説明

種子粉末、種子粉末の製造方法、加工食品及び病態改善方法

【課題】植物の種子は、人間が消化できないとして、今までは食べられることはなく、廃棄されてきた。例えば、リンゴや柿の種子、梅干の種等である。これらは、焼却すると二酸化炭素が増えるだけで何のメリットもない。また、廃棄することによって、二次公害の発生因ともなっている。このような現在廃棄されている植物の部分を有効利用することも社会の要請である。
【解決手段】植物の種子を、50〜300メッシュのサイズで粉末にしたもの、植物の果実を十分水洗することによって水溶性部分を除去し、次いで乾燥した後、50〜300メッシュのサイズで粉末にする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種子粉末、種子粉末の製造方法、加工食品及び病態改善方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物の種子は、人間が消化できないとして、今までは食べられることはなく、廃棄されてきた。例えば、リンゴや柿の種子、梅干の種等である。
【0003】
前記した植物の種子は、廃棄しているが、それを焼却すると二酸化炭素が増えるなど、廃棄することによって、二次公害の発生因ともなっている。
このような現在廃棄されている植物やその食品残渣を有効利用することも社会の要請である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、廃棄している植物のバイオマスとしての新しい有効活用という両面から研究を重ね、植物の種子が人体にいいことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような現状に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明種子粉末、種子粉末の製造方法、加工食品、胃腸病の改善方法及び健康維持方法を完成したものであり、その特徴とするところは、種子粉末にあっては、植物の種子を摂取しやすい、50〜300メッシュのサイズで粉末にした点にあり、種子粉末の製造方法にあっては、植物の果実を十分水洗することによって水溶性部分を除去し、次いで乾燥した後、50〜300メッシュのサイズで粉末にする点にあり、加工食品にあっては、請求項1記載の種子粉末と小麦粉を混合したものを主成分とし、その混合比率が小麦粉100重量部に対して該種子粉末が3〜40重量部である点にあり、病態改善方法にあっては、請求項1記載の種子粉末を、1日当たり体重の0.2〜0.5重量%摂取する点にある。
【0006】
ここで、植物の種子とは、基本的に水溶性でない部分であり、食物繊維と呼ばれている部分が多い。種子は一般的には果実の中に含まれている。よって、種子を得るためには、果実の中から取り出す必要がある。この取り出す方法は自由であり、どのような方法によってもよい。
【0007】
このような種子の例としては、梅の種、枇杷の種、桃の種、柿の種等である。
【0008】
請求項1でいう粉末は、サイズは50〜300メッシュである。中でも100〜200メッシュ程度が食べやすく好適であった。
【0009】
上記した種子粉末は、以上の通り水溶性成分を含まない不消化性植物粉末であり、これを摂取することはそのすべてが胃、小腸を素通りして大腸に至る。大腸には、500種類、100兆個以上と言われる共生菌が生息しており、この粉末はそれらの細菌の格好の餌であり、大腸内で活発に増殖し、活動することになる。その結果、腸内環境が改善され、正常な営みが確保される。すなわち、宿主が必要とするホルモン、ビタミンなどの各種栄養成分がそれらの細菌の生産物として供給される。もし、本粉末を大量に摂取した場合には、この共生菌の処理能力を超えたときは、本粉末は分解されず素通りしてそのまま大便に混じって排泄されるだけである。このように、本粉末はたとえ過剰な摂取を続けたとしても副作用が出ないというのがこのような仕組みのためであると考えられる。
【0010】
前記した通り、果実から種子を取り出す方法、即ち粉末の製造方法、は自由であるが、本発明の第2の態様はその製造方法についてのものである。
【0011】
第2の態様について、請求項2に即して説明する。
まず、種子を含む果実を十分水洗する。これは、水溶性の部分を除き、種子のみを残すためである。効率をよくするため、適当なサイズに破砕した後に水洗してもよい。
十分水溶性部分を除去するため、水に漬けて置くだけでなく、流水中に置く方がよい。これらの時間は種子によって異なる。
【0012】
例えば、枇杷や柿等の種子では、破砕した後、数日間十分な水(種子重量の10倍以上等)に漬けるのが好ましい。
また、梅干を使用する場合、周囲の可溶部分を塩分とともに洗い流すため相当の時間がかかる。例えば、十分な流速もった水槽に1週間以上漬ける等である。
【0013】
具体的には、梅干の重量の数倍以上の水に浸漬し、毎分1〜50リットル程度で水を流すようにするのがよい。そして、ここに10日〜2週間程度そのままで置く。これで、消化性の部分と水溶性の部分が除去できる。
【0014】
梅干を使用する場合、水洗の程度を粉末中のNa含量を指標にするのが分かりやすい。例えば、250mg/100g粉末以下にする等である。この程度以下になれば、塩分の過剰摂取の問題がほとんどない。
【0015】
そして、十分水洗した後、乾燥させる。残存水分は少ないほどよいが、0にする必要はない。数重量%程度の水分が残っていても問題はない。
【0016】
