説明

移動装置

【課題】移動時のエア消費量を抑え、安定して移動できる移動装置を提供する。
【解決手段】移動装置1は、ガイドレール3と、移動部材10とを備える。ガイドレール3は、上面3Uと、上面3Uと反対側の下面3Lとを含む。移動部材10は、ガイドレール3に沿って移動可能である。移動部材10の第1対向面は、上面3Uと対向して配置され、ガスを噴出する複数の開口が形成される。第2対向面は、下面3Lと対向して配置され、ガスを噴出する複数の開口が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を搬送する搬送装置として、従来から種々の技術が提案されている。搬送装置にはたとえば、搬送ローラ上に物品を載せ、搬送ローラを回転しながら物品を搬送するタイプや、搬送台上に物品を載せ、搬送台を、チェーンやベルト等により移動して、物品を搬送するタイプ等がある。
【0003】
しかしながら、搬送ローラにより物品を搬送する場合、搬送ローラは物品と接触しながら回転する。そのため、搬送ローラの摺動により物品に摩耗や疵が発生する場合がある。また、物品を載せた搬送台をチェーン等により移動させる場合、搬送台はチェーン等と接触し、摩耗する場合がある。
【0004】
上述のタイプと異なる搬送装置が、特開2009−33214号公報(特許文献1)、特開2010−143733号公報(特許文献2)及び特開2009−263066号公報(特許文献3)に開示されている。
【0005】
特許文献1及び2の搬送装置は、ガラス基板を搬送する搬送路を備える。搬送路には複数の開口が形成されている。開口からはエアが噴出する。特許文献1及び2の搬送装置は、エアによりガラス基板を浮上させながら、搬送路上でガラス基板を搬送する。
【0006】
特許文献3の搬送装置は、搬送路と、搬送路上を移動する搬送部材とを備える。搬送部材の下面には複数の開口が形成されている。これらの開口からエアが噴出し、搬送部材は搬送路から浮上する。ガラス基板は搬送部材上に配置され、搬送部材は、浮上しながら搬送路に沿って移動する。
【0007】
特許文献1〜3の搬送装置では、搬送対象となる物品であるガラス基板又はガラス基板を載せた搬送部材を浮上しながら搬送する。そのため、ガラス基板や搬送部材に摩耗や疵が発生しにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−33214号公報
【特許文献2】特開2010−143733号公報
【特許文献3】特開2009−263066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1及び2に記載の搬送装置では、搬送路の全体に複数の開口が形成される。そして、ガラス基板の搬送中、全ての開口からエアが噴出される。そのため、搬送装置に供給されるエア量は膨大となる。また、特許文献3の搬送装置では、1方向(搬送部材の下面から搬送路に向かう方向)からのみエアを噴出して搬送部材を浮上する。そのため、搬送部材が搬送中に安定しにくく、搬送部材が搬送路からずれる可能性がある。
【0010】
本発明の目的は、移動時のガス消費量を抑え、安定して移動できる移動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による移動装置は、ガイドレールと、移動部材とを備える。ガイドレールは、第1面及び第2面を含む。第2面は、第1面と反対側に配置される。移動部材は、第1及び第2対向面とを含む。第1対向面は、第1面と対向して配置される。第1対向面はさらに、ガスを噴出する複数の開口を有する。第2対向面は、第2面と対向して配置される。第2対向面はさらに、ガスを噴出する複数の開口を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明による移動装置は、移動時のエア消費量を抑え、安定して移動できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、第1の実施の形態による移動装置の斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す移動装置の正面図である。
【図3】図3は、図1中の移動部材の斜視図である。
【図4】図4は、図3中のガイド溝部分の拡大図である。
【図5】図5は、図3に示す移動部材の分解斜視図である。
【図6】図6は、図5中の移動部材の平面図である。
【図7】図7は、図6中の通路穴の平面図である。
【図8】図8は、図1に示す移動装置で移動部材を移動中のガイド溝近傍部分の模式図である。
【図9】図9は、第2の実施の形態による移動装置の正面図である。
