説明

移植機

【課題】機体の外側方に振出されて次植付行程への指標を圃場面に形成する左右一対のサイドマーカの振出しに連動して整地体を左右方向に変位させることが可能な移植機において、利便性及び汎用性が高い移植機を提供することを課題とする。
【解決手段】走行機体3の後方に昇降可能に連結された植付作業機7と、植付作業機7の前方で左右方向に並列され圃場の整地を行う整地体9と、整地体9を左右方向に移動させる移動機構とを備えた移植機において、機体の外側方に振出されて次植付行程への指標を圃場面に形成する左右一対のサイドマーカ11と、整地体9の左右移動及び左右のサイドマーカ11の振出し制御を行う制御部79とを設け、制御部79が整地体9をサイドマーカ11の振出し方向に自動的に変位させるモードと、整地体9をサイドマーカ11の振出し方向とは関係無く左右方向中立位置に位置決め可能なモードとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、植付作業機の前方で左右方向に並列され圃場の整地を行う整地体を備えた移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
走行機体の後方に昇降可能に連結された植付作業機と、植付作業機の前方で左右方向に並列され圃場の整地を行う整地体とを備えた従来公知の移植機は、整地体前方の泥水が機体の前進走行に伴い整地体の側方に押流され、圃場の既植苗を倒伏させてしまうことがあるという欠点があった。
【0003】
上記欠点を改善するものとして、上記構成の移植機に機体の外側方に振出されて次植付行程への指標を圃場面に形成する左右一対のサイドマーカと、整地体前方の泥水を案内する泥水案内手段とを設け、サイドマーカの振出し方向、すなわち既植苗が無い側に泥水を案内する特許文献1に示す移植機が公知になっている。また、走行機体の後方に昇降可能に連結された植付作業機と、植付作業機の前方で左右方向に並列され圃場の整地を行う整地体と、整地体を左右方向に移動させる移動機構とを備え、既植苗が無い側に整地体を移動させる特許文献2に示す移植機も公知となっている。
【特許文献1】特開2007−89475号公報
【特許文献2】特許第3624506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の移植機は、サイドマーカの振出しに連動して泥水案内手段が作用するため、利便性が高い一方で、整地体の側方に近接する既植苗の倒伏が十分に防止できないという課題がある他、圃場条件やオペレータの好みによってはサイドマーカ振出し方向に泥水案内手段を常に作用させる必要がない場合もあるにもかかわらず、サイドマーカが振出されるとその振出し方向に泥水案内手段が常に作用するため、圃場条件やオペレータの好みに対応できず、汎用性の面でも課題が残る。
【0005】
また、特許文献2の移植機は、整地体自体を既植苗から離間させる方向に移動させることが可能であるため、泥水の流れ出しによる既植苗の倒伏を効率的に防止できる一方で、どのような条件を満たした場合(例えば、手段操作された場合なのか、既植苗を検知した場合なのか等)に既植苗から離間する方向に整地体を移動させるかが開示されておらず、課題が残る。
本発明は上記課題を解決し、機体の外側方に振出されて次植付行程への指標を圃場面に形成する左右一対のサイドマーカの振出しに連動して整地体を左右方向に変位させることが可能な移植機において、利便性及び汎用性が高い移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明の移植機は、第1に、走行機体3の後方に昇降可能に連結された植付作業機7と、植付作業機7の前方で左右方向に並列され圃場の整地を行う整地体9と、整地体9を左右方向に移動させる移動機構とを備えた移植機において、機体の外側方に振出されて次植付行程への指標を圃場面に形成する左右一対のサイドマーカ11と、整地体9の左右移動及び左右のサイドマーカ11の振出し制御を行う制御部79とを設け、制御部79が整地体9をサイドマーカ11の振出し方向に自動的に変位させるモードと、整地体9をサイドマーカ11の振出し方向とは関係無く左右方向中立位置に位置決め可能なモードとを有することを特徴としている。
【0007】
第2に、制御部79が整地体9をサイドマーカ11の振出し方向とは関係なく左側位置及び右側位置に変位させることが可能なモードを有することを特徴としている。
【0008】
第3に、整地体9を植付作業機7と一体的に昇降するように植付作業機7側に支持し、植付作業機7の上昇中に整地体9を中立位置に変位させ、植付作業機7の下降中に整地体9を必要に応じて右側位置又は左側位置に変位させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
以上のように構成される本発明の移植機によれば、制御部を介し、圃場条件やオペレータの好みに合わせて、整地体をサイドマーカの振出し方向に自動的に変位させるモードと、整地体をサイドマーカの振出し方向とは関係無く左右方向中立位置に位置決め可能なモードとのモード切換が可能であるため、利便性及び汎用性が高い。
【0010】
また、制御部が整地体をサイドマーカの振出し方向とは関係なく左側位置及び右側位置に変位させることが可能なモードを有することにより、状況に応じてサイドマーカの振出し方向の反対側に整地体を変位させることも可能であるため、汎用性がさらに向上する。
【0011】
さらに、整地体を植付作業機と一体的に昇降するように植付作業機側に支持し、植付作業機の上昇中に整地体を中立位置に変位させ、植付作業機の下降中に整地体を必要に応じて右側位置又は左側位置に変位させることにより、整地体が最下降して圃場に接地している間は整地体が左右方向に変位しないため、圃場を不要に荒すことが防止できる。くわえて、植付作業機の下降時又は上昇時には、整地体が最大半ストローク分しか変位しないため、整地体の余裕のある左右移動が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明を適用した乗用田植機の全体側面図である。前後輪1,2を備えた走行機体3は、中央に運転席4が設けられ、後方にリンク機構6を介して植付作業機7が昇降自在に連結され、植付作業機7(作業機)の前方且つ後輪2の後方には植付作業機7下端部の植付部8による植付作業前の圃場の整地を行う整地ロータ9(整地体)が左右方向に複数並べて配置されている。また、植付作業機7の左右の各側部には、圃場面に次植付行程への指標である走行基準線を引く(形成する)ための車輪形状のサイドマーカ11が設けられている(図9参照)。
