説明

移植可能な器具

個体の体に移植されるように適合されたチャンバー(20)を備える装置(10)が提供され、このチャンバーは、機能細胞(30)及び偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含むクロロフィル-含有エレメント(32)を備える。別の態様も説明されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、PCT特許出願第PCT/IL 2001/00031の米国国内段階出願である、名称「移植可能な器具」の米国特許出願第10/466,069号の一部継続出願である、2004年11月30日に出願された米国特許出願第11/001,556号の優先権を請求するものである。これらの各出願は、本願明細書に参照として組入れられている。
【0002】
発明の技術分野
本発明は概して、移植可能な医療器具、具体的には生存細胞を含む移植可能な医療器具に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
酸素は、好気的代謝を含む、多くの生理的プロセス及び代謝プロセスにとって必須である。酸素不足は、細胞の損傷又は死滅に繋がることが多い。酸素は、線維芽細胞によるコラーゲン生成、血管新生、及び多形核細胞の機能を含む、創傷治癒における重要な役割を果たす。高気圧酸素療法は時には、通常の治療技法に反応しない症例において、創傷治癒のために使用される。
【0004】
いくつかの障害が、ホルモンのような1種又は複数の物質の低分泌により引き起こされる。例えば以下の細胞によるホルモンの低分泌は、障害を引き起こし得る:膵島細胞、肝細胞、甲状腺細胞、副甲状腺細胞、神経細胞、卵巣細胞、副腎細胞、腎皮質細胞、血管内皮細胞、胸腺細胞、卵巣細胞、及び精巣細胞。これらの障害は、糖尿病、パーキンソン病、アルツハイマー病、低血圧及び高血圧、甲状腺機能低下症、及び様々な肝障害を含む。例えばホルモンインスリンは、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞により生成される。正常な個体において、インスリン放出は、血中グルコースレベルを約70〜110mg/dlの範囲に維持するように調節される。糖尿病において、インスリンは、全く生成されない(I型糖尿病)か、又は体細胞が生成されたインスリンに適切に反応しない(II型糖尿病)かのいずれかである。その結果は、上昇した血中グルコースレベルである。
【0005】
ホルモンの低分泌から生じた障害は通常、ホルモン投与により治療される。しかし、多くのこれらの障害の理解及び治療の進歩にもかかわらず、外因性ホルモンで代謝を正確に調節することは不可能であることが多い。糖尿病は、例えば、血中グルコースレベルの1日数回の測定、その後のインスリン及びグルコースのレベルを許容範囲内とするための適量のインスリンの注射を必要とする。
【0006】
臓器移植は、免疫系による移植された臓器の拒絶反応を含む、いくつかの理由により、これらの障害のほとんどについて現在実行可能な治療法ではない。単離された細胞は、例えば、細胞のカプセル封入によるか、又は免疫抑制薬もしくは放射線療法の患者への適用によるなど、拒絶反応を予防するための患者又は細胞の処置と組合せて、体内に移植されることがある。
【0007】
VardiらのPCT国際公開公報第01/50983号、及びそれらの国内段階である米国特許出願第10/466,069号は、本出願の譲受人に譲渡されかつ本願明細書に参照として組入れられているが、これは、機能細胞を保持するチャンバー及び機能細胞へ酸素を提供する酸素発生装置を備える、移植可能な器具を開示している。ひとつの態様において、酸素発生装置は、光照射時に二酸化炭素を酸素へ転換する光合成細胞を含む。別の態様において、酸素発生装置は、電気分解により酸素を発生する電極を含む。
【0008】
Coltonらの米国特許第6,368,592号は、水を酸素及び水素へ電気分解する酸素発生装置により酸素を発生することにより、in vitro又はin vivoにおいて酸素を細胞へ供給する技術を開示しており、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。この酸素発生装置は、選択された成分がチャンバーへ侵入し及び排出されることを可能にする半透過性障壁層により境界が定められた免疫単離チャンバーのような、体内に移植するためのカプセル封入型チャンバー中に含まれた細胞へ酸素を供給するためにも使用することができる。生体活性分子は、これらの細胞と共に存在することができる。
【0009】
Giampapaの米国特許第5,443,508号は、移植可能な生物学的物質送達システムを開示しており、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。このシステムは、皮膚真皮の下側の皮下移植に適合されたポッドを含む。このポッドは、多孔質の表面を備え、及び多孔質表面との流路の中に存在する少なくとも1個の内部チャンバーを有する。このシステムは、チャンバーへ着脱可能に固定されるように適合されたドームを含む。このドームは、ポッドの内部との各流路中に、内部チャンバーを備える。移植前に、チャンバーには、ホルモン、酵素、生体反応修飾剤、フリーラジカル掃去剤、又は遺伝的に変更された細胞培養物などの、生体活性物質が負荷される。時間-放出型マイクロポンプは、増殖因子-刺激されたキャピラリーマトリックスへ、その後対象の血流へと、多孔質表面を通る伝達のために、これらの物質をポッドの内部チャンバーへポンプ排出する。その内容物が使い果たされた時又は医薬品の変更が医学的に必要な時には、ポッドは、取り外され、再充填され、ドームへ再固定されるか、又はドームへの注入により、現場で経皮的に再充填することができる。ポッドの表面は、1種もしくは複数の血管増殖因子又は関連した生物学的分子により処理されてもよい。
【0010】
Yangらの米国特許第5,614,378号は、生命の生態学的閉鎖系のための酸素生成のためのホトバイオリアクターシステムを開示しており、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。ホトバイオリアクターは、特に、人工肺において二酸化炭素を酸素へ転換するために有用であると説明されている。
【0011】
Clark, Jr.の米国特許第4,721,677号は、移植可能なバイオセンサ、並びに酸素の存在下で、グルコースのような被検体と酵素の間の酵素反応により生成された過酸化水素のような生成物を感知する方法を開示し、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。このバイオセンサには、酸素を含むための閉鎖チャンバーが装着され、この容器に隣接する動物組織から酸素を抽出するように適合することができる。このバイオセンサは、被検体の機能として利用される酵素反応から生成された生成物を光学的又は電気的に感知するようにデザインされている。
【0012】
MonzykらのPCT国際公開公報第03/011445号は、光分解性細胞、及びその光分解性細胞を組み込んだ光分解性人工肺を開示しており、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。
【0013】
KertzのPCT国際公開公報第90/15526号は、生存している有機物質の培養及び増殖のための覆い(integument)及び関連したプロセスを開示し、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。この覆いは、完全に封入され及び周囲環境中の生物学的夾雑物から培養物を密封するために、気体-透過性、液体-及び夾雑物-非透過性のメンブレンで作製された小胞(cellure)を含む。このメンブレンは、増強された成長を提供するための、生存している有機物質と周囲環境の間の気体交換及び夾雑の防止を可能にする。
【0014】
Wu Hらの論文「In situ electrochemical oxygen generation with an immunoisolation device」、Ann N Y Acad Sci 875:105-25 (1999)は、本願明細書に参照として組入れられているが、これは水を電気的に分解し、隣接する平面免疫障壁拡散チャンバーに酸素を提供する現場(in situ)での電気化学的酸素発生装置を説明している。In vitro培養実験は、チタン製管状器具内にカプセル封入されたβTC3細胞で実行された。現場での酸素発生を伴う又は伴わない細胞の増殖及び生存度が試験された。
【0015】
カプセル封入による生物学的物質の免疫保護法は、例えば米国特許第4,352,883号、第5,427,935号、第5,879,709号、第5,902,745号、及び第5,912,005号に開示されており、これらは全て本願明細書に参照として組入れられている。カプセル封入している物質は、典型的には、生体適合性でありかつ周囲細胞間で小型分子の拡散が可能であると同時に、免疫グロブリン及び免疫系の細胞からこれらの細胞が遮蔽されるように選択される。例えばカプセル封入されたβ細胞は、静脈に注入される(その場合、これらは事実上肝臓に貯留され始める)か、又は皮膚下、腹腔内、又は他の位置に包埋される。しかし移植された細胞の回りの線維性過増殖は、次第に細胞とそれらの周囲の間の物質交換を損なう。細胞の低酸素症は、典型的には細胞死につながる。
【0016】
Antanavichらの米国特許第5,855,613号は、アルギン酸ゲルの薄いシート中の細胞の包埋、その後の体内の移植を開示し、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。
【0017】
Usalaの米国特許第5,834,005号は、体内に移植されるチャンバー内に配置された免疫単離細胞を開示し、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。このチャンバーにおいて、これらの細胞は、細胞から分泌されたグルコース、酸素、及びホルモンのような小型分子に対し膜透過性であるが、細胞及び抗体に対し非透過性であるメンブレンにより、免疫系から遮蔽される。
【0018】
Paltiの米国特許第5,101,814号は、グルコース-感受性細胞を体内へ移植し、及びグルコースレベルと相関した細胞の光学又は電気特性をモニタリングするためのチャンバーの使用を開示している。
【0019】
Paltiの米国特許第6,091,974号及び第5,529,066号は、細胞により発生した電気シグナルの検出能を向上するために、移植可能な細胞をカプセル封入するためのカプセルを開示し、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。このカプセルは、低-伝導度(高電気抵抗)のメンブレン及び半-透過性(低電気抵抗)のメンブレンを含む。低-伝導度のメンブレンは、カプセルの電極間の細胞塊の周囲を封止し、更に電極間の電気抵抗を増加するように伸びる。半透過性メンブレンは、栄養素及び廃棄物が細胞塊へ及びそこから流れることを可能にする。半-透過性メンブレンは、細胞塊の少なくとも1個の電極を取り囲み、低-伝導度メンブレンと協力し、細胞塊を完全に封入する。低-伝導度メンブレンは、望ましいならば、電極の1個を封入することができる。電極は、細胞塊から電気シグナルを検出するために使用される。
【0020】
Ashらの米国特許第4,402,694号は、ホルモンを患者へ供給するための、体腔アクセス器具を開示し、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。この器具は、体内に配置され、並びに非透過性の体外セグメント及び半透過性皮下セグメントを有する移植可能なハウジングを備えている。次に膵島細胞などの生存しているホルモン-産生細胞のような、ホルモン給源が、ハウジング内に可撤性に配置され、ホルモン供給を患者へ提供する。センサは、皮下セグメント内に配置し、並びにハウジングへと及び患者に医薬品を放出するディスペンサーと機能的に関連することができる。
