説明

移載システム及び該移載システムを備える物品荷役施設並びに、コンテナ移載装置及び該コンテナ移載装置を備えるコンテナターミナル

【課題】立体倉庫に収納されるコンテナを異なる搬送装置間で移載する移載システムにおいて、搬送装置間の干渉を回避しつつ、設備コストを低減させる。
【解決手段】本実施の形態に係る移載システムは、物品を収納可能な棚を備えてなる立体倉庫Cと、立体倉庫Cに収納される又は収納されていた物品Cijkを搬送する第1のルートR1と、該第1のルートR1で搬送される又は搬送されていた物品を搬送する第2のルートR2と、第1のルートR1と第2のルートR2との間の物品の移動が行われる移載ゾーンSとを備え、第2のルートR2は移載ゾーンS外から平面視において移載ゾーンSに到達するように設けられており、第2のルートR2の少なくとも一部は移載ゾーンSへの到達位置から離れる方向に移動可能であることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵、保管又はこれに類する目的で集められた複数個の物品により構成される物品の集合区画(以下「物品蔵置ブロック」という場合がある)とその外部との間の当該物品の移動を行う移載システム及び、物品の荷役、保管、搬入、搬出等を行う物品荷役施設であって、前記移載システムを備えるものに関する。複数個の物品が集合してなる物品蔵置ブロックの典型例は物品を収納可能な棚を備えてなる立体倉庫であり、物品荷役施設の典型例はコンテナターミナルであるが、本発明は、立体倉庫のみを対象とするものではなく、コンテナターミナルのみを対象とするものでもない。
【背景技術】
【0002】
物品蔵置ブロックとその外部との間で物品が移動する際には、物品を搬送する機器、装置等(以下、まとめて又は個別に「搬送装置」という場合がある)と物品蔵置ブロック又はその所定位置との間で物品の受け渡し(以下「移載」という場合がある)が行われ、搬送装置が複数個あるときには、搬送装置間でも移載が行われる。そのような移載は、物品蔵置ブロックが立体倉庫の場合、特に自動倉庫である場合には不可欠となる。そして、搬送装置間での物品の移載は、通常、一方の搬送装置により物品が移動する経路と他方の搬送装置により物品が移動する経路との近接場所において行われる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のコンテナターミナルでは、接岸したコンテナ船に積み込まれたコンテナは、接岸用コンテナクレーンの搬送機器により海側から陸側の所定位置まで搬送され、レール上を走行する台車に載置される。台車に載置されたコンテナは、当該台車により自動倉庫脇の所定位置まで搬送され、その所定位置で自動倉庫外に延出した固定レール上を走行可能な天井クレーンの搬送機器により受け取られ、自動倉庫外で待機しているトラバーサに移載される。トラバーサに移載されたコンテナは、当該トラバーサにより自動倉庫内で搬送され、スタッカクレーンに移載され、スタッカクレーンによる移載により自動倉庫の所定の棚へ入庫される(出庫の場合は以上と逆の動作をする)。この場合、接岸用コンテナクレーン若しくはその搬送機器及び天井クレーン若しくはその搬送機器のみならず、レール上を走行する台車、トラバーサ及びスタッカクレーンが備えるはずのコンテナ移載機構は、いずれも搬送装置に該当し、搬送装置間でのコンテナの移載は、その移載が可能な場所、即ち一方の搬送装置によるコンテナの移動経路と、他方の搬送装置によるコンテナの移動経路とが相互に近接している場所において行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−87009号公報、図1乃至図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、物品の移動経路同士が接近すると、一方の移動経路に沿って物品を移動させる搬送装置と他方の移動経路に沿って物品を移動させる搬送装置との干渉、一方の搬送装置と他方の搬送装置の走行経路を構成する軌道その他の付帯部分との干渉、一方の搬送装置により搬送される又は搬送された物品と他方の搬送装置の走行経路を構成する軌道その他の付帯部分との干渉などが起こり易く、従って物品の移載に支障が生じ易くなる。このことは、物品の移載を必要又は前提とする物品蔵置ブロックや物品荷役施設の健全な稼動を阻害することにも通じる。
【0006】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであり、複数個の物品が集合してなる物品蔵置ブロックとその外部との間で物品を移動させる際、物品の移動経路同士が接近していても、一方の移動経路に沿って物品を移動させる搬送装置と他方の移動経路に沿って物品を移動させる搬送装置との干渉、一方の搬送装置と他方の搬送装置の走行経路を構成する軌道その他の付帯部分との干渉、一方の搬送装置により搬送される又は搬送された物品と他方の搬送装置の走行経路を構成する軌道その他の付帯部分との干渉などが起こらず、従って物品の移載に支障を来たさない移載システム及び該移載システムを備える物品荷役施設に係る技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための、(1)本発明の第1の形態に係る移載システムは、複数個の物品が集合してなる物品蔵置ブロックと、該複数個の物品が集合してなる物品蔵置ブロックに収納される又は収納されていた物品を搬送する第1の物品搬送経路と、該第1の物品搬送経路で搬送される又は搬送されていた物品を搬送する第2の物品搬送経路と、前記第1の物品搬送経路と前記第2の物品搬送経路との間の物品の移動が行われる移載ゾーンとを備え、前記第2の物品搬送経路は前記移載ゾーン外から平面視において前記移載ゾーンに到達する又は前記移載ゾーンを通過するように設けられており、前記第2の物品搬送経路の少なくとも一部は平面視において前記移載ゾーン内からその外に移動可能であることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の第1の形態を限定する意図なくより具体例により説明すれば、この形態に係る移載システムは、立体倉庫の外部から第2の物品搬送経路に沿って搬入されてくる物品又は立体倉庫の外部に第2の物品搬送経路に沿って搬出されてくる物品を、当該立体倉庫に収納される又は収納されていた物品を搬送する第1の物品搬送経路に受け渡す際、両物品搬送経路が衝突又は衝突しかねないほどに近接しないように、その衝突のおそれのある場所からその衝突のおそれのある第2の物品搬送経路の部分を移動可能に構成してなるものである。
【0009】
(2)本発明の第2の形態に係る移載システムは、前記第1の形態に記載のものにおいて、前記第1の物品搬送経路は前記物品蔵置ブロックから前記移載ゾーンに延出してなることを特徴とするものである。
【0010】
(3)本発明の第3の形態に係る移載システムは、前記第1又は第2の形態に記載のものにおいて、前記第1の物品搬送経路が、前記物品蔵置ブロックに沿って移動して物品の搬送を行うクレーン装置の走行経路の少なくとも一部を含み、前記第2の物品搬送経路が、前記移載ゾーンとその外部との間で物品の搬送を行う搬送装置の移動経路の少なくとも一部を含むことを特徴とするものである。
なお、搬送装置が走行することにより物品の搬送を行うものである場合には、搬送装置の移動経路は、当該搬送装置の走行経路又は、当該搬送装置の走行範囲として定まる走行経路と実質的に同じである。この点は、搬送装置が自走型であると否とを問わず、搬送装置が固定レール上を走行すると否とを問わず、また搬送装置の走行方式(車輪式、無限軌条式など)を問わず、本発明の各形態において共通する。
【0011】
(4)本発明の第4の形態に係る移載システムは、前記第3の形態に係るものにおいて、前記搬送装置の移動経路の少なくとも一部が、前記第1の物品搬送経路に対して交差方向に移動可能であることを特徴とするものである。
【0012】
(5)本発明の第5の形態に係る移載システムは、前記第1乃至第4のいずれかの形態に係るものにおいて、前記第2の物品搬送経路が、平面視において前記移載ゾーンに到達する位置まで延びる延出ビームを備え、前記延出ビームが前記移載ゾーンから離れるように構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
(6)本発明の第6の形態に係る移載システムは、前記第5の形態に係るものにおいて、前記延出ビームが、一端側を基端として回動可能に設けられ、回動することによって前記移載ゾーンに到達する又は前記移載ゾーンから離れることができるように構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
(7)本発明の第7の形態に係る移載システムは、前記第3乃至第6の形態のいずれかに係るものにおいて、前記搬送装置が物品を保持する物品保持具を備え、前記物品保持具が、保持している物品の向きを平面視において少なくとも90度変えることができる旋回機構を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
(8)本発明の第8の形態に係る物品荷役施設は、前記第1乃至第7の形態のいずれかに係る移載システムを備えてなることを特徴とするものである。
【0016】
(9)本発明の第9の形態に係るコンテナ移載装置は、複数個のコンテナが集合してなるコンテナ貯蔵ブロックとの間でコンテナの移載を行う走行型スタッカクレーンの走行範囲内に又はその走行範囲内からコンテナを移動せしめるコンテナ移載装置であって、コンテナを移動させるための軌道部材を備えるとともに、前記軌道部材のうち、平面視において前記走行型スタッカクレーンの走行範囲と重複又は近接する部分が、前記走行型スタッカクレーンと干渉しないように前記走行型スタッカクレーンの走行範囲から移動可能であることを特徴とするものである。
なお、コンテナ貯蔵ブロックは、物品がコンテナである物品蔵置ブロックの一態様であるので、複数個のコンテナが集合してなるものであれば足り、物品が収納可能な棚を備える立体倉庫に限定されない。
【0017】
