説明

移動端末における較正時間情報の転送

移動端末101内で未較正時間情報を較正する方法システムが開示される。端末は、較正済みシステム(衛星測位システム)によって搬送される較正済み時間情報を抽出することができる信号を受信可能な受信器203と、未較正の安定したシステム(セル通信システム)によって搬送される未較正時間情報を抽出することができる信号を受信可能な受信器200とを有する。較正済みシステムから抽出される較正済み時間情報と未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の時間オフセットは、未較正の安定したシステムからの信号が利用可能であり、未較正の安定したシステムからの信号の移動時間が既知であるか又は求められ、且つ較正済みシステムからの信号が利用可能である第1の端末位置において求められる。第2の端末位置において未較正の安定したシステムの信号から抽出される未較正時間情報は、第2の端末位置において未較正の安定したシステムからの信号の既知の又は決定された移動時間と求められた時間オフセットとから較正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、較正済み一次クロックが利用可能ではないが一次クロックから事前に較正されていた二次クロックを用いることができる状況において、正確な時間情報を提供することが必要とされるシステムに関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、送信源からの受信信号に基づく測位システムを用いた移動端末内での時間情報の転送に関する。特に関心のあるのは、衛星測位システム(全地球測位システム、すなわちGPS等)及び地上無線ネットワークの両方から受信した無線信号を用いる移動端末である。
【背景技術】
【0003】
1つ又はそれ以上の送信器から受信された信号を用いて移動無線端末を測位する技術は、長年にわたり幅広く用いられてきた。このようなシステムは、特に受信器の位置を特定する目的で配備された送信器の地上ネットワーク(例えばLoran)及び衛星ネットワーク(例えばGPS及びGalileo)、並びにセルラー式移動電話ネットワーク(例えばWO−A−97−11384)又はTV及び無線送信器ネットワーク(例えばEP−A−0303371)などの汎用無線ネットワークを用いる方式を含む。
【0004】
例えば、セルラー式移動電話ネットワーク内では、端末の位置は、サービス中の送信器と端末との間の時間遅延、サービス中の隣接する送信器から受信される信号強度、又は受信信号の入射角等の情報によって増強されるサービス中のセルのアイデンティティに基づくことができる。2つ又はそれ以上の送信源から端末で受信される信号の観測到達時間差(OTDA)を用いて、改善された位置を得ることができる。
【0005】
OTDA法は、セルラー無線ネットワーク内で利用可能な信号だけを用いて良好な位置精度を与える。しかしながらこれらの方法は、測位方程式を解くために求められることになる送信器間の正確な伝送時間オフセットを必要とする。これは、追加の受信器を有する位置測定ユニットユニット(LMU)用いて行うことができる。LMUは、これらのOTDA測定値をネットワークタイミングモデルに直接変換可能であるように(例えばWO−A−00−73813を参照)既知の地点に配置される。
【0006】
或いは、例えば未知の位置にある地理的に異なる2つの端末が、既知の位置にある幾つかの地理的に異なる送信器からの信号の測定を行い、これを用いて、LMUを必要とせずに各端末の位置及び測定される送信器間の全てのタイミングオフセットの両方を計算することができるといった技術(WO−A−00−73814を参照)を用いてもよい。
【0007】
GPS等の衛星測位システムは、受信器が十分な衛星信号を受信できる条件の下で正確な解をもたらす。衛星信号は、例えばGPS時間又は協定世界時、すなわちUTC等の世界的に定義された標準時間の共通時間基準に関連付けられている。例えばGPS内では、衛星群中の各衛星は、その時間が連続して測定され且つ地上にある単一の基準クロックと比較される安定原子クロックを有する。各衛星クロックの時間は、基準クロックとの整合及び2つのクロック間の時間差を記述する3パラメータ生成モデルへと誘導される。3パラメータは、衛星にアップロードされ、衛星によりクロック補正パラメータとして同報通信される。これは、パラメータに基づいて補正がなされた後に、衛星クロックを地上ベースの基準クロックと緊密に整合させる効果を有する。衛星測位システムは、受信器のアンテナが明瞭な上空視界を有する状況では良好に動作するが、屋内又は上空の視野が遮られている場合には動作が不十分であるか、或いは全く動作しない。別の問題は、これらのシステムは、コールドスタートから「最初の決定」を達成するのに時間を要する点であり、従って、衛星信号を連続的に追跡している時に最も良く動作する。
【0008】
(従来技術)
これらの問題を克服する試みにおいて、衛星測位システムに「支援」を提供する様々な提案がなされてきた。例えばUS−A−5,663,735は、GPS端末内の追加の受信器に標準時間又は周波数を有する追加の無線信号を供給し、この標準時間又は周波数を用いてデータビットの到達時間に対してGPS時間を求めることを開示している。別の実施例(WO−A−99−47943を参照)では、移動セルラー電話ネットワークは、基地送信器局(BTS)でGPS信号を受信し、該基地送信器局(BTS)が移動電話の位置を算出することができるように適合されている。
【0009】
別の開発(US−A−2002−0168988を参照)においては、GPSユニットは、通常移動通信システムの一部である基準信号受信器を含む位置決定システム(PDE)を有し、該基準信号受信器によって受信される基準信号の一部がPDEに送信され、GPSユニットの動作を支援するのに用いることができる追加のタイミングデータを提供する。
【0010】
リンクを介した支援データの送信は、長年にわたり当該技術分野において公知である。最も初期の実施例の1つは1986年に提供されている。ホワイトサンズミサイル発射場インターフェース管理文書は、双方向通信リンクを介しての位置通報を開示しており、これにより、WGS84フォーマットで定義される場合のある測地座標基準フレームに基づく疑似範囲又は計算地点のいずれかの転送が可能となった。射程アプリケーションジョイントプログラムへの入札希望者に対して米国政府が発行した1986年のICD GPS 150では、とりわけ、衛星軌道、暦及び時間情報の送信による移動GPS受信器へのサポートを組込んだ。1986年以降、双方向データリンクにより移動GPS受信器をサポートするこれらのデータフォーマットの実際の使用が行われてきた。
【0011】
衛星測位システム受信器に支援データを提供することにより、その性能を高めることができる。更に、正確なタイミング支援は、関連するチップセットの複雑さを軽減させる。支援データは、3つの要素、すなわち、(a)衛星情報、(b)時間補助、及び(c)受信器位置推定のうちの全て又は一部を含むことができる。
【0012】
衛星情報を得るために衛星信号を継続的に監視する1つ又はそれ以上の基準受信器にリンクされたサーバによって衛星情報が提供される方法は、当該技術分野において公知である。GPSシステムでは、この情報はまた、衛星信号を受信できるときは常に該衛星信号からGPS受信器によって直接得ることもできる。時間補助は、ネットワーク信号から得ることができ、そのタイミングは、ネットワークベース装置によって事前に衛星時間基準に関連付けられている。受信器位置の推定は、OTDAに基づくもの等のネットワーク測位法を用いて得ることができる。当該技術分野のあらゆる場合において、支援データは移動セルラーネットワークによって提供されているデータチャネルを用いてGPS受信器に送信される。
【0013】
本出願人のWO−A−00−73813及びWO−A−00−73814(これらは引用により本明細書に組み込まれる)では、セルラー無線ネットワークにおける送信器間のタイミング関係を定義するタイミングモデルを構築し維持する通信システム及び方法を記載している。このシステムはまた、受信器の位置を計算する。このようなシステムの1つ又はそれ以上の送信器からの信号のタイミングをGPS時間基準にリンクさせることにより、このネットワークタイミングモデルを用いて、ネットワーク内のあるあらゆる送信器から送信される信号のGPS時間基準に対するタイミングを推測し、これによりタイミング支援情報をGPS受信器に提供することができる。位置推定もGPS受信器に提供することができる。
【0014】
支援システムを説明する他の引例には、US−A−6,429,815、US−A−2002−0075942、US−A−2002−0068997、US−A−2002−0123352、WO−A−02−091630、及びWO−A−01−33302が含まれる。
【0015】
US6445927(King他)では、端末内に搭載されているGPSセットから得られるGPS位置情報に対して、移動端末によって行われる基地局からの通信信号の到達時間の測定を用いて、通信ネットワーク内の基地局の地点を計算するための方法が記載されている。最も重要な特徴は、解を見つける前に、端末が最低限3つの地理的に同一でない地点に位置する必要があることである。本発明は基地局の地点は問題ではなく、これは本方法の範囲内で当該情報が得られるためである。
【0016】
US6603978号(Carlsson他)では、トラフィック及び制御チャネルが必ずしも同期しているとは限らないアクティブコールセッション中の無線通信信号を介して移動端末内に設置されたGPS受信器に時間情報支援を提供する方法及び装置が提供される。本発明とは異なり、これはネットワーク内の基地局に付随する位置測定ユニット(LMU)及びGPS受信器を用いて達成され、時間オフセットは通信チャネルを介して移動端末に送信される。
【0017】
US2002/0168988A1(Younis)で公開された特許出願では、タイミング支援は、端末及びネットワーク内の1つ又はそれ以上の受信器の両方において受信される基準信号(例えば公共放送信号)を用いることによって移動端末内のGPSセットに提供される。端末は、GPS補助情報に対する要求と共に、受信した基準信号のスニペットをネットワークベースの計算ノードに送信し、ここで基準信号に対する時間オフセットが求められる。この時間オフセットは端末に返信され、端末は該情報を用いてGPS信号を収集する。上述のように、本発明はネットワーク内のどのようなGPS時間オフセットも計算せず、また通信リンクを介してこのような情報を送信することもない。
【0018】
更に本発明は、通信リンクを介して基準信号のスニペットを送信しない。
【0019】