【0013】
上記運転席4は、オペレータが着座する座席12と、座席12の前方に設けられた前面操作パネル13とを備えている。
【0014】
上記植付作業機7は、苗載せ台14を有し、油圧式アクチュエータである昇降シリンダー16によって昇降駆動され、下端部に苗載せ台14上の苗を掻き取って圃場に植え付ける前述の植付部8及び圃場を均すフロート17が複数設けられている。そして、複数のフロート17のうち、1つが植付作業機7の昇降高さを制御するための感知フロート17になっている。
【0015】
次に、図1,2及び3に基づいて、整地ロータ9の構成について説明する。
図2は左右方向中立位置にある整地ロータの平面図であり、図3は右側に変位した整地ロータの平面図である。上記各整地ロータ9は、左右方向に延びる多角柱状(図示する例では六角柱状)に形成され、植付作業機7側に前後回転自在に支持された単一のロータ軸18に軸装されており、ロータ軸18とともに一体回転するように構成されている。そして、複数の整地ロータ9は、機体の横幅全体に亘り並列配置されている。
【0016】
ロータ軸18の左右方向中央にはギヤケース19が、走行機体3の後端部下面側には駆動ケース21がそれぞれ設置されており、駆動ケース21をユニバーサルジョイント22及び伝動軸23を介してギヤケース19に接続することにより、走行機体3側で発生させた動力が上記ロータ軸18に伝動され、整地ロータ9を回転駆動させる。
【0017】
上記整地ロータ9は、リンク機構6にローリング自在に連結されている左右方向の横フレーム24を介して植付作業機7側に取付支持されており、植付作業機7と一体的に昇降するように構成されている。横フレーム24の後方には、前述の植付部8が一体的に延設されている。なお、後述するように、整地ロータ9は、植付作業機7の対しても単独で昇降可能に構成されている。
【0018】
整理ロータ9の具体的な取付支持構造について説明すると、横フレーム24前面の複数箇所(図示する例では4箇所)に前後方向の支持アーム26をそれぞれ上下揺動自在に支持し、この各支持アーム26の先端部(前端部)に上下方向の支持プレート27を前後揺動自在に吊り下げ支持している。
【0019】
この複数の支持プレート27の下端部に単一の左右方向の支持杆28を前後回転自在且つ軸方向にスライド可能に支持している。なお、複数の支持プレート27の内、1つの支持プレート27(図示する例では、右側から2番目の支持プレート27)がスライドプレートとなる。支持杆28の上記スライドプレート27との接触範囲にはスクリュー部28aが形成される一方で、スライドプレート27のスクリュー部28aとの接触部分にはスクリュー部28aの形状に応した凹部(図示しない)が形成されており、スクリュー部28aとスライドプレート27の凹部とは、支持杆28を前後回転させることにより支持杆28がスライドプレート27に対して左右方向にスライドして変位するように、係合している。
【0020】
上記支持杆28の左部及び右部には、左右方向の支持筒29がそれぞれ前後回転自在に外装されている。各支持筒29は支持杆28が前後回転しても支持杆28に対して左右移動しないように構成されている。そして、この左右の支持筒29に複数の整地ロータ9及びロータ軸18の上方を覆い且つロータ軸18を前後回転自在に軸支する単一の左右方向の枠体31が一体的に取付固定されている。
【0021】
上記構成により、整地ロータ9は植付作業機7の植付部8に対して昇降自在且つ左右移動自在に植付作業機7側に支持される。そして、整地ロータ9は、整地体昇降駆動手段であるロータ昇降モータ32(図11参照)によって昇降駆動され、整地体左右移動駆動手段であるロータスライドモータ33(図11参照)によって左右移動駆動される。
【0022】
なお、スライドプレート27、支持杆28のスクリュー部28a、ロータスライドモータ33及び後述するロータスライドモータボックス34により、整地ロータ9を左右移動させる左右スライド移動機構(左右移動機構,移動機構)を構成している。
【0023】
上記ロータ昇降モータ32は、ロータ昇降モータボックス36(モータボックス,整地体昇降駆動ボックス)内部に設置されている。ロータ昇降モータボックス36は、横フレーム24の左右方向中央部の上面に溶接等で強固に固定されている。このロータ昇降モータボックス36の前側には側面視扇状に形成されて円弧縁が後方を向き前後方向に延びる昇降アーム37が上下揺動可能に支持されている。
【0024】
この昇降アーム37の円弧縁にはギヤ37aが形成され、このギヤ37aがロータ昇降モータボックス36内のロータ昇降モータ32の動力が伝動されるギヤ(図示しない)に常時噛み合っている。このため、昇降アーム37がロータ昇降モータ32により上下揺動駆動される。
【0025】
昇降アーム37の前端部(先端部)には、上下方向の昇降プレート38が前後揺動自在に吊り下げ支持されている。この昇降プレート38の下端部には、述した支持杆28が前後回転自在且つ左右スライド自在に支持されている。そして、昇降アーム37の上下揺動によって支持杆28及び支持杆28に支持される枠体31、ロータ軸18及び整地ロータ9等が植付作業機7の植付部8に対して昇降駆動される。
【0026】
上記ロータスライドモータ33は、ロータスライドモータボックス34(モータボックス,整地体左右移動駆動ボックス)内部に設置されている。ロータスライドモータボックス34は、支持杆28の左右方向中央部の外周に外装されるとともに枠体31に固設されており、内部のロータスライドモータ33によって支持杆28を前後回転駆動させる。支持杆28が前後回転駆動されること、スライドプレート27及びスクリュー部28aの作用によって、スライドプレート27、スライドプレート27以外の支持アーム27及び昇降アーム38に対して、支持杆28が左右方向にスライド移動し、その結果、枠体31、ロータ軸18及び整地ロータ9が植付作業機7の植付部8に対して左右方向に変位する。
【0027】
例えば、植付部8に対して左右方向中立位置にある整地ロータ9(左右方向に並列された複数の整地ロータ9)は、支持杆28を一方側に回転駆動させることにより左側に変位する一方、支持杆28を他方側に回転駆動させることにより右側に変位する(図2,3参照)。
【0028】
上記構成により、既に圃場に植え付けされた既植苗Pから離間するように左右方向に整理ロータ9を変位させ、整地ロータ9前方の泥水が走行機体3の前進走行に伴い整体ロータ9の側方に押流され、圃場の既植苗Pを倒伏させてしまうという不具合を防止することが可能になる。