本発明の第9の形態を限定する意図なくより具体的に説明すれば、本発明の第9の形態に係るコンテナ移載装置は、コンテナ貯蔵ブロックの外部から軌道部材に沿って搬送されてくるコンテナを当該コンテナ貯蔵ブロックにおいてコンテナの移載を行う走行型スタッカクレーンに受け渡す際、当該走行型スタッカクレーンと当該軌道部材とが衝突又は衝突しかねないほどに接近しないように、その衝突のおそれのある場所からその衝突のおそれがある当該軌道部材の部分を移動可能に構成してなるものである。この場合、コンテナは、第1の形態における立体倉庫が備える棚に収納可能な物品に対応する。軌道部材が構成するコンテナの移動経路は、第1の形態における第2の物品搬送経路に対応し、見方によっては第3の形態における搬送装置の移動経路に対応するともいえる。軌道部材は、第5の形態における延出ビームに対応する場合がある。走行型スタッカクレーンの走行経路は、第1の形態における第1の物品搬送経路に対応する。
【0018】
(10)本発明の第10の形態に係るコンテナ移載装置は、前記第9の形態に係るものにおいて、前記走行型スタッカクレーンが、前記コンテナ貯蔵ブロックから離隔した領域まで走行可能であり、前記軌道部材のうち前記走行型スタッカクレーンの高さと同じ又はそれよりも低い位置に配置する部分が、前記走行型スタッカクレーンと干渉しないように前記領域から移動可能であることを特徴とするものである。
(11)本発明の第11の形態に係るコンテナ移載装置は、前記第9又は10の形態に係るコンテナ移載装置において、前記軌道部材に沿って移動するコンテナを回動させる駆動機構を更に備えることを特徴とするものである。
(12)本発明の第11の形態に係るコンテナターミナルは、前記第9乃至第11の形態のいずれかに係るコンテナ移載装置を備えてなることを特徴とするものである。
【0019】
なお、本発明の各形態において、物品が搬送装置により搬送される場合、物品の移動経路を、その搬送装置により物品が搬送される経路(物品搬送経路)又はその搬送装置の移動経路と言い換えて差支えなく、その搬送装置が走行するものであるときは、物品の移動経路、物品搬送経路又は搬送装置の移動経路を、搬送装置の走行経路と言い換えて差支えない。
【発明の効果】
【0020】
本発明、特に本発明の第1の形態に係る移載システムにおいては、第2の物品搬送経路の少なくとも一部が、平面視において移載ゾーンへの到達位置から離れる方向に移動可能に構成されているので、第1の物品搬送経路に沿って物品が移載ゾーンに搬入される際又は第2の物品搬送経路に沿って物品が移載ゾーンに搬入された後に第1の物品搬送経路に移載される際、第2の物品搬送経路の少なくとも一部を移動させて移載ゾーン外に配置させることができ、故に両物品搬送経路間の干渉やそのおそれも生じない。従って、本発明によれば、一方の物品搬送経路が他方の物品搬送経路に接近していても、移載ゾーンにおいて物品を一方の物品搬送経路から他方の物品搬送経路へ支障なく安全に移載させることができる移載システムを実現することができる。
【0021】
なお、一方の物品搬送経路が他方の物品搬送経路に接近していても、移載ゾーンにおいて物品を一方の物品搬送経路から他方の物品搬送経路へ支障なく安全に移載させることができるということは、移載ゾーンにおいて第1の物品搬送経路と第2の物品搬送経路とをより接近させても移載を安全に行うことができるという意味でもある。従って、本発明によれば、平面視においてよりコンパクトな移載システムを実現することができる。
【0022】
本発明の他の形態が奏する効果は以下のとおりである。
【0023】
移載ゾーンが物品蔵置ブロックの外部に配置され、第1の物品搬送経路が物品蔵置ブロックからその移載ゾーンに延出していると、第1の物品搬送経路に関係する機器・装置類(特に搬送装置)が物品蔵置ブロックの外部に飛び出してくることになり、移載ゾーン及びその周囲において第2の物品搬送経路に関係する機器・装置類との干渉の悪影響が、物品蔵置ブロックの外部に配置されているその他の機器・装置類にも及びかねない。このような問題は、第2の物品搬送経路に沿って物品を搬送する搬送装置が、平面視において第1の物品搬送経路及び移載ゾーンを横切るように移動可能に構成されている場合(特に複数個のスタッカクレーンの走行範囲が存在する場合や複数個の移載ゾーンが存在する場合)に顕在化し易い(機器・装置類同士の衝突が起こり易くなるからである)。
これに対して、本発明の第2の形態によれば、第1の形態同様、第1の物品搬送経路と第2の物品搬送経路との間の干渉を回避することができるので、その干渉の悪影響が周囲に拡大することがなく、移載システムの稼動の安全性向上に資することができる。
【0024】
第1の物品搬送経路が物品蔵置ブロックに沿って移動して物品の搬送を行うクレーン装置の走行経路の少なくとも一部を含み、第2の物品搬送経路が移載ゾーンとその外部との間で物品の搬送を行う搬送装置の移動経路の少なくとも一部を含んでいると、移載ゾーンにおいてクレーン装置の走行経路と搬送装置の移動経路とが接近し干渉するおそれ或いは両装置が衝突するおそれがある。
これに対して、本発明の第3の形態によれば、第1の物品搬送経路と第2の物品搬送経路とが接近していても、第1又は第2の形態同様、第1の物品搬送経路と第2の物品搬送経路との間の干渉や装置間の衝突を回避することができ、また、その干渉や衝突の悪影響の周囲への拡大を回避することができるので、移載システムの稼動の安全性向上に資することができる。
【0025】
搬送装置の移動経路の一部又は全部が、第1の物品搬送経路に対して交差方向に移動可能であると、第2の物品搬送経路に含まれる移動経路に沿って移動する搬送装置(便宜上「搬送装置T」と仮称する)によって複数のクレーン装置に対して物品を搬送できるという利点がある一方で、第1の物品搬送経路に沿って走行するクレーン装置が搬送装置Tとが衝突しかねないという問題が生じる。
これに対して、本発明の第4の形態によれば、搬送装置Tの移動経路と第1の物品搬送経路とが交差していても、第3の形態同様、搬送装置Tの移動経路とそれが交差する第1の物品搬送経路との干渉や搬送装置Tとクレーン装置との衝突を回避することができ、その干渉や衝突の悪影響の周囲への拡大を回避することができるので、上記の問題は生じず、上記の利点を伴った効率的な移載システムを実現することができる。
【0026】
本発明の第5の形態に係る移載システムにおいては、第2の物品搬送経路が、平面視において移載ゾーンに到達する位置まで延びる延出ビームを備え、その延出ビームが移載ゾーンから離れるように構成されているので、当該延出ビームに沿って物品を搬送することによって容易に移載ゾーンに又は移載ゾーンから搬送ができるとともに、第1の物品搬送経路や第1の物品搬送経路において物品の搬送に関わる機器・装置類との干渉又は干渉のおそれが生じないようにすることができる。そのために必要な第2の物品搬送経路の構成は、延出ビームとそれを移動させる機構のみという簡易なものなので、設備コストの過度の増加を招来することにはならない。
【0027】
本発明の第6の形態に係る移載システムにおいては、延出ビームが、一端側を基端として回動可能に設けられ、回動することによって移載ゾーンに到達する又は移載ゾーンから離れることができるように構成されている。このような回動の典型例は、延出ビームの一端側を基端とする延出ビームの起伏動作である。それ故、本発明の第6の形態によれば、延出ビームを、平面視において移載ゾーンに向かって延出させ、移載ゾーン内からその外部に移動させるための構造が簡単になり、しかも延出ビームの先端側を保持させる場合にも位置決めが容易になり、第2の物品搬送経路において物品の搬送に関わる機器・装置類(既出の搬送装置Tを含む)と第1の物品搬送経路や第1の物品搬送経路において物品の搬送に関わる機器・装置類との干渉回避を適切に行うことができる。
【0028】
本発明の第7の形態に係る移載システムにおいては、搬送装置(搬送装置T)が物品を保持する物品保持具を備え、その物品保持具が、保持している物品の向きを少なくとも90度変えることができる旋回機構を備えているので、第2の物品搬送経路に沿って搬送装置Tにより移載対象物(物品)を移動させるのと同時に移載対象物の向きを変えることができる。このため、第2の物品搬送経路に沿って物品を移載ゾーンに向かって移動させるときには、移載ゾーンにおける第1の物品搬送経路への移載に必要又は好適な姿勢になるように、当該物品の姿勢をその移動の過程で変えることができる。また、逆向きに物品を移動させるとき、即ち第1の物品搬送経路に沿って物品を移動させた後、移載ゾーンにおいて第2の物品搬送経路に移載させる(より具体的には搬送装置により搬送させる)ときには、移載ゾーンにおける物品の姿勢に倣うように(つまり、そのときの物品の姿勢であっても当該物品を保持することができるように)物品保持具を旋回させた後、その物品保持具により当該物品を保持させることにより第2の物品搬送経路に移載させて、移載ゾーン内からその外部に向かって移動させることができる。しかも、第2の物品搬送経路に沿って物品を移載ゾーン内からその外部に移動させるときには、その後行われる(例えば無人搬送台車への)当該物品の受け渡しの際に必要又は好適な姿勢になるように、当該物品の姿勢をその移動の過程で変えることもできる。それ故、本発明の第7の形態によれば、物品の姿勢に影響を受けずに、移載ゾーンにおける両物品搬送経路間の物品の移載を行うことができ、延いては、両物品搬送経路間の配置に関する設計の自由度を高めることができる。
【0029】
本発明の第8の形態に係る物品荷役施設においては、前記第1乃至第7のいずれかの形態に係る移載システムを備えている。それ故、本発明の第8の形態によれば、前記第1乃至第6のいずれかの形態の効果を奏する物品荷役施設を実現することができる。
【0030】
複数個のコンテナが集合してなるコンテナ貯蔵ブロックとの間でコンテナの移載を行うスタッカクレーンの走行範囲内に又はその走行範囲内からコンテナを移動せしめるコンテナ移載装置においては、その走行範囲内に又はその走行範囲内からコンテナを移動させるための機器・装置類(既出の搬送装置Tを含む)と当該スタッカクレーンとが衝突又は衝突しそうなほどに近接してしまう。特に、コンテナを移動させるための軌道部材の少なくとも一部が、平面視において走行型スタッカクレーンの走行範囲と重複又は近接していると、走行してくるスタッカクレーンと軌道部材とが衝突又は衝突しそうなほどに接近してしまうので危険である。一方、その危険を避けるために、当該スタッカクレーンと当該機器・装置類とが近接しないようにコンテナ移載装置を稼動させると、コンテナの移載効率を低下させるおそれがある。
【0031】
これに対して、本発明の第9の形態に係るコンテナ移載装置においては、軌道部材の少なくとも一部が、平面視において走行型スタッカクレーンの走行範囲と重複又は近接していても、その走行範囲から移動可能であるので、スタッカクレーンと衝突を避けることができる。それ故に本発明の第9の形態によれば、コンテナの移載を安全に又は効率的に行うことができるコンテナ移載装置を実現することができる。このことは、軌道部材その他コンテナを移動させるための機器・装置類とスタッカクレーンとを近接させてもなお安全で効率的であるということでもある。それ故、本発明の第9の形態によれば、平面視においてよりコンパクトなコンテナ移載装置を実現することもできる。
