説明

稠密層を製作するためのアーク溶射方法

【課題】基体上に稠密層を製作するためのアーク溶射方法の提供。
【解決手段】電圧を2つの導電性溶射ワイヤ2に印加して、アーク6を溶射ワイヤ2間に発生させる。それにより、融液8を、溶射ワイヤ2から融解領域7で形成し、その融液8を流体4によって作用させる。その流体4により融液8を基体10まで搬送し、そこに融液8を付着させて層18を形成される。その際、酸化可能な粒子11を融液8に供給し、基体10上に融液8と共に付着させて、溶射の終了の後に、その酸化可能な粒子11を少なくとも部分的に酸化させ、層18を緻密化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載された稠密層を製作するためのアーク溶射方法に関するものである。さらに、本発明は、このアーク溶射方法によって製作された稠密層にも関する。
【背景技術】
【0002】
溶射によって製作されるコーティングは、腐食性の環境にしばしば暴露される。たとえば、船舶のデッキのコーティングは、海水を含む海気に極めて厳しく曝されるので、特に腐食による損傷を被り易い。一般に認められるように、たとえば特別の塗装又はコーティングとして腐食防止層を塗布することが知られているが、この点に関し、表面下腐食と言われる現象がしばしば起きる。すなわち、コーティングの下の基体に腐食が生じる。この腐食の結果、コーティング、すなわち、たとえば保護塗料又は溶射された保護層が、基体から破片となって取れる虞れがある。この表面下腐食の原因は、保護コーティングの自然損傷である場合があり、それによって腐食を引き起こす材料、たとえば海水が基体にまで達し、そこで腐食を起こすことになる。しかし、腐食を起こす材料が、毛管現象又は拡散過程によって、損傷を受けていない保護層を貫通して基体に達することも可能である。このように、保護層は、見かけだけであって十分に緻密でない。また、この作用は、保護層が大変粗い場合に特に促進される。しかし、保護層が大変粗いことは、安全対策のために、たとえば、船舶のデッキ上で船員が滑る危険性を最小限にするためにしばしば望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、基体上に稠密層を製作するための安価で簡単な方法を提案することであり、その稠密層は、特に腐食に対して、その層の下に配置される基体の保護を可能にするものである。その稠密層は、本発明によって設けるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的を達成するための本発明の主題は、それぞれのカテゴリーの独立請求項によって特徴付けられる。
【0005】
本発明によれば、基体上に稠密層を製作するためのアーク溶射法が提案される。すなわち、電圧を2つの導電性の溶射ワイヤ間に印加させ、それによってアークを溶射ワイヤ間に発生させる。溶射ワイヤから融液を融解領域で形成し、その融液を流体によって作用されて、融液を基体まで移動させ、そこで融液を付着させて層を形成する。酸化可能な粒子(oxidizable)を融液に供給して、基体上に融液と共に付着させて、溶射終了後に酸化可能な粒子を層の緻密化のために少なくとも部分的に酸化させる。
【0006】
アーク溶射は、より正確にはワイヤ・アーク溶射ともしばしば呼ばれる溶射プロセスであり、安価で簡単な形で基体上に層を付着させることができる。融液に供給される酸化可能な粒子は、溶射プロセスの後で少なくとも部分的に酸化される。粒子は、酸化によってその体積を増加させて層を緻密化し、層を密封する。これによって、層の下に配置された基体は、腐食から極めて特別の効率で保護することができる。粒子は、層の全体に分散されるので、層の表面が緻密化されるだけでなく、層の全部がその内部で密封される。
【0007】
具体的には、酸化可能な粒子が層の体積の3%〜20%の体積を有すると、実際問題として好都合であることが証明されている。
【0008】
第1の好ましいプロセス管理によれば、酸化可能な粒子は流体と混ぜ合わされ、その後で、その流体は融液に作用する。したがって、粒子は、融解領域上に流体と共に衝突し、そこで融液を基体まで搬送する。
【0009】
別の好ましいプロセス管理は、融解領域と基体との間で酸化可能な粒子を融液に添加するステップを有する。この変形例では、酸化可能な粒子が、融解領域の下流で「噴流」中に導入され、この噴流が融液を基体に搬送する。
【0010】
