説明

種別判定装置、識別情報出力装置及び種別判定システム

【課題】二輪車等の小さい車両も含め、車両の車種を特定することを目的とする。また、本発明は、例えば、二輪車が四輪車の陰になった場合等であっても、二輪車を検知し、さらに車種を特定することを目的とする。
【解決手段】車両が備える識別情報出力装置20では、車種を示す点滅パターンの光を灯具24から出力する。一方、種別判定装置30では、パターン記憶部38は車両の種別毎に定められた点滅パターンを記憶装置に記憶する。パターン検出部36は車両の灯具24により出力された光の点滅パターンを動画カメラ31が撮影した画像データから検出する。種別識別部37はパターン記憶部38が記憶した点滅パターンからパターン検出部36で検出した点滅パターンを検索して、車両の種別を識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、道路等に設置され、道路を通行する車両の車種等の種別を判断する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両検知には、超音波センサや磁気コイル等を用いて物体を検知する技術や、車線両端に設置した光透過型センサにより車両の影を検知する技術が用いられている。
超音波センサは、超音波を物体に反射させて、その変化を検知する。磁気コイルセンサは、金属物体による磁場の変化を検知する。それぞれのセンサは、比較的大きな物体を検知することは可能であるが、二輪車のような小さな物体を検知することが困難であり、二輪車検知としては使用できない。また、光学式の透過型センサは、道路端に光学の送受光センサを配置し、車両が通過することでできた影を検知するものである。このような光透過型センサでは、二輪車の単独走行は検知できるが、複数の二輪車が並走するような場合にはひとつの物体、例えば1台の四輪車として検知してしまう可能性がある。また、二輪車が四輪車と並走する場合、二輪車が四輪車の陰に隠れ、やはり四輪車1台しか検知できない可能性がある。
【0003】
また、従来、交差点のような場所に動画カメラ等を設置して、撮影画像から車両を検知する技術がある。
【特許文献1】特開2006−92097号公報
【特許文献2】特開2006−209201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、二輪車等の小さい車両を検知することは困難である。さらに、従来の技術では、車両の車種を特定することはできない。
本発明は、例えば、二輪車等の小さい車両も含め、車両の車種等の種別を特定することを目的とする。また、本発明は、例えば、二輪車が四輪車で陰になった場合等であっても、二輪車を検知し、さらに車種等の種別を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る種別判定装置は、例えば、車両の種別毎に定められた点滅パターンを記憶するパターン記憶部と、
車両に備えられた灯具により出力された光の点滅パターンを検出するパターン検出部と、
上記パターン記憶部が記憶した点滅パターンから上記パターン検出部が検出した点滅パターンを検索して、上記車両の種別を識別する種別識別部と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る種別判定装置によれば、車両に備えられた灯具から出力された光の点滅パターンにより、車両を検出し、車種を特定する。したがって、二輪車等の小さい車両であっても、車両を検出し、車種を特定することが可能である。また、二輪車が四輪車の陰になった場合等であっても、車両の灯具から出力された光を検出することができれば、車両を検出し、車種等の種別を特定することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施の形態1.