【0032】
コンテナ貯蔵ブロックとの間でコンテナの移載を行うスタッカクレーンの走行範囲内に又はその走行範囲内からコンテナを移動せしめるコンテナ移載装置において、コンテナを移動させるための軌道部材の少なくとも一部が、平面視において走行型スタッカクレーンの走行範囲と重複又は近接しているにとどまらず、走行型スタッカクレーンの高さと同じ又はそれよりも低い位置に配置するものである場合には、走行してくるスタッカクレーンと軌道部材とが衝突する危険性がより高くなる。その危険を避けるようにコンテナ移載装置を稼動させるると、コンテナの移載効率が低下するのは当然ともいえる。
【0033】
また、スタッカクレーンがコンテナ貯蔵ブロックから離隔した領域(例えば平面視においてコンテナ貯蔵ブロックの敷地外の領域)まで走行可能である場合に、スタッカクレーンやその走行経路を構成する部材などがコンテナ貯蔵ブロックの外部に飛び出してくることになるので、走行してくるスタッカクレーンと軌道部材とが衝突すると、その衝突の悪影響が、コンテナ貯蔵ブロックの外部に配置されているその他の機器・装置類(特に、第2の物品搬送経路の少なくとも一部に該当する当該軌道部材以外の機器・装置類(例えばコンテナの無人搬送台車))にも及びかねない。このような問題は、当該軌道部材や当該軌道部材に沿ってコンテナを搬送する搬送装置が、平面視においてスタッカクレーンの走行範囲又は移載ゾーンを横切るように移動可能に構成されている場合(特に、複数個のスタッカクレーンの走行範囲が存在する場合や複数個の移載ゾーンが存在する場合)に顕在化し易い(機器・装置類同士の衝突が起こり易くなるからである)。
【0034】
これに対して、本発明の第10の形態においては、スタッカクレーンがコンテナ貯蔵ブロックから離隔した領域にまで走行してくるとしても、また軌道部材の少なくとも一部が、平面視においてスタッカクレーンの走行範囲と重複又は近接しており、しかもスタッカクレーンの高さと同じ又はそれよりも低い位置に配置しているとしても、当該軌道部材の少なくとも一部がその走行範囲から移動可能であるので、スタッカクレーンと衝突を避けることができる。それ故に本発明の第10の形態によれば、コンテナの移載を安全に又は効率的に行うことができるコンテナ移載装置を実現することができる。また、平面視においてよりコンパクトなコンテナ移載装置を実現することもできる。
【0035】
本発明の第11の形態に係るコンテナ移載装置においては、第2の物品搬送経路の少なくとも一部を構成する軌道部材に沿って移動するコンテナを回動させる駆動機構を更に備えている。それ故、本発明の第11の形態によれば、第7の形態と同様の効果を奏する。
即ち、即ち、走行型スタッカクレーンと軌道部材に沿って移動することによりコンテナの搬送に関わる機器(既出の搬送装置T、即ち本発明の第2の形態における搬送装置に相当するもの)との間のコンテナの移載を、当該コンテナの姿勢に影響を受けずに、行うことができ、延いては、スタッカクレーンやその走行経路と軌道部材やそれに沿って移動する機器との間の配置に関する設計の自由度を高めることができる。
【0036】
本発明の第12の形態に係るコンテナターミナルにおいては、前記第8乃至第10のいずれかの形態に係るコンテナ移載装置を備えている。それ故、本発明の第11の形態によれば、上記第9乃至第11のいずれかの形態の効果を奏するコンテナターミナルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る基本的事項の説明図であるとともに、本発明の一実施の形態に係る移載システム及び物品荷役施設の説明図である。
【図2】本発明に係る基本的事項の説明図であるとともに、本発明の一実施の形態に係る移載システム及び物品荷役施設の説明図である。
【図3】本発明に係る基本的事項の説明図であるとともに、本発明の一実施の形態に係る移載システム及び物品荷役施設の説明図である。
【図4】本発明に係る基本的事項の説明図であるとともに、本発明の一実施の形態に係る移載システム及び物品荷役施設の説明図である。
【図5】本発明に係る基本的事項の説明図であるとともに、本発明の一実施の形態に係る移載システム及び物品荷役施設の説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る移載システム及び物品荷役施設の説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナルの平面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナルの移載ゾーン及びその周辺の平面図である。
【図9】図7における矢視B−B図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る搬送装置の側面図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナルの部分説明図である。
【図12】本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナルに設置される立体倉庫とスタッカクレーンの説明図である。
【図13】図12に示したスタッカクレーンの説明図である。
【図14】図12に示したスタッカクレーンの部分説明図である。
【図15】図12に示したスタッカクレーンの部分説明図である。
【図16】図7における矢視C−C図である。
【図17】本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナルの他の態様の移載ゾーン及びその周辺の平面図である。
【図18】本発明の一実施の形態における立体倉庫の他の態様の説明図であり、側面視の状態を示す図である。
【図19】本発明の一実施の形態における立体倉庫の他の態様の説明図であり、平面視の状態を示す図である。
【図20】本発明の課題を説明する説明図である。
【図21】図7及び図20の丸で囲んだD部の拡大図である。
【図22】一般的な移載装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、実施形態又は実施例により本発明を詳細に説明する。その際、必要に応じて図表を参照しつつ説明するが、各図表において同じ部分又は相当する又は共通する部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
いうまでもなく、本発明は、図面に記載された実施の形態や実施例に限定されないし、本発明に係る各構成要素は、図を見る者の理解の便に鑑みて強調的に描写されており、構成要素間の縮尺比は、現実のそれを反映するものではない。
【0039】
−本発明に係る基本的構成について−
[実施の形態1]
図1乃至図5は、それぞれ、本発明に係る基本的事項及びその配置態様の説明図であり、本発明の実施の形態に係る移載システム及び物品荷役施設の説明図でもある。各図中、x方向、y方向及びz方向(紙面に直角の方向)は、説明の便のために設定した方向である。以下においては、説明の便宜上、平面視する際の「平面」をx−y平面又はこれに平行な平面としておくが、本発明が構成できる限り、その「平面」はx−y平面又はこれに平行な平面には限定されない。
【0040】
各図中、Cは、複数個の物品が集合してなる物品蔵置ブロック(物品がコンテナであるコンテナ貯蔵ブロック、物品を収納可能な棚を複数個備えてなる立体倉庫及び、複数個の棚により構成される棚の集合区画であって個々の棚が物品が収納可能であるもの(以下「棚ブロック」という場合がある)を複数個備えてなる立体倉庫を含む。以下同様とする)であり、Cijkは、物品蔵置ブロックCのx−y−z座標における任意の位置(i,j,k)に配置された又は配置される物品である。Cが複数個のコンテナが集合してなるコンテナ貯蔵ブロックである場合には、Cijkは、コンテナ貯蔵ブロックCの位置(i,j,k)に配置された又は配置されるコンテナ(空のコンテナを含む)である。特に、Cが各コンテナが棚に収納される形式の立体倉庫である場合には、コンテナ貯蔵ブロックCの位置(i,j,k)は、コンテナ(空のコンテナを含む)Cijkが収納された又は収納される棚又はその棚の位置に相当する。
【0041】
R1は、物品Cijkがx方向又はx方向とz方向に沿って搬送される経路(以下「第1のルート」という)であり、R2は、物品Cijkがコンテナ貯蔵ブロックCとその外部との間で搬送される経路(以下「第2のルート」という)である。Sは、第1のルートR1と第2のルートR2との間の物品Cijkの移動を行うための領域、即ち移載ゾーンである。 R3は、物品Cijkがy方向又はy方向とz方向に沿って搬送される経路(以下「第3のルート」という)である。
【0042】
図1では、平面視において、第1のルートR1、第2のルートR2の一部及び移載ゾーンSが物品蔵置ブロックCと重複するように配置され、第2のルートR2の残部が物品蔵置ブロックCと重複しないように配置され、両ルートR1、R2はx方向に沿って概ね互いに平行に配置されている。図2では、平面視において、第1のルートR1、第2のルートR2及び移載ゾーンSが物品蔵置ブロックCと重複しないように配置され、両ルートR1、R2はx方向に沿って概ね互いに平行に配置されている。図3では、平面視において、第1のルートR1の一部が物品蔵置ブロックCと重複するように配置され、その残部である両端側が物品蔵置ブロックCと重複しないように又は物品蔵置ブロックCから外部に延出するように配置され、第2のルートR2及び移載ゾーンSが物品蔵置ブロックCと重複しないように配置されるとともに、両ルートR1、R2はx方向に沿って互いに非平行に配置されている。
【0043】
図4では、平面視において、第1のルートR1の一部が物品蔵置ブロックCと重複するように配置され、その残部である一端側が物品蔵置ブロックCと重複しないように又は物品蔵置ブロックCから外部に延出するように配置され、第2のルートR2及び移載ゾーンSが物品蔵置ブロックCと重複しないように配置されるとともに、両ルートR1、R2はx方向に沿って互いに非平行に配置されている。図5では、平面視において、第1のルートR1、第2のルートR2及び移載ゾーンSが物品蔵置ブロックCと重複しないように配置され、両ルートR1、R2はx方向に沿って概ね互いに非平行に配置されている。
