説明

移植機

【課題】薬剤散布装置を備える予備苗給送装置において、最後部の苗箱(4番苗箱)を抜き取る際に、この状態で散布装置は停止しているが、不用意に抜き取ると散布装置から薬剤が散布されてしまい、2番苗箱・3番苗箱上に薬剤が過剰に散布されることを防止すること。
【解決手段】予備苗給送装置22上の最後部の予備苗Aに対し、後部の苗位置検出手段SW−Dと前部の苗位置検出手段SW−Eとを設け、両苗位置検出手段SW−D,−Eの苗の検出で薬剤の散布を停止し、両苗位置検出手段の苗の非検出で薬剤の散布を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行機体に、植付部の苗載せ台に向けて予備苗を供給する予備苗給送装置を配設した田植機等の移植機に関し、詳しくは、該予備苗給送装置に薬剤散布装置を付設した移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、予備苗給送装置に予備苗の流れに沿って予備苗の存在を検知する複数(4個)の苗検出スイッチを配し、これらの苗検出スイッチからの検出信号(ON/OFF)に基づいて該予備苗給送装置に付設した薬剤散布装置における散布量の制御並びに該予備苗給送装置上の給送装置における給送速度の制御をなすことは行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−17850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術によれば、予備苗給送装置に順次給送された苗箱(4箱)の最後部の苗箱(4番苗箱)を抜き取る際に、該4番苗箱の後端部から持ち上げると、その最後部(4番目)の苗検出スイッチがOFFとなり、散布装置の駆動再開となる構成となっており、後続の苗箱の移動がないにも係わらず、散布装置から薬剤が散布されてしまい、2番苗箱・3番苗箱上に薬剤が過剰に散布される事態が引き起こされることがある。
【0005】
そこで、本発明は、最後部の苗箱を抜き取る場合において、散布装置の駆動再開により苗箱上に薬剤が過剰に散布されることを防止した移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、苗載せ台(7)から苗を掻きとり移植する植付作業機(9)と、機体前方から後方へ予備苗(A)を搬送する予備苗給送装置(22)と、該予備苗給送装置(22)に取り付けられ、搬送されてくる予備苗(A)に薬剤を散布する薬剤散布装置(23)とを備え、
前記予備苗給送装置(22)の搬送経路で予備苗(A)の位置を検出する複数の苗位置検出手段(SW−A〜E)を配してなる移植機(1)において、
前記予備苗給送装置上の最後部の予備苗(A)を検出する前記苗位置検出手段(SW−D,E)を当該最後部の予備苗(A)の載置位置の前後両端部に設け、これら両苗位置検出手段(SW−D,E)の苗の検出で薬剤の散布を停止し、前記両苗位置検出手段(SW−D,E)の苗の非検出で薬剤の散布を再開することを特徴とする移植機(1)にある。
【0007】
これにより、最後部の予備苗(A)を抜き取る場合において、該予備苗(A)の片側のみが持ち上げられた場合には、前記両苗位置検出手段(SW−D,E)のいずれかの苗の検出で薬剤の散布の停止が維持され、該予備苗(A)が完全に持ち上げられた場合には、前記両苗位置検出手段(SW−D,E)の苗の非検出となり、薬剤の散布を再開する。
【0008】
予備苗給送装置(22)上の最後部の予備苗(A)に続く予備苗(A)を検出する苗位置検出手段(SW−C)を設け、前記最後部の予備苗(A)に続く予備苗(A)の前記苗位置検出手段(SW−C)の非検出、または最後部の予備苗(A)の前記両苗位置検出手段(SW−D,E)の苗の非検出で薬剤の散布を再開することを特徴とする。
【0009】
これにより、最後部の予備苗(A)を抜き取る場合において、最後部の予備苗(A)に続く予備苗(A)の苗位置検出手段(SW−C)の非検出、または最後部の予備苗(A)が完全に持ち上げられて両苗位置検出手段(SW−D,E)の苗の非検出のいずれかで薬剤の散布を再開する。
【0010】
なお、括弧内の符合は図面を参照するためのものであって、特許請求の範囲に記載の技術思想を何ら限定するものではない。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によると、苗位置検出手段を最後部の予備苗の前端部へ追加するとともに制御における処理手順を付加することにより、最後部の予備苗の抜取りに伴う薬剤の散布の停止を確実に維持でき、かつ簡単な構造変更で済む。