従って要約すれば、衛星測位技術を用いて移動受信器を位置特定するための現行のシステムは、セルラー移動無線ネットワークのサービス中の基地局から受信される(「ダウンリンク」)信号等の別の信号のタイミングに基づく正確な時間補助が提供されると改善することができる。時間補助は、所与の衛星信号を検出するために衛星測位受信器が探索しなければならない時間オフセット範囲を低減するよう衛星測位受信器によって用いられる。正確な時間補助を生成するには、衛星測位システムの衛星信号(衛星時間基準)と、セルラーネットワークのダウンリンク信号との間の時間関係が既知であることが必要である。タイミングは、本出願人のWO−A−00−73813及びWO−A−00−73814に説明されているように、固定の既知の地点に設置されたLMU又はネットワークベースのシステムのいずれかを用いて測定及びリンクすることができる。次いで、ネットワーク内の1つ又はそれ以上のGPS LMUを用いて、ネットワークタイミングとGPS時間基準との間のオフセットを求めることができる。従ってこのような事例では、時間補助は、移動端末が適正に装備された地上無線ネットワークにアクセスできる場合にのみ利用可能である。更に、ネットワーク内及びネットワークと移動端末との間の両方で著しい量の信号送信及びメッセージ送信が必要とされる。
【0020】
較正済み時間情報、すなわちGPS時間又はUTC等の基準時間に正確に関連付けられる時間情報は、多くの目的に用いることができる。上述したこれらのうちの1つは、信号到達時間の不確実性を低減し、従って信号を検出するために受信器が探索しなければならない時間オフセット範囲を削減することにより、GPS又は他の衛星測位受信器が特定の衛星からの信号を自動追尾するのを支援することである。較正済み時間情報の別の用途は、超長基線電波干渉計におけるものであり、この場合、基線(長さを数千kmとすることができる)のいずれかの端部にある2つの電波天文受信器が互いに受信器帯域幅の逆数に等しい時間精度(すなわち5MHzの帯域幅で約200ns)内に同期されていなければならない。
【0021】
【特許文献1】WO−A−97−11384公報
【特許文献2】EP−A−0303371公報
【特許文献3】WO−A−00−73813公報
【特許文献4】WO−A−00−73814公報
【特許文献5】US−A−5,663,735公報
【特許文献6】WO−A−99−47943公報
【特許文献7】US−A−2002−0168988公報
【特許文献8】US−A−6,429,815公報
【特許文献9】US−A−2002−0075942公報
【特許文献10】US−A−2002−0068997公報
【特許文献11】US−A−2002−0123352公報
【特許文献12】WO−A−02−091630公報
【特許文献13】WO−A−01−33302公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明により、時間補助情報を生成するネットワークベースの装置、及び従来技術で示されたように時間補助をサポートするのに必要とされる信号送信/メッセージ送信の必要性が排除される。時間支援信号送信が排除される改善により、無線トラフィックの容量が増大し、堅牢なタイミング支援能力が得られる。本出願人は、移動端末が衛星時間基準とネットワークタイミングとの間の関係を自律的に求めることが可能となる機能をどのように移動端末内に組込むことができるかを明らかにする。
【0023】
特に、端末とネットワークとの間の双方向通信は必要な特徴ではない点に留意されたい。本発明によるシステム設定は、端末をネットワークに登録する必要がなく、或いはどのようなメッセージも送信する必要もなくネットワークからの同報通信信号のみを用いて実行することができる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の第1の態様によれば、較正済みシステムによって搬送される較正済み時間情報を抽出することができる信号を受信可能であり、未較正の安定したシステムによって搬送される未較正時間情報を抽出することができる信号を受信可能な1つ又はそれ以上の受信器を有する移動端末内の未較正時間情報を較正する方法であって、未較正の安定したシステムからの信号が利用可能であり、該未較正の安定したシステムからの信号の移動時間が既知であるか又は求められ且つ較正済みシステムからの信号が利用可能である第1の端末位置において、較正済みシステムから抽出される較正済み時間情報と未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の時間オフセットを求める段階と、第2の端末位置において受信される未較正の安定したシステムの信号から抽出される未較正時間情報を、第2の端末位置における未較正の安定したシステムからの信号の既知の又は求められた移動時間と前記求められた時間オフセットとから較正する段階とを含む方法が提供される。
【0025】
本発明はまた、較正済みシステムによって搬送される較正済み時間情報を抽出することができる信号を受信可能であり、未較正の安定したシステムによって搬送される未較正時間情報を抽出することができる信号を受信可能な1つ又はそれ以上の受信器を有する移動端末内の未較正時間情報を較正するシステムであって、未較正の安定したシステムからの信号が利用可能であり、未較正の安定したシステムからの信号の移動時間が既知であるか又は求められ且つ較正済みシステムからの信号が利用可能である第1の端末位置において、較正済みシステムから抽出される較正済み時間情報と未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の時間オフセットを求める時間オフセット定量手段と、第2の端末位置において受信される未較正の安定したシステムの信号から抽出される未較正時間情報を、第2の端末位置における未較正の安定したシステムからの信号の既知の又は求められた移動時間と前記求められた時間オフセットとから較正する較正手段とを備えるシステムを含む。
【0026】
従って本発明は、端末が1つの位置から別の位置に移動するときに、例えば衛星ベースの位置決定システムを助けるために端末内における較正済み時間情報の転送を可能にする。
【0027】
時間情報の転送は、較正済み時間情報が必要とされているが一次較正済み時間基準が利用可能でない場合のどのような目的にも用いることができる。例えば、較正済みシステムは、GPS等の衛星測位システムの時間基準とすることができ、受信器によって衛星から受信される信号を用いて、UTC等の較正済み時間を求めることができる。或いは、較正済みシステムは、例えば水晶ベース又は原子時計であるローカルの時間基準であってもよい。未較正の安定したシステムは、十分に長い期間にわたって有効(安定)な状態を維持する時間情報を提供することができる、あらゆるシステム又はデバイスとすることができる。例えば、通信ネットワークの1つ又はそれ以上の送信器によって送信される信号は、通常優れたコヒーレンス特性を示す高品質発振器から得られるのでこの目的のために用いることができ、これらの信号自体は、ネットワーク内の中心点から配信される共通基準信号に固定される場合が多い。特定の事例では、衛星信号が遮蔽され、歪みが生じ、或いは利用不可能であるがネットワーク信号は依然として受信することができる場合に正確な時間情報が必要とすることができる。
【0028】
移動端末は、ネットワークから送信される支援なしで、すなわち地上ネットワーク内に設置される別のインフラストラクチャ、又は移動端末に時間情報を伝達するのに通常必要とされるオーバーヘッドの通信及び信号送信のいずれも必要とせずに自律的に動作することができる。
【0029】
或いは移動端末は、通信リンクを介して端末に接続されたサーバによって支援することができる。後で説明するように、サーバは、未較正の安定したシステムからの未較正時間情報を抽出するために必要な計算を実行することができる。この事例では、リンクを介して搬送されるメッセージは較正済み時間情報を伝達せず、特に従来技術とは対照的に、衛星時間ベースの時間又はUTC等のユニバーサル時間を抽出することができるものは何もない点に留意されたい。
【0030】
送信器及び端末の両方の位置が既知である場合、第1及び第2の端末位置において未較正の安定したシステムから受信される信号の移動時間を求めることができる。送信器位置はデータベースから得ることができ、又は未較正の安定したシステムからの信号の1つ又はそれ以上からデコードすることができ、或いは別の送信器からの信号から得てもよい。第1及び第2の端末位置の両方における端末位置は、何らかの好都合な手段によって、例えば上述の測位システムの1つを用いることによって得ることができる。
【0031】
サービス中の送信器からの信号の往復移動時間は通常、通信ネットワークの端末の範囲内で近似的に既知であり、これはサービス中の基地局が送信する信号に同期した端末からの信号を該基地局が受信するように、端末はその内部タイミングをこの移動時間量だけ進める必要があるためである。幾つかのシステムでは、端末がそのタイミングを進める必要がある時間量は、タイミングアドバンス(TA)値と呼ばれる。従って、未較正の安定したシステムがサービス中の送信器であるこの事例では、未較正時間情報の較正を実行するために端末位置を知る必要はないものとすることができる。
【0032】
時間オフセットの定量は当技術分野で公知であり、どのような好都合な手段で実行してもよい。例えば、較正済みシステム及び未較正システムからの信号内の特定の時間マーカの到達の間に経過する時間は、端末内のクロックで測定することができ、次いで、上述のように送信器と端末との間の送信遅延に対して補正を加えることができる。
【0033】
場合によっては、この較正済み時間オフセットを1つの未較正安定システムから別の未較正安定システムに渡すことができることは有利である。これは、例えば、第1の未較正の安定したシステムは、使用する第1のネットワーク送信器からの信号は利用可能ではないが、第2のネットワーク送信器からの信号は受信することができる場合とすることができる。
【0034】
本発明の第2の態様によれば、較正済みシステムによって搬送される較正済み時間情報を抽出することができる信号を受信可能であり、第1及び第2の未較正の安定したシステムによって搬送される未較正時間情報を抽出することができる信号を受信可能な1つ又はそれ以上の受信器を有する移動端末内の未較正時間情報を較正する方法であって、第1の未較正の安定したシステムからの信号が利用可能であり、第1の未較正の安定したシステムからの信号の移動時間が既知であるか又は求められ且つ較正済みシステムからの信号が利用可能である第1の端末位置において、較正済みシステムから抽出される較正済み時間情報と、第1の未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の第1の時間オフセットを求める段階と、第1及び第2の未較正の安定したシステムからの該信号は利用可能であり、第1及び第2の未較正の安定したシステムからの信号の移動時間が既知であるか又は求められる第2の端末位置において、第1の未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報と第2の未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の第2の時間オフセットを求める段階と、第3の端末位置において受信される第2の未較正の安定したシステムの信号から抽出される未較正時間情報を、第3の端末位置における第2の未較正の安定したシステムからの信号の既知の又は求められた移動時間と第1及び第2の求められた時間オフセットとから較正する段階とを含む方法が提供される。