【0021】
Aebischerらの米国特許第5,011,472号は、活性因子を対象へ、場合によっては、対象の特定の解剖学的領域へ構成的に送達するための、ハイブリッドコジュラーシステムを提供する技術を開示し、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。これらのシステムは、活性物質を分泌することが可能である生存細胞を含む細胞貯蔵庫を備え、これは好ましくは対象の体内に移植するように適合され、更に少なくとも1個の半透過性メンブレンを備え、これにより移植された細胞は、メンブレンを超えて輸送された栄養素により栄養分が与えられると同時に、免疫学的、細菌学的及びウイルス学的攻撃から保護される。これらのシステムは更に、対象から体液を細胞貯蔵庫へ引き出すため、及び分泌された生物学的因子を細胞貯蔵庫から対象の分泌領域へ能動的に輸送するために、移植可能であるか又は体外にあることができるポンプ手段を備える。
【0022】
Chickらの米国特許第5,116,494号は、人工膵臓として役立つ器具を開示し、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。この器具は、ハウジング中に封入されたランゲルハンス島により取り囲まれた中空ファイバーを備える。これらの島は、約45℃未満の温度で島を支持するのに十分に粘性であり、及び約45℃以上の温度で島浮遊液の除去を可能にするよう十分に流体である、温度感受性マトリックス中に浮遊されている。温かさ(例えば、48℃〜50℃溶液)は、この器具を通りフラッシュされ、半-固形状態から液状化された半-ゲル状態へ温度感受性マトリックスの物理的状態を変更する。温度感受性支持材料は、in vitro培養物中での島細胞の長期維持が可能であると説明されている。
【0023】
Mullonらの米国特許第5,741,334号は、多孔度約25Kd〜約200Kdの範囲を有する中空繊維を含む、人工膵臓灌流装置を開示し、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。中空繊維は、血液を受け取るために血管に連結された一端、及び血液を戻すために血管に連結された第二端を有する。ランゲルハンス島は、中空繊維を取り囲んでいる。中空繊維及び島は、免疫反応性物質から島及び宿主を保護するのに十分に小さい細孔サイズを有する半透過性メンブレンを備えるハウジングにより取り囲まれている。
【0024】
Struthersらの米国特許第5,702,444号は、互いに単離され間隔をあけた関係で内分泌腺膵島の多様性を支持する、軟質のプラスチック製の生体適合性の多孔性加水分解可能な材料の反応体、並びにその中の膵島から間隔をあけた関係で及び分子量60,000ダルトン以上を有する分子はそれを透過することができない、体を取り囲みかつ支持する微小孔性の障壁膜を備える、移植可能な人工内分泌腺膵臓を開示し、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。
【0025】
Frakerらの米国特許第6,630,154号は、少なくとも1種のグリコサミノグリカン、例えばCIS、少なくとも1種の過フッ素化された物質及び少なくとも1種のアルギン酸塩、例えばアルギン酸ナトリウムを含有する組成物を開示し、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。
【0026】
Yonedaらの米国特許出願第2004/0109302号は、白色光又は二色光を放出する発光ダイオードを使用する、2マイクロ秒〜1ミリ秒の期間及び時比率(duty ratio)が20%〜70%のパルス光の照射で、植物を栽培することを含む、植物栽培法を開示し、この出願は本願明細書に参照として組入れられている。
【0027】
Jordanの米国特許第5,381,075号は、藻類の成長を増強するために浸漬されたフラッシュ光システムを駆動する方法を開示し、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。フラッシュ光システムは、藻類を照射するように配列された複数の光源エレメントを含む。光源エレメントのバンク(bank)を形成するために、光源エレメントは、電気的に連結されている。電力は、規則的間隔で、予め決められた配列で光源の各バンクに供給され、光源エレメントの各バンクに一連の電力パルスを実質的に均等に供給する一方で、電力源へは実質的に連続負荷を維持する。電力パルスは、方形パルスの実質的に半分のサイクルである。
【発明の開示】
【0028】
発明の概要
本発明の一部の態様において、装置は、対象の体へ移植されるように適合されているチャンバーを備え、このチャンバーは、機能細胞の1種又は複数の型及びクロロフィル-含有エレメントを備える。典型的には、クロロフィル-含有エレメントは、無傷の光合成細胞(例えば、単細胞もしくは多細胞藻類の光合成細胞)及び/又は単離された葉緑体を含む。クロロフィル-含有エレメントは、酸素を、機能細胞へ提供するか、及び/又は機能細胞により生成された二酸化炭素を消費する。チャンバーは、細胞により生成又は分泌された栄養素及び物質を透過するように適合された、1個又は複数の壁を有する。これらの壁は、典型的には細胞を、体の構成要素から免疫単離もする。一部の適用に関して、チャンバーは、対象の皮膚の下側、又は腹膜内に移植されるように適合される。一部の適用に関して、チャンバーは、プリズム、細長い管状エレメント、ウエハー、球、又は特定の適用に適した別の形状である。
【0029】
本発明の一部の態様において、これらの装置は更に、光をクロロフィル-含有エレメントへ提供するように適合された光源を備える。一部の適用について、装置は更に、光を提供するために光源を駆動するよう適合されるコントロールユニットを備える。一部の態様において、コントロールユニットは、一連のパルスで光を提供するために光源を駆動するよう構成される。一部の適用について、コントロールユニットは、機能細胞及び/又はクロロフィル-含有エレメントの1種又は複数の感知したパラメータに反応性のパルスの1個又は複数のパラメータを調節する。例えばチャンバーは、機能細胞の近傍及び/又はクロロフィル-含有エレメントの近傍に酸素濃度を検出する酸素センサを備えてもよい。連続パルスでの光の提供は一般に、装置の電力消費を低下し、及び/又はクロロフィル-含有エレメントにより生成された酸素量の制御を提供し、及び/又はクロロフィル-含有エレメントにより消費される二酸化炭素量の制御を提供する。
【0030】
本発明の一部の態様において、チャンバーは、例えば貯蔵庫の近傍の酸素濃度に反応するような、酸素を貯蔵及び放出する物質を典型的には含む酸素貯蔵庫を備える。酸素貯蔵庫は典型的には、機能細胞のその時(current)必要なものを超えるクロロフィル-含有エレメントにより生成された酸素を貯蔵し、並びに不充分な酸素がクロロフィル-含有エレメントにより遅れて生成される場合に、貯蔵された酸素を放出する。
【0031】
必ずしもではないが、一部の適用において、クロロフィル-含有エレメントは、偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含む。「特許請求の範囲」を含む、本願明細書において使用される偏性光独立栄養生物は、本願明細書に説明された装置の通常の使用条件下で、実質的に光合成によってのみエネルギーを生成し、及び周囲の環境内の有機物質をエネルギー源として実質的に使用することができない生物である。結果として、そのような偏性光独立栄養生物は、暗所においては、有機培地において成長することが実質的にできない(例えばSmith AJ, 「Acetate assimilation by Nitrobacter agilis in relation to its ‘obligate autotrophy’」、Journal of Bacteriology, 95:844-855 (1968)を参照し、この論文は本願明細書に参照として組入れられている)。適当な偏性光独立栄養生物は、シアノバクテリア(正式にはブルーグリーンアルジーと称される)、例えばシネコッカス(Synechococcus)、ある種のチオバチルス(Thiobacilli)、及びクロロビウム(Chlorobium)属の細菌を含むが、これらに限定されるものではない。
あるいは又は加えて、クロロフィル-含有エレメントは、単細胞藻類のクロロフィル、又は他の独立栄養細胞もしくは混合栄養細胞もしくは任意光合成細胞のクロロフィルを含有する。
【0032】
典型的には、チャンバーは、クロロフィル-含有エレメントと混合された機能細胞を保持するように適合される。あるいはチャンバーは、2種又はそれよりも多いコンパートメントを備え、その一部は機能細胞を保持し、その別のものはクロロフィル-含有エレメントを保持する。一部の適用に関して、機能細胞及び/又はクロロフィル-含有エレメントは、チャンバー内の液体培地又はマトリックスの中に分配される。あるいは又は加えて、機能細胞及び/又はクロロフィル-含有エレメントは、チャンバーの1個又は複数の壁のような、基板と連結される。
【0033】
本発明の一部の態様において、機能細胞は、β細胞、α細胞、他の膵島細胞、肝臓細胞、神経細胞、腎皮質細胞、血管内皮細胞、甲状腺細胞、副甲状腺細胞、副腎細胞、胸腺細胞、卵巣細胞、及び/又は精巣細胞を含む。
【0034】
本発明の一部の態様において、装置は、以下のために、構成される:
・例えばホルモン又は神経伝達物質のような、細胞により分泌される有益な物質の不充分な供給を生じる、機能細胞の天然の集団の不足もしくは欠乏により、又はそのような細胞の低下した有効性により特徴付けられた状態の治療のため。チャンバー内に保持された機能細胞は、有益な物質を分泌する。例えば、機能細胞は、β細胞を含むことができ、装置は、I型又はII型糖尿病を治療するように構成することができる。
・細胞による物質(例えば毒物)の不充分な取り込み、吸収、及び/又は分解を生じる、機能細胞の天然の集団の不足もしくは欠乏により、又はそのような細胞の低下した有効性により特徴付けられた状態の治療のため。例えば、機能細胞は、肝臓細胞を含むことができ、装置は、様々な毒物を取り込むために構成することができる。
・それに対し機能細胞が感度がある体の構成要素のレベルを感知するため。装置は、一般に構成要素のレベルと相関している機能細胞及び/又はクロロフィル- 含有エレメントの特性をモニタリングすることにより、構成要素を感知するように、構成される。例えば装置は、クロロフィル-含有エレメントにより生成された酸素レベルをモニタリングすることができる。あるいは又は加えて、装置は、前述の米国特許第5,101,814号に開示されたように、グルコースのような構成要素を検出するために、機能細胞の電気又は光学特性をモニタリングする技術を使用するように適合される。一部の適用に関して、機能細胞は、β細胞を含み、装置は、β細胞の活性を直接又は間接にモニタリングすることにより、グルコースレベルを感知するように構成される。
【0035】
本発明の一部の態様において、装置は、機能細胞を保持するよう、及び対象の体の皮膚の下側に移植されるように適合されたチャンバー、及び皮膚の近傍の体の外側に配置されるように適合された酸素発生装置を備える。
【0036】
従って、本発明の態様に従い、個体の体に移植されるように適合されたチャンバーを備える装置であり、このチャンバーが:
機能細胞;及び
偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含む、クロロフィル-含有エレメント;を備える、装置が提供される。
【0037】
一部の適用に関して、機能細胞は、単独の細胞型を含む。あるいは、機能細胞は、複数の細胞型を含む。
