説明

移植可能なポリマーフィルム

【課題】フィルムの全体的な特徴を損なうことなく、単独でかまたは医療デバイスと組み合わせて、移植後に治療剤の即時放出または持続放出を提供し得る、移植可能なフィルムを提供すること。
【解決手段】本開示は、グリセロールと少なくとも1種の生体高分子との混合物から作製された少なくとも1つのポリマーフィルム層を備える、移植可能な医療デバイスを記載する。このポリマーフィルム層において、グリセロールおよび少なくとも1種の生体高分子は、それぞれ約3:1〜約1:3の範囲の重量比を占める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移植可能な医療デバイスに関し、そしてより特定すると、グリセロールと生体高分子との混合物から作製された少なくとも1つのポリマーフィルム層を備える、移植可能な医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の医学的状態は、少なくとも部分的に、医療デバイスを、罹患患者の身体内に移植することによって処置され得る。医療デバイスは、身体内に一時的に移植され得るか、または長期間にわたって、無期限にさえ、身体内に残され得る。例えば、外科手術用メッシュは、非生分解性材料から作製され得、そして任意の型のヘルニアを修復するために、患者の腹に移植され得る。このメッシュは、欠損部を覆って配置されても(前方修復)、欠損部の下に配置されても(後方修復)、いずれでもよい。
【0003】
別の例において、生体吸収性材料から作製された移植可能なフィルムは、治療剤の送達のために、別の医療デバイスと組み合わせられ得る。しかし、これらのフィルムは、多数の任意の成分を含有し得る。例えば、粘度増強剤、乳化剤、およびpH改変剤などが、これらのフィルムに任意の成分として添加されて、このデバイスの持続性を増強し得、そして/または治療剤の送達特徴を変更し得る。代表的に、任意の成分は、このデバイスの約10重量%までを占める。多くの例において、より高濃度の任意の成分は、フィルム全体の特徴に、有害な影響を与え得る。例えば、約10%より高濃度の可塑剤の添加は、しばしば、このフィルムを、移植可能なフィルムとして有用でない程度まで、可撓性にしすぎる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルムの全体的な特徴を損なうことなく、単独でかまたは医療デバイスと組み合わせて、移植後に治療剤の即時放出または持続放出を提供し得る、移植可能なフィルムを提供することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
グリセロールと少なくとも1種の生体高分子との混合物から作製された少なくとも1つのポリマーフィルム層であって、該グリセロールおよび該少なくとも1種の生体高分子が、それぞれ約3:1〜約1:3の範囲の重量比を占める、少なくとも1つのポリマーフィルム層、
を備える、移植可能な医療デバイス。
(項目2)
前記少なくとも1種の生体高分子が多糖類を含有する、上記項目に記載の医療デバイス。
(項目3)
前記多糖類が、セルロース、ヒアルロン酸、デキストラン、キチン、キトサン、アルギネート、フカン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目4)
前記多糖類が、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、酸化セルロース、再生セルロース、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるセルロースを含有する、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目5)
前記多糖類がカルボキシメチルセルロースを含有する、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目6)
前記生体高分子がタンパク質を含有する、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目7)
前記タンパク質が、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、エラスチン、ケラチン、トロンビン、フィブリン、アクチン、チューブリン、コラーゲン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目8)
前記タンパク質がコラーゲンを含有する、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目9)
前記グリセロールおよび前記少なくとも1種の生体高分子が、約1:1の重量比を占める、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目10)
前記グリセロールが、前記ポリマーフィルム層の優勢量を占める、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目11)
前記ポリマーフィルム層が、少なくとも1種の治療剤を含有する、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目12)
前記少なくとも1種の治療剤が、接着防止薬剤、抗菌薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、鎮痙薬(antiepileptics)、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、心臓血管薬剤、診断剤、交感神経様作用薬、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、鎮痙薬(antispasmodics)、ホルモン、増殖因子、成長因子、筋弛緩薬、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗腫瘍薬、免疫原性薬剤、免疫抑制薬、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類、血小板活性化薬、凝固因子、酵素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目13)
前記少なくとも1種の治療剤が、ブピバカイン、シスプラチン、フルオロウラシル、メトトレキサート、カプサイシンおよびこれらの組み合わせを含有する、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目14)
前記ポリマーフィルム層が塩酸ブピバカインを含有する、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目15)
基材を有する医療デバイス、
該基材に取り付けられた少なくとも1つのポリマーフィルム層であって、該ポリマーフィルム層は、グリセロールと少なくとも1種の生体高分子との混合物から作製されており、該グリセロールおよび該少なくとも1種の生体高分子は、それぞれ約3:1〜約1:3の範囲の重量比を占める、少なくとも1つのポリマーフィルム層;ならびに
少なくとも1種の治療剤、
を備える、移植可能な医療デバイス。
(項目16)
前記少なくとも1種の生体高分子が多糖類を含有する、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目17)
前記多糖類が、セルロース、ヒアルロン酸、デキストラン、キチン、キトサン、アルギネート、フカン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目18)
前記多糖類が、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、酸化セルロース、再生セルロース、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるセルロースを含有する、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目19)
