説明

移動通信方法及び移動局

【課題】「EquivalentBandInd」によって識別されるバンド用の「UL EARFCN」を報知することなく、移動局UEにおいて、かかる「UL EARFCN」を算出する。
【解決手段】本発明に係る移動通信方法は、移動局UEが、SIB1を介して、バンド19を特定する「FreqBandInd」及びバンド26を特定する「EquivalentBandInd」を取得し、SIB2を介して、バンド19用の「UL EARFCN」を取得し、上述の「FreqBandInd」及びバンド19用の「UL EARFCN」を用いて、上りリンクにおけるキャリア周波数FULを算出し、上述の「EquivalentBandInd」及び上りリンクにおけるキャリア周波数FULを用いて、バンド26内の「UL EARFCN」を算出する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法及び移動局に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)方式では、無線基地局eNBは、SIB1(System Information Block 1)を介して、移動局UEに対して、無線基地局eNBがサポートしているバンド(Band、帯域)を通知する「FreqBandInd(Band Indicator)」を通知するように構成されている。
【0003】
一方、移動局UEは、認証試験に合格したバンドのみで接続処理を行うことができるように構成されている。
【0004】
すなわち、移動局UEは、無線基地局eNBによって、認証試験に合格したバンドと異なるバンドが通知された場合には、通知されたバンドにて接続処理を行うことができないように構成されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS25.101
【非特許文献2】3GPP TS36.101
【非特許文献3】3GPP寄書 R4-113310、「LS on Signalling of additional frequency band indicators」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、LTEのRelease-11方式では、無線基地局eNBが、SIB1を介して、既存の「FreqBandInd」に加えて、グローバルバンドを通知するための「EquivalentBandInd(Equivalent Band Indicator)」を報知することが検討されている。
【0007】
かかる場合、移動局UEは、「FreqBandInd」によって特定されるバンド(例えば、バンド19)に加えて、「EquivalentBandInd」によって特定されるバンド(例えば、バンド26)で接続処理を行うことができるように構成されている。
【0008】
また、LTE方式では、各バンド内の上りリンクにおけるキャリア周波数及び下りリンクにおけるキャリア周波数は、それぞれ「UL EARFCN(Uplink E-UTRA Absolute Radio Frequency Channel Number)」及び「DL EARFCN(Downlink E-UTRA Absolute Radio Frequency Channel Number)」によって識別されるように構成されている。
【0009】
なお、LTE方式では、同一のキャリア周波数であっても、バンドが異なれば、かかるキャリア周波数を識別する「UL EARFCN」或いは「DL EARFCN」は異なるものとなるように規定されている。
【0010】
LTE方式では、上述の非特許文献2に規定されている「Tx Rx separation」が適用されていない場合には、無線基地局eNBは、SIB2を介して、無線基地局eNBがサポートしているバンド内で、上りリンクにおけるキャリア周波数を識別する「UL EARFCN」を通知するように構成されている。
【0011】
したがって、LTE方式では、上述の非特許文献2に規定されている「Tx Rx separation」が適用されていない場合で、かつ、「EquivalentBandInd」を通知する場合には、無線基地局eNBは、SIB2を介して、上述の「UL EARFCN」に加えて、「EquivalentBandInd」によって識別されるバンド内で、上りリンクにおけるキャリア周波数を識別する「UL EARFCN」を通知しなければならないという問題点があった。
【0012】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、「EquivalentBandInd」によって識別されるバンド用の「UL EARFCN」を報知することなく、移動局UEにおいて、かかる「UL EARFCN」を算出することができる移動通信方法及び移動局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の特徴は、移動通信方法であって、移動局が、第1報知情報を介して、第1バンドを特定する第1バンド情報及び第2バンドを特定する第2バンド情報を取得する工程と、前記移動局が、第2報知情報を介して、前記第1バンド用の上りリンクにおける周波数識別情報を取得する工程と、前記移動局が、前記第1バンド情報及び前記第1バンド用の上りリンクにおける周波数識別情報を用いて、上りリンクにおけるキャリア周波数を算出する工程と、前記移動局が、前記第2バンド情報及び前記上りリンクにおけるキャリア周波数を用いて、前記第2バンド用の上りリンクにおける周波数識別情報を算出する工程とを有することを要旨とする。
