移動通信システムにおける基地局及び方法
【課題】キャリアアグリゲーションによりプライマリ及びセカンダリコンポーネントキャリア(PCC、SCC)を用いて通信することが可能なユーザ装置に対して、あるコンポーネントキャリア(CC)が、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として割り当て可能か否かを基地局が適切に判断できるようにすること。
【解決手段】基地局は、1つ以上のCCに対する受信レベルを示すフィードバック情報をユーザ装置から受信し、あるCCがSCCの候補である1つ以上のユーザ装置のグループを決定し、あるCCに対する受信レベルに基づいてグループから選択された1つ以上のユーザ装置に対して、あるCCをSCCとして割り当て、あるCCがSCCとして割り当てられたことを、グループから選択されたユーザ装置に通知する。
【解決手段】基地局は、1つ以上のCCに対する受信レベルを示すフィードバック情報をユーザ装置から受信し、あるCCがSCCの候補である1つ以上のユーザ装置のグループを決定し、あるCCに対する受信レベルに基づいてグループから選択された1つ以上のユーザ装置に対して、あるCCをSCCとして割り当て、あるCCがSCCとして割り当てられたことを、グループから選択されたユーザ装置に通知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムにおける基地局及び方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術分野では、いわゆる第3世代の後継となる移動通信方式が標準化団体3GPPにより検討されている。特に、W-CDMA方式、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)方式及び高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)方式等の後継として、ロングタームエボリューション(LTE: Long Term Evolution)方式や、さらに後継のLTEアドバンスト(LTE−Advanced)方式等が挙げられる。LTEアドバンスト方式については、非特許文献1に記載されている。
【0003】
LTEアドバンスト方式では、「キャリアアグリゲーション(Carrier aggregation)」が行われる。この場合、同時に複数のキャリアを用いて下りリンクの信号を受信できる一方、同時に複数のキャリアを用いて上りリンクの信号を送信できる。キャリアアグリゲーションが行われる場合の各キャリアは、コンポーネントキャリア(Component Carrier)と呼ばれる。「コンポーネントキャリア」は、LTE方式における1つのシステムキャリアに相当する。例えば、1つのシステムキャリアは、5MHz、10MHz又は20MHz等のようなシステム帯域幅のシステムにより、通信サービスを提供する。LTE方式や3G方式では、1つの「コンポーネントキャリア」の中でしか通信は行われていないと考えることができるが、LTEアドバンスト方式では、2つ以上の「コンポーネントキャリア」を同時に使用して通信を行うことが許容される。複数のコンポーネントキャリアの内の1つは、メインのキャリアであり、プライマリコンポーネントキャリア(PCC:Primary Component Carrier)と呼ばれる。それ以外のキャリアは、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC:Secondary Component Carrier)と呼ばれる。
【0004】
移動局が、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)及びセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)を用いて通信を行う場合、移動局は、各コンポーネントキャリアにおける通常のデータの送受信に加えて、各コンポーネントキャリアにおけるメジャメント等も行う。メジャメントとは、例えば、サービングセル及び隣接セルのリファレンス信号の受信電力、より具体的には、リファレンス信号の受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)等を測定することを指す。なお、セルサーチとメジャメントの処理を合わせて、メジャメントと呼んでもよい。メジャメント等のモニタリングに関する処理、及びパフォーマンス規定については、例えば、非特許文献2、3に記載されている。
【0005】
一般的には、移動局が、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)だけでなく、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)をも使用する場合、その移動局のスループットを向上させることができる。また、スケジューリング方法を効率化することにより、システム全体のスループットも向上することが予想される。この点については、例えば、非特許文献4に記載されている。特に非特許文献4では、同じ受信品質を持つコンポーネントキャリアをキャリアアグリゲーションすることにより、良好なスループットを得られることを示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS36.913(V8.0.1)
【非特許文献2】3GPP TS36.213 V8.8.0(2009-09)
【非特許文献3】3GPP TS36.133 V8.7.0(2009-09)
【非特許文献4】3GPP TSG−RAN WG2#70 Tdoc−R2−103063 Montreal,Canada,10th−14th May2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、実際には、ある移動局にセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)を割り当てて通信を許可した結果、その移動局の受信品質が悪く、その移動局が十分なスループットを得られずに無駄に周波数資源を利用してしまい、システム全体としてのスループットが却って低下してしまうことが懸念される。この場合、同一のコンポーネントキャリアを割り当てられた移動局は該当移動局が無駄に周波数資源を利用するために、利用する周波数資源が限られスループットが向上しないことも懸念される。つまり、該当するUEの受信品質のみを用いてSCCの追加・削除の処理を行った場合において、場合により無駄に周波数資源を割り当ててしまい、システム全体のスループットが低下してしまうことがありえる。
【0008】
本発明の課題は、キャリアアグリゲーションによりプライマリ及びセカンダリコンポーネントキャリア(PCC、SCC)を用いて通信することが可能なユーザ装置に対して、あるコンポーネントキャリアが、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として割り当て可能か否かを基地局が適切に判断し、十分なスループットを確保できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態による基地局は、
キャリアアグリゲーションによりプライマリ及びセカンダリコンポーネントキャリアを用いて通信することが可能なユーザ装置と通信する基地局であって、
1つ以上のコンポーネントキャリアに対する受信レベルを示すフィードバック情報をユーザ装置から受信する受信部と、
あるコンポーネントキャリアがセカンダリコンポーネントキャリアの候補である1つ以上のユーザ装置のグループを決定する情報整理部と、
前記あるコンポーネントキャリアに対する受信レベルに基づいて前記グループから選択された1つ以上のユーザ装置に対して、前記あるコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリアとして割り当てる割当部と、
前記あるコンポーネントキャリアがセカンダリコンポーネントキャリアとして割り当てられたことを、前記グループから選択されたユーザ装置に通知する通信部と
を有する基地局である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一形態によれば、PCC及びSCCを用いて通信することが可能なユーザ装置に対して、あるコンポーネントキャリアが、SCCとして割り当て可能か否かを基地局が適切に判断し、移動局およびシステム全体のスループットが向上するようにSCCの追加・削除を行う。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例を説明するために想定している環境を示す図。
【図2】実施例で使用する第1−第3の判定方法各々における比較対象を模式的に示す図。
【図3】第2の判定方法における絶対値を利用する方法及び相対値を利用する方法の比較例を示す図。
【図4】基地局の機能ブロック図。
【図5】コンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるべきか否かを判定する方法例を示すフローチャート。
【図6】コンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるべきか否かを判定する別の方法例を示すフローチャート。
【図7】第3の判定方法を説明するための図。
【図8】基地局の機能ブロック図。
【図9】コンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるべきか否かを判定する方法例を示すフローチャート。
【図10】コンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるべきか否かを判定する別の方法例を示すフローチャート。
【図11】第1−第3の判定方法を組み合わせる様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の観点から実施例を説明する。
【0013】
1.想定環境
2.第1の判定方法
3.第2の判定方法
3.1 基地局
3.2 動作例
4.第3の判定方法
4.1 基地局
4.2 動作例
5.組み合わせ
【実施例1】
【0014】
<1.想定環境>
図1は実施例を説明するために想定している移動通信システムにおける通信環境を示す。図示の例では、3つの基地局(BS)と、基地局各々がカバーしているエリアを示す。説明の便宜上、1つの基地局(BS)が3つのエリアを2つのキャリアを利用してカバーしているが、基地局は、適切な如何なる数のエリアをカバーしてもよい。図示の例の基地局(BS)は、第1のコンポーネントキャリア(CC1)による通信をサポートすることに加えて、第2のコンポーネントキャリア(CC2)による通信もサポートしている。図示の簡明化のため、2つのコンポーネントキャリアしか示されていないが、コンポーネントキャリアの数はいくつでもよい。コンポーネントキャリアは、例えばLTE方式における1つのシステムキャリアに対応する。
【0015】
ユーザ装置は、一般的には携帯電話のような移動局であるが、固定端末でもよい。具体的には、ユーザ装置は、情報端末、スマートフォン、パーソナルディジタルアシスタント、携帯用パーソナルコンピュータ等でもよい。
【0016】
ユーザ装置は、1つ以上のコンポーネントキャリアを用いて通信を行う。キャリアアグリゲーションが行われる場合、何れか1つのコンポーネントキャリアが、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)として指定され、使用される1つ以上のコンポーネントキャリアが、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として指定される。一般的には、PCCは、ユーザ装置が使用可能なコンポーネントキャリアの内、最良の受信レベルをもたらすコンポーネントキャリアである。しかしながら、負荷の状況(ロードバランス)等に起因して、例えば次善の受信レベルのコンポーネントキャリアがPCCとして指定されてもよい。SCCは、例えばトラフィックが多くなった等の場合に、PCCに加えて補足的に使用される。あるコンポーネントキャリアを、SCCとしてユーザに割り当てて良いか否かの判定方法については、後述する。