前記多糖類がカルボキシメチルセルロースを含有する、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目20)
前記生体高分子がタンパク質を含有する、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目21)
前記タンパク質が、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、エラスチン、ケラチン、トロンビン、フィブリン、アクチン、チューブリン、コラーゲン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目22)
前記タンパク質がコラーゲンを含有する、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目23)
前記グリセロールおよび前記少なくとも1種の生体高分子が、約1:1の重量比を占める、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目24)
前記グリセロールが、前記ポリマーフィルム層の優勢量を占める、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目25)
前記少なくとも1種の治療剤が、接着防止薬剤、抗菌薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、鎮痙薬(antiepileptics)、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、心臓血管薬剤、診断剤、交感神経様作用薬、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、鎮痙薬(antispasmodics)、ホルモン、増殖因子、成長因子、筋弛緩薬、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗腫瘍薬、免疫原性薬剤、免疫抑制薬、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類、血小板活性化薬、凝固因子、酵素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目26)
前記少なくとも1種の治療剤が、ブピバカイン、シスプラチン、フルオロウラシル、メトトレキサート、カプサイシンおよびこれらの組み合わせを含有する、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目27)
前記少なくとも1つのポリマーフィルム層が塩酸ブピバカインを含有する、上記項目のいずれか一項に記載の医療デバイス。
(項目28)
治療剤を送達するためのシステムであって、
移植可能な医療デバイスであって、該移植可能な医療デバイスは、グリセロールと少なくとも1種の生体高分子との混合物から作製された少なくとも1つのポリマーフィルム層を有し、該グリセロールおよび該少なくとも1種の生体高分子は、それぞれ約3:1〜約1:3の範囲の重量比を占める、移植可能な医療デバイス;ならびに
該少なくとも1つのポリマーフィルム層に含有される少なくとも1種の治療剤、
を備える、システム。
(項目28A)
治療剤を送達する方法であって、
医療デバイスであって、該医療デバイスは、グリセロールと少なくとも1種の生体高分子との混合物から作製された少なくとも1つのポリマーフィルム層、および該少なくとも1つのポリマーフィルム層に含有される少なくとも1種の治療剤を有し、該グリセロールおよび該少なくとも1種の生体高分子は、それぞれ約3:1〜約1:3の範囲の重量比を占める、医療デバイス、
を移植する工程を包含する、方法。
【0006】
(摘要)
本開示は、グリセロールおよび少なくとも1種の生体高分子を含有するポリマーフィルム層を備える、移植可能な医療デバイスに関する。
【0007】
(要旨)
従って、本開示は、グリセロールと少なくとも1種の生体高分子との混合物から作製された少なくとも1つのポリマーフィルム層を備える、移植可能な医療デバイスを記載する。このポリマーフィルム層において、グリセロールおよび少なくとも1種の生体高分子は、それぞれ約3:1〜約1:3の範囲の重量比を占める。ある実施形態において、このポリマーフィルム層は、少なくとも1種の治療剤を含有し得る。
【0008】
ある実施形態において、本明細書中に記載される移植可能な医療デバイスは、基材を有する医療デバイス、この基材に取り付けられた少なくとも1つのポリマーフィルム層、および少なくとも1種の治療剤を備え得、このポリマーフィルム層は、グリセロールと少なくとも1種の生体高分子との混合物から作製され、この混合物において、グリセロールおよび少なくとも1種の生体高分子は、それぞれ約3:1〜約1:3の範囲の重量比を占める。このポリマー層は、このデバイスの基材上で、連続であっても不連続であってもよい。
【0009】
治療剤の送達のための方法もまた開示され、この方法は、医療デバイスを組織に移植する工程を包含する。この医療デバイスは、グリセロールと少なくとも1種の生体高分子との混合物から作製された少なくとも1つのポリマーフィルム層、およびこの少なくとも1つのポリマーフィルム層に含まれる少なくとも1種の治療剤を備え、このポリマーフィルム層において、グリセロールおよび少なくとも1種の生体高分子は、それぞれ約3:1〜約1:3の範囲の重量比を占める。
【0010】
本発明のこれらおよび他の特徴は、添付の図面と組み合わせて以下の詳細な説明を参照することによって、より完全に理解される。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、フィルムの全体的な特徴を損なうことなく、単独でかまたは医療デバイスと組み合わせて、移植後に治療剤の即時放出または持続放出を提供し得る、移植可能なフィルムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本開示に記載される1つの実施形態による医療デバイスを形成する3つのシートのたて編みを示す図である。
【図2】図2は、本開示に記載される別の実施形態による、図1の医療デバイスへの逆立った(spiked)ナップの形成を可能にするデバイスの図式的側面図である。
【図3】図3A、図3B、図3C、図3D、図3E、および図3Fは、本開示に記載される他の実施形態に従うグリセロールフィルムの図式的な図である。
【図4】図4は、本開示に記載される別の実施形態による医療デバイスの側面図である。
【図5】図5は、本開示に記載されるなお別の実施形態による医療デバイスの側面図である。
【図6】図6は、本開示に記載されるさらに別の実施形態による医療デバイスの側面図である。
【図7】図7は、本明細書中に記載されるような移植可能な医療デバイスの1つの比較例の画像である。
【図8】図8は、本明細書中に記載されるような移植可能な医療デバイスの別の比較例の画像である。
【図9】図9は、本明細書中に記載されるような移植可能な医療デバイスのなお別の比較例の画像である。
【図10】図10は、本明細書中に記載されるような移植可能な医療デバイスの1つの実施例の画像である。
【図11】図11は、本明細書中に記載されるような移植可能な医療デバイスの別の実施例の画像である。
【図12】図12は、本明細書中に記載されるような移植可能な医療デバイスのなお別の実施例の画像である。
【図13】図13は、本明細書中に記載されるような移植可能な医療デバイスのさらに別の実施例の画像である。
【図14】図14は、本明細書中に記載されるような移植可能な医療デバイスの別の実施例の画像である。
【図15】図15は、本明細書中に記載されるような、図7〜図12に図示される移植可能な医療デバイスの粘着試験結果を示す図表である。
【図16】図16は、本明細書中に記載されるような、図13〜図14に図示される移植可能な医療デバイスの粘着試験結果を示す図表である。
