説明

移動装置のための電力及びネットワーク接続構成

本発明は、電気的結合装置を提供する。この結合装置は、コンタクタ装置と、複数の電気的コンタクトとを備え、これら電気的コンタクトは、コンタクタ装置とアダプタ装置との間の電気回路を閉じるものであり、アダプタ装置がコンタクタ装置と物理的接触状態にされるときに、コンタクタ装置の電気的コンタクトをアダプタ装置の電気的コンタクトと整列させる必要はない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動装置に係る。より詳細には、本発明は、移動装置に電力又はネットワーク接続を与える移動装置のための接続又は結合構成に係る。
本出願は、2002年3月1日に出願された「Conductive Coupler With Three Degrees of Freedom」と題する特許出願第60/361,631号;2002年3月1日に出願された「Automatic and Adaptive Power Supply」と題する特許出願第60/361,626号;及び2002年3月1日に出願された「Wireless Adaptive Power Provisioning System for Small Devices」と題するプロビジョナル特許出願第60/361,602号の利益をここに請求するものである。
【背景技術】
【0002】
ノートブックコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、移動電話、ページャー等の移動装置は、周期的な再充電を必要とし、これは、一般に、壁コンセントから電力を引き出す充電ユニットに移動装置を接続することを伴う。
【0003】
一般に、移動装置と充電ユニットとの間の電気的相互接続は、ピン構成体によって達成され、これは、充電を実行する前に電気的コンタクトピンを正確に整列することを必要とする。従って、移動装置は、充電を実行する間に充電装置に対して固定の空間関係を保持しなければならない。これは、移動を制約し、充電が実行される間の移動装置の有用性を向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
以下、説明上、本発明を完全に理解するために多数の特定の細部について述べる。しかしながら、当業者であれば、これらの特定の細部を伴わずに本発明を実施できることが明らかであろう。他の例では、本発明を不明確にするのを回避するために、構造及び装置をブロック図で示す。
【0005】
本明細書で「1つのケース」又は「ケース」と言及するときには、そのケースに関連して述べる特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも1つのケースに含まれることを意味する。本明細書の種々の場所に「1つのケースにおいて」という句が現われたときは、必ずしも全てが同じケースを参照してもいないし、又は他のケースと相互に排他的な個別の又は別々のケースでもない。更に、あるケースにより示されるが他のケースでは示されない種々の特徴についても述べる。同様に、あるケースでは要求されるが他のケースでは要求されない種々の要求についても述べる。
【0006】
1つのケースにおいて、本発明は、導電性領域を含む表面を各々有する2つの本体間で電気的回路を閉じるのを許す電気的結合システム(CS)を提供する。CSは、2つの表面間に3つの自由度を与える。第1の自由度は、大きい方の本体に対して本質的に同一平面であるXY平面のX軸に沿った直線的移動を含む。第3の自由度は、XY平面に垂直なZ軸の周りでの回転を含む。
【0007】
図1は、通常固定である充電又はベースユニット(図示せず)の一部分を形成する導電性領域12を含む結合システム10の簡単な斜視図である。又、CS10は、アダプタユニット(図示せず)の一部分である第2の導電性領域14も含む。又、方向付けのために、xy平面及びそれに垂直なz軸を含む前記座標系も示されている。電気リード線16及び18は、導電性領域12、14をベースユニット及びアダプタユニットに各々電気的接続する。導電性領域12、14は、ベースユニット及びアダプタユニットに各々取り付けられてもよいし、或いは好ましいケースでは、ベースユニット及びアダプタユニットに各々一体化されてもよい。これは、従来のコネクタ、電力充電クレードル等で要求された整列を必要とせずに、ベースユニットとアダプタユニットとの間の電力回路を閉じるのを許す。
【0008】
