移動通信端末及び情報処理装置
【課題】 小型化、低価格化を図ることのできる移動通信端末を得る。
【解決手段】 それぞれの処理に対応した複数のプログラムを格納する大容量の通常RAM16と、現時点で使用する処理に対応したプログラムを格納する小容量の高速RAM15とを備える。DSP14は、高速RAM15に格納されたプログラムを実行して信号処理を行うと共に、現時点で実行している処理に対する次の処理を判定して、次の処理に対応したプログラムを通常RAM16から高速RAM15に転送する。
【解決手段】 それぞれの処理に対応した複数のプログラムを格納する大容量の通常RAM16と、現時点で使用する処理に対応したプログラムを格納する小容量の高速RAM15とを備える。DSP14は、高速RAM15に格納されたプログラムを実行して信号処理を行うと共に、現時点で実行している処理に対する次の処理を判定して、次の処理に対応したプログラムを通常RAM16から高速RAM15に転送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、信号処理プロセッサがアクセスするプログラムやデータを通常メモリから高速メモリに転送するようにした移動通信端末及び情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等の移動通信端末においては、MCU(Micro Controller Unit)が、DSP(Digital Signal Processor:デジタル信号処理プロセッサ)用のプログラムを格納するROMから、そのプログラムをDSPの高速メモリにダウンロードし、DSPは、ダウンロードされたプログラムを用いて複数の処理を実行していた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平04−257150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の移動通信端末では、DSPが実行するプログラムを格納するための高速なメモリが多く必要であり、この高速メモリが高価でかつチップ面積も大きいという問題点を有していた。その結果、このような従来の構成では、携帯電話等の移動通信端末に求められている種々の機能部への更なる小型化・低価格化を達成するのは困難であった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、小型化・低価格化および低消費電力化を図ることのできる移動通信端末及び情報処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る移動通信端末は、それぞれの処理に対応した複数のプログラムを格納する通常メモリと、現時点で使用する処理に対応したプログラムを格納する高速メモリとを備え、信号処理プロセッサは、高速メモリに格納されたプログラムを実行して信号処理を行うと共に、現時点で実行している処理に対する次の処理を判定して、次の処理に対応したプログラムを通常メモリから高速メモリに転送するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の移動通信端末は、信号処理プロセッサが実行するプログラムを高速メモリに格納し、次の処理に対応したプログラムを通常メモリから高速メモリに転送するようにしたので、高価でチップ面積が大きい高速メモリの容量を小さくすることができ、その結果、移動通信端末としての小型化、低価格化および低消費電力化に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による移動通信端末を示す構成図である。
図示の移動通信端末は携帯電話を示しており、アンテナ1、RFブロック2、モデム3、アプリケーション部10からなる。アプリケーション部10は、移動通信端末における通信機能以外の機能を実現するための機能部であり、音声・画像・動画・ブラウザ・メール・java(登録商標)等の処理を行う部分である。このアプリケーション部10は、MCU11、フラッシュメモリ12、RAM13、DSP(信号処理プロセッサ)14、高速RAM(高速メモリ)15、通常RAM(通常メモリ)16、キーボード17、ディスプレイ18、カメラ部19、マイク20、スピーカ21を備えている。
【0009】
アンテナ1は、携帯電話としての無線信号を送受信する機能部である。RFブロック2はアンテナ1で受信した無線信号を周波数変換し、低周波のベースバンド信号としてモデム3に出力し、また、低周波のベースバンド信号を周波数変換して高周波信号としてアンテナ1に出力する機能を有している。モデム3は、RFブロック2からの信号を復調し、データとしてアプリケーション部10に出力すると共に、アプリケーション部10からのデータを変調してRFブロック2に出力する機能を有している。
【0010】
アプリケーション部10におけるMCU11は、キーボード17からのユーザの操作に従い、DSP14やモデム3の制御を行う機能部である。また、フラッシュメモリ12は、MCU11の実行するプログラムを格納すると共に、DSP14の実行するプログラムを格納する不揮発性メモリである。RAM13は、MCU11が使用するプログラムやデータを格納するためのDRAM等からなるメモリである。DSP14は、高速に音声・画像の圧縮・復号処理を行うための信号処理プロセッサである。即ち、モデム3からのデータを復号して、音声であればスピーカ21に、画像であればディスプレイ18に出力するといった処理を行う機能を有している。また、マイク20、カメラ部19から入力した音声・画像のデータを圧縮してモデム3に出力する機能を有している。高速RAM15は、DSP14に接続される例えばSRAM等からなる高速なメモリであり、通常RAM16は、DSP14に接続される例えばDRAM等からなる容量の大きいメモリである。
【0011】
キーボード17は、携帯電話における数字キーや機能キー等からなる入力部である。ディスプレイ18は、液晶ディスプレイ等からなる画像の表示部である。カメラ部19は、携帯電話における撮像部である。マイク20は携帯電話の音声入力部であり、スピーカ21は音声出力部である。
【0012】
図2は、MCU11とDSP14との関係を示す説明図である。
MCU11とDSP14とはバス22によって接続されており、MCU11は、DSP14に接続されている高速RAM15と通常RAM16のプログラム・データを読み書きできるよう構成されている。動作時には、MCU11は、フラッシュメモリ12に格納されているDSP14のプログラムを高速RAM15と通常RAM16にダウンロードし、DSP14が実行するよう構成されている。
【0013】