【0014】
本発明の第2の特徴は、受信部及び算出部を具備する移動局であって、前記受信部は、第1報知情報を介して、第1バンドを特定する第1バンド情報及び第2バンドを特定する第2バンド情報を取得し、第2報知情報を介して、該第1バンド用の上りリンクにおける周波数識別情報を取得するように構成されており、前記算出部は、前記第1バンド情報及び前記第1バンド用の上りリンクにおける周波数識別情報を用いて、上りリンクにおけるキャリア周波数を算出するように構成されており、前記算出部は、前記第2バンド情報及び前記上りリンクにおけるキャリア周波数を用いて、前記第2バンド用の上りリンクにおける周波数識別情報を算出するように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、「EquivalentBandInd」によって識別されるバンド用の「UL EARFCN」を報知することなく、移動局UEにおいて、かかる「UL EARFCN」を算出することができる移動通信方法及び移動局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムで用いられるバンドの一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動局の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る移動局における算出処理で用いられる計算式を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る移動局における算出処理で用いられるパラメータを示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。本実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0018】
本実施形態に係る移動通信システムは、LTEのRelease11方式に対応しており、図1に示すように、無線基地局eNB及び移動局UEを具備している。
【0019】
また、本実施形態に係る移動通信システムでは、上述の「Tx Rx separation」が適用されていないものとする。
【0020】
例えば、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、図2に示すように、日本国内で、バンド18/19が用いられ、米国国内で、バンド5が用いられることを想定する。
【0021】
なお、本明細書では、LTE方式に対応するバンド番号(数字)を用いてバンドを特定することにするが、本発明は、W-CDMA方式のバンド番号(ローマ数字)を用いてバンドを特定する場合にも適用することができる。
【0022】
ここで、バンド18(第1バンド)は、815MHzから830MHzまでの15Mzのバンド幅及び860MHzから875MHzまでの15Mzのバンド幅を有するものであることが想定されている。
【0023】
また、バンド19(第1バンド)は、830MHzから845MHzまでの15Mzのバンド幅及び875MHzから890MHzまでの15Mzのバンド幅を有するものであることが想定されている。
【0024】
さらに、バンド5(第1バンド)は、824MHzから849MHzまでの25Mzのバンド幅及び869MHzから894MHzまでの25Mzのバンド幅を有するものであることが想定されている。
【0025】
なお、バンド5/18/19は、いずれも、LTEのRelease8〜10方式で用いられていた既存のバンドである。また、図2に示すように、バンド5及びバンド18/19は、重複するように構成されている。
【0026】
一方、バンド26(第2バンド)は、広範囲で利用が検討されているグローバルバンドであり、多くの地域の周波数割り当てを考慮するために広い帯域が定義され、814MHzから849MHzまでの35Mzのバンド幅及び859MHzから894MHzまでの35Mzのバンド幅を有するものであることが想定されている。
【0027】
なお、図2に示すように、バンド26及びバンド5/18/19は、重複するように構成されている。
【0028】
本実施形態に係る移動局UEは、図3に示すように、受信部11と、算出部12と、制御13とを具備している。
【0029】
受信部11は、待ち受けセルにおいて送信されている報知情報(例えば、SIB1やSIB2)を受信するように構成されている。
【0030】
例えば、受信部11は、SIB1を介して、待ち受けセルにおいてサポートされているバンド19を特定する「FreqBandInd(=バンド19)」を受信するように構成されている。