【図17】図17は、本明細書中に記載されるような、図7〜図12に図示される移植可能な医療デバイスのバースト試験結果を示す図表である。
【図18】図18は、本明細書中に記載されるような、図13〜図14に図示される移植可能な医療デバイスのバースト試験結果を示す図表である。
【図19】図19は、本明細書中に記載されるような、図7〜図14に図示される移植可能な医療デバイスのバースト試験からの変位距離の結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、グリセロールと少なくとも1種の生体高分子との混合物から作製された少なくとも1つのポリマーフィルム層を備える、移植可能な医療デバイスに関する。グリセロールおよび少なくとも1種の生体高分子は、それぞれ約3:1〜約1:3の範囲の重量比を占める。いくつかの実施形態において、グリセロールは、重量に基づいて、このポリマーフィルム層の優勢量を占め得る。いくつかの実施形態において、この移植可能な医療デバイスは、少なくとも1種の治療剤の送達のために使用され得る。
【0014】
移植可能であることによって、本明細書に記載される医療デバイスは、腹腔の一部内のような、身体内の場所に、任意の期間の間、位置づけられ得る。さらに、用語「移植」および「移植される」は、腹腔の一部内のような、身体内の場所での、任意の期間にわたる医療デバイスの位置づけをいう。
【0015】
グリセロール(グリセリン(glycerin)またはグリセリン(glycerine)としてもまた公知)は、3つの親水性ヒドロキシル基を含むポリオールである。これらのヒドロキシル基は、グリセロールが水に可溶性であること、および本質的に吸湿性であることを可能にしている。
【0016】
グリセロールは、このポリマーフィルム層の約25重量パーセント〜約75重量パーセントを占め得る。いくつかの実施形態において、グリセロールは、このポリマーフィルム層の約33重量パーセント〜約67重量パーセントを占め得る。特定の実施形態において、本明細書中に記載されるポリマーフィルム層は、50重量パーセントより多いグリセロールを含有し得る。
【0017】
記載されるポリマーフィルムを形成するために使用されるグリセロールは、少なくとも1種の生体高分子との混合前に、固体形態であっても液体形態であってもよい。固体であることによって、グリセロールは、粒子、粉末、および顆粒などの形態であり得る。液体であることによって、グリセロールは、溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液、スラリー、およびゲルなどの形態であり得る。
【0018】
グリセロール溶液は、当業者の知識の範囲内である任意の適切な技術を使用して形成され得る。例えば、グリセロール溶液は、グリセロールの固体を適切な溶媒と混合して、グリセロール溶液またはグリセロールの液体を形成することによって、形成され得る。グリセロール溶液を形成するために適切な溶媒のいくつかの非限定的な例としては、塩化メチレン、クロロホルム、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、ヘキサン、アセトン、水、生理食塩緩衝液、およびこれらの組み合わせなどの、極性溶媒および非極性溶媒が挙げられ得る。
【0019】
グリセロールは、少なくとも1種の生体高分子と混合され得る。適切な生体高分子材料のいくつかの非限定的な例としては、多糖類、タンパク質、ペプチド、およびこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、多糖類としては、セルロース、デキストラン、キチン、キトサン、アルギネート、ペクチン、漿剤、プルラン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、アラビノキシラン、細菌の多糖類およびこれらの組み合わせが挙げられ得る。特定の実施形態において、ポリマーフィルム層は、グリセロールとカルボキシメチルセルロースとからなり得る。
【0020】
他の実施形態において、このポリマーフィルム層は、コラーゲン、エラスチン、フィブリン、アルブミン、フィブリノゲン、トロンビン、絹、およびこれらの組み合わせなどのタンパク質を含有し得る。特定の実施形態において、このポリマーフィルム層は、グリセロールとコラーゲンとからなり得る。他の実施形態において、この移植物は、コラーゲン層と、カルボキシメチルセルロース/グリセロール層とを有する。
【0021】
用語「コラーゲン」とは、天然物であれ合成物であれ、ヒト起源または動物起源の、任意の型のコラーゲン(例えば、富化ヒトコラーゲンI型、ヒトコラーゲンIII型(同様に富化された)、ヒトコラーゲンI型+III型、またはIV型、あるいは他のコラーゲン(例えば、I型またはI型+III型の動物コラーゲン))を包含することを意味する。コラーゲンは、酸化されていても酸化されていなくてもよい。
【0022】
特定の実施形態において、コラーゲンは、架橋せずに酸化され得る。例えば、ネイティブコラーゲンは、酸溶液に浸漬され、そして/または洗浄されて、特にペプシン消化によって、テロペプチドを排除され得る。
【0023】
コラーゲンはまた、酸化的切断によって修飾され得る。この目的で、過ヨウ素酸またはその塩のうちの1つが、M.TARDYらにより記載される技術(仏国特許出願公開第2 601 371号および米国特許第4,931,546号(これらの全内容は、本明細書中に参考として援用される))を適用して、使用され得る。
【0024】
この技術は、コラーゲンを酸溶液中で、過ヨウ素酸またはその塩のうちの1つの、1M〜10M、好ましくは5×10M〜10Mの濃度の溶液と、10℃〜25℃の温度で、10分間〜72時間混合することからなることが、簡単に思い出される。
【0025】
このプロセスは、コラーゲンの成分のうちのいくらかを分解し、これらの成分は、ヒドロキシリジンおよび糖であり、従って、架橋を起こすことなく、反応性部位を作製する。
【0026】
コラーゲンの酸化的切断は、コラーゲン性材料における、後の中程度の架橋を可能にするが、中程度の架橋のための他の手段(例えば、β線照射もしくはγ線照射)によって、または中程度の架橋のための他の剤(例えば、適切に低い非毒性の用量の化学試薬)によって、この機能を提供する可能性を排除しない。
【0027】
いくつかの用途について、本明細書中に記載されるポリマーフィルム層は、酸化されていないコラーゲン、または酸化されていないコラーゲンと酸化されたコラーゲンとの任意の割合の混合物を含有し得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、この生体高分子は、このポリマーフィルム層の約25重量パーセント〜約75重量パーセントを占め得る。他の実施形態において、この生体高分子は、このポリマーフィルム層の約33重量パーセント〜約67重量パーセントを占め得る。特定の実施形態において、本明細書中に記載されるポリマーフィルム層は、50重量パーセント未満の生体高分子を含有し得る。
【0029】
記載されるポリマーフィルムを形成するために使用される生体高分子は、グリセロールとの混合前に、固体形態であっても液体形態であってもよい。固体であることによって、生体高分子は、粒子、粉末、および顆粒などの形態であり得る。液体であることによって、生体高分子は、溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液、スラリー、およびゲルなどの形態であり得る。
【0030】
特に有用な実施形態において、生体高分子溶液は、当業者の知識の範囲内である任意の適切な技術を使用して、形成され得る。例えば、生体高分子溶液は、生体高分子の固体を適切な溶媒と混合して、生体高分子溶液または生体高分子の液体を形成することによって、形成され得る。例えば、カルボキシメチルセルロース粉末が水に可溶化されて、カルボキシメチルセルロース溶液を形成し得る。生体高分子溶液を形成するために適切な溶媒のいくつかの非限定的な例としては、塩化メチレン、クロロホルム、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、ヘキサン、アセトン、水、生理食塩水、緩衝液およびこれらの組み合わせなどの極性溶媒および非極性溶媒が挙げられ得る。