図3は、通常RAM16から高速RAM15へプログラムを転送する場合の説明図である。
MCU11がフラッシュメモリ12内に格納されているDSP14のプログラムを、通常RAM16にダウンロードする。通常RAM16内の領域101〜領域104にあるDSP14のプログラムは、例えば図示のようにプログラムP1からプログラムP4に分かれており、同時に実行することはない。DSP14は処理実行時にプログラムを選択し、通常RAM16から高速RAM15のエリアE1(111)に転送し、高速RAM15上で実行する。
尚、高速RAM15上のエリアE2(112)は、エリアE1(111)と同様の転送先エリアであり、通常RAM16のプログラムP1〜プログラムP4をこのエリアE2(112)に転送することも可能である。また、プログラムP1〜プログラムP4以外のプログラムをエリアE2(112)に転送することも可能である。
【0014】
図4は、実施の形態1の動作を示すフローチャートである。
今、図3に示すように、DSP14のプログラムが通常RAM16と高速RAM15にダウンロードされているとする。このような状態でDSP14が処理を行う場合の動作は次の通りとなる。
【0015】
先ず、DSP14は処理1を実行しているとする(ステップST101)。そして、DSP14は、処理1を終了する時、次に実行する処理を、内部の状態や外部要因に基づいて判定する(ステップST102)。この判定基準は次の通りである。
【0016】
(1)DSP14では、圧縮・復号処理を順次行っているため、現在の処理に基づいて、次に行う処理が圧縮か、復号かを判断する。
(2)ユーザがキーボード17からノイズキャンセラのオン/オフ設定を行うよう構成されており、DSP14は、処理中にノイズキャンセラの設定値を読み取り、ノイズキャンセラがオンであれば、対応する処理プログラムを転送する。
(3)携帯電話で使用している音声圧縮・復号のAMR(Adaptive Multi Rate CODEC)では、回線の種類や状況に応じて、転送レートを20msec毎に変更可能である。このようなことから、DSP14は、処理実行中に、外部から指定された転送レートにより必要なプログラムを判断する。
【0017】
このような判断基準により、次に行う処理が処理2であった場合、プログラムP2を通常RAM16から高速RAM15に転送し(ステップST103)、高速RAM15に転送した処理2を実行する(ステップST104)。また、ステップST102において、次に実行する処理が処理3であった場合、プログラムP3を通常RAM16から高速RAM15に転送し、(ステップST105)、この処理3を実行する(ステップST106)。処理2または処理3の実行後、処理4を実行する(ステップST107)。尚、ここで処理4については、処理1のプログラムP1と共にプログラムP4が高速RAM15に有る場合を示しており、ステップST104またはステップST106の後、ステップST107において直ちに処理4を実行する。このような場合とは、例えば、MCU11が高速RAM15にダウンロードした起動のプログラムから次の処理を実行する場合や、高速RAM15に転送してあるプログラムを実行中に、更に次のプログラムを転送する場合である。
【0018】
このように、通常RAM16内にあるプログラムを高速RAM15に転送して、実行することにより、プログラムの読み込みを高速に行うことが可能となり、DSP14の処理速度が向上する。
【0019】
上記例では、DSP14が処理に応じてプログラムを通常RAM16から高速RAM15に転送し、実行していたが、データについても同様に行うことが可能である。
図5は、通常RAM16から高速RAM15へデータを転送する場合の説明図である。
図示の様に、DSP14が処理実行時にデータを選択し、通常RAM16の領域201〜領域204から高速RAM15のエリアE1(211)またはエリアE2(212)に転送し、高速RAM15上で読み書きを行い、処理が終了したらデータを通常RAM16に戻す。
【0020】
図6は、データを転送する場合のフローチャートである。
先ず、DSP14は処理1を実行しているとする(ステップST201)。そして、DSP14は、処理1を終了する時、次に使用するデータを、内部の状態や外部要因に基づいて判定する(ステップST202)。尚、この判定基準は、例えば上述したプログラムの場合と同様である。次に、ステップST202において、使用するデータがデータD2(処理2)ならば、データD2を通常RAM16から高速RAM15に転送し(ステップST203)、DSP14は、データD2を使用した処理を実行する(ステップST204)。使用後、データD2を高速RAM15から通常RAM16に転送する(ステップST205)。また、ステップST202において、次に使用するデータがデータD3(処理3)ならば、データD3を通常RAM16から高速RAM15に転送し(ステップST206)、データD3を使用した処理を実行する(ステップST207)。使用後、データD3を高速RAM15から、通常RAM16に転送する(ステップST208)。データD2かデータD3を通常RAM16に転送後、次の処理4を実行する(ST209)。
このように、通常RAM16にあるプログラム・データを高速RAM15に転送して実行することにより、高速RAM15の容量を減らすことが可能となる。
【0021】
以上のように、実施の形態1の移動通信端末によれば、それぞれの処理に対応した複数のプログラムを格納する通常メモリと、現時点で使用する処理に対応したプログラムを格納する高速メモリと、高速メモリに格納されたプログラムを実行して信号処理を行うと共に、現時点で実行している処理に対する次の処理を判定して、次の処理に対応したプログラムを通常メモリから高速メモリに転送する信号処理プロセッサとを備えたので、高価でチップ面積が大きい高速メモリの容量を小さくすることができ、その結果、移動通信端末としての小型化、低価格化および低消費電力化に寄与することができる。また、信号処理プロセッサが、内部の状態や外部要因に基づき必要なプログラムを判断して転送するため、必要のないプログラムは転送することがなく、従って、効率の良い転送を実現することができる。
【0022】
また、実施の形態1の移動通信端末によれば、それぞれの処理で使用される複数のデータを格納する通常メモリと、現時点の処理で使用されるデータを格納する高速メモリと、信号処理を行う際、高速メモリのデータを生成または使用すると共に、信号処理完了後に必要なデータを通常メモリに格納する信号処理プロセッサとを備えたので、データに関しても高速メモリの容量を小さくすることができ、従って、この点においても、移動通信端末としての小型化、低価格化に寄与することができる。
【0023】
実施の形態2.