実施の形態1では、車両に備えられた灯具から出力された光の点滅パターンにより、車両を検出し、車両の種別を特定する種別判定システム10について説明する。ここでは、種別の一例として車種を用いて説明する。
【0008】
まず、図1に基づき、種別判定システム10の概要について説明する。
種別判定システム10は、識別情報出力装置20と種別判定装置30とを備える。図1では、識別情報出力装置20は示していない。識別情報出力装置20は、大型車両1、二輪車2、緊急車両3等の車両に備えられる。種別判定装置30は、信号機4や道路上や車線脇等に設けられる。ここでは、信号機4に設けられる。
車両に備えられた識別情報出力装置20は、車種を示す点滅パターンの光を車両の灯具から出力する。一方、種別判定装置30は、道路の所定の範囲を撮影装置により撮影し、車両の灯具から出力された光を検出する。そして、種別判定装置30は、検出した光の点滅パターンを特定することにより、車両が大型車両1であるか、二輪車2であるか、緊急車両3であるか等の車種を特定する。また、種別判定装置30は、撮影装置により撮影した画像から車両の位置を特定する。
路上電波通信機5は、種別判定装置30が特定した車両の車種と位置との情報を電波等により発信する。車両は、路上電波通信機5が発信した電波を車載端末により受信して、他の車両の車種と位置との情報を取得する。車載端末は、例えば、取得した情報に基づき、左折時に二輪車を巻き込む虞がないか、右折時に死角から出てくる二輪車はないか等の情報を運転者へ通知することができる。
【0009】
次に、図2に基づき、識別情報出力装置20と種別判定装置30とのハードウェア構成の一例について説明する。図2は、識別情報出力装置20と種別判定装置30とのハードウェア構成の一例を示す図である。
図2において、識別情報出力装置20と種別判定装置30とは、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。さらに、識別情報出力装置20は後述する灯具24(投光器)を備え、種別判定装置30は、後述する動画カメラ31(撮影装置)を備える。
【0010】
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置の一例である。
通信ボード915は、入力装置、通信装置の一例である。
【0011】
磁気ディスク装置920又はROM913などには、オペレーティングシステム921(OS)、プログラム群922、ファイル群923が記憶されている。プログラム群922のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921により実行される。
【0012】
識別情報出力装置20のプログラム群922には、以下に述べる実施の形態の説明において「出力処理部21」等として説明する機能を実行するプログラム、及び、その他のプログラムがそれぞれ記憶されている。また、種別判定装置30のプログラム群922には、以下に述べる実施の形態の説明において「判定処理部32」等として説明する機能を実行するプログラム、及び、その他のプログラムがそれぞれ記憶されている。
識別情報出力装置20のファイル群923には、以下に述べる実施の形態の説明において、「出力パターン」等として説明する情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「ファイル」や「データベース(DB)」の各項目として記憶されている。種別判定装置30のファイル群923には、以下に述べる実施の形態の説明において、「点滅パターン」等として説明する情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「ファイル」や「データベース(DB)」の各項目として記憶されている。「ファイル」や「データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力などのCPU911の動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力のCPU911の動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
また、以下に述べる実施の形態の説明において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD(Digital・Versatile・Disc)等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0013】
また、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。また、「〜処理」として説明するものは「〜ステップ」であっても構わない。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、以下に述べる「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。又は、以下に述べる「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0014】