【図10】図10は、第3の実施の形態による移動装置の斜視図である。
【図11】図11は、図10の移動装置の正面図である。
【図12】図12は、第4の実施の形態による移動装置の斜視図である。
【図13】図13は、第5の実施の形態による移動装置の斜視図である。
【図14】図14は、図13の移動装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。以下、元素の含有量の「%」は、質量%を意味する。
【0015】
[第1の実施の形態]
[移動装置の全体構成]
図1は、本実施の形態による移動装置1の斜視図であり、図2は、移動装置1の正面図である。図1及び図2を参照して、移動装置1は、搬送路部材2と、移動部材10とを備える。
【0016】
搬送路部材2は、板状の土台5と、一対のガイド部材4と、一対のガイドレール3と、ガス供給装置20と、ガス吸引装置30とを備える。ガス供給装置20はたとえば、コンプレッサである。ガス吸引装置30はたとえば、吸引ポンプである。
【0017】
一対のガイド部材4は、土台5の側縁に配置される。換言すれば、土台5は、一対のガイド部材の間に配置される。ガイド部材4は、板状であり、土台5の長手方向に延びる。図1及び図2は、ガイド部材4は移動装置1の側壁をなす。
【0018】
一対のガイドレール3は、一対のガイド部材4の内側面に形成される。ガイドレール3は、ガイド部材4の内側面から移動装置1の内側に突出して配置され、土台5の長手方向に延びる。ガイドレール3は、土台5の側縁と略平行である。ガイドレール3は、移動部材10がスライドするときのレールとして機能する。
【0019】
より具体的には、ガイドレール3は板状であり、上面3Uと下面3Lとを有する。上面3U及び下面3Lは、平面であり、土台5の長手方向に延びる。下面3Lは、上面3Uと反対側に配置される。
【0020】
移動部材10は、横断面(移動部材10の移動方向に垂直な断面)が矩形状のブロック体である。移動部材10は、土台5上であって、一対のガイド部材4の間に配置される。移動部材10は、搬送対象となる物品を上面に載せ、移動する。
【0021】
移動部材10は、側面に一対のガイド溝11を有する。一対のガイド溝11は、互いに背向して配置される。各ガイド溝11は、土台5の長手方向に延びる。図2を参照して、各ガイド溝11は、対応するガイドレール3を挟む。つまり、ガイド溝11には、ガイドレール3が挿入される。ガイド溝11の幅は、ガイドレール3の幅よりも大きい。そのため、ガイドレール3とガイド溝11との間には幅方向に隙間(遊び)が形成される。移動部材10は、ガイド溝11及びガイドレール3により、ガイドレール3に沿って移動(スライド)する。
【0022】
移動部材10は、ガイドレール3に沿ってスライドするとき、ガイドレール3から浮遊しながら移動する。具体的には、移動部材10は、ガス供給装置20からガスを供給され、ガイド溝11からガスを噴出する。ガスはたとえば空気であるが、空気以外の他のガスを用いてもよい。ガイド溝11からガスが噴出されると、移動部材10は、ガイドレール3から浮遊する。図2を参照して、移動装置1はさらに、駆動装置7を備える。駆動装置7は、モータと、プーリ(滑車)と、ワイヤとを備える。ワイヤ端部は移動部材10に固定されている。駆動装置7は、モータを駆動することにより、滑車を介して移動部材10をガイドレール3に沿ってスライドする。
【0023】
図2では、駆動装置7は、モータと、プーリとワイヤを備える機構であるが、駆動装置7は、他の周知の機構であってもよい。要するに、ガイドレール3から浮上する移動部材10を、ガイドレール3に沿ってスライド可能な機構であれば、その構成は特に限定されない。
【0024】
[移動部材10の構成]
上述のとおり、移動部材10は、ガイドレール3から浮遊しながらスライドする。移動部材10の構成の詳細は次のとおりである。
【0025】
図3は、図1中の移動部材10の斜視図である。図3を参照して、移動部材10は、一対のガイド溝11を境界として、チャンバ部12及び13に区分される。チャンバ部12は、移動部材10の上部に配置される。チャンバ部13は、移動部材10の下部に配置される。移動部材10はさらに、ガス供給ポート14と、ガス吸引ポート15とを備える。ガス供給ポート14には、ガス供給装置20(図1参照)がつながれ、ガス吸引ポート15には、ガス吸引装置30(図1参照)がつながれる。
【0026】
図4は、図3中のガイド溝11の拡大図である。図4を参照して、ガイド溝11は、対向面11U及び11Lと、溝底面11Bとを有する。対向面11U及び11Lは、溝縁と溝底との間に配置され、溝の側面に相当する。対向面11U及び11Lは、互いに対向し、移動部材10の移動方向(つまり、ガイドレール3の延在方向)に延びる。溝底面11Bは、ガイド溝11の溝底に相当する。溝底面11Bは、対向面11Uと11Lとの間に配置され、対向面11U及び11Lをつなぐ。