【0029】
次に、図4,5及び6に基づいて、前面操作パネル13の構成について説明する。
図4は、前面操作パネルの斜視図である。前面操作パネル13にはステアリングハンドル39が支持され、このステアリングハンドル39の基端部には、この基端部から右側方に突出形成された作業機操作レバー41(作業機操作具)が上下揺動操作可能且つ前後揺動操作可能に支持されており、オペレータが作業機操作レバー41から手を離すと先端部が自然に斜め上方を向いた基本姿勢に復元するように構成されている。
【0030】
植付作業機7が圃場に接地し、植付部8への動力の入切を行う植付クラッチ(図示しない)が入状態(植付部8に動力が伝動される状態)になっている際に、作業機操作レバー41を1回上方揺動操作すると植付クラッチが切操作され、さらにもう1回上方揺動操作すると植付作業機7が上昇駆動される。一方、植付作業機7が上昇位置に固定されている状態から作業機操作レバー41を1回下方揺動操作すると植付作業機7が下降駆動し、さらにもう1回下方揺動操作すると植付クラッチが入操作される。なお、植付作業機7の上昇駆動時に作業機操作レバー41を下方揺動操作することにより植付作業機7の上昇を停止させ、植付作業機7の下降駆動時に作業機操作レバー41を上方揺動操作することにより植付作業機7の下降を停止させる。詳細については、後述する。
【0031】
また、作業機操作レバー41を前後揺動操作することにより、左右のサイドマーカ11,11の操作を行う。作業機操作レバー41を前方揺動操作すると、左サイドマーカ11のロックが解除され、植付作業機7の昇降にともなって左サイドマーカ11の振出し及び収納が行われる。一方、作業機操作レバー41を後方揺動操作すると、右サイドマーカ11のロックが解除され、植付作業機7の昇降にともなって右サイドマーカ11の振出し及び収納が行われる。詳細については後述する。
【0032】
図5は、前面操作パネルの平面図である。前面操作パネル13の左部には左設置部42が、左右方向中央には中央設置部43が、右部には右設置部44がそれぞれ形成されている。左側設置部42からは走行変速レバー46(図1参照)が前後揺動自在に突出しており、この走行変速レバー46により走行機体3の前後進操作を行う。右設置部44から各種操作具(図示しない)が突出している。
【0033】
中央設置部43には、前述した作業機操作レバー41及び上記ステアリングハンドル39が支持されている。そして、中央設置部43のステアリングハンドル43の前方には表示部47が形成され、左側方にはロータスイッチ48、マーカ自動スイッチ49及び作業機準備スイッチ51が配置されている。くわえて、中央設置部43の左側方には、整地ロータ9の植付作業機7にする相対高さを調整するロータ深さ調節スイッチ52(整地体昇降操作具)と、整地ロータ9の左右移動操作を行うダイヤル式のロータスライド操作スイッチ53(整地体左右移動操作具)とが設けられている。なお、上記ロータスイッチ48、マーカ自動スイッチ49及び作業機準備スイッチ51の作用については、後述する。
【0034】
図6は、表示部の平面図である。表示部47の左右方向中央下部には整地ロータ9の左右位置を表示する左右位置表示帯54が形成されている。表示部47の左部には左サイドマーカ11が振出可能になることにより点灯する左矢印形状の左サイドマーカ振出表示56Lが設けられ、右部には右サイドマーカ11が振出可能になることにより点灯する右矢印形状の右サイドマーカ振出表示56Rが設けられている。
【0035】
左右位置表示帯54は、左部の左矢印54Lと、中央部の中立印54Cと、右部の右矢印54Rとにより構成されている。整理ロータ9が左側に変位している場合には左矢印54Lが点灯し、整理ロータ9が左側に変位している場合には右矢印54Rが点灯し、整理ロータ9が左右方向中立位置にある場合には、中立印54Cが点灯するように構成されている。
【0036】
次に、図7及び8に基づいて植付作業機7の昇降制御機構の構成について説明する。
図7は、植付作業機の昇降制御機構の要部側面図である。植付作業機7を昇降駆動させる前述の昇降シリンダー16の伸縮は、油圧切換弁であるコントロールバルブ57によって、制御される。また、走行機体3と植付作業機7を連結するリンク機構6の前端部には、植付作業機7の昇降高さ、及び動作をセンシングするリフタ角ポテンショ58(図11参照)が設けられている。
【0037】
コントロールバルブ57には、コントロールバルブ57を作動させる側面図略正方形状の作動アーム59と、その周辺には植付クラッチの入切操作を行う操作アーム61と、上記作動アーム59と操作アーム61を連係させる側面視略扇形状の作業機操作カム62と、作業機操作カム62を回動駆動させる作業機操作カムモータ63と、作業機操作カム62の回動位置をセンシングする作業機操作カムポテンショ64とがそれぞれ設けられている。
【0038】
前述した作業機操作レバー41の操作に応じて、作業機操作カムモータ63により作業機操作カム62を回動駆動させ、作動アーム59及び操作アーム61を操作する。作業機操作カム62は、回動位置が作業機操作カムポテンショ64によってセンシングされており、植付作業機7が上昇状態且つ植付クラッチが切状態になる位置に作動アーム59及び操作アーム61を回動させる「上げ」ポジションと、植付作業機7が停止状態且つ植付クラッチが切状態になる位置に作動アーム59及び操作アーム61を回動させる「固定」ポジションと、植付作業機7が感知フロート17による自動昇降制御状態且つ植付クラッチが切状態になる位置に作動アーム59及び操作アーム61を回動させる「下げ」ポジションと、植付作業機7が感知フロート17による自動昇降制御状態且つ植付クラッチが入状態になる位置に作動アーム59及び操作アーム61を回動させる「植付」ポジションとの何れかに位置決めされる。
【0039】
図8は、植付作業機の感知フロートによる自動昇降制御機構を示す要部側面図である。感知フロート17は、植付作業機7に対して上下揺動可能に支持されており、植付作業機7が上昇して感知フロート17が圃場面から離間すると自重で前下がり状態になる一方で、植付作業機7が下降して感知フロート17が圃場面に接地すると圃場からの土圧により前上がり状態なるように構成されている。
【0040】
