説明

移載装置

【課題】移載時におけるフォークの位置精度の向上と、装置全体の小型・軽量化を図ることのできる移載装置を提供する。
【解決手段】ワークWを載置するフォーク13を、第1,第2アーム10A,10B,11A,11Bの伸縮作動によって前後に移動させる。第2アーム11A,11Bの先端部には連結ベース12を取り付け、連結ベース12とフォーク13の間に、第1,第2アーム10A,10B,11A,11Bの撓みに応じて連結角度を補正する角度補正機構14を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、進退操作可能なフォークを用いてワークを一位置から所定位置に移載する移載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワークの移載装置として、ワークを載置するフォークが進退操作可能なアームを介してベース台に取り付けられ、そのベース台が昇降アクチュエータによって昇降操作されるものが知られている。この種の移載装置は、ベース台の昇降とアームの進退動作によってフォークを操作するものであるが、フォーク上にワークを載置してアームを伸長させると、ワークやフォーク自体の重みによってアームが撓み、ワークを載置するフォークの姿勢が前方に傾斜することが懸念される。
【0003】
このため、これに対処する移載装置として、ワークの重量によるフォークの傾きを補正する傾斜補正機構を備えたものが案出されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
この移載装置は、ベース台を傾斜調整するためのアクチュエータが設けられ、ワークの重量によるフォークの傾きをベース台の傾斜調整によって相殺するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−189399号公報
【特許文献2】特開2009−249102号公報
【特許文献3】特開2006−219233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この従来の移載装置においては、ベース台の傾斜角度を調整することによってフォークの姿勢を補正するものであるため、ベース台の傾斜角度の調整時におけるフォーク先端側の延出方向と上下方向の変動幅が大きくなり、フォークの位置精度を高めることが難しかった。
また、上記従来の移載装置においては、ベース台の傾斜角度を調整することによってフォークの姿勢を補正するものであることから、フォークの姿勢を補正のためにアームやフォークを含むベース台よりも上側の全重量物を持ち上げて操作しなければならず、補正用のアクチュエータの大形・重量化を避けることができなかった。
【0006】
そこでこの発明は、移載時におけるフォークの位置精度の向上と、装置全体の小型・軽量化を図ることのできる移載装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る移載装置では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明は、ワークを載置するフォークと、このフォークに連結されてフォークを進退移動させるアームを備えた移載装置において、前記フォークとアームの連結部に、前記アームの撓みに応じて前記フォークの連結角度を補正する角度補正機構が設けられていることを特徴とするものである。
これにより、フォークはアームとの連結部において傾斜角度を補正されることになる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の移載装置において、前記角度補正機構は、前記アームの前端部に取り付けられた連結ベースと、この連結ベースと前記フォークを上下に揺動可能に連結する枢支軸と、前記連結ベースと前記フォークとの間に設けられ、前記フォーク上の前記枢支軸から前後に離間した部位を昇降変位させる昇降アクチュエータと、を備えていることを特徴とする。
これにより、昇降アクチュエータが昇降操作されると、フォークが枢支軸を中心にして上下に回動し、アームの前端部の連結ベースに対して傾斜角度を調整されることになる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の移載装置において、前記昇降アクチュエータは、前記連結ベースとフォークのいずれか一方に設けられ、モータの動力によって上下方向に偏心回転するカムリングと、前記連結ベースとフォークのいずれか他方に設けられ、前記カムリングに当接する荷重受けレールと、を備え、前記カムリングと荷重受けレールの間の相対位置によって前記フォーク上の前記枢支軸から前後に離間した部位を昇降変位させることを特徴とする。