【0017】
図示の例において、第1のユーザ(UE:A)は、第1及び第2のコンポーネントキャリアの地域の境界付近に位置している。このユーザ(UE:A)にとって、第1のコンポーネントキャリア(CC1)に対する受信レベルは大きいので、これはプライマリコンポーネントキャリア(PCC)として指定されている。また、このユーザ(UE:A)にとって、第2のコンポーネントキャリア(CC2)に対する受信レベルも比較的大きいので、これはセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として利用することも可能かもしれない。一方、ユーザ(UE:B)は、第2のコンポーネントキャリアの地域に在圏している。このユーザ(UE:B)にとって、第2のコンポーネントキャリア(CC2)に対する受信レベルは大きいので、これはPCCとして指定されている。ユーザ(UE:B)のCC1は受信レベルが小さくSCCとして利用することでユーザ(UE:B)に対するユーザスループットを向上させることができる環境である。
【0018】
このような通信環境において、ユーザ装置は、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)に加えて、必要に応じてセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)を使用することで、無線通信を行う。ユーザ装置による通信を可能にするため、基地局は、無線リソースの割当を計画する必要がある(スケジューリング処理を行う必要がある。)。
【0019】
<2.第1の判定方法>
本実施例による基地局は、あるコンポーネントキャリアが、ユーザ装置に対してセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として割り当てても良いか否かを以下の第1−第3の判定方法(それらの組み合わせも含む)にしたがって判定する。
【0020】
図2は、実施例で使用する第1−第3の判定方法各々において、比較する対象を模式的に示している。縦軸は受信レベルに対応する。第1の判定方法は、あるユーザ装置が基地局に報告したコンポーネントキャリア毎の受信レベルに基づいて判定を行う。受信レベル又は無線品質は、無線チャネルの状態の良否を示す適切な如何なる量で表現されてもよい。例えば、受信電力RSRP、RSRQ、RSSI、RSCP、SIR、CINR、S/N、Ec/N0、CQI、パスロス、等で表現されてもよい。ユーザ装置は、同一の周波数のセルだけでなく、異周波のセルについてもセルサーチを行い、コンポーネントキャリア毎に受信レベルを測定する。ユーザ装置は、少なくともプライマリコンポーネントキャリア(PCC)により通信を行っており、必要に応じてセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)を追加的に使用する。PCC以外の何らかのコンポーネントキャリアの受信レベルが、閾値より良好であった場合、ユーザ装置は、その旨を基地局に報告する。より一般的には、このような報告を行うためのイベントが予めシステムに規定されており、そのようなイベントに合致する場合、報告が行われる。報告は、一般的にはメジャーメントレポートにより行われる。基地局は、ユーザ装置が報告したコンポーネントキャリア毎の受信レベルに基づいて、そのコンポーネントキャリアを、そのユーザ装置のSCCとして割り当てるかを決定する。すなわち、あるコンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるか否かは、そのユーザ装置が報告した受信レベルによって判定される。他のユーザ装置が報告した受信レベルは考慮されない。このため、第1の判定方法だけでSCCの割当可否を判定すると、同一CCを利用する他UEの状態に比べると環境が悪い可能性があり、システム全体としてのスループットが却って低下してしまうことが懸念される。本実施例では、以下に説明する第2の判定方法、第3の判定方法又はそれら双方を加えて使用し、SCCの割当可否を判定する。
【0021】
<3.第2の判定方法>
第2の判定方法では、まず、ある条件を満たすユーザ装置のグループが作成される。条件は、あるコンポーネントキャリア(CC)をセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補としていることである。例えば、第1及び第2のコンポーネントキャリア(CC1、CC2)が存在し、ユーザ装置A及びBがCC1をプライマリコンポーネントキャリアとして使用しているとする。そして、ユーザ装置A及びBの両者が、CC2をSCCの候補として基地局に報告したとする。つまり、CC2の受信品質をSCC候補として基地局装置にフィードバックしている。この場合、ユーザ装置A及びBは、CC2をSCCの候補としているので、同じグループに属する。このグループ分けは、どのコンポーネントキャリアがSCCの候補となっているかに基づいて行われる。プライマリコンポーネントキャリア(PCC)が共通しているか否かはグループ分けには考慮されない。仮に、第3のコンポーネントキャリア(CC3)をPCCとするユーザ装置Cが存在し、そのユーザ装置CもCC2をSCCの候補としていた場合、ユーザ装置A、B及びCは同じグループに属することになる。
【0022】
このようにグループ分けが行われた後、グループの中で、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補となっているコンポーネントキャリアに対する受信レベルに基づいて、そのコンポーネントキャリアを、SCCとして使用してよいユーザ装置が決定される。この場合において、以下の決定法が考えられる。
【0023】
(絶対値を利用する方法)
決定法の1つは、グループの中で、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補となっているコンポーネントキャリアに対する受信レベルの大小関係に基づいて、ユーザを選択することである。例えば、図2の例において、ユーザ装置A及びBが同じグループに属し、CC2がSCCの候補になっている。本方法の場合、CC2に対する受信レベルの絶対値を比較し、より大きな受信レベルのユーザが、優先的に選択される。図示の例において、CC2の場合、ユーザ装置Bの受信レベルの方が大きいので、ユーザ装置Bがユーザ装置Aよりも優先して、SCCの割り当てを受けることができる。受信レベルが大きいということは、そのユーザ装置は良い通信環境に居る又は基地局に近いことを意味する。本方法は、通信状況が良いユーザ装置(例えば、基地局に近いユーザ装置)にSCCを優先的に割り当てることで、システムのスループットを向上させる等の観点から好ましいと考えられる。
【0024】
(相対値を利用する方法)
別の決定法は、グループに属するユーザ装置各自のプライマリコンポーネントキャリア(PCC)の受信レベルと、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補となっているコンポーネントキャリアに対する受信レベルとの差分に基づいて、ユーザを選択することである。ここで差分として表記する理由は、受信品質を一般的にデシベル(dB)にて表現しているためであり、PCCとSCC候補の相対的な受信品質の関係を数値化できていればよい。例えば、図2の例において、ユーザ装置A及びBが同じグループに属し、CC2がSCCの候補になっている。本方法の場合、PCCであるCC1に対する受信レベルと、CC2に対する受信レベルとの差分を比較し、差分の小さい方のユーザが、優先的に選択される。図示の例の場合、差分はユーザ装置Bよりもユーザ装置Aの方が小さいので、ユーザ装置Aがユーザ装置Bよりも優先して、SCCの割り当てを受けることができる。上記の「絶対値を利用する方法」の場合と結果が異なる点に留意を要する。CC2の受信レベルとPCCの受信レベルとの差分が小さいということは、そのユーザ装置にとって、SCCの候補のコンポーネントキャリアは、PCCと同程度のスループットを発揮できることを意味する。すなわち、そのユーザ装置の場合、キャリアアグリゲーションによるスループット向上効果が大きく期待できる。つまり、それぞれのCCで同程度のスループットを実現できることを示しており、PCCのみのスループットに対して例えば2倍のスループットを実現できることになる。これに対して、差分が大きい場合、そのユーザ装置にとって、SCCの候補のコンポーネントキャリアは、PCCよりもかなり低いスループットしか発揮できないことを意味する。このような状況のユーザ装置に対して、SCCの候補のコンポーネントキャリアをSCCとして許可したとしても、そのユーザ装置の場合、キャリアアグリゲーションによるスループット向上効果をさほど期待できない。つまり、PCCのみを利用した際とほぼ同程度のスループットしか実現できない。むしろ、他のユーザ装置に割り当てるべき周波数資源を利用してしまうため、システム全体のパフォーマンスを低下させてしまうことが懸念される。本方法は、キャリアアグリゲーションによるスループットの向上効果を大いに発揮できるユーザ装置にSCCを優先的に割り当てることで、システムのスループットを向上させる等の観点から好ましい。
【0025】
図3は、「絶対値を利用する方法」と「相対値を利用する方法」との比較例を示す。上述したように、「絶対値を利用する方法」の場合は、ユーザ装置UE:Aが選択され、「相対値を利用する方法」の場合は、ユーザ装置UE:Bが選択される。
【0026】
(PCCの平均スループットとの比率を利用する方法)
さらに別の方法は、あるメトリックに基づいて、ユーザを選択することである。例えば、グループに属するユーザ装置各々について、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補のコンポーネントキャリアに対するスループットと、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)に対する平均スループットとの比率が、そのようなメトリックとして使用されてもよい。
【0027】
メトリック=(SCC候補のコンポーネントキャリアが達成可能と思われるスループット)/(PCCに対する平均スループット)
SCCの候補のコンポーネントキャリアに対するスループットは、受信レベルとスループットとの所定の対応関係から導出されてもよい。例えば、受信レベルを表すCQIと、適応変調符号化(AMC)におけるMSCレベルとの対応関係から、受信レベルに対応するMCSレベルが導出され、そのMCSレベルからスループットが推定されてもよい。平均スループットについてもそのような対応関係から予測してもよいが、実際に測定してもよい。このようにすることで、受信品質ではなく、直接スループットという観点で評価することができる。
【0028】
例えば、図2の例において、ユーザ装置A及びBが同じグループに属し、CC2がセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補になっている。本方法の場合、CC2に対する受信レベルに対応するスループットの推定値と、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)であるCC1に対するスループットの平均値との比率が、上記のメトリックとして算出される。この比率の値が大きいユーザが、優先的に選択される。
【0029】
上記のメトリックの数式を参照すると、メトリックが大きい場合とは、分子が大きい場合及び/又は分母が小さい場合である。分子が大きい場合とは、「SCCの候補のコンポーネントキャリアに対するスループット」が大きい場合である。これは、そのユーザ装置にとって、SCCの候補のコンポーネントキャリアは、大きなスループットを発揮できることを意味し、そのユーザ装置は、候補のコンポーネントキャリアをSCCとするのに相応しいことを意味する。このようなユーザ装置にSCCを割り当てることは、特定のユーザ装置が高スループット化を図ることができるようにする点で好ましい。次に、分母が小さい場合とは、「プライマリコンポーネントキャリア(PCC)に対する平均スループット」が小さい場合である。これは、そのユーザ装置にとって、PCCだけでは十分に大きなスループットが得られないことを意味し、そのユーザ装置は、キャリアアグリゲーションを行って、高スループット化を図るのに相応しいことを意味する。このようなユーザ装置にSCCを割り当てることは、様々なユーザ装置が公平に高スループット化を図ることができるようにする点で好ましい。したがって、分子及び分母双方を考慮したこのメトリックは、特定のユーザ装置が高スループット化を図ること、及び様々なユーザ装置が公平に高スループット化を図ること等の観点から好ましい。
