説明

移植機

【課題】 整地ロータが静止した状態で圃場内を引き回し、整地ロータにより圃場の表層部を荒らす泥押しなどを防止するようにした移植機を提供する。
【解決手段】 該植付装置に昇降自在に支持され、かつ前記植付装置の伝動系から動力伝達される整地装置を備えてなる移植機において、前記植付装置が植付け位置にあることを検出するリフト角ポテンショメータ125と、植付けクラッチのオン・オフを検出する油圧カムポテンショメータ48と、前記整地装置が整地位置にあることを検出する整地装置操作レバースイッチ93と、警報ブザー127と、前記各検出手段125、48、93に基づき、前記植付装置が植付位置にあり、前記植付クラッチが切状態であり、かつ前記整地装置が整地位置にあることを検出すると、前記警報手段127が警報作動するように制御する制御手段121とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整地装置を備えた田植機等の移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
予め代掻きが行われた圃場で、車輪等で荒らされた表面から苗の植付深さまでの表層を整地しながら苗の植付を行う移植機として、苗の植付部の前方に整地装置を配置した移植機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、植付部前方に、薄肉状のディスクを複数個機体横方向に並設固定したドラムを配設し、該ドラムを強制回転させるようにした整地装置を備えた移植機が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−124442号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】実開平2−105307号公報(第5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前者の移植機においては、整地装置の整地ロータの高さ方向の位置を調節可能に配置しているので、整地装置を使用しない場合には、整地ロータを圃場表面に接触しない高さに退避させ、移植機を走行させることができる。しかし、整地装置を使用しない場合、即ち、整地ロータの回転が停止し、かつ整地ロータが圃場表面に接触している状態で、移植機が圃場内を走行すると、整地ロータにより泥押しが発生し圃場表層を荒らすことになる。このため、移植機の運転開始時に、整地装置(整地ロータ)の高さを目視で確認しなければならず、この確認を忘れると、整地ロータを非回転のまま引きずることになり、泥押し等を発生させてしまうことがある。
【0006】
後者の移植機においては、整地ロータが常に作業位置にあり、また植付装置が停止した場合、整地ロータも停止するので、この状態で移植機が走行すると、整地ロータの非回転状態での引きずりにより泥押し等を発生してしまうことがある。
【0007】
前記の事情にかんがみ、本発明は、整地装置を使用しない場合に、該整地装置が作業位置にあるとき、警報を発して作業者に知らせるようにし、整地装置による泥押し等を防止するようにした移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、エンジン(16)を搭載し、該エンジン(16)の動力により走行する走行機体(11)と、該走行機体(11)に昇降自在に支持され、かつ前記エンジン(16)からの動力が植付クラッチ(112)を介して伝達される植付装置(61)と、該植付装置(61)に昇降自在に支持され、かつ前記植付装置(61)の伝動系から動力伝達される整地装置(81)と、を備えてなる移植機において、
前記植付装置(61)が植付け位置にあることを検出する作業位置検出手段(125)と、
前記植付けクラッチ(112)のオン・オフを検出する植付クラッチ検出手段(48)と、
前記整地装置(81)が整地位置にあることを検出する整地高さ検出手段(93)と、
警報手段(127)と、
前記各検出手段(125、48、93)に基づき、前記植付装置(61)が植付位置にあり、前記植付クラッチ(112)が切状態であり、かつ前記整地装置(81)が整地位置にあることを検出すると、前記警報手段(127)が警報作動するように制御する制御手段(121)と、を備える、
ことを特徴とする移植機にある。
【0009】
請求項2に係る本発明は、エンジン(16)を搭載し、該エンジン(16)の動力が変速装置(21)を介して走行装置(12、13)に伝達されて走行する走行機体(11)と、該走行機体(11)に昇降自在に支持され、かつ前記エンジン(16)からの動力が植付クラッチ(112)を介して伝達される植付装置(61)と、該植付装置(61)に昇降自在に支持され、かつ前記植付装置(61)の伝動系から動力伝達される整地装置(81)と、を備えてなる移植機において、
前記変速装置(21)の操作手段(22)が走行位置にあることを検出する走行検出手段(23)と、
前記植付装置(61)が植付け位置にあることを検出する作業位置検出手段(125)と、
前記植付クラッチ(112)のオン・オフを検出する植付クラッチ検出手段(48)と、
前記整地装置(81)が整地位置にあることを検出する整地高さ検出手段(93)と、
警報手段(127)と、
前記各検出手段(23、125、48、93)に基づき、前記植付装置(61)が植付け位置にあり、前記植付クラッチ(112)が切状態であり、前記整地装置(81)が整地位置にあり、かつ前記走行装置の操作手段(22)が走行位置にあることを検出すると、前記警報手段(127)が警報作動するように制御する制御手段(131)と、を備える、
ことを特徴とする移植機にある。
【0010】
請求項3に係る本発明は、前記整地装置(81)が整地位置にあることを表示する表示装置(126)を備え、
前記制御手段(121、131)は、前記警報手段(127)が警報作動すると同時に、前記表示装置(126)を点滅表示してなる、
請求項1又は2記載の移植機にある。
【0011】
なお、前記した括弧内の符号等は、図面を参照するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る本発明によれば、植付装置に昇降自在に支持され、かつ前記植付装置の伝動系から動力伝達される整地装置を備えた移植機において、前記植付装置が植付け位置にあることを検出する作業位置検出手段と、植付けクラッチのオン・オフを検出する植付クラッチ検出手段と、前記整地装置が整地位置にあることを検出する整地高さ検出手段と、警報手段と、前記各検出手段に基づき、植付装置が植付位置にあり、前記植付クラッチが切状態であり、かつ前記整地装置が整地位置にあることを検出すると、前記警報手段が警報作動するように制御する制御手段とを設けたので、整地装置を使用しない状態であるとき、前記整地装置が圃場に接触する作業位置にあることを警報表示して、整地装置による泥押しなどを防止することができる。
【0013】
請求項2に係る本発明によれば、植付装置に昇降自在に支持され、かつ前記植付装置の伝動系から動力伝達される整地装置を備えた移植機において、変速装置の操作手段が走行位置にあることを検出する走行検出手段と、前記植付装置が植付け位置にあることを検出する作業位置検出手段と、前記植付クラッチのオン・オフを検出する植付クラッチ検出手段と、前記整地装置が整地位置にあることを検出する整地高さ検出手段と、警報手段と、前記各検出手段に基づき、前記植付装置が植付け位置にあり、前記植付クラッチが切状態であり、前記整地装置が整地位置にあり、かつ前記走行装置の操作手段が走行位置にあることを検出すると、前記警報手段が警報作動するように制御する制御手段とを設けたので、整地装置を使用しない状態で、かつ前記整地装置が圃場に接触する作業位置にあるとき、機体を走行させようとすると、警報を作動して、整地装置による泥押しなどを防止することができる。
【0014】
請求項3に係る本発明によれば、前記整地装置が整地位置にあることを表示する表示装置を備え、前記制御手段は、前記警報手段が警報作動すると同時に、前記表示装置を点滅表示するようにしたので、整地装置の状態を表示装置により目視によっても確認することができ、整地装置による泥押しなどをより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1乃至図8は、本発明の実施の形態を示すもので、図1は、本発明を適用した移植機の側面図、図2は、走行機体の変速操作部を示す側面図、図3は、植付装置の昇降操作部を示す斜視図、図4は、植付装置を昇降させるバルブ作動機構の側面図、図5は、整地装置の要部を示す正面図、図6は、動力伝動系統図、図7は、制御装置のブロック線図、図8は、制御手順を示すプログラムフローチャートである。
【0017】
図1に示すように、移植機1は、走行機体11と、昇降リンク機構31と植付装置61及び整地装置81とを備えている。
【0018】
前記走行機体11は、各一対の前輪12、12と後輪13、13により支持された機体15を有し、該機体15の前部にはエンジン16が配設され、ボンネット17で覆われている。前記エンジン16の後方には、ステアリングハンドル18のほか、移植機1の運転操作に必要な各種のレバー及びペダル類と、座席シート20とを有する運転席が配設されている。
【0019】
図1、図2に示すように、前記ステアリングハンドル18の一側方には、該ステアリングハンドル18の下方に配置された無段変速装置21の変速操作を行う主変速レバー22が配置され、その操作位置は、変速レバーポテンショメータ23で検出されるようになっている。