一部の適用に関して、クロロフィル-含有エレメントは、単細胞偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含む。あるいは又は加えて、クロロフィル-含有エレメントは、多細胞偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含む。
【0038】
一部の適用に関して、クロロフィル-含有エレメントは、クロロフィル-含有エレメントにより酸素を機能細胞へ提供することを促進する様式で、機能細胞近傍に配置される。あるいは又は加えて、クロロフィル-含有エレメントは、機能細胞により生成された二酸化炭素のクロロフィル-含有エレメントによる消費を促進する様式で、機能細胞の近傍に配置される。
【0039】
一部の適用に関して、機能細胞は、クロロフィル-含有エレメントと混合される。一部の適用に関して、機能細胞は、クロロフィル-含有エレメントから免疫単離されない。
【0040】
一部の適用に関して、チャンバーは、その中に機能細胞が分散されている液体培地を含む。一部の適用に関して、チャンバーは、その中に機能細胞が分散されているマトリックスを含む。一部の適用に関して、チャンバーは、それに機能細胞が付着されている基板を含む。
【0041】
一部の適用に関して、チャンバーは、機能細胞を体の構成要素から免疫単離するように適合された、1個又は複数の壁を備える。
一部の適用に関して、チャンバーは、体内に皮下移植されるように適合されている。あるいは、チャンバーは、体の腹膜内に移植されるように適合されている。
【0042】
一部の適用に関して、チャンバーは、その中に機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントが包埋されているゲルマトリックスを含む。
一部の適用に関して、クロロフィル-含有エレメントは、遺伝子操作された偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含む。
【0043】
一部の適用に関して、チャンバーは、プリズム型である。一部の適用に関して、チャンバーは、酸素貯蔵庫を備える。一部の適用に関して、装置は、充電式電池を備える。一部の適用に関して、チャンバーは、血管増殖因子により被覆されている。
【0044】
一部の適用に関して、偏性光独立栄養生物は、チオバチルス属の細菌を含む。あるいは又は加えて、偏性光独立栄養生物は、クロロビウム属の細菌を含む。更にあるいは又は加えて、偏性光独立栄養生物は、シアノバクテリアを含む。一部の適用に関して、シアノバクテリアは、シネコッカス属のシアノバクテリアを含む。
【0045】
一部の適用に関して、クロロフィル-含有エレメントの少なくとも一部は、偏性光独立栄養生物の無傷の細胞を含む。一部の適用に関して、チャンバーは、10,000〜600,000個の膵島を含む。あるいは、チャンバーは、10,000個よりも少ない膵島を含む。
【0046】
一部の適用に関して、チャンバーは、機能細胞をクロロフィル-含有エレメントから分離するように構成された、メンブレンを備える。一部の適用に関して、メンブレンは、気体がそれを通過することができるように構成されている。
【0047】
ある態様において、装置は、クロロフィル-含有エレメントへ光を提供するように構成された光源を備える。一部の適用に関して、装置は一連のパルスで光を提供するために光源を駆動するよう適合されたコントロールユニットを備える。あるいは又は加えて、装置は、交互の「オン」及び「オフ」期間、断続的に光を提供するために光源を駆動するよう適合されたコントロールユニットを備える。
【0048】
一部の適用に関して、装置は、光源により提供される光のレベルを制御することにより、クロロフィル-含有エレメントにより提供される酸素のレベルを制御するように適合されたコントロールユニットを備える。一部の適用に関して、光源は、チャンバーへ物理的に連結されている。あるいは、光源は、チャンバーの近傍で体内に移植されるように構成されている。更にあるいは、光源は、チャンバーの近傍で体外に配置されるように構成されている。
【0049】
ある態様において、機能細胞は、物質を放出することが可能であり、及びチャンバーは、この物質に対し透過性であり及び機能細胞に対し実質的に非透過性である1個又は複数の壁を備え、その結果この物質は体へ放出される。一部の適用に関して、機能細胞は、膵島細胞、肝細胞、甲状腺細胞、副甲状腺細胞、神経細胞、卵巣細胞、副腎細胞、腎皮質細胞、血管内皮細胞、胸腺細胞、卵巣細胞、精巣細胞、遺伝子操作された細胞、クローン細胞、及び幹細胞からなるリストより選択される。あるいは、機能細胞は、膵β細胞を含む。一部の適用に関して、チャンバーは、1000万〜60000万個のβ細胞を含む。あるいは、チャンバーは、1000万個よりも少ないβ細胞を含む。
【0050】
一部の適用に関して、チャンバーは、β細胞を含む膵島を含む。一部の適用に関して、チャンバーは、10,000〜600,000個の島を含む。あるいは、チャンバーは、10,000個よりも少ない島を含む。
【0051】
ある態様において、機能細胞は、体からの物質の吸収、及び体からの物質の分解からなるリストより選択される作用の少なくとも1種を実行することが可能である。一部の適用に関して、機能細胞は、肝臓細胞を含む。
【0052】
ある態様において、装置は、機能細胞近傍の酸素濃度を決定するための酸素センサを備える。一部の適用に関して、装置は、機能細胞近傍の酸素濃度が、第一の閾値を下回る場合に、クロロフィル-含有エレメントを活動化し、及び機能細胞近傍の酸素濃度が、第二の閾値を上回る場合に、クロロフィル-含有エレメントを不活動化するように構成されたコントロールユニットを備える。一部の適用に関して、装置は、光源を備え、及びコントロールユニットは、光源により発生された光のレベルを制御することにより、クロロフィル-含有エレメントにより提供される酸素のレベルを制御するように適合されている。一部の適用に関して、第一の閾値は、30〜50mmHgであり、及び第二の閾値は、80〜100mmHgである。
【0053】
一部の適用に関して、装置は、それに対し機能細胞が感度がある物質の体内レベルの指標を決定するために適合されたコントロールユニットを備える。一部の適用に関して、コントロールユニットは、機能細胞の特性、及びクロロフィル-含有エレメントの特性からなるリストより選択される特性をモニタリングすることにより、指標を決定するように適合されている。一部の適用に関して、機能細胞の特性は、機能細胞の電気特性であり、及びコントロールユニットは、機能細胞の電気特性をモニタリングするように適合されている。あるいは、機能細胞の特性は、機能細胞の光学特性を含み、及びコントロールユニットは、機能細胞の光学特性をモニタリングするように適合されている。一部の適用に関して、物質は、グルコースを含み、及びコントロールユニットは、グルコースレベルの指標を決定するように適合されている。一部の適用に関して、機能細胞は、膵β細胞を含む。
【0054】
本発明の態様に従い、機能細胞を使用する装置も提供され、この装置は、個体の体内に移植されるよう、及び機能細胞を保持するように適合されたチャンバーを備え、このチャンバーは、偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含むクロロフィル-含有エレメントを備える。
一部の適用に関して、機能細胞は、個体の自家機能細胞を含み、及びチャンバーは、自家機能細胞を保持するように適合されている。
【0055】
本発明の態様に従い、
個体の体内に移植されるように適合されている、チャンバーであり、機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントを備える、チャンバー;
クロロフィル-含有エレメントへ光を提供するように構成された、光源;並びに
一連のパルスで光を提供するために光源を駆動するように適合された、コントロールユニット;を備える装置が、更に提供される。
【0056】
一部の適用に関して、クロロフィル-含有エレメントは、藻類細胞のクロロフィルを含む。あるいは又は加えて、クロロフィル-含有エレメントは、偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含む。
【0057】
一部の適用に関して、コントロールユニットは、各パルスが50〜1000ナノ秒の持続期間を有するように構成するように適合されている。あるいは、コントロールユニットは、各パルスが1〜5000マイクロ秒の持続期間を有するように構成するように適合されている。
【0058】
一部の適用に関して、コントロールユニットは、5000〜10,000ナノ秒の持続期間を有する期間連続パルス間に光の適用を控えるために光源を駆動するように適合されている。
【0059】
一部の適用に関して、コントロールユニットは、700〜900ナノ秒の持続期間を有するよう各パルスを構成し、及び4000〜6000ナノ秒間の持続期間を有する期間連続パルス間に光の適用を控えるために光源を駆動するよう適合されている。
【0060】
一部の適用に関して、光源は、1個又は複数のLEDを備える。
一部の適用に関して、光源は、チャンバーに物理的に連結されている。あるいは、光源は、チャンバーの近傍で体内に移植されるように構成されている。更にあるいは、光源は、チャンバーの近傍で体外に配置されるように構成されている。
【0061】
一部の適用に関して、クロロフィル-含有エレメントは、機能細胞により生成された二酸化炭素のクロロフィル-含有エレメントによる消費を促進する様式で、機能細胞の近傍に配置されている。
一部の適用に関して、機能細胞が、クロロフィル-含有エレメントと混合されている。
【0062】
一部の適用に関して、チャンバーは、その中に機能細胞が分散されているマトリックスを備える。一部の適用に関して、チャンバーは、その中に機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントが包埋されたゲルマトリックスを含む。
一部の適用に関して、チャンバーは、血管増殖因子で被覆されている。
【0063】
一部の適用に関して、クロロフィル-含有エレメントの少なくとも一部は、無傷の光合成細胞を含む。あるいは又は加えて、クロロフィル-含有エレメントの少なくとも一部は、単離された葉緑体を含む。
【0064】
一部の適用に関して、光源は、波長400〜800nm、例えば630〜670nmの光を提供するように構成されている。
一部の適用に関して、コントロールユニットは、少なくとも24時間の持続期間を有する期間の90%未満、例えばその期間の50%未満、例えばその期間の10%未満の間、光を提供するように適合されている。
【0065】
ある態様において、コントロールユニットは、交互の「オン」及び「オフ」期間に断続的に光を提供するために光源を駆動するよう適合されている。一部の適用に関して、各「オン」期間は、0.5分〜5分の持続期間を有する。あるいは、各「オン」期間は、5分〜5時間の持続期間を有する。一部の適用に関して、各「オフ」期間は、0.5分〜5分の持続期間を有する。あるいは、各「オフ」期間は、5分〜5時間の持続期間を有する。
【0066】
一部の適用に関して、各「オン」期間は、各「オフ」期間の持続期間の10%〜1000%、例えば各「オフ」期間の持続期間の50%〜2000%と等しい持続期間を有する。
ある態様において、チャンバーは、酸素貯蔵庫を備える。一部の適用に関して、コントロールユニットは、酸素貯蔵庫の酸素貯蔵特性の少なくとも1種に反応性のパルスの少なくとも1種のパラメータを設定するように適合されている。
【0067】
一部の適用に関して、コントロールユニットは、機能細胞の感知したパラメータ、及びクロロフィル-含有エレメントの感知したパラメータのリストより選択される少なくとも1種の感知したパラメータに反応性のパルスの少なくとも1種のパラメータを設定するよう適合されている。一部の適用に関して、装置は、チャンバー内の酸素濃度を決定するための酸素センサを備え、少なくとも1種の感知したパラメータは、酸素濃度を含み、及びコントロールユニットは、酸素濃度に反応性のパルスの少なくとも1種のパラメータを設定するように適合されている。