一例において、CS10は、ベースユニットの一部分を形成する付勢デスクトップ又は他の表面に移動装置を自由に配置するのを許すことによりノートブックコンピュータ又は他の移動装置へ電力を支給するのに使用できる。この例では、デスクトップ又は他の表面は、CS10の導電性領域12を形成し、そして移動装置の底部は、導電性領域14として働く。電源は、デスク又は表面の導電性領域12(デスクパッド、書き込みパッド等)に接続されて、そこに配置された移動装置の導電性領域14との電気的回路を閉じることができ、従って、例えば、移動装置の充電又は電力回路を、デスクトップ又は他の表面における移動装置のXY又は角度位置とは独立して付勢するのを許す。
【0009】
導電性領域12、14が接触状態にされると(通常、導電性領域14が導電性領域12の上に配置されると)、その相対的な位置を、「相対的配置」又は手短に「配置」と称される3つの数[X、Y、G]のタプルとして表現することができる。X及びYの値は、XY座標系に対する導電性領域12、14の中心間の直線的変位を表わす。Gの値は、ある任意の相対的回転が0°の回転を有すると考えて、XY平面に投影される導電性領域12、14間の相対的な半径方向角度(°)を表わす。
【0010】
配置は、導電性領域12、14上又はその付近の電気的コンタクトを各々経てベースユニットとアダプタユニットとの間に閉じた電気回路を形成できる場合に「サポート」される又は「アクティブ」であると言える。1つのケースにおいて、1組のアクティブな配置が、ギャップのない連続的なレンジを形成する。換言すれば、導電性領域14が導電性領域12にのせられると、導電性領域14及び導電性領域12の相対的な位置に関わりなく配置がアクティブであることが保証される。
【0011】
図2は、アダプタユニットとベースユニットとの間の電気的接続を簡単に示している。明らかなように、ベースユニットは、少なくとも2つの電気的コンタクトB1及びB2を含む導電性領域14を備え、これら電気的コンタクトは、電気的リード線20を経て電源22に電気的に接続される。アダプタユニットは、少なくとも2つの電気的コンタクトA1及びA2を備え、これらは、電気的リード線24を経て移動装置の回路に電気的に接続され、例えば、電気的負荷26として簡単に示された電力又は充電回路に電気的に接続される。導電性表面12及び14の電気的コンタクトの数、サイズ、形状、大きさ、間隔及び他の空間構成特徴は、アクティブなレンジにおける各配置に対して、ベースユニットの少なくとも一対のコンタクトB1及びB2があり且つアダプタユニットの少なくとも一対のコンタクトA1及びA2があって、次の条件を満足することである。
【0012】
(a)ベースユニットのコンタクトB1がアダプタユニットのコンタクトA1に接触する。
(b)ベースユニットのコンタクトB2がアダプタユニットのコンタクトA2に接触する。
(c)ベースユニット及びアダプタユニットの電気的コンタクトは、電気的コンタクトB1とB2との間に短絡を形成しない。
【0013】
前記条件は、コンタクトA1−B1を一方のリードとして使用しそしてコンタクトA1−B2を他方のリードとして使用してベースユニットとアダプタユニットとの間に2線電気回路を形成できるときに満足される。
【0014】
各アクティブな配置に対するコンタクト対への電流のルーティングは、多数の方法で行うことができる。あるケースでは、アダプタユニットのコンタクトがベースユニットのコンタクトと接触したときにアダプタユニットのコンタクトにより発生される信号を感知回路で検出する。感知回路は、この情報を使用して、アダプタ回路のコンタクトが接触したベースユニットのコンタクトを作動させる。他のケースでは、導電性表面12及び14の相対的位置を感知することにより電流をコンタクトへ向けなおすことができる。他のケースでは、ベースユニットは、移動装置で回路が閉じたことを感知するまでベースユニットコンタクトの一連の対へ電力を切り換えることができる。他のケースでは、電流のルーティングは、導電性領域12、14によりそれらの相対的な位置に基づいてアクチベートされる機械的スイッチにより行うことができる。
【0015】
図3は、ノートブックコンピュータに対するCSの実施例を示す。上述したように、アダプタユニットは、2つの電気的コンタクトB1及びB2に電気的に接続された電気的負荷26を備えている。ベースユニットの導電性領域12は、長方形アレーに配置された複数の円形電気的コンタクト28を含む。これらの中で、A1及びA2で示されたコンタクトである電気的コンタクト28は、電源22から電力を受け取るという意味でアクティブである。明らかなように、複数の電気的コンタクト28は、X及びY方向における広範囲の移動と、電気的コンタクトの配置が依然アクティブであるところのZ軸の周りでの360°の回転自由度とを許す。ベースユニットの導電性領域12は、デスクトップの上面で定義される一方、アダプタユニットの導電性領域14は、ノートブックコンピュータに組み込まれ、ノートブックコンピュータの下面にコンタクトA1及びA2が取り付けられる。あるケースでは、コンタクトA1及びA2がノードブックコンピュータ自体に組み込まれてもよい。他のケースでは、コンタクトA1及びA2が、導電性領域12をもつアダプタパッドの一部分であってもよい。アダプタパッドは、ノートブックコンピュータの充電ポートに直結できる電気リード線を使用してノートブックコンピュータの下面に取り付けられてもよい。
【0016】
図3に示す例では、コンタクト28は、半径Rの円のアレーとして配列され、隣接する円と円との間に水平及び垂直間隔Dが設けられる。この例ではアダプタコンタクトA1、A2の各々は、半径(R+D/2)の円で構成され、その間隔は少なくとも2Rである。
【0017】
図3の例では、ノートブックコンピュータがデスクトップにおいて任意の位置及び角度で配置されたときに、上述した3つの条件を満足する2つのベースコンタクトB1及びB2を常に見出すことができる。これら2つのコンタクトB1及びB2は、ノートブックコンピュータの2つのコンタクトA1、A2を経てノートブックコンピュータとの回路を閉じるのに使用できる。他の間隔、コンタクトサイズ及び配置も使用できることが明らかであろう。例えば、行及び列を有するのではなく、ベースユニットは、非導電性領域を間に挟んだ蜂の巣パターンに配列された電気的コンタクトを含んでもよい。或いは又、円形のベースコンタクトを有するのではなく、ベースコンタクトは、直線的であって、直線的アレーに配置されてもよい。
【0018】
図3において、理解を容易にするために、負荷26は、ノートブックコンピュータの電気的観点を記号化したものであり、そして電源22は、電源装置を示す。当業者であれば、負荷26及び電源22は、実際にはかなり複雑であることが明らかであろう。
【0019】
図4は、ベースコンタクトへの動的な電力ルーティング又はスイッチングを必要としないCSのケースを示す。図4を参照すれば、ベースユニットの電気的コンタクト(以下、「ベースコンタクト」と称する)B1及びB2は、2つの長方形パッド30の形態であることが明らかである。上述したように、アダプタユニットの電気的コンタクトA1及びA2(以下、「アダプタコンタクト」と称する)は、2つの円形コンタクトパッド32の形態である。図3に示す構成は、X及びY軸に沿った限定された直線的移動と、Z軸の周りでの限定された回転移動とを許す。図4の例は、ベースコンタクトに対する動的な電力スイッチングを必要としない。更に、X及びY軸に沿った移動は、アダプタコンタクト32がベースコンタクト30に常に接触しなければならないという意味で制限される。従って、例えば、図4Bにおいて明らかなように、X軸に沿った移動は、アダプタコンタクト32がベースコンタクト30の左縁に到達するまで生じ得る。同様に、Z軸の周りでの回転は、アダプタコンタクト32がベースコンタクト30に常に接触しなければならないという意味で制限される。従って、図4Cに示す例では、アダプタコンタクト32がベースコンタクト30に接触する限りZ軸に沿った回転が許される。
【0020】
マルチコンタクト結合システムへの電力印加を制御するために、好ましくはアイドル状態において、ベースコンタクトB1及びB2は付勢されない。ベースコンタクトB1及びB2に負荷が接続されると、ベースユニット内の感知ユニットが負荷を検出し、そして負荷の情報及び特性に基づいてコンタクトB1及びB2へ電力を切り換える。1つのケースにおいて、電力は、規定の電圧及び極性又は周波数のものである。あるケースでは、感知ユニットは、動作状態、識別、及び負荷からの電力要求のような種々のパラメータを感知し、そして認証、許可及び適合性チェックを実行した後に、必要な電圧及び極性を使用してコンタクトB1及びB2へ電力を供給する。更に別のケースでは、ベース又は充電ユニットは、複数のコンタクトが露出した表面を含んでもよく、そして更に別の1組のコンタクトに各々接続されて異なる電圧特性を有する多数の負荷へ電力を供給するように構成されてもよい。あるケースでは、充電ユニットは、そのコンタクトが接続されたときに短絡や過負荷に対して保護を与え、従って、電気的負荷が存在しないときに充電ユニットの露出したコンタクトに接触したときの衝撃保護を与える。
【0021】
図5は、本発明のベース又は充電ユニットの1つのケースを示すブロック図である。この充電ユニットは、電源装置36を備え、これは、電力入力ライン38を経て電源に電気的に接続されると共に、電力出力ライン40を経て電気的コンタクト42−48に電気的に接続される。明らかなように、例えば、ノートブックコンピュータの電気的回路を表わす電気的負荷50は、電気リード線52を経てコンタクト44及び46に電気的に接続される。
【0022】