【0031】
本明細書中に記載されるポリマーフィルム層は、グリセロールおよび少なくとも1種の生体高分子を、約3:1〜約1:3の範囲の重量比で含有し得る。いくつかの実施形態において、グリセロールおよび生体高分子は、約2:1〜約1:2の範囲の重量比を占め得る。さらに他の実施形態において、グリセロールおよび生体高分子は、約1.01:1より高い重量比を表わし得る。
【0032】
グリセロールと生体高分子とを混合すると、ポリマーフィルム層が、当業者に公知である任意の適切な方法を使用して形成され得る。いくつかの非限定的な例としては、キャスティング、押し出し、および噴霧などが挙げられる。ある実施形態において、生体高分子とグリセロールとを含有する混合物が、鋳型内でキャスティングされ得、そして乾燥させられて、ポリマーフィルム層を形成し得る。この乾燥は、周囲温度で行われても高温で行われてもよく、周囲圧力で行われても高圧で行われてもよい。
【0033】
本明細書中に記載されるポリマーフィルム層は、機械的支持のためのさらなるデバイスを用いずに移植されるために、強度が充分であり得る。しかし、いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるポリマーフィルム層は、さらなる支持を提供するための別の移植可能な基材(すなわち、メッシュ)と合わせられ得る。
【0034】
患者の身体に一時的であれ永続的であれ挿入するために適切な、任意の移植可能な基材が、本明細書中に記載されるポリマーフィルムと合わせられ得る。いくつかの非限定的な例としては、軟組織修復デバイス(例えば、縫合糸、ステープル、メッシュ、パッチ、外科用綿撒糸、バットレス、クリンプ、クランプ、ねじ、およびピン)が挙げられる。他の適切なデバイスとしては、ステープルライン強化材(staple line reinforcement)、組織充填材(tissue filler)、実質臓器または管腔構造物のための組織ラップ(tissue wrap)、密閉デバイス、窩壁および床の強化材、筋肉内導管(intramuscular conduit)、ならびにアクセス部位閉鎖デバイスなどが挙げられる。移植可能な基材および本明細書中に記載されるフィルムは、多孔性であっても非多孔性であってもよい。
【0035】
特定の実施形態において、移植可能な基材は、外科手術用メッシュである。本明細書中に記載される外科手術用メッシュは、相互に捩じられたフィラメントから作製された、多孔性布を備え得る。これらのフィラメントは、これらのフィラメントが互いに重なり合って共通の交点を作製する交差部を作製する様式で、水平方向および垂直方向に延び得る。この外科手術用メッシュは、製織され得るか、不織であり得るか、編成され得るか、または編組され得る。いくつかの実施形態において、これらのフィラメントは、二次元メッシュを形成しても三次元メッシュを形成してもよい。二次元メッシュ基材および/または三次元メッシュ基材のいくつかの例は、米国特許第7,021,086号、米国特許第6,596,002号、および米国特許第7,331,199号に見出され得、これらの全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0036】
これらのフィラメントは、モノフィラメントであってもマルチフィラメントであってもよく、ある実施形態において、複数のマルチフィラメントが合わされて、ヤーンを形成し得る。メッシュは、ヘルニア修復に適切な任意のサイズおよび/または形状の構成にされ得ることが想定される。これらのフィラメントは、コア/シース構築物を含み得る。
【0037】
特定の実施形態において、移植可能な基材は、ヤーンの少なくとも3つのシートまたはたて糸およびそれと同数のガイドバーを使用して、トリコット型またはラッセル型のたて編機で編成された外科手術用メッシュであり得る。
【0038】
編成されたメッシュは、後ろのバーに、生体適合性ポリマーの第一のモノフィラメントまたはマルチフィラメント10を、図1において実線として表わされるように、1つおきのガイドに通す(糸を通されるガイドと通されないガイドが交互になる)ことによって作製され得る。中間のバーに、生体適合性ポリマーの第二のモノフィラメントまたはマルチフィラメント11が、図1において破線として表わされるように、3つおきのガイドに通される(1つのガイドに糸を通し、3つのガイドに糸を通さないパターンが繰り返される)。この中間のバーは、メッシュの縦方向の織り糸(column)の間に、ジグザグの透かしパターンを与えるような様式で働く。最後に、前のバーに、生体適合性ポリマーの第三のモノフィラメントまたはマルチフィラメント12が、図1において細い線として表されるように、1つおきのガイドに通されて(糸を通されるガイドと通されないガイドが交互になる)、鎖編みの働きをする。第三のフィラメント12(すなわち、鎖編み)は、第一のフィラメント10を閉じ込めて(imprison)このメッシュの長さを維持し、一方で、第二のフィラメント11によって形成された中間シートを有するメッシュの形成に寄与する。異なるフィラメントがヤーンを形成し得、そして以下の図表に従って動かされ得る。
【0039】
【表1】

後ろのバーは、第一のフィラメントまたはヤーンを、部分的なよこ糸として、鎖編みの下に、鎖編みを形成しない針に「巻かれる」ように配置する。この理由により、次の列では、鎖編みを形成しない針には、第一のフィラメントまたはヤーンが巻かれず、ループ14aを形成するフィラメントが外れてメッシュの前面から突出することを可能にする。
【0040】
中間のバーにおいて、3つおきに糸を通す(1つのガイドに糸を通し、3つのガイドに糸を通さないパターンが繰り返される)ことにより、変位(displacement)に関連して、幅が安定であり、組織の良好な一体化を可能にする透かしの入った、軽量の生地(ground texture)を形成することが可能になる。
【0041】
このように得られたメッシュ14は、ループ14aを有するように提供され得(図2)、これらは、メッシュ表面の一方に対して垂直であり得る。ループ14aはまた、剛性を有し得、そして直角に保持され得、このことは、使用されたフィラメントの剛性または腰の強さ(nerve)によって得られ得る。この剛性は、グリップ機能を確実にする逆立ったナップの続いての形成のために必要とされ得る。
【0042】
織機を離れる際に、メッシュ14は、メッシュの長さと幅とを安定化する熱硬化操作に供され得る。次に、メッシュは、図2に示されるように、電熱抵抗器を備えるシリンダー13にメッシュを通過させることにある、逆立ったナップを形成する段階に供され得る。メッシュ14は、それぞれ上流15a、15b、および下流16a、16bの2対のローラーによってシリンダー13上で平らに圧縮される。これらのローラーは、それらの圧縮力を制御するために垂直方向に変位可能である。
【0043】
この制御、ならびにシリンダー13に配置された抵抗器の温度の制御およびシリンダー13を横切ってメッシュ14が動く速度の制御は、各ループ14aが2つの逆立ったナップ17を形成するように、ループ14aの各々の先端を融解させることを可能にする。
【0044】
したがって、各々の逆立ったナップ17は、メッシュ14に対して垂直に突出した、実質的に直線状の本体を有し得、この本体の自由端における先端17aは、本体の幅よりも大きな幅を有する。先端17aは、ほぼ球状の形状またはマッシュルームの形状を有する。逆立ったナップ17は、メッシュ14に、移植されたときに組織に付着する能力を付与する。加えて、逆立ったナップ17は、折りたたまれるか丸められたときに、メッシュ14の他の部分に付着し得る。
【0045】
ある実施形態において、本明細書中に記載されるポリマーフィルムは、メッシュの任意の部分に位置づけられ得る。いくつかの実施形態において、これらのポリマーフィルムは、逆立ったナップを備えないメッシュの部分に位置づけられ得る。あるいは、このフィルムは、逆立ったナップを有するメッシュの部分に位置づけられ得る。