【0031】
また、受信部11は、SIB1を介して、待ち受けセルにおいてサポートされているバンド5を包含するグローバルバンドであるバンド26を特定する「EquivalentBandInd(=バンド26)」を取得するように構成されている。
【0032】
さらに、受信部11は、SIB2を介して、バンド19用の「UL EARFCN」を取得するように構成されている。
【0033】
算出部12は、「FreqBandInd(=バンド19)」及びバンド19用の「UL EARFCN」を用いて、上りリンクにおけるキャリア周波数FULを算出するように構成されている。具体的な算出方法については、図4乃至図6を参照して後述する。
【0034】
ここで、上りリンクにおけるキャリア周波数FULは、バンド19内、すなわち、バンド26内のキャリア周波数である。
【0035】
また、算出部12は、「EquivalentBandInd(=バンド26)」及び上りリンクにおけるキャリア周波数FULを用いて、バンド26用の「UL EARFCN」を算出するように構成されている。具体的な算出方法については、図4乃至図6を参照して後述する。
【0036】
ここで、バンド26用の「UL EARFCN」も、バンド19用の「UL EARFCN」と同様に、上りリンクにおけるキャリア周波数FULを識別するものである。
【0037】
制御部13は、受信部11によって受信された「FreqBandInd(=バンド19)」によって識別されるバンド19或いは受信部11によって受信された「EquivalentBandInd(=バンド26)」によって識別されるバンド26にて接続処理を行うことができるように構成されている。
【0038】
具体的には、制御部13は、移動局UEと無線基地局eNBとの間でRRCコネクションが確立された後に、算出部12によって算出された上りリンクにおけるキャリア周波数FULを用いて、各種信号を送信するように構成されている。
【0039】
また、制御部13は、バンド19用の「UL EARFCN」及びバンド26用の「UL EARFCN」を用いて、上りリンクにおけるキャリア周波数FULを識別するように構成されている。
【0040】
以下、図4乃至図6を参照して、本実施形態に係る移動局UEにおける算出処理の動作の一例について説明する。
【0041】
図4に示すように、ステップS101において、移動局UEは、待ち受けセルにおいて、SIB1を介して、待ち受けセルにおいてサポートされているバンド19を特定する「FreqBandInd(=バンド19)」を受信すると共に、待ち受けセルにおいてサポートされているバンド5を包含するグローバルバンドであるバンド26を特定する「EquivalentBandInd(=バンド26)」を取得する。
【0042】
ステップS102において、移動局UEは、待ち受けセルにおいて、SIB2を介して、バンド19用の「UL EARFCN」が報知されている場合、かかるバンド19用の「UL EARFCN」を取得する。
【0043】
ステップS103において、移動局UEは、「FreqBandInd(=バンド19)」及びバンド19用の「UL EARFCN」を用いて、上りリンクにおけるキャリア周波数FULを算出する。
【0044】
具体的には、移動局UEは、図5に示す計算式を用いて、上りリンクにおけるキャリア周波数FULを算出する。
【0045】
ここで、「NUL」は、バンド19用の「UL EARFCN」であり、「FUL_low」及び「FOffs-UL」は、図6に示すテーブルに基づいて、バンド毎に一意に決まるパラメータである。
【0046】
なお、図6に示すテーブルによれば、バンド19に対応する「FUL_low」及び「FOffs-UL」は、それぞれ「830」及び「24000」である。
【0047】
すなわち、移動局UEは、図5に示す計算式において、「NUL」に、バンド19用の「UL EARFCN」を代入し、「FUL_low」及び「FOffs-UL」に、それぞれ「830」及び「24000」を代入することによって、上りリンクにおけるキャリア周波数FULを算出する。
【0048】
ステップS104において、移動局UEは、ステップS103において算出した上りリンクにおけるキャリア周波数FUL及び「EquivalentBandInd(=バンド26)」に基づいて、バンド26用の「UL EARFCN」を算出する。
【0049】
具体的には、移動局UEは、図5に示す計算式を用いて、バンド26用の「UL EARFCN」を算出する。
【0050】
すなわち、移動局UEは、図5に示す計算式において、「FUL」に、上りリンクにおけるキャリア周波数FULを代入し、「FUL_low」及び「FOffs-UL」に、バンド26に対応する「FUL_low」及び「FOffs-UL」を代入することによって、「NUL」、すなわち、バンド26用の「UL EARFCN」を算出する。
【0051】