これにより、モータが回転駆動されると、カムリングが上下に偏心回転してフォーク上の枢支軸から前後に離間した部位が昇降変位し、その結果、フォークの傾斜角度が調整されることになる。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の移載装置において、前記フォークは、進退方向に沿って延出する一対のフォーク爪を備え、前記昇降アクチュエータは前記各フォーク爪に対応して個別に設けられ、前記各昇降アクチュエータのカムリングの支持部と、そのカムリングに対応する前記各荷重受けレールの間には、両者のフォーク幅方向の相対変位を規制する変位規制部が設けられていることを特徴とする。
これにより、昇降アクチュエータの各カムリングとそれに対応する荷重受けレールのフォーク幅方向の相対変位が変位規制部によって規制されるとともに、両フォーク爪がそれぞれ変位規制部を介して連結ベースに支持されることになる。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の移載装置において、前記角度補正機構は、前記フォークに載置するワークの識別情報を取得し、その識別情報に基づいて前記フォークの連結角度を補正することを特徴とする。
これにより、作業の都度にワークの重量等を計測することなく、フォークの連結角度が正確に補正されることになる。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の移載装置において、前記角度補正機構は、前記アームによる前記フォークの進退作動中に、その作動に同期して前記フォークの連結角度を補正することを特徴とする。
これにより、フォークの進退作動の終了とほぼ同じタイミングで、フォークの連結角度の補正が終了することになる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、フォークとアームの連結部に、アームの撓みに応じてフォークの連結角度を補正する角度補正機構が設けられ、アームの撓みによるフォークの傾斜がフォークの連結部で補正されるため、傾斜補正に伴うフォークの進退方向と上下方向の振れ幅を極力抑えて位置精度の向上を図ることができ、しかも、補正のための可動部が小さくなることから、装置全体の小型・軽量化も図ることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、フォークがアームの前端部の連結ベースに上下に揺動可能に枢支され、フォークの枢支軸から離間した部位が昇降アクチュエータによって上下に操作されるため、小さな動力によってフォークの連結角度を容易に操作することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、モータでカムリングを偏心回転させ、カムリングと荷重受けレールとの当接部を介して、フォーク上の枢支軸から前後に離間した部位を昇降変位させるため、簡単な構造でありながらモータの動力でフォークの傾斜角度を確実に調整することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、昇降アクチュエータが各フォーク爪に対応して個別に設けられ、昇降アクチュエータの各カムリングとそれに対応する荷重受けレールのフォーク幅方向の相対変位が変位規制部によって規制されるとともに、両フォーク爪がそれぞれ変位規制部を介して連結ベースに支持されるため、フォーク全体のガタ付きの防止と剛性の向上を図ることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、角度補正機構がワークの識別情報を取得してフォークの連結角度を補正するため、作動の都度にワークの重量を検出してフォークの連結角度を補正する場合に比較し、傾斜角度の補正を迅速に行うことができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、角度補正機構が、フォークの進退作動中に、その作動に同期してフォークの連結角度を補正するため、連結角度の補正を含むフォークの作動を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態の移載装置の模式的な側面図である。
【図2】この発明の一実施形態の移載装置の模式的な側面図である。
【図3】この発明の一実施形態の移載装置の斜視図である。
【図4】この発明の一実施形態の移載装置の斜視図である。
【図5】この発明の一実施形態の移載装置の図4のA−A断面に対応する断面図である。