【0012】
請求項2に係る発明によると、薬剤の散布の再開の処理の選択肢が広がり、融通のある制御処理が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る移植機の全体側面図。
【図2】本発明に係る移植機の全体平面図。
【図3】予備苗給送装置の全体側面図。
【図4】薬剤散布装置の正面視による構造図。
【図5】制御部の入出力を示すブロック図。
【図6】制御部内のプログラムのフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明において、予備苗Aは苗箱Bと該苗箱Bに収容される多数の苗C(いわゆるマット苗)との一体をいうが、両者を区別する必要のない場合には予備苗Aで一括して表記する。図1、図2はそれぞれ、本発明が適用される移植機としての乗用田植機の側面及び平面の全体構成を示し、本乗用田植機1は、前輪2及び後輪3に支持された走行機体5を有し、その後方には昇降リンク6を介して、苗載せ台7を備えた植付作業機9が設けられている。走行機体5の前方中央部には、ボンネット10に覆われたエンジンが搭載されており、その両側にはフロントステップ11が形成されている。また、ボンネット10の後方には、ステアリングハンドル12等を有する運転操作部13が配設されており、該運転操作部13の床面はフロントステップ11から繋がるメインステップ15によって覆われている。運転操作部13の後方では機体カバー16上に運転席17が配設されており、該機体カバー16には左右両側に前記メインステップ15よりも一段高く且つ平坦に構成した苗供給用ステップ19が設けてある。そして、走行機体2の両側の上方には、機体フレーム20の側部から上方へ延設された支持杆21に緩傾斜状に支持され、予備苗Aを前方から後方へ搬送するとともに薬剤散布機能を備えた予備苗供給装置22が配設されており、作業者は上記苗供給用ステップ19に立ち、補助者が畦際から予備苗供給装置22に供給し防虫防除処理された予備苗Aを受け取って、前記した植付作業機9の苗載せ台7に載置するものである。薬剤散布機能は予備苗供給装置22に付設された薬剤散布装置22によりなされる。
【0015】
走行機体2の両側上方に配される左右の予備苗給送装置22は、それぞれ、上記支持杆21に固定された固定苗台25と、該固定苗台25の前後に連続して接続された2つの可動苗台26,27(前部可動苗台26、後部可動苗台27)とから構成され、固定苗台25の前部には前記薬剤散布装置23が取り付けられ、該薬剤散布装置23により殺虫や病気の予防のための薬剤を散布する。
【0016】
上記予備苗給送装置22及び薬剤散布装置23について説明をする。予備苗給送装置22の固定苗台25及び可動苗台26,27は、それぞれ左右一対の横フレーム25a,26a,27aと、これらの横フレームに直交し、剛結する縦フレーム25b,26b,27bと、対向する横フレーム25a,26a,27a間に回転動自在に掛け渡される多数の転動ローラ29よりなるローラコンベアであり、機体前方側の前部可動苗台26は、その後端に設けられたブラケット26cが固定苗台25の前端に設けられたフロントブラケット25cとピンaを介して回動自在に連結することによって取り付けられている。また、機体後方側の後部可動苗台27は、その前端に設けられたブラケット27cが固定苗台25の後端に設けられたリヤブラケット25eとピンbを介して回動自在に連結することによって取り付けられている。これら前後の可動苗台26,27を固定苗台25に対して回動自在に連結したため、予備苗給送装置22は、可動苗台26,27を固定苗台25に対して前後に伸張させた伸張位置(図1及び図2の位置)と、固定苗台25の上方に所定間隔を空けて配置した収納位置とに変更可能となっている。
【0017】
図3に示されるように、この予備苗給送装置22には、前記薬剤散布装置23の外、予備苗Aを収容している苗箱Bを順次強制的に等速搬送する給送駆動手段としての等速搬送装置30、及び該散布装置23・等速搬送装置30に連動して予備苗(苗箱)の存在を検知する検知手段としての苗位置検出スイッチSW−A、SW−B,SW−C,SW−D,SW−Eが配される。以下、各別に詳述する。
【0018】