【0068】
ある態様において、クロロフィル-含有エレメントは、クロロフィル-含有エレメントにより機能細胞へ酸素を提供することを促進する様式で、機能細胞の近傍に配置されている。一部の適用に関して、コントロールユニットは、パルスの少なくとも1種のパラメータを設定することにより、クロロフィル-含有エレメントにより提供される酸素レベルを制御するように適合されている。
【0069】
ある態様において、機能細胞は、物質を放出することが可能であり、及びチャンバーは、物質に対し透過性であり、及び機能細胞に対し実質的に非透過性である1個又は複数の壁を備え、その結果物質は体へ放出される。一部の適用に関して、機能細胞は、膵島細胞、肝細胞、甲状腺細胞、副甲状腺細胞、神経細胞、卵巣細胞、副腎細胞、腎皮質細胞、血管内皮細胞、胸腺細胞、卵巣細胞、精巣細胞、遺伝子操作された細胞、クローン細胞、及び幹細胞からなるリストより選択される。あるいは、機能細胞は、膵β細胞を含む。
【0070】
ある態様において、機能細胞は、体からの物質の吸収、及び体からの物質の分解からなるリストより選択される少なくとも1種の作用を実行することが可能である。一部の適用に関して、機能細胞は、肝臓細胞を含む。
【0071】
一部の適用に関して、コントロールユニットは、それに対し機能細胞が感受性がある物質の体内レベルの指標を決定するように適合されている。一部の適用に関して、コントロールユニットは、機能細胞の特性、及びクロロフィル-含有エレメントの特性からなるリストより選択される特性をモニタリングすることにより、指標を決定するように適合されている。一部の適用に関して、物質は、グルコースを含み、ここでコントロールユニットは、グルコースレベルの指標を決定するように適合されている。一部の適用に関して、機能細胞は、膵β細胞を含む。
【0072】
本発明の態様に従い、機能細胞と共に使用するための装置が、追加的に提供され、この装置は:
個体の体内に移植されるよう、及び機能細胞を保持するように適合されている、チャンバーであり、クロロフィル-含有エレメントを備える、チャンバー;
クロロフィル-含有エレメントへ光を提供するように構成された、光源;並びに
一連のパルスで光を提供するために光源を駆動するように適合された、コントロールユニット;を備える。
【0073】
本発明の態様に従い、個体の体内に移植されるように適合されたチャンバーを備える装置が、更に追加的に提供され、このチャンバーは:
機能細胞;
クロロフィル-含有エレメント;及び
酸素貯蔵庫;を備える。
【0074】
一部の適用に関して、クロロフィル-含有エレメントの少なくとも一部は、無傷の光合成細胞を含む。あるいは又は加えて、クロロフィル-含有エレメントの少なくとも一部は、単離された葉緑体を含む。一部の適用に関して、クロロフィル-含有エレメントは、藻類細胞のクロロフィルを含む。一部の適用に関して、クロロフィル-含有エレメントは、偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含む。
【0075】
一部の適用に関して、機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントの少なくとも1種は、酸素貯蔵庫内に含まれる。
一部の適用に関して、チャンバーは、血管増殖因子で被覆されている。
【0076】
一部の適用に関して、酸素貯蔵庫は、ペルフルオロカーボン化合物を含む。あるいは又は加えて、酸素貯蔵庫は、ヘモグロビンを含む。更にあるいは又は加えて、酸素貯蔵庫は、シリコーンを含む。
【0077】
一部の適用に関して、酸素貯蔵庫は、水-ベースの材料を含む。一部の適用に関して、水-ベースの材料は、例えばアルギン酸塩及び/又はアガロースのような、ヒドロゲルを含む。
【0078】
一部の適用に関して、酸素貯蔵庫は、ゲルマトリックスを含む。一部の適用に関して、機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントは、ゲルマトリックスに包埋されている。
【0079】
一部の適用に関して、装置は、クロロフィル-含有エレメントへ光を提供するよう構成された、光源;及び、一連のパルスで光を提供するために光源を駆動するように適合された、コントロールユニット;を備える。一部の適用に関して、コントロールユニットは、酸素貯蔵庫の少なくとも1種の酸素貯蔵特性に反応性のパルスの少なくとも1種のパラメータを設定するように適合されている。
【0080】
更に加えて、本発明の態様に従い、機能細胞と共に使用する装置が提供され、この装置は、個体の体内に移植されるよう、及び機能細胞を保持するように適合されたチャンバーを備え、このチャンバーは:
クロロフィル-含有エレメント;及び、
酸素貯蔵庫;を備える。
【0081】
より更に本発明の態様に従い、
個体の体内に皮下移植されるのに適合されたチャンバーであり、機能細胞を含むチャンバー;及び
皮膚近傍で体外に配置されるよう、及び皮膚を通り機能細胞へ酸素を運搬するように適合された、酸素発生装置;を備える、装置が提供される。
【0082】
一部の適用に関して、酸素発生装置は、皮膚に対して直接配置されるように適合されている。
一部の適用に関して、装置は、それを通じた酸素拡散を増強する様式で皮膚を処置するように適合された処置ユニットを備える。
【0083】
一部の適用に関して、酸素発生装置は、酸素を発生するために電気分解を利用するように適合されている。
一部の適用に関して、チャンバーは、血管増殖因子で被覆されている。
一部の適用に関して、酸素発生装置は、皮膚の1mm〜15mm以内に配置されるように適合されている。一部の適用に関して、酸素発生装置は、皮膚の10mm以内に配置されるように適合されている。
【0084】
一部の適用に関して、装置は、酸素発生装置を活動化又は不活動化するように適合されたコントロールユニットを備える。一部の適用に関して、コントロールユニットは、機能細胞近傍の酸素濃度が、第一の閾値を下回る場合に、酸素発生装置を活動化させ、及び機能細胞近傍の酸素濃度が、第二の閾値を上回る場合に、酸素発生装置を不活動化させるように構成されている。
【0085】
ある態様において、機能細胞は、物質を放出することが可能であり、及びチャンバーは、物質に対し透過性であり及び機能細胞に対し実質的に非透過性である1個又は複数の壁を備え、その結果物質が体へ放出される。一部の適用に関して、機能細胞は、膵島細胞、肝細胞、甲状腺細胞、副甲状腺細胞、神経細胞、卵巣細胞、副腎細胞、腎皮質細胞、血管内皮細胞、胸腺細胞、卵巣細胞、精巣細胞、遺伝子操作された細胞、クローン細胞、及び幹細胞からなるリストより選択される。あるいは、機能細胞は、膵β細胞を含む。
【0086】
ある態様において、機能細胞は、体からの物質の吸収、及び体からの物質の分解からなるリストより選択される作用の少なくとも1種を実行することが可能である。一部の適用に関して、機能細胞は、肝臓細胞を含む。
【0087】
一部の適用に関して、装置は、それに対し機能細胞が感受性のある物質の体内レベルの指標を決定するように適合されているコントロールユニットを備える。一部の適用に関して、コントロールユニットは、機能細胞の特性をモニタリングすることにより、指標を決定するように適合されている。
【0088】
一部の適用に関して、物質は、グルコースを含み、及びコントロールユニットは、グルコースレベルの指標を決定するように適合されている。一部の適用に関して、機能細胞は、膵β細胞を含む。
【0089】
本発明の態様に従い、機能細胞と共に使用する装置が提供され、この装置は:
個体の体内に皮下移植されるよう、及び機能細胞を保持するように適合されている、チャンバー;及び
皮膚近傍に体外に配置されるよう、及び機能細胞へ皮膚を通して酸素を運搬するように適合された、酸素発生装置;を備える。
【0090】
本発明の態様に従い、個体の体内に移植されるように適合されたチャンバーを備える装置が更に提供され、このチャンバーは:
機能細胞;
クロロフィル-含有エレメント;並びに
(a)機能細胞、及び(b)体液の少なくともひとつからクロロフィル-含有エレメントを分離するために構成された、気体-透過性、液体-非透過性のメンブレン;を備える。
【0091】
一部の適用に関して、メンブレンは、機能細胞からクロロフィル-含有エレメントを分離するように構成されている。あるいは又は加えて、メンブレンは、体液からクロロフィル-含有エレメントを分離するように構成されている。あるいは、メンブレンは、クロロフィル-含有エレメントを、機能細胞及び体液から分離するように構成される。
【0092】
一部の適用に関して、クロロフィル-含有エレメントは、藻類細胞のクロロフィルを含む。
一部の適用に関して、チャンバーは、酸素貯蔵庫を備える。
【0093】
ある態様において、機能細胞は、物質を放出することが可能であり、及びチャンバーは、物質に対し透過性であり及び機能細胞に対し実質的に非透過性である1個又は複数の壁を備え、その結果物質が体に放出される。
【0094】
ある態様において、機能細胞は、体からの物質の吸収、及び体からの物質の分解からなるリストより選択される作用の少なくとも1種を実行することが可能である。
【0095】
ある態様において、装置は、クロロフィル-含有エレメントへ光を提供するように構成された、光源を備える。一部の適用に関して、装置は、一連のパルスで光を提供するために光源を駆動するように適合された、コントロールユニットを備える。あるいは又は加えて、装置は、交互の「オン」及び「オフ」期間に断続的に光を提供するために光源を駆動するよう適合されている、コントロールユニットを備える。
【0096】
本発明の態様に従い、個体の体内へ、機能細胞及び偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含むクロロフィル-含有エレメントを保持するチャンバーを移植することを含む方法が、より更に提供される。
【0097】
本発明の態様に従い、個体の体内へ移植するように適合されたチャンバーへ、機能細胞及び偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含むクロロフィル-含有エレメントを負荷することを含む方法も提供される。
【0098】
本発明の態様に従い、個体の体内へ、機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントを保持するチャンバーを移植すること;並びに
一連のパルスで光を、クロロフィル-含有エレメントへ提供すること;を含む方法が更に提供される。
本発明の態様に従い、酸素貯蔵庫を備え、並びに機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントを保持するチャンバーを、個体の体内に移植することを含む方法が提供される。
【0099】
本発明の態様に従い、個体の体内へ、機能細胞を保持するチャンバーを皮下移植すること;
体外で酸素を生成すること;及び
酸素を皮膚を通じ機能細胞へ運搬すること;を含む方法が、追加的に提供される。
【0100】
本発明の態様に従い、機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントをチャンバー内に配置すること;
気体-透過性、液体-非透過性のメンブレンを使用し、クロロフィル-含有エレメントを、(a)機能細胞、及び(b)体液の少なくとも1種から分離すること;並びに
チャンバーを個体の体内へ移植すること;を含む方法が更に追加的に提供される。
【0101】
本発明は、図面を参照し、それらの態様の以下の詳細な説明から、より完全に理解されるであろう。
【0102】
態様の詳細な説明
