説明

移動式温水循環暖房システム

【課題】 中央集中制御の温水循環暖房システムに於いて、各放熱器を所望位置に自在に移動可能とする。

【解決手段】 1台の熱源機に複数の放熱器を連結配設する温水循環暖房システムに於いて、放熱部2を露出した放熱パネル1を天井面CSから移動可能に吊下げ、放熱部2を、ループ管2Sを介して天井に配置したサプライ管S及びリターン管Rに接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1台の熱源機に複数の放熱パネルを連結した温水循環暖房システムであって、放熱パネルを天井のレールに沿って移動可能に吊下げたものであり、学校の演習室や倉庫などの広いスペースで使用する暖房システムである。
【背景技術】
【0002】
1台の熱源機に複数の放熱器(放熱パネル)を連結して、各放熱器毎に制御操作する温水循環暖房システムは、従来慣用されてはいるが、温水循環暖房システムにあって、各放熱器を個々に移動自在としたものは存在しない。
また、熱源を内臓した移動式の暖房器は、従来例1や従来例2等で公知である。
【0003】
従来例1は、特許文献1として挙げたものであって、図7(A)に示すものである。
即ち、従来例1の暖房機は、灯油暖房器であり、図7(A)に示す如く、暖房器本体の床面から出没自在なキャスターと、キャスターを暖房器本体の床面から突出状態で固定する手段とを備えたものであって、暖房器本体の内部に、上下動自在に設けた移動部材の下端にキャスターを取付けて、移動部材の上下動でキャスターの出没を可能とし、暖房器の手掛け部に配置した操作レバーによって、リンク機構を介して移動部材のキャスター突出位置での係止及び解除を行うものである。
【0004】
従来例2は、特許文献2として挙げたものであって、図7(B)に示すものである。
即ち、従来例2の暖房器は、図7(B)に示す如く、キャスターを備えた脚体上にハウジングを立設し、ハウジング内には、中央にヒーターを備えた潜熱蓄熱体を配置し、下面の外気導入口から外気を導入し、潜熱蓄熱体外周の通風路で加熱された空気を、ハウジング頂部のスリットシャッターから放出させる移動式潜熱蓄熱暖房器であって、電気を熱源とするものである。
【特許文献1】特開平8−247477号公報
【特許文献2】特開2000−314538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来例1(図7(A))の灯油暖房器にあっては、下記の問題がある。
(イ).キャスター移動のため、床面が平滑であることが必須で、床面に段差があれば持ち上げての移動となる。
(ロ).狭い部屋での暖房用であって、広いスペースでの暖房に際しては、局所的な暖房となり、主暖房とは成り得ない。
(ハ).床面への止着、解除操作で床材に損傷を与える。
(ニ).段差床面での移動時の、傾斜又は持ち上げにより、灯油がこぼれる可能性がある。
【0006】
従来例2(図7(B))の電気暖房器にあっては、キャスター移動のため、従来例1の上記(イ)、(ロ)の問題点があり、更に、人との接触によって、移動や転倒の恐れがある。
また、複数台を使用する際には、各熱源のバッテリー電気の消費状況によって、暖房機能の維持のための、充電移動が必須となり、メンテナンスが煩雑である。
本発明は、温水循環暖房システムに於いて、温水循環放熱器を移動式とすることにより、従来例1,2の移動式暖房器の問題点を、解決又は改善するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の移動式温水循環暖房システムは、図1に示す如く、1台の熱源機に複数の放熱パネルを配設する温水循環暖房システムであって、放熱部2を露出した放熱パネル1を天井面CSから移動可能に吊下げ、放熱部2を、ループ管2Sを介して天井に配置したサプライ管S及びリターン管Rに接続したものである。
尚、放熱部2の「露出」の意味は、放熱部から輻射熱が、障害無しに放散出来る形態を意味する。
また、サプライ管(往き管)S及びリターン管(戻り管)Rは、慣用の温水循環暖房システム同様に、中央のボイラー等の熱源から天井内に延展配管すれば良い。
【0008】
この場合、図1(B)に示す如く、ループ管2Sは、放熱パネル1の、温水供給口と天井内のサプライ管Sとを、温水排出口と天井内のリターン管Rとを、共に、放熱パネル1の移動に追従可能に接続する管路であり、典型的には、長さ20mまでの移動伸長に耐えられる、サンエー(株)製のT13(商品番号)のステンレス製スパイラルパイプを採用すれば良い。
また、放熱パネル1の吊下げ形態は、放熱パネル1の下端縁が床面と間隔を保った形態であれば良く、放熱パネル1は、典型的には、高さh1が2400mm、長さL1が1200mmであって、床面FSと間隔(d2)100mm保って移動するものである。
【0009】
