説明

移動通信制御方法及び移動通信システム

【課題】 本発明の目的は、3GPP2のコアネットワークでモバイルIPv6とSIPとを統合した移動通信制御方法および移動通信システムを提供すること。
【解決手段】 移動通信システムにおいて、移動ノードMNが、ホームエージェントサーバHAとの間で、訪問先ネットワークで取得した気付アドレスの登録手順を実行し、移動ノードが、SIPサーバ(20〜22)との間で、気付アドレスの登録手順を実行し、移動ノードMNと通信相手ノードCNとの間で、ホームエージェントサーバを経由することなく、SIPサーバを介して、セッション接続のための通信手順を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信制御方法および移動通信システムに関し、特に、3GPP2(The 3rd Generation Partnership Project 2)のコアネットワークでモバイルIPv6とSIP(Session Initiation Protocol)を統合させた移動通信制御方法及び移動通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代セルラー網のアーキテクチャと標準を決めるための国際標準組織である3GPP2では、端末の移動性をサポートするためのモバイルIPv4(Internet Protocol version)については、既に展開済みとなっているが、IPv6については未だ案が固まっていない。しかしながら、モバイルIPv4は、幾つかの固有の問題を抱えているため、将来の移動無線データネットワークにとって、3GPP2でモバイルIPv6を如何に展開するかが鍵となる。
【0003】
IPマルチメディア・サブシステムIMS(IP Multimedia Subsystem)は、元々は3GPPによって定義されたものであるが、3GPP2でも、同じIMSアーキテクチャを採用している。IMSは、端末間のセッションの確立にSIP(Session Initiation Protocol)を利用している。
【0004】
特開2004−120195号公報(特許文献1)には、図12に示すように、移動ノード(MN)10と通信ホスト(CN)30とが、IPネットワークを介して通信するネットワーク通信方法を開示している。特許文献1では、SIPを利用して通話を開始するために、ネットワークにSIPサーバ40が設置されている。移動ノード10は、移動先のネットワークに接続された時、移動先ネットワークが管理する気付アドレスCoAを取得し、取得した気付アドレスをホームエージェントサーバ20に通知する。
【0005】
通信ホスト30は、通話開始時に、データパケット(IPパケット)の移動ノード10への送信に先立って、SIPサーバ40にセッション接続要求メッセージ(INVITE)を送信する。上記セッション接続要求メッセージは、SIPサーバ40からホームエージェントサーバ20に転送され、ホームエージェントサーバ20から移動ノード10に転送される。
【0006】
上記セッション接続要求を受信した移動ノード10は、SIPサーバ40を介して、通信ホスト30に応答メッセージを送信する。通信ホスト30と移動ノード10との通話が開始されると、通信ノード30が送信したIPデータパケットは、ホームエージェントサーバ20でカプセル化され、気付アドレスに従って移動ノード10に転送される。
【0007】
【特許文献1】特開2004−120195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1で提案された通信方法では、通信ホスト30と移動ノード10との間で通信される全てのパケットが、移動ノードのホームエージェントサーバ20を経由して転送される。このため、トライアングル・ルーティングの問題が発生し、ホームエージェントサーバとネットワーク全体の通信負担が重くなるという問題がある。
【0009】
SIPとモバイルIPv6は、両方とも移動ノードMNの移動性をサポートしているが、それぞれの移動性に相違がある。すなわち、モバイルIPv6は、IPレイヤのプロトコルであるから、TCPレイヤとその上位レイヤは、IPアドレスの変更に気付かない。それ故、アプリケーションプログラムでは、移動ノードMNの移動を検知することができない。一方、SIPは、アプリケーションレイヤのプロトコルであるから、移動ノードMNの移動に伴って中断されたセッションの回復に、再要求メッセージ(re-INVITE)を適用できる。しかしながら、此の種の規格は、TCPレイヤにIPアドレスの変更を隠すことができないため、TCPセッションが中断されてしまうという問題がある。
【0010】
モバイルIPv6は、全てのアプリケーションに対して透明であるため、IMSシステムでは、モバイルIPv6だけが、SIPによる移動性サポートなしに、通常の移動セッションをサポートできる。しかしながら、移動ノードMNがホームエリアを離れて外部エリアに位置した場合、新たなSIPセッションを接続するための全てのシグナリングプロセスは、必ずホームネットワークを経由する。このため、無駄なルーティングが発生し、ホームエージェントHA内での大きな時間遅延とトラフィック負荷を引き起こすことになる。
【0011】
本発明の目的は、3GPP2のコアネットワークでモバイルIPv6とSIPとを統合した移動通信制御方法および移動通信システムを提供することにある。
本発明の他の目的は、移動ノードのホームエージェントと移動通信ネットワークの負担を低減可能な移動通信制御方法および移動通信システムを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、新たな気付アドレスの取得に伴うSIPサーバへの移動ノードの位置登録と、セッションの接続を容易にした移動通信制御方法および移動通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の移動通信制御方法は、移動ノードが、ホームエージェントサーバとの間で、訪問先ネットワークで取得した気付アドレスの登録手順を実行し、移動ノードが、SIPサーバとの間で、上記気付アドレスの登録手順を実行し、移動ノードと通信相手ノードとの間で、ホームエージェントサーバを経由することなく、上記SIPサーバを介して、セッション接続のための通信手順を実行することを特徴とする。