【0044】
図1乃至図5のいずれにおいても、第2のルートR2は移載ゾーンS外から平面視において移載ゾーンSに到達する又は移載ゾーンSを通過するように配置されている。即ち、第2のルートR2は、平面視において移載ゾーンS内に配置される部分を備えている。
【0045】
Raは、第2のルートR2の一部であり、平面視において移載ゾーンS内に配置される部分を含む。そして、Raは、平面視において移載ゾーンS内に配置される部分が移載ゾーンS外に配置されるまで移動可能又は移動自在に構成されている。例えば、第2のルートR2がそれを構成する軌道部材に関節部Jを備えるとともに、第2のルートR2の一部Raが関節部Jを中心として回動可能に構成されていると、当該Raは、平面視において移載ゾーンS内に配置される部分が移載ゾーンS外に配置されるまで移動可能又は移動自在となる。
図1乃至図3に描かれている第2のルートR2の一部Raは、第2のルートR2の移載ゾーンS側の端部であるが、図4及び図5に描かれているRaは、第2のルートR2を構成する軌道部材に設けられた関節部Jと結節部J1との間に位置する中間部である。結節部J1は、関節部Jとは反対側のRaの端部を第2のルートR2から着脱可能ならしめる機能を有している。それ故、関節部Jとは反対側のRaの端部は、Raが関節部Jを中心として回動するに伴い、結節部J1の位置と、平面視において移載ゾーンS内に配置される部分が移載ゾーンS外となる位置J1*との間で移動可能又は移動自在となる。
【0046】
以上のように構成される移載システム及び物品荷役施設においては、コンテナ貯蔵ブロック、立体倉庫その他の物品蔵置ブロックCの外部と物品蔵置ブロックCとの間で物品Cijkが、第1のルートR1と第2のルートR2との間で移載ゾーンSを介して搬送される。このとき、第2のルートR2の一部Raが、平面視において移載ゾーンS内に配置される部分を移載ゾーンS外に移動させることができなければ、第1のルートR1と第2のルートR2(特にRaが備える平面視において移載ゾーンS内に配置される部分)とが移載ゾーンSにおいて接触又は接近するので、危険であり、移載システムや物品荷役施設の安全な稼動や効率的稼動に支障を来たす。
なお、第1のルートR1に沿って物品を搬送する搬送装置(図示せず)が移載ゾーンS内又はその近くにあるときには、第2のルートR2に沿って物品を搬送する搬送装置(図示せず)を移載ゾーンSから十分離隔した位置にあるようにする(或いは逆に、第2のルートR2に沿って物品を搬送する搬送装置が移載ゾーンS内又はその近くにあるときには、第1のルートR1に沿って物品を搬送する搬送装置を移載ゾーンSから十分離隔した位置にあるようにする)と、搬送装置間の衝突を回避することができ、その限りにおいて上記のような危険又は支障は生じない。しかし、物品の移載をより短時間で行うことができず、効率的な移載の足枷になる。
これに対し、第2のルートR2の一部Raが、平面視において移載ゾーンS内に配置される部分を移載ゾーンS外に移動させることができるように又はそのような移動を自在に行うことができるように構成されていれば、第1のルートR1と第2のルートR2とが移載ゾーンSにおいて接触又は接近する事態が回避されるので、上記のような危険や支障は生じることはなく、移載システムや物品荷役施設の安全な稼動や効率的稼動又は効率的移載を妨げることもない。
【0047】
なお、図1乃至図5のいずれにおいても、次のことがいえる。
1. 第1のルートR1及び第3のルートR3は、移載ゾーンSと物品蔵置ブロックCの任意の位置(i,j,k)との間の物品Cijkの移動が実現されるものであれば、如何なる構成であってもよい。第1のルートR1及び第3のルートR3は、それぞれ、y方向及びx方向に移動自在に構成されていてよい。
また、移載ゾーンSとコンテナ貯蔵ブロックCの任意の位置(i,j,k)との間の物品Cijkの移動が実現される経路は、第1のルートR1と第3のルートR3との任意の組合せにより構成されるものであってよく、従って、例えば、位置(i,j,k)と移載ゾーンSとの間で物品Cijkが最短距離又はより短距離で搬送される経路であってよく、遠回りに搬送される経路であってよく、その一部又は全部が直線であっても曲線であってもよい。
【0048】
2. 第1のルートR1は、物品Cijkを搬送する搬送装置(図示せず)が移動又は走行する経路である。これに対して、第3のルートR3は、第1のルートR1に沿って移動又は走行して物品Cijkを搬送する搬送装置(図示せず)が物品Cijkを搬送しつつ移動又は走行する経路であるとは限らない。
【0049】
例えば、y=jの位置にある第1のルートR1に沿って移動又は走行して物品Cijkをx=iの位置まで搬送することができる搬送装置が、物品Cijkを載置させることができるパレットと、パレットをz=kの位置まで昇降させる昇降機構と、パレットをz=kの位置の棚に収容する又はその棚から引き出すためのパレット移動機構とを備えており、または、y=jの位置にある第1のルートR1に沿って移動又は走行して物品Cijkをx=iの位置まで搬送することができる搬送装置が、物品Cijkを載置させることができる載置台と、載置台をz=kの位置まで昇降させる昇降機構と、z=kの位置の棚に物品Cijkを載置台から収容する又はその棚から物品Cijkを載置台に引き出すための物品移動機構(例えばスライドフォーク機構)とを備えており、このような搬送装置を用いて、位置(i,j,k)の棚に物品Cijkを収納させる又は位置(i,j,k)の棚から物品Cijkを取り出す場合には、第3のルートR3は、第1のルートR1に沿って移動又は走行して物品Cijkを搬送する搬送装置の少なくとも一部が物品Cijkを搬送しつつ移動又は走行する経路に該当する。
しかし、例えば、第1のルートR1に沿って搬送装置により搬送された物品Cijkが、別の搬送装置に移載された後、第3のルートR3に沿って当該別の搬送装置により搬送される場合には、第3のルートR3は、第1のルートR1に沿って移動又は走行して物品Cijkを搬送する搬送装置が物品Cijkを搬送しつつ移動又は走行する経路には該当しない。
【0050】
3. 本発明における「第1の物品搬送経路」は、移載ゾーンSと物品蔵置ブロックCの任意の位置(i,j,k)との間の物品Cijkの移動が実現される経路の一部又は全部であり、移載ゾーンS内に配置される部分を伴うものである。図1及び図2に示す移載システムの場合、第1のルートR1の端部及びその近傍の部分は、平面視において移載ゾーンS内に配置されているので、当該端部及びその近傍の部分は「移載ゾーンS内に配置される部分」に該当し、当該端部及びその近傍の部分を含むような上記経路の一部又は全部が「第1の物品搬送経路」に該当する。図3乃至図5に示す移載システムの場合、第1のルートR1の端部は移載ゾーンS外に配置されているものの、第1のルートR1の端部以外の一部は、平面視において移載ゾーンS内に配置されているので、当該一部は「移載ゾーンS内に配置される部分」に該当し、当該一部を含むような上記経路の一部又は全部が「第1の物品搬送経路」に該当する。
【0051】
本発明における「第2の物品搬送経路」は、移載ゾーンSと物品蔵置ブロックCの外部の任意の位置との間の物品Cijkの移動が実現される経路の一部又は全部である。図1及び図2に示す移載システムの場合、第2のルートR2の端部及びその近傍の部分は、平面視において移載ゾーンS内に配置されているので、当該端部及びその近傍の部分は「移載ゾーンS内に配置される部分」に該当し、当該端部及びその近傍の部分を含むような上記経路の一部又は全部が「第2の物品搬送経路」に該当する。図3乃至図5に示す移載システムの場合、第1のルートR1の端部は移載ゾーンS外に配置されているものの、第2のルートR2の端部以外の一部は、平面視において移載ゾーンS内に配置されているので、当該一部は「移載ゾーンS内に配置される部分」に該当し、当該一部を含むような上記経路の一部又は全部が「第1の物品搬送経路」に該当する。
【0052】
図1乃至図5に示すx−y−z座標は例示的なものなので、第1のルートR1及び第2のルートR2は、それぞれ、本発明における「第1の物品搬送経路」及び「第2の物品搬送経路」と同じものとはいえず、「第1の物品搬送経路」及び「第2の物品搬送経路」に該当する場合であってもそれは「第1の物品搬送経路」及び「第2の物品搬送経路」の一例に止まる。第1のルートR1と第3のルートR3との組合せにより構成される経路も本発明における「第1の物品搬送経路」の一例に止まる。しかし、一例に過ぎないものであっても、第1のルートR1及び第2のルートR2又は第1のルートR1と第3のルートR3の組合わせにより構成される経路及び第2のルートR2が、それぞれ「第1の物品搬送経路」及び「第2の物品搬送経路」に該当する限り(且つその他の構成を充足する移載システムであれば)、本発明の効果を奏し得る。
【0053】
―本発明の基本的構成の具体化について―
[実施の形態2]
図6は本発明に係る基本的構成を示した図1をより具体化して示す図であり、本発明の他の実施の形態に係る移載システムの説明図である。図中、x方向、y方向及びz方向(紙面に直角の方向)は、説明の便のために設定した方向である。
101は、コンテナ105を収容できる棚101aを多段でかつ多数列備える立体倉庫である。立体倉庫101は、複数個の棚101aにより構成される棚の集合区画、即ち棚ブロックCbを複数個備えている(各棚101aには、コンテナ105が収納され保管されることから、立体道古101のみならず、各棚ブロックCbも、それ自体でコンテナを物品とする物品蔵置ブロックCにも該当する)。
102は、立体倉庫101に収納される又は収納されていたコンテナ105を異なる機器間で移載を行うための領域、即ち移載ゾーンである。移載ゾーン102は、立体倉庫101の外部に配置されている。
104は、立体倉庫101側から移載ゾーン102に延出して設けられたクレーン装置108(後述)のクレーン走行経路である。各棚ブロックCbは、x方向に沿って又はx方向とy方向に沿って複数配列するコンテナ105を備えており、移載ゾーン102は、立体倉庫101の外部に配置されているので、クレーン走行経路104は、y方向に沿って互いに隣接する棚ブロックCb間にx方向に沿って延設され、且つ、立体倉庫101の外部にまで延設された構成となる。
【0054】
106は、移載ゾーン102外から平面視において移載ゾーン102に到達するように設けられたコンテナ移動経路である。コンテナ移動経路106は、移載ゾーン102外から移載ゾーン102内またはその近傍までコンテナ105を搬送する搬送装置(図示せず)によってコンテナ105が搬送されるコンテナ移動経路106である。例えば移載装置1によってコンテナ105が搬送される場合には、その搬送によりコンテナ105が移動する経路がコンテナ移動経路106でもある。