乾燥後は通常通りの方法で粉末にする。粉末のサイズは前記した通りである。
【0017】
本粉末の摂取方法としては、粉末であるのでそれを好みに合わせて摂ることができる。例えば、本粉末を水で練ってスプーンで適量を口に入れて水か牛乳で飲み込む方法、本粉末をヨーグルトに混ぜてスプーンで食べる方法、本粉末をパン、ケーキ、お好み焼き等の加工用食材として混合して摂る方法、この加工食材の場合は1回の摂取量は少ないので常食するとして健康保持のために適した方法と思われる。
【0018】
次に本発明加工食品について説明する。
請求項1記載の種子粉末と小麦粉を混合したものを主成分としている。その混合する割合は、小麦粉100重量部に対して該種子粉末が3〜40重量部である。3重量部以下では効果がほとんどなく、40重量部以上では均一混合が難しく食感も悪かった。
【0019】
この加工食品は、通常の小麦粉の代替品として使用できる。パンにしたり、ホットケーキ、麺類その他どのような使用法でもよい。
【0020】
次に本発明健康維持及び病態改善方法について説明する。
摂取量が多いほどよいが、すなわち10〜20g/日でも健康保持に適しているが、病状が重篤の場合、請求項1の種子粉末を1日当たり体重の0.2〜0.5%摂取するのである。例えば、体重60kgの人であれば、120〜300g摂取すればよいということである。この数値は、経験的な数値であり、0.2%以下では急速な体調改善が見られず、0.5%以上の場合は更に効果は大きくなる傾向にはあるが食べにくいためである。
【0021】
病気の中でも胃腸病には特に好適である。例えば、胃炎や胃潰瘍の人が2週間程度毎日150g程度摂取すると、ほぼ全員が改善された。
【発明の効果】
【0022】
本発明には、以下のような効果がある。
(1) 植物の種子粉末は、ほとんど不消化性で、大腸内細菌の活動を活発にし、腸内環境を整えることができる。
(2) 通常はほとんどが廃棄物である部分を食べれば無駄が省けることと、その処分手続も不要となる。また、籾殻などの食用転換によって一石三鳥的な有効活用となる。即ち、廃棄物の減少、健康増進、廃棄物による二次公害の減少の3つの効果である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下実施例に従って本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0024】
実施例1
本発明の製造方法の1例を示す。
水槽(幅2m、長さ5m、深さ1m)の中に全量1tの梅干を入れる。水の入口と出口があり水流を作る。この状態で毎分10リットルの流量で10日間放置する。この間に塩分、有機酸などの水溶性成分は全て流出されることになる。これで、大量摂食では有害となる化学成分が除去される。
【0025】
水洗済の梅干は水切りのためにパレットに載せしばらく(半日程度)放置する。その後乾燥機に入れる。乾燥機は特別なものは必要なくパレットがそのまま入るもので、温度は100℃程度で2昼夜(48時間)程度放置し、水分を完全に取る。これは後に続く粉末化操作と保存中のカビなどによる変質を防止するためである。
【0026】
粉末化は、梅の種などに対して特殊な材料を搭載したミルを必要とする場合もあるが、粉末機は通常のものでよい。粉末のサイズはここでは100〜200メッシュであった。
【0027】
この粉末を5人の重篤な病態を持つ人(体重は50〜60kg、年齢38〜81歳、女1人男4人)に毎日100〜150gどのような形でもよいので、食してもらった。
5人全員が約2週間で、病態が大きく改善され、これの常食を継続することで健康を取り戻した。
【0028】
この粉末を10人の胃炎の人(体重は50〜60kg、年齢50〜71歳、女3人男7人)に毎日約150gどのような形でもよいので、食してもらった。この例も約2週間で全員が胃腸が快調になったと報告した。
【0029】
次に前記の粉末を利用してパンを製造した。
この粉末100gと小麦粉200gを混合し、そこにドライイースト3g、砂糖10g、食塩2g、ショートニング10gと水150gを混合し生地を作成した。これを適当な温度の場所で発酵させ、その後オーブンで焼いてパンを製造した。
【0030】
このパンは、本発明粉末が多量に含まれているため健康に非常によい。また、複数人が試食したが、味も問題なかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の種子を、50〜300メッシュのサイズで粉末にしたことを特徴とする種子粉末。
【請求項2】
植物の果実を十分水洗することによって水溶性部分を除去し、次いで乾燥した後、50〜300メッシュのサイズで粉末にすることを特徴とする種子粉末の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の種子粉末と小麦粉を混合したものを主成分とし、その混合比率が小麦粉100重量部に対して該種子粉末が3〜40重量部であることを特徴とする加工食品。
【請求項4】
請求項1記載の種子粉末を、1日当たり体重の0.2〜0.5重量%摂取することを特徴とする病態改善方法。

【公開番号】特開2009−165373(P2009−165373A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5144(P2008−5144)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(508013803)
【出願人】(507027667)
【Fターム(参考)】