【0013】
本発明の1実施例では、上記移動ノードとSIPサーバとの間で行われる気付アドレスの登録手順が、ホームエージェントを経由して行われ、上記セッション確立のための通信手順が、移動ノードとSIPサーバとの間のモバイルIP通信ルート最適化のための通信手順を実行した後に行われることを特徴とする。
【0014】
本発明の別の実施例では、上記移動ノードとSIPサーバとの間で行われる気付アドレスの登録手順が、移動ノードからSIPサーバへのSIP位置登録要求(REGISTER)メッセージの送信によって開始され、該REGISTERメッセージのSIP contactヘッダで気付アドレスを指定することを特徴とする。
【0015】
更に詳述すると、上記SIP位置登録要求(REGISTER)メッセージは、IPv6ヘッダをもつIPパケット形式で移動ノードからSIPサーバに送信され、該IPv6ヘッダが、送信元アドレスとして気付アドレスを含み、宛先アドレスとして上記SIPサーバのIPアドレスを含み、拡張ヘッダ部に移動ノードのホームアドレスを含む。
【0016】
本発明の1つの特徴は、上記セッション接続のために移動ノードからSIPサーバに送信されるSIPセッション接続要求(INVITE)メッセージが、コネクション定義で移動ノードの気付アドレスを指定するようにしたことにある。この場合、通信相手ノードは、上記INVITEメッセージで指定された気付アドレスを宛先IPアドレスに適用することによって、ホームエージェントを経由することなく、移動ノード宛にデータパケットを最適ルートで送信することが可能となる。
【0017】
上記セッション接続のための通信手順が、通信相手ノードからSIPサーバへのSIPセッション接続要求(INVITE)メッセージの送信によって開始された場合、SIPサーバは、受信したINVITEメッセージのスタートラインに含まれるSIP URIを移動ノードの気付アドレスに書き換えた後、該INVITEメッセージを移動ノードに転送する。この場合、上記INVITEメッセージを受信した移動ノードが、コネクション定義で気付アドレスを指定したSIP応答メッセージを通信相手ノードに返送し、上記通信相手ノードが、上記SIP応答メッセージで指定された気付アドレスを宛先IPアドレスに適用することによって、移動ノード宛のデータパケットを最適ルートで送信することが可能となる。
【0018】
本発明の移動通信システムは、IP網に接続されたホームネットワークと、それぞれパケットデータ交換ノードを介して上記IP網に接続された複数の訪問先ネットワークとからなり、上記ホームネットワークが、移動ノードの位置情報を管理するホームエージェントサーバと、SIP(Session Initiation Protocol)サーバとを含み、上記ホームエージェントサーバが、移動ノードからモバイルIPの位置登録要求メッセージを受信して、該移動ノードのホームアドレスと気付アドレスとの対応関係を記憶するための手段を備え、上記SIPサーバが、移動ノードからSIP位置登録要求メッセージを受信して、該移動ノードのSIP識別子とホームアドレスと気付アドレスとの対応関係を記憶するための手段と、上記ホームエージェントサーバを経由することなく、上記移動ノードと通信相手ノードとの間で交信されるセッション接続のためのSIPメッセージを中継するための手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、SIPサーバによるセッション確立のための制御手順を移動ノードのホームエージェントを経由することなく実行できるため、ホームエージェントの負荷を低減できる。また、SIPサーバへの移動ノード位置登録要求メッセージと、セッション接続要求メッセージに気付アドレスを適用することによって、ホームエージェントを経由することなく、移動ノードと通信相手ノードとの間で直接的なパケット通信が可能となるため、通信ネットワークの負荷を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される3GPP2のIMSシステムによる移動通信ネットワークの構成の1例を示す。図において、100はIP網、101はモバイルIPv6のホームネットワーク、102(102A、102B)は、ホームネットワークの外部にあるアクセス網(訪問先ネットワーク)を示す。
【0021】
3GPP2で規定されたIMSネットワークは、ユーザ端末9、10(以下、端末9を通信相手ノードCN、端末10を移動ノードMNと言う)と、各アクセス網において移動ノードと接続されるアクセスポイント3、4と、各アクセスポイントと接続されたパケット制御機能モジュールPCF(Packet Control Function)5、6と、各PCFと接続されたパケットデータ交換ノードPDSN(Packet Date Switching Node)7、8と、ホームエージェントHA(Home Agentサーバ)16と、SIPサーバ(20〜22)とからなる。IP網には、その他の要素として、DNS(Domain Name System)サーバ30とDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ31とが接続されている。
【0022】
3GPP2のIMSシステムでは、SIPサーバの機能は、P-CSCF(Proxy Call Server Control Function)20、I-CSCF(Interrogating CSCF)21、S-CSCF(Serving CSCF)22に分割されている。点線102はSIP VoIPによる通信パケットのフローを示す。
【0023】
後で詳述するように、本発明では、各ユーザ端末(移動ノードMN)10が、訪問先ネットワークで、モバイルIPv6とSIPアプリケーションによってサポートされる。移動ノードMN10は、モバイルIPv6に従って、訪問先ネットワーク102Aで、アクセスポイント(AP:Access Point)4とパケット制御機能モジュール(PCF:Packet Control Function)6を介して、パケットデータ交換ノード(PDSN)8から、IPアドレスのプレフィックスを受信できる。訪問先ネットワーク102Aから102Bに移動した移動ノード10は、ネットワーク102BのPDSN7から、AP3とPCF5を介して、新たな気付アドレスCoAを取得する。モバイルIPv6のサポートによって、端末ユーザが移動中に、移動ノードMNと通信相手CNとの通信が中断されることはない。