【0055】
コンテナ移動経路106の少なくとも一部106aは、平面視において移載ゾーン102への到達位置から離れる方向に移動可能であるように構成されている。ここで、「平面視において移載ゾーン102への到達位置から離れる方向に移動可能である」とは、例えば、図6において矢印で示すように、コンテナ移動経路106を構成する搬送レールの一部がx−y平面上で関節部Jを中心として回動することにより、コンテナ移動経路106を構成する搬送レールの一部がスライドして伸縮することにより、或いはその他の手法、機構又は動作により、移載ゾーン102から離れることができることをいう。
【0056】
108は、搭載されたコンテナ105とともにクレーン走行経路104上を自走する機能と、搭載されたコンテナ105を昇降させる機能と、移載ゾーン102との間及び所望の位置の棚101aとの間でコンテナ105を移載させる機能とを備えるクレーン装置である。クレーン装置108は、x方向に沿って走行経路104上を自走し、搭載されたコンテナ105をz方向に昇降させ、所望の位置の棚101aとの間でコンテナ105をy方向に沿って移載させる。このような機能を有するクレーン装置108としては、後述する実施の形態3で示す走行型のスタッカクレーン109(図7乃至図9参照)であってもよいし、門型の天井クレーンのようなものであってもよい。
【0057】
上記のように構成される本実施の形態において、コンテナ105、立体倉庫101又はそれを構成する棚105aの群及び移載ゾーン102は、それぞれ、既述の本発明における物品(又は物品Cijk)、物品蔵置ブロックC及び移載ゾーンSに相当し、クレーン走行経路104、コンテナ移動経路106及びコンテナ移動経路の少なくとも一部106aは、第1のルートR1、第2のルートR2及び第2のルートの一部Raに相当する。クレーン装置108によるコンテナ105の昇降方向がz方向である場合、クレーン走行経路104は当該昇降方向のコンテナ105の移動経路を含めて第1のルートR1に相当すると考えて差支えない。この場合、クレーン装置108と任意の棚101aとの間のコンテナ105の移動経路は、第3のルートR3に相当する。そして、クレーン走行経路104のうち少なくとも移載ゾーン102内に配置されている部分は、本発明における第1の物品搬送経路に相当し、第2のコンテナ移動経路106のうち少なくとも、平面視において移載ゾーン102への到達位置から離れる方向に移動可能である部分106aは、本発明における第2の物品搬送経路に相当する。従って、本実施の形態によれば、本発明と同様の効果を得ることができる。
【0058】
具体的には、本実施の形態においては、移載ゾーン102外から平面視において移載ゾーン102に到達するように設けられたコンテナ移動経路106の少なくとも一部が、平面視において移載ゾーン102への到達位置から離れる方向に移動可能であるので、移載ゾーン102において、例えばコンテナ移動経路106を構成する機器類と移載ゾーン102にある又は進入してくるクレーン装置108とが互いに干渉することがなく、干渉の悪影響が移載ゾーン102の周囲に及ぶこともない。また、移載ゾーン102においてクレーン走行経路104とコンテナ移動経路106とを近接させることができる。従って移載ゾーン102において一方の経路から他方の経路へのコンテナ105の移載を支障なく安全に移載させることができ、移載システムのコンパクト化と低コスト化、コンテナターミナルの効率的稼動の維持などを実現できる。
【0059】
―本発明の基本的構成のさらなる具体化について―
[実施の形態3]
本実施の形態は、実施の形態2で示した移載システムをより具体化すると共にその具体化した移載システムをコンテナターミナルに適用したものである。
【0060】
本実施の形態について説明する前に、従来のコンテナターミナルにおける問題点について説明する。
【0061】
図20は、自動倉庫型のコンテナ蔵置ブロック、より具体的にはコンテナを格納する棚が複数個、多段多列に配列されて構成される立体倉庫101を備えたコンテナターミナル100の平面図、図21は、図20のD部(点線の丸で囲まれた部分)を拡大して示す拡大図、図22は、図20における矢視A−A図である。
コンテナターミナル100は、岸壁クレーン103と、無人搬送台車107と、無人搬送台車107が走行する無人搬送台車走行経路113と、スタッカクレーン109と、スタッカクレーン109が走行するクレーン走行経路111と、無人搬送台車107とスタッカクレーン109との間でコンテナ105の移載を行う移載装置115と、クレーン走行経路111の脇に設けられた棚列とを備えている。各スタッカクレーン109は、図21に示すように、4個の棚列ごとに設けられたクレーン走行経路111に沿って走行し、そのクレーン走行経路111の両側2個の棚列(a及びbのそれぞれの範囲にある棚列)のうちの所望の棚101aとの間でコンテナの出し入れが可能になっている。
【0062】
移載装置115は、図22に示すように、コンテナ105の昇降と搬送を行う搬送装置117a(この例ではコンテナ吊具とともに移動するトロリ)を備える門型走行クレーン117と、門型走行クレーン117との間でコンテナ105の受け渡しを行い、且つ、門型走行クレーン117と立体倉庫101側との間を移動してスタッカクレーン109との間でコンテナ105の受け渡しを行う自走台車119とを具備している。搬送装置117aは、無人搬送台車107(又は自走台車119)から吊り上げたコンテナ105の向きを90度反転させる旋回機構を有しており、門型走行クレーン117に設けられた既定軌道上を移動する過程で当該旋回機能によりコンテナ105の向きを変えた後、そのコンテナ105を自走台車119(又は無人搬送台車107)上に吊り下げて載置する。
なお、図22中、位置Mは、移載ゾーン102の立体倉庫101側の端部を示している。
【0063】
かくして、コンテナターミナル100では、コンテナ船104から荷揚げされたコンテナ105が岸壁クレーン103により無人搬送台車107に搬送され、載置され、無人搬送台車107に載置されたコンテナ105が、当該無人搬送台車107により立体倉庫101側に搬送され、移載装置115により、立体倉庫101内を走行するスタッカクレーン109に移載され、スタッカクレーン109に載置されたコンテナ105は、当該スタッカクレーン109と所望の棚101aとの間で出し入れされる。
【0064】
コンテナターミナル100において、立体倉庫外からコンテナ105を立体倉庫101に収納する場合には、岸壁クレーン103によって荷揚げされたコンテナ105は、無人搬送台車107によって門型走行クレーン117側に搬送される。門型走行クレーン117では、搬送装置117aが、無人搬送台車107によって搬送されたコンテナ105を吊り上げ、門型走行クレーン118の既定軌道上を移動する過程でコンテナ105の向きを平面視において90度反転させ、自走台車119上に載置するように吊り下げて受け渡す。載置されたコンテナ105を自走台車119が立体倉庫101側に搬送し、自走台車119に横付けされたスタッカクレーン109が自走台車119に載置されたコンテナを受け取り、立体倉庫101の所定位置まで移動し、その所定位置の棚に受け渡す。
逆に、立体倉庫101に収納されていたコンテナを立体倉庫外に取り出す場合には、所定位置の棚に収納されていたコンテナ105をスタッカクレーン109が受け取り、移動し、自走台車119に横付けして、自走台車119条に載置するように受け渡す。載置されたコンテナ105を自走台車119が門型走行クレーン117側に搬送する。門型走行クレーン117では、搬送装置117aが、自走台車119に載置されたコンテナ105を吊り上げ、門型走行クレーン118の既定軌道上を移動する過程でコンテナ105の向きを平面視において90度反転させ、無人搬送台車107上に載置するように吊り下げて受け渡す。その後、コンテナ105は無人搬送台車107により、港湾クレーン103側に搬送される。
【0065】
上記のように、図20に示すコンテナターミナル100においては、立体倉庫101とその外部との間でコンテナ105を移動させる際、自走台車119が必要となり、より詳しくは、自走台車119がスタッカクレーン109のクレーン走行経路111の側方に必ず1台必要となる。このことは、当該自走台車119及びその動作を実現するために必要又は有益な走行経路などの付帯設備の分だけ、岸壁−陸方向(x方向)の長さが必要であり、設備コストがかかることを意味している。
【0066】
自走台車119及びその付帯設備をなくして岸壁−陸方向(x方向)の長さを短縮させたり、設備コストを低減させようとすると、代わりに門型走行クレーン117を立体倉庫101に近接する場所まで移動可能にして或いはスタッカクレーン109の走行経路を立体倉庫101の外部に延出させてスタッカクレーン109を門型走行クレーン117に近接する場所まで移動可能にして、その場所(移載ゾーンに相当する場所)で、門型走行クレーン117とスタッカクレーン109との間のコンテナの移載を行わざるを得なくなる。しかし、そのようにすると門型走行クレーン117が岸壁に沿って走行するときにスタッカクレーン109と干渉する又は干渉するおそれが生じる。特に、移載ゾーンにおいては、門型走行クレーン117とスタッカクレーン109とが干渉する又はそのおそれが高いので、危険であり、コンテナターミナル100の稼動が阻害されかねない。
それ故、物品の移載を必要又は前提とする物品蔵置ブロックや物品荷役施設を設計する際には、物品の移載に支障が生じないように、そしてその支障の悪影響が施設全体に及ばないように、相互に近接する物品の移動経路(或いはコンテナの搬送経路又は搬送装置の走行経路)同士の配置を考え、搬送装置の選定する必要に迫られ、そのことが設計の自由度の低下を招いている。
【0067】
上記の従来例に対して、実施の形態2に係る基本的構成を有する移載システムを適用すれば、移載ゾーン102外から平面視において移載ゾーン102に到達するように設けられたコンテナ移動経路106の少なくとも一部が、平面視において移載ゾーン102への到達位置から離れる方向に移動可能であるので、移載ゾーン102において、例えばコンテナ移動経路106を構成する機器類と移載ゾーン102にある又は進入してくるクレーン装置108とが互いに干渉することがなく、干渉の悪影響が移載ゾーン102の周囲に及ぶこともない。また、移載ゾーン102においてクレーン走行経路104とコンテナ移動経路106とを近接させることができる。従って移載ゾーン102において一方の経路から他方の経路へのコンテナ105の移載を支障なく安全に移載させることができ、移載システムのコンパクト化と低コスト化、コンテナターミナルの効率的稼動の維持などを実現できる。