【0046】
これらのフィルムは、移植可能な基材の表面の任意の部分に配置され得る。いくつかの実施形態において、これらのフィルムは、連続的な層を形成し得る。例えば、これらのポリマーフィルムは、外科手術用メッシュの表面に連続的な層を形成し得、この場合、このメッシュの多孔(porosity)は、この連続的なフィルムによって閉塞させられる。他の実施形態において、これらのフィルムは、移植可能な基材の表面の断続的な部分を覆う、不連続層を形成し得る。1つの例において、これらのポリマーフィルムは、外科手術用メッシュの表面に不連続層を形成し得、この場合、このメッシュの多孔は、この不連続フィルムによって維持される。
【0047】
いくつかの実施形態において、これらのポリマーフィルムは、移植可能な基材の表面の一部分の上に直接、フィルムとしてキャスティングされ得る。他の実施形態において、これらのポリマーフィルムは、移植可能な基材の表面の一部分の上に直接噴霧コーティングされ得る。さらに他の実施形態において、これらのポリマーフィルムは、移植可能な基材上に位置づけられる前に形成され得る。
【0048】
本明細書中に記載される移植可能な基材は、移植に適した任意の生体適合性材料から作製され得る。例えば、この移植可能な基材は、任意の生分解性ポリマーから作製され得る。この生分解性ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマー(ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトコポリマーが挙げられる)であってもよい。この生分解性ポリマーは、線状ポリマーであっても、分枝ポリマーであっても、デンドリマーであってもよい。これらの生分解性ポリマーは、天然起源であっても合成起源であってもよい。適切な生分解性ポリマーの例としては、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、バレロラクトン、カーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネートなど)、ジオキサン(例えば、1,4−ジオキサノン)、δ−バレロラクトン、1,ジオキセパノン(例えば、1,4−ジオキセパン−2−オンおよび1,5−ジオキセパン−2−オン)、エチレングリコール、エチレンオキシド、エステルアミド、γ−ヒドロキシバレレート、β−ヒドロキシプロピオネート、α−ヒドロキシ酸、ヒドロキシブチレート、ポリ(オルトエステル)、ヒドロキシアルカノエート、チロシンカーボネート、ポリイミドカーボネート、ポリイミノカーボネート(例えば、ポリ(ビスフェノールA−イミノカーボネート)およびポリ(ヒドロキノン−イミノカーボネート))、ポリウレタン、ポリ酸無水物、ポリマー薬物(例えば、ポリジフルニサル、ポリアスピリン、およびタンパク質治療剤)から作製されるものなどのポリマー、ならびにこれらのコポリマーおよび組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
いくつかの実施形態において、これらのポリマーフィルムは、グリセロールと、生体高分子と、治療剤とを含有する、単一の層を備える。本明細書中に記載されるポリマーフィルムの厚さは、平均して、約0.1μm〜約1000μmであり得る。
【0050】
他の実施形態において、これらのポリマーフィルムは、多層フィルムを構成し、この多層フィルムにおいて、第一の層がグリセロールおよび生体高分子を含有し、そして第二の層が、治療剤を含有する。さらに他の実施形態において、これらのポリマーフィルムは、三層構造体を備え、この三層構造体において、治療剤を含有する第二の層が、グリセロールおよび生体高分子を含有する第一の層と、グリセロールおよび同じかまたは異なる生体高分子を含有する第三の層との間に位置づけられる。この治療剤はまた、これらのポリマーフィルムの任意の層を合わせられ得ることが想定される。
【0051】
用語「治療剤」とは、本明細書中で使用される場合、その最も広い意味で使用され、そして有利な効果、治療効果、薬理効果、および/または予防効果を提供する、任意の物質または物質混合物を包含する。この剤は、薬理学的効果を提供する薬物であり得る。
【0052】
用語「薬物」とは、治療効果を与え得る任意の剤(例えば、抗菌剤、麻酔薬、鎮痛薬、抗がん剤、脈管形成剤、線維症剤、抗有糸分裂薬、キレート剤、ペプチド、タンパク質、DNA、RNA、ヌクレオチド、リポソーム、血液製剤、ホルモン、水溶性の銀塩、増殖因子、成長因子、抗体、インターロイキン、およびサイトカインなど)を包含することを意味する。用語「薬物」はまた、組織の成長、細胞の成長、細胞の分化、組織の抗癒着に影響を与えるかまたは関与する任意の化合物;あるいは免疫応答などの生物学的作用を惹起することが可能であり得る化合物;あるいは1つ以上の生物学的プロセスにおいて他の任意の役割を果たし得る化合物を包含することが意図される。
【0053】
本発明の自己支持型フィルムにおいて使用され得る水溶性薬物のいくつかの特定の非限定的な例としては、リドカイン、ブピバカイン、テトラカイン、プロカイン、ジブカイン、シロリムス(sirolimus)、タキソール、クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレン、チアミラールナトリウム、チオペンタールナトリウム、ケタミン、フルラゼパム、アモバルビタールナトリウム、フェノバルビタール、ブロムワレリル尿素、抱水クロラール、フェニトイン、エトトイン、トリメタジオン、プリミドン、エトスクシミド、カルバマゼピン、バルプロエート、アセトアミノフェン、フェナセチン、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、アミノピリン、アンチピリン、スルピリン、メピリゾール(mepirizole)、チアラミド、ペリキサゾール(perixazole)、ジクロフェナク、アンフェナク(anfenac)、ブプレノルフィン、ブトルファノール、エプタゾシン、ジメンヒドリネート、ジフェニドール、dl−イソプレナリン、クロルプロマジン、レボメプロマジン、チオリダジン、フルフェナジン、チオチキセン、フルペンチキソール、フロロピパミド、モペロン、カルピプラミン、クロカプラミン、イミプラミン、デシプラミン、マプロチリン、クロルジアゼポキシド、クロラゼペート、メプロバメート、ヒドロキシジン、サフラジン(saflazine)、アミノ安息香酸エチル、カルバミン酸クロルフェネシン、メトカルバモール、アセチルコリン、ネオスチグミン、アトロピン、スコポラミン、パパベリン、ビペリデン、トリヘキシフェニジル、アマンタジン、ピロヘプチン、プロフェナミン、レボドパ、マザチコール、ジフェンヒドラミン、カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、アミノフィリン、コリン、テオフィリン、カフェイン、安息香酸ナトリウム、イソプロテレノール、ドパミン、ドブタミン、プロプラノロール、アルプレノロール、ブプラノロール、チモロール、メトプロロール、プロカインアミド、キニジン、アジマリン、ベラパミル、アプリンジン、ヒドロクロロチアジド、アセタゾラミド、イソソルビド、エタクリン酸、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル、アラセプリル、ヒドララジン、ヘキサメトニウム、クロニジン、ブニトロロール、グアネチジン、ベタニジン、フェニレフリン、メトキサミン、ジルチアゼム、ニコランジル、ニカメタート、ニコチンアルコールタートレート、トラゾリン、ニカルジピン、イフェンプロジル、ピペリジノカルバメート、シネパジド、チアプリド(thiapride)、ジモルホラミン、レバロルファン、ナロキソン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ノルチステロン、クロミフェン、テトラサイクリン、サリチル酸メチル、イソチペンジル、クロタミトン、サリチル酸、ナイスタチン、エコナゾール、クロコナゾール(cloconazole)、ビタミンB、シコチアミン、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ニコチン酸、葉酸、ニコチンアミド、パントテン酸カルシウム、パントテノール(pantothenol)、パンテチン、ビオチン、アスコルビン酸、トラネキサム酸、エタンシレート、プロタミン、コルヒチン、アロプリノール、トラザミド、グリミジン、グリブゾール、メトホルミン(metoformin)、ブホルミン、オロチン酸、アザチオプリン、ラクツロース、ナイトロジェンマスタード、シクロホスファミド、チオ−TEPA、ニムスチン、チオイノシン、フルオロウラシル、テガフール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、マイトマイシンC、ダウノルビシン、アクラルビシン、プロカルバジン、シスプラチン、メトトレキサート、ベンジルペニシリン、アモキシシリン、ペニシリン、オキシシリン(oxycillin)、メチシリン、カルベニシリン、アンピシリン、セファレキシン、セファゾリン、エリスロマイシン、キタサマイシン、クロラムフェニコール、チアンフェニコール、ミノサイクリン、リンコマイシン、クリンダマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、フラジオマイシン、ゲンタマイシン、スペクチノマイシン、ネオマイシン、バノマイシン(vanomycin)、テトラサイクリン、シプロフロキサシン、スルファニル酸(sulfanilic acid)、シクロセリン、スルフィソミジン、イソニアジド、エタンブトール、アシクロビル、ガンシクロビル(gancyclovir)、ビダバリン(vidabarine)、アジドチミジン、ジデオキシイノシン、ジデオキシシトシン、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、コカイン、ペチジン、フェンタニール、上記薬物のポリマー形態およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0054】
この水溶性薬物は、必ずしも、塩形態(すなわち、塩酸テトラサイクリン)に変換される必要はないかもしれない。いくつかの実施形態において、この治療剤は、麻酔薬(例えば、塩酸ブピバカイン、リドカイン、およびベンゾカインなど)を含み得る。
【0055】
上記治療剤は、説明の目的で提供されたが、本開示はそのように限定されないことが理解されるべきである。具体的には、特定の治療剤が上で具体的に言及されるが、本開示は、このような剤のアナログ、誘導体および結合体を包含することが理解されるべきである。
【0056】
この治療剤は、ポリマーフィルムまたは移植可能な基材と組み合わせられ得る。いくつかの実施形態において、この治療剤は、移植後に治療剤の即時放出を提供するための、フィルムまたは移植可能な基材のトップコートであり得る。いくつかの実施形態において、この治療剤は、治療剤の持続放出を提供するために、このフィルムに含まれ得る。
【0057】
これらの治療剤は、任意の適切な溶媒と合わせられて、治療溶液を形成し得る。いくつかの有用な非限定的な例としては、塩化メチレン、クロロホルム、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、ヘキサン、およびアセトンなどの有機溶媒、水、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、治療剤のための溶媒は、グリセロールまたは生体高分子に対する共溶媒ではない。
【0058】
この治療剤は、約1マイクログラム/ml〜約1グラム/mlの範囲の濃度の溶液を形成し得る。特定の実施形態において、この治療溶液の濃度は、約1mg/ml〜約500mg/mlの範囲であり得る。さらに他の実施形態において、この治療溶液の濃度は、約10mg/ml〜約300mg/mlの範囲であり得る。溶液であることによって、この治療調製物は、懸濁液、エマルジョン、および分散液などを包含することを意図される。
【0059】
特定の実施形態において、この治療剤は、グリセロールと生体高分子との混合物と、ポリマーフィルムの形成前に合わせられ得る。このような実施形態において、グリセロール、生体高分子および治療剤は、一般的な溶媒を使用して、溶液中に合わせられ得る。
【0060】
ここで図3A〜図3Fを参照すると、これらの図は、グリセロールおよび生体高分子、ならびに必要に応じて治療剤を備える、移植可能なフィルム10D〜10Iを図示する。フィルム10D〜10Iは、単層フィルムとして示されているが、多層フィルムもまた想定される。フィルム10D〜10Iは、移植前に裂けることなく取り扱われ得る程度まで、そして移植される際に種々の量の力に対して調節され得る程度まで、可撓性を維持される。
【0061】
図3A〜図3Fは、本明細書中に記載されるポリマーフィルムのさらなる実施形態または構成を示す。これらの実施形態は、円形の構成のポリマーフィルム10D、楕円形の構成のポリマーフィルム10E、U字型に屈曲した構成のポリマーフィルム10F、円形開口部分を有する正方形の構成のポリマーフィルム10G、波型の構成のポリマーフィルム10H、および不規則な形状の構成のポリマーフィルム10Iを含む。ポリマーフィルム10D〜10Iの構成の各々は、異なる型の構成を表わす。図示される構成は、ポリマーフィルム10について可能な構成を網羅するわけではない。ポリマーフィルム10の具体的な形状または構成は、望ましい場合に変更され得ること、および図1および図3A〜図3Fに図示される形状および構成は、可能な形状および構成のうちの少数のみの例示であることを、当業者は理解する。
【0062】
図4において、医療デバイス410は、組織および/またはメッシュの他の部分に付着するための複数の逆立ったナップ417を含む外科手術用メッシュ415である。ポリマーフィルム層420は、逆立ったナップ417を含まない外科手術用メッシュ415の一部に位置づけられる。しかしながら、ある実施形態において、図5に示されるもののように、ポリマーフィルム層520は、逆立ったナップ517を含む外科手術用メッシュ515の一部に位置づけられ得る。
【0063】
さらに他の実施形態において、図6に示されるもののように、医療デバイス610は、1つより多いポリマーフィルム層620aおよび620bを含み得る。もちろん、本明細書に注記されるように、少なくとも1種の治療剤が、移植の際のこの治療剤の送達のために、医療デバイス、ポリマーフィルム層およびこれらの組み合わせのいずれかに含まれ得る。
【0064】
本明細書中に記載される移植可能な基材およびポリマーフィルムは、個々の部品の任意の組み合わせを合わせることによって、形成され得る。例えば、グリセロールおよびカルボキシメチルセルロースを含有するポリマーフィルムは、溶液キャスティングにより調製され得、そして図1に示されるような三次元メッシュが、個々に編成され得る。これらのフィルムは、乾燥させられ得、そして適切なサイズに切断されるかまたは打ち抜かれ得、そして熱、圧縮、接着剤、および機械的噛み合いなどの任意の組み合わせによって、メッシュの表面に接続され得る。
【0065】
別の例において、ポリマーフィルム層と移植可能な基材とは、一緒に形成され得る。これらの移植可能な基材の表面は、これらのポリマーフィルム層と接触させられ得、その後、乾燥させられて、この基材をこのポリマーフィルム層に付着させる。
【0066】
なお別の例において、この基材とこれらの複数のポリマーフィルム層とは、モノリシックな構造体として、同時に形成され得る。
【0067】
本明細書中に記載される医療デバイスは、治療剤を身体内に送達するために使用され得る。これらの剤の送達は、即時であっても、ある時間にわたって持続されてもよい。ある実施形態において、このポリマーフィルム層は、優勢量のグリセロールと、少量の生体高分子(例えば、カルボキシメチルセルロースまたはコラーゲン)から、本質的になり得る。
【実施例】
【0068】
(実施例1〜8)
