付けられるジブ機構。
【請求項5】
先端側ジブ7およびアーム8が一体的に構成されており、この一体的に構成された先端側ジブ7およびアーム8が、基端側ジブ6先端部に固定的に取り付けられていることを特徴とする請求項4記載の移動式クレーンの下部構体に取り付けられるジブ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−44905(P2006−44905A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230976(P2004−230976)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】