従って、本発明の暖房システムにあっては、放熱パネル1が、ループ管2Sの伸長量(標準:20メートル)の範囲内で自由に移動出来るため、例えば、学校の演習室等の、広いスペース内で、必要位置に簡単に移動出来、主暖房として活用出来ると共に、補助暖房としても活用出来る。
そして、該放熱パネル1は、温水循環タイプであるため、暖房は、人に優しい自然対流暖房、プラス、輻射熱暖房となり、循環温水で加熱された放熱部2の表面温度が、接触しても火傷しない温度(標準:40〜60℃)であっても、ぽかぽか感のある、人体に優しい暖房を提供する。
【0010】
しかも、放熱パネル1は床面FSと適度な間隔(標準:100mm)を保って移動出来るため、学校の演習室等、床面FS上に小物が散在していても、或いは、床面FSに段差や不陸、或いは、排水用の勾配、が存在していても、支障無く所望位置に移動出来、広いスペース内の必要位置での暖房を可能とする。
そして、放熱パネル1は、温水循環パネルであるため、放熱パネル1の放熱部2の全面が温度差の無い加熱体となり、対象空間への均斉な暖房作用を提供し、放熱パネル1の移動直後でも、放散輻射熱が暖房作用を提供する。
【0011】
また、本発明の移動式温水循環暖房システムにあっては、図1(B)に示す如く、天井面CSにレール6Aを配置し、上下位置を調整自在に吊下げた放熱パネル1を、ランナー6Bを介してレール6Aに沿って移動可能とするのが好ましい。
この場合、レール6Aの配置は、天井面CSにブラケットを介して直接配置する場合も、或いは、天井の無い場合の、小屋組み材に支持金具を介してレール6Aを配置する場合も含むものであり、「天井面CS」は、部屋空間の天井域を含む広い意味である。
【0012】
従って、天井面CSに予めレール6Aを配置さえしておけば、放熱パネル1は、レール6Aに沿った自由移動の放熱器となり、レール6Aは、例えば図1(A)に示す如く、壁面に沿った部分にも、壁面と直交する部分にも、或いは複数本並行形態に配置しておけば、例え広いスペースに対しても、放熱パネル1の必要位置への必要個数の配置が可能となり、広いスペースでの必要個所の省エネルギー暖房も可能となる。
しかも、放熱パネル1は、所望位置に移動して、上下位置の調整をすることにより、学校の演習室等、広いスペース空間でも、例えば、床面に座っている人、又はテーブル上での作業者等は、放散輻射熱による所望の局所暖房が有効に利用出来る。
【0013】
また、本発明の放熱パネル1は、例えば図2(A)に示す如く、ターンバックル5Bを介して調整自在とした前後2本の吊ロープ5Aでランナー6Bに吊下げるのが好ましい。
この場合、「前後」2本の吊ロープ5Aとは、図1(B)に示す、パネル1がループ管2Sを伸ばして進む方向の「前」と、パネル1がループ管2Sを収納する戻り方向の「後」の2本の吊ロープを指し、長さL1が1200mmのパネル1にあって、吊ロープ5Aは、典型的には、パネル1の前端及び後端から200mm位置に配置した各吊環4Eに、前側吊ロープ5A及び後側吊ロープ5Aを取付ける。
【0014】
従って、放熱パネル1の上下吊下げ位置の調整は、ターンバックル5Bでの調整で自在であり、吊ロープ5Aが前後の2本のみであるため、各吊ロープ5A対応の前後ランナー6Bは、常に吊ロープ5Aと同一対応位置を占め、放熱パネル1がレール6Aの曲面部Rを通過する際にも、前後ランナー6Bは前後吊ロープ5Aと対応して走行し、放熱パネル1の移動をスムーズに達成する。
【0015】
また、本発明にあっては、放熱パネル1が、図6(C)に示す如く、パネル側端縁に磁石4Mを備えた複数の放熱パネル1を吊下げているのが好ましい。
この場合、各放熱パネル1は、相互に磁石4Mの磁力で接合するため、広いスペースを放熱パネル1相互の接合によるカーテン状の仕切りが形成出来、広いスペースの放熱パネル1による簡易間仕切が自在に形成出来て、利用者の広い室内スペースの使用形態に応じた効率的暖房、及び好みの区画空間の形成が可能となる。
【0016】
また、本発明の移動式温水循環暖房システムにあっては、図5に示す如く、放熱部2がプラスチック製の大径の上端横パイプ2Aと下端横パイプ2A間に、小径の縦パイプ2B群を連通配置した全プラスチック製であり、各縦パイプ2B間の間隔gBが縦パイプ外径dBより小であるのが好ましい。
この場合、大径の横パイプ2A及び小径の縦パイプ2Bは、ポリプロピレン.ランダム.コポリマー樹脂(PP−R樹脂)製で良く、典型的には、横パイプ2Aは、外径dAが27mm、肉厚5mmであり、縦パイプ2Bは、外径dBが13mm、肉厚1.6mmであって、横パイプ2A、縦パイプ2B共、表面に厚さ0.4mmの塗膜層(着色層)を備えたPP−R樹脂の2層押出成形品である。
【0017】
そして、上下横パイプ2Aと縦パイプ2B群との連通融着は、特開2007−247869号公報に開示された熱融着接合方法で実施すれば良い。
また、外径13mmの縦パイプ2B群を、中心間寸法20mmで上下横パイプ2Aに融着連通すれば、各縦パイプ2B間の間隔gBは7mmに形成出来、間隔gB(7mm)が縦パイプ外径dB(13mm)より小となる。