【0030】
なお、上記のメトリックは、分子も分母もスループットで表現されていたが、スループットの代わりに受信レベルが使用されてもよい。この場合、メトリック=(SCCの候補のコンポーネントキャリアに対する受信レベル)/(PCCに対する平均的な受信レベル)のようにして算出できる。
【0031】
<3.1 基地局>
図4は、本実施例で使用される基地局の機能ブロック図を示す。図4には、基地局に備わる様々な機能要素の内、本実施例に特に関連するものが示されている。基地局は、UE受信情報受信部41、UE情報整理部42、UE受信情報格納部43、UE順位付け部44、SCC選択部45、SCC情報出力要求受信部46、SCC情報格納部47及び通信部48を少なくとも有する。
【0032】
UE受信情報受信部41は、UE受信情報をユーザ装置から受信する。UE受信情報は、ユーザ装置が測定したコンポーネントキャリア各々における無線品質を示す情報である。無線品質又は受信レベルは、無線チャネルの状態の良否を示す適切な如何なる量で表現されてもよい。例えば、受信電力RSRP、RSRQ、RSSI、RSCP、SIR、CINR、S/N、Ec/N0、CQI、パスロス、等で表現されてもよい。
【0033】
UE情報整理部42は、コンポーネントキャリア毎のUE受信情報を、第2の判定法において使用される情報に変換する。第1の判定方法の場合は、コンポーネントキャリア毎の受信レベルのままでよい。第2の判定方法における「絶対値を利用する方法」の場合もコンポーネントキャリア毎の受信レベルのままでよい。第2の判定方法における「相対値を利用する方法」の場合、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)に対する受信レベルと、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補のコンポーネントキャリアに対する受信レベルとの差分が算出される。さらに、第2の判定方法における「メトリックを利用する方法」の場合、受信レベルがスループットに変換され、変換後のスループットがメトリックの分子になる。UE情報整理部42は、PCCに対する平均的なスループットも計算し、メトリックの分母として使用される。UE情報整理部42は、第2の判定方法における「グループ」も決定する。グループは、SCCの候補のコンポーネントキャリアが共通するユーザ装置の集合である。
【0034】
UE受信情報格納部43は、UE受信情報及びUE情報整理部42における計算結果を格納する。
【0035】
UE順位付け部44は、UE受信情報格納部43に格納されているUE受信情報及び/又は計算結果に基づいて、上記グループ内のユーザ装置の優先順位を決定する。優先順位は第2の判定方法により決定される。
【0036】
SCC選択部45は、上記グループに属するユーザ装置の内、優先順位の高いユーザ装置が、候補のコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として使用することを許可する。
【0037】
SCC情報出力要求受信部46は、SCC情報出力要求信号を受信したことに応答して、SCC情報を出力する。SCC情報とは、ユーザ装置にどのコンポーネントキャリアがセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として割り当てられているかを示す情報である。無線リソースのスケジューリングを行う場合や、SCC情報をユーザ装置に通知する制御信号を生成する等の場合に、SCC情報出力要求受信部46は、SCC情報出力要求信号を受信する。
【0038】
SCC情報格納部47は、SCC情報を格納する。
【0039】
通信部48は、SCC情報を含む制御信号をユーザ装置に送信する。
【0040】
<3.2 動作例>
図5は、第2の判定方法により、あるコンポーネントキャリアが、ユーザ装置にセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として割り当てられるべきか否かを判定する方法例を示す。
【0041】
ステップS51において、基地局は、あるコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補としているユーザ装置に対して、候補のコンポーネントキャリアに対する受信レベル(UE受信情報)を報告するように指示する。これに応じて、ユーザ装置は、ステップS52において、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補に対する受信レベルを基地局に報告する。
【0042】
ステップS53において、基地局のUE情報整理部42は、受信したUE受信情報を用いて、受信レベルの差分、スループット、スループットの比率等を計算する。この計算は、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補が同じユーザ装置のグループに属するメンバ各々に対して行われる。
【0043】
ステップS54において、基地局のSCC選択部45は、ステップS53における計算の結果に基づいて、グループに属する何れかのユーザ装置が、候補のコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として使用することを許可する。
【0044】
図6は、図5と同様に、あるコンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるべきか否かを判定する別の方法例を示す。ステップS61、S62、S63は、図5のステップS51、S52及びS53と同様である。
【0045】
ステップS64において、ステップS63における計算の結果にしたがって、ユーザ装置に優先順位が付けられる。優先順位は、受信レベル、受信レベルの差分、スループット、スループットの比率等の量の大小又は良否により決定される。
【0046】
ステップS65において、優先順に並んだユーザ装置の内、上位N個のユーザ装置が選択され、それらのユーザ装置にSCCが割り当てられる。
【0047】
図5及び図6に示すような方法により、SCCの割当を更新する頻度は、動作環境に応じて適宜決定することができる。例えば、一定の周期でSCCの割当を更新してもよい。この場合、一定の周期でユーザ装置が受信レベルを報告するように、基地局はユーザ装置に指示する。一定の周期ではないタイミングでSCCの割当が更新されてもよい。この場合、基地局は、ユーザ装置が受信レベルを報告すべきことを必要に応じて指示する。そのような必要がある具体例としては、例えば、SCCの候補の平均的な受信レベルが変化し、通信環境が変化した場合が挙げられる。
【0048】
<4.第3の判定方法>
図7は、第3の判定方法を説明するための図を示す。第3の判定方法においても、第2の判定方法と同様に、まず、ある条件を満たすユーザ装置のグループが作成される。条件は、あるコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補としていることである。第3の判定方法の場合、さらに、その候補のコンポーネントキャリアをプライマリコンポーネントキャリア(PCC)としているユーザ装置が特定される。図7の例の場合、第2のコンポーネントキャリア(CC2)が、SCCの候補であるユーザ装置A及びBを含むグループが作成される。第2のコンポーネントキャリア(CC2)が、PCCであるユーザ装置Xが特定される。CC2をPCCとするユーザ装置は複数存在するため、例えば、CC2をPCCとするユーザ装置のうち、受信品質を最良または最悪とするユーザ装置をユーザ装置Xとしてもよく、その受信品質を基準値としてもよい。また、CC2をPCCとするユーザの受信品質の平均値を基準値としてもよい。
【0049】
次に、同じグループに属するユーザ装置各々のCC2に対する受信レベルと、基準値(CC2をPCCとするユーザ装置の、最良の、最悪の又は平均的な受信レベル)との差分が、所定の閾値Δより大きいか否かが判定される。この差分が、所定の閾値Δより大きかった場合、そのユーザ装置にSCCは割り当てられない。差分が、所定の閾値Δより小さかった場合、そのユーザ装置にSCCが割り当てられる。例えば、図7の例において、ユーザ装置AのCC2に対する受信レベルは、(基準値−Δ)より小さい。この場合、ユーザ装置AにとってCC2は、高スループット化を期待できるほど良い受信レベルではない。したがって、ユーザ装置AにCC2をSCCとして許可したとしても、ユーザ装置Aは、CC2を用いてスループットを大きく向上させることはできそうにない。むしろ、ユーザ装置AがCC2を用いて通信を行うことで、他のユーザ装置(特に、ユーザ装置X)に割り当てることができた周波数資源を奪ってしまい通信を妨害してしまうだけであることが懸念される。一方、図7の例において、ユーザ装置BのCC2に対する受信レベルは、(基準値−Δ)より大きい。この場合、ユーザ装置BにとってCC2は、高スループット化を期待できるキャリアである。したがって、ユーザ装置BにCC2をSCCとして許可した場合、ユーザ装置Bは、CC2を用いてスループットを大きく向上させることが期待できる。ユーザ装置BがCC2を用いて通信を行うことで、他のユーザ装置(特に、ユーザ装置X)に割り当てることができた周波数資源を奪ってしまい、ユーザ装置Bのスループットが向上するので、システム全体としてのスループットは向上することが予想される。
<4.1 基地局>
図8は、本実施例で使用される基地局の機能ブロック図を示す。図8には、基地局に備わる様々な機能要素の内、本実施例に特に関連するものが示されている。図8に示されている基地局は、図4に示されている基地局と共通する機能要素を有し、共通する機能要素には同じ参照番号が付されている。共通する機能要素は、具体的には、SCC−UE受信情報受信部41、SCC−UE情報整理部42、SCC−UE受信情報格納部43、SCC−UE順位付け部44、SCC選択部45、SCC情報出力要求受信部46、SCC情報格納部47及び通信部48である。これらについての重複的な説明は省略する。共通する機能要素41−45の名称に「SCC−」が付いているのは、その機能要素がセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)に関する情報を取り扱うことを示す。図8には、さらに、PCC−UE受信情報受信部81、PCC−UE情報整理部82、PCC−UE受信情報格納部83が示されている。これらの名称に「PCC−」が付いているのは、その機能要素がプライマリコンポーネントキャリア(PCC)に関する情報を取り扱うことを示す。
【0050】
PCC−UE受信情報受信部81は、UE受信情報をユーザ装置から受信する。UE受信情報は、ユーザ装置が測定したコンポーネントキャリア各々における無線品質を示す情報である。SCC−UE受信情報受信部41は、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)に関する無線品質を取得するのに対して、PCC−UE受信情報受信部81は、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)に関する無線品質を取得する点で異なる。無線品質又は受信レベルは、無線チャネルの状態の良否を示す適切な如何なる量で表現されてもよい。例えば、受信電力RSRP、RSRQ、RSSI、RSCP、SIR、CINR、S/N、Ec/N0、CQI、パスロス、等で表現されてもよい。
【0051】