【0024】
図2は、SIPサーバ実体の分布図を示す。
図2に示すように、P-CSCF20、27は、ユーザ端末(移動ノード10および通信相手ノード9)とIMSシステム内部のI-CSCF、S-CSCFとの間の第1の接続点となる。I-CSCF21、23、24および25は、各運営業者のネットワーク内において、ユーザ宛の全てのコネクション(目的アドレス)についての接続点となる。各運営業者のネットワーク内では、図示したように、複数のI-CSCFが存在可能である。
【0025】
S-CSCF22と26は、ユーザ端末のセッション制御サービスを実行する。S-CSCF22と26は、SIPサーバのコアとなる制御機能実体であり、SIPレジスタ(位置登録サーバ)およびSIPプロキシ(エージェントサーバ)として利用される。
【0026】
SIPサーバ(CSCF)は、アプリケーション層における位置登録処理機能と、SIPベースのマルチメディアセッションに関連する制御レイヤの処理機能を備え、他のVoIP呼制御サーバ、またはマルチメディアIP網の端末から発生した発呼要求を処理する。
【0027】
図3は、SIP実体とモバイルIPv6のホームエージェントHAとの関係を示す。図3では、図2に示したS−CSCF22に接続して、モバイルIPv6のホームエージェントHA16が追加されている。
【0028】
図4は、本発明において、SIPシグナリング手順に関係する各装置のプロトコルスタックを示す。図4では、3GPP2アーキテクチャにおける装置毎のプロトコルスタックを示している。この参照モデルのプロトコルは、3GPP2のIMSシステムにおけるモバイルIPv4と良く似ているが、3GPP2環境でのモバイルIPv6の解決案を表している。
【0029】
移動ノード(MN)10は、例えば、ステートレスアドレス自動構成法(Neighbor Discovery)、またはDHCP(v6)を利用したステートフルアドレス自動構成法などの様々な方法で、IPv6アドレスを取得できる。移動ノードMNは、PPP、モバイルIP6、SIPのプロトコルスタックを有し、モバイルIPv6とSIPプロトコルスタックの入出力データパケットは、PPPプロトコルスタックによってカプセル化される。
【0030】
無線ネットワーク(無線インタフェース)17では、PPPデータパケットが直接伝送され、データパケットがPDSN7(または8)に到着すると、PPPプロトコルスタックが終了する。CSCFは、モバイルIPv6をサポートする必要はなく、SIPプロトコルスタックだけサポートすればよい。通信相手ノードCN9も、PPP、モバイルIPv6、SIPのプロトコルスタックを有し、PPPプロトコルスタックによって、モバイルIPv6とSIPプロトコルスタックの入出力データパケットがカプセル化される。
【0031】
図5と図6は、3GPP2のIMSサブシステムにおいて、モバイルIPv6のホームエージェントHAと連携した本発明によるSIPセッションの確立シーケンスの第1実施例を示す。
先ず、図5を参照して、移動ノードMN10が、図1の訪問先ネットワーク(アクセス網)102Aで行うSIPセッションの確立シーケンスについて説明する。
【0032】
移動ノードMN10とPDSN8との間にPPPセッションが確立されると(501)、PDSN8は、ルータ広告(Router Advertisement)メッセージによって、ネットワークIPv6アドレスのプレフィックスを放送する(502)。移動ノードMN10は、上記ネットワークプレフィックスの放送を受信すると(502)、例えば、ステートレスアドレス自動構成メカニズムによって、新たな気付アドレスCoA#1を生成する(503)。
【0033】
移動ノードMN10は、上記気付アドレスCoA1を生成した後、モバイルIPv6のメカニズムによって、位置登録のためのバインディング更新(Binding Update)メッセージをホームエージェントHA16に送信する(504)。上記更新メッセージを受信したホームエージェントサーバHA16は、バインディング更新テーブルに、気付アドレスCoA#1とホームアドレスとの対応関係を記憶した後、移動ノードMN10にバインディング応答(Binding Acknowledgment)メッセージを返送する(505)。
【0034】
移動ノードMN10は、上記バインディング応答を受信すると、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ31に、DNSサーバ名とP-CSCFのドメイン名(FQDN:Fully Qualified Domain Name)を要求する(リクエストメッセージ:DHCP Query)。移動ノードMN10は、DHCPサーバ31から応答メッセージ(DHCP Response)を受信すると、受信メッセージが指定するDNSサーバに対して、FQDNを指定して、SIPサーバ(具体的にはP-CSCF)のIPアドレスを要求する(リクエストメッセージ:DSN Query)。
【0035】
DNSサーバからの応答メッセージ(DNS Response)によって、移動ノードMN10は、SIPサーバ(P-CSCF20)のIPアドレスを取得できる(506)。尚、DNSサーバからの応答メッセージでP-CSCFのIPアドレスを取得できなかった場合、移動ノードMNは、DHCPサーバ31から応答メッセージが示す別のDNSサーバに対して同様の要求を繰り返し、P-CSCFのIPアドレスを取得する。
【0036】
本実施例では、移動ノードMN10は、SIPサーバ(P-CSCF20)のIPアドレスと自分のホームアドレスHoAとを適用して、SIP位置登録要求メッセージ(REGISTER)を生成し、該要求メッセージをホームエージェントHA16のIPアドレスを宛先アドレスとするカプセル化ヘッダでカプセル化して、HA16に送信する(トンネル転送507)。
【0037】