電源装置36は、標準的な家庭用電源から電力を受電するが、あるケースでは、発電機、ソーラパネル、バッテリ、燃料セル等の他の電源も各々別々に又は組合せて使用してもよい。現在の技術では、電源装置のコンタクトは、一般に、電源装置36に取り付けられる実際の負荷50に関わりなく、規定の電圧値、周波数及び極性の電圧を供給する。ここに示すケースでは、電源装置36は、電気的負荷50がいつ、どこで、どのように電力コンタクト42−48に接続されたか検出し、そして識別、製品形式、製造者、極性電力要求及び他のパラメータや、負荷の特性及び必要な接続形式といった情報を感知してもよい。ベースユニットは、この情報を使用して、電源36を電気的負荷50に接続する。従って、本発明の態様によれば、認証及び適合性のチェックは、電気的負荷へ電力を供給する前に実行することができる。更に、電源装置は、電圧、極性及び周波数に関して特定の電気的負荷の必要性に適応させることができ、従って、負荷が取り付けられないときに電力用コネクタの露出を回避すると共に、任意の1組のコンタクトに各々接続されて異なる電圧を受け取る複数の電気的負荷を同時に付勢する能力を与えることにより安全性を改善することができる。電気的負荷50と電源装置36との間の情報の交換及びネゴシエーションは、図5に矢印54及び56で記号化されている。例えば、矢印54は、負荷50に関連した識別及び状態情報が電源装置36の感知回路(図示せず)に供給されることを指示し、この感知回路は、正しい電圧、極性及び周波数の電力が電気的コンタクト44及び46に供給されることを保証するものである。
【0023】
図6は、上述したように電力を供給するシステムの特定例60を示すブロック図である。このシステム60は、多数の電力用コンタクトに電力を供給するのに使用できるが、簡単化のために、2つの電力用コンタクトC1及びC2しか示されていない。従って、電力供給システム60により多数のコンタクトをサービスできることを銘記しなければならない。
【0024】
電力供給システム60は、家庭用電源又は上述した他の電源である電源に電線64を経て接続された電圧レギュレータ62を備えている。感知ユニット66が電圧制御線68を経て電圧レギュレータ62に接続されると共に、感知線72及び74を経て電力用コンタクトC1及びC2に各々接続される。これらコンタクトC1及びC2は、移動装置に電気的に接続され、例えば、電気的負荷78及び識別負荷80を含むノートブックコンピュータ76に電気的に接続される。使用中に、感知ユニット66は、識別負荷80を感知し、特に、識別、製品形式、製造者、極性電力要求及び他のパラメータや、電気的負荷78に関連した特性等の情報を感知する。この情報は、正しい電圧、極性、周波数等の電力を、スイッチング構成体82を経て電気的負荷78へ供給するように電圧レギュレータ62を制御するのに使用される。上述したように、電力供給構成体60は、一般に、電力用コンタクトC1及びC2より多くのコンタクトを備え、従って、第1ステージの間に、感知ユニット66は、電力供給システム60の電力用コンタクトに接続された2つ以上の電気的負荷78の存在を走査する。走査の後に、感知ユニット66は、スイッチ制御信号84をスイッチング構成体82へ送信して、必要なスイッチを開閉し、電気的負荷が接続された電力用コンタクトだけに電力を供給する。電気的負荷の存在を走査する間に使用されるスイッチは、スイッチング構成体82の極性及び電圧スイッチと組み合わされてもよいし又はそれらとは個別のものでもよい。更に、簡単化のために図6に示された簡単な機械的又はリレー型スイッチに代わって進歩型半導体を使用してもよい。
【0025】
上述したように、コンタクトC1及びC2に供給される電力の電圧及び極性は、負荷78の要件に合致するように感知ユニット66により自動的に調整される。従って、負荷78の2つのコンタクトが電力供給構成体60のコンタクトに接続されると、感知ユニット66は、感知線72及び74を経て負荷78の独特の識別子(ID)(識別負荷80として示す)を検出し、そしてこのIDを使用して、負荷78の電圧、電流及び極性要件を決定する。電圧及び電流要件が電力供給システムによりサポートされる範囲内である場合には、感知ユニット66は、正しい極性で付勢するための信号をスイッチ構成体82へ送信すると共に、必要な電圧をセットするための信号を電圧レギュレータ62へ送信する。最小の非破壊感知電圧又はパターンを印加し、そして識別負荷又は要素80の応答を観察することにより、感知が実行される。ID要素80は、電気又は装置負荷78の通常非直線的応答のアクチベーションより低い非常に低い電圧で読み取られる簡単な抵抗器でよい。あるケースでは、ID要素80は、ダイオードや、抵抗器や、ダイオード組合せ、或いは受動的又は能動的回路であって、負荷78の存在及びそれに関連したパラメータを搬送するのに使用できる導体及びキャパシタ等を含むものでよい。
【0026】