【0068】
[実施の形態4]
本実施の形態は、実施の形態2で示した移載システムをより具体化し、その具体化した移載システムをコンテナターミナルに適用することにより、実施の形態3をより具体化したものである。
図7は本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナル100の平面図、図8は本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナルの移載ゾーン及びその周辺の平面図及び側面図であり、図9は、図7における矢視C−C図である。図10は、搬送装置を側面視した状態を示している(この搬送装置は、その移動経路が、本発明における第2の物品搬送経路に含まれるものに相当する)。図11は、本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナルの部分説明図である。図12は、本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナルに設置される立体倉庫とスタッカクレーンの説明図である。図13は、図12に示したスタッカクレーンの説明図であり、図14及び図15はともにスタッカクレーンの部分説明図である。図16は、図7における矢視B−B図である。
以下、図7乃至図16に基づいて本実施の形態に係るコンテナターミナル100の全体構成及び、移載システムについて説明する。
【0069】
本実施の形態に係るコンテナターミナル100は、コンテナを格納する棚101aを備えた立体倉庫101と、立体倉庫101内を移動してコンテナを所望の棚101aに格納するスタッカクレーン109と、立体倉庫101の側面に沿うように設けられコンテナの受渡しを行う移載ゾーン102と、立体倉庫101内から前記移載ゾーン102に延出して設けられたクレーン走行経路111と、該クレーン走行経路111に交差する方向でかつ前記移載ゾーン102に沿うように設けられた軌条7と、軌条7を走行する移載装置1と、移載装置1にコンテナを搬送する無人搬送台車107と、無人搬送台車107が走行する無人搬送台車走行経路113と、無人搬送台車107にコンテナ船の104のコンテナを受け渡す岸壁クレーン103と、立体倉庫101における岸壁側と反対側(陸側)において立体倉庫101に併設された荷捌棟23と、を備えている。
コンテナターミナル100に設置されている各機器のうち、立体倉庫101と、移載ゾーン102と、クレーン走行経路111と、軌条7と、移載装置1とによって本発明の移載システムの一実施形態が構成される。
以下、コンテナターミナル100に設置されている各機器について詳細に説明する。
【0070】
<岸壁クレーン>
岸壁クレーン103は、コンテナ船104に積まれているコンテナ105を荷揚げし、またコンテナ船104へコンテナ105を積み込むクレーンである。岸壁クレーン103は、図7の例では、6台設けられており、各岸壁クレーン103は岸壁に沿う方向に移動可能になっている。
【0071】
<無人搬送台車>
無人搬送台車107は、運転席のないトレーラのような形をしており、無人搬送台車走行経路113に埋め込まれたセンサーをトレースし、また無線の指示に従って、立体倉庫101と岸壁との間を走行する。そして、無人搬送台車107は、岸壁クレーン103から受け取ったコンテナ105を移載装置1へ受渡し、または移載装置1から受け取ったコンテナ105を岸壁クレーン103に受け渡す。
【0072】
<無人搬送台車走行経路>
無人搬送台車走行経路113は、図7に示されるように、岸壁と立体倉庫101との間を周回するように設けられている。図7に示されるように、岸壁にコンテナ船104が2隻同時に着岸する場合もあるので、無人搬送台車走行経路113は、平面視したときに立体倉庫101の設けられている範囲を超えて設けられる場合もある。
【0073】
<立体倉庫>
立体倉庫101は、コンテナ105を収容できる棚101aを多段でかつ多数列有している。棚101aの間にはスタッカクレーン109が走行できるクレーン走行経路111が設けられている。
立体倉庫101における荷捌棟23に隣接する部分には、図7に示されるように、コンテナ105を荷捌棟23側に受け渡したり、荷捌棟23から受け取ったりするための受渡ゾーン25が設けられている。受渡ゾーン25は荷捌棟23の各階と同じレベルにおいて、図7に示すように、自走台車119の自走台車走行経路121が設けられており、自走台車119が荷捌棟23と立体倉庫101側を行き来できるようになっている。
【0074】
<スタッカクレーン>
スタッカクレーン109は、図7乃至図9並びに図11に示すように、立体倉庫101内に設けられたクレーン走行経路111に沿って、x方向に沿って(即ち、陸側から海側又は海側から陸側に向かって)走行し、クレーン走行経路111の両側の2列の棚101aへのコンテナ105の出し入れが可能になっている。
このような機能を有するスタッカクレーン109は、図8並びに図12乃至図15に示すように、走行台車27と、走行台車27上にx方向に所定の間隔を離して設置された門型のマスト29と、走行台車27上に設けられたコンテナ載置台31と、コンテナ載置台31上に設けられレール35に沿ってコンテナ105を移動させる移載台車33と、前記マスト29間を、コンテナ105を把持してz方向に昇降する昇降体34と、昇降体34をワイヤーケーブルWにより昇降させる昇降駆動装置40とを備えている。
【0075】
移載台車33は、骨格部331と、骨格部両端の車輪部332と、車輪部332に取り付けられ、レール35上を移動する車輪333を備えている。レール35と、載置台47に設けられているレール36との間を双方向に乗り継ぎできるように構成されているので、載置台47とスタッカクレーン109のコンテナ載置台31との間でコンテナ105を行き来させることができる。
【0076】
昇降体34は、昇降体上部34Aと昇降体下部34Bを備えている。昇降体上部34Aは、プーリ342を介してケーブルワイヤーWに接続する基体部343と、軌道37を支える支持腕部344と、昇降体下部34Bの動作を補助する把持手段補助装置341とを備えており、昇降体下部34Bは、コンテナ105の上部四隅を把持又は解放する把持機構を備える把持手段346と、コンテナ105の長さ方向(x方向)に延伸する支持体347と、把持手段346を支持体347に沿って移動させる把持駆動装置348と、支持体347の端部に設けられて、コンテナ105の幅方向(y方向)に延伸するレール37上を移動する車輪345とを備えている。
把持駆動装置348は、把持手段346を小さな距離だけ昇降させる短距離昇降機構(図示せず)を備えているので、把持手段346は、棚101aに設けられた載置部に載置されたコンテナ105を取り出すために降下し、その上部四隅を把持した後上昇するという動作や、コンテナ105を棚101aに載置するために当該コンテナ105の上部四隅を把持したまま降下し、棚101aに設けられた載置部に着床したコンテナ105の上部四隅の把持を止めて解放した後上昇するといった動作を行うことができる。
【0077】
昇降体上部34Aは、ケーブルワイヤーWによりz方向に昇降するように構成されているので、昇降体下部34Bを移載台車33と任意の高さとの間で行き来させることができる。昇降体下部34Bは、軌道37上を走行する車輪345により、軌道37と、各棚12に設けられた軌道38との間を双方向に乗り継ぎができるように構成されているので、把持手段346を昇降体上部34Aと棚101aとの間で行き来させることができる。それ故、昇降体34により、コンテナ105を、移載台車33と任意の棚101a(Cijk)との間で行き来させることができる。
【0078】
なお、上記のスタッカクレーン109の動作において、図11に示したクレーン走行経路111に沿うx方向のコンテナ105の移動経路及び昇降体34と移載台車33との間の移動経路(移載台車33の載置台47とコンテナ載置台31との間の移載台車33の移動経路でもある)により構成される移動経路が第1のルートR1に該当し、図11及び図12に示した昇降体34と任意の棚101a(Cijk)との間との間の双方向矢印に相当するコンテナ105の移動経路が第3のルートR3に該当する。この場合、第1のルートR1と第3のルートR3で構成されるコンテナ移動経路が、第1の物品搬送経路に相当する。
【0079】
<移載装置>
移載装置1は、図9及び図10に示すように、側面視したときに門型をしており、両側の脚部3には走行輪5を有し、地上に設けられた軌条7(移載装置走行経路に相当する)を走行できるように構成されている。軌条7は、クレーン走行経路111の方向と交差(この図では直交)する方向に敷設されている。両脚部3間には、その上端部を連結するビーム9が設けられている。また、移載装置1における一方の脚部3の上端部には、脚部3の上端部を基端として外方に向けて旋回できる旋回ビーム11が設けられている。なお、旋回ビーム11は本発明の延出ビームの一態様を示すものである。
【0080】
旋回ビーム11は、垂直状態から外方側に向かって回動して、水平になるようになっている。回動のための機構は種々考えられるが、この例では、図10に示すように、脚部3と旋回ビーム11との間にジャッキ13を設け、該ジャッキ13のロッド15の伸縮によって旋回ビーム11を回動するようになっている。
旋回ビーム11を旋回させて外方側に延出させた状態において、旋回ビーム11は平面視において移載ゾーン102側に延出し、旋回ビーム11の先端部は、例えば倉庫などに設けられた支持部17に支持される。
【0081】
ビーム9及び旋回ビーム11には、これらビーム9及び旋回ビーム11上を走行できるトロリ19が設けられている。トロリ19にはコンテナ105を吊り上げて保持すると共に吊り上げたコンテナ105を旋回させてその向きを90度変えることができる旋回機構を備えたコンテナ吊具21が設けられている。
図10の破線で示すように、トロリ19が旋回ビーム11上へ移動することにより、コンテナ105を旋回ビーム11まで搬送することでき、移載ゾーン102に配置される載置台47上の移載台車33に受け渡すことができる。
【0082】