SIPメッセージは、IP(IPv6)ヘッダとTCP/UDPヘッダとをもつIPパケットのペイロードに設定される。SIPメッセージは、メッセージ種類(Request-Method)とメッセージの宛先(SIP−URI)を示すスタートラインと、要求または応答の内容を記述したヘッダ部と、コネクション定義情報(c; connection、m; media、a; attribute)を記述したメッセージボディ部(SDP:Session Description Protocol)とからなっている。
【0038】
スタートラインに記述されるSIPメッセージ種類としては、例えば、位置登録要求メッセージを示す「REGISTER」、コネクションの接続要求メッセージを示す「INVITE」、コネクションの切断要求メッセージを示す「BYE」、応答メッセージを示す「200 OK」、接続確認メッセージを示す「ACK」、特殊情報の通知メッセージを示す「INFO」などがある。
【0039】
ヘッダ部には、例えば、SIPメッセージの経路を示すViaヘッダ、メッセージの宛先を示すToヘッダと送信元を示すFromヘッダ、送信元で指定したコネクション識別子を示すCall-ID、SIPサーバに登録すべきクライアント端末のURIを示すContactヘッダ、後続するメッセージボディ部803を定義するContent-TypeおよびContent-Lengthヘッダ等が含まれる。
【0040】
移動ノードMN10がP-CSCF20宛に送信するREGISTERメッセージは、ヘッダ部に、Contactヘッダとして移動ノードMN10のホームアドレスHoAを含み、To ヘッダとFromヘッダに移動ノードMN10のSIP−URIの値を含む。REGISTERメッセージに付加されるIPヘッダには、宛先IPアドレスとしてP-CSCF20のIPアドレス、送信元IPアドレスとしてホームアドレスHoAを含み、カプセル化ヘッダには、宛先IPアドレスとしてHA16のIPアドレス、送信元IPアドレスとして、移動ノードMN10の気付けアドレスCoA#1が適用される。
【0041】
上記カプセル化パケットは、ホームエージェントHA16でデカプセル化され、REGISTERメッセージを含むIPパケットとして、P-CSCF20に転送される。上記IPパケットは、P-CSCF20からI-CSCF21に転送され、I-CSCF21からS-CSCF22に転送される。
【0042】
S-CSCF22は、上記REGISTERメッセージを受信すると、受信メッセージの有効性を確認し、移動ノードのSIP−URIとIPアドレスHoAとの関係をSIP情報管理テーブルに記憶(SIP位置登録)した後、移動ノードMN宛のSIP応答メッセージ(200 OK)を生成する。上記応答メッセージを含むIPパケットは、REGISTERメッセージとは逆のルートでI−CSCF21、P−CSCF20、ホームエージェントHA16に転送され、ホームエージェントHA16でカプセル化した形で、移動ノードMN10に転送される(508)。
【0043】
本実施例では、上記位置登録シーケンスが完了すると、移動ノードMN10からSIPサーバに、モバイルIPv6における経路最適化のためのメッセージ(Binding Update)をP-CSCF20に送信する。上記Binding Updateメッセージを含むIPパケットは、IPヘッダに、宛先アドレスとしてP-CSCF20のIPアドレス、送信元アドレスとして移動ノード10の気付けアドレスCoA#1が適用される。P-CSCF20は、上記Binding Updateメッセージを受信すると、移動ノード10に応答メッセージ(Binding Acknowledgement)を返送する。移動ノード10が上記応答メッセージを受信することによって、ルート最適化(509)が完了し、P-CSCF20と移動ノードMN10の直接通信が可能となる。
【0044】
移動ノードMN10は、通信相手ノードCNとのパケット通信に先立って、SIPサーバにコネクションの接続要求メッセージ(INVITE)を送信する(510)。上記INVITEメッセージは、メッセージボディ部(SDP部)のcラインに移動ノードMN10のホームアドレスHoAを含み、IPヘッダは、宛先アドレスとしてP−CSCF20のIPアドレス、送信元アドレスとして移動ノードMN10の気付けアドレスCoA#1が適用されている。尚、IPヘッダの拡張ヘッダ部に、移動ノードMN10のホームアドレスHoAを記述してもよい。
【0045】
上記INVITEメッセージを含むIPパケットは、REGISTERメッセージ507のようにホームエージェントHA16を経由することなく、移動ノードMN10からP−CSCF20に直接送信され、P−CSCF20から(I−CSCF21を経由して)S−CSCF22に転送され(511)、S−CSCF22から通信相手ノードCN9に転送される(512)。
【0046】
上記INVITEメッセージを受信した通信相手ノードCN9は、応答メッセージ(200 OK)を含むIPパケットを返送する(513)。上記応答メッセージ(200 OK)は、INVITEメッセージとは逆ルートで、S-CSCF22、P-CSCF20を経由して、移動ノードMN10に転送される(514、515)。移動ノードMN10は、上記応答メッセージ(200 OK)を受信すると、ACKメッセージを含むIPパケットを通信相手ノードCN9に送り返す(516)。上記ACKメッセージを含むIPパケットは、INVITEメッセージと同じルートで、通信相手ノードCN9に転送される(517、518)。
【0047】
通信相手ノードCN9が上記ACKメッセージを受信することによって、通信相手ノードCN9と移動ノードMN10とのデータ通信が可能になる。
通信相手ノードCN9は、移動ノードMN10のホームアドレスHoAを宛先IPアドレスに適用して、データパケットを送信する(519)。上記データパケットは、ホームエージェントHA16によって捕捉され、図に示すように、宛先アドレスとして移動ノードMN10の気付アドレスCoA1、送信元アドレスとしてHA16のIPアドレスを含むカプセル化ヘッダでカプセル化した形で、移動ノードMN10にトンネル転送される。
【0048】