中程度粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)の2%ストック溶液2リットルを、40.0040グラムのCMCを脱イオン水と混合することにより調製した。このCMCを、磁気攪拌棒と一緒に2リットルの体積フラスコに入れ、そして磁気攪拌プレートに載せた。脱イオン水を、2%のCMCストック溶液が形成されるまでゆっくりと添加した。
【0069】
この2%のCMCストック溶液を様々な量のグリセロールシロップと混合して、以下の濃度比の8種の別々の100ml溶液を形成した:10:1(CMC:グリセロール);5:1(CMC:グリセロール);3:1(CMC:グリセロール);1:1(CMC:グリセロール);1:2(CMC:グリセロール);1:3(CMC:グリセロール);1:4(CMC:グリセロール);および100% CMC−グリセロールなし。
【0070】
次いで、これらの8種のCMC:グリセロール溶液の各々を、水平台上のシリコーンシート上に置いたシリコーン枠に注ぎ込んだ。これらのシリコーン枠の各々は、約0.5cmの厚さであり、そして約221cmの面積を覆った。シリコーン枠とシリコーンシートとの各々を台にクランプし、その後、CMC:グリセロール溶液を注いだ。これらの台を、室温に設定した対流オーブンに入れ、そして一晩放置して乾燥させ、フィルムを形成させた。
【0071】
これらの8種のCMC:グリセロールフィルムの各々を、図7〜図14に図示する。図7において、CMCのみを含んでグリセロールを含まないフィルムが示されている。このフィルムを、本明細書中で上に記載されるような2%のCMCストック溶液からキャスティングした。CMCのみからなる乾燥させたフィルムは、しわになり、そして平坦でも滑らかでもなかった。このフィルムは、もろく、可撓性がなく、そして曲げると割れたかまたは亀裂が入った。
【0072】
図8および図9において、それぞれ、CMC:グリセロールの10:1混合物から形成されたフィルム、およびCMC:グリセロールの5:1混合物から形成されたフィルムが示されている。CMCのみを含有するフィルムといくらか類似して、10:1のCMC:グリセロールおよび5:1のCMC:グリセロールフィルムは、乾燥すると、しわが寄った形態、または不均一な形態になった。より少量(すなわち、10重量%〜20重量%)のグリセロールは、10:1のCMC:グリセロールフィルムの可撓性を増強しないようであった。5:1のCMC:グリセロールフィルムはもろいままであったが、屈曲した場合に、さほど容易には亀裂を生じなかった。
【0073】
フィルムの滑らかさおよび可撓性は、より多量のグリセロールがフィルムに添加されるにつれて、改善された。図10および図11に示されるように、それぞれ、CMC:グリセロールの3:1混合物から作製されたフィルム、およびCMC:グリセロールの1:1混合物から作製されたフィルムは、さほどしわが寄らず、さほど不均一でもなかった。さらに、CMC:グリセロールの3:1混合物から作製されたフィルム、およびCMC:グリセロールの1:1混合物から作製されたフィルムの可撓性もまた、改善され、これらのフィルムが、取り扱いやすくなり、亀裂の可能性が低下した。
【0074】
図12、図13および図14において、CMC:グリセロールの1:2混合物から作製されたフィルム、CMC:グリセロールの1:3混合物から作製されたフィルム、およびCMC:グリセロールの1:4混合物から作製されたフィルムがそれぞれ示されている。優勢量のグリセロールを含有するフィルムは、CMCより少ない量のグリセロールを含むフィルムと比較して、しわが少ないフィルム、またはより平坦なフィルムを形成するようである。図11、図12、および図13の各々のフィルムの弾力性および可撓性は、さらなる量のグリセロールによってもまた改善される。さらに、より高濃度のグリセロールを含有するフィルムは、医療デバイス表面に付着させる際、または移植の際に身体組織に付着する際に、望ましくあり得る粘着性を示す。CMC:グリセロールの1:4混合物から形成されたフィルムは、折り畳まれた際のフィルムを自身に粘着させるため、および/またはシリコーンシートからの除去をより困難にするために充分な粘着性を示した。
【0075】
図7〜図14に図示されるような、種々の濃度のCMCおよびグリセロールから形成された8種のフィルムを、各々、2つの群(滅菌フィルムおよび非滅菌フィルム)に分類した。両方の群のフィルムを、粘着試験およびボールバースト試験に供した。
【0076】
この粘着試験において、サンプルフィルムを、両面テープを使用して厚紙片に固定した。サンプルホルダをこのフィルムの部分に重なるように配置して、これらのサンプルをさらに固定した。57R TAプローブ(Texture Technologies Corporation,Scarsdale,New York製)をロードセルに接続し、そしてこれらのフィルムサンプルを、1mm/秒の速度で接近させ、30gの力を5秒間加えた。これらのフィルムサンプルと接触させた後に、このプローブをこれらのフィルムサンプルから、10mm/秒の速度で引き離した。8つのサンプルフィルムの各群についての最大の引き離し力を記録した。
【0077】
これらの結果を図15および図16に示す。これらの図は、それぞれ、低い粘着力および高い粘着力を示す。これらのフィルムサンプルの粘着力は、グリセロールがフィルムの優勢量を占めるフィルムにおいて、増大する。
【0078】
このボールバースト試験において、サンプルフィルムをTA−108sゲルフィルム固定デバイス(Texture Technologies Corporation,Scarsdale,New York製)上に配置し、そして円形プレートを使用して適所に固定した。9mmの内径を有する座金を、このフィルムとこの円形プレートとの間に配置した。3mmの円形ボールプローブをロードセルに接続し、そして1mm/秒の速度で、圧縮方向に移動させた。8種のサンプルフィルムの各群の、バースト時の強度および伸びを記録した。
【0079】
これらの結果を図17および図18に示す。これらの図は、それぞれ、低いバースト力および高いバースト力を示す。留意され得るように、フィルムサンプルのバースト力は、グリセロールがフィルムの優勢量を占めるフィルムにおいて、増大する。さらに、バースト時のフィルムサンプルの各々の変位距離もまた記録した。それらの結果を図19に図示する。
【0080】
種々の改変が、本明細書中に開示される実施形態に対してなされ得ることが理解される。例えば、ある実施形態において、医療デバイスは、カニューレ、トロカールまたは腹腔鏡送達デバイスを介して身体内に送達される前に、巻かれ得る。別の例において、本明細書中に記載される医療デバイスは、任意の適切な滅菌プロセス(すなわち、γ放射線)および任意の適切な医療デバイス包装材料(すなわち、射出成形可能な医療デバイス包装材料)を使用して、滅菌および包装され得る。従って、当業者は、特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、他の改変を想定する。
【符号の説明】
【0081】
410、510、610 医療デバイス
415、515、615 基材、メッシュ
417、517 逆立ったナップ
420、520、620a、620b ポリマーフィルム層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリセロールと少なくとも1種の生体高分子との混合物から作製された少なくとも1つのポリマーフィルム層であって、該グリセロールおよび該少なくとも1種の生体高分子が、それぞれ約3:1〜約1:3の範囲の重量比を占める、少なくとも1つのポリマーフィルム層、