【0018】
従って、放熱部2は、小径の縦パイプ2B群の小間隔(標準:7mm)での多数本(標準:57本)配置となって、発熱効率の高い、しかも軽量な放熱パネル1の製作が可能となる。
そして、縦パイプ2B間の間隔gB(標準:7mm)が小さいため、発熱効率の向上と共に、放熱パネル1は、プライバシー保護機能すら備えたパーテイションとなる。
尚、放熱部2の各横パイプ2A及び縦パイプ2Bを表面に塗膜層(標準:0.4mm)を備えた2層成形品とすれば、各プラスチックパイプ2A,2Bの紫外線劣下が低減出来ると共に、きれいな色彩のパーテイション機能も期待出来る。
【0019】
また、本発明放熱パネル1にあっては、放熱部2は、図5(A)に示す如く、上端横パイプ2Aの右端から、サプライ管Sを介して右端の縦パイプ2Bに降下流水f2を供給し、下端の横パイプ2Aには、左方への横流水f3を、縦パイプ2B群には上昇流水f4を、上端横パイプ2Aには右方への横流水f5を供給し、上端横パイプ2Aの上部に平行延設した小径横パイプ2Dの左端で全温水を受容して小径横パイプ2Dの右端からリターン管Rに返流するのが好ましい。
【0020】
この場合、上下端の横パイプ2Aは、それぞれ縦パイプ2B群を連通一体化して流路機能を奏すると共に、放熱部2のフレーム機能を奏するものであるから、剛直大径(標準:外径27mm、肉厚5mm)パイプであるが、上端横パイプ2Aの上部に延設する小径横パイプ2Dは、単なる流路機能のみを奏するため、縦パイプ2Bと同一パイプ材を用いれば良く、小径横パイプ2Dは、大径の上端横パイプ2Aの左端で連通し、右端では、サプライ管Sの近接位置でリターン管Rと接続すれば良い。
【0021】
従って、天井内に配置したサプライ管Sからの加熱温水f1は、放熱部2の右端縦パイプ2Bを降下すれば、下端横パイプ2A内を流れると共に、下端横パイプ2Aから一斉に縦パイプ2B群を上昇するため、放熱部2を均斉に斑無く加熱し、広い放熱面(標準は、長さ(L2):1160mm、高さ(h2):2304mm)を、均等に、自然対流放熱面として加熱し、全面均等な輻射熱放散面とする。
そして、上端の小径横パイプ2Dは、大径横パイプ2Aの右端でリターン管Rと接続するため、放熱パネル1の移動を許容するためのループ管2Sの配置始末も、放熱パネル1の右端上部で合理的に実施出来る。
【0022】
また、放熱部2にあっては、例えば図5(B),(C)に示す如く、下端横パイプ2Aの両端を閉止板2Mで閉止し、上端横パイプ2Aの右端では、閉止板2Mと流路仕切板2Nとで、サプライ管Sと右端縦パイプ2Bを連通し、上端横パイプ2Aの左端では、閉止板2Mにエアー抜き具3を突設すると共に、左端縦パイプ2Bの上端に整合して小径横パイプ2Dの左端を上端横パイプ2Aに連通するのが好ましい。
【0023】
この場合、閉止板2M及び流路仕切板2Nは、横パイプ2Aと同一プラスチック材(標準:PP−R樹脂)の5mm厚板を採用し、融着接合すれば良い。
また、上端横パイプ2Aの左端の閉止板2Mには、エアー抜き具3を突設するが、エアー抜き具3を開放しなければ、上端横パイプ2Aの左端は流路閉止端となる。
【0024】
また、図5(C)に示す如く、サプライ管Sと右端縦パイプ2B、及びリターン管Rと小径横パイプ2Dとの連通は、典型的には、予め上端横パイプ2Aの閉止板2Mと仕切板2Nとの間に、縦パイプ2Bを切断して準備した接続パイプ片2E(標準長:125mm)を突出形成しておき、小径横パイプ2Dの右端は、屈曲継手2Pを介して、縦パイプ2Bで準備した接続パイプ片2D´を突出して、各接続パイプ片2E,2D´をループ管2Sを介してサプライ管S及びリターン管Rに接続する。
【0025】
従って、放熱部2の循環水路形成は、同材質の、各プラスチックパイプと閉止板2M、仕切板2Nの熱融着作業で容易に形成出来、放熱パネル1の移動に応じて追従可能な、サプライ管Sとリターン管Rとは、放熱パネル1の上端の右端上での、1ヶ所での始末が可能となって、ループ管2Sがコンパクトに配置出来る。
そして、循環温水から発生する空気(気泡)の溜り易い上端横パイプ2Aの左端にはエアー抜き具3があるため、温水循環暖房に於いて、循環機能及び熱伝達機能の障害となる発生空気(気泡)は、必要に応じて(標準:2ヶ月に1回)エアー抜き出来、均斉な温水循環のためのメンテナンスも簡便に実施出来る。
【0026】
また、エアー抜き具3は、図4(A)に示す如く、プラスチック製筒片であって、内端を上端横パイプ2Aの閉止板2Mの貫通孔HMの外周に固着し、内側挿入用孔H3”にナット3Nを配置し、外側挿入用孔H3´にはゴム座金3Dを配置してボルト3Bをナット3Nに締着するのが好ましい。
この場合、放熱パネル1の側枠Fsには、エアー抜き具3に対応する孔を配置し、エアー抜き具3の外端面E3が、放熱パネル1の側枠Fsから突出しない形態とすれば良い。