移動ノードMN10から通信相手ノードCN9にデータパケットを送信する場合、IPヘッダの送信元アドレスにはホームアドレスHoA、宛先アドレスにはCNのIPアドレスが適用される。上記送信パケットは、移動ノードMN10の気付アドレスCoA#1を送信元アドレス、ホームエージェントHA16のIPアドレスを宛先アドレスとするカプセル化ヘッダによってカプセル化した形で、ホームエージェントHA16にトンネル転送され(520)、ホームエージェントHA16でデカプセル化して、通信相手ノードCN9に転送される。
【0049】
図6は、移動ノードMN10が、図1に矢印で示すように、訪問先ネットワーク102Aから別の訪問先ネットワーク102Bに移動し、ハンドオーバー(PDSN8からPDSN7へのスイッチング)601が発生した場合の通信シーケンスを示す。
【0050】
移動ノードMN10が、移動先のPDSN7との間にPPP接続を確立すると(602)、PDSN7は、ルータ広告メッセージによって、ネットワークプレフィックスを放送する(603)。移動ノードMN10は、上記ネットワークプレフィックスを受信すると、例えば、ステートレスアドレス自動構成メカニズムによって、新たな気付アドレスCoA#2を生成する(604)。
【0051】
移動ノードMN10は、上記気付アドレスCoA#2を生成した後、モバイルIPv6のメカニズムによって、バインディング更新(Binding Update)メッセージをホームエージェントHA16に送信する(605)。上記更新メッセージを受信したホームエージェントサーバHA16は、バインディング更新テーブルに、気付アドレスCoA#2とホームアドレスとの対応関係を記憶した後、移動ノードMN10にバインディング応答(Binding Acknowledgment)メッセージを返送する(606)。
【0052】
移動ノードMN10は、上記位置登録シーケンスが完了すると、既にIPアドレスが判っているSIPサーバ(P−CSCF20)に対して、ルート最適化のためのBinding Updateメッセージを送信する(607)。上記Binding Updateメッセージに付されるIPヘッダは、宛先アドレスとしてP-CSCF20のIPアドレス、送信元アドレスとして移動ノード10の気付けアドレスCoA#2を含む。P-CSCF20は、上記Binding Updateメッセージを受信すると、移動ノード10に応答メッセージ(Binding Acknowledgement)を返送する(608)。移動ノード10が上記応答メッセージを受信することによって、移動ノードMN10とSIPサーバ(P-CSCF20)とが、直接通信可能な状態となる。
【0053】
ホームエージェントHA16には、上述した訪問先ネットワーク102Bにおける移動ノードMN10の位置登録(605、606)によって、移動ノードMN10のホームアドレスHoAと対応して、新たな気付アドレスCoA#2が記憶されている。従って、その後に通信相手ノードCN9が送信した移動ノードMN10宛のIPパケットは、ホームエージェントA16において、図に示すように、宛先アドレスとしてCoA#2を適用したカプセル化ヘッダでカプセル化され、新たなPDSN7を経由して、移動ノードMN10に転送される。
【0054】
移動ノードMN10から通信相手ノードCN9にデータパケットを送信する場合(610)、IPヘッダの送信元アドレスにはホームアドレスHoA、宛先アドレスにはCNのIPアドレスが適用され、カプセル化ヘッダの送信元アドレスには新たな気付アドレスCoA#2が適用される。
【0055】
図7〜図9は、3GPP2のIMSサブシステムにおける本発明によるSIPセッション確立シーケンスの第2実施例を示す。第2実施例の特徴は、移動ノードMN10とSIPサーバ2との間、および、移動ノードMN10と通信相手ノードCN9との間の通信が、ホームエージェントHA16を経由することなく、最適ルートで行われるようにしたことにある。
【0056】
先ず、図7を参照して、移動ノードMN10が、図1の訪問先ネットワーク(アクセス網)102Aで行うSIPセッションの確立シーケンスについて説明する。
移動ノードMN10が、PDSN8との間にPPPセッションを確立し、ホームエージェントHA16に位置登録した後、DHCPサーバ、DNSサーバと交信してP-CSCF20のIPアドレスを取得する迄のシーケンス(701〜706)は、第1実施例のシーケンス501〜506と同様である。
【0057】
第2実施例では、移動ノードMN10は、SIPサーバ(P-CSCF20)に対して直接、SIPの位置登録要求を行う(707)。位置登録要求メッセージ(REGISTER)は、ヘッダ部のContactヘッダに移動ノードMN10の気付アドレスCoA#1を含み、IPヘッダ(IPv6)の宛先アドレスにはP-CSCF20のIPアドレス、送信元アドレスには移動ノードMN10の気付アドレスCoA#1が適用される。但し、オプションとして、IPv6拡張ヘッダ部に移動ノードMN10のホームアドレスHoAを含んでもよい。上記ホームアドレスHoAは、移動ノードMNにハンドオーバーが発生した際のルート最適化に利用できる。
【0058】
上記REGISTERメッセージを含むIPパケットは、P-CSCF20から、I-CSCF21を経由してS-CSCF22に転送される(708、709)。S-CSCF22は、上記REGISTERメッセージを受信すると、受信メッセージの有効性を確認し、移動ノードのSIP−URIとIPアドレスHoAとの関係をSIP情報管理テーブルに記憶(SIP位置登録)した後、移動ノードMN宛のSIP応答メッセージ(200 OK)を生成する。上記応答メッセージを含むIPパケットは、REGISTERメッセージとは逆に、I−CSCF21、P−CSCF20を経由して、移動ノードMN10に転送される(710〜712)。
【0059】
本実施例では、上述したように、移動ノードMN10とSIPサーバとの間で、移動ノードMN10の気付アドレスCoA#1をIPヘッダに適用した最適ルートでの直接通信が行われているため、第1実施例のシーケンス509に相当するモバイルIPv6の経路最適化は不要となる。
【0060】
移動ノードMN10は、通信相手ノードCNとの通信に先立って、SIPサーバにコネクションの接続要求メッセージ(INVITE)を送信する(713)。本実施例では、上記INVITEメッセージは、メッセージボディ部のcラインに移動ノードMN10の気付CoA#1を含み、IPヘッダには、宛先アドレスとしてP−CSCF20のIPアドレス、送信元アドレスとして移動ノードMN10の気付けアドレスCoA#1が適用されている。