更に別のケースでは、デジタルIDが、負荷のアクティブ領域より低い電圧と共に使用されて読み取られてもよいし、或いはあるケースでは、アダプタユニットが、ベースユニットからの接続を確立するか又はそこから電力を得るまで負荷78を切り離すためのインテリジェンスを有してもよい。これは、例えば、抵抗性負荷の場合に有用であろう。
【0027】
負荷78がコンタクトC1及びC2から切り離されると、感知ユニット66は、ID要素80を保持する装置が電力供給システムに接続されないことを感知し、そしてスイッチング構成体82をターンオフし、これにより、コンタクトC1及びC2から電力を切断する。あるケースでは、ベースユニットは、移動装置の電流使用通過の感知に基づいて切断を行ってもよい。
【0028】
図7は、多数のコンタクトC1、C2、C3、C4及びC5を有する電力支給システム90のブロック図である。コンタクトC1−C5は、図7に負荷1及び負荷2と示された電気的負荷78に電力を供給するのに使用される。ID1及びID2として各々示されたID要素80は、上述したように、負荷1及び負荷2に各々関連した識別情報を与える。感知ユニット66は、各負荷78に対して電力の極性を自動的に適応させながら、2つの規定電圧レベル(V1及びV2)の電力を負荷78に供給するようにスイッチング構成体82を制御する。固定電圧レールを有するのではなく、例えば、2つのプログラム可能なレールを使用し、そしてID要素80の感知から報告されるパラメータを使用して、必要な電圧を選択してもよいことが当業者に明らかであろう。感知ユニット66は、識別要素ID1が電力用コンタクトC1(+)とC3(−)との間に接続されたことを検出すると、コンタクトC1及びC2のスイッチをアクチベートして、C1を電源V1の(+)側へ接続すると共に、C2を電源V1の(−)側へ接続する。同様に、負荷2は、C2及びC6を経て正しい極性でV2に接続される。感知ユニット66は、通常、抵抗器、ダイオード、キャパシタ及びおそらくは能動的コンポーネントも含むマイクロコントローラ及び適応回路を備えている。当然、感知ユニット66自体の電源も存在するが、本発明の特徴を不明瞭にしないために図7には示されていない。上述したように、制御スイッチは、ソリッドステートでもリレーでもよい。
【0029】
上述した電力支給システムは、他の要素と組合せて、例えば、ホームオフィス、ホテル、オフィスのようなデスク又は同様の環境や、或いは空港又は他の公共の場所のキオスクにおいてノートブックコンピュータを使用するときに、ユーザに更なる自由度を許す完全なシステムを形成することができる。
【0030】
図8は、デスクマット102が配置されるデスク100を示す。デスクマット102は、上述したように電気的コンタクトをもつ導電性領域12を備えている。デスクマット102は、デスク100に一体化されてもよい。
【0031】
1つのケースにおいて、デスクマット102は、導電性プラスチックを薄い層で金属導体の上に付着し、非導電性材料で挟んで、導電性プラスチック及び金属で取り巻いたものを含む。他のケースでは、着色金属領域を、コンタクトに充分な開口を残してマット102にシルクスクリーン処理してもよい。更に別のケースでは、アルミニウムのアノード処理と同様のプロセスにおいて、金属基板への酸性エッチングで着色樹脂を堆積するための開口を形成してもよい。更に別のケースでは、クロムメッキ又はニッケル仕上げの丸い金属コンタクトがゴムマットに埋め込まれてもよい。上述した全ての解決策を使用して、消費者に視覚的にアピールし且つ上述した充電又は電源ユニットのベースとして機能するデスクマット製品を形成することができる。
【0032】
図8において明らかなように、デスク100内に隠されたケーブルシステム104は、電源それ自体と、上述した感知及びスイッチング構成体との両方を含む電源装置106に接続される。電源コネクタ110で終わる電源コード108は、家庭やオフィスで利用できる形式の通常の家庭用ACコンセントに差し込まれる。
【0033】
図9は、アダプタユニット又は部片118がノートブックコンピュータ112に取り外し可能に固定される1つのケースを示す。ノートブックコンピュータ112は、下方後方端から示されており、ベース区分114及び蓋区分116を備えている。図9から明らかなように、ノートブックコンピュータ112は、蓋区分116がベース区分114から離間されてヒンジ結合された状態で若干開いている。アダプタ部片118は、例えば、フック−パイル固定具、取り付けテープ、或いはネジ、ボルト、のり、セメント、スナップ等を含む(これらに限定されない)他の適当な固定具構成体を使用して、ベース区分114の下面に取り付けられる。アダプタユニット118は、この例では、3つの個別の領域120、122及び124を有することが明らかであろう。領域120及び124は、導電性表面でよく、そして領域122は、絶縁体でよい。ケーブル126は、ノートブックコンピュータ112の通常の電源ポートを経てアダプタユニット118をノートブックコンピュータ112へ接続するのに使用される。