【0035】
本発明は更に、較正済みシステムによって搬送される較正済み時間情報を抽出することができる信号を受信可能であり、第1及び第2の未較正の安定したシステムによって搬送される未較正時間情報を抽出することができる信号を受信可能な1つ又はそれ以上の受信器を有する移動端末内において未較正時間情報を較正するシステムであって、第1の未較正の安定したシステムからの信号は利用可能であり、第1の未較正の安定したシステムからの前記信号の移動時間が既知であるか又は求められ且つ較正済みシステムからの信号が利用可能である第1の端末位置において、較正済みシステムから抽出される較正済み時間情報と、第1の未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の第1の時間オフセットを求める時間オフセット定量手段と、第1及び第2の未較正の安定したシステムからの信号は利用可能であり、第1及び第2の未較正の安定したシステムからの信号の移動時間が既知であるか又は求められる第2の端末位置において、第1の未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報と、第2の未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の第2の時間オフセットを求める時間オフセット定量手段と、第3の端末位置において受信される第2の未較正の安定したシステムの信号から抽出される未較正時間情報を、第3の端末位置における第2の未較正の安定したシステムからの信号の既知の又は求められた移動時間と前記第1及び第2の求められた時間オフセットとから較正する較正手段とを備えるシステムを含む。
【0036】
本発明の両方の態様において、較正済みシステム及び未較正システムからの信号を受信するために場合によっては異なる受信器を用いることができる。別の事例では、統合された汎用受信器を用いることができる。同様に、2つの未較正の安定システムからの信号を受信するための受信器は、同一のものとすることができ、或いは異なる受信器であってもよい。例えば、第1の未較正の安定したシステムは、GSM移動通信ネットワークの1つ又はそれ以上の送信器が備えることができ、第1の受信器を必要とし、第2の未較正の安定したシステムは、広帯域CDMA又は他のシステム等の異なるネットワークの1つ又はそれ以上の送信器が備えることができ、別の第2の受信器を必要とする。2つの未較正の安定したシステム、例えば2つのGSM送信器に対して同一の種類のネットワーク要素が用いられる場合には、これらの各々に対して同一の受信器を用いることができるようになるが、送信器自体は、2つの異なるネットワーク(例えば競合するキャリア)又は異なる周波数帯域(例えばヨーロッパの二重帯域GSMネットワークの場合では900MHzと1800MHz)で動作する同一のネットワークの要素とすることができる。
【0037】
第1の未較正システムが通信ネットワーク内にある端末のサービス中の送信器である事例では、タイミングアドバンス(TA)又は往復移動時間を知ることができる。従って、較正済みシステムと第1の未較正システムとの間の第1の時間オフセットを測定するために端末位置を知る必要がない場合がある。第2の未較正システムが別のサービス中の送信器である(第1の送信器がもはやサービス中の送信器でないように端末が移動している)事例では、2つの送信器間の伝送時間オフセットが既知であるか、又は求めることができる条件下では、端末の位置を知ることなく新しいサーバのTA又はRTTTを用いることが可能である。これは、例えば、本発明に従って行われた前述の算出が2つの送信器に対するエントリーを含む端末内で伝送時間オフセットのリストをもたらしている場合とすることができる。
【0038】
第1又は第2の未較正の安定したシステムの一方又は両方は、移動端末内部で動作するクロックがあり、これを用いて短期間の間較正済み時間を保持することができる。この事例では、クロックは、保持期間中にもたらされる誤差が問題とならない程小さくなるように十分に安定性がなければならない。この事例では、第2の端末位置はまた、第1の端末位置と同じとすることができる。
【0039】
上述のように、較正済みシステムは衛星測位システムとすることができ、前記又は各未較正の安定したシステムは、通信ネットワークの1つ又はそれ以上の送信器とすることができる。従って本発明は、この特定の事例、特に通信ネットワークの信号からの較正済み時間情報マークを提供するための「同期マーカ」の使用を含む。本発明のこの態様は、本出願人のWO−A−00−73813及びWO−A−00−73814で記載されているネットワークベースの測位法を用いる。
【0040】
地上ネットワーク内の送信源からの信号と時間基準を有する衛星測位システムの衛星からの信号とを受信することができ、較正済み時間情報が同期マーカによって搬送される移動端末内で使用するための本発明の第1の態様による方法は、事前の端末位置において、地上ネットワーク内の複数の送信源から端末によって受信される信号の時間、位相、又は周波数における第1の基準に対する相対オフセットを測定する段階と、第1の端末位置において、同一の送信源から端末によって受信される信号の時間、位相、又は周波数における第2の基準に対する相対オフセットを測定する段階と、送信源によって送信され且つ端末によって受信される信号の伝送時間オフセットを第3の基準に対して算出する段階と、相対伝送時間オフセットのリストを構築する段階と、第1の端末位置を算出する段階と、を更に含み、時間オフセットは第3の基準と衛星測位システムの時間基準との間で求められ、前記方法が更に、第2の端末位置において衛星時間基準の時間情報を求めることが必要とされるときには、地上ネットワーク内の複数の送信源のうちの少なくとも3つから端末によって受信される信号の時間、位相、又は周波数における第3の基準に対する相対オフセットを測定し、端末の第2の位置を求め、伝送時間オフセットのリストの1つ又はそれ以上の要素、第2の端末位置、及び第3の基準と衛星測位システムの時間基準との間の時間オフセットを用いて衛星測位システムの時間基準に対する同期マーカを生成する段階とを含むことができる。
【0041】
本発明の第2の態様に従って較正済み時間情報として用いるための同期マーカを生成するために、同様の段階のセットを実行することができることは明らかである。
【0042】
従って、地上ネットワーク内の送信源からの信号と時間基準を有する衛星測位システムの衛星からの信号とを受信することができ、較正済み時間情報は同期マーカによって搬送される本発明の第2の態様による方法は更に、事前の端末位置において、地上ネットワーク内の複数の送信源から端末によって受信される信号の時間、位相、又は周波数における第1の基準に対する相対オフセットを測定する段階と、第1の端末位置において、同一の送信源から端末によって受信される信号の時間、位相、又は周波数における第2の基準に対する相対オフセットを測定する段階と、送信源によって送信され且つ端末によって受信される信号の伝送時間オフセットを第3の基準に対して算出する段階と、相対伝送時間オフセットのリストを構築する段階と、第1の端末位置を算出する段階と、を更に含み、時間オフセットは、第3の基準と衛星測位システムの時間基準との間で求められ、前記方法が更に、衛星測位システムからの信号が損なわれたか又は利用可能でない第2の端末位置において、地上ネットワーク内の同一又は他の送信源のうちの少なくとも1つから端末によって受信される信号の時間、位相、又は周波数における第4の基準に対する相対オフセットを測定する段階と、送信源によって送信され且つ端末によって受信される信号の伝送時間オフセットを第5の基準に対して算出する段階と、相対伝送時間オフセットのリストを構築する段階と、第2の端末位置を算出する段階と、を含み、時間オフセットが第5の基準と第3の基準との間で求められ、前記方法が更に、第3の端末位置において衛星時間基準の時間情報を求めることが必要とされるときには、地上ネットワーク内の送信源のうちの少なくとも3つから端末によって受信される信号の時間、位相、又は周波数における第5の基準に対する相対オフセットを測定し、端末の前記第3の位置を求め、伝送時間オフセットのリストの1つ又はそれ以上の要素、第2の端末位置、第3の端末位置、第5の基準と第3の基準との間の時間オフセット、及び第3の基準と衛星測位システムの時間基準との間の時間オフセットを用いて衛星測位システムの時間基準に対する同期マーカを生成する段階と、を含むことができる。
【0043】
第1、第2、第3、第4、及び第5の基準、又はこれらのあらゆる組合せは、実際には同じ基準であってもよい。基準は、受信器によって受信された信号とすることができ、又は、例えば水晶発振器によってローカルに生成することができる別の信号であってもよい。例えば、端末によってサービス中のセルから受信された信号を基準として用いることができ、他のセルから受信された信号のタイミングは、この基準に対して測定することができる。或いは、短期間にわたって十分な安定性のある内部クロックを基準として用いることができる。
【0044】
また、端末位置のいずれかにおいて求められた位置は、衛星信号の収集を支援するために提供することができる。
【0045】
地上ネットワーク内の送信源から端末によって受信される信号の時間、位相、又は周波数におけるあらゆる基準に対する相対オフセットの測定は、ネットワークによって同報通信される信号単独のものとすることができ、すなわち端末がネットワークに信号を送信する必要はない。送信源のネットワークが通信ネットワークである場合、端末をネットワークに登録する必要はない。
【0046】
同期マーカはどのような好都合な手段によっても実装することができ、例えば、電気信号又はクロックオフセットメッセージとして与えることができる。同期マーカを用いて、GPS等の衛星測位システムで従来から用いられている探索ウィンドウの配置を決定することができる点を理解されたい。
【0047】
送信源から受信される信号の時間、位相、又は周波数におけるあらゆる基準に対する相対オフセットを測定する段階は、それぞれの送信源によって送信される信号の各々における信号パターンを用いて行うことができる。本出願人のWO00/73813及びWO00/73814において説明しているように、送信源が通信ネットワーク、例えばGSM又はWCDMAの要素である場合において、信号パターンは制御チャネル上で同報通信される同期バーストとすることができ、又は送信されるデータストリームにおけるフレーム境界とすることができる。
【0048】