図1は、本発明の態様に従う装置10の概略図である。装置10は、チャンバー20、光源22、及びコントロールユニット24を備える。チャンバー20は、対象の体に移植されるように適合され、並びに機能細胞30及びクロロフィル-含有エレメント32を含む。(図中のエレメント、例えば機能細胞30及びクロロフィル-含有エレメント32は、非常に概略的に示され、一定の縮尺では描かれていない。)典型的には、クロロフィル-含有エレメント32は、無傷の光合成細胞及び/又は単離された葉緑体を含む。クロロフィル-含有エレメント32は、酸素を機能細胞30へ提供し、及び/又は機能細胞30により生成された二酸化炭素を消費する。チャンバー20は、典型的には、その中に機能細胞30及びクロロフィル-含有エレメント32が包埋されたゲルマトリックス33を含む。ゲルマトリックス33は、例えば、アルギン酸塩、ポリリシン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、アガロース、ゼラチン、又はk-カラゲナンを含む。一部の適用に関して、チャンバー20は、ゲルマトリックス33に加え又はこれの代わりに、1種又は複数の微細藻類-適合性液体を含む。装置10は、典型的には、200cc未満、例えば50cc未満の総容積を有するが、必ずしもではない。
【0103】
チャンバー20は、機能細胞30及び/又はクロロフィル-含有エレメント32により生成、分泌、取り込み及び/又は吸収された栄養素及び物質に対し透過性であるように適合された1個又は複数の壁を有する。これらの壁も、典型的には、細胞を、体の構成要素から免疫単離する。これらの壁は、例えば、ポリ塩化ビニルアクリル酸コポリマー、セルロースエステル、酢酸セルロース、又は生体適合性ポリマーを含むことができる。一部の適用に関して、壁は、抗-線維症因子及び/又は抗-炎症因子(例えばコルチゾン)をゆっくり放出するように適合された材料を含む。典型的には、壁の分子量カットオフ値は、約50〜約500,000ダルトン、例えば約50〜約1,000ダルトン、約1,000〜約10,000ダルトン、約10,000〜約40,000ダルトン、約40,000〜約70,000ダルトン、約70,000〜約250,000ダルトン、又は約250,000〜約500,000ダルトンの範囲である。一部の適用に関して、壁は、線維性過増殖を阻害することができる抗-フィブリンコーティングにより被覆される。
【0104】
典型的には、チャンバー20は、クロロフィル-含有エレメント32と混合された機能細胞30を維持するように適合され、その結果機能細胞30は、クロロフィル-含有エレメント32から単離されない。あるいは、チャンバー20は、2個又はそれよりも多いコンパートメント(例えば、1個又は複数のメンブレンにより分離される)を備え、そのコンパートメントの一部は、機能細胞30を保持し、並びにその他方は、クロロフィル-含有エレメント32を保持する。例えば、Vardiらの前述の特許明細書国際公開公報第01/50983号及び米国特許出願第10/466069号に開示されている技術を、それらの図1A及び1Bを参照し、使用することができる。一部の適用に関して、クロロフィル-含有エレメント32は、気体-透過性、液体-非透過性のメンブレンにより、機能細胞30及び/又は他の体液から分離される。一部の適用に関して、機能細胞30及び/又はクロロフィル-含有エレメント32は、チャンバー20内の液体培地又はマトリックス内に分散される。あるいは又は加えて、機能細胞30及び/又はクロロフィル-含有エレメント32は、チャンバー20の1個又は複数の壁のような、基板と連結される。
【0105】
一部の適用に関して、チャンバー20は、対象の皮膚の下側、又は腹膜内に移植されるように適合される。一部の適用に関して、チャンバーは、プリズム型 (例えば、図1に示されたように、長方形プリズム)、細長い管状エレメント、ウエハー、球形、又は特定の適用に適した別の形状である。
【0106】
本発明の態様において、チャンバー20は、酸素貯蔵庫を備え、これは典型的には、貯蔵庫の近傍の酸素濃度に反応性のように、酸素を貯蔵し及び放出する物質を含む。酸素貯蔵庫として役立つ物質の例は、ペルフルオロカーボン化合物、ヘモグロビン、シリコーン、水-ベースの物質(例えば、アルギン酸塩又はアガロース又はそれらの混合物などの、ヒドロゲル)、及び前述の米国特許第6,630,154号に開示されたような物質を含むが、これらに限定されるものではない。一部の適用に関して、ゲルマトリックス33は、酸素貯蔵庫を含み及び/又は酸素貯蔵庫として役立つ。酸素貯蔵庫は、典型的には、機能細胞30がその時必要なものを超える、クロロフィル-含有エレメント32により生成された酸素の一部を貯蔵し、及び不充分な酸素がクロロフィル-含有エレメントにより遅れて生成される場合に、貯蔵された酸素を放出する。
【0107】
光源22は、光を、クロロフィル-含有エレメント32へ提供するように適合されている。一部の適用に関して、光源22は、LED 34を含み、これは例えばアレイで配列することができる。典型的には、光源22は、約400〜約800nm、例えば約630〜約670の間の1種又は複数の波長を有する光を発生するように構成される。一部の適用に関して、光源22は、チャンバー20の少なくとも1個の壁へ物理的に連結されるが、他の適用に関して、光源22は、チャンバーへ連結されず、代わりに対象内又は対象の外側のいずれかへ移植され、チャンバー近傍に配置されるように適合される。後者の場合、一部の適用に関して、光源22からの光は、装置10の残りの部分に到達するために、対象の皮膚を通り通過する。
【0108】
コントロールユニット24は、チャンバー20へ適宜光を提供するよう、典型的には、酸素濃度約30〜約120mmHgを維持するよう、光源22を駆動するように構成される。本発明の態様において、コントロールユニット24は、「オン」及び「オフ」期間の交互で、光源22を間欠性に駆動するように構成され、光源は、「オン」期間中光を提供するが、「オフ」期間中は提供しない。例えば各「オン」期間は、約0.5分〜約5分の、又は約5分〜約5時間の持続期間を有することができ、各「オフ」期間は、約0.5分〜約5分の、又は約5分〜約5時間の持続期間を有することができる。各「オン」期間の持続期間は、典型的には、各「オフ」期間の持続期間の約10%〜約1000%であり、例えば各「オフ」期間の持続期間の約50%〜約200%である。
【0109】
チャンバー20が酸素貯蔵庫を備え及びコントロールユニット24が光源22を交互の「オン」及び「オフ」期間に間欠性に駆動するように構成された適用に関して、酸素貯蔵庫は、典型的には、「オン」期間の間エレメント32により吸収された光を使用するクロロフィル-含有エレメント32により生成された酸素の一部を貯蔵し、及びクロロフィル-含有エレメント32が酸素を生成しない場合に、貯蔵された酸素を機能細胞30による使用のために放出する。一部の適用に関して、コントロールユニット24は、少なくとも1種の酸素貯蔵庫の酸素貯蔵特性に反応して「オン」及び/又は「オフ」期間の少なくとも1種のパラメータを設定するように構成される。
【0110】
交互の「オン」及び「オフ」期間で光を提供することは、一般に、そうでなければエレメント32の照射に有用なある程度の光強度で起こり得るクロロフィル-含有エレメント32の酸化を妨害し、比較的高密度のエレメント32を生じる。
【0111】
図2は本発明の態様に従い測定した実験結果を示すグラフであるが、これを参照する。単細胞藻類は、スラブ-型のアルギン酸塩ゲルマトリックスに固定した。マトリックスは、持続期間約5分を有する各「オン」期間、及び持続期間約5分を有する各「オフ」期間で、交互の「オン」及び「オフ」期間で照射した。マトリックス内の酸素濃度は、針型Clark酸素電極を用いて測定された。グラフにおいて認めることができるように、「オン」期間中に、マトリックスは藻類において生じた光合成により生成された酸素を貯蔵したので、マトリックス内の酸素濃度は上昇した。「オフ」期間に、藻類は貯蔵された酸素を消費したので、マトリックス中の酸素濃度は低下した。
【0112】
本発明の態様において、コントロールユニット24は、一連のパルスで、例えば方形パルスで光を提供するために、光源22を駆動するように構成される。例えば、各パルスは、約50〜約1000ナノ秒、又は約1〜約5000マイクロ秒の持続期間を有し、それに続けて約4000〜約10,000ナノ秒の持続期間の光が提供されない期間を有することができる。例えば光は、各々約4000〜約6000ナノ秒、例えば約5000ナノ秒の持続期間を有する光が提供されない期間により隔てられた、各々の約700〜900ナノ秒、例えば約800ナノ秒の持続期間を有する期間に提供され得る。一部の適用に関して、これらの光-適用期間及び非-適用期間は、各々、クロロフィルが一般に光を吸収し及び利用する自然の期間に相当している。コントロールユニット24が、交互の「オン」及び「オフ」期間で光源22を駆動するよう構成された適用に関して、コントロールユニットは、「オン」期間の間のみ連続パルスを適用するように光源を駆動する。
【0113】
一連のパルスでの光の提供は、一般に装置10の電力消費を低下し、及び/又はクロロフィル-含有エレメント32により生成される酸素量の制御を提供し、及び/又はクロロフィル-含有エレメント32により消費される二酸化炭素量の制御を提供する。加えて、一連のパルスでの光の提供は一般に、そうではければエレメント32を十分に照射するのに必要な光強度で起こり得るクロロフィル-含有エレメント32の酸化を防止し、比較的高密度のエレメント32をもたらす。
【0114】
一部の適用に関して、コントロールユニット24は、機能細胞30及び/又はクロロフィル-含有エレメント32の1種又は複数の感知されたパラメータに反応するパルス及び/又は「オン」/「オフ」期間の1種又は複数のパラメータを調節する。例えば、チャンバー20は、機能細胞30の近傍、及び/又はクロロフィル-含有エレメント32の近傍の酸素濃度を検出する酸素センサ(図示せず)を備えてもよい。
【0115】
装置10は、典型的には、コントロールユニット24内、チャンバー20内に配置されるか、又はそうでなければ対象の体の内部又は外部に移植された電源36を備える。典型的には、電源36は、ワイヤレス又はワイヤ付き(over wires)のいずれかで、再充電可能である、バッテリーを備える。
【0116】
本発明の態様において、クロロフィル-含有エレメント32は、偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含む。「特許請求の範囲」を含む本願明細書において使用される偏性光独立栄養生物は、装置10が通常使用される条件下で、実質的に光合成によってのみエネルギーを産生し、及び実質的に周囲環境の有機物をエネルギー源として使用することができない生物である。結果として、このような偏性光独立栄養生物は、実質的に、暗所の有機培地においては成長することができない。(例えば、Smith AJ, 「Acetate assimilation by Nitrobacter agilis in relation to its ‘obligate autotrophy’」, Journal of Bacteriology 95:844-855 (1968)を参照し、この論文は本願明細書に参照として組入れられている)。適当な偏性光独立栄養生物は、ある種のシアノバクテリア(正式にはブルーグリーンアルジーと称される)、ある種のチオバチルス、及びクロロビウム属の細菌を含むが、これらに限定されるものではない。
あるいは又は加えて、クロロフィル-含有エレメント32は、単細胞藻類、又は他の独立栄養性もしくは混合栄養性の光合成細胞を含む。
【0117】
本発明のある態様において、機能細胞30は、β細胞、α細胞、他の膵島細胞、肝臓細胞、神経細胞、腎皮質細胞、血管内皮細胞、甲状腺細胞、副甲状腺細胞、副腎細胞、胸腺細胞、卵巣細胞及び/又は精巣細胞を含む。
【0118】