実施の形態2は、通常RAM16から高速RAM15へのプログラムまたはデータの転送をDMA(Direct Memory Access)で行うようにしたものである。
【0024】
図7は、実施の形態2の移動通信端末における主要部の構成図である。
図示のように、実施の形態2のDSP14はDMAコントローラ(DMA転送手段)23を備えている。このDMAコントローラ23は、DSP14を介することなく、高速RAM15と通常RAM16間のプログラム・データの転送を行う制御部である。他の各構成は実施の形態1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0025】
次に、実施の形態2の動作について説明する。
図8は、実施の形態2におけるプログラムを転送する場合の処理を示すフローチャートである。
実施の形態1の場合と同様に、DSP14は処理1を実行しているとする(ステップST301)。そして、DSP14は、処理1の実行中に今後実行する処理を判定する(ステップST302)。尚、この判定基準は、実施の形態1の場合と同様である。
【0026】
ステップST302において、今後実行する処理が、処理2であると判定されたならば、DSP14は、プログラムP2を通常RAM16から高速RAM15に転送するようDMAコントローラ23の設定を行い(ステップST303)、処理1の続きを行う(ステップST304)。そして、DSP14は、処理1終了後、DMAが完了するまで待ち(ステップST305)、DMA完了後、高速RAM15に転送した処理2を実行する(ステップST306)。また、ステップST302において、今後実行する処理が処理3と判定されたならば、DSP14は、プログラムP3を通常RAM16から高速RAM15に転送するようDMAコントローラ23の設定を行い(ステップST307)、DSP14は、処理1の続きを行う(ステップST308)。DSP14は、処理1終了後、DMAが完了するまで待ち(ステップST309)、DMA完了後、高速RAM15に転送した処理3を実行する(ステップST310)。処理2、処理3のどちらかを実行後、処理4を実行する(ステップST311)。
【0027】
次に、DMAを使用したプログラムの転送の動作シーケンスを説明する。
図9は、その動作シーケンスを示す説明図である。
DSP14が処理1の実行中(ステップST401)にDMAコントローラ23に対してDMA設定を行う。DMAコントローラ23は、DSP14からの設定値に基づきプログラムP2またはプログラムP3を通常RAMから高速RAMに転送する(ステップST402)。転送が完了したらDSP14に対してDMA完了通知を送る。一方、DSP14では、DMA設定完了後、処理1の続きを行い(ステップST403)、処理1完了後DMA完了通知が来るまで待ち、その後、高速RAM15に転送した処理2、或いは処理3を実行する(ステップST404)。処理2、或いは処理3を実行後、処理4を実行する(ステップST405)。
【0028】
データについても同様にDMAで転送することが可能である。
図10は、データをDMA転送する場合の処理を示すフローチャートである。
DSP14は、処理1を実行中に(ステップST501)、今後使用するデータを判定する(ステップST502)。ステップST502において、今後使用するデータがデータD2と判定されたならば、DSP14は、データD2を通常RAM16から高速RAM15に転送するようにDMAコントローラ23の設定を行い(ステップST503)、処理1の続きを行う(ステップST504)。DSP14は、処理1終了後、DMAが完了するまで待ち(ステップST505)、DMA完了後、高速RAM15に転送したデータD2を使用する処理2を実行する(ステップST506)。データD2を使用するのが完了したら、データD2を高速RAM15から通常RAM16に転送するようにDMAコントローラ23の設定を行い(ステップST507)、処理2の続きを行う(ステップST508)。そしてDSP14は、処理2の完了後、DMAが完了するまで待つ(ステップST509)。
【0029】
一方、ステップST502において、今後使用するデータがデータD3であると判定されたならば、DSP14は、データD3を通常RAM16から高速RAM15に転送するようにDMAコントローラ23の設定を行い(ステップST510)、処理1の続きを行う(ステップST511)。DSP14は、処理1終了後、DMAが完了するまで待ち(ステップST512)、DMA完了後、高速RAM15に転送したデータD3を使用する処理3を実行する(ステップST513)。データD3を使用するのが完了したら、データD3を高速RAM15から通常RAM16に転送するようにDMAコントローラ23の設定を行い(ステップST514)、処理3の続きを行う(ステップST515)。そして、処理3完了後、DMAが完了するまで待つ(ステップST515)。このようなデータD2、或いはデータD3の高速RAM15から通常RAM16へのDMA完了後、DSP14は、処理4を実行する(ステップST517)。
【0030】
次に、DMAを使用したデータの転送の動作シーケンスを説明する。
図11は、DMAを使用したデータの転送の動作シーケンスを示す説明図である。
DSP14が処理1の実行中(ステップST601)にDMAコントローラ23に対してDMA設定を行う。DMAコントローラ23は、DSP14からの設定値に基づきデータD2またはデータD3を通常RAM16から高速RAM15に転送する(ステップST602)。DMAコントローラ23は、転送完了後、DMA完了通知をDSP14に対して送る。DSP14では、DMA設定完了後、処理1の続きを行い(ステップST603)、処理1完了後DMA完了通知が来るまで待ち、その後、高速RAM15に転送したデータを使用する処理2或いは処理3を行う(ステップST604)。DSP14は処理2或いは処理3の実行中、DMAコントローラ23に対して、DMA設定を行う。DMAコントローラ23は、設定値に基づきデータD2またはデータD3を高速RAM15から通常RAM16に転送する。転送完了後、DSP14に対してDMA完了通知を送る。一方、DSP14はDMA設定完了後、処理2或いは処理3の続きを行い(ステップST606)、処理2或いは処理3を完了後、DMA完了通知が来るまで待ち、その後、処理4を実行する(ステップST607)。