次に、図3に基づき、種別判定システム10の機能について説明する。図3は、種別判定システム10の機能を示す機能ブロック図である。
種別判定システム10は、上述したように、車両に備えられる識別情報出力装置20と、信号機等に設置される種別判定装置30とを備える。
【0015】
識別情報出力装置20は、出力処理部21、灯具24を備える。
出力処理部21は、出力パターン記憶部22、光出力部23(可視光変調器)を備える。出力パターン記憶部22は、車両の車種を示す点滅パターンを記憶装置に記憶する。光出力部23は、種別判定装置30が検出可能な間隔で、灯具24から出力パターン記憶部22が記憶した点滅パターンの光を出力する。
灯具24は、例えば、光を出力するものであればどのようなものでも構わない。灯具24は、車両が備える前照灯(ヘッドライト)等の一般に車両が備えている装置と兼用するとしてもよい。特に、二輪車等では前照灯の常時点灯の義務もあり兼用とすることは有効である。
なお、出力処理部21は図2記載のハードウェア構成のほかにも以下の構成で実現させてもよい。
つまり出力パターン記憶部22は、点滅パターンを記憶したメモリで実現させてもよい。
また光出力部23は、灯具24を点滅パターンに従い所望のタイミングで点滅させるためのタイミングを生成するタイミング生成機能と、タイミング生成機能で生成されたタイミングに従い、メモリに記憶された点滅パターンを読み出すメモリ読出機能と、メモリ読出機能で上記タイミングに従い読み出された点滅タイミングで信号をON/OFFさせて灯具に出力するドライバ機能を備えればよい。
このような構成で出力処理部21のハードウェア構成を実現することにより、車両に搭載する識別情報出力装置20を簡易に実現することができる。
【0016】
種別判定装置30は、動画カメラ31、判定処理部32を備える。
動画カメラ31は、道路の所定の範囲を撮影して画像データを取得する。動画カメラ31は、例えば、交差点などの俯角の画像等を取得する。
判定処理部32は、撮影部33、移動体検出部34、移動体追跡部35、パターン検出部36、種別識別部37、パターン記憶部38(判定パターン記憶部)を備える。撮影部33は、所定の範囲を動画カメラ31により撮影して所定の時間毎の画像データを取得する。移動体検出部34は、撮影部33が取得した所定の時間毎の画像データそれぞれに含まれる移動体を処理装置により検出する。移動体追跡部35は、移動体検出部34が検出した移動体それぞれを時間順に対応付けして移動体を処理装置により追跡する。パターン検出部36は、移動体追跡部35が追跡した移動体により出力された光を所定の時間毎の画像データそれぞれから時間順に検出して、移動体により出力された光の点滅パターンを処理装置により検出する。種別識別部37は、後述するパターン記憶部38が記憶した点滅パターンからパターン検出部36が検出した点滅パターンを検索して、車両の車種を識別する。パターン記憶部38は、車両の車種毎に定められた点滅パターンを記憶装置に記憶する。
【0017】
次に、車両に備えられる識別情報出力装置20の動作について説明する。
大型車両1や二輪車2等の車両は、移動方向前面に灯具24を搭載する。また、出力パターン記憶部22は、予め車両の車種を示す点滅パターンを記憶する。つまり、大型車両1であれば大型車両1であることを示す点滅パターンを記憶し、二輪車2であれば二輪車2であることを示す点滅パターンを記憶する。光出力部23は、灯具24から出力パターン記憶部22が記憶した車種の識別を可能とする点滅パターンの光を出力させる。つまり、車両は、灯具24から車種の識別を可能とする点滅パターンの光を出力しながら走行する。
特に、光出力部23は、種別判定装置30が点滅パターンを検出可能な間隔で光を出力する。ここでは、NTSC(National Television Standards Committee)方式を一例として説明する。つまり、種別判定装置30が備える動画カメラ31はNTSC方式に準拠する。NTSC方式では、1/30秒で1画像を取得する。そこで点滅パターンは、ナイキストのサンプリング定理により、例えば1/15秒間隔で点滅する光を出力することで、動画カメラ31が撮影した灯具24の画像から点滅パターンを識別することができる。
また、点滅パターンは、繰り返し出力された場合にも識別できるような組み合わせに設定する必要がある。
【0018】
次に、図4に基づき、種別判定装置30の動作について説明する。図4は、種別判定装置30の動作を示すフローチャートである。
まず、撮影処理(S1)では、撮影部33で、所定の範囲を動画カメラ31により撮影して画像データを取得する。