を備える、移植可能な医療デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1種の生体高分子が多糖類を含有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記多糖類が、セルロース、ヒアルロン酸、デキストラン、キチン、キトサン、アルギネート、フカン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記多糖類が、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、酸化セルロース、再生セルロース、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるセルロースを含有する、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記多糖類がカルボキシメチルセルロースを含有する、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記生体高分子がタンパク質を含有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記タンパク質が、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、エラスチン、ケラチン、トロンビン、フィブリン、アクチン、チューブリン、コラーゲン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記タンパク質がコラーゲンを含有する、請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記グリセロールおよび前記少なくとも1種の生体高分子が、約1:1の重量比を占める、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記グリセロールが、前記ポリマーフィルム層の優勢量を占める、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記ポリマーフィルム層が、少なくとも1種の治療剤を含有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1種の治療剤が、接着防止薬剤、抗菌薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、鎮痙薬(antiepileptics)、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、心臓血管薬剤、診断剤、交感神経様作用薬、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、鎮痙薬(antispasmodics)、ホルモン、増殖因子、成長因子、筋弛緩薬、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗腫瘍薬、免疫原性薬剤、免疫抑制薬、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類、血小板活性化薬、凝固因子、酵素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1種の治療剤が、ブピバカイン、シスプラチン、フルオロウラシル、メトトレキサート、カプサイシンおよびこれらの組み合わせを含有する、請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記ポリマーフィルム層が塩酸ブピバカインを含有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項15】
基材を有する医療デバイス、
該基材に取り付けられた少なくとも1つのポリマーフィルム層であって、該ポリマーフィルム層は、グリセロールと少なくとも1種の生体高分子との混合物から作製されており、該グリセロールおよび該少なくとも1種の生体高分子は、それぞれ約3:1〜約1:3の範囲の重量比を占める、少なくとも1つのポリマーフィルム層;ならびに
少なくとも1種の治療剤、
を備える、移植可能な医療デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1種の生体高分子が多糖類を含有する、請求項15に記載の医療デバイス。
【請求項17】
前記多糖類が、セルロース、ヒアルロン酸、デキストラン、キチン、キトサン、アルギネート、フカン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16に記載の医療デバイス。
【請求項18】
前記多糖類が、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、酸化セルロース、再生セルロース、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるセルロースを含有する、請求項16に記載の医療デバイス。
【請求項19】
前記多糖類がカルボキシメチルセルロースを含有する、請求項16に記載の医療デバイス。
【請求項20】
前記生体高分子がタンパク質を含有する、請求項15に記載の医療デバイス。
【請求項21】
前記タンパク質が、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、エラスチン、ケラチン、トロンビン、フィブリン、アクチン、チューブリン、コラーゲン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載の医療デバイス。
【請求項22】
前記タンパク質がコラーゲンを含有する、請求項20に記載の医療デバイス。
【請求項23】
前記グリセロールおよび前記少なくとも1種の生体高分子が、約1:1の重量比を占める、請求項15に記載の医療デバイス。
【請求項24】
前記グリセロールが、前記ポリマーフィルム層の優勢量を占める、請求項15に記載の医療デバイス。
【請求項25】
前記少なくとも1種の治療剤が、接着防止薬剤、抗菌薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、鎮痙薬(antiepileptics)、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、心臓血管薬剤、診断剤、交感神経様作用薬、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、鎮痙薬(antispasmodics)、ホルモン、増殖因子、成長因子、筋弛緩薬、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗腫瘍薬、免疫原性薬剤、免疫抑制薬、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類、血小板活性化薬、凝固因子、酵素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項15に記載の医療デバイス。
【請求項26】
前記少なくとも1種の治療剤が、ブピバカイン、シスプラチン、フルオロウラシル、メトトレキサート、カプサイシンおよびこれらの組み合わせを含有する、請求項15に記載の医療デバイス。
【請求項27】
前記少なくとも1つのポリマーフィルム層が塩酸ブピバカインを含有する、請求項15に記載の医療デバイス。
【請求項28】
治療剤を送達するためのシステムであって、
移植可能な医療デバイスであって、該移植可能な医療デバイスは、グリセロールと少なくとも1種の生体高分子との混合物から作製された少なくとも1つのポリマーフィルム層を有し、該グリセロールおよび該少なくとも1種の生体高分子は、それぞれ約3:1〜約1:3の範囲の重量比を占める、移植可能な医療デバイス;ならびに
該少なくとも1つのポリマーフィルム層に含有される少なくとも1種の治療剤、
を備える、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−75858(P2012−75858A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161080(P2011−161080)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】