相対伝送時間オフセットのリストは、第3又は第5の基準に対して測定される信号パターンの伝送時間のリストである。第3又は第5の基準の確立は、このリストをこのように構築する段階に必然的に含まれており、これに対して伝送時間オフセットが表現される。例えば第3の基準は、選択された送信器によって特定の信号パターンが送信される時間とすることができ、又は全ての算出される伝送時間オフセットの平均値を取ることによって構築することができる。
【0049】
事前及び第1の端末位置での測定は、相対伝送時間オフセット及び移動端末位置を構築するために明確に区別される第1及び第2の時間において行われるが、この機能は、2セットの測定の使用だけに限定されず、必要に応じて2つより多くを用いることができる。実際には、ノイズ又は多重伝搬の影響を低減させるために測定の平均を取ることが有利であることが多い。
【0050】
衛星時間基準をネットワーク信号のタイミングにリンクするのに用いられる測定は、第3の時間において行われ、これは、第1及び第2の測定時間とは独立している。測定は連続して行う必要はないので、第3の時間は第1又は第2の時間と同じ、或いは第1及び第2の時間のいずれか又は両方の前後とすることができる。第3の時間と第1又は第2の時間との間には1対1の対応関係では無く、各々は必要に応じていつでも行うことができる。
【0051】
伝送時間オフセットリストの1つ又はそれ以上の要素に対する衛星測位システムの時間基準の時間オフセットの測定は、衛星時間基準に対する時間関係が既知であるか、又は求めることができる衛星から受信される信号の時間マーカを用いて行うことができる。当該衛星信号の時間マーカの到達時間の差分、及びネットワーク伝送時間オフセットを設定するのに用いられる信号パターンの1つ又はそれ以上を測定することができ、これらを用いて、送信源のリストの第3の基準及び衛星時間基準の時間オフセットを確立することができる。
【0052】
同期マーカの精度を改善するために、衛星測位システムの時間基準と伝送時間オフセットリストの第3の基準との間の時間オフセットを別の第3の時間において測定して、例えば平均を取ることによってこの測定値を組合せることが可能である。
【0053】
ネットワーク送信器によって送信される信号の伝送時間オフセットリストを端末によって受信されるそれぞれの信号のタイミング測定値から計算する方法は、本出願人の先願のWO−A−00−73813及びWO−A−00−73814で説明されている。更に、WO−A−00−73814で記載されているように、これらのタイミング測定は、端末がネットワークの周りを移動する際に異なる時間において単一の端末から得ることができる。
【0054】
上述の説明から、本発明を用いて、ネットワークに基づく計算ノードとのどのような相互作用も無く端末において時間転送を行うことができる点は明らかであろう。しかしながら、本出願人のWO−A−00−73813及びWO−A−00−73814の場合によれば、伝送時間オフセット及び位置の算出に必要とされる計算は、端末内で容易に実行するには多大すぎる可能性があるため、この目的のためにネットワークベースの計算ノードを用いるのが有利とすることができる。別の利点は、ある端末が容易に利用可能ではないネットワーク内の他の端末によって行われた測定値を利用することによって算出の精度を向上させることができる点である。
【0055】
地上ネットワーク内の送信源からの信号、及び時間基準を有する衛星測位システムの衛星からの信号を受信することができる移動端末内で使用するため、移動端末が通信リンクを介して端末に接続されたサーバによって支援され、サーバが未較正の安定したシステムからの未較正時間情報の抽出に必要な計算を実行し、較正済み時間情報が同期マーカによって搬送される方法が更に、第1の端末位置において、地上ネットワーク内の複数の送信源から端末によって受信される信号の時間、位相、又は周波数における相対オフセットを測定する段階と、測定値を計算ノードに送信する段階と、第1の端末位置を算出する段階と、送信源によって送信され且つ端末によって受信される信号の伝送時間オフセットをある基準に対して算出する段階と、それぞれの送信源からの信号の算出された第1の端末位置に対する送信遅延について伝送時間オフセットを調節する段階と、調節された相対伝送時間オフセットの第1のリストを構築する段階と、調節された相対伝送時間オフセットの第1のリストを前記端末に送信する段階と、を含み、時間オフセットは基準と衛星測位システムの時間基準との間で求められ、前記方法が更に、第2の端末位置において衛星時間基準の時間情報を求めることが必要とされるときには、地上ネットワークにおいて複数の送信源から端末によって受信される信号の時間、位相、又は周波数における相対オフセットを測定する段階と、測定値を計算ノードに送信する段階と、第2の端末位置を算出する段階と、送信源によって送信され且つ端末によって受信される信号の伝送時間オフセットをある基準に対して算出する段階と、それぞれの送信源からの信号の算出された第2の端末位置に対する送信遅延について伝送時間オフセットを調節する段階と、調節された相対伝送時間オフセットの第2のリストを構築する段階と、調節された相対伝送時間オフセットの前記第2のリストを端末に送信する段階と、調節された伝送時間オフセットの第1及び第2のリストの各々の1つ又はそれ以上の要素、第2の端末位置、及び前記基準と衛星測位システムの時間基準との間の時間オフセットを用いて衛星測位システムの時間基準に対する同期マーカを生成する段階と、を含むことができる。
【0056】
本方法は、図1並びに端末によって測定されるもの、及び衛星時間基準に対して較正される同期マーカを構築するために端末と計算ノードとの間に送信される情報が何であるかについての以下の説明を参照することによって更に理解することができる。
【0057】
図1を参照すると、ネットワーク107の送信器103からの信号は、端末1によって受信され、信号の特定のシグネチャの到達時間は、端末のクロックを基準として測定される。端末が位置1にあるときの送信器A(送信器103のうちの特定の1つ)からの信号のシグネチャの受信時間をtA1とすると、tA1は次式によって与えられる。
vtA1=rA1+vαA+vε1 (1)
式中、αAは送信器Aの伝送時間オフセット、ε1は位置1にあるときの端末のクロックの時間オフセット、全ての時間はユニバーサルクロックを基準として表され、rA1は端末と送信器との間の距離、vは送信が生じる媒体における電波の速度である。このような測定はまた、送信器B、C、D等から受信される信号に関して行われ、全体のセットは、端末101からネットワーク内の計算ノード(図1には示していない)に送信される。(測定が行われる時間間隔は非常に短いので、端末内のクロックの均一な計時からのあらゆる偏差も無視できるようになる点に留意されたい)
【0058】
本出願人のWO−A−00−73813及びWO−A−00−73814事例において説明しているように、計算ノードが算出を実行し、端末の位置と、送信器A、B、C、D等に対応する伝送時間オフセット、αA、αB、αC、αDとの両方をもたらす。端末位置も同様に算出され、送信器A、B、C、D等の位置は既知であるので、rA、rB、rC、rD等の対応する値も同様に計算することができる。従って伝送時間オフセットは、それぞれの送信器から端末への信号の追加の移動時間について調節することができる。調整済みの伝送時間オフセットをβA、βB、βC、βD等で表すと、βA1は、例えば次式によって与えられる。
βA1=αA+(rA1/v) (2)
【0059】
端末位置1で受信される送信器A、B、C、D等に対応するβのセットは、計算ノードから端末に送信される。端末は、このβのセットを内部メモリに記憶する。βの2つの値の間の差分、例えばβA1−βB1は、端末位置1における送信器A及びBからの対応する信号のシグネチャの端末による受信の間の時間差を表している。(実際には、測定誤差及び計算ノード内で用いられる誤差軽減技術(平均化等)の原因により、この差分は端末によって測定されたものと正確には同一ではない場合がある。)
【0060】
本出願人の出願であるWO−A−00/73813及びWO−A−00/73814はまた、各々の時間シグネチャが他のものに対してドリフトするように、周波数差を用いて地上送信器に対して補正を行うことができる方法を開示している。これに応じてこれらの補正を値βに適用することができる。加えて、この参照した事例では、移動端末の移動を補償するために地上送信器のシグネチャの観測到達時間に追加の補正を適用することができる方法を示している。
【0061】
上記で説明したように本発明によれば、端末は、衛星時間基準が抽出される衛星測位信号を位置1において測定する。本質的には、クロック信号は、端末内の衛星受信器によって生成され、これは衛星時間を示している。このクロック信号は、送信器103のうちの1つ(例えば送信器A)から受信される信号のシグネチャの到達と比較され、衛星クロックの刻時とシグネチャの到達との間の時間オフセットΔtaが測定される。tsが、衛星クロックの刻時の衛星時間基準の時間とすると、送信器Aからの信号のシグネチャの到達は、衛星時間で次式のようになる。
A1=ts+ΔtA1 (3)
ここで、記憶されているβのリストを用いて、衛星時間に対して対応する送信器から受信されるシグネチャの到達時間を較正することができる。例えば、ネットワーク送信器Bからの信号のシグネチャは、次式の衛星時間で到達することになる。
B1=ts+ΔtA1+βA1−βB1 (4)
【0062】
このようにして、端末は、位置1において受信される全てのネットワーク送信器からの信号を衛星時間に対して較正する。
【0063】
次に端末が別の位置、例えば位置2に移動すると、ここでは端末は衛星信号を受信することはできないが、記憶されたβのセットの少なくとも1つの要素(例えば送信器B)からの信号に加えて、ネットワーク送信器P、Q、R、S等からの信号を受信することができる。端末は、ネットワーク送信器P、Q、R、S等及びBの全てから受信された信号に関して測定を行い、全セットは、端末101から計算ノードに送信される。上記で説明したように、計算ノードは、伝送時間オフセット及び端末位置に対する値を生成し、これらの値から補正済み伝送時間オフセットの対応するセットβP2、βQ2、βR2、βS2等、βB2が抽出される。これら又はサブセットは、計算ノードから端末に送信され、端末の内部メモリに第2のセットとして記憶される。
【0064】
ここで端末は、位置2において受信されるネットワーク送信器の1つ、例えば送信器Pからの信号のシグネチャの到達時間を較正することができる。これに対応する衛星時間は次式で与えられる。
P2=tS+ΔtA1+βA1−βB1+βB2−βP2 (5)
【0065】
従って、較正済み衛星時間の信号同期マーカは、ネットワーク送信器Pから位置2にある端末によって受信される信号により導出することができ、衛星信号の検出において助けるために衛星受信器に供給することができる。
【0066】