【0020】
また、図3に示すように、前記ステアリングハンドル18の他側方には、植付作業機操作レバー25が上下方向に操作可能に配設され、その操作位置は図示しない操作レバーポテンショメータ(図示せず)で検出されるようになっている。植付作業機操作レバー25は、中立位置から上方へ操作すると、後述する油圧装置により植付装置を上方に移動し、中立から下方に操作すると、油圧装置により植付装置を下方に移動して、フロートが田面に着地して該フロートにより油圧装置を操作して植付装置を適正な植付位置に保持し、更に操作レバー25を下方に操作すると、植付クラッチを接続する。従って、前記操作レバーポテンショメータにより、前記植付クラッチの入り、切りを検出することができる。
【0021】
図1に示すように、前記昇降リンク機構31は、一端が前記機体15の後部に上下方向に揺動自在に支持されたアッパーリンク32と一対のロアリンク33及び油圧シリンダ35を有し、前記アッパーリンク32とロアリンク33の他端に前記植付装置61を搖動自在に接続している。そして、前記油圧シリンダ35の作動により前記植付装置61を昇降移動させる。なお、前記昇降リンク機構31による前記植付装置61の昇降量は、例えば前記アッパーリンク32の前記走行機体11側の根元部に配置されたリフト角ポテンショメータ(図示せず)で検出することができる。
【0022】
図4に示すように、前記コントロールバルブ作動機構41は、前記植付作業機操作レバー25の操作によって作動する油圧カムモータ42と、該油圧カムモータ42によって駆動されるギヤ43と、該ギヤ43と歯合する扇状のギヤ(図示せず)を備えたカムプレート45と、該カムプレート45により作動されるアーム46とを有し、該アーム46によってコントロールバルブ47を作動させるようになっている。また、油圧カムポテンショメータ48は、前記カムプレート45と同軸上に固定され、該カムプレート45の回転方向の位置が検出できるようになっている。
【0023】
また、中央部が揺動自在に支持されたリンク50の一端には、前記カムプレート45の外周に接するカムローラ51が回転自在に支持されている。前記リンク50の他端には、ロッド52の一端が連結され、該ロッド52を介して植付クラッチ(図示せず)の入り、切りを操作するようになっている。従って、前記カムプレート45の位置を前記油圧カムポテンショメータ48で検出することで、前記操作レバーポテンショメータと同様に、前記植付クラッチの入り、切りを検出することもできる。
【0024】
また、前記コントロールバルブ47には、該コントロールバルブ47に圧油を供給するホース55と、前記油圧シリンダ35に圧油を供給するシリンダホース56と、前記油圧シリンダ35から排出された油を油タンク(図示せず)に戻すリターンホース57が接続されている。
【0025】
図1に示すように、前記植付装置61は、前記昇降リンク機構31により前記走行機体11に連結され、作業伝動軸37を介して動力が伝達される。前記植付装置61は、前記昇降リンク機構31にローリング軸(図示せず)を介してローリング自在に連結されたフレーム62と、該フレーム62に支持されたステー63と、前記フレーム62とステー63に横方向に移動可能に支持され、マット苗を載置する苗のせ台65を備えている。
【0026】
また、前記フレーム62には、所定の間隔で複数の伝動ケース66が後方に向けて突出するように配置され、該伝動ケース66の後端部の側面には、植付ケース67が回転自在に支持されている。前記植付ケース67の両端部には、前記苗のせ台65上に載置されたマット苗から一株分の苗を掻き取って圃場に移植する植付杆68が配設されている。また、前記伝動ケース66の下面にはアーム70を介してフロート71が上下方向に移動可能に支持されている。なお、前記アーム70にポテンショメータ等の回転角検出手段を設け、該ポテンショメータの出力により、前記植付装置61が植付位置にあるか否かを判定するように構成することもできる。
【0027】
図1及び図5に示すように、前記整地装置81は、前記伝動ケース66に搖動可能に支持された駆動チェーンケース82と、該駆動チェーンケース82に回転自在に支持されたロータリ軸83と、該ロータリ軸83に所定の間隔で固定された複数の整地ロータ85を備えている。
【0028】
また、前記整地装置81は、前記植付装置61の前記ステー63に回転可能に支持された支持軸86と、該支持軸86の両端部に固定されたレバー87と、該レバー87と前記駆動チェーンケース82をそれぞれ揺動自在に連結する前記リンク88を備えている。操作レバー90は、前記支持軸86の軸心と直交する軸心を中心として搖動可能に支持され、かつ前記ステー63に固定されたガイド板91のガイド溝92に沿って移動可能に配置されている。