薬剤散布装置23は、図4に詳細構造が示されるように、フレーム32、薬剤貯留部33、薬剤散布部35、薬剤排出部36及び制御ボックス37を備えてなる。フレーム32は左右一対をなし、固定苗台25の横フレーム25aにそれぞれ立設され、その対面部間で上方より順次、薬剤貯留部33、薬剤散布部35、薬剤排出部36が、また薬剤貯留部33に相並んで制御ボックス39が支持されている。薬剤貯留部33は、薬剤を貯留するホッパ40と、ホッパ40の上部開口40aを開閉自在に覆蓋する蓋体40bとを備え、ホッパ40に貯留した薬剤が容量断面を縮小した排出口40cを介して薬剤散布部35に供給される。
【0019】
薬剤散布部35は、ホッパ40の下部開口(排出口40c)に対向して配置される散布ローラ41と、該散布ローラ41に一体的に配される散布ローラ軸42と、該散布ローラ軸42を回転させる散布モータ43とを備える。散布ローラ41は、外周面に薬剤の大きさに対応した溝を多数有し、この溝にホッパ40から排出される薬剤を入り込ませるとともに、溝に入り込ませた薬剤を散布モータ43の回転駆動に応じて薬剤排出部36まで回転搬送する。
【0020】
薬剤排出部36は、薬剤散布部35から供給される薬剤を案内排出する排出ガイド45と、予備苗Cを分草する分草棒46と、薬剤の飛散を防止する飛散防止板47とを備える。排出ガイド45は、下方に至るにつれ左右幅の広がるガイド板からなり、薬剤を予備苗Cの株元に向けて落下排出する案内をなす。分草棒46は、左右のフレーム32間に架設される棒材からなり、予備苗Cの葉部を前後に分草することにより、予備苗Cの株元部が露出し、排出ガイド45から落下する薬剤を確実に予備苗Cの株元部に散布する。飛散防止板47は、固定苗台25の横フレーム25aに立設され、その板面を薬剤の散布位置Pの左右両側に配してなり、排出ガイド45から落下する薬剤が予備苗給送装置22の左右外方に飛散することを防止する。
【0021】
制御ボックス37は、ホッパ40の一側方に設けられ、該制御ボックス37の正面には、メインスイッチ49及び散布量調整ダイヤル50が設けられており、また、制御ボックス37の内部には、制御部51(図5)が内装されている。すなわち、メインスイッチ49は本予備苗給送装置22全体の始動・停止を指示し、散布量調整ダイヤル50は薬剤散布部35における薬剤の散布量を指示し、制御部51はマイコンを主体とし、入力信号(具体的にはメインスイッチ49の入・切信号、散布量調整ダイヤル50の回転変位量、更にはスイッチSW−A〜SW−EのON/OFF信号)と出力信号(具体的には、薬剤散布部35における散布モータ43のON/OFF及び回転量、等速搬送装置30のON/OFF)との対応を採る。これらの機能は後で詳述される。なお、一方のフレーム32の上部側部にはストッパ52が取り付けられる。
【0022】
次に、給送駆動手段としての等速搬送装置30は、図3、図4に示されるように、薬剤散布装置23が取り付けられる固定苗台25の前方に配されるとともに、予備苗Aを収容している苗箱Bを順次強制的に等速搬送するものであり、複数の搬送ローラ55が一体的に取り付けられた前後一対の搬送ローラ軸56と、これら前後の搬送ローラ55に巻着する搬送ベルト57と、後側の搬送ローラ軸56を駆動させる駆動モータ59とから構成されている。
【0023】
駆動モータ59は、モータ軸に取り付けられる主動プーリ60aと搬送ローラ軸56に取り付けられる従動プーリ60bとの間にチェーン60cが巻き掛けられてなる伝動系60を介し、該駆動モータ59の駆動は搬送ローラ軸56に伝えられ、搬送ベルト57を回転動させる。なお、搬送ベルト57の表面に突起を形成することにより、搬送ベルト57による把持力が増大し、上載物との滑りが減少し、苗箱Bひいては予備苗Aを確実に一定速度で搬送できる。
【0024】
本実施形態では、予備苗検出スイッチSW−A、SW−B,SW−C,SW−D,SW−Eは前記した散布装置23(その散布モータ43)及び等速搬送装置30(その駆動モータ59)の駆動に関係付けられて配される。詳しくは、第1の予備苗検出スイッチ(以下単に「スイッチ」という)SW−Aは、固定苗台25の前端に設けられ、等速搬送装置60の搬送始端位置における予備苗Aの存在を検出し、第2のスイッチSW−Bは、薬剤散布位置Pにおける予備苗Aの存在を検出し、第3のスイッチSW−Cは、後部可動苗台27の前端部における予備苗Aの存在を検出し、第4のスイッチSW−Dは、予備苗給送装置22の最終端における予備苗A後端の存在を検出し、第5のスイッチSW−Eは、予備苗給送装置22の最終端における予備苗A前端の存在を検出している。そして、薬剤散布装置23の取付け位置は、第3のスイッチSW−Cが検出する予備苗Aが、後から2番目の位置にある予備苗Aとなる位置とされる。また、これら苗検出スイッチSW−A〜SW−Eは、本実施形態では接触式の検知スイッチを採るが、光学式、磁気式などの非接触式の検知スイッチでもよい。