さらに、酸化可能な粒子が、少なくとも1つの溶射ワイヤの構成要素であることが可能である。そのとき、溶射ワイヤは、たとえば中空ワイヤ又はいわゆる「コア・ワイヤ」として設計される。すなわち、酸化可能な粒子は溶射ワイヤに組み込まれる。
【0011】
さらに可能なプロセス管理は、酸化可能な粒子を含む第3の溶射ワイヤを設けるステップを有する。
【0012】
好ましい具体例によれば、酸化可能な粒子は、鉄、亜鉛、アルミニウム若しくはマグネシウム又はこれらの元素の合金を含む。これらの元素又は合金は、特に容易に酸化させることができる。鉄に関しては、鉄含有量が重量%で少なくとも50%である複数の酸化可能な鉄化合物又は鉄系の材料が存在する。それらは、本発明による方法に適し、たとえば、クロム及び/又はアルミニウムを有する鉄系の材料である。また、アルミニウム、マグネシウム又は亜鉛は、それらの容易な酸化性及びそれらに付随する体積の増加のために適切である。したがって、酸化されたアルミニウム粉末は、たとえば、酸化されていないアルミニウム粉末の体積のほぼ3倍の体積を有する。さらに、重量%で85%の亜鉛及び15%のAlを含む合金ZnAl85/15が適している。酸化可能な粒子を適切に選択するための1つの基準は、それらが、溶射材料と合金を形成する顕著な傾向を有さないことである。すなわち、酸化可能な粒子が、本発明による方法によって融解又は可塑化され、次いで、それらが基体に融液と共に塗布されたとき、再び凝固することは必要でないとはいえ、大いに可能である。そのような場合、酸化可能な粒子が溶射材料と合金を形成し、そのとき、場合によっては、もう酸化できなくなるか、又は少なくとももう容易には酸化できなくなることは望ましいことではない。例外としては、酸化可能な粒子が、溶射材料の構成要素と容易に酸化できる合金又は他の化合物を形成する場合が考えられる。次いで、酸化可能な粒子が溶射プロセス中だけで形成されること、又は酸化可能な粒子が化合物中に入りそれが酸化可能な粒子であることは、当然、直接利用することができる。
【0013】
酸化可能な粒子が水によって酸化されることは、ありふれたことである。
【0014】
また、本発明による方法は、基体が鋼鉄から作られるか、又は表面が鋼鉄である場合の用途に特に適している。特に層の下の鋼鉄の表面下腐食は、層の密封によって、又は層の緻密さによって、実際には完全に恒久的に防止されないとしても、少なくとも効果的に抑制又は遅らせることができる。
【0015】
さらに、本発明による方法を使用して製作された稠密層が提案される。
【0016】
稠密層は、内部圧縮応力を有することが好ましい。稠密層の内部圧縮応力は、酸化可能な粒子の酸化によって直接発生させることができる。なぜなら、酸化に付随する体積増加のために、内部圧縮応力が形成され、基体上の層の耐久性又は密着性をかなり向上させることができるからである。
【0017】
本発明のさらなる有利な及び好ましい実施例は、従属請求項に記載される。
【0018】
以下、本発明をより詳細に実施例及び図面を参照して述べる。概略図面で、一部は断面図で示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による方法の第1の実施例を実施するためのアーク溶射装置の主要な部品を示す図。
【図2】図1と同様であるが、本発明による方法の第2の実施例を実施するためのアーク溶射装置の主要な部品を示す図。
【図3】本発明による方法の別の実施例のための溶射ワイヤを示す図。
【図4】別の実施例を明確化するための概略図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に、本発明によるアーク溶射方法の第1の実施例を実施するのに適し、それを用いて稠密層18を基体10上に製作することができる、アーク溶射装置の主な部品を概略図で示す。
【0021】
アーク溶射装置は、溶射ガン1、第1の供給装置3、酸化可能な粒子11用の貯蔵容器12(酸化可能な粒子11は、通常、粉末の形で貯蔵容器12中に存在する)貯蔵容器12、プロセスを制御するための制御ユニット14を含む。溶射ガン1は、公知の形態で、2つの導電性の溶射ワイヤ2を含み、それらはエネルギー源16に接続され、そのエネルギー源は、溶射ワイヤ2間に融解領域7中でアーク6を発生させることができ、安定した形で、所定の期間にわたってアークを維持することができるように、電気エネルギーを供給する。溶射ワイヤ2は、ワイヤ・ガイド5の(図示していない)貯蔵装置から供給できる。ワイヤ・ガイド5は、案内装置17を介して融解領域7まで溶射ワイヤ2を送るのに適したワイヤ送り13を含む。案内装置17は、エネルギー源16に導電性の装置として接続することができ、溶射ワイヤ2と導電接触状態であり、したがってアーク6の発生に必要な電気エネルギーを溶射ワイヤ2に案内装置17を介して供給できるように設計されることが好ましい。溶射ワイヤ2の材料が、融解領域7中のアーク溶射時に、融液8中に連続的に移動されるので、溶射ワイヤ2は、アーク6を維持するためにワイヤ・ガイド5によって融解領域7中に連続的に送り込む必要がある。