本発明の態様において、装置10は、以下のために、構成される:
・例えばホルモン又は神経伝達物質のような、細胞により分泌される有益な物質の不充分な供給を生じる、機能細胞の天然の集団の不足もしくは欠乏により、又はそのような細胞の低下した有効性により特徴付けられた状態の治療のため。チャンバー20内に保持された機能細胞30は、有益な物質を分泌する。例えば、機能細胞30は、β細胞を含むことができ、装置10は、I型又はII型糖尿病を治療するように構成することができる。「特許請求の範囲」を含む本願明細書において使用される「β」細胞は、単離されたβ細胞及び/又は島内のβ細胞及び/又は幹-細胞-由来のインスリン-産生細胞、及び/又は腫瘍-由来のインスリン-産生細胞、及び/又は操作したインスリン-産生細胞、及び/又は分化形質転換された非-β-細胞-由来のインスリン-産生細胞、及び/又は任意のインスリン-産生細胞、及び/又は様々な給源のインスリン-産生細胞の混合物を含む。
・細胞による物質(例えば毒物)の不充分な取り込み、吸収、及び/又は分解を生じる、機能細胞の天然の集団の不足もしくは欠乏により、又はそのような細胞の低下した有効性により、特徴付けられた状態の治療のため。例えば、機能細胞30は、肝臓細胞を含むことができ、装置10は、様々な毒物を取り込むために構成することができる。
・それに対し機能細胞30が感度がある体の構成要素のレベルを感知するため。装置10は、一般に構成要素のレベルと相関している機能細胞30及び/又はクロロフィル-含有エレメント32の特性をモニタリングすることにより、構成要素を感知するように構成される。例えば、装置10は、クロロフィル-含有エレメント32により生成された酸素レベルをモニタリングすることができる。あるいは又は加えて、装置10は、前述の米国特許第5,101,814号に開示されたように、グルコースのような構成要素を検出するために、機能細胞30の電気特性又は光学特性をモニタリングする技術を使用するように適合される。一部の適用に関して、機能細胞30は、β細胞を含み、装置10は、β細胞の活性を直接又は間接にモニタリングすることにより、グルコースレベルを感知するように構成される。
【0119】
機能細胞30がβ細胞を含む適用に関して、β細胞を含む島の数は、典型的には、約10,000〜約600,000個(例えば、約100,000〜約600,000個)であり、及び/又はβ細胞の数は、典型的には約1000万個〜約60000万個(例えば、約10000万個〜約60000万個)である。本発明者らは、これらの島細胞及び/又はβ細胞の数は、少なくとも一部は本願明細書に説明された技術を使用するβ細胞に利用可能なより高い酸素濃度のため、従来のβ細胞移植技術において典型的に使用されるものよりも少ないと考えている。一部の適用に関して、機能細胞30は、10,000個よりも少ない島細胞及び/又は1000万個よりも少ないβ細胞を含む。一部の適用に関して、β細胞は移植後に増殖し、これにより移植後のそれらの数を増加する。
【0120】
一部の適用に関して、機能細胞は、個別の細胞、細胞クラスター、又は切断された組織片を含む。組織もしくは細胞は、例えばドナー動物由来の組織もしくは細胞、ドナー組織及び細胞のインキュベーションもしくは培養により得られた組織もしくは細胞、生存細胞株から得られた細胞、並びに/又は遺伝子操作により得られた細胞を含んでよい。一部の適用に関して、組織又は細胞は、ヒト又は動物起源である。あるいは又は加えて、組織又は細胞は、遺伝子操作された細胞、クローニングされた細胞、及び/又は幹細胞由来である。一部の適用に関して、組織又は細胞は自家であり;あるいは、組織又は細胞は、対象の細胞に関して異種である。
【0121】
ここで本発明の態様に従い、装置50の概略的断面図である図3を参照する。装置50は、機能細胞70を含むチャンバー60を備える。以下に説明された点以外は、チャンバー60は、図1を参照し先に説明されたチャンバー20に全般的に類似している。チャンバー60は典型的には、クロロフィル-含有エレメントを含まない。チャンバー60は、対象の体の皮膚72の下側に皮下移植されるように適合されている。装置50は更に、皮膚72近傍に体外に配置されるように適合された、酸素発生装置74を備える。典型的には、酸素発生装置74は、皮膚に対し直接配置されるように適合される。酸素発生装置74は、酸素を発生し、これは皮膚72を通りチャンバー60へと進み、そこで機能細胞70はこの酸素を利用することができる。一部の適用に関して、皮膚72は、それを通る酸素の拡散を増強するように、予備処置されている。予備処置は、機械的、電気的、化学的、及び/又は生化学的(例えばVEGF)予備処置であってよい。例えば、電気的予備処置は、Avrahamiの米国特許第6,148,232号に開示された技術を使用し、適用することができる。酸素発生装置74は、例えば、電気分解、又は酸素を発生するための公知の他の技術を利用することができる。一部の適用に関して、酸素発生装置74は、例えば長さ約8cm及び直径約1cmのシリンダーのような、小さい容器を備える。
【0122】
本発明の態様において、チャンバー20(図1)又はチャンバー60(図3)の移植前に、血管増殖因子が、移植部位の近傍に適用される。例えば血管増殖因子は、移植前に数日間又は数週間適用されてよい。血管増殖因子は一般に、移植部位近傍において毛細管成長を増大し、このことは一般に血液循環によるチャンバーへの酸素送達を増強する。血管増殖因子は、例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、血管透過性亢進因子(VPF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、又はトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)を含む。
【0123】
本発明の態様において、チャンバー20又はチャンバー60は、移植前に、血管増殖因子により被覆される。例えばGiampapaの米国特許第5,443,508号に開示された技術を使用してもよく、この特許は本願明細書に参照として組入れられている。
【0124】
一部の適用に関して、装置50は、コントロールユニット80を備え、これは酸素発生装置74を活動化又は不活動化するよう適合されている。一部の適用に関して、コントロールユニット80は、機能細胞70近傍の酸素濃度が、第一の閾値(例えば閾値約30〜約50mmHg、例えば約40mmHg)を下回る場合に、酸素発生装置74を活動化し、及び機能細胞70近傍の酸素濃度が、第二の閾値(例えば閾値約80〜約100mmHg)を上回る場合に、酸素発生装置74を不活動化するように構成される。
【0125】
一部の適用に関して、Vardiらの前述の特許明細書国際公開公報第01/50983号及び米国特許出願第10/466069号に開示された技術と組合せて、本願明細書において説明された技術が実施される。
【0126】
本発明は、特に先に示され及び説明されたものに限定されないことは当業者に理解されるであろう。むしろ本発明の範囲は、先行技術にない、先に説明された様々な特徴に加え、それらの変更及び修飾の組合せ及び部分的組合せの全てを含み、これは当業者には、前記説明を判読することで明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】図1は、本発明の態様に従い機能細胞を保持する装置の概略図である。
【図2】図2は、本発明の態様に従い測定された実験結果を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の態様に従い機能細胞を保持する別の装置の概略的断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体の体に移植されるように適合されたチャンバーを備える装置であり、このチャンバーが:
機能細胞;及び
偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含む、クロロフィル-含有エレメント;を備える、装置。
【請求項2】
機能細胞が、単独の細胞型を含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
機能細胞が、複数の細胞型を含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
クロロフィル-含有エレメントが、単細胞偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含む、請求項1記載の装置。
【請求項5】
クロロフィル-含有エレメントが、多細胞偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含む、請求項1記載の装置。
【請求項6】
クロロフィル-含有エレメントが、クロロフィル-含有エレメントにより酸素を機能細胞へ提供することを促進する様式で、機能細胞近傍に配置される、請求項1記載の装置。
【請求項7】
クロロフィル-含有エレメントが、機能細胞により生成された二酸化炭素のクロロフィル-含有エレメントによる消費を促進する様式で、機能細胞の近傍に配置される、請求項1記載の装置。
【請求項8】
機能細胞が、クロロフィル-含有エレメントと混合される、請求項1記載の装置。
【請求項9】
機能細胞が、クロロフィル-含有エレメントから免疫単離されない、請求項1記載の装置。
【請求項10】
チャンバーが、その中に機能細胞が分散されている液体培地を含む、請求項1記載の装置。
【請求項11】
チャンバーが、その中に機能細胞が分散されているマトリックスを含む、請求項1記載の装置。
【請求項12】
チャンバーが、それに機能細胞が付着されている基板を含む、請求項1記載の装置。
【請求項13】
チャンバーが、機能細胞を体の構成要素から免疫単離するように適合された、1個又は複数の壁を備える、請求項1記載の装置。
【請求項14】
チャンバーが、体内に皮下移植されるように適合されている、請求項1記載の方法。
【請求項15】
チャンバーが、体の腹膜内に移植されるように適合されている、請求項1記載の方法。
【請求項16】
チャンバーが、その中に機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントが包埋されているゲルマトリックスを含む、請求項1記載の装置。
【請求項17】
クロロフィル-含有エレメントが、遺伝子操作された偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含む、請求項1記載の装置。
【請求項18】
チャンバーが、プリズム型である、請求項1記載の装置。
【請求項19】
チャンバーが、酸素貯蔵庫を備える、請求項1記載の装置。
【請求項20】
充電式電池を備える、請求項1記載の装置。
【請求項21】
チャンバーが、血管増殖因子により被覆されている、請求項1記載の装置。
【請求項22】
偏性光独立栄養生物が、チオバチルス属の細菌を含む、請求項1記載の装置。
【請求項23】
偏性光独立栄養生物が、クロロビウム属の細菌を含む、請求項1記載の装置。
【請求項24】
偏性光独立栄養生物が、シアノバクテリアを含む、請求項1〜23のいずれか1項記載の装置。
【請求項25】
シアノバクテリアが、シネコッカス属のシアノバクテリアを含む、請求項24記載の装置。
【請求項26】
クロロフィル-含有エレメントの少なくとも一部が、偏性光独立栄養生物の無傷の細胞を含む、請求項1〜23のいずれか1項記載の装置。
【請求項27】
チャンバーが、10,000〜600,000個の膵島を含む、請求項26記載の装置。
【請求項28】
チャンバーが、10,000個よりも少ない膵島を含む、請求項26記載の装置。
【請求項29】
チャンバーが、機能細胞をクロロフィル-含有エレメントから分離するように構成された、メンブレンを備える、請求項1〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