上記で概説した本発明の方法のベースとなる仮定の1つは、ネットワーク送信器の相対伝送時間オフセットが、位置1で行われる測定と位置2で行われる測定との間で変わらないことである。本出願人のWO−A−00−73813及びWO−A−00−73814事例では、送信器のドリフトを考慮し得る方法を開示しており、勿論、これに応じて値βを調節することができる。
【0067】
上記で開示された移動端末内での時間情報の転送方法のいずれかを用いて、端末位置を探すのを助けることができる。従って、本発明は、衛星測位システムの移動端末の位置を求める方法を含み、本方法では、衛星受信器が本発明に従って較正済み時間情報と端末位置情報とを備え、端末の位置が衛星信号のうちの少なくとも1つを用いて求められる。
【0068】
このような方法を用いて、衛星測位システムにおいて端末の位置を計算するために必要となる時間を短縮することができる。
【0069】
端末位置は、衛星信号測定値のみを用いて求めることができ、又は衛星及びネットワークの信号測定を組合せることによって改善することができる。
【0070】
完全な位置及び時間解を得るための十分な衛星信号が無い場合において、本発明の方法によって較正されるネットワークタイミングから衛星時間基準が得られ、従って、必要とされる衛星信号の数を低減することができる。例えば、三次元位置プラス時間の解は、4つの衛星の信号から得られる測定値を必要とする。時間成分が同期マーカによって提供される場合には、三次元位置の解は、3つの衛星信号だけを用いて得ることができる。このように、本発明はまた、衛星からの信号の代わりに同期マーカを用いた位置を算出する段階を含む。
【0071】
本発明は、衛星測位システムと地上通信送信器のネットワークからの信号を用いたシステムとを組合せた混成型アーキテクチャを提供する。地上無線ネットワークからの信号の測定値を用いて、これらの信号間のタイミング関係のリストを生成し維持することができ、このリストは衛星測位システムの時間基準にリンクしている。
【0072】
衛星測位システムは、GPS、Galileo又は他のいかなるものであってもよい。地上送信器のネットワークは、GSM、WCDMA又は他のセルシステムに基づくセルラー式移動電話ネットワークとすることができ、或いは、ラジオ又はTV放送用に使用される送信器ネットワーク、若しくは異なる地上無線ネットワークとすることができる。
【0073】
発生する位置は通常あるプロセスに従う。低精度のセルレベルの位置は直ちに利用可能であり、続いてネットワーク導出位置、更に少し後で衛星導出の位置が続く。
【0074】
衛星システムを用いた位置を支援によっても計算できない場合、本発明は地上ネットワークタイミング測定に基づいた位置を提供することができる。これは、支援無しの衛星測位と比較して完全な地点不具合を回避するより堅牢なシステムを提供する。
【0075】
地上ネットワーク信号からの支援データの生成が可能でない場合でも、衛星位置が尚も利用可能である。
【0076】
時間補助及び位置補助の自律的提供は、伝送時間オフセットのリストの維持から得られるより迅速な最初の位置決定時間、より長いバッテリ寿命、又はより少ない通信使用量などといった、精度改善以外の方法で恩恵を受けることができる。このことはまた、必要な相関器がより少なくなるので、衛星測位システムに対してより単純なシリコンチップの使用が可能となる。
【0077】
衛星時間基準と無線ネットワークとの関係は、自律的又は部分補助の位置決定を行うことにより最初に確立することができる。別の何らかの衛星位置の決定は、補助を受ける場合でも、衛星と地上無線ネットワークとの間のタイミング関係を維持するのに用いることができる。
【0078】
地上ネットワーク送信器の位置及びアイデンティティは、データベースサーバから得ることができる。ネットワークベースの計算ノード(サーバ)の支援なしで計算が全て端末で行われる場合には、ネットワーク送信器情報は、通信ネットワークによって同報通信することができ、又はCDROM、フラッシュメモリデバイス、又は手動入力等のオフラインソースから得ることができる。この情報は、比較的静的であり、頻度の少ない更新しか必要ではない。
【0079】
本発明は、衛星測位及び地上OTDA測位の両方の使用により、複合環境にわたる屋外及び屋内での端末の連続したシームレスな追跡を可能にする、移動中の端末の追跡に特に適している。
【0080】
好ましくは、本発明が組み込まれる移動端末は、GSM又はWCDMAネットワーク及びGPS受信器上で動作する移動セルラー受信器を含む。
【0081】
本発明はまた、衛星測位システム構成要素を収容する端末内にロードされたときに、端末が本発明の方法を実施することを可能にする命令セットを保持する媒体を含む。
【0082】
本発明はまた、衛星測位システムの移動端末を含み、該端末は、未較正の安定したシステムからの信号が利用可能であり、該未較正の安定したシステムからの信号の移動時間が既知であるか又は求められ且つ衛星測位システムからの信号が利用可能である第1の端末位置において、衛星測位システムから抽出される較正済み時間情報と、未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の時間オフセットを求める時間オフセット定量手段と、第2の端末位置において受信される未較正の安定したシステムの信号から抽出される未較正時間情報を、第2の端末位置における未較正の安定したシステムからの信号の既知の又は求められた移動時間と求められた時間オフセットとから較正する較正手段とを備える。
【0083】
本発明はまた、衛星測位システムの移動端末を含み、該端末は、第1の未較正の安定したシステムからの信号が利用可能であり、該第1の未較正の安定したシステムからの信号の移動時間が既知であるか又は求められ且つ衛星測位システムからの信号が利用可能である第1の端末位置において、衛星測位システムから抽出される較正済み時間情報と、第1の未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の時間オフセットを求める時間オフセット定量手段と、第1及び第2の未較正の安定したシステムからの信号が利用可能であり、該第1及び第2の未較正の安定したシステムからの信号の移動時間が既知であるか又は求められる第2の端末位置において、第1の未較正のシステムから抽出される未較正時間情報と第2の未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の第2の時間オフセットを求める時間オフセット定量手段と、第3の端末位置において受信される第2の未較正の安定したシステムの信号から抽出される未較正時間情報を、第3の端末位置における第2の未較正の安定したシステムからの信号の既知の又は求められた移動時間と、第1及び第2の求められた時間オフセットとから較正する較正手段とを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0084】
本発明、及び本発明を導入することができるシステムの幾つかの実施例は、添付図面を参照しながらここでより詳細に説明する。
図1は、本発明を具現化するシステムの実施例を示しており、特に衛星測位システムの全体的なアーキテクチャを示す。端末101は、GPSシステム100の衛星102から同報通信される信号を受信する。端末101はまた、この事例ではGSMネットワークである地上ネットワークのトランシーバ基地局103(BTS)によって同報通信される信号を受信する。
【0085】
図2は、図1に示されたシステムで用いられている移動端末101の主要機能構成要素を示している。端末101は、パッチアンテナ203を介してGPSシステム100の衛星からの信号を受信するための受信器を収容するGPSモジュール201と、アンテナ204を介してGSM無線ネットワーク107からの信号を受信するための受信器を収容するGSMモジュール202と、メモリ、処理回路、及び移動端末内のこのようなデバイスに通常付随するソフトウェアプログラム(図示せず)を含む汎用プロセッサ205と、端末101用クロック信号を供給する発振器回路206と、汎用プロセッサ上で実行されるソフトウェアプログラム209とを含む。このプログラム209及び汎用プロセッサ205は、計算ノードを構成する。ロケータモジュール207及びネットワークタイミングリスト208はソフトウェアプログラム209の一部である。
【0086】
図3は、別の端末101における同様の機能構成要素を示している。この事例では計算ノードは、ネットワーク107に接続されるサーバ301内に存在する。端末101は、GSMネットワークの通常の通信の一部である通信リンク302を介してサーバ301と通信する。サーバ301は、ロケータモジュール304及びネットワークタイミングリスト305を含むソフトウェアモジュールを実行するプロセッサ303を収容する。
【0087】
図2又は図3のいずれにおいても、GSMモジュール202はまた、端末と信号を入出力する機能を有するユーザインターフェース(図示せず)と、あらゆるGSM端末の標準機構である信号プロセッサ(図示せず)とを含み、該信号プロセッサは、観測到達時間差(OTDA)、受信信号強度、送信器識別、及び$$$1で記載されているようにGSMモジュール202によってBTS103から受信される信号の他のタイミング測定値などのネットワーク測定を行う機能を提供し、$$$1の詳細は引用により本明細書に組み込まれる。
【0088】
図2に示している端末では、これらの測定値は汎用プロセッサ205に渡され214、同プロセッサは、ソフトウェアモジュール207において本出願人のWO−A−00/73814に記載されている方法を用いてGSMネットワーク107のBTS103によって同報通信される信号の測定される観測到達時間差から伝送時間オフセット値(TTO−上記の式1における値α)のリストを計算する。この算出はまた、BTS103の地理的位置が既知であることを必要とし、WO−A−00/73814で記載されているように、これらはデータベースから得られる。これらの値αはネットワークタイミングリスト209に記憶される。
【0089】
図3に示す端末では、OTDAの値は通信リンク302を介してサーバ301に渡される。次いで、計算がロケータモジュール304内で実行され、値αがネットワークタイミングリスト305内に記憶される。しかしながらこの事例では、上述の式2に示すような値αを値βに変換するための別の計算が実行される。次いで、これらの値βは、通信リンク302を介して端末101に返信され、ここでネットワークタイミングリストミラー308内に記憶される。
【0090】
図2又は図3のいずれかの端末101内のGPSモジュール201は、GPSシステム100の衛星102からの信号を受信して測定する。該モジュールは、衛星ネットワーク100からの信号のタイミング測定値を用いて以下に説明するように端末位置を計算する。
【0091】