【0029】
そして、前記操作レバー90を前記ガイド溝92に沿って移動させることにより、前記支持軸86を回動させ、レバー87及びリンク88を介して前記駆動チェーンケース82を揺動させ、前記整地ロータ85を圃場表面と接触する作業位置と、圃場表面と接触しない上昇(退避)位置へ移動させる。前記ステー63には、前記操作レバー90の操作により前記整地ロータ85を作業位置へ移動させたとき、前記操作レバー90を検知する整地装置操作レバースイッチ93が固定されている。
【0030】
図6に示すように、前記エンジン16の出力は、油圧ポンプ95と前記無段変速機21に伝達される。前記無段変速機21の出力は、シャフト96、クラッチ97及びシャフト98に伝達され、該シャフト98を介して走行系の動力と作業系の動力に分岐される。
【0031】
前記シャフト98で分岐された走行系の動力は、シャフト100とシャフト101の間で変速され、ディファレンシャルギヤ102を介してシャフト103及びシャフト105に伝達され、前記前輪12、12を駆動すると共に、前記シャフト101からプロペラシャフト106を介してシャフト107、クラッチ108を介して前記後輪13、13を駆動する。
【0032】
前記シャフト98で分岐された作業系の動力は、シャフト98とシャフト110の間及びシャフト110とシャフト111の間で変速され、前記ロッド52で入り、切り操作される植付クラッチ112を介してPTOシャフト113に出力される。前記PTOシャフト113に回転は、ドライブシャフト115に伝達され、該ドライブシャフト115を介して前記植付杆68を駆動すると共に、前記苗のせ台65を横方向に移動させるスクリューシャフト116を駆動する。
【0033】
また、前記作業系の動力は、前記ドライブシャフト115からチェーン117を介して前記ロータリ軸83を回転駆動して、前記整地ロータ85を回転駆動する。従って、前記植付杆68と整地ロータ85は、同期した速度で駆動することができる。
【0034】
図7に示すように、前記移植機1の制御装置121は、マイクロコンピュータ等で構成される制御部122を有し、該制御部122の入力側に、前記植付作業機操作レバー25に付設されたポテンショメータ123と、前記油圧カムポテンショメータ48と、リフト角ポテンショメータ125と、前記整地装置操作レバースイッチ93等が接続されている。また、前記制御部122の出力側には、前記油圧カムモータ42と、前記運転席の操作パネルに配置されたロータモニタランプ126及び警報ブザー127が接続されている。
【0035】
図11に操作パネル130の一実施例を示す。操作パネル130には各種作業状態を示すモニタランプ131を有しており、この1つに表示装置であるロータモニタランプ126がある。図12は、他の実施例による操作パネル130を示し、各種モニタランプ131の外、液晶表示部132を有しており、該液晶表示部132に、ロータの作業状態を表示することができる。なお、図11,図12において、25は植付作業機操作レバー、133は警報停止スイッチである。
【0036】
前記制御装置121では、図8に示すような制御を行う。操作レバーポテンショメータ123の出力により、前記植付作業機操作レバー25の操作位置を判定し、前記植付クラッチ112の入り、切りを判定する(図8のステップS1、以下、単にステップS○という)。なお、前記ステップS1で、前記油圧カムポテンショメータ48の出力により、前記植付クラッチの入り、切りを判定することもできる。
【0037】
前記ステップS1で、前記植付クラッチ112が切り状態の場合は、前記整地装置操作レバースイッチ93の出力により、前記整地装置81の前記整地ロータ85が作業高さにあるか否かを判定する(ステップS2)。前記ステップS2で、前記整地ロータ85が作業高さにある場合には、前記リフト角ポテンショメータ125の出力により、前記植付装置61が作業高さにあるか否かを判定する(ステップS3)。前記ステップS3で、前記植付装置61が作業高さにある場合には、前記ロータモニタランプ126の点滅出力をセットする(ステップS4)と共に、前記警報ブザー127に警報出力をセットする(ステップS5)。
【0038】
前記ステップS4、ステップS5により、前記ロータモニタランプ126を点滅させかつ前記警報ブザー127を吹鳴させ、前記植付クラッチ112が切り状態で、前記植付装置61が作業高さにあり、しかも前記整地ロータ85が作業高さにあることを、光と音で作業者に警告する。従って、前記整地ロータ85が静止した状態で、該整地ロータ85を圃場内で引き回し、泥押し等により圃場の表層部を荒らすことを防止することができる。
【0039】