【0025】
これらの予備苗検出スイッチSW−A〜SW−Eは、上記制御ボックス37内の制御部51のマイコンと接続しているとともに、散布モータ43及びコンベア駆動モータ59は、制御ボックス37内の同じく制御部51のマイコンからの出力信号を受けて作動するリレーと接続しており、これによってスイッチSW−A〜SW−Eと散布モータ43及びコンベア駆動モータ59とは関係付けられ、薬剤散布装置23は、等速搬送装置30と連動して、等速で搬送されてくる予備苗に所定量の薬剤を均一に散布し、かつ散布の停止をするものである。
【0026】
図5はこれらの予備苗検出スイッチSW−A〜SW−Eからの検出信号、及び前記した薬剤散布装置23のメインスイッチ49の入切信号、散布量調整ダイヤル50からの設定値信号を入力値とし、所定の処理プログラムをもって散布モータ43及びコンベア駆動モータ59への出力処理をなす制御部51を主体とする本実施形態の制御系を示す。この制御系において、制御部51の出力処理は、苗検出スイッチSW−A〜SW−Eによる予備苗Aの位置検出に基づく薬剤散布装置23(散布モータ43)の駆動をON/OFF制御する薬剤散布制御と、苗検知スイッチSW−A〜SW−Eによる予備苗Aの位置検出に基づく等速搬送装置30(コンベア駆動モータ59)の駆動をON/OFF制御する等速搬送制御と、散布量調整ダイヤル50の設定値に応じて薬剤散布装置23(散布モータ43)の駆動速度を変更する散布量調整制御とが含まれる。
【0027】
本実施形態の、これらのスイッチSW−A〜SW−Eによる予備苗Aの位置検出にもとづく薬剤散布装置23(散布モータ43)及び等速搬送装置30(駆動モータ59)の駆動制御を説明する。図6はこの制御の態様を示すフローチャートである。なお、該フローチャートでは駆動モータ59は搬送モータと表記されている。
【0028】
以下処理手順に従って説明する。予備苗給送装置22上に予備苗Aが載置されていない状態では、全ての苗検知スイッチSW−A〜SW−EがOFFであり、薬剤散布装置23及び等速搬送装置30は停止している。ここで、一枚目の予備苗Aが前部から搬送されてくると、まず、第一苗検知スイッチSW−AのONに応じて、等速搬送装置30のみが駆動する(ステップS1〜S3)。次に、予備苗Aが薬剤の散布位置Pに進むと、第二苗検知スイッチSW−BのONに応じて、薬剤散布装置23が駆動し、予備苗Aに対する薬剤の散布を開始する(ステップS4〜S9)。即ち、第二苗検知スイッチSW−BのON(S5;N)により停止タイマが所定値(300ms)にセットされ、該所定値だけ遅れて(S6)、散布モータがONされ(S9)、かつ搬送モータがONされる(S10)。その後、予備苗Aが散布位置Pを通過するまで薬剤散布装置23及び等速搬送装置30の駆動を継続し(ステップS10〜S13)、予備苗Aが散布位置を通過すれば薬剤散布装置23及び等速搬送装置30を停止させる(ステップS5→S15〜S27)。予備苗Aが順次搬入されるとき、等速搬送装置30及び薬剤散布装置23の駆動は継続される。即ち、第二苗検知スイッチSW−BがOFFとなって予備苗の後端を検知する毎に、散布タイマは所定値(300ms)に設定され、該所定値遅れて、散布モータが停止する。搬送モータは、第二苗検知スイッチSW−BのONにより、搬送タイマが所定値(1.5秒)に設定され、予備苗が搬送ベルト57から離間するまでの時間、搬送モータがONし続ける。
【0029】
そして、予備苗Aが予備苗給送装置22の後部へ順次搬送されてくると、後ろ三つの苗検知スイッチSW−C〜SW−Eにおいて、スイッチSW−EのONのもとに、スイッチSW−C,SW−DのいずれかがONの場合(次のイ〜ハの場合がある。イ、最後部の苗箱が取り除かれつつあるとともに最後部に続く苗箱がある場合、ロ、あるいは最後部の苗箱が未だ取り除かれておらず最後部に続く苗箱がない場合、ハ、更には最後部の苗箱も最後部に続く苗箱もある場合)は、薬剤散布装置23及び等速搬送装置30の駆動を停止させる(ステップS28〜S33)。また、スイッチSW−C,SW−Dが共にOFFのとき(最後部の苗箱が取り除かれつつあるとともに最後部に続く苗箱がない場合)、薬剤散布装置23及び等速搬送装置30の駆動を停止させる(ステップS31→S39〜S43)。なお、後ろ三つのスイッチSW−C〜SW−Eにおいて、スイッチSW−EのOFFのときは、直ちにスイッチSW−DのON・OFFを確認し、該スイッチSW−DがONのときは最後部の苗箱が引き抜かれつつあると判断し、薬剤散布装置23及び等速搬送装置30の停止を維持し(ステップS29→S36〜S41),また、該スイッチSW−DがOFFのときは最後部の苗箱がないと判断し、他の処理を介して薬剤散布装置23及び等速搬送装置30の駆動の継続(または停止)をなす(ステップS29→S36〜S39→S43)。