【0022】
アーク溶射方法は、制御された雰囲気下で実施できるが、そうする必要もない。この場合、本方法は、処理チャンバ30中で実施され、それは図1にだけ示され、その雰囲気は、公知の形態で(図示していない)ポンプ及びガス供給装置を使用して設定又はモニタできる。
【0023】
溶射ワイヤ2の材料からアーク6により形成された融液8は、ガス貯蔵器19から第1の供給装置3を介して供給された流体4によって作用される。流体4は、融液8を、被覆すべき基体10の表面9にまで搬送し、それによって層18が形成される。融液8は、所定の作動圧で流体4によって作用され、流体は、ガス、具体的には酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、環境大気、これらの混合体、又は別のガスであることが好ましく、それによって、融液8は、基体10の表面9にぶつけられる。融液8は、そこで凝結して固体状態になる。
【0024】
本発明によれば、酸化可能な粒子11が融液8に供給され、酸化可能な粒子11が基体10上に融液8と共に付着される。この目的のために、ここで述べる第1の実施例によれば、酸化可能な粒子11は流体4と混ぜ合わされ、その後、流体4は融液8に作用する。
【0025】
この目的のために、接続部15が設けられ、それによって酸化可能な粒子11を貯蔵容器12から供給装置3に移動させることができる。そこでは、酸化可能な粒子が流体4によって運ばれ、粒子11が、融解領域7中で流体4と共に融液8に作用する。このように、酸化可能な粒子11は、融解領域7内で融液8と混ぜ合わされ、そして本体10の表面9に融液8と共に塗布されるように、流体4によって融液8に供給される。
【0026】
このプロセスでは、酸化可能な粒子11を、部分的に融解させる、融解させる、又は可塑化させることができる。この場合、粒子11の材料は、好ましくは、粒子11と溶射ワイヤ2の材料との間での合金又は化合物のいずれも実質的に形成しないように選択すべきである。しかし、酸化可能な粒子11が、融液8内で搬送の間に実質的に固体であって、寸法的に安定した状態のままであることも可能である。粒子11は、通常は固体の粒子であり、融液8内で融解されず、その外形を保持し、実質的に固体の状態のままである。粒子11がわずかに部分的に溶解されることだけが、その表面で生じることは、当然、可能である。
【0027】
溶射プロセスの終了の後、酸化可能な粒子11は層18内で酸化される。これは、酸化手段の作用によって行なわれる。可能な酸化手段は水である。水は、たとえば、層18を浸漬バス中に入れたままにすることができ、層18上に又は層18に、又は基体10に噴霧することができる。また、水とは異なる酸化手段を、当然、使用できる。酸化された粒子11の体積は、酸化されていない状態と比べて増加する。したがって、粒子11は、ある程度膨張し、それによって層18内の細孔、毛細管又は他の開口部若しくは管が閉じられるか又は埋められる。このように層18は酸化によって密封される。この密封は、層18の表面で起こるだけではなく、層18内のどこにでも起こる。これにより、その後に液体が実際に層18内にもはや全く貫通することができず、基体10が特に表面下腐食からもやはり極めて効果的に保護されるという結果がもたらされる。密封又は緻密化が層18の全体で起こるので、層18の表面を粗くザラザラにするように設計することは、品質上で妥協することなく可能である。これは、たとえば、層18が、表面、たとえばその上を人員が歩く船舶のデッキである場合に滑りにくくする予防として有利である。
【0028】
粒子11の体積増加によって実現できる別の有利な効果は、内部圧縮応力18の発生である。圧縮応力は、酸化時の粒子11の膨張によって層18内に発生して、層18の耐久性又は密着性に有益な影響を及ぼす。
【0029】
酸化可能な粒子11が、溶射プロセスの間、融解しないことを望む場合、融液8中の粒子11の形状安定性を、いくつかのパラメータによって保証することができる、すなわち、一方では、当然、粒子11の材料についての適切な選択によって、他方では、粒子11のサイズによって、又は流体11の流量によって保証することができる。また、粒子11の融解は、当然、同じパラメータによって実現することができる。