上記構成の感知フロート13の前端部は、連係機構66を介して、前述したコントロールバルブ57の作動アーム59と連結されている。上記連係機構57は、植付作業機7が感知フロート17により自動昇降制御されている際、感知フロート17が前下がり状態になると植付作業機7を下降駆動させる方向に、前上がり状態になると植付作業機7を上昇駆動させる方向に作動アーム59を回動操作するように構成されている。以上のようにして、圃場面に対して最適な植付深さになるように植付作業機7の昇降高さが制御される。
【0041】
次にマーカ振出し制御機構について説明する。
図9はサイドマーカ振出し制御機構の平面図であり、図10(A)は収納された状態のマーカ振出し制御機構の側面図であり、(B)はマーカが振出された状態のマーカ振出し制御機構の側面図である。各サイドマーカ11は、植付作業機7の植付部18の側方に振出される振出し姿勢と、植付作業機7の側部に沿って起立して収納される収納姿勢との何れかに姿勢切換可能に構成されており、バネ(図示しない)により振出し姿勢方向に付勢されている。
【0042】
サイドマーカ振出し制御機構は、前後揺動自在に支持された左右一対の作動アーム67,67と、連係ロッド68を介して前述したリンク機構6と連結されるローラアーム69と、左右の作動アーム67を前方揺動位置で各別にロックする左右のロックアーム71とを備えている。
【0043】
各作動アーム67は、ワイヤ72を介して左右の対応するサイドマーカ11に連結され、最後方位置に揺動されることにより、サイドマーカ11の振出し姿勢への姿勢切換が行われるように構成されている。
【0044】
ローラアーム69は、作動アーム67と当接するローラ69aを有しており、植付作業機7の上昇時にリンク機構6の作用により前方揺動して各作動アーム67を前方に押し上げる一方で、植付作業機7の下降時にリンク機構6の作用により後方揺動して各作動アーム67の後方揺動を許容するように構成されている。後方揺動が許容された作動アーム67は、サイドマーカ11が振出し方向に付勢されているため自動的に最後方位置まで揺動する。そして、サイドマーカ11が外側方に振出され、圃場面の次植付行程への指標である走行基準線を引くことが可能に状態になる。
【0045】
各ロックアーム71は、前後揺動可能に支持され、スプリング(図示しない)で後方に付勢されている。各作動アーム67が前方位置に揺動さている状態で対応するロックアーム71を最後方位置に揺動させると、作動アーム67とロックアーム71とが係合し、作動アーム67が前方揺動位置で固定され、これにともない対応するサイドマーカ11が収納姿勢で固定される。
【0046】
上記構成の左右のロックアーム71は、左右方向の単一の切換アーム73によって切換操作される。切換アーム73は、平面視左右方向中心を回動支点として前後回動し、左端部にロッド74を介して左サイドマーカ11用の左側のロックアーム71が、右端部にロッド74を介して右サイドマーカ11用の右側のロックアーム71がそれぞれ連結されている。
【0047】
そして、切換アーム73の姿勢変更により、サイドマーカの振出方向の切換を行う。切換アーム73が左に向かって前方に傾いた姿勢では、左側のロックアーム71を前方揺動させて左サイドマーカ11のロックを解除するとともに右側のロックアーム71を後方揺動させて右サイドマーカ11をロックする「左振出」状態になる。切換アーム73が右に向かって前方に傾いた姿勢では、右側のロックアーム71を前方揺動させて右サイドマーカ11のロックを解除するとともに左側のロックアーム71を後方揺動させて左サイドマーカ11をロックする「右振出」状態になる。切換アーム73の左右両端が前後に傾かずに全体が略横方向を向いた姿勢では、両ロックアーム71を後方揺動させて両サイドマーカ11,11を収納姿勢でロックする「リセット」状態になる。
【0048】
上記構成の切換アーム73は、マーカモータ76によって姿勢変更され、マーカロック検出スイッチ77によってその姿勢が検出される。
【0049】
次に、本乗用田植機に搭載される制御装置78の構成ついて説明する。
図11は、本乗用田植機に搭載される制御装置のブロック図である。制御装置78は、マイコン等で構成される制御部79の入力側及び出力側に各種機器等が接続されることにより構成される。
【0050】
制御部79の入力側には、前述のロータスイッチ48、マーカ自動スイッチ49、作業機準備スイッチ51、ロータ深さ調節スイッチ52、ロータスライド操作スイッチ53、リフト角ポテンショ58、作業機操作カムポテンショ64及びマーカロック検出スイッチ77と、作業機操作レバーの上下前後の揺動操作を検出する4つの作業機操作スイッチ81,82,83,84と、整地ロータ9の左右位置(植付部8に対する相対的な左右位置)を検出するロータ左右位置検出センサ86(整地体左右位置検出手段)と、整地ロータ9の昇降高さ(植付部8に対する相対高さ)を検出するロータ高さ検出ポテンショ87(整地体高さ検出手段)とが接続されている。
【0051】
制御部79の出力側には、前述の作業機操作カムモータ63、マーカモータ76、ロータ昇降モータ32及びロータスライドモータ33が接続されている。
【0052】
図12は、制御装置を介した植付作業機制御の処理フロー図である。処理が開始されるとステップS1に進む。ステップS1では、作業機操作レバー41の下方揺動操作の検出を行い、下方揺動操作が検出されないと、ステップS2に進む。ステップS2では、作業機操作レバー41の上方揺動操作の検出を行い、作業機操作レバー41の上方揺動操作が検出されると、ステップS3に進む。
【0053】
ステップS3では、植付作業機7の状態を検出し、「上昇状態」以外であればステップS4に進む。なお、植付作業機7は、上記作業機操作カムポテンショ64等によって検出され、上記作業機操作カム62が前述した「上げ」ポジションに位置決めされていると「上昇状態」として、前述した「固定」ポジションに位置決めされていると「固定状態」として、前述した「下げ」ポジションに位置決めされていると「自動状態(自動下降状態)」として、前述した「植付」ポジションに位置決めされていると「植付状態」として制御部79に認識される。
【0054】
ステップS4でも、植付作業機7の状態を検出し、「固定状態」以外であればステップS5に進む。ステップS5でも、植付作業機7の状態を検出し、「植付状態」であればステップS6に進む。ステップS6では、作業機操作カムモータ63を介して、作業機操作カム62を「下げ」ポジションに位置決めし、植付作業機7を「自動状態」とし、ステップS1に処理を戻す。
【0055】