図2はまた、端末101内の更なる信号送信及びデータフローを更に示している。発振器回路206は、GPSモジュール201及びGSMモジュール202の両方にクロックタイミング信号を供給する。モジュール202によって受信されるGSMネットワークのサービス中のセルの信号を用いて、発振器の周波数を調節し、これにより、該周波数が受信GSM信号と整合し、すなわち調節された発振器のクロック信号から発生する信号が受信GSM信号の周波数と整合するようにする。発振器206から発生するクロック信号は、GPSモジュール201に供給され211、同様にGSMモジュール202に供給される216。GSMモジュール202により測定されたOTDA値及び他の測定値は、リンク214を介して汎用プロセッサ205に渡される。GSMモジュール202によってGSMネットワーク107に送信されることになるデータは、汎用プロセッサ205からリンク215を介して渡される。GPS時間を示す信号は、GPSモジュール201からリンク212を介して汎用プロセッサ205に渡される。本発明従って生成される同期マーカ信号は、汎用プロセッサ205からリンク213を介してGPSモジュール201に渡される。
【0092】
GPSタイミング信号212は、図2又は図3のいずれかの実施例においてソフトウェアを用いて、ネットワークタイミングリスト208、308内に保持する伝送時間オフセット値(値α)のリストの1つ又はそれ以上の要素についてGPSシステム100の時間基準の関係を確立するのに用いられる。この関係は、以下の表1に示されている。この表は、GSMネットワーク107の5つのBTS103A〜E(1列目)の各々について、汎用プロセッサ205においてモジュール202のGSM受信器によって受信される信号からある基準(「第3の基準」)に対して算出された伝送時間オフセット値(2列目)を示している。時間はマイクロ秒単位で表され、測定方法がこの程度まではあいまいであったため、±1/2バーストとして表されるモジュロ1バースト長(約577μs)である。この事例では、第3の基準はリストのある要素(103C)の伝送時間オフセット値として算出された。3列目は、GPS時間基準に対する伝送時間オフセットのリストである。この特定の実施例では、第3の基準とGPS時間基準との間の時間オフセットは、以下に説明するように67413.88μsであった。
【0093】
表1

【0094】
図2の移動端末の動作のフローチャートが図4に示されている。端末101を起動した後しばらくして、段階401で「事前端末位置」にて第1のセットのBTS信号測定が行われる。その後、段階402で「第1の端末位置」にて第2のセットのBTS信号測定が行われる。段階403において、これら2つの測定セットを用いてネットワーク伝送時間オフセット(値α)のリストを計算する。段階402では、追加のBTS信号測定が周期的に行われ、各測定セットの後で段階403において、BTS信号の伝送時間オフセットのリストが更新される。
【0095】
これとは別に段階410において、GPS受信器は、衛星412からの信号を収集及び測定し、段階412で、GPS時間基準を表す信号212が生成される。この信号は、段階408において第3の基準に関連付けられ、これに対して段階403で生成された時間オフセットのリストが確定される。
【0096】
段階404において位置要求が行われると(「第2の端末位置」において)、段階405で、従来通りにGPSモジュール201内に維持されているローカル衛星情報データベース411から最新の衛星データのセットがロードされる。段階407でGSMネットワーク信号を用いて位置が算出され、初期位置としてリンク217を介してGPSモジュール201に供給される。
【0097】
同期マーカ213は、段階409で汎用プロセッサ205において生成される。段階408において求められたGPS時間基準と第3の基準との間の関係は、発振器回路206の調節に用いられるBTS103からの信号伝送遅延を見込むことによって端末位置(段階407において算出された)を考慮するように調節される。
【0098】
段階409において、同期マーカ213により提供される時間支援は、GPSモジュール201による衛星信号の収集の改善を目的として信号探索空間を定義するのに用いられる。
【0099】
段階405で生成された衛星情報、段階407で生成された初期位置推定値、及び段階409で生成された時間支援(同期マーカ213)の助けにより段階410で衛星信号が収集及び測定される。受信衛星信号からデコードされた衛星情報は、後続の測位試行で使用するためにローカル衛星情報データベース411内に記憶される。
【0100】
移動受信器の位置は、段階410で収集された衛星信号を用いて段階413において計算され、この位置は、段階414で、例えば移動端末101内又は外部サーバ上で実行しているソフトウェアである要求アプリケーションに出力される。
【0101】
使用時には、BTS伝送時間オフセットのタイミングモデルが上述のように確立され、GPS時間基準が、例えば「晴天」条件下で行われたものなどのいかなるGPS位置決定においても測定される。このようにして、GPS時間基準と地上伝送時間オフセットとの間の関係が確立され、これらは上述のような悪条件下での後続のGPS位置決定を助けるのに使用される。
【0102】
直前で説明した実施形態は、端末101がGSMネットワーク107との通信を必要とせずに動作する。従って、BTSによって同報通信される信号端末が受信可能であることだけを除いて、端末をネットワーク上で登録する(端末がネットワークに送信することを伴う)必要はない。
【0103】
上述のように、伝送時間オフセットリストの算出はまた、無線リンクを介して端末に接続されているサーバで行うこともできる。従ってここで、端末101がGSMネットワークで用いられ且つ該ネットワークに接続されたサーバ301においてこの算出が実行される、図3の端末を用いた別の実施形態を説明する。端末とサーバとの間の通信は、この事例ではショートメッセージサービス(SMS)を介しているが、例えばGPRS又は他のあらゆる好都合な手段を介したものであってもよい。
【0104】
図5は、この特定の事例に対するフローチャートを示している。これは、段階401及び407の削除並びに段階402a及び403aの追加を除いては図4に示すものと同じである。この事例では、GSMネットワーク信号の時間オフセットは、段階402で測定され、段階402aにおいてネットワークサーバ301に送信され、ここで段階403において算出が行われる。その後、段階403aにおいて、値βのリストが端末に返信される。
【0105】
次に、通信ネットワークに接続された他のサーバと端末が通信することができる測位システムにおいて本発明が含まれる別の実施形態を説明する。
本発明を具現化するシステムの別の1つの実施例が図6に示されている。この実施例には、インターネット108を介して接続される外部アプリケーションサーバ106と、GSMネットワーク107と、端末101との間の通信リンク110a〜cが含まれる。端末101とGSMネットワーク107との間の通信リンク110aは無線である。ネットワーク107とインターネット108との間の通信リンク110bは通常、ケーブル接続として実装される。通信リンク110cは、サーバ106をインターネット108に接続し、この場合も通常ケーブル接続として実装されている。
【0106】
動作中、サーバ106上に常駐するアプリケーションは、端末101の位置を要求し、該端末は、前記実施例において説明したのと同じ方法で端末位置を計算する。結果として得られる位置は、通信リンク110a〜cを用いて要求しているアプリケーションに戻される。
【0107】
本発明を具現化する別の構成が図7に示されている。この事例では、リンク110dを介してインターネット108に接続された別のサーバ105が、衛星軌道、クロック補正情報、及びBTS103の地理的位置のようなGSMネットワーク107についての情報等の静的及び半静的構成情報を収載する。この情報は、端末101に同報通信される。
【0108】
前記段落で説明されたもの(図7のシステムを用いて)と同様の別の構成では、構成情報は上述の通信リンク110を用いて端末101による要求に応じて検索される。サーバ105から得られた情報は、特に端末の初回動作において端末101内のローカル衛星情報データベースを補足するのに用いられる。初期位置の推定及びタイミング支援は、第1の実施形態と同様にローカルに生成される。
【0109】
更に別の実施形態が図8に示されている。この事例では、GPS位置の算出機能は端末101から分離されており、端末は、該端末の位置を計算するために用いられる外部位置算出デバイス109と通信する。位置算出デバイス109に提供されるGPSタイミング測定値は、端末101内で測定される。
【0110】
本発明がGPS以外の衛星ナビゲーションシステム(例えばGalileo、Beidou、Compass、QZSS、及びGlonass)に同様に且つ非限定的に適用されることは当業者にとは明らかであろう。本発明がまた、GSM(例えばCDMA、W−CDMA、TDMA、TDS−CDMA、PDC、IDen)及び地上送信器の他のネットワーク(例えば公共放送ネットワーク、デジタルラジオ及びテレビ、他)以外の通信システムに同様に且つ非限定的に適用されることも当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明が導入された衛星測位システムの全体的なアーキテクチャを示す概略図である。
【図2】本発明のシステムにおいて用いるための第1の移動端末の主要機能構成要素、並びに該移動端末における信号送信及びデータフローを示す概略図である。
【図3】本発明のシステムにおいて用いるための別の移動端末の主要機能構成要素、並びに該移動端末内及び同移動端末からの信号送信及びデータフローを示す概略図である。
【図4】図2の移動端末を用いて図1のシステムにおいて位置を計算するのに用いられるプロセスを示すフローチャートである。
【図5】図3の移動端末を用いて図1のシステムにおいて位置を計算するのに用いられるプロセスを示すフローチャートである。
【図6】端末が位置情報を交換するためにネットワークアプリケーションと通信する別のアーキテクチャを示す概略図である。
【図7】通信リンクを用いてサーバから展開されているネットワークについての幾らかの情報をプロセスが得ることができる別のアーキテクチャを示す概略図である。
【図8】端末の外部にあり該端末が通信するデバイスによって位置計算を行うことができる別のアーキテクチャを示す概略図である。
【符号の説明】
【0112】
101 移動端末
100 衛星測位システム
102 衛星
107 GSMネットワーク
103 送信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
較正済みシステムによって搬送される較正済み時間情報を抽出することができる信号を受信可能であり、未較正の安定したシステムによって搬送される未較正時間情報を抽出することができる信号を受信可能な1つ又はそれ以上の受信器を有する移動端末内の前記未較正時間情報を較正する方法であって、