【0061】
上記INVITEメッセージを含むIPパケットは、P−CSCF20から、I−CSCF21を経由してS−CSCF22に転送され(714)、S−CSCF22から通信相手ノードCN9に転送される(715)。上記INVITEメッセージを受信した通信相手ノードCN9は、応答メッセージ(200 OK)を含むIPパケットを返送する(716)。上記応答メッセージ(200 OK)は、INVITEメッセージとは逆ルートで、S-CSCF22、P-CSCF20を経由して、移動ノードMN10に転送される(717、718)。移動ノードMN10、上記応答メッセージ(200 OK)を受信すると、ACKメッセージを含むIPパケットを通信相手ノードCN9に送り返す(719)。上記ACKメッセージを含むIPパケットは、INVITEメッセージと同じルートで、通信相手ノードCN9に転送される(520、721)。
【0062】
通信相手ノードCN9が上記ACKメッセージを受信することによって、通信相手ノードCN9と移動ノードMN10とがデータ通信が可能な状態になる。
本実施例では、通信相手ノードCN9は、INVITEメッセージ(715)で指定された気付アドレスCoA#1を宛先IPアドレスとして、移動ノードMN10宛のデータパケットを送信する(722)。一方、移動ノードMN10は、IPヘッダの送信元アドレスに気付アドレスCoA#1、宛先アドレスにCNのIPアドレスを適用して、通信相手ノードCN9宛のデータパケットを送信する(723)。従って、これらのデータパケットは、ホームエージェントHA16を経由することなく、宛先ノードに転送される。
【0063】
図8は、移動ノードMN10が、訪問先ネットワーク102Aから別の訪問先ネットワーク102Bに移動し、ハンドオーバー(PDSN8からPDSN7へのスイッチング)801が発生した場合の通信シーケンスを示す。
【0064】
移動ノードMN10は、移動先のPDSN7との間にPPP接続を確立すると(802)、PDSN7からルータ広告メッセージによって放送されたネットワークプレフィックスを受信し、ステートレスアドレス自動構成メカニズムによって、新たな気付アドレスCoA#2を生成する(803)。
【0065】
移動ノードMN10は、上記気付アドレスCoA#2を適用して、図7のシーケンス701〜706と同様、ホームエージェントHA16に、モバイルIPv6の位置登録(Binding Update)メッセージを送信し(804)、ホームエージェントサーバHA16からバインディング応答(Binding Acknowledgment)メッセージを受信すると(805)、DHCPサーバ、DNSサーバと交信してP-CSCF20のIPアドレスを取得する(806)。
【0066】
その後、移動ノードMN10は、SIPサーバ(P−CSCF20、I−CSCF21、S−CSCF22)との間で位置登録手順を実行し(807〜812)、SIPサーバを介して、通信相手ノードCN9との間でセッションの接続手順を実行する(813〜821)。これらの手順は、適用される気付アドレスの値がCoA#2に変わるだけで、図7のシーケンス707〜721と同様である。
【0067】
通信相手ノードCN9は、INVITEメッセージ(715)で指定された気付アドレスCoA#2を宛先IPアドレスとして、移動ノードMN10宛のデータパケットを送信する(822)。一方、移動ノードMN10は、IPヘッダの送信元アドレスに気付アドレスCoA#2、宛先アドレスにCNのIPアドレスを適用して、通信相手ノードCN9宛のデータパケットを送信する(823)。
【0068】
第2実施例によれば、移動ノードとSIPサーバとの間で行われるSIPの位置登録シーケンスにおいて、SIPメッセージ(REGISTER、200 OK)およびこれを含むIPパケットに、移動ノードMN10の気付アドレス(CoA#1またはCoA#2)を適用したことによって、移動ノードMN10とP-CSCF20の間で、モバイルIPv6におけるルート最適化のための手順を実行する必要がなくなる。
また、ノード間のデータ通信に先立って行われるセッション確立シーケンスにおいて、INVITEメッセージのメッセージボディ部のcラインで、移動ノードMN10の気付アドレスの値を指定しておくことによって、ホームエージェントを経由しない端末間の直接的なデータ通信が可能となる。
【0069】
尚、図8のシーケンス図では、移動ノードMN10が新たな気付アドレスを取得した時に実行する通信制御手順を同一にするために、ハンドオーバー発生の都度、移動ノードMN10が、DHCPサーバおよびDNSサーバと交信し(806)、P-CSCF20のIPアドレスを取得するようにしているが、既にP-CSCF20のIPアドレスを取得済みの場合は、上記DHCPサーバ、DNSサーバと交信を省略してもよい。
【0070】
図9は、第2実施例のSIPセッションの確立シーケンスにおいて、通信相手ノードCN9側からセッションの接続要求メッセージ(INVITE)が発生した場合のシーケンスを示す。
図9において、移動ノードMN10がPDSN8との間にPPPセッションを確立し、SIPサーバ(P−CSCF20、I−CSCF21、S−CSCF22)との間での位置登録手順を完了する迄のシーケンス(901〜912)は、図7のシーケンス701〜712と同一である。
【0071】
SIPサーバへの位置登録が完了した後、SIPサーバ(S−CSCF22)が、通信相手ノードCN9側から、移動ノードMN10との間のセッション接続要求メッセージ(INVITE)913を受信したと仮定する。この場合、INVITEメッセージは、そのスタートラインに、宛先移動ノードMN10を示すSIP−URIを含んでいる。S−CSCF22は、上記INVITEメッセージを受信すると、SIP情報管理テーブルから、受信メッセージが指定したSIP−URIと対応するエントリを検索して、移動ノードMN10の気付アドレスCoA#1を特定し、INVITEメッセージのSIP−URIを上記気付アドレスCoA#1に書き換える。上記気付アドレスCoA#1を含むINVITEメッセージは、P−CSCF20を経由して、移動ノードMN10に転送される(914、915)。
【0072】