尚、この場合、エアー抜き具3は、閉止板2Mと同一材料(PP−R樹脂)製として、閉止板2Mと熱融着すれば良い。
【0027】
従って、エアー抜き具3は、上端横パイプの閉止板2Mとの 融着接続と出来、上端横パイプ2Aの熱膨張変位にも、閉止板2Mと共に追従出来るため、エアー抜き具3の接続部で亀裂を生ずることなく、漏水の怖れも無い。
しかも、エアー抜き操作は、放熱パネル1の側枠Fsから治具を挿入してボルト3Bを弛緩すれば、ゴム座金3Dとエアー抜き具3との間に隙間が生じ、上端横パイプ2Aの空気溜り部位Zaからのエアー抜きが簡便に実施出来、放熱部2の定期的(2ヶ月毎)な空気抜きメンテナンスが容易となる。
【0028】
また、本発明の放熱パネル1は、図6に示す如く、前面四方枠FBと後面四方枠FAとの嵌合重合形態で放熱部2の四周を被覆保護すると共に、図3(A)に示す如く、放熱部2の上端横パイプ2Aをフック4Nで上枠Fuから吊下げ支持し、且つ上枠Fu上面に吊環4Eを付設するのが好ましい。
この場合、前面四方枠FBは、上枠材4B、下枠材4B´、両側枠材4B”を、共にアングル鋼材で一体化し、後面四方枠FAも、上枠材4A、下枠材4A´、両側枠材4A”を、共にアングル鋼材で一体化し、後面四方枠FAを前面四方枠FB内に、各枠材が重なる形態に嵌合して、各枠材の重合部をねじ止着すれば良い。
【0029】
尚、必要に応じて、後面四方枠FAの側枠材4A”間、又は前面四方枠FBの両側枠材4B”間に、幅止材4Dを付設すれば、大面積のパネル(標準:長さ1200mm、高さ2400mm)に充分な強度が付与出来る。
この場合、典型的には、前面四方枠FBの上下左右各枠材4B,4B´,4B”は、各0.8mm厚で、一辺が50mmのアングル鋼材であって、例えば、(株)アカギ製の規格ブラケット等、慣用のコーナー接続具でねじ組立てし、後面四方枠FAの上下左右各枠材4A,4A´,4A”は、各2mm厚で、一辺40mmのアングル鋼材を、慣用のコーナー接続具でねじ組立てしたものである。
【0030】
従って、放熱パネル1の枠体4は、表裏両面からの放熱部2への嵌合被覆であるため、サプライ管S及びリターン管Rへの接続片を突出した放熱部2も、簡便に被覆出来、放熱パネル1の枠体4は、内側枠材と外側枠材との重合形態となるため、各枠材が軽量薄鋼材であっても、上枠Fu、下枠Fd、両側枠Fs共、必要強度が確保出来、フック4Nの取付け、及び吊環4Eの取付けが可能となる。
しかも、放熱部2は、大径の上端横パイプ2Aのフック4Nでの吊下げ支持となるため、プラスチック製放熱部2の熱による伸長も、支障無く吸収出来る。
【0031】
また、放熱パネル1は、後面四方枠FAの上枠材4Aが側面に通気孔Haを定間隔で備え、側枠Fs間に差し渡し横設したセパレータ4Cが放熱部2の縦パイプ2B群の一側面を当接支持しているのが好ましい。
この場合、セパレータ4Cは、各縦パイプ2Bの側面から当接するものであり、典型的には、図6(E),(F)に示す如く、0.8mm厚で、幅20mmの水平辺と幅30mmの垂直辺から成るアングル鋼材であって、水平辺には、各縦パイプ2B当接用の半円状の嵌合孔Hbを備え、後面四方枠FAの側枠材4A”間に差し渡し配置したものである。
【0032】
従って、放熱パネル1は、セパレータ4Cが枠体4の補強機能を奏すると共に、縦パイプ2B群を側面から当接支持するため、放熱部2の枠体内での吊下げ状態での横ぶれ揺動も抑制する。
そして、セパレータ4Cは、放熱部2に対する一側面からの当接であるため、放熱部2に対する枠体4の組付け作業は容易であると共に、縦パイプ2Bに沿った加熱上昇流の廻り込み上昇を許容して、加熱空気溜りの発生も抑制出来る。
そして、枠体4の背面側の上枠材4Aも適所に通気孔Haを備えているため、放熱部2の上部での熱溜りが生じない。
そのため、放熱パネル1は、放熱部2からの、自然対流による暖房機能を充分に発揮出来、且つ輻射熱放散による暖房機能も充分に発揮出来る。
【0033】
また、放熱パネル1の枠体4は、セパレータ4Cを配置した後面四方枠FAと、幅止材4Dを配置した前面四方枠FBとを嵌合一体化し、後面四方枠FAの側枠材4A”の外面には、図4(B)に示す如く、位置保持用の断面コ字状のガイド材4Fを配置し、ガイド材4Fの下端は取付板片4F´で保持筒Ftとし、該保持筒Ftで落し棒4Gを係脱自在に保持するのが好ましい。
尚、保持筒Ftは落し棒4Gを案内し、且つ保持出来れば良く、落し棒4Gは保持筒Ftでの案内の下に床面の落し穴に差し込み形態としても良いが、典型的には、図4に示す如く、落し棒4Gは、平坦な床面FS上に当接するものである。
この場合、落し棒4Gの下端には、摩擦抵抗の大なキャップCr(標準:ゴムキャップ)を嵌合すれば良い。
【0034】
従って、放熱パネル1の枠体4は、放熱部2の一側面側にはセパレータ4Cを、他側面には幅止材4Dを備えているため、軽量な薄鋼板材製であるが、放熱部2のガタツキを抑制し、且つ必要強度を備えたものとなり、パネル1の組付けも簡便である。