前記未較正の安定したシステムからの信号が利用可能であり、該未較正の安定したシステムからの信号の移動時間が既知であるか又は求められ且つ前記較正済みシステムからの信号が利用可能である第1の端末位置において、前記較正済みシステムから抽出される較正済み時間情報と前記未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の時間オフセットを求める段階と、
第2の端末位置において受信される前記未較正の安定したシステムの信号から抽出される未較正時間情報を、前記第2の端末位置における前記未較正の安定したシステムからの前記信号の既知の又は求められた移動時間と前記求められた時間オフセットとから較正する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
較正済みシステムによって搬送される較正済み時間情報を抽出することができる信号を受信可能であり、第1及び第2の未較正の安定したシステムによって搬送される未較正時間情報を抽出することができる信号を受信可能な1つ又はそれ以上の受信器を有する移動端末内の前記未較正時間情報を較正する方法であって、
前記第1の未較正の安定したシステムからの信号が利用可能であり、前記第1の未較正の安定したシステムからの信号の移動時間が既知であるか又は求められ且つ前記較正済みシステムからの信号が利用可能である第1の端末位置において、前記較正済みシステムから抽出される較正済み時間情報と、前記第1の未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の第1の時間オフセットを求める段階と、
前記第1及び第2の未較正の安定したシステムからの該信号は利用可能であり、前記第1及び第2の未較正の安定したシステムからの信号の移動時間が既知であるか又は求められる第2の端末位置において、前記第1の未較正のシステムから抽出される未較正時間情報と前記第2の未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の第2の時間オフセットを求める段階と、
第3の端末位置において受信される前記第2の未較正の安定したシステムの信号から抽出される未較正時間情報を、前記第3の端末位置における前記第2の未較正の安定したシステムからの前記信号の既知の又は求められた移動時間と前記第1及び第2の求められた時間オフセットとから較正する段階と、
を含む方法。
【請求項3】
前記未較正の安定したシステムから前記端末によって受信される信号の移動時間は、前記未較正の安定したシステムから前記端末によって受信される信号のタイミングアドバンス又は往復移動時間の値から導出されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記未較正の安定したシステムから前記端末によって受信される信号の移動時間は、前記端末と前記未較正の安定したシステムとの相対位置から算出されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記未較正の安定したシステムの位置はデータベースから得られることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記未較正の安定したシステムの位置は、前記未較正の安定したシステムから前記端末によって受信される信号からデコードされることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記端末の位置は、前記未較正の安定したシステムから前記端末によって受信される前記信号の測定を用いて算出されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
地上ネットワーク内の送信源からの信号と時間基準を有する衛星測位システムの衛星からの信号とを受信することができ、前記較正済み時間情報が同期マーカによって搬送される移動端末内で使用するための請求項1に記載の方法が更に、
事前の端末位置において、前記地上ネットワーク内の複数の送信源から前記端末によって受信される前記信号の時間、位相、又は周波数における第1の基準に対する相対オフセットを測定する段階と、
前記第1の端末位置において、前記同一の送信源から前記端末によって受信される前記信号の時間、位相、又は周波数における第2の基準に対する相対オフセットを測定する段階と、
前記送信源によって送信され且つ前記端末によって受信される前記信号の伝送時間オフセットを第3の基準に対して算出する段階と、
前記相対伝送時間オフセットのリストを構築する段階と、
前記第1の端末位置を算出する段階と、
を更に含み、
前記時間オフセットは、前記第3の基準と前記衛星測位システムの時間基準との間で求められ、
前記方法が更に、
前記第2の端末位置において衛星時間基準の時間情報を求めることが必要とされるときには、前記地上ネットワーク内の前記複数の送信源のうちの少なくとも3つから前記端末によって受信される前記信号の時間、位相、又は周波数における前記第3の基準に対する相対オフセットを測定し、前記端末の第2の位置を求め、前記伝送時間オフセットのリストの1つ又はそれ以上の要素、前記第2の端末位置、及び前記第3の基準と前記衛星測位システムの時間基準との間の前記時間オフセットを用いて前記衛星測位システムの時間基準に対する同期マーカを生成する段階と、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
地上ネットワーク内の送信源からの信号と時間基準を有する衛星測位システムの衛星からの信号とを受信することができる移動端末内で使用するための請求項1に記載の方法であって、
前記較正済み時間情報は同期マーカによって搬送され、
前記方法が更に、
事前の端末位置において、前記地上ネットワーク内の複数の送信源から前記端末によって受信される前記信号の時間、位相、又は周波数における第1の基準に対する相対オフセットを測定する段階と、
前記第1の端末位置において、前記同一の送信源から前記端末によって受信される前記信号の時間、位相、又は周波数における第2の基準に対する相対オフセットを測定する段階と、
前記送信源によって送信され且つ前記端末によって受信される前記信号の伝送時間オフセットを第3の基準に対して算出する段階と、
前記相対伝送時間オフセットのリストを構築する段階と、
前記第1の端末位置を算出する段階と、
を更に含み、
前記時間オフセットは、前記第3の基準と前記衛星測位システムの時間基準との間で求められ、
前記方法が更に、
前記衛星測位システムからの前記信号が損なわれたか又は利用可能でない前記第2の端末位置において、前記地上ネットワーク内の同一又は他の送信源のうちの少なくとも1つから前記端末によって受信される前記信号の時間、位相、又は周波数における第4の基準に対する前記相対オフセットを測定する段階と、
前記送信源によって送信され且つ前記端末によって受信される前記信号の伝送時間オフセットを第5の基準に対して算出する段階と、
前記相対伝送時間オフセットのリストを構築する段階と、
前記第2の端末位置を算出する段階と、
を含み、
前記時間オフセットが前記第5の基準と前記第3の基準との間で求められ、
前記方法が更に、
前記第3の端末位置において衛星時間基準の時間情報を求めることが必要とされるときには、前記地上ネットワーク内の前記送信源のうちの少なくとも3つから前記端末によって受信される前記信号の時間、位相、又は周波数における前記第5の基準に対する相対オフセットを測定し、前記端末の前記第3の位置を求め、前記伝送時間オフセットのリストの1つ又はそれ以上の要素、前記第2の端末位置、前記第3の端末位置、前記第5の基準と前記第3の基準との間の前記時間オフセット、及び前記第3の基準と前記衛星測位システムの時間基準との間の前記時間オフセットを用いて前記衛星測位システムの時間基準に対する同期マーカを生成する段階と、
を含む請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記移動端末は、通信リンクを介して前記端末に接続されたサーバによって支援され、前記サーバは、前記未較正の安定したシステムからの前記未較正時間情報の抽出に必要な計算を実行することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記第1、第2、第3、第4、及び第5の基準のうちのいずれか2つ又はそれ以上が同一の基準であることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記基準の1つ又はそれ以上は受信器によって受信される信号であることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記基準の1つ又はそれ以上は前記移動端末内でローカルに生成される信号であることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
地上ネットワーク内の送信源からの信号、及び時間基準を有する衛星測位システムの衛星からの信号を受信することができる前記移動端末内で使用するため、前記移動端末が通信リンクを介して前記端末に接続されたサーバによって支援され、前記サーバが前記未較正の安定したシステムからの前記未較正時間情報の抽出に必要な計算を実行する請求項1に記載の方法であって、
前記較正済み時間情報は同期マーカによって搬送され、
前記方法が更に、
第1の端末位置において、前記地上ネットワーク内の複数の送信源から前記端末によって受信される前記信号の時間、位相、又は周波数における前記相対オフセットを測定する段階と、
前記測定値を計算ノードに送信する段階と、
前記第1の端末位置を算出する段階と、
前記送信源によって送信され且つ前記端末によって受信される前記信号の伝送時間オフセットをある基準に対して算出する段階と、
前記それぞれの送信源からの信号の算出された第1の端末位置に対する送信遅延について前記伝送時間オフセットを調節する段階と、
前記調節された相対伝送時間オフセットの第1のリストを構築する段階と、
前記調節された相対伝送時間オフセットの前記第1のリストを前記端末に送信する段階と、
を含み、
前記時間オフセットは、前記基準と前記衛星測位システムの時間基準との間で求められ、
前記方法が更に、
第2の端末位置において衛星時間基準の時間情報を求めることが必要とされるときには、前記地上ネットワークにおいて、少なくとも1つが前記第1の端末位置で測定されている複数の前記送信源から前記端末によって受信される前記信号の時間、位相、又は周波数における相対オフセットを測定する段階と、
前記測定値を計算ノードに送信する段階と、
前記第2の端末位置を算出する段階と、
前記送信源によって送信され且つ前記端末によって受信される前記信号の伝送時間オフセットをある基準に対して算出する段階と、
前記それぞれの送信源からの前記信号の算出された第2の端末位置に対する送信遅延について前記伝送時間オフセットを調節する段階と、
前記調節された相対伝送時間オフセットの第2のリストを構築する段階と、
前記調節された相対伝送時間オフセットの前記第2のリストを前記端末に送信する段階と、