移動ノードMN10は、上記INVITEメッセージを受信すると、SIP応答メッセージ(200 OK)をSIPサーバに返送する(916)。上記200 OKメッセージは、メッセージボディ部(SDP部)のcラインに気付アドレスCoA#1を含み、IPヘッダの送信元アドレスには気付アドレスCoA#1が適用されている。上記200 OKメッセージは、SIPサーバ(P−CSCF20、S−CSCF22)介して、通信相手ノードCN9に転送される(917、918)。200 OKメッセージを受信した通信相手ノードCN9は、SIPサーバにACKメッセージを返送する(919)。上記ACKメッセージは、INVITEメッセージと同様、SIPサーバ(S−CSCF22、P−CSCF20)介して、移動ノードMN10に転送される(920、921)。
【0073】
本実施例では、通信相手ノードCN9は、200 OKメッセージを受信した時点で、移動ノードMN10のIPアドレスをCoA#1と認識しているため、このCoA#1を宛先IPアドレスとして、データパケットを送信する(921)。このデータパケットは、ホームエージェントHA16を経由することなく、移動ノードMN10に転送される。一方、移動ノードMN10も、INVITEメッセージのcラインで指定された通信相手ノードCN9のIPアドレスを宛先IPアドレス、CoA#1を送信元IPアドレスに適用して、通信相手ノードCN9にデータパケットを直接的に送信できる(922)。
【0074】
図10は、SIPサーバの主体となるS−CSCF22の本発明に関係する主要な構成要素を示す。
S−CSCF22は、プロセッサによって実行される本発明に関係するプログラムモジュールとして、IPv6のプロトコル処理モジュール1101と、SIPプロトコル処理モジュール1102を備える。1103は、SIPプロトコル処理モジュール1102に付随するSIP情報管理テーブルである。
【0075】
SIP情報管理テーブル1103は、移動ノードと対応した複数のエントリからなり、各エントリは、移動ノードMNのSIP識別子(SIP−URI)と対応して、移動ノードMNのホームアドレスHoAと、気付アドレスと、その他の情報(例えば、Call-ID、エントリ有効期間、P−CSCFアドレス情報など)を示す。
【0076】
このテーブルは、SIPメッセージを受信した時、受信メッセージが示すSIP−URIと対応するホームアドレスHoAの検索、またはSIP−URI、HoAと対応するおよび気付アドレスの検索に利用される。気付アドレス(CoA1、CoA2)の値は、REGISTERメッセージの受信時に更新される。気付アドレスとして、CoA1、CoA2のように、ハンドオーバー前後の複数のアドレスを記憶できるようにしておくことによって、PDSNの切り替えを滑らかに行うことができる。
【0077】
図11は、本発明に関係する移動ノードMN10の主要な構成要素を示す。
移動ノードMN10は、プロセッサによって実行される本発明に関係するプログラムモジュールとして、モバイルIPv6のプロトコル処理モジュール1201と、SIPプロトコル処理モジュール1202を備える。1203は、SIPプロトコル処理モジュール1202に付随するバインディング更新テーブルである。
【0078】
モバイルIPv6とSIPをサポートする従来の移動ノード(移動端末)では、端末ユーザの移動に伴って新たな気付アドレスCoAを取得した時、例えば、図5のステップ507のように、contactヘッダにホームアドレスHoAを適用したREGISTERメッセージによって、SIPサーバに位置登録を要求している。また、通信相手ノードとの間に新たなセッションを確立する場合は、cラインにホームアドレスHoAを適用したINVITEメッセージによって、SIPサーバにセッションを要求している。
【0079】
本発明の第1実施例を実現する移動ノード10には、SIPサーバへの位置登録が完了(200 OKメッセージを受信)した時、SIPサーバ(P−CSCF)に対して自動的にモバイルIPv6のBinding Updateメッセージを送信する機能を追加すればよい。
【0080】
または、本発明の第2実施例を実現する移動ノード10には、新たな気付アドレスCoAを取得した時、contactヘッダに気付アドレスCoAを適用したREGISTERメッセージによって、SIPサーバに直接的に位置登録を要求し、通信相手ノードとの間に新たなセッションを確立する場合は、cラインに気付アドレスCoAを適用したINVITEメッセージによって、SIPサーバに直接的にセッションを要求する機能を追加すればよい。
【0081】
本発明に必要なこれらの機能は、SIPプロトコル処理モジュール1202の僅かな修正、または、SIPプロトコル処理とモバイルIPv6プロトコル処理の実行を制御するシーケンス制御ルーチンの修正によって、追加できる。
【0082】
上述の実施例から明らかなように、本発明の第1実施例によれば、3GPP2のIMSシステムにおいて、ホームエージェントHAとSIPサーバとの間のシグナリング情報の通信量を減少できる。また、第2実施例によれば、ホームエージェントHAとSIPサーバとの間のシグナリング情報の通信のみならず、ホームエージェントHAを経由するデータパケットのトライアングル・ルーティングを解消できるため、IMSシステムの効率を大いに向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明による3GPP2のIMSシステムによる移動通信ネットワークの構成の1例を示す図。
【図2】SIPサーバ実体の分布図。
【図3】SIP実体とモバイルIPv6のホームエージェントHAとの関係を示す図。
【図4】本発明においてSIPシグナリング手順に関係する各装置のプロトコルスタックを示す図。
【図5】本発明の第1実施例におけるSIPセッションの確立シーケンスを示す図。
【図6】第1実施例においてハンドオーバーが発生した場合の通信シーケンスを示す図。
【図7】本発明の第2実施例におけるSIPセッションの確立シーケンスを示す図。
【図8】第2実施例においてハンドオーバーが発生した場合の通信シーケンスを示す図。
【図9】第2実施例において通信相手ノード側からセッション接続要求が発生した場合の通信シーケンスを示す図。