【0031】
このように、通常RAM16にあるプログラム・データを高速RAM15に転送するのにDMAを使用することにより、処理の高速化を図ることが可能となる。また、プログラム・データの転送中にDSP14が別の処理を行うことにより、DSP14の処理能力を向上させることができる。
【0032】
尚、上記の例では、DMA転送中に処理1の続きを行うようにしたが、処理1の代わりに全く別の処理を行うことも可能である。この場合、DMA完了通知を受けた後、元の処理に戻ることになる。即ち、DMA転送中に別の処理を行ったとしても、DMA転送完了時に元の処理に戻ることができる。例えば、音声処理を行っている最中に、DMA転送待ちとなり、その間に画像処理を行うことが可能となる。そして、DMA転送完了通知を受けた後に、再び音声処理に戻ることができる。
【0033】
以上のように、実施の形態2の移動通信端末によれば、通常メモリと高速メモリ間におけるプログラムまたはデータ転送のうち、少なくともいずれか一方のDMA転送を行うDMA転送手段を備えたので、実施の形態1の効果に加えて、更に処理の高速化を図ることができる。
【0034】
また、実施の形態2の移動通信端末によれば、信号処理プロセッサは、DMA転送中に別処理を行うよう構成したので、処理の高速化を図ることができる。
【0035】
更に、上記実施の形態1、2では、移動通信端末に適用した例を説明したが、同様の構成を持つ種々の情報処理装置に対しても適用可能である。例えば、実施の形態1のプログラム転送に適用した場合は、それぞれの処理に対応した複数のプログラムを格納する通常メモリと、現時点で使用する処理に対応したプログラムを格納する高速メモリと、この高速メモリに格納されたプログラムを実行して信号処理を行うと共に、現時点で実行している処理に対する次の処理を判定して、当該次の処理に対応したプログラムを通常メモリから高速メモリに転送する信号処理プロセッサとを備えた情報処理装置である。このような情報処理装置であれば、高価でチップ面積が大きい高速メモリの容量を小さくすることができ、その結果、情報処理装置の小型化、低価格化および低消費電力化に寄与することができる。また、信号処理プロセッサが、内部の状態や外部要因に基づき必要なプログラムを判断して転送するため、必要のないプログラムは転送することがなく、従って、効率の良い転送を実現することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の実施の形態1による移動通信端末を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による移動通信端末の主要部を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1による移動通信端末の通常RAMから高速RAMへプログラムを転送する場合の説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による移動通信端末のプログラム転送時の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1による移動通信端末の通常RAMから高速RAMへデータを転送する場合の説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1による移動通信端末のデータ転送時の動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2による移動通信端末の主要部を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2による移動通信端末のプログラム転送時の動作を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態2による移動通信端末のプログラム転送の動作シーケンスを示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態2による移動通信端末のデータ転送時の動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態2による移動通信端末のデータ転送の動作シーケンスを示す説明図である。
【符号の説明】
【0037】
14 DSP(信号処理プロセッサ)、15 高速RAM(高速メモリ)、16 通常RAM(通常メモリ)、23 DMAコントローラ(DMA転送手段)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、信号処理プロセッサがアクセスするプログラムやデータを通常メモリから高速メモリに転送するようにした移動通信端末及び情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等の移動通信端末においては、MCU(Micro Controller Unit)が、DSP(Digital Signal Processor:デジタル信号処理プロセッサ)用のプログラムを格納するROMから、そのプログラムをDSPの高速メモリにダウンロードし、DSPは、ダウンロードされたプログラムを用いて複数の処理を実行していた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平04−257150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の移動通信端末では、DSPが実行するプログラムを格納するための高速なメモリが多く必要であり、この高速メモリが高価でかつチップ面積も大きいという問題点を有していた。