警報停止スイッチが操作されたか否かを判定する(ステップS6)。前記ステップS6で、警報停止スイッチが操作された場合は、前記ロータモニタランプ126の点灯出力をセットする(ステップS7)と共に、前記警報ブザー127に警報出力停止をセットする(ステップS8)。
【0040】
前記ステップS1で、前記植付クラッチ112が入り状態の場合には、前記整地装置操作レバースイッチ93の出力により、前記整地装置81の前記整地ロータ85が作業高さにあるか否かを判定する(ステップS9)。前記ステップS9で、前記整地ロータ85が非作業高さ(退避位置)にあった場合には、前記ロータモニタランプ126に消灯出力をセットする(ステップS10)。また、前記ステップS9で、前記前記整地ロータ85が作業高さにあった場合には、前記ロータモニタランプ126に点灯出力をセットする(ステップS11)。
【0041】
前記ステップS2で、前記整地ロータ85が非作業高さ(退避位置)にあった場合には、前記ロータモニタランプ126に消灯出力をセットする(ステップS12)。前記ステップS3で、前記植付装置61が非作業高さ(退避位置)にある場合には、前記ロータモニタランプ126に点灯出力をセットする(ステップS13)。
【0042】
以上のように、本実施の形態は、整地ロータが作業高さにあるか否かを光で報知すると共に、特に前記植付クラッチ112が切り状態で、前記植付装置61が作業高さにあり、しかも前記整地ロータ85が作業高さにあることを、光と音で作業者に警告し、前記整地装置85による泥押しなどを防止することができる。
【0043】
図9、図10は、本発明における制御装置の他の実施の形態を示すもので、図9は、制御装置のブロック線図、図10は、制御手順を示すプログラムフローチャートである。
【0044】
図9に示すように、前記移植機1の制御装置131は、マイクロコンピュータ等で構成される制御部132を有し、該制御部132の入力側に、前記主変速レバー22の操作位置を検出する変速レバーポテンショメータ23と、前記植付作業機操作レバー25に付設されたポテンショメータ123と、前記油圧カムポテンショメータ48と、リフト角ポテンショメータ125と、前記整地装置操作レバースイッチ93等が接続されている。また、前記制御部132の出力側には、前記油圧カムモータ42と、前記運転席の操作パネル(図示せず)に配置されたロータモニタランプ126及び警報ブザー127が接続されている。
【0045】
前記制御装置131では、図10に示すような制御を行う。操作レバーポテンショメータ123の出力により、前記植付作業機操作レバー25の操作位置を判定し、前記植付クラッチ112の入り、切りを判定する(図10のステップS21、以下、単にステップS○○という)。前記ステップS21で、前記植付クラッチ112が切り状態の場合は、前記整地装置操作レバースイッチ93の出力により、前記整地装置81の前記整地ロータ85が作業高さにあるか否かを判定する(ステップS22)。
【0046】
前記ステップS22で、前記整地ロータ85が作業高さにある場合には、前記リフト角ポテンショメータ125の出力により、前記植付装置61が作業高さにあるか否かを判定する(ステップS23)。前記ステップS23で、前記植付装置61が作業高さにある場合には、前記変速レバーポテンショメータ23の出力により、前記主変速レバー22の操作位置を判定する(ステップS24)。前記ステップS24で、前記主変速レバー22が中立位置以外にある場合には、前記ロータモニタランプ126の点滅出力をセットする(ステップS25)と共に、警報用のブザーに警報出力をセットする(ステップS26)。
【0047】
前記ステップS25、ステップS26により、前記ロータモニタランプ126を点滅させかつ前記警報ブザー127を吹鳴させて、前記植付クラッチ112が切り状態で、前記植付装置61が作業高さにあり、しかも前記整地ロータ85が作業高さにあることを、光と音で作業者に警告する。
【0048】
警報停止スイッチが操作されたか否かを判定する(ステップS27)。前記ステップS27で、警報停止スイッチが操作された場合は、前記ロータモニタランプ126の点灯出力をセットする(ステップS28)と共に、前記警報ブザー127に警報出力停止をセットする(ステップS29)。
【0049】
前記ステップS21で、前記植付クラッチ112が入り状態の場合には、前記整地装置操作レバースイッチ93の出力により、前記整地装置81の前記整地ロータ85が作業高さにあるか否かを判定する(ステップS30)。前記ステップS30で、前記整地ロータ85が非作業高さ(退避位置)にあった場合には、前記ロータモニタランプ126に消灯出力をセットする(ステップS31)。また、前記ステップS30で、前記前記整地ロータ85が作業高さにあった場合には、前記ロータモニタランプ126に点灯出力をセットする(ステップS32)。
【0050】