次に、移動体検出処理(S2)では、移動体検出部34で、撮影部33が取得した画像データに含まれる移動体(移動体領域)を検出する。例えば、図5の(a)に示すように、撮影した画像に移動体が入る前の画像(背景画像)と移動体が入った画像との差分から移動体を検出することができる。
次に、移動体追跡処理(S3)では、移動体追跡部35で、移動体検出部34が検出した移動体を追跡する。例えば、図5の(b)に示すように、直近に撮影した画像と一時刻前に撮影した画像との移動体の輝度によりマッチングを行い、画像間での移動体の対応付けを行うことで移動体を追跡できる。
次に、パターン検出処理(S4)では、パターン検出部36で、追跡した移動体により出力された光を画像データから時間順に検出して、移動体により出力された光の点滅パターンを検出する。つまり、パターン検出部36は、移動体追跡処理(S3)で追跡した移動体の画像から、移動体の灯具24の光を抽出し、その抽出した光の発光状態を、動画の各フレーム画像から検出し、発光パターンを復調する。
次に、判定処理(S5)では、パターン検出部36が検出したパターンにより、種別識別部37が点滅パターンを識別できたか否かを判定する。つまり、所定の数以上の画像データを得なければ点滅パターンを識別できないため、種別識別部37は点滅パターンの識別ができたか否かを判定する。点滅パターンの識別ができたと種別識別部37が判定した場合(S5でYES)、種別識別処理(S6)へ進む。一方、点滅パターンの識別ができないと種別識別部37が判定した場合(S5でNO)、撮影処理(S1)へ進む。つまり、点滅パターンの識別ができないと種別識別部37が判定した場合(S5でNO)、さらに画像データを取得して、移動体が出力した光の情報を取得する。
そして、種別識別処理(S6)では、種別識別部37で、パターン記憶部38が記憶した点滅パターンからパターン検出部36が検出した点滅パターンを検索して、車両の車種を識別する。
【0019】
次に、車両が出力する点滅パターンの一例と、点滅パターンを識別する動作の一例を説明する。
まず、以下(a)から(c)までに点滅パターンの一例を示す。(a)から(c)までは、大型車両1、二輪車2、緊急車両3それぞれが出力する点滅パターンを示す。大型車両1、二輪車2、緊急車両3は、各々該当する点滅パターンを繰り返し出力する。
(a)大型車両1:点→消→点→消→点→消
(b)二輪車2:点→点→消→点→点→消
(c)緊急車両3:点→点→点→消→消→消
なお(a)から(c)において、点は点灯を、消は消灯を表す。
(a)から(c)までに示す点滅パターンであれば、点滅パターン中のいずれの箇所から検出されたとしても識別することができる。つまり、(a)から(c)までに示す点滅パターンは、繰り返し出力された場合にも識別できるような組み合わせに設定されている。
【0020】
次に、図6に基づき、点滅パターンの識別について説明する。図6は、動画カメラ31により撮影された(1)から(16)までの16枚の画像データを示す。図6は、移動している二輪車2とその灯具24である前照灯を示す。灯具24が白抜きとなっている場合、点灯状態を示す。一方、灯具24が黒塗りとなっている場合、消灯状態を示す。つまり、図6に示す二輪車2は(1)から(8)までは前方へ進み、(9)から(16)までは停止しながら、灯具24を
(1)点灯、(2)点灯、(3)点灯、(4)点灯、(5)消灯、(6)消灯、(7)点灯、(8)点灯、(9)点灯、(10)点灯、(11)消灯、(12)消灯、(13)点灯、(14)点灯、(15)点灯、(16)点灯
と変化させている。
この画像はNTSC方式の動画カメラ31により撮影されたものであるとする。また、二輪車2の灯具24は1/15秒で点滅しているとする。この場合1/30秒間隔で取得された画像を1/15秒で点滅しているパターンに変換すると、以下の点滅パターンであることがわかる。
点滅パターン:点灯→点灯→消灯→点灯→点灯→消灯→点灯→点灯
従って、(a)から(c)に示した点滅パターンと照合することで、「二輪車2」であると判定できる。
【0021】
また、この実施の形態に係る種別判定システム10は、以下のようにすることも可能である。
まず、図4に示す移動体検出処理(S2)で、移動体検出部34が画像データ中の灯具24によるハイライト部分を抽出し、移動体追跡処理(S3)で、移動体追跡部35がその軌跡を取得するとしてもよい。画像データ中のどの位置にハイライトがあるかを識別することで、車両の位置を特定することができる。また、ハイライトの軌跡を辿ることで車両の移動方向も特定することができる。また、移動体検出部34は、ハイライト部分とともに車線の情報を取得することにより、車両がどの車線にいるかという情報を得ることができる。なお、画素の輝度の明るい部分を車線であると判断して車線情報を取得するとしてもよい。
【0022】
また、上記説明では、車両の種別として車種を用いて説明した。しかし、車両の種別は、車両の速度としてもよい。
【0023】