その結果、このような従来の構成では、携帯電話等の移動通信端末に求められている種々の機能部への更なる小型化・低価格化を達成するのは困難であった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、小型化・低価格化および低消費電力化を図ることのできる移動通信端末及び情報処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る移動通信端末は、それぞれの処理に対応した複数のプログラムを格納する通常メモリと、現時点で使用する処理に対応したプログラムを格納する高速メモリとを備え、信号処理プロセッサは、高速メモリに格納されたプログラムを実行して信号処理を行うと共に、現時点で実行している処理に対する次の処理を判定して、次の処理に対応したプログラムを通常メモリから高速メモリに転送するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の移動通信端末は、信号処理プロセッサが実行するプログラムを高速メモリに格納し、次の処理に対応したプログラムを通常メモリから高速メモリに転送するようにしたので、高価でチップ面積が大きい高速メモリの容量を小さくすることができ、その結果、移動通信端末としての小型化、低価格化および低消費電力化に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による移動通信端末を示す構成図である。
図示の移動通信端末は携帯電話を示しており、アンテナ1、RFブロック2、モデム3、アプリケーション部10からなる。アプリケーション部10は、移動通信端末における通信機能以外の機能を実現するための機能部であり、音声・画像・動画・ブラウザ・メール・java(登録商標)等の処理を行う部分である。このアプリケーション部10は、MCU11、フラッシュメモリ12、RAM13、DSP(信号処理プロセッサ)14、高速RAM(高速メモリ)15、通常RAM(通常メモリ)16、キーボード17、ディスプレイ18、カメラ部19、マイク20、スピーカ21を備えている。
【0009】
アンテナ1は、携帯電話としての無線信号を送受信する機能部である。RFブロック2はアンテナ1で受信した無線信号を周波数変換し、低周波のベースバンド信号としてモデム3に出力し、また、低周波のベースバンド信号を周波数変換して高周波信号としてアンテナ1に出力する機能を有している。モデム3は、RFブロック2からの信号を復調し、データとしてアプリケーション部10に出力すると共に、アプリケーション部10からのデータを変調してRFブロック2に出力する機能を有している。
【0010】
アプリケーション部10におけるMCU11は、キーボード17からのユーザの操作に従い、DSP14やモデム3の制御を行う機能部である。また、フラッシュメモリ12は、MCU11の実行するプログラムを格納すると共に、DSP14の実行するプログラムを格納する不揮発性メモリである。RAM13は、MCU11が使用するプログラムやデータを格納するためのDRAM等からなるメモリである。DSP14は、高速に音声・画像の圧縮・復号処理を行うための信号処理プロセッサである。即ち、モデム3からのデータを復号して、音声であればスピーカ21に、画像であればディスプレイ18に出力するといった処理を行う機能を有している。また、マイク20、カメラ部19から入力した音声・画像のデータを圧縮してモデム3に出力する機能を有している。高速RAM15は、DSP14に接続される例えばSRAM等からなる高速なメモリであり、通常RAM16は、DSP14に接続される例えばDRAM等からなる容量の大きいメモリである。
【0011】
キーボード17は、携帯電話における数字キーや機能キー等からなる入力部である。ディスプレイ18は、液晶ディスプレイ等からなる画像の表示部である。カメラ部19は、携帯電話における撮像部である。マイク20は携帯電話の音声入力部であり、スピーカ21は音声出力部である。
【0012】
図2は、MCU11とDSP14との関係を示す説明図である。
MCU11とDSP14とはバス22によって接続されており、MCU11は、DSP14に接続されている高速RAM15と通常RAM16のプログラム・データを読み書きできるよう構成されている。動作時には、MCU11は、フラッシュメモリ12に格納されているDSP14のプログラムを高速RAM15と通常RAM16にダウンロードし、DSP14が実行するよう構成されている。
【0013】
図3は、通常RAM16から高速RAM15へプログラムを転送する場合の説明図である。
MCU11がフラッシュメモリ12内に格納されているDSP14のプログラムを、通常RAM16にダウンロードする。通常RAM16内の領域101〜領域104にあるDSP14のプログラムは、例えば図示のようにプログラムP1からプログラムP4に分かれており、同時に実行することはない。DSP14は処理実行時にプログラムを選択し、通常RAM16から高速RAM15のエリアE1(111)に転送し、高速RAM15上で実行する。
尚、高速RAM15上のエリアE2(112)は、エリアE1(111)と同様の転送先エリアであり、通常RAM16のプログラムP1〜プログラムP4をこのエリアE2(112)に転送することも可能である。また、プログラムP1〜プログラムP4以外のプログラムをエリアE2(112)に転送することも可能である。
【0014】