そして、ガイド材4Fを枠体4の裏側、即ち壁面側に備えているため、放熱パネル1を壁面WSと、例え当接形態で配置しても、断面コ字状のガイド材4Fが、壁面WSと枠体4との空間維持材として機能し、枠体4の上部背面、即ち上枠材4Aの外側面の通気孔Ha群によって上枠Fu内の加熱空気が排出出来、放熱パネル1の壁面WS側での加熱空気溜りの発生を抑制する。
しかも、ガイド材4Fの下端の、保持筒Ft内での、落し棒4Gの落し込みによって、放熱パネル1は、落し棒4Gの下端と床面FSとの摩擦接触により、下端での揺動が抑制出来、位置固定出来る。
【発明の効果】
【0035】
本発明の暖房システムにあっては、放熱器として機能する放熱パネル1が、ループ管2Sの伸長量の範囲内で自由に移動出来るため、広いスペース内で所望位置に自在に移動出来、主暖房として活用出来ると共に、補助暖房としても活用出来る。
そして、該放熱パネル1は、温水循環タイプであるため、暖房は、人に優しい自然対流暖房と、露出放熱部2からの輻射熱放散暖房との総和暖房となり、温水循環で加熱された放熱部2の表面温度が、人手に触れても火傷しない温度であっても、ぽかぽか感のある、人に優しい暖房を提供する。
【0036】
また、放熱パネル1は、吊下げ形態であって、床面FSと適度な間隔(標準:100mm)を保った移動であるため、学校の演習室等、床面FS上に小物が散在していても、或いは、床面FSに小段差や、排水のための勾配が存在していても、支障無く、所望位置に移動出来る。
【0037】
しかも、放熱パネル1が自然対流暖房であるため、即ち強制吹出し空気流を生じないため、移動位置での、書類の吹き飛ばしや、ほこりの吹き上げを生ずることが無く、安心して位置設定出来、人手に触れても火傷しないことと相俟って、広いスペース内での安心、安全な暖房を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
〔放熱部2(図5)〕
図5(A)は放熱部2の正面図、図5(B)は(A)図のB部拡大説明図、図5(C)は、(A)図のC部拡大説明図である。
図5(A)に示す如く、放熱部2は、大径の上端横パイプ2Aと大径の下端横パイプ2A間に、小径の縦パイプ2B群を連通融着し、上端横パイプ2Aの左端にはエアー抜き具3を連設し、小径横パイプ2Dを、上端横パイプ2Aの左端に連通して横パイプ2Aの上面で延展し、上端横パイプ2Aの右端部位では、サプライ管Sと連通するための接続パイプ片2Eを上端横パイプ2Aから上方へ突出し、小径横パイプ2D端からは、L型継手2Pを介して、リターン管Rと連通するための接続パイプ片2D´を接続パイプ片2Eの近接位置から上方へ突出したものである。
【0039】
上端及び下端の大径横パイプ2Aは、外径27mm、肉厚5mmに、縦パイプ2Bは、外径13mm、肉厚1.6mmに、共に、同一のPP−R樹脂(ポリプロピレン.ランダム.コポリマー樹脂)の押出成形で、且つ、共に、表層が0.4mm厚の顔料着色塗膜層となるように、2層押出成形で準備する。
また、小径横パイプ2D、接続パイプ片2E,2D´は、縦パイプ2B材で準備し、大径横パイプ2Aに止着する厚さ5mmの閉止板2M、仕切板2N、及びL型継手2P、エアー抜き具3も、PP−R樹脂の射出成形で準備する。
【0040】
エアー抜き具3は、図4(A)に示す如く、長さが21mm、外径が15mmの円筒状で、後端にはナット3N嵌入用の、径9.2mm、深さ4mmの挿入用孔H3”を、前端には径10mm、深さ8mmの挿入用孔H3´を、中間部には、径8mmの貫通孔H3を備えた射出成形品である。
そして、同一材料(PP−R樹脂)製の各パイプ2A,2B,2D、及びエアー抜き具3の連通接合は、特開2007−247869号公報に開示された熱融着接合方法で実施すれば良い。
【0041】
放熱部2の寸法・形態は、図5(A)に示す如く、上下横パイプ2Aの長さL2が1160mm、上下横パイプ2A間の芯間高さh2が2304mmで、各縦パイプ2Bの中心間寸法Paが20mm、各縦パイプ2B間の間隔(スペース)gPが7mmとし、上端横パイプ2Aの右端では、図5(C)に示す如く、厚さ5mmの閉止板2Mを端面に配置し、右端縦パイプ2Bと次の縦パイプ2Bとの間で横パイプ2Aに仕切板2Nを配置し、上端横パイプ2A右端の閉止板2Mと仕切板2Nとの間から接続パイプ片2Eを上方へ連通突出(標準:125mm突出)する。
【0042】
そして、上端横パイプ2Aの左端では、図4(A)に示す如く、中央に径8mmの貫通孔を、その外面に径15.5mm、深さ1mmの浅穴を備えた二段貫通孔HMを穿設した厚さ5mmの閉止板2Mを融着配置し、二段貫通孔HMに芯合せして、エアー抜き具3を、ナット3N(対向寸:9.2mm、厚さ4mm)を挿入用孔H3”に封入して、二段貫通孔HMの浅穴に嵌合熱融着し、エアー抜き具3の外側から、挿入用孔H3´に、径9.5mm、厚さ2mmのゴム座金3Dを介して、ボルト3B(ボルト頭は、径9.5mm、厚さ3.7mmの六角頭、ねじ部は、径4mm、長さ15mm)をナット3Nに締着して、横パイプ2A端面からの漏水を阻止し、放熱パネル1の稼動中に、ボルト3Bを外部から治具で弛めれば、二段貫通孔HMからゴム座金3Dと挿入用孔H3´との隙間を介して、横パイプ2A左端に滞留したエアーが抜ける構造とする。