ビーム9及び旋回ビーム11の高さhは、スタッカクレーン109の高さHよりも低い位置に配置されており(図9参照)、かつ移載ゾーン102はスタッカクレーン109の走行範囲内にある(図8乃至図10参照)。
【0083】
以上のように構成された移載装置1は、軌条7上を走行し、所定の位置で停止することができる。走行する際には、旋回ビーム11を、図10の実線で示すように垂直方向に上げた状態で走行する。図8においては、一方の移載装置1は旋回ビーム11を垂直方向に上げた状態を示し、他方の移載装置1は旋回ビーム11を水平方向に延出させた状態を示している。
そして、このように移載装置1を走行させる際に、旋回ビーム11を垂直方向に上げた状態にできるので、脚部3の外側に機器類などの物体があったとしてもこれに干渉することなく走行することができる。移載装置1は、移載作業をする位置で停止し、旋回ビーム11を旋回させて水平状態にする。この状態で、例えば無人搬送台車107によって搬送されたコンテナ105をコンテナ吊具21で吊り上げ、トロリ19でビーム9から旋回ビーム11に亘って搬送し、他の搬送装置などに移載する。
【0084】
なお、上記の移載装置1の動作において、少なくとも図8及び図9に示したビーム9に沿うx方向のコンテナ105の移動経路及びコンテナ吊具21によるz方向のコンテナ105の昇降経路により構成される移動経路が第2のルートR2に該当する。この場合、第2のルートR2は無人搬送台車107と載置台47(又はそこで待機しているコンテナ移載台車31)との間のコンテナ移動経路でもあるので、第2のルートR2は第2の物品搬送経路に相当する。
【0085】
<荷捌棟>
荷捌棟23は、立体倉庫101における岸壁側と反対側(陸側)において立体倉庫101に隣接して設けられている。荷捌棟23は、複数階の建屋であり、この例では図16に示すように、4階建てになっている。
荷捌棟23における立体倉庫101側の壁には開口部が設けられて、開口部を介して自走台車161が立体倉庫101の受渡ゾーン25と行き来できるようになっている。
【0086】
荷捌棟23の1階には、図16に示すように、天井クレーン43が設けられており、トレーラ45へのコンテナ105の積み込み、トレーラ45からのコンテナ105の積み下ろしを行えるようになっている。
また、荷捌棟23の2階乃至4階の各階(フロア)にはフォークリフト162が配置され、自走台車161によって立体倉庫101から搬入されたコンテナ105の荷捌棟23内での移動をフォークリフト162によって行うようになっている。
また、荷捌棟23には、図示しないエレベータが設けられており、コンテナ105に詰めるバラ荷を各階に移動することができる。
また、荷捌棟23の各階には、図7に示すようにトレーラ45やトラックなどの有人車が走行できる有人車走行路46が設けられており、トレーラ45やトラックなどの有人車はいずれの階にも出入りができるようになっている。
【0087】
荷捌棟23の各階に対応する受渡ゾーン25の各階には、把持手段移動装置348が備える車輪345が走行可能な軌道(図示せず)が設けられている。そのため、スタッカクレーン9が受渡ゾーン25に位置しているとき、把持手段移動装置348は、当該軌道と軌道37との間を双方向に乗り継ぎができ、把持手段346を昇降体34と受渡ゾーン25の各階にある自走台車161との間で、ひいてはコンテナ105をスタッカクレーン9と受渡ゾーン25との間で行き来させることができる。
【0088】
以上のように構成された本実施の形態に係るコンテナターミナル100におけるコンテナ105の輸出入時の流れについて説明する。
【0089】
<輸入時の流れ>
コンテナ船104によって運ばれてきたコンテナ105は、岸壁クレーン103によってコンテナ船104から吊り上げられて無人搬送台車107に載せられる。
他方、当該コンテナ105を格納するスタッカクレーン109が、図8及び図9に示すように、立体倉庫101の岸壁側に移動する。また、そのスタッカクレーン109にコンテナ105を移載するための移載装置1が、走行してスタッカクレーン109の側方近傍まで移動する。移載装置1は、その移動の際には、旋回ビーム11を垂直になる位置に旋回させているので、移動時にスタッカクレーン109と干渉することはない。移載装置1が所定の位置に停止すると、図9及び図10に示すように、旋回ビーム11を旋回させて立体倉庫101側に延出させ、その端部を立体倉庫101側の支持部17で支持させる。
【0090】
コンテナ105を載せた無人搬送台車107が無人搬送台車走行路7に沿って移載装置1側に移動して、移載装置1のビーム9の下方に停車する。この状態で、トロリ19を無人搬送台車107の直上に移動し、コンテナ吊具21によって無人搬送台車107上のコンテナ105を吊り上げる。そして、吊り上げたコンテナ105の向きを90度回転させ、トロリ19を立体倉庫101側に走行させる。このとき、スタッカクレーン109においては、移載台車33を昇降体34から側方の載置台47に移動させておき、移載装置1から運ばれるコンテナ105を移載台車33に載置できるように待機させておく。トロリ19が移載台車33の直上に来たときに、コンテナ吊具21を下降させてコンテナ105を移載台車33に載せる。
【0091】
コンテナ105を載せた移載台車33は、載置台47から、スタッカクレーン109のコンテナ載置台31に移動する。移載台車33がコンテナ載置台31上に戻ると、スタッカクレーン109を走行させてコンテナ105を所定の棚101aのある列まで走行させ、走行中あるいは所定の列に到着すると収納する棚101aの段位置まで昇降体34を移動させる。この移動の前若しくは後又は過程において、昇降体34は、把持手段346によりコンテナ105を把持する。
昇降体34がコンテナ105を所定の棚101aのある段位置まで移動させると、把持手段移動装置348がコンテナ105を把持したままの把持手段346を棚101a側へ移動させ、棚101aに設けられた載置部へコンテナ105を受け渡す。コンテナ105を棚101aに受け渡たすと、把持手段移動装置348は把持手段346をスタッカクレーン109側に戻す。その状態でスタッカクレーン109はクレーン走行路111を走行して所定の位置まで戻り、以後無人搬送台車107から載置台47を経由してコンテナ105を受け取る作業を繰り返す。
【0092】
所定の棚101aに格納されたコンテナ105は、出荷の指示があったときに、スタッカクレーン109によって取り出される。即ち、出庫指示のあったコンテナ105が格納されている棚101aに対するコンテナ105の出し入れを行うスタッカクレーン109を走行させ、出庫指示のあったコンテナ105が格納されている棚101aの列まで移動させる。そして、さらに昇降体34を上下動して所定の棚101aの段位置まで移動させる。次いで、把持手段移動装置348により、把持手段346を棚101a内に送り込み、把持手段346がコンテナ105を把持した後、当該コンテナ105を把持した状態の把持手段346をスタッカクレーン109側に戻す。次いでスタッカクレーン109をクレーン走行路111に沿って荷捌棟23側の受渡ゾーン25の所定位置まで移動させる。
【0093】
荷捌棟23は、コンテナ105の荷物、向け先等により階(フロア)が分かれている場合が多く、故に受渡ゾーン25も同様に階が分かれている。そこでコンテナ105をそれ相応の階に位置させるために、上記の所定に位置において昇降体34を昇降させて、その階内に設けられた、把持手段移動装置348が備える車輪345が走行可能な軌道(図示せず)と、軌道37とを同じレベルにさせる。その後、把持手段移動装置348により、コンテナ105を把持した状態の把持手段346をその階内に移動させ、当該コンテナ105を、待機している自走台車161に受け渡す。コンテナ105を受け取った自走台車161をコンテナ105を支持して荷捌棟23へ移動させる。
荷捌棟23においてはコンテナ105を、例えばフォークリフト162などによって所望の位置まで移動させる。その所望の位置において当該コンテナ105内の荷物を取り出して、当該荷物の向け先ごとに仕分けする作業を行う。仕分けされた荷物はトラック45などによってそれぞれの向け先に出荷される。
【0094】
所定の棚101aに格納されたコンテナ105を、出荷の指示に応じて、スタッカクレーン109により取り出して、載置台47に移動させることもできる。即ち、出庫指示のあったコンテナ105が格納されている棚101aに対するコンテナ105の出し入れを行うスタッカクレーン109を走行させ、出庫指示のあったコンテナ105が格納されている棚101aの列まで移動させる。そして、さらに昇降体34を上下動して所定の棚101aの段位置まで移動させる。次いで、把持手段移動装置348により、把持手段346を棚101a内に送り込み、把持手段346がコンテナ105を把持した後、当該コンテナ105を把持した状態の把持手段346をスタッカクレーン109側に戻す。次いでスタッカクレーン109をクレーン走行路111に沿って載置台47脇の所定位置まで移動させ、コンテナ105を載置した状態の移載台車33を移動させることにより、当該コンテナ105を載置台47に載置させる。載置台47に載置されたコンテナ105を、移載装置1により更に岸壁側に移動させる。
【0095】
なお、移載装置1とスタッカクレーン109とのコンテナ105の受渡しは、載置台47を介することなく移載装置1と移載台車33との間で行うようにしてもよい。この場合には、移載装置1から運ばれるコンテナ105を移載台車33に載置できるように待機させておき、トロリ19が移載台車33の直上に来たときに、コンテナ吊具21を下降させてコンテナ105を移載台車33に載せるようにすればよい。
【0096】
<輸出時の流れ>
荷を詰めたコンテナ105がトレーラ45で搬入された場合には、図7及び図16に示すように、トレーラ45を1階に設けられた天井クレーン43の下方に着け、トレーラ45に積載されているコンテナ105を天井クレーン43で吊り上げて、スタッカクレーン109に受渡し、スタッカクレーン109によって立体倉庫101の所定の棚101aに格納する。
所定の棚101aに格納されているコンテナ105をコンテナ船104に積み込む場合には、スタッカクレーン109によって棚101aに格納されているコンテナ105を取り出して、移載ゾーン102まで移動する。そして、移載装置1との受渡しに用いる載置台47に載置する。