図4は、実施の形態1の動作を示すフローチャートである。
今、図3に示すように、DSP14のプログラムが通常RAM16と高速RAM15にダウンロードされているとする。このような状態でDSP14が処理を行う場合の動作は次の通りとなる。
【0015】
先ず、DSP14は処理1を実行しているとする(ステップST101)。そして、DSP14は、処理1を終了する時、次に実行する処理を、内部の状態や外部要因に基づいて判定する(ステップST102)。この判定基準は次の通りである。
【0016】
(1)DSP14では、圧縮・復号処理を順次行っているため、現在の処理に基づいて、次に行う処理が圧縮か、復号かを判断する。
(2)ユーザがキーボード17からノイズキャンセラのオン/オフ設定を行うよう構成されており、DSP14は、処理中にノイズキャンセラの設定値を読み取り、ノイズキャンセラがオンであれば、対応する処理プログラムを転送する。
(3)携帯電話で使用している音声圧縮・復号のAMR(Adaptive Multi Rate CODEC)では、回線の種類や状況に応じて、転送レートを20msec毎に変更可能である。このようなことから、DSP14は、処理実行中に、外部から指定された転送レートにより必要なプログラムを判断する。
【0017】
このような判断基準により、次に行う処理が処理2であった場合、プログラムP2を通常RAM16から高速RAM15に転送し(ステップST103)、高速RAM15に転送した処理2を実行する(ステップST104)。また、ステップST102において、次に実行する処理が処理3であった場合、プログラムP3を通常RAM16から高速RAM15に転送し、(ステップST105)、この処理3を実行する(ステップST106)。処理2または処理3の実行後、処理4を実行する(ステップST107)。尚、ここで処理4については、処理1のプログラムP1と共にプログラムP4が高速RAM15に有る場合を示しており、ステップST104またはステップST106の後、ステップST107において直ちに処理4を実行する。このような場合とは、例えば、MCU11が高速RAM15にダウンロードした起動のプログラムから次の処理を実行する場合や、高速RAM15に転送してあるプログラムを実行中に、更に次のプログラムを転送する場合である。
【0018】
このように、通常RAM16内にあるプログラムを高速RAM15に転送して、実行することにより、プログラムの読み込みを高速に行うことが可能となり、DSP14の処理速度が向上する。
【0019】
上記例では、DSP14が処理に応じてプログラムを通常RAM16から高速RAM15に転送し、実行していたが、データについても同様に行うことが可能である。
図5は、通常RAM16から高速RAM15へデータを転送する場合の説明図である。
図示の様に、DSP14が処理実行時にデータを選択し、通常RAM16の領域201〜領域204から高速RAM15のエリアE1(211)またはエリアE2(212)に転送し、高速RAM15上で読み書きを行い、処理が終了したらデータを通常RAM16に戻す。
【0020】
図6は、データを転送する場合のフローチャートである。
先ず、DSP14は処理1を実行しているとする(ステップST201)。そして、DSP14は、処理1を終了する時、次に使用するデータを、内部の状態や外部要因に基づいて判定する(ステップST202)。尚、この判定基準は、例えば上述したプログラムの場合と同様である。次に、ステップST202において、使用するデータがデータD2(処理2)ならば、データD2を通常RAM16から高速RAM15に転送し(ステップST203)、DSP14は、データD2を使用した処理を実行する(ステップST204)。使用後、データD2を高速RAM15から通常RAM16に転送する(ステップST205)。また、ステップST202において、次に使用するデータがデータD3(処理3)ならば、データD3を通常RAM16から高速RAM15に転送し(ステップST206)、データD3を使用した処理を実行する(ステップST207)。使用後、データD3を高速RAM15から、通常RAM16に転送する(ステップST208)。データD2かデータD3を通常RAM16に転送後、次の処理4を実行する(ST209)。
このように、通常RAM16にあるプログラム・データを高速RAM15に転送して実行することにより、高速RAM15の容量を減らすことが可能となる。
【0021】
以上のように、実施の形態1の移動通信端末によれば、それぞれの処理に対応した複数のプログラムを格納する通常メモリと、現時点で使用する処理に対応したプログラムを格納する高速メモリと、高速メモリに格納されたプログラムを実行して信号処理を行うと共に、現時点で実行している処理に対する次の処理を判定して、次の処理に対応したプログラムを通常メモリから高速メモリに転送する信号処理プロセッサとを備えたので、高価でチップ面積が大きい高速メモリの容量を小さくすることができ、その結果、移動通信端末としての小型化、低価格化および低消費電力化に寄与することができる。また、信号処理プロセッサが、内部の状態や外部要因に基づき必要なプログラムを判断して転送するため、必要のないプログラムは転送することがなく、従って、効率の良い転送を実現することができる。
【0022】
また、実施の形態1の移動通信端末によれば、それぞれの処理で使用される複数のデータを格納する通常メモリと、現時点の処理で使用されるデータを格納する高速メモリと、信号処理を行う際、高速メモリのデータを生成または使用すると共に、信号処理完了後に必要なデータを通常メモリに格納する信号処理プロセッサとを備えたので、データに関しても高速メモリの容量を小さくすることができ、従って、この点においても、移動通信端末としての小型化、低価格化に寄与することができる。
【0023】
実施の形態2.