PCC−UE情報整理部82は、コンポーネントキャリア毎のUE受信情報を、第3の判定法において使用される情報に変換する。第1の判定方法の場合は、コンポーネントキャリア毎の受信レベルのままでよい。PCC−UE情報整理部82は、第3の判定方法における「グループ」も決定する。グループは、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補のコンポーネントキャリアが共通するユーザ装置の集合である。さらに、PCC−UE情報整理部82は、グループに属するユーザ装置が共通にSCCの候補としているコンポーネントキャリアを、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)としているユーザ装置を特定する。さらに、PCC−UE情報整理部82は、特定されたユーザ装置の受信レベルの最良値、最悪値又は平均値を求め、基準値とする。
【0052】
PCC−UE受信情報格納部83は、UE受信情報及びPCC−UE情報整理部82における計算結果を格納する。
【0053】
UE順位付け部44は、SCC−UE受信情報格納部43及びPCC−UE受信情報格納部83に格納されているUE受信情報及び/又は計算結果に基づいて、上記グループ内のユーザ装置の優先順位を決定する。優先順位は第3の判定方法により決定される。
【0054】
SCC選択部45は、上記グループに属するユーザ装置の内、優先順位の高いユーザ装置が、候補のコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として使用することを許可する。
【0055】
<4.2 動作例>
図9は、コンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるべきか否かを判定する方法例を示す。
【0056】
ステップS91において、基地局は、あるコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補としているユーザ装置に対して、候補のコンポーネントキャリアに対する受信レベル(SCC−UE受信情報)を報告するように指示する。さらに、基地局は、SCCの候補のコンポーネントキャリアを、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)としているユーザ装置に対しても、受信レベル(PCC−UE受信情報)を報告するように指示する。これに応じて、ユーザ装置は、ステップS92において、指定されたコンポーネントキャリアに対する受信レベル(SCC−UE受信情報及びPCC−UE受信情報)を基地局に報告する。
【0057】
ステップS93において、基地局は、フィードバックされたSCC−UE受信情報及びPCC−UE受信情報を用いて、同じグループに属するユーザ装置各々のSCC候補に対する受信レベルと、基準値(SCC候補をPCCとするユーザ装置の、最良の、最悪の又は平均的な受信レベル)との差分が、所定の閾値Δより大きいか否かを判定する。この判定は、SCCの候補が同じユーザ装置のグループに属するメンバ各々に対して行われる。
【0058】
ステップS94において、基地局は、判定結果に基づいて、グループ内のユーザ装置に対して、候補のコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として割り当てる。上記の差分が、所定の閾値Δより小さかった場合、そのユーザ装置にSCCが割り当てられる。しかしながら、上記の差分が、所定の閾値Δより大きかった場合、そのユーザ装置にSCCは割り当てられない。
【0059】
図10は、図9と同様に、あるコンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるべきか否かを判定する別の方法例を示す。ステップS101、S102、S103は、図9のステップS91、S92及びS93と同様である。
【0060】
ステップS104において、ステップS103における計算の結果にしたがって、ユーザ装置に優先順位が付けられる。優先順位は、上記の差分の大小により決定される。
【0061】
ステップS105において、優先順に並んだユーザ装置の内、上位N個のユーザ装置が選択され、それらのユーザ装置にSCCが割り当てられる。
【0062】
図9及び図10に示すような方法により、SCCの割当を更新する頻度は、図5及び図6の方法の場合と同様に、動作環境に応じて適宜決定することができる。
【0063】
<5.組み合わせ>
上記の第1−第3の方法は、それぞれを単独に使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。
【0064】
図11は、第1−第3の判定方法を組み合わせて使用する場合の概念図を示す。先ず、基地局は、ユーザ装置から受信したフィードバック情報(SCC−UE受信情報)とともに第1の判定方法にしたがって、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補のコンポーネントキャリアをSCCとして割り当てられる可能性のあるユーザ装置を絞り込む。一例として、SCCの割り当てを希望するユーザ装置の内、候補のコンポーネントキャリアについて受信レベルが閾値以上のユーザ装置が選択される。図示の例では、ユーザからフィードバックされた受信品質情報を元に、K個のユーザ装置が選択されている。基地局が、フィードバック情報を要求するユーザ装置を予め選択し、それらのユーザ装置に限定してフィードバック情報が受信されてもよい。
【0065】
次に、これらK個のユーザ装置が、グループ分けされ、第2の判定方法により絞り込まれる。1つのグループは、SCCの候補のコンポーネントキャリアが共通するユーザ装置である。説明の便宜上、K個のユーザ装置は全て同じグループに属するものとする。グループに属するユーザ装置各々のSCCの候補に対する受信レベルを比較することで、K個のユーザ装置から絞り込まれる(本図では結果として、L個のユーザ装置に絞り込まれた場合を示している)
さらに、L個のユーザ装置のSCCの候補に対する受信レベルと、基準値とを比較することで、L個のユーザ装置から絞り込まれる。基準値は、SCC候補をPCCとするユーザ装置の受信レベルの最良値、最悪値又は平均値である。このように、あるコンポーネントキャリアをSCCとすることを希望するユーザを、複数の異なる観点から絞り込むことで、システム全体のスループット向上に真に寄与するユーザを確実に選択することができる。なお、本図において、L個のユーザからM個のユーザ装置に最終的に絞り込まれているが、これは以下の2つの条件のいずれかに基づいて定められていることが考えられる。1つ目は、第3の判定方法により合計M個のユーザに絞り込まれた場合である。2つ目は、対象CCをPCCとするユーザ装置の数と第3の判定方法の結果絞り込まれたユーザ装置の数の合計値が合計でN個となるように制御した場合において、N―(PCCとするユーザ装置の数)がMとなる場合である。後者は、スケジューラの性能として、最大処理可能ユーザ数がN個であった場合において有効な判断方法である。
【0066】
また、処理を行う各段階において、最大ユーザ装置数を定義し、それに収まるように選択してもかまわない。例えば、本実施例において、第2の判定方法でL個のユーザ装置が選択されているが、もし、Lがあらかじめ定められている最大数として、それ以上のユーザ装置が該当した場合には、第2の判定方法において、最も第2の判定方法の条件に合致する上位L個のユーザを選択してもよいことを示している。
【0067】
なお、図11に示す例では、第2の判定方法の後に第3の判定方法が使用されているが、この順序は逆でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、それらは単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。例えば、本発明は、キャリアアグリゲーションを行う適切な如何なる移動通信システムに適用されてもよい。例えば本発明は、HSDPA/HSUPA方式を拡張したDB-DC HSPAや4C-HSPAのシステム、LTE方式のシステム、LTE−Advanced方式のシステム、IMT−Advanced方式のシステム、WiMAX、Wi−Fi方式のシステム等に適用されてもよい。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。発明の理解を促すため具体的な数式を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数式は単なる一例に過ぎず適切な如何なる数式が使用されてもよい。実施例又は項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に用意されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【符号の説明】
【0069】
41 UE受信情報受信部
42 UE情報整理部
43 UE受信情報格納部
44 UE順位付け部
45 SCC選択部
46 SCC情報出力要求受信部
47 SCC情報格納部
48 通信部
81 PCC−UE受信情報受信部
82 PCC−UE情報整理部
83 PCC−UE受信情報格納部
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムにおける基地局及び方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術分野では、いわゆる第3世代の後継となる移動通信方式が標準化団体3GPPにより検討されている。特に、W-CDMA方式、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)方式及び高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)方式等の後継として、ロングタームエボリューション(LTE: Long Term Evolution)方式や、さらに後継のLTEアドバンスト(LTE−Advanced)方式等が挙げられる。LTEアドバンスト方式については、非特許文献1に記載されている。
【0003】
LTEアドバンスト方式では、「キャリアアグリゲーション(Carrier aggregation)」が行われる。この場合、同時に複数のキャリアを用いて下りリンクの信号を受信できる一方、同時に複数のキャリアを用いて上りリンクの信号を送信できる。キャリアアグリゲーションが行われる場合の各キャリアは、コンポーネントキャリア(Component Carrier)と呼ばれる。「コンポーネントキャリア」は、LTE方式における1つのシステムキャリアに相当する。例えば、1つのシステムキャリアは、5MHz、10MHz又は20MHz等のようなシステム帯域幅のシステムにより、通信サービスを提供する。LTE方式や3G方式では、1つの「コンポーネントキャリア」の中でしか通信は行われていないと考えることができるが、LTEアドバンスト方式では、2つ以上の「コンポーネントキャリア」を同時に使用して通信を行うことが許容される。複数のコンポーネントキャリアの内の1つは、メインのキャリアであり、プライマリコンポーネントキャリア(PCC:Primary Component Carrier)と呼ばれる。それ以外のキャリアは、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC:Secondary Component Carrier)と呼ばれる。
【0004】
移動局が、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)及びセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)を用いて通信を行う場合、移動局は、各コンポーネントキャリアにおける通常のデータの送受信に加えて、各コンポーネントキャリアにおけるメジャメント等も行う。メジャメントとは、例えば、サービングセル及び隣接セルのリファレンス信号の受信電力、より具体的には、リファレンス信号の受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)等を測定することを指す。なお、セルサーチとメジャメントの処理を合わせて、メジャメントと呼んでもよい。メジャメント等のモニタリングに関する処理、及びパフォーマンス規定については、例えば、非特許文献2、3に記載されている。
【0005】