【0027】
図5は、移動部材10の分解斜視図である。図5を参照して、チャンバ部12は、ガス収納室101と、対向面11Uと、複数の通路穴122とを備える。ガス収納室101は、チャンバ部12内に形成される。ガス収納室101の下面には、ガス供給ポート14とつながる開口141が形成され、さらに、ガス吸引ポート15とつながる開口152が形成される。
【0028】
通路穴122は、ガス収納室101とつながっている。通路穴122はさらに、図6を参照して、対向面11U上に形成される。通路穴122は、対向面11U上に底面を有する。図7を参照して、各通路穴122の底面には、複数の微細な開口123が形成される。
【0029】
要するに、対向面11Uには、複数の開口123が形成されている。複数の開口123からガスが噴出することにより、移動部材10がガイドレール3から浮上する。
【0030】
チャンバ部13も、チャンバ部12と同様の構成を有する。具体的には、チャンバ部13は、ガス収納室101と、対向面11Lと、複数の通路穴122とを備える。ガス収納室101は、チャンバ部13内に形成され、ガス収納室101の上面には、ガス供給ポートとつながる開口141と、ガス吸引ポート15とつながる開口152とが形成される。チャンバ部12内のガス収納室101と、チャンバ部13内のガス収納室101とはつながっていてもよいし、別個に形成されていてもよい。対向面11Lも対向面11Uと同様に、通路穴122の底面に対応する部分に複数の開口123が形成される。
【0031】
[移動部材10がガイドレール3から浮上する仕組み]
移動部材10がガイドレール3から浮上する仕組みについて、詳述する。移動部材10をスライドするとき、ガス供給装置20からガス供給ポート14を介して移動部材10にガス(たとえば空気)が供給される。ガスはチャンバ部12及び13内のガス収納室101に充填される。
【0032】
図8は、移動部材10がスライドしているときのガイド溝11及びガイドレール3周辺部分の模式図である。図8を参照して、ガス収納室101に充填されたガスは、対向面11Uに形成された複数の開口123から、ガイドレール3の上面3Uに向かって噴出する。同様に、対向面11Lに形成された複数の開口123から、ガイドレール3の下面3Lに向かって噴出する。
【0033】
対向面11U及び11Lから噴出したガスは、上面3U及び下面3Lに吹き付けられる。このように、移動部材10は、ガイド溝11に形成された開口123により、2方向からガスをガイドレール3に吹き付ける。そのため、1方向からガスが吹き付けられる場合と比較して、移動部材10をガイドレール3から安定して浮上させることができる。
【0034】
より具体的には、図8中の領域AR2Uでは、対向面11Uの複数の開口123から噴出したガスにより、移動部材10は、ガイドレール3に下向きの力を付与する。一方、領域AR2Lでは、対向面11Lの複数の開口123から噴出したガスにより、移動部材10は、ガイドレール3に上向きの力を付与する。これら2つの力をガイドレール3に付与することにより、移動部材10はガイドレール3から安定して浮上し、ガイドレール3上で上下又は左右にふらつきにくい。さらに、移動部材10は、ガイド溝11でガイドレール3を挟みながら移動する。そのため、移動部材10はガイドレール3からずれることなく、安定して移動でき、移動時のふらつきも抑制される。
【0035】
移動部材10は、さらに、対向面11U及び11Lから噴出されるガスにより、移動装置1の中心を移動装置1の中心に合わせることができる。具体的には、図8を参照して、上面3U及び下面3Lに吹き付けられたガスはさらに、ガイド溝11の溝底面11Bの方向に流れる(図8の領域AR3参照)。溝底面11B方向に流れたガスは、溝底面11Bに吹き付けられる。このとき、溝底面11Bは、移動部材10の中央方向に力を受ける。ガイド溝11は移動部材10の一対の側面に、互いに背向して形成されている(図2及び図3参照)。したがって、移動部材10は、両側面(のガイド溝11の溝底面11B)から、移動部材10の中央に向かう力を受ける。そのため、移動部材10はセンタリングされ、移動装置1の中央部分を安定して移動する。
【0036】