【図6】この発明の一実施形態の移載装置の図5のB部の拡大図である。
【図7】この発明の一実施形態の移載装置の図5のC−C断面に対応する断面図である。
【図8】この発明の一実施形態の移載装置の図7のD部の拡大図である。
【図9】この発明の一実施形態の移載装置の図2のE部を拡大した側面図である。
【図10】この発明の一実施形態の移載装置を搭載したスタッカークレーンの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1,図2は、この実施形態の移載装置1の全体概略構成を示すものである。この実施形態の移載装置は、液晶カセット等のワークWを一位置からラック上の所定位置に移載するのに用いられる。
この移載装置1は、フロア上に固定されたベース台2と、このベース台2に昇降アクチュエータ3を介して支持された昇降ベース4と、この昇降ベース4上に回転アクチュエータ5を介して支持された回転テーブル6と、この回転テーブル6に進退アクチュエータ7を介して支持されたフォークユニット8と、を備え、各アクチュエータ3,5,7がコントローラ9によって制御されるようになっている。
【0021】
図3,図4は、フォークユニット8を示すものである。
フォークユニット8は、回転テーブル6上に回転可能に軸支された一対の第1アーム10A,10Bと、これらの各第1アーム10A,10Bの先端部に回転可能に連結された第2アーム11A,11Bと、各第2アーム11A,11Bの先端部に回転可能に連結された連結ベース12と、この連結ベース12に取り付けられ上面にワークWを載置するフォーク13と、を備えている。なお、第1アーム10A,10Bと第2アーム11A,11Bはいずれも水平方向に回動可能とされている。また、図3中20は、フォーク13によってワークWを移載されるラック上の荷受フレームである。
【0022】
第1アーム10A,10Bの付根部は、回転テーブル6の上面側に並列に並んで軸支され、その各軸部が進退アクチュエータ7(図1,図2参照)であるモータによって回動操作されるようになっている。第1アーム10A,10Bと第2アーム11A,11Bはいわゆるフロッグレッグアームを構成し、進退アクチュエータ7による第1アーム10A,10Bの付根部の回動によって全体を伸縮させ、それによってフォーク13を進退移動させる。なお、以下の説明においては、特別に断らない限り、進退アクチュエータ7によってフォーク13が前進する方向を「前」と呼び、後退する方向を「後」と呼ぶものとする。
フォーク13は、フォークユニット8の進退方向に延出する平行な一対のフォーク爪13a,13aを備え、この両フォーク爪13a,13aの後端部が連結ビーム15(図6参照)によって相互に結合されている。なお、図3,図4においては、連結ビーム15は図示都合上省略されている。また、各フォーク爪13aは、I字状の断面形状に形成され、その断面の偏平な上面がワークWの載置面とされている。
【0023】
ところで、第1アーム10A,10Bと第2アーム11A,11Bは、図2に示すように、進退アクチュエータ7の作動によって前方側に伸長すると、ワークWやフォーク13等の重みによって前方側が下がる撓みを生じる。このため、第2アーム11A,11Bとフォーク13の間には、両者の上下方向の連結角度を補正する角度補正機構14,14が設けられている。
【0024】
図5〜図9は、角度補正機構14の詳細を示すものである。
角度補正機構14は、図5に示すように、第2アーム11A,11Bの先端部に回動可能に連結された略直方体状の上記の連結ベース12と、この連結ベース12の前部側の両側部に突設され、フォーク13の左右のフォーク爪13aを上下方向に揺動可能に軸支する枢支軸16と、連結ベース12と左右の各フォーク爪13aの間に設けられ、各フォーク爪13a上の枢支軸16から後方側に離間した部位を連結ベース12に対して昇降変位させる昇降アクチュエータ17と、を備えている。
【0025】
昇降アクチュエータ17は、図5〜図7に示すように、連結ベース12の後部側(枢支軸16よりも後方側)の両側部に設けられた上下一対の荷重受けレール22a,22b(図7参照)と、これらの荷重受けレール22a,22bに転動可能に当接するカムリング23と、このカムリング23を偏心回転させる駆動ユニット24とを備え、この駆動ユニット24が各フォーク爪13aの後部側の外側側面に取り付けられている。
【0026】