前記ステップS22で、前記整地ロータ85が非作業高さ(退避位置)にあった場合には、前記ロータモニタランプ126に消灯出力をセットする(ステップS33)。前記ステップS23で、前記植付装置61が非作業高さ(退避位置)にある場合、前記ステップS24で、主変速レバー22が中立位置にある場合、前記ロータモニタランプ126に点灯出力をセットする(ステップS34)。
【0051】
前記のように、前記走行機体11の操作位置が走行位置にあり、前記植付クラッチ112が切り状態で、前記植付装置61が作業高さにあり、しかも前記整地ロータ85が作業高さにあることを、光と音で作業者に警告し、前記整地装置85による泥押しなどを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明を適用した移植機の側面図である。
【図2】走行機体の変速操作部を示す側面図である。
【図3】植付装置の昇降操作部を示す斜視図である。
【図4】植付装置を昇降させるバルブ作動機構を示し、(a)は、駆動機構部を示す側面図、(b)は、配管構造を示す側面図である。
【図5】整地装置の要部を示す正面図である。
【図6】動力伝動系統図である。
【図7】制御装置のブロック線図である。
【図8】制御手順を示すプログラムフローチャートである。
【図9】制御装置の他の実施の形態を示すブロック線図である。
【図10】制御手順を示すプログラムフローチャートである。
【図11】操作パネルの一実施の形態を示す図。
【図12】操作パネルの他の実施の形態を示す図。
【符号の説明】
【0053】
1 移植機
11 走行機体
12 走行装置(前輪)
13 走行装置(後輪)
16 エンジン
21 変速装置(無段変速機)
22 操作手段(主変速レバー)
23 走行検出手段(変速レバーポテンショメータ)
48 植付クラッチ検出手段(油圧カムポテンショメータ)
61 植付装置
81 整地装置
93 整地高さ検出手段(整地装置操作レバースイッチ)
112 植付クラッチ
121 制御手段(制御装置)
125 作業位置検出手段(リフト角ポテンショメータ)
126,132 表示装置(ロータモニタランプ、液晶表示部)
127 警報手段(警報ブザー)
131 制御手段(制御装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを搭載し、該エンジンの動力により走行する走行機体と、該走行機体に昇降自在に支持され、かつ前記エンジンからの動力が植付クラッチを介して伝達される植付装置と、該植付装置に昇降自在に支持され、かつ前記植付装置の伝動系から動力伝達される整地装置と、を備えてなる移植機において、
前記植付装置が植付け位置にあることを検出する作業位置検出手段と、
前記植付けクラッチのオン・オフを検出する植付クラッチ検出手段と、
前記整地装置が整地位置にあることを検出する整地高さ検出手段と、
警報手段と、
前記各検出手段に基づき、前記植付装置が植付位置にあり、前記植付クラッチが切状態であり、かつ前記整地装置が整地位置にあることを検出すると、前記警報手段が警報作動するように制御する制御手段と、を備える、
ことを特徴とする移植機。
【請求項2】
エンジンを搭載し、該エンジンの動力が変速装置を介して走行装置に伝達されて走行する走行機体と、該走行機体に昇降自在に支持され、かつ前記エンジンからの動力が植付クラッチを介して伝達される植付装置と、該植付装置に昇降自在に支持され、かつ前記植付装置の伝動系から動力伝達される整地装置と、を備えてなる移植機において、
前記変速装置の操作手段が走行位置にあることを検出する走行検出手段と、
前記植付装置が植付け位置にあることを検出する作業位置検出手段と、
前記植付クラッチのオン・オフを検出する植付クラッチ検出手段と、
前記整地装置が整地位置にあることを検出する整地高さ検出手段と、
警報手段と、
前記各検出手段に基づき、前記植付装置が植付け位置にあり、前記植付クラッチが切状態であり、前記整地装置が整地位置にあり、かつ前記走行装置の操作手段が走行位置にあることを検出すると、前記警報手段が警報作動するように制御する制御手段と、を備える、
ことを特徴とする移植機。
【請求項3】
前記整地装置が整地位置にあることを表示する表示装置を備え、
前記制御手段は、前記警報手段が警報作動すると同時に、前記表示装置を点滅表示してなる、
請求項1又は2記載の移植機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−259752(P2007−259752A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88733(P2006−88733)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】