ステップS2において、作業機操作レバー41の上方揺動操作が検出されないと、ステップS7に進む。ステップS7では、「植付クラッチ入待ち状態」の検出を行い、検出されるとステップS8に進み、検出されないと処理をステップS1に戻す。なお、「植付けクラッチ入待ち状態」とは、作業機操作レバー41により植付クラッチの入操作がされているが植付作業機7が植付作業位置まで下降していない状態を意味し、後述するステップS24によってセットされる。
【0056】
ステップS8では、「作業機下降動作停止」の検出を行い、検出されるとステップS9に進み、検出されないとステップS1に処理を戻す。なお、「作業機下降動作停止」とは、「自動状態」にある植付作業機7が植付作業可能な位置まで下降して略停止した状態を意味し、上記リフタ角ポテンショ58及び作業機操作カムポテンショ64等により検出される。ステップS9では、作業機操作カム62を「植付」ポジションに位置決めして植付作業機7を「植付状態」とし、処理をステップS1に戻す。
【0057】
ステップS3において、植付作業機7の「上昇状態」が検出されるとステップS1に処理が戻される。ステップS4において、植付作業機の「固定状態」が検出されると、ステップS10に進む。ステップS10では、作業機操作カムを「上げ」ポジションに位置決めして植付作業機7を「上昇状態」とし、ステップS1に処理を戻す。
【0058】
ステップS5において、植付作業機7の「自動状態」が検出されると、ステップS11に進む。ステップS11では、「作業機下降動作停止」の検出を行い、「作業機下降動作停止」が検出されるとステップS10に進み、「作業機下降動作停止」が検出されないとステップS12に進む。ステップS12では、作業機操作カム62を「固定」ポジションに位置決めして植付作業機7を「固定状態」とし、ステップS1に処理を戻す。
【0059】
ステップS1において、作業機操作レバー41の下方揺動操作が検出されると、ステップS16に進む。ステップS16では、作業機準備スイッチ51による検出を行い、作業機準備スイッチ51のON状態が検出されると、ステップS17に進む。ステップS17では、植付作業機7の状態を検出し、「上昇状態」以外であればステップS18に進む。
【0060】
ステップS18でも、植付作業機7の状態を検出し、「自動状態」以外であればステップS19に進む。ステップS19でも、植付作業機7の状態を検出し、「固定状態」であればステップS20に進み、「植付状態」であればステップS1に処理を戻す。ステップS20では、作業機操作カム62を「下げ」ポジションに位置決めして植付作業機7を「自動状態」とし、ステップS1に処理を戻す。
【0061】
ステップS17において、植付作業機7の「上昇状態」が検出されると、ステップS21に進む。ステップS21では、作業機操作カム62を「固定」ポジションに位置決めして植付作業機7を「固定状態」とし、ステップS1に処理を戻す。
【0062】
ステップS18において、植付作業機7の「自動状態」が検出されると、ステップS22に進む。ステップS22では、「作業機下降動作停止」の検出を行い、検出がされるとステップS23に進み、検出されないとステップS24に進む。ステップS23では、作業機操作カム62を「植付」ポジションに位置決めして植付作業機7を「植付状態」とし、処理をステップS1に戻す。ステップS24では、「植付クラッチ入り待ち状態」である旨の情報を制御部79にフィードバックして処理をステップS1に戻す。この情報は前述したステップS7における検出の際に利用される。
【0063】
ステップS16において、作業機準備スイッチ51のOFF状態が検出されると、ステップS25に進む。ステップS25では、植付作業機7の状態を検出し、「上昇状態」であれば前述のステップS21に、「上昇状態」以外の状態であればステップS26に進む。ステップ26でも植付作業機7の状態を検出し、「固定状態」が検出されるとステップS27に進み、「固定状態」以外の状態が検出されるとステップS1に処理を戻す。ステップS27では、作業機操作カム62を「下げ」ポジションに位置決めして植付作業機7を「自動状態」とし、ステップS1に処理を戻す。
【0064】
上記処理フローによって、前述したように、作業機操作レバー41を介した植付作業機7の昇降操作及び植付クラッチの入切操作が行われる。なお、ステップS16の処理によって、作業機準備スイッチ51がON状態になっていないと、作業機操作レバー41の下方揺動操作による植付クラッチの入操作が行えないようになっている。
【0065】
図13は、制御装置を介したサイドマーカ制御の処理フロー図である。サイドマーカ制御には、マーカモードと、植付クラッチフラグと、両落ち操作タイマとが利用される。
【0066】
マーカモードには、左右のサイドマーカ11,11の何れを振出すかが自動で切り換わる「自動ON」モードと、自動では切り換わらない「自動OFF」モードとの2モードを有している。植付クラッチフラグは、外部ルーチンで行われる植付クラッチの入切操作検出に基づくフラグであり、ON状態で植付クラッチの入切操作が行われたことを示す一方で、OFF状態で植付クラッチの入切操作が行われなかったことを示す。そして、リセットされることによりOFF状態に切り換わる。両落ち操作タイマは、セットした時間から0までのカウントダウンを行うタイマであり、カウントダウンが終了していない間、作業機操作レバー41による左右のサイドマーカ11,11の振出し操作が許容される。
【0067】
サイドマーカ制御では、まずステップS31に進む。ステップS31では作業機準備スイッチ51による検出を行い、作業機準備スイッチ51のON状態が検出されると、ステップS32に進み、作業機準備スイッチ51のOFF状態が検出されると再度ステップS31の処理に戻り、作業機準備スイッチ51がON状態になるまでステップS31による処理を繰り返す。このため、作業機準備スイッチ51がON操作されるまで、サイドマーカ11の振出しは行われない。
【0068】
ステップS32では、植付作業機7の状態を検出し、植付作業機7の「下降状態」以外の状態が検出されるとステップS33に進む。ステップS33では両落ち操作タイマを設定時間T1でセットし、ステップS34に進む。ステップS34では、植付作業機7の昇降高さを検出し、植付作業機7が最上昇位置にある場合にはステップS35に進み、それ以外の高さにある場合にはステップS31に処理を戻す。
【0069】