一般的には、移動局が、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)だけでなく、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)をも使用する場合、その移動局のスループットを向上させることができる。また、スケジューリング方法を効率化することにより、システム全体のスループットも向上することが予想される。この点については、例えば、非特許文献4に記載されている。特に非特許文献4では、同じ受信品質を持つコンポーネントキャリアをキャリアアグリゲーションすることにより、良好なスループットを得られることを示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS36.913(V8.0.1)
【非特許文献2】3GPP TS36.213 V8.8.0(2009-09)
【非特許文献3】3GPP TS36.133 V8.7.0(2009-09)
【非特許文献4】3GPP TSG−RAN WG2#70 Tdoc−R2−103063 Montreal,Canada,10th−14th May2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、実際には、ある移動局にセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)を割り当てて通信を許可した結果、その移動局の受信品質が悪く、その移動局が十分なスループットを得られずに無駄に周波数資源を利用してしまい、システム全体としてのスループットが却って低下してしまうことが懸念される。この場合、同一のコンポーネントキャリアを割り当てられた移動局は該当移動局が無駄に周波数資源を利用するために、利用する周波数資源が限られスループットが向上しないことも懸念される。つまり、該当するUEの受信品質のみを用いてSCCの追加・削除の処理を行った場合において、場合により無駄に周波数資源を割り当ててしまい、システム全体のスループットが低下してしまうことがありえる。
【0008】
本発明の課題は、キャリアアグリゲーションによりプライマリ及びセカンダリコンポーネントキャリア(PCC、SCC)を用いて通信することが可能なユーザ装置に対して、あるコンポーネントキャリアが、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として割り当て可能か否かを基地局が適切に判断し、十分なスループットを確保できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態による基地局は、
キャリアアグリゲーションによりプライマリ及びセカンダリコンポーネントキャリアを用いて通信することが可能なユーザ装置と通信する基地局であって、
1つ以上のコンポーネントキャリアに対する受信レベルを示すフィードバック情報をユーザ装置から受信する受信部と、
あるコンポーネントキャリアがセカンダリコンポーネントキャリアの候補である1つ以上のユーザ装置のグループを決定する情報整理部と、
前記あるコンポーネントキャリアに対する受信レベルに基づいて前記グループから選択された1つ以上のユーザ装置に対して、前記あるコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリアとして割り当てる割当部と、
前記あるコンポーネントキャリアがセカンダリコンポーネントキャリアとして割り当てられたことを、前記グループから選択されたユーザ装置に通知する通信部と
を有する基地局である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一形態によれば、PCC及びSCCを用いて通信することが可能なユーザ装置に対して、あるコンポーネントキャリアが、SCCとして割り当て可能か否かを基地局が適切に判断し、移動局およびシステム全体のスループットが向上するようにSCCの追加・削除を行う。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例を説明するために想定している環境を示す図。
【図2】実施例で使用する第1−第3の判定方法各々における比較対象を模式的に示す図。
【図3】第2の判定方法における絶対値を利用する方法及び相対値を利用する方法の比較例を示す図。
【図4】基地局の機能ブロック図。
【図5】コンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるべきか否かを判定する方法例を示すフローチャート。
【図6】コンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるべきか否かを判定する別の方法例を示すフローチャート。
【図7】第3の判定方法を説明するための図。
【図8】基地局の機能ブロック図。
【図9】コンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるべきか否かを判定する方法例を示すフローチャート。
【図10】コンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるべきか否かを判定する別の方法例を示すフローチャート。
【図11】第1−第3の判定方法を組み合わせる様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の観点から実施例を説明する。
【0013】
1.想定環境
2.第1の判定方法
3.第2の判定方法
3.1 基地局
3.2 動作例
4.第3の判定方法
4.1 基地局
4.2 動作例
5.組み合わせ
【実施例1】
【0014】
<1.想定環境>
図1は実施例を説明するために想定している移動通信システムにおける通信環境を示す。図示の例では、3つの基地局(BS)と、基地局各々がカバーしているエリアを示す。説明の便宜上、1つの基地局(BS)が3つのエリアを2つのキャリアを利用してカバーしているが、基地局は、適切な如何なる数のエリアをカバーしてもよい。図示の例の基地局(BS)は、第1のコンポーネントキャリア(CC1)による通信をサポートすることに加えて、第2のコンポーネントキャリア(CC2)による通信もサポートしている。図示の簡明化のため、2つのコンポーネントキャリアしか示されていないが、コンポーネントキャリアの数はいくつでもよい。コンポーネントキャリアは、例えばLTE方式における1つのシステムキャリアに対応する。
【0015】
ユーザ装置は、一般的には携帯電話のような移動局であるが、固定端末でもよい。具体的には、ユーザ装置は、情報端末、スマートフォン、パーソナルディジタルアシスタント、携帯用パーソナルコンピュータ等でもよい。
【0016】
ユーザ装置は、1つ以上のコンポーネントキャリアを用いて通信を行う。キャリアアグリゲーションが行われる場合、何れか1つのコンポーネントキャリアが、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)として指定され、使用される1つ以上のコンポーネントキャリアが、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として指定される。一般的には、PCCは、ユーザ装置が使用可能なコンポーネントキャリアの内、最良の受信レベルをもたらすコンポーネントキャリアである。しかしながら、負荷の状況(ロードバランス)等に起因して、例えば次善の受信レベルのコンポーネントキャリアがPCCとして指定されてもよい。SCCは、例えばトラフィックが多くなった等の場合に、PCCに加えて補足的に使用される。あるコンポーネントキャリアを、SCCとしてユーザに割り当てて良いか否かの判定方法については、後述する。
【0017】
図示の例において、第1のユーザ(UE:A)は、第1及び第2のコンポーネントキャリアの地域の境界付近に位置している。このユーザ(UE:A)にとって、第1のコンポーネントキャリア(CC1)に対する受信レベルは大きいので、これはプライマリコンポーネントキャリア(PCC)として指定されている。また、このユーザ(UE:A)にとって、第2のコンポーネントキャリア(CC2)に対する受信レベルも比較的大きいので、これはセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として利用することも可能かもしれない。一方、ユーザ(UE:B)は、第2のコンポーネントキャリアの地域に在圏している。このユーザ(UE:B)にとって、第2のコンポーネントキャリア(CC2)に対する受信レベルは大きいので、これはPCCとして指定されている。ユーザ(UE:B)のCC1は受信レベルが小さくSCCとして利用することでユーザ(UE:B)に対するユーザスループットを向上させることができる環境である。
【0018】
このような通信環境において、ユーザ装置は、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)に加えて、必要に応じてセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)を使用することで、無線通信を行う。ユーザ装置による通信を可能にするため、基地局は、無線リソースの割当を計画する必要がある(スケジューリング処理を行う必要がある。)。
【0019】
<2.第1の判定方法>
本実施例による基地局は、あるコンポーネントキャリアが、ユーザ装置に対してセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として割り当てても良いか否かを以下の第1−第3の判定方法(それらの組み合わせも含む)にしたがって判定する。
【0020】
図2は、実施例で使用する第1−第3の判定方法各々において、比較する対象を模式的に示している。縦軸は受信レベルに対応する。第1の判定方法は、あるユーザ装置が基地局に報告したコンポーネントキャリア毎の受信レベルに基づいて判定を行う。受信レベル又は無線品質は、無線チャネルの状態の良否を示す適切な如何なる量で表現されてもよい。例えば、受信電力RSRP、RSRQ、RSSI、RSCP、SIR、CINR、S/N、Ec/N0、CQI、パスロス、等で表現されてもよい。ユーザ装置は、同一の周波数のセルだけでなく、異周波のセルについてもセルサーチを行い、コンポーネントキャリア毎に受信レベルを測定する。ユーザ装置は、少なくともプライマリコンポーネントキャリア(PCC)により通信を行っており、必要に応じてセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)を追加的に使用する。PCC以外の何らかのコンポーネントキャリアの受信レベルが、閾値より良好であった場合、ユーザ装置は、その旨を基地局に報告する。より一般的には、このような報告を行うためのイベントが予めシステムに規定されており、そのようなイベントに合致する場合、報告が行われる。報告は、一般的にはメジャーメントレポートにより行われる。基地局は、ユーザ装置が報告したコンポーネントキャリア毎の受信レベルに基づいて、そのコンポーネントキャリアを、そのユーザ装置のSCCとして割り当てるかを決定する。すなわち、あるコンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるか否かは、そのユーザ装置が報告した受信レベルによって判定される。他のユーザ装置が報告した受信レベルは考慮されない。このため、第1の判定方法だけでSCCの割当可否を判定すると、同一CCを利用する他UEの状態に比べると環境が悪い可能性があり、システム全体としてのスループットが却って低下してしまうことが懸念される。本実施例では、以下に説明する第2の判定方法、第3の判定方法又はそれら双方を加えて使用し、SCCの割当可否を判定する。
【0021】
<3.第2の判定方法>