メンブレンが、気体がそれを通過することができるように構成されている、請求項29記載の装置。
【請求項31】
クロロフィル-含有エレメントへ光を提供するように構成された光源を備える、請求項1〜23のいずれか1項記載の装置。
【請求項32】
一連のパルスで光を提供するために光源を駆動するよう適合されたコントロールユニットを備える、請求項31記載の装置。
【請求項33】
交互の「オン」及び「オフ」期間、断続的に光を提供するために光源を駆動するよう適合されたコントロールユニットを備える、請求項31記載の装置。
【請求項34】
光源により提供される光のレベルを制御することにより、クロロフィル-含有エレメントにより提供される酸素のレベルを制御するように適合されたコントロールユニットを備える、請求項31記載の装置。
【請求項35】
光源が、チャンバーへ物理的に連結されている、請求項31記載の装置。
【請求項36】
光源が、チャンバーの近傍で体内に移植されるように構成されている、請求項31記載の装置。
【請求項37】
光源が、チャンバーの近傍で体外に配置されるように構成されている、請求項31記載の装置。
【請求項38】
機能細胞が、物質を放出することが可能であり、及びチャンバーが、この物質に対し透過性であり及び機能細胞に対し実質的に非透過性である1個又は複数の壁を備え、その結果この物質は体へ放出される、請求項1〜23のいずれか1項記載の装置。
【請求項39】
機能細胞が、膵島細胞、肝細胞、甲状腺細胞、副甲状腺細胞、神経細胞、卵巣細胞、副腎細胞、腎皮質細胞、血管内皮細胞、胸腺細胞、卵巣細胞、精巣細胞、遺伝子操作された細胞、クローン細胞、及び幹細胞からなるリストより選択される、請求項38記載の装置。
【請求項40】
機能細胞が、膵β細胞を含む、請求項38記載の装置。
【請求項41】
チャンバーが、1000万〜60000万個のβ細胞を含む、請求項40記載の装置。
【請求項42】
チャンバーが、1000万個よりも少ないβ細胞を含む、請求項40記載の装置。
【請求項43】
チャンバーが、β細胞を含む膵島を含む、請求項40記載の装置。
【請求項44】
チャンバーが、10,000〜600,000個の島を含む、請求項43記載の装置。
【請求項45】
チャンバーが、10,000個よりも少ない島を含む、請求項43記載の装置。
【請求項46】
機能細胞が、体からの物質の吸収、及び体からの物質の分解からなるリストより選択される作用の少なくとも1種を実行することが可能である、請求項1〜23のいずれか1項記載の装置。
【請求項47】
機能細胞が、肝臓細胞を含む、請求項46記載の装置。
【請求項48】
機能細胞近傍の酸素濃度を決定するための酸素センサを備える、請求項1〜23のいずれか1項記載の装置。
【請求項49】
機能細胞近傍の酸素濃度が、第一の閾値を下回る場合に、クロロフィル-含有エレメントを活動化し、及び機能細胞近傍の酸素濃度が、第二の閾値を上回る場合に、クロロフィル-含有エレメントを不活動化するように構成されたコントロールユニットを備える、請求項48記載の装置。
【請求項50】
光源を備え、ここでコントロールユニットが、光源により発生された光のレベルを制御することにより、クロロフィル-含有エレメントにより提供される酸素のレベルを制御するように適合される、請求項49記載の装置。
【請求項51】
第一の閾値が、30〜50mmHgであり、及び第二の閾値が、80〜100mmHgである、請求項49記載の装置。
【請求項52】
それに対し機能細胞が感度がある物質の体内レベルの指標を決定するように適合されたコントロールユニットを備える、請求項1〜23のいずれか1項記載の装置。
【請求項53】
コントロールユニットが、機能細胞の特性、及びクロロフィル-含有エレメントの特性からなるリストから選択される特性をモニタリングすることにより、指標を決定するように適合されている、請求項52記載の装置。
【請求項54】
機能細胞の特性が、機能細胞の電気特性であり、ここでコントロールユニットが、機能細胞の電気特性をモニタリングするように適合されている、請求項53記載の装置。
【請求項55】
機能細胞の特性が、機能細胞の光学特性を含み、ここでコントロールユニットが、機能細胞の光学特性をモニタリングするように適合されている、請求項53記載の装置。
【請求項56】
物質が、グルコースを含み、ここでコントロールユニットが、グルコースレベルの指標を決定するように適合されている、請求項52記載の装置。
【請求項57】
機能細胞が、膵β細胞を含む、請求項52記載の装置。
【請求項58】
機能細胞を使用するための装置であり、装置が、個体の体内に移植されるよう、及び機能細胞を保持するように適合されたチャンバーを備え、チャンバーが、偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含むクロロフィル-含有エレメントを備える、装置。
【請求項59】
機能細胞が、個体の自家機能細胞を含み、ここでチャンバーが、自家機能細胞を保持するように適合されている、請求項58記載の装置。
【請求項60】
個体の体内に移植されるように適合されている、チャンバーであり、機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントを備える、チャンバー;
クロロフィル-含有エレメントへ光を提供するように構成された、光源;並びに
一連のパルスで光を提供するために光源を駆動するように適合された、コントロールユニット;を備える、装置。
【請求項61】
クロロフィル-含有エレメントが、藻類細胞のクロロフィルを含む、請求項60記載の装置。
【請求項62】
クロロフィル-含有エレメントが、偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含む、請求項60記載の装置。
【請求項63】
コントロールユニットが、各パルスが50〜1000ナノ秒の持続期間を有するように構成するように適合された、請求項60記載の装置。
【請求項64】
コントロールユニットが、各パルスが1〜5000マイクロ秒の持続期間を有するように構成するように適合された、請求項60記載の装置。
【請求項65】
コントロールユニットが、5000〜10,000ナノ秒の持続期間を有する期間連続パルス間に光の適用を控えるために光源を駆動するように適合されている、請求項60記載の装置。
【請求項66】
コントロールユニットが、700〜900ナノ秒の持続期間を有するよう各パルスを構成し、及び4000〜6000ナノ秒間の持続期間を有する期間連続パルス間に光の適用を控えるために光源を駆動するよう適合されている、請求項60記載の装置。
【請求項67】
光源が、1個又は複数のLEDを備える、請求項60記載の装置。
【請求項68】
光源が、チャンバーに物理的に連結されている、請求項60記載の装置。
【請求項69】
光源が、チャンバーの近傍で体内に移植されるように構成されている、請求項60記載の装置。
【請求項70】
光源が、チャンバーの近傍で体外に配置されるように構成されている、請求項60記載の装置。
【請求項71】
クロロフィル-含有エレメントが、機能細胞により生成された二酸化炭素のクロロフィル-含有エレメントによる消費を促進する様式で、機能細胞の近傍に配置されている、請求項60記載の装置。
【請求項72】
機能細胞が、クロロフィル-含有エレメントと混合されている、請求項60記載の装置。
【請求項73】
チャンバーが、その中に機能細胞が分散されているマトリックスを備える、請求項60記載の装置。
【請求項74】
チャンバーが、その中に機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントが包埋されているゲルマトリックスを備える、請求項60記載の装置。
【請求項75】
チャンバーが、血管増殖因子で被覆されている、請求項60記載の装置。
【請求項76】
クロロフィル-含有エレメントの少なくとも一部が、無傷の光合成細胞を含む、請求項60記載の装置。
【請求項77】
クロロフィル-含有エレメントの少なくとも一部が、単離された葉緑体を含む、請求項60記載の装置。
【請求項78】
光源が、波長400〜800nmの光を提供するように構成されている、請求項60〜77のいずれか1項記載の装置。
【請求項79】
光源が、波長630〜670nmを有する光を提供するように構成されている、請求項78記載の装置。
【請求項80】
コントロールユニットが、少なくとも24時間の持続期間を有する期間の90%未満の間、光を提供するように適合されている、請求項60〜77のいずれか1項記載の装置。
【請求項81】
コントロールユニットが、前記期間の50%未満の間、光を提供するように適合されている、請求項80記載の装置。
【請求項82】
コントロールユニットが、前記期間の10%未満の間、光を提供するように適合されている、請求項81記載の装置。
【請求項83】
コントロールユニットが、交互の「オン」及び「オフ」期間に断続的に光を提供するために光源を駆動するよう適合されている、請求項60〜77のいずれか1記載の方法。
【請求項84】
各「オン」期間が、0.5分〜5分の持続期間を有する、請求項83記載の装置。
【請求項85】
各「オン」期間が、5分〜5時間の持続期間を有する、請求項83記載の装置。
【請求項86】
各「オフ」期間が、0.5分〜5分の持続期間を有する、請求項83記載の装置。
【請求項87】
各「オフ」期間が、5分〜5時間の持続期間を有する、請求項83記載の装置。
【請求項88】
各「オン」期間が、各「オフ」期間の持続期間の10%〜1000%と等しい持続期間を有する、請求項83記載の装置。
【請求項89】
各「オン」期間が、各「オフ」期間の持続期間の50%〜2000%と等しい持続期間を有する、請求項83記載の装置。
【請求項90】
チャンバーが、酸素貯蔵庫を備える、請求項60〜77のいずれか1項記載の装置。
【請求項91】
コントロールユニットが、酸素貯蔵庫の酸素貯蔵特性の少なくとも1種に反応性のパルスの少なくとも1種のパラメータを設定するように適合されている、請求項90記載の装置。
【請求項92】
コントロールユニットが、機能細胞の感知したパラメータ、及びクロロフィル-含有エレメントの感知したパラメータのリストより選択される少なくとも1種の感知したパラメータに反応性のパルスの少なくとも1種のパラメータを設定するよう適合されている、請求項60〜77のいずれか1項記載の装置。
【請求項93】
チャンバー内の酸素濃度を決定するための酸素センサを備え、ここで少なくとも1種の感知したパラメータは、酸素濃度を含み、及びコントロールユニットは、酸素濃度に反応性のパルスの少なくとも1種のパラメータを設定するように適合されている、請求項92記載の装置。
【請求項94】
クロロフィル-含有エレメントが、クロロフィル-含有エレメントにより機能細胞へ酸素を提供することを促進する様式で、機能細胞の近傍に配置されている、請求項60〜77のいずれか1項記載の装置。
【請求項95】
コントロールユニットが、パルスの少なくとも1種のパラメータを設定することにより、クロロフィル-含有エレメントにより提供される酸素レベルを制御するように適合されている、請求項94記載の装置。
【請求項96】
機能細胞が、物質を放出することが可能であり、ここでチャンバーが、物質に対し透過性であり、及び機能細胞に対し実質的に非透過性である1個又は複数の壁を備え、その結果物質は体へ放出される、請求項60〜77のいずれか1項記載の装置。
【請求項97】
機能細胞が、膵島細胞、肝細胞、甲状腺細胞、副甲状腺細胞、神経細胞、卵巣細胞、副腎細胞、腎皮質細胞、血管内皮細胞、胸腺細胞、卵巣細胞、精巣細胞、遺伝子操作された細胞、クローン細胞、及び幹細胞からなるリストより選択される、請求項96記載の装置。
【請求項98】
機能細胞が、膵β細胞を含む、請求項96記載の装置。
【請求項99】