【0043】
また、上端横パイプ2Aの上面に延展する小径横パイプ2Dは、縦パイプ2Bと同一パイプ材であって、左端では、図4(A)に示す如く、左端縦パイプ2Bに整合して、L型継手2Pを大径横パイプ2A上面に融着配置し、左端を該継手2Pに嵌合連通し、右端では、図5(C)に示す如く、継手2Pに嵌合連通し、継手2Pから接続パイプ片2D´を接続パイプ片2Eと同レベルまで上方に突出しておく。
また、下端横パイプ2Aの両端は、単に、厚さ5mmの閉止板2Mを融着固定しておく。
【0044】
従って、放熱部2は、エアー抜き具3のボルト3Bを閉止した状態で、図5(A)の如く、接続パイプ片2Eから降下流水f1を供給すれば、右端縦パイプ2B内の降下流水f2→下端横パイプ2A内の横方向流水f3→縦パイプ2B群の上昇流水f4→上端横パイプ2A内の横方向流水f5→小径横パイプ2D内の横方向流水f6→接続パイプ片2D´からのリターン管Rへの上昇流水f7と、温水を循環させる構造となる。
【0045】
〔枠体4(図6)〕
枠体4は、上枠Fu、下枠Fd、及び両側枠Fsで放熱部2を保護し、且つ保持するものであって、前面側の四方枠FBと背面(後面)側の四方枠FAとを、放熱部2を前後から挟む形態で嵌合一体化し、上枠Fu、下枠Fd、両側枠Fsは、共に前面四方枠FBと後面四方枠FAの各枠材の重合形態で構成したものであり、図6(A)は、枠体4の前面四方枠FB側の正面図、図6(B)は、枠体4の後面四方枠FA側の正面図、図6(C)は枠体4の側面図、図6(D)は枠体4の上面図、図6(E)は(A)図のE−E線断面図、図6(F)は(A)図のF−F線断面図、図6(G)は、(A)図のG−G線断面図である。
【0046】
前面四方枠FBは、後面四方枠FAに被覆重合する寸法であって、0.8mm厚で、一辺の幅wbが50mmのアングル鋼板の上枠材4B、下枠材4B´、両側枠材4B”を、図6(A)の如く、慣用の連結ブラケット材を用いてねじ止着して前面四方枠FBとしたものであり、高さh1が2400mm、左右長L1が1200mmであり、0.8mm厚でフランジ幅が10mm、ウエブ幅が20mmのコ字状幅止材4Dを、図6(A),(F)の如く、両側枠材4B”間の適所に差し渡し固定して補強したものである。
【0047】
また、後面四方枠FAは、前面四方枠FB内に背面から内側に嵌合して、前面四方枠FBと共に放熱部2を挟着形態で保護するものであり、2mm厚で一辺の幅waが40mmのアングル鋼板の、上枠材4A、下枠材4A´、両側枠材4A”を慣用のブラケット材を採用してねじ接合した四方枠であって、上枠材4Aの垂直辺部には、図3(C)に示す如く、幅7mm、長さ30mmの、通気用の長孔Ha群を、20mm間隔で穿孔配置しておき、両側枠材4A”間には、差し渡し状に、上下適所(標準:幅止材4D対応位置)に、図6(F)に示す如く、0.8mm厚で、幅20mmの立下り辺CVと、縦パイプ2B挿通用の半円状嵌合孔Hbを間隔(Pa)20mmで配置した幅30mmの水平辺CHから成る、断面L状鋼板製のセパレータ4Cを固定する。
【0048】
また、側枠材4A”の外面には、図6(E)に示す如く、0.8mm厚の鋼板で、フランジ幅10mm、ウエブ幅20mmの、断面コ字状のガイド材4Fを、枠体4の後面と壁面WSとの間に、対流隙間d1(標準:10mm)を維持するために、側枠材4A”の上下に亘って取付ける。
また、ガイド材4Fの下端には、図4に示す如く、取付板片4F´を固着して保持筒Ft(標準:100mm長の保持角筒)を形成すると共に、ガイド材4Fの保持筒Ftの上方位置(標準:200mm上方)で、ガイド材4Fのウエブ4Wに係止孔HGを形成しておく。
【0049】
また、前面四方枠FBに後面四方枠FAを枠幅W1が60mmに嵌入重合した際には、上枠Fu、下枠Fd、側枠Fsに幅Ww(30mm)の重合補強部が形成出来、図6(G)に示す如く、後面四方枠FAの、幅40mmの上枠材4Aと、前面四方枠FBの、幅50mmの上枠材4Bとも重層形態となって、中央部に幅Wwが30mmの2層重合部が形成される。
そして、該幅Ww(30mm)の重層補強部を備えた上枠Fuには、枠体4の両端から200mm位置に吊環4E取付孔HEを、放熱部吊下げ用のフック4N挿入用孔HNは、両端から150mm位置、及び中間に300mm間隔で計4ヶ所、接続パイプ片2E用の挿入用孔H2は、右端から40mm位置に、接続パイプ片2D´用の挿入用孔H2´は挿入用孔H2から50mm離して、おのおの、予め各四方枠の上枠材4A,4Bに対応穿設しておく。