荷重受けレール22a,22bは、図7に示すように、連結ベース12に突設された断面略コ字状の保持ブロック25に固定され、カムリング23に対する当接面が上下方向で相互に対向している。両荷重受けレール22a,22b間には保持ブロック25の外向きの開口からカムリング23が挿入されている。また、フォーク爪13aの後縁部の垂立壁には、連結ベース12側の前記保持ブロック25の挿入を許容する切欠き部26が設けられ、荷重受けレール22a,22bとカムリング23の当接がフォーク爪13aの垂立壁と同じ平面上で行われるようになっている。ただし、カムリング23が上下方向に偏心回転して、荷重受けレール22aまたは22bを押圧すると、駆動ユニット24を支持するフォーク爪13aの後部がカムリング23と逆向きに上下に変位する(図9参照)ため、切欠き部26はカムリング23の作動時に、保持ブロック25と干渉することがないように充分な大きさに切り欠かれている。
【0027】
駆動ユニット24は、コントローラ9によって駆動制御されるモータ27と、このモータ27の前端部に一体に設けられモータ27の回転を減速する周知のギヤ式の第1減速機28と、この第1減速機28に連結されて第1減速機28の出力軸28aの回転をさらに大きく減速する波動歯車式の第2減速機29と、を備えている。
【0028】
波動歯車式の第2減速機29は、略筒状のハウジング30がフォーク爪13aの垂立壁にボルト結合され、図6,図7に示すように、そのハウジング30内に出力部である外筒31がクロスローラーリング32を介して回転可能に支持されるとともに、外筒31の内側に入力部である内筒33が同軸に配置されている。内筒33は、第1変速機28の出力軸28aに一体に結合され、第1変速機28の出力回転が入力されるようになっている。
外筒31には、図8に拡大して示すように、環状の内歯歯車34が一体に設けられ、内筒33上の内歯歯車34と対向する位置には、プロフィールが楕円形状のカム部35が設けられている。カム部35の外周には、半径方向に撓み変形可能な薄肉の筒状部材36(以下、「中間筒36」と呼ぶ。)がベアリング37を介して取り付けられている。中間筒36は、その一端側の内周にベアリング37の外輪が嵌合され、他端側に固定フランジ38が径方向外側に張り出して設けられている。ベアリング37は、中間筒36に嵌合される外輪が中間筒36と同様に半径方向の撓み変形が可能とされ、中間筒36の他端の固定フランジ38はハウジング30に一体に固定されている。したがって、内筒33の回転によってカム部35が回転すると、中間筒36は回転を規制された状態(回転しない状態)において、一端側の縁部がカム部35の形状変化に追従する。
一方、中間筒36の一端側の縁部には外歯36aが設けられている。外歯36aは、中間筒36の一端側の縁部がカム部35に追従して楕円状に撓み変形しているときに、楕円形状の長径方向の両端部付近のみで外筒31の内歯歯車34に噛合する。ただし、中間筒36の外歯36aの歯数は内歯歯車34の歯数よりも僅かに少なく設定されている。
【0029】
この第2減速機29では、第1減速機28から内筒33に回転が入力されると、中間筒36が回転を規制された状態において、カム部35の楕円の回転変化に追従して外歯36aの楕円形状が円周方向に移動する。これにより、外歯36aと内歯歯車34の歯数の相違によって両者の間に僅かずつ円周方向のずれを生じ、その結果、内筒33の回転が大きく減速されて外筒31へと伝達される。
【0030】
また、第2減速機29の外筒31には、図5〜図7に示すように、ハウジング30内にクロスローラーリング39を介して支持された出力ロータ40が結合されている。出力ロータ40には、図7に示すように同ロータ40の軸心o位置に対してその軸心o´を所定量偏心させて支持軸41が突設されている。この支持軸41には前述のカムリング23が支持されている。したがって、カムリング23は出力ロータ40の回転に応じて軸心o回りに偏心回転する。
【0031】
また、出力ロータ40の前端部には、支持軸41と同心(軸心o´)の偏心ボス部42が突設され、その偏心ボス部42に変位規制リング43(変位規制部)が取り付けられている。この変位規制リング43の外周縁部には、連結ベース12側の荷重受けレール22a,22bの外側テーパ面44に当接することによって駆動ユニット24とフォーク爪13aの幅方向内側方向(連結ベース12方向)の変位を規制するテーパ状の規制面43aが形成されている。
【0032】
ところで、駆動ユニット24のモータ27(昇降アクチュエータ17)は、前述した他のアクチュエータ3,5,7と同様にコントローラ9によって制御される。コントローラ9は、ワークWの移載作業時に、ワークWに付された識別タグ等の情報を基にしてワークW毎の識別情報IDを取得し、その識別情報IDに基づいてフォーク13の進退作動時にモータ27を駆動制御する。このコントローラ9によるモータ27の制御は、第1,第2アーム10A,10B,11A,11Bの撓みによる先端側の下方傾斜をフォーク13の連結角度の補正によって相殺するものためのものであり、ワークWの重量と、第1,第2アーム10A,10B,11A,11Bの伸長量が考慮されてモータ27の駆動を実行する。