【図10】SIPサーバの主体となるS−CSCFの本発明に関係する構成要件を示す図。
【図11】本発明に関係する移動ノードMNの主要構成要件を示す図。
【図12】従来技術におけるIPネットワーク通信を説明するための図。
【符号の説明】
【0084】
3、4:アクセスポイント、5、6:パケット制御機能モジュールPCF、7、8:パケットデータ交換ノードPDSN、9:通信相手ノード、10:移動ノードMN、16:ホームエージェント、20、27:P−CSCF、21、23、24、25:I−CSCF、22、26:S−CSCF、30:DNSサーバ、31:DHCPサーバ、1101:IPv6プロトコル処理モジュール、1201:モバイルIPv6プロトコル処理モジュール、1102、1202:SIPプロトコル処理モジュール、1103:SIP情報管理テーブル、1203:バインディング更新テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動ノードの位置情報を管理するホームエージェントサーバと、SIP(Session Initiation Protocol)サーバとを含む通信ネットワークにおける移動通信制御方法であって
移動ノードが、ホームエージェントサーバとの間で、訪問先ネットワークで取得した気付アドレスの登録手順を実行するステップと、
上記移動ノードが、上記SIPサーバとの間で、上記気付アドレスの登録手順を実行するステップと、
上記移動ノードと通信相手ノードとの間で、上記ホームエージェントサーバを経由することなく、上記SIPサーバを介して、セッション接続のための通信手順を実行するステップとからなることを特徴とする移動通信制御方法。
【請求項2】
前記移動ノードとSIPサーバとの間で行われる気付アドレスの登録手順が、前記ホームエージェントを経由して行われ、
前記セッション確立のための通信手順が、前記移動ノードと前記SIPサーバとの間のモバイルIP通信ルート最適化のための通信手順を実行した後に行われることを特徴とする請求項1に記載の移動通信制御方法。
【請求項3】
前記移動ノードとSIPサーバとの間で行われる気付アドレスの登録手順が、前記移動ノードからSIPサーバへのSIP位置登録要求(REGISTER)メッセージの送信によって開始され、
上記REGISTERメッセージが、SIP contactヘッダで前記気付アドレスを指定していることを特徴とする請求項1に記載の移動通信制御方法。
【請求項4】
前記SIP位置登録要求(REGISTER)メッセージが、IPv6ヘッダをもつIPパケット形式で前記移動ノードからSIPサーバに送信され、該IPv6ヘッダが、送信元アドレスとして前記気付アドレスを含み、宛先アドレスとして上記SIPサーバのIPアドレスを含み、拡張ヘッダ部に前記移動ノードのホームアドレスを含むことを特徴とする請求項3に記載の移動通信制御方法。
【請求項5】
前記セッション接続のための通信手順が、前記移動ノードからSIPサーバへのSIPセッション接続要求(INVITE)メッセージの送信によって開始され、
上記INVITEメッセージが、コネクション定義で前記気付アドレスを指定していることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の移動通信制御方法。
【請求項6】
前記通信相手ノードが、前記INVITEメッセージで指定された気付アドレスを宛先IPアドレスに適用して、前記移動ノード宛のデータパケットを送信することを特徴とする請求項5に記載の移動通信制御方法。
【請求項7】
前記セッション接続のための通信手順が、前記通信相手ノードからSIPサーバへのSIPセッション接続要求(INVITE)メッセージの送信によって開始され、
前記SIPサーバが、上記INVITEメッセージのスタートラインに含まれるSIP URIを前記移動ノードの気付アドレスに書き換えた後、該INVITEメッセージを移動ノードに転送し、
上記INVITEメッセージを受信した移動ノードが、コネクション定義で前記気付アドレスを指定したSIP応答メッセージを上記通信相手ノードに返送することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の移動通信制御方法。
【請求項8】
前記通信相手ノードが、前記SIP応答メッセージで指定された気付アドレスを宛先IPアドレスに適用して、前記移動ノード宛のデータパケットを送信することを特徴とする請求項7に記載の移動通信制御方法。
【請求項9】
IP網に接続されたホームネットワークと、それぞれパケットデータ交換ノードを介して上記IP網に接続された複数の訪問先ネットワークとからなり、上記ホームネットワークが、移動ノードの位置情報を管理するホームエージェントサーバと、SIP(Session Initiation Protocol)サーバとを含む移動通信システムであって、
上記ホームエージェントサーバが、移動ノードからモバイルIPの位置登録要求メッセージを受信して、該移動ノードのホームアドレスと気付アドレスとの対応関係を記憶するための手段を備え、
上記SIPサーバが、
移動ノードからSIP位置登録要求メッセージを受信して、該移動ノードのSIP識別子とホームアドレスと気付アドレスとの対応関係を記憶するための手段と、
上記ホームエージェントサーバを経由することなく、上記移動ノードと通信相手ノードとの間で交信されるセッション接続のためのSIPメッセージを中継するための手段を備えたことを特徴とする移動通信システム。
【請求項10】
前記SIPサーバが、前記移動ノードから、コネクション定義で気付アドレスを指定したSIPセッション接続要求(INVITE)メッセージを含むIPパケットを受信し、該受信パケットを通信相手ノードに転送することによって、上記通信相手ノードに移動ノードの気付アドレスを通知することを特徴とする請求項9に記載の移動通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−115453(P2006−115453A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−116945(P2005−116945)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】