移動装置1ではさらに、ガイド部材4のうち、ガイドレール3が形成された内側面4Sが、移動部材10のうち、ガイド溝11が形成された側面10Sと対向する。図8を参照して、上面3U及び下面3Lに吹き付けられたガスはさらに、内側面4Sと側面10Sとの間の領域AR1に流れる。領域AR1に流れたガスは、側面10Sを、移動部材10の中央方向に押す。そのため、移動部材10はセンタリングされ、移動装置1の中央で安定しながら移動する。
【0037】
以上のとおり、本実施の形態による移動装置1では、移動部材10が、ガイド溝11を構成する対向面11U及び11Lからガスを噴出する。そのため、移動部材10は安定してガイドレール3上をスライドできる。
【0038】
図8に示すとおり、溝底面11Bの横断形状(ガイド溝11の長手方向に垂直な方向の断面形状)は、湾曲している。より具体的には、溝底面11Bの横断形状は弓状である。この場合、溝底面11B近傍でガスの乱流が発生しにくく、ガスの流れが安定する。したがって、移動部材10は、安定してセンタリングされる。
【0039】
溝底面11Bの横断形状は、湾曲していなくてもよい。たとえば、溝底面11Bは、平坦であってもよい。この場合であっても、領域AR2U及びAR2Lでのガスの流れにより、移動部材10は安定してスライドする。
【0040】
[移動部材10の停止方法]
移動中の移動部材10を停止する場合、ガス供給装置20を停止して、ガス吸引装置30を駆動する。この場合、ガイド溝11に形成された開口123からエアが吸引される。その結果、移動部材10は直ちにガイドレール3に吸着し、停止する。
【0041】
[他の構成例]
ガス供給装置20及びガス吸引装置30は、移動部材10に含まれてもよい。この場合、移動部材10とガス供給装置20とをつなぐ配管が不要になる。
【0042】
また、通路穴122はなくてもよい。この場合、ガス収納室101の底面(対向面11U又は11L上の面)に複数の開口123が形成されればよい。
【0043】
開口123の大きさは、適宜調整可能である。開口123が小さい程、浮上及び停止を制御しやすくなる。
【0044】
ガス収納室101は各チャンバ部12及び12それぞれに別個に形成されてもよいし、移動部材10内に1つのガス収納室101が形成されてもよい。ガス収納室101が図5のように区分されている場合、各ガス収納室101の容量は略同一であるのが好ましい。
【0045】
[第2の実施の形態]
本発明による移動装置は、図1以外の他の構成を有していてもよい。図1では、一対のガイドレール3の各上面3Uは、互いに平行に配置されている。しかしながら、一対のガイドレール3の上面3Uは、平行に配置されなくてもよい。たとえば、図9に示すとおり、一対のガイドレール3の自由端3Fが、固定端3Cよりも上方に配置されていてもよい。また、図示しないが、自由端3Fが、固定端3Cよりも下方に配置されていてもよい。
【0046】
[第3の実施の形態]
上述の実施の形態では、ガイドレール3はガイド部材4の内側面から突出して形成される。しかしながら、ガイドレール3は、凹状の溝であってもよい。
【0047】
図10及び図11は、第3の実施の形態による移動装置100の斜視図及び正面図である。図10及び図11を参照して、移動装置100は、一対のガイド部材160と、一対のガイド部材160の間に配置される移動部材150とを備える。
【0048】
一対のガイド部材160の内側面には、ガイドレール161が形成される。ガイドレール161は、移動部材150のスライド方向に延びる。ガイドレール161は溝であり、横断形状は、凹状である。図11を参照して、ガイドレール161は、溝底と溝縁との間に形成されるレール面161U及び161Lと、レール面161U及び161Lをつなぐ溝底面とを有する。
【0049】
移動部材150は、側面に一対のガイド凸条体151を備える。ガイド凸条体151は、ガイドレール161の長手方向に延び、ガイドレール161に挟まれる。図11を参照して、ガイド凸条体151は、レール面161Uと対向する対向面151Uと、レール面161Lと対向する対向面151Lとを備える。対向面151U及び151Lは、複数の開口123を有する。その他の移動部材150の構成は、移動部材10と同様である。第1の実施の形態と同様に、開口123からガスが噴出し、移動部材10はガイドレール161から浮上して、移動する。
【0050】
[第4の実施の形態]
上述の実施の形態では、一対のガイドレールを利用して、移動部材10をスライドする。しかしながら、ガイドレールは1つでもよい。
【0051】
図12は、第4の実施の形態による移動装置200の斜視図である。図12を参照して、移動装置200は、1つのガイドレール3が形成されたガイド部材4が、移動装置200の下部に配置される。そして、移動部材250は、下面にガイド溝11が形成される。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0052】