また、後面四方枠FAの上枠材4Aの側面垂直辺部には、図3(A),(C)に示す如く、換気用の通気孔Ha(標準:幅7mm、長さ30mm)を20mm間隔で連続形成しておく。
また、重合して側枠Fsを形成する側枠材4A”,4B”の、エアー抜き具3配置位置にも、エアー抜き具3の上下動対応可能に、孔HSを対応穿孔しておく。
【0050】
〔放熱パネル1の組立(図3、図5)〕
図3(A)に示す如く、放熱部2を後面四方枠FA内に、各縦パイプ2B群をセパレータ4Cの嵌合孔Hbに嵌合形態で、4ヶ所のフック4Nに係止して、接続パイプ片2E,2D´を上面に突出させた形態で収納し、次いで、前面四方枠FBを後面四方枠FAに被覆形態で嵌合して、各フック4Nを上枠Fuの幅Wwの2層重合部にナット4N´で螺着し、後面四方枠FAと前面四方枠FBとの、上枠材4A,4B、下枠材4A´,4B´、側枠材4A”,4B”の2層重合部の適所をねじ止めし、吊環4Eを取付孔HEを介して固着する。
この場合、エアー抜き具3が、側枠Fsの孔HSに対向、且つ孔HSから突出しない形態で、前面四方枠FBと後面四方枠FAとを、各2層重合部でのねじ固着により一体化する。
また、両側枠Fsの外端面には、図6(C)の如く、適宜位置に、慣用の磁石4Mを配置する。
【0051】
〔放熱パネル1の使用(図1)〕
図1(A)は、レールの配置形態を示し、図1(B)は放熱パネル1の取付状態図である。
放熱パネル1を採用する建物には、図2(A)に示す如く、温水循環システム暖房での、サプライ管S及びリターン管Rを、慣用の吊ローラー7A、吊ボルト7B手法で、天井内に配置し、天井面CSには、それ自体慣用のランナー6Bを備えたレール6Aを配置し、ランナー6Bと放熱体吊環4Eとを、ターンバックル5Bを介在する吊ロープ5Aで連結し、放熱パネル1の、接続パイプ片2Eをサプライ管Sに、接続パイプ片2D´をリターン管Rに、それぞれ、伸長量20mmのステンレス製ループ管2Sで接続連通し、下枠Fdと床面FSとの間隔d2を100mmに、ターンバックル5Bで調整する。
また、図4に示す如く、側枠Fsの外面側のガイド材4F下端の保持筒Ftには、頂部に係止突片4G´を備え、下端にゴムキャップCrを嵌めた落し棒4Gを、係止突片4G´が係止孔HGに係合した状態で配置する。
【0052】
従って、該放熱パネル1は、天井内のサプライ管S及びリターン管Rで温水循環しながら、天井レール6Aに沿って移動出来、停止位置では、必要に応じて、落し棒を係止孔HGから外して保持筒Ft内に落し込めば、落し棒4Gは、下端のゴムキャップCrでの床面FSとの摩擦により、放熱パネル1の自由揺動が抑制出来る。
そして、放熱パネル1を壁面WSに沿って配置しても、ガイド材4Fが壁面WSと放熱パネル1との空間d1(標準:10mm)を保持して、加熱空気の上昇、及び上枠Fu内の通気孔Haを介した加熱空気の排気を許容し、空気溜りを抑制する。
また、放熱パネル1の側枠Fs相互の磁石4Mでの接合により、複数枚の放熱パネル1によるパーティション形成も出来る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明放熱パネルの使用状態説明図であって、(A)は上面図、(B)は正面図である。
【図2】放熱パネルの説明図であって、(A)は正面図、(B)は横断面図である。
【図3】放熱パネルの部分説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)は横断面図、(C)は上枠の換気構造説明図、(D)はセパレータ斜視図である。
【図4】放熱パネルの部分説明図であって、(A)はエアー抜き具配置構造説明図、(B)はガイド材4Fの下部斜視図、(C)は落し棒の側面図、(D)は落し棒の係止状態説明図である。
【図5】放熱部の説明図であって、(A)は正面図、(B)は、(A)図のB部拡大図、(C)は、(A)図のC部拡大図である。
【図6】枠体の説明図であって、(A)は正面図、(B)は背面図、(C)は側面図、(D)は上面図、(E)は、(A)図のE部横断面図、(F)は、(A)図のF部縦断面図、(G)は、(A)図のG部縦断面図である。
【図7】従来例図であって、(A)は従来例1の正面図、(B)は従来例2の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 放熱パネル(放熱体)
2 放熱部
2A 横パイプ
2B 縦パイプ
2D 小径横パイプ
2D´,2E 接続パイプ片
2M 閉止板
2N 仕切板
2P 継手
2S ループ管
3 エアー抜き具
3B ボルト
3D ゴム座金
3N ナット
4 枠体
4A,4B 上枠材
4A´,4B´ 下枠材
4A”,4B” 側枠材
4C セパレータ
4D 幅止材
4E 吊環
4F ガイド材
4F´ 取付板片
4G 落し棒
4G´ 係止突片
4M 磁石
4N フック
4N´ ナット
4W ウエブ
5A 吊ロープ
5B ターンバックル
6A レール
6B ランナー
7A 吊ローラー
7B 吊ボルト