具体的には、例えば、ワークWの重量に応じて最終的なフォーク13の連結角度が決定され、フォーク13の連結角度の補正が第1,第2アーム10A,10B,11A,11Bの進退作動(伸縮作動)に同期するようにモータ27の駆動を実行する。
【0033】
以上の構成においては、フォーク13上にワークWを載置して、そのワークWをラック上の荷受フレーム20に移載する場合には、図1に示す状態から昇降アクチュエータ3で昇降ベース4を所定高さまで上昇させ、その状態で進退アクチュエータ7によって第1,第2アーム10A,10B,11A,11Bを伸長させ、それと同時に角度補正機構14を構成するモータ27を駆動制御することによってフォーク13の連結角度を補正する(図2参照)。
このときのモータ27の駆動制御は、前述のようにワークW毎の識別情報IDを基にして、ワークWの重量による第1,第2アーム10A,10B,11A,11Bの撓み分を相殺して、フォーク13の上面が常にほぼ水平に維持されるようにする。
【0034】
そして、こうしてフォーク13が所定位置まで前進すると、そこで昇降アクチュエータ3で昇降ベース4を下降させることにより、フォーク13上のワークWをラックの荷受フレーム20上に移載する。これにより、ワークWは水平状態に維持されたまま荷受フレーム20上に載置されることになる。
【0035】
また、この後にフォーク13を後退させる場合には、進退アクチュエータ7によって第1,第2アーム10A,10B,11A,11Bを縮めると同時に、フォーク13の後退の完了とほぼ同時にフォーク13の連結角度が初期状態に戻されるように角度補正機構14のモータ27を駆動制御する。
【0036】
以上のように、この移載装置1においては、第1,第2アーム10A,10B,11A,11Bの撓みに応じてフォーク13の連結角度を補正する角度補正機構14が設けられているため、移載作業時におけるフォーク13の傾斜を防止することができるうえ、傾斜補正に伴うフォーク13の進退方向と上下方向の振れ幅を小さくしてフォーク13の位置精度を高めることができ、しかも、角度補正機構14によって持ち上げられる部分がフォーク13部分のみであることから、角度補正機構14、ひいては装置全体の小型・軽量化を図ることができる。
【0037】
また、この移載装置1では、角度補正機構14が、フォーク13を連結ベース12に揺動可能に連結する枢支軸16と、フォーク13上の枢支軸16から後方に離間した部位を昇降変位させる昇降アクチュエータ17とを備えた構成とされているため、出力の小さいモータ27によってフォーク13の連結角度を容易に操作することができる。
【0038】
そして、この移載装置1の場合、昇降アクチュエータ17が、フォーク13に支持されモータ27の動力によって上下方向に偏心回転するカムリング23と、連結ベース12に突設されカムリング23に上下方向で当接する荷重受けレール22a,22bとを備えた構成とされているため、簡単な構成によってフォーク13を枢支軸16回りに確実に回動させることができる。
【0039】
また、この移載装置1においては、フォーク13の両側のフォーク爪13aに対応して昇降アクチュエータ17が個別に設けられ、各昇降アクチュエータ17の出力ロータ40(カムリング23の支持部)に設けられた変位規制リング43の規制面43aが荷重受けレール22a,22bの外側テーパ面44に当接するように構成されているため、各フォーク爪13aの後縁部と連結ベース12の間のフォーク幅方向の相対変位が規制されるとともに、両フォーク爪13aの後縁部が荷重受けレール22a,22bを介して連結ベース12に支持される。したがって、この移載装置1の場合、連結ベース12に対するフォーク13の後縁部の幅方向のガタ付きを防止することができるとともに、両フォーク爪13a同士のせん断方向のガタ付きを無くしてフォーク13の剛性を高めることができる。
【0040】
また、この実施形態のように、コントローラ9による移載装置1の制御に際して、ワークWの識別情報IDを取得し、その識別情報IDを基にしてモータ27によってフォーク13の連結角度を補正するようにした場合には、移載作業の都度にワークWの重量等を検出する必要がなくなるため、フォーク13の連結角度の補正を迅速に行うことができる。
ただし、ワークWの識別情報を取得する代わりに、フォーク13の先端部に重量検出センサや、ジャイロ等による傾斜センサを設け、それらのセンサの検出値に基づいてフォーク13の連結角度を補正するようにしても良い。