【0030】
多数の材料が、具体的には固体粒子の形で、その後で層18を緻密化するように働く酸化可能な粒子11として適切である。たとえば、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、鉄、又はこれらの元素の互いの間での合金、又は他の元素との合金が適切である。具体的には、鉄含有量が50%よりも多い鉄系の化合物が適切であり、又は、85%の亜鉛及び15%の鉄を含有する合金ZnAl85/15も適切である。
【0031】
プロセスを制御又は調整するために、アーク溶射装置は、たとえば、自由にプログラム可能な制御ユニット14を有する。それを用いると、特に次のパラメータを調整又は設定することができ、そのパラメータは、流体4が融液8に対して作用する作動圧、粒子11の供給量、ワイヤ送り13、および溶射ワイヤ2に供給される電気エネルギーである。この目的のために、制御ユニット14は、本装置のそれぞれの構成要素に信号ライン20を介して接続される。さらに、制御ユニット14は、センサ・ライン21を含むことができ、それによって、現在の作動圧、処理チャンバ中のガス圧、環境圧、温度、エネルギー源の電気的動作パラメータ、又は他のパラメータなど、異なる動作パラメータを、図示していないセンサによって、制御ユニット14に伝えることができる。
【0032】
稠密層18を製作するために、アーク溶射プロセスによって融解領域7で形成される融液8は、最初に、粒子11が加えられた流体の流れによって、基体10の表面9にまで搬送され、ここで、融液8は、しぶき又は溶滴の形で付着される。酸化可能な粒子11は、固体粒子の形で、又は部分的に融解した形で、又は融解した形で存在し、形成する層18中に組み込まれる。所望の層厚さに達したとき、溶射プロセスは終了される。さらなる処理ステップでは、酸化可能な粒子11が、凝固した層18中で酸化させられ、それによって層18は密封される。
【0033】
図2に、本発明によるアーク溶射方法の第2の実施例を実施するためのアーク溶射装置の主要な部品を示す。第1の実施例との相違点だけを以下で考察する。また、第1の実施例に関する上記説明は、第2の実施例にも適用される。同じ符号は、同じ部品、又は第1の実施例における機能と機能上同等の部品を示す。
【0034】
第1の実施例との主な相違点は、第2の実施例では、酸化可能な粒子11が、融解領域7の流れ方向後方において添加されることだけである。
【0035】
この目的のために、貯蔵容器12から融液8に酸化可能な粒子11を導入できる第2の供給装置31が設けられる。ここでは、粒子11の導入は、融解領域7と基体10との間だけで行われる。この目的のために、第2の供給装置31は開口部32を有し、それは、融解領域7の近くに、しかし融解領域7の基体側に配置される。したがって、粒子11は、そこから、融液8及び流体4から形成された被覆噴流に導入することができる。また、粒子11は、この実施例では、流体4の助けによって第2の供給装置31を通じて搬送することができる。この目的のために、第2の供給装置31は、たとえば、ガス貯蔵器19に、又は離れた流体貯蔵器(図2に図示せず)に接続される。
【0036】
また、図2に示す装置は、エネルギー源16を有し、その例図は、明確化のために、ここでは削除している。
【0037】
また、溶射ワイヤ2の材料からアーク6により形成される融液8は、前に述べた実施例に類似して、ガス貯蔵器19から流体4によって第1の供給装置3を介して基体10の表面9に塗布される。酸化可能な粒子11は、開口部32から融液8内に移動し、次いで基体10にそれと共に搬送される。
【0038】
本発明による方法の別の実施例によれば、酸化可能な粒子を、1つ又は両方の溶射ワイヤ2内に含ませることができる。このとき、溶射ワイヤ2は、コア・ワイヤとして設計され、酸化可能な粒子11を、実際の、たとえば金属製の、被覆材料のほかに、追加的に含む。図3に、この溶射ワイヤ2を断面図で示す。この実施例では、図1及び図2に示す貯蔵容器から、酸化可能な粒子11を供給することはもはや必要でない。この別の実施例では、酸化可能な粒子11は、溶射ワイヤ2の融解時に、融解領域7で放出され、次いで基体10に移動し、流体4によって融液8と共に搬送される。そのとき層18内で粒子11の占める体積率は、溶射ワイヤ2内の粒子11の相対的な比率によって設定できる。
【0039】