前記調節された伝送時間オフセットの前記第1及び第2のリストの各々の1つ又はそれ以上の前記要素、前記第2の端末位置、及び前記基準と前記衛星測位システムの時間基準との間の前記時間オフセットを用いて前記衛星測位システムの時間基準に対する同期マーカを生成する段階と、
を含む請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項15】
較正済みシステムによって搬送される較正済み時間情報を抽出することができる信号を受信可能であり、未較正の安定したシステムによって搬送される未較正時間情報を抽出することができる信号を受信可能な1つ又はそれ以上の受信器を有する移動端末内の前記未較正時間情報を較正するシステムであって、
前記未較正の安定したシステムからの前記信号が利用可能であり、前記未較正の安定したシステムからの前記信号の移動時間が既知であるか又は求められ且つ前記較正済みシステムからの信号が利用可能である第1の端末位置において、前記較正済みシステムから抽出される較正済み時間情報と前記未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の時間オフセットを求める時間オフセット定量手段と、
第2の端末位置において受信される前記未較正の安定したシステムの信号から抽出される未較正時間情報を、前記第2の端末位置における前記未較正の安定したシステムからの前記信号の既知の又は求められた移動時間と前記求められた時間オフセットとから較正する較正手段と、
を含むシステム。
【請求項16】
較正済みシステムによって搬送される較正済み時間情報を抽出することができる信号を受信可能であり、第1及び第2の未較正の安定したシステムによって搬送される未較正時間情報を抽出することができる信号を受信可能な1つ又はそれ以上の受信器を有する移動端末内において未較正時間情報を較正するシステムであって、
前記第1の未較正の安定したシステムからの前記信号は利用可能であり、前記第1の未較正の安定したシステムからの前記信号の移動時間が既知であるか又は求められ且つ前記較正済みシステムからの信号が利用可能である第1の端末位置において、前記較正済みシステムから抽出される較正済み時間情報と、前記第1の未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の第1の時間オフセットを求める時間オフセット定量手段と、
前記第1及び第2の未較正の安定したシステムからの前記信号は利用可能であり、前記第1及び第2の未較正の安定したシステムからの前記信号の移動時間が既知であるか又は求められる第2の端末位置において、前記第1の未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報と、前記第2の未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の第2の時間オフセットを求める時間オフセット定量手段と、
第3の端末位置において受信される前記第2の未較正の安定したシステムの信号から抽出される未較正時間情報を、前記第3の端末位置における前記第2の未較正の安定したシステムからの前記信号の既知の又は求められた移動時間と前記第1及び第2の求められた時間オフセットとから較正する較正手段と、
を含むシステム。
【請求項17】
較正済みシステムによって搬送される較正済み時間情報を抽出することができる信号を受信可能であり、未較正の安定したシステムによって搬送される未較正時間情報を抽出することができる信号を受信可能な1つ又はそれ以上の受信器を有する移動端末を含む請求項15又は請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記移動端末は、較正済みシステムによって搬送される較正済み時間情報の抽出することができる信号を受信することができる第1の受信器と、未較正の安定したシステムによって搬送される未較正時間情報を抽出することができる第2の受信器とを含むことを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記移動端末は、第2の未較正の安定したシステムによって搬送される未較正時間情報を抽出することができる信号を受信することができる第3の受信器を更に含むことを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記時間オフセット定量手段は、衛星測位システムの移動端末内に配置されていることを特徴とする請求項15から19のいずれかに記載のシステム。
【請求項21】
前記較正手段は、衛星測位システムの移動端末内に配置されていることを特徴とする請求項15から20のいずれかに記載のシステム。
【請求項22】
前記較正済みシステムは、前記移動端末に配置されたクロックを含むことを特徴とする請求項15から21のいずれかに記載のシステム。
【請求項23】
前記較正済みシステムは、衛星測位システムの1つ又はそれ以上の衛星であることを特徴とする請求項15から21のいずれかに記載のシステム。
【請求項24】
前記未較正システムは、無線システムの1つ又はそれ以上の送信器であることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載のシステム。
【請求項25】
前記1つ又はそれ以上の送信器は、同報通信システムの送信器であることを特徴とする請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記1つ又はそれ以上の送信器は、通信システムの送信器であることを特徴とする請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記未較正の安定したシステムから前記端末によって受信される信号の移動時間は、前記未較正の安定したシステムから前記端末によって受信される信号のタイミングアドバンス又は往復移動時間の値から導出されることを特徴とする請求項15から26のいずれかに記載のシステム。
【請求項28】
前記未較正の安定したシステムから前記端末によって受信される信号の移動時間は、前記端末と前記未較正の安定したシステムとの相対位置から算出されることを特徴とする請求項15から26のいずれかに記載のシステム。
【請求項29】
前記未較正の安定したシステムの位置はデータベースから得られることを特徴とする請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記データベースは、前記移動端末内で維持されていることを特徴とする請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記データベースは、使用時に前記移動端末を接続することができるサーバ内で維持されることを特徴とする請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
前記未較正の安定したシステムの位置は、前記未較正の安定したシステムから前記端末によって受信される信号からデコードされることを特徴とする請求項28に記載のシステム。
【請求項33】
前記端末の位置は、前記未較正の安定したシステムから前記端末によって受信される前記信号の測定を用いて算出されることを特徴とする請求項28に記載のシステム。
【請求項34】
前記未較正の安定したシステムは、前記移動端末内で動作するクロックを含むことを特徴とする請求項15から33のいずれかに記載のシステム。
【請求項35】
衛星測位システム構成要素を収容する移動端末にロードされたときに、前記端末が請求項1から14のいずれかに記載の方法を実施することを可能にする命令セットを保持する媒体。
【請求項36】
衛星測位システムの移動端末であって、該端末が、
未較正の安定したシステムからの信号が利用可能であり、該未較正の安定したシステムからの信号の移動時間が既知であるか又は求められ且つ前記衛星測位システムからの前記信号が利用可能である第1の端末位置において、前記衛星測位システムから抽出される較正済み時間情報と、未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の時間オフセットを求める時間オフセット定量手段と、
第2の端末位置において受信される前記未較正の安定したシステムの信号から抽出される未較正時間情報を、前記第2の端末位置における前記未較正の安定したシステムからの前記信号の既知の又は求められた移動時間と前記求められた時間オフセットとから較正する較正手段と、
を含む移動端末。
【請求項37】
衛星測位システムの移動端末であって、該端末が、
第1の未較正の安定したシステムからの信号が利用可能であり、該第1の未較正の安定したシステムからの信号の移動時間が既知であるか又は求められ且つ前記衛星測位システムからの前記信号が利用可能である第1の端末位置において、前記衛星測位システムから抽出される較正済み時間情報と、前記第1の未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の時間オフセットを求める時間オフセット定量手段と、
前記第1及び第2の未較正の安定したシステムからの前記信号が利用可能であり、該第1及び第2の未較正の安定したシステムからの前記信号の移動時間が既知であるか又は求められる第2の端末位置において、前記第1の未較正のシステムから抽出される未較正時間情報と前記第2の未較正の安定したシステムから抽出される未較正時間情報との間の第2の時間オフセットを求める時間オフセット定量手段と、
第3の端末位置において受信される前記第2の未較正の安定したシステムの信号から抽出される未較正時間情報を、前記第3の端末位置における前記第2の未較正の安定したシステムからの前記信号の既知の又は求められた移動時間と、前記第1及び第2の求められた時間オフセットとから較正する較正手段と、
を含む端末。
【請求項38】
較正済みシステムによって搬送される較正済み時間情報を抽出して移動端末の位置を求めることができる信号を受信可能な1つ又はそれ以上の受信器を有する前記移動端末の位置を求める方法であって、前記較正済み時間情報が、請求項1から14のいずれかに記載の方法に従って較正されることを特徴とする方法。
【請求項39】
前記未較正の安定したシステムは、前記移動端末内で動作するクロックを含むことを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−518996(P2007−518996A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550172(P2006−550172)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050255
【国際公開番号】WO2005/071430
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506254455)ケンブリッジ ポジショニング システムズ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】