第2の判定方法では、まず、ある条件を満たすユーザ装置のグループが作成される。条件は、あるコンポーネントキャリア(CC)をセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補としていることである。例えば、第1及び第2のコンポーネントキャリア(CC1、CC2)が存在し、ユーザ装置A及びBがCC1をプライマリコンポーネントキャリアとして使用しているとする。そして、ユーザ装置A及びBの両者が、CC2をSCCの候補として基地局に報告したとする。つまり、CC2の受信品質をSCC候補として基地局装置にフィードバックしている。この場合、ユーザ装置A及びBは、CC2をSCCの候補としているので、同じグループに属する。このグループ分けは、どのコンポーネントキャリアがSCCの候補となっているかに基づいて行われる。プライマリコンポーネントキャリア(PCC)が共通しているか否かはグループ分けには考慮されない。仮に、第3のコンポーネントキャリア(CC3)をPCCとするユーザ装置Cが存在し、そのユーザ装置CもCC2をSCCの候補としていた場合、ユーザ装置A、B及びCは同じグループに属することになる。
【0022】
このようにグループ分けが行われた後、グループの中で、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補となっているコンポーネントキャリアに対する受信レベルに基づいて、そのコンポーネントキャリアを、SCCとして使用してよいユーザ装置が決定される。この場合において、以下の決定法が考えられる。
【0023】
(絶対値を利用する方法)
決定法の1つは、グループの中で、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補となっているコンポーネントキャリアに対する受信レベルの大小関係に基づいて、ユーザを選択することである。例えば、図2の例において、ユーザ装置A及びBが同じグループに属し、CC2がSCCの候補になっている。本方法の場合、CC2に対する受信レベルの絶対値を比較し、より大きな受信レベルのユーザが、優先的に選択される。図示の例において、CC2の場合、ユーザ装置Bの受信レベルの方が大きいので、ユーザ装置Bがユーザ装置Aよりも優先して、SCCの割り当てを受けることができる。受信レベルが大きいということは、そのユーザ装置は良い通信環境に居る又は基地局に近いことを意味する。本方法は、通信状況が良いユーザ装置(例えば、基地局に近いユーザ装置)にSCCを優先的に割り当てることで、システムのスループットを向上させる等の観点から好ましいと考えられる。
【0024】
(相対値を利用する方法)
別の決定法は、グループに属するユーザ装置各自のプライマリコンポーネントキャリア(PCC)の受信レベルと、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補となっているコンポーネントキャリアに対する受信レベルとの差分に基づいて、ユーザを選択することである。ここで差分として表記する理由は、受信品質を一般的にデシベル(dB)にて表現しているためであり、PCCとSCC候補の相対的な受信品質の関係を数値化できていればよい。例えば、図2の例において、ユーザ装置A及びBが同じグループに属し、CC2がSCCの候補になっている。本方法の場合、PCCであるCC1に対する受信レベルと、CC2に対する受信レベルとの差分を比較し、差分の小さい方のユーザが、優先的に選択される。図示の例の場合、差分はユーザ装置Bよりもユーザ装置Aの方が小さいので、ユーザ装置Aがユーザ装置Bよりも優先して、SCCの割り当てを受けることができる。上記の「絶対値を利用する方法」の場合と結果が異なる点に留意を要する。CC2の受信レベルとPCCの受信レベルとの差分が小さいということは、そのユーザ装置にとって、SCCの候補のコンポーネントキャリアは、PCCと同程度のスループットを発揮できることを意味する。すなわち、そのユーザ装置の場合、キャリアアグリゲーションによるスループット向上効果が大きく期待できる。つまり、それぞれのCCで同程度のスループットを実現できることを示しており、PCCのみのスループットに対して例えば2倍のスループットを実現できることになる。これに対して、差分が大きい場合、そのユーザ装置にとって、SCCの候補のコンポーネントキャリアは、PCCよりもかなり低いスループットしか発揮できないことを意味する。このような状況のユーザ装置に対して、SCCの候補のコンポーネントキャリアをSCCとして許可したとしても、そのユーザ装置の場合、キャリアアグリゲーションによるスループット向上効果をさほど期待できない。つまり、PCCのみを利用した際とほぼ同程度のスループットしか実現できない。むしろ、他のユーザ装置に割り当てるべき周波数資源を利用してしまうため、システム全体のパフォーマンスを低下させてしまうことが懸念される。本方法は、キャリアアグリゲーションによるスループットの向上効果を大いに発揮できるユーザ装置にSCCを優先的に割り当てることで、システムのスループットを向上させる等の観点から好ましい。
【0025】
図3は、「絶対値を利用する方法」と「相対値を利用する方法」との比較例を示す。上述したように、「絶対値を利用する方法」の場合は、ユーザ装置UE:Aが選択され、「相対値を利用する方法」の場合は、ユーザ装置UE:Bが選択される。
【0026】
(PCCの平均スループットとの比率を利用する方法)
さらに別の方法は、あるメトリックに基づいて、ユーザを選択することである。例えば、グループに属するユーザ装置各々について、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補のコンポーネントキャリアに対するスループットと、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)に対する平均スループットとの比率が、そのようなメトリックとして使用されてもよい。
【0027】
メトリック=(SCC候補のコンポーネントキャリアが達成可能と思われるスループット)/(PCCに対する平均スループット)
SCCの候補のコンポーネントキャリアに対するスループットは、受信レベルとスループットとの所定の対応関係から導出されてもよい。例えば、受信レベルを表すCQIと、適応変調符号化(AMC)におけるMSCレベルとの対応関係から、受信レベルに対応するMCSレベルが導出され、そのMCSレベルからスループットが推定されてもよい。平均スループットについてもそのような対応関係から予測してもよいが、実際に測定してもよい。このようにすることで、受信品質ではなく、直接スループットという観点で評価することができる。
【0028】
例えば、図2の例において、ユーザ装置A及びBが同じグループに属し、CC2がセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補になっている。本方法の場合、CC2に対する受信レベルに対応するスループットの推定値と、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)であるCC1に対するスループットの平均値との比率が、上記のメトリックとして算出される。この比率の値が大きいユーザが、優先的に選択される。
【0029】
上記のメトリックの数式を参照すると、メトリックが大きい場合とは、分子が大きい場合及び/又は分母が小さい場合である。分子が大きい場合とは、「SCCの候補のコンポーネントキャリアに対するスループット」が大きい場合である。これは、そのユーザ装置にとって、SCCの候補のコンポーネントキャリアは、大きなスループットを発揮できることを意味し、そのユーザ装置は、候補のコンポーネントキャリアをSCCとするのに相応しいことを意味する。このようなユーザ装置にSCCを割り当てることは、特定のユーザ装置が高スループット化を図ることができるようにする点で好ましい。次に、分母が小さい場合とは、「プライマリコンポーネントキャリア(PCC)に対する平均スループット」が小さい場合である。これは、そのユーザ装置にとって、PCCだけでは十分に大きなスループットが得られないことを意味し、そのユーザ装置は、キャリアアグリゲーションを行って、高スループット化を図るのに相応しいことを意味する。このようなユーザ装置にSCCを割り当てることは、様々なユーザ装置が公平に高スループット化を図ることができるようにする点で好ましい。したがって、分子及び分母双方を考慮したこのメトリックは、特定のユーザ装置が高スループット化を図ること、及び様々なユーザ装置が公平に高スループット化を図ること等の観点から好ましい。
【0030】
なお、上記のメトリックは、分子も分母もスループットで表現されていたが、スループットの代わりに受信レベルが使用されてもよい。この場合、メトリック=(SCCの候補のコンポーネントキャリアに対する受信レベル)/(PCCに対する平均的な受信レベル)のようにして算出できる。
【0031】
<3.1 基地局>
図4は、本実施例で使用される基地局の機能ブロック図を示す。図4には、基地局に備わる様々な機能要素の内、本実施例に特に関連するものが示されている。基地局は、UE受信情報受信部41、UE情報整理部42、UE受信情報格納部43、UE順位付け部44、SCC選択部45、SCC情報出力要求受信部46、SCC情報格納部47及び通信部48を少なくとも有する。
【0032】
UE受信情報受信部41は、UE受信情報をユーザ装置から受信する。UE受信情報は、ユーザ装置が測定したコンポーネントキャリア各々における無線品質を示す情報である。無線品質又は受信レベルは、無線チャネルの状態の良否を示す適切な如何なる量で表現されてもよい。例えば、受信電力RSRP、RSRQ、RSSI、RSCP、SIR、CINR、S/N、Ec/N0、CQI、パスロス、等で表現されてもよい。
【0033】
UE情報整理部42は、コンポーネントキャリア毎のUE受信情報を、第2の判定法において使用される情報に変換する。第1の判定方法の場合は、コンポーネントキャリア毎の受信レベルのままでよい。第2の判定方法における「絶対値を利用する方法」の場合もコンポーネントキャリア毎の受信レベルのままでよい。第2の判定方法における「相対値を利用する方法」の場合、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)に対する受信レベルと、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補のコンポーネントキャリアに対する受信レベルとの差分が算出される。さらに、第2の判定方法における「メトリックを利用する方法」の場合、受信レベルがスループットに変換され、変換後のスループットがメトリックの分子になる。UE情報整理部42は、PCCに対する平均的なスループットも計算し、メトリックの分母として使用される。UE情報整理部42は、第2の判定方法における「グループ」も決定する。グループは、SCCの候補のコンポーネントキャリアが共通するユーザ装置の集合である。
【0034】
UE受信情報格納部43は、UE受信情報及びUE情報整理部42における計算結果を格納する。
【0035】
UE順位付け部44は、UE受信情報格納部43に格納されているUE受信情報及び/又は計算結果に基づいて、上記グループ内のユーザ装置の優先順位を決定する。優先順位は第2の判定方法により決定される。
【0036】
SCC選択部45は、上記グループに属するユーザ装置の内、優先順位の高いユーザ装置が、候補のコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として使用することを許可する。
【0037】
SCC情報出力要求受信部46は、SCC情報出力要求信号を受信したことに応答して、SCC情報を出力する。SCC情報とは、ユーザ装置にどのコンポーネントキャリアがセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として割り当てられているかを示す情報である。無線リソースのスケジューリングを行う場合や、SCC情報をユーザ装置に通知する制御信号を生成する等の場合に、SCC情報出力要求受信部46は、SCC情報出力要求信号を受信する。
【0038】
SCC情報格納部47は、SCC情報を格納する。
【0039】
通信部48は、SCC情報を含む制御信号をユーザ装置に送信する。
【0040】
<3.2 動作例>
図5は、第2の判定方法により、あるコンポーネントキャリアが、ユーザ装置にセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として割り当てられるべきか否かを判定する方法例を示す。
【0041】