【0034】
又、図9に示すように、ワイヤレスネットワークカード128がノートブックコンピュータ112のポートから突出している。
あるケースでは、アダプタユニット118は、ノートブックコンピュータと一体的に形成されてもよいし、或いは他のケースでは、特にバッテリユニット又はバッテリユニットのエンクロージャーと一体化されてもよく、従って、特殊なケーブル又はアタッチメントを必要とする。
【0035】
又、ケーブル126が含まれるケースでは、通常のチャージャーをベースと共に使用する場合にユーザがアダプタユニットを引き抜く必要がないように、便利なリセプタクルをオファーしてもよい。他のケースでは、活電コンタクトの露出による危険を回避するようにアダプタユニットが電気的に切断されてもよい。
【0036】
図10は、ノートブックコンピュータ112がデスク100の導電性マット102に配置された概略図である。要素100、102及び112の各々は、図8及び9を参照して各々説明した。
【0037】
図10において明らかなように、ノートブックコンピュータ112は、このような装置がこの開示の新規な部分に基づいて導電性マット102のいかなる位置に配置されてもよく、従って、ケーブルを差し込んだり又は電源を携帯したりせずに、ノートブックコンピュータ112をその使用中に充電又は付勢できることを例示するために、僅かな角度で配置されている。
【0038】
この開示の新規な技術の精神から逸脱せずに、多数の変更が考えられることが明らかである。例えば、アダプタユニット118のコンタクト120、122及び124は、方形ではなく丸くてもよく、そして機能的な最小サイズにスケーリングされるのではなく、ノートブックコンピュータのベース区分114に合致する大きさを有してもよい。他のケースでは、アダプタユニット118は、電源コード構成を使用するのではなく、ノートブックコンピュータ112用のドッキングコネクタに接続されてもよい。1つのケースでは、アダプタユニット118は、ノートブックコンピュータの標準エンクロージャーに一体化されてもよく、従って、個別のアドオン装置の必要性が排除される。
【0039】
又、デスクマット102は、多数の変形を有してもよい。1つのケースでは、デスクマット102は、ノートブックコンピュータの製造者により提供される標準電源に関連して使用されてもよく、そして完全な電源ではなく、感知及びスイッチング機能だけをそれ自身含んでもよい。
【0040】
更に別のケースでは、このシステムは、電力だけではなく、確立された電気的接続を経てデータを送信するのに使用されてもよい。これは、付加的なコンタクトを使用するか、又は既存の電源リード上で信号を変調しそしてフィルタ(即ちインダクタ/キャパシタ)を追加してイーサネット信号等の高速データ信号からDC供給を分離することにより、達成されてもよい。このようなケースでは、デスクマット102と、アダプタユニット118のケーブルとの両方に、イーサネットポートがオファーされてもよい。従って、あるケースでは、システムは、コンタクト上でデータ信号を変調するための変調回路を含む。コンタクトを使用してネットワークへの接続を得るときには、ネットワークへの接続を許す前に移動装置及びそのユーザを認証することが必要である。従って、移動装置がネットワークへの接続を許される前に、移動装置とコンタクタ装置との間で情報を交換するハンドシェークオペレーションが実行される。ハンドシェーク情報は、移動装置のモデル、メーク及び製造者のような情報と、ネットワークへの接続に対する認証情報とを含んでもよい。又、ハンドシェーク情報は、移動装置の電力設定を含んでもよい。ハンドシェーク情報は、マイクロコードを使用して移動装置のIDチップへプログラムされてもよいし、又はIDチップ内の記憶エリアにハードコード化されてもよい。あるケースでは、図11から明らかなように、チップセット150が設けられ、これは、中央処理ユニット(CPU)152を備え、このCPUは、データバス156によりメモリコントローラ154に接続される。メモリコントローラに接続されるのは、上述したハンドシェーク情報を含むIDチップ158である。使用中に、このチップセット150は、好ましくは移動装置と一体化されたアダプタ装置に電気的に接続されてもよく、そして移動装置が本発明によりコンタクタに配置されたときには、IDチップ158が、認証情報を含むハンドシェーク情報をコンタクタへ送信し、コンタクタは、次いで、その情報を確認してネットワーク接続を可能にする。イーサネットとは別のネットワーク規格が、要望又は必要に応じてサポートされてもよい。あるケースでは、ワイヤレス方法がデータ送信に使用されてもよい。これらの方法は、赤外線(IR)を含む光学的方法、誘導性結合、容量性結合、又は変調を伴わない高周波を含むが、これらに限定されない。あるケースでは、仮想ドッキング接続、又は通常のローカルエリアネットワーク接続、或いはその両方が含まれる。