実施の形態2は、通常RAM16から高速RAM15へのプログラムまたはデータの転送をDMA(Direct Memory Access)で行うようにしたものである。
【0024】
図7は、実施の形態2の移動通信端末における主要部の構成図である。
図示のように、実施の形態2のDSP14はDMAコントローラ(DMA転送手段)23を備えている。このDMAコントローラ23は、DSP14を介することなく、高速RAM15と通常RAM16間のプログラム・データの転送を行う制御部である。他の各構成は実施の形態1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0025】
次に、実施の形態2の動作について説明する。
図8は、実施の形態2におけるプログラムを転送する場合の処理を示すフローチャートである。
実施の形態1の場合と同様に、DSP14は処理1を実行しているとする(ステップST301)。そして、DSP14は、処理1の実行中に今後実行する処理を判定する(ステップST302)。尚、この判定基準は、実施の形態1の場合と同様である。
【0026】
ステップST302において、今後実行する処理が、処理2であると判定されたならば、DSP14は、プログラムP2を通常RAM16から高速RAM15に転送するようDMAコントローラ23の設定を行い(ステップST303)、処理1の続きを行う(ステップST304)。そして、DSP14は、処理1終了後、DMAが完了するまで待ち(ステップST305)、DMA完了後、高速RAM15に転送した処理2を実行する(ステップST306)。また、ステップST302において、今後実行する処理が処理3と判定されたならば、DSP14は、プログラムP3を通常RAM16から高速RAM15に転送するようDMAコントローラ23の設定を行い(ステップST307)、DSP14は、処理1の続きを行う(ステップST308)。DSP14は、処理1終了後、DMAが完了するまで待ち(ステップST309)、DMA完了後、高速RAM15に転送した処理3を実行する(ステップST310)。処理2、処理3のどちらかを実行後、処理4を実行する(ステップST311)。
【0027】
次に、DMAを使用したプログラムの転送の動作シーケンスを説明する。
図9は、その動作シーケンスを示す説明図である。
DSP14が処理1の実行中(ステップST401)にDMAコントローラ23に対してDMA設定を行う。DMAコントローラ23は、DSP14からの設定値に基づきプログラムP2またはプログラムP3を通常RAMから高速RAMに転送する(ステップST402)。転送が完了したらDSP14に対してDMA完了通知を送る。一方、DSP14では、DMA設定完了後、処理1の続きを行い(ステップST403)、処理1完了後DMA完了通知が来るまで待ち、その後、高速RAM15に転送した処理2、或いは処理3を実行する(ステップST404)。処理2、或いは処理3を実行後、処理4を実行する(ステップST405)。
【0028】
データについても同様にDMAで転送することが可能である。
図10は、データをDMA転送する場合の処理を示すフローチャートである。
DSP14は、処理1を実行中に(ステップST501)、今後使用するデータを判定する(ステップST502)。ステップST502において、今後使用するデータがデータD2と判定されたならば、DSP14は、データD2を通常RAM16から高速RAM15に転送するようにDMAコントローラ23の設定を行い(ステップST503)、処理1の続きを行う(ステップST504)。DSP14は、処理1終了後、DMAが完了するまで待ち(ステップST505)、DMA完了後、高速RAM15に転送したデータD2を使用する処理2を実行する(ステップST506)。データD2を使用するのが完了したら、データD2を高速RAM15から通常RAM16に転送するようにDMAコントローラ23の設定を行い(ステップST507)、処理2の続きを行う(ステップST508)。そしてDSP14は、処理2の完了後、DMAが完了するまで待つ(ステップST509)。
【0029】
一方、ステップST502において、今後使用するデータがデータD3であると判定されたならば、DSP14は、データD3を通常RAM16から高速RAM15に転送するようにDMAコントローラ23の設定を行い(ステップST510)、処理1の続きを行う(ステップST511)。DSP14は、処理1終了後、DMAが完了するまで待ち(ステップST512)、DMA完了後、高速RAM15に転送したデータD3を使用する処理3を実行する(ステップST513)。データD3を使用するのが完了したら、データD3を高速RAM15から通常RAM16に転送するようにDMAコントローラ23の設定を行い(ステップST514)、処理3の続きを行う(ステップST515)。そして、処理3完了後、DMAが完了するまで待つ(ステップST515)。このようなデータD2、或いはデータD3の高速RAM15から通常RAM16へのDMA完了後、DSP14は、処理4を実行する(ステップST517)。
【0030】
次に、DMAを使用したデータの転送の動作シーケンスを説明する。
図11は、DMAを使用したデータの転送の動作シーケンスを示す説明図である。
DSP14が処理1の実行中(ステップST601)にDMAコントローラ23に対してDMA設定を行う。DMAコントローラ23は、DSP14からの設定値に基づきデータD2またはデータD3を通常RAM16から高速RAM15に転送する(ステップST602)。DMAコントローラ23は、転送完了後、DMA完了通知をDSP14に対して送る。DSP14では、DMA設定完了後、処理1の続きを行い(ステップST603)、処理1完了後DMA完了通知が来るまで待ち、その後、高速RAM15に転送したデータを使用する処理2或いは処理3を行う(ステップST604)。DSP14は処理2或いは処理3の実行中、DMAコントローラ23に対して、DMA設定を行う。DMAコントローラ23は、設定値に基づきデータD2またはデータD3を高速RAM15から通常RAM16に転送する。転送完了後、DSP14に対してDMA完了通知を送る。一方、DSP14はDMA設定完了後、処理2或いは処理3の続きを行い(ステップST606)、処理2或いは処理3を完了後、DMA完了通知が来るまで待ち、その後、処理4を実行する(ステップST607)。
【0031】
このように、通常RAM16にあるプログラム・データを高速RAM15に転送するのにDMAを使用することにより、処理の高速化を図ることが可能となる。また、プログラム・データの転送中にDSP14が別の処理を行うことにより、DSP14の処理能力を向上させることができる。
【0032】
尚、上記の例では、DMA転送中に処理1の続きを行うようにしたが、処理1の代わりに全く別の処理を行うことも可能である。この場合、DMA完了通知を受けた後、元の処理に戻ることになる。即ち、DMA転送中に別の処理を行ったとしても、DMA転送完了時に元の処理に戻ることができる。例えば、音声処理を行っている最中に、DMA転送待ちとなり、その間に画像処理を行うことが可能となる。そして、DMA転送完了通知を受けた後に、再び音声処理に戻ることができる。
【0033】
以上のように、実施の形態2の移動通信端末によれば、通常メモリと高速メモリ間におけるプログラムまたはデータ転送のうち、少なくともいずれか一方のDMA転送を行うDMA転送手段を備えたので、実施の形態1の効果に加えて、更に処理の高速化を図ることができる。