ステップS51において、基地局は、あるコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補としているユーザ装置に対して、候補のコンポーネントキャリアに対する受信レベル(UE受信情報)を報告するように指示する。これに応じて、ユーザ装置は、ステップS52において、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補に対する受信レベルを基地局に報告する。
【0042】
ステップS53において、基地局のUE情報整理部42は、受信したUE受信情報を用いて、受信レベルの差分、スループット、スループットの比率等を計算する。この計算は、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補が同じユーザ装置のグループに属するメンバ各々に対して行われる。
【0043】
ステップS54において、基地局のSCC選択部45は、ステップS53における計算の結果に基づいて、グループに属する何れかのユーザ装置が、候補のコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として使用することを許可する。
【0044】
図6は、図5と同様に、あるコンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるべきか否かを判定する別の方法例を示す。ステップS61、S62、S63は、図5のステップS51、S52及びS53と同様である。
【0045】
ステップS64において、ステップS63における計算の結果にしたがって、ユーザ装置に優先順位が付けられる。優先順位は、受信レベル、受信レベルの差分、スループット、スループットの比率等の量の大小又は良否により決定される。
【0046】
ステップS65において、優先順に並んだユーザ装置の内、上位N個のユーザ装置が選択され、それらのユーザ装置にSCCが割り当てられる。
【0047】
図5及び図6に示すような方法により、SCCの割当を更新する頻度は、動作環境に応じて適宜決定することができる。例えば、一定の周期でSCCの割当を更新してもよい。この場合、一定の周期でユーザ装置が受信レベルを報告するように、基地局はユーザ装置に指示する。一定の周期ではないタイミングでSCCの割当が更新されてもよい。この場合、基地局は、ユーザ装置が受信レベルを報告すべきことを必要に応じて指示する。そのような必要がある具体例としては、例えば、SCCの候補の平均的な受信レベルが変化し、通信環境が変化した場合が挙げられる。
【0048】
<4.第3の判定方法>
図7は、第3の判定方法を説明するための図を示す。第3の判定方法においても、第2の判定方法と同様に、まず、ある条件を満たすユーザ装置のグループが作成される。条件は、あるコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補としていることである。第3の判定方法の場合、さらに、その候補のコンポーネントキャリアをプライマリコンポーネントキャリア(PCC)としているユーザ装置が特定される。図7の例の場合、第2のコンポーネントキャリア(CC2)が、SCCの候補であるユーザ装置A及びBを含むグループが作成される。第2のコンポーネントキャリア(CC2)が、PCCであるユーザ装置Xが特定される。CC2をPCCとするユーザ装置は複数存在するため、例えば、CC2をPCCとするユーザ装置のうち、受信品質を最良または最悪とするユーザ装置をユーザ装置Xとしてもよく、その受信品質を基準値としてもよい。また、CC2をPCCとするユーザの受信品質の平均値を基準値としてもよい。
【0049】
次に、同じグループに属するユーザ装置各々のCC2に対する受信レベルと、基準値(CC2をPCCとするユーザ装置の、最良の、最悪の又は平均的な受信レベル)との差分が、所定の閾値Δより大きいか否かが判定される。この差分が、所定の閾値Δより大きかった場合、そのユーザ装置にSCCは割り当てられない。差分が、所定の閾値Δより小さかった場合、そのユーザ装置にSCCが割り当てられる。例えば、図7の例において、ユーザ装置AのCC2に対する受信レベルは、(基準値−Δ)より小さい。この場合、ユーザ装置AにとってCC2は、高スループット化を期待できるほど良い受信レベルではない。したがって、ユーザ装置AにCC2をSCCとして許可したとしても、ユーザ装置Aは、CC2を用いてスループットを大きく向上させることはできそうにない。むしろ、ユーザ装置AがCC2を用いて通信を行うことで、他のユーザ装置(特に、ユーザ装置X)に割り当てることができた周波数資源を奪ってしまい通信を妨害してしまうだけであることが懸念される。一方、図7の例において、ユーザ装置BのCC2に対する受信レベルは、(基準値−Δ)より大きい。この場合、ユーザ装置BにとってCC2は、高スループット化を期待できるキャリアである。したがって、ユーザ装置BにCC2をSCCとして許可した場合、ユーザ装置Bは、CC2を用いてスループットを大きく向上させることが期待できる。ユーザ装置BがCC2を用いて通信を行うことで、他のユーザ装置(特に、ユーザ装置X)に割り当てることができた周波数資源を奪ってしまい、ユーザ装置Bのスループットが向上するので、システム全体としてのスループットは向上することが予想される。
<4.1 基地局>
図8は、本実施例で使用される基地局の機能ブロック図を示す。図8には、基地局に備わる様々な機能要素の内、本実施例に特に関連するものが示されている。図8に示されている基地局は、図4に示されている基地局と共通する機能要素を有し、共通する機能要素には同じ参照番号が付されている。共通する機能要素は、具体的には、SCC−UE受信情報受信部41、SCC−UE情報整理部42、SCC−UE受信情報格納部43、SCC−UE順位付け部44、SCC選択部45、SCC情報出力要求受信部46、SCC情報格納部47及び通信部48である。これらについての重複的な説明は省略する。共通する機能要素41−45の名称に「SCC−」が付いているのは、その機能要素がセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)に関する情報を取り扱うことを示す。図8には、さらに、PCC−UE受信情報受信部81、PCC−UE情報整理部82、PCC−UE受信情報格納部83が示されている。これらの名称に「PCC−」が付いているのは、その機能要素がプライマリコンポーネントキャリア(PCC)に関する情報を取り扱うことを示す。
【0050】
PCC−UE受信情報受信部81は、UE受信情報をユーザ装置から受信する。UE受信情報は、ユーザ装置が測定したコンポーネントキャリア各々における無線品質を示す情報である。SCC−UE受信情報受信部41は、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)に関する無線品質を取得するのに対して、PCC−UE受信情報受信部81は、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)に関する無線品質を取得する点で異なる。無線品質又は受信レベルは、無線チャネルの状態の良否を示す適切な如何なる量で表現されてもよい。例えば、受信電力RSRP、RSRQ、RSSI、RSCP、SIR、CINR、S/N、Ec/N0、CQI、パスロス、等で表現されてもよい。
【0051】
PCC−UE情報整理部82は、コンポーネントキャリア毎のUE受信情報を、第3の判定法において使用される情報に変換する。第1の判定方法の場合は、コンポーネントキャリア毎の受信レベルのままでよい。PCC−UE情報整理部82は、第3の判定方法における「グループ」も決定する。グループは、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補のコンポーネントキャリアが共通するユーザ装置の集合である。さらに、PCC−UE情報整理部82は、グループに属するユーザ装置が共通にSCCの候補としているコンポーネントキャリアを、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)としているユーザ装置を特定する。さらに、PCC−UE情報整理部82は、特定されたユーザ装置の受信レベルの最良値、最悪値又は平均値を求め、基準値とする。
【0052】
PCC−UE受信情報格納部83は、UE受信情報及びPCC−UE情報整理部82における計算結果を格納する。
【0053】
UE順位付け部44は、SCC−UE受信情報格納部43及びPCC−UE受信情報格納部83に格納されているUE受信情報及び/又は計算結果に基づいて、上記グループ内のユーザ装置の優先順位を決定する。優先順位は第3の判定方法により決定される。
【0054】
SCC選択部45は、上記グループに属するユーザ装置の内、優先順位の高いユーザ装置が、候補のコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として使用することを許可する。
【0055】
<4.2 動作例>
図9は、コンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるべきか否かを判定する方法例を示す。
【0056】
ステップS91において、基地局は、あるコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補としているユーザ装置に対して、候補のコンポーネントキャリアに対する受信レベル(SCC−UE受信情報)を報告するように指示する。さらに、基地局は、SCCの候補のコンポーネントキャリアを、プライマリコンポーネントキャリア(PCC)としているユーザ装置に対しても、受信レベル(PCC−UE受信情報)を報告するように指示する。これに応じて、ユーザ装置は、ステップS92において、指定されたコンポーネントキャリアに対する受信レベル(SCC−UE受信情報及びPCC−UE受信情報)を基地局に報告する。
【0057】
ステップS93において、基地局は、フィードバックされたSCC−UE受信情報及びPCC−UE受信情報を用いて、同じグループに属するユーザ装置各々のSCC候補に対する受信レベルと、基準値(SCC候補をPCCとするユーザ装置の、最良の、最悪の又は平均的な受信レベル)との差分が、所定の閾値Δより大きいか否かを判定する。この判定は、SCCの候補が同じユーザ装置のグループに属するメンバ各々に対して行われる。
【0058】
ステップS94において、基地局は、判定結果に基づいて、グループ内のユーザ装置に対して、候補のコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリア(SCC)として割り当てる。上記の差分が、所定の閾値Δより小さかった場合、そのユーザ装置にSCCが割り当てられる。しかしながら、上記の差分が、所定の閾値Δより大きかった場合、そのユーザ装置にSCCは割り当てられない。
【0059】
図10は、図9と同様に、あるコンポーネントキャリアが、ユーザ装置にSCCとして割り当てられるべきか否かを判定する別の方法例を示す。ステップS101、S102、S103は、図9のステップS91、S92及びS93と同様である。
【0060】
ステップS104において、ステップS103における計算の結果にしたがって、ユーザ装置に優先順位が付けられる。優先順位は、上記の差分の大小により決定される。
【0061】
ステップS105において、優先順に並んだユーザ装置の内、上位N個のユーザ装置が選択され、それらのユーザ装置にSCCが割り当てられる。
【0062】
図9及び図10に示すような方法により、SCCの割当を更新する頻度は、図5及び図6の方法の場合と同様に、動作環境に応じて適宜決定することができる。
【0063】
<5.組み合わせ>
上記の第1−第3の方法は、それぞれを単独に使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。
【0064】