【0041】
ここに述べたシステムの種々の要素間で特徴の区分又は一体性をシフトすることにより多数の変更を実現できる。あるケースでは、例えば、マット102がデスク100に一体化されてもよい。他のケースでは、マットは、旅行者に便利なように携帯容易にサイズ減少された折り曲げ又は巻き取り可能なマットでもよい。あるケースでは、入力装置がベース充電ユニットに一体化されてもよく、例えば、タブレット又は大きなタッチパッドのように、パッド表面がマウスになじみ易いものでよく(機械的及び光学的マウスの両方に対して)、或いはデスクランプや電動ステープラー等の半移動装置を付勢するのに使用されてもよい。更に、デスクマット102は、静電気防止材でもよい(従って、マットを全く使用しない場合より安全である)。あるケースでは、充電電源装置のマットエリアをモジュラーにする(整然とタイル等に切断する)ことを含む、モジュールとしての拡張がオファーされてもよい。あるケースでは、ベースユニットが標準電力を供給し、そして各装置/アダプタがそれを、各装置に必要なレベルに変換する。又、あるケースでは、ある情報及び感知が逆方向に(即ちベースから装置へ)行なわれ、そして装置は、電力の切り換えについて幾つかの判断も行う(例えば、このスペースは安全に使用できるか)。
【0042】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に規定する本発明の広い精神から逸脱せずに、種々の変更や修正がなされ得ることが明らかであろう。従って、添付図面を参照した上記説明は、本発明を単に例示するもので、本発明をそれに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による結合システムの斜視図である。
【図2】本発明によるアダプタユニットとベースユニットとの間の電気的接続を示す回路図である。
【図3】ノートブックコンピュータに対する結合システムの実施例を示す図である。
【図4】コンタクトへの動的な電力切り換えを必要としない結合システムのケースを示す図である。
【図5】本発明によるベース又は充電ユニットのブロック図である。
【図6】本発明による電力供給システムのブロック図である。
【図7】本発明による多数のコンタクトをもつ電力支給システムのブロック図である。
【図8】本発明によるデスク及びマットのブロック図である。
【図9】ノートブックコンピュータに解除可能に固定されるアダプタユニットの概略図である。
【図10】本発明によりマットに配置されたノートブックコンピュータの概略図である。
【図11】本発明によるチップセットのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダプタ装置のアダプタ表面と物理的に接触する形状及び大きさにされた一般的にフラットなコンタクタ表面を画成するコンタクタ本体を含むコンタクタ装置と、
前記コンタクタ本体上で前記コンタクタ表面又はその付近に設けられた複数の電気的コンタクトと、
を備え、前記電気的コンタクトの数、形状、大きさ及び空間的構成は、前記電気的コンタクトの少なくとも2つを前記アダプタ装置の対応する電気的コンタクトに電気的に接続して前記コンタクタ装置と前記アダプタ装置との間の電気的回路を閉じるのを許すもので、前記アダプタ装置のアダプタ表面が前記コンタクタ本体のコンタクタ表面と物理的に接触状態にされるときに、前記アダプタ装置及び前記コンタクタ装置の電気的コンタクトを整列する必要がないようにした電気的結合装置。
【請求項2】
前記コンタクタ本体を伴う前記電気的コンタクトは、通常、非付勢状態にされる請求項1に記載の電気的結合装置。
【請求項3】
回路を完成するために付勢すべきコンタクタ本体の電気的コンタクト対を選択する感知回路と、該感知回路からの入力に基づいて前記選択された対を付勢するコントローラとを含む制御メカニズムを更に備えた請求項2に記載の電気的結合装置。
【請求項4】
前記感知回路は、付勢すべき多数の電気的コンタクト対を選択し、そして前記コントローラは、各々の選択された対を付勢する請求項3に記載の電気的結合装置。
【請求項5】
前記コンタクタ本体はフラットなマットを画成する請求項1に記載の電気的結合装置。
【請求項6】
前記コンタクタ本体は、家具調度品に一体化される請求項5に記載の電気的結合装置。
【請求項7】
前記電気的コンタクトにより前記アダプタ装置に送信されるデータ信号を変調するための変調回路を更に備えた請求項1に記載の電気的結合装置。
【請求項8】