また、車両の種別は、車両の方向指示器が示す方向であるとしてもよい。この場合、灯具24を車両の方向指示器(ウインカ)と兼用としてもよい。つまり、パターン検出部36は、車両が右折又は左折する場合に点滅させている方向指示器の点滅を検出する。そして、種別識別部37は、パターン記憶部38が記憶した点滅パターンから方向指示器が出力した光の点滅パターンを検索して車両の進路方向を識別する。すなわち、方向指示器の点滅パターンに「右折/左折」という情報を対応付けておく。そして、種別識別部37で車両の右折/左折を識別する。
さらに、「右折/左折」という情報を対応付けた方向指示器の点滅間隔を、方向指示器の通常の点滅とは別に設定するとしてもよい。つまり、方向指示器の通常の点滅間隔は一般に人間が視認できる程度である。しかし、この方向指示器の通常の点滅とは別に、上述した1/15秒毎等動画カメラが点滅を識別可能な限り短い間隔に「右折/左折」という情報を対応付けた点滅を設定するとしてもよい。このように設定することで、種別判定装置30は短時間で点滅パターンを識別できる。また、例えば1/15秒毎程度の点滅であれば、人間の目では点滅は確認できず、どのような点滅パターンにしても何ら弊害を起こすこともない。
また、さらに、車両の前照灯等からは車種を示す点滅パターンを出力し、方向指示器から進路方向を示す点滅パターンを出力するとしてもよい。つまり、パターン検出部36は、車種を示す点滅パターンと進路方向を示す点滅パターンとを検出して、種別識別部37は、車種と進路方向とを識別するとしてもよい。
【0024】
実施の形態1に係る種別判定システム10によれば、二輪車2等の小さい車両であっても車両を検出し、車種を特定することが可能である。また、二輪車2が大型車両1等の陰になった場合等であっても、光を検出することができれば、車両を検出し、車種を特定することが可能である。さらに、車両の進路方向、速度等も特定することが可能である。
【0025】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1で説明した種別判定システム10の応用例について説明する。
【0026】
まず、図1に基づき、1つ目の例について説明する。1つ目の例は、交差点への応用例である。
交差点への応用例では、種別判定装置30は、交差点付近を撮影するように設けられる。種別判定装置30が備える動画カメラ31は、交差点及びその先の道路を撮影することにより、交差点へ進入してくる車両を交差点進入前に撮影する。そして、交差点へ進入してくる車両の車種、進路方向等の情報を取得し、交差点付近の他の車両へ路上電波通信機5から情報を発信する。その情報は交差点付近に関する情報であり、例えば、左折時に二輪車を巻き込む虞がないか、右折時に死角から出てくる二輪車はないか等の情報である。その情報を運転者へ通知することで、交通事故の防止に役立つ。また、緊急車両を特定することで、周囲の車両に注意を促すこともできる。さらに、緊急車両を特定した場合に、信号機の表示を変化させて緊急車両が信号で停止することのないようにすることも可能である。
【0027】
次に、図7に基づき、2つ目の例について説明する。2つ目の例は、道路の合流地点への応用例である。
道路の合流地点への応用例では、種別判定装置30は、合流してくる合流車線と、合流される本線とに設けられる。そして、車両が合流箇所へ差し掛かる前に路上電波通信機5から、合流車線の車両へは、例えば種別判定装置30にて特定した本線の車両の車種情報等を通知し、本線の車両へは、例えば種別判定装置30にて特定した合流車線の車両の車種情報等を通知する。合流箇所の見通しが悪いことが交通事故の原因となっているが、互いの存在を知ることにより、交通事故の防止となる。また車種がわかることで、交差点への応用と同様、緊急車両の走行を周囲の車両に通知して、注意を促すことができる。
【0028】
次に、図8に基づき、3つ目の例について説明する。3つ目の例は、ETC(Electronic Toll Collection)ゲート6への応用例である。
ETCゲート6への応用例では、種別判定装置30は、ETCゲート6内を撮影するように設けられる。種別判定装置30は、ETCゲート6内に入っている車両の車種及び位置を特定することができる。特に、図8に示すように、種別判定装置30は、大型車両1と二輪車2とが並んでいる場合であっても、それぞれの存在を識別することができる。したがって、ETC車載端末を搭載していない二輪車が、ETC車載端末を搭載した四輪車の横に並び通過することで、二輪車が無線で自動料金収受を行うことなくETCゲートを通過する、という不正等を検知することができる。
【0029】
最後に、図9に基づき、4つ目の例について説明する。4つ目の例は、フェリー乗り場への応用例である。
フェリー乗り場への応用例では、種別判定装置30は、フェリーの入り口付近を撮影するように設けられる。乗り込む車両の車種を識別することにより、例えば、車種毎に異なる請求料金を正確に判別することが可能である。また無人ゲート等と組み合わせて設置することで、人件費の削減に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】種別判定システム10の交差点への応用例を示す図。