移載装置1が、載置台47側に移動して、所定の位置にくると、旋回ビーム11を旋回させて立体倉庫101側の支持部17に旋回ビーム11の先端を支持させる。このとき、旋回ビーム11の下方にコンテナ105が配置される。その状態でトロリ19をコンテナ105側に移動し、コンテナ吊具21によってコンテナ105を吊り上げ、90度回転させ、待機している無人搬送台車107に積み込む。無人搬送台車107は無人搬送台車走行経路113のうち所定の軌道を走行して岸壁側に移動し、岸壁クレーン103によってコンテナ105をコンテナ船104に積み込む。
【0097】
以上のように、本実施の形態においては、移載装置1に旋回ビーム11を設け、該旋回ビーム11を移載装置1の走行時には移載装置1の脚部3の外側に延出しないように退避させ、移載作業時には旋回ビーム11を延出させるようにしている。このため、例えば、クレーン走行経路111が立体倉庫101の外部にまで延設され、スタッカクレーン109が立体倉庫101から飛び出してくるように構成されていても(図2乃至図8参照)また、ビーム9の高さhが、スタッカクレーン109の高さHよりも低い位置に配置されており、かつ移載ゾーン102がスタッカクレーン109の走行範囲内にあるために、スタッカクレーン109とビーム9、トロリ19、コンテナ吊具21等とが干渉する又は干渉するおそれがある場合であっても(図9参照)、旋回ビーム11を旋回させることにより、旋回ビーム11を移載ゾーン102から退避させることができるので、上記のような干渉やそのおそれは生じず、干渉の悪影響は移載ゾーン102の周囲に及ぶこともない。それ故、スタッカクレーン109とビーム9に沿って移動する搬送装置(トロリ19及びコンテナ吊具21を備える装置)との間のコンテナ105の移載を、コンテナ105の姿勢に影響を受けずに行うことができ、スタッカクレーン109やクレーン走行経路111とビーム9やそれに沿って移動する機器との間の配置に関する設計の自由度を高めることができる。コンテナターミナルの効率的稼動の維持にも資することができる。
【0098】
また、移載装置1を軌条7で走行させることにより、移載作業をする位置で停止させることができ、その走行の際に、旋回ビーム11を起伏させることにより、他の物体との干渉を回避することができる。それ故、スタッカクレーン109が複数存在していても、単一の又はより少数の移載装置によってコンテナの移載を行うことができる(図6乃至図8参照)。
【0099】
更に、クレーン走行経路111によりコンテナ105が搬送される経路は、第1のルートR1又は第1の物品搬送経路に該当又は含まれ、トロリ19及びコンテナ保持具21(従って搬送装置)によりコンテナが搬送される経路は、第2のルートR2又は第2の搬送経路に該当又は含まれる。そして、移載装置1は軌条7を走行するので、当該搬送装置も移動可能となる。それ故、第2のルートR2又は第2の搬送経路の少なくとも一部は、移載装置走行経路に対応する範囲内で、第1のルートR1又は第1の物品搬送経路の方向と交差することになる。しかし、上記のとおり旋回ビーム11が起伏可能、従って第2のルートR2又は第2の搬送経路の一部である旋回ビーム11に対応する経路部分が起伏可能であるので、たとえ両ルート又は両物品搬送経路が交差するとしても、両ルート又は両物品搬送経路の間の干渉を回避することができ、また干渉のおそれを生じさせないようにすることができる。このため、移載ゾーンにおいてコンテナを一方の物品搬送経路から他方の物品搬送経路へ支障なく安全に移載させることができ、岸壁−陸方向(x方向)に移動する第三の(別の)物品搬送装置又は岸壁−陸方向(x方向)の第三の(別の)物品搬送経路(自走台車又は自走台車による物品搬送経路)を介在させない分、岸壁−陸方向(x方向)の短い及び/又は設備コストが抑えられた移載システムを実現することができる。
【0100】
例えば、図8に示したコンテナターミナルの移載ゾーン及びその周辺においても、第2のルートR2又は第2の搬送経路の一部である旋回ビーム11に対応する経路部分が起伏可能に構成されている。しかし、その構成の長所を十分に活用すると、図17に示すコンテナターミナルの移載ゾーン及びその周辺は、図8に示したものと基本的な構成は同じである。しかし、図8に示したものに比して、岸壁−陸方向(x方向)の短い又は軌道7間の幅が短い構成になっている。従って、本発明によれば、設備コストが抑えられた移載システム及びコンテナターミナル、或いは、軌道7間の幅が同一ならばより多くの無人搬送台車走行経路113を設けることができる移載システム及びコンテナターミナルを実現することができる。
【0101】
なお、上記の実施の形態3及び同形態4においては、移載装置1のコンテナ吊具21がコンテナ105を90度旋回させる旋回機構を備えている例を示した。これは、図7に示すように、無人搬送台車107が岸壁に対して平行に走行し、そのままの状態でコンテナ105を移載装置1に受け渡すため、移載装置1は長手方向が岸壁に平行な方向となる向きのコンテナ105を受け取ることになるが、他方でコンテナ105の格納方向は長手方向が岸壁に対して直交する方向であるため、移載装置1においてコンテナ105を90度旋回させる必要があるためである。
しかしながら、移載装置1にコンテナ105を受け渡す方法としては図7に示されるものに限られず、例えば有人のシャーシ牽引車をバックで移載装置の下方に挿入し、岸壁に直交する方向で移載装置に受渡し、受け渡し後、移載装置から離れるという態様も考えられる。
【0102】
図18及び図19はこのようなコンテナ受渡し態様を説明する説明図であり、図18は移載装置側面視した図で、図19が平面視した図である。図18及び図19において図10で示した機器に相当する部分には同一の符号を付してある。このような態様においては、 図18及び図19に示すように、移載装置121は、側面視したときに門型をしており、トロリ19は、図19中の実線矢印で示すように、岸壁に対して平行な方向及び直交方向に移動できるように構成するのが好ましい。
この場合、図19に示すように、コンテナ105を載せたシャーシ牽引車123をバックで移載装置121の下方に移動し(破線矢印参照)、コンテナ吊具21でコンテナ105を吊り上げ、図18に示すように、コンテナ105の向きを変えることなく、トロリ19を旋回ビーム11側に移動するようにすればよい。
【0103】
また、上記の実施の形態においては、本発明の延出ビームの例として旋回ビーム11を例に挙げて説明したが、延出ビームはこれに限られるものではなく、例えば脚部3の外方にスライドして延出するようなものであってもよい。
また、上記の実施の形態においては、コンテナ等の荷動きに関し、輸出入の場合について説明したが、荷動きとしてはこれに限られるものではなく、国内貨物の荷動きや、船同士の積み替えの荷動きであって、海側から自動倉庫に入って陸側へ出ずに海側へ戻るような荷動きや、空コンテナの荷動きとして陸内での荷動きなどについても本発明が適用されることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0104】
C 物品蔵置ブロック Cb 棚ブロック S 移載ゾーン
R1 第1のルート R2 第2のルート R3 第3のルート
1 移載装置 3 脚部 5 走行輪
7 軌条 9 ビーム 11 旋回ビーム
13 ジャッキ 15 ロッド 17 支持部
19 トロリ 21 コンテナ吊具 23 荷捌棟
25 受渡ゾーン 27 走行台車 29 マスト
33 移載台車 34 昇降体 35 レール
37 軌道 40 昇降駆動装置 43 天井クレーン
45 トレーラ 46 有人車走行経路 47 載置台
100 コンテナターミナル
101 立体倉庫 101a 棚 102 移載ゾーン
103 岸壁クレーン 104 クレーン走行経路
105 コンテナ 106 コンテナ移動経路
107 無人搬送台車 108 クレーン装置
109 スタッカクレーン 111 クレーン走行経路
113 無人搬送台車走行経路 115 移載装置 117 門型走行クレーン
117a 搬送装置 119 自走台車 121 移載装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の物品が集合してなる物品蔵置ブロックと、該物品蔵置ブロックに収納される又は収納されていた物品を搬送する第1の物品搬送経路と、該第1の物品搬送経路で搬送される又は搬送されていた物品を搬送する第2の物品搬送経路と、前記第1の物品搬送経路と前記第2の物品搬送経路との間の物品の移動が行われる移載ゾーンとを備え、前記第2の物品搬送経路は前記移載ゾーン外から平面視において前記移載ゾーンに到達する又は前記移載ゾーンを通過するように設けられており、前記第2の物品搬送経路の少なくとも一部は平面視において前記移載ゾーン内からその外に移動可能であることを特徴とする移載システム。
【請求項2】
前記第1の物品搬送経路は前記物品蔵置ブロックから前記移載ゾーンに延出してなることを特徴とする請求項1記載の移載システム。
【請求項3】
前記第1の物品搬送経路は、前記物品蔵置ブロックに沿って移動して物品の搬送を行うクレーン装置の走行経路の少なくとも一部を含み、前記第2の物品搬送経路は、前記移載ゾーンとその外部との間で物品の搬送を行う搬送装置の移動経路の少なくとも一部を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の移載システム。
【請求項4】
前記搬送装置の移動経路の少なくとも一部は、前記第1の物品搬送経路に対して交差方向に移動可能であることを特徴とする請求項3記載の移載システム。
【請求項5】
前記第2の物品搬送経路は、平面視において前記移載ゾーンに到達する位置まで延びる延出ビームを備え、前記延出ビームは前記移載ゾーンから離れるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の移載システム。
【請求項6】
前記延出ビームは、一端側を基端として回動可能に設けられ、回動することによって前記移載ゾーンに到達する又は前記移載ゾーンから離れることができるように構成されていることを特徴とする請求項5記載の移載システム。
【請求項7】
前記搬送装置は物品を保持する物品保持具を備え、前記物品保持具は、保持している物品の向きを平面視において少なくとも90度変えることができる旋回機構を備えていることを特徴とする請求項3乃至6の何れか一項に記載の移載システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の移載システムを備えてなることを特徴とする物品荷役施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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