図4に、別の実施例を概略的に例示する。この実施例では、酸化可能な粒子11を含む少なくとも1つの第3の溶射ワイヤ22が設けられる。この第3の溶射ワイヤ22は融解領域7内に導入され、そこで、その先端が融解状態にされ、酸化可能な粒子11が、流体4によって融液8と共に基体10に搬送されるように放出される。また、ワイヤ送りが、第3の溶射ワイヤ22のために設けられることを理解されたい。第3の溶射ワイヤ22の供給は、電流を流して、又は電流を流さないで行なえる。第3の溶射ワイヤ22に電流を流す場合、それは、カソードとして、又はアノードとして、選択的に電源を入れることができる。たとえば、少なくとも1つのさらなるアークが生じる。しかし、また、第3の溶射ワイヤが、2つの溶射ワイヤ2間でのアークによって発生される融解領域の熱によってだけで融解するように、電気が通じていなくても、第3の溶射ワイヤに熱を伝導することは可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上に稠密層を製作するためのアーク溶射方法であって、2つの導電性溶射ワイヤ(2)に電圧を印加することによって、アーク(6)を前記溶射ワイヤ(2)間に発生させ、融液(8)を前記溶射ワイヤ(2)から融解領域(7)で生成させ、前記融液(8)を流体(4)によって作用させて、前記流体(4)により前記融液(8)を前記基体(10)まで移動させ、前記基体(10)に前記融液(8)を付着させて層(18)を形成する、前記アーク溶射方法において、
酸化可能な粒子(11)を前記融液(8)に供給して、前記粒子(11)を前記基体(10)上に前記融液(8)と共に付着させ、
前記アーク溶射の終了の後に、前記層(18)を緻密化するために、前記酸化可能な粒子(11)を少なくとも部分的に酸化させることを特徴とする、アーク溶射方法。
【請求項2】
前記酸化可能な粒子(11)が、前記層(18)の体積の3%〜20%を占める、請求項1に記載されたアーク溶射方法。
【請求項3】
前記酸化可能な粒子(11)を前記流体(4)に混ぜ、その後で、前記流体(4)を前記融液(8)に作用させる、請求項1又は請求項2に記載されたアーク溶射方法。
【請求項4】
前記酸化可能な粒子(11)を、前記融解領域(7)と前記基体(10)との間で前記融液(8)に添加する、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載されたアーク溶射方法。
【請求項5】
前記酸化可能な粒子(11)が、少なくとも1つの溶射ワイヤ(2)の構成部材である、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載されたアーク溶射方法。
【請求項6】
前記酸化可能な粒子(11)を含む第3の溶射ワイヤ(22)を設ける、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載されたアーク溶射方法。
【請求項7】
前記酸化可能な粒子(11)が、鉄、亜鉛、アルミニウム、若しくはマグネシウム、又はこれらの元素の合金を含む、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載されたアーク溶射方法。
【請求項8】
前記酸化可能な粒子(11)を水によって酸化させる、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載されたアーク溶射方法。
【請求項9】
前記基体(10)が、鋼鉄製であるか又は鋼鉄の表面を有する、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載されたアーク溶射方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載されたアーク溶射方法によって製作された稠密層。
【請求項11】
内部圧縮応力を有する、請求項10に記載された稠密層。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−241284(P2012−241284A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110637(P2012−110637)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【出願人】(500063790)ズルツァー・メットコ・アクチェンゲゼルシャフト (30)
【氏名又は名称原語表記】Sulzer Metco AG
【Fターム(参考)】