【図2】識別情報出力装置20と種別判定装置30とのハードウェア構成の一例を示す図。
【図3】種別判定システム10の機能を示す機能ブロック図。
【図4】種別判定装置30の動作を示すフローチャート。
【図5】(a)移動体の検出、及び(b)追跡の状態を示す図。
【図6】点滅パターンの識別の説明図。
【図7】種別判定システム10の道路の合流地点への応用例を示す図。
【図8】種別判定システム10のETCゲートへの応用例を示す図。
【図9】種別判定システム10のフェリー乗り場への応用例を示す図。
【符号の説明】
【0031】
1 大型車両、2 二輪車、3 緊急車両、4 信号機、5 路上電波通信機、6 ETCゲート、10 種別判定システム、20 識別情報出力装置、30 種別判定装置、21 出力処理部、22 出力パターン記憶部、23 光出力部、24 灯具、30 種別判定装置、31 動画カメラ、32 判定処理部、33 撮影部、34 移動体検出部、35 移動体追跡部、36 パターン検出部、37 種別識別部、38 パターン記憶部、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、922 プログラム群、923 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の種別毎に定められた点滅パターンを記憶するパターン記憶部と、
車両に備えられた灯具により出力された光の点滅パターンを検出するパターン検出部と、
上記パターン記憶部が記憶した点滅パターンから上記パターン検出部が検出した点滅パターンを検索して、上記車両の種別を識別する種別識別部と
を備えることを特徴とする種別判定装置。
【請求項2】
上記種別判定装置は、さらに、
所定の範囲を撮影して所定の時間毎の画像データを取得する撮影部と、
上記撮影部が取得した所定の時間毎の画像データそれぞれに含まれる移動体を検出する移動体検出部と、
上記移動体検出部が検出した移動体それぞれを時間順に対応付けして移動体を追跡する移動体追跡部とを備え、
上記パターン検出部は、上記移動体追跡部が追跡した移動体により出力された光を所定の時間毎の画像データそれぞれから時間順に検出して、移動体により出力された光の点滅パターンを検出する
ことを特徴とする請求項1記載の種別判定装置。
【請求項3】
上記パターン記憶部は、車種毎に定められた点滅パターンを記憶し、
上記パターン検出部は、車両の前照灯により出力された光の点滅パターンを検出し、
上記種別識別部は、上記パターン記憶部が記憶した点滅パターンから上記前照灯が出力した光の点滅パターンを検索して車両の車種を識別する
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれか記載の種別判定装置。
【請求項4】
上記パターン記憶部は、車両の方向指示器が示す方向毎に定められた点滅パターンを記憶し、
上記パターン検出部は、車両の方向指示器により出力された光の点滅パターンを検出し、
上記種別識別部は、上記パターン記憶部が記憶した点滅パターンから方向指示器が出力した光の点滅パターンを検索して車両の進路方向を識別する
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれか記載の種別判定装置。
【請求項5】
車両に設けられる識別情報出力装置であり、
上記車両の種別を示す点滅パターンを記憶する出力パターン記憶部と、
上記車両に設けられた灯具から上記出力パターン記憶部が記憶した点滅パターンの光を出力する光出力部と
を備えることを特徴とする識別情報出力装置。
【請求項6】
移動方向前面に灯具を備えた車両に設けられる識別情報出力装置と、種別判定装置とを備える種別判定システムであり、
上記識別情報出力装置は、
上記車両の種別を示す点滅パターンを記憶する出力パターン記憶部と、
上記種別判定装置が検出可能な間隔で、上記灯具から上記出力パターン記憶部が記憶した点滅パターンの光を出力する光出力部と
を備え、
上記種別判定装置は、
所定の種別毎に定められた点滅パターンを記憶する判定パターン記憶部と、
上記光出力部が出力した光の点滅パターンを検出するパターン検出部と、 上記パターン記憶部が記憶した点滅パターンから上記パターン検出部が検出した点滅パターンを検索して、上記車両の種別を識別する種別識別部と
を備えることを特徴とする種別判定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−269447(P2008−269447A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113767(P2007−113767)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】