【0030】
このようにスイッチSW−Eを追加し、該スイッチSW−EのON検出のもとにスイッチSW−C,SW−DのON・OFF判定をなし、最後部の苗箱の引抜き動作が確認され、その引抜き動作中での薬剤散布装置23及び等速搬送装置30の停止を維持でき、2番苗箱あるいは3番苗箱(最後部の苗箱に続く苗箱)での薬剤の散布の停止が確実に維持される。
【0031】
更に本実施形態では、薬剤散布装置23に配されるメインスイッチ49はモーメンタリ式スイッチ態様を採る。すなわち、本乗用田植機1より給電される電気は、メインスイッチ49を介して本予備苗給送装置22に搭載される各装置(薬剤散布装置23、等速搬送装置30、制御部51(マイコン)、苗検出スイッチSWを含む。以下本装置という。)の電気系統に導かれるが、該メインスイッチ49のモーメンタリ式スイッチ機能により、本メインスイッチ49を入(ON)にしないと本装置の自動機能が入らないものである。したがって、本乗用田植機1のキースイッチが切(OFF)の場合には本装置は作動しない。また、本装置の動作状態は、該メインスイッチ49のランプ付スイッチのランプ点灯、消灯で判断できるようになっている。
【0032】
このように、本乗用田植機1のキースイッチが切(OFF)から入(ON)になっても本装置の電源は入るが本メインスイッチ49を押さないと自動機能が入らないものであり、これにより、本乗用田植機1のキースイッチの入(ON)動作に伴う本装置の誤動作はない。
【0033】
更に本実施形態の散布量調整ダイヤル50は、その左回し最小位置(止め位置)で薬剤散布装置23の散布モータ43の停止指示と、右回しへの散布量の増量(散布モータ43の速度増大)指示とを与える。詳しくは、散布量調節ダイヤル50の回転変位量(11点クイックボリューム)をA/D変換を介して制御部51へ入力し、そのデジタル値(デューティ比)をPWM制御回路を介して散布モータ43に送り、散布量調節ダイヤル50の回転変位量と散布モータ43の回転速度とを対応させている。散布量調節ダイヤル50の左回し止め位置はデューティ比がゼロを採り、散布モータ43の回転はない。そして、散布量調節ダイヤル50の右回しに伴い散布モータ43での回転が増速され、散布量が増大する。
【0034】
これにより、薬剤散布装置23からの薬剤の散布を止めて苗箱Bの搬送のみにする場合、散布量調整ダイヤル50の左回し止め位置で散布モータ43を停止させることができ、散布モータ43を停止させるために別にスイッチを追加することもなく、更には該薬剤散布装置23のホッパーでの薬剤を空にした状態で動作させる必要もなくなった。
【符号の説明】
【0035】
A 予備苗
B 苗箱
1 移植機(乗用田植機)
7 苗載せ台
9 植付作業機
22 予備苗給送装置
23 薬剤散布装置
SW−A〜SW−E 苗位置検出手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗載せ台から苗を掻きとり移植する植付作業機と、機体前方から後方へ予備苗を搬送する予備苗給送装置と、該予備苗給送装置に取り付けられ、搬送されてくる予備苗に薬剤を散布する薬剤散布装置とを備え、
前記予備苗給送装置の搬送経路で予備苗の位置を検出する複数の苗位置検出手段を配してなる移植機において、
前記予備苗給送装置上の最後部の予備苗を検出する前記苗位置検出手段を当該最後部の予備苗の載置位置の前後両端部に設け、これら両苗位置検出手段の苗の検出で薬剤の散布を停止し、前記両苗位置検出手段の苗の非検出で薬剤の散布を再開する、
ことを特徴とする移植機。
【請求項2】
予備苗給送装置上の最後部の予備苗に続く予備苗を検出する苗位置検出手段を設け、前記最後部の予備苗に続く予備苗の前記苗位置検出手段の非検出、または最後部の予備苗の前記両苗位置検出手段の苗の非検出で薬剤の散布を再開する、ことを特徴とする請求項1に記載の移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−200205(P2012−200205A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67443(P2011−67443)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】