【0041】
さらに、この実施形態の移載装置1においては、角度補正機構14がフォーク13の進退作動中に、その進退作動に同期してフォーク13の連結角度を補正するようになっているため、連結角度の補正を含むフォーク13の一連の作動を迅速に行うことができる。
【0042】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、この発明に係る移載装置は、ベース台がフロア等に固定設置されるものに限らず、直立したガイドフレームに沿ってベース台が昇降するリフタにも適用できる。さらに該リフタを有し、かつレール上を走行するスタッカークレーン若しくはRGV(Rail Guided Vehicle)、または該リフタを有する軌条を有しない床面を走行する無人搬送車等の台車にも適用することができる。
【0043】
図10は、この発明に係る移載装置1を適用したスタッカークレーン50の一例を示すものである。
このスタッカークレーンは、レール51,51上を転動するローラ52,52を有するリフタのフレーム53にベース台54が昇降可能に支持され、そのベース台54の上面に移載装置1のフォークユニットが取り付けられている。なお、図中55は、ベース台54を昇降作動させるためのワイヤを操作するための巻取り装置である。
【0044】
例えば、収納効率の向上が必須である自動倉庫では、上下の棚間ピッチを極力狭くすることが望まれ、この場合、下方の棚上のワークとの干渉を回避するために移載装置のフォークの傾斜を極力少なくすることが重要となる。
この発明に係る移載装置は、フォークの進退作動とともに、そのアームの撓みに伴うフォークの傾斜を角度補正機構によって精度良く補正することができるため、図10に示すようなスタッカークレーンに適用して自動倉庫で用いる場合には、上下の棚間ピッチを狭めるうえで極めて有効となる。
【符号の説明】
【0045】
1…移載装置
10…第1アーム(アーム)
11…第2アーム(アーム)
12…連結ベース(連結部)
13…フォーク
13a…フォーク爪
14…角度補正機構
16…枢支軸
17…昇降アクチュエータ
27…モータ
43…変位規制リング(変位規制部)
W…ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを載置するフォークと、このフォークに連結されてフォークを進退移動させるアームを備えた移載装置において、
前記フォークとアームの連結部に、前記アームの撓みに応じて前記フォークの連結角度を補正する角度補正機構が設けられていることを特徴とする移載装置。
【請求項2】
前記角度補正機構は、
前記アームの前端部に取り付けられた連結ベースと、
この連結ベースと前記フォークを上下に揺動可能に連結する枢支軸と、
前記連結ベースと前記フォークとの間に設けられ、前記フォーク上の前記枢支軸から前後に離間した部位を昇降変位させる昇降アクチュエータと、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
前記昇降アクチュエータは、
前記連結ベースとフォークのいずれか一方に設けられ、モータの動力によって上下方向に偏心回転するカムリングと、
前記連結ベースとフォークのいずれか他方に設けられ、前記カムリングに当接する荷重受けレールと、を備え、
前記カムリングと荷重受けレールの間の相対位置によって前記フォーク上の前記枢支軸から前後に離間した部位を昇降変位させることを特徴とする請求項2に記載の移載装置。
【請求項4】
前記フォークは、進退方向に沿って延出する一対のフォーク爪を備え、
前記昇降アクチュエータは前記各フォーク爪に対応して個別に設けられ、
前記各昇降アクチュエータのカムリングの支持部と、そのカムリングに対応する前記各荷重受けレールの間には、両者のフォーク幅方向の相対変位を規制する変位規制部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の移載装置。
【請求項5】
前記角度補正機構は、前記フォークに載置するワークの識別情報を取得し、その識別情報に基づいて前記フォークの連結角度を補正することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の移載装置。
【請求項6】
前記角度補正機構は、前記アームによる前記フォークの進退作動中に、その作動に同期して前記フォークの連結角度を補正することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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