図11は、第1−第3の判定方法を組み合わせて使用する場合の概念図を示す。先ず、基地局は、ユーザ装置から受信したフィードバック情報(SCC−UE受信情報)とともに第1の判定方法にしたがって、セカンダリコンポーネントキャリア(SCC)の候補のコンポーネントキャリアをSCCとして割り当てられる可能性のあるユーザ装置を絞り込む。一例として、SCCの割り当てを希望するユーザ装置の内、候補のコンポーネントキャリアについて受信レベルが閾値以上のユーザ装置が選択される。図示の例では、ユーザからフィードバックされた受信品質情報を元に、K個のユーザ装置が選択されている。基地局が、フィードバック情報を要求するユーザ装置を予め選択し、それらのユーザ装置に限定してフィードバック情報が受信されてもよい。
【0065】
次に、これらK個のユーザ装置が、グループ分けされ、第2の判定方法により絞り込まれる。1つのグループは、SCCの候補のコンポーネントキャリアが共通するユーザ装置である。説明の便宜上、K個のユーザ装置は全て同じグループに属するものとする。グループに属するユーザ装置各々のSCCの候補に対する受信レベルを比較することで、K個のユーザ装置から絞り込まれる(本図では結果として、L個のユーザ装置に絞り込まれた場合を示している)
さらに、L個のユーザ装置のSCCの候補に対する受信レベルと、基準値とを比較することで、L個のユーザ装置から絞り込まれる。基準値は、SCC候補をPCCとするユーザ装置の受信レベルの最良値、最悪値又は平均値である。このように、あるコンポーネントキャリアをSCCとすることを希望するユーザを、複数の異なる観点から絞り込むことで、システム全体のスループット向上に真に寄与するユーザを確実に選択することができる。なお、本図において、L個のユーザからM個のユーザ装置に最終的に絞り込まれているが、これは以下の2つの条件のいずれかに基づいて定められていることが考えられる。1つ目は、第3の判定方法により合計M個のユーザに絞り込まれた場合である。2つ目は、対象CCをPCCとするユーザ装置の数と第3の判定方法の結果絞り込まれたユーザ装置の数の合計値が合計でN個となるように制御した場合において、N―(PCCとするユーザ装置の数)がMとなる場合である。後者は、スケジューラの性能として、最大処理可能ユーザ数がN個であった場合において有効な判断方法である。
【0066】
また、処理を行う各段階において、最大ユーザ装置数を定義し、それに収まるように選択してもかまわない。例えば、本実施例において、第2の判定方法でL個のユーザ装置が選択されているが、もし、Lがあらかじめ定められている最大数として、それ以上のユーザ装置が該当した場合には、第2の判定方法において、最も第2の判定方法の条件に合致する上位L個のユーザを選択してもよいことを示している。
【0067】
なお、図11に示す例では、第2の判定方法の後に第3の判定方法が使用されているが、この順序は逆でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、それらは単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。例えば、本発明は、キャリアアグリゲーションを行う適切な如何なる移動通信システムに適用されてもよい。例えば本発明は、HSDPA/HSUPA方式を拡張したDB-DC HSPAや4C-HSPAのシステム、LTE方式のシステム、LTE−Advanced方式のシステム、IMT−Advanced方式のシステム、WiMAX、Wi−Fi方式のシステム等に適用されてもよい。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。発明の理解を促すため具体的な数式を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数式は単なる一例に過ぎず適切な如何なる数式が使用されてもよい。実施例又は項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に用意されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【符号の説明】
【0069】
41 UE受信情報受信部
42 UE情報整理部
43 UE受信情報格納部
44 UE順位付け部
45 SCC選択部
46 SCC情報出力要求受信部
47 SCC情報格納部
48 通信部
81 PCC−UE受信情報受信部
82 PCC−UE情報整理部
83 PCC−UE受信情報格納部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアアグリゲーションによりプライマリ及びセカンダリコンポーネントキャリアを用いて通信することが可能なユーザ装置と通信する基地局であって、
1つ以上のコンポーネントキャリアに対する受信レベルを示すフィードバック情報をユーザ装置から受信する受信部と、
あるコンポーネントキャリアがセカンダリコンポーネントキャリアの候補である1つ以上のユーザ装置のグループを決定する情報整理部と、
前記あるコンポーネントキャリアに対する受信レベルに基づいて前記グループから選択された1つ以上のユーザ装置に対して、前記あるコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリアとして割り当てる割当部と、
前記あるコンポーネントキャリアがセカンダリコンポーネントキャリアとして割り当てられたことを、前記グループから選択されたユーザ装置に通知する通信部と
を有する基地局。
【請求項2】
前記割当部は、前記あるコンポーネントキャリアに対する各ユーザ装置の受信レベルの大小比較に基づいて、前記グループから前記1つ以上のユーザ装置を選択する、請求項1記載の基地局。
【請求項3】
前記割当部は、ユーザ装置各自のプライマリコンポーネントキャリアの受信レベルと、前記ある該当コンポーネントキャリアに対する受信レベルとの相対値に基づいて、前記グループから前記1つ以上のユーザ装置を選択する、請求項1記載の基地局。
【請求項4】
前記割当部は、ユーザ装置各自のプライマリコンポーネントキャリアに対するスループットの平均値と、前記あるコンポーネントキャリアに対するスループットの予測値との比率に基づいて、前記グループから前記1つ以上のユーザ装置を選択する、請求項1記載の基地局。
【請求項5】
前記情報整理部は、前記あるコンポーネントキャリアをプライマリコンポーネントキャリアとして割り当てられたユーザ装置のうち、いずれかのユーザ装置の受信レベルまたはそれら全てのユーザ装置の平均値を基準値として決定し、前記グループに属するユーザ装置の前記あるコンポーネントキャリアに対する受信レベルと、前記基準値との比較に基づいて、前記グループから前記1つ以上のユーザ装置を選択する、請求項1記載の基地局。
【請求項6】
前記情報整理部は、前記グループに属するユーザ装置の前記あるコンポーネントキャリアに対する受信レベルと、前記基準値との相対値が閾値未満であった場合、該ユーザ装置を選択する、請求項5記載の基地局。
【請求項7】
前記情報整理部は、前記あるコンポーネントキャリアがプライマリコンポーネントキャリアであるユーザ装置の受信レベルの最良値を、前記基準値とする、請求項5又は6に記載の基地局。
【請求項8】
前記情報整理部は、前記あるコンポーネントキャリアがプライマリコンポーネントキャリアであるユーザ装置の受信レベルの最悪値を、前記基準値とする、請求項5又は6に記載の基地局。
【請求項9】
キャリアアグリゲーションによりプライマリ及びセカンダリコンポーネントキャリアを用いて通信することが可能なユーザ装置と通信する基地局における方法であって、
1つ以上のコンポーネントキャリアに対する受信レベルを示すフィードバック情報をユーザ装置から受信し、
あるコンポーネントキャリアがセカンダリコンポーネントキャリアの候補である1つ以上のユーザ装置のグループを決定し、
前記あるコンポーネントキャリアに対する受信レベルに基づいて前記グループから選択された1つ以上のユーザ装置に対して、前記あるコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリアとして割り当て、
前記あるコンポーネントキャリアがセカンダリコンポーネントキャリアとして割り当てられたことを、前記グループから選択されたユーザ装置に通知するステップ
を有する基地局における方法。
【請求項1】
キャリアアグリゲーションによりプライマリ及びセカンダリコンポーネントキャリアを用いて通信することが可能なユーザ装置と通信する基地局であって、
1つ以上のコンポーネントキャリアに対する受信レベルを示すフィードバック情報をユーザ装置から受信する受信部と、
あるコンポーネントキャリアがセカンダリコンポーネントキャリアの候補である1つ以上のユーザ装置のグループを決定する情報整理部と、
前記あるコンポーネントキャリアに対する受信レベルに基づいて前記グループから選択された1つ以上のユーザ装置に対して、前記あるコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリアとして割り当てる割当部と、
前記あるコンポーネントキャリアがセカンダリコンポーネントキャリアとして割り当てられたことを、前記グループから選択されたユーザ装置に通知する通信部と
を有する基地局。
【請求項2】
前記割当部は、前記あるコンポーネントキャリアに対する各ユーザ装置の受信レベルの大小比較に基づいて、前記グループから前記1つ以上のユーザ装置を選択する、請求項1記載の基地局。
【請求項3】
前記割当部は、ユーザ装置各自のプライマリコンポーネントキャリアの受信レベルと、前記ある該当コンポーネントキャリアに対する受信レベルとの相対値に基づいて、前記グループから前記1つ以上のユーザ装置を選択する、請求項1記載の基地局。
【請求項4】
前記割当部は、ユーザ装置各自のプライマリコンポーネントキャリアに対するスループットの平均値と、前記あるコンポーネントキャリアに対するスループットの予測値との比率に基づいて、前記グループから前記1つ以上のユーザ装置を選択する、請求項1記載の基地局。
【請求項5】
前記情報整理部は、前記あるコンポーネントキャリアをプライマリコンポーネントキャリアとして割り当てられたユーザ装置のうち、いずれかのユーザ装置の受信レベルまたはそれら全てのユーザ装置の平均値を基準値として決定し、前記グループに属するユーザ装置の前記あるコンポーネントキャリアに対する受信レベルと、前記基準値との比較に基づいて、前記グループから前記1つ以上のユーザ装置を選択する、請求項1記載の基地局。
【請求項6】
前記情報整理部は、前記グループに属するユーザ装置の前記あるコンポーネントキャリアに対する受信レベルと、前記基準値との相対値が閾値未満であった場合、該ユーザ装置を選択する、請求項5記載の基地局。
【請求項7】
前記情報整理部は、前記あるコンポーネントキャリアがプライマリコンポーネントキャリアであるユーザ装置の受信レベルの最良値を、前記基準値とする、請求項5又は6に記載の基地局。
【請求項8】
前記情報整理部は、前記あるコンポーネントキャリアがプライマリコンポーネントキャリアであるユーザ装置の受信レベルの最悪値を、前記基準値とする、請求項5又は6に記載の基地局。
【請求項9】
キャリアアグリゲーションによりプライマリ及びセカンダリコンポーネントキャリアを用いて通信することが可能なユーザ装置と通信する基地局における方法であって、
1つ以上のコンポーネントキャリアに対する受信レベルを示すフィードバック情報をユーザ装置から受信し、
あるコンポーネントキャリアがセカンダリコンポーネントキャリアの候補である1つ以上のユーザ装置のグループを決定し、
前記あるコンポーネントキャリアに対する受信レベルに基づいて前記グループから選択された1つ以上のユーザ装置に対して、前記あるコンポーネントキャリアをセカンダリコンポーネントキャリアとして割り当て、
前記あるコンポーネントキャリアがセカンダリコンポーネントキャリアとして割り当てられたことを、前記グループから選択されたユーザ装置に通知するステップ
を有する基地局における方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−19314(P2012−19314A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154556(P2010−154556)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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