移動装置200においても、移動装置1と同様に、ガイド溝11の複数の開口230から噴出されるガスにより、移動部材250がガイドレール3から浮上して移動する。
【0053】
[第5の実施の形態]
上述の実施の形態では、移動部材がガイド溝又はガイド凸条体を備える。しかしながら移動部材は、ガイドレールの2つの表面(3U及び3L)と対向する2つの対向面を有すれば、2つの対向面を含む部分の形状は特に限定されない。
【0054】
図13及び図14に示す移動装置300は、ガイドレール3と移動部材350とを備える。移動部材350は、移動部材10と比較して、一対のガイド溝11に代えて、ガイド貫通孔351を有する。ガイド貫通孔351は、ガイドレール3を内部に通す。ガイド貫通孔351は、ガイドレール3の上面3Uに対向する対向面351Uと、下面3Lに対向する対向面351Lと、対向面351U及び351Lの両側縁の間をつなぐ一対の孔側面351Sとを有する。
【0055】
対向面351U及び351Lは、対向面11U及び11Lと同様に、複数の開口123を有する。移動部材350のその他の構成は、移動部材10と同様である。以上の構成を有する移動装置300においても、移動部材350は、ガイドレール3から浮上して、ガイドレール3に沿ってスライド可能である。
【0056】
[本実施の形態の移動装置の適用例]
上述の実施の形態による移動装置は、物品を搬送する装置として広く利用可能である。上述の実施の形態による移動装置はたとえば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイに利用されるガラス基板を搬送したり、半導体ウェハを搬送したりする装置に利用できる。この場合、たとえば、上述の移動部材の上面に、搬送対象となるガラス基板及び半導体ウェハが載置される。
【0057】
また、第4の実施の形態以外の他の実施の形態の移動装置は、傾けて使用することもできる。そのため、上下方向を移動する装置(たとえばエレベータ)に、本実施の形態による移動装置を適用することもできるし、斜め方向へ搬送するための装置にも利用できる。スラスト荷重が付与される環境であっても、使用可能である。
【0058】
さらに、第4の実施の形態以外の他の実施の形態の移動装置において、移動部材の下面にフック等の把持装置を取り付ければ、クレーン等としても利用できる。また、上述の実施の形態による移動装置では、移動部材が物品を搬送せず、単独で移動してもよい。
【0059】
[まとめ]
以上、本実施の形態による移動装置は、ガイドレールと、移動部材とを備える。ガイドレールは、第1面と、第1面と反対側の第2面とを含む。移動部材は、ガイドレールに沿って移動可能である。移動部材は、第1及び第2対向面を含む。第1対向面は、第1面と対向して配置され、ガスを噴出する複数の開口が形成される。第2対向面は、第2面と対向して配置され、ガスを噴出する複数の開口が形成される。
【0060】
以上の構成による移動装置では、移動部材は、ガイドレールの第1及び第2面に対向する第1及び第2対向面から、ガスを噴出する。移動部材は、ガイドレールに対して2方向からガスを吹き付けて浮上するため、安定して浮上しながら移動でき、ガイドレールからずれにくい。
【0061】
好ましくは、上記移動部材は、第1及び第2対向面の前記複数の開口とつながり、内部にガスを収納する収納室を含む。移動装置はさらに、ガス供給装置を備える。ガス供給装置は、収納室にガスを供給する。
【0062】
この場合、第1及び第2対向面に形成された複数の開口から、同程度の圧力のガスが噴出しやすい。そのため、移動部材は安定してガイドレールから浮上する。
【0063】
好ましくは、移動部材はガイド溝を含む。ガイド溝は、ガイドレールを挟む。ガイド溝は、上記第1及び第2対向面と、上記第1及び第2対向面をつなぐ溝底面とを含む。
【0064】
この場合、ガイド溝内にガイドレールが挿入される。そのため、移動部材はガイドレールからずれにくく、安定してガイドレール上を移動できる。
【0065】
好ましくは、上記移動装置はさらに、一対のガイドレールを備える。移動装置は、さらに、各々が一対のガイドレールの各々を挟む一対のガイド溝を含む。
【0066】
この場合、移動装置はさらに安定して移動することができる。
【0067】
好ましくは、一対のガイド溝の各々は、互いに背向して配置される。
【0068】
この場合、移動装置は一対のガイド溝から噴出されるガスにより、移動装置の中央位置にセンタリングされながら、移動することができる。
【0069】