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNBが、「FreqBandInd(=バンド19)」によって識別されるバンド19用の「UL EARFCN」を報知するだけで、「EquivalentBandInd(=バンド26)」によって識別されるバンド26用の「UL EARFCN」を報知しなくても、移動局UEは、バンド26用の「UL EARFCN」を算出することができるので、無線リソースの浪費を回避することができる。
【0052】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0053】
本実施形態の第1の特徴は、移動通信方法であって、移動局UEが、SIB1(第1報知情報)を介して、バンド19(第1バンド)を特定する「FreqBandInd(第1バンド情報)」及びバンド26(第2バンド)を特定する「EquivalentBandInd(第2バンド情報)」を取得する工程と、移動局UEが、SIB2(第2報知情報)を介して、バンド19用の「UL EARFCN(上りリンクにおける周波数識別情報)」を取得する工程と、移動局UEが、上述の「FreqBandInd」及びバンド19用の「UL EARFCN」を用いて、上りリンクにおけるキャリア周波数を算出する工程と、移動局UEが、上述の「EquivalentBandInd」及び上りリンクにおけるキャリア周波数を用いて、バンド26用の「UL EARFCN」を算出する工程とを有することを要旨とする。
【0054】
本実施形態の第2の特徴は、受信部11及び算出部12を具備する移動局UEであって、受信部11は、SIB1を介して、バンド19を特定する「FreqBandInd」及びバンド26を特定する「EquivalentBandInd」を取得し、SIB2を介して、バンド19用の「UL EARFCN」を取得するように構成されており、算出部12は、「FreqBandInd(=バンド19)」及びバンド19用の「UL EARFCN」を用いて、上りリンクにおけるキャリア周波数を算出するように構成されており、算出部12は、「EquivalentBandInd(=バンド26)」及び上りリンクにおけるキャリア周波数を用いて、バンド26用の「UL EARFCN」を算出するように構成されていることを要旨とする。
【0055】
なお、上述の無線基地局BS及び移動局UEの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0056】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0057】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、無線基地局BS及び移動局UE内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして無線基地局BS及び移動局UE内に設けられていてもよい。
【0058】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0059】
eNB…無線基地局
UE…移動局
11…受信部
12…算出部
13…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局が、第1報知情報を介して、第1バンドを特定する第1バンド情報及び第2バンドを特定する第2バンド情報を取得する工程と、
前記移動局が、第2報知情報を介して、前記第1バンド用の上りリンクにおける周波数識別情報を取得する工程と、
前記移動局が、前記第1バンド情報及び前記第1バンド用の上りリンクにおける周波数識別情報を用いて、上りリンクにおけるキャリア周波数を算出する工程と、
前記移動局が、前記第2バンド情報及び前記上りリンクにおけるキャリア周波数を用いて、前記第2バンド用の上りリンクにおける周波数識別情報を算出する工程とを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項2】
受信部及び算出部を具備する移動局であって、
前記受信部は、第1報知情報を介して、第1バンドを特定する第1バンド情報及び第2バンドを特定する第2バンド情報を取得し、第2報知情報を介して、該第1バンド用の上りリンクにおける周波数識別情報を取得するように構成されており、
前記算出部は、前記第1バンド情報及び前記第1バンド用の上りリンクにおける周波数識別情報を用いて、上りリンクにおけるキャリア周波数を算出するように構成されており、
前記算出部は、前記第2バンド情報及び前記上りリンクにおけるキャリア周波数を用いて、前記第2バンド用の上りリンクにおける周波数識別情報を算出するように構成されていることを特徴とする移動局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−98591(P2013−98591A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236488(P2011−236488)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】