ステップS35では、マーカモードの検出を行い、マーカモードの「自動ON」が検出されると、ステップS36に進む。ステップS36では、植付クラッチフラッグの検出を行い、ON状態が検出されるとステップS37に進む。ステップS37では、サイドマーカ11の振出方向の検出を行い、「リセット」状態ではステップS38に進み、「リセット」状態以外の状態ではステップS39に進む。
【0070】
ステップS38では切換アーム73により「右振出」状態への切換を行い、ステップS40に進む。一方、ステップS39では、切換アーム73により「右振出」状態の場合には「左振出」状態への切換を行い、「左振出」状態の場合には「右振出」状態への切換を行い、ステップS40に進む。ステップS40では、植付クラッチフラグをリセットし、ステップS41に進む。
【0071】
ステップS35において、マーカモードの「自動OFF」が検出されると、ステップS40に進む。ステップS36において植付クラッチフラグのOFF状態が検出された場合もステップS40に進む。
【0072】
なお、本乗用田植機は、機体の左側方を圃場隅に向けた状態から植付作業を開始するため、最初(「リセット」状態)では、切換アーム73により「右振出」状態への状態切換を行い、植付作業とともに右サイドマーカ11によって圃場への走行基準線の線引きを行う。そして、植付クラッチの入切動作を伴う植付作業機7の昇降操作を行い、圃場における次植付行程での植付作業に以降すると、振出すサイドマーカ11を右サイドマーカ11から左サイドマーカ11に切り換え、以下、次植付行程に植付作業が以降する度に、左右の振出方向の切換を行う。この植付作業及び次植付工程への走行基準線の線引きに対応して、ステップS35〜S40により、サイドマーカ11の自動振出し制御が行われる。
【0073】
ステップS41では、作業機操作レバー41による左右のサイドマーカ11,11の振出操作の検出を行い、作業機操作レバー41の前方揺動操作(左振り出し操作)が検出されると、ステップS42に進む。ステップS42では、サイドマーカ11の振出方向の検出を行い、「左振出」状態以外の状態が検出されるとステップS43に進む。ステップS43では、切換アーム73により「左振出」状態への状態切換を行いステップS44に進む。ステップS44では、マーカモードを「自動ON」にセットしてステップS49に進む。ステップS42において、「左振出」状態が検出されると、ステップS43〜44の処理を行わずに直にステップS49に進む。
【0074】
ステップS41において、作業機操作レバー41の左振り出し操作が検出されないとステップS45に進む。ステップS45でも、作業機操作レバー41による左右のサイドマーカ11,11の振出操作の検出を行い、作業機操作レバー41の後方揺動操作(右振り出し操作)が検出されるとステップS46に進み、検出されないとステップS49に進む。ステップS46では、サイドマーカ11の振出方向の検出を行い、「右振出」状態以外の状態が検出されるとステップS47に進み、「右振出」状態が検出されるとステップS49に進む。ステップS47では、切換アーム73により「右振出」状態への状態切換を行いステップS48に進む。ステップS48では、マーカモードを「自動ON」にセットしてステップS49に進む。
【0075】
以上、ステップS41〜48の処理フローによって、振出されているサイドマーカ11と異なる側のサイドマーカ11を作業機操作レバー41により振出し操作すると、振出方向切換が行われるとともに、オートマーカフラグが「自動ON」にセットされ、以後、ステップS35〜40によるサイドマーカ11の自動振出し制御が行われる。
【0076】
ステップS49では、マーカ自動スイッチ49による検出を行い、マーカ自動スイッチ49の押し操作が検出されるとステップS50に進み、マーカ自動スイッチ49の押し操作が検出されないとステップS31に処理を戻す。ステップS50では、マーカモードの検出を行い、「自動OFF」が検出されるとステップS51に進み、「自動ON」が検出されるとステップS52に進む。
【0077】
ステップS51では、オートモードを「自動ON」にセットし、ステップS51に処理を戻す。ステップS52では、切換アーム73により「リセット」状態への状態切換を行い、ステップS53に進む。ステップS53では、マーカモードを「自動OFF」にセットし、ステップS31に処理を戻す。
【0078】
以上、ステップS49〜53の処理により、マーカ自動スイッチ49の押し操作を検出して、ステップS35〜40によるマーカの自動振出し制御を行うか否かの切り換えを行う。
【0079】
ステップS32において、植付作業機7の「下降状態」が検出されるとステップS54に進む。ステップS54では、両落ち操作タイマによる検出を行い、両落ち操作タイマが、前回ループ以前にステップS33においてセットされた設定時間Tのカウントを続行中であることが検出されるとステップS55に進み、両落ち操作タイマのカウントの終了が検出されるとステップS31に処理を戻す。
【0080】
ステップS55では、作業機操作レバー41による左右のサイドマーカ11,11の振出操作の検出を行い、作業機操作レバー41の前方揺動操作(左振り出し操作)が検出されると、ステップS56に進む。ステップS56では、サイドマーカ11の振出方向の検出を行い、「左振出」状態以外の状態が検出されるとステップS57に進み、「左振出」状態が検出されるとステップS31に処理を戻す。ステップS57では、切換アーム73により「左振出」への状態切換を行い、ステップS31に処理を戻す。
【0081】
ステップS55において、作業機操作レバー41の左振り出し操作が検出されないと、ステップS58に進む。ステップS58では、作業機操作レバー41による左右のサイドマーカ11,11の振出操作の検出を行い、作業機操作レバー41の後方揺動操作(右振り出し操作)が検出されるとステップS59に進み、作業機操作レバー41の後方揺動操作が検出されないとステップS31に処理を戻す。
【0082】
ステップS59では、サイドマーカ11の振出方向の検出を行い、「右振出」状態以外の状態が検出されるとステップS60に進み、「右振出」状態が検出されるとステップS31に処理を戻す。ステップS60では、切換アーム73により「右振出」状態への状態切換を行い、ステップS31に処理を戻す。
【0083】
以上、ステップS54〜80の処理により、植付作業機7の下降動作後の所定時間(T1)、作業機操作レバー41による左右のサイドマーカ11,11の振出し手動操作が許容される。
【0084】