好ましくは、移動装置はさらに、一対のガイド部材を備える。一対のガイド部材の間には、移動部材が配置される。各ガイド部材のうち、移動部材と対向する面の一部には、ガイドレールが形成され、移動部材のうち、各ガイド部材と対向する面の一部には、ガイド溝が形成される。
【0070】
この場合、ガイド部材と移動部材との間にも、ガイド溝から噴出されたガスが吹き付けられる。そのため、移動部材は、ガイド部材の間で中央位置にセンタリングされる。
【0071】
好ましくは、上記移動装置はさらに、収納室のガスを吸引するガス吸引装置を備える。
【0072】
この場合、移動中の移動部材を速やかに停止することができる。
【0073】
好ましくは、上記移動部材のガイド溝の溝底面の横断形状は湾曲している。
【0074】
この場合、溝底面近傍部分でガスの乱流の発生が抑制される。そのため、移動部材は安定してセンタリングされる。
【0075】
好ましくは、移動部材は、ガイドレールを通す貫通孔を含み、上記貫通孔は、第1及び第2対向面と、第1及び第2対向面をつなぐ一対の孔内側面を有する。
【0076】
この場合、移動部材に形成された貫通孔からガスをガイドレールに吹き付けることにより、移動部材はガイドレール上を浮上しながら移動できる。
【0077】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1,100,200,300 移動装置
3,161 ガイドレール
3L 下面
3U 上面
4,160 ガイド部材
10,250,350 移動部材
11 ガイド溝
11B 溝底面
11L,151L,351L 対向面
11U,151U,351U 対向面
20 ガス供給装置
30 ガス吸引装置
101 ガス収納室
123 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを含むガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って移動可能な移動部材とを備え、
前記移動部材は、
前記第1面と対向して配置され、ガスを噴出する複数の開口が形成された第1対向面と、
前記第2面と対向して配置され、ガスを噴出する複数の開口が形成された第2対向面とを含む、移動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の移動装置であって、
前記移動部材は、
前記第1及び第2対向面の前記複数の開口とつながり、内部にガスを収納する収納室を含み、
前記移動装置はさらに、
前記収納室に前記ガスを供給するガス供給装置を備える、移動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の移動装置であって、
前記移動部材は、前記ガイドレールを挟むガイド溝を含み、
前記ガイド溝は、前記第1及び第2対向面と、前記第1及び第2対向面をつなぐ溝底面とを含む、移動装置。
【請求項4】
請求項3に記載の移動装置であってさらに、
一対の前記ガイドレールを備え、
前記移動部材は、各々が一対のガイドレールの各々を挟む一対の前記ガイド溝を含む、移動装置。
【請求項5】
請求項4に記載の移動装置であって、
前記一対のガイド溝の各々は、互いに背向して配置される、移動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の移動装置であってさらに、
前記移動部材が間に配置される一対のガイド部材とを備え、
前記各ガイド部材のうち、前記移動部材と対向する面の一部には、前記ガイドレールが形成され、
前記移動部材のうち、前記各ガイド部材と対向する面の一部には、前記ガイド溝が形成される、移動装置。
【請求項7】
請求項2に記載の移動装置であってさらに、
前記収納室のガスを吸引するガス吸引装置を備える、移動装置。
【請求項8】
請求項3に記載の移動装置であって、
前記溝底面の横断形状は湾曲している、移動装置。
【請求項9】
請求項2に記載の移動装置であって、
前記移動部材は、前記ガイドレールを通す貫通孔を有し、
前記貫通孔は、
前記第1及び第2対向面と、
前記第1及び第2対向面をつなぐ一対の孔側面を有する、移動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−86964(P2013−86964A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232023(P2011−232023)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(511256163)高野化成工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】