Cr キャップ(ゴムキャップ)
CS 天井面
FA 後面四方枠
FB 前面四方枠
Fd 下枠
Fs 側枠
FS 床面
Ft 保持筒(保持角筒、角筒)
Fu 上枠
H2,H2´,H3´,H3”,HN 挿入用孔
H3 貫通孔
Ha 通気孔(長孔)
Hb 嵌合孔
HG 係止孔
HE 取付孔
HM 二段貫通孔(貫通孔)
R リターン管
S サプライ管
WS 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1台の熱源機に複数の放熱パネルを配設する温水循環暖房システムであって、放熱部(2)を露出した放熱パネル(1)を天井面(CS)から移動可能に吊下げ、放熱部(2)を、ループ管(2S)を介して天井に配置したサプライ管(S)及びリターン管(R)に接続した、移動式温水循環暖房システム。
【請求項2】
天井面(CS)にレール(6A)を配置し、上下位置を調整自在に吊下げた放熱パネル(1)を、ランナー(6B)を介してレール(6A)に沿って移動可能とした、請求項1の移動式温水循環暖房システム。
【請求項3】
放熱パネル(1)をターンバックル(5B)を介して調整自在とした前後2本の吊ロープ(5A)でランナー(6B)に吊下げた、請求項1又は2の移動式温水循環暖房システム。
【請求項4】
放熱パネル(1)がパネル側端縁に磁石(4M)を備えた複数の放熱パネル(1)を吊下げた、請求項1、又は2、又は3の移動式温水循環暖房システム。
【請求項5】
放熱部(2)がプラスチック製の大径の上端横パイプ(2A)と下端横パイプ(2A)間に、小径の縦パイプ(2B)群を連通配置した全プラスチック製であり、各縦パイプ(2B)間の間隔(gB)が縦パイプ外径(dB)より小である、請求項1乃至4のいずれか1項の移動式温水循環暖房システム。
【請求項6】
放熱部(2)は、上端横パイプ(2A)の右端から、サプライ管(S)を介して右端の縦パイプ(2B)に降下流水(f2)を供給し、下端の横パイプ(2A)には、左方への横流水(f3)を、縦パイプ(2B)群には上昇流水(f4)を、上端横パイプ(2A)には右方への横流水(f5)を供給し、上端横パイプ(2A)の上部に平行延設した小径横パイプ(2D)の左端で全温水を受容して小径横パイプ(2D)の右端からリターン管(R)に返流する、請求項1乃至5のいずれか1項の移動式温水循環暖房システム。
【請求項7】
下端横パイプ(2A)の両端を閉止板(2M)で閉止し、上端横パイプ(2A)の右端では、閉止板(2M)と流路仕切板(2N)とで、サプライ管(S)と右端縦パイプ(2B)を連通し、上端横パイプ(2A)の左端では、閉止板(2M)にエアー抜き具(3)を突設すると共に、左端縦パイプ(2B)の上端に整合して小径横パイプ(2D)の左端を上端横パイプ(2A)に連通した、請求項6の移動式温水循環暖房システム。
【請求項8】
エアー抜き具(3)は、プラスチック製筒片であって、内端を上端横パイプ(2A)の閉止板(2M)の貫通孔(HM)の外周に固着し、内側挿入用孔(H3”)にナット(3N)を配置し、外側挿入用孔(H3´)にはゴム座金(3D)を配置してボルト(3B)をナット(3N)に締着する、請求項7の移動式温水循環暖房システム。
【請求項9】
放熱パネル(1)は、前面四方枠(FB)と後面四方枠(FA)との嵌合重合形態で放熱部(2)の四周を被覆保護すると共に、放熱部(2)の上端横パイプ(2A)をフック(4N)で上枠(Fu)から吊下げ支持し、且つ上枠(Fu)上面に吊環(4E)を付設した、請求項1乃至8のいずれか1項の移動式温水循環暖房システム。
【請求項10】
放熱パネル(1)は、後面四方枠(FA)の上枠材(4A)が側面に通気孔(Ha)を定間隔で備え、側枠(Fs)間に差し渡し横設したセパレータ(4C)が放熱部(2)の縦パイプ(2B)群の一側面を当接支持している、請求項1乃至9のいずれか1項の移動式温水循環暖房システム。
【請求項11】
放熱パネル(1)の枠体(4)は、セパレータ(4C)を配置した後面四方枠(FA)と、幅止材(4D)を配置した前面四方枠(FB)とを嵌合一体化し、後面四方枠(FA)の側枠材(4A”)の外面には、位置保持用の断面コ字状のガイド材(4F)を配置し、ガイド材(4F)の下端は取付板片(4F´)で保持筒(Ft)とし、該保持筒(Ft)で落し棒(4G)を係脱自在に保持した、請求項9又は10の移動式温水循環暖房システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−276003(P2009−276003A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128262(P2008−128262)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(396027108)株式会社テスク (68)
【出願人】(304017753)株式会社ユニ (7)
【Fターム(参考)】