図14は、制御装置を介した整地ロータ制御の処理フロー図である。整地ロータ9の制御が開始されると、ステップS71に処理が進む。ステップS71では、作業機準備スイッチのON・OFF検出を行い、OFF状態であればステップS72に進み、ON状態であればステップS73に進む。ステップS72では、植付作業を行わない状態であるため、整地ロータ9を左右方向の中立位置に変位させてステップS71に処理を戻す。
【0085】
ステップS73では、ロータスイッチのON・OFF検出を行い、ON状態であればステップS74に進み、OFF状態であればステップS71に処理を戻す。ステップS74では、マーカ自動スイッチのON・OFF検出を行い、ON状態であればステップS75に進む。
【0086】
ステップS75では、ロータスライド操作スイッチ53の検出を行う。ちなみに、ロータスライド操作スイッチ53は、ダイヤル操作により、「切」状態と、「連動」状態と、「左」状態と、「右」状態と状態切換を行う。ステップS75において、「連動」状態になっていることが検出されると、ステップS76に進む。ステップS76では、整地ロータ9の動作をマーカ連動作動にセットして、ステップS77に進む。
【0087】
ステップS77では、サイドマーカ11の振出方向の検出を行い、「左振出」状態が検出されるとステップS78に進み、「右振出」状態が検出されるとステップS79に進む。ステップS78では、切換アーム73により「左振出」状態への状態切換を行いステップS80に進む。ステップS79では、切換アーム73により「右振出」状態への状態切換を行いステップS80に進む。なお、前述したステップS31〜S60処理ループにおいても、切換アーム73により状態切換を行うが、別ルーチンである本ループにおいても同期を合わせるためにステップS77〜S80の処理を行う。
【0088】
ステップS80では、植付作業機7が走行機体3に対して最上げ位置にあるか否かの検出を行い、最上げ位置にあればステップS81に進む。ステップS81では、作業機操作レバー41の下降揺動操作(植付作業機7の下降操作)の検出を行い、下方揺動操作が検出されるとステップS82に進む。
【0089】
ステップS82では、植付作業機7の昇降高さの検出を行い、設定した高さ以下である場合にはステップS83に進み、設定高さ以下になってしない場合にはステップS82による検出を繰り返す。
【0090】
ステップS83では、整地ロータ9を、ロータ昇降モータ32を介して整地作業を行う位置まで下降駆動させ且つ整地ロータ9への動力の入切を行うロータクラッチ(図示しない)を入作動させるとともに、ロータスライドモータ33を介してサイドマーカ11の振出方向(左右方向の対応する一方側)に整地ロータ9を変位させ、処理をステップS71に戻す。
【0091】
ステップS81において、作業機操作レバー41の下降揺動操作が検出されないと、ステップS84に進む。ステップS84では、植付作業機7が所定高さに下降するまで、マーカ連動待ち状態として、ステップS71に処理を戻す。
【0092】
ステップS80において、植付作業機7が最上げ位置以外の位置にあればステップS85に進む。ステップS85では、植付作業機7が植付作業高さにあるか否かの検出を行い、植付作業高さになっている場合にはステップS86に進み、植付作業高さになっていない場合にはステップS71に処理を戻す。ステップS86では、作業機操作レバー41の上方揺動操作(植付作業機7の上昇操作)の検出を行い、検出されるとステップS87に進み、検出されないとステップS88に進む。
【0093】
ステップS87では、整地ロータ9を、ロータ昇降モータ32を介して非整地作業位置まで上昇駆動させ且つロータクラッチを入操作せるとともに、ロータスライドモータ33を介して整地ロータ9を作業機作業機7の植付部8に対して左右方向中立位置に変位させ、処理をステップS71に戻す。ステップS88では、植付作業機7が所定高さに上昇するまで、マーカ中立移動待ち状態として、ステップS71に処理を戻す。
【0094】
ステップS76〜S88によって、植付作業機7が最上昇位置から植付作業機高さに下降する過程で、整地ロータ9がサイドマーカ11の振出方向に変位する一方で(ステップS81〜S84)、植付作業機7が植付作業高さから上昇する過程で、整地ロータ9が植付作業機7の植付部7に対して左右方向中立位置に変位する(ステップS85〜S88)。すなわち、植付作業機7が最上昇高さにある場合や植付作業高さにある場合には、整地ロータ9が左右移動しないように構成されている。このため、植付作業機7が植付作業高さにある際に整理ロータ9が左右移動して、圃場を荒らしてしまうことが防止される。
【0095】
なお、最上昇高さにある植付作業機7が下降作動しても、植付作業機7が所定高さ以下まで下降しないと、整地ロータ9が左側位置又は右側位置に変位しない一方で、作業高さにある植付作業機7が上昇作動すると、整地ロータ9は直ちに左右方向中立位置に変位する。
【0096】
ステップS75において、ロータスライド操作スイッチ53により「連動」状態以外の状態が検出されるとステップS89に進む。ステップS89では、ロータスライド操作スイッチ53の検出を行い、「左」状態が検出されるとステップS90に進み、「左」状態以外の状態が検出されるとステップS91に進む。
【0097】
ステップS90では、整地ロータ9を左側位置に変位するようにセットし、ステップS94に進む。ステップS91では、ロータスライド操作スイッチ53の検出を行い、「右」状態が検出されるとステップS92に進み、「右」状態以外の状態が検出されるとステップS93に進む。ステップS92では、整地ロータ9を右側位置に変位するようにセットし、ステップS94に進む。ステップS93では、整地ロータ9が左右方向中立位置に変位するようにセットし、ステップS94に進む。
【0098】
ステップS94では、植付作業機7が最上げ位置にあるか否かの検出を行い、最上げ高さにあることが検出されると、ステップS95に進む。ステップS95では、作業機操作レバー41の下方揺動操作の検出を行い、検出されるとステップS96に進む。ステップS96では、植付作業機7の昇降高さの検出を行い、設定した高さ以下に下降している場合にはステップS97に進み、設定高さ以下に下降していない場合にはステップS96による検出を繰り返す。ステップS97では、整地ロータ9を、ロータ昇降モータ32を介して整地作業を行う位置まで下降駆動させ且つロータクラッチを入作動させるとともに設定位置(前述したステップS90,ステップS92若しくはステップS93による設定位置、又は後述するステップS104,ステップS106若しくはステップS107による設定位置)に変位させ、処理をステップS71に戻す。