複数の電気的コンタクトに接続可能な感知構成体であって、前記複数の電気的コンタクトのうちの一対を橋絡する電気的負荷のパラメータを感知する感知構成体と、
電源に接続可能な制御メカニズムであって、前記電気的負荷の感知されたパラメータに基づき前記一対の電気的コンタクトを前記電源で選択的に付勢させる制御メカニズムと、
を備えた電力支給システム。
【請求項9】
前記感知構成体は、多数の電気的負荷のパラメータを感知し、該多数の電気的負荷の各電気的負荷は、前記複数の電気的コンタクトの異なる対を橋絡し、そして前記制御メカニズムは、前記電気的負荷の感知されたパラメータに基づいて電気的負荷により橋絡された各電気的コンタクト対を前記電源で選択的に付勢させる請求項8に記載の電力支給システム。
【請求項10】
前記感知構成体により感知される電気的負荷のパラメータは、前記電気的負荷を付勢するに必要な複数の電圧及びその大きさと、前記電気的負荷に関連した識別、製品形式及び製造者とで構成されたグループから選択される請求項9に記載の電力支給システム。
【請求項11】
前記感知構成体は、非破壊感知信号を前記電気的負荷に送信し、そして前記感知信号に対する応答に基づいて前記電気的負荷のパラメータを決定する請求項10に記載の電力支給システム。
【請求項12】
前記電気的コンタクト対の選択的付勢は、認証及び適合性チェックを実行し、そして前記電気的負荷が認証されると共に前記電源が前記電気的負荷に適合する電力を供給できる場合に前記電気的コンタクト対だけを付勢することを含む請求項11に記載の電力支給システム。
【請求項13】
一般的にフラットなコンタクタ表面を画成するコンタクタ本体と、
一般的にフラットなアダプタ表面を画成するアダプタ本体と、
前記コンタクタ本体上で前記コンタクタ表面又はその付近に設けられた第1の電気的コンタクトと、
前記アダプタ本体上で前記アダプタ表面又はその付近に設けられた第2の電気的コンタクトと、
前記第2の電気的コンタクトを移動装置に接続するインターフェイスと、
を備え、前記第1の電気的コンタクトの数、形状、大きさ及び空間的構成は、前記第1の電気的コンタクトの少なくとも2つを前記第2の電気的コンタクトの対に電気的に接続するのを許すもので、前記アダプタ表面が前記コンタクタ表面と物理的に接触状態にされるときに、前記第1及び第2の電気的コンタクトを整列する必要がないようにした電気的結合システム。
【請求項14】
前記アダプタ本体は移動装置に一体化される請求項13に記載の電気的結合システム。
【請求項15】
移動装置にインストールするためのメモリ装置において、
移動装置を識別する情報、移動装置を付勢するための電源の設定に関する情報、及び移動装置をコンピュータネットワークに接続するのに必要な認証情報より成るグループから選択された情報を含むハンドシェーク情報を記憶する記憶エリアを備えたメモリ装置。
【請求項16】
前記記憶エリアは、前記ハンドシェーク情報を集積回路内にリードオンリデータとして記憶する請求項15に記載のメモリ装置。
【請求項17】
前記記憶エリアは、前記ハンドシェーク情報をプログラムされたマイクロコードとして記憶する請求項15に記載のメモリ装置。
【請求項18】
チップセットであって、該チップセットへの電力を制御するための電力管理回路を備え、該電力管理回路は、移動装置を識別する情報、移動装置を付勢するための電源の設定に関する情報、及び移動装置をコンピュータネットワークに接続するのに必要な認証情報より成るグループから選択されたハンドシェーク情報を記憶するための識別ユニットを備えたチップセット。
【請求項19】
前記識別ユニットは、前記ハンドシェーク情報を集積回路内にリードオンリデータとして記憶する請求項18に記載のチップセット。
【請求項20】
前記識別ユニットは、前記ハンドシェーク情報をプログラムされたマイクロコードとして記憶する請求項18に記載のチップセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2006−507624(P2006−507624A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−573748(P2003−573748)
【出願日】平成15年2月27日(2003.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2003/006179
【国際公開番号】WO2003/075416
【国際公開日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
イーサネット
【出願人】(504332436)モービルワイズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】