【0034】
また、実施の形態2の移動通信端末によれば、信号処理プロセッサは、DMA転送中に別処理を行うよう構成したので、処理の高速化を図ることができる。
【0035】
更に、上記実施の形態1、2では、移動通信端末に適用した例を説明したが、同様の構成を持つ種々の情報処理装置に対しても適用可能である。例えば、実施の形態1のプログラム転送に適用した場合は、それぞれの処理に対応した複数のプログラムを格納する通常メモリと、現時点で使用する処理に対応したプログラムを格納する高速メモリと、この高速メモリに格納されたプログラムを実行して信号処理を行うと共に、現時点で実行している処理に対する次の処理を判定して、当該次の処理に対応したプログラムを通常メモリから高速メモリに転送する信号処理プロセッサとを備えた情報処理装置である。このような情報処理装置であれば、高価でチップ面積が大きい高速メモリの容量を小さくすることができ、その結果、情報処理装置の小型化、低価格化および低消費電力化に寄与することができる。また、信号処理プロセッサが、内部の状態や外部要因に基づき必要なプログラムを判断して転送するため、必要のないプログラムは転送することがなく、従って、効率の良い転送を実現することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の実施の形態1による移動通信端末を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による移動通信端末の主要部を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1による移動通信端末の通常RAMから高速RAMへプログラムを転送する場合の説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による移動通信端末のプログラム転送時の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1による移動通信端末の通常RAMから高速RAMへデータを転送する場合の説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1による移動通信端末のデータ転送時の動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2による移動通信端末の主要部を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2による移動通信端末のプログラム転送時の動作を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態2による移動通信端末のプログラム転送の動作シーケンスを示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態2による移動通信端末のデータ転送時の動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態2による移動通信端末のデータ転送の動作シーケンスを示す説明図である。
【符号の説明】
【0037】
14 DSP(信号処理プロセッサ)、15 高速RAM(高速メモリ)、16 通常RAM(通常メモリ)、23 DMAコントローラ(DMA転送手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの処理に対応した複数のプログラムを格納する通常メモリと、
現時点で使用する処理に対応したプログラムを格納する高速メモリと、
前記高速メモリに格納されたプログラムを実行して信号処理を行うと共に、現時点で実行している処理に対する次の処理を判定して、当該次の処理に対応したプログラムを前記通常メモリから前記高速メモリに転送する信号処理プロセッサとを備えた移動通信端末。
【請求項2】
それぞれの処理で使用される複数のデータを格納する通常メモリと、
現時点の処理で使用されるデータを格納する高速メモリと、
信号処理を行う際、前記高速メモリのデータを生成または使用すると共に、前記信号処理完了後に必要なデータを前記通常メモリに格納する信号処理プロセッサとを備えた請求項1記載の移動通信端末。
【請求項3】
通常メモリと高速メモリ間におけるプログラムまたはデータ転送のうち、少なくともいずれか一方のDMA転送を行うDMA転送手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の移動通信端末。
【請求項4】
信号処理プロセッサは、DMA転送中に別処理を行うよう構成されたことを特徴とする請求項3記載の移動通信端末。
【請求項5】
それぞれの処理に対応した複数のプログラムを格納する通常メモリと、
現時点で使用する処理に対応したプログラムを格納する高速メモリと、
前記高速メモリに格納されたプログラムを実行して信号処理を行うと共に、現時点で実行している処理に対する次の処理を判定して、当該次の処理に対応したプログラムを前記通常メモリから前記高速メモリに転送する信号処理プロセッサとを備えた情報処理装置。
【請求項1】
それぞれの処理に対応した複数のプログラムを格納する通常メモリと、
現時点で使用する処理に対応したプログラムを格納する高速メモリと、
前記高速メモリに格納されたプログラムを実行して信号処理を行うと共に、現時点で実行している処理に対する次の処理を判定して、当該次の処理に対応したプログラムを前記通常メモリから前記高速メモリに転送する信号処理プロセッサとを備えた移動通信端末。
【請求項2】
それぞれの処理で使用される複数のデータを格納する通常メモリと、
現時点の処理で使用されるデータを格納する高速メモリと、
信号処理を行う際、前記高速メモリのデータを生成または使用すると共に、前記信号処理完了後に必要なデータを前記通常メモリに格納する信号処理プロセッサとを備えた請求項1記載の移動通信端末。
【請求項3】
通常メモリと高速メモリ間におけるプログラムまたはデータ転送のうち、少なくともいずれか一方のDMA転送を行うDMA転送手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の移動通信端末。
【請求項4】
信号処理プロセッサは、DMA転送中に別処理を行うよう構成されたことを特徴とする請求項3記載の移動通信端末。
【請求項5】
それぞれの処理に対応した複数のプログラムを格納する通常メモリと、
現時点で使用する処理に対応したプログラムを格納する高速メモリと、
前記高速メモリに格納されたプログラムを実行して信号処理を行うと共に、現時点で実行している処理に対する次の処理を判定して、当該次の処理に対応したプログラムを前記通常メモリから前記高速メモリに転送する信号処理プロセッサとを備えた情報処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−92007(P2006−92007A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−273724(P2004−273724)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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