【0099】
ステップS95において、作業機操作レバー41の下方揺動操作が検出されないと、ステップS98に進む。ステップS98では、植付作業機7が所定高さに下降するまで、ロータ移動待ち状態として、ステップS71に処理を戻す。
【0100】
ステップS94において、植付作業機7が最上げ高さ以外にあることが検出されると、ステップS99に進む。ステップS99では、植付作業機7が植付作業高さにあるか否かの検出を行い、植付作業高さになっている場合にはステップS100に進み、植付作業高さになっていない場合にはステップS71に処理を戻す。ステップS100では、作業機操作レバー41の上方揺動操作の検出を行い、検出されるとステップS101に進み、検出されないとステップS102に進む。
【0101】
ステップS101では、整地ロータ9を、ロータ昇降モータ32を介して非整地作業位置まで上昇駆動させ且つロータクラッチを切作動させるとともに、ロータスライドモータ33を介して整地ロータ9を作業機作業機7の植付部8に対して左右方向中立位置に変位させる。くわえて、整地ロータ11を変位させる予定だった設定位置のキャンセルを行い、処理をステップS71に戻す。ステップS102では、植付作業機7が所定高さに上昇するまで、マーカ中立移動待ち状態とする。くわえて、整地ロータ11を変位させる予定だった設定位置のキャンセルを行い、処理をステップS71に戻す。
【0102】
ステップS74において、マーカ自動スイッチ49がOFF状態であれば、サイドマーカ11が自動振出し制御されていない状態であるため、ステップS103に進む。ステップS103では、ロータスライド操作スイッチ53の検出を行い、「左」状態が検出されるとステップS104に進み、「左」状態以外の状態が検出されるとステップS105に進む。
【0103】
ステップS104では、整地ロータ9を左側位置に変位するようにセットし、ステップS94に進む。ステップ105では、ロータスライド操作スイッチ53の検出を行い、「右」状態が検出されるとステップS106に進み、「右」状態以外の状態が検出されるとステップS107に進む。ステップS106では、整地ロータ9を右側位置に変位するようにセットし、ステップS94に進む。ステップS93では、整地ロータ9が左右方向中立位置に変位するようにセットし、ステップS94に進む。
【0104】
上記ステップS75,S89〜S107の処理によって、ロータスライド操作スイッチ53による手動操作に基づき、植付作業機7が最上方位置から植付作業機高さに下降する過程で、ロータスライド操作スイッチ53によって設置した位置に整地ロータ9を変位させる一方で、植付作業機7が植付作業高さから上昇する過程で、整地ロータ9が植付作業機7の植付部7に対して左右方向中立位置に変位させる。
【0105】
なお、最上昇高さにある植付作業機7が下降作動しても、植付作業機7が所定高さ以下まで下降しないと、整地ロータ9が左側位置又は右側位置に変位しない一方で、作業高さにある植付作業機7が上昇作動すると、整地ロータ9は直ちに左右方向中立位置に変位する。
【0106】
そして、上記構成により、本乗用田植機は、前述したロータスライド操作スイッチ53のダイヤル操作によって、整地ロータ9をサイドマーカ11の振出し方向に自動的に変位させるモードと、整地ロータ9をサイドマーカ11の振出し方向とは関係無く左右方向中立位置に位置決め可能なモードと、整地ロータ9をサイドマーカ11の振出し方向とは関係なく左側位置及び右側位置に変位させることが可能なモードとを有することになる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明を適用した乗用田植機の全体側面図である。
【図2】左右方向中立位置にある整地ロータの平面図である。
【図3】右側に変位した整地ロータの平面図である。
【図4】前面操作パネルの斜視図である。
【図5】前面操作パネルの平面図である。
【図6】表示部の平面図である。
【図7】植付作業機の昇降制御機構の要部側面図である。
【図8】植付作業機の感知フロートによる自動昇降制御機構を示す要部側面図である。
【図9】サイドマーカ振出し制御機構の平面図である。
【図10】(A)は収納された状態のマーカ振出し制御機構の側面図であり、(B)はマーカが振出された状態のマーカ振出し制御機構の側面図である。
【図11】本乗用田植機に搭載される制御装置のブロック図である。
【図12】制御装置を介した植付作業機制御の処理フロー図である。
【図13】制御装置を介したサイドマーカ制御の処理フロー図である。
【図14】制御装置を介した整地ロータ制御の処理フロー図である。
【符号の説明】
【0108】
3 走行機体
7 植付作業機(作業機)
9 整地ロータ(整地体)
11 サイドマーカ
79 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体(3)の後方に昇降可能に連結された植付作業機(7)と、植付作業機(7)の前方で左右方向に並列され圃場の整地を行う整地体(9)と、整地体(9)を左右方向に移動させる移動機構とを備えた移植機において、機体の外側方に振出されて次植付行程への指標を圃場面に形成する左右一対のサイドマーカ(11)と、整地体(9)の左右移動及び左右のサイドマーカ(11)の振出し制御を行う制御部(79)とを設け、制御部(79)が整地体(9)をサイドマーカ(11)の振出し方向に自動的に変位させるモードと、整地体(9)をサイドマーカ(11)の振出し方向とは関係無く左右方向中立位置に位置決め可能なモードとを有する移植機。
【請求項2】
制御部(79)が整地体(9)をサイドマーカ(11)の振出し方向とは関係なく左側位置及び右側位置に変位させることが可能なモードを有する請求項1の移植機。
【請求項3】
整地体(9)を植付作業機(7)と一体的に昇降するように植付作業機(7)側に支持し、植付作業機(7)の上昇中に整地体(9)を中立位置に変位させ、植付作業機(7)の下降中に整地体(9)を必要に応じて右側位置又は左側位置に変位させる請求項1又は2の移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−125044(P2009−125044A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306417(P2007−306417)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】