機能細胞が、体からの物質の吸収、及び体からの物質の分解からなるリストより選択される少なくとも1種の作用を実行することが可能である、請求項60〜77のいずれか1項記載の装置。
【請求項100】
機能細胞が、肝臓細胞を含む、請求項99記載の装置。
【請求項101】
コントロールユニットが、それに対し機能細胞が感受性がある物質の体内レベルの指標を決定するように適合されている、請求項60〜77のいずれか1項記載の装置。
【請求項102】
コントロールユニットが、機能細胞の特性、及びクロロフィル-含有エレメントの特性からなるリストより選択される特性をモニタリングすることにより、指標を決定するように適合されている、請求項101記載の装置。
【請求項103】
物質が、グルコースを含み、ここでコントロールユニットが、グルコースレベルの指標を決定するように適合されている、請求項101記載の装置。
【請求項104】
機能細胞が、膵β細胞を含む、請求項101記載の装置。
【請求項105】
個体の体内に移植されるよう、及び機能細胞を保持するように適合されている、チャンバーであり、クロロフィル-含有エレメントを備える、チャンバー;
クロロフィル-含有エレメントへ光を提供するように構成された、光源;並びに
一連のパルスで光を提供するために光源を駆動するように適合された、コントロールユニット;を備える、機能細胞と共に使用するための装置。
【請求項106】
個体の体内に移植されるように適合されたチャンバーであり、
機能細胞;
クロロフィル-含有エレメント;及び
酸素貯蔵庫;を備えるチャンバーを備える装置。
【請求項107】
クロロフィル-含有エレメントの少なくとも一部が、無傷の光合成細胞を含む、請求項106記載の装置。
【請求項108】
クロロフィル-含有エレメントの少なくとも一部が、単離された葉緑体を含む、請求項106記載の装置。
【請求項109】
クロロフィル-含有エレメントが、藻類細胞のクロロフィルを含む、請求項106記載の装置。
【請求項110】
クロロフィル-含有エレメントが、偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含む、請求項106記載の装置。
【請求項111】
機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントの少なくとも1種が、酸素貯蔵庫内に含まれる、請求項106記載の装置。
【請求項112】
チャンバーが、血管増殖因子で被覆されている、請求項106記載の装置。
【請求項113】
酸素貯蔵庫が、ペルフルオロカーボン化合物を含む、請求項106記載の装置。
【請求項114】
酸素貯蔵庫が、ヘモグロビンを含む、請求項106記載の装置。
【請求項115】
酸素貯蔵庫が、シリコーンを含む、請求項106記載の装置。
【請求項116】
酸素貯蔵庫が、水-ベースの材料を含む、請求項106〜115のいずれか1項記載の装置。
【請求項117】
水-ベースの材料が、ヒドロゲルを含む、請求項116記載の装置。
【請求項118】
ヒドロゲルが、アルギン酸塩及びアガロースからなるリストより選択される、請求項117記載の装置。
【請求項119】
酸素貯蔵庫が、ゲルマトリックスを含む、請求項106〜115のいずれか1項記載の装置。
【請求項120】
機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントが、ゲルマトリックスに包埋されている、請求項119記載の装置。
【請求項121】
クロロフィル-含有エレメントへ光を提供するよう構成された、光源;及び
一連のパルスで光を提供するために光源を駆動するように適合された、コントロールユニット;を備える、請求項106〜115のいずれか1項記載の装置。
【請求項122】
コントロールユニットが、酸素貯蔵庫の少なくとも1種の酸素貯蔵特性に反応性のパルスの少なくとも1種のパラメータを設定するように適合されている、請求項121記載の装置。
【請求項123】
個体の体内に移植されるよう、及び機能細胞を保持するように適合されたチャンバーを備える装置であり、このチャンバーが、クロロフィル-含有エレメント;及び、酸素貯蔵庫を備える、機能細胞と共に使用するための装置。
【請求項124】
個体の体内に皮下移植されるのに適合されたチャンバーであり、機能細胞を含むチャンバー;及び
皮膚近傍で体外に配置されるよう、及び皮膚を通り機能細胞へ酸素を運搬するように適合された、酸素発生装置;を備える、装置。
【請求項125】
酸素発生装置が、皮膚に対して直接配置されるように適合されている、請求項124記載の装置。
【請求項126】
それを通じた酸素拡散を増強する様式で皮膚を処置するように適合された処置ユニットを備える、請求項124記載の装置。
【請求項127】
酸素発生装置が、酸素を発生するために電気分解を利用するように適合されている、請求項124記載の装置。
【請求項128】
チャンバーが、血管増殖因子で被覆されている、請求項124記載の装置。
【請求項129】
酸素発生装置が、皮膚の1mm〜15mm以内に配置されるように適合されている、請求項124〜128のいずれか1項記載の装置。
【請求項130】
酸素発生装置が、皮膚の10mm以内に配置されるように適合されている、請求項129記載の装置。
【請求項131】
酸素発生装置を活動化又は不活動化するように適合されたコントロールユニットを備える、請求項124〜128のいずれか1項記載の装置。
【請求項132】
コントロールユニットが、機能細胞近傍の酸素濃度が、第一の閾値を下回る場合に、酸素発生装置を活動化させ、及び機能細胞近傍の酸素濃度が、第二の閾値を上回る場合に、酸素発生装置を不活動化させるように構成されている、請求項131記載の装置。
【請求項133】
機能細胞が、物質を放出することが可能であり、ここでチャンバーは、物質に対し透過性であり及び機能細胞に対し実質的に非透過性である1個又は複数の壁を備え、その結果物質が体へ放出される、請求項124〜128のいずれか1項記載の装置。
【請求項134】
機能細胞が、膵島細胞、肝細胞、甲状腺細胞、副甲状腺細胞、神経細胞、卵巣細胞、副腎細胞、腎皮質細胞、血管内皮細胞、胸腺細胞、卵巣細胞、精巣細胞、遺伝子操作された細胞、クローン細胞、及び幹細胞からなるリストより選択される、請求項133記載の装置。
【請求項135】
機能細胞が、膵β細胞を含む、請求項133記載の装置。
【請求項136】
機能細胞が、体からの物質の吸収、及び体からの物質の分解からなるリストより選択される作用の少なくとも1種を実行することが可能である、請求項124〜128のいずれか1項記載の装置。
【請求項137】
機能細胞が、肝臓細胞を含む、請求項136記載の装置。
【請求項138】
それに対し機能細胞が感受性のある物質の体内レベルの指標を決定するように適合されている、コントロールユニットを備える、請求項124〜128のいずれか1項記載の装置。
【請求項139】
コントロールユニットが、機能細胞の特性をモニタリングすることにより、指標を決定するように適合されている、請求項138記載の装置。
【請求項140】
物質が、グルコースを含み、ここでコントロールユニットが、グルコースレベルの指標を決定するように適合されている、請求項138記載の装置。
【請求項141】
機能細胞が、膵β細胞を含む、請求項138記載の装置。
【請求項142】
個体の体内に皮下移植されるよう、及び機能細胞を保持するように適合されている、チャンバー;並びに
皮膚近傍に体外に配置されるよう、及び機能細胞へ皮膚を通じ酸素を運搬するように適合された、酸素発生装置;を備える、機能細胞と共に使用するための装置。
【請求項143】
個体の体内に移植されるように適合されたチャンバーであり、
機能細胞;
クロロフィル-含有エレメント;並びに
(a)機能細胞、及び(b)体液の少なくともひとつからクロロフィル-含有エレメントを分離するために構成された、気体-透過性、液体-非透過性のメンブレン;を備える、チャンバーを備える装置。
【請求項144】
メンブレンが、機能細胞からクロロフィル-含有エレメントを分離するように構成されている、請求項143記載の方法。
【請求項145】
メンブレンが、体液からクロロフィル-含有エレメントを分離するように構成されている、請求項143記載の装置。
【請求項146】
メンブレンが、クロロフィル-含有エレメントを、機能細胞及び体液から分離するように構成されている、請求項143記載の装置。
【請求項147】
クロロフィル-含有エレメントが、藻類細胞のクロロフィルを含む、請求項143記載の装置。
【請求項148】
チャンバーが、酸素貯蔵庫を備える、請求項143記載の装置。
【請求項149】
機能細胞が、物質を放出することが可能であり、ここでチャンバーは、物質に対し透過性であり及び機能細胞に対し実質的に非透過性である1個又は複数の壁を備え、その結果物質が体に放出される、請求項143記載の装置。
【請求項150】
機能細胞が、体からの物質の吸収、及び体からの物質の分解からなるリストより選択される作用の少なくとも1種を実行することが可能である、請求項143記載の装置。
【請求項151】
クロロフィル-含有エレメントへ光を提供するように構成された、光源を備える、請求項143〜150のいずれか1項記載の装置。
【請求項152】
一連のパルスで光を提供するために光源を駆動するように適合された、コントロールユニットを備える、請求項151記載の装置。
【請求項153】
交互の「オン」及び「オフ」期間に断続的に光を提供するために光源を駆動するよう適合されている、コントロールユニットを備える、請求項151記載の装置。
【請求項154】
個体の体内へ、機能細胞及び偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含むクロロフィル-含有エレメントを保持するチャンバーを移植することを含む、方法。
【請求項155】
個体の体内へ移植するように適合されたチャンバーへ、機能細胞及び偏性光独立栄養生物のクロロフィルを含むクロロフィル-含有エレメントを負荷することを含む、方法。
【請求項156】
個体の体内へ、機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントを保持するチャンバーを移植すること;並びに
一連のパルスで光を、クロロフィル-含有エレメントへ提供すること;を含む、方法。
【請求項157】
酸素貯蔵庫を備え、並びに機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントを保持するチャンバーを、個体の体内に移植することを含む、方法。
【請求項158】
個体の体内へ、機能細胞を保持するチャンバーを皮下移植すること;
体外で酸素を生成すること;及び
酸素を皮膚を通じ機能細胞へ運搬すること;を含む、方法。
【請求項159】
機能細胞及びクロロフィル-含有エレメントをチャンバー内に配置すること;
気体-透過性、液体-非透過性のメンブレンを使用し、クロロフィル-含有エレメントを、(a)機能細胞、及び(b)個体の体液の少なくとも1種から分離すること;並びに
チャンバーを個体の体内へ移植すること;を含む、方法。
【請求項160】
分離が、クロロフィル-含有エレメントを、機能細胞及び体液の両方から分離することを含む、請求項159記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−521538(P2008−521538A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544006(P2007−544006)
【出願日】平成17年11月27日(2005.11.27)
【国際出願番号】PCT/IL2005/001262
【国際公開番号】WO2006/059322
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(507177526)ベタ オー2 テクノロジーズ リミティド (1)
【Fターム(参考)】